説明

外壁固定金具および外壁固定構造

【課題】外壁を構成する外壁フレームの中間部を建物躯体に確実に固定できる外壁固定金具および外壁固定構造を提供する。
【解決手段】外壁固定金具20を第1固定部21と第2固定部22とで構成し、建物躯体1の上階の床6の端部に外壁固定金具20の第1固定部21が固定され、前記外壁固定金具20の第2固定部22,32に外壁フレーム11の中間部が固定されることによって、当該外壁フレーム11の中間部が前記外壁固定金具20を介して前記床6の端部に固定されているので、外壁フレーム11の中間部を建物躯体1に確実に固定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物躯体の上階の床の端部に、外壁を固定するための外壁固定金具および外壁固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄骨建屋に外壁を取り付ける方法の一例として、特許文献1に記載の技術が知られている。これは、上下方向ヘ延びるよう水平方向へ所要間隔をあけて配設される縦胴縁間に、水平方向ヘ延びる横胴縁を掛け渡すように上下方向へ所要間隔をあけて取り付けることによって、外壁フレームを形成し、該外壁フレームに外壁パネルを貼り付けることにより、予め外壁パネルブロックを形成しておき、該外壁パネルブロックを鉄骨建屋の外面を覆うように取り付けて行くようにしたものである。
外壁パネルブロックを鉄骨建屋に取り付ける場合、前記特許文献1には記載されていないが、例えば、外壁フレームを鉄骨建屋の大梁に溶接によって固定したり、ボルト、ナットによって固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−254458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外壁を建物躯体から外側に所定間隔だけ離間して設けることによって、建物内の容積を大きくする、つまり居住空間を広くすることができるが、その場合、外壁を構成する上下に長尺な外壁フレームの上下端部を建物躯体に固定するとともに、撓み易い外壁フレームの中間部を建物躯体に固定して、外壁フレームに作用する外力に抗するようにする必要がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、外壁を構成する外壁フレームの中間部を建物躯体に確実に固定できる外壁固定金具および外壁固定構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図6に示すように、建物躯体1の上階の床6の端部に、鉛直にまたは前記床に対して傾斜して設けられる外壁10,30を固定するための外壁固定金具20であって、
前記床6の端部に固定される第1固定部21と、この第1固定部21の側部に設けられて、前記外壁10,30を構成する上下に長尺な外壁フレーム11の中間部が固定される第2固定部22,32とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、建物躯体1の上階の床6の端部に外壁固定金具20の第1固定部21を固定し、前記外壁固定金具20の第2固定部22,32に外壁10,30を構成する外壁フレーム11の中間部を固定することによって、当該外壁フレーム11の中間部を外壁固定金具20を介して床6の端部に固定できるので、外壁フレーム11の中間部を建物躯体1に確実に固定できる。したがって、外壁フレーム11の中間部に作用する外力を建物躯体1によって受けて、当該外力に抗することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1〜図6に示すように、建物躯体1の上階の床6の端部に、鉛直にまたは前記床6に対して傾斜して設けられる外壁10,30を請求項1に記載の外壁固定金具20によって固定する外壁固定構造であって、
前記床6の端部に前記外壁固定金具20の第1固定部21が固定され、前記外壁固定金具20の第2固定部22,32に前記外壁10,30を構成する上下に長尺な外壁フレーム11の中間部が固定されることによって、当該外壁フレーム11の中間部が前記外壁固定金具20を介して前記床6の端部に固定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、建物躯体1の上階の床6の端部に外壁固定金具20の第1固定部21が固定され、前記外壁固定金具20の第2固定部22,32に外壁フレーム11の中間部が固定されることによって、当該外壁フレーム11の中間部が前記外壁固定金具20を介して前記床6の端部に固定されているので、外壁フレーム11の中間部を建物躯体1に確実に固定できる。したがって、外壁フレーム11の中間部に作用する外力を建物躯体1によって受けて、当該外力に抗することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の外壁固定構造において、
