説明

外構塀装置

【課題】状況に応じて外構形態を簡易な操作で変化させることができる外構塀装置を提供すること。
【解決手段】複数枚の外構パネル10と、外構パネル10を上下方向にスライド可能なレール35を有する一対の縦枠31および上枠51を有する枠体30と、この枠体30の下部に設けられ、複数枚の外構パネル10を収納する外構パネル収納部20と、枠体30と外構パネル収納部20で囲まれた内部で構成され、外構パネル収納部20からレール35に沿って外構パネル10を1枚ずつ上方にスライドさせて複数枚の外構パネル10を縦に積載することにより遮蔽されて外構塀61を構成し、この外構塀61を構成する複数の外構パネル10をレール35に沿って1枚ずつ下方にスライドさせて外構パネル収納部20に収納することにより前後方向に開放される外構パネル設置部60とを備えることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の敷地境界部等に設置される外構塀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋や庭の周囲には、外部からの視覚を遮蔽し、あるいは敷地の境界を示す等の目的で外構塀等のクローズド外構を設けることが多い。
【0003】
外構塀の施工は、コンクリートブロックを目地にモルタル等を充填し上下左右に積載させ、あるいは型枠を形成してその中にコンクリートを打設する工法等のいわゆる湿式工法により行われている。また近年では、外構基礎上に設けた支柱にパネルを取り付けることにより外構塀を構築するいわゆる乾式工法も行われている。
【0004】
乾式工法では、施工時のパネルの取り付け操作を容易にすることや、施工後のパネルの交換を容易にすることが望まれる場合がある。このような点を考慮した技術として、例えば特許文献1には、施工時のパネルの取り付け操作を容易にするために、外構基礎上に設けた支柱と鉛直方向にスライド自在に係合する係合部を有するパネル連結材を用いた技術が提案されている。
【0005】
また特許文献2には、施工後のパネルの定期的な交換を容易にするために、複数の支柱に対向する桟を設けて方形状の枠部を構成し、パネルを枠部に水平移動自在に設けて枠部の側方より挿入と引き出しを行う技術が提案されている。
【0006】
しかしながら、クローズド外構、特に外構塀は、景観として圧迫感があったり採光性が下がったりする場合がある。
【0007】
そこで、道路に面したオープン外構や簡単な柵状の外構も用いられている。オープン外構は、採光に長ける、開放感が高まる等の長所があり、近年の戸建住宅における外構の傾向としては、オープン外構にすることが多くなってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−177380号公報
【特許文献2】実用新案登録第3156155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、オープン外構は、庭をプライベートな空間として活用しにくくなる場合がある。例えば、洗濯干し等の作業や、バーベキュー等のイベントのようなプライベートな作業やイベントをしづらい場合がある。
【0010】
そのため、状況に応じてオープン外構とクローズド外構に外構形態を変化させることができれば望ましい。例えば、採光や開放感を高めることを望む状況では外構形態をオープン外構とし、プライベートな作業やイベントを行うときには外構形態をクローズド外構とすることができれば望ましい。
【0011】
しかしながら、簡易な操作で外構形態を頻繁に変化させることができる構成、特にパネルの組み立ておよび取り外しを容易に行えることを考慮した構成は従来提案されていない。
