説明

変速駆動装置

【課題】電磁クラッチのすべりの発生に関係なく、変速操作を常に良好に行うことができる変速駆動装置を提供すること。
【解決手段】変速駆動装置3は、シフトセレクト軸15と、回転駆動力を発生させるための電動モータ23と、電動モータ23の回転角を検出するためのレゾルバ100と、前記回転駆動力をシフトセレクト軸15をその軸まわりに回転させる力に変換するシフト変換機構と、電動モータ23からの回転駆動力の伝達を、シフトセレクト変換機構に断続可能なシフト側電磁クラッチと、シフトセレクト軸15の回転角を検出するためのシフト側回転角センサ89と、レゾルバ100およびシフト側回転角センサ89の双方の検出出力に基づいて、シフトセレクト軸15をシフト側電磁クラッチのすべりによりロスした移動量だけ付加的に移動させるように制御する制御部88とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、変速機を駆動するための変速駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マニュアルトランスミッションの変速が自動化された自動制御式マニュアルトランスミッション(Automated Manual Transmission)の変速装置が知られている。このような変速装置には、変速機構の変速段を切り換える変速駆動装置が備えられている。
たとえば下記特許文献1では、電動モータの回転駆動力によってシフトセレクト軸をその軸まわりに回転させてシフト動作を行わせたり、電動モータの回転駆動力によってシフトセレクト軸をその軸方向に移動させたりするシフト/セレクト駆動装置が、変速駆動装置の一例として開示されている。このシフト/セレクト駆動装置は、電動モータの回転駆動力を、シフトセレクト軸を回転させるための力に変換するための第1変換機構と、当該回転駆動力を、シフトセレクト軸を軸方向移動させるための力に変換するための第2変換機構と、電動モータからの回転駆動力の伝達を、第1変換機構に断続可能な第1電磁クラッチと、電動モータからの回転駆動力の伝達を、第2変換機構に断続可能な第2電磁クラッチとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−75097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シフト側変換機構(第1変換機構)やセレクト側変換機構(第2変換機構)と電動モータとの間に、シフト側電磁クラッチ(第1電磁クラッチ)やセレクト側電磁クラッチ(第2電磁クラッチ)を介装させる特許文献1に示す構成の変速駆動装置では、これらの電磁クラッチに故障に起因するすべりが発生する場合がある。そのため、このような構成の変速駆動装置では、電磁クラッチの故障を検知するために、電磁クラッチの異常すべり検出を行う必要がある。
【0005】
たとえばシフト側電磁クラッチの異常検出として、電動モータの回転角およびシフトセレクト軸の回転角をそれぞれセンサによって検出し、それらの検出出力に基づいて、シフトセレクト軸における所期の回転角と実際の回転角との差分値(より具体的には、実際の電動モータの回転角と、シフトセレクト軸回転検出用のセンサにより検出された回転角だけシフトセレクト軸を回転させるのに必要な電動モータの回転角との差分値)を求め、その差分値が予め定める閾値外である場合に、シフト側電磁クラッチの異常と判断する手法が考えられる。また、同様に、たとえばセレクト側電磁クラッチの異常検出として、電動モータの回転角およびシフトセレクト軸の軸方向移動量をそれぞれセンサによって検出し、それらの検出出力に基づいて、シフトセレクト軸における所期の軸方向移動量と実際の軸方向移動量との差分値(より具体的には、実際の電動モータの回転角と、シフトセレクト軸軸方向検出用のセンサにより検出される移動量だけシフトセレクト軸を軸方向移動させるのに必要な電動モータの回転角との差分値)を求め、その差分値が予め定める閾値外である場合に、セレクト側電磁クラッチの異常と判断する手法が考えられる。そして、これらの電磁クラッチの異常と判断された場合には、車両の車両側制御部にその旨を示す信号が送信され、車両側で異常報知を行うことが考えられる。
【0006】
ところで、電磁クラッチに故障が生じていなくても、電磁クラッチへの印加電圧が不足していたり、電磁クラッチ内においてアーマチュアとロータとの間に異物が混入していたりする場合には、電磁クラッチに微少量のすべりが発生することがある。このような微少量のすべりは、当該電磁クラッチの故障によって発生するすべりと比較すると非常に微小値であり、前記のすべり異常検出によって検出することができない。
【0007】
しかしながら、微少量といえどもすべりが発生しているので、シフト変換機構やセレクト変換機構にトルク不足が生じていることに違いなく、このトルク不足をそのまま放置していたのでは変速操作を良好に行えない場合がある。
その一方で、微少量のすべりが検出される毎に異常検出を行うのは、電磁クラッチに故障が生じていないのに異常報知を行うことにつながり適当ではない。したがって、電磁クラッチにおける微少量のすべりがあった場合には、異常検出とせずに、トルク不足だけを補完するのが望ましい。
【0008】
そこで、この発明の目的は、電磁クラッチにおけるすべりの発生に関係なく、変速操作を常に良好に行うことができる変速駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、変速機(3)を変速操作するための変速操作部(15)と、回転駆動力を発生させるための電動モータ(23)と、前記電動モータの回転角を検出するためのモータ回転角検出手段(100)と、前記電動モータからの回転駆動力を、前記変速操作部を移動させる力に変換する変換機構(24,25)と、前記電動モータからの回転駆動力の伝達を、前記変換機構に断続可能な電磁クラッチ(43,45)と、前記変速操作部の移動量を検出するための移動量検出手段(89,87)と、前記モータ回転角検出手段の検出出力と、前記移動量検出手段の検出出力とに基づいて、前記変速操作部を、前記電磁クラッチのすべりによりロスした移動量だけ付加的に移動させるように制御する付加移動制御手段(88)とを含む、変速駆動装置(3)である。
【0010】
なお、括弧内の数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
この構成によれば、電動モータの回転角と、変速操作部の移動量とに基づいて電磁クラッチのすべりの大きさが算出される。そして、電動モータが、電磁クラッチのすべりによりロスした移動量だけ変速操作部を付加的に移動させるように回転制御される。これにより、電磁クラッチのすべりが発生した場合に、そのすべりによりロスした変速操作部の移動量が補完される。ゆえに、電磁クラッチにおけるすべりの発生に関係なく、変速操作部による変速操作を常に良好に行うことができる。
【0011】
請求項2に記載のように、前記付加移動制御手段は、前記モータ回転角検出手段の検出出力と、前記移動量検出手段の検出出力とに基づいて算出される前記電磁クラッチのすべりの大きさが所定の閾値未満である場合に、前記電動モータの制御を実行してもよい。
請求項3記載の発明は、前記付加移動制御手段は、前記モータ回転角検出手段の検出出力と、前記移動量検出手段の検出出力とに基づいて、前記閾値未満の大きさの前記すべりが予め定める複数の回数以上あった場合に、前記電動モータの制御を実行する、請求項1または2記載の変速駆動装置である。
