説明

多孔性バイオセンサーおよびラマン分光法を用いる生体分子の検出

本発明は、カスケードラマンセンシングによって、血清のような生体試料の内容物を分析するために用いられる方法を提供する。公知の分析物に対して特異的に結合するプローブを有する、蛍光を発生させるナノ多孔性バイオセンサーを、生体試料に接触させて、多孔性の半導体構造に共役させた一つまたはそれ以上の結合複合体を形成する。結合した複合体を、結合複合体に特異的に結合するラマン活性プローブに接触させて、バイオセンサーに光を照射するとバイオセンサーからの蛍光放出が得られる。これらの蛍光の放出は結合複合体からのラマンシグナルを生成する。結合複合体から生成されたラマンシグナルを検出して、結合したタンパク質含有分析物に関連するラマンシグナルが、試料中のタンパク質含有化合物の存在を示している。本発明の方法は、患者の試料のタンパク質プロフィールを提供するために有用である。本発明はまた、本発明の方法を実践するために有用な検出系を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は一般的に、試料における生体分子の存在を同定するために有用な多孔性バイオセンサーに関し、より詳しくは本発明は、試料中の生体分子の有無を検出するために、ラマン分光法およびナノ多孔性半導体に基づくバイオセンサーを用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
様々な生物学的および有機環境における低濃度分析物の検出および分析に対する関心が高まってきている。そのような分析物の定性分析は一般的に、より高濃度レベルに限定されており、定量分析は通常、放射性同位元素または蛍光試薬による標識を必要とする。そのような技法は一般的に時間がかかり、不便である。
【0003】
固相センサーおよび特にバイオセンサーは、化学、生物学、および薬学的研究のみならず疾患の診断における用途の増加により、最近注目を集めている。一般的に、バイオセンサーは、二つの成分からなる:非常に特異的な認識エレメントと分子認識事象を定量可能なシグナルに変換するシグナル変換構造。バイオセンサーは、オリゴヌクレオチド対、抗体-抗原、ホルモン-受容体、酵素-基質、およびレクチン-糖タンパク質相互作用を含む、多様な生体分子複合体を検出するために開発されている。シグナルの変換は一般的に、電気化学的な電界効果型トランジスタ、光学的吸収、蛍光、または干渉分析装置によって行われる。
【0004】
Ghadiriらの米国特許第6,248,539号に開示されるように、多孔性のシリコン被膜の目に見える反射率の変化の強さを単純な生物学的センサーにおいて利用できることは公知である。その中に開示されているように、シリコン基板のような多孔性の半導体基板の干渉スペクトルにおける波長のシフトを検出および測定することによって、低分子を検出、同定、および定量することができる。そのような生物学的センサーは特に有用であるが、一つまたはそれ以上の鋭く明確な発光ピークよりむしろ幅広いピークが存在するために、反射率のシフトの検出は複雑となる。
【0005】
交互の多孔性の層を有する多孔性の多層半導体構造を含む様々なセンサーが開発されている。分析物分子が結合すると、半導体構造の屈折率に検出可能な変化が起こり、センサーが分析物に結合したシグナルを送る。上層と下層のあいだに存在するそのような多層構造の中心層(ブラッグ反射体)は、マイクロキャビティ共振器を形成する。このマイクロキャビティ共振器は、フォトルミネッセンススペクトルが、半値全幅またはFWHM値が約3 nmである多数の鋭い狭いピークで構成されるように(Chan et al., Phys. Stat. Sol. A 182:541〜546(2000))、ブラッグ反射体として作用する二つの層によってマイクロキャビティの中心層において産生された発光を閉じこめる。反射率が変化すると、フォトルミネッセントスパイクがシフトして、それによって検出可能な示差シグナルが生成される。しかし、結合事象は、結合する分子の特性に関してごくおおよその情報を提供するに過ぎない。
【0006】
ラマン分光法または表面プラズモン共鳴はまた、生体試料からの個々の分子の感度がよく正確な検出または同定という目標を達成しようとして用いられている。光が対象媒体を通過する場合、特定の量の光は、散乱として知られる現象によってその当初の方向からそれるようになる。散乱光の一部は、光の吸収および電子の高エネルギー状態への励起により、当初の励起光とは周波数が異なり、それによって異なる波長での光の放出が起こる。吸収された光のエネルギーと放出された光のエネルギーの差は、媒体の振動エネルギーと一致する。この現象は、ラマン散乱として知られ、ラマン散乱光によって対象媒体または分子の特徴を調べて分析する方法をラマン分光法と呼ぶ。ラマン放射スペクトルの波長は、試料中のラマン散乱分子の化学組成および構造の特徴であるが、ラマン散乱光の強度は試料中の分子濃度に依存する。
【0007】
粗面銀表面に近い分子は、2倍またはそれ以上のラマン散乱の増強を示すことが認められている。この表面増強ラマン散乱(SERS)効果は、金属ナノ粒子または金属コーティングが、金属における電導電子の集合的共役により入射電磁放射線に反応して顕著な光学共鳴を示す、プラズモン共鳴現象に関連する。本質的に、金、銀、銅、および特定の他の金属のナノ粒子は、電磁放射線の局所効果を増強するように機能することができる。そのような粒子の近傍に存在する分子は、ラマン分光分析に関してより大きい感度を示す。SERSは、対象となる生体分子の特徴を調べて分析するために表面増強ラマン散乱効果を利用する技術である。
【0008】
塩化ナトリウムおよび塩化リチウムは、対象分子が導入された前後に金属ナノ粒子または金属コーティング表面に適用した場合に、SERSシグナルを増強する化学物質であると同定されている。しかし、これらの化学増強剤を用いる技術は、単一のヌクレオチドまたはタンパク質のような、低濃度の分析物分子を信頼できるように検出できるほど十分に感受性がよくないことが証明されている。一つのタイプのヌクレオチド、デオキシアデノシンモノホスフェート、と一つのタイプのタンパク質、ヘモグロビンが単分子レベルで検出されるに過ぎない。結果として、SERSは、血漿のような複雑な生体試料のタンパク質含有量を分析するためには適していないと見なされている。
【0009】
このように、ラマン分光分析技術を用いて、結合した分子の特徴に関する情報を提供して個々の分子を信頼できるように検出および/または同定する生体分子検出法が当技術分野において必要である。さらに、同様に、低濃度レベルで生体分子を定性的および定量的に検出する迅速かつ単純な手段が当技術分野において必要である。
【発明の開示】
【0010】
発明の詳細な説明
本発明の一つの局面は、複雑な生体試料において所望の分析物に対して特異的に結合するように、多孔性の半導体構造と、多孔性の半導体構造に共役させた一つまたはそれ以上の第一のプローブとを含む生体センサーを用いる方法に関する。第二のラマン活性プローブ構築物が第一のプローブを含む複合体に結合すると、試料中に関連する特異的分析物が存在することが同定される。本発明の方法は、患者の試料のタンパク質プロフィールを得るために特に有用である。
【0011】
一つの態様において、本発明は、上層と下層のそれぞれが交互の多孔性の40層までを含む、上層と下層のあいだ挟まれた中心層を有する多孔性の半導体構造と、多孔性の半導体構造に共役させた一つまたはそれ以上の第一のプローブとを有するナノ多孔性バイオセンサーを、適した結合条件下で生体試料に接触させて、一つまたはそれ以上の第一のプローブが試料中の分析物に特異的に結合して、一つまたはそれ以上の結合複合体を形成することによって、生体試料の内容物を分析する方法を提供する。結合した複合体を、結合した複合体に対するその特異的結合を促進するために適した条件でラマン活性プローブに接触させて、バイオセンサーから蛍光を放出させるためにバイオセンサーに光を照射して、これらの放出は結合した複合体からラマンシグナルを励起させる。結合した複合体によって産生されたラマンシグナルを検出して、結合した分析物に関連するラマンスペクトルが、試料中の分析物が存在することを示す。
【0012】
図1を参照して、ナノ多孔性シリコンキャビティ100は、中心層130のいずれかの側に存在する交互の多孔性の多重層120を有するシリコン基板110を含む。ナノ多孔性シリコンキャビティ100に光を照射することによって生成された蛍光の放出を、図1Bにグラフで示す。
【0013】
さらにもう一つの態様において、本発明は、上層と下層のそれぞれが交互の多孔性の40層まで、例えば4〜40層を含み、現在のところ、より少ないまたはより多い層を用いる場合よりラマンシグナルにおいてより少ないより狭いピークを提供するために最も適していると考えられている約8〜約30層を含む、上層と下層の間に挟まれた中心層を有するナノ多孔性シリコン構造で構成されるナノ多孔性生体センサーに共役させた少なくとも一つの第一のプローブに対して、その中のタンパク質含有分析物を特異的に結合させるために有効な条件で接触させることによって、生体試料におけるタンパク質含有分析物の有無を検出する方法を提供する。上層および下層のそれぞれにおける層の数は、所望の反射率の反射層を生じるためにこれらの範囲内で選択される。
【0014】
試料中の分析物に第一のプローブ(例えば、一次抗体)が結合すると、一つまたはそれ以上の結合複合体を形成する。結合複合体を、本明細書に記述のラマンタグ二次抗体のようなラマン活性プローブに、結合複合体に対するその特異的結合を促進するために適した条件で接触させる。バイオセンサーからの蛍光の放出を引き起こすためにバイオセンサーに光を照射して、バイオセンサーからの放出が結合複合体からのラマンシグナルを励起する(図3A〜D)。結合複合体によって産生されたラマンシグナルを検出して、結合したタンパク質含有分析物に関連したラマンシグナルは、試料におけるタンパク質含有化合物の存在およびタイプを示している。
【0015】