【0012】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、状況に応じて外構形態を簡易な操作で変化させることができる外構塀装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の外構塀装置は、複数枚の矩形板状の外構パネルと、この外構パネルの両側端部を案内し外構パネルを上下方向にスライド可能なレールを有する一対の縦枠およびこの一対の縦枠の上部に設けられた上枠を有する枠体と、この枠体の下部に設けられ、複数枚の外構パネルを収納し、レールとの間で外構パネルを移動可能な外構パネル収納部と、枠体と外構パネル収納部で囲まれた内部で構成され、外構パネル収納部からレールに沿って外構パネルを1枚ずつ上方にスライドさせて複数枚の外構パネルを縦に積載することにより遮蔽されて外構塀を構成し、この外構塀を構成する複数の外構パネルをレールに沿って1枚ずつ下方にスライドさせて外構パネル収納部に収納することにより前後方向に開放される外構パネル設置部とを備えることを特徴としている。
【0014】
この外構塀装置においては、外構パネルは、上端部に上側嵌合部を有するとともに下端部に下側嵌合部を有し、複数枚の外構パネルを縦に積載して外構塀を構成したときに、上下に隣接するそれぞれの外構パネルは、下側の外構パネルの上側嵌合部とその上に隣接する外構パネルの下側嵌合部とが嵌合されることが好ましい。
【0015】
この外構塀装置においては、上側嵌合部は外構パネルの上辺に沿って延びる凸条部により構成され、下側嵌合部は外構パネルの下辺に沿って延びる溝部により構成されることが好ましい。
【0016】
この外構塀装置においては、レールは、縦枠の側板部とこの側板部の内面を平行に延びる一対の凸条案内部とから構成され、レールにおける側板部には、この側板部の内面から突出し、複数枚の外構パネルを縦に積載して外構塀を構成したときに、凸条案内部との間で外構パネルを支持する突出部材を備えることが好ましい。
【0017】
この外構塀装置においては、上枠は、複数枚の外構パネルを縦に積載して外構塀を構成したときに、最上段に積載された外構パネルの上端部が内部に入り込む凹部を下端部に有するとともに、凹部に収納され、凹部に入り込んだ外構パネルの上端部を上枠との間で固定する固定ブロックを備えることが好ましい。
【0018】
この外構塀装置においては、外構パネル収納部は、レールの下部に設けられ、その上に外構パネルをレールに沿って積載可能な土台パネルを前面に備えることが好ましい。
【0019】
この外構塀装置においては、外構パネル収納部は、土台パネルとその両側部から後方に配置された縦枠の側板部により囲まれた内部で構成され、外構パネル収納部における側板部の内面には、外構パネル収納部の上端部から後端部に渡り、外構パネル収納部に収納された複数枚の外構パネルが起立して収納されるように規制する凸条規制部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の外構塀装置によれば、状況に応じて外構形態を簡易な操作で変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の外構塀装置の実施形態を示した図であり、(a)は外構パネル設置部を外構パネルで遮蔽して外構塀を構成した状態を示す正面図、(b)はそのA−A線断面図である。
【図2】(a)は図1の外構塀装置の外構パネルを外構パネル収納部に収納して外構パネル設置部を開放した状態を示す正面図、(b)はそのA−A線断面図である。
【図3】図1の外構塀装置の外構パネルを外構パネル収納部に収納して外構パネル設置部を開放した状態を示す斜視図である。
【図4】図1の外構塀装置の上段と中断の縦断面図である。
【図5】(a)は図1の外構塀装置の下段の縦断面図、(b)はその斜視図である。
【図6】(a)、(b)は外構パネルの構成の一例を示す縦断面図である。
【図7】外構パネル同士の嵌合状態を示す縦断面図である。
【図8】(a)〜(h)は図1の外構塀装置の外構パネルを外構パネル設置部に設置する組み立ての流れを示す縦断面図である。
【図9】本発明の外構塀装置の別の実施形態を示す上段と中段の縦断面図である。
【図10】(a)、(b)は本発明の外構塀装置の別の実施形態における外構パネル同士の嵌合状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0023】
