説明

外部コンテキストのある臨床決定支援システム

臨床決定支援(CDS)システムが、患者治療履歴データベース(10、32)と、前記患者治療履歴データベースから患者治療履歴を選択し、選択された患者治療履歴の少なくとも一部分のフローチャート表現を表示するよう動作する患者ケース・ナビゲーション・ツール(10、30)とを有する。任意的に、ナビゲーション・ツール(10、30)はさらに、選択された患者治療履歴と一致しない、患者非特異的な治療指針の一部または全部のフローチャート表現を選択的に表示するよう動作する。任意的に、CDSシステムはさらに、問い合わせを受領し、これを前記患者治療履歴データベースに対して適用して問い合わせ結果を取得するよう動作する患者記録問い合わせエンジン(10、40)を有し、前記患者ケース・ナビゲーション・ツール(10、30)はさらに、ユーザー入力に応答して問い合わせを生成し、その問い合わせについて取得された問い合わせ結果を表示するよう動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
下記は医療技術、医療診断技術、医療ケース管理技術、エキスパート・システム技術および関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床決定支援(CDS: clinical decision support)システムは、疾病診断、治療選択および投与量、サイクルなどといったさまざまな治療レジメン・オプションの実施のような医療上の決定をすることにおいて、医師または他の医療従事者に自動化された支援を提供するよう構築されたエキスパート・システムである。いくつかの例示的なCDSシステムがたとえばアルサファディによる特許文献1に記載されている。
【0003】
医師または他の人間の医療診断者は、現在の患者の医療上の診断および評価をする際、患者診断における自分の過去の経験および結果に頼る。しかしながら、医師は、特定の現在の患者に関係した有意な過去の経験がないこともありうる。一般に、医師は、こうした経験上の不足に、他の医師との相談や標準的な医学書や他の有意な医学文献を参照することによって対処する。そうした情報源にもかかわらず、過去の経験に頼ることは、どの一人の医師(特に全経験が比較的少ない新米医師)の経験にもある限界や、個々の医師の逸話の集まりのような記憶における記憶のギャップのため、問題となりうる。
【0004】
臨床決定支援(CDS)システムは、どの特定の医師の過去の経験よりも、またさらには医師の群の過去の経験の集合よりも包括的であり完全でありうる過去の臨床経験のデータベースを提供することによって、医師またはその他の人間の医療診断者の知識を増強する。CDSシステムはまた、CDSシステムがこのデータベース内で選別ないしソートして、CDSシステムのフィルタリングまたは選択アルゴリズムによって評価されるところの最も有意な内容を取得および呈示することを可能にするエキスパート・システム・フィルタリングまたは選択機能をも含む。
【0005】
多くの事例において、医師または他の人間の診断者は、患者の治療の開始から現在に至るまでの、なされた治療の選択、患者の進捗などといった現在の患者ケースについての情報を知りたいことがありうる。典型的には、この情報は紙または電子的な医療記録ないしカルテとして利用可能である。こうした源から患者の病歴〔ケース履歴〕についての情報を得ることは、必ずしも時間順に配列されていない多くの長ったらしい文書を医師が見ていかなければならないので、医師にとってわずらわしいものである。既存のCDSシステムは一般に、簡潔で、容易にアクセスでき、理解可能なフォーマットで患者のケース履歴を提供するものではない。
【0006】
しばしば目的は同様の治療を受けた患者の結果を調べることであるので、医師はしばしば、現在の患者の治療経路(pathway)に基づいてCDSシステムに問い合わせをしたいであろう。既存のCDSシステムはそのような問い合わせを定式化するための便利な方法を提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0175980A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
下記は、上記の問題およびその他を克服する新しい、改善された装置および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示されるある側面によれば、臨床決定支援(CDS)システムは:患者治療履歴を含む患者治療履歴データベースと;前記患者治療履歴データベースから患者治療履歴を選択し、選択された患者治療履歴の少なくとも一部分のフローチャート表現を表示し、さらに選択された患者治療履歴と一致しない、患者非特異的な〔患者に特異的でない〕治療指針の一部または全部のフローチャート表現を選択的に表示するよう動作する患者ケース・ナビゲーション・ツールとを有する。
【0010】
開示されるもう一つの側面によれば、臨床決定支援(CDS)システムは:患者治療履歴を含む患者治療履歴データベースと;問い合わせを受領し、受領した問い合わせを前記患者治療履歴データベースに対して適用して問い合わせ結果を取得するよう動作する患者記録問い合わせエンジンと;前記患者治療履歴データベースから患者治療履歴を選択し、選択された患者治療履歴の少なくとも一部分のフローチャート表現を表示するよう動作し、さらにユーザー入力に応答して問い合わせを生成し、該問い合わせについて前記患者履歴問い合わせエンジンによって取得された問い合わせ結果を表示するよう動作する患者ケース・ナビゲーション・ツールとを有する。
【0011】
開示されるもう一つの側面によれば、臨床決定支援(CDS)方法は:患者治療履歴を含む患者治療履歴データベースから患者治療履歴を選択する段階と;選択された患者治療履歴のフローチャート表現を表示する段階と;概観オプションのユーザー選択に応答して、選択された患者治療履歴の少なくとも一部分のフローチャート表現を、選択された患者治療履歴と一致しない、患者非特異的な治療指針の一部または全部のフローチャート表現と一緒のコンテキストにおいて含む概観を表示する段階とを含む。
【0012】
開示されるもう一つの側面によれば、直前段落で述べた臨床決定支援(CDS)方法を実行するためにデジタル・プロセッサによって実行可能な命令を記憶する記憶媒体が開示される。
