説明

外装用カートンおよびそれを用いた加熱調理方法

【課題】電子レンジで加熱調理時に包装袋から排出される蒸気を外方へ安定して排出し、かつ包装袋を安定して保持できる外装用カートンを提供することにある。
【解決手段】後面板、側面板、前面板、第二側面板からなる外層用カートンであって、前記前面板には、該前面板の中央部から一方側に片寄した周縁の一点から相対向する周縁の他点に延びるミシン目線が形成され、該ミシン目線は、中央部近傍が前面板の中央部方向へ凸状で、かつ側板面と第二側板面とを縦断してそれぞれを二分するように穿設され、前記後面板には、前記凸状と相対向した位置に、凸状の切込み部が第二ミシン目線により区画形成され、該第二ミシン目線の先端と末端が、それぞれ糊代片を二分する切込み線と側板面のミシン目線とを連結する縦方向の第二折り曲げ線(B)が形成されたブランクを、組み立てことを特徴とする外装用カートン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジなどで加熱調理する密封包装食品を収納するための外装用カートンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、調理済みあるいは半調理済みの食品などを積層包装材料からなる包装袋に充填密封し、食する直前に電子レンジで加熱調理するタイプの包装食品が多く販売されている。これらの包装食品の包装形態としては、種々あり、例えば前記食品を包装袋に充填密封しただけの包装形態、あるいは、前記食品を包装袋で密封したものを外装用カートンに収納した二重包装形態などがある。
【0003】
使用する包装袋には、電子レンジなどによる加熱調理時に、食品から発生する蒸気の内圧により、包装袋が破裂したり、内容物である食品が、こぼれたり、吹き出したりして包装袋外に飛散するのを防止するための提案がされている。例えば、包装袋の表面の上側の合掌シール部にイージーピールテープを挿入して、包装袋の内部圧が上昇するとイージーピールテープを介して合掌シール部が部分的に剥離し、蒸気抜きを行う提案、また袋の熱シール部の幅を狭くし、剥離し易いようにした提案などがある。
【0004】
最近、蒸気抜き機能を有した包装袋を外装用カートンに収容した二重包装形態のものを、そのまま電子レンジで加熱調理する商品が市販されている。
【0005】
通常使用されている外装用カートンは、その一例として図15,16に示すようなカートンが用いられている。
【0006】
図15は、通常の外装用カートン90の一例を示す後面板12側からの斜視説明図である。前面板16、および側面板14にはミシン目線Dが形成され、後面板12には横方向の折り曲げ線Aが形成されている。
【0007】
図16は、通常の外装用カートンが蓋体部1と本体部2とに二分する形で開口された状態の一例を示す斜視説明図である。即ち外装用カートンのミシン目線Dを破断して、開封し蓋体部1と本体部2とに二分し、蒸気抜き包装袋30が露出されている状態を示している。
【0008】
このような外装用カートンを用いて電子レンジで加熱調理した状態の一例を図17、図18に示す。
【0009】
図17は、図16の外装用カートンを電子レンジ内にセットした状態の一例を示す説明図である。蓋体部1と本体部2とが不安定な状態で自立している。
【0010】
図18は、図17の外装用カートンを電子レンジで加熱調理した状態の一例を示す説明図である。蓋体部1と本体部2が不安定な状態で自立しているために、加熱中の包装袋30の膨れや、電子レンジ内のターンテーブルの振動により位置ズレが生じるなどして閉蓋される場合がある。これは、蓋体部1が折り曲げられることによる紙の反発で元の状態に戻ろうとするために、図に示すように蓋体部1が位置ズレにより閉蓋しようとするものである。このような現象が起きると、包装袋30の蒸気抜き口から排出される蒸気が外方へ安定して排出されず、蒸気による火傷や、カートン内に蒸気が充満することでカートン自体が熱くなるという問題、また十分な傾斜が得られないことで蒸気抜き口を内容物が塞いでしまい、そのことにより包装袋が破袋したり、蒸気抜き口からの内容物の漏出による電子レンジ内の汚染という問題が起きる。
【0011】
このような問題を解決するために、提案がされている。
