説明

多層チルドデザート

本発明は、耐熱性容器中の多層状の熱を通したチルドデザート及び該デザートを製造する方法に関する。本発明のデザートは、引き続き耐熱性ジャーに層を充填すること、及び該層を含むデザートをベーキングすること、その後、該デザートをチルド条件まで冷却することにより調製される。該デザートは、チルドデザートとして、或いは、再加熱ステップの後、給仕の直前に摂取し得る。本発明のデザートは、先行技術のプロセスと比較すると、その製造プロセスが短縮され、汚染されにくいという食品安全性に関する利点をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デザートを調製する方法、該方法により得られるデザート、並びにテクスチャー及び/又は粘度の異なる少なくとも2種の層を含むチルドデザートに関する。
【0002】
[背景技術及び解決すべき問題]
2種以上の別々の層を有するチルドデザートは、様々なフレーバー及びテクスチャーを組み合わせることを可能にする。そのようなチルドデザートの調製後、摂取の間に様々な層の差異、例えば異なる粘度及び/又は異なる咀嚼特性が経験されるように、様々な層は互いに混ざり合うべきではない。例えば、ケーキ層はクリーム及び/又はムース層と組み合わせ得る。そのようなデザートは、単一のテクスチャー及び/又は全体的フレーバー感覚のみを有するデザートと比較すると優れた感覚をもたらすため、消費者に広く好まれている。
【0003】
食品安全性のため、熱処理を適用すること及び/又は周囲温度未満、例えば凍結若しくはチルド条件下でデザートを貯蔵することにより、微生物増殖が、デザートにおいて通常抑制又は防止される。
【0004】
上記の多層デザートは、一般に、各層を別々に熱を通すこと、各層をパッケージ中で合わせること、次いで、組み合わせた多層デザートを周囲温度未満で貯蔵することにより調製される。
【0005】
多層デザートの調製法の技術水準に鑑みて、調製プロセスを短縮及び促進することが本発明の目的である。特に、多層デザートの様々な層及び/又はコンポーネントを別々に熱を通すことに付随する汚染の危険性の増大及び他の問題を解決することが目的である。熱を通した層を組み合わせることを回避することも目的である。
【0006】
例えば、微生物増殖をさらに及びより良好に抑制又は防止することによりデザートの食品安全性を高めることは普遍的目的である。
【0007】
非常に一般的な多層デザートは、液体及び/又は溶融層を含むもの、例えば、溶融チョコレートコアを有するケーキである。これらのデザートには、その少なくとも一部が周囲温度及び/又はそれより高い温度で好適に摂取されるように、摂取の直前に短い所定の時間、例えば直接消費者自身により、又は例えば飲食店においてデザートを給仕する直前にスタッフにより加熱されるものがある。摂取直前の加熱は、オーブン、例えば電子レンジ中で実施し得る。この種のデザートは、一般に再加熱可能なデザートと呼ばれる。
【0008】
液体、例えば溶融層を有するデザートは、先行技術に従って様々な方法で調製される。1つの慣行によると、液体、溶融層は、組合せの間に凍結片の形態で用意され、その結果、摂取前の最終的熱処理の間に、凍結層は解凍されるだけで完全には熱を通されない。別の慣行によると、製造の間、生地に不完全に熱を通されている(undercooked)、すなわち熱を通すのが不完全であり(imcompletely cooked)、その結果、中心が熱を通されない状態(uncooked)のままである。該デザートは、給仕の直前に、例えば電子レンジ中で、確実に生地の中心が熱を通されない状態となるように、制限された正確な所定の時間、消費者によりベーキングされる。この方法により、液体「溶融」中心は保護される。この後者の場合は、単一のケーキ本体の内部コアと、外側の部分とで熱の通り方に違いがあることにより、異なるテクスチャーがもたらされ、異なるコンポーネント又は層によるものではないため、厳密な意味では多層デザートではない。
【0009】
[発明の開示]
注目すべきことに、本発明者らは、先行技術と比較すると容易でより単純な方法に従って調製されるチルドデザートを実現する。様々な層を含むデザートは、その給仕容器中で完全に熱を通される。熱を通すステップにより、各層の最終的テクスチャーが決定される。例えば、1つの層がケーキ層であるならば、ケーキ層は1つ又は複数の他の層と共に熱を通され、それによりその最終的テクスチャーを得る。この方法により、先行技術による「冷たい状態で組み合わせる」及び/又は「不完全に熱を通す」プロセスが回避され、調製プロセスが短縮され、食品安全性が高まる。
【0010】
さらに、不完全に熱を通した層又は熱を通していない層が存在しないため、製品品質はより一貫している。このことは、摂取前の再加熱ステップにおける小さなずれが様々な層のテクスチャーに関して非常に異なる結果をもたらす恐れがある再加熱可能なデザートに関して特に重要である。本発明によると、本発明のデザートにおける各層は、一般に、それらのテクスチャーを再加熱の間保持する。
【0011】
したがって、第1の態様において、本発明は、第1のコンポーネントを耐熱性容器に注入し、それにより第1の層を形成するステップと、第2のコンポーネントを耐熱性給仕容器に注入し、それにより第2の層を形成するステップと、デザート全体にわたって全ての層において少なくとも65℃の温度を得るような方法で前記第1及び第2の層を含む前記容器を熱処理するステップとを含む、熱を通した多層チルドデザートを調製する方法であって、前記第1及び前記第2のコンポーネントが異なる方法を提供する。
【0012】
