説明

多孔質部材の破断方法

【課題】疎水性樹脂からなる多孔質部材を対象とした場合の断面性状が整った状態の良い破断面を得ることができる破断(切断)方法を提供すること。
【解決手段】疎水性の合成樹脂材料から構成された合成樹脂製多孔質部材を破断する方法であって、多孔質部材にアルコールを含浸させる含浸工程(ステップS10)と、上記アルコールを含浸させた多孔質部材を凍結する凍結工程(ステップS20)と、上記凍結した多孔質部材を破断する破断工程(ステップS30)とを含む、方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破断面の形成方法、特に樹脂材料から構成された部材に破断面を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンやポリエチレンのようなポリオレフィン系或いはその他の疎水性樹脂からなる合成樹脂材料は、種々の用途に利用されている。例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池その他の二次電池についても、電極体を構成する正極材と負極材との間に配置されるセパレータとしてこの種の合成樹脂からなる多孔質部材が用いられている。
ところで、この種の電池に用いられるセパレータは、両極の接触による短絡を防止するとともに、充放電中、電解質やイオンなどを通過させる役割を有している。そのため、セパレータの性能は、電池性能や電池の安全性に大きな影響を有しており、それゆえに、セパレータ断面を観察することによってセパレータの厚みやその断面性状を知ることは、電池性能や安全性を把握する上で特に重要となる。セパレータ断面観察のためには、前提として当該セパレータの構造を正しく表した(即ち組織・構造を乱さないで)断面を露出(形成)することが重要である。このための手法としては、一般に、ガラスナイフやダイヤモンドナイフなどによってセパレータに微細切削加工を施すミクロトーム加工や、収束イオンビームによってセパレータに微細加工を施すFIB加工などが挙げられる。
【0003】
しかしながら、セパレータの断面出し手法として上記ミクロトーム加工を用いた場合、切断面が気孔観察には不適な状態となる場合が多い。すなわち、図5の写真から分かるように、ミクロトーム加工では、ナイフからの応力によってセパレータ表面に潰れが発生するため、セパレータ中の気孔を見分けることが難しくなる。特に、厚さ数μmしかないシート状セパレータにおいては、表面つぶれの問題がさらに顕著となり、断面観察が不可能な状態となる。
【0004】
また、セパレータの断面出し手法として上記FIB加工を用いた場合、該加工に供したセパレータ自体が損傷するという問題がある。すなわち、図6の写真から分かるように、FIB加工では、収束イオンビームによってセパレータの一部が溶損するため、やはり断面観察には不適な状態となる場合が多い。セパレータの材料選択によっては、かかる損傷を抑制することはできるが、かわりに電池性能を犠牲にするおそれがあり好ましくない。
【特許文献1】特開昭62−187236号公報
【特許文献2】特開2006−153647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上記ミクロトーム加工やFIB加工に代わる断面出し手法として、液体窒素を用いた破断方法の適用が考えられる。すなわち、液体窒素に浸漬して凍結した後、破断することによって破断面を調整するという方法である。このような液体窒素を用いた従来技術としては、例えば特許文献1、2が開示されている。
【0006】
しかしながら、加工対象が上記電池用セパレータの場合、該セパレータは、典型的にはポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などの実質的に水分を吸収しない疎水性合成樹脂材料で構成されているため、液体窒素温度では脆化せず、観察に適した品質のよい破断面を得ることが難しいという問題がある。加えて、加工対象がセパレータの場合、電子顕微鏡を用いた真空環境での断面観察が前提となることから、なるべく水分混入の影響がでない状態で(典型的には水分をセパレータに吸収させることなく)セパレータ断面を調整し得る手法が求められている。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、疎水性樹脂からなる多孔質部材を対象とした場合の断面性状が整った状態の良い破断面を得ることができる破断(切断)方法を提供することである。