図1〜図8は、本発明の外構塀装置の実施形態を示した図であり、図1(a)は外構パネル設置部を外構パネルで遮蔽して外構塀を構成した状態を示す正面図、図1(b)はそのA−A線断面図である。図2(a)は外構パネルを外構パネル収納部に収納して外構パネル設置部を開放した状態を示す正面図、図2(b)はそのA−A線断面図、図3はその斜視図である。図4は外構塀装置の上段と中段の縦断面図、図5(a)は下段の縦断面図、図5(b)は下段の拡大斜視図である。図6(a)、図6(b)は外構パネルの構成の一例を示す縦断面図、図7は外構パネル同士の嵌合状態を示す縦断面図である。図8(a)〜図8(h)は外構塀装置の外構パネルを外構パネル設置部に設置する組み立ての流れを示す縦断面図である。
【0024】
図1〜図3に示すように、この外構塀装置1は、複数枚の外構パネル10と、枠体30と、外構パネル収納部20と、外構パネル設置部60とを備えている。
【0025】
枠体30は、外構パネル収納部20の両端部から上方に平行に延びる一対の縦枠31を左右に備え、一対の縦枠31の上部にこれらを連結するように設置される上枠51を備えている。一対の縦枠31は、外構パネル10の両側端部を案内し外構パネル10を上下方向にスライド可能なレール35が対向して設けられている。
外構パネル収納部20は、枠体30の下部に設けられ、複数枚の外構パネル10を面合わせで並べて収納する。外構パネル10は、外構パネル収納部20とレール35との間で上下に移動可能である。
【0026】
外構パネル設置部60は、枠体30と外構パネル収納部20で囲まれた内部で構成される。
【0027】
この外構塀装置1は、図2に示すように外構パネル収納部20に収納された複数枚の外構パネル10を縦枠31のレール35に沿って1枚ずつ上方にスライドさせることにより、図1に示すように複数枚の外構パネル10が縦に積載される。これにより、図1に示すように外構パネル設置部60が縦に積載された複数枚の外構パネル10で遮蔽されて外構塀61(クローズド外構61)を構成する。
【0028】
そして図1に示すように外構塀61を構成した状態から、外構塀61を構成する複数枚の外構パネル10を縦枠31のレール35に沿って1枚ずつ下方にスライドさせて、外構パネル収納部20に収納することができる。これにより、図1に示すように外構パネル設置部60は前後に開放され、オープン外構62を構成する。
【0029】
このように、外構パネル10を縦枠31のレール35に沿って上下に移動させ、外構パネル設置部60への外構パネル10の設置と外構パネル収納部20への外構パネル10の収納の操作を容易に行うことができる。従って、状況や目的に応じて外構形態を外構塀61とオープン外構62のいずれかに容易に変更することができる。
【0030】
そして複数枚の外構パネル10は、枠体30と一体に設置された外構パネル収納部20に全て収納されるので、外構パネル10をコンパクトな構成で収納保管することができる。
【0031】
この外構塀装置1の複数枚の外構パネル10は、横方向に長い矩形の板状であり、この実施形態では4枚の外構パネル10を用いている。4枚の外構パネル10は、外構塀61を構成したときに最下段に設置される下段パネル10aと、その上へ順に積載される中段パネル10b,10cと、最上段に積載される上段パネル10dであり、それぞれ同一形状とされている。
【0032】
外構パネル10は、縦枠31のレール35に沿ったスライドを容易にするために軽量の材料により形成することができる。このような材料として、例えば、薄い鋼板等の金属薄板や発泡樹脂等の樹脂等を用いることができる。
【0033】
例えば、図6(a)に示すように、外構パネル10の外形を構成するように成型された薄い鋼板の外装材16の内部にウレタン等の発泡樹脂の芯材17を充填した外構パネル10を用いることができる。あるいは、図6(b)に示すように、外構パネル10の外形を構成するように成型された薄い鋼板の外装材16の内部にリブ18を設けて補強した中空の外構パネル10を用いることができる。
【0034】
外構パネル10は、例えば、高さ200〜600mm、厚み5〜50mm、幅400〜2000mmとすることができる。
【0035】