【0012】
この構成によれば、電磁クラッチのすべりを初めて検出した場合には、直ちに電動モータを回転駆動させず、前記の複数回の回数のすべりを検出した場合に、初めて電動モータが付加的に回転駆動される。
電磁クラッチに生じたすべりが偶発的なものであり、その後そのようなすべりの発生はほとんど考えられない場合には、すべりによりロスした変速操作部の移動を補完する必要はないとも考えられる。この構成によれば、予め定める複数の回数のすべりが検出された場合にだけ、すべりによりロスした移動量を補完すれば足りる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記変速操作部は、変速操作のために軸まわりに回転させられる駆動軸(15)を含み、前記変換機構は、前記電動モータからの回転駆動力を、前記駆動軸をその軸まわりに回転させるように駆動させる力に変換する回転駆動力変換機構(24)を含み、前記移動量検出手段は、前記駆動軸のその軸まわりの回転角を検出するための軸回転角検出手段(89)を含み、前記電磁クラッチは、前記電動モータからの回転駆動力の伝達を、前記回転駆動力変換機構に断続可能な第1電磁クラッチ(43)を含み、前記付加移動制御手段は、前記モータ回転角検出手段の検出出力と、前記軸回転角検出手段の検出出力とに基づいて、前記前記駆動軸を、前記第1電磁クラッチのすべりによりロスした回転角だけ付加的に回転させる付加回転制御手段(88)とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変速駆動装置である。
【0014】
この構成によれば、電動モータの回転角と、駆動軸の軸まわりの回転角とに基づいて第1電磁クラッチのすべりの大きさが算出される。そして、電動モータが、第1電磁クラッチのすべりによりロスした回転角だけ駆動軸を付加的に回転させるように回転制御される。これにより、第1電磁クラッチのすべりが発生した場合に、そのすべりによりロスしたシフト軸の回転角が補完される。ゆえに、第1電磁クラッチにおけるすべりの発生に関係なく、駆動軸の回転による変速操作を常に良好に行うことができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記変速操作部は、第2の変速操作のために軸方向に向けて移動させられる駆動軸(15)を含み、前記変換機構は、前記電動モータからの回転駆動力を、前記駆動軸をその軸方向に向けて移動させる駆動させる力に変換する軸方向移動駆動力変換機構(25)を含み、前記移動量検出手段は、前記駆動軸のその軸方向の移動量を検出するための軸方向移動量検出手段(87)を含み、前記電磁クラッチは、前記電動モータからの回転駆動力の伝達を、前記軸方向移動駆動力変換機構に断続可能な第2電磁クラッチ(45)を含み、前記付加移動制御手段は、前記モータ回転角検出手段の検出出力と、前記軸方向移動量検出手段の検出出力とに基づいて、前記前記駆動軸を、前記第2電磁クラッチのすべりによりロスした移動量だけ付加的に軸方向移動させる付加軸方向移動制御手段(88)とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変速駆動装置である。
【0016】
この構成によれば、電動モータの回転角と、駆動軸の軸方向に向けての移動量とに基づいて第2電磁クラッチのすべりの大きさが算出される。そして、電動モータが、第2電磁クラッチのすべりによりロスした移動量だけ駆動軸を付加的に軸方向移動させるように回転制御される。これにより、第2電磁クラッチのすべりが発生した場合に、そのすべりによりロスした駆動軸の軸方向移動量が補完される。ゆえに、第2電磁クラッチにおけるすべりの発生に関係なく、駆動軸の軸方向移動による変速操作を常に良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の変速駆動装置が適用された変速装置の一部構成の概略分解斜視図である。
【図2】図1に示す変速駆動装置の構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示す変速駆動装置の構成を示す断面図である。
【図4】図3の切断面線IV‐IVから見た断面図である。
【図5】図1に示す変速駆動装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】シフト動作制御を示すフローチャートである。
【図7】付加シフト動作の内容を説明するための概略図である。
【図8】セレクト動作制御を示すフローチャートである。
【図9】付加シフト動作の内容を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の変速駆動装置3が適用された変速装置1の一部構成の概略分解斜視図である。変速装置1は、変速機2と、変速機2を変速駆動する変速駆動装置3とを備えている。
変速機2は、公知の常時かみ合い式の平行軸歯車動力伝達機構により構成された動力伝達機構(図示しない)と、動力伝達機構の動力伝達経路を、複数の動力伝達経路の間で切り換えるための変速操作機構6と、これら動力伝達機構および変速操作機構6を収容するギヤハウジング7とを備えている。変速機2を含む構成の変速装置1は、乗用車やトラックなどの車両に搭載されている。動力伝達機構における動力伝達経路の切換えにより、動力伝達比を異ならせることができる。
【0019】
変速操作機構6はギヤハウジング7内に収容され、互いに平行に延びる複数のフォーク軸10A,10B,10Cを有している。フォーク軸10Aは軸方向M1,M2に移動可能に設けられている。フォーク軸10Bは軸方向M3,M4に移動可能に設けられている。フォーク軸10Cは軸方向M5,M6に移動可能に設けられている。軸方向M1、M3およびM5は、互いに同じ方向を向きかつ互いに並行な軸方向である。軸方向M2、M4およびM6は、それぞれ、軸方向M1、M3およびM5と逆向きの軸方向である。
【0020】
フォーク軸10A,10B,10Cは、軸方向M1,M3,M5(M2,M4,M6)から見て一直線上に位置するように並置されている。各フォーク軸10A,10B,10Cの途中部には、変速駆動装置3(変速操作機構6)によって駆動されるフォークヘッド12A,12B,12Cが固定されている。これらのフォークヘッド12A,12B,12Cは、軸方向M1,M3,M5に関して揃っている。各フォークヘッド12A,12B,12Cは変速駆動装置3に対向する対向面を有している。各対向面は同一平面を有している。各対向面には、係合凹所14A,14B,14Cが形成されている。インターナルレバー16の他端部16bは、係合凹所14A,14B,14Cの内部空間を通って、各フォークヘッド12A,12B,12Cとの係合のための係合位置間を移動することができる。
【0021】
また、各フォーク軸10A,10B,10Cには、動力伝達機構の動力伝達経路を切り換えるために操作される被操作部材(図示しない。たとえばクラッチスリーブやシンクロナイザ機構など)と係合するためのシフトフォーク11(図1では、フォーク軸10Aに設けられたシフトフォーク11のみを示す)が固定されている。シフトフォーク11の軸方向M1〜M6移動により、シフトフォーク11を被操作部材に係合させることができ、その被操作部材を駆動することができる。なお、図1には係合凹所14A,14B,14Cとして係合溝が示されているが、係合溝に代えて係合孔を採用してもよいのは言うまでもない。
【0022】
