説明

外科器械

骨、軟骨、類似組織を摘除する器械であって、長手方向に延び、かつ遠位端に長手方向に対し直角方向又は斜め方向に配置された切削板を担持する軸と、該軸に移動可能に取り付けられ、かつ遠位端に刃物を担持する切削部材とを含み、該刃物が、切削板の方向を向き、かつ切削板に接近し組織を摘除する。本発明の目的は、前記外科器械を改良して、施術者が、使用中の器械を、異なる器械に迅速、容易、かつ安全に交換可能にすることである。この目的は、軸の近位端に第1連結部を設けることにより達せられた。該第1連結部は、取り外し可能かつ形状接続式に駆動装置に連結される。駆動装置は、第1連結部と協働する第2連結部を備えている。他方、第1連結部は、多面体として構成され、その外面が軸の長手軸線から半径方向外方へ向いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨、軟骨、類似組織を摘除するための外科器械であって、長手方向に延びる軸と、軸に沿ってスライド可能な切削部材とを有し、前記軸が、その遠位端に長手方向に対し直角方向又は斜め方向に配置された切削板を担持し、前記切削部材が、その遠位端に刃物を担持し、該刃物が切削板方向を向いており、組織摘除のために切削板に向って接近可能である形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
外科分野では、しばしば、冒頭に述べた種類の、骨穿孔器形式に構成された外科器械が使用される。摘除すべき組織部分の大きさに応じて、相応の寸法の軸及び切削部材を有する様々な器械が用いられる。したがって、外科処置の場合には、複数の器械を用意せねばならない。更に、外科処置の間に器械の刃物と切削板との間の区域が汚れるため、浄化せねばならない。施術者は、その場合、その器械を脇へ置き、別の器械を用いて処置を続けねばならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、冒頭に述べた種類の外科器械を改良して、施術者が、迅速、簡単、確実に、別の器械と交換できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、冒頭に述べた種類の外科器械を、本発明により次のように構成することにより解決された。すなわち、軸の近位端に、取り外し可能に形状接続式に駆動装置と結合し得るような第1連結部を設け、該駆動装置が、第1連結部と協働する第2連結部を有するようにし、かつまた該第1連結部を多面体として構成し、該多面体の外面が軸の長手軸線から半径方向外方へ向くようにしたのである。
【0005】
冒頭に述べた種類の公知外科器械の本発明による改良により、器械を駆動装置から取り外し可能になり、その結果、異なる複数の器械に単一の駆動装置を必要とするだけとなった。このことによって、例えば、施術者が駆動装置を手に持ったまま、助手が器械を駆動装置から取り外して、施術者が必要とする別の器械を駆動装置と結合することが可能になる。また、極めて簡単かつ確実に、汚れた器械を駆動装置から取り外して、清浄な器械と交換することもできる。第1連結部を多面体に構成することによって、器械を駆動装置と迅速かつ確実に結合することも可能になる。特に、駆動装置に器械を相対回動不能かつ正確に位置決めすることが可能になる。
【0006】
また、器械を駆動装置に固定するのに、ねじ締結の必要がないので、器械を簡単かつ迅速に駆動装置に着脱することができる。また、第1連結部を多面体形式に構成することで、決まった駆動装置と以外は結合が許されない器械を、その駆動装置と確実に結合することができる。更に、特に対称的に構成された多面体の場合には、器械は、駆動装置に対し、多面体の外面の数に応じて、複数の異なる回動位置に配置かつ結合可能である。したがって、駆動装置に対する器械の不連続の位置を正確に予め決めることができる。
【0007】
器械の構成は、多面体を4面体、6面体、8面体のいずれかにした場合、特に簡単になる。4面体では、例えば、駆動装置に対し4つの異なる角度位置で器械を駆動装置と相対回動不能に結合でき、その場合、角度位置は、それぞれ互いに90°ずらされる。6面体の場合は、相応に駆動装置に対しそれぞれ60°ずらされた6つの不連続の角度位置を予め決めることができる。8面体の場合は、合計8つの互いに45°ずらされた器械の角度位置、すなわち0°位置から始まり、45°、90°、135°、180°、225°、270°、315°の各角度位置を予め決めることができる。
【0008】
器械の構成は総じて簡単化され、駆動装置との器械の結合は、軸の近位端が長手方向と平行な対称軸を有する場合は、容易に実現できる。
軸は、その近位端がスリーブ状に構成され、かつ切削部材が軸のスリーブ状端部を貫通するようにするのが好ましい。そうすることにより、簡単に、軸に沿った切削部材の案内が実現できる。
駆動装置に軸を簡単に軸方向固定できるようにするには、第1連結部に隣接して軸の長手方向に機能する2つのストッパを設けておくのが好ましい。
【0009】
本発明の一好適実施例によれば、遠位方向へ機能するストッパを第1連結部の近位側に設け、近位方向へ機能するストッパを第1連結部の遠位側に設けるように構成できる。この構成により、第2連結部は、第1連結部の双方のストッパ間へ挿入するようにすることができる。
本発明の別の実施例では、遠位方向へのストッパを第1連結部の遠位側に設け、近位方向へのストッパを第1連結部の近位側に設けるように構成することもできる。特にこの構成の場合には、第2連結部は第1連結部を形状接続式に、それも器具の長手方向に挟み込むように構成することができる。
その場合、多面体は、半径方向に突出した周方向に延びる突出部形式に構成するのが好ましい。こうすることで、器械の構成が簡単化され、特に、遠位方向及び近位方向へのストッパが第1連結部の遠位側と近位側で多面体に一体化される。
【0010】
軸の近位端が溝を有し、この溝が半径方向外方へ開き、かつ周方向に延び、溝底と、遠位及び近位の方向を向いた溝側壁とを備え、前記溝底が第1連結部を形成するのが好ましい。特に、溝の側壁は、遠位方向及び近位方向へ機能するストッパとして役立つ。更に、これにより、器具の特に簡単な構成が得られる。
軸の近位端が、少なくとも1つの半径方向に延びる貫通部を有し、切削部材が、少なくとも1つの半径方向を向いた凹部を有し、刃物が切削板から間隔を置いた状態となる器械開位置では、前記貫通部と凹部とが互いに少なくとも部分的に重なるように構成されるのが好ましい。器械は、例えば、固定部材が貫通部を貫通して凹部内へ挿入されることで開位置に固定できる。こうすることで、駆動装置が作動しても、刃物が切削板に接触する器械閉位置への器械の移動が防止される。特に浄化目的の場合、器械を開位置に前記のように固定又はロックすることは、器械を浄化する人員の怪我を防止できるので、好ましい。
【0011】
器械は、前記貫通部及び凹部を、盲孔、盲孔状の短冊穴、環状溝のいずれかにする場合に、特に簡単に構成できる。
器械を確実にロック又は固定するには、孔直径及び環状溝幅又は盲孔直径を一致又は事実上一致させ、かつまた孔及び環状溝又は盲孔が開位置では重なるようにするのが好ましい。
貫通部は、第1連結部に隣接配置するのが好ましい。このように配置することで、施術者が駆動装置を手に保持しながら、別の人員が器械を開位置に固定し、固定した位置で器械を駆動装置から外したり、切削板と刃物との間の器械遠位区域を浄化したりすることができる。施術者が誤って駆動装置を作動させても、刃物が切削板方向へ動いて器械を交換又は浄化している人員を傷つけることはない。
【0012】
施術者の助手が貫通部に容易に接近できるように、貫通部は第1連結部の遠位側に配置するのが好ましい。
器械の構成を更に簡単化し、特に駆動装置との結合を簡単に実現するには、切削部材が、その近位端に駆動装置の駆動部材と取り外す可能に結合可能な第3の連結部を備え、かつ軸の長手方向に機能する複数ストッパが第3連結部に隣接配置されるようにするのが好ましい。このように構成することにより、特に、駆動部材、例えば駆動装置の連行体は、ストッパ間に介入するか、又はストッパの周囲を掴み、それにより駆動装置の駆動力が近位方向にも遠位方向にも長手軸線方向と平行に切削部材に伝えられる。