さらにもう一つの態様において、本発明は、試料中の少なくとも一つの分析物に特異的に結合して一つまたはそれ以上の結合複合体を形成する、一つまたはそれ以上の第一のプローブが結合した本明細書に記述のナノ多孔性半導体センサーに、適した結合条件で生体試料を接触させることによって、生体試料の内容物を分析する方法を提供する。一つまたはそれ以上の結合複合体をその特異的結合を促進するために適した条件で蛍光活性プローブに接触させて、センサーからの蛍光放出を引き起こすためにセンサーに光を照射して、その放出が結合複合体からの二次蛍光放出を生成する;および結合複合体によって生成された二次蛍光の放出を検出する。結合した分析物に関連した二次蛍光が放出されれば、試料中に分析物が存在すること、およびそのタイプを示している。
【0016】
もう一つの態様において、本発明は、それぞれが交互の多孔性の40層までを含む上層と下層の間に挟まれた中心層を含む多孔性の半導体構造を有するナノ多孔性生体センサーを含む検出システムを提供する。本発明のシステムにはさらに、生体センサーに光を照射するように配置された光源、およびセンサーに結合した複合体からのラマンシグナルまたは蛍光を捕獲するように配置された検出器が含まれる。
【0017】
標的分子はまた、ラマン活性または蛍光活性二次プローブを必要とすることなく直接検出することができる。異なる配列のDNA分子から独自のラマンおよび蛍光シグナルが放出されることが認められている。同様に、タンパク質は、その組成およびコンフォメーションに基づいて異なるシグナルを産生することも公知である。なおもう一つの態様において、本発明は、多孔性の半導体構造に共役させた一つまたはそれ以上の第一のプローブを有する本明細書に記述のナノ多孔性半導体センサーに、適した結合条件で生体試料を接触させる段階であって、一つまたはそれ以上の第一のプローブが試料中の少なくとも一つの分析物に特異的に結合して、一つまたはそれ以上の結合複合体を形成する段階;結合複合体における分析物からの光学的放出を引き起こすためにセンサーに光を照射する段階;および結合複合体中の分析物によって生成された光学的放出を検出する段階によって、生体試料の内容物を分析する方法であって、分析物がタンパク質またはDNAであって、分析物から放出されたラマンまたは蛍光シグナルが結合複合体における分析物の存在およびタイプに関する情報を提供する方法を提供する。
【0018】
本発明の方法において用いられるラマン活性プローブを調製するために、公知の方法によって、抗体および受容体のようなプローブに結合させることができる適したラマン活性タグには、以下の表1に記載のタグが含まれる。
【表1】

【0019】
特定の態様において、装置は、微小-電気-機械-システム(MEMS)を含みうる。MEMSは、機械的エレメント、センサー、アクチュエーター、およびエレクトロニクスを含む統合システムである。それらの成分は全て、シリコンに基づくまたは同等の半導体基板の共通のチップ上で微細加工技術によって製造することができる(例えば、Voldman et al., Ann. Rev. Biomed. Eng. 1:401〜425, 1999)。MEMSのセンサー成分を用いて、ラマンシグナルまたは蛍光を検出するための、生物学的、化学的、光学的および/または磁気的現象を測定することができる。エレクトロニクスは、センサーからの情報を処理して、ポンプ、弁、ヒーター等のようなアクチュエーター成分を制御して、それによってMEMSの機能を制御することができる。
【0020】
MEMSのエレクトロニクス成分は、集積回路(IC)プロセス(例えば、CMOSまたは双極プロセス)を用いて加工することができる。それらは、コンピューターチップ製造のためのフォトリソグラフィーおよびエッチング法を用いてパターン形成することができる。微視的力学成分は、シリコンウェーハの一部を選択的に食刻して除去するまたは新しい構造層を加えて、機械的および/または電子機械的成分を形成する両立性の「マイクロマシーニング」プロセスを用いて作製することができる。
【0021】
MEMS製造における基本的な技術には、基板上に材料の薄膜を沈着させる段階、何らかのリソグラフィー法によって被膜の上部にパターン化されたマスクを適用する段階、および被膜を選択的にエッチングする段階が含まれる。薄膜は数ナノメートルから100マイクロメートルの範囲となりうる。用いられる沈着技術には、化学蒸着(CVD)、電気蒸着、エピタキシーおよび熱酸化のような化学技法、ならびに物理的蒸着(PVD)および鋳造のような物理的技法が含まれうる。ナノ電子機械システムの製造法も同様に用いることができる(例えば、Craighead, Science 290:1532〜36, 2000を参照されたい)。
【0022】
いくつかの態様において、装置および/または検出器は、様々な液体を満たした区画、例えばマイクロフルイディクスチャンネルまたはナノチャンネルに結合させることができる。装置のこれらおよび他の成分は、単一の単位として、例えばチップ(例えば、半導体チップ)および/またはマイクロキャピラリーまたはマイクロフルイディクスチップの形で形成することができる。または、個々の成分を個別に加工して互いに結合させることができる。そのようなチップにおいて用いられることが公知である如何なる材料も、例えばシリコン、二酸化シリコン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、プラスチック、ガラス、クオーツ等も開示の装置において用いることができる。
【0023】
一つの態様において、断面の直径の大きさの範囲が約1マイクロメートル〜15ナノメートルの個々の微小バイオセンサーを共に(例えば共通の基板上で)整列させて、バイオセンサーによる走査によって検出することができる。そのような場合、バイオセンサーは、単一の公知の分析物を固定するための単一のタイプのプローブを有すると都合がよい可能性がある(とはいえ、多数の第一のプローブも同様に用いることができる)。
【0024】
チップのバッチ加工のための技術は、コンピューターチップ製造および/またはマイクロキャピラリーチップ製造において周知である。そのようなチップは、フォトリソグラフィーおよびエッチング、レーザー剥離、注入成形、鋳造、分子ビームエピタキシー、ディップペンナノリソグラフィー、化学蒸着(CVD)加工、電子ビームまたは集束イオンビーム技術またはインプリンティング技術によるような、当技術分野において公知の任意の方法によって製造することができる。非制限的な例には、通常の成型、二酸化シリコンのドライエッチング、および電子ビームリソグラフィーが含まれる。特定の態様に関してナノ電気機械システムの製造法を用いることができる。(例えば、Craighead, Science 290:1532〜36, 2000を参照されたい)。様々な形の微細加工チップが、例えばCaliperTechnologies Inc.(Mountain View, CA)およびACLARA BioScience Inc.(Mountain View, CA)から市販されている。
【0025】
特定の態様において、装置の一部または全ては、例えばラマン分光法による検出のために用いられる励起および放出周波数での電磁放射に対して透明であるように選択されうる。適した成分は、ガラス、シリコン、クオーツ、または任意の他の光学的に透明な材料のような材料から加工することができる。ガラス、シリコン、クオーツ、および/またはPDMSのような一般的なチップ材料の表面改変が公知である(例えば、米国特許第6,263,286号)。そのような改変には、例えば様々な機能的部分を有する市販のシラン(例えば、ポリエチレンオキシドまたはアクリルアミド等)によるコーティングが含まれうる。
【0026】
いくつかの態様において、第一のプローブはポリヌクレオチドである。「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書において、ホスホジエステル結合によって結合したデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドの配列を意味するために用いられる。便宜上、「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書においてプライマーまたはプローブとして用いられるポリヌクレオチドを指すために用いられる。一般的に、選択されたヌクレオチド配列に対して選択的にハイブリダイズするプローブまたはプライマーとして有用なオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも約10ヌクレオチド、通常長さが少なくとも約15ヌクレオチド、例えば長さが約15〜約50ヌクレオチドである。
【0027】
ポリヌクレオチドは、RNAまたはDNAとなりえて、それらは遺伝子またはその一部、cDNA、合成ポリデオキシリボ核酸配列等となりえて、一本鎖または二本鎖と共にDNA/RNAハイブリッドとなりうる。様々な態様において、オリゴヌクレオチド(例えば、プローブまたはプライマー)を含むポリヌクレオチドは、ヌクレオシドもしくはヌクレオチド類似体、またはホスホジエステル結合以外の骨格結合を含みうる。一般的に、ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、2'-デオキシリボースに結合したアデニン、シトシン、グアニン、もしくはチミンのような天然に存在するデオキシリボヌクレオチド、またはリボースに結合したアデニン、シトシン、グアニン、もしくはウラシルのようなリボヌクレオチドである。しかし、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、非天然の合成ヌクレオチドまたは改変された天然に存在するヌクレオチドを含むヌクレオチド類似体を含みうる。そのようなヌクレオチド類似体は当技術分野で周知であり、そのようなヌクレオチド類似体を含むポリヌクレオチドと同様に市販されている(Lin et al., Nucl. Acids Res. 22:5220〜5234(1994);Jellinek et al., Biochemistry 34:11363〜11372(1995);Pagratis et al., Nature Biotechnol. 15:68〜73(1997))。
【0028】