変速駆動装置3は、変速操作機構6にシフト動作およびセレクト動作を行わせるための円柱状のシフトセレクト軸(駆動軸)15と、シフトセレクト軸15をシフト動作およびセレクト動作させるための回転駆動源として用いられる電動アクチュエータ21とを備えている。シフトセレクト軸15は中心軸線17を有している。シフトセレクト軸15はギヤハウジング7に、シフトセレクト軸15の軸まわり(すなわち中心軸線17まわり)に第1または第2軸回転方向R1,R2に回転可能に、かつ第1または第2軸方向M11,M12に移動可能に支持されている。シフトセレクト軸15はフォーク軸10A,10B,10Cのそれぞれといわゆる90°の食違い軸の関係をなす状態に配置されている。第2軸回転方向R2は第1軸回転方向R1と逆向きの回転方向である。第2軸方向M12は、第1軸方向M11と逆向きの軸方向である。
【0023】
シフトセレクト軸15の途中部には、ギヤハウジング7内に収容されるインターナルレバー16の一端16aが固定されている。インターナルレバー16は、シフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに、シフトセレクト軸15と同伴回転する。シフトセレクト軸15の先端部(図1に示す左手前部)は、ギヤハウジング7外に突出している。
電動アクチュエータ21により、シフトセレクト軸15が第1軸方向M11移動されると、インターナルレバー16が第1軸方向M11に移動させられる。また、電動アクチュエータ21により、シフトセレクト軸15が第2軸方向M12移動されると、インターナルレバー16が第2軸方向M12に移動させられる。これらの軸方向移動M11,M12によりインターナルレバー16の他端部16bが所要のフォークヘッド12A,12B,12Cに係合し、これによりセレクト動作が達成される。
【0024】
一方、電動アクチュエータ21によりシフトセレクト軸15が第1軸回転方向R1に回転されると、インターナルレバー16がシフトセレクト軸15まわりに第1軸回転方向R1に回動させられる。また、電動アクチュエータ21によりシフトセレクト軸15が第2軸回転方向R2に回転されると、インターナルレバー16がシフトセレクト軸15まわりに第2軸回転方向R2に回動する。その結果、インターナルレバー16と係合しているフォークヘッド12A,12B,12Cが、フォーク軸10A,10B,10Cの軸方向M1〜M6に移動し、これにより、シフト動作が達成される。
【0025】
図2は、変速駆動装置3(電動アクチュエータ21)の構成を示す斜視図である。図3は、変速駆動装置3の構成を示す断面図である。図4は、図3の切断面線IV‐IVで切断したときの断面図である。なお、図2では、シフトセレクト軸15の図示を省略している。以下、図2〜図4を参照して、電動アクチュエータ21の構成について説明する。
電動アクチュエータ21は有底略筒状のハウジング22を備えている。電動アクチュエータ21は、ギヤハウジング7(図1参照)の外表面または車両の所定箇所に固定されている。
【0026】
電動アクチュエータ21は、たとえばブラシレス電動モータからなる電動モータ23と、電動モータ23により発生された回転トルク(回転駆動力)を、シフトセレクト軸15を軸まわりに回転させる力に変換するためのシフト変換機構(回転駆動力変換機構)24と、電動モータ23によって発生させられた回転トルクを、シフトセレクト軸15を第1または第2軸方向M11,M12に移動させる力に変換するためのセレクト変換機構(軸方向移動駆動力変換機構)25と、電動モータ23によって発生させられた回転トルクをシフト変換機構24および/またはセレクト変換機構25に断続するための切換ユニット26とを備えている。シフト変換機構24、セレクト変換機構25および切換ユニット26はハウジング22内に収容されている。
【0027】
ハウジング22の開口部(図3に示す左側)は、略板状の蓋27によって閉塞されている。このハウジング22および蓋27は、それぞれたとえば鋳鉄やアルミニウムなどの金属材料を用いて形成されており、蓋27の外周がハウジング22の開口部に嵌め合わされている。蓋27にはその内面(図3に示す右面)と外面(図3に示す左面)とを貫通する円形の貫通孔29が形成されている。また、蓋27の外面には、電動モータ23の本体ケーシングが固定されている。電動モータ23は、第1回転方向R11(モータ出力軸側から見て時計まわり。「CW」ともいう。と第2回転方向R12(たとえば逆方向)とに正逆回転可能な電動モータであり、この電動モータ23としてたとえばブラシレス電動モータが採用されている。電動モータ23は、その本体ケーシングがハウジング22外に露出するように取り付けられている。電動モータ23の出力軸40は、シフトセレクト軸15と、食違い角90°の食違い軸の関係をなして配置されている。軸方向M11,M12(図4参照)と直交する所定の方向(図3に示す左右方向)に沿って延びている。出力軸40は蓋27の貫通孔29を介してハウジング22の内部に臨んでおり、切換ユニット26に対向している。電動モータ23には、当該電磁モータ23の回転角を検出するためのモータ回転角検出手段の一例としてのレゾルバ(モータ回転角検出手段)100が内蔵されている。
【0028】
図4に示すように、ハウジング22は、シフトセレクト軸15における先端(図4に示す下端)側の部分や、シフト変換機構24の各構成部品を主に収容する略箱状の主ハウジング22Aを含んでいる。主ハウジング22Aは、第1側壁111(図4参照)と、第2側壁112(図4参照)と、シフトセレクト軸15の基端寄りを支持するための第1の軸ホルダ113(図4参照)と、シフトセレクト軸15の先端部を収容支持するための第2の軸ホルダ114(図4参照)と備えている。
【0029】
第1側壁111の内側の側面は、平坦面からなる第1内壁面111A(図4参照)である。第2側壁112の内側の側面は、平坦面からなる第2内壁面112A(図4参照)である。第2内壁面112Aは第1内壁面111Aと対向し、第1内壁面111Aと平行に形成されている。
第1の軸ホルダ113は、第1側壁111の外壁面(第1内壁面111Aとは反対側の面)から外方に膨出して形成されており、たとえば円柱状に形成されている。第1の軸ホルダ113は第1側壁111と一体的に形成されている。第1の軸ホルダ113および第1側壁111には、断面円形の挿通孔104が形成されている。挿通孔104は第1の軸ホルダ113および第1側壁111を、それらの厚み方向(図4に示す上下方向)に貫通している。挿通孔104には、シフトセレクト軸15が挿通されている。
【0030】
挿通孔104の内周壁には、第1すべり軸受101(図4参照)が内嵌固定されている。第1すべり軸受101は、挿通孔104に挿通されているシフトセレクト軸15の途中部(先端部よりもやや基端寄り)の外周を取り囲み、シフトセレクト軸15の途中部の外周を摺接支持している。
第2の軸ホルダ114は、第2側壁112の外壁面(第2内壁面112Aとは反対側の面)から外方に膨出して形成されており、たとえば略円筒状に形成されている。第2の軸ホルダ114は第2側壁112と一体的に形成されている。第2の軸ホルダ114の内周面および底面によって、シフトセレクト軸15の先端部(図4に示す下端部)を収容する円柱状の先端部収容溝115(図4参照)が区画されている。先端部収容溝115の内周壁は、円筒状の挿通孔104と同軸の中心軸線を有する円筒状に形成されている。
【0031】