遠位方向に機能するストッパは第3連結部の近位側に、近位方向に機能するストッパは第1連結部の遠位側に設けるのが好ましい。こうすることにより、切削部材の操作が簡単になる。なぜなら、そうすることで、連行体が2つのストッパ間に突入できるからである。
【0013】
本発明の別の好適実施例では、遠位方向に機能するストッパは第3連結部の遠位側に、近位方向に機能するストッパは第1連結部の近位側に配置するように構成することができる。その場合には、例えば、駆動部材は、第3連結部を遠位側と近位側とで掴むことができる。しかし、また、連行体として構成された第3連結部が、遠位方向と近位方向に機能する2つの駆動部材ストッパ間に突入するようにすることも考えられる。
原則として、第3連結部は、円筒形に構成され、円形横断面を有するようにすることが考えられ、またそれは好ましくもある。同じように、第3連結部は楕円形横断面を有していてもよい。もちろん、器械の構成は、第3連結部が多面体であっても簡単化される。特に、第3連結部は、第1連結部と似た構成であるのが好ましい。組織を決まった形式で摘除し得るためには、刃物が閉じられた環状の刃物であるのが好ましい。例えば、刃物は、円形に構成できるが、4角形に構成してもよい。
【0014】
器械を用いて摘除した組織が施術部位の区域に散らばるのは望ましくない。これを防止するには、切削部材が、その遠位端から近位端方向へ延びる摘除組織溜めを有するようにし、かつまた刃物が溜めの開口を少なくとも部分的に取り囲むようにするのが好ましい。刃物を切削板に押し付けて組織が摘除されると、組織は、本発明の構成により直接に摘除組織溜め内へ送入され、そこに溜められる。摘除組織溜めは、したがって、摘除された組織又は骨を収容する一種の組織又は骨の貯蔵部として役立っている。
【0015】
本発明の別の好適実施例によれば、摘除組織溜めは盲孔状に構成され、長手方向に切削部材のところをスライド可能な排出部材が備えられている。排出部材は、摘除組織溜めが空にされる引込み位置から、溜めが完全に又は事実上完全に充填される排出位置へスライド可能であり、またその逆も可能である。摘除組織溜めは、摘除された組織で部分的に又は完全に満たされると、排出部材により簡単かつ確実に空にできる。その場合、排出部材は、駆動装置により操作可能にすることが考えられるが、器械自体で操作するようにすることもできる。排出部材の運動によって摘除組織又は摘除骨片は、遠位方向に移動させられ、摘除組織溜めの開口を介して再び溜めから排出される。
【0016】
特に、摘除組織溜めの近位端に排出側口を設けた場合には、排出部材は備えなくともよい。摘除組織は、溜めの開口から溜め内へ押し込まれるが、溜めが満杯になっても、その後に摘除された組織が押し込まれることで排出側口を介して側方へ排出される。しかし、組織部分を完全には排出側口から押し出せない場合には、例えば排出側口から排出部材を挿入し、溜め内に残っている組織を遠位側の開口から押し出すこともできる。
施術者又は助手が、溜めが満杯か事実上空かを容易に識別できるようにするには、切削部材が、溜め区域の側部に少なくとも1つの視認用開口を有するようにするのが好ましい。視認用開口の構成に応じて溜めの充填状態を直接に視認できる。
【0017】
視認用開口からの摘除組織の漏出を防ぐには、少なくとも1つの視認用開口が長手方向と直角に、溜めの内径より小さい幅を有するようにするのが好ましい。
視認用開口を設ける場合、器械の最大安定性を得るためには、短冊穴形状の複数視認用開口を備えるようにするのが好ましい。
摘除組織溜めがほぼ満杯になったことを少なくとも識別するためには、かつまた器械を最大安定的に構成するためには、少なくとも1つの視認用開口を、溜めの近位端に隣接して遠位側に配置するのが好ましい。
軸に対する切削部材の長手方向運動を導くには、案内を設けるのが好ましい。これにより、特に、大きな力が切削部材に作用する場合、器械の安定性が高まる。
器械の出来るだけ長い寿命を実現するためには、刃物及び又は切削板に耐摩耗性コーティングを施すのが好ましい。
器械の特に長い耐用寿命は、耐摩耗性コーティングが窒化チタン(TiN)の場合、又は窒化チタン(TiN)を含有する場合に達せられる。
【0018】
本発明の一好適実施例によれば、駆動装置のデコーディング・ユニットと協働するコーディング・ユニットを、切削部材の種類又は型のコーディング用に、軸に備えるように構成される。コーディングは、軸の種類又は型の確認に役立つ。これにより、駆動装置の駆動力が、もっぱら切削部材の及び又は軸の種類や型に応じて切削部材に伝えられる利点が得られる。更に、それによって、特定の駆動装置にのみ使用可能な外科器械は、その駆動装置にだけ結合させ得るようにすることができる。
コーディング・ユニットの構成は、該ユニットが軸から突出する少なくとも1つの突起を有するようにすることで特に簡単になる。コード化を要する異なる器械の数に応じて、1つ以上の決まった軸位置に突起を設ければよい。
【0019】
冒頭に述べた種類の外科器械又は既述の器械の1つが、軸及び切削部材と形状接続式に取り外し可能に結合可能な駆動装置、それも駆動装置内に駆動力を発生させる駆動ユニットを備えた駆動装置を有するのが好ましい。そのさい、該駆動ユニットは、第1連結部と協働する第2連結部を含むのが好ましい。この駆動装置は、手動操作可能だが、機械式又は電気機械式に操作可能にしてもよい。更に、軸及び切削部材は、簡単に駆動装置から簡単に取り外し、かつ再び駆動装置と結合させることができる。
器械を特に簡単かつコンパクトに構成するには、駆動ユニットを流体で作動する形式にし、駆動方向を長手方向と非平行にし、駆動装置が力変向ユニットを有するようにして、駆動方向に作用する駆動力を、長手方向に切削部材に作用する作動力に変向するようにする。例えば、そうすることで、駆動ユニットを、長手方向に対し側方又は直角方向に突出する駆動装置握り内に統合できる。これにより、公知の駆動装置付き器械に比して、器械の全長を短縮できる。
【0020】
駆動装置は、好ましくは、長手方向に対し直角方向、事実上直角方向、斜め方向のいずれかに配向される。これによって、駆動ユニットを、例えば、長手方向に対し直角方向、事実上直角方向、斜め方向のいずれかに突出する駆動装置握りの区域内に配置できる。
好ましい構成では、駆動ユニットが、流体により作動する形式の駆動ユニットであり、駆動方向が長手方向に対し平行に側方にずらされ、駆動装置が力変向ユニットを含み、これにより駆動方向に働く駆動力が、長手方向に切削部材に作用する操作力に変向される。この構成により、器械を特に細い構成形態にすることができるが、これは、例えば、少なくとも1流体シリンダを含む駆動ユニットを、軸の長手軸線に対し平行かつ側方にずらして配置できるからである。この場合には、駆動ユニットが軸の長手軸線と平行に発生させる駆動力を、力変向ユニットにより切削部材の長手軸線方向に変向させることができる。
【0021】
駆動ユニットが少なくとも1流体シリンダを含む場合、器械は、全く電気エネルギーの供給なしで済ますことができる。流体シリンダに流体を負荷することにより、流体シリンダのピストンは、ピストンの長手軸線と平行に決まった形式で移動できる。これにより総じて器械の特に簡単な構成が可能になる。
互いに反対方向の駆動力が得られるようにするには、少なくとも1流体シリンダを複動流体シリンダとして構成するのが好ましい。そうすることにより、単一の流体シリンダでも切削部材を遠位方向及び近位方向の双方向に移動させることができる。
少なくとも1流体シリンダを空気シリンダ又は液圧シリンダとして構成するのが好ましい。空気シリンダは、特に圧縮空気を負荷することで駆動力を得ることができる。液圧シリンダは、人体忍容性の液体によって作動させるのが好ましい。
【0022】
本発明の一好適実施例によれば、力変向ユニットは、器械の操作力を得るために、駆動力の増力又は減力ユニットを含むか、又は増力又は減力ユニットの増力比又は減力比に相応する倍数に合致する作動力が得られるように構成するのが好ましい。こうすることで、特に駆動ユニットの大きさが予め決められている場合には、より大きい駆動力を簡単に発生させることができる。
力変向ユニットがアングルレバーを含み、アングルレバーが、第1レバー腕と、第1レバー腕に対し屈折した第2レバー腕とを有し、またアングルレバーが、両レバー腕の移行区域で軸に対し固定された駆動装置部分のところで揺動可能に支承され、駆動ユニットが第1レバー腕の自由端と協働し、第2レバー腕の自由端が切削部材と協働するようにすることで、器械を特に簡単に構成することができる。この簡単な機械式の構成によって、駆動装置内に作用する駆動力を器械の長手方向に変向することができる。
