外科用吸収性固定装置
本発明は、吸収性材料から作られた、骨再建に有用な、改善された輪郭合わせ可能な外科手術用固定装置を提供する。一実施形態では、この固定装置はポリマー材料から製造される。固定装置は、間隔をおいて配置された複数の締結プレート、該プレート同士を相互連結するリンク、ならびに、上記リンクと締結プレートにより締結プレート間に画定された開口部を含む。一実施形態では、締結プレートの少なくともいくつかは、固定装置を骨に固定する留め具(ねじまたは鋲など)を受け取るための留め具用穴を有する。本発明は、固定装置を取り付けようとする骨の解剖学的形状に近似するように三次元的に輪郭合わせすることができる、開放構造の固定装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に骨再建のための外科用吸収性固定装置、さらに具体的には、吸収性材料から作られた、輪郭合わせが可能な(contourable)メッシュに関し、このメッシュは、それを取り付けようとする骨の形状に近似するよう三次元的に輪郭合わせすることができる。本発明は、特に、頭蓋顔面骨格の骨折修復および再建に適しているが、このような用途にその範囲が限定されるわけではない。
【背景技術】
【0002】
外科使用を目的として、三次元骨格の解剖学的構造の輪郭に合わせることができる、生物学的に適合性の金属製メッシュが知られている。これらのメッシュは、外傷(すなわち、骨折)および/または外科手術(手術を行うために骨切り術が必要な場合)により生じた骨の不連続性を再接合および修復するための骨接合術において用いられている。
【0003】
様々な形状の、輪郭合わせの可能なメッシュが用いられているが、これらは一般に、ねじや鋲のような留め具で骨に固定される。ある種のメッシュは、単純に、ほぼ正方形で平らなシート材料に留め具用の複数の円形開口部をあけることにより形成される。穴をあけたこれらのシートメッシュは、概してソリッド構造または閉鎖構造であるために、柔軟性および三次元的輪郭合わせの能力が制限される。従って、骨格の解剖学的構造の不規則なまたは複雑な部分に合わせて三次元的に輪郭を形成するのが難しく、しかもねじれが生じやすい。ねじれの問題を排除し、輪郭合わせの能力を改善するために、外科医は、一般に、このような閉鎖したソリッド構造の穿孔シートメッシュの多数のおよび/または広範な部分を切り抜く必要があることを知っている。ねじれは、軟組織の刺激およびその他の問題を引き起こすことから、望ましくない。図1は、このような従来のソリッドシート穿孔メッシュの一例を示すが、これは、この種のメッシュを頭蓋の前頭部に取り付けるため、典型的には外科医によって作られた三角形のレリーフカットを有する。このようなレリーフカットを特別に作ることの欠点の一つは、手術時間が長引くことである。もう一つの欠点は、カット自体によって、線A-Aに沿ったメッシュ中央部における幅の狭い部分の曲げ剛性が低減してしまうため、最終的メッシュ構造の強度が低下することであり、これについては以下でさらに詳しく述べる。
【0004】
前述した種類のソリッドシート穿孔メッシュとは対照的に、別の種類の輪郭合わせ能力がより高いメッシュは、比較的開放的で柔軟な構造を特徴とする。このような柔軟性の高いメッシュは、一般に、ほぼ環状のリングによって取り囲まれた1列の円形の留め具用穴を備えており、上記リングは、留め具用穴を互いに結合して開放的なシート様形状を形成する複数のアーム様構造により相互に連結されている。前記アーム様構造の列および留め具用穴は、それらの間に様々な形状をした複数の非留め具用の開口部を画定し、これによって、閉鎖構造の穿孔シートメッシュより高い柔軟性および三次元的輪郭合わせ能力を有する、より開放的なメッシュ形状を提供する。輪郭合わせ能力の高いこのようなメッシュは金属製であり、作業室温度での材料の強度および展性が比較的高いことから、典型的にはチタンから作られる。これらの金属製メッシュは比較的薄く、典型的厚さが約0.3〜0.5 mmしかない。このようなメッシュの金属製アームの典型的幅も同様に小さく、場合によっては0.3 mm前後のこともある。このような金属製の開放構造のメッシュは、一般的に金属製の留め具で骨に固定される。
【0005】
しかし、前述した輪郭合わせ能力の高い開放構造の金属メッシュは、あらゆる外科手術用途に適しているわけではなく、いくつかの問題点がある。例えば、比較的柔軟性ではあるが、このような開放構造の金属製メッシュは、メッシュを取り付けようとする骨の解剖学的形状に近似させるのに必要な所望の最終的三次元形状を得るように柔軟性を改善し、かつそのような形付けを可能にするために、まだ往々にして手術中にアーム部材をある程度カットまたは切断する必要がある。手術が長引く以外にも、このようなカットを実施すると、鋭い金属ばりを残す傾向があり、これは、軟組織の刺激および患者の不快感を引き起こす恐れがある。金属製メッシュのさらに別の問題点は、留め具用の穴を相互連結しているアームが、三次元的に輪郭合わせしたとき上方に突出する傾向があり、これによって、骨に対して平らに位置しない、持ち上がった部分または先端が生じてしまい、これも軟組織の刺激を引き起こす。
【0006】
開放構造の金属製メッシュの主な欠点は、骨が完全に治癒した後、時としてこのメッシュを除去するための2回目の外科手術を必要とすることであり、この点は重要である。除去は、特に、金属製メッシュがそのまま残された場合、正常な骨の成長および発達を妨げる恐れのある小児患者に必要になると考えられる。しかし、成人患者においても、骨が治癒した後、金属メッシュおよび留め具を除去することは往々にして慣例的である。金属メッシュを体内に維持させることは、別の理由、例えば、特に骨を覆う皮膚が薄い場合、ときとしてメッシュが患者に見えたり、患者が触ることができたりするために、望ましくないと考えられる。金属メッシュを取り去るための第2の外科手術は、患者によっては損傷を招く恐れがあり、また、治療の総費用を高くすることにもなる。
【0007】
生物分解性の吸収性材料、特に、吸収性高分子材料(例えば、ラクチドおよび/またはグリコリドポリマーを含むもの)から作られたインプラントが一般に知られ、用いられている。吸収性材料は、移植および骨の治癒後時間が経過すると最終的に溶解するため、前述した第2の外科手術の必要がない。従って、吸収性材料は、一般に、ソリッド構造を有するインプラント、例えば、骨ねじ、固定プレート、さらには上記の閉鎖構造の穿孔シートメッシュに用いられてきた。
【0008】
吸収性高分子インプラントは、一般に、その金属の対応物と比較して、本来強度が低いと認識されている。従って、強度不足を補うために、吸収性インプラントは、同じインプラントが金属製であった場合より、寸法および厚さが大きくなることが多い。このため、本来強度の低い吸収性インプラントは、より複雑で繊細な開放構造のインプラント、例えば、これまで金属から作られていた前記の輪郭合わせ能力の高いメッシュの製造に用いるには、概して不適で非実用的であるというのが、一般的認識であった。さらに、比較的薄い開放構造の金属製メッシュに匹敵する厚さは、強度の犠牲なくしては達成することができない。そのため、閉鎖構造の穿孔シートタイプの吸収性メッシュは、骨の解剖学的構造の不規則かつ複雑な輪郭部分に取り付ける際、いくつかの問題(すなわち、ねじれ、必要とされるレリーフカットはメッシュの強度を低下させかつ手術時間を引き延ばす)があるものの、このタイプのメッシュがこれまでそのような外科手術用途に広く使用され続けてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、以上述べた従来の金属製メッシュおよび閉鎖構造の吸収性メッシュに伴う欠点がなく、骨の解剖学的構造の不規則かつ複雑な形状に合わせて容易に輪郭合わせすることができる吸収性メッシュが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一般的には、吸収性材料から作られた、開放構造の、高度に輪郭合わせが可能なメッシュに関する。この輪郭合わせが可能なメッシュは、間隔をおいて配置された複数の締結プレート、該プレートを相互連結する変形可能なリンク、ならびに、上記締結プレート間に散在する開口部を含む。リンクは、弓形に造形し、滑らかに湾曲しているのが好ましい。開口部は、リンクと締結プレートの両方の周囲の少なくとも一部によって画定される。開口部は、細長い形状をしており、通常、メッシュを骨に固定するための留め具を受け取ることを目的としたものではない。開口部は、メッシュ構造物内に空間を提供することにより、リンクが三次元的に変形できるようにする。従って、本発明の輪郭合わせが可能なメッシュは、ねじれを起こさずに、三次元的に輪郭合わせすることができる。
【0011】
一実施形態では、締結プレートの少なくともいくつかには、メッシュを骨に固定するための留め具(ねじまたは鋲など)を受け取る穴があいている。別の実施形態では、締結プレートの少なくともいくつかには穴がなく、外科医が、手術中、締結プレートの所望の箇所に穴をあけることができる。外科医は、当分野では周知の手段、例えばドリルを用いて、手術中、締結プレートに穴をあけることができる。メッシュと一緒に用いる留め具も吸収性材料から作られることが好ましい。しかし、留め具は、メッシュとは異なる吸収性材料または非吸収性材料から作られてもよいが、生物適合性材料からなるものが好ましい。
【0012】
金属製メッシュとは違い、本発明の一実施形態におけるメッシュは、放射線透過性の吸収性材料(すなわち、X線、ラジオグラフィー、CTスキャン、ならびに、医療分野で用いられるその他の同様のイメージング技術に対して透過性の材料)から作ることが有利である。従って、輪郭合わせが可能な吸収性メッシュは前記イメージング技術と相容れるものであり、骨折の固定および修復後に骨の治癒状況を評価するために医療専門家が用いるときに、このような技術を妨害することはない。
【0013】
本発明の原理に従って形成される、開放構造の輪郭合わせ可能なメッシュは、吸収性ポリマーの比較的薄いモノリシックの圧縮成形ソリッドシートからカットすることができ、その際、シートの厚さは典型的に約0.25 mm〜約1.5 mmである。メッシュの様々な構成(すなわち、締結プレート、リンク、留め具用穴など)を機械加工および/またはカットしてメッシュにすることができる。
【0014】
本発明の原理に従う開放構造の吸収性メッシュは、吸収性材料のソリッドシートからカットした、平板な二次元状態では比較的弱いが、このような吸収性メッシュは、三次元形状に輪郭合わせすることにより、自己支持性となるのが有利である。三次元的造形によって、本来弱い吸収性材料が補償されることから、材料をこの種のメッシュに用いるのに十分な強度が得られる。加えて、十分な強度がメッシュに付与されることによって、類似した金属製メッシュと同等の厚さを備える吸収性材料から、開放構造で、輪郭合わせ能力の高いメッシュを製造することができる。三次元的に輪郭合わせした開放構造の吸収性メッシュ構造物は、それを固定しようとする骨により提供されるいかなる支持物とも無関係に、強度を生み出すことに留意すべきである。
【0015】
これも重要なことだが、「背景技術」のセクションで述べたタイプの閉鎖構造のソリッド穿孔シート吸収性メッシュと同等の曲げ剛性が、本発明の開放構造の輪郭合わせ能力の高い吸収性メッシュにより達成できることは、これまであまり認識されていなかった。曲げ剛性は、当分野におけるインプラント強度の重要な尺度の一つである。曲げ剛性は、インプラントの最も弱い部分に基づくが、ここでは典型的に、移植後にメッシュに加わる曲げモーメントに耐えるのに使用可能な最小量の材料を有するメッシュの横断部分に一致する。図1に示す従来の閉鎖構造の穿孔シートメッシュの場合、例えば、線A-Aに沿ったメッシュの中央部で最も弱い部分が発生するが、ここは、前述したように、この種のシートメッシュを三次元的に造形し、ねじれを解消するために三角形のレリーフカットアウトによる改変を実施することにより、実際問題として必然的に狭くなっている。線A-Aに沿った横断面では、メッシュに加わる曲げモーメントに耐えるのに使用可能なねじ穴(図示の通り)の間に5つのシート結合部しか存在しない。このメッシュの被覆面積は、図10に示す本発明の円形メッシュ80と同等である。これとは対照的に、本発明の原理による吸収性メッシュは、三次元的に輪郭合わせするのにレリーフカットアウトを必要とせず、(以下に詳しく述べるように)ねじれも起こりにくいため、このようなカットアウトにより狭くなっていない中央部の断面は、締結プレート間のリンクが、図1のソリッドシート穿孔メッシュの5つのねじ穴結合部よりはるかに多くの材料を提供して、曲げモーメントに耐えることが明らかである。従って、本発明のメッシュは、改変したソリッドシート様従来型メッシュと少なくとも同等か、もしくはそれより高い曲げ剛性を備えて有利に製造することができ、これにより、ソリッドシート様吸収性メッシュの欠点をすべて排除して、吸収性材料の利点を得ることができる。
【0016】
従来型の開放構造の金属製メッシュと比較して、本発明の高度に輪郭合わせ可能なメッシュの利点も多数ある。輪郭合わせ能力が高い開放構造の前記メッシュにこれまで一般に用いられていた金属とは違い、吸収性材料は、メッシュを除去するための第2の外科手術を必要としない点で有利である。例えば、本発明の原理に従って形成される吸収性メッシュは、それを取り付けようとする骨の解剖学的形状と一致するように容易に三次元的に輪郭合わせすることができる。吸収性メッシュは、移植後予定された期間にわたって、必要な強度(選択した吸収性材料の種類およびその他の要因により制御される)を有利に保持することにより、骨の不連続性(外傷的骨折および/または別の手術を目的として実施された意図的切開による)を治癒することができる。次に、メッシュが、骨を完全に治癒させるという、その有用な構造上の目的を果たした後、最終的に、吸収性メッシュは溶解し、加水分解のような自然の機構によって患者の身体により吸収される。このような吸収特性は、前述したように、骨成長がまだ起こっており、骨の治癒後に除去されなければ永久的金属製メッシュにより骨成長が阻害される恐れのある小児患者の場合、特に有利である。さらに、吸収性メッシュは、経時的に同様に溶解する吸収性留め具(ねじおよび鋲など)を用いて、骨に固定することができる。さらにまた、吸収性メッシュは、金属製メッシュのように鋭いバリを残すことなく、適当な寸法に容易にカットすることができるのが有利である。加えて、三次元的造形を容易にするために、金属製メッシュでは往々にしてアームまたはリンクをカットしなければならないが、本発明の吸収性メッシュは、それを必要とせず、類似の金属製メッシュより容易に造形することができる。
【0017】
本発明の原理に従って形成される、輪郭合わせが可能な吸収性メッシュの他の実施形態では、メッシュは、間隔をおいて配置された複数の締結プレートを含み、これらのプレートは、複数の弓形の変形可能なリンクにより二次元マトリックスに相互連結され、これらのリンクは、上記締結プレート間の空間を架橋し、かつこれらを連結して、リンクと締結プレートの間に散在した開口部を有する開放構造の変形可能なメッシュを形成する。このメッシュは、これを固定しようとする骨の形状に一致するように三次元的に輪郭合わせすることができる。好ましくは、前記開口部は細長い形状をしており、一実施形態では、狭い中央部と、両サイドにそれより広い部分とを有する。前記リンクは、好ましくは実質的に細長く、滑らかに湾曲し、かつ弓形に造形することにより、鋭い曲がりが発生しないようにするのが好ましい。各リンクは、第1締結プレートに連結可能な第1端と、第2締結プレートに連結可能な第2端とを有するのが好ましい。締結プレートの少なくともいくつかには穴があけられ、この穴は、これを通してメッシュを骨に固定するための留め具を受け取るように配置されている。一実施形態では、留め具用穴の少なくともいくつかはさら穴とされている。別の実施形態では、メッシュはさらに少なくとも4つの締結プレートを含む。プレートは、各々少なくとも2つの締結プレートからなる少なくとも2列に配列されるが、その際、これらの列が互いに間隔をおいて配置されるようにする。
【0018】
別の実施形態では、本発明の原理に従って形成される吸収性メッシュは、少なくとも2列の間隔をおいて配置された締結プレートを含み、その際、各々の列は、少なくとも2つの締結プレートを含む。少なくとも1つの弓形リンクは、各締結プレートを少なくとも1つの別の締結プレートと連結する。一実施形態では、リンクは螺旋パターンで締結プレートから外に向って放射状に延び、単一の締結プレートに連結されたリンクは、互いに放射状に間隔をあけて配置される。締結プレートとリンクは、メッシュ内に複数の細長い開口部を画定するように配置される。別の実施形態では、細長い開口部の少なくともいくつかはメッシュに対して縦に、また該開口部の少なくともいくつかは横に配向される。締結プレート、リンク、および細長い開口部は、開放構造のメッシュを画定し、このメッシュは、メッシュを取り付けようとする骨の形状に合わせて三次元的に輪郭合わせすることができる。
【0019】
一実施形態では、本発明の原理に従って形成される吸収性メッシュは、複数の反復基本メッシュ単位から形成される。各基本メッシュ単位は、4つの間隔をおいて配置された締結プレートを含むことができる。一実施形態では、締結プレートは実質的に円形である。締結プレートは、等しい間隔をおいて、ほぼ正方形の模様を形成するように配置してもよい。締結プレートは、各締結プレートが基本メッシュ単位のコーナーを形成するように配置するのが好ましい。一実施形態では、締結プレートの少なくともいくつかには、メッシュ単位を骨に取り付けるための留め具を受け取るための穴があけてある。
【0020】
基本メッシュ単位は、さらに、締結プレートを互いに連結する少なくとも4つの弓形に湾曲したリンクを含むことができる。少なくとも4つのリンクは、締結プレート間に位置する中央の開口部の周りに配置し、リンクと締結プレートの少なくとも一部によって中央開口部の境界が形成されるようにするのが好ましい。一実施形態では、少なくとも4つの弓形に湾曲したリンクの2つが、前記中央開口部の方に内側へ突き出ており、少なくとも4つの弓形に湾曲したリンクの2つが、前記中央開口部から外側に突き出ている。別の実施形態では、中央開口部は、実質的に細長く、対称の形状をしている。
