説明

多孔質体およびその製造方法

三次元オープンセル格子を含み、(a)水非混和性の非水性媒体中に溶解可能なポリマー材料 10〜70重量%、および(b)界面活性剤 30〜90重量%を含有する、非水性媒体に溶解可能または分散可能な多孔質体であって、前記多孔質体が水銀ポロシメトリーで測定した場合に少なくとも3ml/gの細孔容積を有する、多孔質体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水性媒体中に溶解可能または分散可能な多孔質体、および、そのような多孔質体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
同時係属している国際特許出願PCT/GB03/03226(本出願人に譲渡されている)は、0.2〜5mmの範囲の平均ビーズ直径をもち、水溶性ポリマー物質の三次元オープンセル格子を含む、多孔質ビーズの形成について記載している。
【特許文献1】国際特許出願PCT/GB03/03226号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、非水性媒体と接触した場合に速やかに溶解または分散する高度な多孔質体を提供することである。さらに、そのような多孔質体を製造するための簡単かつ有効な方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の側面によれば、三次元オープンセル格子を含む、非水性媒体に溶解可能または分散可能な多孔質体であって、
(a)水非混和性の非水性媒体に溶解可能なポリマー材料 10〜95重量%、および
(b)界面活性剤 5〜90重量%、
を含有し、
前記多孔質体は、(以下に説明する)水銀ポロシメトリーで測定した場合に少なくとも約3ml/gの細孔容積を有する、多孔質体を提供する。
【0005】
本発明の多孔質体は、好ましくは、ポリマー材料を10から80重量%と、界面活性剤を20から90重量%とを含有する。より好ましくは、本発明の多孔質体は、ポリマー材料を20から70重量%と、界面活性剤を30から80重量%とを含有する。
【0006】
本発明を実施するためには、この多孔質体を非水性媒体に曝すと格子内に含有された物質が急速に分散されるように、多孔質体が急速に溶解または分散することも重要である。この格子の性質は、多孔質体の分散が3分未満、好ましくは2分未満、より好ましくは30秒未満の間に起こるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
好ましいポリマー材料としては、以下の(コ)モノマー類:
アルケン類(例えば、エチレンまたはプロピレン);ジエン類(例えば、ブタジエン);ウレタン類;ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル);スチレン系(コ)モノマー(例えば、スチレンまたはαメチルスチレン);アルキル(メタ)アクリラート類(例えば、メタクリル酸メチルまたはアクリル酸ブチル);アルキル(メタ)アクリルアミド類(例えば、ブチルアクリルアミドまたはデシルメタクリルアミド);(メタ)アクリロニトリル類;ビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル);イミド類;アミド類;無水物類;エステル類;エーテル類;カーボナート類;イソチオシアナート類;シラン類;シロキサン類;スルホン類;芳香族および脂肪族アルコール類(例えば、エチレングリコールまたは1,4-ベンゼンジメタノール);芳香族および脂肪族酸類(例えば、フタル酸またはアジピン酸);芳香族および脂肪族アミン類(例えば、ヘキサメチレンジアミン)、
の1種以上から合成されるホモポリマーもしくはコポリマーが挙げられる。
【0008】
ポリマー材料がコポリマーである場合、統計コポリマー(これまでにランダムコポリマーとしても知られている)、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、又は超分岐コポリマーであってよい。上に列挙したもの以外のコモノマー類も、それらの存在が、得られるポリマー材料の非水溶性の性質を損なうことがない場合は、列挙されたものに加えて含まれうる。
【0009】
適切なホモポリマーとしては、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリジメチルシロキサン、ポリブチルイソシアナート、ポリ(1−オクテン−コ−サルファージオキシド)が挙げられる。
【0010】
界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、または両性イオン性であってよく、好ましくは、常温で固体である。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、エトキシル化トリグリセリド類;脂肪アルコールエトキシレート類;アルキルフェノールエトキシレート類;脂肪酸エトキシレート類;脂肪アミドエトキシレート類;脂肪アミンエトキシレート類;ソルビタンアルカノエート類;エチル化ソルビタンアルカノエート類;アルキルエトキシレート類;プルロニックス;アルキルポリグリコシド類;ステアロールエトキシレート類、が挙げられる。好適な陰イオン性界面活性剤の例としては、アルキルエーテルサルフェート類;アルキルエーテルカルボキシレート類;アルキルベンゼンスルホネート類;アルキルエーテルホスフェート類;ジアルキルスルホスクシネート類;アルキルスルホネート類;石けん類;アルキルサルフェート類;アルキルカルボキシレート類;アルキルホスフェート類;パラフィンスルホネート類;二級n−アルカンスルホネート類;α−オレフィンスルホネート類;イセチオネートスルホネート類、が挙げられる。好適な陽イオン性界面活性剤の例としては、脂肪アミン塩類;脂肪ジアミン塩類;第四級アンモニウム化合物類;ホスホニウム界面活性剤;スルホニウム界面活性剤;スルホキソニウム界面活性剤、が挙げられる。好適な両性イオン性界面活性剤の例としては、アミノ酸(例えば、グリシン、ベタイン、アミノプロピオン酸等)のN−アルキル誘導体;イミダゾリン界面活性剤;アミンオキシド類;アミドベタイン類、が挙げられる。界面活性剤混合物を使ってもよい。