好ましい実施形態によると、及び該コンポーネントの少なくとも1つは実質的に熱を通していない状態及び/又は予め熱を通した状態のケーキ生地である。別の実施形態によると、熱処理ステップ後の前記第1及び第2の層は異なるテクスチャーを有し、前記熱を通していない状態及び/又は予め熱を通した状態のケーキ生地が熱を通されてケーキ層を形成する。
【0013】
第2の態様において、本発明は、本発明の方法により得ることができるデザートを提供する。
【0014】
第3の態様において、本発明は、チルド条件下で貯蔵される熱を通した多層デザートを提供し、前記デザートは、少なくとも1つの層がケーキ層であり少なくとも1つの層がクリーム及び/又はムース層である異なるテクスチャーの少なくとも2種の層を含み、耐熱性給仕容器で提供される。
【0015】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
当業者、例えばペストリー職人は、例えば手動の様式で、本発明のチルドデザートを調製する方法を使用することができる。しかし、該方法の少なくともいくつかのステップを自動化することが好ましく、それにより該方法は工業的な大規模生産に有用となる。したがって、該方法の1つ又は複数のステップは、自動化された様式で、例えばプログラム可能な装置の使用により行われる。特に、該容器に充填するコンポーネントを得るために各材料を混合するステップと、規定の量の様々なコンポーネントを該容器に充填するステップ及び充填された容器を熱処理するステップの1つ又は複数は、プログラムされた機械により、例えば実質的に連続的な方法で実施し得る。
【0016】
例えば、空の容器は充填場所まで運搬することができ、そこで充填機が第1のコンポーネントを該容器に充填して第1の層を形成し、その後、該容器はさらなる充填場所へ運搬され、そこで第2のコンポーネントが同じ容器の第1の層の上に充填されて第2の層を形成する。このプロセスは、各容器に全ての層が充填されるまで継続し得る。
【0017】
本発明は、多層デザートの調製に関する。本発明における「層」とは、層全体にわたって固有のテクスチャー及び全体的に均質な外観を有する前記デザートの塊又はある量の前記デザートである。本発明における「均質な」外観又は層とは、明確に認識可能な材料、例えば、果実片、チョコレート片、ホール又はカットナッツなどの小片を含むコンポーネントも包含し、前記小片は、塊内に均一に分散しており、それにより該層を形成している。
【0018】
例えば、層は、いったん熱を通されると全体的に固体状の外観を有するケーキ層でもよい。層は、例えば、クリーミーでねばねばした及び/又は口の中でとろけるテクスチャーを有するクリーム層でもよい。任意の層は、調査、特に利用可能な装置及び方法論によるテクスチャーの調査を受け得る。例えば、層の針入度を測定し得る。「層」という用語は、必ずしも層が別の層などの別のコンポーネントを完全に被覆することを意味しない。コアも層と見なし得る。しかし、一実施形態によると、多層デザートは、2つ以上の層を含み、好ましくは2つ以上の層からなり、第2の層は完全に第1の層を被覆し、任意選択の第3、第4、第5、第6及び第nの層(nは3以上の整数)はそれぞれの先の層を完全に被覆する。したがって2つ以上の層を重ね得る。
【0019】
該デザートは様々な色を有し、様々な層の存在を視覚的に認識できるように示す少なくとも2種の層を含むことが好ましい。以下にさらに説明しているように、例えば、様々に着色された層は透明な容器を通して認識することができ、それにより該デザート中に様々な層が存在することを消費者に直接示す。
【0020】
本発明のデザートは、上に定義したように、好ましくは6つ以下の層、より好ましくは5つ以下の層、最も好ましくは4つ以下の層を有し、それにより、順番に重なった少なくとも2つの層が異なり、好ましくは異なるテクスチャーを特徴とする。
【0021】
本発明の方法は、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを耐熱性容器に充填し、それにより前記容器中に2種の層を形成するステップを含む。
【0022】
本明細書における「コンポーネント」とは、単一の材料及び又は様々な材料の混合物でもよい。コンポーネントは、いったん容器に充填されると、上に定義したように層を形成する。各コンポーネント及び/又は層は、本発明の方法により得られるデザートの固有のテクスチャーをもたらす。例えば、本発明のデザートは、以下に定義するようにケーキ層及び/又はクリーム層を含む。
【0023】
本発明は、異なるテクスチャーの様々な層を含むデザートを提供する。本明細書における「異なるテクスチャー」という表現は、一般に、本発明のデザートの摂取時に消費者が認識できるあらゆる種類のテクスチャーの差異を指す。異なるテクスチャーは、例えば、該デザートの様々な層の異なる咀嚼特性によりもたらされる。当業者は、様々な実験装置を利用して、本発明のデザートにおける層などの所与の均質な実体のテクスチャーを実験的に評価することができる。テクスチャーの差異に関する疑問があるならば、異なるテクスチャーの有無を判定するために特定の層及び/又はコンポーネントの針入度及び/又は粘度値を使用し得る。針入度及び粘度値は、以下の実施例で詳述するように測定することが好ましい。2つの層が同じ針入度及び/又は粘度値を有するとしても、それらは依然として異なるテクスチャーを有し得る。この場合、層のテクスチャーの指標として固有の重量(密度)、水分活性Aw及び/又は乾物含量を使用することができる。
【0024】