【0012】
例えば天部の所定の位置に二本のミシン目線と所定形状の切れ目を直線状に所定間隔で多数個配置してなる二本の切れ目線とが該ミシン目線同士および該切れ目線同士がそれぞれ相対するように閉じて連結されて設けられ、かつ天部の周縁の一点から一方のミシン目線の内側まで延びたあとに折り返し、周縁の他点に延びる凸状ミシン目線で区画された開封部を形成した外装用カートンの提案がある(特許文献1)。
【0013】
加熱により包装袋の内部圧が上昇して膨れると、その膨れの圧力で天部の切れ目線が切断され、上方向に天部(天面板)が持ち上がる形で開封されるものである。蒸気が開封部から抜けるが、外装用カートンから包装袋を取り出すのに手間が掛かることや火傷などの問題がある。
【0014】
また包装袋を一定の角度で傾斜して載置するために、外装箱上面を横断し、かつ、側面まで延びるミシン目線を設け、かつ下面の前記ミシン目線の横方向に延長する位置に折り曲げ線を設ける共に、該折り曲げ線と平行して折り曲げ線を設け、しかも前記平行な二本の折り曲げ線間にミシン目線を形成し、該ミシン目線を開封して、開口部を最高部位の高さに保つための蓋体部からなる保持部を設けた外装用カートンの提案がある(特許文献2)。
【0015】
この提案は包装袋の上端部にマイクロ波を吸収して発熱するマイクロ波発熱体を装着し、その部位に開口部を設けるものである。マイクロ波が阻害されず照射し易い位置にする提案である。包装袋の内部圧が上昇し、包装袋の位置がズレたり、電子レンジ内のターンテーブルの振動などで、カートンの蓋体部からなる保持部が不安定になり、蓋体部が開封部を閉鎖してしまう問題がある。包装袋が破裂して電子レンジ内部を汚染したり、また火傷などの問題がある。
【0016】
使用する外装用カートンにも、排出された蒸気を外方へ安定して排出し、電子レンジ内の汚染がない、安全に加熱調理できるような機能が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2007−290764号公報
【特許文献2】実用新案登録第2582713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記の背景技術を鑑みて、電子レンジで加熱調理時に包装袋から排出される蒸気を外方へ安定して排出し、かつ包装袋を安定して保持できる外装用カートンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明を完成した。
【0020】
本発明の請求項1に係る発明は、加熱調理時に内容物から発生する蒸気を抜く蒸気抜き部を有する包装袋を収容する外装用カートンにおいて、
糊代片、後面板、側面板、前面板、第二側面板が横方向の折り曲げ線を介して順次連接さ
れ、
後面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して後板縁片がそれぞれ連接され、側面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して折り込み片がそれぞれ連接され、
前面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して前板縁片がそれぞれ連接され、第二側面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して折り込み片がそれぞれ連接され、
たブランクを組み立てた外装用カートンであって、
前記前面板には、該前面板の中央部から一方側に片寄した周縁の一点から相対向する周縁の他点に延びるミシン目線が形成され、
該ミシン目線は、中央部近傍が前面板の中央部方向へ凸状で、かつ側板面と第二側板面とを縦断してそれぞれを二分するように穿設され、
前記後面板には、前記凸状と相対向した位置に、凸状の切込み部が第二ミシン目線により区画形成され、
該第二ミシン目線の先端と末端が、それぞれ糊代片を二分する切込み線と側板面のミシン目線とを連結する縦方向の第二折り曲げ線が形成されたブランクを、