【発明の効果】
【0013】
一つの利点は、統計的情報からのさまざまな範囲の患者情報を提供するCDSシステムにある。
【0014】
もう一つの利点は、患者ケースが患者画像または患者画像から生成されたサムネイル画像を含む患者アイコンによって表現され、似通った患者ケースを手動でグループ化するためのユーザー・インターフェースを提供することにある。
【0015】
もう一つの利点は、画像と非画像特徴とを自動的にまとめ、相関付けることにある。
【0016】
さらなる利点は、以下の詳細な記述を読み、理解することで当業者には明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】臨床決定支援(CDS)システムを図的に示す図である。
【図2】図1のCDSシステムのさまざまな側面を示すディスプレイ画面コピーの一つを示す図である。
【図3】図1のCDSシステムのさまざまな側面を示すディスプレイ画面コピーの一つを示す図である。
【図4】図1のCDSシステムのさまざまな側面を示すディスプレイ画面コピーの一つを示す図である。
【図5】図1のCDSシステムのさまざまな側面を示すディスプレイ画面コピーの一つを示す図である。
【図6】図1のCDSシステムのさまざまな側面を示すディスプレイ画面コピーの一つを示す図である。
【図7】図1のCDSシステムのさまざまな側面を示すディスプレイ画面コピーの一つを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照するに、臨床決定支援(CDS)システムは、CDSシステム・ホスト・コンピュータ(単数または複数)またはCDSシステム・ホスト・ネットワーク・サーバー(単数または複数)などといった好適なデジタル処理システム10上に維持される。デジタル処理システム10は一般に単一のコンピュータまたはネットワーク・サーバーであってもよいし、あるいは複数の相互に通信するコンピュータおよび/またはネットワーク・サーバーを含んでいてもよい。他のデジタル処理装置または装置組み合わせも考えられる。
【0019】
CDSシステムは、サポートされる医学的条件のための治療指針〔治療ガイドライン〕を用いる。この目的に向け、医学知識のあるユーザーは、治療指針データベース16に記憶される医学的条件のための治療指針を構築または任意的に修正するために、コンピュータ12または他のユーザー・インターフェースを操作して治療指針オーサリング・ツール14と対話する。一般に、治療指針は、サポートされる各医学的条件について構築される。治療指針は、一般に、さまざまな決定点および代替治療経路を含んでいてもよい。特定の患者ケースについて代替治療経路をたどるのは、さまざまな試験結果、観察される医学的障害、医師の決断およびその他の因子に依存する。治療指針は、ノードが医療上の処置(medical operation)(医学的試験、療法的介入、決定点など)に対応し、時間の経過に対する治療レジメンを含む臨床経路内の患者のフローまたは進捗を示すためにそれらのノードが相互接続される流れ図として表現できる。
【0020】
医師または他の医療従事者(以下、一般性を失うことなく医師と称する)は、コンピュータ20または他のユーザー・インターフェース(これは一般に、コンピュータ12と同じであっても異なっていてもよい)を介してCDSシステムと対話する。例として、医師は、医師がCDSシステムの権限を与えられたユーザーであることを確認する医師識別情報検証エンジン(physician identification validation engine)およびCDSゲートウェイ・モジュール22を通じてCDSシステムにアクセスする。医師識別情報検証は、パスワード・ベースの認証、指紋読み取り器、網膜スキャナなどといった好適な認証ツールを用いる。医師識別情報検証エンジンおよびCDSゲートウェイ・モジュール22は、任意的に、医師のCDS操作セッションにタグ付けするか、他の仕方で該セッションを識別し、それにより、CDSシステムとのその医師の対話は、その医師個人に関連付けられる。
【0021】
ひとたび検証されると、医師は、患者治療履歴データベース32から患者治療履歴を選択し、選択された患者治療履歴のフローチャート表現を表示するよう動作するCDSシステムと患者ケース・ナビゲーション・ツール30を介して対話する。治療指針と同様、患者治療履歴は、ノードおよび接続子をもつフローチャート表現として表現できる。一般に、患者治療履歴は、患者の医学的条件に対応する治療指針の一部と一致する。患者治療履歴データベース32は、患者治療履歴のフローチャート表現を生成し、臨床意思決定支援に関係する他の情報を取得するために少なくとも十分である情報を含むか、そのような情報へのアクセスをもつ。図示した実施形態では、患者治療履歴データベース32は、電子患者記録データベース34とリンクされているか他の仕方で該データベース34と通信する。電子患者記録データベース34には、医師、看護師または他の医療従事者が患者についての医療情報をコンピュータ36または他のユーザー・インターフェース装置(これは一般にコンピュータ12、20と同じであってもよいし、あるいは異なっていてもよい)を介して入力する。あるいはまた、患者治療履歴データベース32および電子患者記録データベース34は、単一のデータベースとして一体的な仕方で構築されてもよい。もう一つの考えられている構成では、患者治療履歴データベース32および電子患者記録データベース34は互いに通信せず、一緒に統合されてもおらず、その代わり、医師が、患者治療履歴データベース32中に記憶されている患者治療履歴を、関連する患者情報を患者治療履歴データベース32に患者ケース・ナビゲーション・ツール30を介して入力することによって、メンテナンスする。
【0022】
患者ケース・ナビゲーション・ツール30は、任意的に、治療指針データベース16へのアクセスをも有している。そのような実施形態では、患者ケース・ナビゲーション・ツール30は選択された患者治療履歴のフローチャート表現を表示でき、さらに、選択された患者治療履歴と一致しない、全体的な患者非特異的な治療指針の一部または全部を含む概観フローチャート表現をも選択可能的に表示することができる。例として、概観フローチャート表現は、選択された患者治療履歴と一致する部分の視覚的に知覚できる描画(delineating)を含んでいてもよく、それにより医師は、全体的な治療指針のコンテキストにおいて選択された患者についてたどられてきた包括的な(overarching)治療指針の部分を容易に識別できる。
