多原色LCDにおける色ずれ低減のための画像処理方法
【課題】輝度解像度損失が全くない、または、既存の方法に比べ、輝度解像度損失が減少したLCD、および、動画像と静止画像の両方に対し、カラーアーティファクトがないLCDにおける視野角に伴う色ずれを減少する最適な方法を提供する。
【解決手段】画像を処理する方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取る工程と、1以上のサブ画素色構成要素のデータ値を修正する工程と、を含んでいる。表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度が実質上変化しないように、2つの画素からの対応するサブ画素の上記データ値は、互いに対して反対方向に修正される。
【解決手段】画像を処理する方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取る工程と、1以上のサブ画素色構成要素のデータ値を修正する工程と、を含んでいる。表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度が実質上変化しないように、2つの画素からの対応するサブ画素の上記データ値は、互いに対して反対方向に修正される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多原色表示装置で表示する画像データを処理する方法および処理する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(以下、LCDと称する)は、一般的に、これには限定されないが、以下のいくつかの構成部材によって構成されている。
1.均一かつ広い角度でパネルを照射するバックライトユニット(透過型ディスプレイの場合)。
2.デジタル画像データを受け取って、各画素のアナログ信号電圧と、タイミングパルスと、全画素の対向電極の共通電圧とを出力する、制御用電子回路。LCD制御用電子回路の標準的な配置の概略図を図1に示す(E.Lueder 'Liquid Crystal Displays'、Wiley and Sons社、2001年、を参照のこと)。
3.空間光変調によって画像を表示する液晶(以下、LCと称する)パネル。液晶パネルは、2つの対向するガラス基板を含む。液晶パネルの2つのガラス基板のうちの一方には、画像素子電極配列および上記制御用電子回路から受信した電子信号を前記画素電極に送るアクティブマトリクス配列が配置される。そして、もう一方のガラス基板には、通常、均一な共通電極とカラーフィルタ配列フィルムとが配置される。各ガラス基板の間には、所定の厚さ(通常2〜6μm)の液晶層が含まれる。上記液晶層は、ガラス基板の内部表面上に配置された配向層によって配向させてもよい。ガラス基板は、一般的に、交差した偏光フィルムと、他の光学補正フィルムとの間に置かれ、LC層のそれぞれの画像素子領域内で電気的に誘導された配向の変化を生じさせ、バックライトユニットおよび周囲の周辺装置から所望の光変調を持つ光を発生させる。これにより、画像が生成される。
【0003】
上述の画像素子は、一般に、画素と称され、各画素は、通常、複数のサブ画素で構成されている。典型的なLCDは、RGBの幾何学的縞模様を有している。各画素は、3つのサブ画素、すなわち、赤、緑、青のサブ画素が縦縞模様のように並んで構成された正方形になっている。しかしながら、各画素が4つまたはそれ以上のサブ画素(例えば、赤、緑、青、および、白)を含んでいる多原色ディスプレイが一般的になっている。
【0004】
多原色ディスプレイは、再現可能な色の範囲を広げる目的で製造された(IDW’09会報、2009年、1199〜1202頁)。赤、緑、青、および、白のサブ画素を持つ多原色ディスプレイは、表示の明るさと表示効率を改良する目的で開発された(SID’08 摘要、1112〜1115頁)。また、多原色ディスプレイは、明るさとサブ画素レベルでの精彩な画像特徴のレンダリング能力と、を同時に向上させる目的で生み出された(IMID’05 摘要、867〜872頁)。赤、緑、青、および、黄のサブ画素を持つ多原色ディスプレイも開発された。これらのディスプレイは、明るさを向上させたり、色の範囲を広げたり、サブ画素のレンダリング能力を向上させたりする(SID’10 摘要、281〜282頁)。
【0005】
多原色ディスプレイは、多くの色度値および輝度値に対して、3つ以上のタイプのカラーサブ画素を有するため、カラーサブ画素に提供されるデータ値であって、全体として同じ輝度および同じ色度を生成する個々のデータ値の複数の構成がありうる。全体の輝度および色度を同じにすることが可能な、データ値のさまざまな組み合わせは、メタマー(metamer)として知られている。サブ画素のレンダリングを考慮することに基づいて最適なメタマーを選択する方法は、米国特許第2010 0277498号(2010年11月4日公開)に開示されている。
【0006】
LCD技術において、例えば、表示エリア、明るさ、画像コントラスト、解像度、ビット深度(bit-depth)、および、応答時間などの改善された指標を有した非常に高性能なディスプレイをもたらすその他多くの進歩が存在した。しかしながら、視野角特性については、依然、さまざまなタイプのLCDにおいて、乏しいままである。良好な視野角特性を得るためには、所定の画素の入力画像データ値と、観察される画素の輝度との関係、いわゆる、ガンマ曲線が、視野角に応じて可能な限り小さな変化となるようにしなければならない。ディスプレイのガンマ曲線は、ディスプレイドライバのデータ値−信号電圧マッピングと、LCパネルの信号電圧−輝度応答との複合効果によって決定される。
【0007】
視野特性の問題点の一つにコントラスト反転がある。コントラスト反転は、ディスプレイの表面に対して垂直(以下、軸上と称する)の方向から観察された他の画素よりも輝度が高くなるように切り替えられた画素が、すべての視野角で高い輝度を維持できないときに起こる。その結果、表示された画像が、視野角の変化に伴って反転して見えてしまう。このコントラスト反転の問題を解決する技術もいくつかある。例えば、ディスプレイは、ツイストネマチック(Twisted Nematic:以下、TNと称する)ディスプレイに利用される広視野斜角ディスコチックフィルム(splayed-discotic Wide-View film)といった角度補正フィルム、VAN(Vertically Aligned Nematic)ディスプレイのマルチドメイン画素(multidomained pixels)、IPS(In-Plane Switching)方式ディスプレイおよび改良した電極形状等を伴って製造されている。
【0008】
視野特性の2つ目の問題点として、視野角に伴う知覚された色の変化がある。これは、色ずれとして一般に知られている。色ずれは、視野角に伴う画素の輝度の変化量が、画素の軸上輝度の関数であることの結果として生じる。したがって、3つのサブ画素が様々な輝度値を有したRGBストライプディスプレイにおいて、3つの色構成要素間における輝度の相対的差異は、視野角に伴い変化し得る。コントラスト反転問題は、広く解決されたが、一方で、色ずれは、様々なタイプのLCDにおいて、問題のままである。
【0009】
明瞭さの理由で、この色ずれ影響を示すために用いる以下の例、および、この影響を減らすための実施形態の記載は、カラーグラデーション制御につき8ビットを有するVAN方式LCDディスプレイを対象としている。角度を伴う色ずれの問題は、VAN方式ディスプレイまたはどんな特定の色深度のディスプレイにも制限されず、また、ここに記載された実施形態の適用性を限定するものでもない。よって、これは、角度で色ずれが現れるどんなLCDにも適用できる本発明の範囲を損なうものではない。
【0010】
図2は、入力データレベルが0(黒)から255(白)までの32刻みの階調(shades of grey)で計測された、携帯電話ディスプレイにおけるマルチドメインVAN方式LCDの輝度の角度依存性を示す。図3(a)は、入力データレベルに対してプロットした0°、および(ディスプレイが通常観察される方向に水平な)右手側に50°の傾きでの図2の点を示す。軸上の曲線はガンマ曲線であり、当該ガンマ曲線は、以下の関係におおよそ従うように設計されている。
【0011】
【数1】
【0012】
ここで、所定のデータレベルDに対しLは出力輝度であり、それぞれがその最大値に正規化した場合、γ(ガンマ)はその2つに関する指数である。ガンマ値は、一般的に2.0から2.4の範囲に設計され、そして図2および3に示されたディスプレイに対して約2.3である。
【0013】
図3(b)は、軸上の輝度の関数としての、0°および50°の傾きでのディスプレイの輝度を示す。両者はそれらの最大値に正規化されている。
【0014】
図から、VAN方式ディスプレイにおいて中間グレーレベルに対する一般的な振る舞いは、軸外観賞の場合、不均衡な明るさを現すことが、はっきりと分かる。これは、図4で更に示されている。図4は、255、160、および0に等しい入力データ値を表示する同じVAN方式ディスプレイのための各角度で、データ=255の状態の輝度に正規化された視野角の関数としての輝度を示す。この図から以下を理解できる。もし画素が、赤色のサブ画素に対しデータ=255で、緑色のサブ画素に対しデータ=160で、青色のサブ画素に対しデータ=0での、軸上の入力であれば、正規化した輝度の比はR:G:Bに対しおよそ1:0.35:0であり、画素に対してオレンジ色の外観をもたらす。しかしながら、50°の傾きから観賞された場合、色構成要素の比はおよそ1:0.77:0.03であり、画素に対して黄色の外観をもたらす。これは、視野角を伴う色ずれの原因である。そして、特にVAN方式ディスプレイに対して、色ずれ度合いは、最大輝度に近い1色の構成要素、および、中間輝度範囲にある1または2色の構成要素から成り立つ色に対して最大となることが分かる。
【0015】
いくつかの技術は、色ずれの影響を軽減するために開発された。これらの最も効果的な技術は、分割サブ画素構造を利用する。それにおいて、ディスプレイ中の各カラーサブ画素は、2つ以上の領域から成る。各サブ画素領域は、ある1つが他の領域より高い輝度であるといった、異なる輝度を有している。したがって各サブ画素領域は、視野角に伴う異なる輝度変化を有している。サブ画素領域の輝度値は、サブ画素領域の軸上輝度の平均が、所望の全体的な輝度を有するように、および、サブ画素領域の視野角に伴う輝度の平均的な変化が、それぞれの領域で個々に考慮されたずれより顕著ではないように、選択される。
【0016】
この方法は、部分空間ディザー(partial spatial dither)またはデジタルハーフトーン(digital halftoning)として知られる。そして、米国特許第4840460号(1989年6月20日発行)および米国特許第7474292号(2005年10月6日発行)に記載されたように、分割サブ画素の領域間に容量分圧器を用いてこの方法は実行されうる。あるいは、サブ画素の2つの領域がコモンゲートラインにより駆動される時、サブ画素の2つの領域の各々が個々に制御信号電圧を受け取るような、カラーサブ画素毎に追加のソースラインを用いることにより実装可能である。この2番目の実装は、米国特許第6067063号(2000年5月23日発行)に記載されいている。この2つの一般的なアプローチもまた、米国特許第7079214号(2006年7月18日発行)に要約されている。更に、この特許には、色ずれを低減するためにサブ画素領域および暗いほうのサブ画素領域に加えられた電圧間の関係を最適化する方法が記載されている。
【0017】
しかしながら、分割サブ画素構造のハードウェアには否定的な側面もある。追加された画素電子回路では、ディスプレイのコストの増加が避けられない。そして、その方法は、高解像度な小領域ディスプレイには適用できない。
【0018】
そのような方法を実装するために分割サブ画素構造を用いる必要はない。その技術はソフトウェア上でまたはLCD制御用電子回路で効果的に実装できる。そして、空間的または時間的ドメインのどちらかにおいて、カラーサブ画素全ての輝度を上下に二者択一的に調整することによりどんな既存のカラーディスプレイにも適用できる。それにより、ディスプレイの効果的な解像度にかかる費用で同じ効果を作り出す。輝度は、近傍画素の同じサブ画素間を効果的に移動する。これにより、近傍画素の軸上輝度平均が変わらないことを保証する一方、色ずれの平均は改善される。これは、米国特許第6801220号(2002年10月17日発行)、米国特許第7113159号(2003年8月7日発行)米国特許第5847688号(1998年12月8日発行)、米国特許第7250957号(2007年7月31日発行)、米国特許第2004 0061711号(2004年4月1日発行)、米国特許第2010 0156774号(2010年6月24日発行)および米国特許第7764294号(2006年8月10日発行)に記載されている。
【0019】
米国特許第6801220号において、このことは、画像処理方法によってRGBディスプレイ上で実行され、この方法で、LCDへの画像データ入力がルックアップテーブル(以下、LUTと称する)により処理される。よって、LCD上の近傍画素により表示された場合、充分な表示解像度および観賞距離を仮定すると、各入力データレベルに対して、本来の入力データレベルが両方の画素に表示された場合と同様に現れるように、観賞者の目で平均化される1対の出力データレベルが供給される。それゆえ、画像処理方法は、所定の入力データ値に対する各画素に適用される上記1対の出力データ値を、ディスプレイを横断し、空間的に交互に入れ替える。
【0020】
米国特許第7113159号には、広視野角に伴う優れたグラデュエーション曲線(graduation curve)を有する、赤、緑および青の3つのサブ画素で構成された液晶表示装置が開示されている。広視野角は、時間的ドメインにおいてサブ画素の輝度を上下に調整することによって得られる。言い換えれば、1つの画素におけるフレームは、それぞれ異なるグラデュエーションを表示する。十分高速で実行されたフレーム切り替えは、残像によって起こる混色(colour mixture)をもたらす。そして、この色は、目に対し、中間輝度で現れる。この発明もまた、分割サブ画素構造のハードウェアのタイプを開示している。しかし、上記方法において、2つの問題が明らかである。1つ目は、画像素子回路の増加であり、2つ目は、サブ画素の伝送の減少である。これらの問題に対する非ハードウェアのスプリットソリューションが、提案され、それによって、白色のサブ画素が各画素に追加される。そして、視野角は、赤、緑および青の組み合わせに対して、グラデュエーション特性を補正することによって、改善される。
【0021】
しかしながら、分割サブ画素構造のソフトウェアには否定的な側面もある。分割サブ画素構造のハードウェア等の場合のように、追加の画素電子回路は必要とされず、ソフトウェア方法が高解像度に適用されうるものの、得られる画像に適する小領域ディスプレイは、輝度解像度における有効損失(effective loss)を出してしまう。個々の画素のそれぞれの色度もまた、元の値とは異なる場合があり、得られる画像におけるカラーアーティファクト(colour artefact)をもたらし得る。米国特許第6801220号には、画像コンテンツが画素から画素へ徐々に変化する場合に限り、使用されたハーフトーンパターンが全体としてオリジナル画像と同じように現れることが記載されている。画像コンテンツが画素から画素へ急に変化すると、ハーフトーンパターンは、ばらばらにされる。例えば、この発明には、パターンの周期性が水平方向および垂直方向の両方において2画素である場合に、2×2のサブ画素パターンが利用可能であることが記載されている。明るくされた領域、または、暗くされた領域は、単一のサブ画素または1対のサブ画素のどちらかから成る。図5は、このパターンに対する緑/マゼンタ色の配置を示す。このパターンが1画素×1画素の格子模様状画像に適用される場合、ハーフトーンパターンは、ばらばらにされ、カラーアーティファクトが見られる。図6(a)および図6(b)は、1×1におけるオリジナル画像を表し、前述したパターンの緑/マゼンタ色の配置が上記画像に適用されるときに、グレー/黒の格子模様の1×1のオリジナル画像がどのように現れるのかを表している。緑およびマゼンタのアーティファクトが見られる。単一の画素の対角線もまた、類似のカラーアーティファクト問題を被る(図5、図6(a)および図6(b)においてサブ画素内の“+”および“−”記号は、LCディスプレイの駆動では普通に見られるように、あるフレームから他方に反転したサブ画素に対し印加された電圧の極性と共に、あるフレームにおけるサブ画素に対し印加された電圧の極性を示す)。
【0022】
米国特許第2010 0156774号には、静止画像に対する輝度あるいは色度において明白な解像度損失がないフレーム反転駆動方法が記載されている。この駆動方法において、空間的明暗格子模様状パターンは、各フレーム中の画像内に与えられる。しかし、上記格子模様状パターンは、各フレームの変化に伴って反転する。観察者に対して、各フレームの上記画像は同一に見える。なぜなら、目を空間平均化することにより、所定のフレーム内で1対の画素の何れが明るい方または暗い方であるのかを見分けることが不可能になるためである。このフレーム反転駆動方法の重要な利点は、静的な入力画像のための各フレームの肉眼で見える外観が同一であるにも関わらず、各画素はフレームからフレームへ輝度を変化させることである。それにより、その画素への入力データ値に対応する所望の輝度に等しい時間的平均輝度を提供する。それゆえ、2つのフレームまたはそれ以上の周期にわたり明暗格子模様状パターンを適用したデータ修正により、各フレーム内での解像度損失を被るにも関わらず、個別の画素各々は、正しい平均輝度を提供し、よって、明白な解像度損失を被らない。
【0023】
確かに、上記フレーム反転駆動方法は、いくつかの輝度解像度損失を正常に回復することができ、静止画像において、カラーアーティファクトは、見られない。一方で、ディスプレイ周辺の目の動きまたは瞬きは、ディスプレイを瞬間的に垣間見ることをもたらす。したがって、この瞬間において、解像度の損失が見られる。とはいえ、ディスプレイを瞬間的に垣間見る間、カラーアーティファクトは見られないことに留意しなければならない。
【0024】
フレーム反転駆動方法が静止画像に対し適用されるときにカラーアーティファクトが見られないが、いくつかの動画像においてカラーアーティファクトが見られる。例えば、図5に記載された改良パターンが1画素×1画素の1フレームにつき1画像の割合で水平に移動する格子模様状画像に適用された場合において、上記フレーム反転駆動方法が適用されたときであっても、カラーアーティファクトは見られる。
【0025】
米国特許第2010 0156774号には、動画像におけるカラーアーティファクト問題を解決するために用いられる方法が記載されている。上記方法は、カラーアーティファクトが起こりうる領域内の入力画像上で実行される、何れの変更も抑制することを含んでいる。上記方法は、静止画像および動画像の両方においてカラーアーティファクトを抑制する一方、上記方法は、上記変更を抑制したいくつかの画素が、それらの軸外上に現れる何れの改善も有していないという不利点を有している。結果として、変更が1つに対し適用され、且つ、その他に対し適用されない同じ入力画素が、軸外の鑑賞者に対し異なって現れる。更に、上記方法は、追加の資源が上記方法を実行するために必要となるという更なる不利点を有している。したがって、最初からカラーアーティファクトが起こらないことが望ましい。
【0026】
それゆえ、輝度解像度損失が全くないまたは既存の方法に比べ輝度解像度損失が減少したLCD、および、動画像および静止画像の両方に対し、カラーアーティファクトがないLCDにおける視野角に伴う色ずれを減少する最適な方法が要望されていることが明らかである。
【発明の概要】
【0027】
本発明の第1の態様は、ディスプレイのための画像を処理する方法を提供しており、当該方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを取得する取得工程と、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正工程と、を含み、表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、全体的な輝度および上記表示パネルの知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する。
【0028】
本発明の第2の態様は、ディスプレイのための画像を処理する方法を提供しており、上記方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取る受取工程と、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正工程と、を含み、軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、画素の原色のサブ画素および画素の非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する。
【0029】
本発明の第3の態様は、多原色表示パネルのための制御回路を提供しており、上記制御回路は、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する。
【0030】
本発明の第4の態様は、多原色表示パネルのための制御回路を提供しており、上記制御回路は、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記画素の上記原色のサブ画素および上記画素の上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する。
【0031】
本発明の第5の態様は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成された多原色表示パネルを提供しており、
当該表示パネルは、当該表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する。
【0032】
本発明の第6の態様は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成された多原色表示パネルを提供しており、
当該表示パネルは、軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記画素の上記原色のサブ画素および上記画素の上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する。
【0033】
本発明の第1の態様は、処理装置によって実行された場合に、上記処理装置に本発明の方法を実行させる指示を含んでいるコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【0034】
上述および関連した目的の達成のために、本発明は次に、以下に充分に記載されそして請求項において特に指摘した特徴を含む。以下の記載および添付の図面は、本発明のある実例となる実施形態を詳細に説明する。これらの実施形態は、しかしながら、発明の原理が利用可能な様々な方法のうちの一部を示すに過ぎない。発明の他の目的、利点、およびこれまでにない特徴は、図面と併せて考慮される場合、本発明の以下の詳細な記述から明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】LCDの制御用電子回路の標準的な構成の概略図である。
【図2】入力データレベルの範囲で計測されたVAN方式LCDの輝度の角度依存性を示すグラフである。
【図3】(a)および(b)は、0°の視野の傾きにおける入力データレベルおよび輝度の関数として、それぞれ、0°および50°の視野の傾きでの図2に対するデータを示すグラフである。
【図4】各角度における最大入力データレベルの輝度に正規化した、入力データレベルの範囲におけるVAN方式LCDの計測した角度輝度依存性を示すグラフである。
【図5】緑/マゼンタ色の配置における2×2RGBサブ画素パターンを示す図である。
【図6】(a)および(b)は、ハーフトーンパターンがばらばらにされたときのカラーアーティファクトの状態を説明するための図であり、同図(a)は、1画素×1画素の黒およびグレーの格子模様を示し、同図(b)は、図5のハーフトーンパターンが適用されたときの同図(6)の状態を示す図である。
【図7】(a)および(b)は、色チャネルに対するデータ値の全ての可能な組み合わせのための、軸上輝度−軸外輝度を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施形態における可能なハードウェア実装を示した処理フロー図である。
【図9】(a)および(b)は、赤、緑および青のサブ画素をそれぞれ有した画素の配列を示す図であり、同図(b)は、同図(a)に示した画素の配列に適用した修正パターンを示す図である。
【図10】(a)、(b)および(c)は、赤、緑、青および白のサブ画素をそれぞれ有した多原色画素の配列を示す図であり、同図(b)および同図(c)は、同図(a)に示した画素の配列に適用した修正パターンを示す図である。
【図11】(a)および(b)は、赤、緑、青および白のサブ画素をそれぞれ有した多原色画素の配列を示す図であり、同図(b)は、同図(a)に示した画素の配列に適用した修正パターンを示す図である。
【図12】(a)および(b)は、赤、緑および青のサブ画素をそれぞれ有した画素の配列を示す図であり、同図(b)は、同図(a)に示した画素の配列に適用した修正パターンを示す図である。
【図13】(a)、(b)および(c)は、赤、緑、青および黄のサブ画素をそれぞれ有した多原色画素の配列を示す図であり、同図(b)および同図(c)は、同図(a)に示した画素の配列に適用した修正パターンを示す図である。
【図14】(a)および(b)は、赤、緑、青および黄のサブ画素をそれぞれ有した多原色画素の配列を示す図であり、同図(b)は、同図(a)に示した画素の配列に適用した修正パターンを示す図である。
【図15】(a)〜(g)は、4原色のディスプレイに適用された7つの異なる修正パターンを示す図である。
【図16】本発明の一実施形態における可能なハードウェア実装を示した処理フロー図である。
【図17】データ値がそれぞれ、200、100、200および100の赤、緑、青および白のサブ画素を有した入力画素の具体的な例に対する図16に示した処理フローを示す図である。
【図18】sRGB色空間全域およびR、GおよびBの三原色の位置を表示したCIE 1931xy色度図である。
【図19】本発明の一実施形態における可能なハードウェア実装を示した処理フロー図である。
【図20】データ値がそれぞれ、200、160、120および120の赤、緑、青および白のサブ画素を有した入力画素の具体的な例に対する図19に示した処理フローを示す図である。
【図21】データ値がそれぞれ、200、160、120および120の赤、緑、青および白のサブ画素を有した入力画素の具体的な例に対する図19に示した処理フローを示す図である。
【図22】(a)および(b)は、輝度解像度損失または色度解像度損失がないことを保証するために、多原色のサブ画素間で輝度がどのように移動し得るのかを示す図である。
【図23】本発明の一実施形態における可能なハードウェア実装を示した処理フロー図である。
【図24】画像のリフレッシュレートおよび極性パターンが同じである場合に、2ラインドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した修正パターンを示す図である。
【図25】画像のリフレッシュレートおよび極性パターンが同じである場合に、2ラインドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した他の修正パターンを示す図である。
【図26】画像のリフレッシュレートおよび極性パターンが同じである場合に、2ラインドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した他の修正パターンを示す図である。
【図27】画像のリフレッシュレートおよび極性パターンが同じである場合に、2ラインドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した他の修正パターンを示す図である。
【図28】画像のリフレッシュレートおよび極性パターンが同じである場合に、2ラインドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した他の修正パターンを示す図である。