【0023】
駆動ユニットから切削部材への力の伝達と両者の協働は、第2レバー腕が切削部材及び近位端と協働する連行体を担持するようにすることで、特に簡単となる。
第2レバー腕の自由端は、第3連結部の近位側に配置された遠位方向に機能するストッパと、第3連結部の遠位側に配置された近位方向に機能するストッパとの間に突入するように構成するのが好ましい。これにより、アングルレバーの前後への揺動運動は、簡単に切削部材の前進後退運動に変換できる。第2レバー腕の自由端は、側方へ突出しないように、両ストッパ間へ突入するのが好ましい。こうすることで、第2レバー腕は長手方向に対し直角方向に或る程度整合し、それにより、総じて、アングルレバーと第3連結部との間の接続区域の特にコンパクトな構成が達せられる。
更に、第2レバー腕の自由端は、第3連結部に対して、遠位側では近位方向に作用し、近位側では遠位方向に作用するようにするのが好ましい。このような構成は、第3連結部が連行体として構成される場合には特に適している。
【0024】
増力ユニットの構成は、アングルレバーの両レバー腕が異なる長さを有するようにされることで、特に簡単となる。その場合、力は両レバー腕の長さの比に応じて増力又は減力される。
第1レバー腕と第2レバー腕との長さの比は、少なくとも2:1とするのが好ましい。より好ましい長さ比は3:1である。これにより、駆動力は簡単に少なくとも2倍増、特に3倍増される。つまり、切削部材に作用する操作力は、駆動ユニットにより発生させられる駆動力の少なくとも2倍、3倍となる。
器械の構成は、少なくとも1つの流体シリンダのピストン自由端が第1レバー腕とリンク結合されることで、更に簡単となる。こうすることで、必要な器械構成部材数が最小化される。レバー腕長さが異なる場合、アングルレバーは、同時に力変向ユニットと増力ユニットとの2役を演じることになる。
【0025】
器械の扱いやすさは、駆動装置がハウジングを含み、ハウジングの第1部分が握り形式に構成され、ハウジングの第2部分が軸の近位端を受容するように構成され、駆動ユニットがハウジング第1部分内に配置されるようにすることで、改善される。更に、ハウジングは、その内部に配置される駆動装置、特に駆動ユニットの部品の保護に役立つ。
軸は、駆動装置に対して長手方向と平行な回動軸線を中心として回動可能であり、かつ駆動装置に対し任意の回動位置で逆動可能に固定可能であるのが好ましい。施術上の要求に応じて、軸は、所望の回動位置へ移動させて、そこに固定することができ、それにより、軸を特に逆さにしたり、横向きにして器械で施術することができる。
【0026】
駆動ユニットが複数の異なる力を発生できるようにするには、別個に起動制御可能な2つの流体シリンダを接続しておくのが好ましい。2つの流体シリンダによって合計4つの決まった駆動力、すなわち無駆動力、第1、第2、第3の駆動力を発生させることができ、しかも、その場合、第1と第2の駆動力は、それぞれ1つのシリンダに流体を負荷することで、また第3駆動力は双方のシリンダに同時に流体を負荷することで発生させることができる。
合計4つの異なる駆動力を予め設定できるようにするには、双方の流体シリンダが異なる作用横断面積を有するようにするのが好ましい。
【0027】
この作用横断面積の比は4:1から9:1の範囲であるのが好ましい。このように構成することで、刃物を有する切削部材を、駆動ユニットが発生させ得る最大駆動力の約10〜20パーセントの駆動力で前進させることができる。これにより、被摘除組織が、この段階で刃物で分離されるのが防止される。施術者は、駆動ユニットの最大駆動力のほぼ10〜20パーセントの力で刃物を被摘除組織の方へ移動させて、器械を被摘除組織に接近させ、調節を完了した後に初めて、駆動ユニットの最大駆動力を切削部材に負荷することで組織を摘除する。
軸を駆動装置と簡単に連結できるようにするには、駆動装置のところの第2連結部を第1連結部と対応する形式に構成するのが好ましい。
器械の構成を特に簡単にするには、第2連結部が、ハウジングの第1部分から軸の方へ突出する2つの、又は少なくとも2つの係止突起を含むようにする。これらの突起は形状接続式に又は事実上形状接続式に軸の周方向溝に突入できる。この周方向溝の底部は多面体により形成される。
【0028】
本発明の別の好適実施例によれば、ハウジングの第1部分が受容部を含み、この受容部内へは軸の近位端を装入可能であり、軸が長手方向にスライド不能に保持される装入位置では、軸の遠位端が受容部から遠位方向に突出し、また前記受容部は、長手方向と直角の装入方向で軸の遠位端を装入するための装入開口を有し、更に該装入開口を閉じ、かつ軸を受容部内に固定するための蓋が備えられている。この好適な構成により軸及び切削部材は、簡単かつ迅速に駆動装置と結合可能である。特に、そのためには、蓋を装入開口から除去し、軸近位端を受容部内へ装入し、受容部、つまり装入開口を再び蓋で閉じさえすればよい。軸は、そうすることで、駆動装置と結合されると同時に、駆動装置に固定される。軸を駆動装置にねじ止めする厄介な作業は不要である。
軸を受容部内に特に確実に固定する作業は、蓋をハウジングのところにスライド可能に支承し、装入開口を開くときには近位方向にスライドさせることで可能になる。装入開口を開閉するには、蓋を長手方向と平行に近位方向又は遠位方向に押しずらすだけでよい。
【0029】
本発明の別の好適実施例によれば、前記蓋がハウジングのところに旋回軸を中心として旋回可能に支承されるように構成されている。これによって、装入開口は、蓋をはね上げることで開けることができる。蓋は、軸を受容部に装入した後、再び当初位置に旋回させて戻すことができる。蓋の旋回は、蓋のスライドと組み合わせることもできる。例えば、蓋が、先ず案内内で並進運動のみを行い、一定のスライド運動の後に初めて旋回可能になるようにする。旋回運動は、その場合、長手方向に対し平行方向又は直角方向に行うようにすることができる。
旋回軸線は、長手方向に対して平行方向又は直角方向に延びるようにするのが好ましい。駆動装置の、特にハウジングの構成に応じて、蓋は旋回軸線を中心として長手方向に対して平行方向又は直角方向に旋回するのが好ましい。特に、蓋がスライドも可能に支承されている場合には、旋回軸線を中心として長手方向に対し直角方向へ旋回するのが好ましい。なぜなら、装入開口を開き、蓋を旋回させた後、蓋はその全長が器械から突出するのではなく、スライド距離だけ短縮された長さだけ突出するからである。
【0030】
特に確実な器具の取り扱いが保証されるのは、蓋を開いた場合には、駆動ユニットのエネルギー供給及び/又は作動媒体供給が中止されるようにした場合である。そうすることで、蓋の開放時に、器械の軸を交換する人員が怪我をする恐れのある第3連結部の運動が確実に阻止される。そのためには、特に、エネルギー又は作動媒体の流れを制御するために、機械式、電気式、電子式、流体作動式いずれかの制御装置を備えることができる。
器械の浄化時に駆動装置が作動するのを防止するためには、駆動装置のところに、貫通部及び凹部に対応する固定部材を長手軸線方向に対し直角方向に可動に支承しておくのが好ましい。固定部材は、固定位置では凹部に突入し、解除位置では凹部から外れるようにする。この固定部材により、施術者が駆動装置を保持する一方、第2の人員が固定部材を解除位置から固定位置へ移動させることで、施術者による駆動装置の操作が無効のままとなる。従って、駆動装置と結合された軸を交換又は浄化する人員が、施術者の偶然の駆動装置操作によって怪我をするようなことが確実に防止される。
【0031】
施術者の助手が固定部材に容易に接近できるようにするには、固定部材が、ハウジングの第1部分に第2連結部と隣接して配置され、解除位置にばねで付勢保持されるようにしておくのが好ましい。器械は、このようにすることで助手が固定位置へ能動的に移動させねばならない。助手が固定部材を操作しない限り、施術者は、駆動装置を操作して器械を所望のとおりに組織摘除に使用できる。
