説明

外燃用燃料組成物

【課題】煤や窒素酸化物の排出量が少なく、さらに、極めて低硫黄である外燃用燃料組成物を提供する。
【解決手段】密度(15℃)が0.83〜0.87g/cm3、90%留出温度が330〜365℃、動粘度(30℃)が7.2mm2/s以下、全硫黄分が0.50質量%以下、全窒素分が300質量ppm以下、全芳香族分が25〜35容量%、アニリン点が60.0〜80.0℃、水分が120質量ppm以下、セタン指数(JIS−2280)が47〜65であることを特徴とする外燃用燃料組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外燃用燃料組成物に関し、特には、煤や窒素酸化物の排出量が少ない外燃用燃料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
工場での加熱用ボイラーや暖房用ボイラー等の外燃機関に使用される外燃用燃料は、煤が発生し易く、また、燃焼時に窒素酸化物が発生するが、前記煤や窒素酸化物の発生量を低減することは、健康や環境負荷の観点で好ましい。
【0003】
これに対し、外燃用燃料として、天然ガスを原料とし、フィッシャー・トロプシュ合成により生産される硫黄分や芳香族を含有しない、石油系灯軽油と同等の蒸留性状に調製された、いわゆるGTL(Gas to liquid)燃料を用いることも考えられるが、GTL燃料を生産する為にはエネルギー消費が大きい上、生産設備コスト、運転コストがともに大きいことから、その供給量は当分限定的であるものと見込まれる。この為、比較的安価で大量に生産、供給されている石油系燃料の品質改善が望まれている。
【0004】
一方、ディーゼルエンジン等の内燃機関用燃料として使用した場合に、煤排出量を低減するために、動物油や植物油等の油脂をエステル化した脂肪酸アルキルエステルをA重油に配合することが知られている(下記特許文献1参照)。しかしながら、これら脂肪酸アルキルエステルは、原料調達コストが大きく、その供給量は当分限定的である。
【特許文献1】特開2007−231119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、煤や窒素酸化物の排出量が少なく、さらに、極めて低硫黄である外燃用燃料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究したところ、外燃用燃料組成物を調製する際、物理性状や化学性状が特定の範囲となるように石油系の市販A重油に、特定のパラフィン成分を混合することにより、煤や窒素酸化物の排出量を抑制できることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明の外燃用燃料組成物は、密度(15℃)が0.83〜0.87g/cm3、90%留出温度が330〜365℃、動粘度(30℃)が7.2mm2/s以下、全硫黄分が0.50質量%以下、全窒素分が300質量ppm以下、全芳香族分が25〜35容量%、アニリン点が60.0〜80.0℃、水分が120質量ppm以下、セタン指数(JIS−2280)が47〜65であることを特徴とする。
【0008】
なお、本発明の外燃用燃料組成物は、さらに、2環芳香族分が6.0容量%以下、3環芳香族分が4.0容量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の外燃用燃料組成物によれば、特に特定成分の含有量を特定の範囲に限定したことから、燃焼時に煤(スモーク)や窒素酸化物の排出量を抑制する効果が奏される。したがって、本発明によれば、スモークの生成量が相当少ないと言われているGTL灯軽油などの高価な基材や脂肪酸アルキルエステル等をブレンドしなくても煤や窒素酸化物の排出量を低減した外燃用燃料組成物を調製することができる。この結果、GTL灯軽油を製造するための高額な生産設備のコストや、操業に要する膨大なエネルギー消費を節約することができ、また、原料調達コストの高い脂肪酸アルキルエステルを使用することもないため、経済的である。
【0010】
また、例えば、外燃機器のハウス加温機では、燃焼後の排気ガスが通過する缶体の壁面等に前記排気ガス中のスモークが長期間の運転により堆積し、伝熱効率を低下させるため、定期的にボイラー内部の清掃をしなければならないため、前記排気ガス中のスモークは環境負荷の観点で少ない方が好ましいが、本発明の外燃用燃料組成物によれば、スモーク排出量が少なく環境負荷を低減できる他、燃焼効率の低下を抑えつつ、定期的なボイラー内部の清掃頻度を低減することも出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔密度〕
