説明

多レートのねじり継手

多レートねじり継手(20)は、入力(24)及び出力(22)部材の間の並列な第1及び第2の駆動連結部(82及び84)を特徴とする。第1の駆動連結部(82)は第1の弾性継手(38)を介して延在し、第2の駆動連結部(84)は第2の弾性継手(40)を介して延在している。角度的遊び継手(70)は、より高いバネレートでねじり継手(20)を介して付加的なトルクを伝達するための特定のトルク負荷で第2の駆動連結部(84)に係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年6月27日出願の米国仮出願第60/816,690の利益を主張し、この出願は参照によりここに組み込まれている。
【0002】
本発明は、動力伝達経路に沿ってトルクを伝達するねじり継手、特に、車両の動力伝達経路をエンジンの乱れから隔離するようなねじり継手に関する。
【背景技術】
【0003】
連続する角振動を含み得る動力伝達経路でのねじれ乱れは、動力伝達経路の構成部品の性能と信頼性を危うくする。例えば、ねじり振動は動力伝達経路の構成部品における損傷、過剰な摩耗及び騒音を生じさせる。
【0004】
動力伝達経路の駆動及び被駆動部材間の可撓性ねじり継手は、エンジンの着火衝撃のようなエンジン乱れからトルク変動を平滑化して、そして負荷されている動力伝達経路内での関連する共振と他のねじり振動を減らすことができる。可撓性ねじり継手は、駆動及び被駆動部材の間に柔軟な連結をもたらすエラストマーあるいは他の弾性要素を含むことができる。エラストマーは、エラストマーに適用されたトルクに応じて、駆動及び被駆動部材の間に角度的撓みを許すことによる、所定のバネレート関数を示す。
【0005】
振動を減衰させる目的のために、特に、トラクターや建設車両のような重作業用車両の動力伝達経路においては、異なるバネレート関数が異なるトルク負荷及び速度にとっていっそう効果的である。本発明の譲受人であるロード(Lord)社のスウィーニー(Sweeney)及びその他への特許文献1で開示された可撓性二重レート継手は、異なるトルク範囲について異なる減衰バネレートを提供するために連続するエラストマー継手を含んでいる。相対的に低いバネレートを示す第1のエラストマーは、トルク値の第1の範囲を通して振動を減衰させつつ、トルクを伝達することに対して効果的である。そして、相対的に高いバネレートを示す第2のエラストマーは、トルクを伝達すること及びトルク値の第2の範囲を通して振動を減衰させることに対して効果的である。2つの範囲は、角度変位を制限する緩衝装置(snubber device)によって線引きされ、この緩衝装置により、エラストマーの1つがトルクを伝達すべく作動し続けつつ、他方のエラストマーが作動することが許容される。このスウィーニー及びその他への特許文献1はここに参照によって組み込まれている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第 5,573,462号明細書
【発明の開示】
【0007】
その好ましい実施形態での本発明は、駆動及び被駆動部材の間に並列に多数の弾性継手を用いることによって、異なる範囲のトルクに亘り異なるバネレート関数を示すことができるねじり継手を特徴としている。駆動及び被駆動部材の間での第1の低範囲のトルク伝達の際に、第1の弾性継手は第2の弾性継手とは独立にトルクを伝達すべく配置され得、そして駆動及び被駆動部材の間での第2のより高い範囲のトルク伝達の際には、第1及び第2の弾性継手は相互にトルクを伝達すべく配置され得る。
【0008】
弾性継手は、固定されも、そして相対運動において機械的に制限されもしない。しかしながら、第2の弾性継手は、第1の弾性継手が所定の角度量だけ撓む(すなわち、所定の量の角度撓みがすでに駆動及び被駆動部材の間に起こっている)まで、トルクを伝達することから係合解除されて留まっている。1つの弾性継手は、第1の範囲の低い動力伝達経路のトルク負荷に関連する振動を減衰させるために相対的に低いバネレートを示す。両弾性継手は、第2の範囲のより高い動力伝達経路のトルク負荷に関連する振動を減衰させるために相対的に高いバネレートを示すべく組み合っている。より高いトルク負荷において2つの弾性継手のトルク伝達能力を組み合わせることによって、いずれの弾性継手もひときわ高いバネレートを示すことも、あるいは全範囲のトルク負荷を伝達することも必要とされない。
【0009】
多レートのねじり継手としての本発明の一形態は、入力部材及び出力部材の間に並列の連結部を有している。入力部材及び出力部材の間の第1の駆動連結部は第1の弾性継手を介して延在している。入力部材及び出力部材の間の第2の駆動連結部は第2の弾性継手を介して延在している。第2の駆動連結部に沿った角度的遊び継手は、遊び角の閾値を介して入力部材及び出力部材が相対的に角度的に変位されるまで、第2の駆動連結部が入力部材及び出力部材の間で、第1の駆動連結部と共にトルクを伝達することから少なくとも部分的に係合解除されて残るのを許容する。
【0010】
好ましくは、第1の駆動連結部は、遊び角の閾値よりも小さい入力部材及び出力部材の角度的変位で、入力部材及び出力部材間のトルクを伝達すべく単独で作動する。しかしながら、第1の駆動連結部及び第2の駆動連結部は、遊び角の閾値よりも大きい入力部材及び出力部材の角度的変位で、入力部材及び出力部材間のトルクを伝達すべく並列に係合される。いくらかの好ましい実施形態については、遊び角の閾値が10度と30度の間にあり、より好ましくは、遊び角の閾値が15度と25度の間、さらに好ましくは、遊び角の閾値が18度と22度の間にあってもよい。
【0011】