本発明の一好適実施例によれば、駆動装置が、切削部材の種類及び型のデコード化のために、コーディング・ユニットと協働するデコーディング・ユニットを有するように構成されている。こうすることで、特定切削部材が過大な操作力を負荷される恐れが、確実になくなる。このことは、例えば、少なくとも1つの突起を有するコーディング・ユニットが、駆動ユニットのエネルギー供給及び又は作動媒体供給を制限する単数又は複数の制御部材を機械式に操作するようにすることで実現できる。
以下で、本発明の複数好適実施例を図面との関連で詳細に説明する。
【実施例1】
【0032】
図1から図5には、骨穿孔器形式の、本発明による外科器械が、全体を符号10で示されている。骨穿孔器10は、2つの主要な構成部品群、すなわち握り部分12と、符号14で示した穿孔器具とを含んでいる。
穿孔器具14は、長手方向に延びる長尺の軸18を含み、この軸が、その遠位端に長手軸線16の方向に対して約45度傾斜した切削板20を担持している。軸の近位端は、連結片22を形成し、この連結片が、面取りされた長手縁を有する断面方形の長く延びた直方体形式に構成されている。連結片22は、長手軸線16を中心とする貫通孔24を備えている。更に、軸18の近位端から幾分間隔をおいて、連結片22には周方向に延びる溝状の凹部26が設けられており、凹部の底部は四面角28を形成している。この底部は、第1連結部として、穿孔器具14を握り12と相対回動不能に結合するのに役立つ。近位側で四面角28に続く凹部側壁30は、遠位方向へのストッパを形成している。遠位側で凹部26に続く側壁32は、近位方向へのストッパを形成している。
【0033】
連結片22の凹部26の遠位側には、4つの等しい固定用孔34が形成され、これらの孔が、長手軸線16に対して半径方向に連結片22を貫通して貫通孔24まで達している。更に、方形の連結片22は、遠位側が先細に縮径され、端部は事実上円形スリーブ状になっている。
【0034】
穿孔器具14は穿孔器36を含み、穿孔器36は、その遠位端に長手軸線16に対し切削板20と等しい角度だけ傾斜した刃物38を担持している。穿孔器38は、事実上その全長にわたって軸18の軸面40に平らに接触している。穿孔器36は、近位側で連結片22の貫通孔24を貫通している。遠位側では横断面が事実上方形の穿孔器36が、この区域では円筒形に構成されている。穿孔器36の円筒形部分には、近位側に方形でプレート状のフランジ42が設けられ、該フランジが連結4面角部44を遠位側で限界付け、近位方向へのストッパを形成している。連結4面角部44には、穿孔器36の端部を形成する方形の端板46が続いており、遠位方向へのストッパを形成している。フランジ42は、加えて、遠位方向へのストッパをも形成しており、刃物38が遠位位置を占める場合、すなわち切削板20に密着する場合、連結片22の近位端に突き当る。
【0035】
軸18に対する穿孔器36の運動を安定的にするために、連結片22によって形成される案内に加えて、軸の遠位端に軸表面40から軸横断面内へ形成された案内溝48が設けられている。この案内溝48内を、穿孔器36から突出する案内突出部50が案内されている。案内突出部50は、長手軸線16と平行に穿孔器36の遠位端から近位方向に延びている。案内突出部50と案内溝48とは、事実上対応するように構成され、例えばあり溝形状を有することができる。
【0036】
穿孔器36は、刃物38から始まって長手軸線16と平行に延びる盲孔状の空所を備え、この空所が骨穿孔器10で摘除された組織の溜め52として役立っている。刃物によって摘除された組織54は、組織溜め52の遠位側の開口56から押し込まれ、組織54が更に摘除されるにつれて、近位方向へ、つまり図1の矢印Aの方向へ押し込まれる。図示の実施例の場合、組織溜め52から排出するために、排出口58が備えられ、排出口58は、長手軸線16に対して斜めに延びる孔として穿孔器16に形成され、この孔が、組織溜め52と穿孔器具14の周囲との流体接続部を形成している。摘除された組織と組織溜め52内に溜まった組織54とは排出口58を介して外部へ排出される。本発明の、図示されていない別の実施例では、穿孔器36内に長手軸線16と平行方向にスライド可能なロッド形式の排出部材が備えられ、この排出部材によって、組織溜め52の近位端から始めて溜め内に溜まった組織54を遠位方向へ開口56から押し出すことができる。
【0037】
骨穿孔器10の握り部分12は、事実上ピストルの握りに似たハウジング形式に構成されている。この握り部分は、長手軸線16と平行に延びる断面方形のハウジング上部60を含み、ハウジング上部60は、遠位方向を向いた開口66を有し、軸18の連結片22を受容するための、事実上長く延びた断面方形の受容室64を形成している。このハウジング上部60からは、握り62が、幾分近位方向に傾斜して突出している。
ハウジング上部60はスライド式の蓋70を含み、この蓋70が、リブ状突起の形状に長手軸線16と平行に構成された2つの案内を介して、ハウジング上部60の、長手軸線16と平行に延びる両側壁の長手方向溝内を案内される。スライド式蓋70は、その遠位位置では受容室64を完全に覆うが、その近位位置では受容室64の大部分を開放する。これにより、装入開口が形成され、この装入開口から、連結片22は長手軸線16に対し直角方向に受容室64内へ装入される。
【0038】
側壁72の内面には、互いに対向し第2連結部を形成する連結突起74が突出している。これらの連結突起は、事実上平らな直方体形状に構成され、直方体の寸法は、側壁30,32間の凹部26内へ突入可能、かつ事実上4面体28に接触可能に選択されている。
【0039】
連結突起74の遠位側には、ハウジング上部60が、その下面に下方へ開いた鉢状凹部68を備え、該凹部は孔76を介して受容室64に接続されている。凹部68は、受容室64とは反対側に外方からディスク78が取り付けられ、該ディスクが、半径方向内方へ突入するフランジを形成している。凹部68は固定ノブ80を受容するのに役立ち、固定ノブ80は孔76を貫通する円筒形ボルト82を含み、ボルト82はヘッド84を有し、しかも、ヘッド84とボルト82との移行部には、半径方向外方へ突出する環状フランジ86が形成されている。凹部内には、孔76に隣接する箇所にボルト82を囲んでコイルばね8が配置され、該ばねの他端がヘッド84の下側に当て付けられている。こうすることにより、環状フランジ86は、基本位置、つまり休止位置ではディスク78に押し付けられた状態となる。コイルばね88の作用に抗して、固定ノブ80を受容室64の方向へ押し込むことができる。
【0040】
固定ノブ80は、加えて、連結片22が受容室64内へ装入されている場合、コイルばね88により環状フランジ86がディスク78に押し付けられる状態の基本位置で固定用孔34に事実上形状接続式にかん合するように構成されている。固定ノブ80は、しかし、連結片22が装入されていて、貫通孔24を貫通する穿孔器具14の円筒形部分を周方向に取り巻く環状溝90が、固定用孔34と半径方向で重なっている場合には、受容室64の方向にしか移動できない。この状況は、図1に示すように、穿孔器具14が軸18に対して最も近位の位置を占めている場合である。言い換えると、刃物38と切削板20との間隔が最大の場合である。その場合に固定ノブ80を押し込むと、ボルト82の先端が環状溝90内へ突入し、それにより、穿孔器具14の、長手軸線16と平行方向の運動が阻止される。
【0041】
全体が符号92で示された空気式駆動装置は、事実上、握り62の内部か又は握りの外側に配置される。駆動装置92は、操作レバー94と、操作レバー94により操作可能な制御弁96と、第1空気シリンダ98及び第2空気シリンダ100を含む駆動ユニットとを含んでいる。操作レバー94は、握り62の遠位側に、それもハウジング上部60の直下に配置され、長手軸線16に対し直角方向の軸線を中心に揺動可能に支承されている。
【0042】
双方の空気シリンダ98,100は、それぞれ複動式に構成され、しかも、第1空気シリンダ98が円筒形のピストン室102を含み、該ピストン室内には2個のシールリング104によりシールされたピストン106は、ピストン室102の対称軸線と平行に摺動可能である。ピストン室102は、握り62と同じように、長手軸線16に対し幾分傾斜している。ピストン106からは、ピストンロッド106が受容室64方向へ突出し、ピストン室102を受容室64と接続するピストン孔110内を案内されている。ピストン室112は、直接にピストン室102に続いているが、内径が幾分大きい。ピストン室112内に摺動可能に支承されたピストン114は、2個のピストンリング116によりシールされ、ピストンロッド118を介して直接にピストン106と結合されている。双方の空気シリンダ98,100は、全体として回転対称的なピストン‐シリンダ‐ユニットを形成している。ピストン室102,112は、シール板120によって分離されており、このシール板120をピストンロッド118が貫通している。