外構パネル10は、図6および図7に示すように、上端部に上側嵌合部11aが設けられ、下端部に下側嵌合部11bが設けられている。上側嵌合部11aは、外構パネル10の上辺に沿って延びる凸条部12により構成され、下端部の下側嵌合部11bは、外構パネル10の下辺に沿って延びる溝部13により構成されている。そして図1に示すように外構塀61を構成する際には、図7に示すように、下側の外構パネル10の上側嵌合部11aとその上に隣接する外構パネル10の下側嵌合部11bとが嵌合される。より具体的には、下側の外構パネル10の凸条部12に上側の外構パネル10の溝部13を嵌合して縦に積載されるようになっている。
【0036】
このように上側嵌合部11aを凸条部12とすることで、図7に示すように外構パネル10同士を積載したときに、下側の外構パネル10の上側嵌合部11aとその上の外構パネル10の下側嵌合部11bとの間に水溜まりが発生することを抑制することができる。
【0037】
なお、上段パネル10dは他の外構パネル10との嵌合の点では必ずしも上側嵌合部11aを設ける必要はないが、他の外構パネル10と同様に上側嵌合部11aを設けて同一形状とすることで中段パネル10b,10cや下段パネル10aと共用することができる。また後述する図4に示すように固定ブロック53を用いて上枠51に上段パネル10dを固定することもできる。
【0038】
この外構塀装置1の枠体30の縦枠31は、図1に示すように外構パネル設置部60に外構パネル10を設置した際に外構パネル10を支持するとともに、縦枠31に設けられたレール35に沿って外構パネル10を上下にスライドさせる。外構パネル10を上下方向にスライドさせることにより、外構パネル設置部60に複数枚の外構パネル10を縦に積載して外構塀61を構成し、また外構パネル10を外構パネル収納部20に収納することができる。
【0039】
縦枠31は、容易に変形しない硬質材料、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属、塩化ビニル樹脂発泡押出材(木粉入りも含む)等の樹脂、木材等を用いて形成することができる。
【0040】
縦枠31は、側板部32と、側板部32の内面を両側端部から平行に延びる一対の凸条案内部33,34とを備えている。凸条案内部33は外構塀装置1の前面側に配置され、凸条案内部34は背面側に配置されている。これらの側板部32と凸条案内部33,34により、外構パネル10を上下に案内するレール35が構成されている。
【0041】
縦枠30のレール35は、縦枠31の側板部32の内面から突出する突出部材38を備えている。突出部材38は、複数枚の外構パネル10を縦に積載して外構塀61を構成したときに、凸条案内部33との間で外構パネル10を支持する。
【0042】
突出部材38は、レール35に沿って上下方向に複数個が設置され、具体的には下段パネル10aおよび中段パネル10b,10cの積載位置に対応して設置される。例えば、図4に示すように、下段パネル10aおよび中段パネル10b,10cが積載されて外構塀61を構成したときに、これらの上端部に近い高さ位置となるように突出部材38を設置することができる。突出部材38を設けることにより、図4に示すように、下段パネル10aおよび中段パネル10b,10cが凸条案内部33,34の間で倒れて傾斜したり、あるいはガタツキを起こしたりすることを抑制することができる。
【0043】
図4に示すように、突出部材38には、固定部材39を挟むこともできる。固定部材39は、例えば、側面視がU字形状、L字形状、もしくは楔形状のピース材または長尺材を用いることができる。突出部材38に固定部材39を挟むことで、下段パネル10aおよび中段パネル10b,10cは、凸条案内部33との間でさらに強固に保持される。すなわち下段パネル10aおよび中段パネル10b,10cの背面部と突出部材38との隙間に固定部材39を噛ませることで下段パネル10aおよび中段パネル10b,10cを凸条案内部34に押し付け保持することができる。従って、凸条案内部33,34の間で倒れて傾斜したり、あるいはガタツキを起こしたりすることをさらに抑制することができる。
【0044】
なお、突出部材38は、図3の外構パネル設置部60内に点線で示したように左右の縦枠31に連続して棒状に設けるようにしてもよい。
【0045】
