説明

多孔板設計装置

【課題】連続体中の分散体の液滴径を、所望の範囲内にすることが可能な多孔板を設計する。
【解決手段】本発明に係る多孔板設計装置100は、多孔板203に設ける孔の面積の合計である開口面積の候補開口面積、及び上記連続体の空塔速度の候補空塔速度を取得する第1の条件取得部111と、上記候補開口面積及び上記候補空塔速度に基づいて、分散体の液滴径である理論液滴径を計算する液滴径計算部112と、上記液滴径の上限値及び下限値として、予め設定される設定上限液滴径及び設定下限液滴径を取得する第2の条件取得部116と、上記理論液滴径が、上記理論下限液滴径以上、上記設定上限液滴径以下の範囲にあるか判定する設計範囲判定部117と、を備える。これにより、候補開口面積に基づいて多孔板203を設計すれば、分散体の液滴径が、所望の範囲の液滴径になるか判定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに分離する複数の液体を含む混合物を、該混合物に含まれる液体のうち一部の液体を分散体として、連続体となる残部の液体中に分散させる多孔板の設計を支援するための多孔板設計装置、制御方法、多孔板を備える筒型容器、プログラム及び記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
互いに分離する液体同士において、一方の液体中に他方の液体を分散させることにより、これらの液体間で反応させたり、一方の液体中に溶解している物質を他方の液体に溶解させて抽出したりする処理は、化学工業の分野で頻繁に行なわれている(例えば非特許文献1参照)。そして、この分散効率を高めるために多孔板がよく利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、多孔板を備える反応槽を用いて、水相中に環状オレフィンを分散させて環状オレフィンの水和反応を行なう方法が開示されている。
【0004】
なお、多孔板は液体中に気体を分散させるためにも用いられており、例えば非特許文献2には、気体と液体とを混合するための多孔板を備えたバブルカラムが開示されている。
【特許文献1】特開平6−239780号公報(1994年8月30日公開)
【非特許文献1】社団法人化学工学会「改訂六版 化学工学便覧」丸善株式会社発行、1999年2月25日、p.640‐651
【非特許文献2】YUZO AOYAMA, KATSUNORI OGUSHI, KOZO KOIDE, AND HIROSHI KUBOTA, Liquid mixing in concurrent bubble columns, Journal of Chemical Engineering of Japan, 1968, vol.1 No.2, 158-163
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液体を分散体として、連続体となる他の液体中に分散させるとき、分散体の液滴径を、所望の範囲内とする多孔板を設計することが困難であるという問題があった。
【0006】
一般に、分散する液滴の液滴径が小さいほど、反応や抽出などの処理の効率が向上する。一方で、液滴径を小さくしすぎると、反応等の処理を行なった後、分散媒(連続体)から分散した液体を分離することが困難となる。
【0007】
また、このような反応や抽出は筒型の容器中に、互いに分離する液体の混合物を流すことで行なうが、連続体の流速である空塔速度については、ユーザの所望の運転条件に応じて、大きくしたり小さくしたりする必要がある。そのため、空塔速度を小さくしたときに、分散体の液滴径が大きくなりすぎないようにする必要がある。液滴径が大きくなると、処理効率が不足したり、連続体と共に流れずに多孔板上や容器の底に堆積したりするからである。
【0008】
このように、連続体となる液体中に分散体となる液体を分散させるとき、分散体の液滴径は大きすぎても小さすぎても問題が生じる。
【0009】
しかし、従来、液滴径を所望の範囲内にすることができる多孔板を設計する指標は全く存在しなかった。そのため、経験や勘を頼りに多孔板を設計し、実際に当該多孔板を反応器等に取り付けて運転することで、この障害が解消されるかを確認していた。従って、所望の液滴径の液滴が形成されなければ、再度設計しなおすという事態も頻繁に生じていた。
【0010】
このような理由から、分散体の液滴径が所望の範囲内となる多孔板を設計する指標が必要となるが、特許文献1や非特許文献1及び2にもこのような指標は全く開示されていない。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、連続体中の分散体の液滴径を、所望の範囲内にすることが可能な多孔板を容易に設計できる多孔板設計装置、所望の範囲の液滴径を有する液滴を形成する多孔板を備えた筒型容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る多孔板設計装置は、互いに分離する複数の液体を含む混合物を流す筒型容器の内側に、上記混合物が通過するように設けられ、上記混合物に含まれる液体のうち一部の液体を分散体として、連続体となる残部の液体中に分散させる多孔板の設計を支援する多孔板設計装置であり、上記多孔板に設ける孔の面積の合計である開口面積の候補として、予め設定される候補開口面積、及び上記連続体の空塔速度の候補として、予め設定される候補空塔速度を取得する第1の条件取得手段と、上記候補開口面積及び上記候補空塔速度に基づいて、上記多孔板の開口面積が当該候補開口面積であり、上記空塔速度が当該候補空塔速度であるときの、上記多孔板を通過する上記分散体の液滴径である理論液滴径を計算する液滴径計算手段と、上記液滴径の上限値及び下限値として、予め設定される設定上限液滴径及び設定下限液滴径を取得する第2の条件取得手段と、上記理論液滴径が、上記理論下限液滴径以上、上記設定上限液滴径以下の範囲にあるか判定する設計範囲判定手段と、を備えることを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係る多孔板設計装置の制御方法は、互いに分離する複数の液体を含む混合物を流す筒型容器の内側に、上記混合物が通過するように設けられ、上記混合物に含まれる液体のうち一部の液体を分散体として、連続体となる残部の液体中に分散させる多孔板の設計を支援するための多孔板設計装置の制御方法であり、上記多孔板に設ける孔の面積の合計である開口面積の候補として、予め設定される候補開口面積、及び上記連続体の空塔速度の候補として、予め設定される候補空塔速度を取得する第1の条件取得工程と、上記候補開口面積及び上記候補空塔速度に基づいて、上記多孔板の開口面積が当該候補開口面積であり、上記空塔速度が当該候補空塔速度であるときの、上記多孔板を通過する上記分散体の液滴径である理論液滴径を計算する液滴径計算工程と、上記液滴径の上限値及び下限値として、予め設定される設定上限液滴径及び設定下限液滴径を取得する第2の条件取得工程と、上記理論液滴径が、上記理論下限液滴径以上、上記設定上限液滴径以下の範囲にあるか判定する設計範囲判定工程と、を含むことを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、多孔板の開口面積が候補開口面積であり、空塔速度が候補空塔速度であるときの、理論液滴径を計算した上で、当該理論液滴径が、設定下限液滴径以上、設定上限液滴径以下かを判定することができる。これにより、開口面積が候補開口面積である多孔板を用いれば、設定下限液滴径以上、設定上限液滴径以下の液滴径となる分散体を形成することが可能か判定できる。即ち、設定下限液滴径以上、設定上限液滴径以下であると判定された理論液滴径を算出したときに、上記液滴計算手段が用いた候補開口面積は、分散体の液滴径を所望の範囲内とするための多孔板の設計に用いる開口面積の値として妥当であると判定できる。従って、開口面積が当該候補開口面積となるように、多孔板を設計すれば、液滴径が所望の範囲内となる多孔板を得ることができる。
