説明

外壁取り付けシャッターの防水構造

【課題】
天候や作業者の技能によって左右されることなく安定した防水性能を確保する。
【解決手段】
シャッターケース1には、上面ケース板6に沿って長尺状の補強板材10が設けられ、補強板材10は、上面ケース板6の垂直片60に外壁側から当接する上側の垂直補強片100と、下側の係止片101と、を備える。シャッターケース1が取り付けられる保持部材9は、係止片101が係止する被係止片91を備え、被係止片91は底片910と、底片910の先端に形成された立ち上がり片911と、からなる。係止片101が底片910の先端側に係止した状態では、垂直補強片100と外壁Wとが離間対向しており、シャッターケース1の取付状態では、係止片101が底片910の基端側に位置し、垂直補強片100と外壁Wの間で薄肉状に弾性変形した乾式シーリング材Sが挟持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁に取り付けられるシャッターの防水構造に係り、典型的な態様では窓シャッターの防水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
窓シャッターは、窓開口部の屋外側に位置して建物の外壁に取り付けることで、窓開口部の屋外側を開閉するシャッターである。窓シャッターのシャッターケースは、シャッターケースの両端部位を、建物の外壁に固定された一対の保持部材に取り付けることで外壁に設けられることから、シャッターケースのケース上面板と外壁とが接する部分に防水を施す必要がある。
【0003】
従来では、シャッターケースの上面ケース板の基端側(外壁に近い側)と外壁との間に湿式のシーリング材を現場で充填することで防水構造を提供している。より具体的には、図10に示すように、上面ケース板の基端側と外壁との間に当該上面ケース板の長さ方向に延びる受け部を形成し、受け部に現場で湿式のシーリング材を充填するようになっている。特許文献1にも類似の防水構造が開示されている。
【0004】
しかしながら、現場でのシーリングは天候や作業者の技能によって左右されるため、安定した品質を確保することが難しいという課題がある。
【0005】
また、建物の外壁が工場で製作されるパネルから形成される場合には、窓シャッター装置を工場でパネルに先付けできれば、現場施工の効率化を図ることができる。しかしながら、従来の現場で用いるシーリング材は湿式であり硬化するまで時間を要することから、これを工場で施工するとなれば、むしろ生産性が悪くなってしまう。
【特許文献1】特開2010−101089
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、天候や作業者の技能によって左右されることなく安定した防水性能を確保できる外壁取り付けシャッターの防水構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術手段は、
シャッターケースは、シャッターケースの両端部位を、建物の外壁に固定された一対の保持部材を介して外壁に取り付けられており、
前記シャッターケースの上面ケース板の外壁側の端部には垂直片が形成されており、
前記シャッターケースには、上面ケース板の長さ方向に沿って延びる長尺状の補強板材が設けてあり、当該補強板材は、前記上面ケース板の垂直片に外壁側から重なるように当接する上側の垂直補強片と、下側の係止片と、を備え、
前記保持部材は、前記係止片が係止する被係止片を備えており、当該被係止片は外壁から離間する方向に延出する底片と、当該底片の先端に形成された立ち上がり片と、からなり、前記底片は、前記係止片が前記被係止片の底片の先端側に係止した状態では、前記垂直補強片と前記外壁とが、弾性変形前の乾式シーリング材の断面寸法(例えば、断面が円形であれば直径)よりも大きい距離だけ離間対向するような寸法を備えており、
前記シャッターケースが前記外壁に取り付けられた状態において、前記係止片が前記被係止片の底片の基端側に位置し、前記垂直補強片と前記外壁との間には薄肉状に弾性変形した乾式シーリング材が挟持されている、外壁取り付けシャッターの防水構造、である。
【0008】
1つの態様では、前記薄肉状に弾性変形した乾式シーリング材は、
前記係止片が前記被係止片の底片の先端側に係止した状態で前記垂直補強片と前記外壁の少なくとも一方に位置決め接着されている乾式シーリング材を、前記係止片を前記底片にガイドさせながら前記シャッターケースを外壁に向かって移動させることで前記垂直補強片と前記外壁との間で押し潰すようにして弾性変形させてなる。
【0009】
1つの態様では、前記上面ケース板の垂直片、前記補強板材の上側垂直補強片、前記薄肉状に弾性変形した乾式シーリング材は、前記外壁に対して螺子で固定されている。
