外科用縫合針コーティング及び方法
本発明は、外科手術で使用するための新しい医療用装置、及び新しい医療用装置の製造方法を提供する。いくつかの実施形態において、新しい医療用装置は、最小限の力を使用して組織を繰り返し通過することができる、外科用縫合針を含み得る。より具体的に、新しい外科用縫合針は、容易な反復的及び連続的な組織の通過のために、耐久性及び潤滑性の両方を有する外科用縫合針を提供する、1つ以上のコーティングで製造され得る。外科用縫合針を製造し、外科用縫合針にコーティングを提供及び適用するための新しい方法がまた提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年11月9日に出願された米国特許出願番号第12/614,669号、表題「Surgical Needle Coatings and Methods」、及び2009年11月9日に出願された米国特許出願番号第12/614,665号、表題「Surgical Needle Coatings and Methods」の一部継続出願であり、これらは本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、コーティングされた医療用装置及びこれを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
外科用縫合針など、身体組織と繰り返し接触されるコーティングされた医療用装置は、潤滑性であり、更に組織との多数の接触に耐えるのに十分な耐久性を有することを要求される。しかしながら、医療用装置に良好に接着する、より耐久性の高いコーティングを作製するために、潤滑性は多くの場合において犠牲となる。非常に潤滑性の高い、多くのコーティング材料が存在するが、所望の基材に良好に接着しないか、又は使用中に基材を容易に摩耗するかのいずれかである。同様に、多くの非常に耐久性の高いコーティングが存在するが、これらのコーティングは潤滑性ではないものと考えられる。耐久性及び潤滑性を同時に提供し得る、コーティング組成物及び/又はコーティング組成物の適用方法を見出すために様々な試みがなされてきた。したがって、本発明は、耐久性及び潤滑性、並びにより短い製造時間を提供する、コーティング組成物及び適用方法を提供することによってこの問題を解決する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、耐久性があり、かつ潤滑性の本体、構造体、及び/又は装置を提供するための方法及び装置を提供する。1つの代表的な実施形態において、本体、構造体及び/又は医療用装置をコーティングするための方法が提供され、医療用装置を提供することと、医療用装置の表面の少なくとも一部に、約1マイクロメートル〜約12マイクロメートルの範囲の厚さの、単一で均一なコーティングを適用することとを含み得る。単一で均一なコーティングは、多くの構成要素を有する場合があり、いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含み得る。医療用装置の表面に単一で均一なコーティングを適用することは、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さのコーティングを適用することを含み得る。一実施形態において、医療用装置の表面は、シリコーンを含むプライマーを含み得る。単一で均一なコーティングは、医療用装置の表面上に噴霧され得る。表面は、外側表面、内側表面又は外側表面と内側表面のなんらかの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって、医療用装置の表面上で硬化され得る。
【0005】
医療用装置は、タングステン合金、耐火合金、ステンレス鋼、ニチノール及びタンタルを含む、当該技術分野において既知の好適な材料で形成され得る。タングステン合金は例えば、タングステン−レニウムであり得る。いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングを適用することは、単一で均一なコーティングを、高蒸気圧低沸点溶媒で、医療用装置の表面に供給することを含み得る。高蒸気圧低沸点溶媒は、例えば、ハイドロフルオロエーテル溶媒であり得る。単一で均一なコーティングは、当該技術分野において既知の任意の医療用装置に適用され得、いくつかの実施形態において、方法は組織貫通部分を有する細長い医療用装置を提供することを含み得る。
【0006】
他の態様において、装置が提供され、1つの代表的な実施形態において、コーティングされた装置が提供され、基材を含み得るが、基材の少なくとも一部分は、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含むコーティングでコーティングされる。コーティングは、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する単一層であり得る。いくつかの実施形態において、コーティングは、高蒸気圧低沸点溶媒で、基材に供給されるように構成され得、それによって本体が、組織への本体の30回の通過にわたり、実質的に一定の貫通を呈する。医療用装置は、タングステン合金、耐火合金、ステンレス鋼、ニチノール及びタンタルを含む、当該技術分野において既知の任意の好適な材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、基材は医療用装置であり得る。更にコーティングは、約10重量%〜約90重量%の範囲にあるビニル官能化オルガノポリシロキサン、及び約10重量%〜約90重量%の範囲にあるポリジメチルシロキサンを含む。ビニル官能化オルガノポリシロキサンは例えば、Waterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsによって製造される、Momentive(登録商標)製品コード番号第MSC2631シリコーンであり得る。
【0007】
別の実施形態において、医療用装置が提供され、構造体及び/又は本体と、表面、例えば、本体の外側及び/又は内側表面上に配置される潤滑性シリコーンを含む、単一で均一なコーティングとを含み得る。本体は例えば、組織への本体の30回の通過にわたり、実質的に一定の貫通を呈し得る。いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンで形成され得る。本体は、当該技術分野において既知の多くの構成を有する場合があり、組織貫通部分を有する細長い本体を含み得る。加えて、医療用装置は複数の構成要素及び動作部を含むアセンブリであり得、本体は複数の構成要素及び/又は動作部の1つであり得る。複数の構成要素及び/又は動作部の1つ以上、及びいくつかの実施形態ではその全てが、単一で均一なコーティングでコーティングされ得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、約1.4μm〜約3.0μmの範囲の波長を有する、赤外線放射を使用して、セ氏約200度の温度で硬化されるように構成され得る。単一で均一なコーティングはまた、約1秒〜約60秒の範囲の時間にわたって、及び/又は約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって硬化されるように構成され得る。他の実施形態において、単一で均一なコーティングは、熱対流炉内で約1時間から約5時間の範囲の時間にわたって、セ氏約60度〜セ氏約180度の温度で、及び/又は約2.5時間〜約3.5時間の範囲の時間にわたって、セ氏約100度〜セ氏約140度の温度で、本体表面上で硬化されるように構成され得る。
【0009】
なお更なる態様において、医療用装置のコーティング方法が提供され、セ氏約43度未満の沸点を有する溶媒を含む潤滑性シリコーンコーティングを提供することを含み得る。本方法はまた、潤滑性シリコーンコーティングを医療用装置に適用することと、約1秒〜約60秒の範囲の時間にわたって、潤滑性シリコーンを硬化することとを含み得る。溶媒は例えば、約46.7kPa(350mm Hg)の蒸気圧を有し得る。潤滑性シリコーンコーティングを硬化することは、約1.4μm〜約3.0μmの範囲の波長を有する赤外線放射を使用して、約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって、セ氏約200度の温度でコーティングを硬化することを含み得る。潤滑性シリコーンコーティングは、多くの組成物で形成される得、一実施形態において、潤滑性シリコーンコーティングは、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンの、単一で均一なコーティングを含み得る。
【0010】
本発明は、以下の詳細な説明を付属の図面と併せ読むことで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】外科用縫合針の1つの代表的な実施形態の斜視図。
【図2】外科用縫合針を輸送するために、そこに取り付けられた外科用縫合針を有するキャリアストリップの側面図。
【図3A】外科用縫合針をスワールコーティングするための、スワールコーティング機の1つの代表的な実施形態の斜視図。
【図3B】吊り下げた外科用縫合針をコーティングするためのスワールコーティング機の別の代表的な実施形態の斜視図。
【図4A】2つのコーティングを使用して外科用縫合針を製造及びコーティングするための1つの代表的な方法のフローチャート。
【図4B】単一で均一なコーティングを使用して外科用縫合針を製造及びコーティングするための1つの代表的な方法のフローチャート。
【図5】下塗りした外科用縫合針及び下塗りしていない外科用縫合針を合成媒体に通すために必要とされる力を比較する、グラフ表示。
【図6】合成媒体を通じてスワールコーティングされた外科用縫合針、及びディップコーティングされた外科用縫合針を通過させるために必要とされる力を比較する、グラフ表示。
【図7】2つの異なるコーティング組成物及び適用方法と関連する力を比較するグラフ表示。
【図8】合成媒体を通じてスワールコーティングされた外科用縫合針、及びディップコーティングされた外科用縫合針を通過させるために必要とされる力を比較するグラフ表示。
【図9】ヒト死体組織に通すための、3つの異なるコーティング組成物及び適用方法と関連する力を比較するグラフ表示。
【図10】単一で均一なコーティングでコーティングされた縫合針と、2つのコーティングでコーティングされた縫合針を、合成媒体に通すことに関連する力を比較するグラフ表現。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示される装置及び方法の、構造、機能、製造並びに使用の原理について、総合的な理解を提供するために、特定の代表的な実施形態を以後記載する。これらの実施形態の1つ以上の例を添付の図面に示す。当業者は、本明細書で明確に記載され、添付の図面に示される装置及び方法が、非限定の例示的な実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみにより定義されることを認識するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して示されるか述べられる特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。そのような修正及び変形は、本発明の範囲に含まれることを意図したものである。
【0013】
本発明は一般的に、外科手術で使用するための新しい医療用装置、及び新しい医療用装置の製造方法を提供する。いくつかの実施形態において、新しい医療用装置は1つ以上の本体、1つ以上の構造体、並びに/又は構成要素及び/若しくは動作部のアセンブリを含み得る。一実施形態において、新しい医療用装置は、容易な貫通により組織を繰り返し通過することができる、新しい外科用縫合針を含み得る。より具体的に、新しい外科用縫合針は、容易な反復的及び連続的な組織の通過のために、耐久性及び潤滑性の両方を有する外科用縫合針を提供する、2つ以上の異なるコート及び/又はコーティングで製造され得る。外科用縫合針を製造し、外科用縫合針に耐久性のあるコーティングを提供及び適用するための新しい方法がまた提供される。本明細書においてこれらが使用される際、用語「コート」及び「コーティング」は互換的に使用される。
【0014】
多くの種類の医療用装置及び外科用縫合針が想到されるが、一実施形態において、コーティングが耐久性がありかつ潤滑性があるように、そこに単一で均一なコーティングが適用された、生体適合性の外科用縫合針が提供される。単一で均一なコーティングが、医療用装置の外側及び/又は内側表面に適用される得、外側表面及び/又は内側表面の1つ以上の部分に適用され得る。単一で均一なコーティングは、外側及び/又は内側表面の部分的な及び/又は不連続なコーティングであり得るか、又はこれは外側及び/内側表面全体に適用され得る。別の実施形態において、2つ以上の異なるコーティングが、外科用縫合針に連続的に適用され得る。下塗りは縫合針に適用されて、潤滑性を提供するために適用される異なる上塗りのための耐久性を提供し得る。下塗りはまた、上塗りの潤滑性を向上させるために潤滑性であり得る。いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングがそれ自体で架橋結合する場合があり、並びに/又は下塗り及び上塗りが、例えば、架橋により又は1つ以上の他の架橋メカニズムにより、相互作用する場合がある。下塗りと上塗りとの間の結合により、下塗りは外科用縫合針上に上塗りを保持する。このようにして、下塗りは、組織を繰り返し貫通した後の、上塗りの摩耗及び/又は磨り減りを防ぐことを補助し得る。他の実施形態において、下塗り及び/又は上塗りはそれぞれ、それ自体と架橋結合することができる。単一で均一なコーティング内の構成要素間の相互作用と、耐久性のある下塗りと、潤滑性の上塗りとの間の相互作用は、外科用縫合針の潤滑性を維持することを補助し、それによってこれは、最小限の力を必要として、継続的にかつ繰り返して通過させることができる。
【0015】
外科的用途及び外科用縫合針の組成により、任意の数のコーティングが外科用縫合針に適用され得る。例えば、別の実施形態において、単一で均一なコーティングの前及び/又は下塗り上塗りが適用される前に、プライマーコーティングが外科用縫合糸に適用され得る。プライマーコーティングは、単一で均一なコーティング、又は下塗り及び上塗りとは異なる場合があり、これは外科用縫合針の表面と結合して、その上に下塗りを適用するために適切及び確実な表面を提供し得る。ひいては、単一で均一なコーティング、及び/又は下塗りはプライマーコーティングに結合することができ、それによってプライマーコーティングは、単一で均一なコーティング又は下塗りを外科用縫合針上に確実に保持する。
【0016】
コーティングを、外科用縫合針などの様々な医療用装置に適用するための新しい方法がまた提供される。いくつかの実施形態において、外科用縫合針は、1つ以上のコーティングでスプレーコーティングされ、これが均一に分布した外科用縫合針を提供する。単一で均一なコーティングを適用するため、又は各上塗り及び下塗りを連続的に適用するために、互いに向けられた2つのスプレーノズルを有するスプレーコーティング機器が提供され得る。1つ以上の外科用縫合針が、2つのスプレーノズルの間を、これらがコーティングを噴霧する際に通過し得る。このような構成は、外科用縫合針上の均一な分布のコーティングを可能にし、コーティングのプーリング及び/又はしたたりの危険性を最小限にする。この方法を使用して多数のコーティングが適用され得、各コーティングの前及び/又は後に、外科用縫合針は、コーティングを硬化及び結合するために効果的な、十分な時間だけ硬化され得る。以下でより詳細に記載されるように、溶媒及びコーティング材料の新しい組み合わせは、当該技術分野において既知の技術と比較した際に、実質的により短い硬化時間を可能にし得る。
【0017】
本明細書において想到される、代表的な外科用縫合針の種類は、一般的に、現在既知の任意の又は今後開発される任意の外科手術に使用され得る。外科用縫合針は、軟組織及び硬組織、並びに石灰化した組織を含む、任意の種類の哺乳類組織を含む、任意の種類の組織を貫通及び通過することができる場合があり、切開部又は創傷を閉じるために縫合糸を適用し、縫合糸若しくは他の材料を組織に通す、及び/又は単純に組織に開口部を形成するために使用され得る。当業者は、本明細書に記載される外科用縫合針の様々な用途を理解するであろう。
【0018】
代表的な外科用縫合針は、一般的に組織を貫通するために、その遠位端に組織貫通先端部を有する細長い部材を含む。組織貫通先端部は、尖っている場合があり、特定の外科手術における要求に応じて鋭いか、又は鈍いことがある。いくつかの実施形態において、外科用縫合針はまた、縫合糸を受容及び保持するために、細長い部材の近位端上に配置される縫合糸取り付け部分を含み得る。外科用縫合針は、真っ直ぐ、テーパポイント、テーパカット、切断縁、バイオネット形状、湾曲、円形などを含む、当該技術分野において既知の任意の形状を有し得る。加えて、外科用縫合針は、丸い本体、矩形本体、正方形本体、卵型本体及びアイビームが挙げられるがこれらに限定されない任意の断面を有し得る。当業者は、所定の縫合針のために可能な形状及び断面の様々な組み合わせを理解する。
【0019】
製造プロセスにおいて、外科用縫合針は、そこにコーティングを適用することを補助する真っ直ぐ及び/又はフック型の把持部を有し得る。縫合針を製造し、並びに/又はコーティング機及び/若しくは硬化メカニズムを通じて縫合針を移動させるコンベヤー機構及び/又はキャリアストリップは、把持部分に取り付けられることによって製造、コーティング及び硬化のために縫合針を保持することができる。外科用縫合針24と使用するための代表的なキャリアストリップ20が図2に例示される。キャリアストリップ20は、その上に湾曲した外科用縫合針24を保持するために、様々なラッチ22を含む。これは、外科用縫合針24が、コーティング及び/又は硬化プロセス中に、コンベヤー型機構を使用して移動されることを可能にする。
【0020】
外科用縫合針の1つの代表的な実施形態が図1に例示される。示されるように、その遠位端に組織貫通先端部12が形成される、湾曲した細長い本体16を有する外科用縫合針10が提供される。先端部12は、円形の断面を有し、組織を貫通するための鋭い点で終わる。湾曲した細長い本体16は、先端部12と縫合糸取り付け部分(図示されない)との間で延び、平坦な、矩形の断面を有する弧状の形状である。外科用縫合針10は、必要に応じて任意の相対的寸法を有し得るが、例示される実施形態において、縫合針10の幅Wは、縫合針10の高さHとおよそ同じである。縫合糸取り付け部分は、縫合糸を受容及び保持するための、必要に応じた任意の形状であり得る。
【0021】
代表的な外科用縫合針は、当該技術分野において既知の、任意の好適な生体適合性の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、外科用縫合針は、チタン、ステンレス鋼、例えば、420ステンレス鋼、455ステンレス鋼、ETHALLOY(登録商標)縫合針合金、及び302ステンレス鋼、耐熱合金、ニチノール、タンタル、並びに当該技術分野において既知の様々な他の材料及び合金が挙げられるが、これらに限定されない金属合金から作製され得る。他の実施形態において、外科用縫合針は、タングステン−レニウム合金から作製され得る。外科用縫合針の作製におけるタングステン−レニウム合金の使用は、縫合針に、他の何らかの材料の使用よりも、大きな剛性、強度及び延性を提供し得る。より高い剛性及び強度特性は、縫合針が弾性変形に抵抗し、したがって、例えば、石灰化組織などの組織を通じて押し込まれる際に、屈曲及びバネ運動に抵抗することを可能にする。より高い延性は、縫合針が外科医によって屈曲又は湾曲させられた際に、破断することを防ぐ。縫合針合金組成物のいずれかが、ニッケル、コバルト、クロミウム、モリブデン、タングステン、レニウム、ニオビウムなどのいずれか1つ以上を数%含むことができる。縫合針及びキャリアストリップを製造するための、代表的な縫合針及び方法は、米国特許番号第6,018,860号、表題「Process for Manufacturing Drilled Taper Point Surgical Needles」に見出すことができ、これは本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0022】
いくつかの実施形態において、組織を繰り返し通過するための、耐久性のある潤滑性表面を有する代表的な外科用縫合針を提供するため、2つ以上の異なるコーティングが使用され得る。1つの代表的な実施形態において、外科用縫合針の外部表面をコーティングするために下塗りが使用されて、下塗りの上に適用されて、かつ潤滑性を提供する上塗りに耐久性を提供し得る。下塗りは好ましくは上塗りと結合し、それによって組織の貫通及び通過の繰り返しに伴う摩耗を防ぎ及び/又は低減する。いくつかの実施形態において、プライマーコーティングは任意により、下塗りの前に適用され得る。プライマーコーティングは、外科用縫合針の表面と結合して、下塗りのための結合表面を提供し得る。プライマーコーティングは、下塗り及び上塗りのために、摩耗に対する追加的な耐久性を加えることができる。
【0023】
下塗りは、例えば、ビニル官能化オルガノポリシロキサンとして特徴付けられる、シリコーン系組成物を含み得る。下塗り溶液は、ビニル官能化オルガノポリシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン流体架橋剤、及び任意によりプラチナ又はスズなどの従来の金属触媒などの触媒を含む。オルガノポリシロキサン系ポリマーは、例えば、Waterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsにより製造される、Momentive(登録商標)製品コード番号MSC2631シリコーンであり得る。MSC2631の更なる情報は、製造者のMSDSから入手可能である。
【0024】
下塗りは、当該技術分野において任意の高蒸気圧低沸点溶媒を使用して調製され得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、ハイドロフルオロエーテル(「HFE」)(例えば、St.Paul,MNの3M(登録商標)により製造されるHFE 72−DE溶媒)であってもよい。HFE溶媒は、シリコーン組成物のためのキャリアとして機能する。これは、周囲条件下において組成物から迅速に蒸発し、組成物中の他の物質の移動を制限し、したがって組成物の硬化時間を大幅に低減する。加えて、HFE溶媒は蒸発後に残留物を残さない。これは健康及び安全性の規制を順守し、環境に対しても優しい。当業者によって理解されるように、HFE、キシレン、ヘプタン、IsoPar K(Dow Corning)、ナフタレン、トルエン及びヒドロフルオロカルボンが挙げられるが、これらに制限されない任意の好適な溶媒が使用され得る。
【0025】
加えて、触媒及び架橋剤が、下塗りに追加され得る。例えば、共にWaterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsによって製造される、Momentive(登録商標)製品コード番号SS8010プラチナ触媒(「触媒」)及びMomentive(登録商標)製品コード番号SS4300架橋剤(「架橋剤」)が、下塗りの調製中に追加され、架橋剤及び触媒として機能する。当業者によって理解されるように、シリコン−水素部分を含む他の架橋剤が挙げられるがこれらに限定されない任意の好適な触媒及び架橋剤が使用され得る。他の触媒は、スズなどの従来の金属触媒を含み得る。
【0026】
代表的な下塗りの調製において、27.57重量%の下塗りシリコーンポリマー、例えば、ビニル官能化オルガノポリシロキサンが、72.27重量%のHFE溶媒と組み合わされ、例えば約5分など適切な時間にわたって混合及び/又は撹拌されてもよい。触媒はその後、混合物に、0.02重量%で追加され得、架橋剤は0.14重量%で追加され得る。混合物は、均一性を確実にするために、更に数分間、例えば、更に約1〜2分間撹拌され得る。代表的な48.43gの下塗りサンプルにおいて、13.35gの下塗りシリコーンポリマーが、35.00gのHFE溶媒、0.012gの触媒、及び0.068gの架橋剤と混合され得る。
【0027】
上塗りが外科用縫合針に適用され得る。いくつかの実施形態において、上塗りは、ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンとして特徴付けられる、シリコーン系組成物を含み得る。ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンは一般的に、ジメチルシロキサン−ヒドロキシ末端基、メチルハイドロジェンシロキサン、及び少量のいくつかの他のシロキサンを含む。ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンは、例えばCarpentaria,CAのNuSil(登録商標)Technologiesによって製造されるNuSil(登録商標)Technologies Silicone製品番号MED4162であってもよく、これは、70%のキシレン溶媒キャリア中に30%固体シリコーンを含む。
【0028】