ポリヌクレオチドのヌクレオチドを結合させる共有結合は一般的に、ホスホジエステル結合である。しかし、共有結合は、チオエステル結合、ホスホロチオエート結合、ペプチド様結合、または合成ポリヌクレオチドを産生するためにヌクレオチドを連結するために有用であることが当業者に公知である他の任意の結合を含む、任意の他の多数の結合となりうる(例えば、Tam et al., Nucl. Acids Res. 22:977〜986(1994);Ecker and Crooke, BioTechnology 13:351360(1995)を参照されたい)。非天然のヌクレオチド類似体またはヌクレオチドもしくは類似体を連結するための結合を組み入れることは、改変ポリヌクレオチドは分解に対する感受性が低くなりうることから、ポリヌクレオチドが、例えば組織培養培地を含むヌクレオ溶解活性を含みうる環境に曝露される場合、または生きている被験者に投与される場合、特に有用となりうる。
【0029】
本明細書において用いられるように、「選択的ハイブリダイゼーション」または「選択的にハイブリダイズする」という用語は、ヌクレオチド配列が、選択されたヌクレオチド配列を同定するために有用であるために十分に大きい程度に、無関係なヌクレオチド配列と比較して選択されたヌクレオチド配列に対して選択的に会合するような、中等度にストリンジェントな、または高度にストリンジェントな条件でのハイブリダイゼーションを指す。何らかの量の非特異的ハイブリダイゼーションが不可避であると認識されるであろうが、分析物ヌクレオチド配列に対するハイブリダイゼーションは、例えば分析物分子以外の核酸分子、特に分析物核酸分子以外の実質的に類似の(例えば相同な)核酸分子と比較して、分析物核酸分子に結合する標識オリゴヌクレオチドの量によって決定した場合に、少なくとも約2倍選択的である、一般的に少なくとも約3倍選択的である、通常少なくとも約5倍選択的である、および特に少なくとも約10倍選択的であるように、非特異的交叉ハイブリダイゼーションに対して区別することができるように十分に選択的である限り、許容される。選択的ハイブリダイゼーションを許容する条件は経験的に決定することができる、または例えばハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとそれがハイブリダイズする配列の相対的GC:AT含有量、ハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの長さ、およびもしあればオリゴヌクレオチドとそれがハイブリダイズする配列とのミスマッチの数(例えば、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、Sambrook et al., 「Molecular Cloning : A laboratory manual」(Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)を参照されたい)に基づいて推定することができる。
【0030】
進行的により高いストリンジェンシー条件は以下の通りである:ほぼ室温で2×SSC/0.1%SDS(ハイブリダイゼーション条件);ほぼ室温で0.2×SSC/0.1%SDS(低ストリンジェンシー条件);約42℃で0.2×SSC/0.1%SDS(中等度のストリンジェンシー条件);および約68℃で0.1×SSC(高ストリンジェンシー条件)。洗浄はこれらの条件の一つのみを用いて、例えば高ストリンジェンシー条件を用いて行うことができ、または条件のそれぞれを例えば各10〜15分間、上記の順序で記載の段階のいずれかまたは全てを繰り返して行うことができる。しかし、先に述べたように、最適な条件は、関係する特定のハイブリダイゼーション反応に応じて変化して、経験的に決定することができる。
【0031】
いくつかの態様において、第一のプローブおよび/または第二のプローブには、抗体プローブが含まれうる。本明細書において用いられるように、「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体と共にそのような抗体の抗原結合断片を含めるようにその最も広い意味において用いられる。本発明の方法において有用な抗体、またはその抗原結合断片は、例えば分析物のエピトープに対して特異的結合活性を特徴とする。
【0032】
抗体は、本発明の特定の局面においてバイオセンサーに結合した第一のプローブにおいて利用され、第二の抗体(例えば、抗体プローブの領域に対する特異的結合パートナーである抗体)に、本明細書において記述されるように、本発明の方法においてラマン活性として用いるために、ラマン活性タグを付けることができる。本明細書において用いられるように「抗体」という用語は、モノクローナル抗体を含む天然に存在する抗体と共に天然に存在しない抗体を指す。天然に存在しない抗体の非制限的な例には、例えば、一本鎖抗体、キメラ、双機能、およびヒト化抗体と共にその抗原結合断片が含まれる。そのような天然に存在しない抗体は固相ペプチド合成を用いて構築することができ、組換えによって産生することができ、または例えば可変重鎖および可変軽鎖からなる組み合わせライブラリをスクリーニングすることによって得ることができる(Huse et al., Science 246:1275〜1281(1989)を参照されたい)。例えばキメラ、ヒト化、CDR-移植、一本鎖、および双機能抗体を作製するこれらおよび他の方法は、当業者に周知である(Winter and Harris, Immunol. Today 14:243〜246, 1993;Ward et al., Nature 341:544〜546, 1989;Harlow and Lane, 「Antibodies : A Laboratory manual」(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988);Hilyard et al., 「Protein Engineering : A practical approach」(IRL Press 1992);Borrabeck, 「Antibody Engineering」, 2 d ed.(Oxford University Press 1995))。
【0033】
抗体を参照して用いる場合の「特異的に結合する」または「特異的結合活性」という用語は、抗体と特定のエピトープとの相互作用が、解離定数少なくとも約1×10-6、一般的に少なくとも約1×10-7、通常少なくとも約1×10-8、および特に少なくとも約1×10-9または1×10-10もしくはそれ未満を有することを意味する。そのため、抗原のエピトープに対して特異的結合活性を保持する抗体のFab、F(ab')2、FdおよびFv断片は、抗体の定義に含まれる。
【0034】
本発明の状況において、「リガンド」という用語は、受容体の天然に存在する特異的結合パートナー、受容体の合成特異的結合パートナー、または天然もしくは合成リガンドの適当な誘導体を指す。リガンドの決定および単離は当技術分野において周知である(Lerner, 「Trends Neurosci. 17:142〜146, 1994」)。当業者は分子(または高分子複合体)が受容体およびリガンドの双方となりうることを認識するであろう。一般的に、分子量がより小さい結合パートナーをリガンドと呼び、分子量がより大きい結合パートナーを受容体と呼ぶ。
【0035】
「分析物」とは、生体試料に存在する任意の分子または化合物を意味する。分析物は固体、液体、ガス様または蒸気相となりうる。「ガス様または蒸気相分析物」は、例えば生体試料において混入物として存在する分子または化合物を意味する。ガスまたは蒸気相の物理的状態は、圧力、温度によって変化すると共に、塩の存在または付加等によって液体の表面張力に影響を及ぼすことによって変化させることができると認識されるであろう。
【0036】
先に示したように、本発明の方法は、特定の局面において、本明細書において記述されるように、半導体バイオセンサーに結合した第一のプローブに対する生体試料中の分析物の結合を検出する。分析物は特異的結合対(sbp)のメンバーを含むことができ、通常抗原性またはハプテン性である一価(モノエピトープ)または多価(ポリエピトープ)であるリガンドであってもよく、ならびに単一の化合物、または少なくとも一つの共通のエピトープもしくは決定部位を共有する複数の化合物である。分析物は、細菌のような細胞、A、B、D等のような血液群抗原もしくはHLA抗原を有する細胞、または微生物、例えば細菌、真菌、原虫、もしくはウイルスの一部となりうる。本発明の特定の局面において、分析物は、荷電されている。
【0037】
特異的結合対のメンバー(「sbpメンバー」)は、特異的に結合する表面上またはキャビティにおける領域を有し、それによって他の分子の特定の空間的および極性の構築と相補的である二つの異なる分子の一つであると定義される。特異的結合対のメンバーは、リガンドおよび受容体(抗リガンド)または分析物およびプローブと呼ばれる。したがって、プローブは、分析物に特異的に結合する分子である。これらは通常、抗原-抗体のような免疫学的な対のメンバーであるが、ビオチン-アビジン、ホルモン-ホルモン受容体、核酸二本鎖、IgG-プロテインA、DNA-DNA、DNA-RNAのようなポリヌクレオチド対等のような他の特異的結合対は、免疫学的対ではないが、本発明およびsbpメンバーの定義に含まれる。
【0038】
特異的結合は、他の分子の実質的により低い認識と比較して他の分子に関する異なる二つの分子の一つの特異的認識である。一般的に分子は、その表面またはキャビティにおいて二つの分子間の特異的認識を生じる領域を有する。特異的結合の例は、抗体-抗原相互作用、酵素-基質相互作用、ポリヌクレオチド相互作用等である。
【0039】
非特異的結合は、特異的表面構造とは比較的無関係である分子間の非共有結合である。非特異的結合は、分子間の疎水性相互作用を含むいくつかの要因に起因してもよい。
【0040】
本発明は、特定の分析物、例えば核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質、酵素、抗体、または抗原の存在を検出するために用いてもよい。本発明の方法はまた、生体試料中の特定の分析物に対する結合に関して生体活性物質、例えば医薬品候補物質をスクリーニングするために、または生体試料中の汚染物質のような物質の有無を検出するために用いてもよい。先に考察したように、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチドは、またはアダプターのようなそれに対するプローブ部分を設計してもよい如何なる分析物も、本発明の方法を用いて検出することができる。