【図29】画像のリフレッシュレートが極性パターンの2倍である場合に、2ラインドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した修正パターンを示す図である。
【図30】軸外画像内の改善を更に成し遂げるためのカラーアーティファクトを抑制する方法を示す図である。
【図31】軸外画像内の改善を更に成し遂げるためのカラーアーティファクトを抑制する方法を示す図である。
【図32】(a)および(b)は、本発明の一実施形態の2つの可能な実施を示した処理フロー図である。
【図33】画像のリフレッシュレートが極性パターンの2倍である場合に、2ライン2ドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した修正パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に従ったディスプレイの典型的な実施形態において、ディスプレイは標準的なLCDディスプレイを含む。その例は修正された制御用電子回路を有する図1に示される。
【0037】
そのようなディスプレイが標準的な方式で作動する時、単一画像を構成する主画像データのセットは各フレーム周期で、一般的にはシリアルビットストリームの形式で、制御用電子回路へ入力される。その後、制御用電子回路は信号データ電圧のセットをLCパネルへ出力する。信号電圧の各々は、LCパネルのアクティブマトリクス配列により、対応する画素電極へ方向付けられる。そしてLC層での画素の結果として生じる集合的な電気光学反応により画像が生成される。
【0038】
上述のように、色ずれ低減技術を含むディスプレイにおいて、画像データは、制御用電子回路、ドライバ電気回路、または、画素内の電子回路で修正されうる。それにより、画素の対または2つの画素からのサブ画素の同じ対は、反対方向に修正されたそれらのデータ値を有する。これは、ある画素から他の画素、または、あるサブ画素から他のサブ画素に輝度を移すという効果を有する。輝度は、軸上の鑑賞者によって観察された画素の対の組み合わされた輝度に変化がないように(表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、全体的な輝度および表示パネルの知覚画像が実質上変化していないと見られるように)、および軸外の鑑賞者によって観察された見た目が向上するように、移動される。なお、2つの画素は、(1)観察者の目が2つの画素の輝度を平均化できるようにお互い空間的に近接したフレーム内の2つの画素であるか、または、(2)お互いに同じ空間上の位置を有するが、異なるが連続する2つのフレーム内に存在するか、または、(3)お互いに同じ空間上の位置を有するが、異なるが連続する第1および第2のフレームの集合内に存在する。
【0039】
本発明の典型的な実施形態に従い、図1を参照する。制御ASICは、他の従来の制御に加え、本発明に従ってここに記載された処理を実行するために修正される。制御ASICは、画像を構成する複数の画素データの形式で表示入力データを受信するための入力を含む。各画素データは、それぞれのデータ値を有する複数のサブ画素色構成要素を含む。制御ASICは、修正部を含む。上記修正部は、LCD上に表示された時に色ずれを低減するために、更にここに記載されたように画素データに含まれたサブ画素色構成要素のデータ値を修正する。修正された画素データは、順にLCDディスプレイに供給される。
【0040】
ディスプレイに対し出力されたデータ値であって、上記修正されたデータ値は、有色のサブ画素毎に、1つのルックアップテーブル(LUT)内に記憶される。各LUTは、2つの列を含んでおり、それぞれの列は、入力データレベルにあるのと同数の行、例えば、カラーディスプレイにつき8ビットで256の行を含んでいる。必要に応じて、LUTは、単一の拡大されたLUT内においてより多くの数の列と組み合わせてもよい。各LUT内で、何れの出力値が選択されるかは、画素または表示されるために画素内で修正されたサブ画素の位置に基づいた修正パターンに依存する。例えば、格子模様状配列において、暗くされた画素および明るくされた画素、または、暗くされたサブ画素および明るくされたサブ画素のパターンが形成されるために、行および列の位置を含んだ画素またはサブ画素であって、ディスプレイ上で両方とも奇数または両方とも偶数の画素またはサブ画素は、LUT内において2つの取りうる出力値のうち、高い値のほうを取得するように修正される。一方、画像内で行および列の位置を含んだ画素またはサブ画素であって、奇数および偶数、あるいは、偶数および奇数である画素またはサブ画素は、それぞれ、2つの取りうる出力値のうち、低い値のほうを取得するように修正される。画素またはサブ画素の明暗パターンは、画素から画素の輝度の変化を減らすために画像の1以上の色構成要素を反転させてもよい。実際は、より高くおよびより低く調整された画素値であって、軸上の鑑賞者に明らかな劣化がない快適な画像の鑑賞を可能にする画素値の空間的および/または時間的な配列の様々な変形または組み合わせが使用されうる。
【0041】
LUTの値は、以下の方法を用いて算出されうる。ディスプレイの軸上および軸外(例えば、50°の傾き)の輝度が、特定の色チャネルの、全入力データ値に対して、また実際は、選択された可能なデータ値に対して計測される。選択された可能なデータ値以外の値は、補間される。このデータから、その色の2つの画素のデータ値の全ての可能な組み合わせに対する平均複合された平均軸外および軸上の輝度が、推定されうる。これらの値が正規化される場合、および軸上から軸外への輝度空間での点としてプロットされた各組み合わせの場合、その結果は図7(a)に示したものとなる。
【0042】
一連のこれらの点は、LUTの各入力データ値のための必要とされる軸上および軸外の輝度に従って選択されうる。図7(b)は、LUTに対して選択されている点を結んだ太い黒線を用いて、画素データの組み合わせのための利用可能な平均軸上および軸外の輝度点の同じ集まりを示す。この場合、これらの点は、入力データ値自身が生成する正規化した軸上の輝度に近いような各入力データ値に対して正規化した軸上の輝度、および、正規化した軸上の輝度にできるだけ近い正規化した軸外の輝度、を提供するように選択されている。これにより、同様の軸上の輝度を有する点の間の軸外の輝度における急激な変化(これは軸外の観賞者への画像アーティファクトの原因となる)を回避する。可能な点の空間内での任意の軸上に対する軸外の輝度のトレースが選択されうるが、図7(b)に示された形状のトレースは良好な色ずれの改善を提供することが示されている。LUTの出力値は、図7(b)の各選択点を生成した2つのデータ値の組み合わせになるように、決定されうる。この方法は、ディスプレイの色チャネル各々に対して実行でき、色チャネル各々に対して必要とされた1つのLUTのみで、良好な色ずれ改善を達成する手段を提供する。各LUTは、各入力データ値に対する1対の出力データ値から成る。
【0043】
典型的な実施形態において、異なるLUTは、ディスプレイのガンマ特性に基づいて算出される出力値の対を含む。選択された出力値は、任意の所定の入力値に対し、各LUTが軸上の観賞者に対し同じ平均輝度を有する出力画素の対を生成することを保証する。
【0044】
典型的な実施形態において、修正されたデータ値は、多原色ディスプレイの画素の対が提供する画素の対またはサブ画素の同じ対に対し、適用される。例えば、2つの近傍画素など、フレーム内における互いに空間的に近接した2つの画素を用いることに適用される場合の一例として、修正されたデータ値は、赤、緑、青および白の4つまたはそれより多いサブ画素を含んだ画素を備えた多原色ディスプレイにおける近傍画素のサブ画素の同じ対に適用されうる。行および列の位置を含んだサブ画素であって、ディスプレイ上で両方とも奇数または両方とも偶数のサブ画素が、有色のサブ画素に対応するLUT内の2つの可能な値のうち高いほうの値を取得するために修正されうる場合、さらに、行および列の位置を含んだサブ画素であって、それぞれ奇数および偶数、あるいは、偶数および奇数であるサブ画素が、有色のサブ画素に対応するLUT内の2つの可能な出力値のうち低いほうの値を取得するために修正されうる場合、データ修正パターンは、格子模様状配列に適用される。なお、多原色ディスプレイは、サブ画素の上記組み合わせや、4つのサブ画素に限定されない。
【0045】
データ修正ステップが入力画像内の全ての画素のデータ値で実行された後、修正された画像は、修正された制御用電子回路からディスプレイに対し出力される。上述した処理に対する処理フロー図の一例を図8に表す。上記図は、4つの入力のみを示すが、本システムは4つに限定されない。処理フローはハードウェア、ROM等のコンピュータ読み取り可能なメモリに保存されたソフトウェア、またはその組み合わせを経由し実行されうる。そして、例えば、図1に代表された制御電子回路の制御ASIC内で実行されうる。LCDディスプレイのためのコンピュータソフトウェアおよび/またはハードウェアの設計の当業者は、ここに提供された記載に基づき、過度の努力や実験なしにここに記載された機能を実行するためにソフトウェアおよび/またはハードウェアをどのように提供するかを容易に正しく理解するだろう。従って、特定の配列に関して更なる詳細は、簡潔さの理由でここに省略されている。
【0046】
図8は、画像を構成している多原色サブ画素のデータ値が、本発明に従って処理された制御ASICによりどのように受信されるか、および、修正されたサブ画素のデータ値としてのどのように出力されるかを例示する。図8において、入力サブ画素のデータ値は、R、G、BおよびXというラベルが貼られ、さらに、出力データ値は、R’、G’、B’およびX’というラベルが貼られている。LUTは、修正されたマルチプレクサに供給される出力データ値を備える。LUT中で特定の出力値が選択される。選択された特定の出力値は、マルチプレクサに供給される修正パターンおよびサブ画素配置によって決まる。その後、選択されたLUTの選択された出力から修正された画像データは、ソースドライバICに供給され、それぞれ対応する画素に伝えられる。
【0047】
更なる実施形態において、修正されたデータ値は、2つの画素のうち、それぞれの画素の輝度の正味の変化が最小となるような方法で、多原色ディスプレイ2つの画素が提供するサブ画素の同じ対に適用される。これは、例えば、画素の対ごとの方式で、複数の画素の対のために実行されうる。これは、各サブ画素に対し、あるLUTに記憶された少なくとも2つの修正されたデータ値のうちの1つを選択することによって実行される。その結果、1以上のサブ画素の輝度の変化は、1以上の残りのサブ画素の輝度の変化によってほとんど等しくバランスが取られる。この修正方法を適用することで、標準的なRGBディスプレイに比べ、多原色ディスプレイの明らかな輝度解像度損失を減らすことができる。赤、緑、青および白のサブ画素を有した多原色ディスプレイという具体的な例では、最適な修正パターンは、緑、青のサブ画素が白のサブ画素とは反対に修正されたときに、平均して、ディスプレイ全体に対する輝度の最小の合計の正味の変化を与える。赤、緑、青、黄のサブ画素を有した多原色ディスプレイという具体的な例では、最適な修正パターンは、赤および緑のサブ画素が青および黄のサブ画素とは反対に修正されたときに、平均して、ディスプレイ全体に対する輝度の最小の合計の正味の変化を与える。
【0048】
輝度の正味の変化であるΔLは、以下の方程式を用いて算出される。
【0049】
【数2】
【0050】
【数3】
【0051】
【数4】
【0052】
ここで、WeightRED、WeightGREEN、WeightBLUEおよびWeightXは、それぞれ、赤、緑、青およびXのサブ画素の重みである。R’INPUT、G’INPUT、B’INPUTおよびX’INPUTは、それぞれ、赤、緑、青およびXのサブ画素の、ガンマ調整された入力データ値である。R’OUTPUT、G’OUTPUT、B’OUTPUTおよびX’OUTPUTは、それぞれ、赤、緑、青、およびXのサブ画素の、ガンマ調整された出力データ値である。ガンマ調整されたデータ値は、以下の方程式を用いて算出される。
【0053】
【数5】
【0054】
【数6】
【0055】
【数7】
【0056】
【数8】
【0057】
ここで、R、G、BおよびXは、それぞれ、赤、緑、青およびXのサブ画素のデータ値であり、γRED、γGREEN、γBLUEおよびγXは、それぞれ、赤、緑、青およびXのサブ画素のガンマ値である。
【0058】
赤、緑、青および白のサブ画素を有した多原色ディスプレイという具体的な例では、sRGB色域パネルであるとの仮定、および、全体の白の画素の輝度が全体の赤、緑および青のサブ画素の総輝度と等しいとの仮定において、上記重みは以下の値を有する。
【0059】
【数9】
【0060】
【数10】
【0061】
【数11】
【0062】
【数12】
【0063】
また、ガンマ値は、γRED=2.2、γGREEN=2.2、γBLUE=2.2、および、γWHITE=2.2(ITU−R勧告 BT.709-5, Parameter values for the HDTV standards for production and international programme exchange)である。
【0064】
赤、緑、青および黄のサブ画素を有した多原色ディスプレイという具体的な例では、sRGB色域パネルであるとの仮定、および、全体の黄の画素の輝度が全体の赤および緑のサブ画素の総輝度と等しいとの仮定において、上記重みは以下の値を有する。
【0065】
【数13】
【0066】
【数14】
【0067】
【数15】
【0068】
【数16】
【0069】
また、ガンマ値は、γRED=2.2、γGREEN=2.2、γBLUE=2.2、および、γYELLOW=2.2(ITU−R勧告 BT.709-5, Parameter values for the HDTV standards for production and international programme exchange)である。
【0070】
例えば、図9(a)は、赤、緑および青のサブ画素をそれぞれ有した画素の配列を示す図である。図9(a)には、各サブ画素のデータ値が、図上に示されている。図9(b)の修正パターンによって示されるように、赤および青のサブ画素は、緑のサブ画素とは反対に修正されたとき、画素1は、51%の輝度の正味の減少を有し、画素2は、51%の輝度の正味の増加を有している。図10(a)は、赤、緑、青および白のサブ画素をそれぞれ有した多原色画素の配列を示す図である。図10(a)には、各サブ画素のデータ値が図上に表示されている。図10(a)の赤、緑および青のサブ画素に適用されたグレーレベルは、図9(a)のものと同じである。輝度が、図10(b)に示した修正パターンであって、図9(b)に示したものと同様の修正パターンに従って移動したとき、画素1は、71%の輝度の正味の減少を有し、画素2は、71%の輝度の正味の増加を有している。1以上のサブ画素の輝度の変化が、残りの1以上のサブ画素の輝度の変化と略同じである場合には、更に最適な修正パターンが図10(a)に適用されうる。これを実現するために、赤、緑および青のサブ画素は、図10(c)に示すように、白のサブ画素とは反対に修正される。更に最適なパターンが適用されたとき、画素1の輝度の正味の変化は、9%の減少であり、画素2の正味の変化は、9%の増加である。
【0071】
サブ画素のデータ値が全て同じ場合の、赤、緑、青および白のサブ画素を有したグレースケールデータを表示した任意の画素に対し、赤、緑および青のサブ画素の総輝度は、白のサブ画素の輝度と等しい。言い換えれば、あるタイプの修正が適用されたサブ画素の総輝度は、他のタイプの修正が適用されたサブ画素の総輝度に等しい。したがって、本実施形態は、上記修正パターンを有したRGBWパネル上に表示されたグレースケール画像は、赤、緑および青のサブ画素の輝度の変化が白のサブ画素の輝度の変化によってバランスするので、輝度解像度損失を出さないといった更なる利点を有している。加えて、グレースケール画像は、色度解像度損失を出さない。それゆえ、グレースケール画像は、カラーアーティファクトをも出さない。例えば、図11(a)は、赤、緑、青および白のサブ画素をそれぞれ有したグレースケールデータを表示した画素の配列を示す図である。図11(a)に示すように、全てのサブ画素のデータ値は、同じである。輝度が、図11(b)に示した修正パターンであって、図10(c)に示したものと同様の修正パターンに従って移動したとき、画素1および画素2の輝度の正味の変化はゼロになる。
【0072】
RGBWパネル上に表示された有色の画像がいくつかの輝度解像度損失を有したとしても、この損失は最小化される。これは、図10(c)に示された修正パターンが適用されたときに、画素1が−9%の輝度の正味の変化を示し、画素2が+9%の輝度の正味の変化を示した場合、図10(a)に示された赤、緑、青および白のサブ画素を有した多原色画素の配列の上記例で実証される。画素の輝度の正味の変化がゼロではないという事実にもかかわらず、画素の対に対する輝度の正味の変化はゼロである。したがって、軸上の鑑賞者に対し、画素の対の平均輝度は、変化が見られない。有色の画像は、また、いくつかの色度解像度損失を有しているが、この場合もやはり、画素の対の平均色度(言い換えれば、全体の色度)は変化しない。有色の画像の画像内容が画素から画素へはっきりと変化した場合、画像には、カラーアーティファクトが出るであろう。
【0073】
更なる例として、赤、緑および青のサブ画素をそれぞれ有した画素の配列を図12(a)に示す。図12(a)には、各サブ画素のデータ値が図上に示されている。図12(b)の修正パターンによって示したように、赤および青のサブ画素が緑のサブ画素とは反対に修正されたとき、画素1は、43%の輝度の正味の減少を有し、画素2は、43%の輝度の正味の増加を有している。図13(a)は、赤、緑、青および黄のサブ画素をそれぞれ有した多原色画素の配列を示す図である。図13(a)には、各サブ画素のデータ値が図上に示されている。図13(a)の赤、緑および青のサブ画素に適用されたグレーレベルは、図12(a)のものと同じである。輝度が、図13(b)に示した修正パターンであって、図12(b)に示したものと同様の修正パターンに従って移動したとき、画素1は、70%の輝度の正味の減少を有し、画素2は、70%の輝度の正味の増加を有している。更に最適な修正パターンが図12(a)に適用されうる。ここで、1以上のサブ画素の輝度の変化が、残りの1以上のサブ画素の輝度の変化と略同じである。これを実現するために、赤および緑のサブ画素は、図13(c)に示すように、青および黄のサブ画素とは反対に修正される。更に最適なパターンが適用されたとき、画素1の輝度の正味の変化は、3%の減少であり、画素2の正味の変化は、3%の増加である。
【0074】
サブ画素のデータ値が全て同じ場合の、赤、緑、青および黄のサブ画素を有したグレースケールデータを表示した任意の画素に対し、あるタイプの修正が適用されたサブ画素の総輝度は、他のタイプの修正が適用されたサブ画素の総輝度に等しくない。したがって、上記修正パターンを有したRGBYパネル上に表示されたグレースケール画像は、いくつかの小さな輝度解像度損失および色度解像度損失を有する。しかしながら、この解像度損失はRGBパネルのものよりも依然として小さい。例えば、図14(a)は、赤、緑、青および黄のサブ画素をそれぞれ有したグレースケールデータを表示した画素の配列を示す図である。図14(a)に示すように、全てのサブ画素のデータ値は、同じである。輝度が、図14(b)に示した修正パターンであって、図13(c)に示したものと同様の修正パターンに従って移動したとき、画素1の正味の変化は、−4%であり、画素2の輝度の正味の変化は、+4%である。同様に、図12(a)および図12(c)に示した例で実証されているように、有色の画像にも、いくつかの小さな輝度解像度損失および色度解像度損失が出る。しかしながら、グレースケールおよび有色の画像に対し、輝度解像度の損失は、上述した修正パターンの適用を経て、最小化される。何れかの画素の対に対する輝度および色度の正味の変化はゼロである。したがって、軸上の鑑賞者に対し、画素の対の平均輝度および色度は、変化が見られない。しかしながら、RGBYパネル上に表示されたグレースケールまたは有色の画像いずれかの画像内容が画素から画素へはっきりと変化した場合、画像には、カラーアーティファクトが出るであろう。
【0075】
更なる実施形態において、多原色ディスプレイ上に表示された修正された画像の輝度の正味の変化は、画像内の画素の対の全てに対して同じ修正パターンを適用することよりはむしろ画像内の画素の対のそれぞれに対する修正パターンを最適化することによって、更に最小化されうる。前の実施形態において、修正パターンは、ディスプレイ全体に対し、平均して、修正された画素の輝度の正味の変化が最小化されるように、選択される。しかしながら、本実施形態において、最適な修正パターンは、画素の対に基づいて、画素の対について算出される。
【0076】
4原色ディスプレイの場合、7つの異なる修正パターンを適用することが可能である(全てのサブ画素が修正されたと仮定する。1以上のサブ画素が修正されていない場合に更なる修正パターンも存在する)。7つの異なる修正パターンは、図15(a)〜(g)に示される。7つのパターンは以下の通りである。
(a)サブ画素1およびサブ画素3が、サブ画素2およびサブ画素4とは反対に修正されている。
(b)サブ画素1およびサブ画素2が、サブ画素3およびサブ画素4とは反対に修正されている。
(c)サブ画素1およびサブ画素4が、サブ画素2およびサブ画素3とは反対に修正されている。
(d)サブ画素1が、サブ画素2、サブ画素3およびサブ画素4とは反対に修正されている。
(e)サブ画素2が、サブ画素1、サブ画素3およびサブ画素4とは反対に修正されている。
(f)サブ画素3が、サブ画素1、サブ画素2およびサブ画素4とは反対に修正されている。
(g)サブ画素4が、サブ画素1、サブ画素2およびサブ画素3とは反対に修正されている。
【0077】
画素の対に基づいて、画素の対の最適な輝度の正味の変化は、全ての可能な修正パターンに対し輝度の正味の変化を算出すること、および、輝度の最小の正味の変化を生じさせるパターンを特定することによって、決定される。
【0078】
4つのサブ画素を有した多原色パネルの場合、7つの異なる輝度の正味の変化の計算は、各修正パターンにつき、1つ行われる。その後、輝度の正味の変化の最小絶対値をもたらす修正パターンは、画素の対に対し適用される。
【0079】
画素の対に基づく画素の対の最適な輝度の正味の変化も、予め定められた基準の組に従うことによって決定されうる。上記基準は、輝度の正味の変化を生じさせるパターンを特定するものである。
【0080】
本実施形態における処理フローは、上記典型的な実施形態における処理フローと比べ、追加のステップが必要となる。図16は、本実施形態における処理フローを示した図である。上記図は、4つの入力のみを示すが、本システムは4つの入力に限定されない。
【0081】
例えば、図17(a)は、データ値がそれぞれ200、50、200および50の赤、緑、青および白のサブ画素を有した入力画素の具体的な例に対する処理フローを示す図である。輝度の正味の変化の絶対値は、図15(a)〜(g)に示した各修正パターンに対して算出される。これらの計算は、輝度の正味の変化の最小絶対値を生じさせるパターンが、図15(d)に示されたパターンであることを明らかにする。この修正パターンは、図11(b)に示した前の実施形態に使用された修正パターンとは異なる。
【0082】
本実施形態は、前述の実施形態と比べたとき、多くの場合、ディスプレイ全体に対する輝度の正味の変化が本実施形態に対するもののほうが小さいという更なる利点を有している。しかしながら、本実施形態は、追加の処理ステップが必要となる。したがって、より大きいコンピューティング資源が要求される。
【0083】
画素の対から画素の対への修正パターンの変化は、明白なアーティファクトを軸上および軸外の鑑賞者に対し発生させる。最高輝度の寄与を有したサブ画素の修正パターンを固定しておき、残りのサブ画素に対してのみ画素の対ごとに修正パターンを最適にすることによって、これらのアーティファクトを低減または除外することが可能となりうる。例えば、更なる実施形態において、赤、緑、青および白のサブ画素を有したディスプレイに対し、緑および白のサブ画素の修正パターンは、固定され(これらが最高輝度の寄与を有しそうな時に)、赤および青のサブ画素の修正パターンは、画素の輝度の正味の変化を最小化するために最適にされうる。赤、緑、青および黄のサブ画素を有したディスプレイの場合、緑および黄のサブ画素の修正パターンは、固定され、赤および青のサブ画素の修正パターンは、画素の輝度の正味の変化に最小化するために最適にされうる。
【0084】
2つの上記実施形態は、輝度解像度の効果的損失を最小化する一方、多くの場合、修正が適用されたとき、輝度の変化は、ゼロではない。これに加えて、各画素の多くの色度が保持されない。したがって、得られた画像は、カラーアーティファクトが依然として出るであろう。
【0085】
更なる実施家形態において、修正されたデータ値は、各画素の輝度を維持するように、多原色ディスプレイの2つの画素から同じサブ画素の対に対して適用される(たとえ、画素の輝度がほとんど変化していなくとも、画素の色度が変化しえる。しかしながら、これは、目が色度より輝度に対してより敏感であるため、受け入れられる)。
【0086】
本実施形態を実装するために、原色のサブ画素は、非原色のサブ画素とは異なって処理される。RGBXディスプレイの場合、赤、緑および青のサブ画素は、原色のサブ画素とみなされ、例えば、白および黄のサブ画素のようなすべての他のサブ画素は、非原色のサブ画素とみなされる。ディスプレイの色域をそれほど増加させないので、赤、緑および青以外の全てのサブ画素は、非原色とみなされる。加えて、非原色は、原色のカラーを組み合わせることにより近似されうる。図18は、sRGB色空間全域およびR、GおよびBの三原色の位置を表示したCIE 1931xy色度図である。上記図は黄の位置をも表示している。上記図から、赤、緑および青に対する黄の追加は、上記色域をそれほど増加させないことが明白である。
【0087】
ディスプレイの画素の対のそれぞれは、画素1および画素2の2つの画度で形成される。2つの画素のそれぞれは、4以上のサブ画素を有している。まず、第1に、修正は、画素の対の赤、緑および青のサブ画素に適用される。これは、LUTに記憶された少なくとも2つの修正されたデータ値の1つを選択することによって実行される。画素1の赤、緑および青のサブ画素に適用された修正は、すべて同じタイプである。例えば、LUTの2つの可能な出力値の高い方が選択され、画素2の赤、緑および青のサブ画素は、画素1の赤、緑および青のサブ画素とは、反対に修正され、例えば、LUTの2つの可能な出力値の出力値の低い方が選択される。最初の修正によって引き起こされ、画素1および画素2の輝度に生じた変化は、上記画素の原色の修正されたサブ画素とは反対の非原色のサブ画素の修正によって、補償される。非原色のサブ画素に適用された修正の大きさは、画素1および画素2の正味の輝度が変化しないことを保証するものである。時には、2つ目の修正は、非原色のサブ画素が負の輝度を有することを必要とする。この場合、負の輝度が起こりえないので、対象の画素に対する更なる修正が必要である。3つ目の修正は、この修正の輝度の正味の変化が非原色のサブ画素の負の輝度と等しくなるような原色のサブ画素の修正を必要とする。上記3つの修正のシーケンスは、各画素の輝度の正味の変化がゼロであり、画素の対の平均色度が軸上の鑑賞者に対し変化しないように見えることを保証する。
【0088】
最初の例で原色のサブ画素に適用された修正は、この方法が色ずれの最良な改善を生じさせるように、すべて同じタイプとなる。最初の例における原色のサブ画素に適用された修正のタイプがすべて同じタイプではない場合、例えば、LUTの2つの可能な出力値のうち高い方が赤および青のサブ画素に対して選択され、2つの可能な出力値の低い方が緑のサブ画素に対して選択される場合、非原色のサブ画素に対して続いて行われる修正は、小さくなる。非原色のサブ画素に対するより小さい修正は、色ずれの修正のより小さな改善をもたらす。
【0089】
本実施形態の処理フローは、典型的な実施形態とは異なる。図19は、本実施形態における処理フロー図である。上記図は、4つの入力のみを示すが、本システムは4つの入力に限定されない。
【0090】