【0010】
1つの態様では、前記上面ケース板の前記垂直片の上端には、当該垂直片の上端に連結された下片と、前記垂直補強片の上側を覆うカバー片と、を備えた化粧片が設けてあり、前記下片には排水孔が形成されている。1つの態様では、前記化粧片は、下片、正面片、上片とから断面視略コ字状に形成されている。
【0011】
1つの態様では、前記建物の外壁は、パネルから構成されており、前記シャッターケースは、前記外壁を建物躯体に取り付ける前に当該外壁に先付けされている。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、シーリング材として乾式シーリング材を用い、当該乾式シーリング材を補強板材の垂直補強片を用いて薄肉状に弾性変形させて防水構造を形成することで、品質の安定した防水構造を提供することができる。
乾式シーリング材を用いることで、シーリング材の硬化時間を無くすことができ、建物の外壁がパネルから構成されるような場合に、外壁を建物躯体に取り付ける前に工場でシャッターケースを外壁に取り付けることが可能となる。
補強板材の係止片が保持部材の被係止片の底片の先端側に係止した状態では、垂直補強片と外壁とが、弾性変形前の乾式シーリング材の断面寸法よりも大きい距離だけ離間対向するので、前記垂直補強片と前記外壁の少なくとも一方に乾式シーリング材を位置決め接着し、前記係止片を前記底片にガイドさせながらシャッターケースを外壁に向かって移動させることで、前記垂直補強片と前記外壁との間で乾式シーリング材を安定的に押し潰して弾性変形させることができ、もって品質の安定した防水構造を提供することができる。
また、補強板材は、1つの部材でありながら、上面ケース板の垂直片を補強しつつ乾式シーリング材を押圧する機能(垂直補強片)と、保持部材の被係止片に係止されかつガイドされる機能(係止片)の2つの機能を備えている。
【0013】
薄肉状に弾性変形した乾式シーリング材が上方にはみ出した場合であっても、化粧片によって隠蔽されると共に、化粧片のカバー片と外壁との隙間から浸入した雨水は化粧片の下片に形成した排水孔から上面ケース板上に排出されるので、化粧片の内部に雨水が溜まることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】外壁に取り付けられた窓シャッターの側面図である。
【図2】図1におけるA部分の拡大図である。
【図3】シャッターケース(サイドカバーを除く)、保持部材、補強板材のみを示す側面図である。
【図4】シャッターケースの正面図である。
【図5】図3における矢視に沿う内観図である。
【図6】外壁に乾式シーリング材を接着保持させた態様を示す図である。
【図7】窓シャッターのシャッターケースの取り付け及び防水構造の形成を説明する図である(乾式シーリング材をシャッターケースに設けた場合)。
【図8】窓シャッターのシャッターケースの取り付け及び防水構造の形成を説明する図である(乾式シーリング材を外壁に設けた場合)。
【図9】本実施形態の防水構造における雨水の排水を説明する図である。
【図10】従来の窓シャッターの防水構造の形成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、建物の外壁Wには、窓開口部の屋外側部位を開閉するように窓シャッター装置が取り付けられる。窓シャッター装置は、窓開口部の上方に位置して外壁Wに取り付けられるシャッターケース1と、シャッターケース1内にシャッターケース1の長さ方向に沿って設けられた巻取シャフト2と、上端を巻取シャフト2に連結してなるシャッターカーテン3と、窓開口部の左右に位置して外壁Wに取り付けられる左右のガイドレール4(ガイドレール下地材40を介して取り付けられる)と、を備えている。シャッターカーテン3が巻取シャフト2に巻装された収納姿勢となることで窓開口部が開放され、シャッターカーテン3が巻取シャフト2から垂下して垂直姿勢となることで窓開口部が閉鎖される。建物の外壁Wは複数のパネルPを建物躯体に張設することで形成されている。
【0016】
図1、図3、図4に示すように、開口幅方向に延びるシャッターケース1は、シャッターケース1の幅方向の左右の側面を形成する左右のブラケット5と、上面ケース板6と、正面ケース板7と、下面ケース板8と、を備えている。左右のブラケット5間にはシャッターカーテン3を巻き取り・繰り出すための巻取シャフト2が支持されている。左右のブラケット5間には複数本の横材11が架け渡してあり、薄板からなるケース板6、7、8を補強している。下面ケース板8は、シャッターカーテン3が通過するための開口80を形成するような寸法・形状となっている。シャッターケース1の幅方向の左右の側面には左右のブラケット5を覆うようにサイドカバー12が取り付けられている。