上塗りは、溶媒、例えばHFE溶媒又は他の任意の相溶性のある揮発性溶媒を使用して調製され得る。代表的な上塗りの調製において、26重量%の上塗りシリコーンポリマーが、74重量%のHFE溶媒と混合され得る。例えば50gの上塗りサンプルにおいて、13.00gの上塗りシリコーンポリマーは、37.00gのHFE溶媒と混合され得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、プライマーコーティングが任意により、下塗りの適用の前に外科用装置に適用され得る。プライマーコーティングは、外科用縫合針に結合することができ、下塗りを適用するための適切な基材を提供することができる、いずれかの配合を有し得る。一実施形態において、プライマーコーティングは、例えば、ポリアルキルシロキサン及びテトラエチルシリケートから形成され得る。ポリアルキルシロキサン及びテトラエチルシリケートプライマーコーティングは、例えば、タングステン−レニウム合金などの、結合が難しい基材のコーティングのために、配合され得る。
【0030】
ポリアルキルシロキサン及びテトラエチルシリケートプライマーコーティングの一例は、Waterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsによって製造されるMomentive(登録商標)製品番号SS4044P(「SS4044Pプライマー」)である。SS4044Pプライマーコーティングは、Momentive(登録商標)の10〜30重量%のアセトン、1〜5重量%のブタノール、10〜30重量%のキシレンイソマー混合物、5〜10重量%のエチルベンゼン、10〜30重量%の2−プロパノール、1〜5重量%のテトラエチルシリケート、及び10〜30重量%のポリアルキルシロキサンを含み得る。SS4044Pプライマーの組成物の更なる情報は、製造者のMSDSから入手可能である。
【0031】
一般的に、上記のようにプライマーコーティングは、外科用縫合針と結合して、他のコーティングをその上に適用するための基材を提供する。下塗りは、プライマーコーティングの上に適用され得る。上塗りが下塗りの上に適用されると、下塗りが上塗りと結合して上塗りに耐久性を提供する。本質的に、プライマーコーティングと外科用縫合針との間の結合は、他の2つのコーティングを縫合針表面に固定する。プライマーコーティング及び上塗り両方への下塗りの結合は、上塗りをプライマーコーティングに、したがって外科用縫合針表面に固定し、上塗りに増加した耐久性を付与する。
【0032】
コーティングは一般的に必要に応じて任意の厚さで適用され得る。単独のコーティング、及び組み合わせたコーティングの厚さは、所望の特性を効果的に提供するために十分であるべきである。例えば、プライマーコーティングは、約0.01μm〜約1μmの範囲の厚さを有するように適用され得る。下塗り及び上塗りは、約1μm〜約7μmの範囲の厚さで適用され得る。代表的な実施形態において、上塗りは、下塗りの厚さより少なくとも約50%薄い厚さを有し得る。コーティングの厚さは特定の用途に従って変化し得ることを当業者は理解する。
【0033】
別の実施形態において、外科用縫合針などの医療用装置は、ビニル官能化オルガノポリシロキサン、例えば、Waterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsによって製造される、Momentive(登録商標)製品コード番号第MSC2631シリコーン、及びヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサン、例えば、Carpentaria,CAのNuSil(登録商標)Technologiesにより製造されるNuSil(登録商標)Technologies Silicone製品番号第MED4162(架橋剤又は触媒も含み得る)の混合により一般的に構成される単一の均一で耐久性のある、潤滑性コーティングでコーティングされ得る。単一で均一なコーティングは、ビニル官能化オルガノポリシロキサンとヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンの均一な混合物であり得、それによってこれが外科用縫合針の表面に適用される際に、その上に単一の均一層が形成される。例えば、いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、上記の上塗りと下塗りの混合物であり得る。他の実施形態において、これは、本明細書において記載される耐久性のある、潤滑性材料の任意の組み合わせであり得る。単一で均一なコーティングは、単一の適用ことにおいて医療用装置に適用され得、いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、様々な比率の上記の上塗り及び下塗りで形成され得る。単一で均一なコーティングは、医療用装置の表面に直接適用される場合があり、医療用装置に適用される唯一のコーティングである場合があり、それによってその表面上に単一のコーティング層が存在する。
【0034】
代表的な単一で均一なコーティング組成物の調製において、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンが様々な量で、任意により高粘度溶媒中の触媒及び架橋剤と共に調製され得る。一般的に、ビニル官能化オルガノポリシロキサンは組成物に、約2重量%〜約25重量%の範囲で、及びより好ましくは約9重量%〜約19重量%の範囲で追加され得る。同様に、ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンは組成物に、約2重量%〜約25重量%の範囲で、及びより好ましくは約9重量%〜約19重量%の範囲で追加され得る。高蒸気圧低沸点溶媒、例えば、HFE溶媒は組成物に、約65重量%〜約85重量%の範囲で、及びより好ましくは約70重量%〜約80重量%の範囲で追加され得る。いくつかの実施形態において、触媒及び架橋剤が組成物に追加され得る。例えば、Momentive(登録商標)製品コード番号SS8010プラチナ触媒などの触媒が、約0.002重量%〜約0.070重量%の範囲で、及びより好ましくは、約0.008重量%〜約0.05重量%の範囲で追加され得る。Momentive(登録商標)製品コード番号第SS4300架橋剤は、約0.01重量%〜約0.40重量%の範囲で、及びより好ましくは約0.04重量%〜約0.28重量%の範囲で追加され得る。
【0035】
あるいは、単一で均一なコーティング組成物は、下塗り及び上塗り(両方とも上記)を様々な比率で混合することによって調製され得る。各コーティングの別個のバッチが作製され得、かつ様々な量のコーティングが混合され得る。例えば、下塗りの上塗りに対する比率は、約1:5〜5:1の範囲、より好ましくは約1:3〜3:1の範囲、例えば、約1:2、1:1、2:1、1:3、3:1などであり得る。当業者によって理解されるように、例えば、約0.5:1、1:0.5、1:1.5、1.5:1、1:2.5、2.5:1などの、少数比率を含む、任意の比率に組み合わせの上塗り及び下塗りが使用され得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、約18.38重量%のベースシリコーンポリマー、例えば、ビニル官能化オルガノポリシロキサンを、約72.85重量%のHFE溶媒と組み合わせた混合物から形成され得る。ベースシリコーンポリマー及びHFE溶媒は、約8.667重量%のシリコーンポリマー、例えば、ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンと混合され得る。Momentive(登録商標)SS8010プラチナ触媒はその後、混合物に好適な量(例えば、約0.0165重量%)で追加され得、Momentive(登録商標)SS4300架橋剤が、好適な量(例えば、約0.0936重量%)で追加され得る。混合物は、均質性を確実にするために、更に数分間にわたって、例えば更に約1〜2分間にわたって撹拌され得る。この混合物は、例えば、約2:1の比率(重量比)の上塗り及び下塗りと、同等である。
【0037】
別の実施形態において、代表的な単一で均一なコーティングは、約13.78重量%のベースシリコーンポリマー、例えば、ビニル官能化オルガノポリシロキサンを約73.13重量% HFE溶媒と組み合わせた混合物から形成され得る。ベースシリコーンポリマー及びHFE溶媒は、約13.00重量%のシリコーンポリマー、例えば、ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンと混合され得る。触媒がその後、混合物に約0.0124重量%で追加され得、架橋剤が約0.0702重量%で追加され得る。混合物は、例えば、約1:1(重量比)の下塗り及び上塗り溶液と同等である。
【0038】
なお更なる実施形態において、単一で均一なコーティングは、約9.189重量%のベースシリコーンポリマー、例えば、ビニル官能化オルガノポリシロキサンを、約73.42重量%のHFE溶媒と組み合わせた混合物から形成され得る。ベースシリコーンポリマー及びHFE溶媒は、約17.33重量%のシリコーンポリマー、例えば、ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンと混合され得る。触媒がその後、混合物に約0.083重量%で追加され得、架橋剤が約0.0468重量%で追加され得る。混合物は、例えば、約1:2(重量比)の下塗り及び上塗り溶液と同等である。
【0039】
当業者によって理解されるように、単一で均一なコーティング内の異なる重量比を達成するために、従来的な処理装置及び技術を使用して、下塗り及び上塗り溶液を混合する様々な従来的な方法が存在する。1つの混合方法において、下塗り及び上塗りのマスターバッチが互いに混合され得る。適切な比率の各コーティングがその後、マスターバッチから一緒に混合されて、単一で均一なコーティングを形成し得る。例えば、下塗りと上塗りの約2:1の比率の混合物を有する単一で均一なコーティングが望ましい場合、一定量の上塗りが2倍量の下塗りと混合され得る(例えば、約10グラムの上塗りと混合された約20グラムの下塗り)。あるいは、約1:1の比率の単一で均一なコーティングが所望される場合、等量部の下塗り及び上塗りが混合され得る。別の実施形態において、混合された単一で均一なコーティングは、上塗り及び下塗りの別個のマスターバッチからの混合ではなく、全ての成分がそれらの正確な比率で直接追加されることで、直接作製され得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングの前にプライマーコーティングが任意により医療用装置に適用され得る。上記のように、プライマーコーティングは、医療用装置に結合することができ、単一で均一なコーティングを適用するために適切な基材を提供することができる、いずれかの配合を有し得る。一実施形態において、プライマーコーティングは、例えば、ポリアルキルシロキサン及びテトラエチルシリケートから形成され得る。ポリアルキルシロキサン及びテトラエチルシリケートプライマーコーティングは、例えば、タングステン−レニウム合金などの、結合が難しい基材のコーティングのために、配合され得る。他の実施形態において、プライマーコーティングは所望されず、又は必要とされず、単一で均一なコーティングは、医療用装置の基材、すなわち表面に直接適用されて、医療用装置に適用される唯一のコーティングとなる。なお更なる実施形態において、医療用装置の表面は、その部分として、及び/又はその上に予め形成されて、プライマーコーティングを含み、それによって単一で均一なコーティングが適用される際に、医療用装置上に単一で均一なコーティングのみが存在する。
【0041】
単一で均一なコーティングは一般的に、必要に応じて任意の厚さで適用され得る。単一で均一なコーティングの厚さは、所望の特性を効果的に提供するために十分であるべきである。例えば、単一で均一なコーティングは、約1μm〜約12μm、及びより好ましくは約3μm〜約6μm、又は約1μm〜約3.5μmの範囲の厚さで適用され得る。プライマーコーティングが適用される場合、これは約0.01μm〜約1μmの範囲の厚さを有するように適用され得る。当業者は、単一で均一なコーティング及び/又はプライマーコーティングの厚さは、特定の用途によって変化し得ることを理解する。
【0042】
コーティングされた外科用縫合針又は他の医療用装置を提供するために使用され得る、多くの方法及びシステムが本明細書において想到される。一般的に、外科用縫合針などの医療用装置は、以下でより詳細に記載されるように、所望の材料から製造され、コーティングに備えることができる。使用中の耐久性及び潤滑性を提供するために、1つ以上のコーティングが外科用縫合針に適用され得る。コーティングのいずれか1つの適用の前、間及び/又は後に、外科用縫合針は、コーティング中の溶媒を除去し、並びに/又はコーティングを硬化、架橋及び/若しくは結合するために効果的な、十分な時間だけ硬化され得る。
【0043】
当該技術分野において既知のいずれかのプロセスが、下塗り、上塗り、下塗り及び上塗りの混合物(又は下塗り及び上塗りの成分)から構成される単一コーティング、並びに/又はプライマーコーティングの1つ以上で様々な医療用装置をコーティングするために使用されてもよく、これは、浸漬、噴霧、清拭、はけ塗り、全体浸漬、重力供給などを含むがこれらに限定されない。例えば、外科用縫合針は、多くの従来的な方法で、ディップコーティングされ得る。縫合針が手動により処理される場合、縫合針は、コーティングに、手で浸漬されるか又は全体浸漬され得る。より自動化されたプロセスにおいては、コーティング溶液は、堰型循環システムを使用して適用される場合があり、ここで外科用縫合針は、ロボット又は処理システムのいずれかによって、自動的な方法により、溶液を通過する。浸漬技術は一般的に、持続性のための、基材との関連におけるコーティングの接着及びコーティングの湿潤特性のための、表面張力に依存する。当業者は、様々な技術に使用され得る、様々な可能な従来のプロセス、プロセス装置、及びこれらの同等物を理解する。
【0044】
一実施形態において、1つ以上のコーティングが、例えば、超音波及び/又はガスコンフォーマルコーティングスプレーノズルシステム及び/又はスワールコーティングシステムを使用して、噴霧により外科用縫合針に適用され得る。超音波及びガススプレーノズルは、液体を噴霧し、液滴の霧を形成するために十分な量で、液体にエネルギーを伝達する。液滴の噴霧は、スワールプロセスを使用して医療用装置に適用され、このプロセスにおいて、基材をコーティングするために、医療用装置の周囲で液滴が旋回する。スワールプロセスを使用したコーティングの適用は、外科用装置へのコーティングのより均一な分布を確実にし、一方で、したたり、望ましくないプーリング、液滴及び/又は不均一性を生じ得るコーティングの過剰な堆積を防ぎ得る。噴霧はまた、コーティング厚さの正確な制御及び調節を可能にする。特定のコーティングが、表面上に薄い膜のみを残すように適用される場合があり、又はこれは異なる厚さを提供するために適用され得る。
【0045】
異なる種類及び大きさのスプレーノズルが、特定のコーティング組成物、及び生成されるスプレー流れの所望の属性によって使用されてもよい。スプレーノズルは、必要に応じた特定の頻度及び/又は空気圧で動作するように設計されることがあり、ノズルを操作するための所望の電力レベルは、ノズルの大きさ及び設計、使用される組成物の粘度、使用される組成物の成分の揮発性などを含む、様々な要因に依存し得る。超音波及び流体スプレーノズルは両方とも、市販されている。
【0046】
図3Aに及び図3Bに例示されるものなどの、一実施形態において代表的な外科用縫合針32にスワールコーティングを適用するために、対向するスプレーノズル30a、30bが提供される。対向するスプレーノズル30a、30bはそれぞれ、適用される特定のコーティングを保持するキャニスターに連結され得、排出開口部31a、31bを通じてコーティングを供給し得る。スワールプロセスによって適用される各コーティングは、対向するスプレーノズル30a、30bの異なるペアを使用して適用され得る。したがって、いくつかの実施形態において、多数のコーティングを適用するために、スプレーノズルの多数のセットが、使用され得る。各スプレーノズル30a、30bは、コーティングを供給するために溝付きの先端部(図示されない)を有し得る。縫合針が延びる方向と垂直の、水平面に対する溝付き先端部の角度は、スプレーの範囲を最適なコーティングへと収束させるために調節され得る。当該技術分野において理解されるように、特定のコーティングを供給するのに、必要に応じて任意の角度が使用され得る。加えて、異なるコーティングは異なる角度を有する溝付き先端部からの供給を必要とし得る。
【0047】
スプレーノズル30a、30bの対向するペアは、スプレーノズル30a、30bを、3次元において調節及び操作することができる、位置決め装置(図示されない)から延び得る。対向するスプレーノズル30a、30bは、特定の用途のために必要に応じて互いに対して任意の様式で位置付けられることができ、一般的には互いに対称的に対向し得る。例示される実施形態において、スプレーノズル30a、30bは、図3A〜3Bに示されるように、水平表面に対して、およそ約30°の角度で位置付けられる。水平方向において、ノズル30a、30bは真向かいで対向し得る(例えば、約180°オフセットされる)。しかしながら、好ましくは、ノズル30a、30bは、中立化(neutralization)を防ぎ、スプレーしぶきが縫合針上に堆積するのを防ぐために、互いに約180°未満の度合いで水平方向にオフセットし得る。対向するノズル30a、30bの位置付けは、外科用縫合針の最も完全なコーティングを提供するために最適化され得る。
【0048】
一般的に、スワールコーティングは、縫合針32とノズル30a、30bとの間の相対的な運動の間に適用され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の縫合針32は、静的に留まる場合があり、一方で、ノズル30a、30bは、コーティングを噴霧しながら、縫合針32に対して移動する。他の実施形態において、キャリアストリップ、例えば図2に示されるキャリアストリップ20、又は図3A及び図3Bに示されるキャリアストリップ40は、複数の外科用縫合針32を対向するスプレーノズル30a、30bに対して移動し、一方でノズル30a、30bは静的に留まる。他の実施形態において、キャリアストリップ40及びノズル30a、30bは、互いに対して移動し得る。キャリアストリップ40は、図3Aに示されるように、ノズル30a、30bの下に取り付けられてもよく、又はキャリアストリップ40は、図3Bに示されるように、ノズル30a、30bの上に取り付けられ得る。
【0049】
キャリアストリップ40及び/又はノズル30a、30bの移動速度は、スプレーノズル30a、30bが、最適な適用範囲及び縫合針32のコーティングを提供するように制御され得る。例えば、縫合針32とノズル30a、30bとの間の相対移動速度は、毎秒約2.54〜約38.1cm(約1〜約15インチ)の範囲であり得る。最適には、相対的な移動速度は、毎秒約7.6cm(3インチ)〜毎秒約12.7cm(5インチ)の範囲であり得る。ノズル排出開口部31a、31bと縫合針の近位部分との間に任意により、シールドが配置され得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、スプレーノズル30a、30bを使用して、外科用縫合針などの医療用装置に適用され得る。上記のように、単一で均一なコーティングが使用されるとき、これは本明細書において記載される上塗り及び下塗りの混合物、並びに/又は潤滑性及び耐久性の両方を適用するように設計された成分の混合物であり得る。スプレーノズル30a、30bを使用して、単一で均一なコーティングが適用することができる、様々な方法が存在する。例えば、単一で均一なコーティングは例えば、約2:1の比率、1:1の比率、及び/又は1:2の比率など、上塗り及び下塗りの正確な比率で予混合され得、予混合組成物は、ノズル30a、30bによって、医療用装置上に単一で均一なコーティング層で提供され得る。
【0051】
別の実施形態において、上塗りは、一方のノズル30aによって供給され得、下塗りは、他方のノズル30bによって供給され得る。約2:1の比率の上塗り及び下塗りが必要とされる場合、又は約1:2の比率の上塗り及び下塗りが必要とされる場合、一方のノズル30a、30bが一定量のコーティングを提供するように構成され得る一方で、他方のノズル30b、30aは異なる量(例えば、二倍量、又は半量)の他方のコーティングを供給するように構成され、それによって重量比が所望のものとなる。
【0052】
更なる実施形態において、上塗り及び下塗りは、ノズル30a、30bと流体連通するキャニスターに提供され得、医療用装置に適用される前に、2つのコーティングがノズル30a、30b内で所望の比率に混合され得る。例えば、ノズル30a、30bは、これと関連する2つのフィードラインなどの、混合メカニズムを有する場合があり、これは約2:1の比率、1:1の比率、1:2の比率及び他の所望の任意の比率の上塗り及び下塗りを混合することができ、それによって単一で均一なコーティングが、これが医療用装置に適用される前にノズル30a、30b内で予混合される。
【0053】
外科用縫合針などの外科用装置上のコーティングを硬化(curing)、硬質化(hardening)、及び/又は固着(setting)させるための、当該技術分野において既知の多くのメカニズムが存在する。硬化はまた、コーティングを作製するために使用されるいずれかの溶媒の蒸発を生じ得る。硬化は一般的に、コーティングされた外科用縫合針を、所定の期間にわたってなんらかの形の温度の上昇、及び/又は湿度変化に暴露することによって達成され得る。例えば、コーティングされた縫合針は、当該技術分野の他の形態の、中でもとりわけ、加熱炉若しくは炉、ホットボックス、加湿チャンバ、及び/又は赤外線チャンバ内に配置することができる。硬化時間は、数秒間のみの「瞬間(flash)」硬化から、24時間超の時間まで及び得る。
【0054】
硬化プロセス中において、温度及び/又は湿度は、全時間において単一の値に維持されてもよく、及び/又はこれは、時間の経過と共に必要に応じて上昇又は低下させてもよい。温度は、例えば、加熱要素への電力を制御するために、熱電対及びポテンショメーターを使用してモニタリング及び調節することができる。ポテンショメーターは、加熱システムの長さに沿った周期的な刻み幅で、熱電対によって行なわれる温度測定が、特定の温度で、又はその間の範囲で維持されるように、予め構成され得る。他の実施形態において、温度はフィードバックループを使用して制御される場合があり、外科用縫合針が経る温度と相関する温度測定値が、電源にフィードバックとして送られ、これが加熱されたフィラメントに供給される電力を連続的に調節して、所望の温度範囲を維持する。湿度モニターは、湿度をモニタリング及び調節するために使用され得る。いくつかの実施形態において、各コーティングは、これを外科用縫合針に適用した後に硬化され得る。他の実施形態において、全てのコーティングは、硬化プロセスを開始する前に適用され得る。
【0055】
一実施形態において、コーティングの硬化を生じさせるために赤外線放射器が使用され得る。赤外線放射器は、Heraeus(登録商標)Noblelightから、例えばモデルSKL200−800が市販されている。実際の放射器は例えば、熱を集中させ、かつ蓄えるために使用される反射性チャネル内に埋め込まれた8フィート長さの薄い加熱されたフィラメントを含み得る。赤外線加熱システムは、チャネル開口部が下に向くように配置され得る。赤外加熱システム内で硬化される外科用縫合針は、例えば、加熱されたフィラメントから約0.64cm(1/4インチ)上で、垂直に保持され、チャネルの2つの凹状反射性壁部の間を通過し得る。縫合針はキャリアストリップ上で保持され得、これらは毎秒約7.6cm(3インチ)〜毎秒約12.7cm(5インチ)の範囲の速度でチャネルを横断するが、任意の速度が使用され得る。
【0056】
外科用縫合針上に耐久性のある潤滑性のコーティングを提供するために多くの方法が想到されるが、1つの特定の方法の実施形態のフローチャートが図4Aに例示される。示されるように、本方法は一般的に、外科用縫合針を製造することと、コーティングを受容するための縫合針の表面を調製することと、プライマーコーティング、下塗り及び/又は上塗りで縫合針をコーティングすることと、コーティングを硬化することとを含む。図4Bにおいて例示される別の実施形態において、方法は一般的に、外科用縫合針を製造することと、コーティングを受容するための縫合針の表面を調製することと、縫合針をプライマーコーティングでコーティングすることと、縫合針を単一で均一なコーティングでコーティングすることと、単一で均一なコーティングを硬化することとを含む。当業者は、このような方法に含まれ得るバリエーション及び追加を理解する。
【0057】
外科用縫合針の製造において、好適な組成物の未処理ワイヤがスプールから外され、形成するために素材片に切断される。所望の縫合針の大きさにより、任意の大きさの素材片が使用され得るが、一実施形態において、ワイヤは、5.1cm(2インチ)の素材片に切断され得る。一度切断されると、素材片が、図2に例示されるような金属キャリアストリップに取り付けられ得る。素材片は固定されて、形成、研削、曲げなどを含む、当該技術分野において既知の任意の方法で、これらの好ましい縫合針の形状に成形され得る。
【0058】