また、そのような方法を採用して、対象とする多孔質部材(例えば電池のセパレータ用部材)の破断面を正確に評価・検査する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により提供される方法は、疎水性の合成樹脂材料から構成された合成樹脂製多孔質部材を破断(切断)する方法である。この方法は、上記多孔質部材にアルコールを含浸させる含浸工程と、上記アルコールを含浸させた多孔質部材を所定温度で凍結する凍結工程(すなわち含浸したアルコールが固化(凝固)する温度以下まで多孔質部材の温度を低下させる工程)と、上記凍結した多孔質部材を破断する破断工程とを含む。
【0009】
本発明の方法によれば、疎水性樹脂からなる多孔質部材にアルコールを含浸させることにより、凍結した多孔質部材を適度に脆化して割れ易くすることができる。そのため、凍結した多孔質部材を破断する際に、破断時の応力によって破断面に捲れや潰れが発生することを抑制することができる。その結果、断面性状が整った状態の良い破断面を得ることができる。加えて、本発明の方法を採用することにより、顕微鏡による断面観察に適した品質のよい(即ち組織・構造を乱さないで)断面を露出させることができるので、対象とする多孔質部材(例えば電池のセパレータ用部材)の破断面を正確に評価・検査することが可能となる。
【0010】
ここに開示される方法の好ましい一態様では、上記アルコール含浸工程よりも前に、上記多孔質部材を重金属で染色する工程を含む。多孔質部材を重金属で染色することにより、多孔質部材の脆化をさらに進行させることができ、組織・構造の乱れが少ない高品質な破断面を形成することが可能となる。
【0011】
ここに開示される方法の好ましい一態様では、上記多孔質材料は、ポリオレフィン系樹脂材料から構成されている。ポリオレフィン系樹脂材料は、水分を吸収しない疎水性合成高分子材料であるため、含水状態にして凍結させることが難しい。したがって、水分に代えてアルコールを含浸させることにより、含水状態と同様の状態にした上で破断するという本発明の方法を適用することによる効果が特によく発揮され得る。
【0012】
なお、上記多孔質部材は、薄く延ばしたシート状(フィルム状)に形成されてもよく、この場合、本発明の方法を適用することによる効果が特によく発揮され得る。すなわち、多孔質部材をシート状に成形した場合、従来の破断方法(例えば、ミクロトーム加工やFIB加工など)では破断時の応力によって表面つぶれが発生するため、破断面が断面観察に不適な状態となる場合が多いが、本発明の方法を採用すれば、このような表面つぶれの発生を効果的に抑制することができる。
【0013】
ここに開示される方法の好ましい一態様では、上記アルコール含浸工程は、上記多孔質部材をアルコール液中に浸漬することにより行われる。かかる方法によれば、多孔質部材にアルコールを均一に(濡れムラなく)浸透させることができる。
【0014】
ここに開示される方法の好ましい一態様では、上記凍結工程は、上記アルコールを含浸させた多孔質部材を液体窒素中に浸漬することにより行われる。かかる方法によれば、アルコールを含浸させた多孔質部材を液体窒素温度で速やかに凍結することができる。
【0015】
ここに開示される方法の好ましい一態様では、上記破断工程は、上記多孔質部材を上記液体窒素中に浸漬した状態で行われる。かかる方法によれば、多孔質部材の凍結状態を液体窒素温度で維持しつつ、多孔質部材を確実に破断することができる。
【0016】
ここに開示される方法の好ましい一態様では、上記多孔質部材として電池のセパレータ用途のシート部材を用いる。本発明に係る破断方法は、上述のように、断面性状が整った状態の良い破断面を形成することができるため、種々の形態の電池の構成要素である電池のセパレータ用途のシート部材に対して好ましく適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0018】
<実施形態1>
本実施形態に係る破断方法は、疎水性の合成樹脂材料から構成された合成樹脂製多孔質部材を破断する方法である。この実施形態では、多孔質部材の破断は、液体窒素に浸漬した状態で行われる。
【0019】
多孔質部材は、疎水性の合成樹脂材料から構成されており、例えば、ポリオレフィン系樹脂材料から構成されている。ポリオレフィン系樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などが挙げられる。それらの疎水性合成樹脂材料は、液体窒素温度では十分に脆化させることができず、状態の良い破断面を得ることが難しかった。本願発明者は、そのような疎水性樹脂からなる多孔質部材を対象とした場合でも、液体窒素温度でうまく脆化させる方法を見出し、本発明に想到した。以下、図1を参照しつつ説明する。
【0020】
まず、ステップS10において、多孔質部材にアルコールを含浸させる含浸工程を実行する。かかる含浸処理は、例えば多孔質部材をアルコール液中に所定時間浸漬することにより行うことができる。これにより、多孔質部材にアルコールを均一に(濡れムラなく)浸透させることができる。なお、かかる含浸処理は、アルコール液に浸漬する方法に限らず、例えば多孔質部材にアルコール液を噴霧する方法などを採用してもよい。また、アルコール液は主成分がアルコールである溶液を包含する。例えば、アルコール濃度が50vol%以上(好ましくはアルコール濃度70vol%以上、特に好ましくはアルコール濃度が90vol%以上)であるアルコールと水の混合液(好ましくはアルコール濃度20vol%以上、例えば20〜70vol%又は70vol%以上のアルコール液)は、ここでいうアルコール液に包含される典型例である。
【0021】
使用するアルコールは、使用温度(好ましくは常温)で液体であり、かつ、疎水性の合成樹脂多孔質材料が吸収可能なものであればよく、特に制限されない。例えば、含浸性を向上させる観点からは、低級アルコールを用いることが好ましい。低級アルコールは、典型的には炭素(C)数が10以下(典型的には炭素数5以下)のアルコールであり、その代表例としてエタノール(本実施形態)を挙げることができる。エタノールは沸点が水よりも低く、気化し易い。そのため、電子顕微鏡による観察環境(典型的には真空環境)を構築し易くなるというメリットもある。エタノールと水の混合液、即ちエタノール液が好ましく使用できる。該エタノール液中のエタノール割合としては20〜70vol%の範囲が好ましい。また、高融点のアルコール(例えば融点が−100℃以上、より好ましくは0℃以上)を用いてもよい。これにより、液体窒素温度でアルコールを固化し易くなる。なお、使用するアルコールは、一種であってもよく、二種以上を混合したものであってもよい。必要に応じて他の溶剤などを混入してもよい。
【0022】
このようにしてアルコールを含浸させたら、次にステップS20において、アルコールを含浸させた多孔質部材を凍結する凍結工程を実行する。かかる凍結処理は、例えば、アルコールを含浸させた多孔質部材を液体窒素中に所定時間浸漬することにより行うことができる。これにより、多孔質部材を液体窒素温度で速やかに凍結することができる。
【0023】
なお、凍結処理温度は、多孔質部材に含浸させたアルコールが固化する温度以下であればよく、上述した液体窒素温度(−195.8℃)に限らない。凍結処理温度は、使用するアルコールの種類などに応じて適宜設定すればよい。
【0024】
このようにして多孔質部材を凍結したら、次にステップS30において、凍結した多孔質部材を破断する破断工程を実行する。かかる破断処理は、例えば、凍結した多孔質部材に外部から機械的な応力を加えて二つ以上に割ることにより行うことができる。
【0025】
このように多孔質部材を破断することにより、多孔質部材に破断面を露出(形成)することができる。本実施形態では、多孔質部材にアルコールを含浸させているため、凍結した多孔質部材を適度に脆化して割れ易くすることができる。そのため、上記の破断処理を実行する際、破断時の応力によって破断面に捲れや潰れが発生することを抑制することができる。その結果、断面性状が整った状態の良い破断面を得ることができる。
【0026】
なお、多孔質部材の所望の破断位置にあらかじめ切込みを入れておいてもよい。これにより、凍結した多孔質部材を所望の破断位置にて確実に切断することができる。また、上記の破断処理は、例えば、多孔質部材を液体窒素中に浸漬した状態で行うことが好ましい。これにより、多孔質部材の凍結状態を液体窒素温度で維持しつつ、多孔質部材を確実に破断することができる。
【0027】
このようにして多孔質部材を破断したら、その後、ステップS40において、多孔質部材の破断面を観察する観察工程を実行する。かかる破断面の観察は、例えば、電子顕微鏡を用いて行うことができる。すなわち、破断面が形成された多孔質部材を液体窒素から取り出して、電子顕微鏡に入れて断面観察を行えばよい。本実施形態の方法を採用することにより、顕微鏡による断面観察に適した品質のよい(即ち組織・構造を乱さないで)断面を露出させることができるので、対象とする多孔質部材(例えば電池のセパレータ用部材)の破断面を正確に評価・検査することが可能となる。加えて、この実施形態では、水よりも気化し易いエタノールを使用しているため、電子顕微鏡による観察環境(典型的には真空環境)を構築し易くなる。
【0028】
本実施形態の形成方法によれば、疎水性樹脂からなる多孔質部材にアルコールを含浸させることにより、凍結した多孔質部材を適度に脆化して割れ易くすることができる。そのため、凍結した多孔質部材を破断する際に、破断時の応力によって破断面に捲れや潰れが発生することを抑制することができる。その結果、断面性状が整った状態の良い破断面を得ることができる。また、本実施形態の方法を採用することにより、顕微鏡による断面観察に適した品質のよい(即ち組織・構造を乱さないで)断面を露出させることができるので、対象とする多孔質部材(例えば電池のセパレータ用部材)の破断面を正確に評価・検査することが可能となる。
【0029】
なお、上記多孔質部材は、薄く延ばしたシート状(フィルム状)に形成されてもよく、この場合、本発明の方法を適用することによる効果が特によく発揮され得る。すなわち、多孔質部材をシート状に成形した場合、従来の破断方法(例えば、ミクロトーム加工やFIB加工など)では破断時の応力によって表面つぶれが発生するため、破断面が断面観察に不適な状態となる場合が多いが、本発明の方法を採用すれば、このような表面つぶれの発生を効果的に抑制することができる。
【0030】
<実施形態2>
続いて、本発明の他の実施形態について説明する。この実施形態2では、さらに、多孔質部材を重金属で染色する工程を含む点において上述した実施形態1とは異なる。図2を参照しつつ、以下、説明する。
【0031】
すなわち、ステップS1において、ステップS10のアルコール含浸工程よりも前に、多孔質部材を重金属で染色する染色工程を実行する。多孔質部材を重金属で染色すると、重金属元素が架橋反応等により多孔質部材内に導入される。これにより、多孔質部材の脆化をさらに進行させることができ、組織・構造の乱れが少ない高品質な破断面を形成することが可能となる。
【0032】
使用する重金属元素は、染色により多孔質部材の脆化を進行させることができるものであればよい。このような重金属元素の代表例として、例えば、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)などが挙げられる。Ru元素による染色処理は、例えば、処理対象の多孔質部材を四酸化ルテニウム(固体RuO)とともに密閉容器に収容し、該容器内を減圧して固体RuOを気化することにより、Ruを多孔質部材に定着させればよい。
【0033】
本発明に係る破断方法は、上述のように、断面性状が整った状態の良い破断面を形成することができるため、電池のセパレータ用途のシート部材に対して好ましく適用することができる。すなわち、種々の形態の電池の構成要素であるセパレータは、ポリオレフィン系などの疎水性多孔質樹脂材料から構成されているため、液体窒素温度では十分に脆化させることができず、状態の良い破断面を得ることが難しかったが、本発明の方法を採用すれば、そのような疎水性樹脂からなるセパレータを対象とした場合でも、液体窒素温度でうまく脆化させて破断することができ、セパレータの破断面を正確に評価・検査することが可能となる。
【0034】
次に、本実施形態に係る破断面形成方法を用いてセパレータ断面を形成することにより、断面性状が整った状態の良い破断面が得られることを確認するため、実施例1として以下の実験を行った。
【0035】
すなわち、多孔質部材として電池のセパレータ用途のシート部材を用いて、アルコール濃度が99.5vol%のエタノールと水の混合液、即ちエタノール液(ここでは、エタノール液組成としてvol%比で水:エタノール=2:1のものを使用した。)に約30分間浸漬した。シート部材としては、プロピレン(PP)とポリエチレン(PE)とプロピレン(PP)とが順次積層された3層構造シートを用いた。次いで、エタノール液からシート部材を取り出して、液体窒素に約30分間浸漬して凍結した。次いで、凍結したシート部材を液体窒素中で破断した。その後、破断したシート部材を液体窒素から取り出してエタノールを除去した後、その破断面を電子顕微鏡にいれて観察した。
【0036】