各容器に充填される様々な層は、互いに接触していることが好ましい。このことは、各層を同じ容器に、例えば上下に重ねて連続的に充填した結果として生じ得る。投入及びその後の熱処理の間に様々な層の間の明確な分離を達成するために、各層が充填時に異なる密度及び/又は粘度を特徴とすることが有利である。したがって、各層を形成しているコンポーネントは、各層の混合及び/又は融合、並びに/或いは充填後及び熱処理前の各層の間の拡散を防止するために選択及び/又は調製することが好ましい。同様に、各層の特性は、混合/融合が熱処理後にも防止されるようなものである。以下にさらに詳述するように、ケーキ層は、泡立てた卵を用いて形成することができ、泡立てた卵を含まない層の下又は上に充填することができる。この方法により、例えば、各層の分離を達成することができる。
【0025】
一実施形態によると、本発明のデザートは、少なくとも1つの「ケーキ層」を含む。本発明におけるケーキ層は、一般的な充填装置による好適な容器への自動注入を可能にする、充填前及び充填時の全体的に液状のねばねばしたテクスチャー、及び熱処理ステップ後のより固体状のテクスチャーを特徴とする。一般に、ケーキ層は、いったん熱を通されると、もはや液体特性を有しておらず、粘度測定はもはや不可能である。したがって、少なくとも1つのケーキ層は、基本的に充填後に該容器における熱処理(熱を通す/ベーキング)によりその最終的な固体状のテクスチャー及び外観を得る。
【0026】
ケーキ生地は、ケーキに一般的な材料を用いて調製し得る。例えば、ケーキは、デンプン源、例えば粉類、糖及び/又は人工甘味料などの甘味料、卵、例えば全卵、卵黄及び/又は卵白、膨張剤、並びにフレーバリング材料を含み得る。ケーキは、脂肪及び/又は油源、チョコレート及び/又はナッツも含み得る。
【0027】
本発明はデザートに関するため、ケーキ層は甘いケーキであることが好ましい。
【0028】
ケーキ層は、例えば、泡立てた卵白、生物学的及び/又は化学的発酵剤でもよい膨張剤を含むことが好ましい。
【0029】
一実施形態によると、ケーキ層は、例えば穀粉、タピオカデンプン、及び/又はジャガイモデンプンなどのデンプン源を含む。穀粉は、例えば米粉、小麦粉、及びトウモロコシデンプンから選択し得る。ケーキ層は、少なくとも3重量パーセント、好ましくは少なくとも5重量パーセント、より好ましくは少なくとも7重量パーセント、最も好ましくは少なくとも10重量パーセントのデンプンを含むことが好ましい。
【0030】
一実施形態によると、ケーキ層は、天然の卵白、特に泡立てた卵白を含む。卵白は、膨張剤を代替してもさらなる別の膨張剤に加えて使用してもよい。例えば、ケーキ層を形成するコンポーネントは、熱を通す前に、少なくとも10重量パーセント、好ましくは少なくとも20重量パーセント、最も好ましくは少なくとも25重量パーセントの泡立てた卵白を含む。ケーキ層を調製するための材料は、低温殺菌などの初期の熱処理において完全に変性されていない天然のタンパク質を含むことが好ましい。特に、泡立てた卵のタンパク質などの卵ベースの材料のタンパク質は、熱感受性である天然の未変性タンパク質を含み、天然の未変性タンパク質からなることが好ましい。したがって、例えば泡立てた卵白を用意するために低温殺菌された卵白が使用されるならば、泡立てた卵白の中のタンパク質は未変性であることが好ましい。
【0031】
天然のタンパク質を有する泡立てた卵白を使用することにより、該卵白を含む層の熱処理による固化が可能になるという利点、並びに充填時の該層と他の層との融合を回避するのに適した特定の粘度及び/又は密度が得られるという利点がもたらされる。
【0032】
一実施形態によると、ケーキ層は卵黄を含む。好ましくは、ケーキ層は、少なくとも5重量パーセント、好ましくは少なくとも8重量パーセント、より好ましくは少なくとも11重量パーセント、最も好ましくは少なくとも14重量パーセントの卵黄を含む。
【0033】
一実施形態によると、ケーキ層は、少なくとも5重量パーセント、より好ましくは少なくとも7重量パーセント、最も好ましくは少なくとも9重量パーセントの糖を含む。
【0034】
好ましい実施形態によると、ケーキ層は、少なくとも10重量パーセントの泡立てた卵白、少なくとも5重量パーセントのデンプンコンポーネント、少なくとも5重量パーセントの糖を含む。
【0035】
ケーキ層は、粉末の形態で提供し得るアーモンド及び/又はヘーゼルナッツなどのナッツも含み得る。一実施形態によると、ケーキ層は、少なくとも5重量パーセント、好ましくは少なくとも10重量パーセント、最も好ましくは少なくとも15重量パーセントの粉末ナッツを含む。
【0036】
各材料は充填前に適切に混合される。例えば、卵白は糖と共に又はそれだけで泡立てることができ、次いで、前もって予め混合されている他の材料に添加される。いったん全ての材料が混合されると1つの均質なケーキ生地が形成され、次いで、該ケーキ生地が該容器に充填される。
【0037】
充填時及び熱処理前の熱を通していない状態のケーキ生地の粘度は、好ましくは300000cps以下、より好ましくは200000cps以下、最も好ましくは140000cps以下である。熱処理の間、該ケーキ生地はベーキングされ、その後、固体状のテクスチャーにより特徴付けられ、その粘度は測定することができない。
【0038】
充填時及び熱処理前の該ケーキ生地の針入度値は、好ましくは300g以下、より好ましくは150g以下、最も好ましくは50g以下である。
【0039】
熱処理ステップ後のケーキ層の針入度値は、好ましくは150g以上、より好ましくは200g以上、250g以上、300g以上、350g以上、400g以上、最も好ましくは450g以上である。
【0040】
熱を通す前及び後のケーキ層の針入度値の差異は、ケーキ層が、少なくとも2種の層を含む容器を熱処理するステップの間に熱を通されたことを示す。したがって、ケーキ層などの層は、好ましくは熱処理の間にそのテクスチャーの実質的な変化、特に針入度値の実質的な増加及び液体特性の損失を経験し得る。上述したように、熱を通したケーキ層にかかる機械力の衝撃が崩壊、特に粉砕をもたらすため、熱を通した層の粘度は、一般にもはや測定することができない。