上枠51は、縦枠31の上部に着脱可能に設けられている。上枠51は、図4に示すように、下端部に辺に沿った凹部52が設けられている。この凹部52には、外構パネル設置部60に複数枚の外構パネル10を縦に積載して外構塀61を構成したときに、上段パネル10dの上端部が入り込むようになっている。
【0046】
そして上枠51は、固定ブロック53を備えている。固定ブロック53は、上段パネル10dの上側嵌合部11aに嵌合する嵌合部54を下部に有し、嵌合部54は、具体的には上側嵌合部11aを構成する凸条部12に嵌合する溝形状になっている。そして固定ブロック53の外形は上枠51の凹部52に沿った形状になっている。なお、固定ブロック53は、例えば、上枠51の長手方向に沿った長さが上枠51の長手方向全体とほぼ同じ長い形状であってよい。あるいは、固定ブロック53は、上枠51の長手方向に沿った長さが比較的短いものであってもよく、例えば複数個の固定ブロック53を上枠51の長手方向に沿って配置するようにしてもよい。
【0047】
外構塀61を組み立てる際には、まず外構パネル設置部60に下段パネル10a、中段パネル10b,10c、上段パネル10dをこの順に積載する。その後、縦枠31から上枠51を取り外した状態で上段パネル10aの上側嵌合部11aに固定ブロック53を嵌合し、さらにその上から上枠51を被せて縦枠31に装着する。これにより上段パネル10dが固定ブロック53を介して上枠51に保持される。従って、上枠51が凸条案内部33,34の間で倒れて傾斜したり、あるいはガタツキを起こしたりすることを抑制することができる。
【0048】
この外構塀装置1の外構パネル収納部20は、図5に示すように、前面の土台パネル21とその両側部から後方に配置された縦枠31の側板部32により囲まれた内部で構成されている。
【0049】
土台パネル21は、レール35の下部に凸条案内部33に沿って設けられ、その上に外構パネル10をレール35に沿って積載することができる。
【0050】
土台パネル21は、外構パネル10と同様に上側嵌合部11aを有し、この上側嵌合部11aは土台パネル21の上辺に沿って延びる凸条部12により構成されている。これにより、土台パネル21の上側嵌合部11aに下段パネル10aの下側嵌合部11bを嵌合して縦に積載することができる。
【0051】
このように土台パネル21は、外構パネル10の収納時の目隠しとしての機能と、外構塀61を組み立てる際の土台としての機能を併せ持つ。土台パネル21は、例えば、外構パネル10と同様の材料により作製することができる。
【0052】
外構パネル収納部20における縦枠31の側板部32は、レール35の幅よりもその幅が後方に広くなっている。この後方に幅の広い側板部32に複数枚の外構パネル10を収納できるようになっている。
【0053】
外構パネル収納部20における側板部32の内面には、凸条規制部40が設けられている。凸条規制部40は、外構パネル収納部20に収納された複数枚の外構パネル10が面並びで側板部32に起立して重なるように規制し、かつ外構パネル10の上方への抜けや後方への倒れ込みを抑制する。すなわち、図5(a)の点線で囲った範囲にある凸条規制部40は、縦枠31の凸条案内部34に連続し、外構パネル収納部20の上端部から後端部に渡って設けられている。
【0054】
外構パネル収納部20は、外構パネル入出口42を通じてレール35に外構パネル10を取り出し、またレール35から外構パネル10を収納することができる。また、凸条規制部40には、図5に示すように外構パネル入れ替え口41が設けられている。この外構パネル入れ替え口41から外構パネル10の取り出しと挿入が可能であり、外構パネル収納部20内の外構パネル10の交換等を行うことができる。
【0055】
以下に、外構塀61の組み立て操作について図8を参照しながら具体的に説明する。まず図8(a)に示すように、外構パネル収納部20に収納された外構パネル10のうち下段パネル10aを外構パネル入出口42から上方に、土台パネル21に沿わせながらレール35に引き出す。
【0056】
そして図8(b)に示すように、下段パネル10aの上端部側をレール35の凸条案内部33に沿わせながらレール35に沿って上方にスライドさせる。そして図8(c)に示すように、図5に示す土台パネル21の上側嵌合部11aに下段パネル10aの下側嵌合部11bを嵌合させるとともに凸条案内部33と突出部材38との間を通して縦に積載する。
