説明

多列スティック自動包装機の縦シール装置

【課題】 簡単かつ安価な構成としながら、縦シール装置の位置調整を再現性高く精度良く行うことができる多列スティック自動包装機の縦シール装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、複数条の包装フィルムF’を袋状にフォーミングし、フォーミングされた両端重ね合わせ部に縦シール装置6によって縦シールを施し、筒状になった包装フィルムを横シール装置により横方向に挟み込んで横シールを施し、その中に充填パイプ5を用いて内容物を充填した後、内容物投入口を横シールすることで包装体を多列同時に成形する多列スティック自動包装機1の縦シール装置6であって、多列の縦シール金具61が搭載された支持ベース73に、前面視前後方向に移動可能な直動機構を設け、直動機構は回転運動を直動機構の前後直線運動に変換する回転直線運動変換機構90を利用して、充填パイプ5に対する縦シール金具61の前後位置を調整自在に成すと共に、予め定められた縦シール金具位置を再現可能に成すよう構成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多列スティック自動包装機の縦シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に記載されているように、一度に複数本のスティックの包装体を連続的にシール成形できるように構成した多列スティック自動包装機が知られている。
【0003】
かかる多列スティック自動包装機では、原反包装フィルムを各包装袋で必要なサイズ毎にスリッター刃で切り分け、切り分けられた各包装フィルムを袋状にフォーミングし、フォーミングされた両端重ね合わせ部を縦シール金具(縦ヒートシーラ)が縦方向に挟み込んで縦シールを施し、筒状になった包装フィルムの規定の位置を横シール金具(横ヒートシーラ)が横方向に挟み込んで横シールを施し、出来上がった袋状の包装フィルム内に、充填パイプを用いて原料(内容物)を充填し、その後に原料投入口を横シールして封止し、この封止された横シール部分の中央付近に対してカッター装置を用いて切り離すことで、最終的に個別包装形態のスティック状包装体を、多列かつ連続的に成形できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−272511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載されている多列スティック自動包装機の縦シール装置は、製品の品種変更(例えば包装体のサイズ変更など)を行う際には、包装フィルムの幅が大きくなる場合は、充填パイプ(特許文献1の図3における符号2T参照)を太く、縦シール金具(縦ヒートシーラ)(同図符号5A参照)の反対側において包装フィルムが巻回されている充填パイプ(同図符号2T参照)を支持する受部(V字ベース)(同図符号5B参照)のV字溝を深さの深いものに交換する必要がある。
【0006】
この一方、包装フィルムの幅が小さくなる場合は、充填パイプ(同図符号2T参照)を細く、縦シール金具(縦ヒートシーラ)(同図符号5A参照)の反対側において包装フィルムが巻回されている充填パイプ(同図符号2T参照)を支持する受部(V字ベース)(同図符号5B参照)のV字溝を深さの浅いものに交換する必要がある。
【0007】
そして、それぞれの場合において、充填パイプ直近の所定位置に縦シール金具(縦ヒートシーラ)が位置するように、多列スティック自動包装機本体に対する縦シール装置の前後方向位置の調整を、例えば長穴とボルトの締結などにより、作業者がマニュアル作業によって行っている。
【0008】
しかし、多列になると、縦シール装置も横方向(幅方向)に長大となり重量も嵩むため、微妙な調整が困難で、縦シール装置の前後方向位置の精度の高い調整作業は難しいものとなるのが実情である。
【0009】
また、縦シール装置の前後方向位置の従来の調整は、手作業であるため、再現性は作業者の技量に依るところが大きく、製品品質が安定しないという懸念がある。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みなされたもので、簡単かつ安価な構成としながら、縦シール装置の位置調整を再現性高く精度良く行うことができる多列スティック自動包装機の縦シール装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、本発明に係る多列スティック自動包装機の縦シール装置は、