第1及び第2の弾性継手は、単位角度の変位量当たりの所与のトルク量に対応する、それぞれのバネレート関数を示す。第1の駆動連結部及び第2の駆動連結部が並列に係合されたときは、入力部材及び出力部材間の単位角度の変位量当たりのトルク量は、第1及び第2の弾性継手のバネレートの合計に関係付けられる。しかしながら、入力部材及び出力部材間の単位角度の変位量当たりのトルク量は、第2の駆動連結部が第1の駆動連結部と並列に係合される前の第1の弾性継手のバネレートにより密接に関係付けられる。
【0012】
多レートの継手は、入力部材及び出力部材の間に位置された第3の弾性継手を介しての第3の駆動連結部を含む、付加的な駆動連結部を含むことができる。第2の角度的遊び継手は、該第3の駆動連結部の一部を形成して、第2の遊び角の閾値を介して入力部材及び出力部材が相対的に角度的に変位されるまで、第3の駆動連結部が入力部材及び出力部材の間で、第1及び第2の駆動連結部と共にトルクを伝達することから少なくとも部分的に係合解除されて残るのを許容する。好ましくは、該第2の遊び角の閾値は、第1の遊び角の閾値より大きい。
【0013】
第1の駆動連結部は、第1の遊び角の閾値よりも小さい入力部材及び出力部材の角度的変位で、入力部材及び出力部材間のトルクを伝達すべく係合される。第1の駆動連結部及び該第2の駆動連結部は、第1の遊び角の閾値よりも大きい入力部材及び出力部材の角度的変位で、入力部材及び出力部材間のトルクを伝達すべく並列に係合する。そして、該第1の駆動連結部、該第2の駆動連結部及び第3の駆動連結部は、第2の遊び角の閾値よりも大きい入力部材及び出力部材の角度的変位で、入力部材及び出力部材間のトルクを伝達すべく並列に全て係合される。
【0014】
動力伝達経路の振動を減衰させるねじり継手としての本発明の他の形態は、第1及び第2の動力伝達経路連結具と、該第1及び第2の動力伝達経路連結具を別々に連結する第1及び第2のエラストマーを含んでいる。第1の動力伝達経路連結具に回転すべく連結された複合的駆動ハブは、第1のエラストマーに係合される第1の接触面と第2のエラストマーに係合される第2の接触面とを有している。第2の動力伝達経路連結具に回転すべく連結された直接駆動ハブは、第1のエラストマーに係合される第1の対向接触面を有している。角度的遊び継手を介して第2の動力伝達経路連結具に回転すべく連結された間接駆動ハブは、第2のエラストマーに係合される第2の対向接触面を有している。該角度的遊び継手は、a)トルクの第1の範囲が、第2のエラストマーと実質的に独立で第1のエラストマーを介して、第1及び第2の動力伝達経路連結具の間で伝達される第1の連結位置、及びb)トルクのより高い第2の範囲が、第1及び第2のエラストマーの両者を介して、第1及び第2の動力伝達経路連結具の間で伝達される第2の連結位置を有している。
【0015】
該角度的遊び継手は、第1及び第2の動力伝達経路連結具が共通の回転軸線の回りに相対的に角度的に変位されるにつれて、第1の連結位置から第2の連結位置に累進的に移行され得る。角度的遊び継手は、第1及び第2の動力伝達経路連結具が遊び角の閾値を介して相対的に角度的に変位されるまで、第2のエラストマーが第1及び第2の動力伝達経路連結具の間のトルク伝達から少なくとも部分的に係合解除されて残るのを許容する。第1のエラストマーは、好ましくは、第2のエラストマーが第1及び第2の動力伝達経路連結具の間にトルクを伝達するために完全に係合される前に、所定の角度量により剪断される。
【0016】
複合的駆動ハブ、直接駆動ハブ及び間接駆動ハブは、好ましくは、入力部材及び出力部材と共通の回転軸線を共有し、そして第1及び第2のエラストマーは、好ましくは、該共通の回転軸線から異なる距離で共通の半径方向平面内に位置されている。複合的駆動ハブの第1及び第2の接触面は、直接及び間接の駆動ハブの第1及び第2の対向接触面に半径方向に挟まれていてもよい。例えば、複合的駆動ハブの第1の接触面は直接駆動ハブの第1の対向接触面の半径方向内側に存し、複合的駆動ハブの第2の接触面は間接駆動ハブの第2の対向接触面の半径方向内側に存し、そして直接駆動ハブの第1の対向接触面は複合的駆動ハブの第2の接触面の半径方向内側に存する。
【0017】
トルク過負荷保護を与えるような目的のために、第1の接触面及び第1の対向接触面の一方は、第1のエラストマーに接着され、そして第1の接触面と第1の対向接触面の他方は、複合的駆動ハブ及び直接駆動ハブの間に伝達されるトルク負荷を制限すべく、第1のエラストマーに同様には接着されていない。同様に、第2の接触面及び第2の対向接触面の一方は第2のエラストマーに接着され、そして第2の接触面及び第2の対向接触面の他方は、複合的駆動ハブと間接駆動ハブの間に伝達されるトルク負荷を制限すべく、第2のエラストマーに同様には接着されていない。第1の動力伝達経路連結具は、動力伝達経路の駆動軸に連結されるために適合され、第2の動力伝達経路連結具はエンジンフライホイールに連結されるために適合されてもよい。
【0018】
加えて、ねじり継手は第1の動力伝達経路連結具及び第2の動力伝達経路連結具を連結するための第3のエラストマーをさらに含んでもよい。複合的駆動ハブは第3のエラストマーに係合される第3の接触面を有している。第2の間接駆動ハブは、第2の角度的遊び継手を介して第2の動力伝達経路連結具に回転すべく連結されてもよく、第3のエラストマーに係合される第3の対向接触面を有していてもよい。該第2の角度的遊び継手は、a)トルクの第1の範囲及び第2の範囲が、第1及び第2のエラストマーの一方又は両方を介して、第1及び第2の動力伝達経路連結具の間で伝達される第1の連結位置、及びb)トルクのより高い第3の範囲が、第1、第2及び第3のエラストマーを介して、第1及び第2の動力伝達経路連結具の間で伝達される第2の連結位置を有することができる。
【0019】