【0057】
次に、図8(d)に示すように、外構パネル収納部20に収納された外構パネル10のうち中段パネル10bを外構パネル入出部42から上方に引き出し、土台パネル21とその上の下段パネル10aに沿わせながらレール35沿って上方にスライドさせる。
【0058】
そして図8(e)に示すように、中段パネル10bの上端部側をレール35の凸条案内部33に沿わせながらレール35沿って上方にスライドさせる。そして図8(f)に示すように、図4に示す下段パネル10aの上側嵌合部11aに中段パネル10bの下側嵌合部11bを嵌合させるとともに凸条案内部33と突出部材38との間を通して縦に積載する。
【0059】
同様に中段パネル10cを中段パネル10bの上に積載した後、図8(g)に示すように、上段パネル10dを外構パネル入出口42から上方に引き出し、土台パネル21とその上の下段パネル10a、中段パネル10b、中段パネル10cに沿わせながらレール35沿って上方にスライドさせる。そして図8(h)に示すように、上段パネル10dを中段パネル10cの上に縦に積載することにより、外構パネル設置部60は遮蔽されて図1に示すように外構塀61を構成する。
【0060】
なお、外構塀61を構成した状態から外構パネル10の組み立てを解除し外構パネル収納部20に収納するときは、外構パネル10を一旦やや引き上げて嵌合を解除し、その後レールに沿ってスライドさせて1枚ずつ収納することができる。
【0061】
この実施形態の外構塀装置1においては、複数枚の外構パネル10を上下方向にスライド可能なレール35を設けて、外構パネル10の積載による外構塀61の構成と、外構パネル収納部20に収納することによるオープン外構62を可能としている。従って、状況に応じて外構形態を簡易な操作で変化させることができる。
【0062】
また、この実施形態の外構塀装置1においては、外構パネル10は、上端部に上側嵌合部11aを有するとともに下端部に下側嵌合部11bを有する構成としている。そして複数枚の外構パネル10を縦に積載して外構塀61を構成したときに、上下に隣接するそれぞれの外構パネル10は、下側の外構パネル10の上側嵌合部11aとその上に隣接する外構パネル10の下側嵌合部11bとが嵌合される。従って、複数枚の外構パネル10を安定して縦に積載し外構塀61を構成することができる。
【0063】
また、この実施形態の外構塀装置1においては、上側嵌合部11aは外構パネル10の上辺に沿って延びる凸条部12により構成され、下側嵌合部11bは外構パネル10の下辺に沿って延びる溝部13により構成される。従って、複数枚の外構パネル10を安定して縦に積載し外構塀61を構成することができるとともに、上側嵌合部11aを凸条部12とすることで上側嵌合部11aでの水溜まりの発生を抑制することができる。
【0064】
また、この実施形態の外構塀装置1においては、レール35は、縦枠31の側板部32とこの側板部32の内面を平行に延びる一対の凸条案内部33,34とから構成されている。そしてレール35における側板部32には、この側板部32の内面から突出し、複数枚の外構パネル10を縦に積載して外構塀61を構成したときに、凸条案内部33との間で外構パネル10を支持する突出部材38を備えている。従って、凸条案内部33と突出部材38との間で外構パネル10を支持し、外構パネル10の倒れやガタツキを抑制することができる。
【0065】
また、この実施形態の外構塀装置1においては、上枠51は、複数枚の外構パネル10を縦に積載して外構塀61を構成したときに、最上段に積載された外構パネル10の上端部が内部に入り込む凹部52を下端部に有するとともに、凹部52に収納され、凹部52に入り込んだ外構パネル10の上端部を上枠51との間で固定する固定ブロック53を備える。従って、固定ブロック53により最上段に積載された外構パネル10を支持し、最上段に積載された外構パネル10の倒れやガタツキを抑制することができる。
【0066】