【0023】
このようにして、患者ケース・ナビゲーション・ツール30は、選択された患者の治療においてまだ到達されていない部分を含む、あるいは以前の決定点においてなされた決定のため選択された患者の治療においてたどられなかった代替的な治療経路を含む患者治療レジメンの概観を提供できる。概観は、現在の臨床決定によって消去されうるまたは取り消し不能な形で選択されうる将来の治療経路オプションの知識を医師に与えることによって、有用な情報を現在の臨床決定に対して与えることができる。概観はまた、選択された患者ケースにおいて以前の臨床決定によってバイパスされたことがありうる、だがより最近得られた情報または知識に鑑みて再検討されてもよい代替的な治療経路の知識を医師に与えることによって、有用な情報を現在の臨床決定に対して与えることができる。
【0024】
患者ケース・ナビゲーション・ツール30はまた、任意的に、問い合わせを受領し、受領された問い合わせを患者治療履歴データベース32に対して適用して問い合わせ結果を取得するよう動作する患者履歴問い合わせエンジン40を含むまたは該エンジン40と通信する。患者ケース・ナビゲーション・ツール30は、ユーザー入力に応答して問い合わせを生成し、その問い合わせについて患者記録問い合わせエンジン40によって取得された問い合わせ結果を表示するよう動作する。問い合わせ結果は、患者年齢、患者体重、患者性別、患者人種および患者結果といった患者特性に対するヒストグラムのようなグラフィカルな表現として、あるいは問い合わせ結果の別のグラフィカルな統計的表現として表示されてもよい。例として、患者ケース・ナビゲーション・ツール30は、選択された患者治療履歴のフローチャート表現のノードのユーザー選択に応答して問い合わせを生成してもよい。生成された問い合わせは、患者治療履歴データベース32中の、選択されたノードを含む患者治療履歴についての患者記録を要求する
追加的または代替的に、患者記録問い合わせエンジン40は、患者ケース・ナビゲーション・ツール30から類似患者識別情報を受領し、患者治療履歴データベース32から、該類似患者についての、完全な医療履歴または他の医療情報を取得してもよい。該類似患者についての医療履歴または他の医療情報は、医師に対して表示するために患者ケース・ナビゲーション・ツール30に通信により返される。例として、医師は、ユーザー選択されたノードについて生成された問い合わせによって取得された統計的情報から前記類似患者を選択してもよい。
【0025】
選択された患者治療履歴と一致しない少なくとも一部分を含む患者非特異的な治療指針の概観フローチャート表現を提供する側面と、患者治療履歴データベース32から情報を取得する問い合わせエンジン40を提供する側面とは、有用に組み合わせることができる。例として、概観フローチャート表現は、選択された患者が経ていない治療、試験などに対応するノードをグラフィックに示す。医師は、そのようなノードを選択でき、選択されたノードを通過した他の患者についての統計的情報を取得するために問い合わせエンジン40を介した問い合わせができる。これは医師に、選択されたノードについての実質的な情報を提供し、よって選択された患者の治療フローが選択されたノードを包含すべきかどうかを決定することにおいて医師を助ける。さらに、医師が、統計的情報において、治療履歴が現在選択されている患者と密接に並行ないし相似している類似患者(または若干名の類似患者)を同定する場合、医師は任意的に、問い合わせエンジン40を使って、患者治療履歴データベース32から該類似患者についての医療履歴または他の医療情報を取得することもできる。
【0026】
さまざまなコンピュータまたはデジタル・データ処理コンポーネント10、12、14、20、36はさまざまな形で具現できることは理解しておくべきである。たとえば、図示したコンポーネント10、12、14、20は、CDSシステムの構成設定(たとえば、治療指針オーサリング)および使用両方を可能にする単一のコンピュータとして具現できる。もう一つの例として、コンポーネント10、20は、エンドユーザーCDSシステムとして一緒に具現でき、その一方、コンピュータ12および治療指針オーサリング・ツール14は別個のCDSシステム構成設定コンピュータとして具現できる。その場合、構成設定システム12、14がエンドユーザー・システム10、20からリモートに位置されることも考えられる。この構成の一例として、構成設定システム12、14はCDSシステムのベンダー・サイトに位置されていてもよく、その一方、エンドユーザー・システム10、20は病院または他の医療施設に位置されていてもよい。開示されるCDSシステムおよび方法が、開示されるCDS方法を実行するために図示される処理コンポーネント10、12、14、20、36のようなデジタル・プロセッサによって実行可能な命令を記憶する、磁気ディスク、光学式ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)などといった記憶媒体によって具現されてもよいことも認識されるであろう。
【0027】
図1に示される例示的なCDSシステムはさらに、図2ないし図8に示される選択された例示的な表示画面コピーを参照しつつ記述される。
【0028】
図2は、選択された患者治療履歴の読み込み後に取られた画面コピー〔スクリーンショット〕を示している。選択された患者治療履歴のフローチャート表現50は、左側のウィンドウまたは画面部分に表示される。図2に示されるフローチャート表現50は、選択された患者治療履歴の有意な部分のみを描いている。この選択された部分は、すでに行われた介入、決定などを示すいくつかのノードを含む。したがって、これらのノードは、選択された患者についての治療レジメンによって「すでに通過された」という。図2のフローチャート表現はまた、治療レジメンにおける次のステップを表す一つまたは複数のノードをも示している。フローチャート表現50によって表現される選択された患者治療履歴が、治療指針データベース16に記憶されるSCLC(図2には示さず)についての患者非特異的な治療指針の一部分と一致することが理解される。患者非特異的なSCLC治療指針は、フローチャート表現50のノードを定義する。選択された患者についてのすでに通過したノードの識別情報および関連する患者試験結果、臨床決定などのような患者に特異的な情報は、選択された患者に対応するファイルまたは他のデータ構造中で、患者治療履歴データベース32に記憶されている。