【0041】
本発明における「針入度の実質的な増加」とは、少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍、最も好ましくは少なくとも5倍の針入度の増大を指す。しかし、ケーキ層は、熱を通すステップの間に最大で7倍又はさらに最大で10倍の針入度値の増大を経験し得る。
【0042】
好ましくは、ケーキ層は、少なくとも55重量パーセント、好ましくは少なくとも60重量パーセントの乾物含量を有する。乾物含量は、様々な層を含有する容器を熱処理するステップの後、好ましくは該デザートを8℃以下の温度まで冷却するステップの後に測定される。
【0043】
本発明のデザートは、テクスチャーが熱処理の間に変化する1つ又は複数、例えば2つ以上の層を含み得る。そのような層は、その針入度値が熱処理の間に増加するケーキ層でもよい。
【0044】
該デザートが2つ以上のケーキ層を含むならば、各ケーキ層は異なってもよく、例えば、異なるテクスチャー及び/又は異なるフレーバーを有する。
【0045】
一実施形態によると、該方法は、少なくとも1つのクリーム層を充填するステップを含む。
【0046】
「クリーム」層も熱処理により影響を受けることがあるが、一般に、ケーキ層のようなテクスチャーの顕著な変化を特徴としない。したがって、クリーム層の粘度及び/又は針入度値は、一般に、熱処理ステップの間、実質的に一定のままである。
【0047】
クリーム層は、熱処理されたデザートを8℃以下の温度まで冷却するステップの間にある程度固化し得る。
【0048】
本発明におけるクリームとは、一般に、ケーキより不明確な咀嚼特性を有する実体である。したがって、クリームは、摂取時に咀嚼を必要としないクリーミーで口の中でとろけるテクスチャーをもたらす。クリーム層は、一般に、ケーキ層とは異なり、機械力の衝撃を受けたときに崩壊して粉々になることはない。
【0049】
「クリーム」という用語は、「ソース」又は「ムース」とも見なし得る。クリーム層は、ケーキ層と比較すると液状のテクスチャーを有し得る。したがって、「クリーム」層は、熱処理後にケーキ層より低い粘度及び/又は稠度を有し得る。
【0050】
したがって、充填時及び熱処理前のクリーム層の粘度は、好ましくは7000cps以下、より好ましくは3000cps以下、最も好ましくは500cps以下である。
【0051】
充填時及び熱処理前のクリーム層の針入度値は、好ましくは200g以下、より好ましくは、100g以下、最も好ましくは10g以下である。
【0052】
熱処理ステップ後のクリーム層の針入度値は、好ましくは300g以下、より好ましくは250g以下、さらにより好ましくは約200g以下、例えば150g以下又は100g以下である。
【0053】
本発明のデザートは、1つ又は複数の「クリーム層」を含み得る。
【0054】
クリーム層は、乳ベースの材料及び/又は及び卵ベースの材料、並びに甘味料、特に糖及び/又は人工甘味料を含むことが好ましい。さらに、クリーム層は、甘味料と共に乳ベースの材料及び卵ベースの材料の両方を含むことが好ましい。
【0055】
クリーム層は、脂肪及び/又は油源並びに/或いはフレーバーも含むことが好ましい。脂肪及び/又は油源は、例えば、乳ベース及び/又は卵ベースの材料により提供し得る。フレーバーは、例えば、チョコレート、カカオ粉末でもよい。
【0056】
卵ベースの材料は、例えば、卵黄、卵白、全卵の1つ又は複数から選択し得る。卵白は、例えば、ムースの場合のように泡立て得る。一実施形態によると、「クリーム層」は、少なくとも5重量パーセント、より好ましくは少なくとも8重量パーセント、さらにより好ましくは少なくとも10重量パーセントの卵黄を含む。
【0057】
乳ベースの材料は、例えば、全乳、脱脂乳、クリーム、バター、乳清、カゼイン、及びラクトースの1つ又は複数から選択し得る。例えば、クリーム層は、全乳の脂肪画分であるクリームを含む。
【0058】
一実施形態によると、クリーム層は、少なくとも10重量パーセント、好ましくは少なくとも20重量パーセント、最も好ましくは少なくとも30重量パーセントの乳ベースの材料、例えば、乳清、ラクトース、クリーム、脱脂乳、全乳、カゼインなどを含む。
【0059】
一実施形態によると、「クリーム層」は、少なくとも10重量パーセント、好ましくは少なくとも12重量パーセントのチョコレートを含む。
【0060】
本発明における一般的クリーム層は、例えば、ムース、フレーバー付きクリーム、果実ピューレ、ヨーグルト、カードから選択される。
【0061】
クリームコンポーネントは、その材料を混合すること、このコンポーネントに関してのみ中間熱処理及び/又は均質化ステップを実施すること、並びに該コンポーネントを該容器に、例えばケーキ層の上に、又は該容器の底に充填することにより調製し得る。
【0062】
クリーム層は、好ましくは55重量パーセント以下、より好ましくは53重量パーセント以下、さらにより好ましくは50重量パーセント以下の乾物含量を有する。
【0063】
上に示したように、本明細書において、ムースもクリーム層と見なされる。ムースは、食用フロス及び又は泡状の材料の存在を特徴とし、後者は多くの気泡を閉じ込めており、例えば、泡立てた乳牛のクリーム及び/又は泡立てた卵白などである。したがって、ムースは、フロス及び/又は泡状の材料を有さないクリームより一般に低い密度を特徴とする。したがって、熱処理の前及び/又は後のムース層の固有の密度は1以下であることが好ましい一方、他の層の密度は一般に1以上である。
【0064】
同様に、テクスチャー特性に関して、ムースは、一般に、一般的なムース以外のクリームより低い針入度及びわずかに低い粘度値を有し得る。
【0065】
したがって、充填時及び熱処理前のムースクリーム層の粘度は、好ましくは8000cps以下、より好ましくは4000cps以下、最も好ましくは1000cps以下である。
【0066】
充填時及び熱処理前のムースクリーム層の針入度値は、好ましくは200g以下、より好ましくは100g以下、最も好ましくは10g以下である。
【0067】
熱処理ステップ後のムースクリーム層の針入度値は、好ましくは400g以下、より好ましくは300g以下、最も好ましくは100g以下である。
【0068】
ムース層は、好ましくは45重量パーセント以下、例えば約40重量パーセント以下の乾物含量を有する。
【0069】
一実施形態によると、本発明の方法は、第3のコンポーネントを用意し、第3のコンポーネントを耐熱性容器に充填して第3の層を形成するステップを含む。例えば、第3の層は、例えば、上に定義したような第2の若しくはさらなるケーキ層、及び/又は第2の若しくはさらなるクリーム層でもよい。
【0070】
特定の実施形態によると、本発明のデザートは、以下の層を以下の順番、例えば、(1)ケーキ−クリーム、(2)クリーム−ケーキ(3)ケーキ−クリーム−ケーキ、(4)クリーム−ケーキ−クリーム、(5)クリーム−クリーム−ケーキ、(6)ケーキ−ケーキ−クリームで有する。例えば、2つ以上のケーキ層は、1つ又は複数のクリーム層により分離してもよく、2つ以上のクリーム層は、1つ又は複数のケーキ層により分離してもよい。2つ以上のケーキ及び/又は2つ以上のクリーム層がある場合、各ケーキ及び又はクリーム層は同じでも異なっていてもよい。これにより説明されるように、本発明は、使用される様々な層の順序及び数に関して多くの可能性を提供する。
【0071】
ムースクリーム層が使用される場合、1つ又は複数のクリーム層を使用することが可能であり、その1つ又は複数は、例えば、ムースクリーム層でも非ムースクリーム層でもよい。
【0072】
上記の全ての実施形態において、さらなる薄い最上層、例えば、薄いチョコレート層、薄い果実ピューレ層、カラメルソース、糖層などを形成し得る。
【0073】
述べたように、様々なコンポーネント及び/又は層を充填するのに使用される容器は、耐熱性であることが好ましい。本明細書における「耐熱性」とは、熱処理、例えば各層を有するデザートを以下に示す温度及び時間で熱を通す及び/又はベーキングするステップに耐える容器の能力を指す。熱処理の間、該容器は、その硬さを保持し、不活性であることが好ましい。好ましい容器は、耐熱性プラスチック容器、ガラスベースの容器、金属ベースの容器及び粘土ベースの容器、アルミニウム容器から選択される。特にガラス、多くの金属及び粘土は、上に詳述した熱処理の温度に曝されると完全に不活性である。該容器は、ガラス又は粘土ジャー、例えば土器ジャーであることが好ましい。消費者がガラスを通して本発明のデザートの多層構造を見ることができるため、少なくとも部分的に透明なガラスジャーが好ましい。
【0074】
好ましい実施形態によると、該容器は、電子レンジでマイクロ波を浴びることができる容器である。例えば、該容器は、ガラスポット、プラスチックポット及びアルミニウムカップから選択し得る。
【0075】
本発明の方法は、少なくとも2種の層を含む容器を熱処理するステップを含む。熱処理ステップは、例えば、オーブンにより実施し得る。複数の容器のバッチは密閉オーブン中でベーキングすることが好ましい。或いは、熱処理ステップは連続的であり、充填された容器を開口部を通してオーブンへ連続的に運搬し、充填された容器がいったん十分に熱を通されると排出開口部を通してオーブンから運び出す好適なコンベヤーを有する開放オーブン中で行われる。
【0076】
本明細書における「熱処理」ステップとは、あらゆる種類の熱処理、例えば、そのようなベーキング及び熱を通すことを指す。
【0077】
一実施形態によると、熱処理ステップは100〜250℃の温度で4〜70分間行われる。好ましくは、熱処理ステップは5〜60分間、より好ましくは6〜45、最も好ましくは7〜30分間実施し得る。好ましい温度は110〜220℃、好ましくは120〜200℃である。
【0078】
好ましくは、熱処理は、該容器の内容物に完全に熱を通すことを実現し、該デザートの全ての部分で少なくともしばらくの間、少なくとも65℃、好ましくは少なくとも70℃、より好ましくは少なくとも75℃、最も好ましくは少なくとも80℃の温度が達成されたことを示す。
【0079】
加熱ステップの後、該デザートは、例えば取り外し可能な蓋を該容器の上に取り付けることにより、直ちに密閉、例えば密封することが好ましい。
【0080】
熱処理の1つの利点は、例えば、先の混合及び充填の間の材料又はコンポーネントの低温殺菌及び/又は滅菌ステップにもかかわらず生存している可能性がある微生物を破壊又は少なくとも減少させることにより食品安全性を増加することである。これらの先の安全策により微生物の存在は回避されるが、全てのコンポーネントが該容器に充填されるときに同時に、好ましくは密封の直前に加熱されるため、熱処理は、依然としてさらに食品安全性を高め得る。
【0081】
熱処理の別の利点及び/又は目的は、少なくとも1つの層に最終的テクスチャーを付与することである。特に、各ケーキ層は最終的熱処理ステップの間に熱を通され、ベーキングされ、それによりそれらの最終的テクスチャーを得る。したがって、少なくとも1つの層の固体性及び/又は稠度は熱処理の間に実質的に増加し、それにより異なるテクスチャーの層を有する多層デザートを得る。
【0082】
該容器は貯蔵及び/又は給仕容器でもあることが好ましい。換言すると、該デザートが熱を通される容器は、後にチルド条件下での貯蔵を経験し、まさにこの容器でデザートが給仕される。
【0083】