本発明の外燃用燃料組成物は、密度が0.83〜0.87g/cm3である。燃料組成物の密度が高いと体積あたりの発熱量が増大し、燃焼温度が上昇する為、窒素酸化物の排出量が増加する。このため、本発明の外燃用燃料組成物の密度は、窒素酸化物の排出量を抑制する観点から、0.87g/cm3以下であり、好ましくは0.86g/cm3以下、更に好ましくは0.85g/cm3以下である。一方、燃料組成物の密度が低すぎると燃費が悪化する為、本発明の外燃用燃料組成物の密度は、0.83g/cm3以上であり、好ましくは0.84g/cm3以上である。
【0012】
〔90%留出温度〕
本発明の外燃用燃料組成物は、90%留出温度が330〜365℃である。90%留出温度が高すぎると燃焼性が悪化し、煤や窒素酸化物が発生し易くなる。この為、本発明の外燃用燃料組成物の90%留出温度は、365℃以下であり、好ましくは360℃以下、さらに好ましくは355℃以下である。また、90%留出温度が低すぎると燃費が悪化する。この為、本発明の外燃用燃料組成物の90%留出温度は、330℃以上であり、好ましくは340℃以上、さらに好ましくは350℃以上、特には355℃以上である。
【0013】
〔動粘度(30℃)〕
本発明の外燃用燃料組成物は、動粘度(30℃)が7.2mm2/s以下である。30℃での動粘度が高いと燃料噴霧時の燃料粒径が大きくなり、揮発性悪化や、空気との混合悪化から、煤が発生し易くなる。このため、本発明の外燃用燃料組成物の動粘度(30℃)は、7.2mm2/s以下、好ましくは7.0mm2/s以下、更に好ましくは6.0mm2/s以下、特には5.0mm2/s以下である。なお、本発明の外燃用燃料組成物は、動粘度(30℃)の下限に特に限定はないが、通常、燃料噴霧の貫通力を維持し、燃料消費の悪化を抑える為、動粘度(30℃)が3.0mm2/s以上であることが好ましく、さらに好ましくは4.0mm2/s以上である。
【0014】
〔水分〕
本発明の外燃用燃料組成物は、水分が120質量ppm以下である。水分が高すぎると外気温度の低下によって油中の水分が遊離し易くなり、遊離水が凍って燃料供給系に設置されている濾過用フィルタの閉塞を発生させ、また、燃料タンク貯蔵中に微生物が発生してスラッジ状物化して前記濾過用フィルタの交換頻度が増加する。このため、本発明の外燃用燃料組成物は、水分が120質量ppm以下であり、好ましくは100質量ppm以下、更に好ましくは80質量ppm以下、特には70質量ppm以下である。
【0015】
〔セタン指数〕
本発明の外燃用燃料組成物は、セタン指数が47〜65である。セタン指数が低すぎると低温での着火性が悪くなり、また、急激に着火して燃焼温度が高くなることで窒素酸化物の排出量が増加するため、本発明の外燃用燃料組成物のセタン指数は、47以上であり、好ましくは50以上、更に好ましくは53以上、特には55以上である。また、セタン指数が高すぎると拡散燃焼の炎の長さが長くなり、局所的に高温スポットが出来やすくなる為、本発明の外燃用燃料組成物のセタン指数は、65以下であり、好ましくは60以下、更に好ましくは58以下である。
【0016】
〔全硫黄分〕
本発明の外燃用燃料組成物は、全硫黄分が0.50質量%以下である。本発明の外燃用燃料組成物は、全硫黄分が0.50質量%以下であるので、燃焼によって生ずる亜硫酸ガス等に基づく不快臭や環境負荷が低減される。なお、本発明の外燃用燃料組成物の全硫黄分は、環境負荷低減の観点から、好ましくは0.30質量%以下、さらに好ましくは0.20質量%以下、特には0.10質量%以下である。
【0017】
〔全窒素分〕
本発明の外燃用燃料組成物は、全窒素分が300質量ppm以下である。本発明の外燃用燃料組成物は、全窒素分が300質量ppm以下であるので、燃焼によって生ずる窒素酸化物が少なく、環境負荷が低減される。なお、本発明の外燃用燃料組成物の全窒素分は、環境負荷低減の観点から、好ましくは250質量ppm以下、さらに好ましくは220質量ppm以下、特には210質量ppm以下である。
【0018】
〔全芳香族分〕
本発明の外燃用燃料組成物は、全芳香族分が25〜35容量%である。全芳香族分が低すぎると燃料消費量が増加する為、本発明の外燃用燃料組成物は、全芳香族分が25容量%以上であり、好ましくは28容量%以上、更に好ましくは30容量%以上である。一方、全芳香族分が高すぎると酸化反応速度が遅くなり、煤が発生し易くなる為、本発明の外燃用燃料組成物は、全芳香族分が35容量%以下であり、好ましくは33容量%以下である。