先端部収容溝115の内周壁には、第2すべり軸受102(図4参照)が内嵌固定されている。第2すべり軸受102は、先端部収容溝115に収容されているシフトセレクト軸15の先端部の外周を取り囲んで、当該先端部の外周を摺接支持している。シフトセレクト軸15は、これら第1および第2すべり軸受101,102によって、その中心軸線17まわりに回転可能にかつ軸方向M11,M12移動可能に支持されている。
【0032】
挿通孔104における第1すべり軸受101の外側の部分には、ごみや埃がハウジング22内(主ハウジング22A内)に進入しないように、挿通孔104の内周壁とシフトセレクト軸15の外周との間をシールするためのシール部材103が介装されている。
第1の軸ホルダ113において、厚み方向(図4に示す上下方向)に関しシール部材103と第1すべり軸受101との間には、ロックボール106が配設されている。具体的には、挿通孔104の内周壁と、第1の軸ホルダ113の外周面とを貫通する貫通孔105内にロックボール106が収容されている。ロックボール106は、円筒状の先端部収容溝115の中心軸線(すなわちシフトセレクト軸15の中心軸線17)と直交する方向(直交方向)に延び、略円筒状をなすともに、当該方向(直交方向)に沿って移動可能に設けられている。ロックボール106の先端部は半球状をなしており、次に述べる係合溝107に係合する。
【0033】
シフトセレクト軸15の外周には、軸方向M11,M12に間隔を空けて、周方向に延びる複数本(たとえば3本)の係合溝107が形成されている。各係合溝107は全周にわたって設定されている。ロックボール106がその長手方向に移動することにより、先端部が挿通孔104の内周壁よりも中心軸線17側(図4に示す右方)に突出して、その先端部が係合溝107と係合して、シフトセレクト軸15の軸方向M11,M12移動を阻止する。これにより、シフトセレクト軸15は、軸方向M11,M12への移動が阻止された状態で、一定力で保持される。
【0034】
シフトセレクト軸15の外周における第1すべり軸受101が摺接する部分と第2すべり軸受102が摺接する部分との間には、雄スプライン121(図4参照)と、ピニオン36が噛み合う後述するラック122(図4参照)とが、第1すべり軸受101側からこの順で形成されている。
図3に示すように、切換ユニット26は、電動モータ23の出力軸40と同軸に連結された伝達軸41と、伝達軸41と同軸にかつ、同伴回転可能に設けられた第1ロータ42と、伝達軸41に同軸にかつ、同伴回転可能に設けられた第2ロータ44と、第1ロータ42と第2ロータ44との間で伝達軸41の連結先を切り換えるためのクラッチ機構39とを備えている。
【0035】
伝達軸41は、電動モータ23側に設けられた小径の主軸部46と、主軸部46の第1ロータ42側の軸方向端部(図3に示す右端部)に、主軸部46と一体的に設けられ、主軸部46よりも大径の大径部47とを備えている。
第1ロータ42は、伝達軸41に対し電動モータ23側と反対側に配置されている。第1ロータ42は、電動モータ23側の軸方向端部(図3に示す左端部)の外周から径方向外方に向けて張り出す第1アーマチュアハブ54を備えている。第1アーマチュアハブ54は大径部47の電動モータ23側と反対側の面(図3に示す右面)に対向して配置されている。
【0036】
第2ロータ44は、伝達軸41の大径部47に対し第1ロータ42と反対側、すなわち電動モータ23側に配置されており、伝達軸41の主軸部46の周囲を取り囲んでいる。第2ロータ44は、電動モータ23側と反対側の軸方向端部(図3に示す右端部)の外周から径方向外方に向けて張り出す第2アーマチュアハブ55を備えている。第2アーマチュアハブ55は大径部47の電動モータ23側の面(図3に示す左面)に対向して配置されている。言い換えれば、第1ロータ42(の第1アーマチュアハブ54)および第2ロータ44(の第2アーマチュアハブ55)が、伝達軸41の大径部47を挟むように配置されている。
【0037】
クラッチ機構39は、第1ロータ42と断続して、伝達軸41と第1ロータ42とを連結/解放するシフト側電磁クラッチ(第1電磁クラッチ)43と、第2ロータ44と断続して、伝達軸41と第2ロータ44とを連結/解放するセレクト側電磁クラッチ(第2クラッチ)45とを備えている。
シフト側電磁クラッチ43は、第1フィールド48と第1アーマチュア49とを備えている。第1アーマチュア49は、伝達軸41の大径部47の軸方向他方側の面(図3に示す右面)に第1アーマチュアハブ54の電動モータ23側の面(図3に示す左面)と微小間隔を隔てて配置されており、略円環板状をなしている。第1アーマチュア49は鉄などの強磁性体を用いて形成されている。第1フィールド48は、ヨーク内に第1電磁コイル50を内蔵しており、ハウジング22に固定されている。
【0038】
セレクト側電磁クラッチ45は、第2フィールド51と、第2アーマチュア52とを備えている。第2アーマチュア52は、伝達軸41の大径部47の軸方向一方側の面(図3に示す左面)に第2アーマチュアハブ55の電動モータ23と反対側の面(図3に示す右面)と微小間隔を隔てて配置されており、略円環板状をなしている。第2アーマチュア52は鉄などの強磁性体を用いて形成されている。第2フィールド51はヨーク内に第2電磁コイル53を内蔵しており、ハウジング22に固定されている。第1フィールド48および第2フィールド51は、大径部47、第1アーマチュアハブ54および第2アーマチュアハブ55を挟んで軸方向に沿って並置されている。
【0039】
シフト側およびセレクト側電磁クラッチ43,45を駆動するためのクラッチ駆動回路205(後述する。図5参照)が接続されている。クラッチ駆動回路205には、配線などを介して電源(たとえば24V。図示しない)から電圧供給(給電)されている。クラッチ駆動回路205はリレー回路などを含む構成であり、クラッチ駆動回路205は、シフト側およびセレクト側電磁クラッチ43,45に対し、それぞれ個別に給電および給電停止を切換え可能に設けられている。なお、クラッチ駆動回路205はシフト側およびセレクト側電磁クラッチ43,45の双方を駆動する構成に限られず、シフト側電磁クラッチ43を駆動するためのシフト用クラッチ駆動回路と、セレクト側電磁クラッチ45を駆動するためのセレクト用クラッチ駆動回路とを個別に設けることもできる。
【0040】
クラッチ駆動回路205によるシフト側電磁クラッチ43に対する給電により、第1電磁コイル50に通電されると、その第1電磁コイル50が励磁状態になり、第1電磁コイル50を含む第1フィールド48に電磁吸引力が発生する。そして、第1アーマチュア49が第1フィールド48に吸引されて第1フィールド48に向けて変形し、第1アーマチュア49が第1アーマチュアハブ54と摩擦接触する。したがって、第1電磁コイル50への通電により第1電磁コイル50が第1ロータ42に結合(締結)され、伝達軸41が第1ロータ42に連結される。そして、第1電磁コイル50に対する電圧供給が停止され、第1電磁コイル50に電流が流れなくなることにより、第1アーマチュア49に対する吸引力もなくなり、第1アーマチュア49が元の形状に復帰する。これにより、第1電磁コイル50が第1ロータ42から分離して、伝達軸41が第1ロータ42から解放される。つまり、シフト側電磁クラッチ43に対する給電/給電停止を切り換えることにより、電動モータ23から第1ロータ42への回転トルクの伝達を断続させることができる。
【0041】