【0041】
多価リガンド分析物は通常、ポリ(アミノ酸)、例えばポリペプチドおよびタンパク質、多糖類、核酸、およびその組み合わせであってもよい。そのような組み合わせには、細菌、ウイルス、染色体、遺伝子、ミトコンドリア、核、細胞膜等の成分が含まれる。
【0042】
たいていの場合、本発明を適用することができるポリエピトープリガンド分析物は、分子量少なくとも約5,000、より通常、少なくとも約10,000を有するであろう。ポリ(アミノ酸)分類において、対象ポリ(アミノ酸)は、一般的に分子量約5,000〜5,000,000、より通常分子量約20,000〜1,000,000であろう;対象ホルモンにおいて、分子量は通常約5,000〜60,000の範囲であろう。
【0043】
モノエピトープリガンド分析物は一般的に分子量約100〜2,000、より通常分子量125〜1,000であろう。分析物には、薬物、代謝物、殺虫剤、汚染物質等が含まれる。対象薬物には、アルカロイドが含まれる。アルカロイドは、モルヒネ、コデイン、ヘロイン、デキストロメトルファン、その誘導体および代謝物を含むモルヒネアルカロイド;コカインおよびベンジルエルゴニン、その誘導体および代謝物を含むコカインアルカロイド;リゼルグ酸のジエチルアミドを含むバッカクアルカロイド;ステロイドアルカロイド;イミナゾイルアルカロイド;キナゾリンアルカロイド;イソキノリンアルカロイド;キニンおよびキニジンを含むキノリンアルカロイド;ジテルペンアルカロイド、その誘導体および代謝物である。
【0044】
分析物という用語にはさらに、下記のポリヌクレオチドのようなポリヌクレオチド分析物が含まれる。これらには、m-RNA、r-RNA、t-RNA、DNA、DNA-RNA二本鎖等が含まれる。分析物という用語には、例えば本発明の方法を用いて検出することができる、制限酵素、活性化剤、抑制剤、ヌクレアーゼ、ポリメラーゼ、ヒストン、修復酵素、化学療法剤等のようなポリヌクレオチド結合物質である受容体が含まれる。
【0045】
分析物は、宿主からの体液のような試料中で直接認められる分子であってもよい。試料は直接試験してもよく、または分析物をより容易に検出可能にするように前処置してもよい。さらに、対象分析物は、対象分析物が試料中に存在する場合に限ってその存在が検出される対象分析物と相補的な特異的結合対メンバーのような、対象分析物の証拠を提供する物質を検出することによって決定してもよい。このように、分析物の証拠を提供する物質は、アッセイにおいて検出される分析物となる。体液は、例えば尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、便、喀痰、脳脊髄液、涙液、粘液等となりうる。
【0046】
ラマン分光法がタンパク質のコンフォメーションの変化または二次構造をモニターできることは周知である(Sane, S. et al., 「structure perturbations on chromatographic surfaces」, Journal of Chromatography A 849(1999)149〜159;およびD. Ben-Amotz, et al., 「New Dimensions in Proteomic Sensing」, Federation of Analytical Chemistry and Spectroscopic Societies Meeting, October 19〜23, 2003, Fort Launderdale, FL)。本明細書において、ラマンシグナルを用いて「タンパク質のタイプ」を検出するという表現は、タンパク質含有分析物のそのようなコンフォメーションの変化および/または二次構造を指す。
【0047】
「タンパク質含有分析物」という言葉自体は、本明細書において抗原、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、脂質タンパク質等のような実体を含む。
【0048】
以下の段落には、本発明の方法の例としての応用に関するさらなる詳細が含まれる。本発明の方法を利用する多数のさらなる特定の応用例は、本明細書の教示を用いて同定することができると理解されるであろう。当業者は、ポリペプチド第一のプローブとその分析物分子との多くの相互作用が本発明の方法を用いて検出されうることを認識するであろう。もう一つの例において、酵素第一のプローブを用いて、酵素と試料における基質分析物との相互作用を検出することができる。
【0049】
もう一つのグループの例としての方法は、本発明の方法を用いて、試料中の一つまたはそれ以上の分析物核酸を検出する。そのような方法は、例えば、臨床試料における感染物質の検出にとって、ゲノムDNAもしくはRNA、またはメッセージRNAに由来する増幅産物の検出にとって、またはクローン内の遺伝子(cDNA)インサートの検出にとって有用である。分析物ポリヌクレオチドの検出を目的とした特定の方法に関して、オリゴヌクレオチドプローブを、当技術分野で公知の方法を用いて合成する。次に、オリゴヌクレオチドプローブを、バイオセンサーに結合させるための第一のセンサーとして用いる。オリゴヌクレオチド第一のプローブは、ハイブリダイゼーション反応において、試料中の分析物ポリヌクレオチドに対してオリゴヌクレオチドプローブを特異的に結合させるために用いられる。次に、オリゴヌクレオチドプローブの結合によって形成された複合体を、本明細書に記述の蛍光放出、ラマン分光法、またはSERSを用いて検出することができる。試料中の分析物オリゴヌクレオチドに対する公知のオリゴヌクレオチドプローブの特異的結合が検出されれば、分析物ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列に関する情報を提供する。
【0050】
本発明の方法において用いられる多孔性半導体構造は、任意の適した基板(例えば、チップ、ウェーハ等)上に形成することができる。多孔性半導体構造には、上層と下層のそれぞれが交互の多孔性の層を含む、上層と下層の間に挟まれた中心層(マイクロキャビティ)が含まれる。上層および下層はブラッグ反射体を形成する。
【0051】
多孔性半導体構造を形成するために用いることができる半導体は、単一の半導体材料、混合されていない半導体材料の組み合わせ、または半導体材料の混合物となりうる。半導体は、その多孔性状態でフォトルミネッセントである半導体となりうる。ブラッグ反射体(例えば、下層および上層)によって閉じこめられた活性層の厚さのために、放出されたフォトルミネッセンススペクトルが多数の鋭く狭いピークで構成される。光は、電磁スペクトルの可視部分(例えば、350〜800 nm)、赤外領域(例えば、800〜3000 nm)、および紫外領域(例えば、50〜350 nm)の光となりうる。これらの波長は、単なる例に過ぎず、多孔性半導体構造を形成するために用いられる半導体材料のタイプ、その厚さと共にその孔隙率(孔径を含む)に応じて変化しうる。本発明の方法に関して、電磁スペクトルの可視領域内の光が通常好ましい。
【0052】
多孔性半導体構造を形成するために用いることができる好ましい半導体には、シリコンおよびシリコン合金が含まれるがこれらに限定されない。半導体は、多孔性構造を形成するために用いることができるガルバニックエッチングプロセスに対して感受性がある。これらの半導体材料には、p-ドープシリコン(例えば、(CH3)2Zn、(C2H5)2Zn、(C2H5)2Be、(CH3)2Cd、(C2H5)2Mg、B、Al、Ga、In)、n-ドープ(例えば、H2Se、H2S、CH3Sn、(C2H5)3S、SiH4、Si2H6、P、As、Sb)シリコン、内因性または非ドープシリコン、ポリシリコン、例えばゲルマニウムの量が重量で約10%までのこれらの材料の合金、これらの材料の混合物、およびIII族元素の窒化物に基づく半導体材料が含まれる。
【0053】
二つの主な長所によって、多孔性シリコンは、バイオセンシング応用にとって魅力的な材料となる。第一に、その莫大な表面積は約90 m2/cm3〜約783 m3/cm3の範囲であり、これは可能性がある多くの種が結合するために多くの部位を提供する。第二に、その肉眼で検出可能な室温ルミネッセンスは、可視スペクトルに及び、それによって有効なトランスデューサーとなる。
【0054】
多孔性の半導体構造は厚さが約1〜約30ミクロンの範囲となりうる。典型的に、厚さは、望ましい孔隙率に従う(例えば、一定のエッチング時間では孔隙率がより高い構造は孔隙率がより低い構造より厚いであろう)と共に、検出される光の波長に従って(例えば、スペクトル範囲にわたって多孔性の半導体材料の屈折率が一定であると仮定すると、より短い波長の光について用いられる構造は、より長い波長の光について用いられる構造より薄くなりうる)反比例して変化するであろう。
【0055】
多孔性半導体構造における孔(またはキャビティ)は、典型的に、それらの形状がいくぶん不規則で層によって直径が異なるという事実ににもかかわらず、その名目上の「直径」に関して分類される。これらの直径は、約2 nm〜約2000 nmであり、直径約10〜約100 nmは、可視光の場合最も好ましく、紫外光の場合には直径約2〜約50 nmが好ましく、そして赤外光の場合には直径100〜2000 nmが好ましい。名目上の孔の直径はまた、検出される分析物分子の大きさに応じて選択しなければならない。
【0056】
先に述べたように、その中心層を含む構造の空隙率は一定のエッチング時間ではその厚みに反比例して変化するであろう。典型的に、中心層の孔隙率は約50〜約90%であるが、特定の応用に関してこれよりわずかに低いまたは高い孔隙率を得てもよい。ほとんどの応用に関して、孔隙率は好ましくは、構造的安定性のために約65〜約85%である。
【0057】
