説明

多層プリント配線板

【目的】 特殊な放熱フィンを用いなくても効率よく放熱することができ、かつ実装密度および空間利用率を高め、装置を小型化できる多層プリント配線板を得る。
【構成】 複数の絶縁基材層12a、12b、12cと、この絶縁基材層12a…間に積層された第1の伝熱材料層13a、13bと、絶縁基材層12a、12cの外面に形成された回路パターン14a、14bと、この回路パターン14a…にリード8で接続される実装部品5の部品本体6および第1の伝熱材料層13aを連絡するように絶縁基材層12aに形成された連絡孔15と、この連絡孔に充填された第2の伝熱材料層16と、絶縁基材層12a、12b、12cおよび第1の伝熱材料層13a、13bを貫通する放熱用スルーホール17と、この放熱用スルーホールの内面に第1の伝熱材料層13a、13bと接続するように形成された放熱用スルーホールめっき層18とからなる多層プリント配線板。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は多層プリント配線板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2は従来のプリント配線板を示す斜視図である。図において、1はプリント配線板であって、ベース金属2に絶縁基材3が積層された金属ベース基板の絶縁基材3上に、銅等の金属層からなる回路パターン4が形成されている。5は半導体素子等の実装部品であって、部品本体6が放熱シートやシリコンコンパウンド等の伝熱材料7を介して絶縁基材3に固着され、部品本体6から突出するリード8が回路パターン4に接続している。
【0003】上記のプリント配線板1においては、実装部品5で発生した熱は、伝熱材料7および絶縁基材3を通してベース金属2に伝えられ、放熱される。しかし、このようなプリント配線板1においては、放熱性を高めるために、特殊な伝熱材料7およびベース金属2などを用いる必要があり、この場合でも絶縁基材3は伝熱性に劣るため、効率よく放熱することができない。
【0004】このような点を改善したプリント配線板として、特開平2−219298号には、絶縁基板表面の実装部品と裏面の放熱フィンとの間を結ぶように、絶縁基板に貫通孔を形成し、この貫通孔に熱伝導体を充填したプリント配線板が知られている。
【0005】このプリント配線板においては、実装部品で発生した熱は、絶縁基板の貫通孔に充填された熱伝導体を通して裏面の放熱フィンに伝えられ、ここで放熱される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、このような従来のプリント配線板においては、裏面に放熱フィンを積層する必要があるため、実装密度が低く、また裏面に放熱空間を確保する必要があり、装置が大型化するとともに、特殊な放熱フィンを用いなければならないなどの問題点がある。
【0007】この発明は、上記のような従来の問題点を解決するためになされたもので、特殊な放熱フィンを用いなくても、効率よく放熱することができ、かつ実装密度および空間利用率を高め、装置を小型化できる多層プリント配線板を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の多層プリント配線板は、複数の絶縁基材層と、この絶縁基材層間に積層された第1の伝熱材料層と、前記絶縁基材層の外面に形成された回路パターンと、この回路パターンに接続される実装部品および前記第1の伝熱材料層を連絡するように前記絶縁基材層に形成された連絡孔と、この連絡孔に充填された第2の伝熱材料層と、前記絶縁基材層および第1の伝熱材料層を貫通する放熱用スルーホールと、この放熱用スルーホールの内面に前記第1の伝熱材料層と接続するように形成された放熱用スルーホールめっき層とを備えたものである。
【0009】
【作用】この発明の多層プリント配線板においては、実装部品で発生した熱は、連絡孔内の第2の伝熱材料層を通して第1の伝熱材料層へ伝えられ、さらに放熱用スルーホールめっき層へ伝えられて、放熱用スルーホールから放熱される。
【0010】この多層プリント配線板では、内層に第1の伝熱材料層を形成しているため、外層は両面とも回路パターンとして利用でき、これにより実装密度が高くなるとともに、裏面に放熱空間を設ける必要がなく、装置が小型化する。また放熱用スルーホールを多数設けることにより、放熱効果は高くなる。
【0011】
【実施例】以下、この発明の実施例を図について説明する。図1はこの発明の一実施例による多層プリント配線板を示す断面図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示す。