例えば、図20は、データ値がそれぞれ、200、160、120および120の赤、緑、青および白のサブ画素を有した画素タイプ1の入力画素の具体的な例に対する処理フローを示す図である。上記処理の第1のステップでは、修正は、赤、緑および青のサブ画素に適用される。第2のステップでは、結果として必要な白のサブ画素の輝度値が算出される。最後に、第3のステップでは、第2のステップにおいて負の白のサブ画素の輝度が生成された(これは不可能である)ときに、更なる修正が画素に適用される。この処理フローは、出力画像のデータ値が赤、緑、青および白のサブ画素のそれぞれに対し、235、194、126および0であることを示している。
【0091】
図21は、データ値がそれぞれ、200、160、120および120の赤、緑、青および白のサブ画素を有した画素タイプ2の入力画素の具体的な例に対する処理フローを示す図である。上記処理の第1のステップでは、修正は、赤、緑および青のサブ画素に適用される。第2のステップでは、結果として必要な白のサブ画素の輝度値が算出される。白のサブ画素の輝度がゼロでないため、第3のステップは、必要とされない。この処理フローは、出力画像のデータ値が赤、緑、青および白のサブ画素のそれぞれに対し、115、0、0および194であることを示している。
【0092】
上記実施形態は、輝度解像度損失がないことを保証する一方、ほとんどの場合において、個々の画素の色度が保持されない。したがって、結果の画像には、色度解像度損失が出る。しかしながら、人間の目は、輝度に対してよりも色度に対して感度が低いことに留意しなければならない。それゆえ、結果の画像には、依然として、カラーアーティファクトが出るけれども、画素の対は、色度解像度損失が出るが輝度解像度損失が出ないという利点がある。
【0093】
更なる実施形態において、修正されたデータ値は、画素の輝度および色度の正味の変化がゼロとなるように、単一の多原色画素サブ画素に適用される。これは、1以上のサブ画素の輝度の変化が1以上の残りのサブ画素の輝度の変化と正確にバランスがとられていることを保証するように、サブ画素を修正することによって実行される。この修正方法を適用することで、画素の輝度および色度の正味の変化がゼロであることを保証することが可能となる。赤、緑、青および白のサブ画素を有した多原色ディスプレイの具体的な例として、輝度は、赤、緑および青のサブ画素から白のサブ画素に、または、その逆に移動される。赤、緑、青および黄のサブ画素を有した多原色ディスプレイの具体的な例として、輝度は、赤および緑のサブ画素から黄のサブ画素に、または、その逆に移動される。本実施形態において、画素の対からのサブ画素に対応するデータ値を互いに反対方向に修正することは必要ではない。また、各画素は、すべての他の画素とは独立して考慮される。
【0094】
赤、緑、青および黄のサブ画素を有した多原色ディスプレイの具体的な例として、青のサブ画素に対する画素内において、輝度の移動は、起こらない。したがって、角度を伴った色ずれが、青のサブ画素が中間グレーデータ値である任意の画素に対して、依然として起こりうる。この問題を抑制するために、修正されたデータ値は、隣り合った画素の対の青のサブ画素に適用されうる。この修正は、上記対の平均軸上輝度が変化しないように実行される。しかしながら、この場合、個々の画素の輝度および色度の正味の変化は、もはやゼロではない。また一方、目は、青に対するレセプターの密度が最小であるため、青のチャネルのみが、輝度解像度の損失を有しているという利点を有している。したがって、青の輝度解像度損失は、軸上の観察者により検出することが困難である。
【0095】
例えば、図22(a)は、赤、緑、青および白のサブ画素を有した多原色画素を示す図である。図22(a)には、各サブ画素のデータ値が、図上に示されている。修正は、輝度が赤、緑および青のサブ画素から白のサブ画素へ移動される画素に適用されうる。画素の輝度および色度の正味の変化の結果は、ゼロである。本例は、輝度が、白のサブ画素から赤、緑および青のサブ画素へ移動され、画素の輝度および色度の正味の変化の結果がゼロであることを保証することも示している。
【0096】
更なる例として、図22(b)は、赤、緑、青および黄のサブ画素を有した多原色画素を示す図である。図22(b)には、各サブ画素のデータ値が、図上に示されている。修正は、輝度が赤および緑のサブ画素から黄のサブ画素へ移動される画素に適用されうる。輝度および色度の正味の変化の結果は、ゼロである。本例は、輝度が、黄のサブ画素から赤および緑のサブ画素へ移動され、画素の輝度および色度の正味の変化の結果がゼロであることを保証することも示している。
【0097】
LUTを用いる代わりに、所望の修正されたデータ値を特定する輝度算出を用いる本実施形態を実装することが、より最適であろう。図23は、本実施形態における処理フロー図である。上記図は、4つの入力のみを示すが、本システムは4つの入力に限定されない。
【0098】
米国特許第2010 0156774号に記載されているフレーム反転駆動方法は、上述した実施形態に適用しうる。この場合、サブ画素に適用されたデータ値の変化が、サブ画素の駆動極性における変化に協調するように、特定のサブ画素に適用された修正のタイプ、すなわち、輝度の増加および輝度の減少の何れかが、フレームごとに変更される。この駆動方法がLUTを必要とする処理に実装されるとき、LUTの出力値は、LCのスイッチング速度を考慮に入れるように算出されるべきである。このフレーム反転駆動方法の利点は、輝度解像度損失または色度解像度損失が2つのフレームの期間の間において、見られないことである。これは、何れかの輝度解像度損失および/または色度解像度損失が見える実施形態に対し、このスキームを適用することの最良の利点である。
【0099】
米国特許第2010 0156774号は、上記フレーム反転駆動方法が画像の焼き付きをもたらすDCバランシングの問題を被ることについて、記載している。この文献は、各入力データ値に対する2つの出力データ値のどちらかが、1フレームごとよりもむしろ2つの画像フレームごとに選択された空間パターンを反転することによって、問題が回避されうることを、記載している。この方法は、4つのフレームが出力データ値の完全な1サイクルに対し必要とされ、典型的な60Hzリフレッシュディスプレイに対し、出力画像サイクルの周波数が15Hzであり、フリッカーが観測されうる、という障害を有している。この発明は、120Hzおよび240Hzのリフレッシュレートを有したディスプレイが現在、多く見られるようになっており、それゆえ、この場合、本解決方法は、より適用されうると記載している。しかしながら、120Hzおよび240Hzのリフレッシュディスプレイは、60Hzのリフレッシュディスプレイと比べ、消費電力がより高いという不利点を有している。したがって、画像のリフレッシュレートが60Hzであり、電圧が印加された極性のリフレッシュレートが30Hzのスキーム、または、より一般的には、印加された電圧の極性のリフレッシュレートが画像の半分であるスキームを利用することが有利である。画像の焼き付きの問題に効果的な他の可能なスキームは、画素の半分がフレーム1から始めて2フレームごとに反転され、残りの半分の画素がフレーム2から始めて2フレームごとに反転される4つのフレームサイクルを利用することでありうる。このスキームは図28に示される。これらのスキームは、良好なDCバランシングを保証し、RGBパネルにも適用されうる。
【0100】
フレーム反転方法を第1の典型的な実施形態に適用するとき、バンディング、フリッカリングまたはクロスハッチングのようなアーティファクトが見えないことを保証することが重要である。バンディングは、列または行のすべての明るいサブ画素が一方の極性であり、隣り合う行または列のすべての明るいサブ画素が他方の極性であるとき、現れうる。これは、修正パターンと極性パターンの特定の組み合わせに対し、起こりうる。バンディングが見えうる2つの例は、図24および図25に表される。上記例は、2ラインドット反転極性パターンおよび120Hzのリフレッシュレートを有したRGBY多原色パネルに対するものである。1ライン水平バンディングは、図24に現れ、2ライン水平バンディングは、図25に現れうる。フリッカリングは、フレームの全ての明るいサブ画素が一方の極性であり、次のフレームの全ての明るいサブ画素が他方の極性であるとき、現れる。これは、修正パターンと極性パターンの特定の組み合わせに対し、図26に表される例のように、起こりうる。上記例は、2ラインドット反転極性パターンおよび120Hzのリフレッシュレートを有したRGBY多原色パネルに対するものである。クロスハッチングは、特定の修正パターンが、滑らかに移動する画像または均一の画像に適用されたとき、現れうる。図27は、画像がフレームごとに1画素ずつ水平に移動しているとき、平坦な画像領域において、クロスハッチングが見えることをもたらしうる修正パターンの例を示す図である。上記例は、2ラインドット反転極性パターン、120Hzの画像のリフレッシュレートおよび60Hzの極性パターンのリフレッシュレートを有したRGBY多原色パネルに対するものである。
【0101】
バンディング、フリッカーまたはクロスハッチングのような何れのアーティファクトをももたらさない修正パターンおよび極性パターンの特定の組み合わせの例は、図28、図29および図33に表される。図28に示された例は、2ラインドット反転極性パターンおよび120Hzのリフレッシュレートを有したRGBY多原色パネルに対するものである。図29に示された例は、2ラインドット反転極性パターン、120Hzの画像のリフレッシュレートおよび60Hzの極性パターンのリフレッシュレートを有したRGBY多原色パネルに対するものである。図33に示された例は、2ライン2ドット反転極性パターン、120Hzの画像のリフレッシュレートおよび60Hzの極性パターンのリフレッシュレートを有したRGBY多原色パネルに対するものである。これらの上記例は、RGBY多原色パネルに対するものであるが、アーティファクトのない画像を取得するためのこれらの実施形態の使用は、RGBY多原色パネルに限定されない。
【0102】
米国特許第2010 0156774号に記載されたカラーアーティファクトの抑制方法も、カラーアーティファクト問題が出る上記実施形態に適用されうる。この方法は、修正が適用された時にカラーアーティファクトをもたらす画素に適用された何れの修正をも抑制する。上記方法の主な不利点は、色ずれの改善が、修正が抑制するされた状態の画素に対して、実現されないことである。したがって、一方がカラーアーティファクトの抑制方法が適用された状態であり、他方が適用されていない状態である同じデータ値の隣り合う画素は、軸外の鑑賞者に対し同じには見えない。これは、望まれない効果である。
【0103】
いくつかの場合には、色ずれの改善を更に実現する一方で、カラーアーティファクトを抑制することが可能である。図8、図16および図19に示された処理フロー図から生じる修正されたデータ値は、カラーアーティファクトを全面的にもらたしうる。これらのアーティファクトは、カラーアーティファクトをもらたす画素に対してのみに、図23に示した方法を適用することによって、抑制されうる。図23に示した方法は、画素の輝度および色度の正味の変化がゼロであることを保証する。それゆえ、上記方法は、カラーアーティファクトが見えないことを保証する。図30は、一部の問題のある画素に対し色ずれの改善を更に実現しながら、カラーアーティファクトの検出および抑制する方法を示す。第1の例では、元の画像の隣り合う画素の同じサブ画素間のデータ値の差の絶対値が算出される。その後、修正は、図8、図16および図19に示された処理フロー図の何れかに従ってすべての画素に適用される。あらかじめ算出されたデータ値の差の絶対値が閾値よりも小さい場合、対の両画素は、カラーアーティファクトをもたらさず、上記方法は、次の画素の対に進む。あらかじめ算出されたデータ値の差の絶対値が閾値よりも大きい場合、第2の計算が修正されたサブ画素のデータ値に基づいて実行される。図31は、上記第2の計算の例を表す。隣り合う修正された画素の明るいサブ画素間のデータ値の差の絶対値が算出される。また、隣り合う修正された画素の暗いサブ画素間のデータ値の差の絶対値が算出される。何れかの結果が閾値より大きい場合、画素の対は、自身の元の値に戻され、図23の処理フロー図に従った修正は、代わりに画素の対に適用される。
【0104】
更なる実施形態において、色ずれは、角度を有した各画素に対し、特定の色空間で位置を保持することによって、または、位置の変化を減らすことによって、除外または低減されうる。これは、例えば、CIEXYZまたはCIELAB色空間で実行されうる。角度を伴った位置に最も好適に保持しているサブ画素のデータ値の組み合わせが選択される。この方法は、いくつかの異なる方法で実装されうる。
【0105】
ディスプレイ上の各画素に対し、計算は、画像データがディスプレイに入力しているとき、角度を伴った位置に最も好適に保持しているサブ画素のデータ値の最良の組み合わせを選択するために処理されうる。ビデオレートを動作するために、この計算は、高速にせざるをえないが、考慮されるべきサブ画素のデータ値の組み合わせの数は、抑制されるであろう。サブ画素のデータ値の組み合わせのそれぞれに対し、軸上の色空間の位置を事前に計算すること、および、ディスプレイに入力したデータ値に従って、後の修正のために、LUTにこれらの結果を記憶することが、より現実的であろう。しかしながら、この場合も、サブ画素のデータ値の組み合わせの数に起因して、LUTのような記憶装置に必要なメモリが抑制されるであろう。これらの可能な実装の処理フローは、図32(a)および図32(b)にそれぞれ表示される。パネルに入力したサブ画素のデータ値の各組に対し、利用可能な軸上のメタマーの組が算出される計算を行うことが、さらにより現実的であろう。そして、角度を伴う位置の最小変化をもたらすメタマーは、上記組から選択される。メタマーの算出方法は、米国特許第2010 0277498 A1号に記載されたものと似ている。一定量のトレランスが上記算出された利用可能なメタマーの色空間の値内に見込まれる場合、メタマーの増加した組は、サブ画素のデータ値の組み合わせのそれぞれに対し、利用可能となるであろう。これは、角度を伴う位置のより小さな変化を有したメタマーが求められることを意味するであろう。このトレランスの角度は、入力データに従った望ましい位置と、各メタマーの現在の位置との間の色空間におけるユークリッド距離に従って、特定されうる。このような色差の計測は、CIELAB色空間におけるΔE計算のようないくつかの色空間でよく知られている。
【0106】
【数17】
【0107】
トレランスの角度は、入力データの輝度値に対してより色度データ値に対してのほうがより広角度に特定されうる。出力に対する最適量の選択からのより多数のメタマーの生成に対し、入力画像における同じグループの平均輝度および色度の所定のトレランス内の、平均輝度および色度を有した2以上の画素のグループに対するメタマーを考慮することもまた有利であろう。また、入力画像データにおけるグループの平均色度の所定のトレランス内の画素のグループの平均色度、および、入力画像データにおける同じ画素に対する個々の輝度値の種々の所定のトレランス内の個々の画素のそれぞれの平均輝度を有した画素のグループに対するメタマーを考慮することも有益である。このようにして、出力画像の色度解像度は、出力画像の輝度解像度を計測している間、低減された視野角の変化を有したメタマーを許容するために犠牲になりうる。
【0108】
利用可能なメタマーの何れもが角度を伴う位置における許容可能な変化を引き起こさない場合、最適な利用可能なメタマーは、誤差拡散型の処理において、対象物と出力メタマーの色の値との間の差が記憶されうる一方で、例えば、近傍画素のような、次の画素に対する計算の算入に対し選択されうる。
【0109】
本発明は、ある特定の実施形態または複数の実施形態に関して示され、記述されているが、同等の変更および修正は、この仕様および添付の図面を読みそして理解することで当業者に行われうる。特に、上述された要素(構成部品、アセンブリ、装置、構成等)によって実施される様々な機能に関して、そのような要素を記述するのに用いられた用語(「手段」への言及を含む)は、他に指示がない限り、本発明における典型的な実施形態または複数の実施形態で示された機能を実施する公知な構造と構造的に同等でなかったとしても、記述された要素の特定の機能を実施する(すなわち、機能的に同等な)任意の要素に対応することが意図されている。加えて、本発明の特定の特徴は、いくつかの実施形態のうちのただ1つまたはそれ以上に対して上記に開示されていてもよい。このような特徴は、必要に応じて、また、任意または特定の用途に有利である場合に、他の実施形態の1以上の他の特徴と組み合わされてもよい。
【0110】
〔まとめ〕
本発明は、多原色LCDにおける視野角に伴う色ずれを低減する最適化された方法を提供する。ハードウェア分割サブ画素構造のような従来の方法は、画素電子回路の追加という不利点を有している。また、上記方法は、高解像度で、小領域ディスプレイには適用できない。また、ソフトウェア分割サブ画素構造も制限される。画像には、輝度解像度の効果的な損失およびカラーアーティファクトが出る。本発明は、これらの不利点を解決するためのものである。
【0111】
本発明の第1の態様は、ディスプレイのための画像を処理する方法を提供しており、当該方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを取得する取得工程と、上記画素データのそれぞれに対し、1以上のサブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正工程と、を含み、上記方法は、表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、全体的な輝度および上記表示パネルの知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する。
【0112】
少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データは、外部ソースから取得されうる。例えば、表示装置は、少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データが供給されうる。しかしながら、本発明は、少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データが外部ソースから取得されることが要求されない。周知のように、多数の多原色ディスプレイにおいて、表示制御用電子回路は、RGBデータのみを受け入れ、追加のサブ画素に対するデータは色域マッピングアルゴリズムまたは任意の他の計算を用いて生成される。そして、本発明は、例えば、ディスプレイなどに、および、表示制御用電子回路に入力するすでに4以上のチャネル(R、G、BおよびWチャネルのような)からなるディスプレイに適用されうる。
【0113】
ある画素の対の輝度および/または色度の変化が、等しく、その他の画素の対の輝度および/または色度の変化とは反対になるであろうから、画素の対に対する輝度および色度の全体的な変化は、ゼロであろう。しかしながら、サブ画素色構成要素のデータ値の修正の結果として、個々の画素の輝度および/または色度の変化が起こりうる(4つ(または、それ以上)の存在するサブ画素は、画素の輝度の変化が、従来技術の修正方法がRGBディスプレイ使用に適用されたときよりも、たいてい小さいことを意味する程度である)。
【0114】
上記一対の画素は、観察者の目が2つの画素の輝度を平均化できるようにお互い空間的に近接したフレーム内の2つの画素でありうる。2つの画素は、フレーム内の近傍画素でありうるが、本発明は近傍画素に限定されない。この実施形態において、本発明は、好ましくは、フレーム内の各画素の対に適用される。
【0115】
または、上記一対の画素は、お互いに同じ空間上の位置を有するが、異なるが連続する2つのフレーム内に存在しうる。さらに、2つの画素が連続したフレーム内に存在するので、観察者の目が2つの画素の輝度を平均化できる。この実施形態において、本発明は、好ましくは、フレームの画素および次のフレームの対応する画素によって形成された画素の対のそれぞれに適用される。
【0116】
周知のとおり、用語“多原色ディスプレイ”は、3原色の画素またはサブ画素に加えて、少なくとも1つの追加の色の画素またはサブ画素を含むディスプレイに関連している。少なくとも1つの追加の色の画素またはサブ画素は、以下、“非原色”の画素またはサブ画素と称する。3原色の画素またはサブ画素は、以下、“原色”の画素またはサブ画素と称する。
【0117】
一例として、“多原色ディスプレイ”のあるグループは、赤、緑および青の画素またはサブ画素に加えて、少なくとも1つの追加の色の画素またはサブ画素を含んでいる。このようなディスプレイは、“RGBX”ディスプレイと呼ばれる。ここで、“X”は、赤、緑および青に加えて少なくとも1つの追加の色の画素またはサブ画素の存在を意味する。多原色ディスプレイの具体例は、赤、緑および青の画素またはサブ画素に加えて白の画素またはサブ画素を含んでいるディスプレイである(RGBWディスプレイと呼ばれる)。または、多原色ディスプレイの具体例は、赤、緑および青の画素またはサブ画素に加えて黄の画素またはサブ画素を含んでいるディスプレイである(RGBYディスプレイと呼ばれる)。原則として、本発明は、CMYX多原色ディスプレイにも適用されうる。
【0118】
2つの画素の対応するサブ画素のデータ値が、互いに“反対方向に”修正されることを特定することは、あるサブ画素のデータ値がそのサブ画素の輝度が増加する(すなわち、修正されたデータ値をサブ画素に供給することが、修正されていないデータ値を供給することより、大きいサブ画素輝度を生成する)ように変更される一方、対応するサブ画素のデータ値がそのサブ画素の輝度が減少する(すなわち、修正されたデータ値をサブ画素に供給することが、修正されていないデータ値を供給することより、低いサブ画素輝度を生成する)ように変更されることを、示している。それゆえ、本発明によれば、一対の画素のある画素内のある色のサブ画素に対するデータ値は、一対の画素の他の画素内のその色のサブ画素に対するデータ値とは反対の方向に修正される(すでに述べたように、一対の画素は、互いに空間的に近接したあるフレームからの2つの画素でありうる。または、一対の画素は、連続したフレームからの2つの画素でありうる)。好ましくは、2つのサブ画素のデータ値は、画素の対のある画素内のある色のサブ画素の輝度の増加が、(軸上の鑑賞者によって見られる場合)画素の対の他の画素内のその色のサブ画素の輝度の減少の大きさにほぼ等しくなるように、すなわち、それらのそれぞれ修正されたデータ値によって生成された2つのサブ画素の輝度の平均が、修正されていないデータ値によって生成される輝度に等しくなるように、修正される(データ値に“よって生成される”輝度は、データ値がサブ画素に供給されたとき、取得されるディスプレイのサブ画素の輝度である)。
【0119】
本発明が、互いに空間的に近接したあるフレームからの2つの画素を用いることが適用された場合、2つの画素は、互いに同じ画素の列でありうる。または、2つの画素は、互いに同じ画素の行でありうる。
【0120】
すでに述べたように、本発明の方法は、画素の対に対し、輝度および色度の全体的な変化を生成しない。また、本発明の方法は、観察者によって知覚された画像の変化をそれほど生成しないが、画素の対の個々の画素に対する輝度および/または色度をもたらしうる。したがって、上記方法は、例えば、サブ画素のデータ値の他の可能な修正方法のものよりも画素の全体の輝度の変化が低いものをもたらす方法におけるサブ画素のデータ値の修正によって、上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、ある画素内のサブ画素の上記データ値を、当該画素の全体的な輝度の変化を最小化するように修正することを含んでもよい。好ましくは、上記方法は、上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、ある画素内のサブ画素の上記データ値を、当該画素の上記全体的な輝度が実質上変化しないように修正することを含んでいる(これは、典型的に、画素の全体の輝度が高々1%前後だけ変化することが求めれれる)。これらの特徴は、画素の対における個々の画素の輝度の変化を最小化し、これにより、軸外の鑑賞者に対し、より良い画質を提供する間、軸上の鑑賞者に対する画質の損失がほとんど、または、まったくないことを保証する。
【0121】
上記方法は、画素の少なくとも1つのサブ画素の上記データ値を、上記画素の少なくとも1つの他のサブ画素の上記データ値とは反対の方向に修正することを含んでもよい。これは、表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度の変化を最小化するという効果を奏する。
【0122】
上記方法は、上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、一対の画素の各画素の全体的な輝度の変化を最小化するように、上記一対の画素に対し、上記一対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正することを含んでもよい。加えて、または、あるいは、上記方法は、上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、複数の対の画素の各画素の全体的な輝度の変化を最小化するように、上記複数の対の画素に対し、画素の対ごとに、上記複数の対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正することを含んでもよい。データ値を修正する既知の方法において、同じ修正パターンは、画像の全ての画素の対に対するデータ値に適用され、ディスプレイの全体的な輝度の変化を最小化するという効果があるであろう。しかしながら、ディスプレイの全体的な輝度の変化が、従来技術の方法において、最小化されうるにも関わらず、個々の画素に対する輝度の全体的な大きな変化がまだ存在する。それゆえ、本実施形態において、データ値の修正は、全ての画素の対のデータ値に対し、同じ修正を適用するよりむしろ画素の対に対し別々に(すなわち、画素ごとに)決定される。すなわち、第1の対の画素における対応するサブ画素のデータ値は、第1の対の画素の各画素の全体的な輝度の変化を最小化するために、ある修正スキームに従って修正されうる。一方、第2の対の画素における対応するサブ画素のデータ値は、第2の対の画素の各画素の全体的な輝度の変化を最小化するために、2つ目の異なる修正スキームに従って修正されうる。このように、ある画素の対に対するデータ値は、全ての対の画素に対し上記対の各画素の全体的な輝度の何れの変化を最小化する(および、好ましくは、除外する)ために、他の画素の対に対するデータ値とは異なる方法で修正されうる一方、軸上の観察者に対し、ディスプレイの全体的な輝度の変化が、ゼロのままであることを更に保証しうる。データ値の修正は、原理上は、画像内の各画素の対に対し、別々に決定されうる。
【0123】
あるいは、上記方法は、複数の対の画素に対し、第1の画素の対および第2の画素の対に対して、同様の方法で、画素の対ごとに、上記複数の対の画素における対応する第1のサブ画素の上記データ値を修正し、上記複数の対の画素における対応する第2のサブ画素の上記データ値を修正することを含んでもよい。時には、サブ画素の何れかに対するデータ値の修正に対し、特に、輝度の寄与を最大にするサブ画素、すなわち、緑および白/黄のサブ画素に対し、他のサブ画素のデータ値に対する修正に、ある画素の対から他の画素の対へ変化することを許容する間、ある画素から他に対して同じにすることが好ましい。
【0124】
本発明がRGBWディスプレイに適用されるとき、当該方法は、上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、一対の画素の全体的な色度の変化を最小化するように、上記一対の画素に対し、上記一対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正することを含んでもよい。一般に、本発明の様態および実施形態では、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値が、互いに対して反対方向に修正された場合において、個々の画素は、色度の全体的な変化を表示しうる。しかしながら、RGBWディスプレイの場合、個々の画素が色度の全体的な変化をほとんど、または、まったく表示しないように、一対の画素における対応するサブ画素のデータ値を修正することを可能にする。これは、軸上の鑑賞者に対し、画質の損失がほとんど、または、まったくないことを更に保証する。
【0125】