横方向の折り曲げ線に沿って糊代片、後面板、前面板、第二側面板を順次折り曲げ、糊代片の表面と第二後面板の裏面を重ねて接着させ、扁平な筒状スリーブに組み立て、筒状スリーブの両端の開口部分を各縁片、折り込み片を順次折り曲げ接着させることにより閉鎖して組み立てたことを特徴とする外装用カートンである。
【0021】
本発明の請求項2に係る発明は、糊代片、後面板、側面板、前面板、第二側面板が横方向の折り曲げ線を介して順次連接され、
後面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して後板縁片がそれぞれ連接され、側面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して折り込み片がそれぞれ連接され、
前面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して前板縁片がそれぞれ連接され、第二側面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して折り込み片がそれぞれ連接され、
たブランクを組み立てた外装用カートンであって、
前記前面板の横方向の幅が、前記後面板の横方向の幅より狭く形成され、
前記前面板には、該前面板の中央部から一方側に片寄した周縁の一点から相対向する周縁の他点に延びるミシン目線が形成され、
該ミシン目線は、中央部近傍が前面板の中央部方向へ凸状で、かつ側板面と第二側板面とを縦断してそれぞれを二分するように穿設され、
前記後面板には、側面板のミシン目線と糊代片を二分する切込み線とを連結する縦方向の第三折り曲げ線が形成されたブランクを、
横方向の折り曲げ線に沿って糊代片、後面板、前面板、第二側面板を順次折り曲げ、糊代片の表面と第二後面板の裏面を重ねて接着させ、扁平な筒状スリーブに組み立て、筒状スリーブの両端の開口部分を各縁片、折り込み片を順次折り曲げ接着させることにより閉鎖して組み立てたことを特徴とする外装用カートンである。
【0022】
本発明の請求項3に係る発明は、前記前面板の横方向の幅が、前記後面板の横方向の幅より狭く形成されたことを特徴とする請求項1記載の外装用カートンである。
【0023】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の外装用カートンを用いたことを特徴とする加熱調理方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の請求項1によれば、前面板、側面板、第二側面板に形成したミシン目線は、外
装用カートンを開封するために用いられ、蓋体部と本体部とに二分するためのものである。特に前面板の中央から一方に片寄せした位置に形成することは、片寄せた領域を開封後に蓋体部にするためである。
【0025】
蓋体部をより良く開封させるために、前面板のミシン目線を側面板、第二側面板にも連結し縦断する。開封した蓋体部が第二折り曲げ線を支軸として折り曲げられ、本体部を支える保持部として作用し、包装袋の上部にある蒸気抜き口を上方向に載置させることで、包装袋から発生する蒸気を外方へ安定して排出するようにしたものである。
【0026】
後面板には、前面板の凸状と相対向した位置に、凸状の切込み部が第二ミシン目線により区画形成され、該第二ミシン目線の先端と末端からそれぞれ糊代片を二分する切込み線と側板面のミシン目線とを連結する縦方向の第二折り曲げ線が形成されている。該切込み部は、蓋体部が折り曲げられた時に、本体部の内部方向に突き出し、外装用カートンに収容された包装袋に接触することにより、包装袋の傾斜を維持すると共に位置ズレを防止することができる。また包装袋の内部圧の上昇による膨れやターンテーブルの振動などが原因で起きる蓋体部や本体部の位置ズレも防止することができる。
【0027】
更に詳しく説明する。電子レンジで加熱調理する際に、カートンを開封して、蓋体部を後面板の第二折り曲げ線を支軸にして折り曲げ、くの字状に屈曲し、谷折りさせ、内容物である包装袋を露出させる。曲げられた蓋体部を形成する後面板の凸状の切込み部は、カートン内部方向へ自動的に突き出し、包装袋と接触し包装袋を保持する力になる。例えば加熱調理時に包装袋が膨張して位置ズレしたり、ターンテーブルによる振動で所定の位置から包装袋がズレたりするのを防ぐことができる。また包装袋を保持する力で蓋体部と本体部の位置ズレを防ぐことができる。よって蒸気による火傷や、電子レンジ内を汚染することがない自立性に優れた外装用カートンして使用することができる。