【0012】11は多層プリント配線板であり、複数の絶縁基材層12a、12b、12cと、この絶縁基材層12a、12b、12c間に積層された第1の伝熱材料層13a、13bと、絶縁基材層12a、12cの外面に形成された回路パターン14a、14bと、この回路パターン14a、14bにリード8で接続される実装部品5の部品本体6および第1の伝熱材料層13aを連絡するように絶縁基材層12aに形成された連絡孔15と、この連絡孔15に充填された第2の伝熱材料層16と、絶縁基材層12a、12b、12cおよび第1の伝熱材料層13a、13bを貫通する放熱用スルーホール17と、この放熱用スルーホール17の内面に第1の伝熱材料層13a、13bと接続するように形成された放熱用スルーホールめっき層18とからなる。
【0013】上記の多層プリント配線板11において、第1の伝熱材料層13a、13bとしては、回路パターン14a、14bと同様に、銅箔のような導体金属層が形成されている。第2の伝熱材料層16としては、伝熱樹脂が使用されているが、伝熱性のセラミック等でもよい。
【0014】上記の多層プリント配線板11は、内層の絶縁基材層12bの両面に第1の伝熱材料層13a、13bを積層した状態で、プリプレグ、第2の伝熱材料層16および銅箔を積層し、加熱プレスによりプリプレグを硬化させ、放熱用スルーホール17および放熱用スルーホールめっき層18を形成後、エッチングにより最外層の銅箔に回路パターン14a、14bを形成して製造される。そして実装部品5の部品本体6を第2の伝熱材料層16に接触させ、リード8を回路パターン14a、14bに接続させて、実装部品5を実装する。
【0015】この多層プリント配線板11においては、実装部品5で発生した熱は、連絡孔15内の第2の伝熱材料層16を通して第1の伝熱材料層13aへ伝えられ、さらに放熱用スルーホールめっき層18へ伝えられて、放熱用スルーホール17から放熱される。この場合、放熱用スルーホール17に放熱フィン等の放熱部材を接続してもよい。
【0016】この多層プリント配線板11では、内層に第1の伝熱材料層13a、13bを形成しているため、外層は両面とも回路パターン14a、14bとして利用でき、これにより実装密度が高くなるとともに、裏面に放熱空間を設ける必要がなく、装置が小型化する。また放熱用スルーホール17を多数設けることにより、放熱効果は高くなる。
【0017】なお、上記の実施例では、内層をすべて第1の伝熱材料層13a、13bとした例を示したが第1の伝熱材料層と回路パターンの両方を設けてもよい。この場合、導体金属層をエッチングによりパターニングすることにより、一部を第1の伝熱材料層とし、残部を回路パターンとすることもでき、あるいは各層ごとに第1の伝熱材料層と回路パターンに使い分けてもよい。
【0018】このような場合、部品の実装または電気的接続を行うための実装または接続用スルーホールを、放熱用スルーホール17とは別に形成することができる。また第1および第2の伝熱材料層、放熱用スルーホール等の位置、数、形状などは任意に選択することができる。
【0019】
【発明の効果】この発明によれば、内層に第1の伝熱材料層を形成し、実装部品で発生する熱を第2の伝熱材料層により伝え、放熱用スルーホールから放熱するようにしたので、特殊な放熱フィンを用いなくても、効率よく放熱することができ、かつ実装密度および空間利用率を高め、装置を小型化できる多層プリント配線板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の多層プリント配線板の断面図である。
【図2】従来のプリント配線板の斜視図である。
【符号の説明】
5 実装部品
6 部品本体
8 リード
11 多層プリント配線板
12a、12b、12c 絶縁基材層
13a、13b 第1の伝熱材料層
14a、14b 回路パターン
15 連絡孔
16 第2の伝熱材料層
17 放熱用スルーホール
18 放熱用スルーホールめっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の絶縁基材層と、この絶縁基材層間に積層された第1の伝熱材料層と、前記絶縁基材層の外面に形成された回路パターンと、この回路パターンに接続される実装部品および前記第1の伝熱材料層を連絡するように前記絶縁基材層に形成された連絡孔と、この連絡孔に充填された第2の伝熱材料層と、前記絶縁基材層および第1の伝熱材料層を貫通する放熱用スルーホールと、この放熱用スルーホールの内面に前記第1の伝熱材料層と接続するように形成された放熱用スルーホールめっき層とを備えたことを特徴とする多層プリント配線板。

【図2】
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【図1】
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