【0043】
ピストンロッド108からは、受容室64方向へ方形延長部122が続いており、この延長部122が、長手軸線16及びピストンロッド108の長手軸線に対し直角方向に両側から突出する駆動ピン124を担持している。ハウジング上部60から握り62への移行区域には、駆動ピン124と平行に支承軸126が配置されている。支承軸126は、L字形のアングルレバー128を支承するのに役立っている。アングルレバー128の第2レバー腕130は、事実上受容室64の方向を向き、第1レバー腕132は、事実上受容室64と平行に近位方向を向いている。
【0044】
双方のレバー腕130,132の自由端には、それぞれ骨穿孔器10の対称平面と平行に支承軸126方向にスリットが形成され、それぞれ自由端がU字形を形成するようになっている。第2レバー腕130の、スリットを有する自由端は、2つのディスク状連行体134の形式に構成され、アングルレバー128は、該自由端が、フランジ42と端板46との間の連結4面体44を両側から掴み、しかもフランジ42と端板46から側方に突出することのないように、配置されている。第2レバー腕130は、加えて、連行体134に比して細くされ、フランジ42と端板46には連行体134だけが接触するようになっている。第1レバー腕132の、スリットを有する自由端は、それぞれ短冊穴状のスリット136を備え、延長部122を挟んでおり、しかも、駆動ピン124がスリット136内に突入し、スリット内を案内されている。
【0045】
第1レバー腕132は、第2レバー腕130のほぼ2倍の長さである。したがって、アングルレバー128は、一方では、図1の矢印Bの方向に空気シリンダ98,100が発生させる駆動力を、図1の矢印Cで示された、長手軸線16と平行の駆動方向へ変更する変向ユニットを形成している。だが、同時に、アングルレバー128は、ピストン‐シリンダ‐ユニットが発生させる駆動力をレバー腕130,132の長さ比に基づき倍増させる増力ユニットをも形成している。
【0046】
空気シリンダ98,100の制御には制御弁96が役立っている。制御弁96は、受容室64とは反対側の、握り62の端部区域に第2空気シリンダ100と平行に配置され、操作部材94により操作可能かつピストン106,114と平行に摺動可能なプランジャ138を含んでいる。制御弁96は、全体が回転対称に構成され、しかも、プランジャ138は、制御弁96を貫通して長く延びる円筒形に構成され、決まった深さの複数環状溝を有している。操作部材94とは反対側のプランジャ138の端部には、盲孔140が設けられ、そこにはコイルばね142が配置されている。プランジャ138は、操作部材94によりコイルばね142の作用に抗して受容室94とは反対の方向へ、ディスク144にぶつかるまで移動できる。ディスク144は、第2のコイルばね146によって、操作部材94とは反対側の、円筒形弁室148の環状壁部に押し付けられている。
【0047】
コイルばね142,146は、いずれも弁室148の入口150を取り囲む底部に支えられている。この底部は、操作部材94の方向を向き、環状壁部と対向している。コイルばね146のばね定数は、コイルばね142のばね定数の数倍高い値である。したがって、操作部材、すなわち操作レバー94を操作するさい、施術者は、コイルばね142,146が発生させるプランジャ138への戻し力に基づいて、制御弁96の制御位置を推測できる。操作レバー94の非操作位置から始まって、プランジャ138は、先ず、ディスク144にぶつかるまで、コイルばね192だけを押圧する。操作レバー94を更に旋回させると、プランジャ138はディスク144を連行して、コイルばね146をも圧縮する。コイルばね146のばね定数は、コイルばね142のばね定数より数倍高い値であるから、施術者には、第2の制御位置に変わったことが触覚としてフィードバックされる。
【0048】
制御弁96の入口150は、図示されていない形式で圧縮空気供給管152と接続されており、供給管152は握り部分12を、図示されていない圧縮空気原と接続している。制御弁96の、詳細には図示されていない制御入口及び制御出口は、骨穿孔器の後続の作業を実現するため、双方の空気シリンダ98,100に接続されている。
操作レバー94の非操作位置では、第1空気シリンダ98が圧縮空気を負荷されることで、ピストン106がシール板120のほうに移動する。骨穿孔器は、その場合、開位置をとる。言い換えると、連行体134により穿孔器36の端板46が、その近位位置に止められる。この場合、刃物38と切削板20との間隔は最大となる。
【0049】
操作レバー94がコイルばね142の方へ移動し、しかもプランジャ138がディスク144にぶつかる前に、ピストン106とシール板120との間に圧縮空気が負荷されることで、ピストン106のみが図1の矢印Bの方向に移動する。第1空気シリンダ98と第2空気シリンダ100との作用横断面比は約1:4なので、先ず、最大可能な駆動力の約20%の駆動力のみが発生し、アングルレバー128を介して穿孔器36に伝えられる。この程度の減力された力が穿孔器36に作用しても、通常、被摘除組織、例えば骨部分を分離するには不十分である。図1に破線で囲んだ区域Dで示したように、この力は、刃物38を組織に近づけるためだけのものである。骨穿孔器10を操作する施術者は、操作レバーのこの第1操作位置では、切削板20を、望むように被摘除組織54に当て付けることができるが、まだ組織54を分離するには至らない。
【0050】
摘除位置を決めたら、操作レバー94を完全に引き締めることができる。プランジャ138は、いまやコイルばね146のほうへも移動させられるが、施術者は、そのことを、より大きい操作力を加える必要から感じ取りながら、操作レバー94を引き締める。制御弁96は、これにより、第1空気シリンダ98と第2空気シリンダ100の双方が圧縮空気を負荷される制御位置となる。すなわち、双方のピストン106,114が矢印Bの方向に移動する。これと共に、駆動装置92の最大の駆動力が、アングルレバー128を介して穿孔器36に伝えられる。この駆動力は、組織54を所望の形式で摘除するのに適したものである。
操作レバー94を放すと、コイルばね142,146がプランジャ138を、その出発位置へ押し戻し、再び空気シリンダ98に圧力が負荷されることで、穿孔器36には矢印Bと逆方向の負荷が加わり、穿孔器36は、図2に示された摘除位置から、図1の区域Dに示された中間位置を経て、図1に示された基本位置、つまり最近位位置へ戻される。
【0051】
施術者が操作レバー94を押圧して駆動装置92をうっかり作動させることを防止するために、ハウジング上部60の近位区域には、安全弁154が配置されている。安全弁154は弁プランジャ156を含み、該弁プランジャは、長手軸線16に対し直角方向に摺動可能に支承され、蓋70の内面に対し弾性的に付勢されている。蓋が、図1に示すように閉じられている場合には、弁プランジャ156は、圧縮空気供給管152と制御弁96の入口150とが流体接続される位置を占める。しかし、蓋70が開かれる場合、安全弁154から突出する弁プランジャ端部が、蓋の内面の始めの傾斜部158に沿ってスライドすることで、弾性的に付勢されている弁プランジャ156は、更に安全弁154の弁体から突出する。
【0052】
これによって、安全弁154の制御位置が変わり、圧縮空気供給管152と制御弁96の入口150との間の接続が絶たれる結果、駆動装置92が圧縮空気源から分離されるため、操作レバー94の操作が無効のままとなる。蓋70が完全に再び閉じられると、初めて弁プランジャ156は安全弁154の弁体内へ押し込まれ、その結果、再び安全弁154は、圧縮空気供給管152が制御弁96の入口150と流体接続される制御位置を占める。
【0053】