【0011】
本多孔質ポリマー体のかさ密度は、好ましくは、約0.01〜約0.3g/cm、より好ましくは約0.05〜約0.2g/cm、最も好ましくは約0.08〜約0.15g/cmの範囲である。
【0012】
本発明の多孔質体は、ポリマー材料と界面活性剤との液体媒体中の均質混合物(例えば、エマルション)を凍結させ、得られる凍結混合物を凍結乾燥することによって形成できる。
【0013】
本発明の多孔質体は、非水性媒体に曝すと分散する。本多孔質体を曝すこの非水性媒体は、本多孔質体を分散または溶解することができるいかなる非水性液体であってもよい。本明細書において、用語「非水性」は、少量の水を含有するが、当業者に実質的に非水性とみなされている液体を含む。本多孔質体を曝す非水性媒体は、水混和性であっても水非混和性であってもよい。この非水性媒体は、水非混和性の有機溶媒、例えば、アルカン類(例えば、ヘプタン、n−へキサン、イソオクタン、ドデカン、デカン等);環式炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等);ハロゲン化アルカン類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン(クロロホルム)、フルオロトリクロロメタン、およびテトラクロロエタン等);エステル類(例えば、酢酸エチル等);ケトン類(例えば、2-ブタノン等);エーテル類(例えば、ジエチルエーテル);およびこれらの混合物であってよい。好適な水混和性の有機溶媒の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等);およびアセトン;アセトニトリルまたはテトラヒドロフランが挙げられる。非有機性液体〔例えば、揮発性シリコーン類(例えば、シクロメチコーン)〕も、本多孔質体を曝す非水性媒体として使用することができる。
【0014】
本多孔質体の格子内に、非水性媒体に溶解可能なポリマー材料を包含させることによって、非水性媒体中に速やかに分散する多孔質体が形成される。したがって、本多孔質体内にとり込まれた、ポリマー材料および他のあらゆる成分は、この非水性媒体中に分散/溶解される。本発明の多孔質体を備えることにより、多孔質体中に含有された物質の非水性媒体中への溶解または分散が容易になり、この溶解/分散は、同じ物質を本発明で必要とされる形態ではない形態で使う場合に観察される溶解/分散より急速である。
【0015】
本発明はまた、さらなる側面において、本発明の多孔質体を非水性媒体に曝すことにより形成した、ポリマー材料と界面活性剤とを含む溶液または分散液を含む。
【0016】
本発明はまた、さらなる側面において、親水性物質をその中に含有する本発明の多孔質体を、非水性媒体に曝すことによって形成された、ポリマー材料、界面活性剤、および水溶性(親水性)物質を含む溶液もしくは分散液を含む。
【0017】
本発明の多孔質体は、ポリマー体が非水性媒体に分散されるときに分散される、水溶性物質をその格子内に含んでいてよい。この水溶性物質は、格子が作られる液体媒体中にこれらの水溶性物質を溶解することにより格子内に組み込むことができる。本発明の多孔質体内に含有された水溶性物質の非水性媒体への分散は、この多孔質体を非水性媒体に曝した場合に非常に改善されることがわかった。好ましい水溶性物質の例としては、水溶性ビタミン類(例えば、ビタミンC等);水溶性蛍光剤〔例えば、4,4'-ビス(スルホスチリル)ビフェニルニナトリウム塩(Tinopal CBS-Xの商品名で販売されている)等〕;活性塩化水和アルミニウム;漂白触媒として使用される遷移金属錯体;水溶性ポリマー〔例えば、イソフタル酸の変性ポリエステル類、ゲロール(gerol)、キサンタン・ガム、ジャガー(jaguar)、またはポリアクリラート類等〕;ジエチレントリアミン五酢酸;一級または二級アルコールのサルフェート(例えば、市販のcocoPAS等)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
本発明の多孔質体は、ポリマー体が非水性媒体に分散されるときに分散される、非水溶性物質をその格子内に含んでいてよい。この非水溶性物質は、油中水型エマルションの連続油相(それらからこの格子が作られる)中にこれらの非水溶性物質を溶解することにより格子内に組み込むことができる。好ましい非水溶性物質の例としては、抗菌剤;抗ふけ剤;美白剤;蛍光剤;消泡剤;ヘアーコンディショニング剤;布帛コンディショニング剤;スキンコンディショニング剤;染料;UV保護剤;漂白剤もしくは漂白剤前駆体;抗酸化剤;殺虫剤;農薬;除草剤;香料もしくはその前駆体;香味料もしくはその前駆体;薬学的活性物質;疎水性ポリマー材料、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0019】
製品が使用される時点で、親水性物質を分散することが必要とされる場合がある。この場合、本発明の多孔質体は、本発明の多孔質体を非水性環境に曝すことによってこの製品を使用するまで製品中に含有され、使用時に多孔質体格子が壊れ、親水性物質を放出する。
【0020】
本発明の多孔質体は、製品(例えば、製品の製造中における、液体製品)中に親水性物質を導入するために使用することができる。この場合、本発明の多孔質体の格子は、
本発明の多孔質体が製造の間に非水性環境に接触したときに壊れ、製造されている製品中に親水性物質をより容易に組み込むことができる形態で、親水性物質を放出する。