幅の広い原反包装フィルムを複数条の包装フィルムにスリットし、スリットされた多列に並ぶ包装フィルムのそれぞれに対して、袋状にフォーミングし、フォーミングされた両端重ね合わせ部を縦シール装置の縦シール金具により縦方向に挟み込んで縦シールを施し、筒状になった包装フィルムを横シール装置の対面配置される横シール金具により横方向に挟み込んで横シールを施し、出来上がった袋状の包装フィルム内に充填パイプを用いて内容物を充填した後、内容物投入口を横シールして封止することで包装体を多列同時に成形する多列スティック自動包装機の縦シール装置であって、
前記多列の縦シール金具が搭載された支持ベースに、前面視前後方向に移動可能な直動機構を設け、
前記直動機構は、回転運動を直動機構の前後直線運動に変換する回転直線運動変換機構を利用して、充填パイプに対する縦シール金具の前後位置を調整自在に成すと共に、予め定められた縦シール金具位置を再現可能に成すよう構成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明において、前記包装体の寸法変更に伴う縦シール装置のセット替えを実施した際、前記包装体の品種データに基づき直動機構を駆動することにより、縦シール金具の前後位置が決定されること特徴とすることができる。
【0013】
本発明において、前記直動機構は、手動回転装置と回転量表示装置で構成され、若しくは電動モータと当該電動モータの回転制御手段を含む自動包装機制御装置で構成され、手動若しくは電動モータで縦シール金具の前後位置を決定する際には、回転量表示装置若しくは自動包装機制御装置のモータ回転制御手段に基づいて回転駆動されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡単かつ安価な構成としながら、縦シール装置の位置調整を再現性高く精度良く行うことができる多列スティック自動包装機の縦シール装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る多列スティック自動包装機の正面図である。
【図2】同上実施の形態に係る多列スティック自動包装機の縦シール装置の正面図である。
【図3】同上実施の形態に係る多列スティック自動包装機の縦シール装置を包装フィルム搬送方向上流側から見た上面図である。
【図4】同上実施の形態に係る多列スティック自動包装機の縦シール装置の縦シール部を示す側面図である。
【図5】同上実施の形態に係る多列スティック自動包装機の縦シール装置の直動機構を示す側面図である。
【図6】同上実施の形態に係る多列スティック自動包装機の縦シール装置の直動機構を示す側面図(電動モータを採用した場合の一例)である。
【図7】同上実施の形態に係る多列スティック自動包装機の縦シール装置を開状態とした上面図である。
【図8】同上実施の形態に係る多列スティック自動包装機の縦シール装置の縦シール部を示す上面図である。
【図9】同上実施の形態に係る多列スティック自動包装機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る一実施の形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る縦型の多列スティック自動包装機の全体構成を示す正面図(包装フィルムの図示は省略している)であり、図9は当該多列スティック自動包装機の側面図である。
【0018】
本実施の形態に係る多列スティック自動包装機1は、一例として12列構成のものを示しており、一度に12列で内容物を充填しつつ包装フィルムを連続的にシール成形して包装体を形成して切り離すことにより、一度に12個の包装体を生産可能に構成されている。但し、列数は、多列スティック自動包装機1の購入者の要求、原反ロールフィルム幅や包装体の採用寸法に応じて適宜の数とすることができる。
【0019】
図1、図9に示すように、本実施の形態に係る多列スティック自動包装機1は、原料(粉末、粒状、練り物、液状その他の内容物)を収容したホッパー2と、ホッパー2の下方に備えられ各列に供給する原料の量目を計数するスライド供給盤3と、スライド供給盤3から落下した原料を受け入れて後述する各充填パイプ5に送り込む接続シュート4と、スリッター装置FXにより12列にスリットされて幅が狭くなった包装フィルムF’(包装フィルム(F、F’)は、原反ロールFHに巻回されていて所定速度で引き出される)をそれぞれ略円筒状にフォーミングすると共に原料の投入通路となる充填パイプ5と、が備えられている。
【0020】
また、12列にスリットされた包装フィルムF’に対して縦方向のシールを行う縦シール装置6と、当該縦シール装置6の下流側に設けられ包装フィルムF’に対して横方向のシールを行う横シール装置7が設けられている。
【0021】
更に、横シール装置7により形成された横シール部の略中央部分を切り離すカッター装置8を経て切り離され自然落下する包装体を受け取り下流側のベルトコンベア等の搬送装置に排出する滑り台状の包装体排出装置9などが備えられている。
【0022】
ここにおいて、本実施の形態に係る多列スティック自動包装機1における包装について説明する。なお、このような多列スティック自動包装機1の各種動作は、制御装置10により司られる。
原反ロールFHから引き出される包装フィルムF及び複数列にスリットされた各包装フィルムF’は、横シール動作中における横シール装置7の上下運動に従って順次下方に引き出され、各包装フィルムF’は充填パイプ5に巻き付けられることによって略円筒形状にフォーミングされる。
【0023】
次に、多列スティック自動包装機1では、図3、図4、図8などに示すように、縦シール装置6の各縦シール装置60の縦シール金具(縦ヒートシールバー)61(例えば電熱式ヒーターが内蔵されている)によって、略円筒形状にフォーミングされて重ね合わされた各包装フィルムF’の両端同士をヒートシールして円筒状にシール成形する。
【0024】
なお、縦シール金具(縦ヒートシールバー)61は、図8に示すように、開閉シリンダ61Cを収縮させてリンク機構を介して縦シール金具61Bを、他方の縦シール金具61Aから離間させて、包装フィルムF’の重ね合わせ部分(シール済み)を下方(図8平面奥行き方向)へ移動させ、次に縦シールすべき包装フィルムF’の重ね合わせ部分(シール済み)が縦シール金具61Aと縦シール金具61Bとの間に導かれると、所定タイミングで開閉シリンダ61Cを伸長させてリンク機構を介して縦シール金具61Bを他方の縦シール金具61Aに当接させて包装フィルムF’の両端同士をヒートシールして円筒状にシール成形するように動作される。
【0025】
更に、多列スティック自動包装機1では、この略円筒形状になった包装フィルムF’に対して横シール装置7の横シール金具(横ヒートシールバー)によって挟み込んで包装袋状とした後、上記充填パイプ5を介してこの包装袋内部に原料(内容物)を投入する。同時に、横シール装置7による挟持状態のまま1包装袋分下方に移動させて包装フィルムF’の引き出しを行う。
【0026】
その後、この横シール装置7を1包装袋分上方に復帰作動させて再度横シールを行うことによって内容物(粉末原料)が入った袋状の包装フィルムの充填口を封止して密封し、多列式にスティック包装体をシール成形するものである。
【0027】
そして、上記の動作を連続して繰り返し行い、且つ各横シールの中央部分をカッター装置8で上下に切断することにより、一度に多数本のスティック個別包装体を連続的に生産できるように構成されている。
【0028】
ここにおいて、本実施の形態に係る縦シール装置6は、以下のように構成されている。
すなわち、図2、図3に示すように、縦シール装置6は12列の縦シール装置60を含んで構成される。
【0029】
この12列の縦シール装置60を支持する取付ベース69は多列スティック自動包装機1本体に固定されるが、図8に拡大して示したように、当該取付ベース69にはV字ブロック74が取り付けられている。また、V字溝には充填パイプ5が、包装フィルムF’を挟んで所定間隔をもって配設されている。
【0030】
なお、充填パイプ5は、図2に示すように、充填パイプ固定板62を介して、取付ベース69に固定されている。
【0031】
ここで、図2、図3等に示したように、多列スティック自動包装機1本体に固定される取付ベース69の右側には、装置前方(手前方向)に延在される右直動レールブロック70が取り付けられている。
【0032】
そして、この右直動レールブロック70に沿って、装置前方に延在される右直動レール68が設けられると共に、該右直動レール68には、右直動ガイド67が装置前後方向(前面視前後方向)に摺動自在に係合され、これらによって直動案内(リニアガイド)機構が構成されている。
【0033】
なお、取付ベース69の左側には、右側と同様に、直動案内(リニアガイド)機構を構成する左直動レールブロック78、左直動レール79、左直動ガイド80が設けられている。但し、左直動レールブロック78、左直動レール79、左直動ガイド80については、後述するように、開閉軸84廻りに回転させて開状態(図7参照)としたときに、片持ち状態でその重量を支えることができるように、左直動レール79、左直動ガイド80は複列タイプで構成されている。
【0034】
そして、これら右直動ガイド67、左直動ガイド80には、12列の縦シール装置60が取り付けられる縦シール装置支持ベース73が支持されている。縦シール装置支持ベース73の左直動ガイド80への支持は、開閉軸84を介して行われている一方、右直動ガイド67に対しては開閉キー棒64によって着脱可能に固定されている。
【0035】
このため、縦シール装置支持ベース73を開閉軸84廻りに回動させて開放させたい場合には、開閉ハンドル86を回動させるなどして開閉キー棒64に対する係合を解放することで、右直動ガイド67に対する縦シール装置支持ベース73の固定を解放して、縦シール装置支持ベース73を開閉軸84廻りに回動させて、図7に示すような開放状態とする。
【0036】
このような開放状態にすることで、充填パイプ5やV字ブロック74への作業員のアクセスが可能となり、各部のメンテナンス、包装体のサイズ変更に伴う充填パイプ5やV字ブロック74の交換作業などが容易に行えることになる。
【0037】
なお、図2、図5に詳細に示すように、縦シール装置支持ベース73の右端は第1右縦シール装置ブロック66に接続されて第2右縦シール装置65を介して右直動ガイド67に支持されており、また、図2に示すように、縦シール装置支持ベース73の左端は左縦シール装置ブロック82に接続されて開閉軸受け下ブロック81、開閉軸受け上ブロック83を介して左直動ガイド80に支持されている。
【0038】
また、本実施の形態に係る縦シール装置6においては、図3、図5、図6等に示すように、取付ベース69には右開閉シリンダ71、左開閉シリンダ76が取り付けられていて、右開閉シリンダ71、左開閉シリンダ76のそれぞれの出力軸71A、76Aは、右縦シール装置ブロック65、開閉軸受け下ブロック81に螺合されている。
【0039】
この右開閉シリンダ71、左開閉シリンダ76は、多列スティック自動包装機1の運転停止の際に、その出力軸71A、76Aを伸長させることで、図3や図5に示す前後方向に、縦シール装置60及び縦シール装置支持ベース73を支持する右直動ガイド67及び左直動ガイド80を右直動レール68及び左直動レール79上をスライドさせて、充填パイプ5から縦シール金具61を離間させることで、包装フィルムF’が比較的高温となっている縦シール金具61に付着等してしまうことを抑制する一方、多列スティック自動包装機1の運転中には、出力軸71A、76Aを収縮させて、縦シール金具を充填パイプ5へ接近させて縦シールを行うための所定位置へと持ち来すようになっている。
【0040】
ところで、本実施の形態に係る出力軸71A、76Aは、右開閉シリンダ71、左開閉シリンダ76に対して軸方向については規制されつつ回転自在に支持されているので、出力軸71A、76Aを回転させると、出力軸71A、76Aの外周に形成されているネジ部と螺合部93において螺合されている右縦シール装置ブロック65、開閉軸受け下ブロック81延いては縦シール装置支持ベース73などは、これらを支持している右直動ガイド67、左直動ガイド80を介して、右直動レール68、左直動レール79に沿って直動されることになる。
【0041】
従って、右開閉シリンダ71、左開閉シリンダ76の出力軸71A、76Aを回転させることで、右縦シール装置ブロック65、開閉軸受下ブロック81に取り付けられている縦シール装置支持ベース73延いては縦シール装置60が、取付ベース69延いては充填パイプ5に対して、前後方向に移動されることになるため、充填パイプ5に対する縦シール装置60延いては縦シール金具61の前後方向位置(図4等参照)を調整することができる構成となっている。
【0042】
本実施の形態では、図5に示すように、出力軸71A(76A)の先端部にはプーリー92が取り付けられていると共に、当該プーリー92と、右縦シール装置位置調整ダイヤル63(左縦シール装置位置調整ダイヤル85)に連結されているプーリー91と、に右タイミングベルト72(左タイミングベルト77)が巻き掛けられている。
【0043】
ここで、右縦シール装置位置調整ダイヤル63、左縦シール装置位置調整ダイヤル85、プーリー91、右タイミングベルト72、左タイミングベルト77、プーリー92、出力軸71A、76A、螺合部93などが、本発明に係る回転直線運動変換機構90を構成する。なお、右縦シール装置位置調整ダイヤル63、左縦シール装置位置調整ダイヤル85として、その回転位置(回転量)がカウント表示されるような表示機能付きのものを採用することで、使用する充填パイプ5に対する縦シール金具61の相対位置設定の再現性を高めることができ、以って製品品質のばらつきを抑制することができ、高品質化を促進することができる。
【0044】
従って、作業者は、右縦シール装置位置調整ダイヤル63、左縦シール装置位置調整ダイヤル85を回転させると、プーリー91、右タイミングベルト72、左タイミングベルト77、プーリー92を介して、右開閉シリンダ71、左開閉シリンダ76の出力軸71A、76Aが回転され、これにより、充填パイプ5に対する縦シール装置60延いては縦シール金具61の前後方向位置を、簡単な操作により精度良く調整することができる構成となっている。
【0045】
例えば、製品の品種変更(例えば包装体のサイズ変更など)に応じて、使用する充填パイプ5のサイズやV字ブロック74のV字溝深さを変更するセット替えの場合などには、その充填パイプ5のサイズやV字ブロック74のV字溝深さに応じて、右縦シール装置位置調整ダイヤル63や左縦シール装置位置調整ダイヤル85の回転量を記憶しておくことで、充填パイプ5に対する縦シール金具61の相対位置などを計測することなく、所定の位置へ調整することなどが可能である。なお、右縦シール装置位置調整ダイヤル63や左縦シール装置位置調整ダイヤル85としては、ダイヤル回転量(すなわち、出力軸71A、76Aの突出量延いては縦シール金具61の前後方向位置)などを表示することができる表示機能付のものなどを採用することができる。
【0046】
更には、例えば、デジタルノギスやギャップセンサなどの測長センサ(インジケータ)を設け、取付ベース69延いては充填パイプ5に対する、縦シール装置支持ベース73延いては縦シール金具61の相対位置などを計測して所望の値に調整することも可能である。
【0047】
また、図6に示したように、作業者が手作業により操作する右縦シール装置位置調整ダイヤル63や左縦シール装置位置調整ダイヤル85に代えて、電動モータ100等のアクチュエータを配設して、電動モータ100によりプーリー91延いては回転直線運動変換機構90を回転させるような構成とすることができる。この際、例えば、電動モータ100(例えばサーボモータなど)の回転量をエンコーダ等により取得して、使用する充填パイプ5のサイズやV字ブロック74のV字溝深さを変更する場合などには、その充填パイプ5のサイズやV字ブロック74のV字溝深さに応じた回転量となるように、自動で或いはマニュアルで、電動モータ100の回転量を制御することなどが可能である。
【0048】
例えば、前記回転量(回転直線運動変換機構の回転操作量)が、品種データとしての製造される包装体を特定する品番その他の識別符号に基づいて制御装置10内のメモリ等に予め設定記憶されると共に、作業者等の手入力や識別ラベルなどを読み取ることにより入力される識別符号に基づいて、その記憶されている回転量(回転操作量)となるように、回転直線運動変換機構90に回転連結された電動モータ100が回転駆動されるように構成することも可能である。
【0049】
また、上述と同様に、測長センサを設け、取付ベース69延いては充填パイプ5に対する、縦シール装置支持ベース73延いては縦シール金具61の相対位置などを計測して所望の値となるように、電動モータ100の回転量を制御することも可能である。
【0050】
このように、本実施の形態によれば、右縦シール装置位置調整ダイヤル63や左縦シール装置位置調整ダイヤル85、或いは電動モータ100(アクチュエータ)によって出力軸71A、76Aを回転させることで、これらに螺合されている右縦シール装置ブロック65、開閉軸受け下ブロック81延いては縦シール装置支持ベース73などを直動案内機構によって直動させる構成としたので、より容易にしかも正確に縦シール装置60の充填パイプ5に対する相対位置調整を行うことができる。
【0051】
更に、本実施の形態によれば、インジケータやサーボモータ等により位置制御を行うことが可能であり、これにより、例えば製品の品種変更(例えば包装体のサイズ変更など)を元に戻す際の、使用する充填パイプ5に対する縦シール装置60の相対位置設定の再現性を高めることができ、以って製品品質のばらつきを抑制することができ、高品質化を促進することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、回転直線運動変換機構90として、右縦シール装置位置調整ダイヤル63や左縦シール装置位置調整ダイヤル85、プーリー91、右タイミングベルト72、左タイミングベルト77、プーリー92、出力軸71A、76A、螺合部93などを用いたものを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、ラック・アンド・ピニオン機構などを用いた回転直線運動変換機構などを採用することも可能である。
【0053】
以上で説明した実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 多列スティック自動包装機
2 ホッパー
3 スライド供給盤
4 接続シュート
5 充填パイプ
6 縦シール装置
7 横シール装置
8 カッター装置
9 包装体排出装置
10 制御装置
60 縦シール装置(個別)
61 縦シール金具
61A 縦シール金具(固定側)
61B 縦シール金具(可動側)
61C 開閉シリンダ
62 充填パイプ固定板
63 右縦シール装置位置調整ダイヤル
64 開閉キー棒
67 右直動ガイド
68 右直動レール
69 取付ベース
70 右直動レールブロック
71 右開閉シリンダ
71A 出力軸
72 右タイミングベルト
73 縦シール装置支持ベース
74 V字ブロック
75 縦シール装置取付ボルト
76 左開閉シリンダ
76A 出力軸
77 左タイミングベルト
78 左直動レールブロック
79 左直動レール
80 左直動ガイド
84 開閉軸
85 左縦シール装置位置調整ダイヤル
86 開閉ハンドル
90 回転直線運動変換機構
91 プーリー
92 プーリー
93 螺合部
100 電動モータ(サーボモータなど)
FH 原反ロール
F 包装フィルム
FX スリッター装置
F’ スリットされた包装フィルム



【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の広い原反包装フィルムを複数条の包装フィルムにスリットし、スリットされた多列に並ぶ包装フィルムのそれぞれに対して、袋状にフォーミングし、フォーミングされた両端重ね合わせ部を縦シール装置の縦シール金具により縦方向に挟み込んで縦シールを施し、筒状になった包装フィルムを横シール装置の対面配置される横シール金具により横方向に挟み込んで横シールを施し、出来上がった袋状の包装フィルム内に充填パイプを用いて内容物を充填した後、内容物投入口を横シールして封止することで包装体を多列同時に成形する多列スティック自動包装機の縦シール装置であって、
前記多列の縦シール金具が搭載された支持ベースに、前面視前後方向に移動可能な直動機構を設け、
前記直動機構は、回転運動を直動機構の前後直線運動に変換する回転直線運動変換機構を利用して、充填パイプに対する縦シール金具の前後位置を調整自在に成すと共に、予め定められた縦シール金具位置を再現可能に成すよう構成されたことを特徴とする多列スティック自動包装機の縦シール装置。
【請求項2】
前記包装体の寸法変更に伴う縦シール装置のセット替えを実施した際、前記包装体の品種データに基づき直動機構を駆動することにより、縦シール金具の前後位置が決定されること特徴とする請求項1に記載の多列スティック自動包装機の縦シール装置。
【請求項3】
前記直動機構は、手動回転装置と回転量表示装置で構成され、若しくは電動モータと当該電動モータの回転制御手段を含む自動包装機制御装置で構成され、手動若しくは電動モータで縦シール金具の前後位置を決定する際には、回転量表示装置若しくは自動包装機制御装置のモータ回転制御手段に基づいて回転駆動されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多列スティック自動包装機の縦シール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−12091(P2012−12091A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151607(P2010−151607)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名 2010国際食品工業展 主催者名 社団法人 日本食品機械工業会 公開日 平成22年6月8日から6月11日まで
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】