【0029】
図2のフローチャート表現50において、すでに通過したノードは、選択された患者の治療においてすでに通過したノードを示す黒くした背景をもって示されている。黒くした背景の代わりに、すでに通過したノードの枠線、充填領域、背景および/またはテキストについてある描画色を使う、すでに通過したノードの枠線についてある描線パターン(たとえば実線または破線、ミシン線もしくは点線)を使う、すでに通過したノードについて全大文字、ボールド体もしくは他の区別できるタイプフォントを使う、などといった視覚的に知覚できる他の描法を使うこともできる。図2の図示した例では、すでに通過したノードは:選択された患者に対して実行された探索的な外科手順を示す、「探査手順(Exploratory Procedures)」とラベル付けされたノード;探査手順が小細胞肺癌を示唆していることを提起する臨床決定支援出力を示す「小細胞肺癌(Small Cell Lung Cancer)」とラベル付けされたノード;医師が小細胞肺癌の示唆された診断を確証する「初期診断?(Initial Diagnosis?)」とラベル付けされた決定ノード;小細胞肺癌を診断された患者について一般に適切と考えられるある種の医療手順を示す「必要手順(Required Procedures)」とラベル付けされたノード;および「SCLC段階?(SCLC Stage?)」とラベル付けされた決定ノードを含む。略語「SCLC」は「small cell lung cancer〔小細胞肺癌〕」を表し、このノードは、選択された患者のSCLCの段階についての医師の決定を表す。
【0030】
図2のフローチャート表現50において、一つまたは複数のノードは、患者非特異的なSCLC治療指針に基づいて医師が選択しうるSCLCの可能な段階を表す。図示した例では、これらの段階オプションは、以下のノードによって表されている:選択された患者が限局型SCLC段階にあるという決定を示す「限局型疾病(Limited Disease)」とラベル付けされたノード;選択された患者が超限局型SCLC段階にあるという決定を示す「超限局型疾病(Very Limited Disease)」とラベル付けされたノード;および選択された患者が進展型SCLC段階にあるとい決定を示す「進展型疾病(Extensive Disease)」とラベル付けされたノード。医師がまだ選択された患者のSCLCの段階を判定していないので、これらのノードはまだ通過されていない。換言すれば、「SCLC段階?」とラベル付けされた決定ノードは、現在通過されつつある「現在」ノードと考えることができ、その決定が通過すべき次のノードを表す。
【0031】
SCLC段階に関する医師の臨床決定が選択された患者の将来の治療を決定することは理解されるであろう。医師の臨床決定に基づいて、「超限局型疾病」「限局型疾病」または「進展型疾病」とラベル付けされたノードのうちの一つだけが通過され、残り二つはバイパスされる。将来の治療は、この臨床決定に依存する。
【0032】
医師がこの決定をするのを支援するために、有意な患者特異的情報が、図2の画面コピーの右側における追加的ウィンドウ52において与えられる。図示した例では、この患者固有の情報は:呼吸困難(この選択された患者には存在する)についての情報;喀血(この選択された患者には存在しない)についての情報;胸部不快感(この選択された患者には存在しない)についての情報;慢性閉塞性肺疾患(COPD: chronic obstructive pulmonary disease)(この選択された患者における存在は未知)についての情報;咳(この選択された患者には存在しない)についての情報;および寝汗(この選択された患者には存在する)についての情報を含む。さらに、その決定をなすための、一般的な定義および患者非特定的アドバイスが、患者情報ウィンドウ52の下に位置するウィンドウ54に挙げられている。さらに、ウィンドウ56は、利用可能な患者情報に基づいてCDSシステムによって患者特異的な臨床決定支援勧告が生成される場合、該勧告を提供する。図2の図示した例では、CDSシステムは図2の画面コピーの時点で勧告を生成しておらず、よって図2ではウィンドウ56は空である。
【0033】
前述したように、選択された患者についての将来の治療は、「SCLC段階?」とラベル付けされた現在ノードにおいてなされる臨床決定に依存する。しかしながら、将来の治療は図2に示される選択された患者治療履歴のフローチャート表現50には示されていない。理論上は、これは問題ではないはずである。というのも、SCLC段階の決定は理論上は、選択された患者についての情報(たとえばウィンドウ52で与えられるような)およびウィンドウ54で与えられる定義および関係情報を、可能性としてはウィンドウ56において与えられるCDSシステム勧告(もしあれば)によって増強したもののみに基づいて決定されるはずだからである。実際、CDSシステムを使うことの一つの通常感じられる恩恵は、医師が選択された患者についてなされるべき現在の臨床決定に集中することを支援するということである。
【0034】
しかしながら、実際上は、ここで、医師は、患者非特異的なSCLC治療指針において、可能な決定のそれぞれについてどのような将来の治療が示されるかを知りたいことがありうることが認識される。たとえば、選択された患者が虚弱である場合、医師は、「進展型疾病」についてのSCLC治療指針が、その虚弱な患者が耐えられないかもしれない手術または積極的な化学療法といった積極的な療法を伴うかどうかを知りたがることがありうる。
【0035】
さらに、選択された患者に関して見られる(あるいは見られない)進捗に依存して、医師は、すでに通過したノードにおいてなされた決定について不安を覚えはじめることがありうる。たとえば、医師が選択された患者について(たとえば、ウィンドウ52に記される患者特異的情報に反映されるところにより)見ているものが、該医師にとって、SCLCと整合しないと思われる場合、該医師はすでに通過した「初期診断?」決定ノードを見返して、他のどのような診断が利用可能であった可能性があるかを見たくなることがある。ここでもまた、この情報は、SCLC段階決定ノードに焦点を当てている図2に示される選択された患者の治療履歴のフローチャート表現50には与えられていない。