【0021】
反復基本メッシュ単位は、ガラス転移温度(Tg)を有する吸収性材料からなるのが好ましい。反復基本メッシュ単位は、(a)上記反復基本メッシュ単位の温度がガラス転移温度(Tg)より低く、基本メッシュ単位が実質的に剛性である第1条件と、(b)上記基本メッシュ単位の温度がガラス転移温度(Tg)より高く、基本メッシュ単位が柔軟性で、基本メッシュ単位を取り付けようとする骨の解剖学的構造に一致するように三次元的に輪郭合わせが可能である第2条件と、の間で可変性である。
【0022】
輪郭合わせが可能な吸収性固定装置のキットが提供される。このキットは以下のものを含む:(a)間隔をおいて配置された複数の締結プレート、締結プレートを相互連結する複数の変形可能なリンク、ならびに、締結プレート間に散在した複数の細長い開口部を含む、少なくとも第1の吸収性固定装置(その際、締結プレートとリンクは吸収性材料から作られており、該固定装置は三次元的に輪郭合わせが可能である);および(b)該固定装置を骨に取り付けるための複数の留め具。一実施形態では、前記留め具の少なくともいくつかは吸収性材料から作られる。別の実施形態において、留め具は、固定装置を骨に取り付けるのに適切な寸法のねじおよび/または鋲を含むのが好ましい。また、第1の固定装置は、前述したように、正方形、円形、および三日月形からなる群より選択された形状を有するのが好ましい。
【0023】
輪郭合わせが可能な吸収性固定装置のキットの別の実施形態では、キットは、少なくとも第2の吸収性固定装置をさらに含む。第2の固定装置は、第1の固定装置とは異なる全体寸法(すなわち、前述したように外寸)を有してもよい。あるいは、第2の吸収性固定装置は、第1の固定装置とは異なる形状(例えば、正方形、円形、三日月形など)および/または寸法を有してもよい。さらに別の実施形態では、キットは、少なくとも第3の吸収性固定装置をさらに含む。キットは、制限されることなく、どのような数、寸法、および/または形状の固定装置、ならびに該装置を骨に固定する留め具の組合せを含んでもよい。
【0024】
吸収性メッシュを骨の輪郭に合わせて、骨に取り付ける方法も提供される。一方法は、以下のステップを含む:ヒトの平均体温より高いガラス転移温度(Tg)を有する吸収性メッシュを用意するステップ、ただし、このメッシュは、間隔をおいて配置された複数の締結プレートと、締結プレートを相互連結する複数の弓形の変形可能なリンクを含み、ここで、上記リンクは、締結プレート間に細長い開口部を画定するように配置され、その際、上記メッシュは、骨の形状と一致するように三次元的に輪郭合わせが可能である;メッシュの温度をガラス転移温度(Tg)より高い温度に上昇させるステップ;メッシュを骨の解剖学的形状と実質的に一致するように変形させるステップ;メッシュの温度をガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却するステップ;メッシュを骨に載せるステップ;メッシュを骨に取り付けるステップ。この方法は、締結プレートの少なくともいくつかが留め具用穴を有し、留め具を用意するステップ、前記留め具用穴の少なくともいくつかに留め具を挿入するステップをさらに含み、その際、前記留め具はメッシュを骨に取り付けるために使用される。
【0025】
別の実施形態では、吸収性メッシュを骨の輪郭に合わせて、骨に取り付ける方法は、以下のステップを含む:ヒトの平均体温より高いガラス転移温度(Tg)を有する吸収性メッシュを用意するステップ、ただし、このメッシュは、間隔をおいて配置された複数の締結プレートと、締結プレートを相互連結する複数の弓形の変形可能なリンクを含み、ここで、上記リンクは、締結プレート間に細長い開口部を画定するように配置され、その際、上記メッシュは、骨の形状と一致するように三次元的に輪郭合わせが可能である;メッシュの温度をガラス転移温度(Tg)より高い温度に上昇させるステップ;メッシュを骨に載せるステップ;メッシュを骨の解剖学的形状と実質的に一致するように変形させるステップ;メッシュの温度をガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却するステップ;メッシュを骨に取り付けるステップ。この方法は、締結プレートの少なくともいくつかが留め具用穴を有し、留め具を用意するステップ、前記留め具用穴の少なくともいくつかに留め具を挿入するステップを含むが、その際、前記留め具はメッシュを骨に取り付けるために使用される。
【0026】
メッシュの温度をガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却するステップは、限定するものではないが、例えば、加熱したメッシュを冷水浴または冷塩水浴中に置く、加熱したメッシュを周囲作業室条件に暴露する、加熱したメッシュを骨に載せるなどにより、加熱したメッシュをガラス転移温度(Tg)より低い温度の環境に供することを含みうることに留意すべきである。
【0027】
本発明の特徴および利点は、以下に行なう本発明の詳細な説明から容易に明らかになるであろう。尚、説明において、類似の要素には同様の名称を付けるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に挙げる好ましい実施形態の説明は例示のために過ぎず、本発明の範囲、その応用もしくは用途を何ら制限する意図はない。
【0029】
本発明のメッシュは、いずれかの適切なポリマーから製造することができる。好ましくは、メッシュは、移植後、最終的に生体内で溶解して吸収される吸収性(すなわち、生物分解性および生物吸収性)材料から形成される。例えば、メッシュは、限定するものではないが、各種ポリマー、ならびに、多様なコポリマー、ターポリマーなどを形成するような2種以上のポリマーの組合せ、ポリマーアロイおよび複合材料、同種または異種ポリマーのポリマー繊維を含むポリマーなどから形成することができる。材料、および個々のまたは組み合わせた各種ポリマー、ポリマーおよびメッシュを製造するのに用いる方法、ならびにその他の要因の選択は、吸収性インプラントの機能的性質、例えば、移植後に生体内で構造的強度および寸法安定性を保留する期間、完全な吸収に要する時間など、に影響を与える。
【0030】
本発明の原理に従うメッシュは、メッシュを製造するのに選択した特定の材料、およびメッシュを製造するのに用いる方法(どちらも、設計選択上の問題である)に応じて、結晶質または無定形(すなわち、非晶質)構造の吸収性材料から製造することができる。メッシュの製造方法、ポリマー原材料の製造および加工(例えば、アニールなど)方法、およびその他同様の要因は、原材料と完成品の両方の結晶度に影響を与える。従って、結晶質材料の場合には、ポリマー原材料および完成メッシュ製品の結晶度は、設計選択上の問題として変動しうる。
【0031】
本発明の原理に従ってメッシュを製造するのに用いる材料は、これら材料およびメッシュの加工、製造、および/または性能特徴を向上させるために、各種の添加剤、充填剤、化学薬品および生物学的に活性な物質(すなわち、抗生物質、医薬品、タンパク質、成長因子など)、表面処理剤、コーティング剤などを含有したり、または含浸させたりすることができる。
【0032】
骨折の固定のために外科インプラントに用いる吸収性高分子材料は、一般に、周囲作業室温度およびヒトの体温で、ある程度堅くて曲がらないものである。このようなポリマーに固有なことだが、温度がその材料のガラス転移温度(Tg)を超えると、それらは柔軟性かつ展性がより高くなる。従って、吸収性メッシュは、材料のガラス転移温度(Tg)より高い温度までメッシュを加熱することにより、それらを取り付けようとする骨表面の三次元形状に一致するように曲げて輪郭を合わせることができる。温かい水浴または塩水浴、ベンダー/カッターアイロン(bender/cutter iron)、熱風ガンのような手段、もしくは当分野で周知のその他の好適な手段を用いて、ポリマーを加熱することができる。いったん吸収性メッシュが輪郭合わせされて、骨の適切な箇所に固定されれば、その温度がガラス転移温度(Tg)より下がると剛性が戻る。好ましくは、吸収性ポリマー材料のガラス転移温度(Tg)は、約98.6°Fという正常なヒトの平均体温(口内)より高い。
【0033】
また、本発明の原理に従って形成されるメッシュは、ラクチドのようなポリマー、ならびにラクチドとグリコリドのコポリマーから製造するのが好ましい。さらに好ましくは、メッシュは、70/30ポリ(L, D/L-ラクチド)コポリマーまたは85/15ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)コポリマー組成物から製造される。
【0034】
70/30ポリ(L, D/L-ラクチド)コポリマー組成物は、広く用いられている吸収性ポリマーである。70/30組成物のポリマー原料は、約9.8〜11.8%の結晶度を有するのが好ましい。70/30組成物から製造した完成メッシュは、実質的に無定形(すなわち、少なくとも結晶度が10%未満の構造)であるのが好ましい。
【0035】
85/15ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)コポリマー組成物(原料)のコポリマー原料は、約18.9〜32.1%の結晶度を有するのが好ましい。85/15組成物から製造した完成メッシュは、実質的に無定形(すなわち、少なくとも結晶度が10%未満の構造)であるのが好ましい。
【0036】
選択する吸収性材料およびその設計形状は、骨が治癒するのに十分な時間、生体内で十分な強度を維持するのが好ましい。好ましくは、70/30ポリ(L, D/L-ラクチド)コポリマー組成物から作られたメッシュは、移植から約3年前後で完全に吸収される。好ましくは、85/15ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)コポリマー組成物から作られたメッシュは、移植から約1年前後で完全に吸収される。メッシュの厚さおよび個々の患者の身体化学が吸収時間に影響を与えうることは理解されよう。さらに、メッシュが吸収される時間は、メッシュの組成およびその形状を調節することにより変えられることも理解されよう。
【0037】
添付の図面(以下にさらに詳しく述べる)に示すように、本発明の原理に従って形成される吸収性メッシュは、様々な形状および寸法で製造することができる。さらに、好ましくは様々な位置でリンクを切断することにより、手術現場で望まれるどのような形状にもメッシュをカットすることが可能である。
【0038】
吸収性メッシュは、留め具を用いて骨に固定するのが好ましいが、接着剤のような別の好適な手段を用いてもよい。接着剤を用いる場合には、留め具を受け入れる穴のない締結プレートを用意してもよい。
【0039】
ここで図2を参照にすると、本発明の原理に従って形成される吸収性メッシュ20の一具体例は、間隔をおいて配置された締結プレート22、締結プレート22同士を相互連結する湾曲したリンク24、ならびに、リンクと、締結プレートの少なくとも一部とによって締結プレート間に画定された開口部28を含む。締結プレート22は、ほぼ円形または丸い形状をしているのが好ましく、好ましい直径76は約3.5 mmである(図4を参照)。設計選択上の問題として、締結プレート22の上記以外の適切な直径を用いてもよい。
【0040】
締結プレート22は、好適であれば、どのような間隔をあけてもよいし、どのようなパターンで配置してもよく、すべて設計選択上の問題である。一般に、締結プレート22同士の間隔が短いほど、メッシュ20は強くなる。なぜならば、それに伴ってリンク24が短くなり、より剛性になるからである。メッシュ20の厚さ25(図4参照)も、メッシュの強度およびリンク24の剛性に影響を与えるが、好ましい厚さは、典型的に約0.25 mm〜約1.5 mmである。リンクと締結プレートは同じ厚さであるように示されているが、リンクは締結プレートより薄くても厚くてもよい。さらに、リンクは、締結プレートと比較して、好ましくは柔軟性および変形性が相対的に高いことが理解されよう。これによって、工場または手術現場のいずれかにおいて締結プレートに形成される留め具用の穴の形状が、メッシュを加熱して輪郭に合わせた後に、実質的に変わらないようにすることができる。
【0041】
締結プレート22は、図2に示すように、隣接する締結プレート22同士の横方向距離21および縦方向距離23がほぼ同じであるように、対称パターンで配列し、かつ、間隔をおいて配置するのが好ましい。一実施形態では、締結プレート22間の横方向および縦方向の距離21、23(中心から中心まで)は約5mmでありうる。しかし、横方向および縦方向の距離21、23は同じである必要はなく、締結プレート22に非対称パターンを用いてもよいことに留意すべきである。
【0042】
リンク24は、好ましくは、滑らかに湾曲して、弓形に造形することにより、メッシュ20に柔軟性を与え、メッシュが骨の解剖学的形状に近似するように三次元的に輪郭合わせをするとき、軟組織の刺激を発生しうる鋭い屈曲部を一切導入することがない。従って、リンク24は、凹側71と凸側73を備える。一実施形態では、リンク24は、約0.8 mmの典型的幅、約2.0〜3.0 mm(さらに好ましくは約2.2 mm)の内側曲率半径72、ならびに、約2.5〜3.5 mm(さらに好ましくは約3mm)の外側曲率半径74を有する。リンク24から締結プレート22への移行は、小さな半径でわずかに丸みをつけることにより、鋭い角のストレスライザー(stress riser)の導入を回避する。一実施形態では、リンク24の凹側71から締結プレート22への移行部に約0.6 mmの半径を与える。
【0043】
図2に示すように、各締結プレート22に連結するリンク24の数は変動し、締結プレート22がメッシュ20の外部または内部のいずれにあるかによって決まる。各締結プレートは、これらに連結する少なくとも2つのリンク24を有する。図2に示す実施形態において、内部締結プレート30は、これらに連結する少なくとも4つのリンク24を有し、また、外部コーナー締結プレート31は、これらに連結する少なくとも2つのリンク24を有し、さらに外部サイド締結プレート32は、これらに連結する少なくとも3つのリンク24を有するのが好ましい。締結プレート22の各四分円は1以下のリンク24を有するのが好ましい。しかし、本発明はこれに関して限定されるわけではなく、任意の数のリンク24を締結プレート22の円周沿いの任意の数の位置で締結プレート22に連結させてもよいことに留意すべきである。一実施形態では、リンク24は、時計方向および/または反時計方向のいずれかの螺旋パターンで、締結プレート22から外側に延びるか、もしくは放射状に広がっている。1つの締結プレート22のリンク24はすべて、外側に向かい同じ方向に延びるか、もしくは放射状に広がるのが好ましいが、本発明はこれに関して限定されるわけではない。
【0044】
リンク24および締結プレート22の配置により締結プレート22間に画定される開口部28は、大きさおよび形状が様々でありうる。リンク24の形状および配置は、開口部28の形状に影響を与えることが理解されよう。好ましくは、開口部28は、例えば図2に示すように、細長い形状をしている。図3に最もよく示されるように、一実施形態では、開口部28は狭い中央部33を有し、この中央部はその両側にこれより広い部分34を有する。このような細長い開口部は、約7.0〜7.5 mm(さらに好ましくは約7.2 mm)の典型的長さ77と、約1.2 mmの最小幅78(長さの中央付近)を有する。
【0045】
メッシュ20は、いずれかの種類の骨ねじまたは鋲のような留め具で骨に固定するのが好ましい。留め具は吸収性材料から作られるのが好ましいが、これはメッシュと同じものでも、異なるものでもよい。このように、好ましい実施形態では、締結プレート22の少なくともいくつかは、メッシュ20を骨に固定するための留め具を受け取るための留め具用穴26が通されている。穴26の大きさおよび形状は、この穴に挿入しようとする留め具の大きさおよび形状に応じて変動しうる。図2に示したメッシュ20の留め具用穴26を通して描いた断面図である図4に示すように、穴26は、メッシュ20の上面44と下面45との間に延びるまっすぐな側壁35を有する。
【0046】
あるいは、締結プレート22に、留め具用さら穴を設けることもできる。図5に示したメッシュ40の留め具用穴36を通して描いた断面図である図7は、二重傾斜壁を有する留め具用さら穴36の好ましい一実施形態を示す。メッシュ40の上面42から開始して、留め具用穴36は、第1傾斜壁37、次に、隣接する第2傾斜壁38、さらに続いて、メッシュ40の下面43にまで達するまっすぐな壁39を含むのが好ましい。穴36の第1傾斜壁37は、角度47を有する第2傾斜壁とは異なる角度48を有する。一実施形態において、好ましくは、角度48は約20度であり、角度47は約140度である。
【0047】
留め具用穴22は、適切であればどのような形状でもよく、前述した形状に限定されないことに留意すべきである。例えば、留め具用穴22は、1つの傾斜壁だけを有する円錐形のさら穴の形状であってもよいし、穴22の断面が球形であってもよい。従って、本発明は、穴22の形状によって制限されない。
【0048】
図7に示すメッシュ40の円錐形のさら穴36は、相補的な留め具頭部形状を有する留め具と一緒に用いることにより、留め具の頭部が締結プレート22の上面と実質的に同一面になり、軟組織の刺激を軽減するようにするのが好ましい。例えば、図8に示すねじ50は、その頭部に二重傾斜面を有し、穴36において用いることができる。ねじ50は、穴36の第1および第2傾斜壁37、38にそれぞれ形状が対応する第1および第2傾斜面51、53を備えた頭部56を有する。従って、ねじ頭部56の傾斜面51、53は、傾斜壁37、38の角度48および47とほぼ一致する角度52および54を有する。一実施形態では、角度48および52は約20度であり、角度47および54は約140度である。
【0049】
あるいはまた、図9に示す鋲60をメッシュ40の留め具用穴36(図4に示す)において用いてもよい。鋲60は、好ましくは、留め具用穴36の第2傾斜壁38の形状とほぼ一致する傾斜面63を備える頭部61を有する。従って、傾斜面63は、第2傾斜壁38の角度47とほぼ一致する角度62を有する。一実施形態では、角度47および62は約140度である。