適切に形成された縫合針は、汚染物質を除去し、コーティングを受容するための表面を調製するために、清掃され得る。例えば、縫合針は、高温高圧で水を放出する高圧ノズルに暴露され得る。他の実施形態において、縫合針は任意の汚染物質を除去するために、高温に焼成され得る。一度縫合針が清掃されると、これらは必要な任意の時間にわたって、電界研磨され得る。縫合針は、電界研磨槽内に浸漬され(例えば、水酸化ナトリウム、リン酸など)、制御された速度でイオンを除去するために直流に供され得る。一度完成すると、縫合針は連続的な回数で、例えば、2回、脱イオン化した水槽ですすがれ得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、プライマーコーティング、例えば上記のSS4044Pプライマーは、新しく製造され、かつ洗浄された外科用縫合針に適用され得る。プライマーコーティングは例えば、縫合針がタングステン−レニウム合金である場合に使用され得る。浸漬又は噴霧を含む当該技術分野において既知の任意の方法を使用して適用され得るが、一実施形態において、プライマーは浸漬により外科用縫合針に適用される。把持器具又はキャリアストリップを使用して、縫合針は室温においてプライマーに、その完全な適用範囲を生じるために、1〜2秒間浸漬され得る。当業者は、特定のプライマーに対して好適である任意の温度で、かつ任意の長さの時間にわたって、適用され得ることを理解する。プライマー中の反応性官能基は、外科用縫合針の表面のヒドロキシル官能基と反応し、そこに共有結合し得る。いくつかの実施形態において、プライマーコーティングが適用された後、例えば、セ氏約200度などの、適切な温度で、約20秒間瞬間硬化され得る。一度硬化されると、プライマーは外科用縫合針と、いずれかの後に適用されたコーティングとの間に境界を生じ得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、上記のMomentive(登録商標)下塗りなどの、下塗りは、外科用縫合針の外側表面、かつ使用される場合には、SS4044Pプライマーなどのプライマーの上に適用され得る。当該技術分野において既知の任意の適用方法が使用され得るが、一実施形態においては、外科用縫合針は、対向するスプレーノズルを使用して、下塗りによって噴霧又はスワールコーティングされる。例えば、外科用縫合針はコーティングされるために、対向する第1スプレーノズルと第2スプレーノズルとの間を通過し得る。スプレー又はスワールコーティングを使用する下塗りの適用は、縫合針上又は更に使用される場合はプライマー上の、下塗りの均一な分布の層を確実にする。下塗りが適用されると、溶媒、例えば、HFE溶媒は迅速に蒸発して、縫合針表面上に均一に分布したシリコーンの薄い層を残し得る。いくつかの実施形態において、下塗りは、「インライン」赤外線加熱システムへの暴露によって表面上に硬化され得る。下塗りは、多くの異なる波長の赤外光に暴露されて硬化され得る。
【0061】
本発明のコーティングされた医療用装置はまた、下塗りコートの上に、好ましくは下塗りが部分的にコーティングされた後に適用された上塗りを有し得る。例えば、上記のNuSil(登録商標)上塗りは、Momentive(登録商標)下塗りの上に適用され得る。当該技術分野において既知の任意の適用方法が使用され得るが、一実施形態においては、外科用縫合針は、対向するスプレーノズルを使用して、上塗りによって噴霧又はスワールコーティングされ得る。例えば、外科用縫合針はコーティングされるために、対向する第3スプレーノズルと第4スプレーノズルとの間を通過し得る。噴霧又はスワールコーティング技術を使用した上塗りの適用は、下塗りの上の上塗りの均一に分布した層を確実にする。上塗りが適用される際、例えばHFE溶媒などの溶媒は、急速に蒸発して、下塗りの上の均一に分布した上塗りの薄い層を残す。いくつかの実施形態において、上塗りの適用後、いずれかの余分な溶媒を落とすために、上塗りが瞬間硬化され得る。縫合針は、溶媒の蒸発を完成させるために必要な任意の時間及び任意な温度で、ホットボックス又は他の加熱硬化システムを通過させることができる。一実施形態において、上塗りは、セ氏約165度〜セ氏約200度の範囲の温度において、約20秒間にわたって赤外線ヒーターで瞬間硬化され得る。
【0062】
他の実施形態において、単一で均一なコーティングは、外科用縫合針の外側表面に適用され、使用される場合はプライマー、例えば、SS4044Pプライマー上に適用され得る。単一で均一なコーティングは、例えば、上記のようにMomentive(登録商標)下塗り、及びNuSil(登録商標)上塗りの組み合わせであり得るが、単一で均一なコーティングを形成するために、材料の任意の好適な組み合わせが使用され得る。当該技術分野において既知の任意の適用方法が使用され得るが、一実施形態においては、外科用縫合針は、対向するスプレーノズルを使用して、単一で均一なコーティングによって噴霧又はスワールコーティングされる。例えば、外科用縫合針はコーティングされるために、対向する第1スプレーノズルと第2スプレーノズルとの間を通過し得る。スプレー又はスワールコーティングを使用して単一で均一なコーティングを適用することは、縫合針上又は使用される場合は縫合針のプライマーコーティング上の、単一で均一なコーティングの均一に分布する層を確実にする。単一で均一なコーティングが適用される際、溶媒、例えば、HFE溶媒は急速に蒸発して、縫合針表面上に単一で均一なコーティングの薄い層を残し得る。いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、「インライン」赤外線加熱システムに、十分に効果的な時間、例えば、約1秒〜約60秒、約10秒〜約30秒、及び/又は約20秒にわたって暴露することによって硬化され得る。単一で均一なコーティングは、多くの異なる波長の赤外光に暴露されて、硬化され得る。単一で均一なコーティングはまた、セ氏約60度〜セ氏約180度の範囲の温度で、約1時間〜約5時間、約2.5時間〜約3.5時間、及び/若しくはより好ましくは約3時間の時間にわたって、並びに/又はセ氏約100度〜セ氏約140度の範囲の温度で硬化され得る。
【0063】
上塗り及び/又は単一で均一なコーティングの適用の後、外科用縫合針は任意によりスプールに戻され得る。いくつかの実施形態において、コーティングされた縫合針は、最終的な硬化プロセスに暴露され得る。例えば、スプールに戻された縫合針は、コーティングを更に硬化させるために十分な温度及び時間で熱対流炉内に配置され、硬化され得る。一実施形態において、外科用縫合針は、セ氏約165度において、およそ4時間にわたって熱対流炉内で硬化され得る。他の実施形態において、最終的な硬化は、セ氏約80度の温度で、およそ3時間にわたって実行され得る。
【0064】
本明細書において記載される代表的なコーティング及び方法における硬化時間は、これらが当該技術分野において既知のコーティング及び方法における硬化時間よりも遥かに短いという点において、非常に有益である。これまでのコーティング及び方法は、最大72時間の外科用縫合針の硬化+処理及びコーティング時間を必要とすることもあり得る。本明細書において記載される代表的なコーティング及び方法は、合計時間を約4時間未満、及び場合によって約15分まで低減させることができ、縫合針の製造の効率性を顕著の著しい向上を提供する。単一で均一なコーティングの使用により、硬化時間は更に約1分未満まで低減され得る。
【0065】
上記の2つのコーティング、及び/又はやはり上記の単一の、例えば、連続的なコーティングの使用は、同等の回数の組織の通過の後に、標準的な外科用縫合針と比較して、低減した、及び/又はほぼ一定の組織貫通力を呈する外科用縫合針を生じる。したがって、縫合針の潤滑性、並びにコーティングの耐久性の両方が改善される。この効果は、多くの理由により生じるものと考えられる。例えば、スワールコーティングプロセスを使用した下塗り及び上塗りの適用は、基材上におけるコーティングの均一な分布を提供する。これは図6に最も明確に表され、これは以下でより詳細に記載される。加えて、適用及び硬化の方法と組み合わせたコーティングの組成物は、図7に示されるように、合成媒体に縫合針を繰り返し通過させるために必要な平均力の顕著な低下を生じ得る。
【0066】
任意のプライマーコーティングの使用もまた有利であり得る。プライマーコーティングは、縫合針表面に化学的に結合することが可能であり得、潤滑性シリコーンコーティングが接着する結合基材を提供し、下塗り及び上塗りの耐久性の増加を生じさせる。例えば、図5は、合成媒体を通過する回数に関連する、合成媒体に縫合針を通すために必要な力を例示する。示されるように、合成媒体を少なくとも30回通すまで、非常に一定した力を維持する傾向がある、同一材料及び同一構成のプライマーコーティングした縫合針と比較して、プライマーを有さない縫合針は、30回の通過の後に、必要な力が劇的に上昇する。以下に記載される実施例において、更なる詳細が表される。
【0067】
医療用装置のコーティング性能は一般的に、様々な従来の試験において試験され得る。外科用縫合針の場合において、コーティング性能及び完全性は、貫通試験装置を使用して評価される。コーティングされた外科用縫合針の一部が、把持装置を使用して把持され、コーティングされた縫合針はその後、合成又は天然の貫通可能な材料に何回か部分的に通される。材料は典型的には一種のポリマー、又は合成皮革、例えば、Permair、Rubber−Cal、Monmouth rubber、Porvairなどである。縫合針は、貫通可能な材料を、約1〜約20回、約1〜約25回、及び最も好ましくは約1から約30回貫通させられ得る。縫合針はその後、媒体から引き抜かれる。各通過における最大力が記録され、コーティング性能の指標として使用される。コーティング性能の様々な属性が、これらの技術を使用して試験され得る。
【実施例】
【0068】
様々な縫合針コーティング材料及び方法の効果を試験するために、以下の実験が行われた。各試験において、縫合針は、Monmouth Duraflex MR40 NBRゴム膜(「Monmouthゴム」)を通され、これは肉又はヒトの死体の組織をシミュレーションするように機能する。以下の非限定的な実施例において、4〜10本の縫合針が使用されて、貫通膜にそれぞれ30回、個別に通された。各通過に最大力がグラムで記録され、コーティング性能の指標として使用された。
【0069】
外科用縫合針は、縫合針を貫通膜表面と垂直の位置に固定するようにして回転台に取り付けられて、回転軸が、貫通膜の平面と同じ平面上にある、その放射状プロファイル上に向けられる。ロードセルの上に取り付けられた貫通部材内へと縫合針は回転された。縫合針が貫通部材を通じて押される際の、垂直力の最大量が記録された。
【0070】
以下の非限定的な実施例は、本発明の原理及び実践を更に例示する役割を担う。
【0071】
(実施例1)
Monmouthゴム合成媒体に縫合針を通すために必要な力に対して、コーティング方法が有する効果を調べるために、以下の試験が行われた。ディップコーティングされた縫合針の性能が、スプレー/スワールコーティングされた縫合針の性能と比較された。
【0072】
試験A
試験Aにおいて、貫通試験のために5本の縫合針が準備された。縫合針は、ETHALLOY(登録商標)合金ステンレス鋼から作製され、0.027cm(0.0105インチ)の直径を有した。下塗り組成物は、Micropowders Incによって製造された20重量%のMicropro 600及びMicromatte 2000を、80重量%のHFE−72DE溶媒と混合して調製された。MicroPro及びMicromatte粉末の重量比は4:1であった。5本の試験用縫合針が、これらの表面をコーティングするために、それぞれ下塗りへと浸漬された。縫合針は、浸漬プロセスによって手でコーティングされ、磁気トレー上に配置された。トレーは、縫合針の遠位端(先端部)が磁気ストリップの縁部上に位置する一方で、硬化サイクル及び輸送中に縫合針の近位端をしっかりと保持するために隆起した磁気ストリップを含む。この構成は、縫合針先端部がトレーと接触することを防ぐ。コーティングされた縫合針は、雰囲気において90分間にわたって熱対流炉内でセ氏190度まで加熱された。縫合針はその後、炉の外で周辺温度において冷却させた。
【0073】
上塗り組成物は、26重量%のNuSil(登録商標)MED4162と74重量%のHFE−72DE溶媒を使用して調製された。5本の縫合針はその後、それぞれ手で上塗りコーティング組成物内に浸漬された。縫合針はその後、熱対流炉内でセ氏220度まで加熱されて、雰囲気において4時間硬化された。縫合針は炉の外で周辺温度において冷却させた。
【0074】
一度硬化されると、5本の縫合針はそれぞれ、貫通膜を30回通され、以下の表1に示されるように、貫通力がグラムで記録された。
【表1】
【0075】
試験B
試験Bにおいて、貫通試験のために5本の縫合針が準備された。縫合針は、ETHALLOY(登録商標)合金ステンレス鋼から作製され、0.027cm(0.0105インチ)の直径を有した。下塗り組成物は、Micropowders Incによって製造される、20重量%のMicropro 600及びMicromatte 2000を、80重量%のHFE−72DE溶媒と混合して調製された。MicroPro及びMicromatte粉末の重量比は4:1であった。5本の試験縫合針は、以下のパラメーター:13.8kPa(2PSI)流体圧、344.7kPa(50PSI)空気アシスト、及び25.4cm/秒(10インチ/秒)ライン速度、を有するCarlsbad,CAのAsymtek(登録商標)から入手可能なSC−300 Swirl Coat(商標)Applicator及びCentury(登録商標)C−341 Conformal Coating Systemを使用し、単回通過スプレーを使用して下塗り組成物でスワールコーティングされた。コーティングされた縫合針は、雰囲気において90分間にわたって熱対流炉内で、セ氏190度まで加熱され、硬化された。縫合針は炉の外で周辺温度において冷却させた。
【0076】
上塗り組成物は、26重量%のNuSil(登録商標)MED4162と74重量%のHFE−72DE溶媒を使用して調製された。5本の縫合針が、以下のパラメーター:68.9kPa(10PSI)流体圧、344.7kPa(50PSI)空気アシスト、及び12.7cm/秒(5インチ/秒)ライン速度、を有する単回通過スプレーを使用して上塗り組成物でスワールコーティングされた。縫合針はその後、セ氏220度で4時間にわたって硬化された。一度硬化されると、5本の縫合針はそれぞれ、貫通膜を30回通され、以下の表2に示されるように、貫通力がグラムで記録された。
【表2】
【0077】
図6は、直接比較における試験A及び試験Bの平均結果のグラフ表現である。y軸は、貫通膜に縫合針を通すために必要な貫通力をグラムで示す。x軸は通過回数を示す。太い実線は、試験Aに説明されるように下塗り及び上塗り組成物でディップコーティングされた縫合針を表し、一方で、細い実線は、試験Bに説明されるように、下塗り及び上塗りでスワールコーティングされた縫合針を表す。
【0078】
見て分かるように、ディップコーティングされた縫合針は、約38gの初期貫通力を有した。貫通力は、30回の通過にわたって確実に増加し、30回の通過後には、縫合針は61gの平均最大力を必要とした。対照的に、スワールコーティングされた縫合針は、約31gの初期貫通力を有した。貫通力は、30回の通過にわたって実質的に一定のままであり、30回の通過後に平均最大力は約40gであった。示されるように、スワールコーティングされた縫合針は、最初において、ディップコーティングされた縫合針よりも平均して約7g小さい力を必要とし、力は実質的に一定のままであった。最終的に、スワールコーティングされた縫合針は、30回の通過後には、ディップコーティングされた縫合針よりも約21g小さい最大力を必要とした。
【0079】
(実施例2)
様々なコーティング組成物及びコーティング方法の貫通性能も試験された。以下の試験A及びBにおいて、2つの異なる種類の縫合針コーティング組成物及び適用方法が試験された。縫合針はMonmouthゴム合成媒体に通された。
【0080】
試験A
試験Aにおいて、直径0.0198cm(0.0078インチ)を有する市販のEthicon BV−175外科用縫合針が試験された。コーティングは、二重浸漬法を使用して適用された。特にシリコーンディップは、上記の潤滑性のための、Micropro 600及びMicromatte 2000粉末と混合したNuSil(登録商標)製品番号MED4162の濃縮を使用して調製された。縫合針は、移動するキャリアストリップ上に配置され、浸漬された(一度目)。縫合針はその後、ホットボックス内で、セ氏225度で32秒間にわたって瞬間硬化された。縫合針はその後、セ氏163度で熱対流炉内で36時間にわって硬化された。縫合針が浸漬され(二度目)、瞬間硬化され、その後、熱対流炉内で更に36時間にわたって硬化された。
【0081】
以下表3で示されるように、10本の縫合針が、貫通膜を30回通されて試験された。
【表3】
【0082】
試験B
試験Bにおいて、直径0.0203cm(0.008インチ)直径を有する10本のEthiconタングステン−レニウム合金縫合針が試験された。縫合針はMomentive(登録商標)SS4044Pプライマーコーティングを室温で適用することによって調製された。プライマーコーティングは、セ氏200度で2〜3秒にわたって瞬間硬化された。下塗り組成物はその後、スワールコーティング技術を使用してプライマー上に適用された。下塗り組成物は、27.58重量%のMomentive(登録商標)ビニルシロキサンポリマー、製品番号MSC2631を、72.25%のHFE 72−DE溶媒と混合し、約5分間撹拌することによって作製された。Momentive(登録商標)、トルエン中の触媒、製品番号第SS8010がその後、0.02重量%で混合物に追加され、Momentive(登録商標)、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、製品番号SS4300が、0.14重量%で追加された。Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを使用して、下塗りが外科用縫合針に適用された。縫合針はその後、赤外線ヒーターで30秒間にわたってセ氏300度まで加熱された。
【0083】
上塗り組成物がその後縫合針に適用されたがこれは、74重量%のHFE 72−DE溶媒と混合した、26重量%のNuSil(登録商標)MED4162シリコーン製品から形成されていた。上塗り組成物はまた、Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを用いてスワールコーティング技術を使用して適用された。縫合針はおよそ30秒間にわたってセ氏190度の温度で再び瞬間硬化された。
【0084】
試験Bに含まれる縫合針はその後、熱対流炉内で3時間にわたってセ氏80度でバッチ硬化された。縫合針は、各縫合針を貫通膜に30回通すことによって試験された。このようにするために必要な力は表4で説明される。
【表4】
【0085】
図7は、直接比較における試験A及び試験Bの平均結果のグラフ表現である。y軸は、貫通膜に縫合針を通すために必要な貫通力をグラムで示す。x軸は通過回数を示す。太い実線は、試験Aに説明されるように従来のディップコーティングによる縫合針を表し、一方で、細い実線は、試験Bに説明されるように、本発明によるスプレーコーティングによる縫合針を表す。
【0086】
示されるように、試験Aの縫合針は最初に、約29gの平均貫通力を必要とした。試験Aの平均貫通力は、30回の通過の後に39gまで増加した。試験Bの縫合針は、21gの初期平均貫通力、及び30回の通過の後に25gの平均貫通力を有した。
【0087】
(実施例3)
Monmouthゴム合成媒体に縫合針を通すために必要な力に対して、コーティング方法が有する効果を調べるために、以下の試験が行われた。ディップコーティングされた縫合針の性能が、スプレー/スワールコーティングされた縫合針の性能と比較された。
【0088】
試験A
試験Aにおいて、貫通試験のために、ETHALLOY(登録商標)合金から作製され、テーパーカットポイント形状を有する4本の直径0.067cm(0.026インチ)の縫合針が調製された。2.5gのMomentive(登録商標)、ビニルシロキサンオリマー、製品番号MSC2631、22.15gのExxon Isopar−K、0.0022gのMomentive(登録商標)、トルエン中の触媒、製品番号SS8010、及び0.00127gのMomentive(登録商標)、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、製品番号SS4300の溶液から調製された。4本の試験縫合針が、これらの表面をコーティングするために、それぞれ下塗りへと浸漬された。コーティングされた縫合針はその後、熱対流炉内で1時間にわたってセ氏200度まで加熱された。
【0089】
上塗りコーティング組成物は、2.50gのNuSil(登録商標)MED4162及び22.50gのExxon Isopar−Kを使用して調製された。4本の縫合針はその後、それぞれ手で上塗りコーティング組成物内に浸漬された。縫合針はその後、熱対流炉内でセ氏140度まで加熱され、3時間にわたって硬化された。
【0090】
一度硬化されると、4本の縫合針はそれぞれ、貫通膜を30回通され、以下の表5に示されるように、貫通力がグラムで記録された。
【表5】
【0091】
試験B
試験Bにおいて、貫通試験のために、ETHALLOY(登録商標)合金から作製され、テーパカットポイント形状を有する5本の直径0.067cm(0.026インチ)の縫合針が調製された。縫合針は、スワールコーティング技術を使用して、下塗りコーティング組成物を適用することによって調製された。下塗り組成物は、27.58重量%のMomentive(登録商標)ビニルシロキサンポリマー、製品番号MSC2631を、72.25重量%のHFE 72−DE溶媒と混合し、約5分間撹拌することによって作製された。Momentive(登録商標)、トルエン中の触媒、製品番号第SS8010がその後、0.02重量%で混合物に追加され、Momentive(登録商標)、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、製品番号SS4300が、0.14重量%で追加された。Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを使用して、下塗りが外科用縫合針に適用された。縫合針はその後、赤外線ヒーターで30秒間にわたってセ氏300度まで加熱された。
【0092】
上塗り組成物がその後縫合針に適用されたがこれは、74重量%のHFE 72−DE溶媒と混合した、26重量%のNuSil(登録商標)MED4162シリコーン製品から形成されていた。上塗り組成物はまた、Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを用いてスワールコーティング技術を使用して適用された。試験Bに含まれる縫合針はその後、熱対流炉内で3時間にわたってセ氏140度でバッチ硬化された。
【0093】
一度硬化されると、5本の縫合針はそれぞれ、Monmouthゴム合成媒体を30回通され、以下の表6に示されるように、貫通力がグラムで記録された。
【表6】
【0094】
図8は、直接比較における試験A及び試験Bの平均結果のグラフ表現である。y軸は、貫通膜に縫合針を通すために必要な貫通力をグラムで示す。x軸は通過回数を示す。正方形の点は、試験Aに説明されるようにディップコーティングを有する縫合針を表し、一方で、菱形の点は、試験Bに説明されるように、本発明によるスプレーコーティングによる縫合針を表す。
【0095】
示されるように、ディップコーティングを有する試験Aの縫合針は最初に62gの平均貫通力を必要とした。試験Aの平均貫通力は、30回の通過の後に115gまで増加した。スプレーコーティングを有する試験Bの縫合針は、58gの初期貫通力で機能し、30回の通過後に64gの平均貫通力を生じた。見て分かるように、スプレーコーティングを有する試験Bの縫合針は30回まで、遥かに低い貫通力を必要とした。
【0096】
(実施例4)
様々なコーティング組成物の貫通性能及びコーティング方法も試験された。以下の試験A、B及びCにおいて、3つの異なる種類の縫合針コーティング組成物及び適用方法が試験された。これらの試験における貫通材料は、ヒトの死体頸動脈組織であった。
【0097】
試験A
試験Aにおいて、直径0.027cm(0.0105インチ)を有する市販のEthicon BV−1外科用縫合針が試験された。このシリーズの製造に関連する手順を使用してコーティングが適用された。特に、シリコーンディップは、NuSil(登録商標)製品番号MED4162の濃縮を使用して調製された。縫合針は、移動するキャリアストリップ上に配置され、浸漬された(一度目)。縫合針はその後、ホットボックス内で、セ氏190度で20秒間にわたって瞬間硬化された。縫合針が浸漬され(二度目)、上記と同じ設定で再び瞬間硬化された。最後に、縫合針が浸漬され(三度目)、その後、熱対流炉内において、セ氏190度で8〜16時間にわたって硬化された。
【0098】
試験B