【0017】
ブラケット5は、外壁Wと略平行する基端部50と、外壁Wに対して持ち出し状に略垂直に延びる面部51と、を備えると共に、さらに、基端側に位置して、上側の水平片52、下側の水平片53を備えている。上側の水平片52、下側の水平片53は、基端部50から持ち出し状に形成しても、あるいは、面部51の基端側から持ち出し状に形成してもよい。
【0018】
建物の外壁Wには、シャッターケース1を保持するための保持部材9が設けてある。保持部材9は、ガイドレール下地材40の上方で、シャッターケース1の左右両端部、すなわち、左右のブラケット5に対応する位置に螺子13等を用いて固定されている。
【0019】
保持部材9は、縦長方形状の板材からなる面部90と、面部90の上端側、下端側にそれぞれ形成した上下の被係止片91、92と、からなる。上側の被係止片91は、外壁Wから離間する方向に水平に延出する底片910と、底片910の先端に形成された立ち上がり片911と、からなる。下側の被係止片92は、水平状に延びる片である。
【0020】
上面ケース板6は基端側(外壁Wに近い側)から先端側に向かって緩やかな下向き傾斜状に延びる傾斜面となっており、上面ケース板6の傾斜面の基端(外壁W側の端部)には垂直片60が立ち上がり状に形成されている。図2に示すように、垂直片60の上端には、水平状の下片610、垂直状の正面片611、水平状の上片612とから断面視略コ字状に形成された化粧片61が設けてあり、下片610には排水孔613が形成されている。
【0021】
シャッターケース1には、上面ケース板60の基端側に位置して、上面ケース板60の長さ方向に沿って延びる長尺状の補強板材10が設けてある。補強板材10は、上面ケース板6の垂直片60に外壁側から重なるように当接する上側の垂直状の垂直補強片100と、保持部材9の底片910上に係止する下側の垂直状の係止片101と、を備えている。
【0022】
図示の態様では、上側の垂直補強片100と下側の係止片101は側面視コ字形状の中間片102によって一体的に連結されている。側面視コ字形状の中間片102を設けたことで、上面ケース板6の垂直片60に垂直補強片100を当接させる時の位置決めを容易に行うことができる。補強板材10は、上面ケース板6の板材より強度が大きく、典型的には上面ケース板6より肉厚が大きい板材から形成されている。補強板材10は、水平方向に延びる長尺材ではあるが、自重では撓まないような強度を備えている。
【0023】
補強板材10はブラケット5に設けてある。より具体的には、補強板材10の長さ方向のそれぞれの端部において、側面視コ字形状の中間片102の上片の長さ方向端部をブラケット5の上側の水平片52上に支持させると共に、下側の係止片101の長さ方向端部をリベット14によってブラケット5の基端部50に固定してなる。図示の態様では、補強板材10はブラケット5に設けてあるが、シャッターケース1の他の部分に設けてもよい。
【0024】
図2に示すように、シャッターケース1が外壁Wに取り付けられた状態では、ブラケット5に固定された補強板材10の係止片101が保持部材9の上側の被係止片91の底片910の基端側に位置し、ブラケット5の下側の水平片53が保持部材9の下側の被係止片92上に支持され螺子15で固定されている。補強板材10の垂直補強片100と外壁Wとの間には薄肉状に弾性変形した乾式シーリング材Sが挟持されており、上面ケース板6の垂直片60、補強板材10の垂直補強片100、薄肉状に弾性変形した乾式シーリング材Sは、外壁Wに対して螺子16で一体的に固定されている。このように、乾式シーリング材Sが上面ケース板6の外壁W側の部位(垂直片60に当接した垂直補強片100)と外壁Wとの間を塞いで防水構造を提供している。薄肉状に潰れるように弾性変形することで上方にはみ出した乾式シーリング材Sの上方部分は、化粧片61によって隠蔽されるので、意匠上も良好である。
【0025】
弾性変形前の乾式シーリング材S´は、断面視略円形状の長尺材であり、表面に粘着性を備えている。乾式シーリング材S´は、典型的にはゴム材料からなり、1つの好ましい形態では、表面に粘着性を備えたブチルゴムから形成される。乾式シーリング材S´としては様々な種類のものが当業者に知られており、薄肉状に弾性変形してシーリング機能を発揮できるものであれば、乾式シーリング材S´の材料は限定されないことが当業者に理解される。
【0026】
弾性変形前の乾式シーリング材S´は、組み立てられたシャッターケース1に固定した補強板材10の所定部位に位置決めして予め接着させておくことができる。あるいは、弾性変形前の乾式シーリング材S´は、外壁Wの所定部位に位置決めして予め接着させておくことができる。図6は、弾性変形前の乾式シーリング材S´を、外壁Wの所定部位に位置決めして予め接着させた状態を示している。図中、乾式シーリング材S´´は、外壁Wが複数枚のパネルを張設して形成される場合に、パネル間の竪目地をシールするためのものである。