【0019】
〔2環芳香族分〕
本発明の外燃用燃料組成物は、2環芳香族分が6.0容量%以下であることが好ましい。ここで、2環芳香族分とは、ベンゼン環を2個有する化合物の含有量であり、ベンゼン環同士は、縮合していてもよい。2環芳香族分が高すぎると酸化反応速度が遅くなり、煤が発生し易くなる為、本発明の外燃用燃料組成物の2環芳香族分は、好ましくは6.0容量%以下であり、更に好ましくは5.7容量%以下、より一層好ましくは5.5容量%以下である。
【0020】
〔3環芳香族分〕
本発明の外燃用燃料組成物は、3環芳香族分が4.0容量%以下であることが好ましい。ここで、3環芳香族分とは、ベンゼン環を3個有する化合物の含有量であり、複数のベンゼン環が縮合していてもよい。3環芳香族分が高すぎると酸化反応速度が遅くなり、煤が発生し易くなる為、本発明の外燃用燃料組成物の3環芳香族分は、好ましくは4.0容量%以下であり、更に好ましくは3.0容量%以下、より一層好ましくは2.0容量%以下である。
【0021】
〔アニリン点〕
本発明の外燃用燃料組成物は、アニリン点が60.0〜80.0℃である。アニリン点が低すぎると、芳香族環数が増加し、燃焼性が悪化してスモークを発生し易くなる為、本発明の外燃用燃料組成物のアニリン点は、60.0℃以上であり、好ましくは65.0℃以上、さらに好ましくは66.0℃以上、特には67.0℃以上である。また、アニリン点が高すぎるとパラフィン分の増加により火炎の長さが長くなり、燃焼室内の温度分布が出来やすくなること、また発熱量が低下すること等により、ボイラー等の外燃機関の熱伝達効率が悪化する為、本発明の外燃用燃料組成物のアニリン点は、80.0℃以下であり、好ましくは78.0℃以下、さらに好ましくは75.0℃以下、特には73.0℃以下である。
【0022】
〔外燃用燃料組成物の製法〕
本発明の外燃用燃料組成物は、製法に特に限定はないが、原料油として、例えば、常圧蒸留装置、接触分解装置、熱分解装置等から得られる灯軽油留分、すなわち沸点が140〜360℃の範囲で留出する留分を用いて、水素化脱硫したものに、残炭調整剤として常圧蒸留装置のボトム油を添加することにより得られる。なお、2環芳香族分や3環芳香族分を抑える為、水素化脱硫する原料油にこれらの化合物を多く含む原料油、例えばアスファルトを熱分解した油の混合比率を抑えたり、原料油を選択したりすることが有効である。また、これら化合物含有量を抑える為に、原料油の高沸点側を蒸留分離したり、反応温度を高めとし、水素分圧を上げたり、水素/オイル比を高くしたりすることも有効である。なお、接触分解装置、熱分解装置等から得られる灯軽油留分は、難脱硫成分も多く含有することから、水素化脱硫にあたっては硫黄分を選択的に除去する触媒を用いることが好ましい。ここで、硫黄分を選択的に除去する触媒としては、CoMo触媒、NiMo触媒などが挙げられる。
【0023】
上記水素化脱硫は、例えば、水素化脱硫触媒として、Co、Mo及びNiの1種以上を含有し、又所望によりPを担持したものを用い、反応温度270〜380℃、好ましくは295〜360℃、反応圧力2.5〜8.5MPa、好ましくは2.7〜7.0MPa、LHSV0.9〜6.0h-1、好ましくは0.9〜5.4h-1、水素/オイル比130〜300(±5程度の変動は許容される)Nm3/kLの条件の範囲で適宜選択して、上述した本発明の外燃用燃料組成物が得られるようにする。特には、LHSV、水素圧、水素/オイル比は、大きい方が好ましい。また、反応温度は、酸化安定性の悪いスチレン類化合物やジエン類化合物の生成を抑える為に、低めにすることが好ましい。
【0024】
本発明に係る外燃用燃料組成物に対しては、当業者に知られた任意の酸化防止剤を必要に応じて添加することができる。酸化防止剤を添加する場合、その添加量は当業者であれば目的とする酸化安定性に応じて適宜調整することができる。例えば、燃料組成物が炭素数10以上のスチレン類及び炭素数15以上のジエン類を夫々0.01質量%以上含有する場合、酸化防止剤を添加して良好な酸化安定性を維持することができ、1〜10質量ppm程度の添加量で所望の効果を得ることができるが、10質量ppm以上添加してもよい。