【0021】
本発明の多孔質体は、物質を製品中に組み込むことができる場所にそれらを輸送するために使用してもよい。液体製品を多孔質体に変換することによって、多量の液体を輸送する必要が回避でき、大きなコスト削減と、液体で輸送された場合に潜在的に危険な物質のよりいっそう安全な輸送をもたらすことができる。液体形態で貯蔵または輸送した場合に潜在的に不安定な物質を、本発明の多孔質体中に組み込み、分解の危険をより少なくして貯蔵及び輸送することができる。
【0022】
潜在的に不安定な親水性物質の本発明の多孔質体中への組み込みは、それらを使用前の貯蔵時の分解から保護することができる。
【0023】
水銀ポロシメトリーによって(以下に記載するように)測定した本多孔質体の細孔容積は、好ましくは少なくとも約4ml/g、より好ましくは少なくとも約5ml/g、さらに好ましくは少なくとも約6ml/gである。例えば、細孔容積は、約3ml/g〜約30ml/g、好ましくは約4ml/g〜約25ml/g、より好ましくは約7ml/g〜約20ml/gであってよい。細孔容積は、このような一般的タイプの材料内の気孔容積の非常に良好な尺度を提供する。本ポリマー多孔質体は、粉末、ビーズ、もしくは成形体の形態であってよい。粉末は、ビーズもしくは成形体の形態の多孔質体の粉末化によって調製することができる。
【0024】
本発明の別の側面によれば、三次元オープンセル格子を含む、非水性媒体に溶解可能または分散可能な多孔質体の製造方法であって、
前記多孔質体が、
(a)水非混和性の非水性媒体中に溶解可能なポリマー材料 10〜95重量%、および
(b)界面活性剤 5〜90重量%、
を含有し、
前記多孔質体が(以下に説明する)水銀ポロシメトリーで測定した場合に少なくとも約3ml/gの細孔容積を有し、
以下の工程:
(a)ポリマー材料と界面活性剤との液体媒体中の均質混合物を準備する工程、
(b)前記液体媒体を急速凍結させるために有効な温度の液体寒剤を準備する工程、
(c)前記液体媒体の凍結温度未満の温度で、前記液体媒体を急速凍結させるために有効な時間、前記液体媒体を前記液体寒剤で冷却する工程、および
(d)凍結した前記液体媒体を凍結乾燥させて、昇華により前記液体媒体を除去することにより多孔質体を形成する工程、
を含む、製造方法を提供する。
【0025】
ポリマー物質と界面活性剤との液体媒体中の均質混合物は、ポリマー材料を含む連続油相、不連続水性相、および界面活性剤を含有する、油中水型エマルションであってよい。
【0026】
本多孔質体が粉末の形態であるべき場合は、液体媒体の冷却を、液体媒体を液体寒剤中に噴霧した形態でスプレーすることにより行ってもよい。本多孔質体がビーズの形態であるべき場合は、液体媒体の冷却を、液体媒体の液滴を液体寒剤中に滴下することにより行ってもよい。成形体形態の多孔質体は、本液体媒体を型に注ぎ、液体寒剤によってこの液体媒体を冷却することによって作ることができる。成形体を作成するための本発明の好ましい方法においては、液体寒剤で周囲を取り囲まれた予冷した型内に、液体媒体を注ぐ。
【0027】
凍結された液体媒体は、この凍結された液体媒体を高真空に曝すことによって凍結乾燥することができる。用いる条件は当業者に周知であり、適用する真空度と要する時間は、存在する凍結された液体媒体の全てが昇華によって除去されるようであるべきである。成形された多孔質ポリマー体の場合は、まだ型内にある凍結された液体媒体を用いて凍結乾燥を行ってもよい。あるいは、凍結された液体媒体を型から取り出し、市販の凍結乾燥器で凍結乾燥させてもよい。凍結乾燥工程は、本発明の多孔質体を得るために、最高で約72時間まで行ってもよい。
【0028】
上記プロセスは、その中に溶解されたポリマー材料を含む連続油相と、不連続水性相と、本発明の多孔質体中に組み込まれ、かつエマルションの乳化剤として働く界面活性剤とを含む油中水型エマルションを用いることが好ましい。ポリマー材料は、連続相中に約1〜50重量%の濃度で存在することが好ましい。ポリマー材料は、連続相中に約3〜10重量%の濃度で存在することがさらに好ましい。
【0029】
油中水型エマルション中の乳化剤としての使用に適した界面活性剤は、好ましくは、3〜6の範囲のHLB値を有する。界面活性剤は、液体媒体中に約1〜約60重量%の濃度で存在することが好ましい。さらに好ましくは、界面活性剤は、液体媒体中に約2〜約40重量%の濃度で存在し、なおさらに好ましい濃度は約5〜約25重量%である。
【0030】
水中油型エマルションの連続油相は、好ましくは、水性相と非混和性の物質を含み、この物質は液体媒体を急速凍結させるために有効な温度よりも高い温度で凍結し、且つ凍結乾燥段階で昇華によって除去可能である。エマルションの連続油相は、以下の有機溶媒の1種以上から選択してもよい:
アルカン類(例えば、ヘプタン、n−ヘキサン、イソオクタン、ドデカン、デカン等);環式炭化水素(例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等);ハロゲン化アルカン類、(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン(クロロホルム)、フルオロトリクロロメタン、およびテトラクロロエタン等);エステル類(例えば、酢酸エチル等);ケトン類(例えば、2−ブタノン等);エーテル類(例えば、ジエチルエーテル等);揮発性環状シリコーン類(例えば、シクロメチコーン等)。
【0031】
好ましくは、水性相は、エマルションの約10〜約95体積%、さらに好ましくは約20〜約60体積%を占める。
【0032】