試験Bにおいて、直径0.027cm(0.0105インチ)を有するEthiconタングステン−レニウム合金縫合針が試験された。縫合針はMomentive(登録商標)SS4044Pプライマーコーティングを室温で適用することによって調製された。下塗り組成物はその後、スワールコーティング技術を使用してプライマー上に適用された。下塗り組成物は、27.58重量%のMomentive(登録商標)ビニルシロキサンポリマー、製品番号MSC2631を、72.25重量%のHFE 72−DE溶媒と混合し、約5分間撹拌することによって作製された。Momentive(登録商標)、トルエン中の触媒、製品番号第SS8010がその後、0.02重量%で混合物に追加され、Momentive(登録商標)、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、製品番号SS4300が、0.14重量%で追加された。Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを使用して、下塗りが外科用縫合針に適用された。縫合針はその後、赤外線ヒーターで30秒間にわたってセ氏300度まで加熱された。
【0099】
上塗り組成物がその後縫合針に適用されたがこれは、74重量%のHFE 72−DE溶媒と混合した、26重量%のNuSil(登録商標)MED4162シリコーン製品から形成されていた。上塗り組成物はまた、Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを用いてスワールコーティング技術を使用して適用された。
【0100】
試験Bに含まれる縫合針はその後、熱対流炉内で3時間にわたってセ氏80度でバッチ硬化された。縫合針は、各縫合針を貫通膜に30回通すことによって試験された。
【0101】
試験C
試験Cにおいて、同様の手順で使用される競合ブランドの市販の外科用縫合針(0.025cm(0.010インチ)直径)が、パッケージの外で試験された。縫合針は、各縫合針を貫通膜に30回通すことによって試験された。
【0102】
図9は、直接比較における試験A、B及びCの平均結果のグラフ表現である。y軸は、ヒト死体組織に縫合針を通すために必要な貫通力をグラムで示す。x軸は通過回数を示す。三角形の点は、上記の試験Aに説明される、従来的なディップコーティングを有する縫合針を表す。三角形の点は、上記の試験Bで説明される本発明によって調製される縫合針を表す。菱形の点は、上記の試験Cで説明される、試験Cに記載される競合するブランドの縫合針を表す。
【0103】
示されるように、ディップコーティングを有する市販の試験A縫合針は最初に約16gの平均貫通力を必要とした。試験Aの平均貫通力は、30回の通過の後に約18gまで増加した。本発明によるコーティングを有する試験Bの縫合針は、約13gの初期平均貫通力で機能し、30回の通過の後まで、この貫通力を維持した。競合するブランドの縫合針は、約15gの初期貫通力で機能し、30回の通過後に約25gの平均貫通力を生じる。見て分かるように、試験Bの縫合針は、30回まで、遥かに低い貫通力を必要とした。
【0104】
本発明に関連する上記の2つのコーティングの使用は、同じ回数だけ組織を通過させた後に、標準的な外科用縫合針と比較して、低減した組織貫通力を呈する外科用縫合針を生じる。したがって、縫合針の潤滑性、並びにコーティングの耐久性の両方が改善される。これは、多くの理由により生じるものと考えられる。例えば、スワールコーティングプロセスを使用した下塗り及び上塗りの適用は、基材上におけるコーティングの均一な分布を提供する。更に、適用及び硬化の方法と組み合わせたコーティングの組成物は、組織に縫合針を繰り返し通すために必要とされる、遥かに低い平均力を生じ得る。硬化時間もまた著しく低減し、より効果的な製造プロセスを生じた。
【0105】
(実施例6)
単一で均一なコーティングでコーティングされた医療用装置の貫通性能が、上塗り及び下塗りの両方でコーティングされた医療用装置の性能との比較において試験された。以下の試験A、B、C及びDおいて、2つの異なる種類の縫合針コーティング組成物及び適用方法が試験された。縫合針はMonmouthゴム合成媒体に通された。
【0106】
試験A、B、及びC
試験A、B、及びCにおいて、0.061cm(0.024インチ)直径を有する、市販のEthicon PS−2外科用縫合針が試験された。各試験において10本の試験縫合針が、単一で均一なコーティングでコーティングされた。試験Aにおいて、単一で均一なコーティングは、18.38重量%のビニル官能化オルガノポリシロキサン、すなわち、Waterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsにより製造されるMomentive(登録商標)製品コード番号MSC2631シリコーン、8.667重量%のヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサン、すなわち、Carpentaria,CAのNuSil(登録商標)Technologiesにより製造されるNuSil(登録商標)Technologies Silicone製品番号第MED4162、72.85重量%のHFE溶媒、0.0165重量%の触媒、及び0.0936重量%の架橋剤から形成される「成分A」混合物から構成された。成分A混合物は、2:1の比率の下塗り及び上塗りコーティング溶液と同等であり、下塗り及び上塗りコーティング溶液のマスターバッチから混合された。
【0107】
試験Bにおいて、単一で均一なコーティングは、13.78重量%のビニル官能化オルガノポリシロキサン、すなわち、Momentive(登録商標)Performance Materials of Waterford,NYにより製造されるMomentive(登録商標)製品コード番号MSC2631シリコーン、13.00重量%のヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサン、すなわち、Carpentaria,CAのNuSil(登録商標)Technologiesにより製造されるNuSil(登録商標)Technologies Silicone製品番号第MED4162、73.13重量%のHFE溶媒、0.0124重量%の触媒、及び0.0702重量%の架橋剤から形成される「成分B」混合物から構成された。成分B混合物は、1:1の比率の下塗り及び上塗りコーティング溶液と同等であり、下塗り及び上塗りコーティング溶液のマスターバッチから混合された。
【0108】
試験Cにおいて、単一で均一なコーティングは、9.189重量%のビニル官能化オルガノポリシロキサン、すなわち、Waterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsにより製造されるMomentive(登録商標)製品コード番号MSC2631シリコーン、17.33重量%のヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサン、すなわち、Carpentaria,CAのNuSil(登録商標)Technologiesにより製造されるNuSil(登録商標)Technologies Silicone製品番号MED4162、73.42重量%のHFE溶媒、0.0083重量%の触媒、及び0.0468重量%の架橋剤から形成される「成分C」混合物から構成された。成分C混合物は、1:2の比率の下塗り及び上塗りコーティング溶液と同等であり、下塗り及び上塗りコーティング溶液のマスターバッチから混合された。
【0109】
各試験において10本の試験縫合針は、以下のパラメーター:68.9kPa(10PSI)流体圧、344.7kPa(50PSI)空気アシスト、及び8の縫合針弁設定、を有するCarlsbad,CAのAsymtek(登録商標)から入手可能なSC−300 Swirl Coat(商標)Applicator及びCentury(登録商標)C−341 Conformal Coating Systemを使用してスワールコーティングされた。コーティングされた縫合針はその後、室温で約20秒にわたって赤外線加熱器内で、セ氏およそ200度まで加熱された。
【0110】
以下の表7〜9に示されるように、各試験A、B及びCの10本の縫合針が、貫通膜の30回の通過により試験された。
【表7】
【表8】
【表9】
【0111】
試験D
試験Dにおいて、0.061cm(0.024インチ)直径を有する市販のEthicon PS−2外科用縫合針が試験された。縫合針は、試験A、B及びCにおいて先に記載されたスワールコーティング技術及びパラメーターを使用して、ベースコーティング組成物を適用することによって調製された。ベースコーティング組成物は、27.58重量%のMomentive(登録商標)、ビニル官能化オルガノポリシロキサン、製品番号MSC2631と、72.25重量%のHFE 72−DE溶媒を混合することによって作製された。Momentive(登録商標)、トルエン中の触媒、製品番号第SS8010がその後、0.02重量%で混合物に追加され、Momentive(登録商標)、ポリメチルハイドロジェンシロキサン架橋剤、製品番号SS4300が、0.14重量%で追加された。Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを使用して、下塗りが外科用縫合針に適用された。縫合針はその後、赤外線ヒーターで30秒間にわたってセ氏300度まで加熱された。
【0112】
上塗り組成物がその後縫合針に適用されたがこれは、74重量%のHFE 72−DE溶媒と混合した、26重量%のNuSil(登録商標)MED4162シリコーン製品から形成されていた。上塗り組成物はまた、Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを用いてスワールコーティング技術を使用して適用された。
【0113】
試験Dに含まれる縫合針は、その後熱対流炉内で、3時間にわたって、セ氏140度でバッチ硬化された。縫合針は、各縫合針を貫通膜に30回通すことによって試験された。このようにするために必要な力は表10で説明される。
【表10】
【0114】
図10は、直接比較における、試験A、B、C及びDの平均結果のグラフ表現である。y軸は、貫通膜に縫合針を通すために必要な貫通力をグラムで示す。x軸は通過回数を示す。
【0115】
見て分かるように、単一で均一なコーティングでコーティングされた縫合針は、試験A及びBにおいて約41g、試験Cにおいて約40gの初期貫通力を有した。30回の通過の値に貫通力が増加し、縫合針は、30回の通過の値に試験A及びBにおいて約65g、試験Cにおいて約67gの平均最大力を有した。対照的に、2つのコーティングでコーティングされた縫合針、すなわち、下塗り及び上塗りは、約46gの初期貫通力を有した。30回の通過の後の、平均最大貫通力は約61gであった。示されるように、単一で均一なコーティングでコーティングされた縫合針は最初に、2層でコーティングされた縫合針よりも約5g〜6g小さい力を必要とした。
【0116】
本発明に関連して先に記載された単一で均一なコーティングの使用は、組織を同等の回数だけ通過させた後に、2つのコーティングを有する外科用縫合針、及び標準的な外科用縫合針の両方と比較して、より少ない初期組織貫通力を呈する外科用縫合針を生じる。したがって、縫合針の潤滑性、並びにコーティングの耐久性の両方が改善される。これは、多くの理由により生じるものと考えられる。例えば、スワールコーティングプロセスを使用する、単一で均一なコーティングの適用は、基材上へのコーティングの均一かつ薄い分布を提供する。更に、適用及び硬化の方法と組み合わせたコーティングの組成物は、組織に縫合針を繰り返し通すために必要とされる、遥かに低い平均力を生じ得る。硬化時間もまた、上塗り及び下塗りなどの2つのコーティングが使用される際に必要とされる硬化時間と比較して遥かに短く、より効率的な製造プロセスを生じる。
【0117】
当業者であれば、上記に述べた実施形態に基づく本発明の更なる特徴及び利点は認識されるであろう。したがって、本発明は、付属の「特許請求の範囲」において示される場合は例外として、具体的に図示、記載されたものに限定されるものではない。本明細書中に引用される刊行物及び参考文献は全て、それらの全容を本明細書に特に援用するものである。
【0118】
〔実施の態様〕
(1) 医療用装置をコーティングするための方法であって、
医療用装置を提供することと、
前記医療用装置の表面の少なくとも一部に約1マイクロメートル〜約12マイクロメートルの範囲の厚さの均一なコーティングを適用することであって、前記均一なコーティングはビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含む、こととを含む、方法。
(2) 前記医療用装置の表面に均一なコーティングを適用することが、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さのコーティングを適用することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記医療用装置の前記表面がシリコーンを含むプライマーを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記医療用装置が、タングステン合金、耐火合金、ステンレス鋼、ニチノール及びタンタルの1つから形成される、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記医療用装置が、タングステン−レニウム合金から形成される、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記均一なコーティングを適用することは、前記均一なコーティングを、高蒸気圧低沸点溶媒で、前記医療用装置の前記表面に供給することを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記高蒸気圧低沸点溶媒がハイドロフルオロエーテル溶媒である、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記医療用装置を提供することが、組織貫通部分を有する細長い医療用装置を提供することを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記均一なコーティングを適用することは、前記均一なコーティングを前記医療用装置の前記表面上に噴霧することを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記医療用装置の前記表面上の前記均一なコーティングを、約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって硬化させることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0119】
(11) 基材を含む、コーティングされた装置であって、
前記基材の少なくとも一部が、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含むコーティングでコーティングされる、コーティングされた装置。
(12) 前記コーティングが、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する単一層の均一なコーティングである、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(13) 前記コーティングが、高蒸気圧低沸点溶媒で、前記基材に供給されるように構成される、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(14) 前記基材は、組織への前記基材の30回の通過にわたり、実質的に一定の貫通を呈する、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(15) 前記装置が、タングステン合金、耐火合金、ステンレス鋼、ニチノール及びタンタルの1つから形成される、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(16) 前記ビニル官能化オルガノポリシロキサンが、前記コーティングの約10重量%〜約90重量%の範囲にある、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(17) 前記ポリジメチルシロキサンが、前記コーティングの約10重量%〜約90重量%の範囲にある、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(18) 前記基材が医療用装置の表面である、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(19) 本体と、
前記本体の表面上に配置される潤滑性シリコーンを含む均一なコーティングとを含む、医療用装置であって、
前記本体は、組織への前記本体の30回の通過にわたり、実質的に一定の貫通を呈する、医療用装置。
(20) 前記均一なコーティングが、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含む、実施態様19に記載の医療用装置。
【0120】
(21) 前記均一なコーティングが、高蒸気圧低沸点溶媒で、前記本体の前記表面に供給される、実施態様20に記載の医療用装置。
(22) 前記均一なコーティングが、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する、実施態様19に記載の医療用装置。
(23) 前記本体が組織貫通部分を有する細長い本体を含む、実施態様19に記載の医療用装置。
(24) 前記医療用装置が複数の医療用構成要素を更に含み、前記本体は前記複数の医療用構成要素の1つである、実施態様19に記載の医療用装置。
(25) 前記均一なコーティングが前記本体の外側表面上に配置される、実施態様19に記載の医療用装置。
(26) 前記均一なコーティングが、約1.4μm〜約3.0μmの範囲の波長を有する赤外線放射を使用して、セ氏200度の温度で硬化されるように構成される、実施態様19に記載の医療用装置。
(27) 前記均一なコーティングが、約1秒〜約60秒の範囲の時間にわたって硬化されるように構成される、実施態様26に記載の医療用装置。
(28) 前記均一なコーティングが、約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって硬化されるように構成される、実施態様26に記載の医療用装置。
(29) 前記均一なコーティングは、熱対流炉内で約1時間から約5時間の範囲の時間にわたって、セ氏約60度〜セ氏約180度の範囲の温度で、前記本体の前記表面上で硬化されるように構成される、実施態様19に記載の医療用装置。
(30) 前記均一なコーティングは、熱対流炉内で約2.5時間から約3.5時間の範囲の時間にわたって、セ氏約100度〜セ氏約140度の範囲の温度で、前記本体の前記表面上で硬化されるように構成される、実施態様29に記載の医療用装置。
【0121】
(31) 医療用装置をコーティングするための方法であって、
セ氏約43度未満の沸点を有する溶媒を含む潤滑性シリコーンコーティングを提供することと、
前記潤滑性シリコーンコーティングを前記医療用装置に適用することと、
約1秒〜約60秒の範囲の時間にわたって、前記潤滑性シリコーンコーティングを硬化することとを含む、方法。
(32) 前記溶媒が約46.7kPa(350mm Hg)の蒸気圧を有する、実施態様31に記載の方法。
(33) 前記潤滑性シリコーンコーティングを硬化することが、約1.4μm〜約3.0μmの範囲の波長を有する赤外線放射を使用して、約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって、セ氏約200度の温度で前記コーティングを硬化することを含む、実施態様31に記載の方法。
(34) 前記潤滑性シリコーンコーティングが、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンの、単一で均一な層を含む、実施態様31に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年11月9日に出願された米国特許出願番号第12/614,669号、表題「Surgical Needle Coatings and Methods」、及び2009年11月9日に出願された米国特許出願番号第12/614,665号、表題「Surgical Needle Coatings and Methods」の一部継続出願であり、これらは本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、コーティングされた医療用装置及びこれを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
外科用縫合針など、身体組織と繰り返し接触されるコーティングされた医療用装置は、潤滑性であり、更に組織との多数の接触に耐えるのに十分な耐久性を有することを要求される。しかしながら、医療用装置に良好に接着する、より耐久性の高いコーティングを作製するために、潤滑性は多くの場合において犠牲となる。非常に潤滑性の高い、多くのコーティング材料が存在するが、所望の基材に良好に接着しないか、又は使用中に基材を容易に摩耗するかのいずれかである。同様に、多くの非常に耐久性の高いコーティングが存在するが、これらのコーティングは潤滑性ではないものと考えられる。耐久性及び潤滑性を同時に提供し得る、コーティング組成物及び/又はコーティング組成物の適用方法を見出すために様々な試みがなされてきた。したがって、本発明は、耐久性及び潤滑性、並びにより短い製造時間を提供する、コーティング組成物及び適用方法を提供することによってこの問題を解決する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、耐久性があり、かつ潤滑性の本体、構造体、及び/又は装置を提供するための方法及び装置を提供する。1つの代表的な実施形態において、本体、構造体及び/又は医療用装置をコーティングするための方法が提供され、医療用装置を提供することと、医療用装置の表面の少なくとも一部に、約1マイクロメートル〜約12マイクロメートルの範囲の厚さの、単一で均一なコーティングを適用することとを含み得る。単一で均一なコーティングは、多くの構成要素を有する場合があり、いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含み得る。医療用装置の表面に単一で均一なコーティングを適用することは、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さのコーティングを適用することを含み得る。一実施形態において、医療用装置の表面は、シリコーンを含むプライマーを含み得る。単一で均一なコーティングは、医療用装置の表面上に噴霧され得る。表面は、外側表面、内側表面又は外側表面と内側表面のなんらかの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって、医療用装置の表面上で硬化され得る。
【0005】
医療用装置は、タングステン合金、耐火合金、ステンレス鋼、ニチノール及びタンタルを含む、当該技術分野において既知の好適な材料で形成され得る。タングステン合金は例えば、タングステン−レニウムであり得る。いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングを適用することは、単一で均一なコーティングを、高蒸気圧低沸点溶媒で、医療用装置の表面に供給することを含み得る。高蒸気圧低沸点溶媒は、例えば、ハイドロフルオロエーテル溶媒であり得る。単一で均一なコーティングは、当該技術分野において既知の任意の医療用装置に適用され得、いくつかの実施形態において、方法は組織貫通部分を有する細長い医療用装置を提供することを含み得る。
【0006】
他の態様において、装置が提供され、1つの代表的な実施形態において、コーティングされた装置が提供され、基材を含み得るが、基材の少なくとも一部分は、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含むコーティングでコーティングされる。コーティングは、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する単一層であり得る。いくつかの実施形態において、コーティングは、高蒸気圧低沸点溶媒で、基材に供給されるように構成され得、それによって本体が、組織への本体の30回の通過にわたり、実質的に一定の貫通を呈する。医療用装置は、タングステン合金、耐火合金、ステンレス鋼、ニチノール及びタンタルを含む、当該技術分野において既知の任意の好適な材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、基材は医療用装置であり得る。更にコーティングは、約10重量%〜約90重量%の範囲にあるビニル官能化オルガノポリシロキサン、及び約10重量%〜約90重量%の範囲にあるポリジメチルシロキサンを含む。ビニル官能化オルガノポリシロキサンは例えば、Waterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsによって製造される、Momentive(登録商標)製品コード番号第MSC2631シリコーンであり得る。
【0007】
