説明

多孔性基材フィールド内の金属ナノクラスターのその場での形成方法

多孔性基材内の金属ナノクラスターのその場での形成方法は、多孔性基材に重金属塩水溶液を吸収させる工程と、この吸収させた多孔性基材を電離放射線に暴露して、重金属ナノクラスターを多孔性基材内に形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性基材内の金属ナノクラスターのその場での形成方法に関する。別の態様では、本発明は、例えば抗微生物性の用途に有用な金属ナノクラスターを含む多孔性基材を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の金属、例えば、銀、金、プラチナ、及びパラジウムは抗微生物活性を呈する。銀は例えば、何世紀もその抗微生物効果についてよく知られている。近年では、銀を含有する様々な製品が、例えば外傷治療、レスピレータ、繊維製品、薄膜、濾材、粉末コーティング、及び成形用塑性体において、抗微生物性の用途の市場に導入されている。銀を物品に提供するために、様々な方法が利用されている。例えば、多くの場合において、銀のナノ粒子がまず作製されるか、又は購入されて、次いで物品の上に蒸着される(例えば、スパッタリング又はイオン蒸着によって)。他の場合では、例えば銀は、銀塩を沈殿させることによって、又はアミンとの銀の錯体を形成することによって形成される。更に他の場合では、例えば、繊維製品の繊維が銀でコーティングされ、次いで編物、織布、及び不織布にて使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
前述を考慮して、本発明者らは、当該技術分野において、多孔性基材内にナノサイズの金属を提供する方法の必要性があると認識している。更に本発明者らは、そのような方法が、真空又はコロイド化学を必要とすることなく、連続的な方法で実施することができる単純な方法であることは、有利であるということを認識している。
【0004】
すなわち、1つの態様では、本発明は、多孔性基材内の金属ナノクラスターの形成の単純な方法を提供する。本方法は、(a)多孔性基材に重金属塩水溶液を吸収させる工程と、(b)吸収させた多孔性基材を電離放射線に暴露して、重金属ナノクラスターを多孔性基材内に形成する工程と、を含む。
【0005】
驚くべきことに、本発明の方法は、多孔性基材内の重金属ナノクラスターのその場での形成を提供する。重金属ナノクラスターを堆積させる前にそれらをまず形成するために別個の工程は必要とされない。更に、重金属ナノクラスターを誘導して、多孔性基材内に核を形成するすることは、このようなナノクラスターが更に大きなクラスターへ合体し、成長するのを防止することが発見されている。このように、得られる重金属ナノクラスターの大きさは、基材の隙間の寸法又は孔の寸法によって自己制御される。有利なことに、本発明の方法は連続的方式で実施することができる。更に、それはいずれの真空又はコロイド化学をも必要としない。本発明の方法はそのため、多孔性基材内にナノサイズの金属を提供する単純な方法に対する、当該技術分野における必要性に応える。
【0006】
別の態様では、本発明は、多孔性基材内に組み込まれた重金属ナノクラスターを含む物品を提供する。
【0007】
本明細書で使用されるとき、用語「重金属」は、原子番号が21(スカンジウム)より大きいいずれかの元素を指し、用語「ナノクラスター」は、約100nm未満の寸法を有する、個々の粒子又は凝集粒子のクラスターを指す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に従って、多孔性基材内に金属ナノクラスターを形成する方法の略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の方法では、多孔性基材は、重金属ナノクラスターの形成中の分離マトリックス(isolation matrix)として機能する。得られる重金属ナノクラスター用に、所望の寸法の隙間又は孔を有する任意の多孔性基材は、この基材が電離放射線の軽度の照射線量に耐え得るかぎり使用することができる。典型的に、多孔性基材は、約30nm〜約100マイクロメートルまでの範囲の有効孔径を有する。多孔性基材は、例えば、薄膜、ガーゼ又は織布の布地、不織布材料、紙、発泡体、スポンジ等であり得る。多孔性基材は親水性又は疎水性であり得る。多孔性基材は、エレクトレットとして帯電され得る(すなわち、準恒久型電荷を呈する誘電基材)。
【0010】
いくつかの実施形態では、多孔性基材は布地である。この布地は、例えば、織る、編む、より合わせる等のような従来の布地形成プロセスによって形成することができる。好ましくは、この布地は不織布である。好適な不織布は、例えば(a)メルトブロー、(b)スパンレイド、(c)スピニング、及び(d)プレキシフィラメント(plexifilament)形成物のウェット若しくはドライレイイング、又は溶液若しくはメルトナノファイバーのスピニングによって作製することができる。微細な繊維布地の形成は、繊維の分離(例えば、機械的なコーミング若しくは他のプロセス、又は水流交絡)及びスパンレースプロセス(例えば、水流交絡による)を伴う場合もある。布地がメルトブローによって形成されていることが好ましい場合もある。
【0011】
不織布では、隙間又は孔の寸法は典型的に、最大で平均繊維径の3倍であり、圧縮又はコーティングされた場合、典型的に平均繊維径の1.5倍ほどの小ささであり得る。
【0012】
1つの実施形態では、多孔性基材は微多孔性基材である。微多孔性基材は典型的に、約100μm未満(好ましくは約10μm未満の、より好ましくは約1μm未満)の平均孔径を有する。適切な微多孔性基材としては、微多孔性膜及び微多孔性繊維が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
微多孔性基材は、疎水性微多孔性基材となる1つ以上のポリマー材料を含むことができる。適切なポリマー物質としては、ポリオレフィン、ポリ(イソプレン)、ポリ(ブタジエン)、フッ素化ポリマー、塩素化ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(スルホン)、ポリフェニレンオキサイド、ポリ(ビニルアセテート)、ビニルアセテートのコポリマー、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルアルコール)、及びポリ(カーボネート)が挙げられるが、これらに限定されない。好適なポリオレフィンとしては、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(1−ブテン)、エチレンとプロピレンの共重合体、αオレフィンコポリマー類(1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン及び1−デセンの共重合体など)、及びポリ(エチレン−コ−1−ブテン−コ−1−ヘキセン)が挙げられるがこれらに限定されない。適切なフッ素化ポリマーとしては、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン)、フッ化ビニリデンのコポリマー(例えば、ポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)、及びクロロトリフルオロエチレンのコポリマー(例えば、ポリ(エチレン−コ−クロロトリフルオロエチレン)が挙げられるが、これらに限定されない。好適なポリアミドとしては、ポリ(イミノ(1−オキソヘキサメチレン))、ポリ(イミノアジポイルイミノヘキサメチレン)、ポリ(イミノアジポイルイミノデカメチレン)及びポリカプロラクタムが挙げられるがこれらに限定されない。好適なポリイミドとしては、ポリ(ピロメリトイミド)が挙げられるがこれらに限定されない。好適なポリ(エーテルスルホン)としては、ポリ(ジフェニルエーテルスルホン)及びポリ(ジフェニルスルホン−コ−ジフェニレンオキシドスルホン)が挙げられるがこれらに限定されない。好適なビニルアセテートのコポリマーには、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、及びアセテート基の少なくとも一部が加水分解されていて、種々のポリ(ビニルアルコール)を与えるコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