【0050】
ねじ50または鋲60のいずれかをメッシュ40の穴36に挿入するとき、この構成の利点は、頭部56または61がそれぞれメッシュ40の上面42と実質的に同一面になる(ただし、ねじまたは鋲頭部の頂部に若干の凸面が生じる可能性はあるが、これは無視できる)ことである。これは、メッシュを移植する際に起こる軟組織の刺激を軽減する上で役立ち、特に骨を覆う皮膚が比較的薄い箇所において、皮膚を介して容易に留め具を感じることができないようにする。
【0051】
ねじ50または鋲60はメッシュ20の垂直壁の留め具用穴26(図4参照)にも使用できることに留意すべきである。あるいはまた、様々な頭部形状を有するその他の留め具(図示していない)を留め具用穴26において用いてもよい。
【0052】
メッシュ20(図2に示す)および40(図5に示す)はいずれも、実施形態では、1.5 mmおよび2.0 mmの呼称寸法留め具を受け取るような寸法にしたそれぞれ留め具用穴26および36を備えるのが好ましい。このようなメッシュは、通常、1.5 mmおよび2.0 mmメッシュと呼ばれる。従って、いくつかの実施形態では、これらのメッシュで使用するために、前述のねじ50および鋲60を1.5 mmおよび2.0 mmの呼称寸法で提供することも好ましい。また好ましくは、2.5 mm呼称寸法ねじ50を提供することにより、例えば、外科医が、2.0 mmねじによる骨の適切な固定には大きすぎる直径の穴を不注意であけてしまった場合に、メッシュの2.0 mm呼称寸法留め具用穴に挿入するための非常用ねじとして役立てられる。2.0 mm呼称寸法ねじ50は、メッシュの1.5 mm留め具用穴のための非常用ねじとして役立てることができる。
【0053】
メッシュ20を骨に固定するために開口部28を通して留め具を取り付けることも可能であるが、強度がより高く、荷重が加わったとき破損しにくい締結プレートの留め具用穴から留め具を取り付けるのが好ましい。また、留め具をすべての留め具用穴に取り付ける必要はなく、すべての締結プレートが留め具用穴を備える必要もないことは理解されよう。接着剤を用いてメッシュを骨に固定する場合も、締結プレートが留め具用穴を備える必要はない。すでに述べたように、締結プレートは、留め具用の穴を設けずに提供することもでき、その場合、外科医は必要に応じて、手術中に締結プレートにそのような穴をあけることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、メッシュ20、40は、それぞれ約0.25 mm〜約1.25 mmの厚さ25、46を有するのが好ましい。しかし、メッシュ20、40は前記範囲以外の厚さであってもよく、それは設計選択上の問題である。また、メッシュの厚さは、その強度や吸収時間のようなパラメーターに影響を与え、従って、メッシュの適切な厚さを選択する際、これらの要因を考慮することが好ましいことも理解されよう。
【0055】
ここで図2を参照すると、メッシュ20は、複数の個別のかつ相互連結した基本メッシュ単位(各単位は、一列の締結プレート22およびリンク24を含み、これらが、好ましくは反復可能なパターンを形成している)から形成され、かつそのようなものとして概念化されうることが明らかであろう。図3は、図2からの拡大図であり、メッシュ20に用いられる反復基本メッシュ単位70の考えられる具体例であり、基本メッシュ単位70は、リンク24で連結された、間隔をおいて位置された4つの締結プレート22を基本とする。反復基本メッシュ単位は、任意のタイプの留め具用穴、例えば、垂直壁をもつ穴26(図4)、二重傾斜円錐形さら穴36(図7)、もしくはその他のあらゆる好適な形状の穴を備えていてもよいことに留意すべきである。これとは別に、例えば、接着剤を用いてメッシュを骨に固定したり、手術中に穴をあけたり、開口部28に留め具を挿入したりすることにより、メッシュを骨に取り付ける場合には、締結プレート22にはまったく穴がなくてもよい。
【0056】
反復基本メッシュ単位70は、設計選択上の問題として、締結プレート22同士を連結するいかなる数のリンク24を備えていてもよく、この数は、前述したように、一部には、そのメッシュ単位がメッシュの外部または内部のいずれに位置するかによって変化しうることが理解されよう。従って、反復基本メッシュ単位70において各締結プレート22に結合されるリンク24の数はさまざまであり、本発明を何ら制限するものではない。
【0057】
多様な配置またはレイアウトで様々な数の反復基本メッシュ単位70を製造して相互連結することにより、多数のメッシュ形状および寸法が考えられる。例えば、図2および図5にそれぞれ示すメッシュ20および40は、形状がほぼ正方形であり、便宜上正方形メッシュと呼ばれる。いくつかの実施形態において、これらの正方形メッシュの外側寸法は、典型的には、約20 mm×20 mm平方〜約150 mm×150 mm平方(すなわち、留め具用穴から留め具用穴まで測定した外側幅86×外側長さ88)でよい。
【0058】
図10は、反復基本メッシュ単位70から形成される、ほぼ円形をしたメッシュ80を示す。メッシュ80は、便宜上円形または直径メッシュと呼ばれる。いくつかの実施形態におけるこれら円形メッシュは、典型的には、直径82が約20 mm〜約150 mm(外寸)である。図11は、反復基本メッシュ単位70から構成される三日月形メッシュ90を示す。いくつかの実施形態におけるこれら三日月形メッシュ90は、典型的には、長さ84が約45 mm〜約75 mm(外寸)である。
【0059】
図10および11は垂直壁の留め具用穴26を示しているが、留め具用穴は、これ以外に、図7に示した穴36のように二重傾斜円錐形さら穴でも、その他の好適な形状であってもよいことが理解されよう。
【0060】
反復基本メッシュ単位を相互連結する数および方法を変えることにより、様々な形状、寸法、および/または厚さのメッシュを作製できることに留意すべきである。従って、本発明は、本明細書に記載する形状および寸法に限定されるわけではなく、これらは、考えられる形状のいくつかを示す例として提供するにすぎない。
【0061】
様々な形状および寸法のメッシュを作製するのに用いることができる別の方法は、手術現場の外科医が、様々な締結プレート22およびリンク24を取り除いて、個々の患者の特定のニーズに具体的に合わせたメッシュ形状を形成することにより、達成することができる。従って、外科医は、任意の好都合な二次元メッシュ形状から開始して、外科鋏を用いて、前述のように好適な形状に合わせて変えることができる。
【0062】
輪郭合わせが可能な吸収性固定装置キットが提供されるが、これについて以下に説明する。キットは以下のものを含む:(a)間隔をおいて配置された複数の締結プレート、締結プレートを相互連結する複数の変形可能なリンク、ならびに、締結プレート間に散在する複数の細長い開口部を含む、少なくとも1つの第1吸収性固定装置(その際、締結プレートとリンクは吸収性材料から作られており、固定装置は三次元的に輪郭合わせが可能である);(b)固定装置を骨に取り付けるための複数の留め具。一実施形態では、前記留め具の少なくともいくつかは吸収性材料から作られる。別の実施形態において、好ましくは、留め具には、固定装置を骨に取り付けるために適切な寸法のねじおよび/または鋲が含まれる。また、第1固定装置は、前述したように、正方形、円形、および三日月形からなる群より選択された形状をもつことが好ましい。
【0063】
輪郭合わせが可能な吸収性固定装置キットの別の実施形態では、キットは、少なくとも第2吸収性固定装置をさらに含む。第2固定装置は、第1固定装置とは異なる全体寸法(すなわち、前述した外寸)を有してもよい。例えば、限定するものではないが、キットは、寸法が20 mm×20 mm〜150 mm×150 mmまたはそれ以上の複数の正方形メッシュを含みうる。あるいは、第2吸収性固定装置は、第1固定装置とは異なる形状(例えば、正方形、円形、三日月形など)、全体寸法および/または厚さを有してもよい。さらに別の実施形態では、キットは、少なくとも第3吸収性固定装置をさらに含む。第3吸収性固定装置も、第1または第2固定装置とは異なる形状、全体寸法および/または厚さを有してもよい。従って、キットが、制限されることなく、任意の数、寸法、および/または形状の固定装置と、該装置を骨に固定する留め具との組合せを含んでもよいことは理解されよう。
【0064】
本発明の原理に従って形成される、輪郭合わせが可能な吸収性メッシュを輪郭合わせして、移植する方法については、便宜上、図2およびメッシュ20を参照にしながら以下に説明する。メッシュ20(好ましくは、滅菌パッケージングに収容され、前記の特徴を有する)は、その初期の剛性かつ平板な二次元形状で外科医に提供される。手術現場で、外科医は、骨上のインプラント受容部位を決定し、続いて、この受容部位の解剖学的三次元形状に基づきメッシュ20の最終的三次元形状を決定する。次に、外科医は、吸収性メッシュ20をそのガラス転移温度(Tg)を超える温度にまで、前述したように、温かい水浴または塩水浴、熱風ガン、ベンダー/カッターアイロンなどの当分野では周知の好適な手段で加熱することにより、メッシュを展性にする。好ましくは、ガラス転移温度(Tg)は、周囲作業室温度およびヒトの体温より高い。一実施形態では、メッシュ20が形成される吸収性材料は、約50〜55℃またはそれ以上のガラス転移温度(Tg)を有する。次に、メッシュ20を骨の受容部位に直接載せ、外科医が所望の三次元形状に輪郭合わせする。ここで、メッシュ20を冷却し、その温度をガラス転移温度(Tg)より低くすると、メッシュはその剛性状態に戻り、三次元的に輪郭合わせした形状を保持する。あるいはまた、メッシュ20をまず所望の三次元形状に輪郭合わせしてから、骨の上に載せ、その後ガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却することにより、メッシュをその剛性状態に戻して、三次元的に輪郭合わせした形状を保持させることも可能である。冷却ステップは、メッシュ20の要求される最終的形状をもたらすだけでなく、その初期の平板な二次元形状より高い強度を有する三次元メッシュ構造物をもたらす。従って、最終的な三次元メッシュ20構造物は、破損せずに体内で荷重に耐える十分な強度を有する。
【0065】
外科医が、加熱したメッシュを造形した後、骨に配置または取り付けるという前記の代替ステップを選択する場合には、メッシュの加熱および造形の作業は、メッシュの三次元形状が骨の解剖学的形状と適切に一致すると外科医が判断するまで繰り返してもよいことに留意すべきである。再加熱作業は約10回までに制限するのが好ましい。また、造形するためにメッシュを十分加熱する加熱ステップの時間(すなわち、ガラス転移温度(Tg)より高く維持する時間)は、約10秒とすることが好ましい。
【0066】
外科医が、メッシュ20の三次元形状が得られたと判断したら、限定するものではないが、骨ねじ50または鋲60のような吸収性留め具を好適に受け入れる十分な数の穴を様々な箇所で骨にあける。好ましくは、骨にあける穴の適切な位置決めを容易にするために、骨上の適所においたメッシュ20と一緒に穴をあけることができる。メッシュ20を用いずに骨に穴をあけた場合には、次に、予めあけた骨の受容穴と留め具用穴26を合わせるように、メッシュ20を骨に載せ、位置決めする。いずれの場合にも、留め具を穴26に通し、次に、予めあけた骨の受容穴に挿入することにより、メッシュ20を骨に固定する。
【0067】
あるいはまた、前述のように工場で製造した既製の留め具用穴がない締結プレート22によりメッシュ20を供給する場合には、外科医は、例えば、穴あけ(drilling)のような手段により、締結プレート22の所望の箇所に留め具用穴をあけることができる。その後、骨の受容穴を骨にあけ、留め具用穴から骨に留め具を挿入する作業は、前述のように実施することができる。メッシュ20を骨に載せている間に、締結プレート22と骨に同時に穴をあけてもよい。
【0068】
接着剤を用いて、メッシュ20を骨に取り付ける場合には、骨に穴をあけ、メッシュを通して留め具を骨の受容穴に挿入する前記ステップを省くことができる。その代わり、メッシュ20の最終的な所望の三次元形状が得られたら、締結プレート22(この場合、留め具用穴26および/または36はなくてもよい)の少なくともいくつかに接着剤を塗布する。次に、メッシュ20を骨に載せ、接着剤を塗布した締結プレートを骨に接触させて配置する。
【0069】
これとは別に、接着剤を用いてメッシュ20を骨に取り付けるもう一つの方法として、予めあけた穴26および/または36を備えるメッシュ20を用意すること、または手術現場で締結プレート22に穴をあけることがある。次に、メッシュ20を骨に載せた状態で、接着剤を穴から挿入する。接着剤は、骨に接着し、硬化すると固化するタイプのものが好ましく、それによって締結プレート22の穴を通したリベット様結合を形成し、メッシュ20を骨に固定することができる。この場合、接着剤および機械的手段の両方により、メッシュ20と骨との固定が達成される。一実施形態において、好ましくは、上部開口部の方が骨と接触する下部開口部より大きい穴36(図7参照)と同様のまたは類似の留め具用穴を用いるが、その際、この穴は、いったん硬化性接着剤が硬化すると、リベット様頭部を形成する。
【0070】
図12は、本発明の原理に従って形成された吸収性メッシュ80を示し、このメッシュ80は、三次元的輪郭合わせをした最終的な剛性の形状をしている(すなわち、メッシュの温度が、使用した吸収性材料のガラス転移温度(Tg)より低い)。メッシュ80は、図13に示すように、頭蓋の頂部領域、あるいは必要に応じて頭蓋のその他あらゆる部位に取り付けることができる。前述したように、メッシュ80の最終的な三次元形状は、移植後にメッシュ80に加わる体内荷重を耐えるのに適した強度を発生する。その三次元形状のほかにも、メッシュ80の相互に接触する構造的構成同士の機械的干渉もメッシュに対する強度に寄与するとともに、強度を付与している。例えば、図12に示すように、通常は間隔をおいて配置された締結プレート22およびリンク24のいくつかを、メッシュ80の三次元的輪郭に応じて、位置102に示すように互いに接触させることができる。加えて、いくつかのリンク24も、位置104に示すように互いに接触させることもできる。従って、留め具用穴22とリンク24とのこのような接触は、メッシュ80構造の剛性を有利に増すと同時に、その強度を高める。さらには、メッシュ20が上に説明したような方法で変形する能力は、より深いおよび/またはより急勾配の深さを持つ最終メッシュ形状を作ることを可能とし、これは、例えば、鼻橋部付近の頭蓋領域など、メッシュを複雑な形状に造形する必要がある特定の解剖学的構造の骨領域において有利である。
【0071】
メッシュ80は、図7に示すタイプの留め具用さら穴36を示しているが、普通の穴、もしくはその他の適当なタイプの留め具用穴を用いることができることに留意すべきである。
【0072】
本発明の原理による輪郭合わせが可能な吸収性メッシュの多くの利点の1つとして、図1に示すような従来技術による閉鎖構造の穿孔シート型メッシュのように、輪郭合わせ中にしわやねじれを発生することなく、骨の解剖学的構造の形状に合わせることができる点が挙げられる。前述したように、従来のメッシュでは、複雑な解剖学的形状の骨の領域で特に顕著になる望ましくないねじれを防止するために、外科医がメッシュにレリーフカットアウト(図1参照)を施す必要がある。このようなカットアウトを形成することは、外科医には煩雑で、手術時間を長引かせるものであり、その両方の問題が、輪郭合わせ時のねじれを阻止する本発明の高度に輪郭合わせ可能な吸収性メッシュにより解決される。本発明のメッシュをカットする必要性をなくす1つのメカニズムは、三次元的輪郭合わせ段階で必要に応じて、リンク24が移動しかつ調整する能力にある。例えば、輪郭合わせ後の図12のメッシュ80について示すように、初めは間隔をおいて配置されたリンク24のいくつかが移動して、互いに接触する(位置104を参照)か、もしくは留め具用穴のいくつかと接触する(位置102を参照)。従って、留め具用穴の間に開口部のない従来の閉鎖構造のメッシュのようにねじれを発生せずに、メッシュ100のリンク24は細長い開口部28内に移動することができるため、ねじれの問題を解消することができる。このように、細長い開口部28は、メッシュ80の平面内にリンク24または締結プレート22の移動を受け入れるように、メッシュ80構造物内に空間またはゾーンを提供することが明らかである。従って、輪郭合わせ前には形状が対称であった開口部28のいくつかの形状は、輪郭合わせ後、リンク24および/または締結プレート22が開口部28内に移動するため、対称ではなくなることに留意すべきである。
【0073】
本発明の輪郭合わせ可能な吸収性メッシュは、吸収性ポリマー(好ましくは、前述した70/30ラクチドまたは85/15ラクチド-グリコリドコポリマー組成物)の圧縮成形した平らなソリッドシートから製造するのが好ましい。メッシュおよびその様々な構造的特徴(すなわち、留め具用穴26および36、リンク24、細長い開口部28など)は、好ましくは、いずれかの好適な手段(例えば、エンドミル、リーマー、カッター、ドリル、および/または同様の切断道具)を用いて、平らなポリマーシートを機械加工および/または切断することにより製造することができる。
【0074】
本発明の原理に従う輪郭合わせ可能な吸収性メッシュを製造する別の好適な手段が考えられ、単独でまたは組み合わせて使用できることに留意すべきであり、このような手段は当業者には周知である。例えば、限定するものではないが、輪郭合わせ可能な吸収性メッシュは、押抜きまたは打抜き(当分野では周知の単一または順送り打抜きを用いる)、高圧水切断、レーザー切断などにより製造することができる。従って、本発明は、輪郭合わせ可能な吸収性メッシュを製造するのに用いられる手段に何ら制限されるものではない。
【0075】