上層および下層は、交互の多孔性の層、例えば隣接する層と比較してより高いおよびより低い多孔性の層を個々に含む。上層および下層は対称的となりえて(例えば層の数を含む同じ立体配置を有する)、またはそれらは異なりうる(例えば、数および/または多孔性に関して異なる層の立体配置を有する)。典型的に、層の総数は、6またはそれ以上(例えば、3個またはそれより多い高い多孔性の層と3個またはそれより多い低い多孔性の層を交互の立体配置)である。
【0058】
孔隙率が低い層は、隣接する孔隙率が高い層の孔隙率より低い孔隙率を有する。例えば、孔隙率が低い層の孔隙率は約35〜約70%となりうる、または約40〜約60%となりうるが、孔隙率が高い層の孔隙率は約55〜約80%、または約60〜約80%となりうる。
【0059】
中心層の反対側の上層と下層のそれぞれにおいて、孔隙率の低い層と孔隙率の高い層は完全に同じである必要はない。このように、異なる孔隙率の低い相と異なる孔隙率の高い層が単一の上層または下層内に存在しうる。または、孔隙率の低い層と孔隙率の高い層は、上層と下層内で実質的に一貫しうる。
【0060】
本発明の方法において用いられる多孔性半導体構造の上部および下部での光の反射によって、構造の有効な光学的厚さに関連する干渉パターンが形成される。分析物分子が、多孔性の半導体構造の表面上に固定されたその対応するプローブに結合すると、構造の屈折率の変化が起こり、干渉パターンの対応するシフトとして検出される。用いられる多孔性半導体構造の屈折率は、多孔性半導体構造の屈折率および孔に存在する材料(内容物)の屈折率に関連する。孔における分析物種の濃度が変化すると、孔の内容物の屈折率が変化する。例えば、分析物分子が、屈折率が半導体構造の屈折率より高い有機分子である場合、分析物分子が結合すると、より低い屈折率の種(空気または他の蒸気媒体)を置換して、屈折率に関して全体的な値の増加が起こると期待されるであろう。屈折率の増加によって、より長い値への干渉パターン波長のシフト;すなわち深色効果または「赤色」シフトが起こるはずである。
【0061】
そのような多孔性半導体構造を作製する方法は、当技術分野で周知である。例えば、公表された米国特許第出願第20020192680号を参照されたい。粗面仕上げの金属表面はいくつかの方法の一つを用いて産生することができる。
【0062】
多孔性半導体構造からの生物学的センサーを形成するために、分析物分子に結合する一つまたはそれ以上のプローブを、多孔性半導体構造に共役させる。一つまたはそれ以上のプローブにはそれぞれ、(i)半導体構造にそれらを共役させることができる(直接または共役物質によって)一つまたはそれ以上の半導体結合基、および(ii)分析物分子に結合する一つまたはそれ以上の分析物結合基、が含まれる。それらに限定されないが、一つまたはそれ以上の半導体結合基は典型的にヒドロキシル基である。一つまたはそれ以上の分析物結合基には、アミノ基、チオール、ヒドロキシル、アルキル鎖、エステル、カルボン酸、芳香族、複素環、またはその組み合わせが含まれうるがこれらに限定されない。
【0063】
適した第一のプローブには一般的に、非ポリマー低分子、抗体、抗原、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、受容体、リガンド等が含まれるがこれらに限定されない。
【0064】
第一のプローブとして用いるために適した例としての非ポリマー低分子には、アビジン、ペプチド模倣体化合物、およびバンコマイシンが含まれるがこれらに限定されない。ペプチド模倣体化合物の一つのクラスには、2000年5月10日に提出されたMillerらに対する米国特許出願第09,568,403号に開示されている。リポ多糖類に結合するペプチド模倣体化合物はテトラトリプトファンter-シクロペンタンである。他のペプチド模倣体化合物も同様に用いることができる。
【0065】
第一のプローブとして用いるために適した例としてのポリペプチドには、細胞表面分子の受容体またはその断片;リピッドA受容体;抗体またはその断片;1998年6月12日に提出されたKoideに対する米国特許出願第09/096,749号および2001年11月19日に提出されたKoideに対する米国特許出願第10/006,760号に開示されるタイプのペプチドモノボディ;リポ多糖類結合ポリペプチド;ペプチドグリカン結合ポリペプチド;糖質結合ポリペプチド;ホスフェート結合ポリペプチド;核酸結合ポリペプチド;およびタンパク質含有分析物に特異的に結合するポリペプチドが含まれるがこれらに限定されない。一つの態様において、第一のプローブは、特定のタンパク質含有分析物または特定のクラスもしくはファミリーのタンパク質含有分析物に対して特異的な抗体である。
【0066】
例としてのオリゴヌクレオチド第一のプローブは、Barnes et al., J. Am. Chem. Soc. 123:4107〜4118(2001)およびBarnes et al., J. Am. Chem. Soc. 123:9186〜9187(2001)に開示されるタイプのDNA、RNA、または改変(例えば、プロピニル化)オリゴヌクレオチドとなりうる。オリゴヌクレオチドプローブは、意図される分析物に対する特異性を提供するために適した任意の長さとなりうる。典型的に、改変ヌクレオチドを含まないオリゴヌクレオチドプローブは、長さが少なくとも約12〜約100ヌクレオチドであろう。改変塩基を含むオリゴヌクレオチドの場合、長さ少なくとも7ヌクレオチド、約100ヌクレオチドまでが適している。
【0067】
一つまたはそれ以上の第一のプローブによって結合されうる分析物分子には、タンパク質(酵素、抗体、またはその断片が含まれるがこれらに限定されない)、糖タンパク質、ペプチドグリカン、糖質、リポタンパク質、リポテイコ酸、リピッドA、ホスフェート、特定の病原体(例えば、細菌、ウイルス、多細胞真菌、酵母、原虫、多細胞寄生虫等)によって発現される核酸、または天然に存在する毒素もしくは有機戦争物質のような有機化合物が含まれるがこれらに限定されない。これらの分析物分子は、体液、血液試料、水試料、生物からのホモジナイズ組織等を含む任意の起源から検出することができる。
【0068】
最終的にそれに結合されるプローブのタイプに応じて、一つまたはそれ以上の第一のプローブを多孔性半導体構造の表面に結合させるために、多くの戦略が利用可能である。半導体構造の多孔性のために、プローブは、その中心層ならびにその上層および下層を通して半導体構造の曝露表面に結合させることができる。
【0069】
一つまたはそれ以上の第一のプローブに結合させるために利用可能な戦略には、半導体構造の表面に対してプローブを共有結合させること、プローブを半導体構造の表面とイオン結合させること、プローブを半導体構造の表面に吸着させること等が含まれるがこれらに限定されない。そのような結合にはまた、プローブを、次にこれらが半導体構造の表面に共有または非共有結合される(共役物質の)もう一つの部分に共有または非共有結合させる段階が含まれうる。
【0070】
基本的に、半導体構造の酸化および加水分解表面は、その表面に結合させた共役物質によって最初に官能化(例えばプライミング)される。これは、共役物質の前駆体を提供して、その後共役物質前駆体を半導体構造の表面に共有または非共有結合させることによって得られる。半導体表面が官能化された後、プローブを(i)共役物質に共有結合もしくは非共有結合させる、または(ii)第一のプローブが半導体表面に共有結合または非共有結合によって直接結合するように共役物質を置換する、ために有効な条件で半導体表面に結合した官能基に曝露する。第一のプローブの半導体構造に対する結合は、その上の一つまたはそれ以上の分析物結合基が、分析物分子に対する結合にとって利用できる状態であるように有効な条件で行われる。
【0071】
適した共役物質前駆体には、エポキシド基によって官能化したシラン、チオール、またはアルケニル;およびハロゲン化物含有化合物が含まれるがこれらに限定されない。
【0072】
シランには、半導体構造の表面に結合する第一の部分およびプローブに結合する第二の部分が含まれる。好ましいシランには、C1-6アルコキシ基を有する3-グリシドキシプロピルトリアルコキシ-シラン、C2-12アルキル基およびC1-6アルコキシ基を有するトリアルコキシ(オキシラニルアルキル)シラン、C1-6アルコキシ基を有する2-(1,2-エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、C1-6アルコキシ基を有する3-ブテニルトリアルコキシシラン、C2-12アルケニル基およびC1-6アルコキシ基を有するアルケニルトリアルコキシシラン、C2-12アルキル基を有するトリス[(1-メチルエテニル)オキシ]3-オキシラニルアルキルシラン、C1-6アルコキシ基を有する[5-(3,3-ジメチルオキシラニル)-3-メチル-2-ペンテニル]トリアルコキシシラン、(2,3-オキシランジイルジ-2,1-エタンジイル)ビス-トリエトキシシラン、C1-6アルコキシ基およびC2-12アルキル基を有するトリアルコキシ[2-(3-メチルオキシラニル)アルキル]シラン、トリメトキシ[2-[3-(17,17,17-トリフルオロ-ヘプタデシル)オキシラニル]エチル]シラン、トリブトキシ[3-[3-(クロロメチル)オキシラニル]-2-メチルプロピル]シラン、およびその組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。シランは、その条件が当業者に周知であるシラン化反応スキームに従って半導体構造に共役させることができる。
【0073】
ハロゲン化物は、当業者に周知の条件で半導体構造に共役させることができる。
【0074】
その後、共役物質によって提供された官能性のタイプに応じて、一つまたはそれ以上の第一のプローブを半導体構造に結合させる。典型的に、第一のプローブを共役物質に結合させる、または水性条件および/または水性/アルコール条件で半導体構造を結合させるために共役物質を置換する。例えば、アミノ基、チオールまたはアルコールを結合させるためにに、エポキシド官能基を開環させることができ、アルケニル基を結合させるためにアルケニル官能基を反応させることができる。ハロゲン化共役物質を用いる場合、ハロゲン化共役物質は、典型的に、半導体結合基としてアルコール基を含む一つまたはそれ以上のプローブに官能化半導体構造に曝露した際に置換される。
【0075】