好適な市販の親水性及び疎水性の微多孔性膜は、商品名DURAPORE及びMILLIPORE EXPRESS MEMBRANE(Billerica,MassachusettsのMillipore Corporationから入手可能)で市販されている。商品名NYLAFLO及びSUPORで知られている他の好適な市販の微多孔性膜がPall Corporation(East Hills,NewYork)から入手可能である。
【0015】
微多孔性基材は、シリカ又はチタニアなどの無機充填剤を含有してもよい。
【0016】
1つの望ましい実施形態では、微多孔性基材は、上記のポリマー材料の1つ以上を含む疎水性微多孔性膜である。好ましくは、疎水性微多孔性膜は、熱誘起相分離(TIPS)膜の形態である。他の望ましい実施形態では、多孔性基材は親水性微多孔性膜、例えば親水性TIPS膜である。
【0017】
TIPS膜は、多くの場合、熱可塑性材料と熱可塑性材料の融点を超える第二物質との溶液を形成することにより調製される。冷却と同時に熱可塑性材料は結晶し、相が第二物質から分離する。結晶化した材料は、多くの場合、伸長される第二物質は、適宜に伸長前又は後のいずれかで除かれる。TIPS膜及びその製造方法は、米国特許第1,529,256号、同第4,539,256号、同第4,726,989号、同第4,867,881号、同第5,120,594号、同第5,260,360号、及び同第5,962,544号に開示され、これらの全ての対象は本明細書に参照により組み込まれる。
【0018】
いくつかの実施形態では、TIPS膜は、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリ(エチレン)又はポリ(プロピレン)などのポリオレフィン、ビニル含有ポリマー若しくはエチレン−ビニルアルコールコポリマーなどのコポリマー、及びブタジエン含有ポリマー若しくはコポリマー、並びにアクリレート含有ポリマー若しくはコポリマーなどのポリマー材料を含む。PVDFを含むTIPS膜は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2005/0058821号(Smith et al.)で更に開示されている。
【0019】
別の実施形態では、多孔性基材は不織布ウェブである。本明細書で使用するとき、用語「不織布ウェブ」は、マット状の方式で、無作為に及び/又は一方向に相互配置されている個々の繊維又は5つのフィラメントの構造を有する布地を意味する。
【0020】
有用な不織布ウェブは、当該分野において既知の方法によって作製することができる。例えば、繊維状不織布ウェブを、毛羽立て、エアレイド、スパンレース、スパンボンド若しくはメルトブロー技術、又はこれらの組み合わせにより製造することができる。スパンボンド繊維は、典型的には、押し出される繊維の直径を持つ微細で通常は円形をした複数個の紡糸口金の毛管から、溶融した熱可塑性ポリマーをフィラメントとして押し出し、急激に縮小させることにより形成された小径繊維である。メルトブロー繊維は、典型的には、溶融した熱可塑性物質を、融解した糸又はフィラメントとして、微細で通常は円形をした複数個の金型(die)毛管を通して、溶融した熱可塑性物質のフィラメントを弱めてその直径を縮小させる高速の、通常は加熱されたガス(例えば空気)の流れの中に押し出すことによって形成されている。その後、高速ガス流によって、メルトブロー繊維は移動され収集面上に堆積し、無作為に分散されたメルトブロー繊維のウェブを形成する。任意の不織布ウェブは、熱可塑性ポリマーの種類及び/又は厚さが異なる単一の繊維又は2つ以上の繊維から製造されてよい。
【0021】
好適な不織ウェブには、例えば、Wente,V.A.「Superfine Thermoplastic Fibers」,Industrial Engineering Chemistry,48,1342〜1346(1956)、及びWente,V.A.,「Manufacture of Super Fine Organic Fibers」,Naval Research Laboratories(Report No.4364)May25,1954で述べられているメルトブローマイクロファイバー不織ウェブが含まれる。例えば、不織ウェブは、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,962,544号で述べられているエチレン−ビニルアルコールコポリマーから作製され得る。いくつかの実施形態では、好適な不織ウェブはナイロンから作製され得る。
【0022】
多孔性基材に重金属塩水溶液を吸収させる。好ましくは、重金属塩溶液は、金塩、銀塩、パラジウム塩、プラチナ塩、銅塩、又はこれらの組み合わせ(より好ましくは、金塩、銀塩、銅塩、又はこれらの組み合わせ、最も好ましくは金塩、銀塩、又はこれらの混合)を含む。
【0023】
一般的な重金属塩には、例えば、重金属硫酸塩、リン酸塩、乳酸、塩化物、臭化物、炭酸塩、及び硝酸が挙げられる。好ましくは、重金属塩は硫酸塩である。
【0024】
典型的に、重金属塩水溶液は、約5重量%未満の重金属塩を含む。好ましくは、重金属塩水溶液は、約0.01重量%〜約1重量%の重金属塩(より好ましくは約0.2重量%〜約1重量%の重金属塩)を含む。重金属塩水溶液の濃度は、得られる重金属ナノ粒子(nanoparticle nanoparticles)の寸法、形成される重金属ナノ粒子の数、及び重金属ナノ粒子を形成するのに必要とされる電離放射線の照射線量に、ある程度の影響を与え得る。
【0025】
任意に、重金属塩水溶液は、少なくとも部分的に水と混和性である非極性溶媒、例えば、アルコール、ケトン、エステル、又は他の有機溶媒を更に含むことができる。非極性溶媒は、1つ以上の理由により添加されてもよい。例えば、非極性溶媒は、濡れ性を改善するために、溶解度を低減するために(すなわち、析出を促進するために)、又は金属の形成に向けた均衡を促進するために(すなわち、金属粒子形成を促進するために)添加されてもよい。典型的に、非極性溶媒は、最高約25%まで添加される。
【0026】
好ましくは、非極性溶媒はアルコールである(より好ましくは、非極性溶媒はイソプロパノールである)。非極性溶媒の添加は特に、疎水性多孔性基材の表面エネルギーを打ち消すのに有用である。
【0027】
重金属塩水溶液は、当該技術分野において既知のコーティング方法、例えばディップコーティング、ブレードコーティング、ロールコーティング、スロットコーティング、グラビアコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、ノッチコーティング、スピンコーティング等を使用して多孔性基材内に吸収させることができる。好ましくは、多孔性基材は重金属塩水溶液で飽和している。
【0028】
多孔性基材に重金属塩水溶液を吸収させた後、それは電離放射線に暴露されて、重金属ナノクラスターを多孔性基材内に形成する。本明細書で使用されるとき、「電離放射線」は、金属イオンを金属クラスターに縮小するために十分な照射線量及びエネルギーの放射線を意味する。電離放射線は例えば、電子ビーム(eビーム)、ガンマ線、又はX線であり得る。
【0029】