以上の説明および図面は、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、添付の特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な付加、改変、および代替を実施できることが理解されよう。特に、当業者には、本発明が、その精神または本質的特徴から逸脱することなく、別の要素、材料および成分を用いて、別の具体的形態、構造、配置、割合に具現化できることも明らかであろう。当業者は、本発明の原理から逸脱することなく、特定の環境および操作要件に特に適応するように、本発明の実施で用いる構造、配置、割合、材料および成分その他の多くを改変して、本発明を使用できることも理解されよう。従って、本明細書に開示した実施形態は、あらゆる観点から、例示的および非制限的であるとみなすべきであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により示され、以上の説明に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】骨の解剖学的形状に合わせてメッシュを三次元的に造形するために、外科医によって作製された典型的なレリーフカットアウトを示す、従来のソリッド閉鎖構造の穿孔メッシュの平面図である。
【図2】ほぼ正方形を有する、本発明の原理に従って形成された輪郭合わせ可能なメッシュの第1実施形態の平面図である。
【図3】典型的な反復基本メッシュ単位を示す図2から切り取った詳細部分の拡大図である。
【図4】図2から切り取った留め具用穴の具体例の断片図である。
【図5】ほぼ正方形を有する、本発明の原理に従って形成された輪郭合わせ可能なメッシュの第2実施形態の平面図である。
【図6】典型的な反復基本メッシュ単位を示す図5から切り取った詳細部分の拡大図である。
【図7】図5から切り取った留め具用穴の断片図である。
【図8】本発明で用いることができるねじの側面図である。
【図9】本発明で用いることができる鋲の側面図である。
【図10】ほぼ円形を有する、本発明の原理に従って形成された輪郭合わせ可能なメッシュの第3実施形態の平面図である。
【図11】ほぼ三日月形を有する、本発明の原理に従って形成された輪郭合わせ可能なメッシュの第4実施形態の平面図である。
【図12】本発明の原理に従って形成された図10の輪郭合わせ可能なメッシュの透視図であり、骨の解剖学的輪郭に近似するように三次元的に造形された後の図である。
【図13】ヒト頭蓋の典型的取り付け位置に載せた図12の解剖学的に造形されたメッシュの透視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に骨再建のための外科用吸収性固定装置、さらに具体的には、吸収性材料から作られた、輪郭合わせが可能な(contourable)メッシュに関し、このメッシュは、それを取り付けようとする骨の形状に近似するよう三次元的に輪郭合わせすることができる。本発明は、特に、頭蓋顔面骨格の骨折修復および再建に適しているが、このような用途にその範囲が限定されるわけではない。
【背景技術】
【0002】
外科使用を目的として、三次元骨格の解剖学的構造の輪郭に合わせることができる、生物学的に適合性の金属製メッシュが知られている。これらのメッシュは、外傷(すなわち、骨折)および/または外科手術(手術を行うために骨切り術が必要な場合)により生じた骨の不連続性を再接合および修復するための骨接合術において用いられている。
【0003】
様々な形状の、輪郭合わせの可能なメッシュが用いられているが、これらは一般に、ねじや鋲のような留め具で骨に固定される。ある種のメッシュは、単純に、ほぼ正方形で平らなシート材料に留め具用の複数の円形開口部をあけることにより形成される。穴をあけたこれらのシートメッシュは、概してソリッド構造または閉鎖構造であるために、柔軟性および三次元的輪郭合わせの能力が制限される。従って、骨格の解剖学的構造の不規則なまたは複雑な部分に合わせて三次元的に輪郭を形成するのが難しく、しかもねじれが生じやすい。ねじれの問題を排除し、輪郭合わせの能力を改善するために、外科医は、一般に、このような閉鎖したソリッド構造の穿孔シートメッシュの多数のおよび/または広範な部分を切り抜く必要があることを知っている。ねじれは、軟組織の刺激およびその他の問題を引き起こすことから、望ましくない。図1は、このような従来のソリッドシート穿孔メッシュの一例を示すが、これは、この種のメッシュを頭蓋の前頭部に取り付けるため、典型的には外科医によって作られた三角形のレリーフカットを有する。このようなレリーフカットを特別に作ることの欠点の一つは、手術時間が長引くことである。もう一つの欠点は、カット自体によって、線A-Aに沿ったメッシュ中央部における幅の狭い部分の曲げ剛性が低減してしまうため、最終的メッシュ構造の強度が低下することであり、これについては以下でさらに詳しく述べる。
【0004】
前述した種類のソリッドシート穿孔メッシュとは対照的に、別の種類の輪郭合わせ能力がより高いメッシュは、比較的開放的で柔軟な構造を特徴とする。このような柔軟性の高いメッシュは、一般に、ほぼ環状のリングによって取り囲まれた1列の円形の留め具用穴を備えており、上記リングは、留め具用穴を互いに結合して開放的なシート様形状を形成する複数のアーム様構造により相互に連結されている。前記アーム様構造の列および留め具用穴は、それらの間に様々な形状をした複数の非留め具用の開口部を画定し、これによって、閉鎖構造の穿孔シートメッシュより高い柔軟性および三次元的輪郭合わせ能力を有する、より開放的なメッシュ形状を提供する。輪郭合わせ能力の高いこのようなメッシュは金属製であり、作業室温度での材料の強度および展性が比較的高いことから、典型的にはチタンから作られる。これらの金属製メッシュは比較的薄く、典型的厚さが約0.3〜0.5 mmしかない。このようなメッシュの金属製アームの典型的幅も同様に小さく、場合によっては0.3 mm前後のこともある。このような金属製の開放構造のメッシュは、一般的に金属製の留め具で骨に固定される。
【0005】
しかし、前述した輪郭合わせ能力の高い開放構造の金属メッシュは、あらゆる外科手術用途に適しているわけではなく、いくつかの問題点がある。例えば、比較的柔軟性ではあるが、このような開放構造の金属製メッシュは、メッシュを取り付けようとする骨の解剖学的形状に近似させるのに必要な所望の最終的三次元形状を得るように柔軟性を改善し、かつそのような形付けを可能にするために、まだ往々にして手術中にアーム部材をある程度カットまたは切断する必要がある。手術が長引く以外にも、このようなカットを実施すると、鋭い金属ばりを残す傾向があり、これは、軟組織の刺激および患者の不快感を引き起こす恐れがある。金属製メッシュのさらに別の問題点は、留め具用の穴を相互連結しているアームが、三次元的に輪郭合わせしたとき上方に突出する傾向があり、これによって、骨に対して平らに位置しない、持ち上がった部分または先端が生じてしまい、これも軟組織の刺激を引き起こす。
【0006】
開放構造の金属製メッシュの主な欠点は、骨が完全に治癒した後、時としてこのメッシュを除去するための2回目の外科手術を必要とすることであり、この点は重要である。除去は、特に、金属製メッシュがそのまま残された場合、正常な骨の成長および発達を妨げる恐れのある小児患者に必要になると考えられる。しかし、成人患者においても、骨が治癒した後、金属メッシュおよび留め具を除去することは往々にして慣例的である。金属メッシュを体内に維持させることは、別の理由、例えば、特に骨を覆う皮膚が薄い場合、ときとしてメッシュが患者に見えたり、患者が触ることができたりするために、望ましくないと考えられる。金属メッシュを取り去るための第2の外科手術は、患者によっては損傷を招く恐れがあり、また、治療の総費用を高くすることにもなる。
【0007】
生物分解性の吸収性材料、特に、吸収性高分子材料(例えば、ラクチドおよび/またはグリコリドポリマーを含むもの)から作られたインプラントが一般に知られ、用いられている。吸収性材料は、移植および骨の治癒後時間が経過すると最終的に溶解するため、前述した第2の外科手術の必要がない。従って、吸収性材料は、一般に、ソリッド構造を有するインプラント、例えば、骨ねじ、固定プレート、さらには上記の閉鎖構造の穿孔シートメッシュに用いられてきた。
【0008】
吸収性高分子インプラントは、一般に、その金属の対応物と比較して、本来強度が低いと認識されている。従って、強度不足を補うために、吸収性インプラントは、同じインプラントが金属製であった場合より、寸法および厚さが大きくなることが多い。このため、本来強度の低い吸収性インプラントは、より複雑で繊細な開放構造のインプラント、例えば、これまで金属から作られていた前記の輪郭合わせ能力の高いメッシュの製造に用いるには、概して不適で非実用的であるというのが、一般的認識であった。さらに、比較的薄い開放構造の金属製メッシュに匹敵する厚さは、強度の犠牲なくしては達成することができない。そのため、閉鎖構造の穿孔シートタイプの吸収性メッシュは、骨の解剖学的構造の不規則かつ複雑な輪郭部分に取り付ける際、いくつかの問題(すなわち、ねじれ、必要とされるレリーフカットはメッシュの強度を低下させかつ手術時間を引き延ばす)があるものの、このタイプのメッシュがこれまでそのような外科手術用途に広く使用され続けてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、以上述べた従来の金属製メッシュおよび閉鎖構造の吸収性メッシュに伴う欠点がなく、骨の解剖学的構造の不規則かつ複雑な形状に合わせて容易に輪郭合わせすることができる吸収性メッシュが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一般的には、吸収性材料から作られた、開放構造の、高度に輪郭合わせが可能なメッシュに関する。この輪郭合わせが可能なメッシュは、間隔をおいて配置された複数の締結プレート、該プレートを相互連結する変形可能なリンク、ならびに、上記締結プレート間に散在する開口部を含む。リンクは、弓形に造形し、滑らかに湾曲しているのが好ましい。開口部は、リンクと締結プレートの両方の周囲の少なくとも一部によって画定される。開口部は、細長い形状をしており、通常、メッシュを骨に固定するための留め具を受け取ることを目的としたものではない。開口部は、メッシュ構造物内に空間を提供することにより、リンクが三次元的に変形できるようにする。従って、本発明の輪郭合わせが可能なメッシュは、ねじれを起こさずに、三次元的に輪郭合わせすることができる。
【0011】
一実施形態では、締結プレートの少なくともいくつかには、メッシュを骨に固定するための留め具(ねじまたは鋲など)を受け取る穴があいている。別の実施形態では、締結プレートの少なくともいくつかには穴がなく、外科医が、手術中、締結プレートの所望の箇所に穴をあけることができる。外科医は、当分野では周知の手段、例えばドリルを用いて、手術中、締結プレートに穴をあけることができる。メッシュと一緒に用いる留め具も吸収性材料から作られることが好ましい。しかし、留め具は、メッシュとは異なる吸収性材料または非吸収性材料から作られてもよいが、生物適合性材料からなるものが好ましい。
【0012】
金属製メッシュとは違い、本発明の一実施形態におけるメッシュは、放射線透過性の吸収性材料(すなわち、X線、ラジオグラフィー、CTスキャン、ならびに、医療分野で用いられるその他の同様のイメージング技術に対して透過性の材料)から作ることが有利である。従って、輪郭合わせが可能な吸収性メッシュは前記イメージング技術と相容れるものであり、骨折の固定および修復後に骨の治癒状況を評価するために医療専門家が用いるときに、このような技術を妨害することはない。
【0013】
本発明の原理に従って形成される、開放構造の輪郭合わせ可能なメッシュは、吸収性ポリマーの比較的薄いモノリシックの圧縮成形ソリッドシートからカットすることができ、その際、シートの厚さは典型的に約0.25 mm〜約1.5 mmである。メッシュの様々な構成(すなわち、締結プレート、リンク、留め具用穴など)を機械加工および/またはカットしてメッシュにすることができる。
【0014】
本発明の原理に従う開放構造の吸収性メッシュは、吸収性材料のソリッドシートからカットした、平板な二次元状態では比較的弱いが、このような吸収性メッシュは、三次元形状に輪郭合わせすることにより、自己支持性となるのが有利である。三次元的造形によって、本来弱い吸収性材料が補償されることから、材料をこの種のメッシュに用いるのに十分な強度が得られる。加えて、十分な強度がメッシュに付与されることによって、類似した金属製メッシュと同等の厚さを備える吸収性材料から、開放構造で、輪郭合わせ能力の高いメッシュを製造することができる。三次元的に輪郭合わせした開放構造の吸収性メッシュ構造物は、それを固定しようとする骨により提供されるいかなる支持物とも無関係に、強度を生み出すことに留意すべきである。
【0015】
これも重要なことだが、「背景技術」のセクションで述べたタイプの閉鎖構造のソリッド穿孔シート吸収性メッシュと同等の曲げ剛性が、本発明の開放構造の輪郭合わせ能力の高い吸収性メッシュにより達成できることは、これまであまり認識されていなかった。曲げ剛性は、当分野におけるインプラント強度の重要な尺度の一つである。曲げ剛性は、インプラントの最も弱い部分に基づくが、ここでは典型的に、移植後にメッシュに加わる曲げモーメントに耐えるのに使用可能な最小量の材料を有するメッシュの横断部分に一致する。図1に示す従来の閉鎖構造の穿孔シートメッシュの場合、例えば、線A-Aに沿ったメッシュの中央部で最も弱い部分が発生するが、ここは、前述したように、この種のシートメッシュを三次元的に造形し、ねじれを解消するために三角形のレリーフカットアウトによる改変を実施することにより、実際問題として必然的に狭くなっている。線A-Aに沿った横断面では、メッシュに加わる曲げモーメントに耐えるのに使用可能なねじ穴(図示の通り)の間に5つのシート結合部しか存在しない。このメッシュの被覆面積は、図10に示す本発明の円形メッシュ80と同等である。これとは対照的に、本発明の原理による吸収性メッシュは、三次元的に輪郭合わせするのにレリーフカットアウトを必要とせず、(以下に詳しく述べるように)ねじれも起こりにくいため、このようなカットアウトにより狭くなっていない中央部の断面は、締結プレート間のリンクが、図1のソリッドシート穿孔メッシュの5つのねじ穴結合部よりはるかに多くの材料を提供して、曲げモーメントに耐えることが明らかである。従って、本発明のメッシュは、改変したソリッドシート様従来型メッシュと少なくとも同等か、もしくはそれより高い曲げ剛性を備えて有利に製造することができ、これにより、ソリッドシート様吸収性メッシュの欠点をすべて排除して、吸収性材料の利点を得ることができる。
【0016】
従来型の開放構造の金属製メッシュと比較して、本発明の高度に輪郭合わせ可能なメッシュの利点も多数ある。輪郭合わせ能力が高い開放構造の前記メッシュにこれまで一般に用いられていた金属とは違い、吸収性材料は、メッシュを除去するための第2の外科手術を必要としない点で有利である。例えば、本発明の原理に従って形成される吸収性メッシュは、それを取り付けようとする骨の解剖学的形状と一致するように容易に三次元的に輪郭合わせすることができる。吸収性メッシュは、移植後予定された期間にわたって、必要な強度(選択した吸収性材料の種類およびその他の要因により制御される)を有利に保持することにより、骨の不連続性(外傷的骨折および/または別の手術を目的として実施された意図的切開による)を治癒することができる。次に、メッシュが、骨を完全に治癒させるという、その有用な構造上の目的を果たした後、最終的に、吸収性メッシュは溶解し、加水分解のような自然の機構によって患者の身体により吸収される。このような吸収特性は、前述したように、骨成長がまだ起こっており、骨の治癒後に除去されなければ永久的金属製メッシュにより骨成長が阻害される恐れのある小児患者の場合、特に有利である。さらに、吸収性メッシュは、経時的に同様に溶解する吸収性留め具(ねじおよび鋲など)を用いて、骨に固定することができる。さらにまた、吸収性メッシュは、金属製メッシュのように鋭いバリを残すことなく、適当な寸法に容易にカットすることができるのが有利である。加えて、三次元的造形を容易にするために、金属製メッシュでは往々にしてアームまたはリンクをカットしなければならないが、本発明の吸収性メッシュは、それを必要とせず、類似の金属製メッシュより容易に造形することができる。
【0017】
本発明の原理に従って形成される、輪郭合わせが可能な吸収性メッシュの他の実施形態では、メッシュは、間隔をおいて配置された複数の締結プレートを含み、これらのプレートは、複数の弓形の変形可能なリンクにより二次元マトリックスに相互連結され、これらのリンクは、上記締結プレート間の空間を架橋し、かつこれらを連結して、リンクと締結プレートの間に散在した開口部を有する開放構造の変形可能なメッシュを形成する。このメッシュは、これを固定しようとする骨の形状に一致するように三次元的に輪郭合わせすることができる。好ましくは、前記開口部は細長い形状をしており、一実施形態では、狭い中央部と、両サイドにそれより広い部分とを有する。前記リンクは、好ましくは実質的に細長く、滑らかに湾曲し、かつ弓形に造形することにより、鋭い曲がりが発生しないようにするのが好ましい。各リンクは、第1締結プレートに連結可能な第1端と、第2締結プレートに連結可能な第2端とを有するのが好ましい。締結プレートの少なくともいくつかには穴があけられ、この穴は、これを通してメッシュを骨に固定するための留め具を受け取るように配置されている。一実施形態では、留め具用穴の少なくともいくつかはさら穴とされている。別の実施形態では、メッシュはさらに少なくとも4つの締結プレートを含む。プレートは、各々少なくとも2つの締結プレートからなる少なくとも2列に配列されるが、その際、これらの列が互いに間隔をおいて配置されるようにする。
【0018】
別の実施形態では、本発明の原理に従って形成される吸収性メッシュは、少なくとも2列の間隔をおいて配置された締結プレートを含み、その際、各々の列は、少なくとも2つの締結プレートを含む。少なくとも1つの弓形リンクは、各締結プレートを少なくとも1つの別の締結プレートと連結する。一実施形態では、リンクは螺旋パターンで締結プレートから外に向って放射状に延び、単一の締結プレートに連結されたリンクは、互いに放射状に間隔をあけて配置される。締結プレートとリンクは、メッシュ内に複数の細長い開口部を画定するように配置される。別の実施形態では、細長い開口部の少なくともいくつかはメッシュに対して縦に、また該開口部の少なくともいくつかは横に配向される。締結プレート、リンク、および細長い開口部は、開放構造のメッシュを画定し、このメッシュは、メッシュを取り付けようとする骨の形状に合わせて三次元的に輪郭合わせすることができる。
【0019】
一実施形態では、本発明の原理に従って形成される吸収性メッシュは、複数の反復基本メッシュ単位から形成される。各基本メッシュ単位は、4つの間隔をおいて配置された締結プレートを含むことができる。一実施形態では、締結プレートは実質的に円形である。締結プレートは、等しい間隔をおいて、ほぼ正方形の模様を形成するように配置してもよい。締結プレートは、各締結プレートが基本メッシュ単位のコーナーを形成するように配置するのが好ましい。一実施形態では、締結プレートの少なくともいくつかには、メッシュ単位を骨に取り付けるための留め具を受け取るための穴があけてある。
【0020】
基本メッシュ単位は、さらに、締結プレートを互いに連結する少なくとも4つの弓形に湾曲したリンクを含むことができる。少なくとも4つのリンクは、締結プレート間に位置する中央の開口部の周りに配置し、リンクと締結プレートの少なくとも一部によって中央開口部の境界が形成されるようにするのが好ましい。一実施形態では、少なくとも4つの弓形に湾曲したリンクの2つが、前記中央開口部の方に内側へ突き出ており、少なくとも4つの弓形に湾曲したリンクの2つが、前記中央開口部から外側に突き出ている。別の実施形態では、中央開口部は、実質的に細長く、対称の形状をしている。
【0021】
反復基本メッシュ単位は、ガラス転移温度(Tg)を有する吸収性材料からなるのが好ましい。反復基本メッシュ単位は、(a)上記反復基本メッシュ単位の温度がガラス転移温度(Tg)より低く、基本メッシュ単位が実質的に剛性である第1条件と、(b)上記基本メッシュ単位の温度がガラス転移温度(Tg)より高く、基本メッシュ単位が柔軟性で、基本メッシュ単位を取り付けようとする骨の解剖学的構造に一致するように三次元的に輪郭合わせが可能である第2条件と、の間で可変性である。
【0022】
輪郭合わせが可能な吸収性固定装置のキットが提供される。このキットは以下のものを含む:(a)間隔をおいて配置された複数の締結プレート、締結プレートを相互連結する複数の変形可能なリンク、ならびに、締結プレート間に散在した複数の細長い開口部を含む、少なくとも第1の吸収性固定装置(その際、締結プレートとリンクは吸収性材料から作られており、該固定装置は三次元的に輪郭合わせが可能である);および(b)該固定装置を骨に取り付けるための複数の留め具。一実施形態では、前記留め具の少なくともいくつかは吸収性材料から作られる。別の実施形態において、留め具は、固定装置を骨に取り付けるのに適切な寸法のねじおよび/または鋲を含むのが好ましい。また、第1の固定装置は、前述したように、正方形、円形、および三日月形からなる群より選択された形状を有するのが好ましい。
【0023】
輪郭合わせが可能な吸収性固定装置のキットの別の実施形態では、キットは、少なくとも第2の吸収性固定装置をさらに含む。第2の固定装置は、第1の固定装置とは異なる全体寸法(すなわち、前述したように外寸)を有してもよい。あるいは、第2の吸収性固定装置は、第1の固定装置とは異なる形状(例えば、正方形、円形、三日月形など)および/または寸法を有してもよい。さらに別の実施形態では、キットは、少なくとも第3の吸収性固定装置をさらに含む。キットは、制限されることなく、どのような数、寸法、および/または形状の固定装置、ならびに該装置を骨に固定する留め具の組合せを含んでもよい。
【0024】
吸収性メッシュを骨の輪郭に合わせて、骨に取り付ける方法も提供される。一方法は、以下のステップを含む:ヒトの平均体温より高いガラス転移温度(Tg)を有する吸収性メッシュを用意するステップ、ただし、このメッシュは、間隔をおいて配置された複数の締結プレートと、締結プレートを相互連結する複数の弓形の変形可能なリンクを含み、ここで、上記リンクは、締結プレート間に細長い開口部を画定するように配置され、その際、上記メッシュは、骨の形状と一致するように三次元的に輪郭合わせが可能である;メッシュの温度をガラス転移温度(Tg)より高い温度に上昇させるステップ;メッシュを骨の解剖学的形状と実質的に一致するように変形させるステップ;メッシュの温度をガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却するステップ;メッシュを骨に載せるステップ;メッシュを骨に取り付けるステップ。この方法は、締結プレートの少なくともいくつかが留め具用穴を有し、留め具を用意するステップ、前記留め具用穴の少なくともいくつかに留め具を挿入するステップをさらに含み、その際、前記留め具はメッシュを骨に取り付けるために使用される。
【0025】
別の実施形態では、吸収性メッシュを骨の輪郭に合わせて、骨に取り付ける方法は、以下のステップを含む:ヒトの平均体温より高いガラス転移温度(Tg)を有する吸収性メッシュを用意するステップ、ただし、このメッシュは、間隔をおいて配置された複数の締結プレートと、締結プレートを相互連結する複数の弓形の変形可能なリンクを含み、ここで、上記リンクは、締結プレート間に細長い開口部を画定するように配置され、その際、上記メッシュは、骨の形状と一致するように三次元的に輪郭合わせが可能である;メッシュの温度をガラス転移温度(Tg)より高い温度に上昇させるステップ;メッシュを骨に載せるステップ;メッシュを骨の解剖学的形状と実質的に一致するように変形させるステップ;メッシュの温度をガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却するステップ;メッシュを骨に取り付けるステップ。この方法は、締結プレートの少なくともいくつかが留め具用穴を有し、留め具を用意するステップ、前記留め具用穴の少なくともいくつかに留め具を挿入するステップを含むが、その際、前記留め具はメッシュを骨に取り付けるために使用される。
【0026】
メッシュの温度をガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却するステップは、限定するものではないが、例えば、加熱したメッシュを冷水浴または冷塩水浴中に置く、加熱したメッシュを周囲作業室条件に暴露する、加熱したメッシュを骨に載せるなどにより、加熱したメッシュをガラス転移温度(Tg)より低い温度の環境に供することを含みうることに留意すべきである。
【0027】
本発明の特徴および利点は、以下に行なう本発明の詳細な説明から容易に明らかになるであろう。尚、説明において、類似の要素には同様の名称を付けるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に挙げる好ましい実施形態の説明は例示のために過ぎず、本発明の範囲、その応用もしくは用途を何ら制限する意図はない。
【0029】
本発明のメッシュは、いずれかの適切なポリマーから製造することができる。好ましくは、メッシュは、移植後、最終的に生体内で溶解して吸収される吸収性(すなわち、生物分解性および生物吸収性)材料から形成される。例えば、メッシュは、限定するものではないが、各種ポリマー、ならびに、多様なコポリマー、ターポリマーなどを形成するような2種以上のポリマーの組合せ、ポリマーアロイおよび複合材料、同種または異種ポリマーのポリマー繊維を含むポリマーなどから形成することができる。材料、および個々のまたは組み合わせた各種ポリマー、ポリマーおよびメッシュを製造するのに用いる方法、ならびにその他の要因の選択は、吸収性インプラントの機能的性質、例えば、移植後に生体内で構造的強度および寸法安定性を保留する期間、完全な吸収に要する時間など、に影響を与える。
【0030】
本発明の原理に従うメッシュは、メッシュを製造するのに選択した特定の材料、およびメッシュを製造するのに用いる方法(どちらも、設計選択上の問題である)に応じて、結晶質または無定形(すなわち、非晶質)構造の吸収性材料から製造することができる。メッシュの製造方法、ポリマー原材料の製造および加工(例えば、アニールなど)方法、およびその他同様の要因は、原材料と完成品の両方の結晶度に影響を与える。従って、結晶質材料の場合には、ポリマー原材料および完成メッシュ製品の結晶度は、設計選択上の問題として変動しうる。
【0031】
本発明の原理に従ってメッシュを製造するのに用いる材料は、これら材料およびメッシュの加工、製造、および/または性能特徴を向上させるために、各種の添加剤、充填剤、化学薬品および生物学的に活性な物質(すなわち、抗生物質、医薬品、タンパク質、成長因子など)、表面処理剤、コーティング剤などを含有したり、または含浸させたりすることができる。
【0032】
骨折の固定のために外科インプラントに用いる吸収性高分子材料は、一般に、周囲作業室温度およびヒトの体温で、ある程度堅くて曲がらないものである。このようなポリマーに固有なことだが、温度がその材料のガラス転移温度(Tg)を超えると、それらは柔軟性かつ展性がより高くなる。従って、吸収性メッシュは、材料のガラス転移温度(Tg)より高い温度までメッシュを加熱することにより、それらを取り付けようとする骨表面の三次元形状に一致するように曲げて輪郭を合わせることができる。温かい水浴または塩水浴、ベンダー/カッターアイロン(bender/cutter iron)、熱風ガンのような手段、もしくは当分野で周知のその他の好適な手段を用いて、ポリマーを加熱することができる。いったん吸収性メッシュが輪郭合わせされて、骨の適切な箇所に固定されれば、その温度がガラス転移温度(Tg)より下がると剛性が戻る。好ましくは、吸収性ポリマー材料のガラス転移温度(Tg)は、約98.6°Fという正常なヒトの平均体温(口内)より高い。
【0033】
また、本発明の原理に従って形成されるメッシュは、ラクチドのようなポリマー、ならびにラクチドとグリコリドのコポリマーから製造するのが好ましい。さらに好ましくは、メッシュは、70/30ポリ(L, D/L-ラクチド)コポリマーまたは85/15ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)コポリマー組成物から製造される。
【0034】
70/30ポリ(L, D/L-ラクチド)コポリマー組成物は、広く用いられている吸収性ポリマーである。70/30組成物のポリマー原料は、約9.8〜11.8%の結晶度を有するのが好ましい。70/30組成物から製造した完成メッシュは、実質的に無定形(すなわち、少なくとも結晶度が10%未満の構造)であるのが好ましい。
【0035】
85/15ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)コポリマー組成物(原料)のコポリマー原料は、約18.9〜32.1%の結晶度を有するのが好ましい。85/15組成物から製造した完成メッシュは、実質的に無定形(すなわち、少なくとも結晶度が10%未満の構造)であるのが好ましい。
【0036】
選択する吸収性材料およびその設計形状は、骨が治癒するのに十分な時間、生体内で十分な強度を維持するのが好ましい。好ましくは、70/30ポリ(L, D/L-ラクチド)コポリマー組成物から作られたメッシュは、移植から約3年前後で完全に吸収される。好ましくは、85/15ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)コポリマー組成物から作られたメッシュは、移植から約1年前後で完全に吸収される。メッシュの厚さおよび個々の患者の身体化学が吸収時間に影響を与えうることは理解されよう。さらに、メッシュが吸収される時間は、メッシュの組成およびその形状を調節することにより変えられることも理解されよう。
【0037】
添付の図面(以下にさらに詳しく述べる)に示すように、本発明の原理に従って形成される吸収性メッシュは、様々な形状および寸法で製造することができる。さらに、好ましくは様々な位置でリンクを切断することにより、手術現場で望まれるどのような形状にもメッシュをカットすることが可能である。
【0038】
吸収性メッシュは、留め具を用いて骨に固定するのが好ましいが、接着剤のような別の好適な手段を用いてもよい。接着剤を用いる場合には、留め具を受け入れる穴のない締結プレートを用意してもよい。
【0039】
ここで図2を参照にすると、本発明の原理に従って形成される吸収性メッシュ20の一具体例は、間隔をおいて配置された締結プレート22、締結プレート22同士を相互連結する湾曲したリンク24、ならびに、リンクと、締結プレートの少なくとも一部とによって締結プレート間に画定された開口部28を含む。締結プレート22は、ほぼ円形または丸い形状をしているのが好ましく、好ましい直径76は約3.5 mmである(図4を参照)。設計選択上の問題として、締結プレート22の上記以外の適切な直径を用いてもよい。
【0040】
締結プレート22は、好適であれば、どのような間隔をあけてもよいし、どのようなパターンで配置してもよく、すべて設計選択上の問題である。一般に、締結プレート22同士の間隔が短いほど、メッシュ20は強くなる。なぜならば、それに伴ってリンク24が短くなり、より剛性になるからである。メッシュ20の厚さ25(図4参照)も、メッシュの強度およびリンク24の剛性に影響を与えるが、好ましい厚さは、典型的に約0.25 mm〜約1.5 mmである。リンクと締結プレートは同じ厚さであるように示されているが、リンクは締結プレートより薄くても厚くてもよい。さらに、リンクは、締結プレートと比較して、好ましくは柔軟性および変形性が相対的に高いことが理解されよう。これによって、工場または手術現場のいずれかにおいて締結プレートに形成される留め具用の穴の形状が、メッシュを加熱して輪郭に合わせた後に、実質的に変わらないようにすることができる。
【0041】
締結プレート22は、図2に示すように、隣接する締結プレート22同士の横方向距離21および縦方向距離23がほぼ同じであるように、対称パターンで配列し、かつ、間隔をおいて配置するのが好ましい。一実施形態では、締結プレート22間の横方向および縦方向の距離21、23(中心から中心まで)は約5mmでありうる。しかし、横方向および縦方向の距離21、23は同じである必要はなく、締結プレート22に非対称パターンを用いてもよいことに留意すべきである。
【0042】
リンク24は、好ましくは、滑らかに湾曲して、弓形に造形することにより、メッシュ20に柔軟性を与え、メッシュが骨の解剖学的形状に近似するように三次元的に輪郭合わせをするとき、軟組織の刺激を発生しうる鋭い屈曲部を一切導入することがない。従って、リンク24は、凹側71と凸側73を備える。一実施形態では、リンク24は、約0.8 mmの典型的幅、約2.0〜3.0 mm(さらに好ましくは約2.2 mm)の内側曲率半径72、ならびに、約2.5〜3.5 mm(さらに好ましくは約3mm)の外側曲率半径74を有する。リンク24から締結プレート22への移行は、小さな半径でわずかに丸みをつけることにより、鋭い角のストレスライザー(stress riser)の導入を回避する。一実施形態では、リンク24の凹側71から締結プレート22への移行部に約0.6 mmの半径を与える。
【0043】
図2に示すように、各締結プレート22に連結するリンク24の数は変動し、締結プレート22がメッシュ20の外部または内部のいずれにあるかによって決まる。各締結プレートは、これらに連結する少なくとも2つのリンク24を有する。図2に示す実施形態において、内部締結プレート30は、これらに連結する少なくとも4つのリンク24を有し、また、外部コーナー締結プレート31は、これらに連結する少なくとも2つのリンク24を有し、さらに外部サイド締結プレート32は、これらに連結する少なくとも3つのリンク24を有するのが好ましい。締結プレート22の各四分円は1以下のリンク24を有するのが好ましい。しかし、本発明はこれに関して限定されるわけではなく、任意の数のリンク24を締結プレート22の円周沿いの任意の数の位置で締結プレート22に連結させてもよいことに留意すべきである。一実施形態では、リンク24は、時計方向および/または反時計方向のいずれかの螺旋パターンで、締結プレート22から外側に延びるか、もしくは放射状に広がっている。1つの締結プレート22のリンク24はすべて、外側に向かい同じ方向に延びるか、もしくは放射状に広がるのが好ましいが、本発明はこれに関して限定されるわけではない。
【0044】
リンク24および締結プレート22の配置により締結プレート22間に画定される開口部28は、大きさおよび形状が様々でありうる。リンク24の形状および配置は、開口部28の形状に影響を与えることが理解されよう。好ましくは、開口部28は、例えば図2に示すように、細長い形状をしている。図3に最もよく示されるように、一実施形態では、開口部28は狭い中央部33を有し、この中央部はその両側にこれより広い部分34を有する。このような細長い開口部は、約7.0〜7.5 mm(さらに好ましくは約7.2 mm)の典型的長さ77と、約1.2 mmの最小幅78(長さの中央付近)を有する。
【0045】
メッシュ20は、いずれかの種類の骨ねじまたは鋲のような留め具で骨に固定するのが好ましい。留め具は吸収性材料から作られるのが好ましいが、これはメッシュと同じものでも、異なるものでもよい。このように、好ましい実施形態では、締結プレート22の少なくともいくつかは、メッシュ20を骨に固定するための留め具を受け取るための留め具用穴26が通されている。穴26の大きさおよび形状は、この穴に挿入しようとする留め具の大きさおよび形状に応じて変動しうる。図2に示したメッシュ20の留め具用穴26を通して描いた断面図である図4に示すように、穴26は、メッシュ20の上面44と下面45との間に延びるまっすぐな側壁35を有する。
【0046】
あるいは、締結プレート22に、留め具用さら穴を設けることもできる。図5に示したメッシュ40の留め具用穴36を通して描いた断面図である図7は、二重傾斜壁を有する留め具用さら穴36の好ましい一実施形態を示す。メッシュ40の上面42から開始して、留め具用穴36は、第1傾斜壁37、次に、隣接する第2傾斜壁38、さらに続いて、メッシュ40の下面43にまで達するまっすぐな壁39を含むのが好ましい。穴36の第1傾斜壁37は、角度47を有する第2傾斜壁とは異なる角度48を有する。一実施形態において、好ましくは、角度48は約20度であり、角度47は約140度である。
【0047】
留め具用穴22は、適切であればどのような形状でもよく、前述した形状に限定されないことに留意すべきである。例えば、留め具用穴22は、1つの傾斜壁だけを有する円錐形のさら穴の形状であってもよいし、穴22の断面が球形であってもよい。従って、本発明は、穴22の形状によって制限されない。
【0048】
図7に示すメッシュ40の円錐形のさら穴36は、相補的な留め具頭部形状を有する留め具と一緒に用いることにより、留め具の頭部が締結プレート22の上面と実質的に同一面になり、軟組織の刺激を軽減するようにするのが好ましい。例えば、図8に示すねじ50は、その頭部に二重傾斜面を有し、穴36において用いることができる。ねじ50は、穴36の第1および第2傾斜壁37、38にそれぞれ形状が対応する第1および第2傾斜面51、53を備えた頭部56を有する。従って、ねじ頭部56の傾斜面51、53は、傾斜壁37、38の角度48および47とほぼ一致する角度52および54を有する。一実施形態では、角度48および52は約20度であり、角度47および54は約140度である。
【0049】
あるいはまた、図9に示す鋲60をメッシュ40の留め具用穴36(図4に示す)において用いてもよい。鋲60は、好ましくは、留め具用穴36の第2傾斜壁38の形状とほぼ一致する傾斜面63を備える頭部61を有する。従って、傾斜面63は、第2傾斜壁38の角度47とほぼ一致する角度62を有する。一実施形態では、角度47および62は約140度である。
【0050】
ねじ50または鋲60のいずれかをメッシュ40の穴36に挿入するとき、この構成の利点は、頭部56または61がそれぞれメッシュ40の上面42と実質的に同一面になる(ただし、ねじまたは鋲頭部の頂部に若干の凸面が生じる可能性はあるが、これは無視できる)ことである。これは、メッシュを移植する際に起こる軟組織の刺激を軽減する上で役立ち、特に骨を覆う皮膚が比較的薄い箇所において、皮膚を介して容易に留め具を感じることができないようにする。
【0051】
ねじ50または鋲60はメッシュ20の垂直壁の留め具用穴26(図4参照)にも使用できることに留意すべきである。あるいはまた、様々な頭部形状を有するその他の留め具(図示していない)を留め具用穴26において用いてもよい。
【0052】
メッシュ20(図2に示す)および40(図5に示す)はいずれも、実施形態では、1.5 mmおよび2.0 mmの呼称寸法留め具を受け取るような寸法にしたそれぞれ留め具用穴26および36を備えるのが好ましい。このようなメッシュは、通常、1.5 mmおよび2.0 mmメッシュと呼ばれる。従って、いくつかの実施形態では、これらのメッシュで使用するために、前述のねじ50および鋲60を1.5 mmおよび2.0 mmの呼称寸法で提供することも好ましい。また好ましくは、2.5 mm呼称寸法ねじ50を提供することにより、例えば、外科医が、2.0 mmねじによる骨の適切な固定には大きすぎる直径の穴を不注意であけてしまった場合に、メッシュの2.0 mm呼称寸法留め具用穴に挿入するための非常用ねじとして役立てられる。2.0 mm呼称寸法ねじ50は、メッシュの1.5 mm留め具用穴のための非常用ねじとして役立てることができる。
【0053】
メッシュ20を骨に固定するために開口部28を通して留め具を取り付けることも可能であるが、強度がより高く、荷重が加わったとき破損しにくい締結プレートの留め具用穴から留め具を取り付けるのが好ましい。また、留め具をすべての留め具用穴に取り付ける必要はなく、すべての締結プレートが留め具用穴を備える必要もないことは理解されよう。接着剤を用いてメッシュを骨に固定する場合も、締結プレートが留め具用穴を備える必要はない。すでに述べたように、締結プレートは、留め具用の穴を設けずに提供することもでき、その場合、外科医は必要に応じて、手術中に締結プレートにそのような穴をあけることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、メッシュ20、40は、それぞれ約0.25 mm〜約1.25 mmの厚さ25、46を有するのが好ましい。しかし、メッシュ20、40は前記範囲以外の厚さであってもよく、それは設計選択上の問題である。また、メッシュの厚さは、その強度や吸収時間のようなパラメーターに影響を与え、従って、メッシュの適切な厚さを選択する際、これらの要因を考慮することが好ましいことも理解されよう。
【0055】
ここで図2を参照すると、メッシュ20は、複数の個別のかつ相互連結した基本メッシュ単位(各単位は、一列の締結プレート22およびリンク24を含み、これらが、好ましくは反復可能なパターンを形成している)から形成され、かつそのようなものとして概念化されうることが明らかであろう。図3は、図2からの拡大図であり、メッシュ20に用いられる反復基本メッシュ単位70の考えられる具体例であり、基本メッシュ単位70は、リンク24で連結された、間隔をおいて位置された4つの締結プレート22を基本とする。反復基本メッシュ単位は、任意のタイプの留め具用穴、例えば、垂直壁をもつ穴26(図4)、二重傾斜円錐形さら穴36(図7)、もしくはその他のあらゆる好適な形状の穴を備えていてもよいことに留意すべきである。これとは別に、例えば、接着剤を用いてメッシュを骨に固定したり、手術中に穴をあけたり、開口部28に留め具を挿入したりすることにより、メッシュを骨に取り付ける場合には、締結プレート22にはまったく穴がなくてもよい。
【0056】
反復基本メッシュ単位70は、設計選択上の問題として、締結プレート22同士を連結するいかなる数のリンク24を備えていてもよく、この数は、前述したように、一部には、そのメッシュ単位がメッシュの外部または内部のいずれに位置するかによって変化しうることが理解されよう。従って、反復基本メッシュ単位70において各締結プレート22に結合されるリンク24の数はさまざまであり、本発明を何ら制限するものではない。
【0057】
多様な配置またはレイアウトで様々な数の反復基本メッシュ単位70を製造して相互連結することにより、多数のメッシュ形状および寸法が考えられる。例えば、図2および図5にそれぞれ示すメッシュ20および40は、形状がほぼ正方形であり、便宜上正方形メッシュと呼ばれる。いくつかの実施形態において、これらの正方形メッシュの外側寸法は、典型的には、約20 mm×20 mm平方〜約150 mm×150 mm平方(すなわち、留め具用穴から留め具用穴まで測定した外側幅86×外側長さ88)でよい。
【0058】
図10は、反復基本メッシュ単位70から形成される、ほぼ円形をしたメッシュ80を示す。メッシュ80は、便宜上円形または直径メッシュと呼ばれる。いくつかの実施形態におけるこれら円形メッシュは、典型的には、直径82が約20 mm〜約150 mm(外寸)である。図11は、反復基本メッシュ単位70から構成される三日月形メッシュ90を示す。いくつかの実施形態におけるこれら三日月形メッシュ90は、典型的には、長さ84が約45 mm〜約75 mm(外寸)である。
【0059】
図10および11は垂直壁の留め具用穴26を示しているが、留め具用穴は、これ以外に、図7に示した穴36のように二重傾斜円錐形さら穴でも、その他の好適な形状であってもよいことが理解されよう。
【0060】
反復基本メッシュ単位を相互連結する数および方法を変えることにより、様々な形状、寸法、および/または厚さのメッシュを作製できることに留意すべきである。従って、本発明は、本明細書に記載する形状および寸法に限定されるわけではなく、これらは、考えられる形状のいくつかを示す例として提供するにすぎない。
【0061】
様々な形状および寸法のメッシュを作製するのに用いることができる別の方法は、手術現場の外科医が、様々な締結プレート22およびリンク24を取り除いて、個々の患者の特定のニーズに具体的に合わせたメッシュ形状を形成することにより、達成することができる。従って、外科医は、任意の好都合な二次元メッシュ形状から開始して、外科鋏を用いて、前述のように好適な形状に合わせて変えることができる。
【0062】
輪郭合わせが可能な吸収性固定装置キットが提供されるが、これについて以下に説明する。キットは以下のものを含む:(a)間隔をおいて配置された複数の締結プレート、締結プレートを相互連結する複数の変形可能なリンク、ならびに、締結プレート間に散在する複数の細長い開口部を含む、少なくとも1つの第1吸収性固定装置(その際、締結プレートとリンクは吸収性材料から作られており、固定装置は三次元的に輪郭合わせが可能である);(b)固定装置を骨に取り付けるための複数の留め具。一実施形態では、前記留め具の少なくともいくつかは吸収性材料から作られる。別の実施形態において、好ましくは、留め具には、固定装置を骨に取り付けるために適切な寸法のねじおよび/または鋲が含まれる。また、第1固定装置は、前述したように、正方形、円形、および三日月形からなる群より選択された形状をもつことが好ましい。
【0063】
輪郭合わせが可能な吸収性固定装置キットの別の実施形態では、キットは、少なくとも第2吸収性固定装置をさらに含む。第2固定装置は、第1固定装置とは異なる全体寸法(すなわち、前述した外寸)を有してもよい。例えば、限定するものではないが、キットは、寸法が20 mm×20 mm〜150 mm×150 mmまたはそれ以上の複数の正方形メッシュを含みうる。あるいは、第2吸収性固定装置は、第1固定装置とは異なる形状(例えば、正方形、円形、三日月形など)、全体寸法および/または厚さを有してもよい。さらに別の実施形態では、キットは、少なくとも第3吸収性固定装置をさらに含む。第3吸収性固定装置も、第1または第2固定装置とは異なる形状、全体寸法および/または厚さを有してもよい。従って、キットが、制限されることなく、任意の数、寸法、および/または形状の固定装置と、該装置を骨に固定する留め具との組合せを含んでもよいことは理解されよう。
【0064】
本発明の原理に従って形成される、輪郭合わせが可能な吸収性メッシュを輪郭合わせして、移植する方法については、便宜上、図2およびメッシュ20を参照にしながら以下に説明する。メッシュ20(好ましくは、滅菌パッケージングに収容され、前記の特徴を有する)は、その初期の剛性かつ平板な二次元形状で外科医に提供される。手術現場で、外科医は、骨上のインプラント受容部位を決定し、続いて、この受容部位の解剖学的三次元形状に基づきメッシュ20の最終的三次元形状を決定する。次に、外科医は、吸収性メッシュ20をそのガラス転移温度(Tg)を超える温度にまで、前述したように、温かい水浴または塩水浴、熱風ガン、ベンダー/カッターアイロンなどの当分野では周知の好適な手段で加熱することにより、メッシュを展性にする。好ましくは、ガラス転移温度(Tg)は、周囲作業室温度およびヒトの体温より高い。一実施形態では、メッシュ20が形成される吸収性材料は、約50〜55℃またはそれ以上のガラス転移温度(Tg)を有する。次に、メッシュ20を骨の受容部位に直接載せ、外科医が所望の三次元形状に輪郭合わせする。ここで、メッシュ20を冷却し、その温度をガラス転移温度(Tg)より低くすると、メッシュはその剛性状態に戻り、三次元的に輪郭合わせした形状を保持する。あるいはまた、メッシュ20をまず所望の三次元形状に輪郭合わせしてから、骨の上に載せ、その後ガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却することにより、メッシュをその剛性状態に戻して、三次元的に輪郭合わせした形状を保持させることも可能である。冷却ステップは、メッシュ20の要求される最終的形状をもたらすだけでなく、その初期の平板な二次元形状より高い強度を有する三次元メッシュ構造物をもたらす。従って、最終的な三次元メッシュ20構造物は、破損せずに体内で荷重に耐える十分な強度を有する。
【0065】
外科医が、加熱したメッシュを造形した後、骨に配置または取り付けるという前記の代替ステップを選択する場合には、メッシュの加熱および造形の作業は、メッシュの三次元形状が骨の解剖学的形状と適切に一致すると外科医が判断するまで繰り返してもよいことに留意すべきである。再加熱作業は約10回までに制限するのが好ましい。また、造形するためにメッシュを十分加熱する加熱ステップの時間(すなわち、ガラス転移温度(Tg)より高く維持する時間)は、約10秒とすることが好ましい。
【0066】
外科医が、メッシュ20の三次元形状が得られたと判断したら、限定するものではないが、骨ねじ50または鋲60のような吸収性留め具を好適に受け入れる十分な数の穴を様々な箇所で骨にあける。好ましくは、骨にあける穴の適切な位置決めを容易にするために、骨上の適所においたメッシュ20と一緒に穴をあけることができる。メッシュ20を用いずに骨に穴をあけた場合には、次に、予めあけた骨の受容穴と留め具用穴26を合わせるように、メッシュ20を骨に載せ、位置決めする。いずれの場合にも、留め具を穴26に通し、次に、予めあけた骨の受容穴に挿入することにより、メッシュ20を骨に固定する。
【0067】
あるいはまた、前述のように工場で製造した既製の留め具用穴がない締結プレート22によりメッシュ20を供給する場合には、外科医は、例えば、穴あけ(drilling)のような手段により、締結プレート22の所望の箇所に留め具用穴をあけることができる。その後、骨の受容穴を骨にあけ、留め具用穴から骨に留め具を挿入する作業は、前述のように実施することができる。メッシュ20を骨に載せている間に、締結プレート22と骨に同時に穴をあけてもよい。
【0068】
接着剤を用いて、メッシュ20を骨に取り付ける場合には、骨に穴をあけ、メッシュを通して留め具を骨の受容穴に挿入する前記ステップを省くことができる。その代わり、メッシュ20の最終的な所望の三次元形状が得られたら、締結プレート22(この場合、留め具用穴26および/または36はなくてもよい)の少なくともいくつかに接着剤を塗布する。次に、メッシュ20を骨に載せ、接着剤を塗布した締結プレートを骨に接触させて配置する。
【0069】
これとは別に、接着剤を用いてメッシュ20を骨に取り付けるもう一つの方法として、予めあけた穴26および/または36を備えるメッシュ20を用意すること、または手術現場で締結プレート22に穴をあけることがある。次に、メッシュ20を骨に載せた状態で、接着剤を穴から挿入する。接着剤は、骨に接着し、硬化すると固化するタイプのものが好ましく、それによって締結プレート22の穴を通したリベット様結合を形成し、メッシュ20を骨に固定することができる。この場合、接着剤および機械的手段の両方により、メッシュ20と骨との固定が達成される。一実施形態において、好ましくは、上部開口部の方が骨と接触する下部開口部より大きい穴36(図7参照)と同様のまたは類似の留め具用穴を用いるが、その際、この穴は、いったん硬化性接着剤が硬化すると、リベット様頭部を形成する。
【0070】
図12は、本発明の原理に従って形成された吸収性メッシュ80を示し、このメッシュ80は、三次元的輪郭合わせをした最終的な剛性の形状をしている(すなわち、メッシュの温度が、使用した吸収性材料のガラス転移温度(Tg)より低い)。メッシュ80は、図13に示すように、頭蓋の頂部領域、あるいは必要に応じて頭蓋のその他あらゆる部位に取り付けることができる。前述したように、メッシュ80の最終的な三次元形状は、移植後にメッシュ80に加わる体内荷重を耐えるのに適した強度を発生する。その三次元形状のほかにも、メッシュ80の相互に接触する構造的構成同士の機械的干渉もメッシュに対する強度に寄与するとともに、強度を付与している。例えば、図12に示すように、通常は間隔をおいて配置された締結プレート22およびリンク24のいくつかを、メッシュ80の三次元的輪郭に応じて、位置102に示すように互いに接触させることができる。加えて、いくつかのリンク24も、位置104に示すように互いに接触させることもできる。従って、留め具用穴22とリンク24とのこのような接触は、メッシュ80構造の剛性を有利に増すと同時に、その強度を高める。さらには、メッシュ20が上に説明したような方法で変形する能力は、より深いおよび/またはより急勾配の深さを持つ最終メッシュ形状を作ることを可能とし、これは、例えば、鼻橋部付近の頭蓋領域など、メッシュを複雑な形状に造形する必要がある特定の解剖学的構造の骨領域において有利である。
【0071】
メッシュ80は、図7に示すタイプの留め具用さら穴36を示しているが、普通の穴、もしくはその他の適当なタイプの留め具用穴を用いることができることに留意すべきである。
【0072】
本発明の原理による輪郭合わせが可能な吸収性メッシュの多くの利点の1つとして、図1に示すような従来技術による閉鎖構造の穿孔シート型メッシュのように、輪郭合わせ中にしわやねじれを発生することなく、骨の解剖学的構造の形状に合わせることができる点が挙げられる。前述したように、従来のメッシュでは、複雑な解剖学的形状の骨の領域で特に顕著になる望ましくないねじれを防止するために、外科医がメッシュにレリーフカットアウト(図1参照)を施す必要がある。このようなカットアウトを形成することは、外科医には煩雑で、手術時間を長引かせるものであり、その両方の問題が、輪郭合わせ時のねじれを阻止する本発明の高度に輪郭合わせ可能な吸収性メッシュにより解決される。本発明のメッシュをカットする必要性をなくす1つのメカニズムは、三次元的輪郭合わせ段階で必要に応じて、リンク24が移動しかつ調整する能力にある。例えば、輪郭合わせ後の図12のメッシュ80について示すように、初めは間隔をおいて配置されたリンク24のいくつかが移動して、互いに接触する(位置104を参照)か、もしくは留め具用穴のいくつかと接触する(位置102を参照)。従って、留め具用穴の間に開口部のない従来の閉鎖構造のメッシュのようにねじれを発生せずに、メッシュ100のリンク24は細長い開口部28内に移動することができるため、ねじれの問題を解消することができる。このように、細長い開口部28は、メッシュ80の平面内にリンク24または締結プレート22の移動を受け入れるように、メッシュ80構造物内に空間またはゾーンを提供することが明らかである。従って、輪郭合わせ前には形状が対称であった開口部28のいくつかの形状は、輪郭合わせ後、リンク24および/または締結プレート22が開口部28内に移動するため、対称ではなくなることに留意すべきである。