【0015】
よって、連続体中の分散体の液滴径を、所望の範囲内にすることが可能な多孔板を容易に設計できる。
【0016】
なお、多孔板の設計においては、孔数、孔径等に関する制約条件等、他にも必要な要素がある。しかし、多孔板の設計に必要な要素の中で、開口面積は設計の指針を決定するために最も重要な要素である。そこで、本発明では、候補開口面積が妥当か否かの判定を行なうことにより、多孔板の設計を極めて容易にすることができたのである。
【0017】
このように、開口面積が決定すれば、多孔板を容易に設計できる。具体的には、開口面積が決定すれば、これに基づいて孔数や孔径を設定して、多孔板を設計してもよい。例えば、予め決定していた孔数で当該開口面積を除して孔1個当たりの面積を決定して多孔板を設計してもよく、また、当該開口面積を予め決定していた孔1個当たりの面積で除して、孔数を決定することで多孔板を設計してもよい。
【0018】
さらに、本発明に係る多孔板設計装置では、上記候補開口面積及び上記候補空塔速度に基づいて、上記多孔板の開口面積が当該候補開口面積であり、上記空塔速度が当該候補空塔速度であるときの、上記混合物が上記多孔板を通過するときに生じる当該混合物の圧力損失である理論圧力損失を計算する圧力損失計算手段を備え、上記第2の条件取得手段が、上記圧力損失の上限値として、予め設定される設定上限圧力損失を取得するものであり、上記設計範囲判定手段が、上記理論圧力損失が上記設定上限圧力損失以下かを判定するものであることがより好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、多孔板の開口面積が候補開口面積であり、空塔速度が候補空塔速度であるときの、理論圧力損失を計算した上で、これが設定上限圧力損失以下かを判定することができる。
【0020】
これにより、開口面積が候補開口面積である多孔板を用いれば、圧力損失が設定上限圧力損失以下になるかを判定できる。即ち、設定上限圧力損失以下であると判定された理論圧力損失を算出したときに上記圧力損失計算手段が用いた候補開口面積は、圧力損失を所望の値以下とするための多孔板の設計に用いる開口面積の値として妥当であると判定できる。したがって、開口面積が当該候補開口面積となるように、多孔板を設計すれば、圧力損失が所望の値以下となる多孔板を得ることができる。
【0021】
従来、筒型容器内に、互いに分離する複数の液体の混合物を流して、多孔板を通過させることで、一部の液体を残部の液体中に分散させる場合、混合物が多孔板を通過するときに混合物の圧力損失が生じるという問題も生じていた。しかし、この圧力損失を所望の値以下とする多孔板の設計は困難であった。つまり、圧力損失を所望の値以下とする多孔板を設計する指標は全く存在しなかったため、当業者といえども経験や勘を頼りに多孔板を設計して、圧力損失が所望の値以下となるか実際に運転して試すしかなかった。
【0022】
しかし、上記の構成によれば、多孔板を実際に作製する前に、作製しようとする多孔板で、圧力損失が所望の値以下になるかを判定することができる。
【0023】
よって、液体を他の液体中に分散させることで行なう反応や抽出を、所望の圧力損失以下で行なうことが可能な多孔板を設計できる。
【0024】
さらに、本発明に係る多孔板設計装置では、上記分散体の終端速度に対応する上記液滴径である終端速度対応滴径を計算する終端速度対応液滴径計算手段を備え、上記第2の条件取得手段が、上記終端速度対応液滴径を、上記設定上限液滴径として取得するものであってもよい。
【0025】
上記の構成によれば、多孔板の開口面積が候補開口面積であり、空塔速度が候補空塔速度であるときに、分散体の流速が終端速度以上となるかを判定することができる。よって、分散体が流れずに蓄積することを抑制することが可能な多孔板を設計することができる。
【0026】
さらに、本発明に係る多孔板設計装置では、上記連続体が上記分散体に接触することで、反応又は抽出の処理がされるものであり、予め設定される上記連続体の処理率である設定処理率に対応する上記液滴径である設定処理率対応液滴径を計算する設定処理率対応液滴径計算手段を備え、上記第2の条件取得手段が、上記設定処理率対応液滴径を、上記設定上限液滴径として取得するものであってもよい。
【0027】
上記の構成によれば、多孔板の開口面積が候補開口面積であり、空塔速度が候補空塔速度であるときに、反応や抽出等の処理率が所望の処理率となるかを判定することができる。よって、所望の処理率を得ることが可能な多孔板を設計することができる。
【0028】
さらに、本発明に係る多孔板設計装置では、上記連続体が上記分散体に接触することで、反応又は抽出の処理がされるものであり、上記分散体の終端速度に対応する上記液滴径である終端速度対応液滴径を計算する終端速度対応液滴径計算手段と、予め設定される上記連続体の処理率である設定処理率を取得して、当該設定処理率に対応する上記液滴径である設定処理率対応液滴径を計算する設定処理率対応液滴径計算手段と、を備え、上記第2の条件取得手段が、上記設定処理率対応液滴径及び上記終端速度対応液滴径のうちいずれか小さい値を、上記設定上限液滴径として取得するものであってもよい。
【0029】
上記の構成によれば、多孔板の開口面積が候補開口面積であり、空塔速度が候補空塔速度であるときに、反応や抽出等の処理率が所望の処理率となり、かつ、分散体の速度が終端速度以上となるかを判定することができる。よって、分散体が流れずに堆積することを抑制することが可能であり、かつ、所望の処理率を得ることが可能な多孔板を設計することができる。
【0030】
さらに、本発明に係る多孔板設計装置では、上記液滴径計算手段が、下記数式(1)
【0031】
【数1】

【0032】
(d:液滴径、S:多孔板面積、U:候補空塔速度、A:候補開口面積、ρ:連続体密度、σ:表面張力、We:臨界ウェーバー数を示す)
により、上記理論液滴径を計算するものであってもよい。
【0033】
上記の構成によれば、上記液滴径計算手段が、上記数式(1)を用いて液滴径の計算を行なう。上記数式(1)を用いればより正確に分散体の液滴径を計算することができる。よって、分散する液滴の液滴径を、より確実に所望の範囲とすることが可能な多孔板を設計できる。
【0034】
さらに、本発明に係る多孔板設計装置では、上記圧力損失計算手段が、下記数式(2)
【0035】
【数2】

【0036】
(h:圧力損失、A:候補開口面積、S:多孔板面積、ρ:連続体の密度、D:水力学等価直径、Δρ:分散体と連続体との密度差、U:候補空塔速度、α及びβ:定数を示す)