一方、クラッチ駆動回路205によるセレクト側電磁クラッチ45に対する給電により、第2電磁コイル53に通電されると、その第2電磁コイル53が励磁状態になり、第2電磁コイル53を含む第2フィールド51に電磁吸引力が発生する。そして、第2アーマチュア52が第2フィールド51に吸引されて第2フィールド51に向けて変形し、第2アーマチュア52が第2アーマチュアハブ55と摩擦接触する。したがって、第2電磁コイル53への通電により、第2電磁コイル53が第2ロータ44に結合(締結)され、伝達軸41が第2ロータ44に連結される。そして、第2電磁コイル53に対する電圧供給が停止され、第2電磁コイル53に電流が流れなくなることにより、第2アーマチュア52に対する吸引力もなくなり、第2アーマチュア52が元の形状に復帰する。これにより、第2電磁コイル53が第2ロータ44から分離して、伝達軸41が第2ロータ44から解放される。つまり、第2電磁コイル53への給電通電/給電停止を切り換えることにより、電動モータ23から第2ロータ44への回転トルクの伝達を断続させることができる。
【0042】
第2ロータ44の外周には、小径の円環状の第1歯車56が外嵌固定されている。第1歯車56は第2ロータ44と同軸に設けられている。第1歯車56は転がり軸受57によって支持されている。転がり軸受57の外輪は、第1歯車56に内嵌固定されている。転がり軸受57の内輪は、伝達軸41の主軸部46の外周に外嵌固定されている。
シフト変換機構24は、回転運動を直線運動に変換する減速機としてのボールねじ機構58と、このボールねじ機構58のナット59の軸方向移動に伴って、シフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに回動するアーム60とを備えている。
【0043】
ボールねじ機構58は、第1ロータ42と同軸(すなわち伝達軸41と同軸)に延びるねじ軸61と、ねじ軸61にボール(図示しない)を介して螺合するナット59とを備えている。ねじ軸61はシフトセレクト軸15と、食違い角が90°の食違い軸の関係をなしている。言い換えれば、ねじ軸61の軸方向およびシフトセレクト軸15の軸方向M11,M12の双方に直交する方向から見て、ねじ軸61およびシフトセレクト軸15は互いに直交している。
【0044】
ねじ軸61は転がり軸受64,67によって軸方向への移動が規制されつつ支持されている。具体的には、ねじ軸61の一端部(図3に示す左端部)は転がり軸受64によって支持されており、また、ねじ軸61の他端部(図3に示す右端部)は転がり軸受67によって支持されている。これらの転がり軸受64,67により、ねじ軸61がその中心軸線80まわりに回転可能に支持されている。
【0045】
転がり軸受64の内輪は、ねじ軸61の一端部に外嵌固定されている。また、転がり軸受64の外輪は、ハウジング22に固定された切換ユニット26ケーシングの底壁65の内外面を貫通する貫通孔に内嵌されている。また、転がり軸受64の外輪にはロックナット66が係合されて、ねじ軸61の軸方向の他方(図3に示す右方)への移動が規制されている。ねじ軸61の一端部における転がり軸受64よりも電動モータ23側(図3に示す左側)の部分は、第1ロータ42の内周に挿通されて、この第1ロータ42に同伴回転可能に連結されている。転がり軸受67の外輪は、ハウジング22に固定されている。
【0046】
ナット59の一側面(図3に示す手前側側面。図4に示す下側側面)、および当該一側面とは反対側の他側面(図3に示す奥側側面。図4に示す上側側面)には、それぞれシフトセレクト軸15の軸方向M11,M12に沿う方向(図3の紙面に直交する方向。図4に示す上下方向)に延びる円柱状の突出軸70(図3では一方のみ図示。図4を並行して参照)が突出形成されている。一対の突出軸70は同軸である。ナット59はアーム60の第1係合部72によって、ねじ軸61まわりの回転が規制されている。したがって、ねじ軸61が回転されると、ねじ軸61の回転に同伴して、ナット59がねじ軸61の軸方向に移動する。なお、図4では、ねじ軸61の軸方向に関し、図3に示すナット59の位置よりも、第1ロータ42に対し離反する方向(図3に示す右方)にナット59が位置するときの断面状態を示している。
【0047】
アーム60は、ナット59に係合するための第1係合部72と、シフトセレクト軸15にスプライン嵌合するための係合部としての第2係合部73(図4参照)と、第1係合部72と第2係合部73とを接続する直線状の接続ロッド74とを備えている。接続ロッド74は、たとえば、その全長にわたって断面矩形状をなしている。第2係合部73は略円筒状をなし、シフトセレクト軸15に外嵌されている。
【0048】
第1係合部72は互いに対向する一対の支持板部76と、一対の支持板部76の基端辺同士(図3に示す下端辺および図4に示す右端辺)を連結する連結板部77とを備え、側面視で略U字状をなしている。各支持板部76には、各突出軸70の外周と、当該突出軸70の回転を許容しつつ係合するU字係合溝78が形成されている。U字係合溝78は前記の基端辺と反対側の先端辺から切り欠かれている。そのため、第1係合部72は、ナット59に、突出軸70まわりに相対回転可能にかつ、ねじ軸61の軸方向に同行移動可能に係合している。また、各U字係合溝78と各突出軸70との係合により、ナット59はアーム60の第1係合部72によってねじ軸61まわりの回転が規制される。したがって、ねじ軸61の回転に伴って、ナット59および第1係合部72がねじ軸61の軸方向に移動する。第2係合部73は、たとえば円環板状をなしている。しかし、第2係合部73が円筒状をなしていてもよい。
【0049】
シフトセレクト軸15の外周と第2係合部73の内周とはスプライン嵌合している。具体的には、第2係合部73の内周に設けられた雌スプライン75に、シフトセレクト軸15の外周に設けられた雄スプライン121が噛み合っている。このとき、雄スプライン121と雌スプライン75との間には噛合いのための隙間が確保されている。
言い換えれば、シフトセレクト軸15の外周には第2係合部73が、当該シフトセレクト軸15に対して相対回転不能にかつ相対軸方向移動が許容された状態で連結されている。したがって、ねじ軸61が回転し、これに伴ってナット59がねじ軸61の軸方向に移動すると、アーム60がシフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに回動し、このアーム60の移動に同伴してシフトセレクト軸15が回転する。
【0050】
セレクト変換機構25は、第1歯車56と、伝達軸41と平行に延び、回転可能に設けられたピニオン軸95と、ピニオン軸95における一端部(図3に示す左端部)寄りの所定位置に同軸に固定された第2歯車81と、ピニオン軸95の他端部(図3に示す右端部)寄りの所定位置に同軸に固定された小径のピニオン36とを備え、全体として減速機を構成している。なお、第2歯車81は、第1歯車56およびピニオン36の双方よりも大径に形成されている。
【0051】
ピニオン軸95の一端部(図3に示す左端部)は、ハウジング22に固定された転がり軸受96によって支持されている。転がり軸受96の内輪は、ピニオン軸95の一端部(図3に示す左端部)に外嵌固定されている。また、転がり軸受96の外輪は、蓋27の内面に形成された円筒状の凹部97内に固定されている。また、ピニオン軸95の他端部(図3に示す右端部)は、転がり軸受84によって支持されている。ピニオン36とラック122とがラックアンドピニオンにより噛み合っているので、伝達軸41の回転に伴ってピニオン軸95が回転すると、これに伴って、シフトセレクト軸15が軸方向M11,M12に移動する。
【0052】