別の実施形態において、医療用装置が提供され、構造体及び/又は本体と、表面、例えば、本体の外側及び/又は内側表面上に配置される潤滑性シリコーンを含む、単一で均一なコーティングとを含み得る。本体は例えば、組織への本体の30回の通過にわたり、実質的に一定の貫通を呈し得る。いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンで形成され得る。本体は、当該技術分野において既知の多くの構成を有する場合があり、組織貫通部分を有する細長い本体を含み得る。加えて、医療用装置は複数の構成要素及び動作部を含むアセンブリであり得、本体は複数の構成要素及び/又は動作部の1つであり得る。複数の構成要素及び/又は動作部の1つ以上、及びいくつかの実施形態ではその全てが、単一で均一なコーティングでコーティングされ得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、約1.4μm〜約3.0μmの範囲の波長を有する、赤外線放射を使用して、セ氏約200度の温度で硬化されるように構成され得る。単一で均一なコーティングはまた、約1秒〜約60秒の範囲の時間にわたって、及び/又は約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって硬化されるように構成され得る。他の実施形態において、単一で均一なコーティングは、熱対流炉内で約1時間から約5時間の範囲の時間にわたって、セ氏約60度〜セ氏約180度の温度で、及び/又は約2.5時間〜約3.5時間の範囲の時間にわたって、セ氏約100度〜セ氏約140度の温度で、本体表面上で硬化されるように構成され得る。
【0009】
なお更なる態様において、医療用装置のコーティング方法が提供され、セ氏約43度未満の沸点を有する溶媒を含む潤滑性シリコーンコーティングを提供することを含み得る。本方法はまた、潤滑性シリコーンコーティングを医療用装置に適用することと、約1秒〜約60秒の範囲の時間にわたって、潤滑性シリコーンを硬化することとを含み得る。溶媒は例えば、約46.7kPa(350mm Hg)の蒸気圧を有し得る。潤滑性シリコーンコーティングを硬化することは、約1.4μm〜約3.0μmの範囲の波長を有する赤外線放射を使用して、約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって、セ氏約200度の温度でコーティングを硬化することを含み得る。潤滑性シリコーンコーティングは、多くの組成物で形成される得、一実施形態において、潤滑性シリコーンコーティングは、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンの、単一で均一なコーティングを含み得る。
【0010】
本発明は、以下の詳細な説明を付属の図面と併せ読むことで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】外科用縫合針の1つの代表的な実施形態の斜視図。
【図2】外科用縫合針を輸送するために、そこに取り付けられた外科用縫合針を有するキャリアストリップの側面図。
【図3A】外科用縫合針をスワールコーティングするための、スワールコーティング機の1つの代表的な実施形態の斜視図。
【図3B】吊り下げた外科用縫合針をコーティングするためのスワールコーティング機の別の代表的な実施形態の斜視図。
【図4A】2つのコーティングを使用して外科用縫合針を製造及びコーティングするための1つの代表的な方法のフローチャート。
【図4B】単一で均一なコーティングを使用して外科用縫合針を製造及びコーティングするための1つの代表的な方法のフローチャート。
【図5】下塗りした外科用縫合針及び下塗りしていない外科用縫合針を合成媒体に通すために必要とされる力を比較する、グラフ表示。
【図6】合成媒体を通じてスワールコーティングされた外科用縫合針、及びディップコーティングされた外科用縫合針を通過させるために必要とされる力を比較する、グラフ表示。
【図7】2つの異なるコーティング組成物及び適用方法と関連する力を比較するグラフ表示。
【図8】合成媒体を通じてスワールコーティングされた外科用縫合針、及びディップコーティングされた外科用縫合針を通過させるために必要とされる力を比較するグラフ表示。
【図9】ヒト死体組織に通すための、3つの異なるコーティング組成物及び適用方法と関連する力を比較するグラフ表示。
【図10】単一で均一なコーティングでコーティングされた縫合針と、2つのコーティングでコーティングされた縫合針を、合成媒体に通すことに関連する力を比較するグラフ表現。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示される装置及び方法の、構造、機能、製造並びに使用の原理について、総合的な理解を提供するために、特定の代表的な実施形態を以後記載する。これらの実施形態の1つ以上の例を添付の図面に示す。当業者は、本明細書で明確に記載され、添付の図面に示される装置及び方法が、非限定の例示的な実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみにより定義されることを認識するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して示されるか述べられる特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。そのような修正及び変形は、本発明の範囲に含まれることを意図したものである。
【0013】
本発明は一般的に、外科手術で使用するための新しい医療用装置、及び新しい医療用装置の製造方法を提供する。いくつかの実施形態において、新しい医療用装置は1つ以上の本体、1つ以上の構造体、並びに/又は構成要素及び/若しくは動作部のアセンブリを含み得る。一実施形態において、新しい医療用装置は、容易な貫通により組織を繰り返し通過することができる、新しい外科用縫合針を含み得る。より具体的に、新しい外科用縫合針は、容易な反復的及び連続的な組織の通過のために、耐久性及び潤滑性の両方を有する外科用縫合針を提供する、2つ以上の異なるコート及び/又はコーティングで製造され得る。外科用縫合針を製造し、外科用縫合針に耐久性のあるコーティングを提供及び適用するための新しい方法がまた提供される。本明細書においてこれらが使用される際、用語「コート」及び「コーティング」は互換的に使用される。
【0014】
多くの種類の医療用装置及び外科用縫合針が想到されるが、一実施形態において、コーティングが耐久性がありかつ潤滑性があるように、そこに単一で均一なコーティングが適用された、生体適合性の外科用縫合針が提供される。単一で均一なコーティングが、医療用装置の外側及び/又は内側表面に適用される得、外側表面及び/又は内側表面の1つ以上の部分に適用され得る。単一で均一なコーティングは、外側及び/又は内側表面の部分的な及び/又は不連続なコーティングであり得るか、又はこれは外側及び/内側表面全体に適用され得る。別の実施形態において、2つ以上の異なるコーティングが、外科用縫合針に連続的に適用され得る。下塗りは縫合針に適用されて、潤滑性を提供するために適用される異なる上塗りのための耐久性を提供し得る。下塗りはまた、上塗りの潤滑性を向上させるために潤滑性であり得る。いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングがそれ自体で架橋結合する場合があり、並びに/又は下塗り及び上塗りが、例えば、架橋により又は1つ以上の他の架橋メカニズムにより、相互作用する場合がある。下塗りと上塗りとの間の結合により、下塗りは外科用縫合針上に上塗りを保持する。このようにして、下塗りは、組織を繰り返し貫通した後の、上塗りの摩耗及び/又は磨り減りを防ぐことを補助し得る。他の実施形態において、下塗り及び/又は上塗りはそれぞれ、それ自体と架橋結合することができる。単一で均一なコーティング内の構成要素間の相互作用と、耐久性のある下塗りと、潤滑性の上塗りとの間の相互作用は、外科用縫合針の潤滑性を維持することを補助し、それによってこれは、最小限の力を必要として、継続的にかつ繰り返して通過させることができる。
【0015】
外科的用途及び外科用縫合針の組成により、任意の数のコーティングが外科用縫合針に適用され得る。例えば、別の実施形態において、単一で均一なコーティングの前及び/又は下塗り上塗りが適用される前に、プライマーコーティングが外科用縫合糸に適用され得る。プライマーコーティングは、単一で均一なコーティング、又は下塗り及び上塗りとは異なる場合があり、これは外科用縫合針の表面と結合して、その上に下塗りを適用するために適切及び確実な表面を提供し得る。ひいては、単一で均一なコーティング、及び/又は下塗りはプライマーコーティングに結合することができ、それによってプライマーコーティングは、単一で均一なコーティング又は下塗りを外科用縫合針上に確実に保持する。
【0016】
コーティングを、外科用縫合針などの様々な医療用装置に適用するための新しい方法がまた提供される。いくつかの実施形態において、外科用縫合針は、1つ以上のコーティングでスプレーコーティングされ、これが均一に分布した外科用縫合針を提供する。単一で均一なコーティングを適用するため、又は各上塗り及び下塗りを連続的に適用するために、互いに向けられた2つのスプレーノズルを有するスプレーコーティング機器が提供され得る。1つ以上の外科用縫合針が、2つのスプレーノズルの間を、これらがコーティングを噴霧する際に通過し得る。このような構成は、外科用縫合針上の均一な分布のコーティングを可能にし、コーティングのプーリング及び/又はしたたりの危険性を最小限にする。この方法を使用して多数のコーティングが適用され得、各コーティングの前及び/又は後に、外科用縫合針は、コーティングを硬化及び結合するために効果的な、十分な時間だけ硬化され得る。以下でより詳細に記載されるように、溶媒及びコーティング材料の新しい組み合わせは、当該技術分野において既知の技術と比較した際に、実質的により短い硬化時間を可能にし得る。
【0017】
本明細書において想到される、代表的な外科用縫合針の種類は、一般的に、現在既知の任意の又は今後開発される任意の外科手術に使用され得る。外科用縫合針は、軟組織及び硬組織、並びに石灰化した組織を含む、任意の種類の哺乳類組織を含む、任意の種類の組織を貫通及び通過することができる場合があり、切開部又は創傷を閉じるために縫合糸を適用し、縫合糸若しくは他の材料を組織に通す、及び/又は単純に組織に開口部を形成するために使用され得る。当業者は、本明細書に記載される外科用縫合針の様々な用途を理解するであろう。
【0018】
代表的な外科用縫合針は、一般的に組織を貫通するために、その遠位端に組織貫通先端部を有する細長い部材を含む。組織貫通先端部は、尖っている場合があり、特定の外科手術における要求に応じて鋭いか、又は鈍いことがある。いくつかの実施形態において、外科用縫合針はまた、縫合糸を受容及び保持するために、細長い部材の近位端上に配置される縫合糸取り付け部分を含み得る。外科用縫合針は、真っ直ぐ、テーパポイント、テーパカット、切断縁、バイオネット形状、湾曲、円形などを含む、当該技術分野において既知の任意の形状を有し得る。加えて、外科用縫合針は、丸い本体、矩形本体、正方形本体、卵型本体及びアイビームが挙げられるがこれらに限定されない任意の断面を有し得る。当業者は、所定の縫合針のために可能な形状及び断面の様々な組み合わせを理解する。
【0019】
製造プロセスにおいて、外科用縫合針は、そこにコーティングを適用することを補助する真っ直ぐ及び/又はフック型の把持部を有し得る。縫合針を製造し、並びに/又はコーティング機及び/若しくは硬化メカニズムを通じて縫合針を移動させるコンベヤー機構及び/又はキャリアストリップは、把持部分に取り付けられることによって製造、コーティング及び硬化のために縫合針を保持することができる。外科用縫合針24と使用するための代表的なキャリアストリップ20が図2に例示される。キャリアストリップ20は、その上に湾曲した外科用縫合針24を保持するために、様々なラッチ22を含む。これは、外科用縫合針24が、コーティング及び/又は硬化プロセス中に、コンベヤー型機構を使用して移動されることを可能にする。
【0020】
外科用縫合針の1つの代表的な実施形態が図1に例示される。示されるように、その遠位端に組織貫通先端部12が形成される、湾曲した細長い本体16を有する外科用縫合針10が提供される。先端部12は、円形の断面を有し、組織を貫通するための鋭い点で終わる。湾曲した細長い本体16は、先端部12と縫合糸取り付け部分(図示されない)との間で延び、平坦な、矩形の断面を有する弧状の形状である。外科用縫合針10は、必要に応じて任意の相対的寸法を有し得るが、例示される実施形態において、縫合針10の幅Wは、縫合針10の高さHとおよそ同じである。縫合糸取り付け部分は、縫合糸を受容及び保持するための、必要に応じた任意の形状であり得る。
【0021】
代表的な外科用縫合針は、当該技術分野において既知の、任意の好適な生体適合性の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、外科用縫合針は、チタン、ステンレス鋼、例えば、420ステンレス鋼、455ステンレス鋼、ETHALLOY(登録商標)縫合針合金、及び302ステンレス鋼、耐熱合金、ニチノール、タンタル、並びに当該技術分野において既知の様々な他の材料及び合金が挙げられるが、これらに限定されない金属合金から作製され得る。他の実施形態において、外科用縫合針は、タングステン−レニウム合金から作製され得る。外科用縫合針の作製におけるタングステン−レニウム合金の使用は、縫合針に、他の何らかの材料の使用よりも、大きな剛性、強度及び延性を提供し得る。より高い剛性及び強度特性は、縫合針が弾性変形に抵抗し、したがって、例えば、石灰化組織などの組織を通じて押し込まれる際に、屈曲及びバネ運動に抵抗することを可能にする。より高い延性は、縫合針が外科医によって屈曲又は湾曲させられた際に、破断することを防ぐ。縫合針合金組成物のいずれかが、ニッケル、コバルト、クロミウム、モリブデン、タングステン、レニウム、ニオビウムなどのいずれか1つ以上を数%含むことができる。縫合針及びキャリアストリップを製造するための、代表的な縫合針及び方法は、米国特許番号第6,018,860号、表題「Process for Manufacturing Drilled Taper Point Surgical Needles」に見出すことができ、これは本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0022】
いくつかの実施形態において、組織を繰り返し通過するための、耐久性のある潤滑性表面を有する代表的な外科用縫合針を提供するため、2つ以上の異なるコーティングが使用され得る。1つの代表的な実施形態において、外科用縫合針の外部表面をコーティングするために下塗りが使用されて、下塗りの上に適用されて、かつ潤滑性を提供する上塗りに耐久性を提供し得る。下塗りは好ましくは上塗りと結合し、それによって組織の貫通及び通過の繰り返しに伴う摩耗を防ぎ及び/又は低減する。いくつかの実施形態において、プライマーコーティングは任意により、下塗りの前に適用され得る。プライマーコーティングは、外科用縫合針の表面と結合して、下塗りのための結合表面を提供し得る。プライマーコーティングは、下塗り及び上塗りのために、摩耗に対する追加的な耐久性を加えることができる。
【0023】
下塗りは、例えば、ビニル官能化オルガノポリシロキサンとして特徴付けられる、シリコーン系組成物を含み得る。下塗り溶液は、ビニル官能化オルガノポリシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン流体架橋剤、及び任意によりプラチナ又はスズなどの従来の金属触媒などの触媒を含む。オルガノポリシロキサン系ポリマーは、例えば、Waterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsにより製造される、Momentive(登録商標)製品コード番号MSC2631シリコーンであり得る。MSC2631の更なる情報は、製造者のMSDSから入手可能である。
【0024】
下塗りは、当該技術分野において任意の高蒸気圧低沸点溶媒を使用して調製され得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、ハイドロフルオロエーテル(「HFE」)(例えば、St.Paul,MNの3M(登録商標)により製造されるHFE 72−DE溶媒)であってもよい。HFE溶媒は、シリコーン組成物のためのキャリアとして機能する。これは、周囲条件下において組成物から迅速に蒸発し、組成物中の他の物質の移動を制限し、したがって組成物の硬化時間を大幅に低減する。加えて、HFE溶媒は蒸発後に残留物を残さない。これは健康及び安全性の規制を順守し、環境に対しても優しい。当業者によって理解されるように、HFE、キシレン、ヘプタン、IsoPar K(Dow Corning)、ナフタレン、トルエン及びヒドロフルオロカルボンが挙げられるが、これらに制限されない任意の好適な溶媒が使用され得る。
【0025】
加えて、触媒及び架橋剤が、下塗りに追加され得る。例えば、共にWaterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsによって製造される、Momentive(登録商標)製品コード番号SS8010プラチナ触媒(「触媒」)及びMomentive(登録商標)製品コード番号SS4300架橋剤(「架橋剤」)が、下塗りの調製中に追加され、架橋剤及び触媒として機能する。当業者によって理解されるように、シリコン−水素部分を含む他の架橋剤が挙げられるがこれらに限定されない任意の好適な触媒及び架橋剤が使用され得る。他の触媒は、スズなどの従来の金属触媒を含み得る。
【0026】
代表的な下塗りの調製において、27.57重量%の下塗りシリコーンポリマー、例えば、ビニル官能化オルガノポリシロキサンが、72.27重量%のHFE溶媒と組み合わされ、例えば約5分など適切な時間にわたって混合及び/又は撹拌されてもよい。触媒はその後、混合物に、0.02重量%で追加され得、架橋剤は0.14重量%で追加され得る。混合物は、均一性を確実にするために、更に数分間、例えば、更に約1〜2分間撹拌され得る。代表的な48.43gの下塗りサンプルにおいて、13.35gの下塗りシリコーンポリマーが、35.00gのHFE溶媒、0.012gの触媒、及び0.068gの架橋剤と混合され得る。
【0027】
上塗りが外科用縫合針に適用され得る。いくつかの実施形態において、上塗りは、ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンとして特徴付けられる、シリコーン系組成物を含み得る。ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンは一般的に、ジメチルシロキサン−ヒドロキシ末端基、メチルハイドロジェンシロキサン、及び少量のいくつかの他のシロキサンを含む。ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンは、例えばCarpentaria,CAのNuSil(登録商標)Technologiesによって製造されるNuSil(登録商標)Technologies Silicone製品番号MED4162であってもよく、これは、70%のキシレン溶媒キャリア中に30%固体シリコーンを含む。
【0028】
上塗りは、溶媒、例えばHFE溶媒又は他の任意の相溶性のある揮発性溶媒を使用して調製され得る。代表的な上塗りの調製において、26重量%の上塗りシリコーンポリマーが、74重量%のHFE溶媒と混合され得る。例えば50gの上塗りサンプルにおいて、13.00gの上塗りシリコーンポリマーは、37.00gのHFE溶媒と混合され得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、プライマーコーティングが任意により、下塗りの適用の前に外科用装置に適用され得る。プライマーコーティングは、外科用縫合針に結合することができ、下塗りを適用するための適切な基材を提供することができる、いずれかの配合を有し得る。一実施形態において、プライマーコーティングは、例えば、ポリアルキルシロキサン及びテトラエチルシリケートから形成され得る。ポリアルキルシロキサン及びテトラエチルシリケートプライマーコーティングは、例えば、タングステン−レニウム合金などの、結合が難しい基材のコーティングのために、配合され得る。
【0030】
ポリアルキルシロキサン及びテトラエチルシリケートプライマーコーティングの一例は、Waterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsによって製造されるMomentive(登録商標)製品番号SS4044P(「SS4044Pプライマー」)である。SS4044Pプライマーコーティングは、Momentive(登録商標)の10〜30重量%のアセトン、1〜5重量%のブタノール、10〜30重量%のキシレンイソマー混合物、5〜10重量%のエチルベンゼン、10〜30重量%の2−プロパノール、1〜5重量%のテトラエチルシリケート、及び10〜30重量%のポリアルキルシロキサンを含み得る。SS4044Pプライマーの組成物の更なる情報は、製造者のMSDSから入手可能である。
【0031】
一般的に、上記のようにプライマーコーティングは、外科用縫合針と結合して、他のコーティングをその上に適用するための基材を提供する。下塗りは、プライマーコーティングの上に適用され得る。上塗りが下塗りの上に適用されると、下塗りが上塗りと結合して上塗りに耐久性を提供する。本質的に、プライマーコーティングと外科用縫合針との間の結合は、他の2つのコーティングを縫合針表面に固定する。プライマーコーティング及び上塗り両方への下塗りの結合は、上塗りをプライマーコーティングに、したがって外科用縫合針表面に固定し、上塗りに増加した耐久性を付与する。
【0032】
コーティングは一般的に必要に応じて任意の厚さで適用され得る。単独のコーティング、及び組み合わせたコーティングの厚さは、所望の特性を効果的に提供するために十分であるべきである。例えば、プライマーコーティングは、約0.01μm〜約1μmの範囲の厚さを有するように適用され得る。下塗り及び上塗りは、約1μm〜約7μmの範囲の厚さで適用され得る。代表的な実施形態において、上塗りは、下塗りの厚さより少なくとも約50%薄い厚さを有し得る。コーティングの厚さは特定の用途に従って変化し得ることを当業者は理解する。
【0033】
別の実施形態において、外科用縫合針などの医療用装置は、ビニル官能化オルガノポリシロキサン、例えば、Waterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsによって製造される、Momentive(登録商標)製品コード番号第MSC2631シリコーン、及びヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサン、例えば、Carpentaria,CAのNuSil(登録商標)Technologiesにより製造されるNuSil(登録商標)Technologies Silicone製品番号第MED4162(架橋剤又は触媒も含み得る)の混合により一般的に構成される単一の均一で耐久性のある、潤滑性コーティングでコーティングされ得る。単一で均一なコーティングは、ビニル官能化オルガノポリシロキサンとヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンの均一な混合物であり得、それによってこれが外科用縫合針の表面に適用される際に、その上に単一の均一層が形成される。例えば、いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、上記の上塗りと下塗りの混合物であり得る。他の実施形態において、これは、本明細書において記載される耐久性のある、潤滑性材料の任意の組み合わせであり得る。単一で均一なコーティングは、単一の適用ことにおいて医療用装置に適用され得、いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、様々な比率の上記の上塗り及び下塗りで形成され得る。単一で均一なコーティングは、医療用装置の表面に直接適用される場合があり、医療用装置に適用される唯一のコーティングである場合があり、それによってその表面上に単一のコーティング層が存在する。
【0034】
代表的な単一で均一なコーティング組成物の調製において、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンが様々な量で、任意により高粘度溶媒中の触媒及び架橋剤と共に調製され得る。一般的に、ビニル官能化オルガノポリシロキサンは組成物に、約2重量%〜約25重量%の範囲で、及びより好ましくは約9重量%〜約19重量%の範囲で追加され得る。同様に、ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンは組成物に、約2重量%〜約25重量%の範囲で、及びより好ましくは約9重量%〜約19重量%の範囲で追加され得る。高蒸気圧低沸点溶媒、例えば、HFE溶媒は組成物に、約65重量%〜約85重量%の範囲で、及びより好ましくは約70重量%〜約80重量%の範囲で追加され得る。いくつかの実施形態において、触媒及び架橋剤が組成物に追加され得る。例えば、Momentive(登録商標)製品コード番号SS8010プラチナ触媒などの触媒が、約0.002重量%〜約0.070重量%の範囲で、及びより好ましくは、約0.008重量%〜約0.05重量%の範囲で追加され得る。Momentive(登録商標)製品コード番号第SS4300架橋剤は、約0.01重量%〜約0.40重量%の範囲で、及びより好ましくは約0.04重量%〜約0.28重量%の範囲で追加され得る。