前記床6の端部の上面に前記第1固定部21の下面が固定され、
前記第2固定部22,32の前記第1固定部と反対側を向く側面22d,32dに、前記外壁フレーム11の中間部の側面が固定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、床6の端部の上面に第1固定部21の下面が固定されているので、第1固定部21を床6の端部に安定的かつ強固に固定できる。また、第2固定部22,32の第1固定部21と反対側を向く側面22d,32dに、外壁フレーム11の中間部の側面が固定されているので、外壁フレーム11の中間部を安定的かつ強固に固定できる。したがって、外壁フレーム11の中間部を建物躯体1に安定的かつ強硬に固定できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の外壁固定構造において、
前記第2固定部22,32の下端部が前記第1固定部21より下方に突出しており、
この下方に突出している第2固定部21の下端部が前記床6の端面に当接していることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、第1固定部21より下方に突出している第2固定部22,32の下端部が床6の端面に当接しているので、床6の端部の上面における外壁固定金具20の位置決めを行うことができる。また、外壁フレーム11にこれを外側から押圧するように作用する外力を第2固定部22,32を介して床6に確実に伝達して、当該床6によって受けることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜3のいずれか一項に記載の外壁固定構造において、
前記外壁フレーム11が上部フレーム11a、下部フレーム11b、これら上部フレーム11aと下部フレーム11bとを接合する接合金物13を備えており、
前記第2固定部22,32に前記接合金物13が固定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、上部フレーム11aと下部フレーム11bとを接合する接合金物13が第2固定部22,32に固定されているので、上部フレーム11aと下部フレーム11bとの接合部を補強できる。
また、接合金物13を第2固定部22,32に固定した後、当該接合金物13によって上部フレーム11aと下部フレーム11bとを接合できるので、上下に長尺な外壁フレーム11を容易に建物躯体1に固定できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、外壁固定金具が床の端部に固定される第1固定部と、この第1固定部の側部に設けられて、外壁フレームの中間部が固定される第2固定部とを備えた構成となっており、建物躯体の上階の床の端部に外壁固定金具の第1固定部が固定され、前記外壁固定金具の第2固定部に外壁フレームの中間部が固定されることによって、当該外壁フレームの中間部が前記外壁固定金具を介して前記床の端部に固定されているので、外壁フレームの中間部を建物躯体に確実に固定できる。したがって、外壁フレームの中間部に作用する外力を建物躯体によって受けて、当該外力に抗することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る外壁固定構造の一例を示すもので、外壁固定構造を有する建物躯体の正面図である。
【図2】同、建物躯体の側面図である。
【図3】同、外壁固定構造の要部を示す正面図である。
【図4】同、外壁固定金具を示すもので、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)は側面図である。
【図5】本発明に係る外壁固定構造の他の例を示すもので、外壁固定構造を有する建物躯体の正面図である。
【図6】同、外壁固定構造の要部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係る外壁固定構造を有する建物躯体の正面図、図2は同側面図である。
図1および図2に示すように、この建物躯体1は2階建て構造になっており、基礎2の上面に土台3が設けられており、この土台3に複数の門形フレーム4が図1において紙面と直交する方向(図2において左右方向)に平行離間して設置されている。
この門形フレーム4は左右一対の柱部材4a,4aとこの柱部材4a,4a間に架設された梁部材4bとによって構成されている。隣り合う門形フレーム4,4どうしは小壁5および2階の床6によって連結されている。