ピニオン軸95の他端部82(図3に示す右端部)に関連して、ピニオン軸95の回転角を検出するためのセレクト側回転角センサ(軸方向移動量検出手段)87が配設されている。ハウジング22の底壁(蓋27とは反対側の壁。図3に示す右壁)には、その内外面を貫通するセンサ用孔85が形成されている。セレクト側回転角センサ87は、センサ部(図示しない)と、センサ部に連結された第1センサ軸99とを備えている。第1センサ軸99の先端部は、センサ用孔85を通ってピニオン軸95の他端部82に同伴回転可能に連結されている。ピニオン軸95が回転すると、そのピニオン軸95に同伴して第1センサ軸99がその軸まわりに回転する。セレクト側回転角センサ87は第1センサ軸99の回転角に基づいて、ピニオン軸95の回転角を検出する。
【0053】
また、ハウジング22内には、シフトセレクト軸15の回転角を検出するためのシフト側回転角センサ(軸回転角検出手段)89が設けられている。シフト側回転角センサ89は、センサ部(図示しない)が内蔵された本体90と、本体90のセンサ部に一体回転可能に連結された第2センサ軸94と、第2センサ軸94に外嵌固定されたセクタ歯車91とを備えている。このセクタ歯車91は、シフトセレクト軸15に同伴回転可能に設けられた(外嵌固定された)センサ用歯車92と噛み合っている。シフトセレクト軸15がその軸まわりに回転すると、そのシフトセレクト軸15に同伴してセンサ用歯車92およびセクタ歯車91が回転し、これに伴って第2センサ軸94がその軸まわりに回転する。シフト側回転角センサ89は、第2センサ軸94の回転角に基づいてシフトセレクト軸15の回転角を検出する。
【0054】
図5は、変速駆動装置3の電気的構成を示すブロック図である。
変速駆動装置3は、たとえば、マイクロコンピュータで構成される制御部(付加回転制御手段、付加軸方向移動制御手段)88を備えている。制御部88は、CPU202と記憶部200とを備えている。記憶部200には、シフト側回転角センサ89の検出出力をモータ上角(シフトセレクト軸15の回転角に対応する電動モータ23の回転角)に換算するための第1モータ上角変換係数が記憶されている。記憶部200にはまた、セレクト側回転角センサ87の検出出力をモータ上角(ピニオン軸95の回転角に対応する電動モータ23の回転角)に換算するための第2モータ上角変換係数が記憶されている。また、記憶部200には、後述する換算後シフト側検出角とレゾルバ100の検出角との間の範囲を規定する第1閾値と、後述する換算後セレクト側検出角とレゾルバ100の検出角との間の範囲を規定する第2閾値とがそれぞれ記憶されている。
【0055】
制御部88には、電動モータドライバ(図示しない)を介して電動モータ23が制御対象として接続されている。また、制御部88には、クラッチ駆動回路205を介して、シフト側電磁クラッチ43およびセレクト側電磁クラッチ45が制御対象として接続されている。さらに、制御部88はクラッチ駆動回路205を介してシフト側およびセレクト側電磁クラッチ43,45を駆動制御する。
【0056】
また、制御部88には、レゾルバ100、セレクト側回転角センサ87およびシフト側回転角センサ89の検出出力がそれぞれ入力されるようになっている。制御部88は、セレクト側回転角センサ87の検出出力に基づいて、シフトセレクト軸15の軸方向位置を求めることができ、また、シフト側回転角センサ89の検出出力に基づいて、シフトセレクト軸15の回転角を求めることができる。
【0057】
また、制御部88は、インターフェイス部201を介して、車両300を制御するための車両制御部301と通信可能に設けられている。
このような制御部88の一例としてECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)を挙げることができる。
図6は、シフト動作制御を示すフローチャートである。図3および図6を参照しつつ、シフト動作制御について説明する。
【0058】
シフト動作時には、シフト側電磁クラッチ43を接続状態にしかつセレクト側電磁クラッチ45を切断状態にしつつ(ステップS1)、電動モータ23を所望の回転方向R11または回転方向R12に所定回転量だけ回転させる(ステップS2)。このシフト動作中における電動モータ23の回転角はレゾルバ100によって検出される。そして、電動モータ23の回転に伴って、第1ロータ42が、電動モータ23の出力軸40と同軸まわりに回転し、これに伴って、ねじ軸61がその軸まわり(中心軸線80まわり)に回転方向R21または回転方向R22に回転する。また、ねじ軸61の回転に伴って、シフト変換機構24のナット59がねじ軸61の軸方向M21または軸方向M22に移動し、ナット59の軸方向移動に伴って、アーム60がシフトセレクト軸15まわりに揺動する。アーム60の第2係合部73がシフトセレクト軸15の外周に、シフトセレクト軸15に対して相対回転不能に連結されているので、アーム60の揺動に伴って、シフトセレクト軸15が第1軸回転方向R1(図1も併せて参照)または第2軸回転方向R2(図1も併せて参照)まわりに回転する。このシフトセレクト軸15の回転に伴って、インターナルレバー16がシフトセレクト軸15まわりに回転し、これにより、インターナルレバー16と連結されているフォーク軸10A,10B,10Cは、軸方向M1,M3,M5(図1参照)または軸方向M2,M4,M6(図1参照)に軸方向移動する。シフト動作中におけるシフトセレクト軸15の回転角はシフト側回転角センサ89によって検出される。
【0059】
電動モータ23が予め定める回転角だけ回転した後、制御部88は、レゾルバ100の検出角を参照する(ステップS3)。また、制御部88はシフト側回転角センサ89の検出角を参照するとともに(ステップS4)、記憶部200に記憶されている第1モータ上角変換係数に基づいて、その検出角をモータ上角(シフトセレクト軸15の回転角に対応する電動モータ23の回転角)に換算する(ステップS5)。そして、制御部88は、その換算後のシフト側回転角センサ89の検出角(以下、単に「換算後シフト側検出角」と言う場合がある。)と、電動モータ23の回転角とを比較し(ステップS6)、換算後シフト側検出角とレゾルバ100の検出角との間の差分値を算出する。また、記憶部200に記憶されている第1閾値を参照する(ステップS7)。
【0060】
換算後シフト側検出角とレゾルバ100の検出角との間に差分値がゼロではなく、かつ当該差分値が記憶部200に記憶されている第1閾値以上である場合(ステップS8でYESかつステップS9でYES)には、シフト側電磁クラッチ43に大きなすべりが発生しているものと考えられる。そのため、制御部88はシフト側電磁クラッチ43の異常と判断し(ステップS10)、インターフェイス部201を通して、車両の車両側制御部88にその旨を示す信号を送信する(ステップS11)。
【0061】
また、換算後シフト側検出角とレゾルバ100の検出角との間の差分値がゼロではないが、当該差分値が記憶部200に記憶されている第1閾値未満である場合(ステップS8でYESかつステップS9でNO)には、電動モータ23を制御して、シフトセレクト軸15を付加シフト動作させる。具体的には、シフト側電磁クラッチ43のすべりによりロスした回転角だけシフトセレクト軸15を付加的に回転させる(ステップS13)。
【0062】
図7は付加シフト動作の内容を説明するための概略図である。図6および図7を参照しつつ以下付加シフト動作について説明する。