【0073】
本発明の輪郭合わせ可能な吸収性メッシュは、吸収性ポリマー(好ましくは、前述した70/30ラクチドまたは85/15ラクチド-グリコリドコポリマー組成物)の圧縮成形した平らなソリッドシートから製造するのが好ましい。メッシュおよびその様々な構造的特徴(すなわち、留め具用穴26および36、リンク24、細長い開口部28など)は、好ましくは、いずれかの好適な手段(例えば、エンドミル、リーマー、カッター、ドリル、および/または同様の切断道具)を用いて、平らなポリマーシートを機械加工および/または切断することにより製造することができる。
【0074】
本発明の原理に従う輪郭合わせ可能な吸収性メッシュを製造する別の好適な手段が考えられ、単独でまたは組み合わせて使用できることに留意すべきであり、このような手段は当業者には周知である。例えば、限定するものではないが、輪郭合わせ可能な吸収性メッシュは、押抜きまたは打抜き(当分野では周知の単一または順送り打抜きを用いる)、高圧水切断、レーザー切断などにより製造することができる。従って、本発明は、輪郭合わせ可能な吸収性メッシュを製造するのに用いられる手段に何ら制限されるものではない。
【0075】
以上の説明および図面は、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、添付の特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な付加、改変、および代替を実施できることが理解されよう。特に、当業者には、本発明が、その精神または本質的特徴から逸脱することなく、別の要素、材料および成分を用いて、別の具体的形態、構造、配置、割合に具現化できることも明らかであろう。当業者は、本発明の原理から逸脱することなく、特定の環境および操作要件に特に適応するように、本発明の実施で用いる構造、配置、割合、材料および成分その他の多くを改変して、本発明を使用できることも理解されよう。従って、本明細書に開示した実施形態は、あらゆる観点から、例示的および非制限的であるとみなすべきであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により示され、以上の説明に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】骨の解剖学的形状に合わせてメッシュを三次元的に造形するために、外科医によって作製された典型的なレリーフカットアウトを示す、従来のソリッド閉鎖構造の穿孔メッシュの平面図である。
【図2】ほぼ正方形を有する、本発明の原理に従って形成された輪郭合わせ可能なメッシュの第1実施形態の平面図である。
【図3】典型的な反復基本メッシュ単位を示す図2から切り取った詳細部分の拡大図である。
【図4】図2から切り取った留め具用穴の具体例の断片図である。
【図5】ほぼ正方形を有する、本発明の原理に従って形成された輪郭合わせ可能なメッシュの第2実施形態の平面図である。
【図6】典型的な反復基本メッシュ単位を示す図5から切り取った詳細部分の拡大図である。
【図7】図5から切り取った留め具用穴の断片図である。
【図8】本発明で用いることができるねじの側面図である。
【図9】本発明で用いることができる鋲の側面図である。
【図10】ほぼ円形を有する、本発明の原理に従って形成された輪郭合わせ可能なメッシュの第3実施形態の平面図である。
【図11】ほぼ三日月形を有する、本発明の原理に従って形成された輪郭合わせ可能なメッシュの第4実施形態の平面図である。
【図12】本発明の原理に従って形成された図10の輪郭合わせ可能なメッシュの透視図であり、骨の解剖学的輪郭に近似するように三次元的に造形された後の図である。
【図13】ヒト頭蓋の典型的取り付け位置に載せた図12の解剖学的に造形されたメッシュの透視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて配置された複数の締結プレート;および
該プレートを相互連結する複数の変形可能なリンク;
を含む、輪郭合わせが可能な吸収性固定装置であって、該締結プレートとリンクが吸収性材料から作られており、該固定装置は三次元的に輪郭合わせが可能である、上記吸収性固定装置。
【請求項2】
前記締結プレート間に散在された複数の細長い開口部をさらに含む、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項3】
前記リンクが滑らかに湾曲した弓形を有する、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項4】
前記弓形リンクが、約0.8 mmの幅、約2.2 mmの内側曲率半径、および約3mmの外側曲率半径を有する、請求項3に記載の吸収性固定装置。
【請求項5】
前記固定装置が輪郭合わせされるとき、前記締結プレートは変形しない、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項6】
前記固定装置が、モノリシックな単一シートの材料から形成される、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項7】
前記シートの材料が圧縮成形されている、請求項6に記載の吸収性固定装置。
【請求項8】
前記固定装置を骨に固定するための留め具を受け取る穴を有する、少なくともいくつかの前記締結プレートをさらに含む、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項9】
前記留め具用穴の少なくとも1つがさら穴である、請求項8に記載の吸収性固定装置。
【請求項10】
前記さら穴が、第1壁角を形成する第1傾斜壁と、第2壁角を形成する第2傾斜壁とからなる二重傾斜壁をさらに含み、第1角と第2角が異なる、請求項9に記載の吸収性固定装置。
【請求項11】
前記第1角が約20度で、第2角が約140度である、請求項10に記載の吸収性固定装置。
【請求項12】
吸収性材料から作られた留め具をさらに含み、この留め具が、第1頭部角を形成する第1傾斜面と、第2頭部角を形成する第2傾斜面を有し、
その際、上記第1および第2頭部角は、前記留め具用さら穴の第1および第2壁角と実質的に合致するように構成されて配置される、請求項10に記載の吸収性固定装置。
【請求項13】
前記留め具用穴が、その穴の中心から中心までを測定して約5mmの間隔をおいて配置される、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項14】
前記締結プレートがほぼ円形である、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項15】
4つの締結プレートの外周の一部と4つのリンクの外周の一部が、前記固定装置内に細長い開口部を形成する、請求項14に記載の吸収性固定装置。
【請求項16】
前記細長い開口部が、約7.0 mm〜約8.0 mmの長さと、約1.0 mm〜約1.5 mmの最小幅を有する、請求項15に記載の吸収性固定装置。
【請求項17】
輪郭合わせ前の前記細長い開口部が対称の形状をしている、請求項15に記載の吸収性固定装置。
【請求項18】
少なくとも2つの平面で輪郭合わせした後の前記細長い開口部の少なくともいくつかが非対称の形状をしている、請求項17に記載の吸収性固定装置。
【請求項19】
輪郭合わせ後に、前記リンクの少なくともいくつかが互いに接触するか、または前記締結プレートと接触し、これによって前記固定装置の剛性が高まる、請求項18に記載の吸収性固定装置。
【請求項20】
前記締結プレートの1つに連結可能な第1端と、別の締結プレートに連結可能な第2端とを有する前記リンクをさらに含む、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項21】
前記リンクが、螺旋パターンで前記締結プレートから外側に放射状に延びるように、締結プレートに連結される、請求項20に記載の吸収性固定装置。
【請求項22】
凹側を有する前記リンクをさらに含み、その際、前記リンクの凹側と前記締結プレートとの連結が約0.6 mmの内側半径を有する、請求項21に記載の吸収性固定装置。
【請求項23】
前記固定装置が約0.25 mm〜約1.2 mmの厚さを有する、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項24】
前記固定装置がほぼ正方形をしている、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項25】
前記固定装置が約20 mm×約20 mm平方〜約150 mm×150 mm平方である、請求項24に記載の吸収性固定装置。
【請求項26】
前記固定装置がほぼ円形をしている、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項27】
前記固定装置が約20 mm〜約150 mmの直径を有する、請求項26に記載の吸収性固定装置。
【請求項28】
前記固定装置がほぼ三日月形をしている、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項29】
前記固定装置が約45 mm〜約75 mmの長さを有する、請求項28に記載の吸収性固定装置。
【請求項30】
少なくとも2列の間隔をおいて配置された締結プレートをさらに含み、各列が少なくとも2つの締結プレート含む、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項31】
前記吸収性材料がラクチドを含む、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項32】
前記吸収性固定装置がさらにグリコリドを含む、請求項31に記載の吸収性固定装置。
【請求項33】
骨に固定することができる吸収性固定装置であって、
間隔をおいて配置された複数の締結プレートであって、該締結プレートの少なくともいくつかには、該固定装置を骨に固定するための留め具を受け取る留め具用穴があけてある、上記締結プレート;
上記締結プレートを相互連結し、かつ該締結プレートから螺旋パターンで延びる複数の弓形リンク;
を含んでなり、ここで、
上記締結プレートおよびリンクは吸収性材料から作られており、
複数の締結プレートは4つのリンクにより相互連結され、相互連結された締結プレートとリンクは、そこに細長い開口部を有する開放構造の変形可能な固定装置を形成し、該固定装置は三次元的に輪郭合わせが可能である、上記吸収性固定装置。
【請求項34】
前記留め具用穴の少なくともいくつかがさら穴にされている、請求項33に記載の吸収性固定装置。
【請求項35】
前記固定装置が少なくとも4つの締結プレートを含み、該プレートは少なくとも2列に配置されて、各列に少なくとも2つ締結プレートを含むが、その際、上記列が互いに間隔をおいて配置される、請求項33に記載の吸収性固定装置。
【請求項36】
輪郭合わせが可能な吸収性固定装置であって、
各列に少なくとも2つ締結プレートを含む、少なくとも2列の、間隔をおいて配置された締結プレート;
上記締結プレートの各々を少なくとも1つの他の締結プレートと相互連結させる、少なくとも1つの弓形リンク;
を含んでなり、ここで、
上記締結プレートとリンクは、固定装置内に複数の細長い開口部を画定するように配置され、
上記締結プレートとリンクが吸収性材料から形成されており、
上記締結プレート、リンク、および細長い開口部は、三次元的に輪郭合わせが可能な開放構造の固定装置を画定する、上記吸収性固定装置。
【請求項37】
前記細長い開口部の少なくともいくつかが前記固定装置に対して縦に、また前記細長い開口部の少なくともいくつかが横に配向される、請求項36に記載の吸収性固定装置。
【請求項38】
前記リンクが、螺旋パターンで前記締結プレートから外側に放射状に延びる、請求項36に記載の吸収性固定装置。
【請求項39】
前記吸収性材料がラクチドを含むコポリマーである、請求項36に記載の吸収性固定装置。
【請求項40】
前記吸収性材料がラクチドとグリコリドのコポリマーである、請求項36に記載の吸収性固定装置。
【請求項41】
複数の反復基本固定装置単位から形成される、輪郭合わせが可能な吸収性固定装置であって、各基本固定装置単位が、
4つの、間隔をおいて配置された締結プレートであって、該締結プレートは、基本固定装置単位のコーナーを形成するように配置され、該締結プレートの少なくともいくつかには、上記基本固定装置単位を骨に取り付けるための留め具を受け取る穴があけてある、上記締結プレート;
上記締結プレートを互いに連結する少なくとも4つの弓形に湾曲したリンクであって、少なくとも4つのリンクが、この少なくとも4つのリンクと上記締結プレートの少なくとも一部により形成された開口部の周りに配置されている、上記リンク;
を含んでなり、ここで、
上記基本固定装置は、ガラス転移温度(Tg)を有する吸収性材料から作られており、
上記基本固定装置単位は、
(a)基本固定装置単位の温度がガラス転移温度(Tg)より低く、基本固定装置単位が実質的に剛性である第1条件と、
(b)基本固定装置単位の温度がガラス転移温度(Tg)より高く、基本固定装置単位が柔軟性で、三次元的に輪郭合わせが可能である第2条件と、
の間で変化することができる、上記吸収性固定装置。
【請求項42】
ほぼ円形をした前記締結プレートをさらに含む、請求項41に記載の吸収性固定装置。
【請求項43】
前記締結プレートが、ほぼ正方形を形成するように、等しく間隔をおいて配置されている、請求項41に記載の吸収性固定装置。
【請求項44】
前記少なくとも4つの弓形に湾曲したリンクの2つが、前記開口部の方に内側へ突き出ており、前記少なくとも4つの弓形に湾曲したリンクの2つが、前記開口部から外側へ突き出ている、請求項41に記載の吸収性固定装置。
【請求項45】
前記開口部が実質的に細長く、かつ対称の形状をしている、請求項44に記載の吸収性固定装置。
【請求項46】
吸収性固定装置を骨の輪郭に合わせて、骨に取り付ける方法であって、以下のステップ:
ヒトの平均体温より高いガラス転移温度(Tg)を有する吸収性固定装置を用意するステップ、ただし、該固定装置は、
a)間隔をおいて配置された複数の締結プレート、
b)該締結プレートを相互連結する複数の弓形の変形可能なリンク、
を含んでなり、ここで、上記リンクは、締結プレート間に細長い開口部を画定する
ように配置され、上記固定装置は骨の形状と一致するように三次元的に輪郭合わせ
が可能である;
該固定装置の温度をガラス転移温度(Tg)より高い温度に上昇させるステップ;
該固定装置を骨の解剖学的形状と実質的に一致するように変形させるステップ;
該固定装置の温度をガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却するステップ;
該固定装置を骨に載せるステップ;
該固定装置を骨に取り付けるステップ;
を含んでなる、上記方法。
【請求項47】
前記締結プレートの少なくともいくつかには留め具用穴があけてあり、さらに以下のステップ:
留め具を用意するステップ;
前記留め具用穴の少なくともいくつかに上記留め具を挿入するステップ;
を含んでなり、その際、上記留め具は上記固定装置を骨に取り付けるために使用される、
請求項46に記載の方法。
【請求項48】
さらに以下のステップ:
前記締結プレートの少なくともいくつかに留め具用穴を設けるステップ;
留め具を用意するステップ;
上記留め具用穴の少なくともいくつかに上記留め具を挿入するステップ;
を含んでなり、その際、上記留め具は上記固定装置を骨に取り付けるために使用される、
請求項46に記載の方法。
【請求項49】
吸収性固定装置を骨の輪郭に合わせて、骨に取り付ける方法であって、以下のステップ:
ヒトの平均体温より高いガラス転移温度(Tg)を有する吸収性固定装置を用意するステップ、ただし、該固定装置は、
a)間隔をおいて配置された複数の締結プレート、
b)該締結プレートを相互連結する複数の弓形の変形可能なリンク、
を含んでなり、ここで、上記リンクは、締結プレート間に細長い開口部を画定する
ように配置され、上記固定装置は骨の形状と一致するように三次元的に輪郭合わせ
が可能である;
該固定装置の温度をガラス転移温度(Tg)より高い温度に上昇させるステップ;
該固定装置を骨に載せるステップ;
該固定装置を骨の解剖学的形状と実質的に一致するように変形させるステップ;
該固定装置の温度をガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却するステップ;
該固定装置を骨に取り付けるステップ;
を含んでなる、上記方法。
【請求項50】
前記締結プレートの少なくともいくつかには留め具用穴があけてあり、さらに以下のステップ:
留め具を用意するステップ;
上記留め具用穴の少なくともいくつかに上記留め具を挿入するステップ;
を含んでなり、その際、上記留め具は上記固定装置を骨に取り付けるために使用される、
請求項49に記載の方法。
【請求項51】
さらに以下のステップ:
上記締結プレートの少なくともいくつかに留め具用穴を設けるステップ;
留め具を用意するステップ;
上記留め具用穴の少なくともいくつかに上記留め具を挿入するステップ;
を含んでなり、その際、上記留め具は上記固定装置を骨に取り付けるために使用される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
少なくとも第1の吸収性固定装置および該固定装置を骨に取り付けるための複数の留め具を含む、輪郭合わせが可能な吸収性固定装置のキットであって、上記固定装置が、
a)間隔をおいて配置された複数の締結プレート;
b)該締結プレートを相互連結する複数の変形可能なリンク;および
c)該締結プレート間に散在する複数の細長い開口部;
を含んでなり、ここで、上記締結プレートと上記リンクは吸収性材料から作られており、上記固定装置は三次元的に輪郭合わせが可能である、上記キット。
【請求項53】
前記リンクが湾曲した弓形を有する、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
前記リンクが、螺旋パターンで前記締結プレートから外側に放射状に延びる、請求項53に記載のキット。
【請求項55】
