説明

多孔質玄武岩系安山岩よりミネラル水ならびに粘土粒子を抽出する方法およびその装置

【課題】
特殊な成分を含有する岩石より、ミネラル水と粘土粒子を並行して同時に得るための手段に関する。
【解決手段】
このために、多孔質玄武岩系安山岩を粉砕して略均一の大きさ選別し、これと水とを重量比約1:1〜1.3の割合で混練し、得られた水溶液をろ過してミネラル水と粘土粒子とに分離してミネラル水ならびに粘土粒子の両者を同時に抽出し、自然の恵みをすべて利用できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特殊な成分を含有する岩石よりミネラル水と粘土粒子を得るための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質玄武岩系安山岩とは、およそ100万年前の噴火熔岩より形成されたと見られる岩石で、長崎県諫早市の多良岳地帯に分布し、産出されることが知られている。その安山岩の特徴は岩石中に0.005〜5ミリミクロン程度大きさの気孔が多数形成されており、岩石および気孔内には、カルシウム・ナトリウム・ケイ素・マグネシウム・イオウ・鉄などの成分を含まれている。図2にこの多孔質玄武岩系安山岩、熔岩プレートおよび緻密質安山岩の定性、定量分析試験結果を細孔分布重ねグラフで示した。ここで多孔質玄武岩系安山岩には、他の比較岩石に比べ特に0.01〜1ミリミクロン程度の微細孔が多数形成されていることがわかる。
【0003】
従来の岩石よりミネラル水を得る方法は、ミネラルが含まれる岩石の粉末を水の容器に浸漬したり(特許文献1、2参照)、化学薬品、酸で溶かして抽出したり、水の循環経路に岩石を配置してミネラルを溶出させるものであった。
一方、粘土粒子は、岩石を粉砕し、細かくすり潰してパウダー状にするいわゆる乾式製粉法が用いられてきた。
【0004】
【特許文献1】特願2003−177301
【特許文献2】特願昭56−90941
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法によれば、ミネラル水の中に岩石に含まれる十分なミネラル分を溶け込ませることが出来なかった。化学薬品で溶かす方法では化学薬品が混入するので中和剤を入れるなど中和工程が必要であった。また、岩石を粉砕してパウダー状にするには相当の時間がかかるうえ、粒子の細かさには限りがあり、また粒子と水を混合しても、両者をなじませることが困難であった。何よりも従来はミネラル水と粘土粒子とは全く別の工程で製造されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために第一の発明は多孔質玄武岩系安山岩を粉砕して略均一の大きさ選別し、これと水とを重量比約1:1〜1.3の割合で混練し、得られた水溶液をろ過してミネラル水と粘土粒子とに分離するようにしたことを特徴とする多孔質玄武岩系安山岩よりミネラル水ならびに粘土粒子の同時抽出方法である。
【0007】
また、第二の発明は、多孔質玄武岩系安山岩を破砕する破砕機と、この破砕機で破砕された岩石から一定の大きさ岩石のみ取り出す選別機と、前記一定の大きさの岩石と水とを混練するボールミルと、混練した水溶液から水と粘土粒子とに分離するフイルタープレスとを具えたことを特徴とする多孔質玄武岩系安山岩よりミネラル水および粘土粒子の同時抽出装置である。
【発明の効果】
【0008】
第一の発明、または第二の発明によれば、多孔質玄武岩系安山岩からこれに含まれる成分を発散させることなく、自然界に存在するそのままの状態で、すべての成分を効率よくかつ短時間のうちに水ならびに粘土粒子中に取り込む事が出来る。
さらに岩石と水とを1:1〜1.3の割合で混合し、水の分子を小さく出来るため空気の吸い込み、溶存酸素率を上げることが出来る。
また、ボールミルの回転時間によって、成分の溶け込み量と粘土粒子の大きさを調整することができる。
そして、それぞれに利用価値の高いミネラル水と粘土粒子の両方を並行して同時に生産できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の一実施形態を、図1に示している。
まず、採石場1において、採石機2で発掘した岩石3の中から多孔質玄武岩系安山岩のみを厳選して、ブレーカーに移送し、このブレーカーにて、500kgの大割りの岩を5〜10kgに小割りする。次にこの小割りされた石を破砕機4で粒径2〜3cmになるように破砕する。その後選別機5に持ち込み、ここで粒径2mm程度以下の小粒な石粉6を除去する。除去された石粉6は、別の用途に使用される。一方所定の大きさの石は、ボールミル7へ投入する。その際に砕石50kgに対し水8を約60リットルの割合(ボールミル7の全容量の50%に相当する)で供給し、40〜50rpmで約2時間程度常温で回転する。その後ボールミル7の水溶液のみをフイルタープレス9に移し、ここで時間をかけてミネラル水10と20〜30ミリミクロンの粘土粒子11とに分離する。