たとえば、図7(a)に示すように、シフトセレクト軸15を「α」の回転角だけ回転させるために、電動モータ23を「a」の回転角だけ回転させる必要がある(すなわち、「α」のモータ上角が「a」である)場合を考える。
【0063】
ところが、この場合にシフト側電磁クラッチ43にすべりがあり、図7(b)に示すように実際にはシフトセレクト軸15が「β(<α)」の回転角しか回転せず、シフトセレクト軸15の所期の回転角とシフトセレクト軸15の実際の回転角との間に、「α−β」の差が生じる場合がある。シフトセレクト軸15の回転角「β」に対応するモータ上角が記憶部200に記憶されている第1閾値未満である場合には、付加シフト動作が追加で実行され、「α−β」に相当する回転角(シフト側電磁クラッチ43のすべりによりロスした回転角)だけ、シフトセレクト軸15が付加的に(追加で)回転させられる。このとき、電動モータ23の回転角は、シフト側電磁クラッチ43のすべりを考慮して決定される。すなわち、本来なら「α−β」に対応するモータ上角はa・(α−β)/αであるが、シフト側電磁クラッチ43にすべりが生じている結果、電動モータ23のaの回転角に対してシフトセレクト軸15はβしか回転していないので、この場合、図7(c)に示すように、制御部88は電磁モータ23をa・(α−β)/β(すなわち、a・(α/β−1))の回転角だけ回転させる。
【0064】
ところで、シフト側電磁クラッチ43に生じたすべりが偶発的なものであり、その後そのようなすべりの発生はほとんど考えられない場合には、すべりによりロスしたシフトセレクト軸15の回転を補完する必要はないとも考えられる。
そこで、この実施形態では、換算後シフト側検出角とレゾルバ100の検出角との間の差分値がゼロではないが、当該差分値が記憶部200に記憶されている第1閾値未満である場合(ステップS8でYESかつステップS9でNO)には、このような量のすべりの検出がM回目(たとえば3回目)以上である場合に限り(ステップS12でYES)、電動モータ23を制御して、シフト側電磁クラッチ43のすべりによりロスした回転角だけシフトセレクト軸15を付加的に回転させるようにしている(ステップS13)。そのため、換算後シフト側検出角とレゾルバ100の検出角との間の差分値がゼロではないが、当該差分値が記憶部200に記憶されている第1閾値未満である場合(ステップS8でYESかつステップS9でNO)であっても、すべりの検出がM回目未満(たとえば1回目または2回目)である場合には(ステップS12でNO)、すべりによりロスしたシフトセレクト軸15の回転を補完しない。
【0065】
以上により、電動モータ23の回転角と、シフトセレクト軸15の軸まわりの回転角とに基づいてシフト側電磁クラッチ43のすべりの大きさが算出される。そして、電動モータ23が、シフト側電磁クラッチ43のすべりによりロスした回転角だけシフトセレクト軸15を付加的に回転(付加シフト動作)させるように回転制御される。これにより、シフト側電磁クラッチ43のすべりが発生した場合に、そのすべりによりロスしたシフトセレクト軸15の回転量が補完される。ゆえに、シフト側電磁クラッチ43におけるすべりの発生に関係なく、シフトセレクト軸15の回転による変速操作を常に良好に行うことができる。
【0066】
図8は、セレクト動作制御を示すフローチャートである。図3および図8を参照しつつ、セレクト動作制御について説明する。
セレクト動作時には、セレクト側電磁クラッチ45を接続状態にしかつシフト側電磁クラッチ43を切断状態にしつつ(ステップS21)、電動モータ23を所望の回転方向R11または回転方向R12に所定回転量だけ回転させる(ステップS22)。このシフト動作中における電動モータ23の回転角はレゾルバ100によって検出される。そして、電動モータ23の回転に伴って、第2ロータ44が、電動モータ23の出力軸40と同軸まわりに回転し、これに伴って、ピニオン軸95がその軸まわりに回転方向R31または回転方向R32に回転する。ピニオン軸95の回転に伴って、当該ピニオン軸95とラックピニオン係合しているシフトセレクト軸15が第1軸方向M11または第2軸方向M12に軸方向移動する。セレクト動作中におけるシフトセレクト軸15の軸方向移動量は直接検出されておらず、シフトセレクト軸15と係合するピニオン軸95の回転角に基づいて算出されている。ピニオン軸95の回転角は、セレクト側回転角センサ87によって検出される。
【0067】
電動モータ23が予め定める回転角だけ回転した後、制御部88は、レゾルバ100の検出角を参照する(ステップS23)。また、制御部88はセレクト側回転角センサ87の検出角を参照するとともに(ステップS24)、記憶部200に記憶されている第2モータ上角変換係数に基づいて、その検出角をモータ上角(ピニオン軸95の回転角に対応する電動モータ23の回転角)に換算する(ステップS25)。そして、制御部88は、その換算後のセレクト側回転角センサ87の検出角(以下、単に「換算後セレクト側検出角」と言う場合がある。)と、電動モータ23の回転角とを比較し(ステップS26)、換算後セレクト側検出角とレゾルバ100の検出角との間の差分値を算出する。また、記憶部200に記憶されている第2閾値を参照する(ステップS27)。
【0068】
換算後セレクト側検出角とレゾルバ100の検出角との間に差分値がゼロではなく、かつ当該差分値が記憶部200に記憶されている第2閾値以上である場合(ステップS28でYESかつステップS29でYES)には、セレクト側電磁クラッチ45に大きなすべりが発生しているものと考えられる。そのため、制御部88はセレクト側電磁クラッチ45の異常と判断し(ステップS30)、インターフェイス部201を通して、車両の車両制御部301にその旨を示す信号を送信する(ステップS31)。
【0069】
また、換算後セレクト側検出角とレゾルバ100の検出角との間の差分値がゼロではないが、当該差分値が記憶部200に記憶されている第2閾値未満である場合(ステップS28でYESかつステップS29でNO)には、電動モータ23を制御して、シフトセレクト軸15を付加セレクト動作させる。具体的には、セレクト側電磁クラッチ45のすべりによりロスした軸方向移動量だけシフトセレクト軸15を付加的に軸方向M11,M12移動させる(ステップS33)。
【0070】
図9は付加セレクト動作の内容を説明するための概略図である。図8および図9を参照しつつ以下付加セレクト動作について説明する。
たとえば、図9(a)に示すように、ピニオン軸95を「γ」の回転角だけ回転させるために、電動モータ23を「c」の回転角だけ回転させる必要がある(すなわち、「γ」のモータ上角が「c」である)場合を考える。
【0071】
ところが、この場合にセレクト側電磁クラッチ45にすべりがあり、図9(b)に示すように実際にはシフトセレクト軸15が「σ(<γ)」の回転角しか回転せず、ピニオン軸95の所期の回転角とピニオン軸95の実際の回転角との間に、「γ−σ」の差が生じる場合がある。シフトセレクト軸15の回転角「σ」に対応するモータ上角が記憶部200に記憶されている第2閾値未満である場合には、付加セレクト動作が追加で実行され、「γ−σ」に相当する回転角(セレクト側電磁クラッチ45のすべりによりロスした回転角)だけ、ピニオン軸95が付加的に(追加で)回転させられる。このとき、電動モータ23の回転角は、セレクト側電磁クラッチ45のすべりを考慮して決定される。すなわち、本来なら「γ−σ」に対応するモータ上角はc・(γ−σ)/γであるが、シフト側電磁クラッチ43にすべりが生じている結果、電動モータ23のcの回転角に対してピニオン軸95はσしか回転していないので、この場合、図9(c)に示すように、制御部88は電磁モータ23をc・(γ−σ)/σ(すなわち、c・(γ/σ−1))の回転角だけ回転させる。