【0028】
本発明の請求項2によれば、前面板の横方向の幅が後面板の横方向の幅より狭く形成されていることで蓋体部の天部に傾斜を持たせることができる。即ち後面板側から前面板側に下方向に傾斜させた天部を有した蓋体部を、後面板の折り曲げ線を支軸にして折り曲げ、くの字状に屈曲し、谷折りさせ、蓋体部を前のめりに自立させることにより、外装用カートンの自立性を高めたものである。折り曲げられた蓋体部が、折り曲げられた反発で元の位置に戻ろうとする力にも勝り、蓋体部の戻りを防ぐことができる。よって、蒸気による火傷や、電子レンジ内を汚染することがない自立性に優れた外装用カートンとして使用できる。
【0029】
本発明の請求項3によれば、前記前面板の横方向の幅が、後面板の横方向の幅より狭く形成されたことを特徴とする請求項1記載の外装用カートンである。蓋体部の天部を後面板側から前面板側に下方向に傾斜させ、かつ後面板に折込み部を形成したことで、加熱調理中での包装袋を保持し、かつ蓋体部や本体部の位置ズレを防ぐ自立性に優れた外装用カートンとして使用できる。
【0030】
本発明の請求項4によれば、請求項1〜3の何れか1項に記載の外装用カートンを用いたことを特徴とする加熱調理方法である。露出した包装袋を安定した状態で加熱調理できる。加熱調理中での包装袋の膨れや、ターンテーブルの回転による振動などが原因で起きる蓋体部および本体部の位置ズレを防止する外装用カートンである。該包装袋の蒸気抜き口から排出される蒸気を外方へ安定して排出するために火傷などの問題がない。また内容物の突沸により漏れで電子レンジ内を汚染する問題がない。加熱調理中でも包装袋を安定して保持できる外装用カートンである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】請求項1記載の外装用カートンの組み立て前のブランク8の一例を示す平面展開説明図である。
【図2】図1記載のブランク8を組み立て、包装袋が収容された外装用カートンの一例を示す前面板側からの斜視説明図である。
【図3】図2の外装用カートンの後面板側からの斜視説明図である。
【図4】図2の外装用カートンを本体部と蓋体部とに二分した状態を示す斜視説明図である。
【図5】図4の外装用カートンを電子レンジでセットした状態の一例を示す斜視説明図である。
【図6】図5の外装用カートンを電子レンジで加熱調理した状態の一例を示す斜視説明図である。
【図7】請求項2記載の外装用カートンの組み立て前のブランク9の一例を示す平面展開説明図である。
【図8】図7のブランク9を組み立て、包装袋が収容された外装用カートンの一例を示す前面板側からの斜視説明図である。
【図9】図8の外装用カートンの後面板側からの斜視説明図である。
【図10】図8の蓋体部の一例を示す断面説明図である。
【図11】図8の外装用カートンを電子レンジでセットした状態の一例を示す説明図である。
【図12】図11の外装用カートンを電子レンジで加熱調理した状態の一例を示す説明図である。
【図13】請求項3記載の外装用カートンの組み立て前のブランク10の一例を示す平面展開説明図である。
【図14】図13のブランク10を組み立て、包装袋を収容した外装用カートンを電子レンジで加熱した状態の一例を示す説明図である。
【図15】通常の外装用カートンの一例を示す後面板側からの斜視説明図である。
【図16】図15外装用カートンの蓋体部と本体部とに分かれた状態の一例を示す斜視説明図である。
【図17】図16の外装用カートンを電子レンジでセットした状態の一例を示す斜視図である。
【図18】図17の外装用カートンを電子レンジで加熱調理した状態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための形態につき説明する。
【0033】
図1は、請求項1記載の外装用カートン60の組み立て前のブランク8の一例を示す展開説明図である。糊代片11、後面板12、側面板14、前面板16、第二側面板18が横方向の折り曲げ線Aを介して順次連接され、
後面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線A´を介して後板縁片13がそれぞれ連接され、
側面板14の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線A´を介して折り込み片15がそれぞれ連接され、
前面板16の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線A´を介して前板縁片17がそれぞれ連接され、
第二側面板18の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線A´を介して折り込み片15がそれぞれ連接されている。
前面板16には、一方側に片寄した周縁の一点から相対向する周縁の他点に延びるミシン目線Dが形成され、該ミシン目線Dは、中央部近傍が前面板の中央部方向へ凸状19で、かつ側板面14と第二側板面18とを縦断してそれぞれを二分するように穿設されている
。このミシン目線Dにより蓋体部1と本体部2とに二分される。後面板には、前面板の凸状19と相対向した位置に、凸状の切込み部20が第二ミシン目線D´により区画形成され、該第二ミシン目線D´の先端と末端からそれぞれ糊代片11の切込み線Eと側板面14のミシン目線Dとを連結するように縦方向の第二折り曲げ線Bが形成されている。
【0034】
横方向の折り曲げ線Aに沿って糊代片11、後面板12、側面板14、前面板16、第二側面板18を順次折り曲げ、糊代片11の表面と第二後面板18の裏面を重ねて接着させ、扁平な筒状スリーブに組み立て、その後蒸気抜き包装袋を収容し、筒状スリーブの両端の開口部分を各縁片、折り込み片を順次折り曲げ接着させることにより閉鎖して組み立てることにより、図2、3に示すような蒸気抜き包装袋が収容された外装用カートンができる。
【0035】
図2は、図1記載のブランク8を組み立て、包装袋30が収容された外装用カートン60の一例を示す前面板16側からの斜視説明図である。前面板16には、天部3側に片寄した周縁の一点から相対向する周縁の他点に延びるミシン目線Dが形成され、該ミシン目線Dは、中央部近傍が中央部方向へ凸状19であり、かつ側板面14と第二側板面18とを縦断してそれぞれを二分するように穿設されている。このミシン目線Dを開封することにより蓋体部1と本体部2とに二分される。
【0036】
図3は、図2の外装用カートンの後面板12側からの斜視説明図である。後面板12には、前面板16に形成されたと凸状19と相対向した位置に、凸状の切込み部20が第二ミシン目線D´により区画形成され、該第二ミシン目線D´の先端と末端からそれぞれ糊代片11の切込み線Eと側板面14のミシン目線Dに連結するように縦方向の第二折り曲げ線Bが形成されている。
【0037】
図4は、図2の外装用カートンを本体部と蓋体部とに二分した状態を示す斜視説明図である。外装用カートンには、蒸気抜き包装袋30が収容されている。前面板16に形成された凸状のミシン目線Dを押込み破断した後、側面板14、第二側面板18のミシン目線Dを破断し、後面板12の第二折り曲げ線Bを支軸にして後面板12方向に折り曲げ、蓋体部1と本体部2とに二分した状態を示している。このときに切込み部20が本体部の内部方向へ突き出し、蒸気抜き包装袋30の下面側に接触し、包装袋30を保持する。
【0038】
図5は、図4の外装用カートンを電子レンジでセットした状態の一例を示す斜視説明図である。電子レンジで加熱調理される前のターンテーブル40に載置された状態を示している。蒸気抜き包装袋30に接触する切込み部20は、包装袋30の下面側から接触し、保持および包装袋30の傾斜を維持すると共に、包装袋の位置ズレも防ぐことができる。
【0039】
図6は、図5の外装用カートンを電子レンジで加熱調理した状態の一例を示す斜視説明図である。加熱により包装袋が膨れることで、切込み部20が、更に密接に蒸気抜き包装袋30に接触することから、電子レンジで加熱調理中での、包装袋30の内部圧の上昇による包装袋の膨れや、ターンテーブル40の回転による振動などが原因で起きる包装袋30の位置ズレを防止することができる。また保持する力により蓋体部1、本体部2の位置ズレも防止することができる。
【0040】
図7は、請求項2記載の外装用カートン70の組み立て前のブランク9の一例を示す平面展開説明図である。前面板16の横方向の幅が後面板12の横方向の幅より狭く形成されている。また後面板12には、側面板14に形成されたミシン目線Dと、糊代片に形成された切込み線Eとを連結した縦方向の第三折り曲げ線Cが形成されている。
【0041】
横方向の折り曲げ線Aに沿って糊代片11、後面板12、側面板14、前面板16、第
二側面板18を順次折り曲げ、糊代片11の表面と第二後面板18の裏面を重ねて接着させ、扁平な筒状スリーブに組み立て、その後蒸気抜き包装袋を収容し、筒状スリーブの両端の開口部分を各縁片、折り込み片を順次折り曲げ接着させることにより閉鎖して組み立てる。図8,図9に示すような蒸気抜き包装袋30が収容された外装用カートン70ができる。
【0042】
図8は、図7のブランク9を組み立て、包装袋30が収容された外装用カートン70の一例を示す前面板16側からの斜視説明図である。前面板16の横方向の幅が、後面板12の横方向の幅より狭く形成されている。これにより蓋体部1の天部3が後面板12側から前面板16側に下方向に傾斜された状態になる。また前面板16の中央部から一方側に片寄した周縁の一点から相対向する周縁の他点に延びるミシン目線Dが形成され、該ミシン目線Dは、中央部近傍が前面板の中央部方向へ凸状16であり、かつ側板面14と第二側板面18とを縦断してそれぞれを二分するように穿設されている。このミシン目線Dにより蓋体部1と本体部2とに二分することができる。
【0043】
図9は、図8の外装用カートンの後面板12側からの斜視説明図である。後面板12には、側面板14のミシン目線Dと糊代片11の切込み線Eを縦方向の第三折り曲げ線Cで連結している。
【0044】
図10は、図8の蓋体部1の一例を示す断面説明図である。後面板12と前面板16から形成される天部3の傾斜角度bが90°以下になるように形成する。これは図7に示すブランク9で、前面板16の横方向の幅が後面板12の横方向の幅より狭く形成することにより作成することができる。図10に示す天部の傾斜角度aは、90°−角度bになる。
【0045】
図11は、図8の外装用カートンを電子レンジでセットした状態の一例を示す説明図である。蓋体部1と本体部2とに二分したのち、電子レンジ内のターンテーブル40に載置した状態である。このときに蓋体部1の天部3が傾斜されているために、ターンテーブル40の平面に置かれた状態は、図11に示すように前のめりの状態で自立する。図10に示すように、傾斜角度bは、90°よりも小さくなり、また後面板12とターンテーブル40との角度cは逆に90°以上になる。よって図11に示すように、蓋体部1が前のめり状態で自立する。蓋体部1の位置ズレを防止することができる。特に傾斜角度bを90°以下にすることにより、蓋体部1の位置ズレ、本体部2の位置ズレを防止することができる。
【0046】
また蓋体部1、本体部2の位置ズレを防止する傾斜角度bは、小さいほど効果があるが、78°〜87°が好ましい。ターンテーブルへの載置性、また加熱時で自立性や製函適正などから好ましい。
【0047】
図12は、図11の外装用カートンを電子レンジで加熱した状態の一例を示す説明図である。蓋体部1が安定して自立するために、電子レンジで加熱調理時の包装袋の膨れや、ターンテーブルの回転による振動などが原因で起きる蓋体部1および本体部2の位置ズレを防止することができる。
【0048】
図13は、請求項3記載の外装用カートンの組み立て前のブランク10の一例を示す平面展開説明図である。図1に示すブランク8の中で、前面板16の横方向の幅が、後面板12の横方向の幅より狭く形成されている。
【0049】
図14は、図13のブランクを組み立て、包装袋を収容した外装用カートン80を電子レンジで加熱調理した状態の一例を示す説明図である。折り曲げられた蓋体部1が本体部
2を保持し、かつ後面板16に形成した切込み部20が包装袋30を保持する。加熱調理中での包装袋30を保持し、蓋体部1および本体部2の位置ズレが起きない自立性を優れた外装用カートン80である。
【0050】
更に本発明を詳しく説明する。
【0051】
ブランク8,9,10は、筒状のスリーブに組み立てられる。代表例として、図1に示すブランク8にて説明する。組み立てる手順としては、横方向の折り曲げ線Aに沿って糊代片11、後面板12、側面板14、前面板16、第二側面板18を順次折り曲げ、糊代片11の表面を第二側面板18の裏面に重ねて接着させ、扁平な筒状スリーブに組み立てる。この作業は、サックマシーンと称する一般的に公知の糊付け機を使用することができる。ブランク9、10も同様に行うことができる。
【0052】
次に必要に応じて筒状スリーブを起こして、例えば、レトルト食品を収納した蒸気抜き包装袋30をスリーブ内部に挿入しながら、両端の開口部分を各縁片、折り込み片を順次折り曲げ、適宜な接着剤などを用いて接着させ閉鎖して組み立てることができる。蒸気抜き包装袋を収容した外装用カートン60ができる。
【0053】
組み立てた外装用カートンを、前面板16に形成された凸状19のミシン目線Dの部分を押込み破断させ、その後ミシン目線Dに沿って破断し、蓋体部1を後面板12の第二折り曲げ線Bを支軸に折り曲げ、谷折りさせ、蓋体部1と本体部2とに二分させる。蓋体部1と本体部2は、第二折り曲げ線Bを介して連結されている。
【0054】
この時に後面板に形成した凸状の折込み部20は、スリーブ内部方向に突き出し、包装袋30の下面側に接触する。包装袋30を安定して保持できる。電子レンジにて安定して加熱調理することができる。
【0055】
ブランク9は、ブランク8と同様に組み立てを行い、外装用カートン70を作成する。前面板16に形成された凸状19の部分を押込み破断させ、その後ミシン目線Dに沿って破断し、蓋体部1を後面板12の第三折り曲げ線Cを支軸に折り曲げ、谷折りさせ、蓋体部1と本体部2とに二分させる。蓋体部1の天部3が傾斜されているために、電子レンジ内のターンテーブル40に載置される場合は、蓋体部1が前のめり状態で自立し、蓋体部1、本体部2の位置ズレを防止することができる。
【0056】
ブランク10の場合も、ブランク8と同様に行うことでき、包装袋30、蓋体部1、本体部2の位置ズレを防止することができる。
【0057】
本発明の外装用カートンに用いる紙層としては、坪量250〜500g/mの板紙が使用できる。コートボール、カード紙などの板紙、またダンボール紙なども使用できる。
【0058】
また紙層の表面に絵柄、文字表現などの印刷を行うことができる。印刷には、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、インクジェット印刷など、通常使用される印刷方式が可能である。
【0059】
ブランクに形成する折り曲げ線、第二折り曲げ線、第三折り曲げ線は、一般的に公知の罫線を入れる方法で可能である。また折り曲げがし易くするために、切れ線を含んだリード罫線などを用いてよい。特に第三折り曲げ線は、リード罫線が好ましい。またミシン目線、第二ミシン目線も公知のミシン刃を用いて、一般的に公知の方法で形成することができる。
【0060】
本発明の外装用カートンは、電子レンジで加熱調理時に包装袋から排出される蒸気を上方向に排出し、また包装袋の膨れや、ターンテーブル40の回転による振動などが原因で起きる包装袋の位置ズレ、および蓋体部、本体部の位置ズレを防止することができる。よって火傷の問題がなく、安全に富んだ外装用カートンを提供できる。
【符号の説明】
【0061】
1 蓋体部
2 本体部
3 天部
8 請求項1記載のブランク
9 請求項2記載のブランク
10 請求項3記載のブランク
11 糊代片
12 後面板
13 後板縁片
14 側面板
15 折り込み片
16 前面板
17 前板縁片
18 第二側面板
19 凸状
20 切込み部
30 蒸気抜き包装袋
40 ターンテーブル
50 蒸気
60 請求項1記載の外装用カートン
70 請求項2記載の外装用カートン
80 請求項3記載の外装用カートン
90 通常の外装用カートン
A 折り曲げ線(横方向)
A´ 折り曲げ線(縦方向)
B 第二折り曲げ線(縦方向)
C 第三折り曲げ線(縦方向)
D ミシン目線
D´ 第二ミシン目線
E 切込み線
a 傾斜角度(天部)
b 傾斜角度(後面板と後板縁片との角度)