により、上記理論圧力損失を計算するものであってもよい。
【0037】
上記の構成によれば、上記圧力損失計算手段が、上記数式(2)を用いて圧力損失の計算を行なう。上記数式(2)を用いればより正確に圧力損失を計算することができる。よって、圧力損失を、より確実に所望の圧力損失以下にすることが可能な多孔板を設計できる。なお、α及びβは経験的に得られるパラメータであり、例えばα=0.67、β=2.25を使用する。
【0038】
また、本発明に係る筒型容器は、互いに分離する複数の液体を含む混合物を流す筒状部を備える筒型容器であって、請求項1に記載の多孔板設計装置によって、上記設定上限液滴径以下であり、かつ上記設定下限液滴径以上であると判定された、上記理論液滴径に対応する上記候補開口面積を開口面積として有する上記多孔板を備えることを特徴としている。
【0039】
上記の構成によれば、互いに分離する液体の混合物が上記多孔板を通過することで形成される分散体の理論液滴径は上記設定上限液滴径以下となりかつ上記設定下限液滴径以上となる。よって、所望の範囲の液滴径を有する液滴を形成することができる。
【0040】
なお、上記多孔板設計装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより、上記多孔板設計装置の各手段をコンピュータにて実現させるプログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る多孔板設計装置は、以上のように、上記多孔板に設ける孔の面積の合計である開口面積の候補として、予め設定される候補開口面積、及び上記連続体の空塔速度の候補として、予め設定される候補空塔速度を取得する第1の条件取得手段と、上記候補開口面積及び上記候補空塔速度に基づいて、上記多孔板の開口面積が当該候補開口面積であり、上記空塔速度が当該候補空塔速度であるときの、上記多孔板を通過する上記分散体の液滴径である理論液滴径を計算する液滴径計算手段と、上記液滴径の上限値及び下限値として、予め設定される設定上限液滴径及び設定下限液滴径を取得する第2の条件取得手段と、上記理論液滴径が、上記理論下限液滴径以上、上記設定上限液滴径以下の範囲にあるか判定する設計範囲判定手段と、を備えている。
【0042】
これにより、開口面積が候補開口面積である多孔板を用いれば、設定下限液滴径以上、設定上限液滴径以下の液滴径となる分散体を形成することが可能か判定できる。即ち、設定下限液滴径以上、設定上限液滴径以下であると判定された理論液滴径を算出したときに、上記液滴計算手段が用いた候補開口面積は、分散体の液滴径を所望の範囲内とするための多孔板の設計に用いる開口面積の値として妥当であると判定できる。従って、開口面積が当該候補開口面積となるように、多孔板を設計すれば、液滴径が所望の範囲内となる多孔板を得ることができる。
【0043】
よって、連続体中の分散体の液滴径を、所望の範囲内にすることが可能な多孔板を容易に設計できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の一実施形態について図1〜5に基づいて説明すると以下の通りである。なお、本実施の形態では、筒型抽出器200に油及び水の混合物を流して、油相(連続体)中に水(分散体)を分散させて、油に含まれる不純物を、油と水との界面を介して水中に移動させることで、不純物の抽出を行なう場合について説明する。つまり、本実施の形態では、油相中の不純物を水中に溶解させることによる油の洗浄を行なう。ただし、本発明に係る多孔板設計装置において、設計の対象とする多孔板の用途は、水を油中に分散させる用途に限定されるものではない。互いに分離する複数の液体のうち、一部の液体を分散体として、連続体となる残部の液体中に分散させるための多孔板として好適に用いることができる。
【0045】
〔筒型抽出器〕
まず、図2を用いて本実施の形態に係る多孔板設計装置100(図2参照)が設計の対象とする多孔板203を備える筒型抽出器(筒型容器)200について説明する。図2は筒型抽出器200の構成を模式的に示す図である。
【0046】
図2に示すように筒型抽出器200は、筒状部201、流入装置202を備えている。
【0047】
筒状部201は、多孔板203・・を備えている。筒状部201内には混合物が流される。そして、多孔板203によって、混合物は、油相中に水が分散した状態となる。また、筒状部201は複数の多孔板203を備えている。多孔板203は、筒状部201の長さ方向に垂直に設けられている。なお、筒状部201が備える多孔板203の数は特に限定されるものではない。例えば、筒型抽出器200の使用用途等に応じて適宜設定すればよく、1つでもよく、複数でもよい。また、本実施の形態では、説明の簡単のため、複数の多孔板203は全て同じ形状をしているものとして説明する。
【0048】
流入装置202は、筒状部201に上記混合物を流し込むための装置である。流入装置202の具体的な構成としては特に限定されるものではなく、従来公知のポンプ等で構成すればよい。
【0049】
ここで、油と水との流量の体積比は特に限定されるものではない。例えば、油中の不純物濃度や、目的とする不純物除去効率等に応じて適宜設定すればよい。つまり、連続体とする液体に対して、分散体とする液体が分散可能な体積比であればよい。例えば、水や親水性液体と、油等の疎水性液体とを用いる場合であって、疎水性液体中に水や親水性液体を分散させるときは、疎水性液体と水又は親水性液体との全量を100体積%として水又は親水性液体の体積が40体積%以下であることが好ましく、さらに好ましくは30体積%以下である。なお、水又は親水性液体の体積の下限値は、目的の反応等に応じて適宜設定すればよい。
【0050】
なお、筒状部201は、その長さ方向を地面に対して鉛直となるように設置して用いる。つまり、水及び油の混合物は、流入装置202にて、筒状部201内に送り込まれた後、鉛直方向に上昇する。そして、筒状部201の上部から回収される。筒状部201を設置する角度は、鉛直に限られない。筒状部201の一方の端から上記混合物を流入させて、当該混合物が筒状部201内を流れ、他方の端から当該混合物を回収可能であればよいが、例えば、筒状部201の長さ方向と設置面との角度を60度以上にすることが好ましい。
【0051】
〔多孔板設計装置100の構成〕
次に、図1を用いて本実施の形態に係る多孔板設計装置100の構成について説明する。図1は、多孔板設計装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0052】
図1に示すように多孔板設計装置100は、入力部101、記憶部102、表示部103、制御部110を備えている。
【0053】
入力部101は、ユーザがデータを入力するためのものである。ユーザが入力するデータとしては、多孔板203の設計に用いる開口面積の候補である候補開口面積、空塔速度の候補として、ユーザが予め設定する値である候補空塔速度、液滴径の上限値及び下限値として、それぞれユーザが予め設定する設定上限液滴径及び設定下限液滴径、ユーザが予め設定する圧力損失の上限値である設定上限圧力損失、ユーザが予め設定する処理率である設定処理率、ユーザが予め実験等から求めた終端速度等のデータが挙げられる。
【0054】