【0027】
保持部材9の上側の被係止片91の底片910の寸法、すなわち外壁Wからの突出寸法は、補強板材10の係止片101が被係止片91の底片910の先端側に係止した状態で、垂直補強片100と外壁Wとが離間対向するような寸法となっており、より詳しくは、垂直補強片100と外壁Wとの少なくとも一方に接着される乾式シーリング材S´の直径よりも大きい距離だけ離間対向するような寸法となっている。
【0028】
したがって、補強板材10の係止片101が被係止片91の底片910の先端側に係止し、垂直補強片100と外壁Wの少なくともいずれか一方に乾式シーリング材S´が位置決め接着されている状態で、シャッターカーテン1の開口幅方向の位置を調整することができる。そして、補強板材10の係止片101を底片910にガイドさせながらシャッターケース1を外壁Wに向かって移動させることで、乾式シーリング材S´を垂直補強片100と外壁Wとの間で押し潰すようにして弾性変形させて薄肉状に弾性変形した乾式シーリング材Sを得ることができる。
【0029】
本実施形態の防水構造の形成について、図7に基づいて説明する。組み立てられたシャッターケース1において、ブラケット5に固定された補強板材10の垂直補強片100の所定部位には断面視円形状の乾式シーリング材S´が表面の粘着性を用いて位置決め接着されている。シャッターケース1は、補強板材10の係止片101を上側の被係止片91の底片910の先端側に係止させ、ブラケット5の下方側に形成した水平片53を下側の被係止片92に載せることで仮保持状態とすることができる。シャッターケース1が仮保持状態にある時には、係止片101が被係止片91の底片910の先端側に位置しており、垂直補強片100と外壁Wとが離間対向していると共に、垂直補強片100側の対向面に乾式シーリング材S´が接着され、乾式シーリング材S´と外壁Wの対向面とは離間対向している。
【0030】
仮保持状態にあるシャッターケース1を、開口幅方向に調整して位置決めを行う。この時、補強板材10に接着した乾式シーリング材S´と外壁Wとは離間しているので、乾式シーリング材S´が左右方向の位置調整の妨げとなることはない。
【0031】
次いで、係止片101を水平状の底片910上で外壁W側にガイドさせるようにして、シャッターケース1を外壁Wに向かって移動させることで、垂直補強片100の所定部位に接着されて保持された乾式シーリング材S´が垂直補強片100と外壁Wの間で挟まれ、垂直補強片100と外壁Wとの間で押し潰されることで、薄肉状に弾性変形される。
【0032】
図8の態様では、断面視円形状の乾式シーリング材S´が表面の粘着性を用いて外壁Wの所定部位に位置決め接着されている。シャッターケース1は、補強板材10の係止片101を上側の被係止片91の底片910の先端側に係止させ、ブラケット5の下方側に形成した水平片53を下側の被係止片92に載せることで仮保持状態とすることができる。仮保持状態にあるシャッターケース1を、左右方向に調整して位置決めを行う。この時、外壁Wに接着した乾式シーリング材S´と垂直補強片100とは離間しているので、乾式シーリング材S´が左右方向の位置調整の妨げとなることはない。
【0033】
次いで、係止片101を水平状の底片910上で外壁W側にガイドさせるようにして、シャッターケース1を外壁Wに向かって移動させることで、外壁Wの所定部位に接着されて保持された乾式シーリング材S´が垂直補強片100と外壁Wの間で挟まれ、垂直補強片100と外壁Wとの間で押し潰されることで、薄肉状に弾性変形される。
【0034】
図7、図8では垂直補強片100と外壁Wのいずれか一方に接着保持した乾式シーリング材S´を示したが、垂直補強片100と外壁Wの両方に乾式シーリング材S´を接着保持させてもよい。例えば、乾式シーリング材S´を互いに異なる高さ位置で垂直補強片100と外壁Wに接着保持させて、これらを同時に押し潰すようにしてもよい。
【0035】
図7、図8では現場でシャッターケース1を外壁Wに取り付ける場合について示したが、工場において、外壁を形成するパネルにシャッターケース1を先付けしてもよい。1つの態様では、水平状に設けたパネル(1つの態様では、パネルに乾式シーリング材が接着保持される)にシャッターケースを取り付けるが、その場合であっても、補強板材の係止片を上側の被係止片の底片の先端側に係止させた状態で保持し(例えば、作業者が保持する)、シャッターケースを、左右方向に調整して位置決めを行う。この時、外壁に接着した乾式シーリング材と垂直補強片とは離間しているので、乾式シーリング材が左右方向の位置調整の妨げとなることはない。次いで、係止片を底片(本態様では、垂直状に延びている)上で外壁側にガイドさせるようにして、シャッターケースを外壁Wに向かって下方に移動させることで、外壁の所定部位に接着されて保持された乾式シーリング材が垂直補強片と外壁の間で挟まれ、垂直補強片と外壁との間で押し潰されることで、薄肉状に弾性変形される。