例えば、組織54が刃物38と切削板20との間に詰まったために、骨穿孔器10を使用中に浄化する必要が生じた場合、施術者は、骨穿孔器10を手から離す必要はない。施術者の助手が刃物38と切削板20との間のスペースを浄化でき、しかも施術者が操作レバー94を操作した場合ですら、助手が傷つく危険がない。操作レバー94の非操作位置では、環状溝90と固定孔34とが重なる。この状態では、施術者の助手が、コイルばね88の作用に抗して固定ノブ80を押し込むことができ、その結果、ボルト82は環状溝90内へ突入する。これによって、穿孔器36の遠位方向への運動は、施術者が操作レバー94を押したとしても、阻止される。切除された組織部分54を清掃すると、施術者の助手は、固定ノブ80を再び放し、施術者は、外科処置を続けることができる。前述の浄化過程が、特に簡単に実施できるのは、固定ノブ80が、操作レバー94から十分に離れて、特に操作レバーの遠位側に配置されてるため、施術者の助手が常に自由に接近できるからである。
【0054】
連結片22を特別に構成、特に4面体28に構成することにより、穿孔器具14は4つの異なる位置で握り部分12と結合できる。図1〜図5では、穿孔器具14が、切削板20と刃物38との中間区域が上を向く状態で握り部分12と結合されている。骨穿孔器10の両部分20,30は、しかし、中間区域が、下向き、又は骨穿孔器の両側の一方を向くように握り部分と結合することもできる。握り部分12に対する穿孔器具14の相対位置を変更するには、スライド式の蓋70を近位方向に、受容室63が開き骨穿孔器14を取り出せるまで押しずらせるだけでよい。そうしてから、穿孔器具を90度、180度、270度回転させ、再び受容室64内へ装入することができる。蓋70を遠位方向にスライドさせることにより受容室64は閉じられ、加えて、連結片22が握り部分12に固定される。
【実施例2】
【0055】
図6には本発明の骨穿孔器の第2実施例が、全体を符号10’で示されている。この実施例の場合、穿孔器具14は、骨穿孔器10の穿孔器具14と等しいが、握り部分12’が、骨穿孔器10の握り部分12とは幾分異なっている。握り部分12と握り部分12’の双方で等しい構成の部分には、’付きの等しい符号が付されている。
握り部分12と握り部分12’との唯一の重要な相違は、はね上げ蓋170である。はね上げ蓋170は、揺動軸線172を中心として揺動可能に支承され、該揺動軸線は、受容室64’の近位端に蓋170から直角方向に突出する2つの対向ピンによって形成され、該ピンが側壁72の対応穴内に保持されている。図6には、はね上げ蓋170が開位置で示され、この位置では、受容室64’が開放され、穿孔器具14を取り出すことができる。詳しくは図示されていないロック機構により、はね上げ蓋170は、受容室64’を覆う閉位置に固定できる。
【実施例3】
【0056】
図7には、本発明による骨穿孔器の第3実施例が、全体を符号10”で示されている。骨穿孔器10”は、同じように、骨穿孔器10の穿孔器具14と等しい穿孔器具14、並びに全体を符号12”で示した握り部分を含んでいる。この握り部分は、骨穿孔器10の握り部分12とは、蓋180の構成が異なっている。握り部分12と握り部分12”との等しい部分は、また等しい符号に上付きの”印を付して示してある。
側壁72”の遠位端には、受容室64”の両側に2つの案内リブ184が対称的に配置され、これらの案内リブが、長手軸線16と平行な、蓋180の遠位端の長手方向案内を形成している。この目的のために、蓋180には、両案内リブ184に対応する、詳細には図示されていない長手方向突出部が設けられている。側壁72”は、その近位端区域に側方に開いた、案内リブ184と平行に延びる案内溝182を備え、これらの案内溝内へは、それぞれ同心的に互いに対向し蓋180から突出している案内ピンが突入し、同じく、長手軸線16と平行な、蓋118の案内を形成する。
【0057】
蓋180は、受容室64”が閉じられる蓋位置(図示せず)から出発して、先ず近位方向にのみ、側壁遠位端に設けられた案内リブ184の長さに対応する距離だけ押しずらすことができる。蓋180は、案内リブ184から外れたとたんに、案内ピンにより形成された揺動軸線186を中心として旋回し、後方へはね上げられ、受容室64”を完全に開放できる。これにより、穿孔器具14は別の器具と交換できる。別の穿孔器具14が受容室64”内に装入されると、受容室64”を閉じるために、蓋180を先ず揺動軸線186を中心として旋回させてから、長手軸線16と平行に遠位方向に押しずらす。そのさい、蓋180の遠位端が再び案内リブ184に係合するように注意する。案内リブは、したがって、側壁72’のところで同時に蓋180の案内とロック機構とを形成する。
その他の点では、骨穿孔器10’,10”の握り部分12’,12”は、骨穿孔器10の握り部分12と等しい構成を有している。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】非操作位置の骨穿孔器の従断面図。(実施例1)
【図2】操作位置の骨穿孔器の図1同様の従断面図。
【図3】図1の骨穿孔器の軸交換の場合を示す斜視図。
【図4】軸交換時に器械の軸を装入する過程を示す拡大部分従断面図。
【図5】図4の5−5線に沿って切断した横断面図。
【図6】骨穿孔器の第2実施例の側面図。(実施例2)
【図7】骨穿孔器の第3実施例の側面図。(実施例3)
【符号の説明】
【0059】
10 骨穿孔器
12 握り部分
14 穿孔器具
16 長手軸線、長手方向
18 軸
20 切削板
22 連結片
24 貫通孔
26 凹部
28 4面体、第1連結部
30,32 凹部側壁、ストッパ
34 固定孔、貫通部
36 穿孔器
38 刃物
40 軸面
42 フランジ
44 連結4面体、第3連結部
46 端板
48 案内溝
50 案内突出部
52 摘除組織溜め
54 組織
56 捕集口
58 排出口
60 ハウジング上部
62 握り
64 受容室
68 凹部
70 スライド式の蓋
72 側壁
74 第2連結部、係止突起、連結突起
76 孔
78 ディスク
80 固定ノブ
82 ボルト
84 固定ノブ
86 環状フランジ
90 凹部、環状溝
92 駆動装置
96 制御弁
98 第1空気シリンダ
100 第2空気シリンダ
102,112 ピストン室
104,116 シールリング
106,114 ピストン
108,118 ピストンロッド
110 ピストン孔
122 延長部
124 駆動軸
128 アングルレバー
130 第2レバー腕
132 第1レバー腕
134 連行体
136 スリット
138 プランジャ
140 盲孔
142,146 コイルばね
144 ディスク
148 弁室
150 入口
152 圧縮空気供給管
154 安全弁
156 弁プランジャ
158 傾斜部
170 はね上げ蓋
172 旋回軸線
180 蓋
184 案内リブ
186 旋回軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨、軟骨、その種の組織(54)を除去する外科器械(10)であって、長手軸線(16)方向に延びる軸(18)と、該軸にスライド可能に支承された切削部材(36)とを有し、軸(18)が、その遠位端に長手軸線方向に対して直角方向又は斜め方向の切削板(20)を担持し、切削部材(36)が、その遠位端に切削板方向を向いた、組織(54)の摘除のために切削板(20)に接近可能な刃物(38)を担持する形式のものにおいて、
前記軸(18)の近位端に第1連結部(28)が、駆動装置(12)と形状接続式に取り外し可能に結合するように設けられ、駆動装置(12)が、該第1連結部と協働する第2連結部(74)を有しており、かつまた第1連結部(28)が多面体であり、該多面体の外面が軸(18)の長手軸線(16)から半径方向外方に向いていることを特徴とする、外科器械。
【請求項2】
前記多面体が、4面体(28)、6面体、8面体のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載された外科器械。
【請求項3】
軸(18)の前記近位端が長手軸線(16)と平行な対称軸線を有している、請求項1又は請求項2に記載された外科器械。
【請求項4】
前記軸(18)の近位端がスリーブ状に形成され、かつ切削部材(36)が軸(18)のスリーブ状端部(22)を貫通していることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項5】
前記第1連結部(28)に隣接して軸(18)の長手方向(16)へのストッパ(30,32)が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項6】
遠位方向へのストッパ(30)が第1連結部(28)の近位側に設けられ、近位方向へのストッパ(32)が第1連結部(28)の遠位側に設けられていることを特徴とする、請求項5に記載された外科器械。
【請求項7】
遠位方向へのストッパが第1連結部の遠位側に設けられ、近位方向へのストッパが第1連結部の近位側に設けられていることを特徴とする、請求項5に記載された外科器械。
【請求項8】
前記多面体(28)が、半径方向に突出した周方向に延びる突出部形式に構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項9】
軸(18)の前記近位端(22)に、半径方向外方へ開き、周方向に延び、溝底(28)を有する溝(26)と、遠位方向及び近位方向に向いた溝側壁(30,32)とが設けられ、かつ溝底(28)が第1連結部を形成していることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項10】
軸(18)の前記近位端(22)が、半径方向に延びる少なくとも1つの貫通部(34)を有し、前記切削部材(36)が、半径方向に向いた少なくとも1つの凹部(90)を有しており、刃物(38)が切削板(20)から間隔をおいて位置する開位置では、少なくとも1つの貫通部(34)と凹部(90)とが互いに少なくとも部分的に重なることを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項11】
前記貫通部(34)が孔であり、前記凹部(90)が盲孔、盲孔状の長孔、環状溝のいずれかであることを特徴とする、請求項10に記載された外科器械。
【請求項12】
前記孔(34)の直径と環状溝(90)の幅又は盲孔の直径とが合致するか、又は事実上合致し、かつ前記孔(34)と環状溝(90)又は盲孔が、開位置では重なることが可能であることを特徴とする、請求項11に記載された外科器械。
【請求項13】
前記貫通部(34)が第1連結部(28)に隣接配置されていることを特徴とする、請求項10から請求項12に記載された外科器械。
【請求項14】
前記貫通部(34)が第1連結部(28)の遠位側に設けられていることを特徴とする、請求項10から請求項13までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項15】
前記切削部材(36)が、その近位端に、駆動装置(12)の駆動部材(98,100)と取り外し可能に連結可能な第3連結部(44)を備えており、かつまた該第3連結部(44)が、軸(18)の長手方向(16)に機能するストッパ(42,46)に隣接していることを特徴とする、請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項16】
遠位方向に機能する前記ストッパ(46)が第3連結部(44)の近位側に配置され、近位方向に機能するストッパ(42)が第1連結部(44)の遠位側に配置されていることを特徴とする、請求項15に記載された外科器械。
【請求項17】
遠位方向に機能する前記ストッパが第3連結部の遠位側に配置され、近位方向に機能するストッパが第3連結部の近位側に配置されていることを特徴とする、請求項15に記載された外科器械。
【請求項18】
前記第3連結部(44)が多面体であることを特徴とする、請求項17に記載された外科器械。
【請求項19】
前記刃物(38)が、閉じた環状の刃物(38)であることを特徴とする、請求項1から請求項18までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項20】
前記切削部材(36)が、その遠位端から始まって近位方向に延びる、摘除組織(54)を捕集する摘除組織溜め(52)を有し、かつ前記刃物(38)が該摘除組織溜め(52)の開口(56)を少なくとも部分的に取り囲んでいることを特徴とする、請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項21】
前記摘除組織溜め(52)が盲孔状に構成され、かつ切削部材(36)に沿って長手方向(16)にスライド可能な排出部材が備えられ、該排出部材が、該溜め(52)が空にされる引込み位置から、該溜め(52)が完全に又は事実上完全に充填される排出位置へ、またその逆にスライド可能であることを特徴とする、請求項20に記載された外科器械。
【請求項22】
前記摘除組織溜め(52)の近位端が排出側口(58)を備えていることを特徴とする、請求項20又は請求項21に記載された外科器械。
【請求項23】
前記切削部材(36)が、摘除組織溜め(52)の区域の側部に少なくとも1つの視認用開口を備えていることを特徴とする、請求項20から請求項22までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項24】
前記少なくとも1つの視認用開口が、長手方向(16)と直角方向に、摘除組織溜め(52)の内径より小さい幅を有していることを特徴とする、請求項23に記載された外科器械。
【請求項25】
複数の短冊穴状の視認用開口を備えていることを特徴とする請求項23又は請求項24に記載された外科器械。
【請求項26】
前記少なくとも1つのしに視認用開口が、摘除組織溜め(52)の近位端に隣接して遠位側に配置されていることを特徴とする、請求項23から請求項25までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項27】
長手方向(16)に軸(18)に対し切削部材(36)を移動させるために、案内(24,48)が備えられていることを特徴とする、請求項1から請求項26までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項28】
前記刃物(38)及び/又は切削板(20)が耐摩耗性のコーティングを施されていることを特徴とする、請求項1から請求項27までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項29】
前記耐摩耗性のコーティングが窒化チタン(TiN)であるか、又は窒化チタン(TiN)を含有することを特徴とする、請求項28に記載された外科器械。
【請求項30】
前記駆動装置(92)のデコーディング・ユニットと協働するコーディング・ユニットが、切削部材(36)の種類又は型のコード化用に軸(18)に備えられていることを特徴とする、請求項1から請求項29までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項31】
前記コーディング・ユニットが、軸(18)から突出する少なくとも1つの突出部を含むことを特徴とする、請求項30に記載された外科器械。
【請求項32】
前記軸(18)及び切削部材(36)と形状接続式に取り外し可能に結合可能な駆動装置(12)が、駆動方向(B)に駆動力を発生させるための駆動ユニット(92)を備え、該駆動ユニットが、第1連結部(28)と協働する第2連結部(74)を含むことを特徴とする、請求項1又は請求項1の上位概念部分に記載された外科器械。
【請求項33】
前記駆動ユニット(92)が、流体により作動する駆動ユニット(92)であり、前記駆動方向(B)が長手方向(16)と非平行であり、前記駆動装置(92)が、駆動方向(B)に作用する駆動力を、長手方向(16)に切削部材(36)に作用する操作力に変向させる力変向ユニット(128)を有することを特徴とする、請求項32に記載された外科器械。
【請求項34】
前記駆動方向(B)が、長手方向(16)に対し直角方向、事実上直角方向、斜め方向のいずれかに配向されることを特徴とする、請求項32又は請求項33に記載された外科器械。
【請求項35】
前記駆動方向(B)が長手方向(16)に対し平行かつ側方へずらされており、かつまた前記駆動装置(92)が、駆動方向(B)に作用する駆動力を、長手方向(16)に切削部材(36)に作用する操作力に変向する力変向ユニット(128)を有することを特徴とする、請求項32に記載された外科器械。
【請求項36】