電子ビーム及びガンマ線は、一つには市販供給源の可用性のために、本発明の方法において好ましい。電子ビーム発生器は、例えば、種々の供給業者から入手可能であり、Energy Sciences,Inc.(Wilmington,MA)から入手可能なESI「ELECTROCURE」EB SYSTEM及びPCT Engineered Systems,LLC(Davenport,IA)から入手可能なBROADBEAM EB PROCESSORが挙げられる。ガンマ照射の供給源はコバルト−60の高エネルギー源を使用するMDS Nordionから市販されている。いかなる特定種類機器及び照射試料位置であろうとも、放出される照射線量は、「Practice for Use of a Radiochromic Film Dosimetry System」と題するASTM E−1275により測定することができる。エキストラクターグリッド電圧を変更することにより、供給源に対するビーム直径及び/又は距離、各種照射線量率を得ることができる。
【0030】
放射線量は、所望の濃度の単回投与で、又は所望の濃度に蓄積する複数の照射線量で施すことができる。照射線量は典型的に、累積的に約10kGy〜約40kGyの範囲である。放射線に敏感な基材、例えばポリプロピレンなどには、低照射線量の電離放射線が使用されてポリマーの劣化反応を避けることができる。
【0031】
重金属ナノクラスターは、多孔性基材内に直接形成され、かつ均一に分散される。多孔性基材は、分離マトリックスとして機能し、ナノクラスターの寸法を自己制御する。したがって、重金属ナノクラスターの寸法は、基材での隙間又は孔の寸法及び照射後のいずれかの技法により決定される。典型的に、重金属ナノクラスターは100nm未満である。いくつかの実施形態では、重金属ナノクラスターの平均寸法は、約40nm未満である。いくつかの好ましい実施形態では、重金属ナノクラスターの平均寸法は、約20nm〜約40nmである。
【0032】
多孔性基材内の重金属ナノ粒子を密接に結合する又は固定するために、吸収させた多孔性基材は、電離放射線への暴露によるナノ粒子の形成後に乾燥させることができる。乾燥は、当該技術分野において既知の方法、例えば、加熱(例えばオーブン内又はヒートガンを使用して)、ギャップ乾燥、ガス(窒素)衝突、強制空気等使用して達成することができる。好ましくは、吸収させた多孔性基材は、加熱したオーブン内で乾燥される。吸収させた多孔性基材は、基材を損傷しない任意の温度まで加熱することができる。任意の従来のオーブンを使用することができる。適切なオーブンとしては、対流式オーブンが挙げられるが、これに限定されない。
【0033】
乾燥後、その中に重金属ナノクラスターが吸収された多孔性基材は、当該技術分野において既知の方法を使用して、所望により(例えば、残留物の重金属塩を除去するために)洗浄することができる。いくつかの場合では、水を使用して水溶性残留物塩を抽出することができる。乾燥した多孔性基材が疎水性の場合、しかしながら、残留物塩を取り除くことができるように、基材を濡らすためのアルコール/水溶液が必要となる。
【0034】
重金属ナノクラスターの望ましい最終用途によって、ナノクラスターが多孔性基材から浸出可能(leachable)であることが望ましい場合がある。浸出可能な重金属ナノクラスターが望ましいとき、洗浄工程は所望により乾燥前に実施することができる。次いで、重金属ナノクラスターの分散系を得ることができる。
【0035】
あるいは、吸収させた多孔性基材の乾燥前に洗浄を利用することで、基材全体に重金属ナノクラスターを再分布し、これによって基材全体のナノクラスター分布を改善することができる。洗浄工程が、照射のすぐ後に実施されるときは、連続したナノクラスターの成長は、吸収する溶液の希釈によって制限される。ナノクラスターは、いくつか他の適用において溶液中で単離することができ、又は経時的に、基材に引き戻されて、コロンビウム吸引力によって基材に捕捉される。これにより、最初に形成されたクラスターは、より均一な分布となることができる。
【0036】
有利なことに、本方法は連続的方法で実施することができる。本発明に従って多孔性基材内に金属ナノクラスターを形成する代表的な連続的方法が、図1に示される。この代表的な方法は、吸収工程100、ライニング工程200、照射工程300、ライナー除去工程400、乾燥工程500、及び洗浄工程600を含む。
【0037】
図1に示されるように、多孔性基材11のロールは、多孔性基材11が吸収工程100に入るように巻き出すことができる。多孔性基材11は、所望の時間、重金属塩水溶液13に暴露されて吸収させることができる。
【0038】
いったん、多孔性基材11を重金属塩溶液13中に吸収させると、1つ以上のライナーは、吸収させた多孔性基材11にライニング工程200で加えることができる。図1では、任意の取り外し可能な支持材料ライナー15及び任意の取り外し可能なカバーライナー17の追加が示されている。典型的なライナーシート材料には、ポリエチレンテレフタレートフィルム材料及び他のポリマー材料を挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
吸収させた多孔性基材11は次いで、照射工程300に進み、そこでは基材は、十分な照射線量の放射線(好ましくは電子ビーム、ガンマ線、より好ましくは電子ビーム)18を提供することができる少なくとも1つの装置を使用して、十分な量の電離放射線に暴露され、重金属イオンを重金属ナノクラスターに縮小する。
【0040】
照射工程300の後に、ライナー除去工程400において、任意の取り外し可能な支持材料ライナー15及び任意の取り外し可能なカバーライナー17を取り除くことができる。多孔性基材11はここで重金属ナノクラスターを含有し、次いで、乾燥工程500に移動することができる。
【0041】
図1に示されるように、乾燥工程500は、オーブン19を使用して実施することができる。乾燥工程500は、多孔性基材11内に重金属ナノクラスターを固定する。重金属ナノクラスターが望ましいときは、乾燥工程500は省略することができる。
【0042】
次に、重金属ナノクラスター含有多孔性基材11は、リンスチャンバ内で又はリンススプレ−21を用いて、洗浄工程600で洗浄することができる。乾燥工程500が省略される場合は、重金属ナノクラスターは、洗浄工程600中に多孔性基材11から浸出する(又は多孔性基材11全体に再分布される)ことができる。
【0043】
洗浄工程600に続いて、多孔性基材はロール形態に巻き取ることができる。重金属ナノクラスター含有多孔性基材は、ロールの形態で将来の使用のために保管することができ、又はすぐに使用することができる。
【0044】
多孔性基材内に組み込まれた重金属ナノクラスターを含む多孔性基材は、例えば、抗微生物用途、濾過用途(例えば水濾過、触媒フィルタ、機内エアフィルタ、又はレスピレータ)、電磁場(EMS)遮蔽用途、及び更に多くの用途など、多くの用途で有用である。
【0045】
抗微生物用途に関して、多孔性基材は、例えば銀、金、銅、プラチナ、又はパナジウムなどの抗微生物活性を呈する重金属の重金属ナノクラスターを含む。このような物品は、水濾過、空気濾過、創傷治療、及び食品梱包などの用途で特に有用である。本発明の物品で作製することができる抗微生物性物品の例には、抗微生物性スポンジ、拭き取り用品、パッド、フィルタ、衣類、靴のライナー、食品梱包、寝具類等が挙げられる。例えば、軍事用途の衣類などの物品は、病原体に対して耐性をもたらすこともできる。
【0046】
ハイドロチャージ、コロナチャージ、及びこれらの組み合わせなど様々な既知の技法を使用して、エレクトレット電荷は(例えば不織布)ウェブ物品に付与することができる。後ですぐに消散する帯電(例えば、摩擦によって作られ得るもの)とは異なり、(例えば、不織布)ウェブ物品のエレクトレット電荷は、物品の意図された製品耐用期間において実質的に維持される。このように、十分な電荷は、使用時、並びに製造後少なくとも6カ月又は12カ月は確かである。
【0047】
驚くべきことに、多孔性基材内の金属ナノクラスターのその場での形成のための本発明の方法は、基材上に付与されたエレクトレット電荷を放電しないということが発見されている(すなわち、帯電した基材は、基材を電離放射線に暴露した後でさえも帯電したままである)。