また、この実施形態の外構塀装置1においては、外構パネル収納部20は、レール35の下部に設けられ、その上に外構パネル10をレール35に沿って積載可能な土台パネル21を前面に備えている。従って、外構パネル10の収納時の目隠しとして機能し、さらに外構塀61を組み立てる際の土台として機能することができる。
【0067】
また、この実施形態の外構塀装置1においては、外構パネル収納部20は、土台パネル21とその両側部から後方に配置された縦枠31の側板部32により囲まれた内部で構成され、外構パネル収納部20における側板部32の内面には、外構パネル収納部20の上端部から後端部に渡り、外構パネル収納部20に収納された複数枚の外構パネル10が起立して収納されるように規制する凸条規制部40が設けられている。従って、外構パネル10の倒れを抑制し、コンパクトに収納することができ、外構パネル収納部20からレール35への外構パネル10の引き出し操作も容易である。
【0068】
図9は、本発明の外構塀装置の別の実施形態を示す上段と中段の縦断面図である。
この実施形態では、上枠51の固定ブロック53は上枠51の凹部52内に設けられた固定ブロック収納部56に前後方向にスライド可能に収納されている。
【0069】
外構塀61を組み立てる際には、まず外構パネル設置部60に下段パネル10a、中段パネル10b,10c、上段パネル10dをこの順に積載する。その後、上枠51の凹部52内に入り込んだ上段パネル10dの上端部を固定ブロック53により凸条案内部33の方向にスライドさせて押し付ける。これにより上段パネル10dが固定ブロック53に押されて保持される。なお、固定ブロック53は、例えば、上枠51の長手方向に沿った長さが上枠51の長手方向全体とほぼ同じ長い形状であってよい。あるいは、固定ブロック53は、上枠51の長手方向に沿った長さが比較的短いものであってもよく、例えば複数個の固定ブロック53を上枠51の長手方向に沿って配置するようにしてもよい。
【0070】
そして、下段パネル10aおよび中段パネル10b,10cを支持する突出部材38として、回転式のものを用いている。この突出部材38は、長手方向が板形状になっており、この板の一端部が長手方向に沿って回転軸となるように縦枠31へ回転可能に支持されている。すなわち、下段パネル10aおよび中段パネル10b,10cは、これらを積載した後、突出部材38を回転軸38aを中心として回転させることにより下段パネル10aおよび中段パネル10b,10cを凸条案内部33の方向に押し付けて固定される。
【0071】
以上のように、この実施形態の外構塀装置1においては、前後方向にスライド可能な固定ブロック53を上枠51に設けている。従って、上枠51が凸条案内部33,34の間で倒れて傾斜したり、あるいはガタツキを起こしたりすることを抑制することができる。
なお、固定ブロック53をスライドさせる構成に代えて、固定ブロック53を回転させることで上段パネル10dの上端部を凸条案内部33の方向に押し付ける構成とすることもできる。
また、この実施形態の外構塀装置1においては、下段パネル10aおよび中段パネル10b,10cを支持する回転式の突出部材38を用いている。従って、凸条案内部と突出部材との間で外構パネルを支持し、外構パネルの倒れやガタツキを抑制することができる。
【0072】
図10(a)、(b)は本発明の外構塀装置の別の実施形態における外構パネル同士の嵌合状態を示す縦断面図である。
【0073】
図10(a)では、外構パネル10における上側嵌合部11aを山形の凸条部12により構成し、下側嵌合部11bを谷型の溝部13により構成している。図10(b)では、外構パネル10における上側嵌合部11aを凸条部12により構成し、下側嵌合部11bを溝部13により構成するとともに、凸条部12に膨出部14を設け溝部13に係止部15を設けている。そして外構パネル10同士を積載する際には、下側の外構パネル10の上側嵌合部11aに上側の外構パネル10の溝部13が嵌合するとともに、膨出部14が係止部15により係止されるようになっている。
【0074】
この実施形態の外構塀装置1においては、以上のような構成とすることで、複数枚の外構パネル10を安定して縦に積載し外構塀61を構成することができる。
【0075】