本明細書において「開口面積」とは、多孔板203に設けられた孔によって形成される開口面の面積の合計を意味する。そして、「候補開口面積」とは、開口面積の候補の値として予め設定される値である。この設定の主体としては本実施の形態ではユーザの場合について説明するが、例えば、ユーザが開口率等の別のパラメータを設定して、コンピュータが当該パラメータから候補開口面積を設定してもよい。
【0055】
また、本明細書において「空塔速度」とは、筒型容器内、本実施の形態では筒型抽出器200が備える筒状部201内を流れる連続体(油)の流速を意味する。また「候補空塔速度」とは、筒型抽出器を運転するときの空塔速度の候補として、予め設定されるものを意味する。なお、候補空塔速度については、例えば、筒型抽出器200の所望の運転条件等に基づいてユーザが適宜設定してもよい。なお、筒状部201の長さ方向に垂直な断面が一定でないときは、最も断面積の大きい断面を流れる連続体の流速をいう。
【0056】
また、例えば、候補空塔速度としては、分散体の流速が後述の終端速度となるように、設定してもよい。分散体が筒状部201内を堆積せずに流れ得る下限の空塔速度において、液滴径が設定上限液滴径以下となるかを判定することができる。分散体の流速が終端速度となるときの空塔速度は、コールドテストによって決定することができる。コールドテストとは、常温にて模擬的に試験を行なうことである。例えば、目視可能な容器に多孔板203を挿入して、室温にて、油と水との混合物を当該容器に流し、水が多孔板203上に堆積する様子を観察する。そして、空塔速度を徐々に変化させることで、水が堆積しない空塔速度を候補空塔速度とする。
【0057】
また、終端速度は、流動解析による数値実験を用いても算出してもよい。例えば、多流体モデル(CFXのMixtureモデル)等を用いれば、水が多孔板203上に堆積したり油相中に分散したりする挙動を予測して、終端速度を算出することができる。
【0058】
なお、空塔速度を上げると、水はより分散する流動様式に遷移する。また、本実施の形態のように、水を油中に分散させて抽出を行なう場合、その抽出効率は、油と水との界面を介した、油から水への不純物の拡散に支配される。そして、後述のように、抽出効率は液滴径にも支配される。このことから、水の分散遷移値は水が孔を通過する速度(噴出速度ともいう)で決定される。
【0059】
本明細書において「液滴径」とは、多孔板203を通過するときの分散体(水)が形成している液滴の径を意味する。油相中において水は分散しているので、当該水は滴の形状をしている。この滴は、多孔板203に設けられた孔を通過するとき、最も小さくなり、当該孔を通過後、滴が流れるに従って、滴同士が合体して徐々に大きくなる。つまり、本明細書において「液滴径」とは、孔を通過するときの滴の平均径を意味する。滴は孔を通過するとき、その大きさが最も小さくなる。つまり、「液滴径」は、径が最も小さくなっている滴の平均径ともいえる。そして、滴が最も小さいとき、水と油との二相界面積濃度が最も大きくなる。つまり、抽出効率は滴が最も小さいときの径に支配される。これは、本実施の形態に限られることではなく、互いに分離する液体の混合物において、一部の液体を残部の液体中に分散させて、反応や抽出を行なうときには、分散する方の液体の液滴径に支配される。
【0060】
また、「設定上限液滴径」及び「設定下限液滴径」とは、それぞれ、予め設定される液滴径の上限値及び下限値である。例えば、ユーザが、所望の処理効率に応じて液滴径の許容範囲を決定し、当該許容範囲の上限を設定上限液滴径とし、下限を設定下限液滴径としてもよい。
【0061】
また、本明細書において「圧力損失」とは、混合物が多孔板203を通過することで生じる混合物の圧力の損失を意味する。また、「設定上限圧力損失」とは、予め設定される圧力損失の上限値を意味する。例えば、設定上限圧力損失としては、ユーザが所望の値を設定すればよい。例えば、装置の仕様や所望の処理率等に応じて、許容できる圧力損失の上限値を設定上限圧力損失としてもよい。
【0062】
また、本明細書において「処理率」とは、上記抽出による処理の割合を示す値である。例えば、筒状部201に入れる混合物中の油の重量濃度である初期濃度と筒状部201から回収した混合物中の油の重量濃度である処理済濃度との差を初期濃度で除して算出することができる。つまり、本実施の形態では油中に含まれていた不純物が水中に移るので、不純物の抽出が進めば、混合物中の油の濃度は減少する。この減少した割合が処理率である。また、例えば、抽出ではなく、疎水性液体である成分Aを水と接触させることで成分AをA’にする反応を行なうとき、成分Aの初期濃度と反応後の成分Aの処理済濃度との差を当該初期濃度で除することで処理率を算出することができる。
【0063】
なお、「設定処理率」とは、予め設定される処理率を意味する。例えば、ユーザが所望する処理率を設定処理率として設定してもよい。
【0064】
記憶部102は、入力部101、第1条件取得部111や第2条件取得部116が取得したデータを記憶するものである。具体的には、記憶部102は、候補開口面積、候補空塔速度、設定上限液滴径、設定下限液滴径、設定上限圧力損失、終端速度、設定処理率等のデータを記憶する。記憶部102の具体的な構成は、これらのデータを記憶することが可能である限り限定されない。例えば、フラッシュメモリー、RAM(random access memory)、HDD(ハードディスクドライブ)等により構成してもよい。また、本実施の形態では記憶部102は、多孔板設計装置100に内蔵されているが、外付けであってもよい。
【0065】
表示部103は、後述する設計範囲判定部117の判定結果を表示するための装置である。表示部103の具体的な構成は、上記判定結果を表示可能なものである限り限定されない。例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、CRT(cathode-ray tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置によって構成してもよい。
【0066】
制御部110は、多孔板設計装置100の動作を制御するものである。制御部110は、第1条件取得部(第1の条件取得手段)111、液滴径計算部(液滴径計算手段)112、圧力損失計算部(圧力損失計算手段)113、終端速度計算部(終端速度対応液滴径計算手段)114、処理率計算部(設定処理率対応液滴径計算手段)115、第2条件取得部(第2の条件取得手段)116及び設計範囲判定部(設計範囲判定手段)117を備えている。
【0067】
第1条件取得部111は、本発明に係る多孔板設計装置が備える第1の条件取得手段として機能するものである。第1条件取得部111は、入力部101を介して、第1条件となるデータを取得する。第1条件となるデータとは、液滴径計算部112や圧力損失計算部113がそれぞれ液滴径や圧力損失を計算するために必要なデータであり、本実施の形態では、候補開口面積、候補空塔速度を意味する。第1条件取得部111は、取得したデータを液滴径計算部112や圧力損失計算部113に送信する。また、第1条件取得部111は、これらのデータを一旦記憶部102に送信しておき、液滴径計算部112や圧力損失計算部113が、必要なデータを記憶部102から取得する構成にしてもよい。