上記方法は、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記原色のサブ画素および上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正することを含んでもよい。これは、一対の画素の全体的な輝度の変化を最小化するという効果を奏する。
【0126】
上記方法は、上記一対の画素における第1の画素に対し、上記非原色のサブ画素に対する上記データ値とは反対の方向に、上記原色のサブ画素に対する上記データ値を修正することを含んでもよい。また、上記方法は、上記一対の画素における第2の画素に対し、上記非原色のサブ画素に対する上記データ値とは反対の方向に、上記原色のサブ画素に対する上記データ値を修正し、上記一対の画素の上記第1の画素の上記原色のサブ画素に対する上記データ値とは反対の方向に、上記一対の画素の上記第2の画素の上記原色のサブ画素に対する上記データ値を修正することを含んでもよい。
【0127】
データ値の修正には、少なくとも1つのサブ画素の要素に対し、各データ値を少なくとも2つの修正されたデータ値にマッピングすることが含まれている。
【0128】
上記修正された値によって生成された上記輝度の平均は、修正されていない値によって生成された輝度と等しくてもよい。
【0129】
上記方法は、ルックアップテーブル内に、少なくとも2つの修正されたデータ値に記憶する工程を含んでいてもよい。
【0130】
上記方法は、さらに、多原色表示パネルに対し、上記修正されたサブ画素色構成要素のデータ値を出力する工程を含んでいてもよい。例えば、上記方法は、ソースドライバ(例えば、表示パネルの一部でもよいし、表示パネルから分離された図1のソースドライバICでもよい)のような、または、多原色表示パネルに対し修正されたサブ画素色構成要素のデータ値を供給する図1の制御ASICのような制御回路で実行されうる。または、上記方法は、多原色表示パネル自身で、例えば、画素内回路によって、実行されうる。
【0131】
上記一対の画素の上記2つの画素は、互いに空間的に近接していてもよい。または、上記一対の画素の第1の画素は、第1のフレームに存在してもよく、上記一対の画素の第2の画素は、第2のフレームに存在してもよく、上記第1および第2のフレームは、連続したフレームである(一対の画素に対するデータ値が修正された本発明の全ての様態および実施形態でもそうである)。
【0132】
さらに別の方法として、上記一対の画素の第1の画素は、フレームの第1のグループに存在してもよく、上記一対の画素の第2の画素は、フレームの第2のグループに存在してもよく、フレームの上記第1および第2のグループは、フレーム(および、2以上のフレームを含む)の連続したグループである。さらに、2つの画素がフレームの連続したグループ内に存在するので、観察者の目が2つの画素の輝度を平均化できる。
【0133】
一対の画素が、2つの異なるが連続するフレーム内、または、フレームの2つの異なるが連続するグループ内に存在する場合には、サブ画素の上記データ値の変化は、サブ画素の駆動極性における変化に協調して行われてもよい。例えば、液晶材料などの特定のディスプレイ材料は、材料の全域で印加される正味のDC電圧がないことを保証するために、好ましくは、代替駆動極性で駆動されることが、知られている。したがって、本発明が、そのような材料(液晶材料など)を用いるディスプレイに適用される場合、サブ画素に対するデータ値の変化は、正味のDC電圧が印加されないことを保証するために、サブ画素のそれぞれの駆動極性における変化に協調されることが好ましい(例えば、正の駆動電圧が印加されたときに、サブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより大きい輝度を有するために、サブ画素が常に駆動され、負の駆動電圧が印加されたときに、サブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより小さい輝度を有するために、サブ画素が常に駆動されている場合、上記方法は、サブ画素の全域で印加される正味のDC電圧をもたらしうる)。図28は、サブ画素の駆動極性における変化に協調されるサブ画素に対するデータ値の変化の一例を示す図である。第1の列および第1の行におけるサブ画素は、フレーム1およびフレーム2におけるサブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより大きい輝度を有して駆動される。そして、フレーム1およびフレーム2に正味のDC電圧が印加されないように、フレーム1における+ve極性およびフレーム2における−ve極性で駆動される。同様に、フレーム3およびフレーム4の修正されていないデータ値によって生成されたものより低い輝度を有して駆動され、かつ、フレーム3における+ve極性およびフレーム4における−ve極性で駆動されるため、フレーム3およびフレーム4のサブ画素の全域で正味のDC電圧が印加されない。それゆえ、フレーム1からフレーム4の終りのサブ画素の全域で正味のDC電圧が印加されない。
【0134】
上記一対の画素の第1の画素は、フレームの第1のグループに存在し、上記一対の画素の第2の画素は、フレームの第2のグループに存在している一実施形態において、あるサブ画素に対するデータ値の上記変化のタイミングは、他のサブ画素に対するデータ値の上記変化のタイミングとは異なってもよい。サブ画素ごとのデータ値の変化が、同じフレームの終りに存在することが必要ではない。図28の例では、例えば、第1の列および第1の行におけるサブ画素は、フレーム1およびフレーム2におけるサブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより大きい輝度を有して駆動され、フレーム3およびフレーム4におけるサブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより低い輝度を有して駆動される。一方で、第2の列および第1の行におけるサブ画素は、フレーム2およびフレーム3におけるサブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより大きい輝度を有して駆動され、フレーム1およびフレーム4におけるサブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより低い輝度を有して駆動される。すなわち、(フレーム2およびフレーム4の終りの)第1の列および第1の行におけるサブ画素に対するデータ値の変化のタイミングは、(フレーム1およびフレーム3の終りの)第2の列および第1の行におけるサブ画素に対するデータ値の変化のタイミングとは異なる。
【0135】
本発明の第2の態様は、ディスプレイのための画像を処理する方法を提供しており、上記方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取る受取工程と、各画素データに対し、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正工程と、を含み、軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、画素の原色のサブ画素および画素の非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する。
【0136】
上記方法は、軸上の鑑賞者に対し、上記画素の全体的な色度が実質上変化しないように、上記原色のサブ画素の色度の全体的な変化がほぼ等しく、上記非原色のサブ画素の色度の全体的な変化とは反対になるように、上記原色のサブ画素および上記非原色のサブ画素に対する上記データ値を修正することを含んでもよい。
【0137】
上記方法は、高空間解像度特性が、上記画像の領域内に存在しているか否かを検出する工程を含んでもよく、高空間解像度特性が、上記画像の領域内に存在している場合には、上記画像の上記領域内の画素に対し、サブ画素色構成要素のデータ値の修正量を低減させるか、または、上記データ値の修正を行わない。画像の高空間解像度の領域に本発明の方法を適用させることは、特に、動画像においては、カラーアーティファクトを引き起こしうる。このような領域における画素に対するサブ画素色構成要素のデータ値の修正量の大きさを低減させること、または、このような領域における画素に対するサブ画素色構成要素のデータ値の修正を行わないことは、生成されるカラーアーティファクトのリスクを低減するまたは除去することができる。
【0138】
上記方法は、上記画像内の一対の画素に対し、上記一対の画素に対する修正されていないデータ値として、同じ平均輝度および色度を有し、かつ、修正されていないデータ値と同じ個々の輝度を有した一対の画素に対するメタマーを算出する工程と、上記メタマーの上記算出された軸外輝度および軸外色度に基づいて、上記メタマーの1つを選択する工程と、を含んでいてもよい。上述したように、メタマーは、同じ全体的な輝度および色度を生成するデータ値の組である。また、一対の画素に対する修正されていないデータ値の組に対し、同じ全体的な輝度および色度(任意の誤差限界内で)を供給し、同じ個々の輝度(同様に、誤差限界内で)を供給するメタマーは、算出されうる。最良の軸外輝度および軸外色度を供給するメタマーは、その後、選択されうる。その結果、軸外の鑑賞者によって知覚された画像の変化を最小化する。
【0139】
本発明の第3の態様は、ディスプレイのための画像を処理する方法を提供しており、上記方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも3つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取る工程と、各画素データに対し、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正する工程と、表示パネルによって、表示するための上記修正されたサブ画素色構成要素のデータ値を出力する工程と、を含み、上記方法は、表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度が実質上変化しないように、画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正し、かつ、表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、一対の画素の画素の全体的な輝度の変化を最小化するように、上記一対の画素に対し、上記一対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正する。画素の対に対し、別々に(すなわち、画素の対ごとに)データ値の修正を決定することに関する上述した利点は、標準的な3色ディスプレイにも適用する。
【0140】
本発明の第4の態様は、多原色表示パネルのための制御回路を提供しており、上記制御回路は、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取り、
各画素データに対し、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する。
【0141】
本発明の第5の態様は、多原色表示パネルのための制御回路を提供しており、上記制御回路は、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取り、
各画素データに対し、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記画素の上記原色のサブ画素および上記画素の上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する。
【0142】
本発明の第6の態様は、ディスプレイのための制御回路を提供しており、上記制御回路は、上記第1、第2または第3の様態の方法を実行するように構成されている。
【0143】
本発明の第7の態様は、上記第4または第5の様態の制御回路と多原色表示パネルとを含んでいるディスプレイを提供しており、上記制御回路は、使用される際に、上記多原色表示パネルに対し、上記修正されたサブ画素色構成要素のデータ値を出力するように構成されている。
【0144】
本発明の第8の態様は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取り、
各画素データに対し、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成された多原色表示パネルを提供しており、
当該表示パネルは、当該表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する。
【0145】
本発明の第9の態様は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取り、
各画素データに対し、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成された多原色表示パネルを提供しており、
当該表示パネルは、軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記画素の上記原色のサブ画素および上記画素の上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する。
【0146】
本発明の第10の態様は、処理装置によって実行された場合に、上記処理装置に上記第1または第2の様態の方法を実行させる指示を含んでいるコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【0147】
本発明によれば、上記与えられた方法は、上記方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取る工程と、各画素データに対し、サブ画素色構成要素のデータ値を修正する工程と、LCDによって、表示するための修正された画像データを出力する工程と、を含んでいる。
【0148】
個々の様態によれば、修正ステップは、多重化方式でLCD上に表示され、サブ画素色構成要素のデータ値の少なくとも1つのものと等しいまたは比例する軸上の鑑賞者に対し、組み合わされた輝度を表示する少なくとも2つの修正されたデータ値に、少なくとも1つのサブ画素色構成要素の各データ値をマッピングすることが含まれている。
【0149】
他の様態に関して、修正ステップは、画像内の各画素の輝度の正味の変化を最小化するような方法で実行される。これは、1以上のサブ画素の輝度の変化が1以上の残りのサブ画素の輝度の変化によってほとんど等しくバランスが取られるように、各サブ画素に対する少なくとも2つの修正されたデータ値の1つを選択することによって実行される。
【0150】
同様に、他の様態に関して、修正ステップは、画像内の各画素の色度の正味の変化を最小化するような方法で実行される。これは、原色のサブ画素の色度の変化が1以上の非原色のサブ画素の色度の変化によってほとんど等しくバランスが取られるように、各原色のサブ画素に対する少なくとも2つの修正されたデータ値の1つを選択することによって実行される。
【0151】
さらに他の様態によれば、少なくとも2つの修正されたデータ値は、時分割多重化方式または空間的多重化方式で対応する画素を経て、LCD上に表示される。
【0152】
他の様態に従って、マッピングステップは、少なくとも2つの修正されたデータ値にサブ画素色構成要素のデータ値をマッピングするために少なくとも1つのLUTを利用することを含んでいる。
【0153】
さらに、その他の様態に従って、方法は、LUTを生成することで供給される。上記方法は、入力画素データの複数のグループのそれぞれに対する出力画素データをLUTに加えるステップであって、ディスプレイ装置に対し、利用可能な軸上/軸外輝度の点の組を決定することを含んでいるステップと、軸上輝度値の全領域を覆い、それぞれ異なる軸外輝度の特性を有している1ラインまたは複数のラインを考慮するステップと、各ラインに沿った複数の利用可能な輝度の点を選択するステップと、を含む。上記選択は、上記点および上記ラインの間に関係している距離の少なくとも一部分に依存する誤差関数を低減させる。また、LUTに加えるステップは、選択された輝度の点を生成することを求められた画素データに基づいている。
【0154】
更に、他の様態において、上記方法は、コンピュータソフトウェアを経由して実行される。コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されたコンピュータプログラムは、コンピュータによって実行された場合に、規定され、多原色LCDにおいて視野角に関して色ずれを低減する方法を実行する。上記方法は、画素を構成する複数の画像データであって、それぞれのデータ値を有する複数のサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受信する工程と、サブ画素色構成要素のデータ値を修正する工程と、これらの修正された値を出力する工程と、を含んでいる。
【0155】
さらに、他の様態に従って、装置は、多原色LCDにおいて視野角に関して色ずれを低減することが規定されている。上記装置は、画素を構成する複数の画像データであって、それぞれのデータ値を有する複数のサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受信するための入力と、サブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正部と、修正されたデータ値を出力するための出力と、を含んでいる。
【0156】
他の様態に従って、上記方法は、サブ画素色構成要素のデータ値を修正することによって引き起こされる好ましくない表示結果を避けるために受信した画像内の特徴を検出し、修正するための複数の画素データをフィルタリングするステップを含んでいる。
【0157】
本発明は、さらに、多原色LCDの動きの不明瞭な性能を改善する更なる利点を有している。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明は、軸上の表示品質の何れの著しい劣化がいずれもない状態で、軸外の表示品質を改善するディスプレイを提供することができる。本発明の表示方法、もしくは、本発明の制御回路またはディスプレイは、軸上および軸外の鑑賞者の両方に対し、所望の良好な表示品質で任意のアプリケーションで用いられうる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多原色表示装置で表示する画像データを処理する方法および処理する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(以下、LCDと称する)は、一般的に、これには限定されないが、以下のいくつかの構成部材によって構成されている。
1.均一かつ広い角度でパネルを照射するバックライトユニット(透過型ディスプレイの場合)。
2.デジタル画像データを受け取って、各画素のアナログ信号電圧と、タイミングパルスと、全画素の対向電極の共通電圧とを出力する、制御用電子回路。LCD制御用電子回路の標準的な配置の概略図を図1に示す(E.Lueder 'Liquid Crystal Displays'、Wiley and Sons社、2001年、を参照のこと)。
3.空間光変調によって画像を表示する液晶(以下、LCと称する)パネル。液晶パネルは、2つの対向するガラス基板を含む。液晶パネルの2つのガラス基板のうちの一方には、画像素子電極配列および上記制御用電子回路から受信した電子信号を前記画素電極に送るアクティブマトリクス配列が配置される。そして、もう一方のガラス基板には、通常、均一な共通電極とカラーフィルタ配列フィルムとが配置される。各ガラス基板の間には、所定の厚さ(通常2〜6μm)の液晶層が含まれる。上記液晶層は、ガラス基板の内部表面上に配置された配向層によって配向させてもよい。ガラス基板は、一般的に、交差した偏光フィルムと、他の光学補正フィルムとの間に置かれ、LC層のそれぞれの画像素子領域内で電気的に誘導された配向の変化を生じさせ、バックライトユニットおよび周囲の周辺装置から所望の光変調を持つ光を発生させる。これにより、画像が生成される。
【0003】
上述の画像素子は、一般に、画素と称され、各画素は、通常、複数のサブ画素で構成されている。典型的なLCDは、RGBの幾何学的縞模様を有している。各画素は、3つのサブ画素、すなわち、赤、緑、青のサブ画素が縦縞模様のように並んで構成された正方形になっている。しかしながら、各画素が4つまたはそれ以上のサブ画素(例えば、赤、緑、青、および、白)を含んでいる多原色ディスプレイが一般的になっている。
【0004】
多原色ディスプレイは、再現可能な色の範囲を広げる目的で製造された(IDW’09会報、2009年、1199〜1202頁)。赤、緑、青、および、白のサブ画素を持つ多原色ディスプレイは、表示の明るさと表示効率を改良する目的で開発された(SID’08 摘要、1112〜1115頁)。また、多原色ディスプレイは、明るさとサブ画素レベルでの精彩な画像特徴のレンダリング能力と、を同時に向上させる目的で生み出された(IMID’05 摘要、867〜872頁)。赤、緑、青、および、黄のサブ画素を持つ多原色ディスプレイも開発された。これらのディスプレイは、明るさを向上させたり、色の範囲を広げたり、サブ画素のレンダリング能力を向上させたりする(SID’10 摘要、281〜282頁)。
【0005】
多原色ディスプレイは、多くの色度値および輝度値に対して、3つ以上のタイプのカラーサブ画素を有するため、カラーサブ画素に提供されるデータ値であって、全体として同じ輝度および同じ色度を生成する個々のデータ値の複数の構成がありうる。全体の輝度および色度を同じにすることが可能な、データ値のさまざまな組み合わせは、メタマー(metamer)として知られている。サブ画素のレンダリングを考慮することに基づいて最適なメタマーを選択する方法は、米国特許第2010 0277498号(2010年11月4日公開)に開示されている。
【0006】
LCD技術において、例えば、表示エリア、明るさ、画像コントラスト、解像度、ビット深度(bit-depth)、および、応答時間などの改善された指標を有した非常に高性能なディスプレイをもたらすその他多くの進歩が存在した。しかしながら、視野角特性については、依然、さまざまなタイプのLCDにおいて、乏しいままである。良好な視野角特性を得るためには、所定の画素の入力画像データ値と、観察される画素の輝度との関係、いわゆる、ガンマ曲線が、視野角に応じて可能な限り小さな変化となるようにしなければならない。ディスプレイのガンマ曲線は、ディスプレイドライバのデータ値−信号電圧マッピングと、LCパネルの信号電圧−輝度応答との複合効果によって決定される。
【0007】
視野特性の問題点の一つにコントラスト反転がある。コントラスト反転は、ディスプレイの表面に対して垂直(以下、軸上と称する)の方向から観察された他の画素よりも輝度が高くなるように切り替えられた画素が、すべての視野角で高い輝度を維持できないときに起こる。その結果、表示された画像が、視野角の変化に伴って反転して見えてしまう。このコントラスト反転の問題を解決する技術もいくつかある。例えば、ディスプレイは、ツイストネマチック(Twisted Nematic:以下、TNと称する)ディスプレイに利用される広視野斜角ディスコチックフィルム(splayed-discotic Wide-View film)といった角度補正フィルム、VAN(Vertically Aligned Nematic)ディスプレイのマルチドメイン画素(multidomained pixels)、IPS(In-Plane Switching)方式ディスプレイおよび改良した電極形状等を伴って製造されている。
【0008】
視野特性の2つ目の問題点として、視野角に伴う知覚された色の変化がある。これは、色ずれとして一般に知られている。色ずれは、視野角に伴う画素の輝度の変化量が、画素の軸上輝度の関数であることの結果として生じる。したがって、3つのサブ画素が様々な輝度値を有したRGBストライプディスプレイにおいて、3つの色構成要素間における輝度の相対的差異は、視野角に伴い変化し得る。コントラスト反転問題は、広く解決されたが、一方で、色ずれは、様々なタイプのLCDにおいて、問題のままである。
【0009】
明瞭さの理由で、この色ずれ影響を示すために用いる以下の例、および、この影響を減らすための実施形態の記載は、カラーグラデーション制御につき8ビットを有するVAN方式LCDディスプレイを対象としている。角度を伴う色ずれの問題は、VAN方式ディスプレイまたはどんな特定の色深度のディスプレイにも制限されず、また、ここに記載された実施形態の適用性を限定するものでもない。よって、これは、角度で色ずれが現れるどんなLCDにも適用できる本発明の範囲を損なうものではない。
【0010】
図2は、入力データレベルが0(黒)から255(白)までの32刻みの階調(shades of grey)で計測された、携帯電話ディスプレイにおけるマルチドメインVAN方式LCDの輝度の角度依存性を示す。図3(a)は、入力データレベルに対してプロットした0°、および(ディスプレイが通常観察される方向に水平な)右手側に50°の傾きでの図2の点を示す。軸上の曲線はガンマ曲線であり、当該ガンマ曲線は、以下の関係におおよそ従うように設計されている。
【0011】
【数1】
【0012】
ここで、所定のデータレベルDに対しLは出力輝度であり、それぞれがその最大値に正規化した場合、γ(ガンマ)はその2つに関する指数である。ガンマ値は、一般的に2.0から2.4の範囲に設計され、そして図2および3に示されたディスプレイに対して約2.3である。
【0013】
図3(b)は、軸上の輝度の関数としての、0°および50°の傾きでのディスプレイの輝度を示す。両者はそれらの最大値に正規化されている。
【0014】
図から、VAN方式ディスプレイにおいて中間グレーレベルに対する一般的な振る舞いは、軸外観賞の場合、不均衡な明るさを現すことが、はっきりと分かる。これは、図4で更に示されている。図4は、255、160、および0に等しい入力データ値を表示する同じVAN方式ディスプレイのための各角度で、データ=255の状態の輝度に正規化された視野角の関数としての輝度を示す。この図から以下を理解できる。もし画素が、赤色のサブ画素に対しデータ=255で、緑色のサブ画素に対しデータ=160で、青色のサブ画素に対しデータ=0での、軸上の入力であれば、正規化した輝度の比はR:G:Bに対しおよそ1:0.35:0であり、画素に対してオレンジ色の外観をもたらす。しかしながら、50°の傾きから観賞された場合、色構成要素の比はおよそ1:0.77:0.03であり、画素に対して黄色の外観をもたらす。これは、視野角を伴う色ずれの原因である。そして、特にVAN方式ディスプレイに対して、色ずれ度合いは、最大輝度に近い1色の構成要素、および、中間輝度範囲にある1または2色の構成要素から成り立つ色に対して最大となることが分かる。
【0015】
いくつかの技術は、色ずれの影響を軽減するために開発された。これらの最も効果的な技術は、分割サブ画素構造を利用する。それにおいて、ディスプレイ中の各カラーサブ画素は、2つ以上の領域から成る。各サブ画素領域は、ある1つが他の領域より高い輝度であるといった、異なる輝度を有している。したがって各サブ画素領域は、視野角に伴う異なる輝度変化を有している。サブ画素領域の輝度値は、サブ画素領域の軸上輝度の平均が、所望の全体的な輝度を有するように、および、サブ画素領域の視野角に伴う輝度の平均的な変化が、それぞれの領域で個々に考慮されたずれより顕著ではないように、選択される。
【0016】
この方法は、部分空間ディザー(partial spatial dither)またはデジタルハーフトーン(digital halftoning)として知られる。そして、米国特許第4840460号(1989年6月20日発行)および米国特許第7474292号(2005年10月6日発行)に記載されたように、分割サブ画素の領域間に容量分圧器を用いてこの方法は実行されうる。あるいは、サブ画素の2つの領域がコモンゲートラインにより駆動される時、サブ画素の2つの領域の各々が個々に制御信号電圧を受け取るような、カラーサブ画素毎に追加のソースラインを用いることにより実装可能である。この2番目の実装は、米国特許第6067063号(2000年5月23日発行)に記載されいている。この2つの一般的なアプローチもまた、米国特許第7079214号(2006年7月18日発行)に要約されている。更に、この特許には、色ずれを低減するためにサブ画素領域および暗いほうのサブ画素領域に加えられた電圧間の関係を最適化する方法が記載されている。