一実施形態において、本発明の方法は、熱処理ステップ後に、熱処理されたデザートを8℃以下、好ましくは、7℃以下、6℃以下、5℃以下、最も好ましくは4℃以下の温度まで冷却するステップを含む。本発明のデザートは、0℃以上のそのようなチルド条件下で貯蔵することが好ましい(「チルドデザート」)。冷却ステップは、1種又は複数の層、特にクリーム層のテクスチャーにも影響を及ぼし得る。したがって、冷却は、最終的固化(脂肪結晶化)につながり得る。
【0084】
一実施形態によると、本発明の方法は、第3のコンポーネントを用意し、前記第3のコンポーネントを耐熱性容器に充填し、それにより第3の層を形成するステップを含む。
【0085】
少なくとも3つの層を含むデザートの一実施形態によると、第1及び第3の層はケーキ層である一方、第2の層はクリーム層、例えば液状の低粘度クリーム層である。
【0086】
本明細書において報告している様々な層は、それぞれほぼ同じ体積及び/又は異なる体積で形成し得る。例えば、2層のデザートにおいては、高粘度層(例えば、ケーキ層)とねばねばした液体層(例えば、クリーム層)の間の体積比は、例えば、4:1〜1:4(ケーキ:クリーム)の範囲でもよい。
【0087】
一実施形態によると、該比は3:1〜1:3であり、別の実施形態によると、ケーキ層のクリーム層に対する体積比は4:1〜1:1、又は3:1〜1:1、又は2:1〜1:1の範囲である。
【0088】
同じ比は、3層のデザート、例えばケーキ−クリーム−ケーキデザートに当てはまり得る。例えば、3層のデザートにおける該比が4:1であるならば、2つのケーキ層のそれぞれは、クリーム層の約4倍の体積を有する。
【0089】
本発明のデザートは、チルドデザートであることが好ましい。「チルドデザート」とは、25℃と見なされる周囲温度未満で貯蔵されるデザートである。「チルドデザート」は、上に示した温度での貯蔵用のデザートであることが好ましい。
【0090】
本発明のデザートは、4〜6℃の温度で貯蔵されたときに製造後10〜50日間の貯蔵寿命を有することが好ましい。
【0091】
本発明のデザートは、好ましくは100〜500ml、好ましくは120〜350ml、より好ましくは50〜250mlの一人前量で提供される。
【0092】
該デザートは、その中に供給されて給仕される容器を含めた全てが上記熱処理を受けたという点で、熱を通したデザートであることが好ましい。
【0093】
一実施形態によると、本発明のデザートは再加熱可能なデザートである。本明細書における「再加熱可能なデザート」とは、摂取の直前に再加熱されるデザートである。したがって、該デザートの少なくとも一部は、摂取されるときにチルド温度超、好ましくは周囲温度超の温度を有する。より好ましくは、該デザートの少なくとも一部は、再加熱後に30℃超、より好ましくは35℃超、最も好ましくは40℃超の温度を有する。
【0094】
再加熱は、消費者自身、或いは該デザートを提供及び/又は給仕するスタッフにより実施し得る。例えば、飲食店において、厨房スタッフが、消費者に給仕する前に該デザートを再加熱し得る。
【0095】
例えば、標準オーブン及び電子レンジから選択される装置を含めた任意の好適な加熱装置により再加熱を実施し得る。再加熱ステップは、ほぼ所定の時間行われる。一般に、該デザートのパッケージは、好ましい再加熱条件、特に使用される加熱装置に応じた再加熱時間を示す。
【0096】
本発明の再加熱可能なデザートは、所望ならば温かい及び/又は加熱されたデザートを提供するという利点を有する。再加熱可能なデザートは、加熱されると、液体及び/又は溶融層、例えば、溶融チョコレート層などを含むことが好ましい。
【0097】
さらに、本発明は、再加熱時間の正確さが先行技術の対応するデザートほど重大ではないため、先行技術の溶融層を有する再加熱可能なデザートより有利である。例えば、中央の、不完全に熱を通した層を有するデザートにおいて、示された再加熱時間を超えると、不完全に熱を通した層は固化することができ、中央の液体層がもはや存在しないことを意味する。
【0098】
本発明の再加熱可能なデザートは、少なくとも3つの層、特に2つのケーキ層及び1つの液体クリーム層、例えば2つのケーキ層の間の1つのチョコレート層を含むことが好ましい。
【0099】
テクスチャー特性、例えば、本明細書において言及する針入度、乾物含量、密度、及び/又は可能ならば粘度値などは、摂取前のデザートに関して、又は、再加熱可能なデザートの場合、再加熱前に測定することが好ましい。例えば、該デザートがチルドデザートとして摂取されるならば、該デザートの調製後の様々な層の針入度値及び乾物含量は、チルドデザートと共に実施する。該デザートがチルドの再加熱可能なデザートならば、再加熱可能なデザートの層の針入度値は、該デザートのパッケージの製造業者の指示に従って再加熱される前のデザートに関して測定する。熱処理ステップの間のテクスチャーの実質的な変化の存在又は不存在を示すのに測定が使用されるならば、測定は熱処理ステップの前に実施する。例えば、該容器に充填される前のコンポーネントは針入度及び/又は粘度測定を受け得る。
【0100】
本発明は、次に、実施例により説明する。これらの実施例は本発明の範囲を制限するものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲により定義される。
【0101】
[実施例]
テクスチャー測定
以下の実施例で開示している各デザートの様々な層のテクスチャー特性は、針入度、及び可能ならば粘度特性の測定により測定する。
【0102】
針入度測定について、テクスチャー分析器、TAXT2Iを使用する。針入度計は、直径4mmの円筒ロッドを有する。各測定において、該ロッドを層の試料中に2mm/sの速度で15mmの深さまで進める。貫入を達成するのに必要な力に対応する質量をg(グラム)単位で各試料について記録する。
【0103】
粘度測定について、ケーキについては係数93 5rpm、クリーム、ムース又はソースについては係数04 50rpmで、ブルックフィールドを使用する。
【0104】
容器への充填前(したがって、熱処理前)に周囲温度(25℃)で、及び、熱を通した後、熱を通した層の4〜8℃の温度へのチルド後に、各デザートの各層について測定を実施した。
【0105】
チルド条件での貯蔵後及び摂取直前に再加熱することが意図されたデザートについては、測定は、再加熱について指示する製品の仕様書に従って再加熱直後にも実施した。
【0106】
実施例1:クリーム及びケーキ層を有するデザート
以下に記載の手順に従って、表1及び2に列挙した材料に基づいて、チョコレートクリーム層及びケーキ層を有するデザートを調製した。
【0107】
【表1】

【0108】
ミックスクリーム、乳、糖、チョコレート、及びデンプンを最高で136℃で数秒間UHT処理した。50〜70℃での冷却後、卵を添加した。このミックスを再加熱(65〜85℃)し、均質化した。クリーム層を50〜500mlの一杯分量を有するガラス状の高いジャーに投入した。
【0109】
【表2】

【0110】
400パーセントオーバーランを達成するように糖を用いて卵白を泡立てた。液体材料(溶融チョコレート、卵黄、バター油)を一緒に混合し、ムースへのそれらの混和を粉末とは別に実施した。泡立て時間を最小化し、したがって既に形成したムースの破壊を最小化するために、粉末の混和は最後に実施した。ミックスの添加後、ケーキのオーバーランは約60パーセントであった。
【0111】
チョコレートケーキを該ガラス状の高いジャーの中に40gのチョコレートクリームの上に投入する。
【0112】
その後、チョコレートクリーム及びケーキを含有するガラスジャーを、蒸気雰囲気を有する連続オーブン中で140℃で20分間熱を通した。
【0113】
熱を通した後、各試料を密封し、4℃で貯蔵して冷却した。
【0114】
以下の表3は、熱を通す前及び熱を通した後の各層について実施したテクスチャー測定の結果を示す。
【0115】
【表3】

【0116】
この実施例が示すように、ケーキ層は、針入度の観点から表されるように、熱を通すステップの間にその最終的テクスチャーを得た。クリーム層のテクスチャーも変化したが、ケーキ層とクリーム層の間のテクスチャー(針入度値)の差異は、熱を通した後にも見られた。
【0117】
チョコレートケーキが最初にガラスジャーに投入され、クリームがその上に投入されるという違いを除けば同じ実施例を繰り返した。この進め方により、層の順序が逆のデザートと同じテクスチャーを有するデザートがもたらされた。
【0118】
実施例2:中心に溶融チョコレート層を有する再加熱可能なケーキ
以下に記載の手順に従って、表4及び5に列挙した材料に基づいて、給仕の直前に再加熱すると溶融するチョコレート層を有する再加熱可能なケーキの形態の3層のデザートを調製した。
【0119】
【表4】

【0120】
該ソースを最高で130℃で数秒間UHT処理し、そのテクスチャーパラメーターを測定した。次いで、調製物をケーキ層の上に投入した。
【0121】
その後、チョコレートケーキ層(表3参照)のさらなる一回分量をチョコレートソースの上に添加した。
【0122】
その後、3層の調製物をオーブン中で160℃超で数分間熱を通した。熱を通した後、各試料を密封し、4℃で貯蔵して冷却し、本発明によるデザートを得た。冷却後、テクスチャーパラメーターを再び測定した。
【0123】
実施例3:実施例2の再加熱したデザートの給仕
パッケージに示された指示に従って、実施例のデザートを電子レンジに入れ、850Wで10秒間加熱した。その後、テクスチャー測定を再び実施し、その結果は以下の表5で示すとおりであった。
【0124】
【表5】

【0125】
表5は、熱処理後のケーキ層の針入度値の変化、及び該デザートの摂取前、さらには該デザートの再加熱後、摂取時における、異なる層の異なるテクスチャーを示す。
【0126】
試験員は、該デザートを摂取すると、該デザートの様々な層の異なるテクスチャー及び該デザートの温かい温度を認識した。
【0127】
実施例4.ムース及びケーキ層を有するデザート
以下の表6に列挙した材料に基づいてムースを調製する。
【0128】
【表6】

【0129】
全ての材料を泡立ててムースを形成する。泡立て手順のオーバーランは約100パーセントであった。その後、ムースをジャーに投入し、実施例1に記載のものと同じケーキをその上に充填して第2の層を形成した。実施例1に記載したとおり該デザートに熱を通し、チルドした。以下の表7は、テクスチャー測定の結果を示す。
【0130】
【表7】

【0131】
表7は、ケーキ層がより一貫していることを明らかにする様々な針入度値により、2種の層の異なるテクスチャーを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコンポーネントを耐熱性容器に注入し、それにより第1の層を形成するステップと、
第2のコンポーネントを前記耐熱性給仕容器に注入し、それにより第2の層を形成するステップと、
デザート全体にわたって全ての層において少なくとも65℃の温度を得るような方法で前記第1及び第2の層を含む前記容器を熱処理するステップと、
熱処理された多層デザートを8℃以下、好ましくは5℃以下の温度まで冷却するステップと
を含む、熱を通した多層チルドデザートを調製する方法であって、
前記第1及び前記第2のコンポーネントが異なり、前記コンポーネントの少なくとも一方が実質的に熱を通していない状態及び/又は予め熱を通した状態のケーキ生地であり、
前記熱処理ステップ後の前記第1及び第2の層が異なるテクスチャーを有し、前記熱を通していない状態及び/又は予め熱を通した状態のケーキ生地が熱を通されてケーキ層を形成する、方法。