【0010】
一方、前記水溶液を抜き取ったボールミル7には、新たに水と必要に応じて所定粒径の石を補充して、再び回転させて所定時間後に水溶液をフイルタープレス9へと移し同じように時間をかけてミネラル水10と粘土粒子11とに分離する。
【0011】
このようにして製造されたミネラル水は、単に水タンクに岩石を入れ、浸して活性化したようなミネラル水ではなく、数十〜数百万年前の石の素材そのものの成分と、細孔分布測定で知り得たナノクラスの穴が1g当たり0.0569立方センチメートル、気孔率17.78%の岩石の中に長い年月保たれた水分もしくは気体に含まれている微量要素成分を強制的に取り込んだミネラル水である。むしろミネラルエキスと呼称するに値する上質のミネラル水である。
【0012】
ここで得られるミネラル水は、非常に高濃度の原液であるために、通常は数十倍もしくは数百倍に薄めて用いると効率的である。もちろん、原液のまま使用しても差し支えない。以下にミネラル水と粘土粒子の使用例を列挙する。
【0013】
(1)飲用水、つまりミネラルウォーターとして使用すれば、人間の身体にとって体調をバランスよく整えてくれる。また、老化現象、糖尿病の予防、味覚・臭覚の保全、免疫機能、性腺分泌の活性、コレステロールの調整などさまざまな効果がある。
【0014】
(2)ミネラル水の殺菌・消臭効果を利用して、トイレの便器、ペット類の小屋、堆肥、悪臭発生場所などにスプレーする。
【0015】
(3)観葉植物の受け皿にミネラル水の希釈液を注いだら、1ヵ月後には見違えるように勢いが出てきた。また、農作物に直接散布したり、みかん、イチゴ畑の土壌に散布すると、植物が元気になって収穫量も増えるばかりでなく、果実類の色つやも目だってよくなる。
【0016】
(4)ミネラル水をシャンプーやボデイソープに混入して使用すると、香が柔らかくなり湯上り後いつまでも体が温かい。髪がサラサラになりリンスの必要がない。
【0017】
(5)かまぼこ等の水産加工物にミネラル水を使用すれば、熟成を促し鮮度保持に効果がある。
【0018】
(6)つけもの類(主に高菜漬け)を漬け込む際に使用すると、臭みが消え、色、味が向上する。梅干や、にんにく漬けでは熟成を促し味がまろやかになる。
【0019】
(7)粘土粒子を市販のクリームに混ぜ合わせたり、ミネラル水と粘土粒子を混ぜ合わせて化粧用パックに使用すると、しっとり感が増し、粘土素材の遠赤外線効果で温かくなり、保湿とうるおい効果に役に立つ。
【0020】
(8)粘土粒子を陶磁器の釉薬に混ぜ合わせたり、またはミネラル水を用いて釉薬をつくり、器の表面に施すことにより、極めて高い遠赤外線放射効果が作用することがわかった。熱効率が向上し省エネにつながることとなる。
味噌漬け容器だと、味噌漬けが長持ちし、熟成を促し、匂いも消える。湯のみだと、お茶がおいしくなりお湯が冷めにくい。花瓶だと、いつまでも花木が長持ちする。飯碗や汁碗などすべて冷めにくいという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施形態を示す工程図である
【図2】多孔質玄武岩系安山岩と他の岩石を試験・分析して得た細孔分布重ねグラフである
【符号の説明】
【0022】
3 岩石
4 破砕機
5 選別機
7 ボールミル
9 フイルタープレス
10 ミネラル水
11 粘土粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質玄武岩系安山岩を粉砕して略均一の大きさ選別し、これと水とを重量比約1:1〜1.3の割合で混練し、得られた水溶液をろ過してミネラル水と粘土粒子とに分離するようにしたことを特徴とする多孔質玄武岩系安山岩よりミネラル水ならびに粘土粒子の同時抽出方法。
【請求項2】
多孔質玄武岩系安山岩を破砕する破砕機と、この破砕機で破砕された岩石から一定の大きさ岩石のみ取り出す選別機と、前記一定の大きさの岩石と水とを混練するボールミルと、混練した水溶液から水と粘土粒子とに分離するフイルタープレスとを具えたことを特徴とする多孔質玄武岩系安山岩よりミネラル水および粘土粒子の同時抽出装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−62218(P2008−62218A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245842(P2006−245842)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(301014166)有限会社 池田孫石材 (1)
【Fターム(参考)】