前記駆動ユニット(92)が少なくとも1つの流体シリンダ(98,100)を含むことを特徴とする、請求項32から請求項35までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項37】
前記少なくとも1つの流体シリンダ(98,100)が複動流体シリンダ(98,100)であることを特徴とする、請求項36に記載された外科器械。
【請求項38】
前記少なくとも1つの流体シリンダ(98,100)が、空気シリンダ又は液圧シリンダであることを特徴とする請求項36又は請求項37に記載された外科器械。
【請求項39】
前記力変向ユニット(128)が、駆動力の増力又は減力ユニット(128)を含むか、又は増力又は減力ユニット(128)の増力比又は減力比に相応する倍量に相当する操作力を発生させることを特徴とする、請求項33から請求項38までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項40】
前記力変向ユニットがアングルレバー(128)を含み、該アングルレバー(128)が、第1レバー腕(132)と、第1レバー腕に対して屈折した第2レバー腕(130)とを有しており、前記アングルレバー(128)が、双方のレバー腕(130,132)の移行区域に、それも、駆動装置(12)の、軸(18)に対し不動の部分に揺動可能に支承され、駆動ユニット(92)が第1レバー腕(132)の自由端(136)と協働し、第2レバー腕(130)の自由端(134)が切削部材(36)と協働することを特徴とする、請求項33から請求項39までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項41】
前記第2レバー腕(130)が、切削部材(36)の近位端と協働する連行体(134)を有することを特徴とする、請求項40に記載された外科器械。
【請求項42】
第2レバー腕(130)の前記自由端(134)が、第3連結部(44)の近位側に配置された、遠位方向に機能するストッパ(46)と、第3連結部(44)の遠位側に配置された、近位方向に機能するストッパ(42)との間に突入することを特徴とする、請求項40又は請求項41に記載された外科器械。
【請求項43】
第2レバー腕の前記自由端が、第3連結部に対して、遠位側で近位方向に作用し、近位側で遠位方向に作用することを特徴とする、請求項40又は請求項41に記載された外科器械。
【請求項44】
アングルレバー(128)の前記双方のレバー腕(130,132)が異なる長さを有していることを特徴とする、請求項40から請求項43までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項45】
第1レバー腕(132)と第2レバー腕(130)の長さの比が、少なくとも2:1であることを特徴とする、請求項44に記載された外科器械。
【請求項46】
少なくとも1つの流体シリンダ(98,100)のピストン(106)の自由端(122)が、第1レバー腕(132)にリンク結合されていることを特徴とする、請求項40から請求項45までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項47】
前記駆動装置(12)がハウジングを含み、該ハウジングの第1部分(62)が握りの形状に構成され、該ハウジングの第2部分(60)が軸(18)の近位端(22)を受容するように構成され、前記駆動ユニット(92)がハウジングの第2部分(62)内に配置されていることを特徴とする、請求項36から請求項46までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項48】
前記軸(18)が、駆動装置(12)に対して長手方向(16)と平行な回転軸線を中心として回転可能、かつ駆動装置(92)に対し任意の回転位置に逆回転可能に固定可能であることを特徴とする、請求項32から請求項47までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項49】
別個に制御可能な2つの連結された流体シリンダ(98,100)が備えられている、請求項36から請求項48までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項50】
前記2つの流体シリンダ(98,100)が、異なる作用横断面積を有することを特徴とする、請求項49に記載された外科器械。
【請求項51】
前記作用横断面積の比が4:1から9:1の範囲にあることを特徴とする、請求項50に記載された外科器械。
【請求項52】
前記第2連結部(74)が、第1連結部(28)に対応して駆動装置(92)のところに形成されていることを特徴とする、請求項32から請求項51までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項53】
前記第2連結部が、ハウジングの第2部分(60)から軸の方へ突出する係止突出部(74)を含むことを特徴とする、請求項47から請求項52までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項54】
ハウジングの前記第2部分(60)が受容部(64)を含み、該受容部内へ軸(18)の近位端(22)を装入可能であり、かつまた軸(18)が長手方向(16)に不動に保持される装入位置では、軸(18)の遠位端がハウジング第2部分(60)の前記受容部から遠位方向へ突出し、前記受容部(64)が、長手方向(16)に対し直角方向の装入方向で軸(18)の近位端(22)を装入するための開口を有しており、該装入開口を閉じかつ受容部(64)内に軸(18)を固定するための蓋(70)が備えられていることを特徴とする、請求項47から請求項53までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項55】
前記蓋(70)が、ハウジング第2部分(60)のところに押しずらし可能に支承され、装入開口を開くためには、近位方向に押しずらされることを特徴とする、請求項54に記載された外科器械。
【請求項56】
前記蓋が、ハウジング第2部分のところに旋回軸線を中心として旋回可能に支承されていることを特徴とする、請求項54又は請求項55に記載された外科器械。
【請求項57】
前記旋回軸線が長手方向に対して平行方向又は直角方向に延びていることを特徴とする、請求項56に記載された外科器械。
【請求項58】
前記蓋(70)を開いた場合、駆動ユニット(92)へのエネルギー及び/又は作動媒体の供給が中断されることを特徴とする、請求項32から請求項57までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項59】
前記駆動装置(12)のところに、貫通部(34)と凹部(90)とに対応する固定部材(80)が、長手方向(16)に対し直角方向に可動に支承され、該固定部材が、固定位置では凹部(90)内に突入し、解除位置では凹部(90)から離脱することを特徴とする、請求項32から請求項58までのいずれか1項に記載された外科器械。
【請求項60】
前記固定部材(80)が、ハウジング第1部分(60)のところの第2連結部(74)に隣接配置され、弾性的に付勢されて解除位置に保持されることを特徴とする、請求項59に記載された外科器械。
【請求項61】
前記駆動装置(12)が、コード化ユニットと協働するデコード化ユニットを、切削部材(36)の種類又は型のデコード化のために有していることを特徴とする、請求項32から請求項60までのいずれか1項に記載された外科器械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−514322(P2008−514322A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533928(P2007−533928)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010395
【国際公開番号】WO2006/037510
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(505369099)
【出願人】(505369088)
【Fターム(参考)】