多層光記録媒体
【課題】スタンパの転写、及び剥離工程における、中間層の剥離を効果的に防止し、寸法精度にも優れた、短波長で高NAの光学系に好適な高密度型の多層光記録媒体を得る。
【解決手段】信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)>Dm(k) ・・・式(1A)
【解決手段】信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)>Dm(k) ・・・式(1A)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持基板上に、記録層及び中間層がそれぞれ交互に複数層積層されている構成の多層光記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂製基板上に各種記録層を具備する構成の光記録媒体は、可搬性や非接触の記録再生による扱いやすさにより、オーディオビジュアルの分野において広く普及し、近年コンピュータの分野においても各種情報を記録する記録媒体として応用されつつある。
オーディオビジュアルの分野においては、その映像や音声のディジタル化、高品質化から、情報量は増加の一途を辿っており、それに伴って光記録媒体に求められる記録容量も増加している。また小型コンピュータの普及や、情報の多様化が進み、小型大容量の光記録媒体が要求されている。
【0003】
記録容量を増加させる手段としては、大別して、記録用トラックピッチをより狭くし、記録マークをより小さくすることで記録密度を向上させる方法と、記録層を多層化することで、見かけ上の記録密度を向上させる方法の二つが存在する。
【0004】
トラックピッチを狭くし、記録マークを小さくすることで記録密度を向上させる方法は、照射レーザの波長λを短くすることと、対物レンズの開口数NAを大きくすることで達成される。
【0005】
下記特許文献1においては、DVDの光学系である、λ=0.65μm、NA=0.60を発展させた光学系を用いた光記録媒体が提案されており、更に照射光の短波長化、レンズの開口数を大きくした光学系(λ=0.405μm、NA=0.85)を適用したブルーレイディスクも市販されている。
【0006】
一方、高記録密度化を図るために、記録層を多層化した記録媒体としては、例えば二層構造のDVD等が市販されている。
そして、上述した二つの記録密度を高める方法を併用した技術として、8層構造のBlu−ray Discについての研究もなされている。
【0007】
ところで、照射レーザ光が短波長で、かつ対物レンズが高NAである光学系を使用した場合には、光ディスクが照射光の光軸に対して傾く(チルトする)ことによって発生するコマ収差の、記録/再生特性への悪影響が大きくなる。よって、これを軽減するべく、レーザ光照射側の光透過層の膜厚を薄くし、かつ厚みムラを小さく抑える必要がある。
また、上記のような光学系に適用する多層構造の光記録媒体においては、各記録層間の距離を高精度に制御し、層間干渉を防ぐ必要があることから、膜厚の制御に関しては許容量が単層の場合に比較して極めて厳しく、厚みムラに関しては、特に高い精度が要求される。
【0008】
多層積層型の光記録媒体を製造する方法としては、フォトポリマー(以下2P)剤によって凹凸パターンをシート上に形成し、それを積層していく方法が知られている。
ところが、2P剤の広がりにはムラがあり、膜厚の精密な制御は困難であるという問題があった。
かかる問題に鑑みて、層厚が予め制御された樹脂シートを用いて多層構造の光記録媒体を作製する方法が下記特許文献2において提案された。
【0009】
また、中間層の形成技術としては、下記特許文献3のように可動側金型と固定側金型とを嵌合して形成した密封構造内を気泡が発生することのない減圧雰囲気とし、その中で基板にスタンパの微細な凹凸パターンを熱により転写する方法がある。これにより、基板の記録面や記録層内に気泡などによる欠陥が発生することがなくなり、大容量で高密度な記録媒体を高歩留まりで製造することが可能となる。さらに、基板の記録面に対して垂直方向にスタンパを押圧させることにより、スタンパの横方向に移動する応力が掛からないので、記録面に転写される凹凸パターンの形状再現性が極めて良好になる。
【0010】
さらに、下記特許文献4及び5では、中間層材料としてドライ光硬化性フィルムという材料を用いる方法も提案されている。ここで用いられるドライ光硬化性フィルムとは、ゲル状の半硬化状態(未硬化と完全硬化の間の状態)のフィルムであって、かつ、記録層に対して接着力を発揮する状態のものである。このような特徴を持つドライ光硬化性フィルムを中間層として記録層上に形成し、光を透過するスタンパを貼り合わせた状態で光照射を行い、中間層をゲル状態から光硬化させ、しかる後に光を透過するスタンパを剥離させることで中間層の凹凸が得られる。
【0011】
これらの方法によって、多層メディアにおける各中間層の膜厚分布は良好となったが、そのシート同士の内外径サイズが同じである為、後述するように2層以上の中間層を重ねると、スタンパを剥がす際に記録層ごと剥がれてしまうと言う問題(層間剥離)が有った。
【0012】
上記層間剥離について、図を参照して説明する。
例えば、図14(a)〜(e)に、支持基板100上に、記録層101、中間層201、記録層102、中間層202が順次積層された2層構造の光記録媒体の作製工程図を示す。
図14(a)は、中間層202上に所定の微細凹凸を具備するスタンパ300を圧着し転写する工程図である。
この工程後、スタンパ300を剥離する際、図14(b)に示すように支持基板100と記録層101の界面、図14(c)に示すように記録層101と中間層201との界面、図14(d)に示すように中間層201と記録層102の界面、図14(e)に示すように記録層102と中間層202の界面が剥がれ易いという問題があった。さらに付言すると、この層間剥離は、図13に示した2層構造よりも3層及び4層以上の構成の光記録媒体のほうが生じ易く、高記録密度化のための多層化における問題となっている。
【0013】
ところで、下記特許文献6には、ROM信号が形成された中間層シートの外周よりもその上に積み上げられたカバー層の外周は大きく、中間層シートの内周よりもカバー層の内周は小さい、という構成の光記録媒体が開示されている。しかしながら、かかる構成は中間層とカバー層とのサイズの比較であり、多層に中間層を積み上げていった場合に起こる問題について何ら検討されてはいない。
【0014】
【特許文献1】特開2001−357571号公報
【特許文献2】特開2003−132593号公報
【特許文献3】特開2002−42387号公報
【特許文献4】特開2007−294098号公報
【特許文献5】特開2007−305220号公報
【特許文献6】特開2006−331566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題に鑑みて、複数層の記録層と中間層とが交互に積層されている構成の多層光記録媒体において、層間剥離の発生を防止し、同時に厚みムラの低減化を図り、寸法精度が高く、短波長で高NAの光学系に好適な高密度型の多層光記録媒体を提案することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明に係る多層光記録媒体は、具体的には下記(I)〜(X)に記載の技術的特徴を有する。
【0017】
(I):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)>Dm(k) ・・・式(1A)
【0018】
上記(I)に記載の発明によれば、支持基板側から積層される複数の中間層において、中間層外径のサイズを徐々に小さくなるようにしたことにより、スタンパ転写剥離工程の際の層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0019】
(II):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
dm(k−1)<dm(k) ・・・式(2A)
【0020】
上記(II)に記載の発明によれば、支持基板側から積層される複数の中間層において、中間層内径のサイズを徐々に大きくなるようにしたことにより、スタンパ転写剥離工程の際の、層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0021】
(III):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1A)の関係を満たし、前記支持基板側からk番目に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)>Dm(k) ・・・式(1A)
dm(k−1)<dm(k) ・・・式(2A)
【0022】
上記(III)に記載の発明によれば、外周側と内周側において層間の接着強度が高まり、スタンパの転写剥離工程の際の、層間の剥離の発生を確実に防止できた。
【0023】
(IV):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1B)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)<Dm(k) ・・・式(1B)
【0024】
上記(IV)に記載の発明によれば、支持基板側から積層される複数の中間層において、中間層外径のサイズを徐々に大きくなるようにしたことにより、スタンパ転写剥離工程の際の層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0025】
(V):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2B)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
dm(k−1)>dm(k) ・・・式(2B)
【0026】
上記(V)に記載の発明によれば、支持基板側から積層される複数の中間層において、中間層内径のサイズを徐々に小さくなるようにしたことにより、スタンパ転写剥離工程の際の、層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0027】
(VI):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1B)の関係を満たし、前記支持基板側からk番目に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2B)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)<Dm(k) ・・・式(1B)
dm(k−1)>dm(k) ・・・式(2B)
【0028】
上記(VI)に記載の発明によれば、外周側と内周側において層間の接着強度が高まり、スタンパの転写剥離工程の際の、層間の剥離の発生を確実に防止できた。
【0029】
(VII):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の外径は、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さく、且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さいことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
【0030】
上記(VII)に記載の発明によれば、中間層外径のサイズを、隣り合う中間層同士で変化させるようにしたことにより、スタンパの転写剥離工程の際の、外周端部におけるストレスが軽減され、層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0031】
(VIII):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の内径は、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きく、且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きいことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
【0032】
上記(VIII)に記載の発明によれば、中間層内径のサイズを、隣り合う中間層同士で変化させるようにしたことにより、スタンパの転写剥離工程の際の、内周端部におけるストレスが軽減され、層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0033】
(IX):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の外径は、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さく、且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さく、前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の内径は、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きく、且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きいことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
【0034】
上記(XI)に記載の発明によれば、中間層外径及び内径のサイズを、隣り合う中間層同士で変化させるようにしたことにより、スタンパの転写剥離工程の際の、外周端部及び内周端部におけるストレスが軽減され、層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0035】
(X):前記中間層が、ドライ光硬化性フィルムにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の多層光記録媒体。
【0036】
上記(X)に記載の発明によれば、中間層としてドライ光硬化性フィルムを用いたことにより、上記効果に加え、均一な膜厚で厚みムラの極めて小さい、寸法精度にも優れた、短波長で高NAの光学系に最適な高密度型の多層光記録媒体が得られた。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、複数層の記録層と中間層とが交互に積層されている構成の多層光記録媒体において、層間剥離の発生を防止し、同時に厚みムラの低減化を図り、寸法精度が高く、短波長で高NAの光学系に好適な高密度型の多層光記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の多層光記録媒体について、図を参照して具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本発明の多層光記録媒体の概略上面図を図1に示す。中心孔を有するディスク形状であり、外周端部と内周端部を除いた領域が記録領域となっている。この記録領域においては、所定の信号パターン、あるいは、目的に応じた反射層、機能層等が形成されている。
【0039】
図2に本発明の多層光記録媒体の一例の概略断面図を示す。
この多層光記録媒体は、中心孔を有するディスク形状の支持基板1の主面上に、記録層11、12と中間層21とが形成されている。
なお、この図においては、記録層11、12と中間層21を代表させて示しているが、本発明の多層光記録媒体は、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層とが、交互に積層されているものとする。
最上層には光透過性の材料よりカバー層30が形成されている。
【0040】
記録層11は支持基板1の面上に信号あるいはグルーブとなる微細凹凸上に成膜された金属反射層によって構成されている。記録層12は、中間層21面上の微細凹凸上に成膜された半透明層によって構成されている。
【0041】
符号21に代表される中間層は、光透過性の樹脂により形成されるものとし、例えば、ドライ光硬化性フィルムが好適に用いられる。膜厚は、15〜30μmの範囲で用いられるが、25μmが好適である。膜厚を15μm未満とすると、他層との層間クロストークが発生してしまうおそれがある。一方、30μmを超えると、それぞれの層を対物レンズの非点収差内に収めることができなくなるおそれがある。
ドライ光硬化性フィルムを用いることにより、常温条件下においても信号やグルーブパターンの微細凹凸を確実に転写できる。
【0042】
ドライ光硬化性フィルムは、ゲル状のフィルムであり、光透過性のスタンパを貼り合わせた状態で光照射を行うことにより転写と光硬化を行うことができる。
中間層形成用のドライ光硬化性フィルムの材料としては、特に限定されるものではないが、以下に示す材料が適用できる。
【0043】
例えば、ブチルアクリレート62重量部と、メチルメタクリレート10重量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート28重量部とを酢酸エチル中で反応させて、官能基にヒドロキシル基を有するアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液(固形分濃度40重量%)を得る。続いて、そのアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液250重量部に、酢酸エチル100重量部と、置換基にイソシアナート基を有する不飽和基含有化合物としてのメタクリロイルオキシエチルイソシアナート30重量部(アクリル系共重合体の2−ヒドロキシエチルアクリレート100当量に対し80.5当量)と、触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.12重量部とを添加し、窒素雰囲気下、室温で24時間反応させて、エネルギー線硬化型共重合体を得た。このエネルギー線硬化型共重合体の重量平均分子量(Mw)は、600000であった。
得られたエネルギー線硬化型共重合体固形分100重量部に光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名:イルガキュア184)3.7重量部を溶解させて、固形分濃度を35重量%に調整し、ドライ光硬化性フィルム用の塗布剤Aとした。
【0044】
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(例えば厚さ38μm)の片面に重剥離型のシリコーン樹脂で離型処理した重剥離型剥離シート(剥離処理面の表面粗さ:Ra=0.016μm)、およびPETフィルム(例えば厚さ38μm)の片面に軽剥離型のシリコーン樹脂で離型処理した軽剥離型剥離シート(剥離処理面の表面粗さ:Ra=0.023μm)の2種類の剥離シートを用意した。
上記塗布剤Aを、ナイフコーターによって上記重剥離型剥離シートの離型処理面上に塗布して90℃で1分間乾燥させ、例えば厚さ10μmのドライ光硬化性フィルムを形成した。そして、そのドライ光硬化性フィルムの表面に上記軽剥離型剥離シートを積層して、製造工程において用いる中間層形成用のドライシートとした。
【0045】
積層されている複数の中間層の隣り合うもの同士で、外径あるいは内径の少なくともいずれかを異なったものとしている。中間層外径及び/または内径のサイズを、隣り合う中間層同士で変化させるようにしたことにより、スタンパの転写剥離工程の際の、外周端部及び/または内周端部におけるストレスが軽減され、層間の剥離の発生が効果的に防止される。
すなわち、下記の構成を具備するものとする。
【0046】
(1)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層外径のサイズが徐々に小さくなっていくものとする。
(2)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層内径のサイズが徐々に大きくなっていくものとする。
(3)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層外径のサイズが徐々に小さくなり、中間層内径のサイズが徐々に大きくなってものとする。
(4)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層外径のサイズが徐々に大きくなっていくものとする。
(5)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層内径のサイズが徐々に小さくなっていくものとする。
(6)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層外径のサイズが徐々に大きくなり、中間層内径のサイズが徐々に小さくなってものとする。
(7)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層の外径のサイズが、第一の中間層では大きく、第二の中間層では小さく、第三の中間層では大きく、と、交互に変化するものとする。
(8)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層の内径のサイズが、第一の中間層では小さく、第二の中間層では大きく、第三の中間層では小さく、と、交互に変化するものとする。
(9)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層の外径のサイズが、第一の中間層では大きく、第二の中間層では小さく、第三の中間層では大きく、と、交互に変化し、中間層内径のサイズが第一の中間層では小さく、第二の中間層では大きく、第三の中間層では小さく、と、交互に変化するものとする。
【0047】
ここで、ブルーレイの規格では記録エリアは直径φ117mmまでとなっており、中間層は少なくとも記録エリアよりも大きい外径を持つ必要がある。またディスクの外径はφ120mmであり、中間層は少なくともディスク外径よりも小さい外径を持つ必要がある。すなわちφ117mm<Dm<φ120mmという範囲に中間層の直径が存在しなければならない。
【0048】
従って、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の構成の場合、上記したブルーレイの規格である狭い範囲の中において中間層のサイズを調整する必要があるため、記録層が3層(中間層は2層)の多層メディアではその位置調整も可能であるが、記録層が4層(中間層は3層)以上の多層メディアでは層数が増えるにつれてその位置調整が非常に困難になってくる。例えば中間層が3層ではその直径の大きさの違いは1mm未満とする必要があり、この微小なサイズ差のシートを正確に位置出しして積層することは難しい。
さらに、中間層シートとして用いるドライ光硬化性フィルムの接着性などの特性にも因るものの、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、シート直径の違いののりしろの部分は0.7mm以上(半径で言えば、0.35mm以上)であれば層間の剥離の発生の防止効果が充分に発揮されることを見出した。
【0049】
そこで、記録層数が多いメディアでは、中間層の大きさを交互に大小繰り返すことで歩留まりを向上させることも出来る。即ち、上記(7)〜(9)のいずれかに記載の構成により歩留まりを向上させることも出来る。
【0050】
ここで、上記(7)に記載の構成は、信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側から2i番目(但し、2≦2i≦N−1である。)に積層されている中間層の外径をDm(2i)と、前記支持基板側から(2i−1)番目に積層されている中間層の外径をDm(2i−1)とが、下記式(3)の関係を満たし、前記支持基板側から2j番目(但し、2≦2j≦N−2である。)に積層されている中間層の外径Dm(2j)と、前記支持基板側から(2j+1)番目に積層されている中間層の外径Dm(2j+1)とが、下記式(4)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体と同義である。
【0051】
Dm(2i−1)>Dm(2i) ・・・式(3)
Dm(2j)<Dm(2j+1) ・・・式(4)
【0052】
またここで、上記(8)に記載の構成は、信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側から2i番目(但し、2≦2i≦N−1である。)に積層されている中間層の内径をdm(2i)と、前記支持基板側から(2i−1)番目に積層されている中間層の内径をdm(2i−1)とが、下記式(5)の関係を満たし、前記支持基板側から2j番目(但し、2≦2j≦N−2である。)に積層されている中間層の外径dm(2j)と、前記支持基板側から(2j+1)番目に積層されている中間層の外径dm(2j+1)とが、下記式(6)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体と同義である。
【0053】
dm(2i−1)<dm(2i) ・・・式(5)
dm(2j)>dm(2j+1) ・・・式(6)
【0054】
さらにここで、上記(9)に記載の構成は、信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側から2i番目(但し、2≦2i≦N−1である。)に積層されている中間層の外径をDm(2i)と、前記支持基板側から(2i−1)番目に積層されている中間層の外径をDm(2i−1)とが、下記式(3)の関係を満たし、前記支持基板側から2j番目(但し、2≦2j≦N−2である。)に積層されている中間層の内径dm(2j)と、前記支持基板側から(2j+1)番目に積層されている中間層の内径dm(2j+1)とが、下記式(4)の関係を満たし、前記支持基板側から2i番目(但し、2≦2i≦N−1である。)に積層されている中間層の内径をdm(2i)と、前記支持基板側から(2i−1)番目に積層されている中間層の内径をdm(2i−1)とが、下記式(5)の関係を満たし、前記支持基板側から2j番目(但し、2≦2j≦N−2である。)に積層されている中間層の内径dm(2j)と、前記支持基板側から(2j+1)番目に積層されている中間層の内径dm(2j+1)とが、下記式(6)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体と同義である。
【0055】
Dm(2i−1)>Dm(2i) ・・・式(3)
Dm(2j)<Dm(2j+1) ・・・式(4)
dm(2i−1)<dm(2i) ・・・式(5)
dm(2j)>dm(2j+1) ・・・式(6)
【0056】
カバー層30は、光透過性の紫外線硬化性樹脂シートが好適であり、膜厚は60〜90μmが好適である。特にブルーレイ規格では中間層の膜厚とカバー層との膜厚とを合わせて100μmとされているので、カバー層の膜厚は、積層数によって変わってくる。中間層が一層(上記のように25μm)であれば、カバー層は75μmが最も好適な膜厚となる。
【0057】
この多層光記録媒体においては、カバー層30側からレーザ光を照射して記録あるいは再生がなされる。
このような高密度記録型の光記録媒体に対しては、開口度(NA)の大きな光学系を用いるため、カバー層30は、表面性に優れ、気泡が残存していない状態であることが必要である。
具体的に、使用レーザ光の波長を405nm、対物レンズの開口数を0.85とするとき、カバー層の屈折率(約1.5)、カバー層膜厚75μmとし、カバー層の内周と外周における膜厚差が3μm以下であるとき、良好な光学特性が得られた。
【0058】
さらに、本発明の多層光記録媒体は、信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、カバー層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層され、さらに最上層のカバー層が積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)と、前記支持基板の外径をDsと、前記カバー層の外径Dcとが、下記式(7A)を満たし、前記支持基板側からk番目に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)と、前記支持基板の内径dsと、前記カバー層の内径dcとが、下記式(8A)を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体である。
【0059】
Ds>Dc>Dm(k)>Dm(k−1) ・・・式(7A)
dm(k−1)>dm(k)>dc>ds ・・・式(8A)
【0060】
本発明に係る多層光記録媒体の中で、上記式(7A)及び(8A)を満たす具体例における支持基板、カバー層、中間層及び記録層の配置関係を説明するための上面概略図を図3に示す。
本発明の多層光記録媒体は、上記式(7A)及び(8A)を満たすことで、層間の剥離発生を防止でき、剥離に起因する腐食現象も回避することができる。またさらに、本発明の多層光記録媒体は、下記式(7B)及び(8B)を満たすことで、同様の効果を得ることができ、その他、支持基板側から順に中間層の外径及び/または内径の大小関係が交互に変化する上記(7)〜(9)に記載の構成であっても同様である。
【0061】
Ds>Dc>Dm(k−1)>Dm(k) ・・・式(7B)
dm(k)>dm(k−1)>dc>ds ・・・式(8B)
【実施例】
【0062】
〔実施例1〕
この例における光記録媒体は、図4に示すように、支持基板1上に、記録層11〜13と中間層21、22とが、交互に積層されている。
支持基板1側から1番目に積層されている中間層21の外径をDm(1)、内径をdm(1)としたとき、Dm(1)>Dm(2)であり、かつdm(2)>dm(1)となっている。
最上層には、カバー層30が、端部が支持基板1に接するように、積層構造の全面を覆うように形成されている。
【0063】
この例における光記録媒体は、下記のようにして作製する。
先ず、支持基板1を作製する。支持基板1は、ポリカボネート材料(三菱エンジニアリング株式会社:ユーピロンH-4000)を使用し、成形機(住友重機械工業株式会社:SD40E)、膜厚1.1mm対応金型(株式会社精工技研)、スタンパ(株式会社リコー:BD-ROM用スタンパ)の成形システムを適用して、射出成形法により作製した。
続いて、図5に示すように、支持基板1上に、金属反射層(この例ではAgBi合金)をスパッタ装置(エリコン株式会社:DVDスプリンター)を使用して、スパッタ法で成膜し、記録層11を形成した。
その後、図6に示すように、記録層11上に、厚さ25μm、内径42mm、外径118mmのシート(リンテック株式会社)を圧着法で貼り付けて、中間層21を形成した。
続いて、図7に示すように、中間層21上に、ソフトスタンパ50を、真空装置(株式会社ユーシン精機)を使用し、真空環境下で貼り付け、中間層21にランドとグルーブの微細凹凸を転写させ、フラッシュUVを照射させて硬化させた。
なお、このソフトスタンパ50は、所定の材料(日本ゼオン株式会社:ゼオノア1060R)を使用し、成形機(住友重機械工業株式会社:SD40E)、0.6mm用金型(株式会社精工技研)、スタンパ(株式会社リコー:BD-ROM用スタンパ)を具備する成形システムを使用して射出成形法により成形し作製されたものとする。
【0064】
次に、図8に示すように、ソフトスタンパ50を剥離装置(オリジン電気株式会社)を用いて内周部より剥がす。これにより第2の溝(微細凹凸)が転写される。続いて図9に示すように、記録層12を上記記録層11と同様にスパッタ法で形成した。
【0065】
続いて、記録層12上に、厚さ25μm、内径44mm、外径117mmのシート(リンテック株式会社)を圧着法で貼り付けて、中間層22を形成した。
【0066】
次に、図10に示すように、中間層22上に所定のソフトスタンパ60を真空装置を用いて貼り付け、第3の溝を転写させ、その後、ソフトスタンパを内周部より剥がした。
続いて、図11に示すように、記録層13を上記記録層11、12と同様にスパッタ法で形成した。
【0067】
次に、図12に示すように、紫外線硬化性樹脂(日本化薬株式会社)を、スピナー装置(グローバルマシーナリー株式会社)を使用して、スピンコート法で塗布した。これにより、膜厚50μmのカバー層30を形成し、最終的に目的とする、BD-ROM型の、三層の記録層を具備する多層光記録媒体が得られた。
【0068】
〔実施例2〜15〕
中間層の内周径と外周径を変化させ、記録層を3層、あるいは4層具備するディスク型の光情報記録媒体を作製した。
ここで、図4に示す例とは異なる具体例である、支持基板側から見て1番目に積層された中間層の外径が、同2番目に積層された中間層の外径よりも小さい場合の多層光記録媒体の概略断面図を図13に示す。この具体例における多層光記録媒体を構成する各層の名称は、いずれも図4に示す例と重複しているので説明は省略する。
〔比較例1、2〕
中間層の内周径及び外周径が等しくし、記録層を3層、あるいは4層具備するディスク型の光情報記録媒体を作製した。
【0069】
上記実施例1〜15、比較例1、2の光情報記録媒体のサンプルを、それぞれ10枚ずつ作製し、これらの製造歩留まり(%)の評価を下記に示す方法によって行った。評価結果を下記表1に示す。
製造歩留まりの評価は、製造工程中にスタンパ(上記においてソフトスタンパと称しているものも含む)を剥がした後、下地側に損傷を及ぼさずに実用上十分な信号特性が得られる状態となっているか、あるいは下地側に損傷を及ぼして実用上十分な信号特性が得られない状態であるかを観察し、良好なサンプルの割合を算出することによって行った。
【0070】
【表1】
【0071】
上記表1に示すように、本発明の構成を有する多層光記録媒体である実施例1〜15においては、実用上十分に高い製造歩留まりが実現された。これにより、従来技術によって作製した比較例1、2のサンプルに比して層間剥離防止効果が向上したことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の多層光記録媒体の概略平面図を示す。
【図2】多層光記録媒体の概略断面図を示す。
【図3】本発明の多層光記録媒体における支持基板、カバー層、中間層及び記録層の配置関係の具体例を説明するための上面概略図を示す。
【図4】本発明の多層光記録媒体の一例の概略断面図を示す。
【図5】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図6】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図7】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図8】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図9】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図10】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図11】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図12】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図13】本発明の多層光記録媒体のその他の例の概略断面図を示す。
【図14】(a)〜(e)従来における多層光記録媒体のスタンパの剥離工程図を示す。
【符号の説明】
【0073】
1 支持基板
11,12,13 記録層
21,22 中間層
30 カバー層
50,60 ソフトスタンパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持基板上に、記録層及び中間層がそれぞれ交互に複数層積層されている構成の多層光記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂製基板上に各種記録層を具備する構成の光記録媒体は、可搬性や非接触の記録再生による扱いやすさにより、オーディオビジュアルの分野において広く普及し、近年コンピュータの分野においても各種情報を記録する記録媒体として応用されつつある。
オーディオビジュアルの分野においては、その映像や音声のディジタル化、高品質化から、情報量は増加の一途を辿っており、それに伴って光記録媒体に求められる記録容量も増加している。また小型コンピュータの普及や、情報の多様化が進み、小型大容量の光記録媒体が要求されている。
【0003】
記録容量を増加させる手段としては、大別して、記録用トラックピッチをより狭くし、記録マークをより小さくすることで記録密度を向上させる方法と、記録層を多層化することで、見かけ上の記録密度を向上させる方法の二つが存在する。
【0004】
トラックピッチを狭くし、記録マークを小さくすることで記録密度を向上させる方法は、照射レーザの波長λを短くすることと、対物レンズの開口数NAを大きくすることで達成される。
【0005】
下記特許文献1においては、DVDの光学系である、λ=0.65μm、NA=0.60を発展させた光学系を用いた光記録媒体が提案されており、更に照射光の短波長化、レンズの開口数を大きくした光学系(λ=0.405μm、NA=0.85)を適用したブルーレイディスクも市販されている。
【0006】
一方、高記録密度化を図るために、記録層を多層化した記録媒体としては、例えば二層構造のDVD等が市販されている。
そして、上述した二つの記録密度を高める方法を併用した技術として、8層構造のBlu−ray Discについての研究もなされている。
【0007】
ところで、照射レーザ光が短波長で、かつ対物レンズが高NAである光学系を使用した場合には、光ディスクが照射光の光軸に対して傾く(チルトする)ことによって発生するコマ収差の、記録/再生特性への悪影響が大きくなる。よって、これを軽減するべく、レーザ光照射側の光透過層の膜厚を薄くし、かつ厚みムラを小さく抑える必要がある。
また、上記のような光学系に適用する多層構造の光記録媒体においては、各記録層間の距離を高精度に制御し、層間干渉を防ぐ必要があることから、膜厚の制御に関しては許容量が単層の場合に比較して極めて厳しく、厚みムラに関しては、特に高い精度が要求される。
【0008】
多層積層型の光記録媒体を製造する方法としては、フォトポリマー(以下2P)剤によって凹凸パターンをシート上に形成し、それを積層していく方法が知られている。
ところが、2P剤の広がりにはムラがあり、膜厚の精密な制御は困難であるという問題があった。
かかる問題に鑑みて、層厚が予め制御された樹脂シートを用いて多層構造の光記録媒体を作製する方法が下記特許文献2において提案された。
【0009】
また、中間層の形成技術としては、下記特許文献3のように可動側金型と固定側金型とを嵌合して形成した密封構造内を気泡が発生することのない減圧雰囲気とし、その中で基板にスタンパの微細な凹凸パターンを熱により転写する方法がある。これにより、基板の記録面や記録層内に気泡などによる欠陥が発生することがなくなり、大容量で高密度な記録媒体を高歩留まりで製造することが可能となる。さらに、基板の記録面に対して垂直方向にスタンパを押圧させることにより、スタンパの横方向に移動する応力が掛からないので、記録面に転写される凹凸パターンの形状再現性が極めて良好になる。
【0010】
さらに、下記特許文献4及び5では、中間層材料としてドライ光硬化性フィルムという材料を用いる方法も提案されている。ここで用いられるドライ光硬化性フィルムとは、ゲル状の半硬化状態(未硬化と完全硬化の間の状態)のフィルムであって、かつ、記録層に対して接着力を発揮する状態のものである。このような特徴を持つドライ光硬化性フィルムを中間層として記録層上に形成し、光を透過するスタンパを貼り合わせた状態で光照射を行い、中間層をゲル状態から光硬化させ、しかる後に光を透過するスタンパを剥離させることで中間層の凹凸が得られる。
【0011】
これらの方法によって、多層メディアにおける各中間層の膜厚分布は良好となったが、そのシート同士の内外径サイズが同じである為、後述するように2層以上の中間層を重ねると、スタンパを剥がす際に記録層ごと剥がれてしまうと言う問題(層間剥離)が有った。
【0012】
上記層間剥離について、図を参照して説明する。
例えば、図14(a)〜(e)に、支持基板100上に、記録層101、中間層201、記録層102、中間層202が順次積層された2層構造の光記録媒体の作製工程図を示す。
図14(a)は、中間層202上に所定の微細凹凸を具備するスタンパ300を圧着し転写する工程図である。
この工程後、スタンパ300を剥離する際、図14(b)に示すように支持基板100と記録層101の界面、図14(c)に示すように記録層101と中間層201との界面、図14(d)に示すように中間層201と記録層102の界面、図14(e)に示すように記録層102と中間層202の界面が剥がれ易いという問題があった。さらに付言すると、この層間剥離は、図13に示した2層構造よりも3層及び4層以上の構成の光記録媒体のほうが生じ易く、高記録密度化のための多層化における問題となっている。
【0013】
ところで、下記特許文献6には、ROM信号が形成された中間層シートの外周よりもその上に積み上げられたカバー層の外周は大きく、中間層シートの内周よりもカバー層の内周は小さい、という構成の光記録媒体が開示されている。しかしながら、かかる構成は中間層とカバー層とのサイズの比較であり、多層に中間層を積み上げていった場合に起こる問題について何ら検討されてはいない。
【0014】
【特許文献1】特開2001−357571号公報
【特許文献2】特開2003−132593号公報
【特許文献3】特開2002−42387号公報
【特許文献4】特開2007−294098号公報
【特許文献5】特開2007−305220号公報
【特許文献6】特開2006−331566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題に鑑みて、複数層の記録層と中間層とが交互に積層されている構成の多層光記録媒体において、層間剥離の発生を防止し、同時に厚みムラの低減化を図り、寸法精度が高く、短波長で高NAの光学系に好適な高密度型の多層光記録媒体を提案することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明に係る多層光記録媒体は、具体的には下記(I)〜(X)に記載の技術的特徴を有する。
【0017】
(I):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)>Dm(k) ・・・式(1A)
【0018】
上記(I)に記載の発明によれば、支持基板側から積層される複数の中間層において、中間層外径のサイズを徐々に小さくなるようにしたことにより、スタンパ転写剥離工程の際の層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0019】
(II):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
dm(k−1)<dm(k) ・・・式(2A)
【0020】
上記(II)に記載の発明によれば、支持基板側から積層される複数の中間層において、中間層内径のサイズを徐々に大きくなるようにしたことにより、スタンパ転写剥離工程の際の、層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0021】
(III):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1A)の関係を満たし、前記支持基板側からk番目に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)>Dm(k) ・・・式(1A)
dm(k−1)<dm(k) ・・・式(2A)
【0022】
上記(III)に記載の発明によれば、外周側と内周側において層間の接着強度が高まり、スタンパの転写剥離工程の際の、層間の剥離の発生を確実に防止できた。
【0023】
(IV):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1B)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)<Dm(k) ・・・式(1B)
【0024】
上記(IV)に記載の発明によれば、支持基板側から積層される複数の中間層において、中間層外径のサイズを徐々に大きくなるようにしたことにより、スタンパ転写剥離工程の際の層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0025】
(V):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2B)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
dm(k−1)>dm(k) ・・・式(2B)
【0026】
上記(V)に記載の発明によれば、支持基板側から積層される複数の中間層において、中間層内径のサイズを徐々に小さくなるようにしたことにより、スタンパ転写剥離工程の際の、層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0027】
(VI):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1B)の関係を満たし、前記支持基板側からk番目に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2B)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)<Dm(k) ・・・式(1B)
dm(k−1)>dm(k) ・・・式(2B)
【0028】
上記(VI)に記載の発明によれば、外周側と内周側において層間の接着強度が高まり、スタンパの転写剥離工程の際の、層間の剥離の発生を確実に防止できた。
【0029】
(VII):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の外径は、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さく、且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さいことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
【0030】
上記(VII)に記載の発明によれば、中間層外径のサイズを、隣り合う中間層同士で変化させるようにしたことにより、スタンパの転写剥離工程の際の、外周端部におけるストレスが軽減され、層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0031】
(VIII):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の内径は、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きく、且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きいことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
【0032】
上記(VIII)に記載の発明によれば、中間層内径のサイズを、隣り合う中間層同士で変化させるようにしたことにより、スタンパの転写剥離工程の際の、内周端部におけるストレスが軽減され、層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0033】
(IX):信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の外径は、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さく、且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さく、前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の内径は、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きく、且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きいことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
【0034】
上記(XI)に記載の発明によれば、中間層外径及び内径のサイズを、隣り合う中間層同士で変化させるようにしたことにより、スタンパの転写剥離工程の際の、外周端部及び内周端部におけるストレスが軽減され、層間の剥離の発生が効果的に防止された。
【0035】
(X):前記中間層が、ドライ光硬化性フィルムにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の多層光記録媒体。
【0036】
上記(X)に記載の発明によれば、中間層としてドライ光硬化性フィルムを用いたことにより、上記効果に加え、均一な膜厚で厚みムラの極めて小さい、寸法精度にも優れた、短波長で高NAの光学系に最適な高密度型の多層光記録媒体が得られた。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、複数層の記録層と中間層とが交互に積層されている構成の多層光記録媒体において、層間剥離の発生を防止し、同時に厚みムラの低減化を図り、寸法精度が高く、短波長で高NAの光学系に好適な高密度型の多層光記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の多層光記録媒体について、図を参照して具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本発明の多層光記録媒体の概略上面図を図1に示す。中心孔を有するディスク形状であり、外周端部と内周端部を除いた領域が記録領域となっている。この記録領域においては、所定の信号パターン、あるいは、目的に応じた反射層、機能層等が形成されている。
【0039】
図2に本発明の多層光記録媒体の一例の概略断面図を示す。
この多層光記録媒体は、中心孔を有するディスク形状の支持基板1の主面上に、記録層11、12と中間層21とが形成されている。
なお、この図においては、記録層11、12と中間層21を代表させて示しているが、本発明の多層光記録媒体は、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層とが、交互に積層されているものとする。
最上層には光透過性の材料よりカバー層30が形成されている。
【0040】
記録層11は支持基板1の面上に信号あるいはグルーブとなる微細凹凸上に成膜された金属反射層によって構成されている。記録層12は、中間層21面上の微細凹凸上に成膜された半透明層によって構成されている。
【0041】
符号21に代表される中間層は、光透過性の樹脂により形成されるものとし、例えば、ドライ光硬化性フィルムが好適に用いられる。膜厚は、15〜30μmの範囲で用いられるが、25μmが好適である。膜厚を15μm未満とすると、他層との層間クロストークが発生してしまうおそれがある。一方、30μmを超えると、それぞれの層を対物レンズの非点収差内に収めることができなくなるおそれがある。
ドライ光硬化性フィルムを用いることにより、常温条件下においても信号やグルーブパターンの微細凹凸を確実に転写できる。
【0042】
ドライ光硬化性フィルムは、ゲル状のフィルムであり、光透過性のスタンパを貼り合わせた状態で光照射を行うことにより転写と光硬化を行うことができる。
中間層形成用のドライ光硬化性フィルムの材料としては、特に限定されるものではないが、以下に示す材料が適用できる。
【0043】
例えば、ブチルアクリレート62重量部と、メチルメタクリレート10重量部と、2−ヒドロキシエチルアクリレート28重量部とを酢酸エチル中で反応させて、官能基にヒドロキシル基を有するアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液(固形分濃度40重量%)を得る。続いて、そのアクリル系共重合体の酢酸エチル溶液250重量部に、酢酸エチル100重量部と、置換基にイソシアナート基を有する不飽和基含有化合物としてのメタクリロイルオキシエチルイソシアナート30重量部(アクリル系共重合体の2−ヒドロキシエチルアクリレート100当量に対し80.5当量)と、触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.12重量部とを添加し、窒素雰囲気下、室温で24時間反応させて、エネルギー線硬化型共重合体を得た。このエネルギー線硬化型共重合体の重量平均分子量(Mw)は、600000であった。
得られたエネルギー線硬化型共重合体固形分100重量部に光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名:イルガキュア184)3.7重量部を溶解させて、固形分濃度を35重量%に調整し、ドライ光硬化性フィルム用の塗布剤Aとした。
【0044】
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(例えば厚さ38μm)の片面に重剥離型のシリコーン樹脂で離型処理した重剥離型剥離シート(剥離処理面の表面粗さ:Ra=0.016μm)、およびPETフィルム(例えば厚さ38μm)の片面に軽剥離型のシリコーン樹脂で離型処理した軽剥離型剥離シート(剥離処理面の表面粗さ:Ra=0.023μm)の2種類の剥離シートを用意した。
上記塗布剤Aを、ナイフコーターによって上記重剥離型剥離シートの離型処理面上に塗布して90℃で1分間乾燥させ、例えば厚さ10μmのドライ光硬化性フィルムを形成した。そして、そのドライ光硬化性フィルムの表面に上記軽剥離型剥離シートを積層して、製造工程において用いる中間層形成用のドライシートとした。
【0045】
積層されている複数の中間層の隣り合うもの同士で、外径あるいは内径の少なくともいずれかを異なったものとしている。中間層外径及び/または内径のサイズを、隣り合う中間層同士で変化させるようにしたことにより、スタンパの転写剥離工程の際の、外周端部及び/または内周端部におけるストレスが軽減され、層間の剥離の発生が効果的に防止される。
すなわち、下記の構成を具備するものとする。
【0046】
(1)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層外径のサイズが徐々に小さくなっていくものとする。
(2)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層内径のサイズが徐々に大きくなっていくものとする。
(3)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層外径のサイズが徐々に小さくなり、中間層内径のサイズが徐々に大きくなってものとする。
(4)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層外径のサイズが徐々に大きくなっていくものとする。
(5)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層内径のサイズが徐々に小さくなっていくものとする。
(6)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層外径のサイズが徐々に大きくなり、中間層内径のサイズが徐々に小さくなってものとする。
(7)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層の外径のサイズが、第一の中間層では大きく、第二の中間層では小さく、第三の中間層では大きく、と、交互に変化するものとする。
(8)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層の内径のサイズが、第一の中間層では小さく、第二の中間層では大きく、第三の中間層では小さく、と、交互に変化するものとする。
(9)支持基板側から、第一の中間層、第二の中間層、第三の中間層、第四の中間層・・・と積層していく中間層の外径のサイズが、第一の中間層では大きく、第二の中間層では小さく、第三の中間層では大きく、と、交互に変化し、中間層内径のサイズが第一の中間層では小さく、第二の中間層では大きく、第三の中間層では小さく、と、交互に変化するものとする。
【0047】
ここで、ブルーレイの規格では記録エリアは直径φ117mmまでとなっており、中間層は少なくとも記録エリアよりも大きい外径を持つ必要がある。またディスクの外径はφ120mmであり、中間層は少なくともディスク外径よりも小さい外径を持つ必要がある。すなわちφ117mm<Dm<φ120mmという範囲に中間層の直径が存在しなければならない。
【0048】
従って、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の構成の場合、上記したブルーレイの規格である狭い範囲の中において中間層のサイズを調整する必要があるため、記録層が3層(中間層は2層)の多層メディアではその位置調整も可能であるが、記録層が4層(中間層は3層)以上の多層メディアでは層数が増えるにつれてその位置調整が非常に困難になってくる。例えば中間層が3層ではその直径の大きさの違いは1mm未満とする必要があり、この微小なサイズ差のシートを正確に位置出しして積層することは難しい。
さらに、中間層シートとして用いるドライ光硬化性フィルムの接着性などの特性にも因るものの、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、シート直径の違いののりしろの部分は0.7mm以上(半径で言えば、0.35mm以上)であれば層間の剥離の発生の防止効果が充分に発揮されることを見出した。
【0049】
そこで、記録層数が多いメディアでは、中間層の大きさを交互に大小繰り返すことで歩留まりを向上させることも出来る。即ち、上記(7)〜(9)のいずれかに記載の構成により歩留まりを向上させることも出来る。
【0050】
ここで、上記(7)に記載の構成は、信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側から2i番目(但し、2≦2i≦N−1である。)に積層されている中間層の外径をDm(2i)と、前記支持基板側から(2i−1)番目に積層されている中間層の外径をDm(2i−1)とが、下記式(3)の関係を満たし、前記支持基板側から2j番目(但し、2≦2j≦N−2である。)に積層されている中間層の外径Dm(2j)と、前記支持基板側から(2j+1)番目に積層されている中間層の外径Dm(2j+1)とが、下記式(4)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体と同義である。
【0051】
Dm(2i−1)>Dm(2i) ・・・式(3)
Dm(2j)<Dm(2j+1) ・・・式(4)
【0052】
またここで、上記(8)に記載の構成は、信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側から2i番目(但し、2≦2i≦N−1である。)に積層されている中間層の内径をdm(2i)と、前記支持基板側から(2i−1)番目に積層されている中間層の内径をdm(2i−1)とが、下記式(5)の関係を満たし、前記支持基板側から2j番目(但し、2≦2j≦N−2である。)に積層されている中間層の外径dm(2j)と、前記支持基板側から(2j+1)番目に積層されている中間層の外径dm(2j+1)とが、下記式(6)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体と同義である。
【0053】
dm(2i−1)<dm(2i) ・・・式(5)
dm(2j)>dm(2j+1) ・・・式(6)
【0054】
さらにここで、上記(9)に記載の構成は、信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側から2i番目(但し、2≦2i≦N−1である。)に積層されている中間層の外径をDm(2i)と、前記支持基板側から(2i−1)番目に積層されている中間層の外径をDm(2i−1)とが、下記式(3)の関係を満たし、前記支持基板側から2j番目(但し、2≦2j≦N−2である。)に積層されている中間層の内径dm(2j)と、前記支持基板側から(2j+1)番目に積層されている中間層の内径dm(2j+1)とが、下記式(4)の関係を満たし、前記支持基板側から2i番目(但し、2≦2i≦N−1である。)に積層されている中間層の内径をdm(2i)と、前記支持基板側から(2i−1)番目に積層されている中間層の内径をdm(2i−1)とが、下記式(5)の関係を満たし、前記支持基板側から2j番目(但し、2≦2j≦N−2である。)に積層されている中間層の内径dm(2j)と、前記支持基板側から(2j+1)番目に積層されている中間層の内径dm(2j+1)とが、下記式(6)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体と同義である。
【0055】
Dm(2i−1)>Dm(2i) ・・・式(3)
Dm(2j)<Dm(2j+1) ・・・式(4)
dm(2i−1)<dm(2i) ・・・式(5)
dm(2j)>dm(2j+1) ・・・式(6)
【0056】
カバー層30は、光透過性の紫外線硬化性樹脂シートが好適であり、膜厚は60〜90μmが好適である。特にブルーレイ規格では中間層の膜厚とカバー層との膜厚とを合わせて100μmとされているので、カバー層の膜厚は、積層数によって変わってくる。中間層が一層(上記のように25μm)であれば、カバー層は75μmが最も好適な膜厚となる。
【0057】
この多層光記録媒体においては、カバー層30側からレーザ光を照射して記録あるいは再生がなされる。
このような高密度記録型の光記録媒体に対しては、開口度(NA)の大きな光学系を用いるため、カバー層30は、表面性に優れ、気泡が残存していない状態であることが必要である。
具体的に、使用レーザ光の波長を405nm、対物レンズの開口数を0.85とするとき、カバー層の屈折率(約1.5)、カバー層膜厚75μmとし、カバー層の内周と外周における膜厚差が3μm以下であるとき、良好な光学特性が得られた。
【0058】