【0036】
ここで、いくつかの事例では、現在の決定に対してよりよく情報を与えるために、あるいはすでに通過したノードにおいてなされた過去の決定の再検討を可能にするために、医師が、将来および/または過去の患者療法オプションのより包括的なビューをもつことを望むことがありうることが認識される。ここで、医師に、CDSシステムの従来の焦点を緩和するオプションを与えることが有利であることが認識される。
【0037】
引き続き図2を参照し、さらに図3を参照するに、この目的に向け、図2に示されるディスプレイは、医師がマウス・ポインタを使って、あるいはホットキーもしくはホットキー組み合わせを押すことによって、あるいは別のユーザー選択入力によって選択できる概観選択ボタン58を医師に提供する。概観選択ボタン58をユーザーが選択すると、図3に示されるようにポップアップ・ウィンドウにおいて、あるいはディスプレイの他の領域において、概観ビュー60が与えられる。いくつかの実施形態では、別個のモニタまたは他の別個の表示装置が概観ビュー60を表示するために使われてもよい。図示した概観ビュー60は、選択された患者治療履歴と一致しない患者非特異的な治療指針の一部または全部のフローチャート表現64と一緒に、該フローチャート表現64のコンテキストにおいて表示される、選択された患者治療履歴のフローチャート表現62を示している。図3では、完全な患者非特異的なSCLC治療指針がフローチャート表現64によって示される。完全なSCLC治療指針は複雑で、決定ノードおよび多数の分岐を含む。これらはさまざまなSCLC段階、さまざまな可能な患者固有の障害などにとって適切でありうるさまざまな治療オプション、手順などを全体論的に表す。結果として、図3に示される完全なSCLC治療指針のフローチャート表現64は読むのが難しい。
【0038】
図4を参照するに、概観ビュー60は任意的に、治療指針の選択された部分を拡大するために、マウス、キーボードまたは他のユーザー入力装置を使って選択される、パン、ズームなどといったグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)ウィンドウ操作を医師が使うことを許容する。図4の図示した画面コピーでは、ユーザーは図3のフローチャート表現64の最も左の部分を中央に動かすようパンし、この部分を拡大するようズームし、それによりSCLC治療指針のパンされズームされた部分のフローチャート表現を生じている。図4に示されるフローチャート表現は、選択された患者治療履歴のフローチャート表現62と一致するSCLC治療指針の部分に、現在の「SCLC段階?」決定ノードにおいて医師によって選択されるSCLC段階に依存して利用可能になる将来の治療オプションを含むフローチャート表現66とともに、焦点を当てている。図4に示される概観ビューでは、たとえば、医師は容易に:(i)「超限局型疾病」SCLC段階を選択すると手術を含む治療を伴うこと;(ii)「限局型疾病」SCLC段階を選択すると並行した化学放射線療法を含む治療を伴うこと;および(iii)「進展型疾病」SCLC段階を選択すると、複数の化学療法サイクルをもつ多剤化学療法を含む治療を伴うことを見ることができる。これで医師は、たとえば、選択された患者が虚弱である場合、「進展型疾病」SCLC段階について示される、図4のフローチャート表現66において記されるように積極的な化学療法を伴う療法を受けることができそうかどうかについて、情報を与えられての決定を下すことができる。
【0039】
図1〜図4を参照して記述したCDSシステムは、有利には、患者の臨床経路のグラフィカル表現50を与える。患者の臨床経路は、患者の実際の治療の記録である。グラフィカル表現50は、医師が、個別的な患者についてのすでに実行された治療/診断ステップおよび将来の治療オプションに関する迅速な概観を得ることを許容する。さらに、CDSシステムは有利には、臨床指針において利用可能な治療オプションの集合全体を表す木の中での患者固有のナビゲーションとして経路が呈示される代替的な表現(図3および図4)を与える。特定の経路は、患者が治療されたときに臨床指針の各ノードについてなされた具体的な諸選択を表す。
【0040】
図3および図4に示される画面コピー例を参照して記述した患者ケース・ナビゲーション・ツール30の概観機能は、現在の決定に対してよりよく情報を与えるために、あるいはすでに通過したノードにおいてなされた過去の決定の再検討を可能にするために使用できる有用な概観情報を医師に与える。たいていの事例では、医師は、患者非特異的な治療計画に従って現在ノードに対応する決定または他のアクションを行うことによって、選択された患者の治療計画を続けることが期待される。図示した例では、たとえば、医師は、選択された患者についての適切なSCLC段階を選択する可能性が高く、治療は、選択されたSCLC段階についてSCLC治療指針によって示される治療処置に従って先に進む。このように、たいていの場合、最終的には、医師は、現在の決定ノードにおいて示される臨床決定を、任意的にはなされようとしている臨床決定を包括的な治療指針のコンテキスト中に位置付けるべく概観ビュー60を閲覧した後に、行う。
【0041】
臨床決定を行うに当たって、医師は、同様のケースをもつ患者についての該医師の過去の経験によって導かれる可能性が高い。この目的に向け、医師は、該医師の医療ケアを受けているまたは受けた現在または過去のSCLC患者の医療記録を参照することがある。医師はまた、医学文献において報告されている事例研究を参照してもよいし、あるいは、他の医師が現在または過去のSCLC患者から習得した有意な知識を掘り起こすために他の医師と相談してもよい。
【0042】