【0068】
液滴径計算部112は、本発明に係る多孔板設計装置が備える液滴径計算手段として機能するものである。具体的には、液滴径計算部112は、開口面積及び空塔速度に基づいて液滴径を計算する。これにより、開口面積が候補開口面積であり、空塔速度が候補空塔速度であるときの液滴径である理論液滴径を計算する。液滴径計算部112の構成としては、開口面積及び空塔速度に基づいて液滴径を計算可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、下記数式(1)
【0069】
【数3】

【0070】
(d:液滴径、S:多孔板面積、U:候補空塔速度、A:候補開口面積、ρ:連続体密度、σ:表面張力、We:臨界ウェーバー数を示す)
に示す数式にて計算する構成にしてもよい。この数式については、日本原子力学会熱流動部会「気液二相流の数値解析」朝倉書店発行、1993年2月10日、p.86‐87を参考にできる。
【0071】
なお、上記数式(1)のうち、d(液滴径)、A(候補開口面積)及びU(候補空塔速度)以外の、S(多孔板面積)等のパラメータは、装置の仕様や用いる液体の種類等から決定される値である。また、We(臨界ウェーバー数)についても適宜設定すればよく、例えば液体の種類等に応じて定めてもよく、3〜10が好ましいが、一般には「10」を用いる。
【0072】
液滴径計算部112が液滴径の計算を行なうときに用いるデータについては、ユーザが入力部101に入力する構成にしてもよく、予め記憶部102が記憶して液滴径計算部112が記憶部102から必要なデータを取得する構成にしてもよい。
【0073】
圧力損失計算部113は、本発明に係る多孔板設計装置が備える圧力損失計算手段として機能するものである。具体的には、圧力損失計算部113は、候補開口面積及び候補空塔速度に基づいて理論圧力損失を計算する。これにより、開口面積が候補開口面積であり、空塔速度が候補空塔速度であるときの理論圧力損失を計算することができる。圧力損失計算部113の具体的な構成としては、開口面積及び空塔速度に基づいて圧力損失が計算可能であれば特に限定されないが、例えば、下記数式(2)
【0074】
【数4】

【0075】
(h:圧力損失、A:候補開口面積、S:多孔板面積、ρ:連続体の密度、D:水力学等価直径、Δρ:分散体と連続体との密度差、U:候補空塔速度、α及びβ:定数を示す)
に示す数式にて計算する構成にしてもよい。なお、α及びβは経験的に得られるパラメータであり、例えば当業者は経験的に得られているd、A、Uを上記数式(2)に代入することでα及びβを容易に設定することができる。例えばαとしては0.6以上0.7以下の数値を用いてもよく、0.67が適している。また、βとしては2以上3以下の数値を用いてもよく、2以上2.5以下が好ましく、2.25が適している。この数式については、社団法人化学工学会「改訂五版 化学工学便覧」丸善株式会社発行、1994年4月5日、p.566‐569を参考にできる。
【0076】
なお、上記数式(2)のうち、d(液滴径)、A(候補開口面積)及びU(候補空塔速度)以外の、S(多孔板面積)等のパラメータは、装置の仕様や液体の種類等から決定される値である。これらの値についてはユーザが入力部101に入力する構成にしてもよく、予め記憶部102が記憶して圧力損失計算部113が記憶部102から必要なデータを取得する構成にしてもよい。
【0077】
終端速度計算部114は、本発明に係る多孔板設計装置が備える終端速度対応液滴径計算手段として機能するものである。つまり、終端速度計算部114は、終端速度に基づいて、油相中の水の流速が当該終端速度となるときの当該液滴の液滴径である終端速度対応液滴径を計算するものである。なお、終端速度計算部114は、終端速度を、入力部101を介して取得してもよく、入力部101を介して終端速度を取得した第2条件取得部116から取得してもよく、予め終端速度を記憶していた記憶部102から取得してもよい。
【0078】
ここで、本明細書において「終端速度」とは、分散体が流れずに堆積してしまうときの、分散体が多孔板203に設けられた孔を通過するときの流速である。つまり、孔を通過するときの水の流速が終端速度未満であると、水は筒型抽出器200中を上部に向かって流れることができなくなり、やがて多孔板203や筒型抽出器200の底面上に堆積してしまう。終端速度については、上述のようにコールドテストや多流体モデルから得てもよい。
【0079】
終端速度計算部114の具体的な構成としては、液滴径に基づいて終端速度が計算可能であれば特に限定されないが、例えば、下記数式(3)
【0080】
【数5】

【0081】
(V:終端速度、μ:油の粘性係数、)
に示す数式にて計算する構成にしてもよい。
【0082】
処理率計算部115は、本発明に係る多孔板設計装置が備える設定処理率対応液滴径計算手段として機能するものである。具体的には、処理率計算部115は、処理率に基づいて、当該処理率を得るための液滴径を計算するものである。これにより、処理率計算部115は、処理率が設定処理率であるときの液滴径(設定処理率対応液滴径)を計算することができる。なお、処理率計算部115は、設定処理率を、入力部101を介して取得してもよく、入力部101を介して設定処理率を取得した第2条件取得部116から取得してもよく、予め設定処理率を記憶していた記憶部102から取得してもよい。
【0083】
処理率計算部115の構成としては、処理率に基づいて液滴径を計算することが可能であれば限定されない。例えば、下記数式(4)
【0084】
【数6】

【0085】
(添え字のLは油、Hは水を示す。また、C:混合物全量に対する重量濃度、t:時間、x:混合物が筒状部201に流入してから、筒状部201の長さ方向に進んだ距離、k:反応速度定数(抽出速度定数ともいえる)、α:混合物全体に対する油の体積率、X:混合物全量に対する重量比率、Sh:シャーウッド数、Re:レイノルズ数、D:拡散係数を示す。)この式はR. Clift, J. R. Grace, and M. E. Weber. Bubbles, Drops and Perticles. Academic, Press, New York, NY, 1978, pp.123を参照できる。
によって、油及び水の混合物全量に対する油の最終濃度であるCを算出して、当該Cと、油の初期濃度であるCとから、処理率=(C−C)/Cの式に基づいて計算を行なって、処理率を算出するように構成してもよい。
【0086】
第2条件取得部116は、本発明に係る多孔板設計装置が備える第2の条件取得手段として機能するものである。具体的には、第2条件取得部116は、第2条件となるデータを取得する。第2条件となるデータとは、後述の設計範囲判定部117が判定で、閾値として用いるデータを意味する。本実施の形態では、設定上限液滴径、設定下限液滴径、設定上限圧力損失を意味する。また、第2条件として、設定上限液滴径を直接取得する代わりに、終端速度対応液滴径及び設定処理率対応液滴径を取得して、いずれか小さい方の値を設定上限液滴径として取得してもよい。この場合、終端速度対応液滴径及び設定処理率対応液滴径のうち、いずれか一方のデータのみを取得した場合、当該データを設定上限液滴径として取得してもよい。
【0087】