【0017】
しかしながら、分割サブ画素構造のハードウェアには否定的な側面もある。追加された画素電子回路では、ディスプレイのコストの増加が避けられない。そして、その方法は、高解像度な小領域ディスプレイには適用できない。
【0018】
そのような方法を実装するために分割サブ画素構造を用いる必要はない。その技術はソフトウェア上でまたはLCD制御用電子回路で効果的に実装できる。そして、空間的または時間的ドメインのどちらかにおいて、カラーサブ画素全ての輝度を上下に二者択一的に調整することによりどんな既存のカラーディスプレイにも適用できる。それにより、ディスプレイの効果的な解像度にかかる費用で同じ効果を作り出す。輝度は、近傍画素の同じサブ画素間を効果的に移動する。これにより、近傍画素の軸上輝度平均が変わらないことを保証する一方、色ずれの平均は改善される。これは、米国特許第6801220号(2002年10月17日発行)、米国特許第7113159号(2003年8月7日発行)米国特許第5847688号(1998年12月8日発行)、米国特許第7250957号(2007年7月31日発行)、米国特許第2004 0061711号(2004年4月1日発行)、米国特許第2010 0156774号(2010年6月24日発行)および米国特許第7764294号(2006年8月10日発行)に記載されている。
【0019】
米国特許第6801220号において、このことは、画像処理方法によってRGBディスプレイ上で実行され、この方法で、LCDへの画像データ入力がルックアップテーブル(以下、LUTと称する)により処理される。よって、LCD上の近傍画素により表示された場合、充分な表示解像度および観賞距離を仮定すると、各入力データレベルに対して、本来の入力データレベルが両方の画素に表示された場合と同様に現れるように、観賞者の目で平均化される1対の出力データレベルが供給される。それゆえ、画像処理方法は、所定の入力データ値に対する各画素に適用される上記1対の出力データ値を、ディスプレイを横断し、空間的に交互に入れ替える。
【0020】
米国特許第7113159号には、広視野角に伴う優れたグラデュエーション曲線(graduation curve)を有する、赤、緑および青の3つのサブ画素で構成された液晶表示装置が開示されている。広視野角は、時間的ドメインにおいてサブ画素の輝度を上下に調整することによって得られる。言い換えれば、1つの画素におけるフレームは、それぞれ異なるグラデュエーションを表示する。十分高速で実行されたフレーム切り替えは、残像によって起こる混色(colour mixture)をもたらす。そして、この色は、目に対し、中間輝度で現れる。この発明もまた、分割サブ画素構造のハードウェアのタイプを開示している。しかし、上記方法において、2つの問題が明らかである。1つ目は、画像素子回路の増加であり、2つ目は、サブ画素の伝送の減少である。これらの問題に対する非ハードウェアのスプリットソリューションが、提案され、それによって、白色のサブ画素が各画素に追加される。そして、視野角は、赤、緑および青の組み合わせに対して、グラデュエーション特性を補正することによって、改善される。
【0021】
しかしながら、分割サブ画素構造のソフトウェアには否定的な側面もある。分割サブ画素構造のハードウェア等の場合のように、追加の画素電子回路は必要とされず、ソフトウェア方法が高解像度に適用されうるものの、得られる画像に適する小領域ディスプレイは、輝度解像度における有効損失(effective loss)を出してしまう。個々の画素のそれぞれの色度もまた、元の値とは異なる場合があり、得られる画像におけるカラーアーティファクト(colour artefact)をもたらし得る。米国特許第6801220号には、画像コンテンツが画素から画素へ徐々に変化する場合に限り、使用されたハーフトーンパターンが全体としてオリジナル画像と同じように現れることが記載されている。画像コンテンツが画素から画素へ急に変化すると、ハーフトーンパターンは、ばらばらにされる。例えば、この発明には、パターンの周期性が水平方向および垂直方向の両方において2画素である場合に、2×2のサブ画素パターンが利用可能であることが記載されている。明るくされた領域、または、暗くされた領域は、単一のサブ画素または1対のサブ画素のどちらかから成る。図5は、このパターンに対する緑/マゼンタ色の配置を示す。このパターンが1画素×1画素の格子模様状画像に適用される場合、ハーフトーンパターンは、ばらばらにされ、カラーアーティファクトが見られる。図6(a)および図6(b)は、1×1におけるオリジナル画像を表し、前述したパターンの緑/マゼンタ色の配置が上記画像に適用されるときに、グレー/黒の格子模様の1×1のオリジナル画像がどのように現れるのかを表している。緑およびマゼンタのアーティファクトが見られる。単一の画素の対角線もまた、類似のカラーアーティファクト問題を被る(図5、図6(a)および図6(b)においてサブ画素内の“+”および“−”記号は、LCディスプレイの駆動では普通に見られるように、あるフレームから他方に反転したサブ画素に対し印加された電圧の極性と共に、あるフレームにおけるサブ画素に対し印加された電圧の極性を示す)。
【0022】
米国特許第2010 0156774号には、静止画像に対する輝度あるいは色度において明白な解像度損失がないフレーム反転駆動方法が記載されている。この駆動方法において、空間的明暗格子模様状パターンは、各フレーム中の画像内に与えられる。しかし、上記格子模様状パターンは、各フレームの変化に伴って反転する。観察者に対して、各フレームの上記画像は同一に見える。なぜなら、目を空間平均化することにより、所定のフレーム内で1対の画素の何れが明るい方または暗い方であるのかを見分けることが不可能になるためである。このフレーム反転駆動方法の重要な利点は、静的な入力画像のための各フレームの肉眼で見える外観が同一であるにも関わらず、各画素はフレームからフレームへ輝度を変化させることである。それにより、その画素への入力データ値に対応する所望の輝度に等しい時間的平均輝度を提供する。それゆえ、2つのフレームまたはそれ以上の周期にわたり明暗格子模様状パターンを適用したデータ修正により、各フレーム内での解像度損失を被るにも関わらず、個別の画素各々は、正しい平均輝度を提供し、よって、明白な解像度損失を被らない。
【0023】
確かに、上記フレーム反転駆動方法は、いくつかの輝度解像度損失を正常に回復することができ、静止画像において、カラーアーティファクトは、見られない。一方で、ディスプレイ周辺の目の動きまたは瞬きは、ディスプレイを瞬間的に垣間見ることをもたらす。したがって、この瞬間において、解像度の損失が見られる。とはいえ、ディスプレイを瞬間的に垣間見る間、カラーアーティファクトは見られないことに留意しなければならない。
【0024】
フレーム反転駆動方法が静止画像に対し適用されるときにカラーアーティファクトが見られないが、いくつかの動画像においてカラーアーティファクトが見られる。例えば、図5に記載された改良パターンが1画素×1画素の1フレームにつき1画像の割合で水平に移動する格子模様状画像に適用された場合において、上記フレーム反転駆動方法が適用されたときであっても、カラーアーティファクトは見られる。
【0025】
米国特許第2010 0156774号には、動画像におけるカラーアーティファクト問題を解決するために用いられる方法が記載されている。上記方法は、カラーアーティファクトが起こりうる領域内の入力画像上で実行される、何れの変更も抑制することを含んでいる。上記方法は、静止画像および動画像の両方においてカラーアーティファクトを抑制する一方、上記方法は、上記変更を抑制したいくつかの画素が、それらの軸外上に現れる何れの改善も有していないという不利点を有している。結果として、変更が1つに対し適用され、且つ、その他に対し適用されない同じ入力画素が、軸外の鑑賞者に対し異なって現れる。更に、上記方法は、追加の資源が上記方法を実行するために必要となるという更なる不利点を有している。したがって、最初からカラーアーティファクトが起こらないことが望ましい。
【0026】
それゆえ、輝度解像度損失が全くないまたは既存の方法に比べ輝度解像度損失が減少したLCD、および、動画像および静止画像の両方に対し、カラーアーティファクトがないLCDにおける視野角に伴う色ずれを減少する最適な方法が要望されていることが明らかである。
【発明の概要】
【0027】
本発明の第1の態様は、ディスプレイのための画像を処理する方法を提供しており、当該方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを取得する取得工程と、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正工程と、を含み、表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、全体的な輝度および上記表示パネルの知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する。
【0028】
本発明の第2の態様は、ディスプレイのための画像を処理する方法を提供しており、上記方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取る受取工程と、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正工程と、を含み、軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、画素の原色のサブ画素および画素の非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する。
【0029】
本発明の第3の態様は、多原色表示パネルのための制御回路を提供しており、上記制御回路は、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する。
【0030】
本発明の第4の態様は、多原色表示パネルのための制御回路を提供しており、上記制御回路は、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記画素の上記原色のサブ画素および上記画素の上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する。
【0031】
本発明の第5の態様は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成された多原色表示パネルを提供しており、
当該表示パネルは、当該表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する。
【0032】
本発明の第6の態様は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成された多原色表示パネルを提供しており、
当該表示パネルは、軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記画素の上記原色のサブ画素および上記画素の上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する。
【0033】
本発明の第1の態様は、処理装置によって実行された場合に、上記処理装置に本発明の方法を実行させる指示を含んでいるコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【0034】
上述および関連した目的の達成のために、本発明は次に、以下に充分に記載されそして請求項において特に指摘した特徴を含む。以下の記載および添付の図面は、本発明のある実例となる実施形態を詳細に説明する。これらの実施形態は、しかしながら、発明の原理が利用可能な様々な方法のうちの一部を示すに過ぎない。発明の他の目的、利点、およびこれまでにない特徴は、図面と併せて考慮される場合、本発明の以下の詳細な記述から明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】LCDの制御用電子回路の標準的な構成の概略図である。
【図2】入力データレベルの範囲で計測されたVAN方式LCDの輝度の角度依存性を示すグラフである。
【図3】(a)および(b)は、0°の視野の傾きにおける入力データレベルおよび輝度の関数として、それぞれ、0°および50°の視野の傾きでの図2に対するデータを示すグラフである。
【図4】各角度における最大入力データレベルの輝度に正規化した、入力データレベルの範囲におけるVAN方式LCDの計測した角度輝度依存性を示すグラフである。
【図5】緑/マゼンタ色の配置における2×2RGBサブ画素パターンを示す図である。
【図6】(a)および(b)は、ハーフトーンパターンがばらばらにされたときのカラーアーティファクトの状態を説明するための図であり、同図(a)は、1画素×1画素の黒およびグレーの格子模様を示し、同図(b)は、図5のハーフトーンパターンが適用されたときの同図(6)の状態を示す図である。
【図7】(a)および(b)は、色チャネルに対するデータ値の全ての可能な組み合わせのための、軸上輝度−軸外輝度を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施形態における可能なハードウェア実装を示した処理フロー図である。
【図9】(a)および(b)は、赤、緑および青のサブ画素をそれぞれ有した画素の配列を示す図であり、同図(b)は、同図(a)に示した画素の配列に適用した修正パターンを示す図である。
【図10】(a)、(b)および(c)は、赤、緑、青および白のサブ画素をそれぞれ有した多原色画素の配列を示す図であり、同図(b)および同図(c)は、同図(a)に示した画素の配列に適用した修正パターンを示す図である。
【図11】(a)および(b)は、赤、緑、青および白のサブ画素をそれぞれ有した多原色画素の配列を示す図であり、同図(b)は、同図(a)に示した画素の配列に適用した修正パターンを示す図である。
【図12】(a)および(b)は、赤、緑および青のサブ画素をそれぞれ有した画素の配列を示す図であり、同図(b)は、同図(a)に示した画素の配列に適用した修正パターンを示す図である。
【図13】(a)、(b)および(c)は、赤、緑、青および黄のサブ画素をそれぞれ有した多原色画素の配列を示す図であり、同図(b)および同図(c)は、同図(a)に示した画素の配列に適用した修正パターンを示す図である。
【図14】(a)および(b)は、赤、緑、青および黄のサブ画素をそれぞれ有した多原色画素の配列を示す図であり、同図(b)は、同図(a)に示した画素の配列に適用した修正パターンを示す図である。
【図15】(a)〜(g)は、4原色のディスプレイに適用された7つの異なる修正パターンを示す図である。
【図16】本発明の一実施形態における可能なハードウェア実装を示した処理フロー図である。
【図17】データ値がそれぞれ、200、100、200および100の赤、緑、青および白のサブ画素を有した入力画素の具体的な例に対する図16に示した処理フローを示す図である。
【図18】sRGB色空間全域およびR、GおよびBの三原色の位置を表示したCIE 1931xy色度図である。
【図19】本発明の一実施形態における可能なハードウェア実装を示した処理フロー図である。
【図20】データ値がそれぞれ、200、160、120および120の赤、緑、青および白のサブ画素を有した入力画素の具体的な例に対する図19に示した処理フローを示す図である。
【図21】データ値がそれぞれ、200、160、120および120の赤、緑、青および白のサブ画素を有した入力画素の具体的な例に対する図19に示した処理フローを示す図である。
【図22】(a)および(b)は、輝度解像度損失または色度解像度損失がないことを保証するために、多原色のサブ画素間で輝度がどのように移動し得るのかを示す図である。
【図23】本発明の一実施形態における可能なハードウェア実装を示した処理フロー図である。
【図24】画像のリフレッシュレートおよび極性パターンが同じである場合に、2ラインドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した修正パターンを示す図である。
【図25】画像のリフレッシュレートおよび極性パターンが同じである場合に、2ラインドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した他の修正パターンを示す図である。
【図26】画像のリフレッシュレートおよび極性パターンが同じである場合に、2ラインドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した他の修正パターンを示す図である。
【図27】画像のリフレッシュレートおよび極性パターンが同じである場合に、2ラインドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した他の修正パターンを示す図である。
【図28】画像のリフレッシュレートおよび極性パターンが同じである場合に、2ラインドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した他の修正パターンを示す図である。
【図29】画像のリフレッシュレートが極性パターンの2倍である場合に、2ラインドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した修正パターンを示す図である。
【図30】軸外画像内の改善を更に成し遂げるためのカラーアーティファクトを抑制する方法を示す図である。
【図31】軸外画像内の改善を更に成し遂げるためのカラーアーティファクトを抑制する方法を示す図である。
【図32】(a)および(b)は、本発明の一実施形態の2つの可能な実施を示した処理フロー図である。
【図33】画像のリフレッシュレートが極性パターンの2倍である場合に、2ライン2ドット反転極性パターンを備えたRGBYパネルに適用した修正パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に従ったディスプレイの典型的な実施形態において、ディスプレイは標準的なLCDディスプレイを含む。その例は修正された制御用電子回路を有する図1に示される。
【0037】
そのようなディスプレイが標準的な方式で作動する時、単一画像を構成する主画像データのセットは各フレーム周期で、一般的にはシリアルビットストリームの形式で、制御用電子回路へ入力される。その後、制御用電子回路は信号データ電圧のセットをLCパネルへ出力する。信号電圧の各々は、LCパネルのアクティブマトリクス配列により、対応する画素電極へ方向付けられる。そしてLC層での画素の結果として生じる集合的な電気光学反応により画像が生成される。
【0038】
上述のように、色ずれ低減技術を含むディスプレイにおいて、画像データは、制御用電子回路、ドライバ電気回路、または、画素内の電子回路で修正されうる。それにより、画素の対または2つの画素からのサブ画素の同じ対は、反対方向に修正されたそれらのデータ値を有する。これは、ある画素から他の画素、または、あるサブ画素から他のサブ画素に輝度を移すという効果を有する。輝度は、軸上の鑑賞者によって観察された画素の対の組み合わされた輝度に変化がないように(表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、全体的な輝度および表示パネルの知覚画像が実質上変化していないと見られるように)、および軸外の鑑賞者によって観察された見た目が向上するように、移動される。なお、2つの画素は、(1)観察者の目が2つの画素の輝度を平均化できるようにお互い空間的に近接したフレーム内の2つの画素であるか、または、(2)お互いに同じ空間上の位置を有するが、異なるが連続する2つのフレーム内に存在するか、または、(3)お互いに同じ空間上の位置を有するが、異なるが連続する第1および第2のフレームの集合内に存在する。
【0039】
本発明の典型的な実施形態に従い、図1を参照する。制御ASICは、他の従来の制御に加え、本発明に従ってここに記載された処理を実行するために修正される。制御ASICは、画像を構成する複数の画素データの形式で表示入力データを受信するための入力を含む。各画素データは、それぞれのデータ値を有する複数のサブ画素色構成要素を含む。制御ASICは、修正部を含む。上記修正部は、LCD上に表示された時に色ずれを低減するために、更にここに記載されたように画素データに含まれたサブ画素色構成要素のデータ値を修正する。修正された画素データは、順にLCDディスプレイに供給される。
【0040】
ディスプレイに対し出力されたデータ値であって、上記修正されたデータ値は、有色のサブ画素毎に、1つのルックアップテーブル(LUT)内に記憶される。各LUTは、2つの列を含んでおり、それぞれの列は、入力データレベルにあるのと同数の行、例えば、カラーディスプレイにつき8ビットで256の行を含んでいる。必要に応じて、LUTは、単一の拡大されたLUT内においてより多くの数の列と組み合わせてもよい。各LUT内で、何れの出力値が選択されるかは、画素または表示されるために画素内で修正されたサブ画素の位置に基づいた修正パターンに依存する。例えば、格子模様状配列において、暗くされた画素および明るくされた画素、または、暗くされたサブ画素および明るくされたサブ画素のパターンが形成されるために、行および列の位置を含んだ画素またはサブ画素であって、ディスプレイ上で両方とも奇数または両方とも偶数の画素またはサブ画素は、LUT内において2つの取りうる出力値のうち、高い値のほうを取得するように修正される。一方、画像内で行および列の位置を含んだ画素またはサブ画素であって、奇数および偶数、あるいは、偶数および奇数である画素またはサブ画素は、それぞれ、2つの取りうる出力値のうち、低い値のほうを取得するように修正される。画素またはサブ画素の明暗パターンは、画素から画素の輝度の変化を減らすために画像の1以上の色構成要素を反転させてもよい。実際は、より高くおよびより低く調整された画素値であって、軸上の鑑賞者に明らかな劣化がない快適な画像の鑑賞を可能にする画素値の空間的および/または時間的な配列の様々な変形または組み合わせが使用されうる。
【0041】
LUTの値は、以下の方法を用いて算出されうる。ディスプレイの軸上および軸外(例えば、50°の傾き)の輝度が、特定の色チャネルの、全入力データ値に対して、また実際は、選択された可能なデータ値に対して計測される。選択された可能なデータ値以外の値は、補間される。このデータから、その色の2つの画素のデータ値の全ての可能な組み合わせに対する平均複合された平均軸外および軸上の輝度が、推定されうる。これらの値が正規化される場合、および軸上から軸外への輝度空間での点としてプロットされた各組み合わせの場合、その結果は図7(a)に示したものとなる。
【0042】
一連のこれらの点は、LUTの各入力データ値のための必要とされる軸上および軸外の輝度に従って選択されうる。図7(b)は、LUTに対して選択されている点を結んだ太い黒線を用いて、画素データの組み合わせのための利用可能な平均軸上および軸外の輝度点の同じ集まりを示す。この場合、これらの点は、入力データ値自身が生成する正規化した軸上の輝度に近いような各入力データ値に対して正規化した軸上の輝度、および、正規化した軸上の輝度にできるだけ近い正規化した軸外の輝度、を提供するように選択されている。これにより、同様の軸上の輝度を有する点の間の軸外の輝度における急激な変化(これは軸外の観賞者への画像アーティファクトの原因となる)を回避する。可能な点の空間内での任意の軸上に対する軸外の輝度のトレースが選択されうるが、図7(b)に示された形状のトレースは良好な色ずれの改善を提供することが示されている。LUTの出力値は、図7(b)の各選択点を生成した2つのデータ値の組み合わせになるように、決定されうる。この方法は、ディスプレイの色チャネル各々に対して実行でき、色チャネル各々に対して必要とされた1つのLUTのみで、良好な色ずれ改善を達成する手段を提供する。各LUTは、各入力データ値に対する1対の出力データ値から成る。
【0043】
典型的な実施形態において、異なるLUTは、ディスプレイのガンマ特性に基づいて算出される出力値の対を含む。選択された出力値は、任意の所定の入力値に対し、各LUTが軸上の観賞者に対し同じ平均輝度を有する出力画素の対を生成することを保証する。
【0044】
典型的な実施形態において、修正されたデータ値は、多原色ディスプレイの画素の対が提供する画素の対またはサブ画素の同じ対に対し、適用される。例えば、2つの近傍画素など、フレーム内における互いに空間的に近接した2つの画素を用いることに適用される場合の一例として、修正されたデータ値は、赤、緑、青および白の4つまたはそれより多いサブ画素を含んだ画素を備えた多原色ディスプレイにおける近傍画素のサブ画素の同じ対に適用されうる。行および列の位置を含んだサブ画素であって、ディスプレイ上で両方とも奇数または両方とも偶数のサブ画素が、有色のサブ画素に対応するLUT内の2つの可能な値のうち高いほうの値を取得するために修正されうる場合、さらに、行および列の位置を含んだサブ画素であって、それぞれ奇数および偶数、あるいは、偶数および奇数であるサブ画素が、有色のサブ画素に対応するLUT内の2つの可能な出力値のうち低いほうの値を取得するために修正されうる場合、データ修正パターンは、格子模様状配列に適用される。なお、多原色ディスプレイは、サブ画素の上記組み合わせや、4つのサブ画素に限定されない。
【0045】
データ修正ステップが入力画像内の全ての画素のデータ値で実行された後、修正された画像は、修正された制御用電子回路からディスプレイに対し出力される。上述した処理に対する処理フロー図の一例を図8に表す。上記図は、4つの入力のみを示すが、本システムは4つに限定されない。処理フローはハードウェア、ROM等のコンピュータ読み取り可能なメモリに保存されたソフトウェア、またはその組み合わせを経由し実行されうる。そして、例えば、図1に代表された制御電子回路の制御ASIC内で実行されうる。LCDディスプレイのためのコンピュータソフトウェアおよび/またはハードウェアの設計の当業者は、ここに提供された記載に基づき、過度の努力や実験なしにここに記載された機能を実行するためにソフトウェアおよび/またはハードウェアをどのように提供するかを容易に正しく理解するだろう。従って、特定の配列に関して更なる詳細は、簡潔さの理由でここに省略されている。
【0046】
図8は、画像を構成している多原色サブ画素のデータ値が、本発明に従って処理された制御ASICによりどのように受信されるか、および、修正されたサブ画素のデータ値としてのどのように出力されるかを例示する。図8において、入力サブ画素のデータ値は、R、G、BおよびXというラベルが貼られ、さらに、出力データ値は、R’、G’、B’およびX’というラベルが貼られている。LUTは、修正されたマルチプレクサに供給される出力データ値を備える。LUT中で特定の出力値が選択される。選択された特定の出力値は、マルチプレクサに供給される修正パターンおよびサブ画素配置によって決まる。その後、選択されたLUTの選択された出力から修正された画像データは、ソースドライバICに供給され、それぞれ対応する画素に伝えられる。
【0047】
更なる実施形態において、修正されたデータ値は、2つの画素のうち、それぞれの画素の輝度の正味の変化が最小となるような方法で、多原色ディスプレイ2つの画素が提供するサブ画素の同じ対に適用される。これは、例えば、画素の対ごとの方式で、複数の画素の対のために実行されうる。これは、各サブ画素に対し、あるLUTに記憶された少なくとも2つの修正されたデータ値のうちの1つを選択することによって実行される。その結果、1以上のサブ画素の輝度の変化は、1以上の残りのサブ画素の輝度の変化によってほとんど等しくバランスが取られる。この修正方法を適用することで、標準的なRGBディスプレイに比べ、多原色ディスプレイの明らかな輝度解像度損失を減らすことができる。赤、緑、青および白のサブ画素を有した多原色ディスプレイという具体的な例では、最適な修正パターンは、緑、青のサブ画素が白のサブ画素とは反対に修正されたときに、平均して、ディスプレイ全体に対する輝度の最小の合計の正味の変化を与える。赤、緑、青、黄のサブ画素を有した多原色ディスプレイという具体的な例では、最適な修正パターンは、赤および緑のサブ画素が青および黄のサブ画素とは反対に修正されたときに、平均して、ディスプレイ全体に対する輝度の最小の合計の正味の変化を与える。
【0048】
輝度の正味の変化であるΔLは、以下の方程式を用いて算出される。
【0049】
【数2】
【0050】
【数3】
【0051】
【数4】
【0052】