一つまたはそれ以上の第一のプローブが二つまたはそれ以上の分析物結合基を含む場合、分析物結合基はまた、相互作用して半導体構造の官能化表面に結合する可能性がある。これが起こらないようにするために、官能化多孔性半導体構造をブロッキング物質に曝露して、一つまたはそれ以上のプローブが半導体構造の表面に結合することができる部位の数を最小限にすることができる。ブロッキング物質に対する曝露は、半導体構造の官能化表面をプローブに曝露する前、またはそれと同時に行うことができるが、同時の曝露が一般的に好ましい。ブロッキング物質は、それらが分析物結合基を欠損する場合、またはブロッキング物質が単純な末端キャッピング物質となりうる場合を除き、第一のプローブと構造的に類似となりうる。例として、アミノ酸アルキルエステル(例えば、グリシンメチルエステル、グリシンエチルエステル、3-アラニンメチルエステル等)ブロッキング物質をエポキシド官能化半導体表面に導入して、グリシンアミノ基がエポキシド環を開環して、共役物質に共有結合することができる。
【0076】
生体センサーの屈折率の検出可能な変化は、用いる検出器のタイプの感度に応じて、一つまたはそれ以上の第一のプローブが分析物分子に結合した際に起こる。多くの広く利用可能な検出器は、約2 nmまたはそれ以上のフォトルミネッセンスピーク放出シフトの検出を提供する。
【0077】
定量的検出が望ましい場合、フォトルミネッセントピーク放出シフトは、分析物を含む試料に対するその暴露後の孔に出現する結合分析物の量と相関する。生体物質に結合することができる分析物の最大数、例えば表面結合第一プローブ上の利用可能な分析物結合基の数、それらの条件で得ることができる最大シフトが公知であれば、起こる検出されたシフトに基づいて試料中の分析物の定量的濃度を予測することが可能である。
【0078】
血液、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、便、喀痰、脳脊髄液、涙液、または粘液のような生体試料に含まれる分析物を検出するために用いるために適したマイクロアレイ検出器として用いるために、望ましい分析物にとって特異的な第一のプローブを含めるように、バイオセンサー上の多くの位置または領域を官能基化する。例えば、特異的分子またはエピトープを含む特定のタイプの分子に結合するように選択された抗体は、バイオセンサーの個別の領域に存在しうる。これらの位置のそれぞれにおける一つまたはそれ以上の第一のプローブは、同じ(同じ分析物に結合する)または異なりうる(異なる分析物に結合するように選択される)。
【0079】
本発明の方法は、「カスケードセンシング」または「カスケード結合」と呼ばれる生体分子相互作用の多数の層を検出するために、半導体バイオセンサーに関する上記の特性を利用する。カスケード結合において、第一のプローブとの複合体に一度結合した分析物は、結合した複合体におけるいずれかの分子に結合するラマン活性または蛍光活性プローブに関する結合分析物となる。当業者はカスケード結合に基づく感知が、単一のプローブが結合した結果に基づく方法と比較して、非特異的結合によって生じる疑陽性の割合を減少させることを認識するであろう。
【0080】
ラマン活性プローブは、ラマン活性タグを含み、望ましい結合複合体または第一のプローブに結合するために適している任意のプローブである。例えば、一つの態様において、第一のプローブは、試料における公知のタンパク質含有分析物に対するその特異的結合に関して選択された一次抗体であり、ラマン活性プローブは、一次抗体に結合して、ラマン活性タグを有する二次抗体となりうる。センサーに結合した第一のプローブが公知の多様なタンパク質含有分析物に対して特異的な多数の抗体である態様において、ラマン活性プローブは、当技術分野において公知であるように、一次抗体に結合するラマン活性タグを有する二次抗体となりうる。この態様において、ラマン活性プローブは、特定のタイプの抗体、例えばIgGまたはIgAに対して特異的な二次抗体となりえて、用いるラマン活性プローブは全て同じとなりうる。または、異なるラマン活性抗体も同様に、ラマン活性プローブとして用いることができる。
【0081】
例えば二次抗体に対する結合によって、ラマン活性プローブに含めるために適したラマン活性タグには、ラマン活性蛍光体および有機分子が含まれる。本発明の方法におけるラマン活性タグとして用いるために適した有機分子には、アデニンまたは4-アミノ-ピラゾロ(3,4-d)ピリミジン、2-フルオロアデニン、N6-ベンゾイルアデニン、キネチン、ジメチル-アリル-アミノ-アデニン、ゼアチン、ブロモ-アデニン、8-アザ-アデニン、8-アザグアニン、6-メルカプトプリン、4-アミノ-6-メルカプトピラゾロ(3,4-d)ピリミジン、8-メルカプトアデニン、もしくは9-アミノ-アクリジンのようなその類似体が含まれる。ラマン活性有機化合物は一般的に分子量約300ダルトン未満を有するであろう。ラマン活性タグはまた、蛍光標識となりうる、または蛍光標識を含みうる。
【0082】
ラマン活性プローブによって産生されたラマンスペクトルを増強するために、本発明の一つの態様において、ラマン活性プローブが第一のプローブと分析物との複合体に結合した後に、ラマン活性プローブをインサイチューでSERS-活性プローブに変換することが企図される。この目的のために、金または銀のような透明な金属層は、センサーの上層および/またはその上の結合複合体の粗面表面に沈着させて、粗面表面を有する金属層を提供する(図3C)。例えば、金属層は、覆うべき表面を還元剤の存在下で金属陽イオンのコロイド溶液に接触させることによって、金属のナノ粒子の層を形成させることによって形成することができる。金属層は、照射光源の波長の約半分の厚さ、例えば約100 nm〜約200 nmのような約15 nm〜約500 nmを有しなければならない。
【0083】
粗面金属表面はいくつかの方法の一つを用いて産生することができる。粗面特徴は、ナノメートルの10分の1の次数である;すなわち入射励起放射線の波長と比較して小さい。粒子の大きさが小さければ、金属粒子の表面プラズモンの励起を粒子上に局在させることができる。金属表面での金属粗面特徴は、多くの方法;例えばバイオセンサーの上層への金属粒子の蒸着または金属コロイドの適用によって作製することができる。その大きさが小さい場合、金属の表面電子は粒子に閉じこめられることから、プラズモンの励起も同様に粗面特徴に閉じこめられる。得られたプラズモンの電磁場は非常に強く、ラマンシグナルと比較してSERSシグナルを強く増強する。非弾性的にラマン散乱されるのは光子の1%未満であると推定されている。しかし、SERS条件で散乱分子からのラマンシグナルの強度が大きく増強される本発明の方法の態様では、低濃度のラマン活性分析物をピコおよびフェントモル濃度もの低い濃度で検出することができる。いくつかの状況において、本発明の方法を用いて、金属陽イオンを減少させるために適した条件でバイオセンサーの上表面を金属陽イオンに接触させることによって、血清のような複雑な生体試料における単一の分析物分子の有無を検出することができる。銀または金のような金属ナノ粒子の薄い層を沈着させることができる。
【0084】
例えば、金属標本を、バイオセンサー上での直接沈着のためにスパッターまたは蒸発させることができる。または、適した金属陽イオンと還元剤とを含む水溶液を調製して、インサイチューで金属陽イオンを減少させる条件に供して、バイオセンサーおよびその上に結合する分子の表面上の薄膜において中性のコロイド金属ナノ粒子を形成させる。
【0085】
コロイド形成の際にラマン活性有機タグを金属に吸着させる。ラマン活性タグが金属層の近位に存在するために、放射線照射の際にタグによって表面増強ラマン散乱(SERS)が産生されるであろう。
【0086】
本発明の方法は、ラマン活性分子が適した光源によって直接放射線照射され、ラマンまたはSERSスペクトルが検出される他のタイプのラマン分光法またはSERS技術とは異なる。本発明の方法において、ラマン活性分子は、バイオセンサーの放射線照射時にバイオセンサー自身によって産生される蛍光によって間接的に照射される。ラマンまたはSERSシグナルは、バイオセンサーから放射される蛍光によるその中のラマン活性タグの励起によってラマン活性プローブ(例えば、抗体)から生成される。
【0087】
放射線照射バイオセンサーからの繰り返し蛍光放射により、ラマンシグナルはスペクトル範囲にわたって生成される。
【0088】
本発明の方法の一つの態様において、ファブリー-ペロー干渉計を用いてSERSまたはラマンシグナルの特定の線のみを透過させて、透過されたシグナルを単一のチャンネル検出器を用いて回収することができる。例えば、干渉計の透過線を整調することによって一定範囲のスペクトルを回収することができる。異なる励起波長において産生されたラマンシグナルは、対象結合生体分子に関する異なるスペクトル情報を生じる。
【0089】
ファブリー-ペロー干渉計は、高解像度のハイスループット分光光度計であり、建設的干渉の原理に基づいて作動する。結合レンズ対(干渉計がそのあいだに存在する)を通して撮像する単色光点光源を仮定すると、光線は干渉計において建設的または破壊的に干渉する。このように、明点または暗点が画像平面に認められる。分散型単色光源の場合、異なる光線が空洞内の異なる光路を移動して、ファブリー-ペロー干渉計は角度フィルターとなり、それによって特徴的な環状の「エアリー」フリンジパターンが得られる。プレートの面間隔をわずかに変化させると、または光源を整調すると、エアリーパターンの「位相」が変化する。スキャンモードで用いる場合、ファブリー-ペロー干渉計を用いて、検出器上での単一のプローブ容積からの光子を造影することができる。次に、圧電アクチュエーターによって鏡を走査する。この技術は、干渉計の建設的干渉通過帯域を移動させて、試験中のルミネッセントフローから散乱した光子のスペクトル特徴に及ぶ走査を可能にする(図4)。
【0090】
もう一つの態様において、本発明は、バイオセンサー、バイオセンサーに光を照射するように配置される光源(例えば、アルゴン、カドミウム、ヘリウム、または窒素レーザーおよび付随する光学装置)、および生体センサーからのフォトルミネッセント放出を捕獲して、生体センサーからのフォトルミネッセント放出の変化を検出するように配置された検出器を含むシステムを提供する。光源および検出器はいずれも、ラマン分光計に存在しうる。適当なマイクロプロセッサーを備えたコンピューターを検出器に接続して、分光計からのデータを受領し、データを分析して、分析物に対する生体センサーの曝露前後のフォトルミネッセンスを比較する。
【0091】
さらにもう一つの態様において、本発明は、試料中の分析物を生体センサーの一つまたはそれ以上のプローブに結合させるために有効な条件で、生体センサーを試料に曝露することによって試料中の分析物を検出する方法に関する。そのような曝露後、生体センサーが、試料中の分析物の存在を示す、変化したフォトルミネッセント放出パターンを放出するか否かを決定する。二つのタイプの変化を認めることができる。多孔性のシリコン被膜は、その白色光反射スペクトルにおいてファブリー-ペローフリンジを示す(「Luminescent Color Image Generation on Porous Si」, Doan, V.V.,;Sailor, M.J. Science 1992, 256, 1791〜1792を参照されたい)。適当な相補的結合対に曝露すると、結合が起こり、ファブリー-ペローフリンジの波長のシフトとして認められる。さらに、マイクロキャビティの共鳴特徴のシフトを認める。
【0092】
シフトが起こったか否かを決定するために、第一の(基準値)フォトルミネッセント放出パターンを、試料に対する暴露前に測定して、試料に対する暴露後に第二のフォトルミネッセント放出パターンを測定して、第一および第二の放出パターンを比較する。約2 nmもの小さいシフトが、試料中の分析物の存在を示しうる。典型的に、シフトの大きさは、認識される分析物の大きさおよび試料中のその濃度に依存するであろう。この決定は、上記の検出装置を用いて行うことができる。
【0093】
本発明の方法を用いて試験することができる試料には、血液、水、固体の水性懸濁液(例えば、食品粒子、土壌粒子等)、または臨床単離体(哺乳類患者からの組織ホモジネートのような)からの細胞浮遊液が含まれる。試料に細胞が含まれる場合、生体センサーに曝露する前に、細胞膜を破壊するために有効な方法で試料を処理することが望ましいが、必須ではない。これは、検出されることが求められる分析物の構造を変化させない化学的手段、機械的手段(フレンチプレス)、超音波処理、または凍結(および融解)によって行うことができる。
【0094】
上記の全てから、生体試料をスクリーニングするための本発明の方法は、プロテオミクスの場合、タンパク質-タンパク質相互作用を決定する目的、ゲノム分析の場合、遺伝子転写事象の調節に関与する分子相互作用パートナーを定義する目的、代謝分析の場合、一般的に特定のタンパク質または核酸との相互作用を決定するために薬物をスクリーニングする目的のみならず、特定のプローブ(それ自身、治療的または予防的治療のために生化学的分析物となりうる)に結合する種を決定するために組み合わせライブラリをスクリーニングする目的のために、適当なプローブと共に用いることができると認識すべきである。
【0095】
さらに、本発明の方法は、特定の個体からの体液試料のタンパク質プロフィールを作製するために、公知の疾患を有する患者から得られた特定のタイプの体液と健康な個体から得られた同等の試料におけるタンパク質プロフィールの差を決定する目的のために、そのようなタンパク質プロフィールのライブラリを作製するために用いることができる。最終的に、そのようなプロフィールのライブラリは、同等の健康または正常な試料を代表するプロフィールと、被験者のプロフィールを比較することによって、被験者を診断的にスクリーニングするために用いることができる。
【0096】
以下の実施例は、本発明を説明するためであって制限しない。
【0097】
実施例
ラマン分光法によるDNAの同定
同一の配列の一本鎖DNAを、異なる位置で蛍光分子TAMRAによって標識した(図4)。標識の位置に応じて、標識されたDNA分子は、図5に示されるように独自のラマンシグナルを生成した。
【0098】
好ましい態様を本明細書において詳細に説明および記述してきたが、様々な改変、付加、置換等を行うことができ、それらも本発明の趣旨に含まれること、したがってこれらは以下の請求の範囲に定義される本発明の範囲に含まれることは、当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1Aは中心層のいずれかの側に配置された交互の多孔性の多数の層を有するナノ多孔性シリコンキャビティを示す概略フローチャートである。図1Bは図1Aのナノ多孔性シリコンキャビティからの蛍光放出を示すグラフである。
【図2】一次抗体がその上に固定された部分的ナノ多孔性シリコン層の略図である。図2Aは、ナノ多孔性キャビティに固定された固定一次抗体に結合した抗原を示す。図3Bは、抗原に結合したラマン活性二次抗体を示す。図3Cは、ナノ多孔性キャビティの上層の銀の薄膜層の沈着を示す。固定された一次抗体に対する抗原の結合によって生成されたセンサーにおける層の有効な光学的厚さの増加による放出を、図2Dにグラフで示す。
【図3】ラマン活性二次抗体に対する図2のセンサーの曝露を示す概略フローチャートを示す。図3Aは、ナノ多孔性キャビティにおいて固定された一次抗体に結合した抗原を示す。図3Bは、抗原に結合したラマン活性二次抗体を示す。図3Cは、ナノ多孔性キャビティの上層における銀薄膜層の沈着を示す。センサーにおけるナノ多孔性キャビティによって産生された強い蛍光の放出は、図3DでSERSシグナルをグラフで示すように、ラマン活性二次抗体を励起してSERSシグナルを生成する。
【図4】図3に示すようにセンサーに結合した二次抗体から生成されたSERSシグナルのグラフによる表示である。センサーから繰り返し蛍光が放射されたために、ラマンシグナルはスペクトル範囲にわたって生成される。ファブリー-ペロー干渉計を通して透過された光を集めることによって、示されるように走査のために透過線をシフトさせることができる。
【図5】分子の相対する末端に蛍光分子ROXおよびFAMを有する一つのポリヌクレオチド、およびDNA上の異なる位置で蛍光分子TAMRAによって標識された同一の配列の三つの一本鎖DNAを示す。標識の位置に応じて、標識されたDNA上分子は独自のラマンシグナルを生成する。
【図6】図5のラマン標識一本鎖DNA分子によって産生されたラマンスペクトルを示すグラフである。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、生体試料の内容物を分析する方法:
a)上層と下層のそれぞれが交互の多孔性を有する約5〜約20層を含む、上層と下層の間に挟まれた中心層を含むナノ多孔性の半導体構造と、多孔性半導体構造に共役させた一つまたはそれ以上の第一のプローブとを含むナノ多孔性半導体センサーを適した条件で生体試料に接触させる段階であって、一つまたはそれ以上の第一のプローブが試料中の少なくとも一つの分析物に特異的に結合して、一つまたはそれ以上の結合複合体を形成する段階;
b)その特異的結合を促進するために適した条件でラマン活性プローブを一つまたはそれ以上の結合複合体に接触させる段階;
c)その放出が結合複合体からのラマンスペクトルを産生する、センサーからの蛍光の放出を引き起こすためにセンサーに光を照射する段階;および
d)結合した分析物に関連するラマンシグナルによって、試料における分析物の存在およびタイプが示される、結合複合体によって産生されたラマンシグナルを検出する段階。
【請求項2】
半導体がシリコンである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
上層と下層のそれぞれが交互の多孔性の9層から10層を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
多孔性の半導体構造が、平均孔径約10 nm〜約100 nmを有する孔を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
第一のプローブがアビジン、ペプチド模倣化合物、およびバンコマイシンからなる群より選択される非ポリマー性低分子である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
第一のプローブが、リポ多糖類に結合するテトラトリプトファンter-シクロペンタンである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
第一のプローブが、細胞表面分子の受容体、リピッドA受容体、抗体またはその断片、ペプチドモノボディ、リポ多糖類結合ポリペプチド、ペプチドグリカン結合ポリペプチド、糖質結合ポリペプチド、およびホスフェート結合ポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第一のプローブが試料中のタンパク質含有分析物に特異的に結合する抗体であって、ラマン活性プローブが第二抗体およびラマン活性標識を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
産生および検出されるラマンスペクトルがSERSスペクトルであるように、構造の上層にわたって、バイオセンサーに光を照射する光源の波長の約半分の厚さを有する金または銀ナノ粒子の層を沈着させる段階をさらに含む、請求項1または8記載の方法。
【請求項10】
センサーが、それぞれが多孔性の半導体構造に結合する第一の部分と第一のプローブに結合する第二の部分とを含む、一つまたはそれ以上の共役物質をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
一つまたはそれ以上の共役物質がシランである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
一つまたはそれ以上の第一のプローブのそれぞれが、その少なくとも一つが分析物に結合して、その少なくとも一つが共役物質の第二の部分に結合する、複数の結合部位を含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
一つまたはそれ以上の第一のプローブが同じである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