動力伝達経路の振動を減衰させるための多レートのねじり継手としての本発明の他の形態は、入力部材及び出力部材の間の複数の並列な駆動連結部を含んでいる。該複数の駆動連結部の各々は、弾性部材が関係する駆動連結部に沿うトルクの伝達に応じた所与のバネレート関数で角度的に撓む弾性部材を有している。アクチュエーター配列が、入力部材及び出力部材の間の効率的なバネレートが、並列な駆動連結部の異なる組み合わせ内での弾性部材のバネレートの合計として、変化するように、入力部材及び出力部材の間の並列な駆動連結部の異なる係合を制御する。
【0020】
並列な駆動連結部の異なる組み合わせは、単一及び多数の駆動連結部の両者を含むことができる。アクチュエーターは、入力部材及び出力部材間の付加的なトルクの伝達に応じて1つ以上の付加的な駆動連結部に係合すべく配列されてもよい。弾性部材は、好ましくは、入力部材及び出力部材の一方に直接に連結する剪断継手を含む。剪断継手の少なくとも1つは、好ましくは、入力部材及び出力部材の他方に直接に連結され、剪断継手の少なくとも他の1つは、好ましくは、アクチュエーター配列を介して入力部材及び出力部材の他方に間接的に連結されている。アクチュエーター配列は、入力部材及び出力部材が遊び角の閾値を介して相対的に角度的に変位されるまで、トルクの伝達から少なくとも部分的に係合解除されて残るのを許容する、並列の駆動連結部の少なくとも1つに沿う角度的遊び継手を含むことができる。
【0021】
動力伝達経路の振動を減衰させる方法としての本発明の他の形態は、入力部材及び出力部材間の動力伝達経路に沿って多レートのねじり継手を連結する。入力部材及び出力部材は、多レートのねじり継手を介して並列の第1及び第2の駆動連結部に相互に連結される。第1の駆動連結部は、伝達されるトルクの関数として入力部材及び出力部材の間の相対的な角度的撓みを許容する第1の弾性部材を介して、入力部材及び出力部材の間にトルクを伝達する。第2の駆動連結部は、入力部材及び出力部材が遊び角の閾値を介して相対的に角度的に変位されるまで、第2の弾性部材を介しての入力部材及び出力部材の間のトルク伝達から少なくとも部分的に制限される。第2の駆動連結部は、入力部材及び出力部材が少なくとも遊び角の閾値を介して相対的に角度的に変位された後、第2の弾性部材を介しての入力部材及び出力部材の間のトルク伝達に貢献する。
【0022】
第1の弾性部材は、遊び角の閾値までの角度的変位に対して減衰作用を提供し、そして第1及び第2の弾性部材は、遊び角の閾値を超える角度的変位に対して組み合わされた減衰作用を提供する。第2の駆動連結部は、遊び角の閾値に近づきつつ累進的に係合され得る。
【0023】
多レートのねじり継手で過負荷保護を与える方法としての本発明のさらに他の形態は、入力部材及び出力部材の間の並列な第1及び第2の駆動連結部に沿って取付けられた第1及び第2の弾性部材を有する多レートのねじり継手の入力部材及び出力部材の間にトルクを伝達することを含む。第1及び第2の弾性部材は、入力部材及び出力部材が遊び角の閾値を介して相対的に角度的に変位されるまで、第2の駆動連結部が係合解除されて残るのを許容する整列位置で、それらの第1及び第2の駆動連結部に摩擦連結される。過負荷のトルクは、第1及び第2の弾性部材の少なくとも一方が第1及び第2の駆動連結部から一時的に連結解除し、第1及び第2の弾性部材の他方に関して相対的に整列外に移動するのを許容することにより、吸収される。しかしながら、弾性部材は、入力部材及び出力部材が遊び角の閾値を介して相対的に角度的に変位されるまで、第2の駆動連結部が係合解除されて残るのを許容する関係に戻るべく、第1及び第2の駆動連結部内で互いに関して再整列され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
動力伝達経路10の限定された部分が図1に示されている。図1に示されているのは、駆動軸14を、内燃機関のような動力プラントのフライホイール16に連結する本発明のために熟考されたタイプのねじり継手12である。動力伝達経路10は、本発明が特に適用可能であるトラクターあるいは建設車両の動力伝達経路を含む多くの車両用動力伝達経路の代表である。
【0025】
本発明による多レートのねじり継手20のより詳細な図は、図2と3で提示されている。多レート継手20は、駆動軸14を連結するためのスプライン付連結器22とフライホイール16を連結するためのフランジ24との普通の特徴を含んでいる。スプライン付連結器22とフランジ24は共に動力伝達経路の連結具としての機能を果たしている。動力伝達経路10に沿う動力伝達の通常の方向では、フランジ24は入力部材であるとみなされ得、そして、スプライン付連結器22は出力部材であるとみなされ得る。しかしながら、トルク移送はスプライン付連結器22とフランジ24との間でいずれの方向でも起こり得る。多レートの継手20を動力伝達経路10に連結するためには、キーチャンネル、くびき、ブッシング、又はフランジあるいはスプライン連結器の組み合わせを含む、他の動力伝達経路連結具が用いられてもよい。
【0026】
スプライン付連結器22は、内側及び外側のエラストマーリング38及び40の内側の表面34及び36に係合させるための内側及び外側の同心のハブ30及び32を有している複合的な駆動ハブ28(図3を見よ)にリベット26付けられるか、さもなければ固定される。同心のハブ30及び32の接触面42及び44は、エラストマーリング38及び40の内側の表面34及び36に結合されている。フランジ24の延長部としての、直接駆動ハブ46は、内側のエラストマーリング38の外側の表面50に摩擦係合する対向接触面48を含んでいる。開口52は、内側の同心のハブ30の接触面42と直接駆動ハブ46の対向接触面48の間に、内側のエラストマーリング38の適切な取り付けをもたらしている。角度的遊び継手70を介して間接的にフランジ24に連結されている間接駆動ハブ56は、外側のエラストマーリング40の外側の表面60に摩擦係合する対向接触面58を含んでいる。開口62は、外側の同心のハブ32の接触面44と間接駆動ハブ56の対向接触面58の間に、外側のエラストマーリング40の適切な取り付けをもたらしている。