ここで、WeightRED、WeightGREEN、WeightBLUEおよびWeightXは、それぞれ、赤、緑、青およびXのサブ画素の重みである。R’INPUT、G’INPUT、B’INPUTおよびX’INPUTは、それぞれ、赤、緑、青およびXのサブ画素の、ガンマ調整された入力データ値である。R’OUTPUT、G’OUTPUT、B’OUTPUTおよびX’OUTPUTは、それぞれ、赤、緑、青、およびXのサブ画素の、ガンマ調整された出力データ値である。ガンマ調整されたデータ値は、以下の方程式を用いて算出される。
【0053】
【数5】
【0054】
【数6】
【0055】
【数7】
【0056】
【数8】
【0057】
ここで、R、G、BおよびXは、それぞれ、赤、緑、青およびXのサブ画素のデータ値であり、γRED、γGREEN、γBLUEおよびγXは、それぞれ、赤、緑、青およびXのサブ画素のガンマ値である。
【0058】
赤、緑、青および白のサブ画素を有した多原色ディスプレイという具体的な例では、sRGB色域パネルであるとの仮定、および、全体の白の画素の輝度が全体の赤、緑および青のサブ画素の総輝度と等しいとの仮定において、上記重みは以下の値を有する。
【0059】
【数9】
【0060】
【数10】
【0061】
【数11】
【0062】
【数12】
【0063】
また、ガンマ値は、γRED=2.2、γGREEN=2.2、γBLUE=2.2、および、γWHITE=2.2(ITU−R勧告 BT.709-5, Parameter values for the HDTV standards for production and international programme exchange)である。
【0064】
赤、緑、青および黄のサブ画素を有した多原色ディスプレイという具体的な例では、sRGB色域パネルであるとの仮定、および、全体の黄の画素の輝度が全体の赤および緑のサブ画素の総輝度と等しいとの仮定において、上記重みは以下の値を有する。
【0065】
【数13】
【0066】
【数14】
【0067】
【数15】
【0068】
【数16】
【0069】
また、ガンマ値は、γRED=2.2、γGREEN=2.2、γBLUE=2.2、および、γYELLOW=2.2(ITU−R勧告 BT.709-5, Parameter values for the HDTV standards for production and international programme exchange)である。
【0070】
例えば、図9(a)は、赤、緑および青のサブ画素をそれぞれ有した画素の配列を示す図である。図9(a)には、各サブ画素のデータ値が、図上に示されている。図9(b)の修正パターンによって示されるように、赤および青のサブ画素は、緑のサブ画素とは反対に修正されたとき、画素1は、51%の輝度の正味の減少を有し、画素2は、51%の輝度の正味の増加を有している。図10(a)は、赤、緑、青および白のサブ画素をそれぞれ有した多原色画素の配列を示す図である。図10(a)には、各サブ画素のデータ値が図上に表示されている。図10(a)の赤、緑および青のサブ画素に適用されたグレーレベルは、図9(a)のものと同じである。輝度が、図10(b)に示した修正パターンであって、図9(b)に示したものと同様の修正パターンに従って移動したとき、画素1は、71%の輝度の正味の減少を有し、画素2は、71%の輝度の正味の増加を有している。1以上のサブ画素の輝度の変化が、残りの1以上のサブ画素の輝度の変化と略同じである場合には、更に最適な修正パターンが図10(a)に適用されうる。これを実現するために、赤、緑および青のサブ画素は、図10(c)に示すように、白のサブ画素とは反対に修正される。更に最適なパターンが適用されたとき、画素1の輝度の正味の変化は、9%の減少であり、画素2の正味の変化は、9%の増加である。
【0071】
サブ画素のデータ値が全て同じ場合の、赤、緑、青および白のサブ画素を有したグレースケールデータを表示した任意の画素に対し、赤、緑および青のサブ画素の総輝度は、白のサブ画素の輝度と等しい。言い換えれば、あるタイプの修正が適用されたサブ画素の総輝度は、他のタイプの修正が適用されたサブ画素の総輝度に等しい。したがって、本実施形態は、上記修正パターンを有したRGBWパネル上に表示されたグレースケール画像は、赤、緑および青のサブ画素の輝度の変化が白のサブ画素の輝度の変化によってバランスするので、輝度解像度損失を出さないといった更なる利点を有している。加えて、グレースケール画像は、色度解像度損失を出さない。それゆえ、グレースケール画像は、カラーアーティファクトをも出さない。例えば、図11(a)は、赤、緑、青および白のサブ画素をそれぞれ有したグレースケールデータを表示した画素の配列を示す図である。図11(a)に示すように、全てのサブ画素のデータ値は、同じである。輝度が、図11(b)に示した修正パターンであって、図10(c)に示したものと同様の修正パターンに従って移動したとき、画素1および画素2の輝度の正味の変化はゼロになる。
【0072】
RGBWパネル上に表示された有色の画像がいくつかの輝度解像度損失を有したとしても、この損失は最小化される。これは、図10(c)に示された修正パターンが適用されたときに、画素1が−9%の輝度の正味の変化を示し、画素2が+9%の輝度の正味の変化を示した場合、図10(a)に示された赤、緑、青および白のサブ画素を有した多原色画素の配列の上記例で実証される。画素の輝度の正味の変化がゼロではないという事実にもかかわらず、画素の対に対する輝度の正味の変化はゼロである。したがって、軸上の鑑賞者に対し、画素の対の平均輝度は、変化が見られない。有色の画像は、また、いくつかの色度解像度損失を有しているが、この場合もやはり、画素の対の平均色度(言い換えれば、全体の色度)は変化しない。有色の画像の画像内容が画素から画素へはっきりと変化した場合、画像には、カラーアーティファクトが出るであろう。
【0073】
更なる例として、赤、緑および青のサブ画素をそれぞれ有した画素の配列を図12(a)に示す。図12(a)には、各サブ画素のデータ値が図上に示されている。図12(b)の修正パターンによって示したように、赤および青のサブ画素が緑のサブ画素とは反対に修正されたとき、画素1は、43%の輝度の正味の減少を有し、画素2は、43%の輝度の正味の増加を有している。図13(a)は、赤、緑、青および黄のサブ画素をそれぞれ有した多原色画素の配列を示す図である。図13(a)には、各サブ画素のデータ値が図上に示されている。図13(a)の赤、緑および青のサブ画素に適用されたグレーレベルは、図12(a)のものと同じである。輝度が、図13(b)に示した修正パターンであって、図12(b)に示したものと同様の修正パターンに従って移動したとき、画素1は、70%の輝度の正味の減少を有し、画素2は、70%の輝度の正味の増加を有している。更に最適な修正パターンが図12(a)に適用されうる。ここで、1以上のサブ画素の輝度の変化が、残りの1以上のサブ画素の輝度の変化と略同じである。これを実現するために、赤および緑のサブ画素は、図13(c)に示すように、青および黄のサブ画素とは反対に修正される。更に最適なパターンが適用されたとき、画素1の輝度の正味の変化は、3%の減少であり、画素2の正味の変化は、3%の増加である。
【0074】
サブ画素のデータ値が全て同じ場合の、赤、緑、青および黄のサブ画素を有したグレースケールデータを表示した任意の画素に対し、あるタイプの修正が適用されたサブ画素の総輝度は、他のタイプの修正が適用されたサブ画素の総輝度に等しくない。したがって、上記修正パターンを有したRGBYパネル上に表示されたグレースケール画像は、いくつかの小さな輝度解像度損失および色度解像度損失を有する。しかしながら、この解像度損失はRGBパネルのものよりも依然として小さい。例えば、図14(a)は、赤、緑、青および黄のサブ画素をそれぞれ有したグレースケールデータを表示した画素の配列を示す図である。図14(a)に示すように、全てのサブ画素のデータ値は、同じである。輝度が、図14(b)に示した修正パターンであって、図13(c)に示したものと同様の修正パターンに従って移動したとき、画素1の正味の変化は、−4%であり、画素2の輝度の正味の変化は、+4%である。同様に、図12(a)および図12(c)に示した例で実証されているように、有色の画像にも、いくつかの小さな輝度解像度損失および色度解像度損失が出る。しかしながら、グレースケールおよび有色の画像に対し、輝度解像度の損失は、上述した修正パターンの適用を経て、最小化される。何れかの画素の対に対する輝度および色度の正味の変化はゼロである。したがって、軸上の鑑賞者に対し、画素の対の平均輝度および色度は、変化が見られない。しかしながら、RGBYパネル上に表示されたグレースケールまたは有色の画像いずれかの画像内容が画素から画素へはっきりと変化した場合、画像には、カラーアーティファクトが出るであろう。
【0075】
更なる実施形態において、多原色ディスプレイ上に表示された修正された画像の輝度の正味の変化は、画像内の画素の対の全てに対して同じ修正パターンを適用することよりはむしろ画像内の画素の対のそれぞれに対する修正パターンを最適化することによって、更に最小化されうる。前の実施形態において、修正パターンは、ディスプレイ全体に対し、平均して、修正された画素の輝度の正味の変化が最小化されるように、選択される。しかしながら、本実施形態において、最適な修正パターンは、画素の対に基づいて、画素の対について算出される。
【0076】
4原色ディスプレイの場合、7つの異なる修正パターンを適用することが可能である(全てのサブ画素が修正されたと仮定する。1以上のサブ画素が修正されていない場合に更なる修正パターンも存在する)。7つの異なる修正パターンは、図15(a)〜(g)に示される。7つのパターンは以下の通りである。
(a)サブ画素1およびサブ画素3が、サブ画素2およびサブ画素4とは反対に修正されている。
(b)サブ画素1およびサブ画素2が、サブ画素3およびサブ画素4とは反対に修正されている。
(c)サブ画素1およびサブ画素4が、サブ画素2およびサブ画素3とは反対に修正されている。
(d)サブ画素1が、サブ画素2、サブ画素3およびサブ画素4とは反対に修正されている。
(e)サブ画素2が、サブ画素1、サブ画素3およびサブ画素4とは反対に修正されている。
(f)サブ画素3が、サブ画素1、サブ画素2およびサブ画素4とは反対に修正されている。
(g)サブ画素4が、サブ画素1、サブ画素2およびサブ画素3とは反対に修正されている。
【0077】
画素の対に基づいて、画素の対の最適な輝度の正味の変化は、全ての可能な修正パターンに対し輝度の正味の変化を算出すること、および、輝度の最小の正味の変化を生じさせるパターンを特定することによって、決定される。
【0078】
4つのサブ画素を有した多原色パネルの場合、7つの異なる輝度の正味の変化の計算は、各修正パターンにつき、1つ行われる。その後、輝度の正味の変化の最小絶対値をもたらす修正パターンは、画素の対に対し適用される。
【0079】
画素の対に基づく画素の対の最適な輝度の正味の変化も、予め定められた基準の組に従うことによって決定されうる。上記基準は、輝度の正味の変化を生じさせるパターンを特定するものである。
【0080】
本実施形態における処理フローは、上記典型的な実施形態における処理フローと比べ、追加のステップが必要となる。図16は、本実施形態における処理フローを示した図である。上記図は、4つの入力のみを示すが、本システムは4つの入力に限定されない。
【0081】
例えば、図17(a)は、データ値がそれぞれ200、50、200および50の赤、緑、青および白のサブ画素を有した入力画素の具体的な例に対する処理フローを示す図である。輝度の正味の変化の絶対値は、図15(a)〜(g)に示した各修正パターンに対して算出される。これらの計算は、輝度の正味の変化の最小絶対値を生じさせるパターンが、図15(d)に示されたパターンであることを明らかにする。この修正パターンは、図11(b)に示した前の実施形態に使用された修正パターンとは異なる。
【0082】
本実施形態は、前述の実施形態と比べたとき、多くの場合、ディスプレイ全体に対する輝度の正味の変化が本実施形態に対するもののほうが小さいという更なる利点を有している。しかしながら、本実施形態は、追加の処理ステップが必要となる。したがって、より大きいコンピューティング資源が要求される。
【0083】
画素の対から画素の対への修正パターンの変化は、明白なアーティファクトを軸上および軸外の鑑賞者に対し発生させる。最高輝度の寄与を有したサブ画素の修正パターンを固定しておき、残りのサブ画素に対してのみ画素の対ごとに修正パターンを最適にすることによって、これらのアーティファクトを低減または除外することが可能となりうる。例えば、更なる実施形態において、赤、緑、青および白のサブ画素を有したディスプレイに対し、緑および白のサブ画素の修正パターンは、固定され(これらが最高輝度の寄与を有しそうな時に)、赤および青のサブ画素の修正パターンは、画素の輝度の正味の変化を最小化するために最適にされうる。赤、緑、青および黄のサブ画素を有したディスプレイの場合、緑および黄のサブ画素の修正パターンは、固定され、赤および青のサブ画素の修正パターンは、画素の輝度の正味の変化に最小化するために最適にされうる。
【0084】
2つの上記実施形態は、輝度解像度の効果的損失を最小化する一方、多くの場合、修正が適用されたとき、輝度の変化は、ゼロではない。これに加えて、各画素の多くの色度が保持されない。したがって、得られた画像は、カラーアーティファクトが依然として出るであろう。
【0085】
更なる実施家形態において、修正されたデータ値は、各画素の輝度を維持するように、多原色ディスプレイの2つの画素から同じサブ画素の対に対して適用される(たとえ、画素の輝度がほとんど変化していなくとも、画素の色度が変化しえる。しかしながら、これは、目が色度より輝度に対してより敏感であるため、受け入れられる)。
【0086】
本実施形態を実装するために、原色のサブ画素は、非原色のサブ画素とは異なって処理される。RGBXディスプレイの場合、赤、緑および青のサブ画素は、原色のサブ画素とみなされ、例えば、白および黄のサブ画素のようなすべての他のサブ画素は、非原色のサブ画素とみなされる。ディスプレイの色域をそれほど増加させないので、赤、緑および青以外の全てのサブ画素は、非原色とみなされる。加えて、非原色は、原色のカラーを組み合わせることにより近似されうる。図18は、sRGB色空間全域およびR、GおよびBの三原色の位置を表示したCIE 1931xy色度図である。上記図は黄の位置をも表示している。上記図から、赤、緑および青に対する黄の追加は、上記色域をそれほど増加させないことが明白である。
【0087】
ディスプレイの画素の対のそれぞれは、画素1および画素2の2つの画度で形成される。2つの画素のそれぞれは、4以上のサブ画素を有している。まず、第1に、修正は、画素の対の赤、緑および青のサブ画素に適用される。これは、LUTに記憶された少なくとも2つの修正されたデータ値の1つを選択することによって実行される。画素1の赤、緑および青のサブ画素に適用された修正は、すべて同じタイプである。例えば、LUTの2つの可能な出力値の高い方が選択され、画素2の赤、緑および青のサブ画素は、画素1の赤、緑および青のサブ画素とは、反対に修正され、例えば、LUTの2つの可能な出力値の出力値の低い方が選択される。最初の修正によって引き起こされ、画素1および画素2の輝度に生じた変化は、上記画素の原色の修正されたサブ画素とは反対の非原色のサブ画素の修正によって、補償される。非原色のサブ画素に適用された修正の大きさは、画素1および画素2の正味の輝度が変化しないことを保証するものである。時には、2つ目の修正は、非原色のサブ画素が負の輝度を有することを必要とする。この場合、負の輝度が起こりえないので、対象の画素に対する更なる修正が必要である。3つ目の修正は、この修正の輝度の正味の変化が非原色のサブ画素の負の輝度と等しくなるような原色のサブ画素の修正を必要とする。上記3つの修正のシーケンスは、各画素の輝度の正味の変化がゼロであり、画素の対の平均色度が軸上の鑑賞者に対し変化しないように見えることを保証する。
【0088】
最初の例で原色のサブ画素に適用された修正は、この方法が色ずれの最良な改善を生じさせるように、すべて同じタイプとなる。最初の例における原色のサブ画素に適用された修正のタイプがすべて同じタイプではない場合、例えば、LUTの2つの可能な出力値のうち高い方が赤および青のサブ画素に対して選択され、2つの可能な出力値の低い方が緑のサブ画素に対して選択される場合、非原色のサブ画素に対して続いて行われる修正は、小さくなる。非原色のサブ画素に対するより小さい修正は、色ずれの修正のより小さな改善をもたらす。
【0089】
本実施形態の処理フローは、典型的な実施形態とは異なる。図19は、本実施形態における処理フロー図である。上記図は、4つの入力のみを示すが、本システムは4つの入力に限定されない。
【0090】
例えば、図20は、データ値がそれぞれ、200、160、120および120の赤、緑、青および白のサブ画素を有した画素タイプ1の入力画素の具体的な例に対する処理フローを示す図である。上記処理の第1のステップでは、修正は、赤、緑および青のサブ画素に適用される。第2のステップでは、結果として必要な白のサブ画素の輝度値が算出される。最後に、第3のステップでは、第2のステップにおいて負の白のサブ画素の輝度が生成された(これは不可能である)ときに、更なる修正が画素に適用される。この処理フローは、出力画像のデータ値が赤、緑、青および白のサブ画素のそれぞれに対し、235、194、126および0であることを示している。
【0091】
図21は、データ値がそれぞれ、200、160、120および120の赤、緑、青および白のサブ画素を有した画素タイプ2の入力画素の具体的な例に対する処理フローを示す図である。上記処理の第1のステップでは、修正は、赤、緑および青のサブ画素に適用される。第2のステップでは、結果として必要な白のサブ画素の輝度値が算出される。白のサブ画素の輝度がゼロでないため、第3のステップは、必要とされない。この処理フローは、出力画像のデータ値が赤、緑、青および白のサブ画素のそれぞれに対し、115、0、0および194であることを示している。
【0092】
上記実施形態は、輝度解像度損失がないことを保証する一方、ほとんどの場合において、個々の画素の色度が保持されない。したがって、結果の画像には、色度解像度損失が出る。しかしながら、人間の目は、輝度に対してよりも色度に対して感度が低いことに留意しなければならない。それゆえ、結果の画像には、依然として、カラーアーティファクトが出るけれども、画素の対は、色度解像度損失が出るが輝度解像度損失が出ないという利点がある。
【0093】
更なる実施形態において、修正されたデータ値は、画素の輝度および色度の正味の変化がゼロとなるように、単一の多原色画素サブ画素に適用される。これは、1以上のサブ画素の輝度の変化が1以上の残りのサブ画素の輝度の変化と正確にバランスがとられていることを保証するように、サブ画素を修正することによって実行される。この修正方法を適用することで、画素の輝度および色度の正味の変化がゼロであることを保証することが可能となる。赤、緑、青および白のサブ画素を有した多原色ディスプレイの具体的な例として、輝度は、赤、緑および青のサブ画素から白のサブ画素に、または、その逆に移動される。赤、緑、青および黄のサブ画素を有した多原色ディスプレイの具体的な例として、輝度は、赤および緑のサブ画素から黄のサブ画素に、または、その逆に移動される。本実施形態において、画素の対からのサブ画素に対応するデータ値を互いに反対方向に修正することは必要ではない。また、各画素は、すべての他の画素とは独立して考慮される。
【0094】
赤、緑、青および黄のサブ画素を有した多原色ディスプレイの具体的な例として、青のサブ画素に対する画素内において、輝度の移動は、起こらない。したがって、角度を伴った色ずれが、青のサブ画素が中間グレーデータ値である任意の画素に対して、依然として起こりうる。この問題を抑制するために、修正されたデータ値は、隣り合った画素の対の青のサブ画素に適用されうる。この修正は、上記対の平均軸上輝度が変化しないように実行される。しかしながら、この場合、個々の画素の輝度および色度の正味の変化は、もはやゼロではない。また一方、目は、青に対するレセプターの密度が最小であるため、青のチャネルのみが、輝度解像度の損失を有しているという利点を有している。したがって、青の輝度解像度損失は、軸上の観察者により検出することが困難である。
【0095】
例えば、図22(a)は、赤、緑、青および白のサブ画素を有した多原色画素を示す図である。図22(a)には、各サブ画素のデータ値が、図上に示されている。修正は、輝度が赤、緑および青のサブ画素から白のサブ画素へ移動される画素に適用されうる。画素の輝度および色度の正味の変化の結果は、ゼロである。本例は、輝度が、白のサブ画素から赤、緑および青のサブ画素へ移動され、画素の輝度および色度の正味の変化の結果がゼロであることを保証することも示している。
【0096】
更なる例として、図22(b)は、赤、緑、青および黄のサブ画素を有した多原色画素を示す図である。図22(b)には、各サブ画素のデータ値が、図上に示されている。修正は、輝度が赤および緑のサブ画素から黄のサブ画素へ移動される画素に適用されうる。輝度および色度の正味の変化の結果は、ゼロである。本例は、輝度が、黄のサブ画素から赤および緑のサブ画素へ移動され、画素の輝度および色度の正味の変化の結果がゼロであることを保証することも示している。
【0097】
LUTを用いる代わりに、所望の修正されたデータ値を特定する輝度算出を用いる本実施形態を実装することが、より最適であろう。図23は、本実施形態における処理フロー図である。上記図は、4つの入力のみを示すが、本システムは4つの入力に限定されない。
【0098】
米国特許第2010 0156774号に記載されているフレーム反転駆動方法は、上述した実施形態に適用しうる。この場合、サブ画素に適用されたデータ値の変化が、サブ画素の駆動極性における変化に協調するように、特定のサブ画素に適用された修正のタイプ、すなわち、輝度の増加および輝度の減少の何れかが、フレームごとに変更される。この駆動方法がLUTを必要とする処理に実装されるとき、LUTの出力値は、LCのスイッチング速度を考慮に入れるように算出されるべきである。このフレーム反転駆動方法の利点は、輝度解像度損失または色度解像度損失が2つのフレームの期間の間において、見られないことである。これは、何れかの輝度解像度損失および/または色度解像度損失が見える実施形態に対し、このスキームを適用することの最良の利点である。
【0099】
米国特許第2010 0156774号は、上記フレーム反転駆動方法が画像の焼き付きをもたらすDCバランシングの問題を被ることについて、記載している。この文献は、各入力データ値に対する2つの出力データ値のどちらかが、1フレームごとよりもむしろ2つの画像フレームごとに選択された空間パターンを反転することによって、問題が回避されうることを、記載している。この方法は、4つのフレームが出力データ値の完全な1サイクルに対し必要とされ、典型的な60Hzリフレッシュディスプレイに対し、出力画像サイクルの周波数が15Hzであり、フリッカーが観測されうる、という障害を有している。この発明は、120Hzおよび240Hzのリフレッシュレートを有したディスプレイが現在、多く見られるようになっており、それゆえ、この場合、本解決方法は、より適用されうると記載している。しかしながら、120Hzおよび240Hzのリフレッシュディスプレイは、60Hzのリフレッシュディスプレイと比べ、消費電力がより高いという不利点を有している。したがって、画像のリフレッシュレートが60Hzであり、電圧が印加された極性のリフレッシュレートが30Hzのスキーム、または、より一般的には、印加された電圧の極性のリフレッシュレートが画像の半分であるスキームを利用することが有利である。画像の焼き付きの問題に効果的な他の可能なスキームは、画素の半分がフレーム1から始めて2フレームごとに反転され、残りの半分の画素がフレーム2から始めて2フレームごとに反転される4つのフレームサイクルを利用することでありうる。このスキームは図28に示される。これらのスキームは、良好なDCバランシングを保証し、RGBパネルにも適用されうる。
【0100】
フレーム反転方法を第1の典型的な実施形態に適用するとき、バンディング、フリッカリングまたはクロスハッチングのようなアーティファクトが見えないことを保証することが重要である。バンディングは、列または行のすべての明るいサブ画素が一方の極性であり、隣り合う行または列のすべての明るいサブ画素が他方の極性であるとき、現れうる。これは、修正パターンと極性パターンの特定の組み合わせに対し、起こりうる。バンディングが見えうる2つの例は、図24および図25に表される。上記例は、2ラインドット反転極性パターンおよび120Hzのリフレッシュレートを有したRGBY多原色パネルに対するものである。1ライン水平バンディングは、図24に現れ、2ライン水平バンディングは、図25に現れうる。フリッカリングは、フレームの全ての明るいサブ画素が一方の極性であり、次のフレームの全ての明るいサブ画素が他方の極性であるとき、現れる。これは、修正パターンと極性パターンの特定の組み合わせに対し、図26に表される例のように、起こりうる。上記例は、2ラインドット反転極性パターンおよび120Hzのリフレッシュレートを有したRGBY多原色パネルに対するものである。クロスハッチングは、特定の修正パターンが、滑らかに移動する画像または均一の画像に適用されたとき、現れうる。図27は、画像がフレームごとに1画素ずつ水平に移動しているとき、平坦な画像領域において、クロスハッチングが見えることをもたらしうる修正パターンの例を示す図である。上記例は、2ラインドット反転極性パターン、120Hzの画像のリフレッシュレートおよび60Hzの極性パターンのリフレッシュレートを有したRGBY多原色パネルに対するものである。
【0101】
バンディング、フリッカーまたはクロスハッチングのような何れのアーティファクトをももたらさない修正パターンおよび極性パターンの特定の組み合わせの例は、図28、図29および図33に表される。図28に示された例は、2ラインドット反転極性パターンおよび120Hzのリフレッシュレートを有したRGBY多原色パネルに対するものである。図29に示された例は、2ラインドット反転極性パターン、120Hzの画像のリフレッシュレートおよび60Hzの極性パターンのリフレッシュレートを有したRGBY多原色パネルに対するものである。図33に示された例は、2ライン2ドット反転極性パターン、120Hzの画像のリフレッシュレートおよび60Hzの極性パターンのリフレッシュレートを有したRGBY多原色パネルに対するものである。これらの上記例は、RGBY多原色パネルに対するものであるが、アーティファクトのない画像を取得するためのこれらの実施形態の使用は、RGBY多原色パネルに限定されない。
【0102】
米国特許第2010 0156774号に記載されたカラーアーティファクトの抑制方法も、カラーアーティファクト問題が出る上記実施形態に適用されうる。この方法は、修正が適用された時にカラーアーティファクトをもたらす画素に適用された何れの修正をも抑制する。上記方法の主な不利点は、色ずれの改善が、修正が抑制するされた状態の画素に対して、実現されないことである。したがって、一方がカラーアーティファクトの抑制方法が適用された状態であり、他方が適用されていない状態である同じデータ値の隣り合う画素は、軸外の鑑賞者に対し同じには見えない。これは、望まれない効果である。
【0103】
いくつかの場合には、色ずれの改善を更に実現する一方で、カラーアーティファクトを抑制することが可能である。図8、図16および図19に示された処理フロー図から生じる修正されたデータ値は、カラーアーティファクトを全面的にもらたしうる。これらのアーティファクトは、カラーアーティファクトをもらたす画素に対してのみに、図23に示した方法を適用することによって、抑制されうる。図23に示した方法は、画素の輝度および色度の正味の変化がゼロであることを保証する。それゆえ、上記方法は、カラーアーティファクトが見えないことを保証する。図30は、一部の問題のある画素に対し色ずれの改善を更に実現しながら、カラーアーティファクトの検出および抑制する方法を示す。第1の例では、元の画像の隣り合う画素の同じサブ画素間のデータ値の差の絶対値が算出される。その後、修正は、図8、図16および図19に示された処理フロー図の何れかに従ってすべての画素に適用される。あらかじめ算出されたデータ値の差の絶対値が閾値よりも小さい場合、対の両画素は、カラーアーティファクトをもたらさず、上記方法は、次の画素の対に進む。あらかじめ算出されたデータ値の差の絶対値が閾値よりも大きい場合、第2の計算が修正されたサブ画素のデータ値に基づいて実行される。図31は、上記第2の計算の例を表す。隣り合う修正された画素の明るいサブ画素間のデータ値の差の絶対値が算出される。また、隣り合う修正された画素の暗いサブ画素間のデータ値の差の絶対値が算出される。何れかの結果が閾値より大きい場合、画素の対は、自身の元の値に戻され、図23の処理フロー図に従った修正は、代わりに画素の対に適用される。