【0035】
あるいは、単一で均一なコーティング組成物は、下塗り及び上塗り(両方とも上記)を様々な比率で混合することによって調製され得る。各コーティングの別個のバッチが作製され得、かつ様々な量のコーティングが混合され得る。例えば、下塗りの上塗りに対する比率は、約1:5〜5:1の範囲、より好ましくは約1:3〜3:1の範囲、例えば、約1:2、1:1、2:1、1:3、3:1などであり得る。当業者によって理解されるように、例えば、約0.5:1、1:0.5、1:1.5、1.5:1、1:2.5、2.5:1などの、少数比率を含む、任意の比率に組み合わせの上塗り及び下塗りが使用され得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、約18.38重量%のベースシリコーンポリマー、例えば、ビニル官能化オルガノポリシロキサンを、約72.85重量%のHFE溶媒と組み合わせた混合物から形成され得る。ベースシリコーンポリマー及びHFE溶媒は、約8.667重量%のシリコーンポリマー、例えば、ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンと混合され得る。Momentive(登録商標)SS8010プラチナ触媒はその後、混合物に好適な量(例えば、約0.0165重量%)で追加され得、Momentive(登録商標)SS4300架橋剤が、好適な量(例えば、約0.0936重量%)で追加され得る。混合物は、均質性を確実にするために、更に数分間にわたって、例えば更に約1〜2分間にわたって撹拌され得る。この混合物は、例えば、約2:1の比率(重量比)の上塗り及び下塗りと、同等である。
【0037】
別の実施形態において、代表的な単一で均一なコーティングは、約13.78重量%のベースシリコーンポリマー、例えば、ビニル官能化オルガノポリシロキサンを約73.13重量% HFE溶媒と組み合わせた混合物から形成され得る。ベースシリコーンポリマー及びHFE溶媒は、約13.00重量%のシリコーンポリマー、例えば、ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンと混合され得る。触媒がその後、混合物に約0.0124重量%で追加され得、架橋剤が約0.0702重量%で追加され得る。混合物は、例えば、約1:1(重量比)の下塗り及び上塗り溶液と同等である。
【0038】
なお更なる実施形態において、単一で均一なコーティングは、約9.189重量%のベースシリコーンポリマー、例えば、ビニル官能化オルガノポリシロキサンを、約73.42重量%のHFE溶媒と組み合わせた混合物から形成され得る。ベースシリコーンポリマー及びHFE溶媒は、約17.33重量%のシリコーンポリマー、例えば、ヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサンと混合され得る。触媒がその後、混合物に約0.083重量%で追加され得、架橋剤が約0.0468重量%で追加され得る。混合物は、例えば、約1:2(重量比)の下塗り及び上塗り溶液と同等である。
【0039】
当業者によって理解されるように、単一で均一なコーティング内の異なる重量比を達成するために、従来的な処理装置及び技術を使用して、下塗り及び上塗り溶液を混合する様々な従来的な方法が存在する。1つの混合方法において、下塗り及び上塗りのマスターバッチが互いに混合され得る。適切な比率の各コーティングがその後、マスターバッチから一緒に混合されて、単一で均一なコーティングを形成し得る。例えば、下塗りと上塗りの約2:1の比率の混合物を有する単一で均一なコーティングが望ましい場合、一定量の上塗りが2倍量の下塗りと混合され得る(例えば、約10グラムの上塗りと混合された約20グラムの下塗り)。あるいは、約1:1の比率の単一で均一なコーティングが所望される場合、等量部の下塗り及び上塗りが混合され得る。別の実施形態において、混合された単一で均一なコーティングは、上塗り及び下塗りの別個のマスターバッチからの混合ではなく、全ての成分がそれらの正確な比率で直接追加されることで、直接作製され得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングの前にプライマーコーティングが任意により医療用装置に適用され得る。上記のように、プライマーコーティングは、医療用装置に結合することができ、単一で均一なコーティングを適用するために適切な基材を提供することができる、いずれかの配合を有し得る。一実施形態において、プライマーコーティングは、例えば、ポリアルキルシロキサン及びテトラエチルシリケートから形成され得る。ポリアルキルシロキサン及びテトラエチルシリケートプライマーコーティングは、例えば、タングステン−レニウム合金などの、結合が難しい基材のコーティングのために、配合され得る。他の実施形態において、プライマーコーティングは所望されず、又は必要とされず、単一で均一なコーティングは、医療用装置の基材、すなわち表面に直接適用されて、医療用装置に適用される唯一のコーティングとなる。なお更なる実施形態において、医療用装置の表面は、その部分として、及び/又はその上に予め形成されて、プライマーコーティングを含み、それによって単一で均一なコーティングが適用される際に、医療用装置上に単一で均一なコーティングのみが存在する。
【0041】
単一で均一なコーティングは一般的に、必要に応じて任意の厚さで適用され得る。単一で均一なコーティングの厚さは、所望の特性を効果的に提供するために十分であるべきである。例えば、単一で均一なコーティングは、約1μm〜約12μm、及びより好ましくは約3μm〜約6μm、又は約1μm〜約3.5μmの範囲の厚さで適用され得る。プライマーコーティングが適用される場合、これは約0.01μm〜約1μmの範囲の厚さを有するように適用され得る。当業者は、単一で均一なコーティング及び/又はプライマーコーティングの厚さは、特定の用途によって変化し得ることを理解する。
【0042】
コーティングされた外科用縫合針又は他の医療用装置を提供するために使用され得る、多くの方法及びシステムが本明細書において想到される。一般的に、外科用縫合針などの医療用装置は、以下でより詳細に記載されるように、所望の材料から製造され、コーティングに備えることができる。使用中の耐久性及び潤滑性を提供するために、1つ以上のコーティングが外科用縫合針に適用され得る。コーティングのいずれか1つの適用の前、間及び/又は後に、外科用縫合針は、コーティング中の溶媒を除去し、並びに/又はコーティングを硬化、架橋及び/若しくは結合するために効果的な、十分な時間だけ硬化され得る。
【0043】
当該技術分野において既知のいずれかのプロセスが、下塗り、上塗り、下塗り及び上塗りの混合物(又は下塗り及び上塗りの成分)から構成される単一コーティング、並びに/又はプライマーコーティングの1つ以上で様々な医療用装置をコーティングするために使用されてもよく、これは、浸漬、噴霧、清拭、はけ塗り、全体浸漬、重力供給などを含むがこれらに限定されない。例えば、外科用縫合針は、多くの従来的な方法で、ディップコーティングされ得る。縫合針が手動により処理される場合、縫合針は、コーティングに、手で浸漬されるか又は全体浸漬され得る。より自動化されたプロセスにおいては、コーティング溶液は、堰型循環システムを使用して適用される場合があり、ここで外科用縫合針は、ロボット又は処理システムのいずれかによって、自動的な方法により、溶液を通過する。浸漬技術は一般的に、持続性のための、基材との関連におけるコーティングの接着及びコーティングの湿潤特性のための、表面張力に依存する。当業者は、様々な技術に使用され得る、様々な可能な従来のプロセス、プロセス装置、及びこれらの同等物を理解する。
【0044】
一実施形態において、1つ以上のコーティングが、例えば、超音波及び/又はガスコンフォーマルコーティングスプレーノズルシステム及び/又はスワールコーティングシステムを使用して、噴霧により外科用縫合針に適用され得る。超音波及びガススプレーノズルは、液体を噴霧し、液滴の霧を形成するために十分な量で、液体にエネルギーを伝達する。液滴の噴霧は、スワールプロセスを使用して医療用装置に適用され、このプロセスにおいて、基材をコーティングするために、医療用装置の周囲で液滴が旋回する。スワールプロセスを使用したコーティングの適用は、外科用装置へのコーティングのより均一な分布を確実にし、一方で、したたり、望ましくないプーリング、液滴及び/又は不均一性を生じ得るコーティングの過剰な堆積を防ぎ得る。噴霧はまた、コーティング厚さの正確な制御及び調節を可能にする。特定のコーティングが、表面上に薄い膜のみを残すように適用される場合があり、又はこれは異なる厚さを提供するために適用され得る。
【0045】
異なる種類及び大きさのスプレーノズルが、特定のコーティング組成物、及び生成されるスプレー流れの所望の属性によって使用されてもよい。スプレーノズルは、必要に応じた特定の頻度及び/又は空気圧で動作するように設計されることがあり、ノズルを操作するための所望の電力レベルは、ノズルの大きさ及び設計、使用される組成物の粘度、使用される組成物の成分の揮発性などを含む、様々な要因に依存し得る。超音波及び流体スプレーノズルは両方とも、市販されている。
【0046】
図3Aに及び図3Bに例示されるものなどの、一実施形態において代表的な外科用縫合針32にスワールコーティングを適用するために、対向するスプレーノズル30a、30bが提供される。対向するスプレーノズル30a、30bはそれぞれ、適用される特定のコーティングを保持するキャニスターに連結され得、排出開口部31a、31bを通じてコーティングを供給し得る。スワールプロセスによって適用される各コーティングは、対向するスプレーノズル30a、30bの異なるペアを使用して適用され得る。したがって、いくつかの実施形態において、多数のコーティングを適用するために、スプレーノズルの多数のセットが、使用され得る。各スプレーノズル30a、30bは、コーティングを供給するために溝付きの先端部(図示されない)を有し得る。縫合針が延びる方向と垂直の、水平面に対する溝付き先端部の角度は、スプレーの範囲を最適なコーティングへと収束させるために調節され得る。当該技術分野において理解されるように、特定のコーティングを供給するのに、必要に応じて任意の角度が使用され得る。加えて、異なるコーティングは異なる角度を有する溝付き先端部からの供給を必要とし得る。
【0047】
スプレーノズル30a、30bの対向するペアは、スプレーノズル30a、30bを、3次元において調節及び操作することができる、位置決め装置(図示されない)から延び得る。対向するスプレーノズル30a、30bは、特定の用途のために必要に応じて互いに対して任意の様式で位置付けられることができ、一般的には互いに対称的に対向し得る。例示される実施形態において、スプレーノズル30a、30bは、図3A〜3Bに示されるように、水平表面に対して、およそ約30°の角度で位置付けられる。水平方向において、ノズル30a、30bは真向かいで対向し得る(例えば、約180°オフセットされる)。しかしながら、好ましくは、ノズル30a、30bは、中立化(neutralization)を防ぎ、スプレーしぶきが縫合針上に堆積するのを防ぐために、互いに約180°未満の度合いで水平方向にオフセットし得る。対向するノズル30a、30bの位置付けは、外科用縫合針の最も完全なコーティングを提供するために最適化され得る。
【0048】
一般的に、スワールコーティングは、縫合針32とノズル30a、30bとの間の相対的な運動の間に適用され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の縫合針32は、静的に留まる場合があり、一方で、ノズル30a、30bは、コーティングを噴霧しながら、縫合針32に対して移動する。他の実施形態において、キャリアストリップ、例えば図2に示されるキャリアストリップ20、又は図3A及び図3Bに示されるキャリアストリップ40は、複数の外科用縫合針32を対向するスプレーノズル30a、30bに対して移動し、一方でノズル30a、30bは静的に留まる。他の実施形態において、キャリアストリップ40及びノズル30a、30bは、互いに対して移動し得る。キャリアストリップ40は、図3Aに示されるように、ノズル30a、30bの下に取り付けられてもよく、又はキャリアストリップ40は、図3Bに示されるように、ノズル30a、30bの上に取り付けられ得る。
【0049】
キャリアストリップ40及び/又はノズル30a、30bの移動速度は、スプレーノズル30a、30bが、最適な適用範囲及び縫合針32のコーティングを提供するように制御され得る。例えば、縫合針32とノズル30a、30bとの間の相対移動速度は、毎秒約2.54〜約38.1cm(約1〜約15インチ)の範囲であり得る。最適には、相対的な移動速度は、毎秒約7.6cm(3インチ)〜毎秒約12.7cm(5インチ)の範囲であり得る。ノズル排出開口部31a、31bと縫合針の近位部分との間に任意により、シールドが配置され得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、スプレーノズル30a、30bを使用して、外科用縫合針などの医療用装置に適用され得る。上記のように、単一で均一なコーティングが使用されるとき、これは本明細書において記載される上塗り及び下塗りの混合物、並びに/又は潤滑性及び耐久性の両方を適用するように設計された成分の混合物であり得る。スプレーノズル30a、30bを使用して、単一で均一なコーティングが適用することができる、様々な方法が存在する。例えば、単一で均一なコーティングは例えば、約2:1の比率、1:1の比率、及び/又は1:2の比率など、上塗り及び下塗りの正確な比率で予混合され得、予混合組成物は、ノズル30a、30bによって、医療用装置上に単一で均一なコーティング層で提供され得る。
【0051】
別の実施形態において、上塗りは、一方のノズル30aによって供給され得、下塗りは、他方のノズル30bによって供給され得る。約2:1の比率の上塗り及び下塗りが必要とされる場合、又は約1:2の比率の上塗り及び下塗りが必要とされる場合、一方のノズル30a、30bが一定量のコーティングを提供するように構成され得る一方で、他方のノズル30b、30aは異なる量(例えば、二倍量、又は半量)の他方のコーティングを供給するように構成され、それによって重量比が所望のものとなる。
【0052】
更なる実施形態において、上塗り及び下塗りは、ノズル30a、30bと流体連通するキャニスターに提供され得、医療用装置に適用される前に、2つのコーティングがノズル30a、30b内で所望の比率に混合され得る。例えば、ノズル30a、30bは、これと関連する2つのフィードラインなどの、混合メカニズムを有する場合があり、これは約2:1の比率、1:1の比率、1:2の比率及び他の所望の任意の比率の上塗り及び下塗りを混合することができ、それによって単一で均一なコーティングが、これが医療用装置に適用される前にノズル30a、30b内で予混合される。
【0053】
外科用縫合針などの外科用装置上のコーティングを硬化(curing)、硬質化(hardening)、及び/又は固着(setting)させるための、当該技術分野において既知の多くのメカニズムが存在する。硬化はまた、コーティングを作製するために使用されるいずれかの溶媒の蒸発を生じ得る。硬化は一般的に、コーティングされた外科用縫合針を、所定の期間にわたってなんらかの形の温度の上昇、及び/又は湿度変化に暴露することによって達成され得る。例えば、コーティングされた縫合針は、当該技術分野の他の形態の、中でもとりわけ、加熱炉若しくは炉、ホットボックス、加湿チャンバ、及び/又は赤外線チャンバ内に配置することができる。硬化時間は、数秒間のみの「瞬間(flash)」硬化から、24時間超の時間まで及び得る。
【0054】
硬化プロセス中において、温度及び/又は湿度は、全時間において単一の値に維持されてもよく、及び/又はこれは、時間の経過と共に必要に応じて上昇又は低下させてもよい。温度は、例えば、加熱要素への電力を制御するために、熱電対及びポテンショメーターを使用してモニタリング及び調節することができる。ポテンショメーターは、加熱システムの長さに沿った周期的な刻み幅で、熱電対によって行なわれる温度測定が、特定の温度で、又はその間の範囲で維持されるように、予め構成され得る。他の実施形態において、温度はフィードバックループを使用して制御される場合があり、外科用縫合針が経る温度と相関する温度測定値が、電源にフィードバックとして送られ、これが加熱されたフィラメントに供給される電力を連続的に調節して、所望の温度範囲を維持する。湿度モニターは、湿度をモニタリング及び調節するために使用され得る。いくつかの実施形態において、各コーティングは、これを外科用縫合針に適用した後に硬化され得る。他の実施形態において、全てのコーティングは、硬化プロセスを開始する前に適用され得る。
【0055】
一実施形態において、コーティングの硬化を生じさせるために赤外線放射器が使用され得る。赤外線放射器は、Heraeus(登録商標)Noblelightから、例えばモデルSKL200−800が市販されている。実際の放射器は例えば、熱を集中させ、かつ蓄えるために使用される反射性チャネル内に埋め込まれた8フィート長さの薄い加熱されたフィラメントを含み得る。赤外線加熱システムは、チャネル開口部が下に向くように配置され得る。赤外加熱システム内で硬化される外科用縫合針は、例えば、加熱されたフィラメントから約0.64cm(1/4インチ)上で、垂直に保持され、チャネルの2つの凹状反射性壁部の間を通過し得る。縫合針はキャリアストリップ上で保持され得、これらは毎秒約7.6cm(3インチ)〜毎秒約12.7cm(5インチ)の範囲の速度でチャネルを横断するが、任意の速度が使用され得る。
【0056】
外科用縫合針上に耐久性のある潤滑性のコーティングを提供するために多くの方法が想到されるが、1つの特定の方法の実施形態のフローチャートが図4Aに例示される。示されるように、本方法は一般的に、外科用縫合針を製造することと、コーティングを受容するための縫合針の表面を調製することと、プライマーコーティング、下塗り及び/又は上塗りで縫合針をコーティングすることと、コーティングを硬化することとを含む。図4Bにおいて例示される別の実施形態において、方法は一般的に、外科用縫合針を製造することと、コーティングを受容するための縫合針の表面を調製することと、縫合針をプライマーコーティングでコーティングすることと、縫合針を単一で均一なコーティングでコーティングすることと、単一で均一なコーティングを硬化することとを含む。当業者は、このような方法に含まれ得るバリエーション及び追加を理解する。
【0057】
外科用縫合針の製造において、好適な組成物の未処理ワイヤがスプールから外され、形成するために素材片に切断される。所望の縫合針の大きさにより、任意の大きさの素材片が使用され得るが、一実施形態において、ワイヤは、5.1cm(2インチ)の素材片に切断され得る。一度切断されると、素材片が、図2に例示されるような金属キャリアストリップに取り付けられ得る。素材片は固定されて、形成、研削、曲げなどを含む、当該技術分野において既知の任意の方法で、これらの好ましい縫合針の形状に成形され得る。
【0058】
適切に形成された縫合針は、汚染物質を除去し、コーティングを受容するための表面を調製するために、清掃され得る。例えば、縫合針は、高温高圧で水を放出する高圧ノズルに暴露され得る。他の実施形態において、縫合針は任意の汚染物質を除去するために、高温に焼成され得る。一度縫合針が清掃されると、これらは必要な任意の時間にわたって、電界研磨され得る。縫合針は、電界研磨槽内に浸漬され(例えば、水酸化ナトリウム、リン酸など)、制御された速度でイオンを除去するために直流に供され得る。一度完成すると、縫合針は連続的な回数で、例えば、2回、脱イオン化した水槽ですすがれ得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、プライマーコーティング、例えば上記のSS4044Pプライマーは、新しく製造され、かつ洗浄された外科用縫合針に適用され得る。プライマーコーティングは例えば、縫合針がタングステン−レニウム合金である場合に使用され得る。浸漬又は噴霧を含む当該技術分野において既知の任意の方法を使用して適用され得るが、一実施形態において、プライマーは浸漬により外科用縫合針に適用される。把持器具又はキャリアストリップを使用して、縫合針は室温においてプライマーに、その完全な適用範囲を生じるために、1〜2秒間浸漬され得る。当業者は、特定のプライマーに対して好適である任意の温度で、かつ任意の長さの時間にわたって、適用され得ることを理解する。プライマー中の反応性官能基は、外科用縫合針の表面のヒドロキシル官能基と反応し、そこに共有結合し得る。いくつかの実施形態において、プライマーコーティングが適用された後、例えば、セ氏約200度などの、適切な温度で、約20秒間瞬間硬化され得る。一度硬化されると、プライマーは外科用縫合針と、いずれかの後に適用されたコーティングとの間に境界を生じ得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、上記のMomentive(登録商標)下塗りなどの、下塗りは、外科用縫合針の外側表面、かつ使用される場合には、SS4044Pプライマーなどのプライマーの上に適用され得る。当該技術分野において既知の任意の適用方法が使用され得るが、一実施形態においては、外科用縫合針は、対向するスプレーノズルを使用して、下塗りによって噴霧又はスワールコーティングされる。例えば、外科用縫合針はコーティングされるために、対向する第1スプレーノズルと第2スプレーノズルとの間を通過し得る。スプレー又はスワールコーティングを使用する下塗りの適用は、縫合針上又は更に使用される場合はプライマー上の、下塗りの均一な分布の層を確実にする。下塗りが適用されると、溶媒、例えば、HFE溶媒は迅速に蒸発して、縫合針表面上に均一に分布したシリコーンの薄い層を残し得る。いくつかの実施形態において、下塗りは、「インライン」赤外線加熱システムへの暴露によって表面上に硬化され得る。下塗りは、多くの異なる波長の赤外光に暴露されて硬化され得る。
【0061】
本発明のコーティングされた医療用装置はまた、下塗りコートの上に、好ましくは下塗りが部分的にコーティングされた後に適用された上塗りを有し得る。例えば、上記のNuSil(登録商標)上塗りは、Momentive(登録商標)下塗りの上に適用され得る。当該技術分野において既知の任意の適用方法が使用され得るが、一実施形態においては、外科用縫合針は、対向するスプレーノズルを使用して、上塗りによって噴霧又はスワールコーティングされ得る。例えば、外科用縫合針はコーティングされるために、対向する第3スプレーノズルと第4スプレーノズルとの間を通過し得る。噴霧又はスワールコーティング技術を使用した上塗りの適用は、下塗りの上の上塗りの均一に分布した層を確実にする。上塗りが適用される際、例えばHFE溶媒などの溶媒は、急速に蒸発して、下塗りの上の均一に分布した上塗りの薄い層を残す。いくつかの実施形態において、上塗りの適用後、いずれかの余分な溶媒を落とすために、上塗りが瞬間硬化され得る。縫合針は、溶媒の蒸発を完成させるために必要な任意の時間及び任意な温度で、ホットボックス又は他の加熱硬化システムを通過させることができる。一実施形態において、上塗りは、セ氏約165度〜セ氏約200度の範囲の温度において、約20秒間にわたって赤外線ヒーターで瞬間硬化され得る。
【0062】
他の実施形態において、単一で均一なコーティングは、外科用縫合針の外側表面に適用され、使用される場合はプライマー、例えば、SS4044Pプライマー上に適用され得る。単一で均一なコーティングは、例えば、上記のようにMomentive(登録商標)下塗り、及びNuSil(登録商標)上塗りの組み合わせであり得るが、単一で均一なコーティングを形成するために、材料の任意の好適な組み合わせが使用され得る。当該技術分野において既知の任意の適用方法が使用され得るが、一実施形態においては、外科用縫合針は、対向するスプレーノズルを使用して、単一で均一なコーティングによって噴霧又はスワールコーティングされる。例えば、外科用縫合針はコーティングされるために、対向する第1スプレーノズルと第2スプレーノズルとの間を通過し得る。スプレー又はスワールコーティングを使用して単一で均一なコーティングを適用することは、縫合針上又は使用される場合は縫合針のプライマーコーティング上の、単一で均一なコーティングの均一に分布する層を確実にする。単一で均一なコーティングが適用される際、溶媒、例えば、HFE溶媒は急速に蒸発して、縫合針表面上に単一で均一なコーティングの薄い層を残し得る。いくつかの実施形態において、単一で均一なコーティングは、「インライン」赤外線加熱システムに、十分に効果的な時間、例えば、約1秒〜約60秒、約10秒〜約30秒、及び/又は約20秒にわたって暴露することによって硬化され得る。単一で均一なコーティングは、多くの異なる波長の赤外光に暴露されて、硬化され得る。単一で均一なコーティングはまた、セ氏約60度〜セ氏約180度の範囲の温度で、約1時間〜約5時間、約2.5時間〜約3.5時間、及び/若しくはより好ましくは約3時間の時間にわたって、並びに/又はセ氏約100度〜セ氏約140度の範囲の温度で硬化され得る。
【0063】