【0027】
角度的遊び継手70は、間接駆動ハブ56から、フランジ24を貫通して形成された弧状のスロットすなわちチャンネル74(同じく図2をも見よ)内へ突出しているタブ72を含んでいる。タブ72は、フランジ24に関して、間接駆動ハブ56と一緒に共通の軸線76の回りを、制限された角度量に亘り両方向に、すなわち、閾い遊び角α)に亘り、タブ72がチャンネル74の端壁78及び80に遭遇するまで回転する。一旦、端壁78又は80に係合すると、タブ72は間接駆動ハブ56とフランジ24との間にトルクを伝達することができる。
【0028】
2つの別個の駆動連結部82及び84がスプライン付連結器22とフランジ24の間にもたらされている。両者は複合的な駆動ハブ28の部分を分担している。通常の出力端部にて始まり、そして通常の入力端部に向かって働くとき、駆動連結部82は、内側の同心のハブ30と内側のエラストマーリング38を介して複合的な駆動ハブ28からフランジ24の延長部として形成されている直接駆動ハブ46から生じる。駆動連結部84は、外側の同心のハブ32と外側のエラストマーリング40の両方を介して複合的な駆動ハブ28から、角度的遊び継手70を介して間接的にフランジ24に連結されている間接駆動ハブ56から生じる。
【0029】
最初に、間接駆動ハブ56のタブ72は、フランジ24におけるチャンネル74の端壁78及び80に係合されていないので、ただ駆動連結部82だけがスプライン付連結器22とフランジ24の間にトルクを伝達するための位置にある。剪断継手として機能する内側のエラストマーリング38は、与えられたトルクの関数として、その内側表面34及び外側表面50の間で角度的に撓む(剪断する)。剪断の量は、伝達されたトルクに比例し、また、他に定義された関係では、剪断の角度当たりのトルクの単位で、「バネレート」と呼ばれ得る。内側のエラストマーリング38の内側表面34及び外側表面50の間での角度的な撓みはまた、スプライン付連結器22とフランジ24の間の角度的撓みに対応するのは明らかである。
【0030】
外側のエラストマーリング40と間接駆動ハブ56が、複合的な駆動ハブ28に直接に連結されると、間接駆動ハブ56のタブ72はフランジ24に関してスプライン付連結器22と共に撓む。内側のエラストマーリング38がさらに撓むと、タブ72を回し、チャンネル74の端壁78及び端壁80の一方又は他方に係合させ、これにより、遊び角αの閾値を使い果たし、スプライン付連結器22とフランジ24の間の他の駆動連結部84を係合させる。トルクの付加的な量は、両方の駆動連結部82及び84を介して伝達される。
【0031】
外側のエラストマーリング40を介しての駆動連結部84の係合は、駆動連結部82に沿っての内側のエラストマーリング38のそれ以上の撓みを制限しないが、しかし、スプライン付連結器22とフランジ24の間のそれ以上の撓みは、内側及び外側のエラストマーリング38及び40の組み合わされたバネレートによって抵抗される。外側のエラストマーリング40のバネレートは、内側のエラストマーリング38のバネレートより高いか、あるいは低くてもよいが、しかし、駆動連結部84の係合に伴っている組み合わされたバネレートは必ず高い。エラストマーリング38及び40を介しての駆動連結部82及び84は並列に作動するので、エラストマーリング38及び40のバネレートは合計される。
【0032】
図4のグラフは、スプライン付連結器22とフランジ24の間のニュートン・メートル(Nm)でのトルクの範囲を、同じくスプライン付連結器22とフランジ24の間の撓み角度域に亘りプロットしている。遊び角αの閾値は20度に設定されている。かくて、スプライン付連結器とフランジ24の間の全部のトルク負荷は、20度の撓みが達成されるまでは、内側のエラストマーリング38を介して、駆動連結部82によって持たされ、そしてその後、付加的なトルクは、エラストマーリング38及び40のそれぞれのバネレートに従って、駆動連結部82及び駆動連結部84の間に分配される。
【0033】
グラフから明らかであるように、撓み角が0度と20度の間での効果的なバネレートは、撓み角当たり凡そ5Nmに等しく、撓み角が20度と40度の間での効果的なバネレートは、撓み角当たり凡そ20Nmに等しい。最初の20度の撓みに亘る撓み角当たり5Nmのバネレートは、エラストマーリング38の単独に帰因し、第2の20度の撓みにおける撓み角当たり20Nmのバネレートは、エラストマーリング40の撓み角当たり15Nmのバネレートと組み合わされたエラストマーリング38の撓み角当たり5Nmのバネレートに帰因する。
【0034】
第2の駆動連結部84を係合させることに対して、この実施例においては、遊び角αの閾値が20度に設定されているが、振動を減衰させるような目的のために付加的な剛度が望まれるトルク負荷を調整するために、他の遊び角αの閾値が用いられてもよい。例えば、10度と30度の間の遊び角αの閾値の範囲が好ましく、15度と25度の間の範囲がより好ましく、そして、18度と22度の間の範囲がさらにいっそう好ましい。
【0035】
遊び角αの閾値は、トルク負荷の順方向及び逆方向、すなわち、駆動及び巡航のような反対の方向の間で異なってもよい。図2において、タブ72は、無負荷状態で端壁78と80から等距離のチャンネル74内に示されている。それで、遊び角αはトルク負荷の両方向に対して等しい。しかしながら、チャンネル74の中のタブ72を角度的に変位させるか、あるいはタブ72のこのポジションに関してチャンネル74のいずれかの端壁を伸ばすか、あるいは短くすることによって、遊び角αの閾値をトルク伝達の両方向の間で異ならせることができる。
【0036】