第2条件取得部116が上述のデータを取得する構成としては特に限定されないが、例えば、予め記憶部102が記憶していたデータを、記憶部102から取得してもよいし、ユーザがデータを入力部101に入力し、第2条件取得部116が入力部101から当該データを取得するように構成してもよい。
【0088】
また、第2条件取得部116は、終端速度に基づいて終端速度計算部114が計算した当該終端速度に対応する液滴径である終端速度対応液滴径を、設定上限液滴径として取得してもよい。
【0089】
また、第2条件取得部116は、設定処理率に基づいて処理率計算部115が計算した、設定処理率に対応する液滴径である設定処理率対応液滴径を設定上限液滴径として取得してもよい。
【0090】
なお、この設定処理率や終端速度については、第2条件取得部116が取得して、それぞれを終端速度計算部114や処理率計算部115に送信してもよく、一旦記憶部102に記憶させて終端速度計算部114及び処理率計算部115がそれぞれ終端速度及び当該設定処理率を記憶部102から取得してもよい。
【0091】
また、第2条件取得部116は、設定処理率対応液滴径及び終端速度対応液滴径のうちいずれか小さい値を設定上限液滴径として取得してもよい。なお、第2条件取得部116は、取得したデータを設計範囲判定部117や記憶部102に送信する。
【0092】
設計範囲判定部117は、本発明に係る多孔板設計装置が備える設計範囲判定手段として機能するものである。例えば、液滴径計算部112から受信した理論液滴径が、第2条件取得部116から受信した設定上限液滴径以下の値か、また設定下限液滴径以上かを判定する。また、圧力損失計算部113から受信した理論圧力損失が第2条件取得部116から受信した設計上限圧力損失以下かを判定する。
【0093】
〔多孔板設計装置100の動作〕
次に、ユーザが多孔板設計装置100を用いて多孔板を設計するときの、多孔板設計装置100の動作について図3〜5を用いて説明する。図3は、制御部110が行なう処理の一例を示すフローチャートである。図4は本実施の形態における圧力損失、液滴径及び空塔速度の関係を示す図である。図5は本実施の形態における処理率と混合物が筒状部201に流入してから、筒状部201の長さ方向に進んだ距離との関係を示す図である。
【0094】
本実施の形態では、ユーザが予め設定した候補開口面積に従って多孔板203を設計すれば、水の液滴径を所望の範囲にすることができ、かつ所望の圧力損失以下となるか判定する。また、本実施の形態では、設定上限液滴径として、終端速度対応液滴径及び設定処理率対応液滴径のうちいずれか小さい方の値を採用することとする。
【0095】
図3に示すように、まず、ステップS101では、第2条件取得部116が、設定上限圧力損失、設定下限液滴径、終端速度対応液滴径及び設定処理率対応液滴径を取得する。そして、第2条件取得部116は、設定上限圧力損失、設定下限液滴径を設計範囲判定部117に送信する。
【0096】
次に、ステップS102では、第2条件取得部116が、ステップS101にて取得した、終端速度対応液滴径と、設定処理率対応液滴径とを比較する。そして、いずれか小さい方の値を設定上限液滴径として、設計範囲判定部117に送信する。
【0097】
次に、ステップS103では、第1条件取得部111が候補開口面積及び候補空塔速度を取得する。
【0098】
なお、ステップS101やステップS103において、第1条件取得部111及び第2条件取得部116は、各データを入力部101から取得してもよく、記憶部102から取得してもよい。記憶部102が、予め候補開口面積等のデータを記憶するための構成としては、特に限定されないが、例えば、多孔板設計装置100をデータの入力だけを行なうモードにしておいて、ユーザが入力部101に入力した条件を、入力部101が記憶部102に送信したり、入力部101が第1条件取得部111や第2条件取得部116に送信して、第1条件取得部111や第2条件取得部116が記憶部102に送信したりしてもよい。
【0099】
次に、ステップS104では、液滴径計算部112が、候補開口面積及び候補空塔速度に基づいて理論液滴径を算出する。
【0100】
次に、ステップS105では、圧力損失計算部113が、候補開口面積及び候補空塔速度に基づいて理論圧力損失を算出する。
【0101】
次に、ステップS106では、設計範囲判定部117が、理論液滴径は設定上限液滴径以下かであり、かつ理論液滴径は設定下限液滴径以上か、との判定を行なう。
【0102】
次に、ステップS107では、設計範囲判定部117が理論圧力損失は設定上限圧力損失以下か、との判定を行なう。
【0103】
ここで、図4に示すように空塔速度が増加すると液滴径は減少する。候補空塔速度が大きくなると、理論液滴径が設定下限液滴径以下となる虞がある。また、候補空塔速度が小さくなると設定上限液滴径以上となる虞がある。しかし、図4に示す候補空塔速度の場合では、理論液滴径が設定下限液滴径以上、設定上限液滴径以下となる。
【0104】
また、図4に示すように空塔速度が増加すると圧力損失も増加する。従って、候補空塔速度が大きくなると、理論圧力損失が設定上限圧力損失以上となる場合がある。しかし、図4に示す候補空塔速度の場合では、理論圧力損失が設定上限圧力損失以上となる。
【0105】
なお、図4の液滴径を示す曲線は、Aを決定して、Uを変化させることで上記数式(1)により描かれる曲線である。また、圧力損失を示す曲線は、上記数式(2)により描かれる曲線であり、Aが変われば曲線も変わる。
【0106】
次に、ステップS108では、設計範囲判定部117は、ステップS106及びステップS107で行なった判定の結果を表示部103に表示させる。これにより、制御部110は処理を終了する。
【0107】
また、多孔板設計装置100では、ステップS108の後に、再度計算を行なうかユーザに選択させるステップを行なってもよい。このとき、ユーザが、候補開口面積及び/又は候補空塔速度のみを入力しなおして計算を行なう場合、再度ステップS103以降の処理を行なえばよい。
【0108】
なお、上記ステップS104やステップS105の計算にて必要となる、ステップS101〜S103にて取得したデータ以外のパラメータは、ステップS101やステップS103にて、候補空塔速度等と共にユーザに入力させて、ステップS104やステップS105にて、液滴径計算部112や圧力損失計算部113が、これを取得してもよい。また、予め記憶部102が記憶していたパラメータを、ステップS104やステップS105にて、液滴径計算部112や圧力損失計算部113が、取得してもよい。また、ステップS104やステップS105にて、液滴計算部112や圧力損失計算部113が、記憶部102等から取得してもよい。
【0109】
また、ステップS101〜ステップS103との順番は、これに限定されない、つまり、先に、第1条件取得部111が、候補開口面積、候補空塔速度を取得して、後に、第2条件取得部116が、設定上限圧力損失、設定下限液滴径、終端速度対応液滴径及び設定処理率対応液滴径を取得してもよく、同時に行なってもよい。ステップS104及びステップS105の順番も限定されるものではなく、先に圧力損失計算部113が理論圧力損失の計算を行ない、後に、液滴計算部112が理論液滴径の計算を行なってもよい。ステップS106及びステップS107の順番も限定されるものではなく、先に設計範囲判定部117が、理論圧力損失に関する判定を行ない、後に、理論液滴径に関する判定を行なってもよい。