【実施例】
【0048】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【0049】
試験方法
以下の試験方法を使用して、実施例で使用されるTIPS膜及び不織布を特徴付けた。
【0050】
水分流動性測定。水分流動は、約47ミリメートル(mm)(1.85インチ)の直径を有する試験フィルム又は不織布のディスクをModel 4238 Pall Gelman磁気フィルタホルダー(Pall Corp.,East Hills,NYから入手可能)内に定置することにより測定した。次いで、フィルタホルダーを真空ポンプに取り付けたフィルタフラスコに定置した。真空をモニターするため真空計を使用した。約150ミリリットル(mL)の水をフィルタホルダーに配置し、次いで減圧した。約50mLの水がフィルムを通過した後(この時点での真空計は、約0.83mmHg(約21インチHg)を示した)、ストップウォッチを使用し、タイミング測定を開始した。残りの水全てがフィルムを通過したとき、時間測定を中止した。水分流動性は、100mLの水が、減圧0.83mmHgで膜を通過するのにかかった時間(秒単位で測定)であった。望ましい圧力に達する前に、400mLの水が基材を通過する場合、流動性はこの条件で測定するには速すぎると見なされた。
【0051】
ガーレイ多孔度。ガーレイとは、膜を通過する気体流れ抵抗の指標であって、ASTMD 726−58、Method Aにて明記されているように、一定体積の気体が標準条件下で膜の標準面積を通過するのに必要な時間として表される。ガーレイは、50立方センチメートル(cc)又は別の特定体積の空気が、6.35cm(1平方インチ)の膜を124mmの水圧で通過する時間(秒)である。フィルムのサンプルは円筒形リング間にクランプされ、その最上はピストン及び指定された体積の空気を含有した。解放されたとき、ピストンはそれ自体の重量で、上部シリンダーにおいて空気に圧力をかけ、指定された体積の空気がその膜を通過する時間が測定された。
【0052】
バブルポイント。バブルポイント孔径は、ASTM−F−316−80に従ってマイクロメートル単位で測定された最大有効孔径を表すバブルポイント値である。
【0053】
以下の試験方法を使用して、実施例で作製される材料の抗微生物特性を特徴付けた。
【0054】
阻止帯試験法懸濁液が。試験される細菌培養の好適な濁度で試験管内に作られた。無菌綿棒を細菌の懸濁液中に定置し、過剰な液体は、液体より高い試験管の内側に対して綿棒を押し付け、回転させることにより除去した。均一な増殖を得るために、綿棒をMueller−Hinton II寒天の表面上で、少なくとも3方向に掃引した。最終的な通過は、寒天の縁の周辺で行った。プレートを5分間乾燥させた。サンプルディスクを、無菌ピンセットを使用してプレート上に定置した。サンプルディスクを定置した後すぐに、プレートは適切な培養時間にわたって培養された。培養後、各ディスク周辺の増殖阻止帯の直径を、mm単位(少数第1位で四捨五入)で測定した。阻止帯内によく発達したコロニーに関して、プレートを注意深く調査した。列挙された結果は、7mmのディスクの寸法及び阻止帯を含む。
【0055】
繊維材料上の抗微生物仕上げの評価(Assessment of Antibacterial Finishes on Textile Materials)(AATCC Method 100)。サンプルは、D/E中和ブロス及び算出のためのPetrifilm(商標)Aerobic Count Platesを使用して、AATCC Method100に従って試験した。サンプルは試験前は殺菌しなかった。各サンプルは、約1〜2×10コロニー形成単位(cfu)/mLの好適な試験生物を含有する懸濁液0.5mLを接種した。別個のサンプル見本を、所望の時点(0時間及び24時間)で接種した。24時間の見本のセットは、28℃で接種した。接種の直後(0時間)に、サンプルの1つの見本を無菌のストマッカーバック内に定置し、100mLのD/E中和ブロスを添加した。サンプルはSeward Model400 Stomacher内で2分間処理した。10、10及び10の連続的な希釈、及び3M Petrifilm(商標)Aerobic Count(AC)を使用する生菌数測定(aerobic plate count)を実施した。24時間の培養時間で、サンプルは上記のように処理された。サンプル当たりの合計コロニー形成単位は、Petrifilm(商標)を35℃±1℃で48時間培養した後に記録した。微生物数における減少率を計測した。サンプルは、黄色ブドウ球菌(ATCC 6538)及び緑膿菌(ATCC 9027)に対して試験された。各サンプルの2つの複製物かつ各時点でのものが試験された。以下の報告結果は2つのサンプルの平均である。
【0056】
エレクトレット帯電した不織ウェブの圧力低下及び品質係数測定値:
不織布ブローンマイクロ繊維(BMF)の濾過性能は、自動フィルタ試験機AFT型式8127(St.Paul,MNのTSI,Inc.から入手可能)を使用し、忌避エアゾールとしてのジオクチルフタレート(DOP)及びフィルタにわたる圧力低下(ΔP(水柱mm))を測定するMKS圧力変換器を使用して評価した。DOPエアゾールは、70〜120mg/mの上流側濃度を有する、名目上、単分散の0.3マイクロメートル質量中央径である。エアゾールは、エアゾールイオン化装置を停止させ、濾材のサンプルを通して6.9cm/秒の面速度にて押し出した。総試験時間は、23秒であった(立ち上がり時間15秒、サンプル時間4秒、及びパージ時間4秒)。DOPエアゾールの濃度は、濾材の上流側と下流側の両方にて、較正した光度計を使用して、光散乱により測定した。DOP透過は、次のように定義される:% Pen=100×(DOP下流側濃度/DOP上流側濃度)各材料について、6個の別個の測定をBMFウェブ上の異なった箇所で行い、結果を平均した。%Pen及びΔPを使用して、次式により品質係数(QF)を計算した:
QF=−ln(% Pen/100)/ΔP,
式中、Inは自然対数を表す。QF値が大きい場合、濾過性能がより高いことを示し、QF値が小さい場合には、濾過性能の低下と完全な相関関係があることを示す。
【0057】
初期濾過性能:
帯電したサンプルのそれぞれは、その静穏状態で、% Pen及びΔPに関して試験し、QFは上記のとおり計算した。これらの結果は以下に初期% Pen、初期ΔP及び初期QF「Q」として示される。
【0058】
加速エージング濾過性能:
濾過性能の安定性を決定するために、帯電したBMFウェブの初期QFと所定の時間、高温で保管後のそのQFとを比較することによって加速エージングを試験した。ウェブは72時間(3日間)、71℃で空気中にて保管される。この条件でのエージング後の本品質係数は通常、「Q」で表される。%電荷保持力は、次式により計算される。
【0059】
保持(%)=Q(71℃で72時間エージングした後)/Q(初期)×100%
TIPS膜
以下のTIPS膜はサンプルで使用された:
フィルムA:米国特許第7,338,692号に記載のように作製された、バブルポイント孔径が4マイクロメートル、水分流動性が5秒、厚さ125マイクロメートル、多孔性53%、及び3.2秒のガーレイを有するポリフッ化ビニリデン(PVdF)フィルム。
【0060】
フィルムB:米国特許第7,338,692号に記載のように作製された、バブルポイント孔径が1.9マイクロメートル、水分流動性が9.4秒、厚さ125マイクロメートル、多孔性72%、及び5秒のガーレイを有するポリフッ化ビニリデン(PVdF)フィルム。
【0061】
フィルムC:米国特許第5,962,544号に記載のように作製された、バブルポイント孔径が0.76マイクロメートル、厚さ109マイクロメートル(4ミル)、多孔率52%、及び表面濡れエネルギーが69ダインを有するエチレンビニルアルコールコポリマー(EVAL)フィルム。
【0062】
不織布材料