図1および図2に戻って参照するとともにさらに図5を参照するに、例示的なCDSシステムは、臨床決定を行う際に、医師によって考慮される患者ケース情報のもう一つの源を提供する。ここで、患者治療履歴データベース32が患者ケース履歴のデータベースを提供し、患者ケース履歴のいくつかはSCLCを有していた可能性が高く、患者ケース履歴のいくつかは選択された患者についての現在のSCLC段階決定をなす際に医師にとって証拠となり(probative)うることが認識される。この目的に向け、患者記録問い合わせエンジン40は、「SCLC段階?」決定ノードのような関心対象ノードを通過した患者を要求する問い合わせを受領するよう動作する。患者記録問い合わせエンジン40は、この問い合わせを、患者治療履歴データベース32に対して適用し、これまでにSCLCを有したことがあり、「SCLC段階?」決定ノードが通過された患者に関する情報を、問い合わせ結果として取得する。例として、図5は、ケース履歴が「SCLC段階?」決定ノードを通過した27名の患者についての統計的な結果を表示するウィンドウ70を示している。図示した例では、「患者結果指標(patient outcome measure)」の統計が、「患者年齢」の患者特性に対するヒストグラム72として示されている。患者結果指標は、患者結果のいかなる好適な定量的指標を用いてもよい。より一般には、さまざまな統計的情報が、表、円グラフなどといったさまざまな仕方で表示でき、統計的情報は、患者年齢、患者体重、患者生物、患者人種、患者結果などといった関心のあるさまざまな患者特性に対してであることができる。
【0043】
図5のヒストグラム72は、治療履歴が「SCLC段階?」決定ノードを通過したすべての患者についての結果を示している。この情報は、医師にとって、現在の治療経路が続けられるべきかどうかを判断する、あるいは患者に助言するなどのようなさまざまな目的のために有用でありうる。しかしながら、選択された患者がどのSCLC段階に割り当てられるかを決定するという目的のためには、さまざまなSCLC段階に割り当てられた患者に焦点を当てたヒストグラムまたは他の統計的な総合された表現が著しい価値があることがある。
【0044】
図5を引き続き参照しさらに図6を参照するに、選択された患者がどのSCLC段階に割り当てられるかを決定するために追加的な有用な情報を与えるため、図5に示されるディスプレイは、医師がマウス・ポインタを使って、あるいはホットキーもしくはホットキー組み合わせを押すことによって、あるいは別のユーザー選択入力によって選択できる「治療オプションについてのノード統計」選択ボタン73を医師に提供する。選択ボタン73をユーザーが選択すると、図6に示される画面が生成される。この画面において、ウィンドウ70は、それぞれ「限局型疾病」「超限局型疾病」および「進展型疾病」という可能なSCLC段階について、患者年齢に対する別個の結果統計ヒストグラム74、75、76を示すよう再描画される。この情報は、図5のヒストグラム72の総合された情報と比べて、選択された患者がどのSCLC段階に割り当てられるべきかを決定するために、より証拠となる。任意的に、ダイアログ・ウィンドウ(図示せず)を呼び出すために「他の統計情報…」とラベル付けされた別の選択ボタン77が選択されることができる。該ダイアログ・ウィンドウを介して医師は、他の患者特性に対する他の統計的情報を選択できる。
【0045】
ウィンドウ70において与えられる、ヒストグラム72、74、75、76のような統計的情報は、現在の臨床決定をなす際に医師にとって有用であることができる。これらの統計は、かなりの数の患者ケース(たとえばヒストグラム72では27の患者ケース)を要約したものであり、構成要素となる患者ケースは、現在の臨床決定が係る選択された患者に比べて、臨床的に有意な相違をもつことがありうる。
【0046】
しかしながら、いくつかの事例では、医師は、多数の類似患者に関する情報のヒストグラムまたは他の統計的に総合された表現を見るのではなく、関心のある特定の類似患者ケースに係る情報に集中したいことがありうる。
【0047】
たとえば、図5を特に参照するに、呈示される統計的情報により、医師は、現在の臨床決定に特に有意でありうる患者ケース履歴を同定できる。たとえば、図5において、医師は、「下向き矢印」カーソル80を用いて、ヒストグラム72における、該医師にとって特に関心を引く特定のデータを同定する。例として、カーソル80を使って選択される特定のデータは、周囲のデータより高い患者結果指標をもち、現在の決定が係る選択された患者の年齢に近い患者年齢に対応しうる。カーソル80を使って選択される患者の個人名または他の識別情報が、テキスト・ユーザー・インターフェース・ダイアログ82において、「スミス、サム」と同定される。いくつかの実施形態では、患者識別情報は、患者のプライバシーを保護するために、たとえば「スミス、サム」を「患者#474」などで置き換えることによって、匿名化されてもよい。いくつかの実施形態では、患者識別情報は、医師識別情報検証エンジンおよびCDSゲートウェイ22(図1参照)を介して医師によって入力された医師識別情報に結び付けられてもよい――そうした実施形態では、患者の個人名は、患者がその医師のケアのもとにあるまたは他の事情でその医師に知られることが許されている場合、テキスト・ユーザー・インターフェース・ダイアログ82において示され、それ以外の場合には匿名化される。諸実施形態において、テキスト・ユーザー・インターフェース・ダイアログ82は、医師が個人的な患者名のリスト(または同定された医師によって閲覧が許容される個人的な患者名の部分リスト)をブラウズできるようにするドロップダウン・リスト選択ボタン84をも含む。このブラウズ・モードは、患者名によって類似ケースを思い出すよう医師の記憶力を刺激する助けとなるのに有用でありうる。
【0048】
引き続き図5を参照しつつ暫時図6を参照するに、図6に示されるSCLC段階表示部分のそれぞれは、任意的に、図5のテキスト・ユーザー・インターフェース・ダイアログ82と動作上似通っているが、対応するSCLC段階に割り当てられた患者に限定された、対応するテキスト・ユーザー・インターフェース・ダイアログ85、86、87を含む。特定の各段階をもつ患者の選択またはブラウズを可能にするためである。図示していないが、図5に示されるカーソル80は、段階固有のヒストグラム74、75、76のそれぞれにおいて対応物をもつこともできる。
【0049】
図7を参照するに、テキスト・ユーザー・インターフェース・ダイアログ82を使って個人名によってまたは患者識別番号などによって類似患者治療履歴を選択することは、任意的に、類似患者についてのさらなる情報をもたらす。例として、図7は、テキスト・ユーザー・インターフェース・ダイアログ82を介して選択された類似患者「スミス、サム」についての情報を含むポップアップ・ウィンドウ90を示している。この情報は、有利には、図2のと同様のフォーマットで、ただし類似患者「スミス、サム」についての情報を含む形で表示される。例として、類似患者についての治療履歴が、フローチャート表現92を使ってグラフィックに表示され、ウィンドウ94は類似患者「スミス、サム」についての患者固有情報を呈示する。有利には、図2の表示を生成するのに使われる、患者ケース・ナビゲーション・ツール30(図1参照)の同じ表示アルゴリズムが、類似患者「スミス、サム」に係るポップアップ・ウィンドウ90の内容を生成するために使用できる。類似患者「スミス、サム」の患者治療履歴はすでにこの決定を通過しており、類似患者「スミス、サム」はSCLC段階「限局型疾病」を割り当てられているので、ポップアップ・ウィンドウ90内で、SCLC段階「限局型疾病」がすでに通過したノードとして示されていることを注意しておく。例として、ウィンドウ94と選択された患者についてのウィンドウ52(図2参照)の内容の比較によって示されるように、患者「スミス、サム」が実際にどの程度選択された患者に似ているかに依存して、医師は、ポップアップ・ウィンドウ90に示される類似患者「スミス、サム」についての情報を、選択された患者についてのSCLC段階決定をなすためにきわめて証拠力があると見出してもよい。
【0050】
ポップアップ・ウィンドウ90の内容は、図2のものと同様のフォーマットを使って示され、実際、CDSシステムの患者ケース・ナビゲーション・ツール30によって生成されてもよい。しかしながら、類似患者についての例示したまたは他の情報を、他のフォーマットを使って表示することも考えられる。たとえば、いくつかの実施形態では、テキスト・ユーザー・インターフェース・ダイアログ82、85、86、87を使ったまたは他のユーザー入力を使った類似患者の選択は、該類似患者についての完全な医療履歴を呼び出すものと考えられる。
【0051】
例示的な類似患者「スミス、サム」は、当該医師の患者であるまたは当該医師は他の事情で類似患者「スミス、サム」についての個人的な医療情報を見る権限を与えられている。しかしながら、患者のプライバシーが維持されるべき実施形態および状況においては、名前のような個人を特定する情報およびその他のプライベートな患者医療情報は、ポップアップ・ウィンドウ90または類似患者の情報の他の表示においては好適に編集または匿名化される。
【0052】
図1、図2および図5〜図7を参照して記述したCDSシステムは、有利には、指針の各治療/診断ノードについてノード統計の取得を可能にする統合されたデータベース問い合わせ機構を含む。「ノード統計」パネルのマウス・クリック(または他のユーザー制御される選択操作)により、患者記録問い合わせエンジン40によるデータベース検索がトリガーされる。一つまたは複数のローカル・データベース32、34が、過去においてこの決定ノードを通ったすべての患者に関する情報を求めて検索される。これらの患者のリストがユーザーに示される。図示した実施形態では、テキスト・ユーザー・インターフェース・ダイアログ82がこのリストをドロップダウン・リスト選択ダイアログの形で提供する。加えて、平均生存率、年齢に対するヒストグラムなどといったこの患者集団に対するさまざまな統計が提供される(図5の例示的なヒストグラム72参照)。任意的に、引き出された患者集団は、指針治療/診断オプションに従って分割されることができる(図6のヒストグラム74、75、76参照)。任意的に、図7における患者「スミス、サム」について示されたように、取得された患者リスト82から同定された関心のある特定の患者についてのデータへの相互参照も提供されることができる。
【0053】
本願は、一つまたは複数の好ましい実施形態を記載してきた。以上の詳細な説明を読み、理解すれば、修正および変更が他の者にも思いつくことがありうる。本願は、付属の請求項およびその等価物の範囲内にはいるかぎりそのようなすべての修正および変更を含むものと解釈されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床決定支援(CDS)システムであって:
患者治療履歴を含む患者治療履歴データベースと;
前記患者治療履歴データベースから患者治療履歴を選択し、選択された患者治療履歴の少なくとも一部分のフローチャート表現を表示し、さらに選択された患者治療履歴と一致しない、患者非特異的な治療指針の一部または全部のフローチャート表現を選択的に表示するよう動作する患者ケース・ナビゲーション・ツールとを有する、
システム。
【請求項2】
請求項1記載のCDSシステムであって:
前記患者ケース・ナビゲーション・ツールから問い合わせを受領し、受領した問い合わせを前記患者治療履歴データベースに対して適用して問い合わせ結果を取得し、該問い合わせ結果を前記患者ケース・ナビゲーション・ツールに通信するよう動作する患者記録問い合わせエンジンをさらに有し、
前記患者ケース・ナビゲーション・ツールはさらに、ユーザー入力に応答して前記問い合わせを生成し、前記問い合わせ結果を表示するよう動作する、
システム。
【請求項3】
請求項2記載のCDSシステムであって、前記患者ケース・ナビゲーション・ツールが、前記問い合わせ結果を、患者特性に対する統計的な集計された表現として表示するよう動作する、システム。
【請求項4】
請求項3記載のCDSシステムであって、前記患者特性が、患者年齢、患者体重、患者性別、患者人種および患者結果といった個人に特化した特性からなる群から選択される、システム。
【請求項5】
請求項2記載のCDSシステムであって、前記患者ケース・ナビゲーション・ツールが、前記問い合わせ結果を、該問い合わせ結果のグラフィカルな統計表現として表示するよう動作する、システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちいずれか一項記載のCDSシステムであって:
前記患者ケース・ナビゲーション・ツールから類似患者識別情報を受領し、前記患者治療履歴データベースから前記類似患者についての医療情報を取得し、前記類似患者についての医療情報を前記患者ケース・ナビゲーション・ツールに通信するよう動作する患者記録問い合わせエンジンをさらに有しており、