【0110】
以上の多孔板設計装置100の動作によって、ユーザは、多孔板203の開口面積をステップS103で入力した候補開口面積にすれば、液滴径が所望の範囲となり、かつ圧力損失を所望の値以下にすることができると認識することができる。つまり、当該候補開口面積が妥当な値であることを、実際に当該候補開口面積に基づいて多孔板を作製しなくても判定することができる。例えば、図4に示すような条件の場合、理論液滴径は設定上限液滴径より小さく、設定下限液滴径より大きい。また、理論圧力損失は設定上限圧力損失より小さい。よって、ユーザは、最初に設定した候補開口面積に対応する開口面積の多孔板203を設計すれば、所望の処理率にて、所望の圧力損失以下で運転を行なうことができることを判定できる。
【0111】
妥当な候補開口面積を見出した後は、ユーザは、当該候補開口面積に基づいて多孔板203を設計すればよい。例えば、予め孔1個当たりの面積を定めておき、当該面積の合計が候補開口面積となるだけの数の孔を多孔板203上に設ければよい。また、ユーザは、多孔板203上に設ける孔の数を決定しているときは、当該候補開口面積を当該孔の数で除して算出される値を、孔1個当たりの面積として、多孔板203上に孔を設ければよい。
【0112】
なお、上述の終端速度対応液滴径は、終端速度に基づいて終端速度計算部114が予め計算したものである。終端速度計算部114による終端速度対応液滴径の計算については、特に限定されるものではないが、例えば、ステップS103で、第1条件取得部111が、上述のデータと共に終端速度や油の粘性係数等の、終端速度対応液滴径の計算に必要なパラメータをも取得して、終端速度計算部114に送信した後に行なってもよい。また、ステップS101にて、第2条件取得部116が処理を開始すると共に、終端速度計算部114に終端速度対応液滴径を計算する計算指示を送信して、終端速度計算部114が、当該計算指示を受信すると、予め記憶部102が記憶している終端速度や油の粘性係数を取得して計算を行なうように構成してもよい。
【0113】
上述の設定処理率対応液滴径は、設定処理率に基づいて処理率計算部115が予め計算したものである。処理率計算部115による設定処理率対応液滴径の計算については、特に限定されるものではないが、例えば、ステップS101で、第2条件取得部116が、上述のデータと共に設定処理率等の、設定処理率対応液滴径の計算に必要なデータをも取得して、処理率計算部115に送信することで行なってもよい。また、ステップS101にて、第2条件取得部116が処理を開始すると共に、処理率計算部115に設定処理率対応液滴径を計算する計算指示を送信して、処理率計算部115が、当該計算指示を受信すると、予め記憶部102が記憶している設定処理率等のデータを取得して計算を行なうように構成してもよい。
【0114】
なお、処理率と、混合物が流入してから筒状部201の長さ方向距離に移動した距離と、の関係は、図5に示すように曲線を描くが、この曲線は液滴径に応じて変化する。よって、処理率計算部115は、上記x(混合物が筒状部201に流入してから、筒状部201の長さ方向に進んだ距離)を筒状部201の長さの最大値として、このときの処理率が設計処理率となるように液滴径を算出する。当該液滴径が設定処理率対応液滴径となる。
【0115】
なお、本実施の形態では、設定上限液滴径を、設定処理率対応液滴径及び終端速度対応液滴径のうちいずれか小さい方の値とした場合について説明したが、これに限定されない。例えば、設定処理率対応液滴径及び終端速度対応液滴径のうちいずれか一方でもよい。このとき、予め設定処理率対応液滴径及び終端速度対応液滴径の両方を計算する必要は無く、適宜、終端速度計算部114及び処理率計算部115のいずれかを省いた構成にしてもよい。
【0116】
また、多孔板設計装置100は、設定上限液滴径の決定に設定処理率を用いるのではなく、設計範囲判定部117が判定した後に、理論液滴径によれば所望の処理率が得られるかを判定する構成にしてもよい。例えば、設計範囲判定部117が、理論液滴径について設定下限液滴径以上、設定上限液滴径以下であると判定した後に、処理率計算部115が、当該理論液滴径に対応する処理率である理論処理率を計算し、当該理論処理率が設定処理率以上かを判定してもよい。なお、液滴径が大きいほど処理率は小さくなる。
【0117】
本実施の形態では、候補空塔速度を一つ設定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、実際に運転するときの空塔速度の範囲を設定する構成としてもよい。具体的には、当該範囲の下限値及び上限値として、それぞれ予め設定する設定下限空塔速度及び設定上限空塔速度を、第1条件取得部111が取得して、液滴計算部112及び圧力損失計算部113がそれぞれ液滴径及び圧力損失を計算してもよい。このとき、上記図4に示すように空塔速度が大きいほど液滴径は小さくなるので、設定下限空塔速度に基づいて算出される液滴径は、上記空塔速度の範囲に対応する液滴径の中で理論的には下限値となる理論下限液滴径として算出される。同様に、設定上限空塔速度に基づいて算出される液滴径は、理論上限液滴径として算出される。よって、設計範囲判定部117については、理論上限液滴径が設定上限液滴径以下か、理論下限液滴径が設定下限液滴径以上かを判定するように構成してもよい。また、図4に示すように空塔速度が大きいほど圧力損失は大きくなるので、圧力損失計算部113については、設定上限空塔速度に基づいて理論圧力損失を計算するように構成しておいてもよい。なお、設定上限空塔速度は、例えばユーザの所望の処理率等に基づいて設定してもよく、設定下限空塔速度は、例えば上述のコールドテストや多流体解析等によって設定してもよい。
【0118】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0119】
最後に、制御部110の各ブロック、特に第1条件取得部111、液滴径計算部112、圧力損失計算部113、終端速度計算部114、処理率計算部115、第2条件取得部116及び設計範囲判定部117は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0120】
すなわち、多孔板設計装置100は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである多孔板設計装置100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記多孔板設計装置100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0121】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0122】