2階には、1階と同様に、床6に複数の門形フレーム4が図1において紙面と直交する方向に平行離間して、かつ1階の門形フレーム4の直上に配置されている。隣り合う門形フレーム4,4どうしは小壁5および2階の天井床8によって連結されている。
なお、2階の床6および天井床8は、それぞれ複数の床パネルを接合することによって構成されている。床パネルは矩形枠の上面に合板等からなる面材を取り付けたものであり、矩形枠内には必要に応じて補強桟材が取り付けられている。
また、2階の天井床8の上方には、屋根9が設けられている。屋根9は2階の天井床8に立設された屋根束9aによって支持されている。
【0019】
前記門形フレーム4を構成する柱部材4aは、縦長の木質の壁パネルによって構成されているが、これに限らず、角材や鉄骨によって構成してもよい。梁部材4bは、横長の壁パネルによって構成されているが、これに限らず、角材や鉄骨によって構成してもよい。
なお、壁パネルは、矩形枠の表裏両面に合板等からなる面材を取り付けてなるものであり、矩形枠内には必要に応じて補強桟材が取り付けられている。
【0020】
前記建物躯体1の2階の床6の端部は、門形フレーム4より外側に突出している。
一方、建物躯体1の側部には、外壁10が床6に対して傾斜して配置されている。この外壁10は、上下に長尺な複数の外壁フレーム11と、矩形状の複数の壁パネル12と、外壁フレーム11および壁パネル12に取り付けられた外壁仕上材としての外壁材12aとを備えている。
外壁フレーム11は門形フレーム4の配置方向(図2において左右方向)に所定間隔で複数配置されており、例えば門形フレーム4と同数を、当該門形フレーム4の配置位置に対応させて配置されている。
壁パネル12は、矩形枠の表裏両面に合板等からなる面材を取り付けてなるものであり、矩形枠の内部には必要に応じて補強桟材が取り付けられている。また、壁パネル12は左右に隣り合う外壁フレーム11,11間に配置され、これら外壁フレーム11,11に固定されている。また、外壁フレーム11の表面と壁パネル12の表面とは面一となっている。
外壁材12aは矩形板状に形成されており、隣り合う外壁フレーム11,11間において壁パネル12の表面に配置されたうえで、当該壁パネル12に固定され、さらに、外壁材12aの側端部は外壁フレーム11に固定されている。
また、隣り合う外壁材12a,12aの側端部は外壁フレーム11上で目地部によって接合され、接合された側端部が当該外壁フレーム11に固定されている。
また、外壁材12aの上端部は前記屋根9に接合され、下端部は外壁フレーム11の下端部まで延出されている。
【0021】
前記外壁フレーム11は、上部フレーム11aと、下部フレーム11bと、これら上部フレーム11aと下部フレーム11bとを接合する接合金物13とを備えている。
上部フレーム11aは断面四角形状の角材によって形成されており、その上端部は2階の天井床8に固定されている。
下部フレーム11bは、上部フレーム11aと断面形状が等しい角材によって形成されており、その下端部には固定金具14が取り付けられている。一方、基礎2には取付金具15が固定されており、この取付金具15に固定金具14を取り付けることによって、下部フレーム11bの下端部が基礎2に固定されている。
【0022】
接合金物13は、図3に示すように、コ字形に形成されており、この接合金物13の一片部13aに上部フレーム11aの下端面が当接されたうえで、当該下端面に木ねじ16が一片部13aを通してねじ込まれることによって、上部フレーム11aの下端部が接合金物13に固定されている。また、接合金物13の他片部13bに下部フレーム11bの上端面が当接されたうえで、当該上端面に木ねじ16が他片部13bを通してねじ込まれることによって、下部フレーム11bの上端部が接合金物13に固定されている。
このようにして、上部フレーム11aと下部フレーム11bとは接合金物13によって接合されている。
【0023】
また、前記外壁フレーム11の中間部は、外壁固定金具20によって、2階の床6の端部に固定されている。
外壁固定金具20は、図3および図4に示すように、第1固定部21と第2固定部22とを備えている。
第1固定部21は、2階の床6の端部に固定されるものであり、H形鋼で形成された本体部21aと、この本体部21aの上部に固定された上板部21bと、本体部21aの下部に固定された下板部21cとから構成されており、下板部21cには4つの孔21dが形成されている。
