説明

変速機制御装置

【課題】ベースと回路基板の接着固定において、塗布パターンのみでは接着剤の濡れ広がり不足や、接着剤の厚さを均一にすることが困難である。
【解決手段】自動車の変速機及び駆動機を制御するための電子回路組立体と、前記電子回路組立体を固定するベースと、前記電子回路組立体を電気的に接続したリード端子とを、モールド樹脂で封止した電子回路装置において、前記電子回路組立体の回路基板の接着側面に、ソルダレジストにより放射状に凹凸のスリットパターンが前記回路基板の端部まで連続して形成され、接着剤が均一に濡れ広がるように流路を設けたことを特徴とする接着固定構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の変速制御装置に関するものであり、例えば自動変速機を制御するためのコントロールバルブと、前記コントロールバルブの制御対象部品を制御するために好適なものである。
【背景技術】
【0002】
図7は自動車の変速機及び駆動機を制御するための電子回路組立体と、前記電子回路組立体を固定するベースと、前記電子回路組立体を電気的に接続したリード端子とを、モールド樹脂で封止した電子回路装置1である。断面図はI−I線に沿う一部断面図である。
詳細図は回路基板の接着側面およびII部の部分詳細図である。フランジ部2aを有するベース2に、回路素子6およびベアチップ7を実装した回路基板8からなる電子回路組立体5がエポキシ等の接着剤10で接着固定されている。リード端子3は、電子回路組立体5のボンディングパット部12と対応するように配置されている。電子回路組立体5とリード端子3は、電子回路組立体5に有するボンディングパット部12とリード端子3に有するボンディングパット部3aがワイヤボンディング法でアルミ細線11を介して電気的に接続されている。電子回路組立体5はベース2上面に塗布された接着剤10により回路基板接着側面8aの回路基板接着側面の接着範囲8cが接着固定される。電子回路組立体5とリード端子3とをアルミ細線11で接続した後、これらの部品、回路素子6,ベアチップ7,回路基板8,ベース2,リード端子3を一括して封止樹脂4にリード端子3の一部やベース2のフランジ部2aの一部を除いて埋設する。封止樹脂4は、トランスファモールド成形により製作され、一般に封止樹脂としてはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用い、型内に流動および固化させるものである。ベアチップ7ははんだおよび銀ペースト材で回路基板8に接合され、Au細線9で回路基板8と電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−17997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子回路装置の構造は、ベース上面に接着剤を有効なパターンで塗布し回路基板を搭載し接着固定しているが、塗布パターンのみでは接着剤の濡れ広がり不足や、接着剤の厚さを均一にすることが困難である。ベースと回路基板との接着剤の濡れ性を改善する必要があり一般的な例としては、ベース上面に機械加工等によりスリットパターンを設ける方法があるが、ベースは共用部品であるため大きさの異なる回路基板の接着範囲に対応するために多種のベースが必要となり、生産性の悪化、コスト高になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、特許請求の範囲に記載の発明により達成される。
【0006】
例えば、自動車の変速機及び駆動機を制御するための電子回路組立体と、前記電子回路組立体を固定するベースと、前記電子回路組立体を電気的に接続したリード端子とを、モールド樹脂で封止した電子回路装置において、前記電子回路組立体の回路基板の接着側面に、ソルダレジストにより放射状に凹凸のスリットパターンが前記回路基板の端部まで連続して形成され、接着剤が均一に濡れ広がるように流路を設けたことを特徴とする接着固定構造とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば第一の効果として、前記電子回路装置において、前記回路基板の接着側面にソルダレジストにより放射状に凹凸のスリットパターンが前記回路基板の端部まで連続して形成され、接着剤が均一に濡れ広がるように流路を設けたことで、ベースと回路基板との接着剤の濡れ性が改善される。また、回路基板にスリットパターンを設けるため、ベースを共用部品として用いることで安価にすることができる。
【0008】
第二の効果として、前記回路基板の接着側面にソルダレジストにより放射状に凹凸のスリットパターンを有し、接着剤の流路を設けたことで、回路基板とベースのクリアランスを一定に確保することができ、接着剤を均一の厚さにすることができる。
【0009】
これらにより、前記電子回路装置において、接着固定構造の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の回路基板の接着固定構造。
【図2】回路基板接着側面の詳細図および断面図。
【図3】回路基板接着側面の詳細図および断面図。
【図4】実施例2の回路基板接着側面の詳細図および断面図。
【図5】実施例3の回路基板接着側面の詳細図および断面図。
【図6】回路基板の接着固定構造の断面図。
【図7】従来の回路基板の接着固定構造。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図1から図6より説明する。図1は自動車の変速機及び駆動機を制御するための電子回路組立体と、前記電子回路組立体を固定するベースと、前記電子回路組立体を電気的に接続したリード端子とを、モールド樹脂で封止した電子回路装置1である。断面図はI−I線に沿う一部断面図である。詳細図は回路基板の接着側面およびII部の部分詳細図である。図2から図5は回路基板8の回路基板接着側面8aの詳細図である。断面図はIV−IVからVII−VII線に沿う一部断面図である。図6は、回路基板の接着固定構造の一部断面図である。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明の第1の実施例を示すものである。
【0013】
本実施例では、フランジ部2aを有するベース2に、回路素子6およびベアチップ7を実装した回路基板8からなる電子回路組立体5がエポキシ等の接着剤10で接着固定されている。リード端子3は、電子回路組立体5のボンディングパット部12と対応するように配置されている。電子回路組立体5とリード端子3は、電子回路組立体5に有するボンディングパット部12とリード端子3に有するボンディングパット部3aがワイヤボンディング法でアルミ細線11を介して電気的に接続されている。電子回路組立体5を接着剤10でベース2上面に接着固定し、電子回路組立体5とリード端子3とをアルミ細線11で接続した後、これらの部品、回路素子6,ベアチップ7,回路基板8,ベース2,リード端子3を一括して封止樹脂4にリード端子3の一部やベース2のフランジ部2aの一部を除いて埋設する。封止樹脂4は、トランスファモールド成形により製作され、一般に封止樹脂としてはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用い、型内に流動および固化させるものである。ベアチップ7ははんだおよび銀ペースト材で回路基板8に接合され、Au細線9で回路基板8と電気的に接続されている。回路基板8はガラスエポキシ基板が用いられる。回路基板8の回路基板接着側面8aには、ソルダレジスト13により回路基板接着側面の凸形状8bが設けられ、放射状にスリットパターンが回路基板接着側面8aの端部まで連続して形成され、接着剤10が均一に濡れ広がるように流路を設けている。回路基板8は流路に濡れ広がる接着剤10によりベース2に基板接着部2bを形成し接着固定されているものである。このとき、回路基板8に設ける接着剤10の流路は、図2に示すように、回路基板接着側面8aの回路基板接着側面の凸形状8bは銅パターン14で形成されてもよい。また、図3に示すように、直行方向に回路基板接着側面8aの回路基板接着側面の凸形状8bを(A)に示すソルダレジスト13および(B)に示す銅パターン14で形成し、さらに接着剤10の濡れ広がりを改善してもよい。
【実施例2】
【0014】
図4は本発明の第2の実施例を示すものである。前記の実施例1に対して回路基板8の回路基板接着側面8aには、(A)に示すソルダレジスト13により回路基板接着側面の接着範囲8cの周囲にスリットパターンが形成され、接着剤10が均一に濡れ広がるように流路を設けている。回路基板8は流路に濡れ広がる接着剤10によりベース2に基板接着部2bを形成し接着固定されているものである。このとき、回路基板8に設ける接着剤10の流路は、(B)に示すように、回路基板接着側面8aの回路基板接着側面の凸形状8bは銅パターン14で形成されてもよい。
【実施例3】
【0015】
図5は本発明の第3の実施例を示すものである。前記の実施例1に対して回路基板8の回路基板接着側面8aには、(A)に示すソルダレジスト13により回路基板接着側面の凸形状8bが設けられ、図6に示すように、ベース2と回路基板8の間に任意のクリアランスを設け、回路基板8は接着剤10によりベース2に基板接着部2bを形成し接着固定されているものである。このとき、回路基板8に設ける凸形状は、(B)に示すように、回路基板接着側面8aの回路基板接着側面の凸形状8bは銅パターン14で形成されてもよい。
【符号の説明】
【0016】
1 電子回路装置
2 ベース
2a フランジ部
2b 基板接着部
3 リード端子
3a,12 ボンディングパット部
4 封止樹脂
5 電子回路組立体
6 回路素子
7 ベアチップ
8 回路基板
8a 回路基板接着側面
8b 回路基板接着側面の凸形状
8c 回路基板接着側面の接着範囲
9 Au細線
10 接着剤
11 アルミ細線
13 ソルダレジスト
14 銅パターン
15 スリットパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機を制御するための信号を発生する電子回路組立体と、前記電子回路組立体を固定するベースと、前記電子回路組立体を電気的に接続したリード端子とを、モールド樹脂で封止した電子回路装置において、
前記電子回路組立体の回路基板の接着側面に、ソルダレジストにより放射状に凹凸のスリットパターンが前記回路基板の端部まで連続して形成され、接着剤が均一に濡れ広がるように流路を設けたことを特徴とする変速機制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記回路基板には、接着側面の銅パターンにより放射状に凹凸のスリットパターンが前記回路基板の端部まで連続して形成され、接着剤が均一に濡れ広がるように流路を設けたことを特徴とする変速機制御装置。
【請求項3】
変速機を制御するための信号を発生する電子回路組立体と、前記電子回路組立体を固定するベースと、前記電子回路組立体を電気的に接続したリード端子とを、モールド樹脂で封止した電子回路装置において、
前記電子回路組立体の回路基板の接着側面に、ソルダレジストにより接着範囲の周囲に凹凸のスリットパターンが形成され、接着剤が均一に濡れ広がるように流路を設けたことを特徴とする変速機制御装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記回路基板には、接着側面の銅パターンにより接着範囲の形状に凹凸のスリットパターンが形成され、接着剤が均一に濡れ広がるように流路を設けたことを特徴とする変速機制御装置。
【請求項5】
変速機を制御するための信号を発生する電子回路組立体と、前記電子回路組立体を固定するベースと、前記電子回路組立体を電気的に接続したリード端子とを、モールド樹脂で封止した電子回路装置において、
前記電子回路組立体の回路基板の接着側面に、ソルダレジストにより凸形状を有し、前記リードフレームと前記凸形状が接触し一定のクリアランスを確保し、接着剤が均一に濡れ広がるように流路を設けたことを特徴とする変速機制御装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記回路基板には、接着側面の銅パターンにより凸形状を有し、前記リードフレームと前記凸形状が接触し一定のクリアランスを確保し、接着剤が均一に濡れ広がるように流路を設けたことを特徴とする変速機制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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