説明

多価肺炎球菌多糖類−タンパク質コンジュゲート組成物

13種類の異なる多糖類−タンパク質コンジュゲート、および所望によりアルミニウムをベースとするアジュバントを有する免疫原性組成物を記載する。各コンジュゲートは、キャリアタンパク質とコンジュゲートしたストレプトコッカスニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)の異なる血清型(1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、および23F)から調製された莢膜多糖類を含有する。ワクチンとして処方された免疫原性組成物は、世界中の乳児および子どもの肺炎球菌による疾患に対する適用範囲を広範に拡大し、血清群交差防御(cross-protection)の制限に依存しない血清型6Aおよび19Aへの適用範囲を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療分野、具体的には微生物学、免疫学、ワクチン、および病原菌による感染の免疫化による予防に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレプトコッカスニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)は、世界中の乳児および子どもの髄膜炎、肺炎、および重度侵襲性疾患の主な原因である。多価肺炎球菌多糖類ワクチンは、長年来認証されており、高齢者および高リスク患者の肺炎球菌による疾患の予防に有益であることが立証されている。しかし、殆どの肺炎球菌多糖類に対する乳児および子どもの応答は低い。7価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン(7vPnC、Prevnar(登録商標))は、その種の中でも、乳児および子どもの侵襲性疾患および中耳炎に対して高い免疫原性および効果を有することが示された最初のワクチンであった。今やこのワクチンは、世界中の多くの国で認証されている。Prevnarは、CRM197と呼ばれるキャリアタンパク質とそれぞれコンジュゲートした、血清型4、6B、9V、14、18C、19F、および23Fからの莢膜多糖類を含有する。Prevnarは、米国、欧州、および世界の他の地域における肺炎球菌による侵襲性疾患(IPD)の、それぞれ約80〜90%、60〜80%、および40〜80%をカバーしている[1,2]。Prevnar導入後、数年の間に収集された調査データは、予想通り、米国乳児の肺炎球菌による侵襲性疾患の減少を明示している(図1)[3,4]。
【0003】
Prevnar導入前の米国乳児で実施されたIPDの調査は、血清群6および19による疾患の大部分が、血清型6A(約3分の1)および血清型19A(約4分の1)に起因することを示した[5,6]。Prevnarの認証後に米国で実施された肺炎球菌による侵襲性疾患の調査は、負荷の大きい疾患が、依然として血清型6Aおよび19Aに起因することを示唆している(図1)[3]。さらにこれら2種類の血清型は、血清型1、3、5、および7Fの組合せよりも多くの侵襲性疾患の症例を占めている(8.2対3.3症例/2歳以下の子ども100,000人)。さらに、血清型6Aおよび19Aは、高い割合の抗生物質耐性を伴っている(図2)[7,8,9]。より多くの子どもが免疫を与えられると、血清群交差防御(cross-protection)によって血清型6Aおよび19Aの疾患の減少をもたらすことが可能であるが、その減少には限界があり、これらの血清型に起因する過重の疾患が残されることを示唆する証拠がある(以下参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血清型1、3、5、6A、7F、および19Aに起因する肺炎球菌による侵襲性疾患の相対的負荷の大きさおよび重要性を鑑みると、これらの血清型をPrevnar処方に加えることによって、米国および欧州では90%超、ならびにアジアおよびラテンアメリカでは70%〜80%にまで、侵襲性疾患への適用範囲が高まるはずである。このワクチンは、Prevnar以上に適用範囲を著しく拡大し、血清群交差防御の制限に依存しない6Aおよび19Aへの適用範囲を提供するはずである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、一般に、13種類の異なる多糖類−タンパク質コンジュゲートを、生理学的に許容できるビヒクルと共に含む多価免疫原性組成物を提供し、そのコンジュゲートのそれぞれは、キャリアタンパク質にコンジュゲートしたストレプトコッカスニューモニエの異なる血清型からの莢膜多糖類を含有する。所望により、処方には、アルミニウムをベースとするアジュバントなどのアジュバントが含まれる。より具体的には、本発明は、7vPnCワクチン(4、6B、9V、14、18C、19F、および23F)の7種類の血清型に加えて、6種類のさらなる血清型(1、3、5、6A、7F、および19A)を含む13価の肺炎球菌コンジュゲート(13vPnC)組成物を提供する。
【0006】
本発明はまた、莢膜多糖類がストレプトコッカスニューモニエの血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、および23Fからのものであり、キャリアタンパク質がCRM197である多価免疫原性組成物を提供する。
【0007】
本発明はさらに、莢膜多糖類がストレプトコッカスニューモニエの血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、および23Fからのものであり、キャリアタンパク質がCRM197であり、アジュバントがリン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、および水酸化アルミニウムなどのアルミニウムをベースとするアジュバントである多価免疫原性組成物を提供する。本発明の特定の一実施形態では、アジュバントはリン酸アルミニウムである。
【0008】
本発明はまた、多糖類−タンパク質コンジュゲートを、生理学的に許容できるビヒクルと共に含む多価免疫原性組成物を提供し、そのコンジュゲートのそれぞれは、キャリアタンパク質にコンジュゲートしたストレプトコッカスニューモニエの異なる血清型からの莢膜多糖類を含み、その莢膜多糖類は、血清型3および少なくとも1種類のさらなる血清型から調製される。
【0009】
この多価免疫原性組成物の一実施形態では、さらなる血清型は、血清型1、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、および23Fからなる群から選択される。別の実施形態では、キャリアタンパク質はCRM197である。さらに別の実施形態では、組成物は、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、および水酸化アルミニウムから選択されるアルミニウムをベースとするアジュバントなどのアジュバントを含む。特定の一実施形態では、アジュバントはリン酸アルミニウムである。
【0010】
本発明はまた、多糖類−タンパク質コンジュゲートを、生理学的に許容できるビヒクルと共に含む多価免疫原性組成物を提供し、そのコンジュゲートのそれぞれは、キャリアタンパク質にコンジュゲートしたストレプトコッカスニューモニエの異なる血清型からの莢膜多糖類を含み、その莢膜多糖類は、血清型4、6B、9V、14、18C、19F、23F、および少なくとも1種類のさらなる血清型から調製される。
【0011】
この多価免疫原性組成物の一実施形態では、さらなる血清型は、血清型1、3、5、6A、7F、および19Aからなる群から選択される。別の実施形態では、キャリアタンパク質はCRM197である。さらに別の実施形態では、組成物は、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、および水酸化アルミニウムから選択されるアルミニウムをベースとするアジュバントなどのアジュバントを含む。特定の一実施形態では、アジュバントはリン酸アルミニウムである。
【0012】
本発明はまた、免疫学的有効量の先に記載した免疫原性組成物のいずれかをヒトに投与することを含む、ストレプトコッカスニューモニエ莢膜多糖類コンジュゲートへの免疫応答を誘発する方法を提供する。
【0013】
さらに本発明は、投与される免疫原性組成物のいずれかが、4μgの6Bを除き、各糖類2μg、CRM197キャリアタンパク質約29μg、元素アルミニウムアジュバント0.125mg(リン酸アルミニウム0.5mg)、ならびに賦形剤としての塩化ナトリウムおよびコハク酸ナトリウム緩衝液を含有するように処方された単回用量0.5mLになるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
Prevnar血清型4、6B、9V、14、18C、19F、23Fの含有
1995〜1998の間のIPD調査からのデータによって、Prevnarの7種類の血清型が、2歳未満の子どものIPDの約82%の原因になっていると推測された[5]。効果的な試験地である北カリフォルニアでは、Prevnar血清型は、乳児および子どものIPD全ての症例の90%を占めていた[10]。2000年にPrevnarワクチンを導入して以来、ワクチン血清型に起因する疾患の減少により、全体的なIPD率の著しい減少があった[3,4]。したがって、今回、Prevnar血清型のいずれかを肺炎球菌コンジュゲートワクチンの次の代から除去するよりも、むしろより広い適用範囲を得るために、血清型を追加する正当な事由がある。
【0015】
血清型1、3、5、および7Fの含有
米国では、血清型1によって生ずる5歳未満の子どものIPD率は2%未満であり、タイプ3および7Fそれぞれとおよそ同じである[1,6]。血清型1および5は、肺炎球菌による侵襲性疾患に対して高い危険にさらされた米国人口において、より高いIPD率を占めている。特に血清型1は、アラスカ先住民の2歳未満の子どもではIPDを3.5%、2〜4歳の子どもでは18%生ずる[11]。血清型1および血清型5の両方は、世界の他の地域および先進国の土着人口において、著しく疾患を生じるものである[12,13,14]。
【0016】
血清型1はまた、他の肺炎球菌血清型と比較して、より重度の疾患に関連し得る[15]。この観察結果は、米国と欧州との間の症例同定率の差異、ならびに医療実施に関連する差異がベースとなっている。概して、IPDの発生率は米国よりも欧州の方が低い。しかし欧州では、血清型1によって生ずるIPDのパーセンテージが、米国と比較して不釣り合いに高い(それぞれ6〜7%対1〜2%)。欧州では、主に入院した子どもから血液培養物を得ている。米国では、39℃以上の発熱を示し白血球数が上昇した子どもに定めた、外来患者における日常の医療実施から血液培養物を得ている。医療実施の差異を鑑みると、米国では、血清型1によって生じる疾患のパーセンテージが低いほど、より軽度の疾患を生じる他の高い血清型率によって弱められていることがあるが、欧州では、パーセンテージが高いほど、より重篤な疾患であることを反映していると仮定される。さらに、併発性肺炎を有する子どもに関する血清疫学的研究によって、血清型1は不釣り合いに多いことが示されている[16,17,18]。このことは、血清型1を含有することによって、肺炎球菌による重度の疾患の量を低減すると同時に、肺炎球菌による侵襲性疾患の全体的な低減に寄与できることを示唆している。
【0017】
血清型3および7Fの追加によって、IPDに対する適用範囲が、世界の殆どの地域で約3%〜7%、アジアでは約9%増大することになる。したがって、11価のワクチンは、アジアではIPDを50%、全ての他の地域で約80%カバーするはずである[1,2]。これらの血清型は、中耳炎の適用範囲に対しても重要である[19]。中耳炎を生じる肺炎球菌血清型の多国間の研究において、Hausdorff等は、血清型3が全体で8番目に最も一般的な中耳液分離株であることを見い出した[20]。血清型3は、中耳炎に関連する肺炎球菌血清型の最大8.7%を占めていた。したがって、中耳炎ならびにIPDにおけるタイプ3および7Fの重要性からすると、肺炎球菌コンジュゲートワクチンへのそれらの含有は当然のことである。
【0018】
しかし、血清型3の多糖類に対して著しい免疫原性を示す多価肺炎球菌コンジュゲートワクチンを生成する試みは成功していない。例えば、11価の肺炎球菌タンパク質Dコンジュゲートワクチン(11−Pn−PD)の免疫原性および安全性の研究において、そのワクチンを3用量投与した後、追加用量の同じワクチンまたは肺炎球菌多糖類ワクチンを投与した乳児では、血清型3に対するプライミング効果は観測されなかった(Nurkka et al.(2004)Ped.Inf.Dis.J.,23:1008−1014)。別の研究では、数用量の11−Pn−PDを投与した乳児からのオプソニン食細胞の(opsonophagocytic)アッセイ(OPA)の結果は、血清型3について、試験した他の血清型に匹敵するレベルの抗体応答を示さなかった(Gatchalian et al.,17th Annual Meeting of the Eur.Soc.Paed.Inf.Dis.(ESPID),Poster No.4,PIA Poster Session 1,Istanbul Turkey,Mar.27,2001)。急性中耳炎の予防における11−Pn−PDの効果を評価したさらに別の研究では、そのワクチンは、血清型3によって生じるエピソードを予防しなかった(Prymula et al.www.thelancet.com,Vol.367:740−748(March 4,2006))。したがって、血清型3からの莢膜多糖類を含み、血清型3の多糖類に対する免疫原性応答を現すことができる肺炎球菌コンジュゲートワクチンは、現況技術に勝る著しい改善をもたらす。
【0019】
血清型6Aおよび19Aの含有
a.血清型6Aおよび19Aの疫学
文献の調査データは、血清型6Aおよび19Aが、血清型1、3、5、および7Fのを合わせたものと比べて、米国の2歳未満の子どもにおける肺炎球菌による侵襲性疾患の多くを占めることを示唆している(図1)[1,5]。さらに、これらの血清型には、一般に、抗生物質に対する抵抗性が伴い(図2)、中耳炎において重要な役割を担う[6,19,20]。6Aおよび9Aに起因する疾患を予防するための現在のPrevnarワクチンの能力は、明らかでない。13vPnCワクチンにおける6Aおよび19A成分の含有についての論理的根拠を以下に論ずる。
【0020】
b.6Bおよび19F多糖類によって誘発される6Aおよび19Aへの応答
認可済みのコンジュゲートしていない肺炎球菌多糖類ワクチン(2歳以上のヒトへの使用)は、6Aまたは6B莢膜多糖類のいずれかを含有していた[21]。23価の肺炎球菌多糖類ワクチンの処方時に得られた免疫原性データは、6Bの一価のワクチンが、6Aおよび6B莢膜両方に対する抗体を誘発したことを示した。IgGを評価するいくつかの試験、ならびに遊離多糖類および肺炎球菌コンジュゲートワクチンでの様々な集団におけるオプソニン食細胞のアッセイ(OPA)応答からのデータは、6B抗原によって6Aに対するIgG応答が誘発されるが、その応答性は一般に低く、6A有機体でのOPA活性は、6B有機体での活性とは異なっていることを示唆した[22,23,24,25]。さらに、高力価の6B抗体に応答する被検者は、6Aに対する活性を殆どまたは全く有することができない。
【0021】
高度な類似性が存在する6Aおよび6B莢膜多糖類の化学組成物とは対照的に、19Aおよび19F莢膜は、19A多糖類に2つのさらなる側鎖が存在することによって全く異なっている。当然のことながら、19F多糖類ワクチンで免疫を与えられたヒトボランティアで測定された免疫応答は、被検者の80%で19Fに対する応答が誘発されたが、19Aに対して応答したのは被検者のわずか20%であったことを示した[26]。コンジュゲートワクチンでの試験では、19F多糖類での免疫後の、血清型19Aに対する低レベルの交差反応性IgGおよびOPA応答も同様に証明されている[24,26]。
【0022】
6Aおよび19Aに対する交差反応性OPA応答に関する内部データは、米国の乳児で実施された7vPnCブリッジ試験(D118−P16)から得られた(図3)。これらの研究は他の研究者の発見と一致し、6B多糖類での免疫後、低レベルではあるが6A多糖類への交差反応性機能的抗体の誘発を示しており、19Fでの免疫後の19Aへの機能的抗体の誘発は殆ど示していない。
【0023】
動物モデルにおける6Aおよび19Aへの6Bおよび19F免疫のインパクト
多糖類免疫化の交差防御に対する潜在性を評価するために、動物モデルを使用した。Giebink等によって開発された中耳炎モデルの中、チンチラを、4価の多糖類外膜タンパク質(OMP)コンジュゲートワクチン(6B、14、19F、23F糖類を含有)またはプラシーボで免疫した[27]。この試験では、6Aについていくつかの交差防御が見られたが、統計的有意性に達するものではなく、中耳炎からの防御レベルは6Bの防御レベルよりも低かった。これと同じモデルにおいて、19F中耳炎からの防御は100%であったが、19A中耳炎からの防御はわずか17%であった。
【0024】
Saeland等は、8価の肺炎球菌破傷風コンジュゲートワクチン(6Bおよび19Fを含有する)で免疫した乳児からの血清を使用して、6A有機体での鼻腔内チャレンジの前に、肺感染モデルとしてのマウスを受動免疫した[28]。59の血清サンプルのうち、53%が6Bでの菌血症からマウスを防御し、37%が6Aから防御した。11価の肺炎球菌コンジュゲートワクチン(破傷風トキソイドにコンジュゲートした19Fを含有する)4用量で免疫した乳児からの血清で受動免疫したマウスに、同じモデルにおける19A有機体での鼻腔内チャレンジを与えた[29]。受動免疫し、チャレンジを与えたマウス100匹のうち、60匹のマウスには、肺組織で検出された19A有機体がなかったが、生理食塩水プラシーボを与えられた全てのマウスには有機体が同定された。しかし受動免疫は、このモデルにおける19F有機体でのチャレンジに対して防御しなかった。したがって、血清群19についてモデルの関連性は疑わしい。一般にこれらのモデルは、6A有機体への6B免疫の多少の生物学的インパクトの証拠を提供するが、異種血清型への効果は、同種血清型で観測されたものほど大きくなかった。19A有機体への19F免疫のインパクトは、これらのモデルからは十分に理解されていない。
【0025】
有効性/効果試験における6Aおよび19A疾患への6Bおよび19F多糖類コンジュゲート免疫のインパクト
7vPnCおよび9vPnC(7vPnCに血清型1および5を加える)有効性試験における6B、6A、19F、および19A血清型に起因する症例の疾患数を、表1に示す[30,10,31]。侵襲性疾患の症例の数は非常に少なく、血清型6Aおよび19Aについての結果を得ることができない。しかしフィンランドの中耳炎試験によって、多数の肺炎球菌分離株が生成された[32]。パープロトコル解析では、7vPnCは、血清型6Bに起因する中耳炎に対して84%(95% CI 62%、93%)の効果があり、血清型6Aに起因する中耳炎に対して57%(95% CI 24%、76%)の効果があった(表1)。それとは対照的に、7vPnCでの血清型に特異的な有効性は、19Fまたは19Aいずれかに起因する中耳炎に対して示されなかった。
【0026】
【表1】

【0027】
市販後のIPD調査データは、Prevnarの効果を評価するために疾病管理センターによって実施された症例対照試験からも利用可能である[33]。生後3〜23ヵ月の子どもに生じた肺炎球菌による侵襲性疾患の症例が、調査研究室で同定され、年齢およびジップコードによる3つの対照の症例と一致した。保護者と症例および対照の医療提供者とから承諾を得た後、病歴および免疫歴(被検者が少なくとも1用量のPrevnarを投与された場合、免疫したとみなした)を得た。2003年のICAACミーティングで、中間結果を提示した。6B、19F、19A、および6A疾患についての発見の概要を表2に提示する。これらのデータによって、Prevnarが、血清型6B疾患よりもいくらか低いレベルであるものの、6Aに起因する疾患を予防できることが示されている。これらのデータはまた、19Aに起因する侵襲性疾患に対する交差防御が制限されていることを示す。
【0028】
【表2】

【0029】
また、Prevnarの使用による公表済み解析[3]は、2歳未満の子どもにおいて、血清型6Bおよび19Fが、血清型6Aおよび19Aによって生じるIPDに中程度の減少をもたらしたことを示した(表1[3])。非免疫成人では、血清型6A、9A、9L、9N、18A、18B、18F、19A、19B、19C、23A、および23Bによって生じる疾患率(「全てのワクチン関連血清型」)がいくらか低減した(表2[3])。これらのデータによって、2歳未満の子どもにおけるPrevnarの使用による集団免疫は、血清型6Aおよび19Aについては軽度であったことが確立され、本発明の13vPnCワクチンへの血清型6Aおよび19Aの含有の根拠が与えられる。
【0030】
6Aおよび19Aの追加による結論
7vPnCワクチンに関する図1および表2に示されている市販後のIPD調査データおよび症例対照研究の結果は、上記の動物モデルにおける免疫応答および免疫性能の他の情報と一致し、6A疾患に対していくらかの交差防御があり得るが、6B疾患に対してはより低度であることを示唆している。さらに、19Aからの防御には制限があると思われる。したがって、血清型6Aおよび19Aを含有する13vPnCワクチンは、血清型6Bおよび19Fによる血清群交差防御の制限に依存しない適用範囲を提供する。
【0031】
したがって本発明は、13種類の異なる多糖類−タンパク質コンジュゲートを、生理学的に許容できるビヒクルと共に含む多価免疫原性組成物を提供し、そのコンジュゲートのそれぞれは、キャリアタンパク質にコンジュゲートした異なる莢膜多糖類を含有し、その莢膜多糖類は、ストレプトコッカスニューモニエの血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、および23Fから調製される。そのようなキャリアタンパク質の1つが、CRM197と呼ばれるジフテリアトキソイドである。さらに免疫原性組成物は、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、および水酸化アルミニウムなどのアルミニウムをベースとするアジュバントといったアジュバントを含むことができる。
【0032】
莢膜多糖類は、当業者に周知の標準の技術によって調製される。本発明では、莢膜多糖類は、ストレプトコッカスニューモニエの血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、および23Fから調製される。これらの肺炎球菌コンジュゲートは、個別のプロセスによって調製され、単回用量処方に処方される。例えば一実施形態では、大豆ベースの培地で各肺炎球菌多糖類血清型を増殖させる。次いで個々の多糖類を、遠心分離、沈殿、限外ろ過、およびカラムクロマトグラフィーによって精製する。精製した多糖類を化学的に活性化させて、キャリアタンパク質と反応することができる糖類を生成する。
【0033】
活性化すると、各莢膜多糖類は別々にキャリアタンパク質とコンジュゲートして、複合糖質を形成する。一実施形態では、各莢膜多糖類は、同じキャリアタンパク質にコンジュゲートする。この実施形態では、還元的アミノ化によってコンジュゲーションを実施する。
【0034】
多糖類の化学的活性化およびその後のキャリアタンパク質とのコンジュゲーションは、従来の手段によって実現される。例えば、米国特許第4,673,574および第4,902,506を参照されたい[34,35]。
【0035】
キャリアタンパク質は、好ましくは非毒性かつ非反応原性(nonreactogenic)であり、十分な量および純度で得られるタンパク質である。キャリアタンパク質は、通常のコンジュゲーション手順に順応するはずである。本発明の特定の一実施形態では、キャリアタンパク質としてCRM197を使用する。
【0036】
CRM197(Wyeth、Sanford、NC)は、カザミノ酸および酵母エキスベースの培地で増殖したコリネバクテリウムジフテリア株C7(β197)の培養物から単離した、ジフテリア毒素の非毒性変異(すなわちトキソイド)である。CRM197は、限外ろ過、硫酸アンモニウム沈殿、およびイオン交換クロマトグラフィーによって精製される。あるいは、CRM197は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,614,382に従って、組換え技術によって調製される。他のジフテリアトキソイドも、キャリアタンパク質としての使用に適している。
【0037】
他の適切なキャリアタンパク質には、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、コレラトキソイド(例えば、国際特許出願WO2004/083251に記載[38])、大腸菌(E.coil)LT、大腸菌ST、およびシュードモナスエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)からの外毒素Aなどの不活化細菌毒素が含まれる。外膜複合体c(OMPC)などの細菌外膜タンパク質、ポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、肺炎球菌溶血素、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌接着タンパク質(PsaA)、グループAまたはグループBストレプトコッカスからのC5aペプチダーゼ、あるいはヘモフィルスインフルエンザ(Haemophilus influenzae)タンパク質Dも使用することができる。オボアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin)(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、またはツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)などの他のタンパク質も、キャリアタンパク質として使用できる。
【0038】
莢膜多糖類をキャリアタンパク質にコンジュゲートした後、多糖類−タンパク質コンジュゲートを様々な技術によって精製する(多糖類−タンパク質コンジュゲートの量に対して強化する)。これらの技術には、濃縮/ダイアフィルトレーション操作、沈殿/溶出、カラムクロマトグラフィー、および深層ろ過が含まれる。以下の実施例を参照のこと。
【0039】
個々の複合糖質を精製した後、それらを化合して、ワクチンとして使用できる本発明の免疫原性組成物を処方する。本発明の免疫原性組成物の処方は、当分野で認められている方法を使用して実現することができる。例えば、13種類の個々の肺炎球菌コンジュゲートを、生理学的許容できるビヒクルと共に処方して、組成物を調製することができる。このようなビヒクルの具体例には、それらに限定されるものではないが、水、緩衝生理食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、およびデキストロース溶液が含まれる。
【0040】
いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、1種または複数のアジュバントを含む。本明細書に定義されるように、「アジュバント」は、本発明の免疫原性組成物の免疫原性を強化する働きをする物質である。したがってアジュバントは、しばしば免疫応答を高めるために与えられ、当業者には周知のものである。組成物の効果を高める適切なアジュバントには、それらに限定されるものではないが、以下が含まれる。
(1)水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等のアルミニウム塩(alum)、
(2)水中油エマルジョン処方(ムラミルペプチド(以下に定義)または細菌細胞壁成分などの他の特定の免疫賦活剤を含むまたは含まない)、例えば、
(a)スクアレンを5%、Tween80を0.5%、およびSpan85を0.5%(所望により、様々な量のMTP−PEを含有する(不要であっても、以下を参照のこと))を含有し、モデル110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA)などのマイクロフルイダイザーを使用して、サブミクロン粒子に処方したMF59(PCT公開番号WO90/14837)、
(b)スクアレンを10%、Tween80を0.4%、pluronicブロックトポリマーL121を5%、およびthr−MDP(以下参照)を含有し、サブミクロンエマルジョンにマイクロ流体化され、またはより大きい粒径のエマルジョンを生成するためにボルテックスされたSAF、ならびに、
(c)スクアレンを2%、Tween80を0.2%、ならびに米国特許第4,912,094号(Corixa)に記載の3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質A(MPL(商標))、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(Detox(商標))からなる群からの1種または複数の細菌細胞壁成分を含有する、Ribi(商標)アジュバント系(RAS)(Corixa,Hamilton,MT)、
(3)Quil AまたはSTIMULON(商標)QS−21(Antigenics,Framingham,MA)などのサポニンアジュバント(米国特許第5,057,540号)を使用することができ、またはISCOMs(免疫賦活複合体)など、それらから生成される粒子、
(4)米国特許第6,113,918号に記載の、細菌リポ多糖類、Corixaから入手可能であり、アミノアルキルグルコサミンホスフェート化合物(AGP)、あるいはそれらの誘導体または類似体などの合成脂質A類似体;このようなAGPの1つが、2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]エチル2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル]−2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]−b−D−グルコピラノシドであり、529としても知られており(以前はRC529として周知)、水性形態または安定なエマルジョンとして処方される;CpGモチーフ(複数)を含有するオリゴヌクレオチドなどの合成ポリヌクレオチド(米国特許第6,207,646号)、
(5)サイトカイン、例えばインターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12、IL−15、IL−18等)、インターフェロン(例えば、γインターフェロン)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、副刺激分子B7−1およびB7−2等、
(6)細菌性ADP−リボシル化毒素の無毒化変異体、例えば、野生型または変異形態のコレラ毒素(CT)(例えば、アミノ酸位置が29のグルタミン酸は、公開済み国際特許出願WO00/18434(WO02/098368およびWO02/098369も参照のこと)に従って、別のアミノ酸、好ましくはヒスチジンで置換される)、百日咳毒素(PT)、または大腸菌易熱性毒素(LT)、特にLT−K63、LT−R72、CT−S109、PT−K9/G129(例えば、WO93/13302およびWO92/19265を参照のこと)、ならびに
(7)組成物の効果を高めるために免疫賦活剤として作用する他の物質。
【0041】
ムラミルペプチドには、それらに限定されるものではないが、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニン−2−(1’−2’ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)等が含まれる。
【0042】
本発明のワクチン処方は、全身または粘膜経路を介してそのワクチンを投与することによって、肺炎球菌感染を受けやすいヒトを予防または治療するために使用できる。これらの投与には、筋肉内、腹腔内、皮内、または皮下経路を介する、あるいは口腔/消化管、呼吸器、または泌尿生殖器への粘膜投与を介する注射が含まれ得る。一実施形態では、肺炎または中耳炎の治療に、鼻腔内投与が使用される(より効果的に肺炎球菌の鼻咽頭保菌を予防することができ、したがってその最初の段階で感染を弱毒化することができるため)。
【0043】
各ワクチン用量におけるコンジュゲートの量は、著しい副作用なしに免疫防御応答を誘発する量として選択される。このような量は、肺炎球菌の血清型に依存して変わり得る。一般に、各用量は、多糖類0.1〜100μg、具体的には0.1〜10μg、より具体的には1〜5μgからなるはずである。
【0044】
ある特定のワクチンに対する成分の最適な量は、被験者の適切な免疫応答を観測する標準の研究によって確定することができる。最初のワクチン投与後、被験者は、適切な間隔で1回または数回の追加免疫を受けることができる。
【0045】
本発明の特定の一実施形態では、13vPnCワクチンは、個々にCRM197にコンジュゲートした血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、および23Fの肺炎球菌莢膜多糖類の滅菌液体処方である。各用量0.5mLは、4μgの6Bを除き、各糖類2μg、CRM197キャリアタンパク質約29μg、元素アルミニウム0.125mg(リン酸アルミニウム0.5mg)アジュバント、ならびに賦形剤としての塩化ナトリウムおよびコハク酸ナトリウム緩衝液を含有するように処方される。その液体は、単回用量のシリンジに保存剤なしで充填される。振とう後、ワクチンは、筋肉内投与に使用できる均質な白色懸濁液になる。
【0046】
13vPnCワクチンの用量レベルの選択は、市販の7vPnCワクチン(Prevnar)と同じである。1用量につき4μgの6Bを除き、全ての血清型について糖類2μgの用量レベルが選択された。7vPnCワクチンは、血清型4、9V、14、18C、19F、および23Fについては糖類2μgの用量レベルで、6Bについては4μgの用量で、IPDに対する望ましい安全性、免疫原性、および有効性を示した。
【0047】
7vPnCワクチンに合わせて設計された免疫スケジュールに従ってもよい。例えば、13vPnCワクチンに含まれる血清型に起因するS.ニューモニエによって生じる侵襲性疾患に対する乳児および幼児の通常のスケジュールは、生後2、4、6、および12〜15カ月である。本発明の組成物は、より年長の子ども、青少年、および成人への使用にも適している。
【0048】
さらに本発明の組成物は、他の細菌での感染によって生じる中耳炎に対して使用するために、1種または複数のさらなる抗原を含むことができる。このような細菌には、型別不能のヘモフィルスインフルエンザ、モラクセラカタラーリス(Moraxella catarrhalis)(以前はブランハメラカタラーリス(Branhamella catarrhalis)として周知)、およびアロイオコッカスオティティディス(Alloiococcus otitidis)が含まれる。
【0049】
含有に適した型別不能のヘモフィルスインフルエンザ抗原の例には、タンパク質「e」としても知られるP4タンパク質(米国特許第5,601,831号;国際特許出願WO03/078453)、PALとしても知られるP6タンパク質またはPBOMP−1タンパク質(米国特許第5,110,908号;国際特許出願WO0100790)、P5タンパク質(米国再発行特許第37,741号)、ヘモフィルス接着性および浸透タンパク質(米国特許第6,245,337号および同第6,676,948号)、LKP先端付着因子タンパク質(米国特許第5,643,725号)、およびNucAタンパク質(米国特許第6,221,365号)が含まれる。
【0050】
含有に適したモラクセラカタラーリス抗原の例には、UspA2タンパク質(米国特許第5,552,146号、同第6,310,190号)、CDタンパク質(米国特許第5,725,862号)、Eタンパク質(米国特許第5,948,412号)、および74キロダルトン外膜タンパク質(米国特許第6,899,885号)が含まれる。
【0051】
含有に適したアロイオコッカスオティティディス抗原の例には、国際特許出願WO03/048304で同定されているものが含まれる。
【0052】
本発明の組成物は、ストレプトコッカスニューモニエからの1種または複数のタンパク質を含むこともできる。含有に適したストレプトコッカスニューモニエタンパク質の例には、国際特許出願WO02/083855で同定されているもの、ならびに国際特許出願WO02/053761に記載されているものが含まれる。
【0053】
本発明の組成物はさらに、ネイセリアメニンジタイディス(Neisseria meningitidis)タイプBからの1種または複数のタンパク質を含むこともできる。含有に適したネイセリアメニンジタイディスタイプBのタンパク質の例には、国際特許出願WO03/063766、WO2004/094596、WO01/85772、WO02/16612、およびWO01/87939で同定されているものが含まれる。
【0054】
概して、本発明は先の開示によって説明される。以下の具体的な実施例を参照することによって、より完全な理解を得ることができよう。これらの実施例は例示目的のみに記載され、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0055】
実施例1
S.ニューモニエ莢膜多糖類血清型1の調製
マスターおよび使用セルバンクの調製
S.ニューモニエ血清型1を、アメリカンタイプカルチャーコレクション、ATCC、株6301から入手した。その株を拡大し、動物由来成分を除去するために、数世代の原種を創生した(F1、F2、およびF3代)。原種の2つの追加世代を生成した。F3バイアルから第1の追加世代を生成し、第1の追加世代のバイアルから次の世代を生成した。冷凍保存剤として合成グリセロールを用いて、種バイアルを冷凍保存した(−70℃未満)。F4代については、冷凍バイアルに加えて凍結乾燥バイアルを調製した。セルバンクの調製では、全ての培養物を大豆ベースの培地で増殖させた。冷凍前に、細胞を遠心分離によって濃縮し、使用済み培地を除去し、合成グリセロールなどの冷凍保存剤を含有する新しい培地に細胞ペレットを再懸濁した。
【0056】
発酵および集菌
使用セルバンクからの培養物を使用して、大豆ベースの培地を入れた種ボトルを接種した。そのボトルを、増殖要件が満たされるまで、36℃±2℃で撹拌なしにインキュベートした。種ボトルを使用して、大豆ベースの培地を入れた種発酵槽を接種した。滅菌炭酸ナトリウム溶液でpHを約7.0に維持した。標的の光学的密度に達した後、その種発酵槽を使用して、大豆ベースの培地を入れた生成発酵槽を接種した。滅菌炭酸ナトリウム溶液でpHを維持した。増殖の停止後または発酵槽の使用容量に達したとき、発酵を終了した。適切な量の滅菌した12%デオキシコール酸ナトリウムを培養物に添加して、細菌細胞を溶解し、細胞関連多糖類を放出した。溶解後、発酵槽の内容物を冷却した。溶解した培養ブロスのpHを、酢酸でpH約6.6に調整した。その溶解物を、連続的フロー遠心分離に次いで、深層ろ過および0.45μmの精密ろ過によって清浄化した。
【0057】
代替プロセスでは、発酵pHを3NのNaOHで約7.0に維持した。標的の光学的密度に達した後、種発酵槽を使用して、大豆ベースの培地を入れた生成発酵槽を接種した。3NのNaOHでpHを維持した。増殖の停止後または発酵槽の使用容量に達したとき、発酵を終了した。適切な量の滅菌した12%デオキシコール酸ナトリウムを培養物に添加して、ブロス中の濃度が0.12%になるようにし、細菌細胞を溶解し、細胞関連多糖類を放出した。溶解後、発酵槽の内容物を、8〜24時間間隔にて7℃〜13℃の温度で撹拌しながら保持して、完全な細胞溶解および多糖類の放出が確実に生ずるようにした。この保持時間中の撹拌によって、発酵槽壁およびpHプローブ上への溶解沈殿物の固着が防止され、したがってpHプローブの完全性を維持することができた。次に、溶解した培養ブロスのpHを、50%酢酸でpH約5.0に調整した。12〜24時間間隔にて15℃〜25℃の温度で撹拌なしに保持した後、多糖類が殆ど損失しないまたは分解しない固体沈殿物として、既に溶解していたタンパク質の実質的な部分が溶液から離脱し(dropped out)、溶液に残存した。次いで、沈殿物を含む溶液を、連続的フロー遠心分離に次いで、深層ろ過および0.45μmの精密ろ過によって清浄化した。
【0058】
精製
肺炎球菌多糖類の精製は、いくつかの濃縮/ダイアフィルトレーション操作、沈殿/溶出、カラムクロマトグラフィー、および深層ろ過工程からなっていた。別段の指定がない限り、全ての手順を室温で実施した。
【0059】
S.ニューモニエ血清型1の発酵槽培養物からの清浄化ブロスを、100kDaのMWCO(キロダルトン分画分子量)フィルターを使用して濃縮し、ダイアフィルトレーションした。リン酸ナトリウム緩衝液を使用して、中性pHでダイアフィルトレーションを実現した。ダイアフィルトレーションによって、核酸、タンパク質、および多糖類などの高分子量のバイオポリマーから、低分子量の培地成分を除去した。
【0060】
原液からのヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HB)を添加することによって、濃縮しダイアフィルトレーションした溶液から多糖類が沈殿して、HBの最終濃度1%(w/v)を得た。多糖類/HB沈殿物をデプスフィルターで捕捉し、ろ液を廃棄した。沈殿物を含有するデプスフィルターを介して塩化ナトリウム溶液を再循環させることによって、多糖類沈殿物を再び可溶化し、溶出させた。次いで、フィルターをさらなる塩化ナトリウム溶液ですすいだ。
【0061】
Nal原液からのヨウ化ナトリウム(Nal)を多糖類溶液に添加して、最終濃度0.5%を実現して、HBを沈殿させた。沈殿物を、深層ろ過によって除去した。ろ液は、標的多糖類を含有している。沈殿槽およびフィルターをNaCl/Nal溶液ですすぎ、そのすすぎ液を一部分精製した多糖類溶液と混合した。フィルターを廃棄した。次いで、多糖類を0.2μmのフィルターでろ過した。
【0062】
30kDaのMWCO限外ろ過で多糖類溶液を濃縮し、塩化ナトリウム溶液でダイアフィルトレーションした。
【0063】
活性炭を含浸させたデプスフィルターを介してろ過することによって、一部分精製した多糖類溶液をさらに精製した。ろ過後、炭素フィルターを塩化ナトリウム溶液ですすいだ。すすぎ液を多糖類溶液と混合し、次いでそれを0.2μmのフィルターでろ過する。
【0064】
30kDaのMWCO限外ろ過で多糖類溶液を濃縮し、1Mのリン酸ナトリウム緩衝液で調整して、最終濃度0.025Mのリン酸ナトリウムを実現した。pHをチェックし、7.0±0.2に調整した。
【0065】
セラミックヒドロキシアパタイト(HA)カラムを、塩化ナトリウムを含有するリン酸ナトリウム緩衝液で平衡化して、適切な伝導率を得た(15μS未満)。次いで、多糖類溶液をカラムに搭載した。これらの条件下、樹脂および多糖類に結合した不純物を、カラムからの貫流によって回収した。多糖類溶液を、カラムの前後に位置した0.2μmの直列フィルターでろ過した。
【0066】
30kDaのMWCOのフィルターを使用して、多糖類溶液を濃縮した。次いで、濃縮物を注射用水(WFI)でダイアフィルトレーションした。
【0067】
ダイアフィルトレーションした多糖類溶液を、0.2μmの膜フィルターでろ過して、ポリプロピレンボトルに入れた。遊離試験のためにサンプルを除去し、精製した多糖類を−25℃±5℃で冷凍保存した。
【0068】
特性決定
1H−NMRデータは、多糖類分子のプロトンに割り当てられたシグナル配置による化学構造と一致した。多糖類のO−アセチル官能基を定量化する1H−NMRスペクトルは、十分に分解された一連のシグナル(メチル基からのプロトン)を示した。
【0069】
特定の抗血清を使用する向流免疫電気泳動によって、一価の多糖類の同定を確認した。
【0070】
サンプル濃縮物に関連して、屈折率検出器および多角度光散乱(MALLS)検出器につないだ高速ゲルろ過クロマトグラフィーを使用して、分子量を計算した。
【0071】
サイズ排除クロマトグラフィー媒体(CL−4B)を使用して、多糖類の相対的分子サイズ分布をプロファイルした。
【0072】
実施例2
血清型1肺炎球菌多糖類−CRM197コンジュゲートの調製
活性化およびコンジュゲーション
精製した多糖類の容器を解凍し、反応槽中で混合した。その槽に、pH9.0の0.2M炭酸ナトリウムを添加して、50℃で3時間、部分的に脱アセチル化(加水分解)した。反応物を20℃に冷却し、0.2Mの酢酸で中和した。過ヨウ素酸ナトリウムの存在下、2〜8℃でインキュベートすることによって酸化を行い、混合物を15〜21時間撹拌した。
【0073】
30KのMWCO膜を使用して、活性化反応混合物を0.9%のNaClで10倍に濃縮し、ダイアフィルトレーションした。保持液を、0.2μmのろ過にかけた。活性化した糖類を、100mLのガラス製の凍結乾燥用ボトルに充填し、−75℃でシェル凍結させ、凍結乾燥させた。
【0074】
「シェル凍結」は、凍結乾燥(フリーズドライ)のためにサンプルを調製する方法である。アルコールまたは他の任意の適切な流体を入れた冷蔵槽中、フラスコを電動駆動ローラーで自動的に回転させる。生成物の薄いコーティングを、フラスコの「シェル」内部周りに均質に凍結させ、各フリーズドライ運転中、より多量の材料を安全に加工できるようにする。これらの自動冷凍ユニットは、一度に多くのフラスコを予め冷凍する、簡単で効率的な手段を提供し、内部に所望のコーティングを実現し、効率的なフリーズドライのために十分な表面領域を提供する。
【0075】
凍結乾燥させた材料のボトルを室温に戻し、糖類/タンパク質が2:1の比で、CRM197溶液に再懸濁した。糖類/タンパク質混合物に、1Mのリン酸ナトリウム緩衝液を添加して、0.2Mの最終イオン強度およびpH7.5にし、次いでシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加した。反応物を23℃で18時間インキュベートし、その後37℃で72時間、2回目のインキュベーションを実施した。シアノ水素化ホウ素のインキュベーション後、冷却生理食塩水で反応混合物を希釈し、その後1Mの炭酸ナトリウムを添加して、反応混合物をpH9.0に調整した。水素化ホウ素ナトリウムを添加し、23℃で3〜6時間インキュベートすることによって、未反応アルデヒドをクエンチした。
【0076】
反応混合物を生理食塩水で2倍希釈し、0.45〜5μmのプレフィルターを通過させて保持液槽に入れた。反応混合物を、pH6の0.15Mリン酸緩衝液で30倍に、生理食塩水で20倍にダイアフィルトレーションした。保持液を、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0077】
コンジュゲート溶液を希釈して、0.9%の生理食塩水中、標的を0.5mg/mLにし、次いで滅菌ろ過して、クラス100フードの最終バルク濃縮物(FBC)容器に入れた。コンジュゲートを2〜8℃で保存した。
【0078】
特性決定
サイズ排除クロマトグラフィー媒体(CL−4B)を使用して、コンジュゲートの相対的分子サイズ分布をプロファイルした。
【0079】
特定の抗血清型を使用するスロットブロットアッセイによって、コンジュゲートの同定を確認した。
【0080】
ウロン酸およびローリーアッセイによって、糖類およびタンパク質の濃度をそれぞれ決定した。共有結合したコンジュゲート複合体の糖質とタンパク質との比率を、次の計算式によって得た。
【0081】
【数1】

【0082】
O−アセチル含量を、Hestrin法によって測定した(Hestrin et.al.,J.Biol.Chem.1949,180、p.249)。O−アセチル濃度と総糖類濃度との比率によって、糖類1mgにつき数μモルのO−アセチルを得た。
【0083】
実施例3
S.ニューモニエ筴膜多糖類血清型3の調製
マスターおよび使用セルバンクの調製
S.ニューモニエ血清型3を、ペンシルバニア州フィラデルフィア、ペンシルバニア大学のDr.Robert Austrianから入手した。セルバンクシステムの調製については、実施例1を参照のこと。
【0084】
発酵および集菌
使用セルバンクからの培養物を使用して、大豆ベースの培地を入れた種ボトルを接種した。そのボトルを、増殖要件が満たされるまで、36℃±2℃で撹拌なしにインキュベートした。種ボトルを使用して、大豆ベースの培地を入れた種発酵槽を接種した。滅菌炭酸ナトリウム溶液で、pHを約7.0に維持した。標的の光学的密度に達した後、その種発酵槽を使用して、中間種発酵槽を接種した。標的の光学的密度に達した後、その中間発酵槽を使用して、生成発酵槽を接種した。滅菌炭酸ナトリウム溶液でpHを維持した。発酵槽の使用容量に達した後、発酵を終了した。適切な量の滅菌12%デオキシコール酸ナトリウムを培養物に添加して、細菌細胞を溶解し、細胞関連多糖類を放出した。溶解後、発酵槽の内容物を冷却した。溶解した培養ブロスのpHを、酢酸でpH約6.6に調整した。その溶解物を、連続的フロー遠心分離に次いで、深層ろ過および0.45μmの精密ろ過によって清浄化した。
【0085】
精製
肺炎球菌多糖類の精製は、いくつかの濃縮/ダイアフィルトレーション操作、沈殿/溶出、カラムクロマトグラフィー、および深層ろ過工程からなっていた。別段の指定がない限り、全ての手順を室温で実施した。
【0086】
S.ニューモニエ血清型3の発酵槽培養物からの清浄化ブロスを、100kDaのMWCOフィルターを使用して濃縮し、ダイアフィルトレーションした。リン酸ナトリウム緩衝液を使用して、中性pHでダイアフィルトレーションを実現した。ダイアフィルトレーションによって、核酸、タンパク質、および多糖類などの高分子量のバイオポリマーから、低分子量の培地成分を除去した。
【0087】
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HB)の添加の前に、計算された容量のNaCl原液を、濃縮しダイアフィルトレーションした多糖類溶液に添加して、最終濃度0.25MのNaClを得た。次いで、原液からのHBを添加することによって多糖類が沈殿して、最終濃度1%(w/v)のHBを得た。多糖類/HB沈殿物をデプスフィルターで捕捉し、ろ液を廃棄した。沈殿物を含有するデプスフィルターを介して塩化ナトリウム溶液を再循環させることによって、多糖類沈殿物を再び可溶化し、溶出させた。次いで、フィルターをさらなる塩化ナトリウム溶液ですすいだ。
【0088】
Nal原液からのヨウ化ナトリウム(Nal)を多糖類溶液に添加し、最終濃度0.5%を実現して、HBを沈殿させた。沈殿物を、深層ろ過によって除去した。ろ液は、標的多糖類を含有していた。沈殿槽およびフィルターをNaCl/Nal溶液ですすぎ、そのすすぎ液を、一部分精製した多糖類溶液と混合した。フィルターを廃棄した。次いで、多糖類を0.2μmのフィルターでろ過した。
【0089】
30kDaのMWCO限外ろ過で多糖類溶液を濃縮し、塩化ナトリウム溶液でダイアフィルトレーションした。
【0090】
活性炭を含浸させたデプスフィルターを介してろ過することによって、一部分精製した多糖類溶液をさらに精製した。ろ過後、炭素フィルターを塩化ナトリウム溶液ですすいだ。そのすすぎ液を多糖類溶液と混合し、次いでそれを0.2μmのフィルターでろ過した。
【0091】
30kDaのMWCO限外ろ過で多糖類溶液を濃縮し、1Mのリン酸ナトリウム緩衝液で調整して、最終濃度0.025Mのリン酸ナトリウムを実現した。pHをチェックし、7.0±0.2に調整した。
【0092】
セラミックヒドロキシアパタイト(HA)カラムを、塩化ナトリウムを含有するリン酸ナトリウム緩衝液で平衡化して、適切な伝導率を得た(15μS)。次いで、多糖類溶液をカラムに搭載した。これらの条件下、樹脂および多糖類に結合した不純物を、カラムからの貫流によって回収した。多糖類を、緩衝液でカラムフラッシュし、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0093】
30kDaのMWCOフィルターを使用して、多糖類溶液を濃縮した。次いで、濃縮物をWFIでダイアフィルトレーションした。
【0094】
ダイアフィルトレーションした多糖類溶液を、0.2μm膜フィルターでろ過して、ステンレス鋼容器に入れた。遊離試験のためにサンプルを除去し、精製した多糖類を−25℃±5℃で冷凍保存した。
【0095】
特性決定
1H−NMRデータは、多糖類分子のプロトンに割り当てられたシグナル配置による化学構造と一致した。
【0096】
特定の抗血清を使用する向流免疫電気泳動によって、一価の多糖類の同定を確認した。
【0097】
サンプル濃縮物に関連して、屈折率検出器および多角度光散乱(MALLS)検出器につないだ高速ゲルろ過クロマトグラフィーを使用して、分子量を計算した。
【0098】
サイズ排除クロマトグラフィー媒体(CL−4B)を使用して、多糖類の相対的分子サイズ分布をプロファイルした。
【0099】
実施例4
血清型3肺炎球菌糖類−CRM197コンジュゲートの調製
活性化およびコンジュゲーション
精製した血清型3糖類の容器を解凍し、反応槽中で混合した。その槽に、WFIおよび2Mの酢酸を添加して、糖類の最終濃度を0.2Mとし、2mg/mLにした。溶液の温度を1時間で85℃に上げて、多糖類を加水分解した。反応物を25℃以下に冷却し、1Mの塩化マグネシウムを添加して、最終濃度を0.1Mにした。過ヨウ素酸ナトリウムの存在下、23℃で16〜24時間インキュベートすることによって酸化を行った。
【0100】
100KのMWCO膜を使用して、活性化反応混合物をWFIで10倍に濃縮し、ダイアフィルトレーションした。保持液を、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0101】
化合のために、pH7.0の0.2Mリン酸ナトリウムを活性化糖類に添加して、最終濃度10mMおよびpH6.0〜6.5にした。CRM197キャリアタンパク質を糖類溶液と混合して、CRM1971gにつき糖類2gの比率とした。混合した糖類/タンパク質溶液を、標的充填物50mLと共に100mLのガラス製の凍結乾燥用ボトルに充填し、−75℃でシェル凍結させ、凍結乾燥させた。
【0102】
共に凍結乾燥させた糖類/タンパク質材料のボトルを室温に戻し、pH7.0の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液に再懸濁して、糖類の最終濃度を20mg/mlにした。pHを6.5に調整し、次いで0.5モル当量のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加した。反応物を、37℃で48時間インキュベートした。シアノ水素化ホウ素インキュベーション後、反応混合物を、冷却した5mMコハク酸塩/0.9%生理食塩水緩衝液で希釈した。水酸化ホウ素ナトリウムを添加し、23℃で3〜6時間インキュベートすることによって、未反応アルデヒドをクエンチした。反応混合物を、0.45〜5μmのプレフィルターを介して保持液槽に移した。
【0103】
反応混合物を、0.1Mのリン酸緩衝液(pH9)で30倍に、0.15Mのリン酸緩衝液(pH6)で20倍に、5mMのコハク酸塩/0.9%の生理食塩水で20倍にダイアフィルトレーションした。保持液を、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0104】
コンジュゲート溶液を希釈して、糖類標的を0.5mg/mLにし、次いで滅菌ろ過して、クラス100フードのFBC容器に入れた。コンジュゲートを2〜8℃で保存した。
【0105】
特性決定
サイズ排除クロマトグラフィー媒体(CL−4B)を使用して、コンジュゲートの相対的分子サイズ分布をプロファイルした。
【0106】
特定の抗血清を使用するスロットブロットアッセイによって、コンジュゲートの同定を確認した。
【0107】
アントロンおよびローリーアッセイによって、糖類およびタンパク質の濃度をそれぞれ決定した。共有結合したコンジュゲート複合体の糖類とタンパク質との比率を、次の計算式によって得た。
【0108】
【数2】

【0109】
実施例5
S.ニューモニエ筴膜多糖類血清型5の調製
S.ニューモニエ血清型5を、ニューヨーク州ブルックリン、ニューヨーク州立大学のDr.Gerald Schiffmanから入手した。セルバンクシステムの調製については、実施例1を参照のこと。多糖類の発酵、集菌、精製、および特性決定については、実施例1を参照のこと。
【0110】
代替発酵プロセス
使用セルバンクからの培養物を使用して、大豆ベースの培地および10mMの滅菌NaHCO溶液を入れた種ボトルを接種した。そのボトルを、増殖要件が満たされるまで、36℃±2℃で撹拌なしにインキュベートした。種ボトルを使用して、大豆ベースの培地および10mMの滅菌NaHCO溶液を入れた種発酵槽を接種した。3NのNaOHでpHを約7.0に維持した。標的の光学的密度に達した後、その種発酵槽を使用して、大豆ベースの培地を入れた濃度10mMのNaHCOの生成発酵槽を接種した。3NのNaOHでpHを維持した。増殖の停止後または発酵槽の使用容量に達したとき、発酵を終了した。適切な量の滅菌した12%デオキシコール酸ナトリウムを培養物に添加して、ブロス中の濃度が0.12%になるようにし、細菌細胞を溶解し、細胞関連多糖類を放出した。溶解後、発酵槽の内容物を、8〜24時間間隔にて7℃〜13℃の温度で撹拌しながら保持して、完全な細胞溶解および多糖類の放出が確実に生ずるようにした。この保持時間中の撹拌によって、発酵槽壁およびpHプローブ上への溶解沈殿物の固着が防止され、したがってpHプローブの完全性を維持することができた。次に、溶解した培養ブロスのpHを、50%酢酸でpH約4.5に調整した。12〜24時間間隔にて15℃〜25℃の温度で撹拌なしに保持した後、多糖類が殆ど損失しないまたは分解しない固体沈殿物として、既に溶解していたタンパク質の実質的な部分が溶液から離脱し、溶液に残存した。次いで、沈殿物を含む溶液を、連続的フロー遠心分離に次いで、深層ろ過および0.45μmの精密ろ過によって清浄化した。
【0111】
実施例6
血清型5肺炎球菌糖類−CRM197コンジュゲートの調製
活性化およびコンジュゲーション
血清型5糖類の容器を解凍し、反応槽中で混合した。その槽に、pH4.7の0.1M酢酸ナトリウムを添加し、その後過ヨウ素酸ナトリウムの存在下、23℃で16〜22時間インキュベートすることによって酸化を行った。
【0112】
100KのMWCO膜を使用して、活性化反応混合物をWFIで10倍に濃縮し、ダイアフィルトレーションした。保持液を、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0113】
血清型5活性化糖類を、0.8:1の比でCRM197と混合した。混合した糖類/タンパク質溶液を、100mLのガラス製の凍結乾燥用ボトルに充填し(標的充填物50mL)、−75℃でシェル凍結させ、共に凍結乾燥させた。
【0114】
共に凍結乾燥させた材料のボトルを室温に戻し、pH7.5の0.1Mリン酸ナトリウムに再懸濁し、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加した。反応物を30℃で72時間インキュベートし、その後シアノ水素化ホウ素の2回目の添加を行い、30℃で20〜28時間インキュベートした。
【0115】
シアノ水素化ホウ素のインキュベーション後、反応混合物を生理食塩水で2倍希釈し、0.45〜5μmのプレフィルターを介して保持液槽に移した。反応混合物を、0.01Mのリン酸緩衝液で30倍に、pH8の0.15Mリン酸緩衝液で20倍に、pH6の生理食塩水で20倍にダイアフィルトレーションした。保持液を、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0116】
コンジュゲート溶液を希釈して、糖類標的を0.5mg/mLにし、次いで滅菌ろ過して、クラス100フードのFBC容器に入れた。コンジュゲートを2〜8℃で保存した。
【0117】
コンジュゲートの特性決定については、実施例2を参照のこと。
【0118】
実施例7
S.ニューモニエ莢膜多糖類血清型6Aの調製
S.ニューモニエ血清型6Aを、ニューヨーク州ブルックリン、ニューヨーク州立大学のDr.Gerald Schiffmanから入手した。セルバンクシステムの調製については、実施例1を参照のこと。多糖類の発酵、集菌、および精製については、精製中、クロマトグラフィー工程の前の30kDaのMWCO濃縮工程を省略することを除き、実施例1を参照のこと。
【0119】
実施例8
血清型6A肺炎球菌糖類−CRM197コンジュゲートの調製
活性化およびコンジュゲーション
血清型6A多糖類は高分子量のポリマーであり、酸化の前にそのサイズを縮小しなければならなかった。血清型6A糖類の容器を解凍し、反応槽中で混合した。その槽に、2Mの酢酸を添加して最終濃度を0.1Mにし、60℃で1.5時間加水分解した。反応物を23℃に冷却し、反応生成物を1MのNaOHでpH6に調整することによって中和した。過ヨウ素酸ナトリウムの存在下、23℃で14〜22時間インキュベートすることによって酸化を行った。
【0120】
100KのMWCO膜を使用して、活性化反応混合物をWFIで10倍に濃縮し、ダイアフィルトレーションした。保持液を、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0121】
血清型6Aを、ショ糖と化合させ、100mLのガラス製の凍結乾燥用ボトルに充填し(標的充填物50mL)、−75℃でシェル凍結させ、凍結乾燥させた。
【0122】
凍結乾燥させた材料のボトルを室温に戻し、1:1の糖類/タンパク質の比で、ジメチルスルホキシド(DMSO)に再懸濁した。シアノ水素化ホウ素ナトリウムの添加後、反応混合物を23℃で18時間インキュベートした。シアノ水素化ホウ素のインキュベーション後、反応混合物を冷却生理食塩水で希釈した。水素化ホウ素ナトリウムを添加し、23℃で3〜20時間インキュベートすることによって、未反応アルデヒドをクエンチした。
【0123】
希釈した反応混合物を、5μmプレフィルターを介して保持液槽に移した。反応混合物を、0.9%のNaClで10倍に、コハク酸塩−緩衝NaClで30倍にダイアフィルトレーションした。保持液を、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0124】
コンジュゲート溶液を希釈して、糖類標的を0.5mg/mLにし、次いで滅菌ろ過して、クラス100フードのFBC容器に入れた。コンジュゲートを2〜8℃で保存した。
【0125】
コンジュゲートの特性決定については、実施例2を参照のこと。
【0126】
実施例9
S.ニューモニエ莢膜多糖類血清型7Fの調製
S.ニューモニエ血清型7Fを、ニューヨーク州ブルックリン、ニューヨーク州立大学のDr.Gerald Schiffmanから入手した。セルバンクシステムの調製、ならびに多糖類の発酵および集菌については、実施例3を参照のこと。発酵および集菌の代替プロセスは、実施例1に記載の代替プロセスを参照のこと。
【0127】
精製
肺炎球菌多糖類の精製は、いくつかの濃縮/ダイアフィルトレーション操作、沈殿/溶出、カラムクロマトグラフィー、および深層ろ過工程からなっていた。別段の指定がない限り、全ての手順を室温で実施した。
【0128】
S.ニューモニエ血清型7Fの発酵槽培養物からの清浄化ブロスを、100kDaのMWCOフィルターを使用して濃縮し、ダイアフィルトレーションした。リン酸ナトリウム緩衝液を使用して、中性pHでダイアフィルトレーションを実現した。ダイアフィルトレーションによって、核酸、タンパク質、および多糖類などの高分子量のバイオポリマーから、低分子量の培地成分を除去した。
【0129】
血清型7Fは、HBを伴う沈殿物を形成しない。その代わり、原液からのHBを添加することによって、濃縮しダイアフィルトレーションした溶液から不純物が沈殿して、HBの最終濃度が1%になった。沈殿物をデプスフィルターで捕捉し、フィルターを破棄した。ろ液には多糖類が含まれていた。
【0130】
Nal原液からのヨウ化ナトリウム(Nal)を多糖類溶液に添加して、最終濃度0.5%を実現して、HBを沈殿させた。沈殿物を、深層ろ過によって除去した。ろ液は、標的多糖類を含有していた。沈殿槽およびフィルターをNaCl/Nal溶液ですすぎ、そのすすぎ液を、一部分精製した多糖類溶液と混合した。フィルターを廃棄した。次いで、多糖類を0.2μmのフィルターでろ過した。
【0131】
30kDaのMWCO限外ろ過で多糖類溶液を濃縮し、塩化ナトリウム溶液でダイアフィルトレーションした。
【0132】
活性炭を含浸させたデプスフィルターを介してろ過することによって、一部分精製した多糖類溶液をさらに精製した。ろ過後、炭素フィルターを塩化ナトリウム溶液ですすいだ。そのすすぎ液を多糖類溶液と混合し、次いでそれを0.2μmのフィルターでろ過した。
【0133】
30kDaのMWCO限外ろ過で多糖類溶液を濃縮し、1Mのリン酸ナトリウム緩衝液で調整して、最終濃度0.025Mのリン酸ナトリウムを実現した。pHをチェックし、7.0±0.2に調整した。
【0134】
セラミックヒドロキシアパタイト(HA)カラムを、塩化ナトリウムを含有するリン酸ナトリウム緩衝液で平衡化して、適切な伝導率を得た(15μS)。次いで、多糖類溶液をカラムに搭載した。これらの条件下、樹脂および多糖類に結合した不純物を、カラムからの貫流によって回収した。多糖類を緩衝液でカラムフラッシュし、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0135】
30kDaのMWCOフィルターを使用して、多糖類溶液を濃縮した。次いで、濃縮物をWFIでダイアフィルトレーションした。
【0136】
ダイアフィルトレーションした多糖類溶液を、0.2μm膜フィルターでろ過して、ステンレス鋼容器に入れた。遊離試験のためにサンプルを除去し、精製した多糖類を2℃〜8℃で保存した。
【0137】
多糖類の特性決定については、実施例3を参照のこと。
【0138】
実施例10
血清型7F肺炎球菌糖類−CRM197コンジュゲートの調製
活性化およびコンジュゲーション
過ヨウ素酸ナトリウムの存在下、23℃で16〜24時間インキュベートすることによって、酸化を行った。
【0139】
100KのMWCO膜を使用して、活性化反応混合物をpH4.5の10mMのNaOAcで10倍に濃縮し、ダイアフィルトレーションした。保持液を、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0140】
血清型7Fを、100mLのガラス製の凍結乾燥用ボトルに充填し(標的充填物50mL)、−75℃でシェル凍結させ、凍結乾燥させた。
【0141】
凍結乾燥させた血清型7FおよびCRM197のボトルを室温に戻し、1.5:1の糖類/タンパク質の比で、DMSOに再懸濁した。シアノ水素化ホウ素ナトリウムの添加後、反応物を23℃で8〜10時間インキュベートした。水素化ホウ素ナトリウムを添加し、23℃で16時間インキュベートすることによって、未反応アルデヒドをクエンチした。
【0142】
反応混合物を冷却生理食塩水で10倍希釈し、5μmのプレフィルターを介して保持液槽に移した。反応混合物を、0.9%の生理食塩水で10倍に、コハク酸塩−緩衝生理食塩水で30倍にダイアフィルトレーションした。保持液を、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0143】
コンジュゲート溶液を希釈して、0.9%の生理食塩水中、糖類標的を0.5mg/mLにし、次いで滅菌ろ過して、クラス100フードのFBC容器に入れた。コンジュゲートを2〜8℃で保存した。
【0144】
コンジュゲートの特定化については、実施例4を参照のこと。
【0145】
実施例11
S.ニューモニエ莢膜多糖類血清型19Aの調製
S.ニューモニエ血清型19Aを、ニューヨーク州ブルックリン、ニューヨーク州立大学のDr.Gerald Schiffmanから入手した。セルバンクシステムの調製については、実施例1を参照のこと。多糖類の発酵、集菌、および精製については、実施例7を参照のこと。特性決定については、実施例3を参照のこと。
【0146】
実施例12
血清型19A肺炎球菌糖類−CRM197コンジュゲートの調製
活性化およびコンジュゲーション
血清型19A糖類の容器を解凍し、反応槽中で混合した。酢酸ナトリウムを添加して10mM(pH5.0)にし、過ヨウ素酸ナトリウムの存在下、23℃で16〜24時間インキュベートすることによって酸化を行った。
【0147】
100KのMWCO膜を使用して、活性化反応混合物をpH5.0の10mM酢酸で10倍に濃縮し、ダイアフィルトレーションした。保持液を、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0148】
活性化糖類をショ糖と化合し、その後CRM197を添加した。血清型19A活性化糖類およびCRM197混合物(比0.8:1)を、100mLのガラス製の凍結乾燥用ボトルに充填し(標的充填物50mL)、−75℃でシェル凍結させて、凍結乾燥させた。
【0149】
凍結乾燥させた材料のボトルを室温に戻し、DMSOに再懸濁した。糖類/タンパク質混合物に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(100mg/ml)を添加した。反応物を23℃で15時間インキュベートした。シアノ水素化ホウ素のインキュベーション後、水素化ホウ素ナトリウムを添加し、23℃で3〜20時間インキュベートすることによって、未反応アルデヒドをクエンチした。
【0150】
反応混合物を冷却生理食塩水で10倍希釈し、5μmプレフィルターを介して保持液槽に移した。反応混合物を、0.45μmのろ過にかけた0.9%のNaClで10倍に、pH6の5mMコハク酸/0.9%NaCl緩衝液を使用したダイアフィルトレーションで30倍に、ダイアフィルトレーションした。保持液を、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0151】
コンジュゲート溶液を、5mMコハク酸塩/0.9%生地食塩水を使用して希釈して、標的を0.5mg/mLにし、次いで滅菌ろ過して、クラス100フードのFBC容器に入れた。コンジュゲートを2〜8℃で保存した。
【0152】
コンジュゲートの特性決定については、実施例4を参照のこと。
【0153】
実施例13
S.ニューモニエ莢膜多糖類血清型4、6B、9V、14、18C、19F、および23Fの調製
S.ニューモニエ種培養物の調製
S.ニューモニエ血清型4、6B、9V、18C、19F、および23Fを、ニューヨーク州ブルックリン、ニューヨーク州立大学のDr.Gerald Schiffmanから入手した。S.ニューモニエ血清型14を、ATCC、株6314から入手した。
【0154】
ストレプトコッカスニューモニエの所望の血清型それぞれ1個のバイアルを別々に使用して、回分発酵を開始した。大豆ベースの培地およびフェノールレッドを入れた2つのボトルを、炭酸ナトリウムを使用してpH7.4±0.2の範囲に調整し、次いで必要量の50%デキストロース/1%硫酸マグネシウム溶液をそれらのボトルに添加した。2つのボトルに異なる量の種を接種した。培地が黄色に変わるまで、ボトルを36℃±2℃でインキュベートした。インキュベーション後、各ボトルからサンプルを除去し、光学的密度(OD)(0.3〜0.9)およびpH(4.6〜5.5)に関して試験した。2つのボトルのうち1つを、種発酵槽の接種用に選択した。
【0155】
大豆ベースの培地を種発酵槽に移し、滅菌した。次いで、ある容量の50%デキストロース/1%硫酸マグネシウム溶液を、その発酵槽に添加した。種発酵槽のpHおよび撹拌をモニターし、制御した(pH6.7〜7.4)。温度を36℃±2℃に維持した。種接種物(ボトル)を、種発酵槽に無菌連結し、接種物を移した。発酵槽をpH制御下で維持し、サンプルを周期的に除去し、ODおよびpHについて試験した。600nmにて所望のODである0.5に達したとき、中間発酵槽を種発酵槽からの発酵ブロスで接種した。
【0156】
大豆ベースの培地を中間発酵槽に移し、滅菌した。次いで、ある容量の50%デキストロース/1%硫酸マグネシウム溶液を、その発酵槽に添加した。中間発酵槽のpHおよび撹拌をモニターし、制御した(pH6.7〜7.4)。温度を36℃±2℃に維持した。種発酵槽の内容物を、中間発酵槽に移した。発酵槽をpH制御下で維持し、サンプルを周期的に除去し、ODおよびpHについて試験した。600nmにて所望のODである0.5に達したとき、生成発酵槽を中間発酵槽からの発酵ブロスで接種した。
【0157】
大豆ベースの培地を生成発酵槽に移し、滅菌した。次いで、ある容量の50%デキストロース/1%硫酸マグネシウム溶液を、その発酵槽に添加した。生成発酵槽のpHおよび撹拌をモニターし、制御した(pH6.7〜7.4)。温度を36℃±2℃に維持した。発酵が終了するまで、発酵槽をpH制御下で維持し、サンプルを周期的に除去し、ODおよびpHについて試験した。
【0158】
デオキシコール酸ナトリウムを発酵槽に添加して、最終濃度約0.12%w/vにした。培養物を最低30分間混合し、温度設定点を10℃に下げた。培養物を終夜インキュベートし、不活化を確認した後、必要に応じて培養物のpHを50%酢酸で6.4〜6.8に調整した。発酵槽の温度を20℃±5℃に上げ、内容物を浄化保持タンクに移した。
【0159】
浄化保持タンクの内容物(細胞破片を含む)を、1時間につき25〜600リットルのフロー速度で、遠心処理にかけた(細胞破片を廃棄し、フロー速度を1時間につき25〜250リットルに固定した血清型4を除く)。上清のサンプルを除去し、ODについて試験した。遠心分離中の望ましいODは、0.15以下であった。
【0160】
最初に、0.05±0.03のODを実現するまで、デプスフィルターアセンブリを介して上清を再循環させた。次いで、デプスフィルターアセンブリおよび0.45μm膜フィルターに上清を通過させて、ろ液保持タンクに入れた。
【0161】
その後、加工のために、密閉パイプを介して生成物を精製領域に移した。
【0162】
上記の操作全て(遠心分離、ろ過、および移動)を、10℃〜30℃で実施した。
【0163】
血清型4および6Bについての発酵および集菌の代替プロセスは、実施例1に記載の代替プロセスを参照のこと。
【0164】
精製
肺炎球菌多糖類の精製は、いくつかの濃縮/ダイアフィルトレーション操作、沈殿/溶出、カラムクロマトグラフィー、および深層ろ過工程からなっていた。別段の指定がない限り、全ての手順を室温で実施した。
【0165】
100kDaのMWCOフィルターを使用して、所望のS.ニューモニエ血清型の発酵槽培養物からの清浄化ブロスを濃縮し、ダイアフィルトレーションした。リン酸ナトリウム緩衝液を使用して、pH9.0未満でダイアフィルトレーションを実現した。ダイアフィルトレーションによって、核酸、タンパク質、および多糖類などの高分子量のバイオポリマーから、低分子量の培地成分を除去した。
【0166】
原液からのHBを添加することによって、濃縮しダイアフィルトレーションした溶液から多糖類が沈殿して、HBの最終濃度1%(w/v)を得た(最終濃度2.5%の血清型23Fを除く)。多糖類/HB沈殿物をデプスフィルターで捕捉し、ろ液を廃棄した(注:血清型14は沈殿せず、したがってろ液を保持する)。沈殿物を含有するデプスフィルターを介して塩化ナトリウム溶液を再循環させることによって、多糖類沈殿物を再び可溶化し、溶出させた。次いで、フィルターをさらなる塩化ナトリウム溶液ですすいだ。
【0167】
Nal原液からのヨウ化ナトリウム(Nal)を多糖類溶液に添加し、最終濃度0.5%を実現してHBを沈殿させた(最終濃度0.25%の血清型6Bを除く)。沈殿物を深層ろ過によって除去した。ろ液は、標的多糖類を含有していた。フィルターを廃棄した。次いで、多糖類を0.2μmのフィルターでろ過した。
【0168】
30kDaのMWCO限外ろ過で多糖類溶液を濃縮し、塩化ナトリウム溶液でダイアフィルトレーションした。
【0169】
活性炭を含浸させたデプスフィルターを介してろ過することによって、一部分精製した多糖類溶液をさらに精製した。ろ過後、塩化ナトリウム溶液で炭素フィルターをすすいだ。すすぎ液を多糖類溶液と混合し、次いでそれを0.2μmのフィルターでろ過した。
【0170】
30kDaのMWCO限外ろ過で多糖類溶液を濃縮し、塩化ナトリウム溶液でフィルターをすすいだ。pHをチェックし、7.0±0.3に調整した。
【0171】
pH7.0±0.3および伝導率26±4μSになるまで、塩化ナトリウムを含有するリン酸ナトリウム緩衝液で、セラミックヒドロキシアパタイト(HA)カラムを平衡化した。次いで、多糖類溶液をカラムに搭載した。これらの条件下、樹脂および多糖類に結合した不純物を、カラムからの貫流によって回収した。多糖類溶液を、0.2μmのフィルターでろ過した。
【0172】
30kDaのMWCOフィルターを使用して、多糖類溶液を濃縮した。次いで、伝導率が15μS未満になるまで、濃縮物をWFIでダイアフィルトレーションした。
【0173】
ダイアフィルトレーションした多糖類溶液を、0.2μm膜フィルターでろ過してバルク容器に入れ、2〜8℃で保存した。
【0174】
実施例14
血清型4、6B、9V、14、18C、19F、および23Fの肺炎球菌糖類−CRM197コンジュゲートの調製
活性化プロセス
この実施例に記載するように、異なる血清型糖類は、活性化(活性化の前に加水分解する、または加水分解しない)およびコンジュゲーション(水性またはDMSO反応)のための異なる経路に従う。
【0175】
多糖類を、バルク容器から反応槽に移した。次いで、多糖類をWFIおよびリン酸ナトリウムで希釈して、最終濃度範囲1.6〜2.4mg/mLにした。
【0176】
工程1
血清型6B、9V、14、19F、および23Fについて、pHをpH6.0±0.3に調整した。
【0177】
血清型4について、塩酸(最終的な酸濃度0.01M)を添加し、溶液を45℃±2℃で25〜35分間インキュベートした。21〜25℃に冷却し、1Mのリン酸ナトリウムを添加して、標的をpH6.7±0.2にすることによって、加水分解を停止させた。工程中の試験を実施して、適切なレベルの脱ピルビル化(depyruvylation)を確認した。
【0178】
血清型18Cについて、氷酢酸(最終的な酸濃度0.2M)を添加し、溶液を94℃±2℃で205〜215分間インキュベートした。次いで、温度を21〜25℃に下げ、1〜2Mのリン酸ナトリウムを添加して、標的をpH6.8±0.2にした。
【0179】
工程2:過ヨウ素反応
糖類含量(血清型4を除く)を使用して、肺炎球菌糖類活性化に必要とされる過ヨウ素酸ナトリウムのモル当量を決定した。血清型4については、糖類1モルにつき過ヨウ素酸ナトリウム0.8〜1.2モルの比率を使用した。十分に混合することによって、温度を15℃以下にした19Fを除く全ての血清型について、21〜25℃で16〜20時間、酸化反応を進行させた。
【0180】
工程3:限外ろ過
100kDaのMWCO限外ろ過(18Cについては5kDaの限外ろ過)で、WFI(血清型19FについてはpH6.0の0.01Mのリン酸ナトリウム緩衝液)を用いて、酸化した糖類を濃縮し、ダイアフィルトレーションした。透過物を廃棄し、保持液を、0.22μmのフィルターでろ過した。
【0181】
工程4:凍結乾燥
血清型4、9V、および14について、濃縮糖類をCRM197キャリアタンパク質と混合し、ガラス製ボトルに充填し、シェル凍結させ、−65℃以下で保存した。凍結した濃縮糖類−CRM197を凍結乾燥させ、次いで−25℃±5℃で保存した。
【0182】
血清型6B、19F、および23Fについて、コンジュゲーション反応混合中、5%±3%のショ糖濃度を実現するように計算した特定量のショ糖を添加した。血清型18Cは、ショ糖を添加する必要がなかった。次いで、濃縮糖類をガラス製ボトルに充填し、シェル凍結させ、−65℃以下で保存した。凍結した濃縮糖類を凍結乾燥させ、次いで−25℃±5℃で保存した。
【0183】
コンジュゲーションプロセス
2種類のコンジュゲーションプロセス;血清型4、9V、14、および18Cについては水性コンジュゲーション、血清型6B、19F、および23FについてはDMSOコンジュゲーションを使用した。
【0184】
水性コンジュゲーション
工程1:溶解
血清型4、9V、および14について、凍結乾燥した活性化糖類−CRM197混合物を解凍し、室温で平衡化した。次いで、凍結乾燥した活性化糖類−CRM197を、0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液中、以下の一般的な比率で再構成した。
血清型4および9Vについては、糖類16〜24gにつき緩衝液1L
血清型14については、糖類6〜10gにつき緩衝液1L
【0185】
完全に溶解するまで、血清型9Vについては37℃±2℃、血清型4および14については23℃±2℃で、反応混合物をインキュベートした。
【0186】
血清型18Cについて、凍結乾燥した糖類を、CRM197溶液1Lにつきリン酸ナトリウム0.11Lの一般的な比率の、CRM197の1M二塩基性リン酸ナトリウム中溶液で再構成した。完全に溶解するまで、反応混合物(糖類濃度8〜12g/L)を、23℃±2℃でインキュベートした。
【0187】
この段階で、pHを工程管理として試験した。
【0188】
工程2:コンジュゲーション反応
血清型4および9Vについて、シアノ水素化ホウ素ナトリウム溶液(100mg/mL)を添加して、糖類1モルにつきシアノ水素化ホウ素ナトリウム1.0〜1.4モルを実現することによって、コンジュゲーション反応を開始した。反応混合物を、37℃±2℃で44〜52時間インキュベートした。次いで、温度を23℃±2℃に下げ、塩化ナトリウム0.9%を反応器に添加した。水素化ホウ素ナトリウム溶液(100mg/mL)を添加して、糖類1モルにつき水素化ホウ素ナトリウム1.8〜2.2モル当量を実現した。混合物を、23℃±2℃で3〜6時間インキュベートした。混合物を0.9%の塩化ナトリウムで希釈し、反応器をすすいだ。希釈したコンジュゲーション混合物を、1.2μmのプレフィルターを使用してろ過し、保持槽に入れた。
【0189】
血清型14および18Cについて、シアノ水素化ホウ素溶液(100mg/mL)を添加して、糖類1モルにつきシアノ水素化ホウ素ナトリウム1.0〜1.4モルを実現することによって、コンジュゲーション反応を開始した。反応混合物を、23℃±2℃で12〜24時間インキュベートした。温度を37℃±2℃に上げ、反応物を72〜96時間インキュベートした。次いで、温度を23℃±2℃に下げ、0.9%の塩化ナトリウムを反応器に添加した。水素化ホウ素ナトリウム溶液(100mg/mL)を添加して、糖類1モルにつき水素化ホウ素ナトリウム1.8〜2.2モル当量を実現した。混合物を、23℃±2℃で3〜6時間インキュベートした。混合物を0.9%の塩化ナトリウムで希釈し、反応器をすすいだ。次いで、希釈したコンジュゲーション混合物を、1.2μmのプレフィルターを使用してろ過し、保持槽に入れた。
【0190】
工程3:限外ろ過100kDa
100kDaのMWCO限外ろ過で、最少15容量(血清型4)または40容量(血清型9V、14、および18C)の0.9%塩化ナトリウムを用いて、希釈したコンジュゲーション混合物を濃縮し、ダイアフィルトレーションした。
【0191】
透過物を廃棄した。
【0192】
血清型4について、保持液を、0.45μmのフィルターでろ過した。
【0193】
この工程で、工程管理(糖類内容物)を実施した。
【0194】
工程4:HAカラム精製
この工程は、血清型4コンジュゲートについてのみ実施した。
【0195】
まず、0.5Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0±0.3)を使用してHAカラムを中和し、次いで0.9%の塩化ナトリウムで平衡化した。ろ過した保持液(血清型4)を、フロー速度1.0L/分でカラムに搭載した。0.9%の塩化ナトリウムを用いて、フロー速度2.0L/分以下でカラムを洗浄した。次いで、0.5Mのリン酸ナトリウム緩衝液を用いて、フロー速度2.0L/分以下で生成物を溶出した。
【0196】
次いで、100kDaのMWCO膜で、最小20容量の0.9%塩化ナトリウムを用いてHA画分を濃縮し、ダイアフィルトレーションした。透過物を廃棄した。
【0197】
工程5:滅菌ろ過
100kDaのMWCOダイアフィルトレーション後の保持液を、0.22μmのフィルターでろ過した。工程管理(糖類内容物、遊離タンパク質、遊離糖類、およびシアン化物)を、ろ過した生成物で実施した。ろ過した保持液で工程管理を実施して、FBC標的を満たすためのさらなる濃縮、ダイアフィルトレーション、および/または希釈が必要かどうかを決定した。これらの試験および付加的試験を、FBCサンプルで反復した。
【0198】
必要に応じて、ろ過したコンジュゲートを0.9%の塩化ナトリウムで希釈して、0.55g/L未満の最終濃度を実現した。この段階で、糖類含量、タンパク質含量、および糖類:タンパク質の比について遊離試験を実施した。
【0199】
最後に、コンジュゲートをろ過し(0.22μm)、2.64g/キャニスターの一般的な量で、10Lのステンレス鋼キャニスターに充填した。この段階で、収率、糖類含量、タンパク質含量、pH、糖類:タンパク質の比、およびリシン含量を、工程管理として実施した。この段階で、遊離試験(外観、遊離タンパク質、遊離糖類、エンドトキシン、分子サイズの決定、残存シアン化物、糖類同定、CRM197同定)を実施した。
【0200】
DMSOコンジュゲーション
工程I:溶解
凍結乾燥した活性化糖類血清型6B、19F、23F、および凍結乾燥したCRM197キャリアタンパク質を、室温で平衡化し、DMSOで再構成した。溶解濃度は、一般にDMSO1リットルにつき糖類2〜3グラム(タンパク質2〜2.5g)の範囲であった。
【0201】
工程II:コンジュゲーション反応
活性化糖類およびCRM197キャリアタンパク質を、血清型6Bおよび19FについてはCRM1971gにつき糖類0.6〜1.0gの範囲の比率で、または血清型23についてはCRM1971gにつき糖類1.2〜1.8gの範囲の比率で、23℃±2℃で60〜75分間混合した。
【0202】
活性化糖類1モルに対してシアノ水素化ホウ素ナトリウム0.8〜1.2モル当量の比率で、シアノ水素化ホウ素ナトリウム溶液(100mg/mL)を添加することによって、コンジュゲーション反応を開始した。WFIを反応混合物に添加して、標的1%(v/v)にし、その混合物を、40時間を超えて23℃±2℃でインキュベートした。
【0203】
水素化ホウ素ナトリウム溶液100mg/mL(一般的に、活性化糖類1モルにつき水素化ホウ素ナトリウム1.8〜2.2モル当量)およびWFI(標的5%v/v)を、反応物に添加し、その混合物を23℃±2℃で3〜6時間インキュベートした。この手順によって、糖類に存在する未反応アルデヒドが低減した。次いで、反応混合物を、0.9%の塩化ナトリウムを入れた15℃未満の希釈タンクに移した。
【0204】
工程III:100kDa限外ろ過
希釈したコンジュゲート混合物を、1.2μmのフィルターでろ過し、100kDaのMWCO膜で、最小15容量の0.9%塩化ナトリウム(血清型23Fについては0.01Mのリン酸ナトリウム/0.05MのNaCl緩衝液を使用した)を用いて濃縮し、ダイアフィルトレーションした。透過物を廃棄した。保持液を、0.45μmのフィルターでろ過した。工程中の糖類内容物のサンプルを、この段階で採取した。
【0205】
工程IV:DEAEカラム精製
この工程は、血清型23Fについてのみ実施した。
【0206】
DEAEカラムを、0.01Mリン酸ナトリウム/0.05M塩化ナトリウム緩衝液で平衡化した。ろ過した保持液(血清型23F)をカラムに搭載し、0.01Mリン酸ナトリウム/0.05M塩化ナトリウム緩衝液で洗浄した。次いで、カラムを0.01Mリン酸ナトリウム/0.9%NaCl緩衝液で洗浄した。次いで、生成物を0.01Mリン酸ナトリウム/0.5M塩化ナトリウム緩衝液で溶出した。
【0207】
工程V:100kDa限外ろ過
6Bおよび19Fからの保持液を、少なくとも30容量の0.9%塩化ナトリウムで濃縮し、ダイアフィルトレーションした。透過物を廃棄した。
【0208】
血清型23Fからの溶出液を、最小20容量の0.9%塩化ナトリウムで濃縮し、ダイアフィルトレーションした。透過物を廃棄した。
【0209】
工程VI:滅菌ろ過
100kDaのMWCOダイアフィルトレーション後の保持液を、0.22μmのフィルターでろ過した。工程管理(糖類含量、遊離タンパク質、遊離糖類、残存DMSO、および残存シアン化物)を、ろ過した生成物で実施した。FBC標的を満たすためのさらなる濃縮、ダイアフィルトレーション、および/または希釈が必要かどうかを決定するために、ろ過した保持液で工程管理を実施した。これらの試験および付加的試験を、FBCサンプルで反復した。
【0210】
必要に応じて、ろ過したコンジュゲートを0.9%塩化ナトリウムで希釈して、最終濃度0.55g/L未満を実現した。この段階で、糖類含量、タンパク質含量、および糖類:タンパク質の比について遊離試験を実施した。
【0211】
最後に、コンジュゲートをろ過し(0.22μm)、2.64g/キャニスターの量で、10Lのステンレス鋼キャニスターに充填した。この段階で、収率、糖類含量、タンパク質含量、pH、糖類:タンパク質の比、およびリシン含量を、工程管理として実施した。この段階で、遊離試験(外観、遊離タンパク質、遊離糖類、エンドトキシン、分子サイズの決定、残存シアン化物、残存DMSO、糖類同定、およびCRM197同定)を実施した。
【0212】
実施例15
多価肺炎球菌コンジュゲートワクチンの処方
13種類のコンジュゲートの最終バルク濃縮物は、0.85%の塩化ナトリウムを含有する。タイプ3、6A、7F、および19Aのバルク濃縮物は、pH5.8で、5mMのコハク酸ナトリウム緩衝液も含有する。バッチ容量およびバルク糖類濃度に基づいて、バルク濃縮物の必要量を計算した。0.85%の塩化ナトリウム(生理食塩水)80%および必要量のコハク酸塩緩衝液を、ラベル前の処方槽に添加した後、バルク濃縮物を添加した。次いで、Millipore Durapore膜フィルターユニットを使用して、調製物を0.22μmの膜で滅菌ろ過して、第2の容器に入れた。第1の容器を、残りの0.85%塩化ナトリウム20%で洗浄し、その溶液を同じフィルターに通過させ、第2の容器に収集した。処方したバルクを、バルクのリン酸アルミニウムの添加中およびその後に、静かに混合した。必要に応じてpHをチェックし、調整した。処方したバルク生成物を、2〜8℃で保存した。
【0213】
処方したバルク生成物を、ベクトンディッキンソンから入手した、タイプ1のホウケイ酸塩のガラス製シリンジに充填した。濁度について、ワクチンを一定間隔でモニターして、充填作業の均一性を確実にした。充填したワクチン(最終生成物)を、2〜8℃で保存した。
【0214】
実施例16
13価コンジュゲートワクチンの免疫原生
今まで、13vPnCワクチンに対する前臨床研究をラビットで実施してきた。研究#HT01−0021および#HT01−0036は、S.ニューモニエからの莢膜多糖類(PSs)の、CRM197に対する化学的コンジュゲーション効果と、リン酸アルミニウム(AIPO)アジュバントの、ラビットにおける13vPnCワクチンへの免疫応答に対する効果を独立に調べるために設計された。これらの効果は、血清IgG濃度については抗原特異的なELISAによって、抗体機能についてはオプソニン食細胞のアッセイ(OPA)によって特徴付けられた。
【0215】
研究#HT01−0021