第2固定部22は、第1固定部21の側部に設けられたものであり、正面視台形状に形成された本体部22aと、この本体部22aの上部と下部に固定された補強板部22b,22cとを備えている。また、本体部22aの第1固定部21と反対側を向く側面22dは水平な底面に対して傾斜しており、この傾斜している側面22dを形成する壁部には2つの孔22e,22eが形成されている。さらに、第2固定部22の下端部は第1固定部21より下方に突出している。なお、前記補強板部22cには孔22fが形成されている。
【0024】
上記のように構成された外壁固定金具20は、図3に示すように、前記床6の端部に第1固定部21が固定されている。すなわち、床6の端部の上面には第1固定部21の下板部21cが当接されており、この下板部21cに形成されている孔21dに木ねじ24を挿通し、床6の端部にねじ込むことによって、床6の端部に第1固定部21が固定されている。
また、第1固定部21より下方に突出している第2固定部22の下端部の第1固定部21側を向く側面は、床6の端面6aに当接している。これによって、床6の端部の上面における外壁固定金具20の位置決めを行うことができる。
【0025】
また、外壁固定金具20の第2固定部22の側面22dには、前記外壁フレーム11の中間部にある接合金物13が固定されている。
すなわちまず、前記側面22dには、接合金物13の側壁部13cが当接されている。そして、前記側面22dを形成する壁部に形成された孔22eからボルト25を、前記側壁部13cに形成されている孔に挿通したうえで、当該ボルト25にナット26を螺合して締め付けることによって、第2固定部22の側面22dに、前記外壁フレーム11の中間部にある接合金物13が固定されている。
このようにして、外壁固定金具20の第2固定部22に外壁フレーム11の中間部にある接合金物13が固定されることによって、当該外壁フレーム11の中間部が外壁固定金具20を介して床6の端部に固定されている。
外壁固定金具20は、図2に示すように、左右方向に所定間隔で前記床6の端部に複数固定されており、隣り合う外壁固定金具20,20は左右に長尺な連結フレーム27によって連結されている。すなわち、連結フレーム27の端部には孔を有する端部板が形成されており、この端部板と外壁固定金具20の第2固定部22の補強板部22cとを当接し、端部板の孔と補強板部22cの孔22fにボルトを挿通し、ナット螺合して締め付けることによって、連結フレーム27の端部と外壁固定金具20の第2固定部22とが接合されている。これによって、隣り合う外壁固定金具20,20は左右に長尺な連結フレーム27によって連結されている。
また、連結フレーム27は外壁10を構成する壁パネル12の裏面に当接しており、これによって、外壁10を裏側から支持している。
【0026】
前記外壁フレーム11を建物躯体1に固定する場合、例えば、外壁固定金具20の第1固定部21を床6の端部に固定した後、当該外壁固定金具20の第2固定部22に接合金物13を固定し、次に、この接合金物13に外壁フレーム11の上部フレーム11aの下端部を固定するとともに、上端部を天井床8に固定し、また、接合金物13に下部フレーム11bの上端部を固定するとともに、下端部を基礎2に固定すればよい。
また、これに代えて、上部フレーム11aと下部フレーム11bとを接合金物13によって接合することによって、予め外壁フレーム11を形成しておく一方で、外壁固定金具20の第1固定部21を床6の端部に固定しておき、この外壁固定金具20の第2固定部22に外壁フレーム11の接合金物13を固定するとともに、外壁フレーム11の上端部を天井床8に固定し、下端部を基礎2に固定してもよい。
さらに、これに代えて、上部フレーム11aと下部フレーム11bとを接合金物13によって接合することによって、予め外壁フレーム11を形成するとともに、当該接合金物13に外壁固定金具20の第2固定部22を固定しておき、外壁固定金具20の第1固定部21を床6の端部に固定するとともに、外壁フレーム11の上端部を天井床8に固定し、下端部を基礎2に固定してもよい。
【0027】
本実施の形態によれば、建物躯体1の2階の床6の端部に外壁固定金具20の第1固定部21が固定され、前記外壁固定金具20の第2固定部22に外壁フレーム11の中間部が固定されることによって、当該外壁フレーム11の中間部が前記外壁固定金具20を介して前記床6の端部に固定されているので、外壁フレーム11の中間部を建物躯体1に確実に固定できる。したがって、外壁フレーム11の中間部に作用する外力を建物躯体1によって受けて、当該外力に抗することができる。
また、床6の端部の上面に第1固定部21の下面が固定されているので第1固定部21を床6の端部に安定的かつ強固に固定できる。また、第2固定部22の第1固定部21と反対側を向く側面22dに、外壁フレーム11の中間部の側面が固定されているので、外壁フレーム11の中間部を安定的かつ強固に固定できる。したがって、外壁フレーム11の中間部を建物躯体1に安定的かつ強硬に固定できる。