また、多孔板設計装置100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明に係る多孔板設計装置によれば、連続体中の分散体の液滴径を、所望の範囲内にすることが可能な多孔板を設計できるので、互いに分離する液体同士を混合して反応や抽出等を行なう化学工業の分野で好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の一実施形態に係る多孔板設計装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る筒型抽出器の構成を模式的に示す図である。
【図3】図1に示す多孔板設計装置が備える制御部が行なう処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態における圧力損失、液滴径及び空塔速度の関係を示す図である。
【図5】本実施の形態における処理率と混合物が図2に示す筒型反応容器が備える筒状部に流入してから、筒状部の長さ方向に進んだ距離との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0125】
100 多孔板設計装置
110 制御部
111 第1条件取得部(第1の条件取得手段)
112 液滴径計算部(液滴径計算手段)
113 圧力損失計算部(圧力損失計算手段)
114 終端速度計算部(終端速度対応液滴径計算手段)
115 処理率計算部(設定処理率対応液滴径計算手段)
116 第2条件取得部(第2の条件取得手段)
117 設計範囲判定部(設計範囲判定手段)
200 筒型抽出器(筒型容器)
203 多孔板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに分離する複数の液体を含む混合物を流す筒型容器の内側に、上記混合物が通過するように設けられ、上記混合物に含まれる液体のうち一部の液体を分散体として、連続体となる残部の液体中に分散させる多孔板の設計を支援する多孔板設計装置であり、
上記多孔板に設ける孔の面積の合計である開口面積の候補として、予め設定される候補開口面積、及び上記連続体の空塔速度の候補として、予め設定される候補空塔速度を取得する第1の条件取得手段と、
上記候補開口面積及び上記候補空塔速度に基づいて、上記多孔板の開口面積が当該候補開口面積であり、上記空塔速度が当該候補空塔速度であるときの、上記多孔板を通過する上記分散体の液滴径である理論液滴径を計算する液滴径計算手段と、
上記液滴径の上限値及び下限値として、予め設定される設定上限液滴径及び設定下限液滴径を取得する第2の条件取得手段と、
上記理論液滴径が、上記理論下限液滴径以上、上記設定上限液滴径以下の範囲にあるか判定する設計範囲判定手段と、
を備えることを特徴とする多孔板設計装置。
【請求項2】
上記候補開口面積及び上記候補空塔速度に基づいて、上記多孔板の開口面積が当該候補開口面積であり、上記空塔速度が当該候補空塔速度であるときの、上記混合物が上記多孔板を通過するときに生じる当該混合物の圧力損失である理論圧力損失を計算する圧力損失計算手段を備え、
上記第2の条件取得手段が、上記圧力損失の上限値として、予め設定される設定上限圧力損失を取得するものであり、
上記設計範囲判定手段が、上記理論圧力損失が上記設定上限圧力損失以下かを判定するものであることを特徴とする請求項1に記載の多孔板設計装置。
【請求項3】
上記分散体の終端速度に対応する上記液滴径である終端速度対応液滴径を計算する終端速度対応液滴径計算手段を備え、
上記第2の条件取得手段が、上記終端速度対応液滴径を、上記設定上限液滴径として取得するものであることを特徴とする請求項1に記載の多孔板設計装置。
【請求項4】
上記連続体が上記分散体に接触することで、反応又は抽出の処理がされるものであり、
予め設定される上記連続体の処理率である設定処理率に対応する上記液滴径である設定処理率対応液滴径を計算する設定処理率対応液滴径計算手段を備え、
上記第2の条件取得手段が、上記設定処理率対応液滴径を、上記設定上限液滴径として取得するものであることを特徴とする請求項1に記載の多孔板設計装置。
【請求項5】
上記連続体が上記分散体に接触することで、反応又は抽出の処理がされるものであり、
上記分散体の終端速度に対応する上記液滴径である終端速度対応液滴径を計算する終端速度対応液滴径計算手段と、
予め設定される上記連続体の処理率である設定処理率に対応する上記液滴径である設定処理率対応液滴径を計算する設定処理率対応液滴径計算手段と、を備え、
上記第2の条件取得手段が、上記設定処理率対応液滴径及び上記終端速度対応液滴径のうちいずれか小さい値を、上記設定上限液滴径として取得するものであることを特徴とする請求項1に記載の多孔板設計装置。
【請求項6】
上記液滴径計算手段が、下記数式(1)
【数1】

(d:液滴径、S:多孔板面積、U:候補空塔速度、A:候補開口面積、ρ:連続体密度、σ:表面張力、We:臨界ウェーバー数を示す)
により、上記理論液滴径を計算するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔板設計装置。
【請求項7】
上記圧力損失計算手段が、下記数式(2)
【数2】

(h:圧力損失、A:候補開口面積、S:多孔板面積、ρ:連続体の密度、D:水力学等価直径、Δρ:分散体と連続体との密度差、U:候補空塔速度、α及びβ:定数を示す)
により、上記理論圧力損失を計算するものであることを特徴とする請求項2に記載の多孔板設計装置。
【請求項8】
互いに分離する複数の液体を含む混合物を流す筒型容器の内側に、上記混合物が通過するように設けられ、上記混合物に含まれる液体のうち一部の液体を分散体として、連続体となる残部の液体中に分散させる多孔板の設計を支援するための多孔板設計装置の制御方法であり、
上記多孔板に設ける孔の面積の合計である開口面積の候補として、予め設定される候補開口面積、及び上記連続体の空塔速度の候補として、予め設定される候補空塔速度を取得する第1の条件取得工程と、
上記候補開口面積及び上記候補空塔速度に基づいて、上記多孔板の開口面積が当該候補開口面積であり、上記空塔速度が当該候補空塔速度であるときの、上記多孔板を通過する上記分散体の液滴径である理論液滴径を計算する液滴径計算工程と、
上記液滴径の上限値及び下限値として、予め設定される設定上限液滴径及び設定下限液滴径を取得する第2の条件取得工程と、
上記理論液滴径が、上記理論下限液滴径以上、上記設定上限液滴径以下の範囲にあるか判定する設計範囲判定工程と、
を含むことを特徴と多孔板設計装置の制御方法。
【請求項9】
互いに分離する複数の液体を含む混合物を流す筒状部を備える筒型容器であって、
請求項1に記載の多孔板設計装置によって、上記設定上限液滴径以下であり、かつ上記設定下限液滴径以上であると判定された上記理論液滴径に対応する上記候補開口面積を、開口面積として有する上記多孔板を備えることを特徴とする筒型容器。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の多孔板設計装置の各手段としてコンピュータを動作させるプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−128932(P2009−128932A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299756(P2007−299756)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】