研究#HT01−0021によって、AIPOアジュバントと共に、ワクチン血清型特異的な免疫応答を現す13vPnCワクチンの能力を調査した。13vPnCワクチンで表される肺炎球菌血清型には、タイプ1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、および23Fが含まれる。第2の目的は、抗体応答の動態および持続時間の評価を含んでいた。ニュージーランドホワイトラビットを、0週目および2週目に、AIPO(100μg/用量)と共に処方した、またはAIPOなしで処方した各多糖類の計画的ヒト臨床用量(6Bの4μgを除き、各PSを2μg)で、筋肉内注射によって免疫した。様々な時点で、血清を収集した。血清型特異的なIgGをELISAによって測定し、機能的活性をOPAによって評価した。
【0216】
表3は、13vPnCワクチンの2用量後のプール血清サンプルにおいて実現した幾何平均価(GMT)を示している。IgG GMTの比を使用して、4週〜0週の応答を比較した。これらのデータは、13vPnC処方がAIPOを含むことによって、アジュバントを伴わない同じワクチンと比べ、より高いレベルのIgG抗体が現れたことを示している。抗体応答は、処方がAIPOを含む場合よりも高いが、これらの増加は統計的に有意ではなかった。
【0217】
また、2種類の13vPnC処方での免疫後の機能的抗体応答を、ラビットで評価した(表4)。アジュバントを伴うワクチン処方または伴わないワクチン処方を比較すると、13vPnC+AIPOワクチン処理グループで、より高いOPA GMTが観測された。両方のグループにおける全てのワクチン血清型に対して、4週目の血清プールでOPA価が検出された。4週目に測定されたOPA価は、血清型の殆どについて、0週目(ベースライン)のOPA価より少なくとも4倍高かった。
【0218】
13vPnCワクチン血清型のそれぞれに対する動態応答は、両方の処理グループの血清プールから評価した。各血清型に対するIgG価を、0週目と、1、2、3、4、8、12、26、および39週目とに採取した血液から測定し、その後比較した。血清型1を除いて、アジュバントを伴うワクチンを投与された動物の抗体応答は、アジュバントなしのワクチンを投与された動物の抗体応答よりも優れており、免疫スケジュールの2週目でピークに達した(データは示さず)。
【0219】
概して、リン酸アルミニウムと共に処方した13vPnCワクチンは、ラビットにおいては免疫原性を示し、ワクチンに含まれる肺炎球菌莢膜多糖類に対する実質的な抗体応答を表していること、およびこれらの応答は機能的活性に関連していることがデータによって示されている。13vPnC+AIPOで免疫した後の、7種の主要な血清型に対する観測された応答は、7価の処方に対するラビットの時刻歴応答と一致する。
【0220】
【表3】

【0221】
【表4】

【0222】
研究#HT01−0036
研究#HT01−0036によって、CRM197タンパク質とコンジュゲーションしたまたはコンジュゲーションしていない13vPnCワクチンで免疫した後の、ワクチンに含まれる多糖類(PSs)に対するラビットの免疫応答を比較した。ニュージーランドホワイトラビットを、0週目および2週目に、各PS用量2.2μg(6B4.4μgを除く)で筋肉内注射により免疫した。3種類のワクチン調製物、(a)13vPnC(CRM197に直接コンジュゲートしたPS)、(b)13vPnPS(遊離PS)、または(c)13vPnPS+CRM197(CRM197と混合した遊離PS)の1つを、動物に投与した。全てのワクチン調製物は、アジュバントとしてのAIPOを125μg/用量含有していた。
【0223】
全てのワクチン調製物に対する血清型特異的な免疫応答を、IgG ELISAと、機能的抗体を測定する補体媒介性OPAで評価した。免疫応答を、処理グループ間で比較した。
【0224】
表5は、抗原特異的なIgG ELISAで分析した、4週目の血液から得られたGMTデータを示す。追加分析は、4週〜0週のGMT値の比を示す。データは、コンジュゲートワクチン調製物が、遊離PSまたは遊離PS+CRM197ワクチンよりも高い血清IgG価を現したことを示している。S.ニューモニエタイプ14を除き、13vPnCワクチンは、OPAにおいて、S.ニューモニエの代表的な株に対する機能的抗体を誘発することができた(表6)。13vPnPSまたは13vPnPS+CRM197ワクチンでの2種の免疫の後、測定した13種類のうち10種類の血清型について、どちらも4週目対0週目で8倍以上のOPA価を誘発することができなかった(表6)。
【0225】
結論として、これらの結果は、13価の肺炎球菌ワクチン多糖類のコンジュゲーションが、遊離多糖類単独または非コンジュゲートCRM197と混合した遊離多糖類で見られるものよりも高い血清IgG価および全体的に高い機能的抗体をもたらすことを示している。
【0226】
【表5】

【0227】
【表6】

【0228】
先の議論および実施例は、単に特定の実施形態の詳細な説明を提示するものであることを理解されたい。したがって、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な改変形態および相当する形態を使用できることが当業者には明らかとなろう。
【0229】
本特許出願に特定されている全ての学術論文、他の参考文献、特許、および特許出願は、参照によってその全体が組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0230】
【図1】ベースライン(1998/1999)から2001までの米国の2歳未満の子どもにおける、血清型によるIPD割合の変化を示すグラフである。
【図2】5歳未満の子どもにおけるペニシリン(PCN)に耐性を有する肺炎球菌分離株の分布を示すグラフである(1998)。
【図3】D118−P16Prevnar試験からのOPA3用量後の結果の逆累積分布曲線(RCDC)を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
13種類の異なる多糖類−タンパク質コンジュゲートを、生理学的に許容できるビヒクルと共に含む多価免疫原性組成物であって、そのコンジュゲートの各々がキャリアタンパク質にコンジュゲートしたストレプトコッカスニューモニエの異なる血清型からの莢膜多糖類を含み、その莢膜多糖類が血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19Fおよび23Fから調製される、多価免疫原性組成物。
【請求項2】
キャリアタンパク質がCRM197であるところの、請求項1記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
さらにアジュバントを含む、請求項1記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
アジュバントがアルミニウムをベースとするアジュバントであるところの、請求項3記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
アジュバントがリン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムからなる群より選択されるところの、請求項4記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
アジュバントがリン酸アルミニウムであるところの、請求項5記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
免疫学的に有効な量の請求項1に記載の免疫原性組成物をヒトに投与することを含む、ストレプトコッカスニューモニエ莢膜多糖類コンジュゲートに対する免疫応答を誘発する方法。
【請求項8】
投与される免疫原性組成物が、0.5mLの単回用量にて、6Bを4μgとすることを除き、各糖類を2μgにて;CRM197キャリアタンパク質を約29μgにて;アルミニウム元素を0.125mg(リン酸アルミニウムを0.5mg)のアジュバントにて;ならびに賦形剤としての塩化ナトリウムおよびコハク酸ナトリウム緩衝液を含有するように処方されるところの、請求項7記載の方法。
【請求項9】
多糖類−タンパク質コンジュゲートを生理学的に許容できるビヒクルと共に含む多価免疫原性組成物であって、そのコンジュゲートの各々がキャリアタンパク質にコンジュゲートしたストレプトコッカスニューモニエの異なる血清型からの莢膜多糖類を含み、その莢膜多糖類が血清型3および少なくとも1種類の付加的な血清型から調製される、多価免疫原性組成物。
【請求項10】
付加的な血清型が血清型1、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19Fおよび23Fからなる群より選択されるところの、請求項9記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
キャリアタンパク質がCRM197であるところの、請求項9記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
さらにアジュバントを含む、請求項9記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
アジュバントがアルミニウムをベースとするアジュバントであるところの、請求項12記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
アジュバントがリン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムからなる群より選択されるところの、請求項13記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
アジュバントがリン酸アルミニウムであるところの、請求項14記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
免疫学的に有効な量の請求項9に記載の免疫原性組成物をヒトに投与することを含む、ストレプトコッカスニューモニエ莢膜多糖類コンジュゲートに対する免疫応答を誘発する方法。
【請求項17】
投与される免疫原性組成物が、0.5mLの単回用量にて、6Bを4μgとすることを除き、各糖類を2μgにて;CRM197キャリアタンパク質を約29μgにて;アルミニウム元素を0.125mg(リン酸アルミニウムを0.5mg)のアジュバントにて;ならびに賦形剤としての塩化ナトリウムおよびコハク酸ナトリウム緩衝液を含有するように処方されるところの、請求項16記載の方法。
【請求項18】
多糖類−タンパク質コンジュゲートを、生理学的に許容できるビヒクルと共に含む多価免疫原性組成物であって、そのコンジュゲートの各々がキャリアタンパク質にコンジュゲートしたストレプトコッカスニューモニエの異なる血清型からの莢膜多糖類を含み、その莢膜多糖類が血清型4、6B、9V、14、18C、19F、23Fおよび少なくとも1種の付加的な血清型から調製される、多価免疫原性組成物。
【請求項19】
付加的な血清型が血清型1、3、5、6A、7Fおよび19Aからなる群より選択されるところの、請求項9記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
キャリアタンパク質がCRM197であるところの、請求項18記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
さらにアジュバントを含む、請求項18記載の免疫原性組成物。
【請求項22】
アジュバントがアルミニウムをベースとするアジュバントであるところの、請求項21記載の免疫原性組成物。
【請求項23】
アジュバントがリン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムからなる群より選択されるところの、請求項22記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
アジュバントがリン酸アルミニウムであるところの、請求項23記載の免疫原性組成物。
【請求項25】
免疫学的に有効な量の請求項18に記載の免疫原性組成物をヒトに投与することを含む、ストレプトコッカスニューモニエ莢膜多糖類コンジュゲートに対する免疫応答を誘発する方法。
【請求項26】
投与される免疫原性組成物が、0.5mLの単回用量にて、6Bを4μgとすることを除き、各糖類を2μgにて;CRM197キャリアタンパク質を約29μgにて;アルミニウム元素を0.125mg(リン酸アルミニウムを0.5mg)のアジュバントにて;ならびに賦形剤としての塩化ナトリウムおよびコハク酸ナトリウム緩衝液を含有するように処方されるところの、請求項25記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−535838(P2008−535838A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505426(P2008−505426)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/012354
【国際公開番号】WO2006/110381
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】