また、外壁固定金具20,20どうしを連結する連結フレーム27によって外壁10を裏側から支持しているので、外壁10に作用する外力を建物躯体1によって受けて、当該外力に抗することができる。
【0028】
さらに、第1固定部21より下方に突出している第2固定部22の下端部が床6の端面に当接しているので、床6の端部の上面における外壁固定金具20の位置決めを行うことができる。また、外壁フレーム11にこれを外側から押圧するように作用する外力を第2固定部22を介して床6に確実に伝達して、当該床6によって受けることができる。
加えて、上部フレーム11aと下部フレーム11bとを接合する接合金物13が第2固定部22に固定されているので、上部フレーム11aと下部フレーム11bとの接合部を補強できる。また、接合金物13を第2固定部22に固定した後、当該接合金物13によって上部フレーム11aと下部フレーム11bとを接合できるので、上下に長尺な外壁フレーム11を容易に建物躯体1に固定できる。
【0029】
(第2の実施の形態)
図4および図5は第2実施の形態を示している。これらの図に示す外壁固定構造が、前記第1の実施の形態の外壁固定構造と異なる点は、外壁が鉛直に配置されている点であるので、以下では、この相違点を詳しく説明し、前記第1の実施の形態と同一構成要素には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0030】
図5に示すように、この建物躯体1は2階建て構造になっており、基礎2の上面に設けられた土台3に複数の門形フレーム4が図5において紙面と直交する方向に平行離間して設置されている。
2階には、1階と同様に、床6に複数の門形フレーム4が図5において紙面と直交する方向に平行離間して、かつ1階の門形フレーム4の直上に配置されている。隣り合う門形フレーム4,4どうしは小壁および2階の屋根28によって連結されている。
なお、屋根28は、複数の屋根パネルを接合することによって構成されている。屋根パネルは矩形枠の上面に合板等からなる面材を取り付けたものであり、矩形枠内には必要に応じて補強桟材が取り付けられている。
【0031】
建物躯体1の側部には、外壁30が鉛直に配置されている。この外壁30は、前記第1の実施の形態と同様に、上下に長尺な複数の外壁フレーム11と、複数の壁パネル12と、これら壁パネル12および外壁フレーム11に取り付けられた外壁材12aとを備えている。
外壁フレーム11は、門形フレーム4の配置方向(図5において紙面と直交する方向)に所定間隔で複数配置されており、例えば門形フレーム4と同数を、当該門形フレーム4の配置位置に対応させて配置されている。
壁パネル12は、左右に隣り合う外壁フレーム11,11間に配置され、これら外壁フレーム11,11に固定されている。また、外壁フレーム11の表面と壁パネル12の表面とは面一となっている。
外壁材12aは矩形板状に形成されており、隣り合う外壁フレーム11,11間において壁パネル12の表面に配置されたうえで、当該壁パネル12に固定され、さらに、外壁材12aの側端部は外壁フレーム11に固定されている。
また、隣り合う外壁材12a,12aの側端部は外壁フレーム11上で目地部によって接合され、接合された側端部が当該外壁フレーム11に固定されている
また、外壁材12aの上端部は前記屋根28に接合され、下端部は外壁フレーム11の下端部まで延出されている。
【0032】
前記外壁フレーム11は、上部フレーム11aと、下部フレーム11bと、これら上部フレーム11aと下部フレーム11bとを接合する接合金物13とを備えている。
上部フレーム11aの上端部は屋根28に固定されており、下部フレーム11bの下端部は固定金具14と取付金具15によって基礎2に固定されている。
また、接合金物13の一片部13aに上部フレーム11aの下端面が当接されたうえで、当該下端面に木ねじ16が一片部13aを通してねじ込まれることによって、上部フレーム11aの下端部が接合金物13に固定されている。また、接合金物13の他片部13bに下部フレーム11bの上端面が当接されたうえで、当該上端面に木ねじ16が他片部13bを通してねじ込まれることによって、下部フレーム11bの上端部が接合金物13に固定されている。
このようにして、上部フレーム11aと下部フレーム11bとは接合金物13によって接合されている。
【0033】
また、前記外壁フレーム11の中間部は、外壁固定金具20によって、2階の床6の端部に固定されている。
外壁固定金具20は、図6に示すように、第1固定部21と第2固定部32とを備えている。