以下の不織布材料がサンプルで使用された:
不織布A。51グラム/メートル(1.5オンス/yd)の坪量を有するエアレイドバイコンポーネント不織布(Style 4104 50/50 PEシース/PET、PGI Nonwovens,Charlotte,NCから入手可能)。
【0063】
不織布B:62グラム/メートルの坪量を有する、毛羽立てされたサーマルボンド不織布(Style 149〜051、70%ナイロン、30% PP、FiberWeb Nonwovens,Simpsonville,SCから入手可能)。
【0064】
不織布C:Total960ポリプロピレン樹脂(Total Petrochemicals,Houston,TX)で調製された、1平方メートル当たり54gの坪量を備えるポリプロピレンブローンマイクロファイバー(BMF)ウェブ。
【0065】
発泡体材料
ポリウレタン発泡体。3MブランドTEGAFOAM(商標)(3M Company,St.Paul,MNから入手可能)。厚さは約64mm(0.25インチ)だった。
【0066】
(実施例1)
上記のPVdF TIPSフィルムAは、それに10%のメタノール溶液SR 344(PEG 400ジアクリレート、Sartomer Company,Exton,PAから入手可能)を吸収させ、続いてそのフィルムを125マイクロメートルのポリエステル(PET)ライナーの2つのシートの間に積層し、それを、20kGyの照射線量を使用しながら電子ビームに通過させ、放射線グラフトを生じることによって親水性にした。電子ビームは、Energy Sciences(Wilmington,MA)によって作製されたモデルCB−300であり、最大電圧300kVで操作され、ウェブはビームを6メートル/分(20フィート/分)の速度で通過し処理された。照射したフィルムを水で洗浄し、乾燥させた。
【0067】
この親水性フィルムに酸化銀溶液を吸収させた。溶液含有酸化銀は、5部の炭酸アンモニウムを95部の水と組み合わせて、塩が溶解するまで混合することによって調製された。1部の酸化銀(AgO)をこの溶液に添加した。混合物は、酸化銀が溶解するまで60℃で1時間攪拌し、その結果、銀イオンを含有する透き通った透明な溶液が得られた。吸収させたフィルムを積層し、上記のように40kGyの照射線量を使用して照射した。フィルムは水中で洗浄し、乾燥させた。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0068】
(実施例2)
フィルム含有銀金属ナノクラスターは、多孔性基材としてPVdF TIPSフィルムBを使用したことを除き、上記の実施例1のように調製した。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0069】
(実施例3)
TIPSフィルムAは上記の実施例1のように親水化した。親水化工程に続いて、フィルムは、1%のAPTACモノマー[3−(アクリルアミノ)プロピル]−トリメチルアンモニウムクロライド(Sigma−Aldrich,St.Louis,MOから水溶液として入手可能)のメタノール溶液を吸収させることによって再び親水化し、40kGyの照射線量を使用して、上記実施例1と同じ方法で照射した。この親水化したフィルムに、次いで硝酸銀を吸収させた。硝酸銀水溶液は0.04Mの硝酸銀及び0.2M(12%)のイソプロパノール(IPA)を含有した。吸収させたフィルムを積層し、上記実施例1のように40kGyの照射線量を使用して照射した。フィルムは水中で洗浄し、乾燥させた。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0070】
(実施例4)
フィルム含有銀金属ナノクラスターは、多孔性基材としてPVdF TIPSフィルムBを使用したことを除き、上記の実施例3のように調製した。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0071】
(実施例5)
フィルム含有銀金属ナノクラスターは、25%のAPTAモノマー[3−(アクリルアミノ)プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド(Sigma−Aldrich,St.Louis,MOから水溶液として入手可能)を、2回目の親水化工程で使用し、多孔性基材に吸収させたことを除き、上記の実施例3のように調製した。吸収させたフィルムを積層し、上記実施例1のように40kGyの照射線量を使用して照射した。フィルムを水中で洗浄し、乾燥させた。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0072】
(実施例6)
フィルム含有銀金属ナノクラスターは、多孔性基材としてPVdF TIPSフィルムBを使用したことを除き、上記の実施例5のように調製した。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0073】
(実施例7)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、多孔性基材として上記のポリウレタン発泡体を使用したことを除き、上記の実施例1のように調製した。吸収させた発泡体を積層し、上記実施例1のように40kGyの照射線量を使用して照射した。発泡体を水中で洗浄し、乾燥させた。得られる発泡体は、発泡体の孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0074】
(実施例8)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、多孔性基材として上記の不織布Aを使用したことを除き、上記の実施例1のように調製した。吸収させた不織布を積層し、上記実施例1のように70kGyの照射線量を使用して照射した。不織布を水中で洗浄し、乾燥させた。得られる不織布は、不織布の孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0075】
比較例C1
不織布多孔性基材は、硝酸銀吸収工程を実施しなかったことを除き、上記の実施例8のように調製した。この親水化した不織布を積層し、上記実施例8のように70kGyの照射線量を使用して照射した。不織布を水中で洗浄し、乾燥させた。得られる不織布は、銀金属ナノクラスターを含有しなかった。
【0076】
AATCC Method 100(上記)を実施例1〜8及び比較実施例C1の微生物活性を評価するために使用した。示された全てのサンプルは、緑膿菌に対して良好な活性を示し、実施例7は、試験された両方の生物に対して良好な活性を示し(100%減少)、実施例3及び5は、緑膿菌の100%減少に加えて、黄色ブドウ球菌に対して中程度の活性を示した。結果を下記の表1に示す。銀イオンは概して、例えば緑膿菌などのグラム陰性菌に対して非常に有効であるが、黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌に対して中程度に効果的であるということに注意することが重要である。
【0077】
【表1】

【0078】
銀ナノ粒子の形成を検証するために、タッピングモードの原子間力顕微鏡法を実施した。この分析に使用される機器は、Nanoscope Vコントローラー(2008)を備えるDigital Instruments Dimension 3100 SPM Systemだった。プローブは40N/mまでの力定数を備えるOlympus OTESPA単結晶シリコンだった。データはNanoscope 5.30r3sr3を使用して分析した。AFM画像は、BMF繊維上のナノサイズの銀クラスターを明らかに表示した。粒子は5〜50nmの範囲の寸法だった。
【0079】
(実施例9)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、多孔性基材として上記のEVAL TIPSフィルムCを使用したことを除き、上記の実施例1のように調製した。AgNO3(0.06M)の1%の水溶液を調製し、使用してフィルムに吸収させた。吸収させたフィルムを積層し、実施例1におけるように40kGyの照射線量を使用して照射した。照射後、各サンプルをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0080】
(実施例10)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、AgNO3の1%の水溶液を0.2%のAgNO3濃度に希釈し、使用してフィルムに吸収させたことを除き、上記の実施例9のように調製した。サンプルを実施例1の手順に従って照射した。照射後、各サンプルをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0081】
(実施例11)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、フィルムを、20kGyの照射線量を使用して照射したことを除き、上記の実施例9のように調製した。照射後、フィルムをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0082】
(実施例12)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、フィルムを、20kGyの照射線量を使用して照射したことを除き、上記の実施例10のように調製した。照射後、フィルムをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0083】
(実施例13)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、イソプロパノール中で1%のAgNO3(0.06M)溶液を、イソプロパノール中の塩を溶解するのにちょうど十分なだけの水を添加しながら調製し、フィルムに吸収させるために使用したことを除き、上記の実施例9のように調製した。40kGyの照射線量を使用したことを除き、フィルムを実施例1の手順に従って照射した。照射後、フィルムをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0084】
(実施例14)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、AgNO3の1%の水溶液を、0.2%のAgNO3濃度に希釈し、フィルムに吸収させるために使用したことを除き、上記の実施例13のように調製した。40kGyの照射線量を使用して、フィルムを実施例1の手順に従って照射した。照射後、各サンプルをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0085】
(実施例15)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、20kGyの照射線量を使用したことを除き、上記の実施例13のように調製した。照射後、フィルムをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0086】
(実施例16)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、20kGyの照射線量を除き、上記の実施例14のように調製した。照射後、各サンプルをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0087】
(実施例17)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、上記PVDF TIPSフィルムAを多孔性基材として使用したことを除き、上記の実施例9のように調製した。AgNO3(0.06M)の1%の水溶液を調製し、使用してフィルムに吸収させた。吸収させたフィルムを積層し、実施例1のように40kGyの照射線量を使用して照射した。照射後、各サンプルをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0088】
(実施例18)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、AgNO3の1%の水溶液を0.2%のAgNO3濃度に希釈し、使用してフィルムに吸収させたことを除き、上記の実施例17のように調製した。サンプルを実施例1の手順に従って照射した。照射後、各サンプルをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0089】
(実施例19)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、フィルムを20kGyの照射線量を使用して照射したことを除き、上記の実施例17のように調製した。照射後、フィルムをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0090】
(実施例20)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、フィルムを、20kGyの照射線量を使用して照射したことを除き、上記の実施例18のように調製した。照射後、フィルムをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0091】
(実施例21)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、イソプロパノール中で1%のAgNO3(0.06M)溶液を、イソプロパノール中の塩を溶解するのにちょうど十分なだけの水を添加しながら調製し、フィルムに吸収させるために使用したことを除き、上記の実施例9のように調製した。40kGyの照射線量を使用したことを除き、フィルムを実施例1の手順に従って照射した。照射後、フィルムをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0092】
(実施例22)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、AgNO3の1%の水溶液を、0.2%のAgNO3濃度に希釈し、フィルムに吸収させるために使用したことを除き、上記の実施例21のように調製した。40kGyの照射線量を使用して、フィルムを実施例1の手順に従って照射した。照射後、各サンプルをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0093】
(実施例23)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、20kGyの照射線量を使用したことを除き、上記の実施例21のように調製した。照射後、フィルムをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0094】
(実施例24)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、20kGyの照射線量を除き、上記の実施例22のように調製した。照射後、フィルムをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0095】
AATCC Method 100(上記)を使用して、実施例9〜24の微生物活性を評価した。結果を表2に示す。減少パーセントの負の値は、cm当たりのコロニー形成単位の数が増えているということを示す。阻止帯試験がこれらのサンプル上で実施されたとき、Mueller−Hinton IIの代わりにトリプチケースソイ寒天(TSA)が使用された。TSAは銀イオンを結合し、寒天にわたるそれらの拡散を防ぎ、効果的に帯の作製を排除する。試験した全てのサンプルは、サンプルディスク下では、試験した両タイプの生物に関して増殖を見せず、銀ナノ粒子が、サンプル下での細菌の増殖を防ぐのに効果的であるということを示している。
【0096】
【表2】

【0097】
(実施例25)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、フィルムに、0.2%のAgNO3及び12%のIPAを含有する水溶液を吸収させたことを除き、上記の実施例1のように調製した。30kGyの照射線量を使用して、吸収させたフィルムを実施例1の手順に従って照射した。照射後、フィルムをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、フィルムの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0098】
(実施例26)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、基材が1片の綿ガーゼであり、1%のAgNO3及び12%のIPAを含有する水溶液を吸収させたことを除き、上記の実施例1のように調製した。40kGyの照射線量を使用して、吸収させたフィルムを実施例1の手順に従って照射した。照射後、綿ガーゼをすぐに水で2回濯いだ。得られるフィルムは、ガーゼの孔内に銀金属ナノクラスターを含有した。
【0099】
(実施例27)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、基材が上記のポリウレタン発泡体であったことを除き、上記の実施例1のように調製した。発泡体に、1%のAgNO3及び12%のIPAを含有する水溶液を、発泡体の1つの表面上のみに吸収させた。良好な均一性及び発泡体内への溶液の最小限の吸収であるようにするために、疎水性PVdF TIPSフィルムBを吸収させ、発泡体の上部に定置し、次いで40kGyの照射線量で照射した。発泡体を次いですぐに洗浄し、大量のナノ銀粒子を解放させた。
【0100】
【表3】

【0101】
各多孔性基材上に堆積した銀の合計量を測定するために、Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectroscopy(ICP−AES)を使用した。それらの結果を下記の表4に示す。サンプルは、基材の異なる領域で実質的に異なる銀濃度をもたらし、非均一であるとうに見えた。試験したサンプルにおける銀濃度は1000ppm〜5000ppmの範囲だった。
【0102】
【表4】

【0103】
阻止帯の試験を、Mueller−Hinton寒天を使用して、これらのサンプルで実施した。直径8mmの円形サンプルを、ダイを使用して上記のサンプルから切断した。各サンプルの2つの円が、各プレート上に定置された。各サンプルを黄色ブドウ球菌及び緑膿菌に対して試験した。37℃の培養器内で24時間後、プレートが取り出され、サンプルのクリアランス帯が測定され、以下の表5に示された。
【0104】
【表5】

【0105】
表5のデータから分かるように、Mueller−Hinton寒天を使用するとき、増殖のない良好な寸法の領域が、ナノ銀含有基材と共に観察される。
【0106】
(実施例28)
多孔性基材含有金金属ナノクラスターは、基材が上記のPVDF TIPフィルムBだったことを除き、上記の実施例1のように調製した。2%の塩化金溶液は、1部の塩化金を50部の蒸留水に溶解することによって調製した。塩化金は容易に溶解し、透明な無色の溶液が得られた。ナノ粒子形成の有効性を促進させるために少量のIPAが添加された。フィルムを塩化金溶液に吸収させ、実施例1の手順に従って、積層し、40kGyの照射線量で照射した。ビームを通過させた後、サンプルはフィルム内にナノ金粒子のマゼンダ色を発現させた。この色を基準として、ナノ粒子の寸法は約10nmであると予測された。
【0107】
(実施例29)
多孔性基材含有金金属ナノクラスターは、基材が上記のEVAL TIPSフィルムCだったことを除き、上記の実施例28のように調製した。
【0108】
(実施例30)
多孔性基材含有銅金属ナノクラスターは、基材が上記のPVDF TIPフィルムAだったことを除き、上記の実施例1のように調製した。硫酸銅の希釈液は、12%のIPA水溶液50mgを50mLの溶液で調製された。フィルムを吸収させ、次いで、で実施例1の手順に従って、ポリエステルフィルムの2つのシートの間で積層し、40kGyの照射線量で照射した。サンプルは、ビームを励起するとはっきりとした銅褐色であり、酸素の拡散がナノ銅を酸化するとき、この膜を再び完全に白にするまで数分間はそのままの色であった。
【0109】
別のフィルムサンプルが同様に処理されたが、不活性雰囲気グローブボックス内で吸収させた。フィルムは、処理のためにZIPLOC(商標)バックでビームによって照射され、次いでこのグローブボックスに戻された。数ppmの酸素だけの環境で数日経った後、サンプルはナノ銅(酸化していない)の存在を呈し、褐色のままであった。
【0110】
(実施例31)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、基材が不織布基材Cだったことを除き、実施例1のように調製した。
【0111】
エレクトレット帯電プロセス:
実施例31〜33に使用したBMFウェブは、以下の技法を使用してハイドロチャージさせた。5マイクロS/cm未満の伝導度を有する高純度水の微細スプレーを、896キロパスカル(130psig)の圧力及び約1.4リットル/分の流量で稼動するノズルから連続的に発生させた。下方からウェブを通して水を同時に真空引きしながら、BMFウェブは、水噴霧を通じて約10cm/秒の速度で多孔質ベルトによって搬送された。BMFウェブは、噴霧器へ2回通し(連続して、各面に対して1回)、次にフィルタ試験に先だって一晩完全に乾燥させた。
【0112】
抗微生物性溶液は0.2部の硫酸銀を25%IPA/75%水の溶液中に溶解することによって調製した。硫酸銀(0.2重量%未満)の得られる飽和溶液は、帯電したBMFウェブの、長さ61cm及び幅30cmのサンプルに吸収させるために使用した。吸収させたウェブは余分な液体が吸い取られ、PETの2つのシートの間に挟んだ。この挟んだものを加速電圧300keVで、20kGyの照射線量で照射した。大量のナノ銀クラスターがBMFウェブ内で生成された。BMFウェブは吸い取られ、次いで水で濯がれた。ナノ銀の一部は、浸出し、再分布して、全体に金色が得られた。
【0113】
(実施例32)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、BMF不織布基材を帯電させなかったことを除き、実施例31のように調製した。BMF不織布をすぐに水中で濯ぎ、大量の黄褐色が最初は濯ぎ水内に浸出したが、BMFウェブの中に再び落ち着き、BMFウェブ内により均一な再分布を作った。
【0114】
(実施例33)
多孔性基材含有銀金属ナノクラスターは、吸収させたBMFウェブがペーパータオルですぐに吸い取られたことを除き、実施例32のように調製した。大量の液体がBMFウェブから吸収され、ペーパータオルは、ナノ銀で黒ずみ、その結果、BMFウェブをより明るい色にした。
【0115】
ウェブ全体の圧力低下(ΔP)はウェブの品質係数(濾過効率の目安)と共に、実施例31〜33に関して測定された。帯電させていないサンプルは、電子ビーム処置の後であるが、品質係数測定(Q0)の前にハイドロチャージさせた。実施例32及び33は、71℃に設定されたオーブンで3日間エージングされ、処置されたサンプルの電荷保持を評価するために、エージング後の品質係数(Q3)が測定された。結果を表6に示す。
【0116】
【表6】

【0117】
エージング前後両方の実施例31〜33の抗微生物性能を表7に示す。3つの実施例全てが、2logを超える微生物負荷の減少となり、洗浄した実施例は、4logを超える減少となった。オーブンでのエージングはウェブの抗微生物性能に影響を与えなかった。