【0036】
このようにシャッターケースの外壁への取付時における、シャッターケース、外壁の空間的配向(例えば、垂直方向、水平方向)、シャッターケースを移動させて乾式シーリング材を押し潰す方向(水平方向、垂直方向)にかかわらず、保持部材の被係止片の底片がガイドとして機能する。
【0037】
図9は、本実施形態の防水構造における雨水の排水を説明する図である。既述の通り、垂直片60の上端には、水平状の下片610、垂直状の正面片611、水平状の上片612とから断面視略コ字状に形成された化粧片61が設けてあり、下片610には排水孔613が形成されている。化粧片61の上片612と外壁Wとの隙間から雨水が浸入し得るが、浸入した雨水は化粧片61の下片610に形成した排水孔613から傾斜状の上面ケース板6上に排出されるので、化粧片61の内部に雨水が溜まることが防止される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、窓シャッターの防水構造に用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 シャッターケース
6 上面ケース板
60 垂直片
9 保持部材
91 上側の被係止片
910 底片
10 補強板材
100 垂直補強片
101 係止片
S 薄肉状に弾性変形した乾式シーリング材
S´ 弾性変形する前(仮保持状態における)の乾式シーリング材
W 外壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターケースは、シャッターケースの両端部位を、建物の外壁に固定された一対の保持部材を介して外壁に取り付けられており、
前記シャッターケースの上面ケース板の外壁側の端部には垂直片が形成されており、
前記シャッターケースには、上面ケース板の長さ方向に沿って延びる長尺状の補強板材が設けてあり、当該補強板材は、前記上面ケース板の垂直片に外壁側から重なるように当接する上側の垂直補強片と、下側の係止片と、を備え、
前記保持部材は、前記係止片が係止する被係止片を備えており、当該被係止片は外壁から離間する方向に延出する底片と、当該底片の先端に形成された立ち上がり片と、からなり、前記底片は、前記係止片が前記被係止片の底片の先端側に係止した状態では、前記垂直補強片と前記外壁とが、弾性変形前の乾式シーリング材の断面寸法よりも大きい距離だけ離間対向するような寸法を備えており、
前記シャッターケースが前記外壁に取り付けられた状態において、前記係止片が前記被係止片の底片の基端側に位置し、前記垂直補強片と前記外壁との間には薄肉状に弾性変形した乾式シーリング材が挟持されている、外壁取り付けシャッターの防水構造。
【請求項2】
前記薄肉状に弾性変形した乾式シーリング材は、
前記係止片が前記被係止片の底片の先端側に係止した状態で前記垂直補強片と前記外壁の少なくとも一方に位置決め接着されている乾式シーリング材を、前記係止片を前記底片にガイドさせながら前記シャッターケースを外壁に向かって移動させることで前記垂直補強片と前記外壁との間で押し潰すようにして弾性変形させてなる、請求項1に記載の外壁取り付けシャッターの防水構造。
【請求項3】
前記上面ケース板の垂直片、前記補強板材の垂直補強片、前記薄肉状に弾性変形した乾式シーリング材は、前記外壁に対して螺子で一体的に固定されている、請求項1、2いずれかに記載の外壁取り付けシャッターの防水構造。
【請求項4】
前記上面ケース板の前記垂直片の上端には、当該垂直片の上端に連結された下片と、前記垂直補強片の上側を覆うカバー片と、を備えた化粧片が設けてあり、前記下片には排水孔が形成されている、請求項1〜3いずれかに記載の外壁取り付けシャッターの防水構造。
【請求項5】
前記建物の外壁は、パネルから構成されており、前記シャッターケースは、前記外壁を建物躯体に取り付ける前に当該外壁に先付けされている、請求項1〜4いずれかに記載の外壁取り付けシャッターの防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−87456(P2012−87456A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232154(P2010−232154)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)