第2の駆動連結部84のより累進的な係合に関連する過渡的なバネレートは、フランジ24の中でのタブ72と端壁78及び80との間の弾性、あるいはさもなければクッションを備えたインタフェースによって与えられる。例えば、エラストマーのパッド(不図示)がタブ72と端壁78及び80との間に位置され、遊び角αの閾値に近い制限された範囲の角度的撓みのために、エラストマーリング40に連続してもう1つのエラストマーを設けてもよい。エラストマーのパッドとエラストマーリング40との組み合わされたバネレート(その逆数は、エラストマーのパッドとエラストマーリング40のバネレートの逆数の合計によって見いだされる)は、好ましくは、エラストマーリング38のバネレートとエラストマーリング38及び40のバネレートの合計との間の範囲内にある。
【0037】
過負荷保護の目的のために、エラストマーリング38及び40は、好ましくは、それらが係合されているハブ28、46、あるいは56の1つに摩擦嵌合している。動力伝達経路10に損傷を与えるかもしれないトルク負荷において、エラストマーリング38及び40は過剰なトルクの伝達を制限すべく、滑るのが許容されてもよい。通常、エラストマーリング38及び40は、スプライン付連結器22とフランジ24とが遊び角αの閾値を介して相対的に変位されるまで、駆動連結部84が非係合で残ることを許容する合わせ位置でハブ28、46、あるいは56に摩擦連結されている。過負荷トルク(すなわち、ねじり継手12あるいはそれが取り付けられている動力伝達経路10に損傷を与えることがあり得るトルク量)は、2つのエラストマーリング38及び40の少なくとも1つが第1及び第2の駆動連結部から一時的に連結を解除し、そして第1及び第2の弾性部材の他方に関して合わせ位置から相対的に移動することを許容することにより対応される。しかしながら、弾性部材は、第1及び第2の駆動連結部内で互いに関して、再整列され得、入力部材及び出力部材が遊び角αの閾値を介して相対的に変位されるまで、第2の駆動連結部が係合解除されて残るのを許容する関係に戻る。
【0038】
再合わせ作業は、動力伝達経路10からのねじり継手12の取外しと、工場またはディーラーセッティングへのねじり継手12の戻しとを含むことができる。エラストマーリング38及び40、あるいは、ねじり継手12内のそれらの取付け部への損傷は、ねじり継手12を動力伝達経路内に再取付けるべく戻す前に、修理され得る。
【0039】
図5及び図6に概略的に示された多レートのねじり継手は、スプライン連結器98とフランジ100との間のトルク伝達範囲に亘り3つの異なるバネレートを提供する3つの駆動連結部92、94及び96の使用を図示している。駆動連結部92、94及び96のそれぞれは、その長さに沿ってエラストマーリング102、104又は106を含み、そして、駆動連結部92、94及び96は、スプライン連結器98とフランジ100の間に異なるバネレートでもってトルクを伝達するために異なる組み合わせで係合され得る。
【0040】
共通の軸線108の回りで回転すべくスプライン連結器98に固定されているのは複合的駆動ハブ110であり、エラストマーリング102の内表面118に接着された内側駆動ハブ112、エラストマーリング104の内表面120に接着された中間駆動ハブ114、及びエラストマーリング106の内表面122に接着された外側駆動ハブ116を含んでいる。共通の軸線108の回りで回転すべくフランジ100に固定されている直接駆動ハブ132は、エラストマーリング102の外表面124に摩擦係合している。角度的遊び継手138を介してフランジ100に間接的に連結される間接駆動ハブ134は、エラストマーリング104の外表面126に摩擦によって係合している。同様に、角度的遊び継手140を介して間接的にフランジ100に連結されている間接駆動ハブ136は、エラストマーリング106の外表面126に摩擦によって係合している。
【0041】
角度的遊び継手138(同じく図6参照)は、フランジ100を通して形成されている弧状のチャンネル144に間接駆動ハブ134から突出しているタブ142を含んでいる。スプライン連結器98に連結されている間接駆動ハブ134及びフランジ100が、遊び角α1の閾値を介して相対的に角度的に撓まされるまでは、駆動連結部94はスプライン連結器98とフランジ100の間のトルクの伝達に実質的に貢献しない。しかしながら、角度的遊び継手138を介して係合されると、駆動連結部94はスプライン連結器98とフランジ100の間に第2の並列な連結を提供する。
【0042】
同様に、角度的遊び継手140は、フランジ100を通して形成されている弧状のチャンネル148に間接駆動ハブ136から突出しているタブ146を含んでいる。スプライン連結器98に連結されている間接駆動ハブ136及びフランジ100が、遊び角α2の閾値を介して相対的に角度的に撓まされるまでは、駆動連結部96はスプライン連結器98とフランジ100の間のトルクの伝達に実質的に貢献しない。しかしながら、角度的遊び継手140を介して係合されると、駆動連結部96はスプライン連結器98とフランジ100の間に第3の並列な連結を提供する。
【0043】
スプライン連結器98とフランジ100の間のトルク負荷にかかわらずに、駆動連結部92は、そのエラストマーリング102を介してトルクを伝達すべく係合されたままである。トルク負荷の初期範囲に亘って、駆動連結部92はスプライン連結器98とフランジ100の間に唯一の連結を提供し、そのエラストマーリング102のバネレートに従って振動を減衰させる。少なくとも遊び角α1の閾値を介してエラストマーリング102の撓みをもたらしているトルク負荷の第2のより高い範囲に亘っては、駆動連結部94がスプライン連結器98とフランジ100の間に第2の連結を加え、エラストマーリング102と104の組み合わされたバネレートに従って振動を減衰させる。少なくとも遊び角α2の閾値を介してエラストマーリング102及び104の撓みをもたらしているトルク負荷の第3のさらにより高い範囲に亘っては、駆動連結部96がスプライン連結器98とフランジ100の間の第3の連結に貢献し、エラストマーリング102、104及び106の組み合わされたバネレートに従って振動を減衰させる。
【0044】
本実施形態及び前述の実施形態の角度的遊び継手138及び140は、間接駆動ハブのフランジへの選択的な連結を提供するけれども、間接駆動ハブをスプライン連結器98あるいは他の動力伝達経路の連結具の延長部に連結するために、同様に作用する角度的遊び継手が用いられてもよい。3つ以上の連結部を備えるデザインでは、角度的遊び継手の1つが入力駆動連結部に連結され、もう1つの角度的遊び継手が出力駆動連結部に連結され得る。加えて、中間のバネレートにて異なる駆動連結部を係合させるために影響を与えられたエラストマーリングに連続させて、弾性伝達機構が角度的遊び継手に組み込まれてもよい。他の周知のタイプの継手機構もまた、所定のレベルの撓み、トルク、あるいは回転速度に応じて、追加の駆動連結部を累進的に係合させるために用いられてもよい。
【0045】
より特定の目的に従って本発明を実施するのに十分な教示を当業者に提供するために、本発明は、より包括的な状況内で限定された数の実施形態を記述している。したがって、当業者に明らかな種々の修正及び適応が、本発明の意図された趣旨及び範囲から逸脱することなくなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明によるねじり継手を組み込んだ駆動系の一部の概略的な図解である。
【図2】2つの並列な駆動連結部を有している本発明による多レートねじり継手の前面図である。
【図3】図2の3−3線に沿う多レートの継手の側断面図である。
【図4】継手の入力部材及び出力部材間の角度的撓みの範囲に亘り多レートの継手によって伝達されるトルクの範囲のグラフである。
【図5】3つの駆動連結部を有している本発明による多レートのねじり継手の概略的な断面図である。
【図6】異なるトルク負荷において第2と第3駆動連結部を係合させるための2つの角度的遊び継手を描写する、図5の概略的なねじり継手の部分的な正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部材及び出力部材の間に並列の連結部を有する多レートのねじり継手であって、
入力部材及び出力部材の間の第1の弾性継手を介しての第1の駆動連結部、
入力部材及び出力部材の間の第2の弾性継手を介しての第2の駆動連結部、及び、
遊び角の閾値を介して入力部材及び出力部材が相対的に角度的に変位されるまで、第2の駆動連結部が入力部材及び出力部材の間で、第1の駆動連結部と共にトルクを伝達することから少なくとも部分的に係合解除されて残るのを許容する、第2の駆動連結部に沿った角度的遊び継手、
を備えることを特徴とする多レートのねじり継手。
【請求項2】
該第1の駆動連結部は、遊び角の閾値よりも小さい入力部材及び出力部材の角度的変位で、入力部材及び出力部材間のトルクを伝達すべく係合可能であり、そして、該第1の駆動連結部及び該第2の駆動連結部は、遊び角の閾値よりも大きい入力部材及び出力部材の角度的変位で、入力部材及び出力部材間のトルクを伝達すべく並列に係合可能である請求項1に記載の多レートのねじり継手。
【請求項3】
遊び角の閾値が10度と30度の間にある請求項2に記載の多レートのねじり継手。
【請求項4】
遊び角の閾値が15度と25度の間にある請求項2に記載の多レートのねじり継手。
【請求項5】
遊び角の閾値が18度と22度の間にある請求項2に記載の多レートのねじり継手。
【請求項6】
該第1及び第2の弾性継手は、角度の変位量の関数としての所与のトルク量に対応する、それぞれのバネレートを示し、且つ、該第1の駆動連結部及び該第2の駆動連結部が並列に係合されたときは、入力部材及び出力部材間の角度の変位量の関数としてのトルク量は、該第1及び第2の弾性継手のバネレートの合計に関係付けられる請求項2に記載の多レートのねじり継手。
【請求項7】
入力部材及び出力部材間の単位角度の変位量当たりのトルク量は、第2の駆動連結部が第1の駆動連結部と並列に係合される前の第1の弾性継手のバネレートに関係付けられる請求項6に記載の多レートのねじり継手。
【請求項8】
該第1及び第2の弾性継手が、第1及び第2のエラストマーによって構成されている請求項1に記載の多レートのねじり継手。
【請求項9】
入力部材及び出力部材の1つに連結された複合的駆動ハブは、第1及び第2の駆動連結部の共通部分を形成し、該複合的駆動ハブは第1のエラストマーに係合する第1の接触面及び第2のエラストマーに係合する第2の接触面を含んでいる請求項8に記載の多レートのねじり継手。
【請求項10】
a)第1の駆動連結部の一部を形成している直接駆動ハブは第1のエラストマーに係合している第1の対向接触面を含み、
b)角度的遊び継手と共に第2の駆動連結部の一部を形成している間接駆動ハブは第2のエラストマーに係合している第2の対向接触面を含んでいる請求項9に記載の多レートのねじり継手。
【請求項11】
該複合的駆動ハブ、直接駆動ハブ及び間接駆動ハブは、入力部材及び出力部材と共通の回転軸線を共有し、そして第1及び第2のエラストマーは該共通の回転軸線から異なる距離で共通の半径方向平面内に位置されている請求項10に記載の多レートのねじり継手。
【請求項12】
第1の接触面及び第1の対向接触面の一方は第1のエラストマーに接着され、そして第1の接触面及び第1の対向接触面の他方は、複合的駆動ハブと直接駆動ハブの間に伝達されるトルク負荷を制限すべく、第1のエラストマーに同様には接着されていない請求項10に記載の多レートのねじり継手。
【請求項13】
第2の接触面及び第2の対向接触面の一方は第2のエラストマーに接着され、そして第2の接触面及び第2の対向接触面の他方は、複合的駆動ハブと間接駆動ハブの間に伝達されるトルク負荷を制限すべく、第2のエラストマーに同様には接着されていない請求項12に記載の多レートのねじり継手。
【請求項14】
入力部材及び出力部材の間の第3の弾性継手を介しての第3の駆動連結部をさらに備え、角度的遊び継手は、遊び角の閾値が2つ以上の遊び角の閾値の第1のものである、2つ以上の角度的遊び継手の第1のものであり、第2の角度的遊び継手が第3の駆動連結部の一部を形成して、第2の遊び角の閾値を介して入力部材及び出力部材が相対的に角度的に変位されるまで、第3の駆動連結部が入力部材及び出力部材の間で、第1及び第2の駆動連結部と共にトルクを伝達することから少なくとも部分的に係合解除されて残るのを許容する請求項1に記載の多レートのねじり継手。
【請求項15】
該第2の遊び角の閾値は、第1の遊び角の閾値より大きい請求項14に記載の多レートのねじり継手。
【請求項16】
該第1の駆動連結部は、第1の遊び角の閾値よりも小さい入力部材及び出力部材の角度的変位で、入力部材及び出力部材間のトルクを伝達すべく係合可能であり、該第1の駆動連結部及び該第2の駆動連結部は、第1の遊び角の閾値よりも大きい入力部材及び出力部材の角度的変位で、入力部材及び出力部材間のトルクを伝達すべく並列に係合可能であり、そして、該第1の駆動連結部、該第2の駆動連結部及び第3の駆動連結部は、第2の遊び角の閾値よりも大きい入力部材及び出力部材の角度的変位で、入力部材及び出力部材間のトルクを伝達すべく並列に係合可能である請求項15に記載の多レートのねじり継手。
【請求項17】
動力伝達経路の振動を減衰させるねじり継手であって、
第1及び第2の動力伝達経路連結具、
該第1及び第2の動力伝達経路連結具を共に、別々に連結する第1及び第2のエラストマー、
第1の動力伝達経路連結具に回転すべく連結され、第1のエラストマーに係合される第1の接触面と第2のエラストマーに係合される第2の接触面とを有する複合的駆動ハブ、
第2の動力伝達経路連結具に回転すべく連結され、第1のエラストマーに係合される第1の対向接触面を有する直接駆動ハブ、
角度的遊び継手を介して第2の動力伝達経路連結具に回転すべく連結され、第2のエラストマーに係合される第2の対向接触面を有する間接駆動ハブ、
を備え、
該角度的遊び継手が、
a)トルクの第1の範囲が、第2のエラストマーと実質的に独立で第1のエラストマーを介して、第1及び第2の動力伝達経路連結具の間で伝達される第1の連結位置、及び
b)トルクのより高い第2の範囲が、第1及び第2のエラストマーの両者を介して、第1及び第2の動力伝達経路連結具の間で伝達される第2の連結位置を有するねじり継手。
【請求項18】
該角度的遊び継手は、第1及び第2の動力伝達経路連結具が共通の回転軸線の回りに相対的に角度的に変位されるにつれて、第1の連結位置から第2の連結位置に累進的に移行される請求項17に記載のねじり継手。
【請求項19】
該角度的遊び継手は、第1及び第2の動力伝達経路連結具が遊び角の閾値を介して相対的に角度的に変位されるまで、第2のエラストマーが第1及び第2の動力伝達経路連結具の間のトルク伝達から少なくとも部分的に係合解除されて残るのを許容する請求項18に記載のねじり継手。
【請求項20】
第1のエラストマーは、第2のエラストマーが第1及び第2の動力伝達経路連結具の間にトルクを伝達するために完全に係合される前に、所定の角度量により剪断される請求項19に記載のねじり継手。
【請求項21】
遊び角の閾値が10度と30度の間にある請求項19に記載のねじり継手。
【請求項22】
遊び角の閾値が15度と25度の間にある請求項19に記載のねじり継手。
【請求項23】
遊び角の閾値が18度と22度の間にある請求項19に記載のねじり継手。
【請求項24】
該第1及び第2のエラストマーは、角度の変位量の関数としての所与のトルク量に対応する、それぞれのバネレートを示し、且つ、該角度的遊び継手が第2の連結位置にあるときは、第1及び第2の動力伝達経路連結具の間の角度の変位量の関数としてのトルク量は、該第1及び第2のエラストマーのバネレートの合計に関係付けられる請求項17に記載のねじり継手。
【請求項25】
第1及び第2の動力伝達経路連結具の間の単位角度の変位量当たりのトルク量は、該角度的遊び継手が第1の連結位置にあるときは、第1のエラストマーのバネレートに関係付けられる請求項24に記載のねじり継手。
【請求項26】
複合的駆動ハブ、直接駆動ハブ及び間接駆動ハブは、第1及び第2の動力伝達経路連結具と共通の回転軸線を共有し、そして第1及び第2のエラストマーが共通の回転軸線から異なる距離で共通の半径方向平面に位置されている請求項17に記載のねじり継手。
【請求項27】
複合的駆動ハブの第1及び第2の接触面は、直接及び間接の駆動ハブの第1及び第2の対向接触面に半径方向に挟まれている請求項26に記載のねじり継手。
【請求項28】
複合的駆動ハブの第1の接触面は直接駆動ハブの第1の対向接触面の半径方向内側に存し、複合的駆動ハブの第2の接触面は間接駆動ハブの第2の対向接触面の半径方向内側に存し、そして直接駆動ハブの第1の対向接触面は複合的駆動ハブの第2の接触面の半径方向内側に存する請求項26に記載のねじり継手。
【請求項29】
第1の接触面及び第1の対向接触面の一方は、第1のエラストマーに接着され、そして第1の接触面と第1の対向接触面の他方は、複合的駆動ハブ及び直接駆動ハブの間に伝達されるトルク負荷を制限すべく、第1のエラストマーに同様には接着されていない請求項17に記載のねじり継手。
【請求項30】
第2の接触面及び第2の対向接触面の一方は第2のエラストマーに接着され、そして第2の接触面及び第2の対向接触面の他方は、複合的駆動ハブと間接駆動ハブの間に伝達されるトルク負荷を制限すべく、第2のエラストマーに同様には接着されていない請求項29に記載の多レートのねじり継手。
【請求項31】
第1の動力伝達経路連結具は、動力伝達経路の駆動軸に連結されるために適合され、第2の動力伝達経路連結具はエンジンフライホイールに連結されるために適合されている請求項17に記載のねじり継手。
【請求項32】
第1の動力伝達経路連結具及び第2の動力伝達経路連結具を一緒に連結するための第3のエラストマーをさらに備え、複合的駆動ハブは第3のエラストマーに係合される第3の接触面を有し、間接駆動ハブは複数の間接駆動ハブの第1のものであり、そして第2の間接駆動ハブは、第2の角度的遊び継手を介して第2の動力伝達経路連結具に回転すべく連結され、第3のエラストマーに係合される第3の対向接触面を有している請求項17に記載のねじり継手。
【請求項33】
該第2の角度的遊び継手が、
c)トルクの第1の範囲及び第2の範囲が、第1及び第2のエラストマーの一方又は両方を介して、第1及び第2の動力伝達経路連結具の間で伝達される第1の連結位置、及び
b)トルクのより高い第3の範囲が、第1、第2及び第3のエラストマーを介して、第1及び第2の動力伝達経路連結具の間で伝達される第2の連結位置を有する請求項23に記載のねじり継手。
【請求項34】
入力部材及び出力部材の間の複数の並列な駆動連結部、
該複数の駆動連結部の各々は、弾性部材が関係する駆動連結部に沿うトルクの伝達に応じた所与のバネレートで角度的に撓む弾性部材を有し、
入力部材及び出力部材の間の効率的なバネレートが、並列な駆動連結部の異なる組み合わせ内での弾性部材のバネレートの合計として、変化するように、入力部材及び出力部材の間の並列な駆動連結部の異なる係合を制御するアクチュエーター配列を備えることを特徴とする動力伝達経路の振動を減衰させるための多レートのねじり継手。
【請求項35】
並列な駆動連結部の異なる組み合わせは、単一及び多数の駆動連結部の両者を含む請求項34に記載の多レートの継手。
【請求項36】
アクチュエーターは、入力部材及び出力部材間の付加的なトルクの伝達に応じて1つ以上の付加的な駆動連結部に係合する請求項35に記載の多レートの継手。
【請求項37】
弾性部材は、入力部材及び出力部材の一方に直接に連結される剪断継手を含む請求項34に記載の多レートの継手。
【請求項38】
剪断継手の少なくとも1つは、入力部材及び出力部材の他方に直接に連結され、剪断継手の少なくとも他の1つは、アクチュエーター配列を介して入力部材及び出力部材の他方に間接的に連結されている請求項37に記載の多レートの継手。
【請求項39】
アクチュエーター配列は、入力部材及び出力部材が遊び角の閾値を介して相対的に角度的に変位されるまで、トルクの伝達から少なくとも部分的に係合解除されて残るのを許容する、並列の駆動連結部の少なくとも1つに沿う角度的遊び継手を含む請求項38に記載の多レートの継手。
【請求項40】
入力部材及び出力部材の間の動力伝達経路に沿い多レートのねじり継手を連結し、
多レートのねじり継手を介して、入力部材及び出力部材を第1及び第2の駆動連結部に相互に連結し、
伝達されるトルクの関数として入力部材及び出力部材の間の相対的な角度的撓みを許容する第1の弾性部材を介しての入力部材及び出力部材の間のトルク伝達のために第1の駆動連結部を配列し、
入力部材及び出力部材が遊び角の閾値を介して相対的に角度的に変位されるまで、第2の弾性部材を介しての入力部材及び出力部材の間のトルク伝達から第2の駆動連結部を少なくとも部分的に制限し、そして
入力部材及び出力部材が少なくとも遊び角の閾値を介して相対的に角度的に変位された後、第2の弾性部材を介しての入力部材及び出力部材の間のトルク伝達に貢献するために第2の駆動連結部を係合させる、
ステップを含むことを特徴とする動力伝達経路の振動を減衰させる方法。
【請求項41】
第1の弾性部材が、遊び角の閾値までの角度的変位に対して減衰作用を提供し、そして第1及び第2の弾性部材が、遊び角の閾値を超える角度的変位に対して組み合わされた減衰作用を提供する請求項40の方法。
【請求項42】
係合させるステップは、遊び角の閾値に近づく相対的な角度的変位のために第2の駆動連結部を累進的に係合させることを含む請求項41の方法。
【請求項43】
入力部材及び出力部材の間の並列な第1及び第2の駆動連結部に沿って取付けられた第1及び第2の弾性部材を有する多レートのねじり継手の入力部材及び出力部材の間にトルクを伝達し、
入力部材及び出力部材が遊び角の閾値を介して相対的に角度的に変位されるまで、第2の駆動連結部が係合解除されて残るのを許容する整列位置で、第1及び第2の弾性部材を第1及び第2の駆動連結部に摩擦連結し、
第1及び第2の弾性部材の少なくとも一方が第1及び第2の駆動連結部から一時的に連結解除し、第1及び第2の弾性部材の他方に関して相対的に整列外に移動するのを許容することにより、過負荷のトルクを吸収し、そして
入力部材及び出力部材が遊び角の閾値を介して相対的に角度的に変位されるまで、第2の駆動連結部が係合解除されて残るのを許容する関係に戻るべく、第1及び第2の駆動連結部内の弾性部材を互いに関して再整列させる
ステップを備えることを特徴とする、多レートねじり継手による過負荷保護の提供方法。
【請求項44】
過負荷のトルクを吸収するステップは、第1及び第2の弾性部材の両方が第1及び第2の駆動連結部から連結解除するのを許容することを含む請求項43の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−542992(P2009−542992A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518474(P2009−518474)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/071927
【国際公開番号】WO2008/002845
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(501337605)ロード・コーポレーション (12)