本発明のプロセスにおいて、液体寒剤は、ポリマー材料に対して不活性であることが好ましい。好ましくは、この液体寒剤は全ての成分の凍結温度より低い温度であることが好ましく、急速凍結を容易にするためにずっと低い温度であることが好ましい。液体寒剤は、好ましくは、標準温度および標準圧力でガスまたは蒸気である物質の液化物質である。液化液体寒剤は、液体媒体の凍結時に沸点になるか、あるいは外部冷却手段によってその沸点未満に冷却されてもよい。液体寒剤は、以下の群の1種以上から選択されてもよい:液体空気、液体窒素(b.p.-196℃)、液体アンモニア(b.p.-33℃)、液化希ガス(例えば、アルゴン)、液化ハロゲン化炭化水素(例えば、トリクロロエチレン)、クロロフルオロカーボン、フレオン、ヘキサン、ジメチルブテン、イソヘプタン、またはクメン。有機液体と固体二酸化炭素との混合物も、液体寒剤として使用することができる。適切な混合物の例として、クロロホルムもしくはアセトンと固体二酸化炭素(-77℃)、および、ジエチルエーテルと固体二酸化炭素(-100℃)、が挙げられる。液体媒体は凍結乾燥時に好ましくは真空下で除去され、再利用のために回収することが好ましい。非常に低い沸点、不活性さ、除去容易性、および経済性により、液体窒素が好ましい液体寒剤である。
【0033】
エマルションは、典型的には、当業者に周知の条件下で、例えば、磁気撹拌子、ホモジナイザー、または回転式機械式撹拌機を使用して調製される。
【0034】
製造された多孔質体は、通常、凍結乾燥段階で生じる2種のタイプの気孔を含む。一方は油相物質の昇華によるものである。この気孔構造は、ポリマー、ポリマーの分子量、ポリマー濃度、不連続相の性質、および/または凍結温度によって変わりうる。気孔構造の他方の種類は、水性相中の水の凍結によって形成された氷の昇華により生じる。
【実施例】
【0035】
例示のみを目的とし、添付する実施例を参照して、本発明による多孔質体の製造方法をさらに具体的に説明する。
【0036】
以下に続く実施例においては、細孔容積及びかさ密度は、以下に説明する水銀ポロシメトリーによって測定し、溶解時間は以下に説明するように測定した。
【0037】
〔水銀ポロシメトリー〕
気孔細孔容積およびかさ密度は、Micromeritics Autopore IV 9500 ポロシメーターを使用した水銀ポロシメトリーにより、0.10psia〜60000.00psiaの圧力範囲にわたって記録した。細孔容積は、合計侵入量からビーズ間(気孔サイズ>150μm)への水銀の貫入から生じる侵入量を引いて計算した。
【0038】
〔溶解時間〕
撹拌混合物が目視で透明になるまで、ポリマー体の秤量したサンプルを非水性溶媒と穏やかに撹拌した。混合物が目視で透明になる時間を、溶解時間として記録した。
【0039】
[実施例1]
ポリマー材料がポリ酢酸ビニルである場合において、非水性媒体に溶解可能または分散可能な、高度な多孔質体を製造するための実験を実施した。これらの多孔質体は、ポリマー約28.5重量%および界面活性剤約71.5重量%を含有していた。これらの多孔質体は、油中水型のエマルションを液体窒素中で凍結することによって調製した。このエマルションは、ポリ酢酸ビニルを含有するトルエン連続相と、水を含む不連続相とを含んでいた。ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(AOT)を界面活性剤として使用した。
【0040】
ポリ酢酸ビニルの5%トルエン溶液を、ポリ酢酸ビニル(PVAc Mw=83000)をトルエンに添加することにより調製した。この溶液のサンプル(2ml)を、RW11型 Basic IKA パドル撹拌機で撹拌し、AOT(0.25g)を添加し、続いて水(6ml)を添加して、75体積%の不連続相を有するエマルションを形成した。
【0041】
[実施例1a]
上述したエマルションをエアブラシから液体窒素中にスプレーした。凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、粉末を形成した。
【0042】
[実施例1b]
上述したエマルションを、液体窒素中に置かれたビーカーに入れ、エマルションを凍結させた。ビーカー中のこの凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、ビーカーの型で作られた多孔質成形体を得た。
【0043】
[実施例2]
ポリマー材料がポリ酢酸ビニルである場合において、非水性媒体に溶解可能または分散可能な、高度な多孔質体を製造するための実験を実施した。これらの多孔質体は、ポリマー約50重量%および界面活性剤約50重量%を含有していた。これらの多孔質体は、油中水型のエマルションを液体窒素中で凍結することによって調製した。このエマルションは、ポリ酢酸ビニルを含有するトルエン連続相と水を含む不連続相とを含んでいた。ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(AOT)を界面活性剤として使用した。
【0044】
ポリ酢酸ビニルの5%トルエン溶液を、ポリ酢酸ビニル(PVAc Mw=83000)をトルエンに添加することにより調製した。この溶液のサンプル(4ml)を、RW11型 Basic IKA パドル撹拌機で撹拌し、AOT(0.2g)を添加し、続いてトルエン(6ml)を添加して、50体積%の不連続相を有するエマルションを形成した。
【0045】
ビーカーを恒温容器に置き、液体窒素をビーカーおよび容器の双方に注いだ。上述のように調製したエマルションを、ビーカー中の液体窒素にA-99 FZ Razelシリンジポンプを用いて注射針から滴下した。このビーカーを凍結乾燥器内に一晩置いて、球形ビーズを得た。
【0046】
[実施例3]
ポリマー材料がポリスチレン(PS)である場合において、高度な多孔質体を製造するための実験を実施した。この粉末は、ポリマー約77重量%および界面活性剤約23重量%を含有していた。この多孔質体は、油中水型のエマルションを液体窒素中で凍結することによって調製した。このエマルションは、PSを含有するシクロヘキサン連続相と水性不連続相とを含んでいた。ジオクチルスルホコハク酸塩(AOT)を界面活性剤として使用した。