以上に、実施形態に基づき本発明について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく各種の変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 外構塀装置
10 外構パネル
11a 上側嵌合部
11b 下側嵌合部
12 凸条部
13 溝部
20 外構パネル収納部
21 土台パネル
30 枠体
31 縦枠
32 側板部
33 凸条案内部
34 凸条案内部
35 レール
38 突出部材
39 固定部材
40 凸条規制部
51 上枠
53 固定ブロック
60 外構パネル設置部
61 外構塀(クローズド外構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の矩形板状の外構パネルと、この外構パネルの両側端部を案内し前記外構パネルを上下方向にスライド可能なレールを有する一対の縦枠およびこの一対の縦枠の上部に設けられた上枠を有する枠体と、この枠体の下部に設けられ、前記複数枚の外構パネルを収納し、前記レールとの間で前記外構パネルを移動可能な外構パネル収納部と、前記枠体と前記外構パネル収納部で囲まれた内部で構成され、前記外構パネル収納部から前記レールに沿って前記外構パネルを1枚ずつ上方にスライドさせて前記複数枚の外構パネルを縦に積載することにより遮蔽されて外構塀を構成し、この外構塀を構成する前記複数の外構パネルを前記レールに沿って1枚ずつ下方にスライドさせて前記外構パネル収納部に収納することにより前後方向に開放される外構パネル設置部とを備えることを特徴とする外構塀装置。
【請求項2】
前記外構パネルは、上端部に上側嵌合部を有するとともに下端部に下側嵌合部を有し、前記複数枚の外構パネルを縦に積載して前記外構塀を構成したときに、上下に隣接するそれぞれの前記外構パネルは、下側の前記外構パネルの前記上側嵌合部とその上に隣接する前記外構パネルの前記下側嵌合部とが嵌合されることを特徴とする請求項1に記載の外構塀装置。
【請求項3】
前記上側嵌合部は前記外構パネルの上辺に沿って延びる凸条部により構成され、前記下側嵌合部は前記外構パネルの下辺に沿って延びる溝部により構成されることを特徴とする請求項2に記載の外構塀装置。
【請求項4】
前記レールは、前記縦枠の側板部とこの側板部の内面を平行に延びる一対の凸条案内部とから構成され、前記レールにおける前記側板部には、この側板部の内面から突出し、前記複数枚の外構パネルを縦に積載して前記外構塀を構成したときに、前記凸条案内部との間で前記外構パネルを支持する突出部材を備えることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載の外構塀装置。
【請求項5】
前記上枠は、前記複数枚の外構パネルを縦に積載して前記外構塀を構成したときに、最上段に積載された前記外構パネルの上端部が内部に入り込む凹部を下端部に有するとともに、前記凹部に収納され、前記凹部に入り込んだ外構パネルの上端部を前記上枠との間で固定する固定ブロックを備えることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項に記載の外構塀装置。
【請求項6】
前記外構パネル収納部は、前記レールの下部に設けられ、その上に前記外構パネルを前記レールに沿って積載可能な土台パネルを前面に備えることを特徴とする請求項1ないし5いずれか一項に記載の外構塀装置。
【請求項7】
前記外構パネル収納部は、前記土台パネルとその両側部から後方に配置された前記縦枠の側板部により囲まれた内部で構成され、前記外構パネル収納部における前記側板部の内面には、前記外構パネル収納部の上端部から後端部に渡り、前記外構パネル収納部に収納された前記複数枚の外構パネルが起立して収納されるように規制する凸条規制部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の外構塀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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