【0118】
【表7】

【0119】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに、本発明の様々な変更及び改変が当業者に明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性基材内の金属ナノクラスターのその場での形成方法であって、
(a)多孔性基材に重金属塩水溶液を吸収させる工程と、
(b)前記吸収させた多孔性基材を電離放射線に暴露して、重金属ナノクラスターを前記多孔性基材内に形成する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記多孔性基材が約100μm未満の平均寸法を有する隙間を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多孔性基材が熱誘起相分離膜である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱誘起相分離膜が約10μm未満の平均寸法を有する孔を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記熱誘起相分離膜が疎水性である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記熱誘起相分離膜が親水性である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項7】
前記多孔性基材が織布又は不織布である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記多孔性基材が帯電した基材であり、前記多孔性基材が前記暴露する工程の後に帯電したままである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記重金属ナノクラスターの前記平均寸法が約100nm未満である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記重金属ナノクラスターの前記平均寸法が約40nm未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記重金属ナノクラスターの前記平均寸法が約20nm〜約40nmである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記重金属塩水溶液が金塩、銀塩、パラジウム塩、プラチナ塩、銅塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記重金属塩水溶液が金塩、銀塩、銅塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記重金属塩水溶液が金塩、銀塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記重金属塩水溶液が重金属硫酸塩を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記重金属塩水溶液が約5重量%未満の重金属塩を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記重金属塩水溶液が約0.01重量%〜約1重量%の重金属塩を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記重金属塩水溶液が約0.2重量%〜約1重量%の重金属塩を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記重金属塩水溶液が非極性溶媒を更に含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記非極性溶媒がアルコールである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記非極性溶媒がイソプロパノールである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記重金属塩水溶液を電離放射線に暴露する工程が電子ビームの使用を含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記重金属塩水溶液を電離放射線に暴露した後、前記吸収させた多孔性基材を乾燥させる工程を更に含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記吸収させた多孔性基材を乾燥後に溶媒で洗浄する工程を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記吸収させた多孔性基材を溶媒で洗浄する工程を更に含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記水溶性重金属塩水溶液を前記多孔性基材の上に堆積させる工程の後であるが、前記重金属塩水溶液を電離放射線に暴露する工程の前に、前記多孔性基材の少なくとも1つの面にライナーを加える工程を更に含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ライナーが前記多孔性基材の両面に加えられる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記重金属水溶液を前記電離放射線に暴露する工程の後に、前記ライナーを除去する工程を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が連続的な方法である、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
多孔性基材内に組み込まれた重金属ナノクラスターを含む、物品。
【請求項31】
前記多孔性基材が熱誘起相分離膜である、請求項30に記載の物品。
【請求項32】
前記多孔性基材が織布又は不織布である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記基材が帯電している、請求項30に記載の物品。
【請求項34】
前記重金属ナノクラスターが金、銀、パラジウム、プラチナ、銅、又はこれらの組み合わせを含む、請求項30〜33のいずれか一項に記載の物品。
【請求項35】
前記重金属ナノクラスターが金、銀、銅、又はこれらの組み合わせを含む、請求項34に記載の物品。
【請求項36】
前記重金属ナノクラスターが金、銀、又はこれらの組み合わせを含む、請求項35に記載の物品。
【請求項37】
前記物品が抗微生物特性を呈する、請求項30〜36のいずれか一項に記載の物品。
【請求項38】
前記物品がスポンジ、拭き取り用品、フィルタ、衣類、又は食品包装である、請求項37に記載の物品。
【請求項39】
前記物品が濾材である、請求項30〜38のいずれか一項に記載の物品。
【請求項40】
前記濾材が触媒濾材である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記物品が電磁場遮蔽物である、請求項30〜36のいずれか一項に記載の物品。
【請求項42】
前記物品が病原体に対して耐性を有する、請求項30〜36のいずれか一項に記載の物品。

【図1】
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【公表番号】特表2011−528610(P2011−528610A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516756(P2011−516756)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/049026
【国際公開番号】WO2010/002773
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】