第2固定部32は、第1固定部21の側部に設けられたものであり、正面矩形形状に形成された本体部32aと、この本体部32aの上部と下部に固定された補強板部32b,32cとを備えている。また、本体部32aの第1固定部21と反対側を向く側面32dは鉛直になっており、この鉛直な側面32dを形成する壁部には孔32eが形成されている。さらに、第2固定部32の下端部は第1固定部21より下方に突出している。
【0034】
上記のように構成された外壁固定金具20は、図6に示すように、前記床6の端部に前記第1の実施の形態と同様にして第1固定部21が固定されている。
また、第1固定部21より下方に突出している第2固定部22の下端部の第1固定部21側を向く側面は、床6の端面6aに当接している。これによって、床6の端部の上面における外壁固定金具20の位置決めを行うことができる。
【0035】
また、外壁固定金具20の第2固定部32の側面32dには、前記外壁フレーム11の中間部にある接合金物13が固定されている。
すなわちまず、前記側面32dには、接合金物13の側壁部13cが当接されている。そして、前記側面32dを形成する壁部に形成された孔32eからボルト25を、前記側壁部13cに形成されている孔に挿通したうえで、当該ボルト25にナット26を螺合して締め付けることによって、第2固定部32の側面32dに、前記外壁フレーム11の中間部にある接合金物13が固定されている。
このようにして、外壁固定金具20の第2固定部32に外壁フレーム11の中間部にある接合金物13が固定されることによって、当該外壁フレーム11の中間部が外壁固定金具20を介して床6の端部に固定されている。
外壁固定金具20は、左右方向(門形フレーム4の配置方向)に所定間隔で前記床6の端部に複数固定されており、隣り合う外壁固定金具20,20は左右に長尺な連結フレーム27によって連結されている。連結フレーム27は外壁30を構成する壁パネル12の裏面に当接しており、これによって、外壁30を裏側から支持している。
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0036】
なお、前記第1および第2の実施の形態では、外壁フレーム11の中間部を外壁固定金具20によって2階の床6の端部に固定したが、建物躯体1が3階建て場合、2階の床の端部と3階の床の端部それぞれに外壁フレーム11の2か所の中間部をそれぞれ外壁固定金具20によって固定してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 建物躯体
6 上階の床
10,30 外壁
11 外壁フレーム
11a 上部フレーム
11b 下部フレーム
12 外壁材
13 接合金物
20 外壁固定金具
21 第1固定部
22,32 第2固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の上階の床の端部に、鉛直にまたは前記床に対して傾斜して設けられる外壁を固定するための外壁固定金具であって、
前記床の端部に固定される第1固定部と、この第1固定部の側部に設けられて、前記外壁を構成する上下に長尺な外壁フレームの中間部が固定される第2固定部とを備えたことを特徴とする外壁固定金具。
【請求項2】
建物躯体の上階の床の端部に、鉛直にまたは前記床に対して傾斜して設けられる外壁を請求項1に記載の外壁固定金具によって固定する外壁固定構造であって、
前記床の端部に前記外壁固定金具の第1固定部が固定され、前記外壁固定金具の第2固定部に前記外壁を構成する上下に長尺な外壁フレームの中間部が固定されることによって、当該外壁フレームの中間部が前記外壁固定金具を介して前記床の端部に固定されていることを特徴とする外壁固定構造。
【請求項3】
請求項2に記載の外壁固定構造において、
前記床の端部の上面に前記第1固定部の下面が固定され、
前記第2固定部の前記第1固定部と反対側を向く側面に、前記外壁フレームの中間部の側面が固定されていることを特徴とする外壁固定構造。
【請求項4】
請求項3に記載の外壁固定構造において、
前記第2固定部の下端部が前記第1固定部より下方に突出しており、
この下方に突出している第2固定部の下端部が前記床の端面に当接していることを特徴とする外壁固定構造。
【請求項5】
請求項2〜3のいずれか一項に記載の外壁固定構造において、
前記外壁フレームが上部フレーム、下部フレーム、これら上部フレームと下部フレームとを接合する接合金物を備えており、
前記第2固定部に前記接合金物が固定されていることを特徴とする外壁固定構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate