説明

外観投影装置を用いてロボットの動作を決定するロボットシステム

【課題】ワークの位相を容易に検出して、ワークの位相を補正する。
【解決手段】ロボットシステムは、周方向に延びる側面を有する被検出物(4)を把持する把持機構を備えたロボット(1)と、被検出物をその中心軸線の方向に挿入可能な開口部(7)、および被検出物を挿入する挿入方向において開口部から半径方向外側に向かって広がる鏡面加工された湾曲した内面(8)を含む外観投影装置(5)と、被検出物が開口部に挿入されたときに湾曲した内面に投影された被検出物の像を撮像する撮像装置(12)と、撮像装置により撮像された被検出物の像を画像処理して、被検出物の側面に備えられた位相特徴部(6)を検出するか、または被検出物の側面を検査する画像処理部(21)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観投影装置を用いてロボットの動作を決定するロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットが円柱形状ワークを移動する作業を行う場合には、ロボットのハンドは円柱形状ワークを適切に把持する必要がある。特に円柱形状ワークがその側面または周面に位相特徴部を備えている場合には、外観投影装置によって位相特徴部の位置を検出し、特徴部の位置に応じて円柱形状ワークの位相を補正する必要がある。
【0003】
位相特徴部を検出するために、撮像装置を円柱形状ワークの側面に対して垂直な位置に設置し、円柱形状ワークの周面を撮像することが提案される。しかしながら、この場合には、位相特徴部が検出されるまで、円柱形状ワークをその中心軸線回りに回転させて撮像を繰返す動作を行う必要がある。従って、このような動作を行うと、サイクルタイムが増加する。
【0004】
また、位相特徴部の検出精度は円柱形状ワークの回転量に応じて定まる。従って、位相特徴部を検出するために円柱形状ワークの回転量が大きかった場合には、円柱形状ワークの位相を補正するときの精度も低下する可能性がある。
【0005】
このような不具合を解消するために、引用文献1には、円柱形状ワークに対して同心に配置された円錐状の鏡面を備えた外観検査装置が開示されている。この場合には、円柱形状ワークの周面全体が円錐状の鏡面に投影されるので、鏡面を撮像した画像に基づいて、円柱形状ワークの周面全体を短時間で検査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2726808号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、引用文献1では、ロボットに把持された円柱形状ワークを外観検査装置内に仮置きし、外観検査後にロボットが円柱形状ワークを再び把持して取出している。そのような場合には、円柱形状ワークに対するロボットの把持ズレが発生する可能性がある。また、円柱形状ワークを仮置きする場合には、処理に時間がかかる上に、ロボットのプログラムも複雑になりうる。
【0008】
さらに、引用文献1では、円柱形状ワークの周面の外観検査を行っているにすぎず、円柱形状ワークの側面に備えられた位相特徴部を検出しているわけではない。そして、引用文献1の外観検査装置により位相特徴部が検出できたとしても、引用文献1には、特徴部の位置に応じてロボットの動作を補正することまでは開示されていない。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、把持ズレが発生することなしに、円柱形状ワークの位相特徴部を容易に検出して、円柱形状ワークの位相を補正することのできるロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、周方向に延びる側面を有する被検出物を把持する把持機構を備えたロボットと、前記被検出物をその中心軸線の方向に挿入可能な開口部、および前記被検出物を挿入する挿入方向において前記開口部から半径方向外側に向かって広がる鏡面加工された湾曲した内面を含む外観投影装置と、前記被検出物が前記開口部に挿入されたときに前記湾曲した内面に投影された前記被検出物の像を撮像する撮像装置と、前記撮像装置により撮像された前記被検出物の像を画像処理して、前記被検出物の側面に備えられた位相特徴部を検出するか、または前記被検出物の側面を検査する画像処理部とを具備する、ロボットシステムが提供される。
【0011】
2番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、前記画像処理部により検出された前記被検出物の前記位相特徴部が所定の向きになるような前記ロボットの補正動作を算出する算出部を具備する。
【0012】
3番目の発明によれば、1番目の発明において、前記画像処理部により検出された前記位相特徴部の位置、または前記被検出物の側面の検査の結果に基づいて、前記ロボットの次の動作を決定するようにした。
【0013】
4番目の発明によれば、1番目の発明において、前記外観投影装置の前記開口部とは反対側の端部に設けられた透明の板をさらに具備する。
【0014】
5番目の発明によれば、1番目の発明において、前記撮像装置に光を直接照射することなしに、前記被検出物の側面に光を照射する照明装置をさらに具備する。
【0015】
6番目の発明によれば、1番目の発明において、前記被検出物が円柱形状、円錐形状、円筒形状、楕円柱形状、多角柱形状または多角錘形状である。
【0016】
7番目の発明によれば、1番目の発明において、前記被検出物の側面に備えられた位相特徴部は、突起、凹部、変形部、模様、傷のうちの少なくとも一つである。
【発明の効果】
【0017】
1番目の発明においては、被検出物を把持したまま位相特徴部の検出または被検出物の側面の検査ができるので、被検出物を仮置きする必要が無く、また、把持ズレも発生しない。さらに、仮置きするのに必要な時間および手間を省略できるので、サイクルタイムの短縮を図ることもできる。さらに、仮置きのためのテーブルなどが必要でないので、ロボットシステムの構成を小型にできる。
【0018】
2番目の発明においては、被検出物の位相を容易かつ効率的に検出して、ロボットにより被検出物の位相を容易に補正できる。
【0019】
3番目の発明においては、位相特徴部の位置および被検出物の側面の検査に基づいてロボット適用範囲を広められる。
【0020】
4番目の発明においては、外観投影装置に異物が進入するのを防止すると共に、外観投影装置の内面に汚れが付着するのを防止する。また、内面に傷が付くことを防止する。このため、被検出物の検出を安定して行うことができる。
【0021】
5番目の発明においては、照明装置により被検出物を安定して検出できる。
【0022】
6番目および7番目の発明においては、種々の形状の被検出物または位相特徴部に本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一の実施形態に基づくロボットシステムの略図である。
【図2】撮像装置を通じて撮像した画像を示す図である。
【図3】本発明に基づくロボットシステムの動作を示す図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に基づくロボットシステムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1は本発明の第一の実施形態に基づくロボットシステムの略図である。図1に示されるように、ロボット1が台座などに固定されている。このロボット1はワーク4を把持するための把持機構2(ハンド)を備えている。ロボット1が把持機構2を備えている限りにおいては、ロボット1は垂直多関節ロボット、または他の構成のロボットであってもよい。
【0025】
図1に示されるワーク4は円柱形状ワークであり、中心軸線周りにおいて周方向に延びる一つまたは複数の側面を有している。ワーク4は周方向に延びる側面を有していればよく、ワーク4が他の形状、例えば円錐形状、円筒形状、楕円柱形状、多角柱形状または多角錘形状であってもよい。
【0026】
さらに、ワーク4はその側面に、少なくとも一つの位相特徴部6を備えている。位相特徴部6はワーク4の中心軸線回りの回転角度を示す指標である。位相特徴部6は、突起、凹部、変形部、模様または傷であり、これらのうちのいくつかを適宜組み合わせることにより、位相特徴部6を構成してもよい。
【0027】
図1に示されるように、ロボット1の動作範囲内には、ワーク4を収容する収容部16と、ワーク4に取付けられるべき治具17とが配置されている。収容部16は上方が開放した箱形部材であり、複数のワーク4が縦方向に自立するように挿入されている。ただし、収容部16内においては、ワーク4の位相(ワーク4の中心軸線回りの回転角度)は把握されていないものとする。つまり、ワーク4は縦方向に配置されているものの、その中心軸線回りの回転角度は不定であるものとする。なお、後述するように位相が補正されたワーク4は所定の向きで治具17に取付けられる。
【0028】
図1に示されるように、外観投影装置5は、ロボット1の動作範囲内に配置されている。外観投影装置5の一面には、ワーク4をその長手方向に挿入させられる開口部7が形成されている。図1における参照符号3はワーク4の挿入方向を示している。
【0029】
図1から分かるように、開口部7は、半径方向外側に広がる外観投影装置5の内面8に連通している。図1に示される外観投影装置5の内面8は円錐台形状であり、鏡面加工されている。ただし、外観投影装置5の内面8は、ワーク4の側面を投影できる限りにおいては、他の湾曲した形状、例えば多角錘形状、放物面形状または双曲面形状であってもよい。
【0030】
また、図1においてはワーク4の挿入方向に対する内面8の傾斜角度は一定であるが、ワーク4の形状に応じてこの傾斜角度を変更してもよい。そのような場合には、傾斜角度を変更する機構(図示しない)を配置して、ワーク4の形状に応じて傾斜角度を変更するのが好ましい。さらに、図1に示されるように、開口部7と内面8の間に比較的短い通路が形成されていてもよい。この通路7aはワーク4の寸法、特にワーク4の一端から位相特徴部6までの長さに応じて定まる。
【0031】
また、外観投影装置5の他面には、透明の板9が取付けられている。この透明の板9は、外観投影装置5の内部に異物が進入するのを防止すると共に、外観投影装置5の内面8に汚れが付着するのを防止し、また内面に傷が付くことを防止する役目を果たす。
【0032】
図1に示されるように、外観投影装置5の他面側においては、撮像装置12が配置されている。撮像装置12は例えばCCDカメラであり、開口部7の略中心軸線上に位置している。また、より明確な像を撮像する目的で、複数の照明装置11が撮像装置12の周りに配置されている。これら照明装置11は、その光が撮像装置12に直接入らないように配置されている。また、図に示される参照符号14は撮像装置により撮像される像の光路を示している。
【0033】
図1における外観投影装置5はロボット1の設置面に対して垂直に配置されている。しかしながら、撮像装置12の中心軸線と外観投影装置5の中心軸線とワーク4の中心軸線とが同一である限りにおいては、外観投影装置5はロボット1の設置面に対して垂直以外の角度で配置されていてもよい。
【0034】
図1から分かるように、ロボット1および撮像装置12は制御装置20に接続されている。制御装置20はデジタルコンピュータであり、図示されるロボットシステム全体を制御する。制御装置20は、撮像装置12により撮像されたワーク4の像を画像処理して、位相特徴部6を検出するか、またはワーク4の側面を検査する画像処理部21を含んでいる。なお、この画像処理部21は制御装置20に接続された外部装置の形態であってもよい。さらに、制御装置20は、画像処理部21により検出された位相特徴部6が所定の向きになるようなロボット1の補正動作を算出する算出部22も含んでいる。さらに、制御装置20は各種データを記憶する記憶部23を含んでいる。
【0035】
図2は撮像装置を通じて撮像した画像を示す図である。前述したように、撮像装置12は開口部7の概ね中心軸線上に配置されているので、撮像装置12より撮像される画像30は、外観投影装置5の内面8の像と開口部7に挿入されたワーク4の像との両方を含んでいる。
【0036】
具体的には、図2に示される画像30における中心部分36がワーク4の端面に相当する。そして、中心部分36周りに広がる円31は外観投影装置5の開口部7の外形を示している。さらに、円31と円32とに囲まれた領域は、外観投影装置5の内面8に相当する。さらに、円31と円33とに囲まれた領域は、内面8に投影されたワーク4の像を示している。なお、図2における部分34は、内面8に投影された位相特徴部6を示す。さらに、円35は外観投影装置5の外形に相当する。
【0037】
ロボットシステムの立上げ時には、検出されるべきワーク4のモデルパターンを画像30を用いて予め制御装置20の記憶部23に教示しておく。具体的には、ロボット1とは反対側に位置するワーク4の端面の輪郭(図2に示される中心部分36)のモデルパターンを記憶部に教示させる。このワーク4の端面を検出できる場合には、ワーク4が外観投影装置5の開口部7に挿入されていることを判断することも可能である。
【0038】
さらに、外観投影装置5の内面8に投影された位相特徴部6に相当する部分34もモデルパターンとして記憶部23に教示する。ワーク4はその中心軸線回りに回転対称であるので、位相特徴部6に相当する部分34の画像30上における位置が確認されると、モデルパターンとの比較を通じてワーク4の位相を検出することができる。
【0039】
モデルパターンの教示が終了すると、モデルパターンの検出位置を基準位置として記憶部23に記憶する。その後、記憶された基準位置に基づいてロボット1の動作指令を作成する。そして、次にワーク4を検出したときのワーク4の位置と基準位置との間の偏差を求め、その差分が無くなるようにロボット1の動作を補正するようにする。
【0040】
図3は本発明に基づくロボットシステムの動作を示す図である。図3に示される動作のためのプログラムは制御装置20の記憶部(図示しない)に記憶されているものとする。以下、図3および前述した内容に基づいて、本発明のロボットシステムの動作について説明する。
【0041】
はじめに、図3のステップS101において、ロボット1の把持機構2が一つのワーク4の基端を把持して収容部16から取出す。なお、ロボット1は別の治具(図示しない)に取付けられたワーク4を把持したり、コンベア(図示しない)で搬送されるワーク4を把持するようにしてもよい。そのような場合であっても、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0042】
次いで、ステップS102において、ロボット1を動作させて、ワーク4の先端を外観投影装置5の開口部7に挿入する。本発明では、ロボット1の近位側に位置する外観投影装置5の開口部7からワーク4を挿入しているので、ロボット1および把持機構2が外観投影装置5の内面8と撮像装置12との間に位置しないことになる。従って、撮像装置12により撮像される画像30には、ロボット1および把持機構2は含まれない。以下の動作は、ロボット1の把持機構2がワーク4を把持したまま行うものとする。
【0043】
ワーク4の先端を外観投影装置5の内面8の領域まで到達させると、ワーク4の側面が内面8に投影されるようになる(ステップS103)。内面8に投影された像は光路14を通って撮像装置12に入力される。ステップS104においては、撮像装置12により内面8を撮像し、それにより、図2に示されるような画像30が得られるようになる。
【0044】
なお、ステップS104においては、照明装置11を点灯するのが好ましく、それにより、より鮮明な画像30が得られるのが分かるであろう。ただし、十分な光量が得られている場合には、照明装置11を点灯しなくてもよい。
【0045】
その後、ステップS105において制御装置20の画像処理部21が画像30を画像処理し、画像30からワーク4の位相特徴部6の位相(位置)を検出する。次いで、ステップS106において、算出部22が、検出された位相特徴部6の位相と、記憶部23に記憶された基準位置との間の偏差を用いて、位相特徴部6が所定の向きになるようなロボット1の補正動作を算出する。例えば補正動作は、検出された位相特徴部6の位相と、記憶部23に記憶された基準位置との間の偏差がゼロになるような動作である。
【0046】
なお、ワーク4の位相の補正することに加えて、画像処理の結果に応じて、ワーク4が外観投影装置5内に存在しているか否か、またはワーク4の側面の外観検査を行うようにしてもよい。外観検査によりワーク4の側面に異常が存在することが判明した場合には、ロボット1がそのようなワーク4を廃棄物収納部(図示しない)に廃棄する動作を行うのが好ましい。
【0047】
そして、ステップS107において、ロボット1がワーク4を外観投影装置5から引出して、外観投影装置5から離間させる。次いで、ステップS108において算出部22により算出された補正動作でロボット1を動作させ、位相特徴部6を所定の向きにする。これにより、ロボット1が最初にワーク4を把持したときに生じていた把持ズレが補正される。この状態で、ワーク4の先端を治具17に挿入し、それにより、治具17をワーク4に取付ける。
【0048】
このように本発明においては、ワーク4の側面を効率的に検出し、ワーク4の中心軸線周りの位相を容易に補正することができる。そして、本発明においては、ロボット1がワーク4を収容部16から取出してワーク4の先端を治具17に取付けるまでの間、ワーク4はロボット1の把持機構2に把持されたままである。つまり、ロボットの把持機構2がワーク4を把持して収容部16から取出すとき以外には、ワーク4の中心軸線周りの位相の把持ズレは発生していない。そして、位相特徴部6を検出してワーク4を治具17に取付けるまでに再度の把持ズレは発生しない。従って、本発明では、ステップS101でワーク4を把持したときの把持ズレのみを補正すれば足り、それゆえ、本発明では、ロボット1による補正動作を高精度で行えるのが分かるであろう。
【0049】
また、本発明では、ワーク4を再度把持する必要がないので、サイクルタイムを短縮することが可能である。また、本発明においては、位相特徴部6の検出後にワーク4を仮置きする場所、例えばテーブルを準備する必要がない。従って、ロボットシステムを比較的小型にできるのが分かるであろう。
【0050】
また、位相特徴部6がワーク4の側面に存在しているか否か、または位相特徴部6の位置および/または形状の結果に基づいて、ワーク4の種類を判別することも可能である。そのような場合には、ワーク4の種類に応じて、ロボット1の次の動作を変更するようにしてもよい。
【0051】
さらに、ワーク4が複数の位相特徴部6を備えている場合には、複数の位相特徴部6を検出し、作成される補正動作の精度を高めることも可能である。このような場合には、複数の位相特徴部6が外観投影装置5の内面8に投影されるように、外観投影装置5に挿入されるワーク4の挿入量を変更するのが好ましい。
【0052】
ところで、ロボット1がワーク4を取出す際に、ワーク4の中心軸線の方向または、中心軸線に対して垂直な方向に把持ズレが生じる場合がある。このような場合には、ワーク4と外観投影装置5との間の位置関係が、既に記憶させたモデルパターンと異なる可能性がある。さらに、モデルパターンの教示後に、外観投影装置5を新たな外観投影装置5に置換えてその配置精度が十分でない場合にも、同様な問題が生じ、検出精度が同様に低下しうる。
【0053】
そのような場合には、画像30における中心部分36(ワーク4の端面に相当)と外観投影装置5の円35とを検出して、ワーク4と外観投影装置5との間の位置関係を検出するのが望ましい。検出位置と、検出されたワーク4および外観投影装置5の寸法とに基づいて、ワーク4および外観投影装置5のXYZ方向の位置を把握できる。そして、ワーク4および外観投影装置5との間の相対位置が基準位置と同様になるように補正動作を別途行う。その後、位相特徴部6の検出を行うことにより、検出精度の低下を防止することができる。
【0054】
ところで、図1を参照して説明した実施形態においては、ワーク4の側面を主に検出しているが、ワーク4の端面(図2の中心部分36に相当)を同時に検出するようにしてもよい。つまり、外観投影装置5の内面8に投影された像とワーク4の端面とを一緒に検出してもよい。
【0055】
図4は、そのような検出を行う際に使用される、本発明の第二の実施形態に基づくロボットシステムの略図である。図4においては、外観投影装置5の内面8と撮像装置12との間に光学ガラス19が配置されている。この光学ガラス19は外観投影装置5の中心軸線に対して垂直に配置されていて、光学ガラス19の中心には、ワーク4を受容可能な開口部19aが形成されている。
【0056】
図4に示されるロボットシステムの使用時には、ワーク4の先端が光学ガラス19の遠位側端面18と同一平面になるようにワーク4を挿入する。そして、図4から分かるように、外観投影装置5の内面8に投影された像は光学ガラス19の遠位側端面18に再投影される。その結果、ワーク4の端面と内面8に投影された像とを同一平面において撮像することができる。従って、第二の実施形態においては、焦点あわせされた鮮明な画像30が得られるのが分かるであろう。
【符号の説明】
【0057】
1 ロボット
2 把持機構
3 挿入方向
4 ワーク
5 外観投影装置
6 位相特徴部
7 開口部
8 内面
9 透明の板
11 照明装置
12 撮像装置
14 光路
16 収容部
17 治具
18 遠位側端面
19 光学ガラス
19a 開口部
20 制御装置
21 画像処理部
22 算出部
23 記憶部
30 画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に延びる側面を有する被検出物を把持する把持機構を備えたロボットと、
前記被検出物をその中心軸線の方向に挿入可能な開口部、および前記被検出物を挿入する挿入方向において前記開口部から半径方向外側に向かって広がる鏡面加工された湾曲した内面を含む外観投影装置と、
前記被検出物が前記開口部に挿入されたときに前記湾曲した内面に投影された前記被検出物の像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された前記被検出物の像を画像処理して、前記被検出物の側面に備えられた位相特徴部を検出するか、または前記被検出物の側面を検査する画像処理部とを具備する、ロボットシステム。
【請求項2】
さらに、前記画像処理部により検出された前記被検出物の前記位相特徴部が所定の向きになるような前記ロボットの補正動作を算出する算出部を具備する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記画像処理部により検出された前記位相特徴部の位置、または前記被検出物の側面の検査の結果に基づいて、前記ロボットの次の動作を決定するようにした請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記外観投影装置の前記開口部とは反対側の端部に設けられた透明の板をさらに具備する請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記撮像装置に光を直接照射することなしに、前記被検出物の側面に光を照射する照明装置をさらに具備する請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記被検出物が円柱形状、円錐形状、円筒形状、楕円柱形状、多角柱形状または多角錘形状である請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記被検出物の側面に備えられた位相特徴部は、突起、凹部、変形部、模様、傷のうちの少なくとも一つである請求項1に記載のロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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