上塗り及び/又は単一で均一なコーティングの適用の後、外科用縫合針は任意によりスプールに戻され得る。いくつかの実施形態において、コーティングされた縫合針は、最終的な硬化プロセスに暴露され得る。例えば、スプールに戻された縫合針は、コーティングを更に硬化させるために十分な温度及び時間で熱対流炉内に配置され、硬化され得る。一実施形態において、外科用縫合針は、セ氏約165度において、およそ4時間にわたって熱対流炉内で硬化され得る。他の実施形態において、最終的な硬化は、セ氏約80度の温度で、およそ3時間にわたって実行され得る。
【0064】
本明細書において記載される代表的なコーティング及び方法における硬化時間は、これらが当該技術分野において既知のコーティング及び方法における硬化時間よりも遥かに短いという点において、非常に有益である。これまでのコーティング及び方法は、最大72時間の外科用縫合針の硬化+処理及びコーティング時間を必要とすることもあり得る。本明細書において記載される代表的なコーティング及び方法は、合計時間を約4時間未満、及び場合によって約15分まで低減させることができ、縫合針の製造の効率性を顕著の著しい向上を提供する。単一で均一なコーティングの使用により、硬化時間は更に約1分未満まで低減され得る。
【0065】
上記の2つのコーティング、及び/又はやはり上記の単一の、例えば、連続的なコーティングの使用は、同等の回数の組織の通過の後に、標準的な外科用縫合針と比較して、低減した、及び/又はほぼ一定の組織貫通力を呈する外科用縫合針を生じる。したがって、縫合針の潤滑性、並びにコーティングの耐久性の両方が改善される。この効果は、多くの理由により生じるものと考えられる。例えば、スワールコーティングプロセスを使用した下塗り及び上塗りの適用は、基材上におけるコーティングの均一な分布を提供する。これは図6に最も明確に表され、これは以下でより詳細に記載される。加えて、適用及び硬化の方法と組み合わせたコーティングの組成物は、図7に示されるように、合成媒体に縫合針を繰り返し通過させるために必要な平均力の顕著な低下を生じ得る。
【0066】
任意のプライマーコーティングの使用もまた有利であり得る。プライマーコーティングは、縫合針表面に化学的に結合することが可能であり得、潤滑性シリコーンコーティングが接着する結合基材を提供し、下塗り及び上塗りの耐久性の増加を生じさせる。例えば、図5は、合成媒体を通過する回数に関連する、合成媒体に縫合針を通すために必要な力を例示する。示されるように、合成媒体を少なくとも30回通すまで、非常に一定した力を維持する傾向がある、同一材料及び同一構成のプライマーコーティングした縫合針と比較して、プライマーを有さない縫合針は、30回の通過の後に、必要な力が劇的に上昇する。以下に記載される実施例において、更なる詳細が表される。
【0067】
医療用装置のコーティング性能は一般的に、様々な従来の試験において試験され得る。外科用縫合針の場合において、コーティング性能及び完全性は、貫通試験装置を使用して評価される。コーティングされた外科用縫合針の一部が、把持装置を使用して把持され、コーティングされた縫合針はその後、合成又は天然の貫通可能な材料に何回か部分的に通される。材料は典型的には一種のポリマー、又は合成皮革、例えば、Permair、Rubber−Cal、Monmouth rubber、Porvairなどである。縫合針は、貫通可能な材料を、約1〜約20回、約1〜約25回、及び最も好ましくは約1から約30回貫通させられ得る。縫合針はその後、媒体から引き抜かれる。各通過における最大力が記録され、コーティング性能の指標として使用される。コーティング性能の様々な属性が、これらの技術を使用して試験され得る。
【実施例】
【0068】
様々な縫合針コーティング材料及び方法の効果を試験するために、以下の実験が行われた。各試験において、縫合針は、Monmouth Duraflex MR40 NBRゴム膜(「Monmouthゴム」)を通され、これは肉又はヒトの死体の組織をシミュレーションするように機能する。以下の非限定的な実施例において、4〜10本の縫合針が使用されて、貫通膜にそれぞれ30回、個別に通された。各通過に最大力がグラムで記録され、コーティング性能の指標として使用された。
【0069】
外科用縫合針は、縫合針を貫通膜表面と垂直の位置に固定するようにして回転台に取り付けられて、回転軸が、貫通膜の平面と同じ平面上にある、その放射状プロファイル上に向けられる。ロードセルの上に取り付けられた貫通部材内へと縫合針は回転された。縫合針が貫通部材を通じて押される際の、垂直力の最大量が記録された。
【0070】
以下の非限定的な実施例は、本発明の原理及び実践を更に例示する役割を担う。
【0071】
(実施例1)
Monmouthゴム合成媒体に縫合針を通すために必要な力に対して、コーティング方法が有する効果を調べるために、以下の試験が行われた。ディップコーティングされた縫合針の性能が、スプレー/スワールコーティングされた縫合針の性能と比較された。
【0072】
試験A
試験Aにおいて、貫通試験のために5本の縫合針が準備された。縫合針は、ETHALLOY(登録商標)合金ステンレス鋼から作製され、0.027cm(0.0105インチ)の直径を有した。下塗り組成物は、Micropowders Incによって製造された20重量%のMicropro 600及びMicromatte 2000を、80重量%のHFE−72DE溶媒と混合して調製された。MicroPro及びMicromatte粉末の重量比は4:1であった。5本の試験用縫合針が、これらの表面をコーティングするために、それぞれ下塗りへと浸漬された。縫合針は、浸漬プロセスによって手でコーティングされ、磁気トレー上に配置された。トレーは、縫合針の遠位端(先端部)が磁気ストリップの縁部上に位置する一方で、硬化サイクル及び輸送中に縫合針の近位端をしっかりと保持するために隆起した磁気ストリップを含む。この構成は、縫合針先端部がトレーと接触することを防ぐ。コーティングされた縫合針は、雰囲気において90分間にわたって熱対流炉内でセ氏190度まで加熱された。縫合針はその後、炉の外で周辺温度において冷却させた。
【0073】
上塗り組成物は、26重量%のNuSil(登録商標)MED4162と74重量%のHFE−72DE溶媒を使用して調製された。5本の縫合針はその後、それぞれ手で上塗りコーティング組成物内に浸漬された。縫合針はその後、熱対流炉内でセ氏220度まで加熱されて、雰囲気において4時間硬化された。縫合針は炉の外で周辺温度において冷却させた。
【0074】
一度硬化されると、5本の縫合針はそれぞれ、貫通膜を30回通され、以下の表1に示されるように、貫通力がグラムで記録された。
【表1】
【0075】
試験B
試験Bにおいて、貫通試験のために5本の縫合針が準備された。縫合針は、ETHALLOY(登録商標)合金ステンレス鋼から作製され、0.027cm(0.0105インチ)の直径を有した。下塗り組成物は、Micropowders Incによって製造される、20重量%のMicropro 600及びMicromatte 2000を、80重量%のHFE−72DE溶媒と混合して調製された。MicroPro及びMicromatte粉末の重量比は4:1であった。5本の試験縫合針は、以下のパラメーター:13.8kPa(2PSI)流体圧、344.7kPa(50PSI)空気アシスト、及び25.4cm/秒(10インチ/秒)ライン速度、を有するCarlsbad,CAのAsymtek(登録商標)から入手可能なSC−300 Swirl Coat(商標)Applicator及びCentury(登録商標)C−341 Conformal Coating Systemを使用し、単回通過スプレーを使用して下塗り組成物でスワールコーティングされた。コーティングされた縫合針は、雰囲気において90分間にわたって熱対流炉内で、セ氏190度まで加熱され、硬化された。縫合針は炉の外で周辺温度において冷却させた。
【0076】
上塗り組成物は、26重量%のNuSil(登録商標)MED4162と74重量%のHFE−72DE溶媒を使用して調製された。5本の縫合針が、以下のパラメーター:68.9kPa(10PSI)流体圧、344.7kPa(50PSI)空気アシスト、及び12.7cm/秒(5インチ/秒)ライン速度、を有する単回通過スプレーを使用して上塗り組成物でスワールコーティングされた。縫合針はその後、セ氏220度で4時間にわたって硬化された。一度硬化されると、5本の縫合針はそれぞれ、貫通膜を30回通され、以下の表2に示されるように、貫通力がグラムで記録された。
【表2】
【0077】
図6は、直接比較における試験A及び試験Bの平均結果のグラフ表現である。y軸は、貫通膜に縫合針を通すために必要な貫通力をグラムで示す。x軸は通過回数を示す。太い実線は、試験Aに説明されるように下塗り及び上塗り組成物でディップコーティングされた縫合針を表し、一方で、細い実線は、試験Bに説明されるように、下塗り及び上塗りでスワールコーティングされた縫合針を表す。
【0078】
見て分かるように、ディップコーティングされた縫合針は、約38gの初期貫通力を有した。貫通力は、30回の通過にわたって確実に増加し、30回の通過後には、縫合針は61gの平均最大力を必要とした。対照的に、スワールコーティングされた縫合針は、約31gの初期貫通力を有した。貫通力は、30回の通過にわたって実質的に一定のままであり、30回の通過後に平均最大力は約40gであった。示されるように、スワールコーティングされた縫合針は、最初において、ディップコーティングされた縫合針よりも平均して約7g小さい力を必要とし、力は実質的に一定のままであった。最終的に、スワールコーティングされた縫合針は、30回の通過後には、ディップコーティングされた縫合針よりも約21g小さい最大力を必要とした。
【0079】
(実施例2)
様々なコーティング組成物及びコーティング方法の貫通性能も試験された。以下の試験A及びBにおいて、2つの異なる種類の縫合針コーティング組成物及び適用方法が試験された。縫合針はMonmouthゴム合成媒体に通された。
【0080】
試験A
試験Aにおいて、直径0.0198cm(0.0078インチ)を有する市販のEthicon BV−175外科用縫合針が試験された。コーティングは、二重浸漬法を使用して適用された。特にシリコーンディップは、上記の潤滑性のための、Micropro 600及びMicromatte 2000粉末と混合したNuSil(登録商標)製品番号MED4162の濃縮を使用して調製された。縫合針は、移動するキャリアストリップ上に配置され、浸漬された(一度目)。縫合針はその後、ホットボックス内で、セ氏225度で32秒間にわたって瞬間硬化された。縫合針はその後、セ氏163度で熱対流炉内で36時間にわって硬化された。縫合針が浸漬され(二度目)、瞬間硬化され、その後、熱対流炉内で更に36時間にわたって硬化された。
【0081】
以下表3で示されるように、10本の縫合針が、貫通膜を30回通されて試験された。
【表3】
【0082】
試験B
試験Bにおいて、直径0.0203cm(0.008インチ)直径を有する10本のEthiconタングステン−レニウム合金縫合針が試験された。縫合針はMomentive(登録商標)SS4044Pプライマーコーティングを室温で適用することによって調製された。プライマーコーティングは、セ氏200度で2〜3秒にわたって瞬間硬化された。下塗り組成物はその後、スワールコーティング技術を使用してプライマー上に適用された。下塗り組成物は、27.58重量%のMomentive(登録商標)ビニルシロキサンポリマー、製品番号MSC2631を、72.25%のHFE 72−DE溶媒と混合し、約5分間撹拌することによって作製された。Momentive(登録商標)、トルエン中の触媒、製品番号第SS8010がその後、0.02重量%で混合物に追加され、Momentive(登録商標)、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、製品番号SS4300が、0.14重量%で追加された。Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを使用して、下塗りが外科用縫合針に適用された。縫合針はその後、赤外線ヒーターで30秒間にわたってセ氏300度まで加熱された。
【0083】
上塗り組成物がその後縫合針に適用されたがこれは、74重量%のHFE 72−DE溶媒と混合した、26重量%のNuSil(登録商標)MED4162シリコーン製品から形成されていた。上塗り組成物はまた、Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを用いてスワールコーティング技術を使用して適用された。縫合針はおよそ30秒間にわたってセ氏190度の温度で再び瞬間硬化された。
【0084】
試験Bに含まれる縫合針はその後、熱対流炉内で3時間にわたってセ氏80度でバッチ硬化された。縫合針は、各縫合針を貫通膜に30回通すことによって試験された。このようにするために必要な力は表4で説明される。
【表4】
【0085】
図7は、直接比較における試験A及び試験Bの平均結果のグラフ表現である。y軸は、貫通膜に縫合針を通すために必要な貫通力をグラムで示す。x軸は通過回数を示す。太い実線は、試験Aに説明されるように従来のディップコーティングによる縫合針を表し、一方で、細い実線は、試験Bに説明されるように、本発明によるスプレーコーティングによる縫合針を表す。
【0086】
示されるように、試験Aの縫合針は最初に、約29gの平均貫通力を必要とした。試験Aの平均貫通力は、30回の通過の後に39gまで増加した。試験Bの縫合針は、21gの初期平均貫通力、及び30回の通過の後に25gの平均貫通力を有した。
【0087】
(実施例3)
Monmouthゴム合成媒体に縫合針を通すために必要な力に対して、コーティング方法が有する効果を調べるために、以下の試験が行われた。ディップコーティングされた縫合針の性能が、スプレー/スワールコーティングされた縫合針の性能と比較された。
【0088】
試験A
試験Aにおいて、貫通試験のために、ETHALLOY(登録商標)合金から作製され、テーパーカットポイント形状を有する4本の直径0.067cm(0.026インチ)の縫合針が調製された。2.5gのMomentive(登録商標)、ビニルシロキサンオリマー、製品番号MSC2631、22.15gのExxon Isopar−K、0.0022gのMomentive(登録商標)、トルエン中の触媒、製品番号SS8010、及び0.00127gのMomentive(登録商標)、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、製品番号SS4300の溶液から調製された。4本の試験縫合針が、これらの表面をコーティングするために、それぞれ下塗りへと浸漬された。コーティングされた縫合針はその後、熱対流炉内で1時間にわたってセ氏200度まで加熱された。
【0089】
上塗りコーティング組成物は、2.50gのNuSil(登録商標)MED4162及び22.50gのExxon Isopar−Kを使用して調製された。4本の縫合針はその後、それぞれ手で上塗りコーティング組成物内に浸漬された。縫合針はその後、熱対流炉内でセ氏140度まで加熱され、3時間にわたって硬化された。
【0090】
一度硬化されると、4本の縫合針はそれぞれ、貫通膜を30回通され、以下の表5に示されるように、貫通力がグラムで記録された。
【表5】
【0091】
試験B
試験Bにおいて、貫通試験のために、ETHALLOY(登録商標)合金から作製され、テーパカットポイント形状を有する5本の直径0.067cm(0.026インチ)の縫合針が調製された。縫合針は、スワールコーティング技術を使用して、下塗りコーティング組成物を適用することによって調製された。下塗り組成物は、27.58重量%のMomentive(登録商標)ビニルシロキサンポリマー、製品番号MSC2631を、72.25重量%のHFE 72−DE溶媒と混合し、約5分間撹拌することによって作製された。Momentive(登録商標)、トルエン中の触媒、製品番号第SS8010がその後、0.02重量%で混合物に追加され、Momentive(登録商標)、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、製品番号SS4300が、0.14重量%で追加された。Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを使用して、下塗りが外科用縫合針に適用された。縫合針はその後、赤外線ヒーターで30秒間にわたってセ氏300度まで加熱された。
【0092】
上塗り組成物がその後縫合針に適用されたがこれは、74重量%のHFE 72−DE溶媒と混合した、26重量%のNuSil(登録商標)MED4162シリコーン製品から形成されていた。上塗り組成物はまた、Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを用いてスワールコーティング技術を使用して適用された。試験Bに含まれる縫合針はその後、熱対流炉内で3時間にわたってセ氏140度でバッチ硬化された。
【0093】
一度硬化されると、5本の縫合針はそれぞれ、Monmouthゴム合成媒体を30回通され、以下の表6に示されるように、貫通力がグラムで記録された。
【表6】
【0094】
図8は、直接比較における試験A及び試験Bの平均結果のグラフ表現である。y軸は、貫通膜に縫合針を通すために必要な貫通力をグラムで示す。x軸は通過回数を示す。正方形の点は、試験Aに説明されるようにディップコーティングを有する縫合針を表し、一方で、菱形の点は、試験Bに説明されるように、本発明によるスプレーコーティングによる縫合針を表す。
【0095】
示されるように、ディップコーティングを有する試験Aの縫合針は最初に62gの平均貫通力を必要とした。試験Aの平均貫通力は、30回の通過の後に115gまで増加した。スプレーコーティングを有する試験Bの縫合針は、58gの初期貫通力で機能し、30回の通過後に64gの平均貫通力を生じた。見て分かるように、スプレーコーティングを有する試験Bの縫合針は30回まで、遥かに低い貫通力を必要とした。
【0096】
(実施例4)
様々なコーティング組成物の貫通性能及びコーティング方法も試験された。以下の試験A、B及びCにおいて、3つの異なる種類の縫合針コーティング組成物及び適用方法が試験された。これらの試験における貫通材料は、ヒトの死体頸動脈組織であった。
【0097】
試験A
試験Aにおいて、直径0.027cm(0.0105インチ)を有する市販のEthicon BV−1外科用縫合針が試験された。このシリーズの製造に関連する手順を使用してコーティングが適用された。特に、シリコーンディップは、NuSil(登録商標)製品番号MED4162の濃縮を使用して調製された。縫合針は、移動するキャリアストリップ上に配置され、浸漬された(一度目)。縫合針はその後、ホットボックス内で、セ氏190度で20秒間にわたって瞬間硬化された。縫合針が浸漬され(二度目)、上記と同じ設定で再び瞬間硬化された。最後に、縫合針が浸漬され(三度目)、その後、熱対流炉内において、セ氏190度で8〜16時間にわたって硬化された。
【0098】
試験B
試験Bにおいて、直径0.027cm(0.0105インチ)を有するEthiconタングステン−レニウム合金縫合針が試験された。縫合針はMomentive(登録商標)SS4044Pプライマーコーティングを室温で適用することによって調製された。下塗り組成物はその後、スワールコーティング技術を使用してプライマー上に適用された。下塗り組成物は、27.58重量%のMomentive(登録商標)ビニルシロキサンポリマー、製品番号MSC2631を、72.25重量%のHFE 72−DE溶媒と混合し、約5分間撹拌することによって作製された。Momentive(登録商標)、トルエン中の触媒、製品番号第SS8010がその後、0.02重量%で混合物に追加され、Momentive(登録商標)、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、製品番号SS4300が、0.14重量%で追加された。Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを使用して、下塗りが外科用縫合針に適用された。縫合針はその後、赤外線ヒーターで30秒間にわたってセ氏300度まで加熱された。
【0099】
上塗り組成物がその後縫合針に適用されたがこれは、74重量%のHFE 72−DE溶媒と混合した、26重量%のNuSil(登録商標)MED4162シリコーン製品から形成されていた。上塗り組成物はまた、Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを用いてスワールコーティング技術を使用して適用された。
【0100】
試験Bに含まれる縫合針はその後、熱対流炉内で3時間にわたってセ氏80度でバッチ硬化された。縫合針は、各縫合針を貫通膜に30回通すことによって試験された。
【0101】
試験C
試験Cにおいて、同様の手順で使用される競合ブランドの市販の外科用縫合針(0.025cm(0.010インチ)直径)が、パッケージの外で試験された。縫合針は、各縫合針を貫通膜に30回通すことによって試験された。
【0102】
図9は、直接比較における試験A、B及びCの平均結果のグラフ表現である。y軸は、ヒト死体組織に縫合針を通すために必要な貫通力をグラムで示す。x軸は通過回数を示す。三角形の点は、上記の試験Aに説明される、従来的なディップコーティングを有する縫合針を表す。三角形の点は、上記の試験Bで説明される本発明によって調製される縫合針を表す。菱形の点は、上記の試験Cで説明される、試験Cに記載される競合するブランドの縫合針を表す。
【0103】
示されるように、ディップコーティングを有する市販の試験A縫合針は最初に約16gの平均貫通力を必要とした。試験Aの平均貫通力は、30回の通過の後に約18gまで増加した。本発明によるコーティングを有する試験Bの縫合針は、約13gの初期平均貫通力で機能し、30回の通過の後まで、この貫通力を維持した。競合するブランドの縫合針は、約15gの初期貫通力で機能し、30回の通過後に約25gの平均貫通力を生じる。見て分かるように、試験Bの縫合針は、30回まで、遥かに低い貫通力を必要とした。
【0104】
本発明に関連する上記の2つのコーティングの使用は、同じ回数だけ組織を通過させた後に、標準的な外科用縫合針と比較して、低減した組織貫通力を呈する外科用縫合針を生じる。したがって、縫合針の潤滑性、並びにコーティングの耐久性の両方が改善される。これは、多くの理由により生じるものと考えられる。例えば、スワールコーティングプロセスを使用した下塗り及び上塗りの適用は、基材上におけるコーティングの均一な分布を提供する。更に、適用及び硬化の方法と組み合わせたコーティングの組成物は、組織に縫合針を繰り返し通すために必要とされる、遥かに低い平均力を生じ得る。硬化時間もまた著しく低減し、より効果的な製造プロセスを生じた。
【0105】
(実施例6)
単一で均一なコーティングでコーティングされた医療用装置の貫通性能が、上塗り及び下塗りの両方でコーティングされた医療用装置の性能との比較において試験された。以下の試験A、B、C及びDおいて、2つの異なる種類の縫合針コーティング組成物及び適用方法が試験された。縫合針はMonmouthゴム合成媒体に通された。
【0106】
試験A、B、及びC
試験A、B、及びCにおいて、0.061cm(0.024インチ)直径を有する、市販のEthicon PS−2外科用縫合針が試験された。各試験において10本の試験縫合針が、単一で均一なコーティングでコーティングされた。試験Aにおいて、単一で均一なコーティングは、18.38重量%のビニル官能化オルガノポリシロキサン、すなわち、Waterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsにより製造されるMomentive(登録商標)製品コード番号MSC2631シリコーン、8.667重量%のヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサン、すなわち、Carpentaria,CAのNuSil(登録商標)Technologiesにより製造されるNuSil(登録商標)Technologies Silicone製品番号第MED4162、72.85重量%のHFE溶媒、0.0165重量%の触媒、及び0.0936重量%の架橋剤から形成される「成分A」混合物から構成された。成分A混合物は、2:1の比率の下塗り及び上塗りコーティング溶液と同等であり、下塗り及び上塗りコーティング溶液のマスターバッチから混合された。
【0107】
試験Bにおいて、単一で均一なコーティングは、13.78重量%のビニル官能化オルガノポリシロキサン、すなわち、Momentive(登録商標)Performance Materials of Waterford,NYにより製造されるMomentive(登録商標)製品コード番号MSC2631シリコーン、13.00重量%のヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサン、すなわち、Carpentaria,CAのNuSil(登録商標)Technologiesにより製造されるNuSil(登録商標)Technologies Silicone製品番号第MED4162、73.13重量%のHFE溶媒、0.0124重量%の触媒、及び0.0702重量%の架橋剤から形成される「成分B」混合物から構成された。成分B混合物は、1:1の比率の下塗り及び上塗りコーティング溶液と同等であり、下塗り及び上塗りコーティング溶液のマスターバッチから混合された。
【0108】
試験Cにおいて、単一で均一なコーティングは、9.189重量%のビニル官能化オルガノポリシロキサン、すなわち、Waterford,NYのMomentive(登録商標)Performance Materialsにより製造されるMomentive(登録商標)製品コード番号MSC2631シリコーン、17.33重量%のヒドロキシル基末端ポリジメチルシロキサン、すなわち、Carpentaria,CAのNuSil(登録商標)Technologiesにより製造されるNuSil(登録商標)Technologies Silicone製品番号MED4162、73.42重量%のHFE溶媒、0.0083重量%の触媒、及び0.0468重量%の架橋剤から形成される「成分C」混合物から構成された。成分C混合物は、1:2の比率の下塗り及び上塗りコーティング溶液と同等であり、下塗り及び上塗りコーティング溶液のマスターバッチから混合された。
【0109】
各試験において10本の試験縫合針は、以下のパラメーター:68.9kPa(10PSI)流体圧、344.7kPa(50PSI)空気アシスト、及び8の縫合針弁設定、を有するCarlsbad,CAのAsymtek(登録商標)から入手可能なSC−300 Swirl Coat(商標)Applicator及びCentury(登録商標)C−341 Conformal Coating Systemを使用してスワールコーティングされた。コーティングされた縫合針はその後、室温で約20秒にわたって赤外線加熱器内で、セ氏およそ200度まで加熱された。
【0110】
以下の表7〜9に示されるように、各試験A、B及びCの10本の縫合針が、貫通膜の30回の通過により試験された。
【表7】
【表8】
【表9】
【0111】
試験D
試験Dにおいて、0.061cm(0.024インチ)直径を有する市販のEthicon PS−2外科用縫合針が試験された。縫合針は、試験A、B及びCにおいて先に記載されたスワールコーティング技術及びパラメーターを使用して、ベースコーティング組成物を適用することによって調製された。ベースコーティング組成物は、27.58重量%のMomentive(登録商標)、ビニル官能化オルガノポリシロキサン、製品番号MSC2631と、72.25重量%のHFE 72−DE溶媒を混合することによって作製された。Momentive(登録商標)、トルエン中の触媒、製品番号第SS8010がその後、0.02重量%で混合物に追加され、Momentive(登録商標)、ポリメチルハイドロジェンシロキサン架橋剤、製品番号SS4300が、0.14重量%で追加された。Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを使用して、下塗りが外科用縫合針に適用された。縫合針はその後、赤外線ヒーターで30秒間にわたってセ氏300度まで加熱された。
【0112】
上塗り組成物がその後縫合針に適用されたがこれは、74重量%のHFE 72−DE溶媒と混合した、26重量%のNuSil(登録商標)MED4162シリコーン製品から形成されていた。上塗り組成物はまた、Asymtek C−341 Conformal Coater及びAsymtek SC−300 Swirl Applicatorを用いてスワールコーティング技術を使用して適用された。
【0113】
試験Dに含まれる縫合針は、その後熱対流炉内で、3時間にわたって、セ氏140度でバッチ硬化された。縫合針は、各縫合針を貫通膜に30回通すことによって試験された。このようにするために必要な力は表10で説明される。
【表10】
【0114】
図10は、直接比較における、試験A、B、C及びDの平均結果のグラフ表現である。y軸は、貫通膜に縫合針を通すために必要な貫通力をグラムで示す。x軸は通過回数を示す。
【0115】
見て分かるように、単一で均一なコーティングでコーティングされた縫合針は、試験A及びBにおいて約41g、試験Cにおいて約40gの初期貫通力を有した。30回の通過の値に貫通力が増加し、縫合針は、30回の通過の値に試験A及びBにおいて約65g、試験Cにおいて約67gの平均最大力を有した。対照的に、2つのコーティングでコーティングされた縫合針、すなわち、下塗り及び上塗りは、約46gの初期貫通力を有した。30回の通過の後の、平均最大貫通力は約61gであった。示されるように、単一で均一なコーティングでコーティングされた縫合針は最初に、2層でコーティングされた縫合針よりも約5g〜6g小さい力を必要とした。
【0116】
本発明に関連して先に記載された単一で均一なコーティングの使用は、組織を同等の回数だけ通過させた後に、2つのコーティングを有する外科用縫合針、及び標準的な外科用縫合針の両方と比較して、より少ない初期組織貫通力を呈する外科用縫合針を生じる。したがって、縫合針の潤滑性、並びにコーティングの耐久性の両方が改善される。これは、多くの理由により生じるものと考えられる。例えば、スワールコーティングプロセスを使用する、単一で均一なコーティングの適用は、基材上へのコーティングの均一かつ薄い分布を提供する。更に、適用及び硬化の方法と組み合わせたコーティングの組成物は、組織に縫合針を繰り返し通すために必要とされる、遥かに低い平均力を生じ得る。硬化時間もまた、上塗り及び下塗りなどの2つのコーティングが使用される際に必要とされる硬化時間と比較して遥かに短く、より効率的な製造プロセスを生じる。
【0117】
当業者であれば、上記に述べた実施形態に基づく本発明の更なる特徴及び利点は認識されるであろう。したがって、本発明は、付属の「特許請求の範囲」において示される場合は例外として、具体的に図示、記載されたものに限定されるものではない。本明細書中に引用される刊行物及び参考文献は全て、それらの全容を本明細書に特に援用するものである。
【0118】
〔実施の態様〕
(1) 医療用装置をコーティングするための方法であって、
医療用装置を提供することと、
前記医療用装置の表面の少なくとも一部に約1マイクロメートル〜約12マイクロメートルの範囲の厚さの均一なコーティングを適用することであって、前記均一なコーティングはビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含む、こととを含む、方法。
(2) 前記医療用装置の表面に均一なコーティングを適用することが、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さのコーティングを適用することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記医療用装置の前記表面がシリコーンを含むプライマーを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記医療用装置が、タングステン合金、耐火合金、ステンレス鋼、ニチノール及びタンタルの1つから形成される、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記医療用装置が、タングステン−レニウム合金から形成される、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記均一なコーティングを適用することは、前記均一なコーティングを、高蒸気圧低沸点溶媒で、前記医療用装置の前記表面に供給することを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記高蒸気圧低沸点溶媒がハイドロフルオロエーテル溶媒である、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記医療用装置を提供することが、組織貫通部分を有する細長い医療用装置を提供することを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記均一なコーティングを適用することは、前記均一なコーティングを前記医療用装置の前記表面上に噴霧することを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記医療用装置の前記表面上の前記均一なコーティングを、約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって硬化させることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0119】
(11) 基材を含む、コーティングされた装置であって、
前記基材の少なくとも一部が、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含むコーティングでコーティングされる、コーティングされた装置。
(12) 前記コーティングが、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する単一層の均一なコーティングである、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(13) 前記コーティングが、高蒸気圧低沸点溶媒で、前記基材に供給されるように構成される、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(14) 前記基材は、組織への前記基材の30回の通過にわたり、実質的に一定の貫通を呈する、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(15) 前記装置が、タングステン合金、耐火合金、ステンレス鋼、ニチノール及びタンタルの1つから形成される、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(16) 前記ビニル官能化オルガノポリシロキサンが、前記コーティングの約10重量%〜約90重量%の範囲にある、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(17) 前記ポリジメチルシロキサンが、前記コーティングの約10重量%〜約90重量%の範囲にある、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(18) 前記基材が医療用装置の表面である、実施態様11に記載のコーティングされた装置。
(19) 本体と、
前記本体の表面上に配置される潤滑性シリコーンを含む均一なコーティングとを含む、医療用装置であって、
前記本体は、組織への前記本体の30回の通過にわたり、実質的に一定の貫通を呈する、医療用装置。
(20) 前記均一なコーティングが、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含む、実施態様19に記載の医療用装置。
【0120】
(21) 前記均一なコーティングが、高蒸気圧低沸点溶媒で、前記本体の前記表面に供給される、実施態様20に記載の医療用装置。
(22) 前記均一なコーティングが、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する、実施態様19に記載の医療用装置。
(23) 前記本体が組織貫通部分を有する細長い本体を含む、実施態様19に記載の医療用装置。
(24) 前記医療用装置が複数の医療用構成要素を更に含み、前記本体は前記複数の医療用構成要素の1つである、実施態様19に記載の医療用装置。
(25) 前記均一なコーティングが前記本体の外側表面上に配置される、実施態様19に記載の医療用装置。
(26) 前記均一なコーティングが、約1.4μm〜約3.0μmの範囲の波長を有する赤外線放射を使用して、セ氏200度の温度で硬化されるように構成される、実施態様19に記載の医療用装置。
(27) 前記均一なコーティングが、約1秒〜約60秒の範囲の時間にわたって硬化されるように構成される、実施態様26に記載の医療用装置。
(28) 前記均一なコーティングが、約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって硬化されるように構成される、実施態様26に記載の医療用装置。
(29) 前記均一なコーティングは、熱対流炉内で約1時間から約5時間の範囲の時間にわたって、セ氏約60度〜セ氏約180度の範囲の温度で、前記本体の前記表面上で硬化されるように構成される、実施態様19に記載の医療用装置。
(30) 前記均一なコーティングは、熱対流炉内で約2.5時間から約3.5時間の範囲の時間にわたって、セ氏約100度〜セ氏約140度の範囲の温度で、前記本体の前記表面上で硬化されるように構成される、実施態様29に記載の医療用装置。
【0121】
(31) 医療用装置をコーティングするための方法であって、
セ氏約43度未満の沸点を有する溶媒を含む潤滑性シリコーンコーティングを提供することと、
前記潤滑性シリコーンコーティングを前記医療用装置に適用することと、
約1秒〜約60秒の範囲の時間にわたって、前記潤滑性シリコーンコーティングを硬化することとを含む、方法。
(32) 前記溶媒が約46.7kPa(350mm Hg)の蒸気圧を有する、実施態様31に記載の方法。
(33) 前記潤滑性シリコーンコーティングを硬化することが、約1.4μm〜約3.0μmの範囲の波長を有する赤外線放射を使用して、約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって、セ氏約200度の温度で前記コーティングを硬化することを含む、実施態様31に記載の方法。
(34) 前記潤滑性シリコーンコーティングが、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンの、単一で均一な層を含む、実施態様31に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用装置をコーティングするための方法であって、
医療用装置を提供することと、
前記医療用装置の表面の少なくとも一部に約1マイクロメートル〜約12マイクロメートルの範囲の厚さの均一なコーティングを適用することであって、前記均一なコーティングはビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含む、こととを含む、方法。
【請求項2】
前記医療用装置の表面に均一なコーティングを適用することが、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さのコーティングを適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医療用装置の前記表面がシリコーンを含むプライマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医療用装置が、タングステン合金、耐火合金、ステンレス鋼、ニチノール及びタンタルの1つから形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記医療用装置が、タングステン−レニウム合金から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記均一なコーティングを適用することは、前記均一なコーティングを、高蒸気圧低沸点溶媒で、前記医療用装置の前記表面に供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記高蒸気圧低沸点溶媒がハイドロフルオロエーテル溶媒である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記医療用装置を提供することが、組織貫通部分を有する細長い医療用装置を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記均一なコーティングを適用することは、前記均一なコーティングを前記医療用装置の前記表面上に噴霧することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記医療用装置の前記表面上の前記均一なコーティングを、約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって硬化させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
基材を含む、コーティングされた装置であって、
前記基材の少なくとも一部が、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含むコーティングでコーティングされる、コーティングされた装置。
【請求項12】
前記コーティングが、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する単一層の均一なコーティングである、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項13】
前記コーティングが、高蒸気圧低沸点溶媒で、前記基材に供給されるように構成される、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項14】
前記基材は、組織への前記基材の30回の通過にわたり、実質的に一定の貫通を呈する、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項15】
前記装置が、タングステン合金、耐火合金、ステンレス鋼、ニチノール及びタンタルの1つから形成される、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項16】
前記ビニル官能化オルガノポリシロキサンが、前記コーティングの約10重量%〜約90重量%の範囲にある、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項17】
前記ポリジメチルシロキサンが、前記コーティングの約10重量%〜約90重量%の範囲にある、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項18】
前記基材が医療用装置の表面である、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項19】
本体と、
前記本体の表面上に配置される潤滑性シリコーンを含む均一なコーティングとを含む、医療用装置であって、
前記本体は、組織への前記本体の30回の通過にわたり、実質的に一定の貫通を呈する、医療用装置。
【請求項20】
前記均一なコーティングが、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含む、請求項19に記載の医療用装置。
【請求項21】
前記均一なコーティングが、高蒸気圧低沸点溶媒で、前記本体の前記表面に供給される、請求項20に記載の医療用装置。
【請求項22】
前記均一なコーティングが、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項19に記載の医療用装置。
【請求項23】
前記本体が組織貫通部分を有する細長い本体を含む、請求項19に記載の医療用装置。
【請求項24】
前記医療用装置が複数の医療用構成要素を更に含み、前記本体は前記複数の医療用構成要素の1つである、請求項19に記載の医療用装置。
【請求項25】
前記均一なコーティングが前記本体の外側表面上に配置される、請求項19に記載の医療用装置。
【請求項1】
医療用装置をコーティングするための方法であって、
医療用装置を提供することと、
前記医療用装置の表面の少なくとも一部に約1マイクロメートル〜約12マイクロメートルの範囲の厚さの均一なコーティングを適用することであって、前記均一なコーティングはビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含む、こととを含む、方法。
【請求項2】
前記医療用装置の表面に均一なコーティングを適用することが、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さのコーティングを適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医療用装置の前記表面がシリコーンを含むプライマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医療用装置が、タングステン合金、耐火合金、ステンレス鋼、ニチノール及びタンタルの1つから形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記医療用装置が、タングステン−レニウム合金から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記均一なコーティングを適用することは、前記均一なコーティングを、高蒸気圧低沸点溶媒で、前記医療用装置の前記表面に供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記高蒸気圧低沸点溶媒がハイドロフルオロエーテル溶媒である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記医療用装置を提供することが、組織貫通部分を有する細長い医療用装置を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記均一なコーティングを適用することは、前記均一なコーティングを前記医療用装置の前記表面上に噴霧することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記医療用装置の前記表面上の前記均一なコーティングを、約10秒〜約30秒の範囲の時間にわたって硬化させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
基材を含む、コーティングされた装置であって、
前記基材の少なくとも一部が、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含むコーティングでコーティングされる、コーティングされた装置。
【請求項12】
前記コーティングが、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する単一層の均一なコーティングである、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項13】
前記コーティングが、高蒸気圧低沸点溶媒で、前記基材に供給されるように構成される、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項14】
前記基材は、組織への前記基材の30回の通過にわたり、実質的に一定の貫通を呈する、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項15】
前記装置が、タングステン合金、耐火合金、ステンレス鋼、ニチノール及びタンタルの1つから形成される、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項16】
前記ビニル官能化オルガノポリシロキサンが、前記コーティングの約10重量%〜約90重量%の範囲にある、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項17】
前記ポリジメチルシロキサンが、前記コーティングの約10重量%〜約90重量%の範囲にある、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項18】
前記基材が医療用装置の表面である、請求項11に記載のコーティングされた装置。
【請求項19】
本体と、
前記本体の表面上に配置される潤滑性シリコーンを含む均一なコーティングとを含む、医療用装置であって、
前記本体は、組織への前記本体の30回の通過にわたり、実質的に一定の貫通を呈する、医療用装置。
【請求項20】
前記均一なコーティングが、ビニル官能化オルガノポリシロキサン及びポリジメチルシロキサンを含む、請求項19に記載の医療用装置。
【請求項21】
前記均一なコーティングが、高蒸気圧低沸点溶媒で、前記本体の前記表面に供給される、請求項20に記載の医療用装置。
【請求項22】
前記均一なコーティングが、約1マイクロメートル〜約3.5マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項19に記載の医療用装置。
【請求項23】
前記本体が組織貫通部分を有する細長い本体を含む、請求項19に記載の医療用装置。
【請求項24】
前記医療用装置が複数の医療用構成要素を更に含み、前記本体は前記複数の医療用構成要素の1つである、請求項19に記載の医療用装置。
【請求項25】
前記均一なコーティングが前記本体の外側表面上に配置される、請求項19に記載の医療用装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2013−509951(P2013−509951A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537907(P2012−537907)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/053552
【国際公開番号】WO2011/056453
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/053552
【国際公開番号】WO2011/056453
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]