【0104】
更なる実施形態において、色ずれは、角度を有した各画素に対し、特定の色空間で位置を保持することによって、または、位置の変化を減らすことによって、除外または低減されうる。これは、例えば、CIEXYZまたはCIELAB色空間で実行されうる。角度を伴った位置に最も好適に保持しているサブ画素のデータ値の組み合わせが選択される。この方法は、いくつかの異なる方法で実装されうる。
【0105】
ディスプレイ上の各画素に対し、計算は、画像データがディスプレイに入力しているとき、角度を伴った位置に最も好適に保持しているサブ画素のデータ値の最良の組み合わせを選択するために処理されうる。ビデオレートを動作するために、この計算は、高速にせざるをえないが、考慮されるべきサブ画素のデータ値の組み合わせの数は、抑制されるであろう。サブ画素のデータ値の組み合わせのそれぞれに対し、軸上の色空間の位置を事前に計算すること、および、ディスプレイに入力したデータ値に従って、後の修正のために、LUTにこれらの結果を記憶することが、より現実的であろう。しかしながら、この場合も、サブ画素のデータ値の組み合わせの数に起因して、LUTのような記憶装置に必要なメモリが抑制されるであろう。これらの可能な実装の処理フローは、図32(a)および図32(b)にそれぞれ表示される。パネルに入力したサブ画素のデータ値の各組に対し、利用可能な軸上のメタマーの組が算出される計算を行うことが、さらにより現実的であろう。そして、角度を伴う位置の最小変化をもたらすメタマーは、上記組から選択される。メタマーの算出方法は、米国特許第2010 0277498 A1号に記載されたものと似ている。一定量のトレランスが上記算出された利用可能なメタマーの色空間の値内に見込まれる場合、メタマーの増加した組は、サブ画素のデータ値の組み合わせのそれぞれに対し、利用可能となるであろう。これは、角度を伴う位置のより小さな変化を有したメタマーが求められることを意味するであろう。このトレランスの角度は、入力データに従った望ましい位置と、各メタマーの現在の位置との間の色空間におけるユークリッド距離に従って、特定されうる。このような色差の計測は、CIELAB色空間におけるΔE計算のようないくつかの色空間でよく知られている。
【0106】
【数17】
【0107】
トレランスの角度は、入力データの輝度値に対してより色度データ値に対してのほうがより広角度に特定されうる。出力に対する最適量の選択からのより多数のメタマーの生成に対し、入力画像における同じグループの平均輝度および色度の所定のトレランス内の、平均輝度および色度を有した2以上の画素のグループに対するメタマーを考慮することもまた有利であろう。また、入力画像データにおけるグループの平均色度の所定のトレランス内の画素のグループの平均色度、および、入力画像データにおける同じ画素に対する個々の輝度値の種々の所定のトレランス内の個々の画素のそれぞれの平均輝度を有した画素のグループに対するメタマーを考慮することも有益である。このようにして、出力画像の色度解像度は、出力画像の輝度解像度を計測している間、低減された視野角の変化を有したメタマーを許容するために犠牲になりうる。
【0108】
利用可能なメタマーの何れもが角度を伴う位置における許容可能な変化を引き起こさない場合、最適な利用可能なメタマーは、誤差拡散型の処理において、対象物と出力メタマーの色の値との間の差が記憶されうる一方で、例えば、近傍画素のような、次の画素に対する計算の算入に対し選択されうる。
【0109】
本発明は、ある特定の実施形態または複数の実施形態に関して示され、記述されているが、同等の変更および修正は、この仕様および添付の図面を読みそして理解することで当業者に行われうる。特に、上述された要素(構成部品、アセンブリ、装置、構成等)によって実施される様々な機能に関して、そのような要素を記述するのに用いられた用語(「手段」への言及を含む)は、他に指示がない限り、本発明における典型的な実施形態または複数の実施形態で示された機能を実施する公知な構造と構造的に同等でなかったとしても、記述された要素の特定の機能を実施する(すなわち、機能的に同等な)任意の要素に対応することが意図されている。加えて、本発明の特定の特徴は、いくつかの実施形態のうちのただ1つまたはそれ以上に対して上記に開示されていてもよい。このような特徴は、必要に応じて、また、任意または特定の用途に有利である場合に、他の実施形態の1以上の他の特徴と組み合わされてもよい。
【0110】
〔まとめ〕
本発明は、多原色LCDにおける視野角に伴う色ずれを低減する最適化された方法を提供する。ハードウェア分割サブ画素構造のような従来の方法は、画素電子回路の追加という不利点を有している。また、上記方法は、高解像度で、小領域ディスプレイには適用できない。また、ソフトウェア分割サブ画素構造も制限される。画像には、輝度解像度の効果的な損失およびカラーアーティファクトが出る。本発明は、これらの不利点を解決するためのものである。
【0111】
本発明の第1の態様は、ディスプレイのための画像を処理する方法を提供しており、当該方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを取得する取得工程と、上記画素データのそれぞれに対し、1以上のサブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正工程と、を含み、上記方法は、表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、全体的な輝度および上記表示パネルの知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する。
【0112】
少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データは、外部ソースから取得されうる。例えば、表示装置は、少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データが供給されうる。しかしながら、本発明は、少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データが外部ソースから取得されることが要求されない。周知のように、多数の多原色ディスプレイにおいて、表示制御用電子回路は、RGBデータのみを受け入れ、追加のサブ画素に対するデータは色域マッピングアルゴリズムまたは任意の他の計算を用いて生成される。そして、本発明は、例えば、ディスプレイなどに、および、表示制御用電子回路に入力するすでに4以上のチャネル(R、G、BおよびWチャネルのような)からなるディスプレイに適用されうる。
【0113】
ある画素の対の輝度および/または色度の変化が、等しく、その他の画素の対の輝度および/または色度の変化とは反対になるであろうから、画素の対に対する輝度および色度の全体的な変化は、ゼロであろう。しかしながら、サブ画素色構成要素のデータ値の修正の結果として、個々の画素の輝度および/または色度の変化が起こりうる(4つ(または、それ以上)の存在するサブ画素は、画素の輝度の変化が、従来技術の修正方法がRGBディスプレイ使用に適用されたときよりも、たいてい小さいことを意味する程度である)。
【0114】
上記一対の画素は、観察者の目が2つの画素の輝度を平均化できるようにお互い空間的に近接したフレーム内の2つの画素でありうる。2つの画素は、フレーム内の近傍画素でありうるが、本発明は近傍画素に限定されない。この実施形態において、本発明は、好ましくは、フレーム内の各画素の対に適用される。
【0115】
または、上記一対の画素は、お互いに同じ空間上の位置を有するが、異なるが連続する2つのフレーム内に存在しうる。さらに、2つの画素が連続したフレーム内に存在するので、観察者の目が2つの画素の輝度を平均化できる。この実施形態において、本発明は、好ましくは、フレームの画素および次のフレームの対応する画素によって形成された画素の対のそれぞれに適用される。
【0116】
周知のとおり、用語“多原色ディスプレイ”は、3原色の画素またはサブ画素に加えて、少なくとも1つの追加の色の画素またはサブ画素を含むディスプレイに関連している。少なくとも1つの追加の色の画素またはサブ画素は、以下、“非原色”の画素またはサブ画素と称する。3原色の画素またはサブ画素は、以下、“原色”の画素またはサブ画素と称する。
【0117】
一例として、“多原色ディスプレイ”のあるグループは、赤、緑および青の画素またはサブ画素に加えて、少なくとも1つの追加の色の画素またはサブ画素を含んでいる。このようなディスプレイは、“RGBX”ディスプレイと呼ばれる。ここで、“X”は、赤、緑および青に加えて少なくとも1つの追加の色の画素またはサブ画素の存在を意味する。多原色ディスプレイの具体例は、赤、緑および青の画素またはサブ画素に加えて白の画素またはサブ画素を含んでいるディスプレイである(RGBWディスプレイと呼ばれる)。または、多原色ディスプレイの具体例は、赤、緑および青の画素またはサブ画素に加えて黄の画素またはサブ画素を含んでいるディスプレイである(RGBYディスプレイと呼ばれる)。原則として、本発明は、CMYX多原色ディスプレイにも適用されうる。
【0118】
2つの画素の対応するサブ画素のデータ値が、互いに“反対方向に”修正されることを特定することは、あるサブ画素のデータ値がそのサブ画素の輝度が増加する(すなわち、修正されたデータ値をサブ画素に供給することが、修正されていないデータ値を供給することより、大きいサブ画素輝度を生成する)ように変更される一方、対応するサブ画素のデータ値がそのサブ画素の輝度が減少する(すなわち、修正されたデータ値をサブ画素に供給することが、修正されていないデータ値を供給することより、低いサブ画素輝度を生成する)ように変更されることを、示している。それゆえ、本発明によれば、一対の画素のある画素内のある色のサブ画素に対するデータ値は、一対の画素の他の画素内のその色のサブ画素に対するデータ値とは反対の方向に修正される(すでに述べたように、一対の画素は、互いに空間的に近接したあるフレームからの2つの画素でありうる。または、一対の画素は、連続したフレームからの2つの画素でありうる)。好ましくは、2つのサブ画素のデータ値は、画素の対のある画素内のある色のサブ画素の輝度の増加が、(軸上の鑑賞者によって見られる場合)画素の対の他の画素内のその色のサブ画素の輝度の減少の大きさにほぼ等しくなるように、すなわち、それらのそれぞれ修正されたデータ値によって生成された2つのサブ画素の輝度の平均が、修正されていないデータ値によって生成される輝度に等しくなるように、修正される(データ値に“よって生成される”輝度は、データ値がサブ画素に供給されたとき、取得されるディスプレイのサブ画素の輝度である)。
【0119】
本発明が、互いに空間的に近接したあるフレームからの2つの画素を用いることが適用された場合、2つの画素は、互いに同じ画素の列でありうる。または、2つの画素は、互いに同じ画素の行でありうる。
【0120】
すでに述べたように、本発明の方法は、画素の対に対し、輝度および色度の全体的な変化を生成しない。また、本発明の方法は、観察者によって知覚された画像の変化をそれほど生成しないが、画素の対の個々の画素に対する輝度および/または色度をもたらしうる。したがって、上記方法は、例えば、サブ画素のデータ値の他の可能な修正方法のものよりも画素の全体の輝度の変化が低いものをもたらす方法におけるサブ画素のデータ値の修正によって、上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、ある画素内のサブ画素の上記データ値を、当該画素の全体的な輝度の変化を最小化するように修正することを含んでもよい。好ましくは、上記方法は、上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、ある画素内のサブ画素の上記データ値を、当該画素の上記全体的な輝度が実質上変化しないように修正することを含んでいる(これは、典型的に、画素の全体の輝度が高々1%前後だけ変化することが求めれれる)。これらの特徴は、画素の対における個々の画素の輝度の変化を最小化し、これにより、軸外の鑑賞者に対し、より良い画質を提供する間、軸上の鑑賞者に対する画質の損失がほとんど、または、まったくないことを保証する。
【0121】
上記方法は、画素の少なくとも1つのサブ画素の上記データ値を、上記画素の少なくとも1つの他のサブ画素の上記データ値とは反対の方向に修正することを含んでもよい。これは、表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度の変化を最小化するという効果を奏する。
【0122】
上記方法は、上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、一対の画素の各画素の全体的な輝度の変化を最小化するように、上記一対の画素に対し、上記一対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正することを含んでもよい。加えて、または、あるいは、上記方法は、上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、複数の対の画素の各画素の全体的な輝度の変化を最小化するように、上記複数の対の画素に対し、画素の対ごとに、上記複数の対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正することを含んでもよい。データ値を修正する既知の方法において、同じ修正パターンは、画像の全ての画素の対に対するデータ値に適用され、ディスプレイの全体的な輝度の変化を最小化するという効果があるであろう。しかしながら、ディスプレイの全体的な輝度の変化が、従来技術の方法において、最小化されうるにも関わらず、個々の画素に対する輝度の全体的な大きな変化がまだ存在する。それゆえ、本実施形態において、データ値の修正は、全ての画素の対のデータ値に対し、同じ修正を適用するよりむしろ画素の対に対し別々に(すなわち、画素ごとに)決定される。すなわち、第1の対の画素における対応するサブ画素のデータ値は、第1の対の画素の各画素の全体的な輝度の変化を最小化するために、ある修正スキームに従って修正されうる。一方、第2の対の画素における対応するサブ画素のデータ値は、第2の対の画素の各画素の全体的な輝度の変化を最小化するために、2つ目の異なる修正スキームに従って修正されうる。このように、ある画素の対に対するデータ値は、全ての対の画素に対し上記対の各画素の全体的な輝度の何れの変化を最小化する(および、好ましくは、除外する)ために、他の画素の対に対するデータ値とは異なる方法で修正されうる一方、軸上の観察者に対し、ディスプレイの全体的な輝度の変化が、ゼロのままであることを更に保証しうる。データ値の修正は、原理上は、画像内の各画素の対に対し、別々に決定されうる。
【0123】
あるいは、上記方法は、複数の対の画素に対し、第1の画素の対および第2の画素の対に対して、同様の方法で、画素の対ごとに、上記複数の対の画素における対応する第1のサブ画素の上記データ値を修正し、上記複数の対の画素における対応する第2のサブ画素の上記データ値を修正することを含んでもよい。時には、サブ画素の何れかに対するデータ値の修正に対し、特に、輝度の寄与を最大にするサブ画素、すなわち、緑および白/黄のサブ画素に対し、他のサブ画素のデータ値に対する修正に、ある画素の対から他の画素の対へ変化することを許容する間、ある画素から他に対して同じにすることが好ましい。
【0124】
本発明がRGBWディスプレイに適用されるとき、当該方法は、上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、一対の画素の全体的な色度の変化を最小化するように、上記一対の画素に対し、上記一対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正することを含んでもよい。一般に、本発明の様態および実施形態では、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値が、互いに対して反対方向に修正された場合において、個々の画素は、色度の全体的な変化を表示しうる。しかしながら、RGBWディスプレイの場合、個々の画素が色度の全体的な変化をほとんど、または、まったく表示しないように、一対の画素における対応するサブ画素のデータ値を修正することを可能にする。これは、軸上の鑑賞者に対し、画質の損失がほとんど、または、まったくないことを更に保証する。
【0125】
上記方法は、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記原色のサブ画素および上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正することを含んでもよい。これは、一対の画素の全体的な輝度の変化を最小化するという効果を奏する。
【0126】
上記方法は、上記一対の画素における第1の画素に対し、上記非原色のサブ画素に対する上記データ値とは反対の方向に、上記原色のサブ画素に対する上記データ値を修正することを含んでもよい。また、上記方法は、上記一対の画素における第2の画素に対し、上記非原色のサブ画素に対する上記データ値とは反対の方向に、上記原色のサブ画素に対する上記データ値を修正し、上記一対の画素の上記第1の画素の上記原色のサブ画素に対する上記データ値とは反対の方向に、上記一対の画素の上記第2の画素の上記原色のサブ画素に対する上記データ値を修正することを含んでもよい。
【0127】
データ値の修正には、少なくとも1つのサブ画素の要素に対し、各データ値を少なくとも2つの修正されたデータ値にマッピングすることが含まれている。
【0128】
上記修正された値によって生成された上記輝度の平均は、修正されていない値によって生成された輝度と等しくてもよい。
【0129】
上記方法は、ルックアップテーブル内に、少なくとも2つの修正されたデータ値に記憶する工程を含んでいてもよい。
【0130】
上記方法は、さらに、多原色表示パネルに対し、上記修正されたサブ画素色構成要素のデータ値を出力する工程を含んでいてもよい。例えば、上記方法は、ソースドライバ(例えば、表示パネルの一部でもよいし、表示パネルから分離された図1のソースドライバICでもよい)のような、または、多原色表示パネルに対し修正されたサブ画素色構成要素のデータ値を供給する図1の制御ASICのような制御回路で実行されうる。または、上記方法は、多原色表示パネル自身で、例えば、画素内回路によって、実行されうる。
【0131】
上記一対の画素の上記2つの画素は、互いに空間的に近接していてもよい。または、上記一対の画素の第1の画素は、第1のフレームに存在してもよく、上記一対の画素の第2の画素は、第2のフレームに存在してもよく、上記第1および第2のフレームは、連続したフレームである(一対の画素に対するデータ値が修正された本発明の全ての様態および実施形態でもそうである)。
【0132】
さらに別の方法として、上記一対の画素の第1の画素は、フレームの第1のグループに存在してもよく、上記一対の画素の第2の画素は、フレームの第2のグループに存在してもよく、フレームの上記第1および第2のグループは、フレーム(および、2以上のフレームを含む)の連続したグループである。さらに、2つの画素がフレームの連続したグループ内に存在するので、観察者の目が2つの画素の輝度を平均化できる。
【0133】
一対の画素が、2つの異なるが連続するフレーム内、または、フレームの2つの異なるが連続するグループ内に存在する場合には、サブ画素の上記データ値の変化は、サブ画素の駆動極性における変化に協調して行われてもよい。例えば、液晶材料などの特定のディスプレイ材料は、材料の全域で印加される正味のDC電圧がないことを保証するために、好ましくは、代替駆動極性で駆動されることが、知られている。したがって、本発明が、そのような材料(液晶材料など)を用いるディスプレイに適用される場合、サブ画素に対するデータ値の変化は、正味のDC電圧が印加されないことを保証するために、サブ画素のそれぞれの駆動極性における変化に協調されることが好ましい(例えば、正の駆動電圧が印加されたときに、サブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより大きい輝度を有するために、サブ画素が常に駆動され、負の駆動電圧が印加されたときに、サブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより小さい輝度を有するために、サブ画素が常に駆動されている場合、上記方法は、サブ画素の全域で印加される正味のDC電圧をもたらしうる)。図28は、サブ画素の駆動極性における変化に協調されるサブ画素に対するデータ値の変化の一例を示す図である。第1の列および第1の行におけるサブ画素は、フレーム1およびフレーム2におけるサブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより大きい輝度を有して駆動される。そして、フレーム1およびフレーム2に正味のDC電圧が印加されないように、フレーム1における+ve極性およびフレーム2における−ve極性で駆動される。同様に、フレーム3およびフレーム4の修正されていないデータ値によって生成されたものより低い輝度を有して駆動され、かつ、フレーム3における+ve極性およびフレーム4における−ve極性で駆動されるため、フレーム3およびフレーム4のサブ画素の全域で正味のDC電圧が印加されない。それゆえ、フレーム1からフレーム4の終りのサブ画素の全域で正味のDC電圧が印加されない。
【0134】
上記一対の画素の第1の画素は、フレームの第1のグループに存在し、上記一対の画素の第2の画素は、フレームの第2のグループに存在している一実施形態において、あるサブ画素に対するデータ値の上記変化のタイミングは、他のサブ画素に対するデータ値の上記変化のタイミングとは異なってもよい。サブ画素ごとのデータ値の変化が、同じフレームの終りに存在することが必要ではない。図28の例では、例えば、第1の列および第1の行におけるサブ画素は、フレーム1およびフレーム2におけるサブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより大きい輝度を有して駆動され、フレーム3およびフレーム4におけるサブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより低い輝度を有して駆動される。一方で、第2の列および第1の行におけるサブ画素は、フレーム2およびフレーム3におけるサブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより大きい輝度を有して駆動され、フレーム1およびフレーム4におけるサブ画素の修正されていないデータ値によって生成されたものより低い輝度を有して駆動される。すなわち、(フレーム2およびフレーム4の終りの)第1の列および第1の行におけるサブ画素に対するデータ値の変化のタイミングは、(フレーム1およびフレーム3の終りの)第2の列および第1の行におけるサブ画素に対するデータ値の変化のタイミングとは異なる。
【0135】
本発明の第2の態様は、ディスプレイのための画像を処理する方法を提供しており、上記方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取る受取工程と、各画素データに対し、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正工程と、を含み、軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、画素の原色のサブ画素および画素の非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する。
【0136】
上記方法は、軸上の鑑賞者に対し、上記画素の全体的な色度が実質上変化しないように、上記原色のサブ画素の色度の全体的な変化がほぼ等しく、上記非原色のサブ画素の色度の全体的な変化とは反対になるように、上記原色のサブ画素および上記非原色のサブ画素に対する上記データ値を修正することを含んでもよい。
【0137】
上記方法は、高空間解像度特性が、上記画像の領域内に存在しているか否かを検出する工程を含んでもよく、高空間解像度特性が、上記画像の領域内に存在している場合には、上記画像の上記領域内の画素に対し、サブ画素色構成要素のデータ値の修正量を低減させるか、または、上記データ値の修正を行わない。画像の高空間解像度の領域に本発明の方法を適用させることは、特に、動画像においては、カラーアーティファクトを引き起こしうる。このような領域における画素に対するサブ画素色構成要素のデータ値の修正量の大きさを低減させること、または、このような領域における画素に対するサブ画素色構成要素のデータ値の修正を行わないことは、生成されるカラーアーティファクトのリスクを低減するまたは除去することができる。
【0138】
上記方法は、上記画像内の一対の画素に対し、上記一対の画素に対する修正されていないデータ値として、同じ平均輝度および色度を有し、かつ、修正されていないデータ値と同じ個々の輝度を有した一対の画素に対するメタマーを算出する工程と、上記メタマーの上記算出された軸外輝度および軸外色度に基づいて、上記メタマーの1つを選択する工程と、を含んでいてもよい。上述したように、メタマーは、同じ全体的な輝度および色度を生成するデータ値の組である。また、一対の画素に対する修正されていないデータ値の組に対し、同じ全体的な輝度および色度(任意の誤差限界内で)を供給し、同じ個々の輝度(同様に、誤差限界内で)を供給するメタマーは、算出されうる。最良の軸外輝度および軸外色度を供給するメタマーは、その後、選択されうる。その結果、軸外の鑑賞者によって知覚された画像の変化を最小化する。
【0139】
本発明の第3の態様は、ディスプレイのための画像を処理する方法を提供しており、上記方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも3つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取る工程と、各画素データに対し、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正する工程と、表示パネルによって、表示するための上記修正されたサブ画素色構成要素のデータ値を出力する工程と、を含み、上記方法は、表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度が実質上変化しないように、画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正し、かつ、表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、一対の画素の画素の全体的な輝度の変化を最小化するように、上記一対の画素に対し、上記一対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正する。画素の対に対し、別々に(すなわち、画素の対ごとに)データ値の修正を決定することに関する上述した利点は、標準的な3色ディスプレイにも適用する。
【0140】
本発明の第4の態様は、多原色表示パネルのための制御回路を提供しており、上記制御回路は、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取り、
各画素データに対し、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する。
【0141】
本発明の第5の態様は、多原色表示パネルのための制御回路を提供しており、上記制御回路は、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取り、
各画素データに対し、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記画素の上記原色のサブ画素および上記画素の上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する。