【0025】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤の中で特に制限なく使用できる。具体的には、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤や、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤、及びこれらの混合物が挙げられる。フェノール系及びアミン系の化合物以外にも酸化防止効果を有する物質が考えられるが、区別を明確にするために、本発明においてはフェノール系及びアミン系の化合物のみを酸化防止剤として取扱い、酸化防止効果を有するその他の化合物を添加する場合は燃料基材として取り扱う。
【0026】
また、その他、低温流動性向上剤、耐摩耗性向上剤、セタン価向上剤等の公知の燃料添加剤を添加しても良い。なお、本発明の外燃用燃料組成物は低温流動性が良好である為、低温流動性向上剤を添加する必要はないが、添加する場合はエチレン共重合体などを用いることができ、特には酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどの飽和脂肪酸のビニルエステルが好ましく用いられる。また、耐摩耗性向上剤としては、例えば長鎖脂肪酸(炭素数12〜24)又はその脂肪酸エステルが好ましく用いられ、10〜500ppm、好ましくは50〜100ppmの添加量で十分に耐摩耗性が向上する。
【実施例】
【0027】
以下に、本発明の外燃用燃料組成物について実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例のように実施すれば実現できるが、本実施例に限定されるものではない。また、A重油用として生産する場合には、所定量添加することが義務付けされている軽油識別剤のクマリンを所定量になる様に添加することは言うまでもない。
【0028】
<供試燃料(外燃用燃料組成物)の調製>
・供試燃料1:市販A重油
・供試燃料2:供試燃料1の市販A重油75容量%と、常圧蒸留装置から留出した沸点範囲170〜360℃の留分を、脱蝋触媒を用いて蝋分を除去後に、Co、Mo、Pを担持した市販触媒を用い、反応温度350℃、反応圧力7.2MPa、水素/オイル比300±5Nm3/kL、LHSV1.0h-1、水素純度94%の条件下で水素化精製して得た水素化精製油25容量%とを混合して得た。
・供試燃料3:供試燃料1を75容量%、常圧蒸留装置から留出した沸点範囲145〜270℃の留分を、Co、Mo、Pを担持した市販触媒を用い、反応温度350℃、反応圧力10MPa、水素/オイル比300±5Nm3/kL、LHSV1.0h-1、水素純度94%の条件下で水素化精製した後、細孔径が5Åのゼオライト触媒でノルマルパラフィンを分離後、蒸留分離により得た炭素数14以上、沸点が250〜270℃のノルマルパラフィンを25容量%混合して得た。
・供試燃料4:供試燃料1を25容量%、前記炭素数14以上、沸点が250〜270℃のノルマルパラフィンを75容量%混合して得た。従って、供試燃料4は、供試燃料3よりノルマルパラフィン含有量が50容量%多い。
・供試燃料5:供試燃料1を75容量%、市販のイソパラフィン溶剤(NAS−5H)を25容量%混合して得た。
【0029】
<供試装置(ハウス加温機)>
・製造会社:ネポン(株)
・型式:HK3025TE
・出力:87.2kW
・油圧:1.03MPa
・燃料最大流量:9.7L/時間
【0030】
上記の供試燃料1、2、3、5について、それぞれの物性、成分組成を測定し、さらに、ハウス加温機による燃焼試験を行い、その燃焼排ガス中に含まれる煤の排出量、窒素酸化物の排出量から評価を行った。その結果を表1に示す。また、供試燃料3、4について、燃焼効率の結果を表2に示す。
【0031】
表1、表2に記載の物性、成分組成及び燃焼排ガス評価などの測定方法及び評価方法は、次に示す方法で測定、評価した。
1)密度:JIS K2249「原油及び石油製品密度試験方法」に規定された方法。
2)蒸留性状:JIS K2254「蒸留試験方法」に規定された方法。
3)動粘度:JIS K2283「動粘度試験方法」に規定された方法。
4)セタン指数:JIS K2280「セタン指数算出方法」に規定された方法。
5)全硫黄分:JIS K2541−6「硫黄分試験方法(紫外蛍光法)」に規定された方法。
6)全窒素分:JIS K2609「窒素分試験方法」に規定された方法。
7)水分:JIS K2275「水分試験方法」に規定された「カールフィッシャー式電量滴定法」。
8)総発熱量:JIS K2279「発熱量試験方法及び計算による推定方法」に規定された方法。
9)全芳香族分、1環芳香族分、2環芳香族分、3環芳香族分:石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に規定された方法。