また、実施例2として、シート部材をエタノールに浸漬する前に、シート部材に対してRu重金属染色処理を行った。具体的には、局所排気施設内において、シート部材を固体RuOとともに密閉容器に収容し、該容器内をアスピレータ減圧することによって固体RuOを気化させ、Ruをシート部材に定着させた。定着時間は、約4時間に設定した。そして、Ru染色処理したこと以外は実施例1と同様の条件で、シート部材に破断面を形成した。なお、上記染色に使用したRuOは市販されているものである。
【0037】
以上のように作製した上記実施例1、2のセパレータ断面を、電子顕微鏡により観察した。その結果を、図3(実施例1)および図4(実施例2)にそれぞれ示す。
【0038】
図3に示すように、実施例1のシート部材では、図5及び図6の従来加工により得られた破断面に比べて捲れや潰れが生じておらず、比較的状態の良い破断面が得られることが分かった。これは、シート部材にエタノールを含浸させることによって、液体窒素温度でうまく脆化させることができたからである。また、図4に示すように、実施例2のシート部材では、実施例1のシート部材に比べて捲れや潰れの発生がさらに抑制されており、非常に高品質な破断面が得られた。これは、Ru重金属元素を反応によりシート部材内に導入することによって、シート部材の脆化がさらに進行したからである。
【0039】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。例えば、多孔質部材は、上述したセパレータに限られず、種々の樹脂材料から構成された成型品であってもよい。また、多孔質部材の形態は、シート状に限らず、板状、ペレット状などの何れであってもよい。さらに多孔質部材を構成する樹脂材料は、ポリプロピレンやポリエチレンのようなポリオレフィン系に限らず、その他の疎水性樹脂からなる合成樹脂材料であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る多孔質部材破断面の形成フローを示すフロー図。
【図2】本発明の一実施形態に係る多孔質部材破断面の形成フローを示すフロー図。
【図3】電子顕微鏡によるシート部材断面を示す断面観察図(実施例1)。
【図4】電子顕微鏡によるシート部材断面を示す断面観察図(実施例2)。
【図5】電子顕微鏡によるミクロトーム加工のセパレータ断面を示す断面観察図。
【図6】電子顕微鏡によるFIB加工のセパレータ断面を示す断面観察図。
【符号の説明】
【0041】
S1 染色工程
S10 含浸工程
S20 凍結工程
S30 破断工程
S40 観察工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性の合成樹脂材料から構成された合成樹脂製多孔質部材を破断する方法であって、
前記多孔質部材にアルコールを含浸させる含浸工程と、
前記アルコールを含浸させた多孔質部材を凍結する凍結工程と、
前記凍結した多孔質部材を破断する破断工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記アルコール含浸工程よりも前に、前記多孔質部材を重金属で染色する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多孔質材料は、ポリオレフィン系樹脂材料から構成されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記多孔質部材は、シート状に成形されている、請求項1から3の何れか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記アルコール含浸工程は、前記多孔質部材をアルコール液中に浸漬することにより行われる、請求項1から4の何れか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記凍結工程は、前記アルコールを含浸させた多孔質部材を液体窒素中に浸漬することにより行われる、請求項1から5の何れか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記破断工程は、前記多孔質部材を前記液体窒素中に浸漬した状態で行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記多孔質部材として電池のセパレータ用途のシート部材を用いる、請求項1から7の何れか一つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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