【0072】
ところで、セレクト側電磁クラッチ45に生じたすべりが偶発的なものであり、その後そのようなすべりの発生はほとんど考えられない場合には、すべりによりロスしたシフトセレクト軸15の軸方向移動を補完する必要はないとも考えられる。
そこで、この実施形態では、換算後セレクト側検出角とレゾルバ100の検出角との間の差分値がゼロではないが、当該差分値が記憶部200に記憶されている第2閾値未満である場合(ステップS28でYESかつステップS29でNO)には、このような量のすべりの検出がN回目(たとえば3回目)以上である場合に限り(ステップS32でYES)、電動モータ23を制御して、シフト側電磁クラッチのすべりによりロスした軸方向移動量だけシフトセレクト軸15を付加的に軸方向移動させるようにしている(ステップS33)。そのため、換算後セレクト側検出角とレゾルバ100の検出角との間の差分値がゼロではないが、当該差分値が記憶部200に記憶されている閾値未満である場合(ステップS28でYESかつステップS29でNO)であっても、すべりの検出がN回目未満(たとえば1回目または2回目)である場合には(ステップS32でNO)、すべりによりロスしたシフトセレクト軸15の軸方向移動を補完しない。
【0073】
以上により、電動モータ23の回転角と、ピニオン軸95の軸まわりの回転角とに基づいてセレクト側電磁クラッチ45のすべりの大きさが算出される。そして、電動モータ23が、セレクト側電磁クラッチ45のすべりによりロスした移動量だけシフトセレクト軸15を付加的に軸方向移動させるように回転制御される。これにより、セレクト側電磁クラッチ45のすべりが発生した場合に、そのすべりによりロスしたシフトセレクト軸15の軸方向移動量が補完される。ゆえに、セレクト側電磁クラッチ45におけるすべりの発生に関係なく、シフトセレクト軸15の軸方向移動による変速操作を常に良好に行うことができる。
【0074】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の説明では、電磁モータ23の回転角を検出するためのモータ回転角検出手段としてレゾルバ100を例示したが、モータ回転角検出手段としてロータリーエンコーダを採用することもできる。
【0075】
また、前述の説明では、シフト動作が一旦終了した後に付加シフト動作を行う構成(セレクト動作が一旦終了した後に、付加シフト動作を行う構成)を例に挙げて説明したが、シフト動作に連続して付加シフト動作が行われる構成であってもよく、また、セレクト動作に連続して付加セレクト動作が行われる構成であってもよい。
また、前述の説明では、変速駆動装置3が付加シフト動作および付加セレクト動作の双方を行う場合を例に挙げて説明したが、付加シフト動作だけを実行する構成であってもよいし、セレクト動作だけを実行する構成であってもよい。
【0076】
また、本発明を、シフト変速操作およびセレクト変速操作の双方を実行可能な変速駆動機構3に適用する場合を例に挙げたが、シフト変速操作のみを行う変速駆動機構に本発明を適用することもできる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0077】
2…変速装置、3…変速駆動装置、15…シフトセレクト軸(駆動軸)、23…電動モータ、24…シフト変換機構(回転駆動力変換機構)、25…セレクト変換機構(軸方向移動駆動力変換機構)、43…シフト側電磁クラッチ(第1電磁クラッチ)、45…セレクト側電磁クラッチ(第2電磁クラッチ)、87…セレクト側回転角センサ(軸方向移動量検出手段)、88…制御部(付加回転制御手段、付加軸方向移動制御手段)、89…シフト側回転角センサ(軸回転角検出手段)100…レゾルバ(モータ回転角検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機を変速操作するための変速操作部と、
回転駆動力を発生させるための電動モータと、
前記電動モータの回転角を検出するためのモータ回転角検出手段と、
前記電動モータからの回転駆動力を、前記変速操作部を移動させる力に変換する変換機構と、
前記電動モータからの回転駆動力の伝達を、前記変換機構に断続可能な電磁クラッチと、
前記変速操作部の移動量を検出するための移動量検出手段と、
前記モータ回転角検出手段の検出出力と、前記移動量検出手段の検出出力とに基づいて、前記変速操作部を、前記電磁クラッチのすべりによりロスした移動量だけ付加的に移動させるように制御する付加移動制御手段とを含む、変速駆動装置。
【請求項2】
前記付加移動制御手段は、前記モータ回転角検出手段の検出出力と、前記移動量検出手段の検出出力とに基づいて算出される前記電磁クラッチのすべりの大きさが所定の閾値未満である場合に、前記電動モータの制御を実行する、請求項1記載の変速駆動装置。
【請求項3】
前記付加移動制御手段は、前記モータ回転角検出手段の検出出力と、前記移動量検出手段の検出出力とに基づいて、前記閾値未満の大きさの前記すべりが予め定める複数の回数以上あった場合に、前記電動モータの制御を実行する、請求項1または2記載の変速駆動装置。
【請求項4】
前記変速操作部は、変速操作のために軸まわりに回転させられる駆動軸を含み、
前記変換機構は、前記電動モータからの回転駆動力を、前記駆動軸をその軸まわりに回転させるように駆動させる力に変換する回転駆動力変換機構を含み、
前記移動量検出手段は、前記駆動軸のその軸まわりの回転角を検出するための軸回転角検出手段を含み、
前記電磁クラッチは、前記電動モータからの回転駆動力の伝達を、前記回転駆動力変換機構に断続可能な第1電磁クラッチを含み、
前記付加移動制御手段は、前記モータ回転角検出手段の検出出力と、前記軸回転角検出手段の検出出力とに基づいて、前記前記駆動軸を、前記第1電磁クラッチのすべりによりロスした回転角だけ付加的に回転させる付加回転制御手段とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変速駆動装置。
【請求項5】
前記変速操作部は、第2の変速操作のために軸方向に向けて移動させられる駆動軸を含み、
前記変換機構は、前記電動モータからの回転駆動力を、前記駆動軸をその軸方向に向けて移動させる駆動させる力に変換する軸方向移動駆動力変換機構を含み、
前記移動量検出手段は、前記駆動軸のその軸方向の移動量を検出するための軸方向移動量検出手段を含み、
前記電磁クラッチは、前記電動モータからの回転駆動力の伝達を、前記軸方向移動駆動力変換機構に断続可能な第2電磁クラッチを含み、
前記付加移動制御手段は、前記モータ回転角検出手段の検出出力と、前記軸方向移動量検出手段の検出出力とに基づいて、前記前記駆動軸を、前記第2電磁クラッチのすべりによりロスした移動量だけ付加的に軸方向移動させる付加軸方向移動制御手段とを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変速駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−100856(P2013−100856A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244477(P2011−244477)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】