PSの10%水性溶液を、PS(例えばPolysciences社 Mw=30000)をシクロヘキサンに添加することにより調製した。この溶液のサンプル(2ml)を、RW11型 Basic IKA パドル撹拌機で撹拌し、AOT(0.03g/PS溶液1ml)を添加し、続いて水(6ml)を添加して、75体積%の不連続相を有するエマルションを形成した。
【0047】
[実施例3a]
上述したエマルションをエアブラシから液体窒素中にスプレーした。凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、粉末形態の多孔質体を得た。
【0048】
[実施例3b]
上述したエマルションを、液体窒素中に置かれたビーカーに入れ、エマルションを凍結させた。ビーカー中のこの凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、ビーカーの型で作られた多孔質成形体を得た。
【0049】
[実施例4]
ポリマー材料がポリスチレン(PS)である場合において、高度な多孔質体を製造するための実験を実施した。この粉末は、ポリマー約77重量%および界面活性剤約23重量%を含有していた。この粉末は、油中水型のエマルションを液体窒素中で凍結することによって調製した。このエマルションは、PSを含有するシクロヘキサン連続相と水性不連続相とを含んでいた。ジオクチルスルホコハク酸塩(AOT)を界面活性剤として使用した。
【0050】
PSの10%水性溶液を、PS(例えばPolysciences社 Mw=30000)をシクロヘキサンに添加することにより調製した。この溶液のサンプル(2ml)を、RW11型 Basic IKA パドル撹拌機で撹拌し、AOT(0.06g)を添加し、続いて水(6ml)を添加して、75体積%の不連続相を有するエマルションを形成した。上述したエマルションを、液体窒素中に置かれたビーカーに入れ、エマルションを凍結させた。ビーカー中のこの凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、ビーカーの型で作られた多孔質成形体を得た。
【0051】
細孔容積とかさ密度を、水銀ポロシメトリーを用いて上述したとおりに測定した。溶解データは、成形体(0.1g)を20℃でシクロヘキサン(2ml)中に入れることにより測定した。得られた結果を表1に示した。
【0052】
上述と同様の方法により、成形体を調製した。これらの成形体を得るもととなったエマルションは、PS(2ml:10重量%のシクロヘキサン溶液)と、AOT(表1で設定した)と、適切な量の水とを含有していた。
【0053】
【表1】

【0054】
比較の目的で観察したところ、業者から供給されたままのポリスチレンは58分前後の溶解時間を有していた。
【0055】
[実施例5]
ポリマー材料がポリスチレン(PS)である場合において、高度な多孔質体を製造するための実験を実施した。これらの多孔質体は、ポリマー約77重量%および界面活性剤約23重量%を含有していた。これらの多孔質体は、油中水型のエマルションを液体窒素中で凍結することによって調製した。このエマルションは、PSを含有するシクロヘキサン連続相と水性不連続相とを含んでいた。オレイン酸ソルビタン(SPAN 80)を界面活性剤として使用した。
【0056】
PSの10%シクロヘキサン溶液を、PS(Polysciences社より、Mw=30000)をシクロヘキサンに添加することにより調製した。この溶液のサンプル(3ml)を、RW11型 Basic IKA パドル撹拌機で撹拌し、オレイン酸ソルビタン(0.1ml例えば、Aldrich社)を添加し、続いて水(9ml)を添加して、75体積%の不連続相を有するエマルションを形成した。
【0057】
上述したエマルションを、液体窒素中に置かれたビーカーに入れて、エマルションを凍結させた。ビーカー中のこの凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、ビーカーの型で作られた多孔質成形体を得た。
【0058】
上述と同様の方法により、不連続相を0体積%、30体積%、67体積%有するエマルションから成形体を調製した。これらの成形体を得るもととなったエマルションは、PS(3ml:10重量%のシクロヘキサン溶液)およびオレイン酸ソルビタン(0.1ml/PS溶液3ml)と適切な量の水とを使用して調製した。
【0059】
下記の表において、連続相を0%含む成形体は、PS溶液とオレイン酸ソルビタンとから水なしで調製した。細孔容積とかさ密度を、水銀ポロシメトリーを用いて上述したとおりに測定した。溶解データは、成形体(0.1g)を20℃でシクロヘキサン(2ml)中に入れることにより測定した。得られた結果を表2に示した。
【0060】
【表2】

【0061】
比較の目的で観察したところ、業者から供給されたポリスチレンは58分前後の溶解時間を有していた。
【0062】
[実施例6]
ポリマー材料がポリスチレン(PS)である場合において、高度な多孔質体を製造するための実験を実施した。これらの多孔質体は、ポリマー約71重量%および界面活性剤約29重量%を含有していた。これらの多孔質体は、油中水型のエマルションを液体窒素中で凍結することによって調製した。このエマルションは、PSを含有するシクロヘキサン連続相と水性不連続相とを含んでいた。Steareth-2(Brij-72)を界面活性剤として使用した。
【0063】
PSの10%シクロヘキサン溶液を、PS(Polysciences社より、Mw=30000)をシクロヘキサンに添加することにより調製した。この溶液のサンプル(3ml)を、RW11型 Basic IKA パドル撹拌機で撹拌し、Steareth-2(0.12g)を添加し、続いて水(9ml)を添加して、75体積%の不連続相を有するエマルションを形成した。
【0064】
上述したエマルションを、液体窒素中に置かれたビーカーに入れ、エマルションを凍結させた。ビーカー中のこの凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、ビーカーの型で作られた多孔質成形体を得た。
【0065】
細孔容積とかさ密度を、水銀ポロシメトリーを用いて上述したとおりに測定し、それぞれ4.22ml/gおよび0.166g/cmであった。
【0066】
[実施例7]
ポリマー材料がポリ酢酸ビニルである場合において、親水性染料を含有し、非水性媒体に溶解可能または分散可能な、高度な多孔質体を製造するための実験を実施した。これらの多孔質体は、ポリマー約28重量%、界面活性剤約69重量%、および染料約3重量%を含有していた。これらの多孔質体は、油中水型のエマルションを液体窒素中で凍結することによって調製した。このエマルションは、ポリ酢酸ビニルを含有するトルエン連続相と、水および染料を含む不連続相とを含んでいた。ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(AOT)を界面活性剤として使用した。
【0067】
ポリ酢酸ビニルの5%トルエン溶液を、ポリ酢酸ビニル(PVAc Mw=83000)をトルエンに添加することにより調製した。この溶液のサンプル(2ml)を、RW11型 Basic IKA パドル撹拌機で撹拌し、direct yellow 50(0.01g)およびAOT(0.25g)を添加し、続いて水(6ml)を添加して、75体積%の不連続相を有するエマルションを形成した。
【0068】
[実施例7a]
上述したエマルションをエアブラシから液体窒素中にスプレーした。凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、粉末形態の多孔質体を得た。
【0069】
[実施例7b]
上述したエマルションを、液体窒素中に置かれたビーカーに入れ、エマルションを凍結させた。ビーカー中のこの凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、ビーカーの型で作られた多孔質成形体を得た。
【0070】
[実施例7c]
ビーカーを恒温容器に置き、液体窒素をビーカーおよび容器の双方に注いだ。上述により調製したエマルションを、ビーカー中の液体窒素にA-99 FZ Razelシリンジポンプを用いて注射針から滴下した。このビーカーを凍結乾燥器内に一晩置いて、球形ビーズを得た。
【0071】
[実施例8]
ポリマー材料がポリ酢酸ビニルである場合において、疎水性染料を含有し、非水性媒体に溶解可能または分散可能な、高度な多孔質体を製造するための実験を実施した。これらの多孔質体は、ポリマー約28重量%、界面活性剤約69重量%、および染料約3重量%を含有していた。これらの多孔質体は、油中水型のエマルションを液体窒素中で凍結することによって調製した。このエマルションは、ポリ酢酸ビニルと染料とを含有するトルエン連続相と、水を含む不連続相とを含んでいた。ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(AOT)を界面活性剤として使用した。
【0072】
ポリ酢酸ビニルの5%トルエン溶液を、ポリ酢酸ビニル(PVAc Mw=83000)をトルエンに添加することにより調製した。この溶液のサンプル(2ml)を、RW11型 Basic IKA パドル撹拌機で撹拌し、solvent green 3 dye(0.01g)およびAOT(0.25g)を添加し、続いて水(6ml)を添加して、75体積%の不連続相を有するエマルションを形成した。
【0073】
[実施例8a]
上述したエマルションをエアブラシから液体窒素中にスプレーした。凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、粉末形態の多孔質体を得た。
【0074】
[実施例8b]
上述したエマルションを、液体窒素中に置かれたビーカーに入れ、エマルションを凍結させた。ビーカー中のこの凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、ビーカーの型で作られた多孔質成形体を得た。
【0075】
[実施例9]
ポリマー材料がポリ酢酸ビニルである場合において、疎水性染料を含有し、非水性媒体に溶解可能または分散可能な、高度な多孔質体を製造するための実験を実施した。これらの多孔質体は、ポリマー約33重量%、界面活性剤約54重量%、および染料13重量%を含有していた。これらの多孔質体は、油中水型のエマルションを液体窒素中で凍結することによって調製した。このエマルションは、ポリ酢酸ビニルと染料とを含有するトルエン連続相と、水を含む不連続相とを含んでいた。ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(AOT)を界面活性剤として使用した。
【0076】
ポリ酢酸ビニルの2.5%トルエン溶液を、ポリ酢酸ビニル(PVAc Mw=83000)をトルエンに添加することにより調製した。この溶液のサンプル(12ml)を、RW11型 Basic IKA パドル撹拌機で撹拌し、solvent green 3 dye(0.12g)およびAOT(0.5g)を添加し、続いて水(12ml)を添加して、75体積%の不連続相を有するエマルションを形成した。
【0077】
ビーカーを恒温容器に置き、液体窒素をビーカーおよび容器の双方に注いだ。上述により調製したエマルションを、ビーカー中の液体窒素にA-99 FZ Razelシリンジポンプを用いて注射針〔ゲージ19〕から滴下した。このビーカーを凍結乾燥器内に一晩置いて、球形ビーズ〔直径2〜3mm〕を得た。
【0078】
[実施例10]
ポリマー材料がポリスチレンである場合において、親水性染料を含有し、非水性媒体に溶解可能または分散可能な、高度な多孔質体を製造するための実験を実施した。これらの多孔質体は、ポリマー約60重量%、界面活性剤約16重量%、および染料約24重量%を含有していた。これらの多孔質体は、油中水型のエマルションを液体窒素中で凍結することによって調製した。このエマルションは、ポリスチレンを含有するシクロヘキサン連続相と、水および染料を含む不連続相とを含んでいた。ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(AOT)を界面活性剤として使用した。
【0079】
ポリスチレンの10%シクロヘキサン溶液を、ポリスチレン(PS、Polysciences社より、Mw=30000)をシクロヘキサンに添加することにより調製した。この溶液のサンプル(2ml)を、RW11型 Basic IKA パドル撹拌機で撹拌し、AOT(0.054g)と、メチルオレンジ(0.16g)の水溶液を添加して、50体積%の不連続相を有するエマルションを形成した。
【0080】
上述したエマルションをエアブラシから液体窒素中にスプレーした。凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、粉末形態の多孔質体を得た。
【0081】
この粉末(0.1g)を20℃でシクロヘキサン(2ml)に入れて溶解時間を測定したところ、22秒であった。
【0082】
[実施例11]
ポリマー材料がポリスチレンである場合において、疎水性染料を含有し、非水性媒体に溶解可能または分散可能な、高度な多孔質体を製造するための実験を実施した。これらの多孔質体は、ポリマー約60重量%、界面活性剤約16重量%、および染料約24重量%を含有していた。これらの多孔質体は、油中水型のエマルションを液体窒素中で凍結することによって調製した。このエマルションは、ポリスチレンを含有するシクロヘキサン連続相と、水および染料を含む不連続相とを含んでいた。ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(AOT)を界面活性剤として使用した。
【0083】
ポリスチレンの10%シクロヘキサン溶液を、ポリスチレン(PS、Polysciences社より、Mw=30000)と、oil blue dye(0.08重量%)とをシクロヘキサンに添加することにより調製した。この溶液のサンプル(2ml)を、RW11型 Basic IKA パドル撹拌機で撹拌し、AOT(0.054g)と、水2mlとを添加して、50体積%の不連続相を有するエマルションを形成した。
【0084】
上述したエマルションをエアブラシから液体窒素中にスプレーした。凍結したエマルションを凍結乾燥器内に一晩置いて、粉末形態の多孔質体を得た。
【0085】
この粉末(0.1g)を20℃でシクロヘキサン(2ml)に入れて溶解時間を測定したところ、11秒であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元オープンセル格子を含む、非水性媒体に溶解可能または分散可能な多孔質体であって、
(a)水非混和性の非水性媒体に溶解可能なポリマー材料 10〜70重量%、および
(b)界面活性剤 30〜90重量%、
を含有し、
前記多孔質体が水銀ポロシメトリーで測定した場合に少なくとも約3ml/gの細孔容積を有する、多孔質体。
【請求項2】
前記多孔質体が、粉末、ビーズ、又は成形体の形態である、請求項1に記載の多孔質体。
【請求項3】
前記ポリマー材料が、以下の(コ)モノマー類:
アルケン類;ジエン類;ウレタン類;ビニルエステル類;スチレン系(コ)モノマー;アルキル(メタ)アクリラート類;アルキル(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリル類;ビニルエーテル類;イミド類;アミド類;無水物類;エステル類;エーテル類;カーボナート類;イソチオシアナート類;シラン類;シロキサン類;スルホン類;芳香族および脂肪族アルコール類;芳香族および脂肪族酸類;芳香族および脂肪族アミン類、
の1種以上から合成されるホモポリマーもしくはコポリマーである、請求項1又は2に記載の多孔質体。
【請求項4】
前記ポリマー材料が、ポリスチレンまたはポリ酢酸ビニルである、請求項3に記載の多孔質体。
【請求項5】
前記多孔質ポリマー体が、ポリマー格子内に組み込まれた、水溶性物質および/または非水溶性物質を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質体。
【請求項6】
前記水溶性物質が、水溶性ビタミン類;水溶性蛍光剤;活性塩化水和アルミニウム;漂白触媒として使用される遷移金属錯体;水溶性ポリマー;ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);C8を超える鎖長を含む一級または二級アルコールのサルフェート、またはこれらの混合物から選択される、請求項5に記載の多孔質体。
【請求項7】
前記非水溶性物質が、抗菌剤;抗ふけ剤;美白剤;蛍光剤;消泡剤;ヘアーコンディショニング剤;布帛コンディショニング剤;スキンコンディショニング剤;染料;UV保護剤;漂白剤もしくは漂白剤前駆体;抗酸化剤;殺虫剤;農薬;除草剤;香料もしくはその前駆体;香味料もしくはその前駆体;薬学的活性物質;疎水性ポリマー材料、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項5に記載の多孔質体。
【請求項8】
三次元オープンセル格子を含む、非水性媒体に溶解可能または分散可能な多孔質体の製造方法であって、
前記多孔質体が、