c 傾斜角度(後面板とターンテーブルとの角度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理時に内容物から発生する蒸気を抜く蒸気抜き部を有する包装袋を収容する外装用カートンにおいて、
糊代片、後面板、側面板、前面板、第二側面板が横方向の折り曲げ線を介して順次連接され、
後面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して後板縁片がそれぞれ連接され、側面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して折り込み片がそれぞれ連接され、
前面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して前板縁片がそれぞれ連接され、第二側面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して折り込み片がそれぞれ連接され、
たブランクを組み立てた外装用カートンであって、
前記前面板には、該前面板の中央部から一方側に片寄した周縁の一点から相対向する周縁の他点に延びるミシン目線が形成され、
該ミシン目線は、中央部近傍が前面板の中央部方向へ凸状で、かつ側板面と第二側板面とを縦断してそれぞれを二分するように穿設され、
前記後面板には、前記凸状と相対向した位置に、凸状の切込み部が第二ミシン目線により区画形成され、
該第二ミシン目線の先端と末端が、それぞれ糊代片を二分する切込み線と側板面のミシン目線とを連結する縦方向の第二折り曲げ線が形成されたブランクを、
横方向の折り曲げ線に沿って糊代片、後面板、前面板、第二側面板を順次折り曲げ、糊代片の表面と第二後面板の裏面を重ねて接着させ、扁平な筒状スリーブに組み立て、筒状スリーブの両端の開口部分を各縁片、折り込み片を順次折り曲げ接着させることにより閉鎖して組み立てたことを特徴とする外装用カートン。
【請求項2】
糊代片、後面板、側面板、前面板、第二側面板が横方向の折り曲げ線を介して順次連接され、
後面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して後板縁片がそれぞれ連接され、側面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して折り込み片がそれぞれ連接され、
前面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して前板縁片がそれぞれ連接され、第二側面板の横方向の両端縁には縦方向の折り曲げ線を介して折り込み片がそれぞれ連接され、
たブランクを組み立てた外装用カートンであって、
前記前面板の横方向の幅が、前記後面板の横方向の幅より狭く形成され、
前記前面板には、該前面板の中央部から一方側に片寄した周縁の一点から相対向する周縁の他点に延びるミシン目線が形成され、
該ミシン目線は、中央部近傍が前面板の中央部方向へ凸状で、かつ側板面と第二側板面とを縦断してそれぞれを二分するように穿設され、
前記後面板には、側面板のミシン目線と糊代片を二分する切込み線とを連結する縦方向の第三折り曲げ線が形成されたブランクを、
横方向の折り曲げ線に沿って糊代片、後面板、前面板、第二側面板を順次折り曲げ、糊代片の表面と第二後面板の裏面を重ねて接着させ、扁平な筒状スリーブに組み立て、筒状スリーブの両端の開口部分を各縁片、折り込み片を順次折り曲げ接着させることにより閉鎖して組み立てたことを特徴とする外装用カートン。
【請求項3】
前記前面板の横方向の幅が、前記後面板の横方向の幅より狭く形成されたことを特徴とする請求項1記載の外装用カートン。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の外装用カートンを用いたことを特徴とする加熱調理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−47107(P2013−47107A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185797(P2011−185797)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】