第一のプローブが、異なる複数のタンパク質含有分析物に特異的に結合する複数の一次抗体であって、ラマン活性プローブが二次抗体およびラマン活性標識を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
一つまたはそれ以上の第一のプローブが、中心層ならびに上層および下層を通して多孔性の半導体構造に共役される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
SERSスペクトルがスペクトル範囲にわたって産生される、請求項9記載の方法。
【請求項17】
検出する段階が、シグナルの特定の線のみを透過するようにファブリー-ペロー干渉計を用いることを含み、透過したシグナルが単チャンネル検出器を用いて回収される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
SERSスペクトル範囲が、走査のための干渉計の透過線を整調することによって回収される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
ラマンシグナルが、一つまたはそれ以上の結合複合体における分析物に関する異なるスペクトル情報を生じるように、異なる励起波長を用いて連続的に産生される、請求項1記載の方法。
【請求項20】
試料が体液、水溶液における固体の懸濁液、細胞抽出物、または組織ホモジネートである、請求項1〜8記載の方法。
【請求項21】
体液が尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、便、喀痰、脳脊髄液、涙液、および粘液から選択される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
接触させる段階の前に、試料中の細胞の細胞膜を破壊するために有効な方法で試料を処理する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項23】
処理する段階が化学処理、機械処理、超音波処理、または凍結を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
以下の段階を含む検出システム:
a)以下を含むナノ多孔性生体センサー:
上層と下層とが交互の多孔性の層を含む、上層と下層の間に挟まれる中心層を含む多孔性の半導体構造;
b)生体センサーに光を照射するように配置された光源;および
c)センサーに結合した複合体からのラマンシグナルを捕獲するように配置された検出器。
【請求項25】
構造における一つまたはそれ以上の孔に生体分子が結合すると、生体センサーからのフォトルミネッセント放出を捕獲して、生体センサーからのフォトルミネッセント放出の変化を検出するように配置された検出器をさらに含む、請求項24記載のシステム。
【請求項26】
光源が水銀またはタングステン灯である、請求項24記載の検出システム。
【請求項27】
以下を含む、生体試料中のタンパク質含有分析物の存在を検出する方法:
a)以下を含むナノ多孔性生体センサーに共役させた少なくとも第一のプローブに、その中のタンパク質含有分析物を特異的に結合させるために有効な条件で、試料を接触させる段階であって、結合が一つまたはそれ以上の結合複合体を形成する段階:
上層および下層のそれぞれが交互の多孔性の層を含む上層と下層の間に挟まれた中心層を含むナノ多孔性シリコン構造、ならびに多孔性の半導体構造に共役させた少なくとも一つの第一のプローブ;
b)複合体に結合するラマン活性プローブに結合複合体を接触させる段階;
c)銀または金ナノ粒子の薄層によって結合複合体を覆う段階;
d)その放出によって結合複合体からのSERSシグナルが生成される、センサーからの蛍光放出を引き起こすためにセンサーに光を照射する段階;および
e)結合タンパク質含有分析物に関連したSERSスペクトルによって試料中にタンパク質含有分析物が存在することが示される、SERSシグナルによって産生されたSERSスペクトルを検出する段階。
【請求項28】
上層と下層のそれぞれが交互の多孔性の六つまたはそれ以上の層を含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
多孔性半導体構造が平均孔径約10 nm〜約100 nmを有する孔を含む、請求項27記載の方法。
【請求項30】
第一のプローブが試料中の少なくとも一つのタンパク質含有分析物に対して特異的に結合する抗体を含み、ラマン活性プローブが第二抗体およびラマン活性標識を含む、請求項27記載の方法。
【請求項31】
第一のプローブが複数の異なるタンパク質含有分析物に対して特異性を有する複数の一次抗体であって、ラマン活性プローブが二次抗体およびラマン活性標識を含む、請求項27または30記載の方法。
【請求項32】
SERSシグナルがスペクトル範囲にわたって産生される、請求項27または30記載の方法。
【請求項33】
検出する段階が、シグナルの特定の線のみを透過するようにファブリー-ペロー干渉計を用いることを含み、透過したシグナルが単チャンネル検出器を用いて回収される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
スペクトル範囲が、走査のために干渉計の透過線を整調することによって回収される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
異なる照射波長を用いてラマンシグナルが連続的に産生されて、一つまたはそれ以上の結合複合体においてタンパク質含有分析物に関する異なるスペクトル情報を生じる、請求項27記載の方法。
【請求項36】
検出する段階が、少なくとも一つのタンパク質含有分析物を同定する、請求項27記載の方法。
【請求項37】
試料が、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、便、喀痰、脳脊髄液、涙液、粘液、体液における固体の懸濁液、または組織ホモジネートを含む、請求項27記載の方法。
【請求項38】
試料が臨床単離体からの細胞浮遊液である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
接触させる段階の前に、試料中の細胞の細胞膜を破壊するために有効な方法で試料を処置する段階をさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項40】
ラマンタグが、アデニン、4-アミノ-ピラゾロ(3,4-d)ピリミジン、2-フルオロアデニン、N6-ベンゾイルアデニン、キネチン、ジメチル-アリル-アミノ-アデニン、ゼアチン、ブロモ-アデニン、8-アザ-アデニン、8-アザグアニン、6-メルカプトプリン、4-アミノ-6-メルカプトピラゾロ(3,4-d)ピリミジン、8-メルカプトアデニン、または9-アミノ-アクリジンから選択される、請求項27記載の方法。
【請求項41】
以下を含む、生体試料の内容物を分析する方法:
a)上層と下層のそれぞれが交互の多孔性の約5〜約20層を含む、上層と下層の間に挟まれた中心層を含むナノ多孔性半導体構造と、多孔性半導体構造に共役させた一つまたはそれ以上の第一のプローブとを含むナノ多孔性半導体センサーに、適した結合条件で生体試料を接触させる段階であって、一つまたはそれ以上の第一のプローブが試料中の少なくとも一つの分析物に特異的に結合して、一つまたはそれ以上の結合複合体を形成する段階;
b)その特異的結合を促進するために適した条件で蛍光活性プローブに一つまたはそれ以上の結合複合体を接触させる段階;
c)放出によって結合複合体からの二次蛍光放出が生成される、センサーからの蛍光放出を引き起こすためにセンサーに光を照射する段階;および
d)結合分析物に関連した二次蛍光放出によって試料における分析物の存在およびタイプが示される、結合複合体によって産生された二次蛍光放出を検出する段階。
【請求項42】
第一のプローブが複数の異なるタンパク質含有分析物に特異的に結合する複数の一次抗体であって、蛍光活性プローブが二次抗体および蛍光標識を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
以下を含む、生体試料の内容物を分析する方法:
a)上層と下層のそれぞれが交互の多孔性の約5〜約20層を含む、上層と下層の間に挟まれた中心層を含むナノ多孔性半導体構造と、多孔性半導体構造に共役させた一つまたはそれ以上の第一のプローブとを含む、ナノ多孔性半導体センサーに、適した結合条件で生体試料を接触させる段階であって、一つまたはそれ以上の第一のプローブが試料中の少なくとも一つの分析物に特異的に結合して、一つまたはそれ以上の結合複合体を形成する段階;
b)結合複合体における分析物からの光学的放出を引き起こすためにセンサーに光を照射する段階;
c)光学的放出が結合複合体における分析物の存在およびタイプに関する情報を提供する、結合複合体における分析物によって産生された光学的放出を検出する段階。
【請求項44】
分析物がタンパク質含有分析物またはDNA分子である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
光学的放出がラマンシグナルである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
光学的放出が蛍光である、請求項44記載の方法。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−518075(P2007−518075A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547378(P2006−547378)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/043347
【国際公開番号】WO2005/066612
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(503161132)インテル・コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】