(a)水非混和性の非水性媒体中に溶解可能なポリマー材料 10〜70重量%、および
(b)界面活性剤 30〜90重量%、
を含有し、
前記多孔質体が(以下に説明する)水銀ポロシメトリーで測定した場合に少なくとも約3ml/gの細孔容積を有し、
以下の工程:
(a)ポリマー材料と界面活性剤との液体媒体中の均質混合物を準備する工程、
(b)前記液体媒体を急速凍結させるために有効な温度の液体寒剤を準備する工程、
(c)前記液体媒体の凍結温度未満の温度で、前記液体媒体を急速凍結させるために有効な時間、前記液体媒体を前記液体寒剤で冷却する工程、および
(d)凍結した前記液体媒体を凍結乾燥させて、昇華により前記液体媒体を除去することにより多孔質体を形成する工程、
を含む、製造方法。
【請求項9】
前記液体媒体の冷却を、噴霧した油中水型エマルションを前記液体寒剤中にスプレーすることにより;油中水型エマルションの液滴を前記液体寒剤中に滴下することにより;または、油中水型エマルションを型に注ぎ、前記型中で前記エマルションを冷却することにより行う、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー材料が、以下の(コ)モノマー類:
アルケン類;ジエン類;ウレタン類;ビニルエステル類;スチレン系(コ)モノマー;アルキル(メタ)アクリラート類;アルキル(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリル類;ビニルエーテル類;イミド類;アミド類;無水物類;エステル類;エーテル類;カーボナート類;イソチオシアナート類;シラン類;シロキサン類;スルホン類;芳香族および脂肪族アルコール類;芳香族および脂肪族酸類;芳香族および脂肪族アミン類、
の1種以上から合成されるホモポリマーもしくはコポリマーである、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー物質が、ポリスチレンまたはポリ酢酸ビニルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記界面活性剤が、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、又は両性イオン性である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記界面活性剤が常温で固体である、請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記界面活性剤が3〜6のHLB値を有する、請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記界面活性剤が、エトキシル化トリグリセリド類;脂肪アルコールエトキシレート類;アルキルフェノールエトキシレート類;脂肪酸エトキシレート類;脂肪アミドエトキシレート類;脂肪アミンエトキシレート類;ソルビタンアルカノエート類;エチル化ソルビタンアルカノエート類;アルキルエトキシレート類;プルロニックス;アルキルポリグルコシド類;ステアロールエトキシレート類;アルキルポリグリコシド類;アルキルエーテルサルフェート類;アルキルエーテルカルボキシレート類;アルキルベンゼンスルホネート類;アルキルエーテルホスフェート類;ジアルキルスルホスクシネート類;アルキルスルホネート類;石けん類;アルキルサルフェート類;アルキルカルボキシレート類;アルキルホスフェート類;パラフィンスルホネート類;二級n−アルカンスルホネート類;α−オレフィンスルホネート類;イセチオネートスルホネート類;脂肪アミン塩類;脂肪ジアミン塩類;第四級アンモニウム化合物類;ホスホニウム界面活性剤;スルホニウム界面活性剤;スルホキソニウム界面活性剤;アミノ酸(例えば、グリシン、ベタイン、アミノプロピオン酸等)のN−アルキル誘導体;イミダゾリン界面活性剤;アミンオキシド類;アミドベタイン類;およびこれらの混合物、から選択される、請求項9〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記均質混合物が油中水型エマルションである、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記エマルションの不連続相が前記エマルションの10〜95体積%を占める、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記エマルションの不連続相が前記エマルションの20〜60体積%を占める、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記エマルションの不連続相が、アルカン類;環式炭化水素類;ハロゲン化アルカン類;エステル類;ケトン類;エーテル類;揮発性環状シリコーン類;およびそれらの混合物、から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の多孔質体を非水性媒体に曝すことによって形成された、ポリマー材料と界面活性剤とを含む溶液又は分散液。
【請求項21】
前記親水性物質をその中に含有する請求項5に記載の多孔質体を、非水性媒体に曝すことによって形成された、ポリマー材料、界面活性剤、および親水性物質を含む溶液もしくは分散液。

【公表番号】特表2007−519787(P2007−519787A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549919(P2006−549919)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014755
【国際公開番号】WO2005/075546
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】