10)アニリン点:JIS K2256「石油製品−アニリン点及び混合アニリン点試験方法」に規定された方法。
【0032】
<燃焼試験方法>
缶体から直近の煙道に排ガス採取口を取り付け、燃焼用空気量を制御するエアシャッタ開度を5〜7ポイント(全開状態から開孔の長さを計測することにより開度をそれぞれ55%、60%、65%として求めた)順次変えて、燃焼排ガス分析計にて排ガス(O2、CO、CO2およびNOx)とバッカラックスモークテスター(スモークテスターと略す)にてスモークを採取する。毎回、排ガス中O2濃度およびスモーク濃度を確認しながら、エアシャッタ開度を変えていく。一般に、エアシャッタ開度を狭めていくと、燃焼用空気量が減少し、効率は増加するが、スモークは増加していき、ある空気量より急激に増加していく。
【0033】
<燃焼排ガス分析計仕様>
・名称:燃焼排ガス分析計
・メーカ名:ホダカ株式会社
・型式:HT−1600N
・計測項目:O2、CO、CO2、NOx(定電位電解方式)
排ガス温度、圧力、燃焼効率
【0034】
<スモーク濃度測定計及び計測方法>
・名称:バッカラックスモークテスター
・メーカ名:ホダカ株式会社
・型式:HT−1650
・計測項目:スモーク(ASTM D−2156−95公認)
・計測方法:メーカ説明書に従い、ハンドルを手動にて10回前後させて排ガスを吸引し、予めセットした白色のろ紙に付着した色を所定のスケール(10段階:清浄0〜9汚染)の色と比較をし、濃度(度数)を判定する。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
表1から、排出ガス中酸素(O2)濃度が3%で一定の場合、比較例1に比べて、実施例1及び2は、スモーク濃度と窒素酸化物排出量の両方が同時に低い値を示した。なお、比較例2は、スモーク濃度が実施例1及び2より低いが、窒素酸化物排出量が高かった。
【0038】
また、排出ガス中酸素(O2)濃度が4%で一定の場合、並びに5%で一定の場合は、比較例1及び2は、スモーク濃度が実施例1及び2と同等だが、実施例1及び2に比べて、窒素酸化物排出量が高い値を示した。
【0039】
さらに、一般にエアシャッタ開度一定で使用されることが多いことから、特にスモーク濃度を重視して、エアシャッタ開度一定で実験したところ、エアシャッタ開度が55%の場合、比較例1及び2に比べて実施例1及び2は、スモーク濃度が低かった。なお、窒素酸化物排出量については、比較例1及び2より実施例1の方が高いが、スモーク濃度が比較例1及び2より大幅に低いため、総合評価としては実施例1の方がよい。また、実施例2は、窒素酸化物排出量が比較例1と比較例2の中間であるが、スモーク排出量が低く総合評価は良好である。
【0040】
また、エアシャッタ開度4%並びに5%のとき、比較例1及び2に比べて実施例1及び2のスモーク濃度は同等以下であり、かつ、窒素酸化物排出量が低かったので、実施例1及び2の総合評価は良好である。
【0041】
したがって、エアシャッタ開度一定のとき、実施例1及び2は、実使用においてスモーク濃度が低く良好である。
【0042】
また、表2から、比較例3よりも実施例1は、燃焼効率が高いことが分かる。なお、比較例3は、実施例1よりもノルマルパラフィン混合量が多い為、ノルマルパラフィン混合量が多すぎると、燃焼効率が低下することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度(15℃)が0.83〜0.87g/cm3、90%留出温度が330〜365℃、動粘度(30℃)が7.2mm2/s以下、全硫黄分が0.50質量%以下、全窒素分が300質量ppm以下、全芳香族分が25〜35容量%、アニリン点が60.0〜80.0℃、水分が120質量ppm以下、セタン指数(JIS−2280)が47〜65であることを特徴とする外燃用燃料組成物。
【請求項2】
さらに、2環芳香族分が6.0容量%以下、3環芳香族分が4.0容量%以下である請求項1に記載の外燃用燃料組成物。

【公開番号】特開2010−144128(P2010−144128A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325684(P2008−325684)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(304003860)株式会社ジャパンエナジー (344)
【Fターム(参考)】