前記患者ケース・ナビゲーション・ツールはさらに、ユーザー入力に応答して前記類似患者識別情報を生成し、取得された前記類似患者についての医療情報を表示するよう動作する、
システム。
【請求項7】
請求項6記載のCDSシステムであって:
ユーザーの身分を検証するよう動作するユーザー検証エンジンをさらに有しており、前記患者記録問い合わせエンジンおよび前記患者ケース・ナビゲーション・ツールは、検証されたユーザー身分が前記ユーザーに前記類似患者についての医療情報にアクセスする権限を与えているのでない限り、前記類似患者の前記患者識別情報を匿名化する、システム。
【請求項8】
請求項6記載のCDSシステムであって:
前記患者記録問い合わせエンジンはさらに、前記患者ケース・ナビゲーション・ツールから問い合わせを受領し、受領した問い合わせを前記患者治療履歴データベースに対して適用して問い合わせ結果を取得し、前記問い合わせを満足する患者の識別情報および前記問い合わせを満足する患者に対応する医療情報を含む問い合わせ結果を前記患者ケース・ナビゲーション・ツールに通信するよう動作し、
前記患者ケース・ナビゲーション・ツールはさらに、ユーザー入力に応答して前記問い合わせを生成し、患者識別情報を含む前記問い合わせ結果を表示し、前記問い合わせによって取得されたある患者識別情報のユーザー選択に応答して前記類似患者識別情報を生成するよう動作する、
システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のうちいずれか一項記載のCDSシステムであって、前記患者ケース・ナビゲーション・ツールが:
前記選択された患者治療履歴のフローチャート表現が単独で表示される患者治療履歴ビューと、
前記選択された患者治療履歴のフローチャート表現が、
前記選択された患者治療履歴と一致しない、患者非特異的な治療指針の一部または全部のフローチャート表現と一緒に、該患者非特異的な治療指針の一部または全部のフローチャート表現と一緒のコンテキストにおいて表示される概観ビューとの間で、
選択可能に切り替わるよう動作する、システム。
【請求項10】
請求項9記載のCDSシステムであって、前記概観ビューが、前記選択された患者治療履歴と一致するフローチャート表現の部分が視覚的に知覚できるよう描画される、システム。
【請求項11】
請求項9または10記載のCDSシステムであって、前記概観ビューにおいて、前記選択された患者治療履歴と一致しない、患者非特異的な治療指針の一部または全部のフローチャート表現が、前記フローチャートにおいて、前記選択された患者治療履歴より後の前記患者非特異的な治療指針の部分を含む、システム。
【請求項12】
臨床決定支援(CDS)システムであって:
患者治療履歴を含む患者治療履歴データベースと;
問い合わせを受領し、受領した問い合わせを前記患者治療履歴データベースに対して適用して問い合わせ結果を取得するよう動作する患者記録問い合わせエンジンと;
前記患者治療履歴データベースから患者治療履歴を選択し、選択された患者治療履歴の少なくとも一部分のフローチャート表現を表示するよう動作し、さらにユーザー入力に応答して問い合わせを生成し、該問い合わせについて前記患者履歴問い合わせエンジンによって取得された問い合わせ結果を表示するよう動作する患者ケース・ナビゲーション・ツールとを有する、
システム。
【請求項13】
請求項12記載のCDSシステムであって、前記患者ケース・ナビゲーション・ツールが、選択された患者治療履歴の前記フローチャート表現のノードのユーザー選択に応答して、選択されたノードを含む患者治療履歴に係る情報を要求する問い合わせを生成するよう動作する、システム。
【請求項14】
請求項12または13記載のCDSシステムであって、前記患者ケース・ナビゲーション・ツールが、前記問い合わせ結果を、該問い合わせ結果のグラフィカルな統計的表現として表示するよう動作する、システム。
【請求項15】
請求項14記載のCDSシステムであって、前記結果として生じる問い合わせが、患者特性に対するグラフィカルな統計的表現として呈示される、システム。
【請求項16】
臨床決定支援(CDS)方法であって:
患者治療履歴を含む患者治療履歴データベースから患者治療履歴を選択する段階と;
選択された患者治療履歴のフローチャート表現を表示する段階と;
概観オプションのユーザー選択に応答して、選択された患者治療履歴の少なくとも一部分のフローチャート表現を、選択された患者治療履歴と一致しない、患者非特異的な治療指針の一部または全部のフローチャート表現と一緒のコンテキストにおいて含む概観を表示する段階とを含む、
方法。
【請求項17】
請求項16記載のCDS方法であって、さらに:
前記選択された患者治療履歴のフローチャート表現を、前記選択された患者治療履歴と一致しない、患者非特異的な治療指針の一部または全部の前記フローチャート表現のコンテキストから視覚的に知覚できるように描くことをさらに含む、
方法。
【請求項18】
請求項16または17記載のCDS方法であって:
表示されたフローチャート表現のユーザー選択されたノードに応答して前記患者治療履歴データベースに問い合わせをして、選択されたノードを含む患者治療履歴についての患者情報を取得する段階と;
取得された患者情報またはその統計的表現を表示する段階とをさらに含む、
方法。
【請求項19】
請求項18記載のCDS方法であって:
表示された取得された患者情報またはその統計的表現からユーザーによって選択された患者についての患者医療情報を表示する段階をさらに含む、
方法。
【請求項20】
請求項16ないし19のうちいずれか一項記載のCDS方法を実行するようデジタル・プロセッサによって実行可能な命令を記憶する記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−527029(P2012−527029A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510389(P2012−510389)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051543
【国際公開番号】WO2010/131132
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】