前記締結プレートの少なくともいくつかには留め具用の穴があけてある、請求項52に記載のキット。
【請求項56】
前記留め具の少なくともいくつかが吸収性材料から作られている、請求項52に記載のキット。
【請求項57】
前記留め具がねじまたは鋲を含む、請求項52に記載のキット。
【請求項58】
前記少なくとも第1の固定装置が、正方形、円形および三日月形からなる群より選択される形状を有する、請求項52に記載のキット。
【請求項59】
少なくとも第2の吸収性固定装置をさらに含み、この第2の固定装置が前記少なくとも第1の固定装置とは異なる全体寸法を有する、請求項52に記載のキット。
【請求項60】
少なくとも第2の吸収性固定装置をさらに含み、この第2の固定装置が前記少なくとも第1の固定装置とは異なる形状を有する、請求項52に記載のキット。
【請求項61】
少なくとも第2の吸収性固定装置をさらに含み、この第2の固定装置が前記少なくとも第1の固定装置とは異なる厚さを有する、請求項52に記載のキット。
【請求項62】
少なくとも第3の吸収性固定装置をさらに含み、この第3の固定装置が前記少なくとも第1および第2の固定装置とは異なる形状を有する、請求項60に記載のキット。
【請求項63】
前記吸収性材料が放射線透過性であることをさらに含む、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項1】
間隔をおいて配置された複数の締結プレート;および
該プレートを相互連結する複数の変形可能なリンク;
を含む、輪郭合わせが可能な吸収性固定装置であって、該締結プレートとリンクが吸収性材料から作られており、該固定装置は三次元的に輪郭合わせが可能である、上記吸収性固定装置。
【請求項2】
前記締結プレート間に散在された複数の細長い開口部をさらに含む、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項3】
前記リンクが滑らかに湾曲した弓形を有する、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項4】
前記弓形リンクが、約0.8 mmの幅、約2.2 mmの内側曲率半径、および約3mmの外側曲率半径を有する、請求項3に記載の吸収性固定装置。
【請求項5】
前記固定装置が輪郭合わせされるとき、前記締結プレートは変形しない、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項6】
前記固定装置が、モノリシックな単一シートの材料から形成される、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項7】
前記シートの材料が圧縮成形されている、請求項6に記載の吸収性固定装置。
【請求項8】
前記固定装置を骨に固定するための留め具を受け取る穴を有する、少なくともいくつかの前記締結プレートをさらに含む、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項9】
前記留め具用穴の少なくとも1つがさら穴である、請求項8に記載の吸収性固定装置。
【請求項10】
前記さら穴が、第1壁角を形成する第1傾斜壁と、第2壁角を形成する第2傾斜壁とからなる二重傾斜壁をさらに含み、第1角と第2角が異なる、請求項9に記載の吸収性固定装置。
【請求項11】
前記第1角が約20度で、第2角が約140度である、請求項10に記載の吸収性固定装置。
【請求項12】
吸収性材料から作られた留め具をさらに含み、この留め具が、第1頭部角を形成する第1傾斜面と、第2頭部角を形成する第2傾斜面を有し、
その際、上記第1および第2頭部角は、前記留め具用さら穴の第1および第2壁角と実質的に合致するように構成されて配置される、請求項10に記載の吸収性固定装置。
【請求項13】
前記留め具用穴が、その穴の中心から中心までを測定して約5mmの間隔をおいて配置される、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項14】
前記締結プレートがほぼ円形である、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項15】
4つの締結プレートの外周の一部と4つのリンクの外周の一部が、前記固定装置内に細長い開口部を形成する、請求項14に記載の吸収性固定装置。
【請求項16】
前記細長い開口部が、約7.0 mm〜約8.0 mmの長さと、約1.0 mm〜約1.5 mmの最小幅を有する、請求項15に記載の吸収性固定装置。
【請求項17】
輪郭合わせ前の前記細長い開口部が対称の形状をしている、請求項15に記載の吸収性固定装置。
【請求項18】
少なくとも2つの平面で輪郭合わせした後の前記細長い開口部の少なくともいくつかが非対称の形状をしている、請求項17に記載の吸収性固定装置。
【請求項19】
輪郭合わせ後に、前記リンクの少なくともいくつかが互いに接触するか、または前記締結プレートと接触し、これによって前記固定装置の剛性が高まる、請求項18に記載の吸収性固定装置。
【請求項20】
前記締結プレートの1つに連結可能な第1端と、別の締結プレートに連結可能な第2端とを有する前記リンクをさらに含む、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項21】
前記リンクが、螺旋パターンで前記締結プレートから外側に放射状に延びるように、締結プレートに連結される、請求項20に記載の吸収性固定装置。
【請求項22】
凹側を有する前記リンクをさらに含み、その際、前記リンクの凹側と前記締結プレートとの連結が約0.6 mmの内側半径を有する、請求項21に記載の吸収性固定装置。
【請求項23】
前記固定装置が約0.25 mm〜約1.2 mmの厚さを有する、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項24】
前記固定装置がほぼ正方形をしている、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項25】
前記固定装置が約20 mm×約20 mm平方〜約150 mm×150 mm平方である、請求項24に記載の吸収性固定装置。
【請求項26】
前記固定装置がほぼ円形をしている、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項27】
前記固定装置が約20 mm〜約150 mmの直径を有する、請求項26に記載の吸収性固定装置。
【請求項28】
前記固定装置がほぼ三日月形をしている、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項29】
前記固定装置が約45 mm〜約75 mmの長さを有する、請求項28に記載の吸収性固定装置。
【請求項30】
少なくとも2列の間隔をおいて配置された締結プレートをさらに含み、各列が少なくとも2つの締結プレート含む、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項31】
前記吸収性材料がラクチドを含む、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【請求項32】
前記吸収性固定装置がさらにグリコリドを含む、請求項31に記載の吸収性固定装置。
【請求項33】
骨に固定することができる吸収性固定装置であって、
間隔をおいて配置された複数の締結プレートであって、該締結プレートの少なくともいくつかには、該固定装置を骨に固定するための留め具を受け取る留め具用穴があけてある、上記締結プレート;
上記締結プレートを相互連結し、かつ該締結プレートから螺旋パターンで延びる複数の弓形リンク;
を含んでなり、ここで、
上記締結プレートおよびリンクは吸収性材料から作られており、
複数の締結プレートは4つのリンクにより相互連結され、相互連結された締結プレートとリンクは、そこに細長い開口部を有する開放構造の変形可能な固定装置を形成し、該固定装置は三次元的に輪郭合わせが可能である、上記吸収性固定装置。
【請求項34】
前記留め具用穴の少なくともいくつかがさら穴にされている、請求項33に記載の吸収性固定装置。
【請求項35】
前記固定装置が少なくとも4つの締結プレートを含み、該プレートは少なくとも2列に配置されて、各列に少なくとも2つ締結プレートを含むが、その際、上記列が互いに間隔をおいて配置される、請求項33に記載の吸収性固定装置。
【請求項36】
輪郭合わせが可能な吸収性固定装置であって、
各列に少なくとも2つ締結プレートを含む、少なくとも2列の、間隔をおいて配置された締結プレート;
上記締結プレートの各々を少なくとも1つの他の締結プレートと相互連結させる、少なくとも1つの弓形リンク;
を含んでなり、ここで、
上記締結プレートとリンクは、固定装置内に複数の細長い開口部を画定するように配置され、
上記締結プレートとリンクが吸収性材料から形成されており、
上記締結プレート、リンク、および細長い開口部は、三次元的に輪郭合わせが可能な開放構造の固定装置を画定する、上記吸収性固定装置。
【請求項37】
前記細長い開口部の少なくともいくつかが前記固定装置に対して縦に、また前記細長い開口部の少なくともいくつかが横に配向される、請求項36に記載の吸収性固定装置。
【請求項38】
前記リンクが、螺旋パターンで前記締結プレートから外側に放射状に延びる、請求項36に記載の吸収性固定装置。
【請求項39】
前記吸収性材料がラクチドを含むコポリマーである、請求項36に記載の吸収性固定装置。
【請求項40】
前記吸収性材料がラクチドとグリコリドのコポリマーである、請求項36に記載の吸収性固定装置。
【請求項41】
複数の反復基本固定装置単位から形成される、輪郭合わせが可能な吸収性固定装置であって、各基本固定装置単位が、
4つの、間隔をおいて配置された締結プレートであって、該締結プレートは、基本固定装置単位のコーナーを形成するように配置され、該締結プレートの少なくともいくつかには、上記基本固定装置単位を骨に取り付けるための留め具を受け取る穴があけてある、上記締結プレート;
上記締結プレートを互いに連結する少なくとも4つの弓形に湾曲したリンクであって、少なくとも4つのリンクが、この少なくとも4つのリンクと上記締結プレートの少なくとも一部により形成された開口部の周りに配置されている、上記リンク;
を含んでなり、ここで、
上記基本固定装置は、ガラス転移温度(Tg)を有する吸収性材料から作られており、
上記基本固定装置単位は、
(a)基本固定装置単位の温度がガラス転移温度(Tg)より低く、基本固定装置単位が実質的に剛性である第1条件と、
(b)基本固定装置単位の温度がガラス転移温度(Tg)より高く、基本固定装置単位が柔軟性で、三次元的に輪郭合わせが可能である第2条件と、
の間で変化することができる、上記吸収性固定装置。
【請求項42】
ほぼ円形をした前記締結プレートをさらに含む、請求項41に記載の吸収性固定装置。
【請求項43】
前記締結プレートが、ほぼ正方形を形成するように、等しく間隔をおいて配置されている、請求項41に記載の吸収性固定装置。
【請求項44】
前記少なくとも4つの弓形に湾曲したリンクの2つが、前記開口部の方に内側へ突き出ており、前記少なくとも4つの弓形に湾曲したリンクの2つが、前記開口部から外側へ突き出ている、請求項41に記載の吸収性固定装置。
【請求項45】
前記開口部が実質的に細長く、かつ対称の形状をしている、請求項44に記載の吸収性固定装置。
【請求項46】
吸収性固定装置を骨の輪郭に合わせて、骨に取り付ける方法であって、以下のステップ:
ヒトの平均体温より高いガラス転移温度(Tg)を有する吸収性固定装置を用意するステップ、ただし、該固定装置は、
a)間隔をおいて配置された複数の締結プレート、
b)該締結プレートを相互連結する複数の弓形の変形可能なリンク、
を含んでなり、ここで、上記リンクは、締結プレート間に細長い開口部を画定する
ように配置され、上記固定装置は骨の形状と一致するように三次元的に輪郭合わせ
が可能である;
該固定装置の温度をガラス転移温度(Tg)より高い温度に上昇させるステップ;
該固定装置を骨の解剖学的形状と実質的に一致するように変形させるステップ;
該固定装置の温度をガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却するステップ;
該固定装置を骨に載せるステップ;
該固定装置を骨に取り付けるステップ;
を含んでなる、上記方法。
【請求項47】
前記締結プレートの少なくともいくつかには留め具用穴があけてあり、さらに以下のステップ:
留め具を用意するステップ;
前記留め具用穴の少なくともいくつかに上記留め具を挿入するステップ;
を含んでなり、その際、上記留め具は上記固定装置を骨に取り付けるために使用される、
請求項46に記載の方法。
【請求項48】
さらに以下のステップ:
前記締結プレートの少なくともいくつかに留め具用穴を設けるステップ;
留め具を用意するステップ;
上記留め具用穴の少なくともいくつかに上記留め具を挿入するステップ;
を含んでなり、その際、上記留め具は上記固定装置を骨に取り付けるために使用される、
請求項46に記載の方法。
【請求項49】
吸収性固定装置を骨の輪郭に合わせて、骨に取り付ける方法であって、以下のステップ:
ヒトの平均体温より高いガラス転移温度(Tg)を有する吸収性固定装置を用意するステップ、ただし、該固定装置は、
a)間隔をおいて配置された複数の締結プレート、
b)該締結プレートを相互連結する複数の弓形の変形可能なリンク、
を含んでなり、ここで、上記リンクは、締結プレート間に細長い開口部を画定する
ように配置され、上記固定装置は骨の形状と一致するように三次元的に輪郭合わせ
が可能である;
該固定装置の温度をガラス転移温度(Tg)より高い温度に上昇させるステップ;
該固定装置を骨に載せるステップ;
該固定装置を骨の解剖学的形状と実質的に一致するように変形させるステップ;
該固定装置の温度をガラス転移温度(Tg)より低い温度に冷却するステップ;
該固定装置を骨に取り付けるステップ;
を含んでなる、上記方法。
【請求項50】
前記締結プレートの少なくともいくつかには留め具用穴があけてあり、さらに以下のステップ:
留め具を用意するステップ;
上記留め具用穴の少なくともいくつかに上記留め具を挿入するステップ;
を含んでなり、その際、上記留め具は上記固定装置を骨に取り付けるために使用される、
請求項49に記載の方法。
【請求項51】
さらに以下のステップ:
上記締結プレートの少なくともいくつかに留め具用穴を設けるステップ;
留め具を用意するステップ;
上記留め具用穴の少なくともいくつかに上記留め具を挿入するステップ;
を含んでなり、その際、上記留め具は上記固定装置を骨に取り付けるために使用される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
少なくとも第1の吸収性固定装置および該固定装置を骨に取り付けるための複数の留め具を含む、輪郭合わせが可能な吸収性固定装置のキットであって、上記固定装置が、
a)間隔をおいて配置された複数の締結プレート;
b)該締結プレートを相互連結する複数の変形可能なリンク;および
c)該締結プレート間に散在する複数の細長い開口部;
を含んでなり、ここで、上記締結プレートと上記リンクは吸収性材料から作られており、上記固定装置は三次元的に輪郭合わせが可能である、上記キット。
【請求項53】
前記リンクが湾曲した弓形を有する、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
前記リンクが、螺旋パターンで前記締結プレートから外側に放射状に延びる、請求項53に記載のキット。
【請求項55】
前記締結プレートの少なくともいくつかには留め具用の穴があけてある、請求項52に記載のキット。
【請求項56】
前記留め具の少なくともいくつかが吸収性材料から作られている、請求項52に記載のキット。
【請求項57】
前記留め具がねじまたは鋲を含む、請求項52に記載のキット。
【請求項58】
前記少なくとも第1の固定装置が、正方形、円形および三日月形からなる群より選択される形状を有する、請求項52に記載のキット。
【請求項59】
少なくとも第2の吸収性固定装置をさらに含み、この第2の固定装置が前記少なくとも第1の固定装置とは異なる全体寸法を有する、請求項52に記載のキット。
【請求項60】
少なくとも第2の吸収性固定装置をさらに含み、この第2の固定装置が前記少なくとも第1の固定装置とは異なる形状を有する、請求項52に記載のキット。
【請求項61】
少なくとも第2の吸収性固定装置をさらに含み、この第2の固定装置が前記少なくとも第1の固定装置とは異なる厚さを有する、請求項52に記載のキット。
【請求項62】
少なくとも第3の吸収性固定装置をさらに含み、この第3の固定装置が前記少なくとも第1および第2の固定装置とは異なる形状を有する、請求項60に記載のキット。
【請求項63】
前記吸収性材料が放射線透過性であることをさらに含む、請求項1に記載の吸収性固定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−516787(P2007−516787A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547284(P2006−547284)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/042995
【国際公開番号】WO2005/089096
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(506220553)
【出願人】(506220564)
【出願人】(506220531)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/042995
【国際公開番号】WO2005/089096
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(506220553)
【出願人】(506220564)
【出願人】(506220531)
【Fターム(参考)】
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