【請求項2】
前記層の少なくとも1つの層の粘度及び/又は針入度値が前記熱処理ステップの間に実質的に増加し、それにより前記層の最終的テクスチャーを得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱を通していない状態及び/又は予め熱を通した状態のケーキ生地が前記熱処理ステップの間に熱を通される、及び/又はベーキングされ、それによりケーキ層が形成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱を通していない状態又は予め熱を通した状態のケーキ生地が、少なくとも3重量パーセント、好ましくは少なくとも5重量パーセントのデンプン源、及び/又は少なくとも10重量パーセント、好ましくは少なくとも20重量パーセントの泡立てた卵白を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記熱を通していない状態又は予め熱を通した状態のケーキ生地が、糖、卵黄、油、脂肪、粉末ナッツ、チョコレート及びカカオ粉末から選択される1つ又は複数の材料を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記熱処理及び/又は冷却ステップ後の前記ケーキ層が、150g以上、好ましくは250g以上の針入度値を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記デザートが1つ又は複数のクリーム及び/又はムース層を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱を通し及び冷却したデザートの前記クリーム及び/又はムース層が、250g以下、好ましくは200g以下の針入度値、及び/又は55重量パーセント以下の乾物含量を特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ又は複数のクリーム層が、他の層から独立して、ムース、チョコレートフレーバーのクリーム、バニラフレーバーのクリーム、カラメルフレーバーのクリームを含めたクリーム、果実ピューレ、ヨーグルト、及びカードから選択される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
第3のコンポーネントを用意し、前記第3のコンポーネントを耐熱性容器に充填し、それにより第3の層を形成するステップをさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第3の層がケーキ層である一方、前記第2の層がクリーム層である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記耐熱性容器が、ガラスポット、アルミニウムポット又はプラスチックポットの群から選択される容器を含めたガラスベースの容器、金属ベースの容器又は粘土ベースの容器である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記層を含む前記容器を熱処理する前記ステップが100〜250℃の温度で4〜70分間実施される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法により得ることができるデザート。
【請求項15】
異なるテクスチャーの少なくとも2つの層を含み、少なくとも1つの層がケーキ層であり、少なくとも1つの層がクリーム及び/又はムース層であり、耐熱性給仕容器で提供される、チルド条件下で貯蔵される熱を通した多層デザート。
【請求項16】
4〜6℃の温度で10〜50日間の貯蔵寿命を有する、請求項15に記載の多層デザート。
【請求項17】
100〜500mlの一人前量を有する、請求項15又は16に記載のデザート。
【請求項18】
全ての層がチルド条件下での貯蔵の前に前記容器内で完全に熱を通される、請求項15〜17のいずれか一項に記載のチルドデザート。
【請求項19】
前記少なくとも2つの層が第1及び第2の層を含み、前記第2の層が前記容器中で完全に前記第1の層を被覆している、請求項15〜18のいずれか一項に記載のチルドデザート。
【請求項20】
前記耐熱性容器が、ガラスポット、アルミニウムポット又はプラスチックポットの群から選択される容器を含めたガラスベースの容器、金属ベースの容器又は粘土ベースの容器である、請求項15〜19のいずれか一項に記載のチルドデザート。
【請求項21】
前記少なくとも1つのケーキ層が150g以上、好ましくは250g以上の針入度値を有し、前記少なくとも1つのクリーム層が250g以下、最も好ましくは200g以下の針入度値を有する、請求項15〜19のいずれか一項に記載のチルドデザート。
【請求項22】
前記少なくとも1つのケーキ層が少なくとも55重量パーセント、好ましくは少なくとも60重量パーセントの乾物含量を有し、前記クリーム層が55重量パーセント以下、より好ましくは53重量パーセント以下、さらにより好ましくは50重量パーセント以下の乾物含量を有する、請求項15〜20のいずれか一項に記載のチルドデザート。
【請求項23】
少なくとも3つの層を含む請求項15〜22のいずれか一項に記載のチルドデザート。

【公表番号】特表2011−529699(P2011−529699A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521547(P2011−521547)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059997
【国際公開番号】WO2010/015584
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】