【0142】
本発明の第6の態様は、ディスプレイのための制御回路を提供しており、上記制御回路は、上記第1、第2または第3の様態の方法を実行するように構成されている。
【0143】
本発明の第7の態様は、上記第4または第5の様態の制御回路と多原色表示パネルとを含んでいるディスプレイを提供しており、上記制御回路は、使用される際に、上記多原色表示パネルに対し、上記修正されたサブ画素色構成要素のデータ値を出力するように構成されている。
【0144】
本発明の第8の態様は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取り、
各画素データに対し、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成された多原色表示パネルを提供しており、
当該表示パネルは、当該表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する。
【0145】
本発明の第9の態様は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取り、
各画素データに対し、1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成された多原色表示パネルを提供しており、
当該表示パネルは、軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記画素の上記原色のサブ画素および上記画素の上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する。
【0146】
本発明の第10の態様は、処理装置によって実行された場合に、上記処理装置に上記第1または第2の様態の方法を実行させる指示を含んでいるコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【0147】
本発明によれば、上記与えられた方法は、上記方法は、画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受け取る工程と、各画素データに対し、サブ画素色構成要素のデータ値を修正する工程と、LCDによって、表示するための修正された画像データを出力する工程と、を含んでいる。
【0148】
個々の様態によれば、修正ステップは、多重化方式でLCD上に表示され、サブ画素色構成要素のデータ値の少なくとも1つのものと等しいまたは比例する軸上の鑑賞者に対し、組み合わされた輝度を表示する少なくとも2つの修正されたデータ値に、少なくとも1つのサブ画素色構成要素の各データ値をマッピングすることが含まれている。
【0149】
他の様態に関して、修正ステップは、画像内の各画素の輝度の正味の変化を最小化するような方法で実行される。これは、1以上のサブ画素の輝度の変化が1以上の残りのサブ画素の輝度の変化によってほとんど等しくバランスが取られるように、各サブ画素に対する少なくとも2つの修正されたデータ値の1つを選択することによって実行される。
【0150】
同様に、他の様態に関して、修正ステップは、画像内の各画素の色度の正味の変化を最小化するような方法で実行される。これは、原色のサブ画素の色度の変化が1以上の非原色のサブ画素の色度の変化によってほとんど等しくバランスが取られるように、各原色のサブ画素に対する少なくとも2つの修正されたデータ値の1つを選択することによって実行される。
【0151】
さらに他の様態によれば、少なくとも2つの修正されたデータ値は、時分割多重化方式または空間的多重化方式で対応する画素を経て、LCD上に表示される。
【0152】
他の様態に従って、マッピングステップは、少なくとも2つの修正されたデータ値にサブ画素色構成要素のデータ値をマッピングするために少なくとも1つのLUTを利用することを含んでいる。
【0153】
さらに、その他の様態に従って、方法は、LUTを生成することで供給される。上記方法は、入力画素データの複数のグループのそれぞれに対する出力画素データをLUTに加えるステップであって、ディスプレイ装置に対し、利用可能な軸上/軸外輝度の点の組を決定することを含んでいるステップと、軸上輝度値の全領域を覆い、それぞれ異なる軸外輝度の特性を有している1ラインまたは複数のラインを考慮するステップと、各ラインに沿った複数の利用可能な輝度の点を選択するステップと、を含む。上記選択は、上記点および上記ラインの間に関係している距離の少なくとも一部分に依存する誤差関数を低減させる。また、LUTに加えるステップは、選択された輝度の点を生成することを求められた画素データに基づいている。
【0154】
更に、他の様態において、上記方法は、コンピュータソフトウェアを経由して実行される。コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されたコンピュータプログラムは、コンピュータによって実行された場合に、規定され、多原色LCDにおいて視野角に関して色ずれを低減する方法を実行する。上記方法は、画素を構成する複数の画像データであって、それぞれのデータ値を有する複数のサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受信する工程と、サブ画素色構成要素のデータ値を修正する工程と、これらの修正された値を出力する工程と、を含んでいる。
【0155】
さらに、他の様態に従って、装置は、多原色LCDにおいて視野角に関して色ずれを低減することが規定されている。上記装置は、画素を構成する複数の画像データであって、それぞれのデータ値を有する複数のサブ画素色構成要素をそれぞれ含んでいる画素データを受信するための入力と、サブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正部と、修正されたデータ値を出力するための出力と、を含んでいる。
【0156】
他の様態に従って、上記方法は、サブ画素色構成要素のデータ値を修正することによって引き起こされる好ましくない表示結果を避けるために受信した画像内の特徴を検出し、修正するための複数の画素データをフィルタリングするステップを含んでいる。
【0157】
本発明は、さらに、多原色LCDの動きの不明瞭な性能を改善する更なる利点を有している。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明は、軸上の表示品質の何れの著しい劣化がいずれもない状態で、軸外の表示品質を改善するディスプレイを提供することができる。本発明の表示方法、もしくは、本発明の制御回路またはディスプレイは、軸上および軸外の鑑賞者の両方に対し、所望の良好な表示品質で任意のアプリケーションで用いられうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイのための画像を処理する方法であって、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを取得する取得工程と、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正工程と、を含み、
表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、全体的な輝度および上記表示パネルの知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正することを特徴とする方法。
【請求項2】
上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、ある画素内のサブ画素の上記データ値を、当該画素の全体的な輝度の変化を最小化するように修正することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、ある画素内のサブ画素の上記データ値を、当該画素の上記全体的な輝度が実質上変化しないように修正することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
画素の少なくとも1つのサブ画素の上記データ値を、上記画素の少なくとも1つの他のサブ画素の上記データ値とは反対の方向に修正することを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、一対の画素の各画素の全体的な輝度の変化を最小化するように、上記一対の画素に対し、上記一対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、複数の対の画素の各画素の全体的な輝度の変化を最小化するように、上記複数の対の画素に対し、画素の対ごとに、上記複数の対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
複数の対の画素に対し、第1の画素の対および第2の画素の対に対して、同様の方法で、画素の対ごとに、上記複数の対の画素における対応する第1のサブ画素の上記データ値を修正し、上記複数の対の画素における対応する第2のサブ画素の上記データ値を修正することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記ディスプレイは、RGBWディスプレイであり、
当該方法は、上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、一対の画素の全体的な色度の変化を最小化するように、上記一対の画素に対し、上記一対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正することを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記原色のサブ画素および上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正することを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
上記一対の画素における第1の画素に対し、上記非原色のサブ画素に対する上記データ値とは反対の方向に、上記原色のサブ画素に対する上記データ値を修正することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記一対の画素における第2の画素に対し、上記非原色のサブ画素に対する上記データ値とは反対の方向に、上記原色のサブ画素に対する上記データ値を修正し、上記一対の画素の上記第1の画素の上記原色のサブ画素に対する上記データ値とは反対の方向に、上記一対の画素の上記第2の画素の上記原色のサブ画素に対する上記データ値を修正することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
データ値の修正には、少なくとも1つのサブ画素の要素に対し、各データ値を少なくとも2つの修正されたデータ値にマッピングすることが含まれていることを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
上記修正された値によって生成された上記輝度の平均は、修正されていない値によって生成された輝度と等しいことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ルックアップテーブル内に、少なくとも2つの修正されたデータ値に記憶する工程を含んでいることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
多原色表示パネルに対し、上記修正されたサブ画素色構成要素のデータ値を出力する工程を含んでいることを特徴とする請求項1から14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
上記一対の画素の上記2つの画素は、互いに空間的に近接していることを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
上記一対の画素の第1の画素は、第1のフレームに存在し、上記一対の画素の第2の画素は、第2のフレームに存在し、上記第1および第2のフレームは、連続したフレームであることを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
上記一対の画素の第1の画素は、フレームの第1のグループに存在し、上記一対の画素の第2の画素は、フレームの第2のグループに存在し、フレームの上記第1および第2のグループは、フレームの連続したグループであることを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
サブ画素の上記データ値の変化は、上記サブ画素の駆動極性における変化に協調して行われることを特徴とする請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
あるサブ画素に対するデータ値の上記変化のタイミングは、他のサブ画素に対するデータ値の上記変化のタイミングとは異なることを特徴とする請求項18または請求項18に従属する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ディスプレイのための画像を処理する方法であって、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取る受取工程と、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正工程と、を含み、
軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、画素の原色のサブ画素および画素の非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する、ことを特徴とする方法。
【請求項22】
上記方法は、軸上の鑑賞者に対し、上記画素の全体的な色度が実質上変化しないように、上記原色のサブ画素の色度の全体的な変化がほぼ等しく、上記非原色のサブ画素の色度の全体的な変化とは反対になるように、上記原色のサブ画素および上記非原色のサブ画素に対する上記データ値を修正することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
高空間解像度特性が、上記画像の領域内に存在しているか否かを検出する工程を含み、
高空間解像度特性が、上記画像の領域内に存在している場合には、上記画像の上記領域内の画素に対し、サブ画素色構成要素のデータ値の修正量を低減させるか、または、上記データ値の修正を行わないことを特徴とする請求項1から22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
上記画像内の一対の画素に対し、同じ平均輝度および色度を有し、かつ、入力データと同じ個々の輝度を有した上記一対の画素に対するメタマーを算出する工程と、
上記メタマーの上記算出された軸外輝度および軸外色度に基づいて、上記メタマーの1つを選択する工程と、を含んでいることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
多原色表示パネルのための制御回路であって、上記制御回路は、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する、ことを特徴とする制御回路。
【請求項26】
多原色表示パネルのための制御回路であって、上記制御回路は、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記画素の上記原色のサブ画素および上記画素の上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する、ことを特徴とする制御回路。
【請求項27】
請求項25または26に記載の制御回路と多原色表示パネルとを含んでいるディスプレイであって、
上記制御回路は、使用される際に、上記多原色表示パネルに対し、上記修正されたサブ画素色構成要素のデータ値を出力するように構成されていることを特徴とするディスプレイ。
【請求項28】
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
当該表示パネルは、当該表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する、ことを特徴とする多原色表示パネル。
【請求項29】
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
当該表示パネルは、軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記画素の上記原色のサブ画素および上記画素の上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する、ことを特徴とする多原色表示パネル。
【請求項30】
処理装置によって実行された場合に、上記処理装置に請求項1から25の何れか1項に記載の方法を実行させる指示を含んでいることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項1】
ディスプレイのための画像を処理する方法であって、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを取得する取得工程と、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正工程と、を含み、
表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、全体的な輝度および上記表示パネルの知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正することを特徴とする方法。
【請求項2】
上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、ある画素内のサブ画素の上記データ値を、当該画素の全体的な輝度の変化を最小化するように修正することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、ある画素内のサブ画素の上記データ値を、当該画素の上記全体的な輝度が実質上変化しないように修正することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
画素の少なくとも1つのサブ画素の上記データ値を、上記画素の少なくとも1つの他のサブ画素の上記データ値とは反対の方向に修正することを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、一対の画素の各画素の全体的な輝度の変化を最小化するように、上記一対の画素に対し、上記一対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、複数の対の画素の各画素の全体的な輝度の変化を最小化するように、上記複数の対の画素に対し、画素の対ごとに、上記複数の対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
複数の対の画素に対し、第1の画素の対および第2の画素の対に対して、同様の方法で、画素の対ごとに、上記複数の対の画素における対応する第1のサブ画素の上記データ値を修正し、上記複数の対の画素における対応する第2のサブ画素の上記データ値を修正することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記ディスプレイは、RGBWディスプレイであり、
当該方法は、上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、一対の画素の全体的な色度の変化を最小化するように、上記一対の画素に対し、上記一対の画素における対応するサブ画素の上記データ値を修正することを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記原色のサブ画素および上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正することを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
上記一対の画素における第1の画素に対し、上記非原色のサブ画素に対する上記データ値とは反対の方向に、上記原色のサブ画素に対する上記データ値を修正することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記一対の画素における第2の画素に対し、上記非原色のサブ画素に対する上記データ値とは反対の方向に、上記原色のサブ画素に対する上記データ値を修正し、上記一対の画素の上記第1の画素の上記原色のサブ画素に対する上記データ値とは反対の方向に、上記一対の画素の上記第2の画素の上記原色のサブ画素に対する上記データ値を修正することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
データ値の修正には、少なくとも1つのサブ画素の要素に対し、各データ値を少なくとも2つの修正されたデータ値にマッピングすることが含まれていることを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
上記修正された値によって生成された上記輝度の平均は、修正されていない値によって生成された輝度と等しいことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ルックアップテーブル内に、少なくとも2つの修正されたデータ値に記憶する工程を含んでいることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
多原色表示パネルに対し、上記修正されたサブ画素色構成要素のデータ値を出力する工程を含んでいることを特徴とする請求項1から14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
上記一対の画素の上記2つの画素は、互いに空間的に近接していることを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
上記一対の画素の第1の画素は、第1のフレームに存在し、上記一対の画素の第2の画素は、第2のフレームに存在し、上記第1および第2のフレームは、連続したフレームであることを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
上記一対の画素の第1の画素は、フレームの第1のグループに存在し、上記一対の画素の第2の画素は、フレームの第2のグループに存在し、フレームの上記第1および第2のグループは、フレームの連続したグループであることを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
サブ画素の上記データ値の変化は、上記サブ画素の駆動極性における変化に協調して行われることを特徴とする請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
あるサブ画素に対するデータ値の上記変化のタイミングは、他のサブ画素に対するデータ値の上記変化のタイミングとは異なることを特徴とする請求項18または請求項18に従属する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ディスプレイのための画像を処理する方法であって、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取る受取工程と、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正する修正工程と、を含み、
軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、画素の原色のサブ画素および画素の非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する、ことを特徴とする方法。
【請求項22】
上記方法は、軸上の鑑賞者に対し、上記画素の全体的な色度が実質上変化しないように、上記原色のサブ画素の色度の全体的な変化がほぼ等しく、上記非原色のサブ画素の色度の全体的な変化とは反対になるように、上記原色のサブ画素および上記非原色のサブ画素に対する上記データ値を修正することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
高空間解像度特性が、上記画像の領域内に存在しているか否かを検出する工程を含み、
高空間解像度特性が、上記画像の領域内に存在している場合には、上記画像の上記領域内の画素に対し、サブ画素色構成要素のデータ値の修正量を低減させるか、または、上記データ値の修正を行わないことを特徴とする請求項1から22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
上記画像内の一対の画素に対し、同じ平均輝度および色度を有し、かつ、入力データと同じ個々の輝度を有した上記一対の画素に対するメタマーを算出する工程と、
上記メタマーの上記算出された軸外輝度および軸外色度に基づいて、上記メタマーの1つを選択する工程と、を含んでいることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
多原色表示パネルのための制御回路であって、上記制御回路は、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
上記表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する、ことを特徴とする制御回路。
【請求項26】
多原色表示パネルのための制御回路であって、上記制御回路は、
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記画素の上記原色のサブ画素および上記画素の上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する、ことを特徴とする制御回路。
【請求項27】
請求項25または26に記載の制御回路と多原色表示パネルとを含んでいるディスプレイであって、
上記制御回路は、使用される際に、上記多原色表示パネルに対し、上記修正されたサブ画素色構成要素のデータ値を出力するように構成されていることを特徴とするディスプレイ。
【請求項28】
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
当該表示パネルは、当該表示パネルの軸上の鑑賞者に対し、上記表示パネルの全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、一対の画素からの対応するサブ画素の上記データ値を、互いに対して反対方向に修正する、ことを特徴とする多原色表示パネル。
【請求項29】
画像を構成する画素データであって、それぞれのデータ値を有する少なくとも4つのサブ画素色構成要素を含んでいる画素データを受け取り、
1以上の上記サブ画素色構成要素のデータ値を修正するように、構成されており、
当該表示パネルは、軸上の鑑賞者に対し、画素の全体的な輝度および知覚画像が実質上変化しないように、原色のサブ画素の輝度の全体的な変化がほぼ等しく、非原色のサブ画素の輝度の全体的な変化とは反対になるように、上記画素の上記原色のサブ画素および上記画素の上記非原色のサブ画素に対するデータ値を修正する、ことを特徴とする多原色表示パネル。
【請求項30】
処理装置によって実行された場合に、上記処理装置に請求項1から25の何れか1項に記載の方法を実行させる指示を含んでいることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2013−83976(P2013−83976A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−220742(P2012−220742)
【出願日】平成24年10月2日(2012.10.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−220742(P2012−220742)
【出願日】平成24年10月2日(2012.10.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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