さらに、本発明の多層光記録媒体は、信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、カバー層と、を備え、前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層され、さらに最上層のカバー層が積層されてなり、前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)と、前記支持基板の外径をDsと、前記カバー層の外径Dcとが、下記式(7A)を満たし、前記支持基板側からk番目に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)と、前記支持基板の内径dsと、前記カバー層の内径dcとが、下記式(8A)を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体である。
【0059】
Ds>Dc>Dm(k)>Dm(k−1) ・・・式(7A)
dm(k−1)>dm(k)>dc>ds ・・・式(8A)
【0060】
本発明に係る多層光記録媒体の中で、上記式(7A)及び(8A)を満たす具体例における支持基板、カバー層、中間層及び記録層の配置関係を説明するための上面概略図を図3に示す。
本発明の多層光記録媒体は、上記式(7A)及び(8A)を満たすことで、層間の剥離発生を防止でき、剥離に起因する腐食現象も回避することができる。またさらに、本発明の多層光記録媒体は、下記式(7B)及び(8B)を満たすことで、同様の効果を得ることができ、その他、支持基板側から順に中間層の外径及び/または内径の大小関係が交互に変化する上記(7)〜(9)に記載の構成であっても同様である。
【0061】
Ds>Dc>Dm(k−1)>Dm(k) ・・・式(7B)
dm(k)>dm(k−1)>dc>ds ・・・式(8B)
【実施例】
【0062】
〔実施例1〕
この例における光記録媒体は、図4に示すように、支持基板1上に、記録層11〜13と中間層21、22とが、交互に積層されている。
支持基板1側から1番目に積層されている中間層21の外径をDm(1)、内径をdm(1)としたとき、Dm(1)>Dm(2)であり、かつdm(2)>dm(1)となっている。
最上層には、カバー層30が、端部が支持基板1に接するように、積層構造の全面を覆うように形成されている。
【0063】
この例における光記録媒体は、下記のようにして作製する。
先ず、支持基板1を作製する。支持基板1は、ポリカボネート材料(三菱エンジニアリング株式会社:ユーピロンH-4000)を使用し、成形機(住友重機械工業株式会社:SD40E)、膜厚1.1mm対応金型(株式会社精工技研)、スタンパ(株式会社リコー:BD-ROM用スタンパ)の成形システムを適用して、射出成形法により作製した。
続いて、図5に示すように、支持基板1上に、金属反射層(この例ではAgBi合金)をスパッタ装置(エリコン株式会社:DVDスプリンター)を使用して、スパッタ法で成膜し、記録層11を形成した。
その後、図6に示すように、記録層11上に、厚さ25μm、内径42mm、外径118mmのシート(リンテック株式会社)を圧着法で貼り付けて、中間層21を形成した。
続いて、図7に示すように、中間層21上に、ソフトスタンパ50を、真空装置(株式会社ユーシン精機)を使用し、真空環境下で貼り付け、中間層21にランドとグルーブの微細凹凸を転写させ、フラッシュUVを照射させて硬化させた。
なお、このソフトスタンパ50は、所定の材料(日本ゼオン株式会社:ゼオノア1060R)を使用し、成形機(住友重機械工業株式会社:SD40E)、0.6mm用金型(株式会社精工技研)、スタンパ(株式会社リコー:BD-ROM用スタンパ)を具備する成形システムを使用して射出成形法により成形し作製されたものとする。
【0064】
次に、図8に示すように、ソフトスタンパ50を剥離装置(オリジン電気株式会社)を用いて内周部より剥がす。これにより第2の溝(微細凹凸)が転写される。続いて図9に示すように、記録層12を上記記録層11と同様にスパッタ法で形成した。
【0065】
続いて、記録層12上に、厚さ25μm、内径44mm、外径117mmのシート(リンテック株式会社)を圧着法で貼り付けて、中間層22を形成した。
【0066】
次に、図10に示すように、中間層22上に所定のソフトスタンパ60を真空装置を用いて貼り付け、第3の溝を転写させ、その後、ソフトスタンパを内周部より剥がした。
続いて、図11に示すように、記録層13を上記記録層11、12と同様にスパッタ法で形成した。
【0067】
次に、図12に示すように、紫外線硬化性樹脂(日本化薬株式会社)を、スピナー装置(グローバルマシーナリー株式会社)を使用して、スピンコート法で塗布した。これにより、膜厚50μmのカバー層30を形成し、最終的に目的とする、BD-ROM型の、三層の記録層を具備する多層光記録媒体が得られた。
【0068】
〔実施例2〜15〕
中間層の内周径と外周径を変化させ、記録層を3層、あるいは4層具備するディスク型の光情報記録媒体を作製した。
ここで、図4に示す例とは異なる具体例である、支持基板側から見て1番目に積層された中間層の外径が、同2番目に積層された中間層の外径よりも小さい場合の多層光記録媒体の概略断面図を図13に示す。この具体例における多層光記録媒体を構成する各層の名称は、いずれも図4に示す例と重複しているので説明は省略する。
〔比較例1、2〕
中間層の内周径及び外周径が等しくし、記録層を3層、あるいは4層具備するディスク型の光情報記録媒体を作製した。
【0069】
上記実施例1〜15、比較例1、2の光情報記録媒体のサンプルを、それぞれ10枚ずつ作製し、これらの製造歩留まり(%)の評価を下記に示す方法によって行った。評価結果を下記表1に示す。
製造歩留まりの評価は、製造工程中にスタンパ(上記においてソフトスタンパと称しているものも含む)を剥がした後、下地側に損傷を及ぼさずに実用上十分な信号特性が得られる状態となっているか、あるいは下地側に損傷を及ぼして実用上十分な信号特性が得られない状態であるかを観察し、良好なサンプルの割合を算出することによって行った。
【0070】
【表1】
【0071】
上記表1に示すように、本発明の構成を有する多層光記録媒体である実施例1〜15においては、実用上十分に高い製造歩留まりが実現された。これにより、従来技術によって作製した比較例1、2のサンプルに比して層間剥離防止効果が向上したことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の多層光記録媒体の概略平面図を示す。
【図2】多層光記録媒体の概略断面図を示す。
【図3】本発明の多層光記録媒体における支持基板、カバー層、中間層及び記録層の配置関係の具体例を説明するための上面概略図を示す。
【図4】本発明の多層光記録媒体の一例の概略断面図を示す。
【図5】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図6】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図7】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図8】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図9】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図10】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図11】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図12】本発明の多層光記録媒体の一例の作製工程図を示す。
【図13】本発明の多層光記録媒体のその他の例の概略断面図を示す。
【図14】(a)〜(e)従来における多層光記録媒体のスタンパの剥離工程図を示す。
【符号の説明】
【0073】
1 支持基板
11,12,13 記録層
21,22 中間層
30 カバー層
50,60 ソフトスタンパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)>Dm(k) ・・・式(1A)
【請求項2】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
dm(k−1)<dm(k) ・・・式(2A)
【請求項3】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1A)の関係を満たし、
前記支持基板側からk番目に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)>Dm(k) ・・・式(1A)
dm(k−1)<dm(k) ・・・式(2A)
【請求項4】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1B)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)<Dm(k) ・・・式(1B)
【請求項5】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2B)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
dm(k−1)>dm(k) ・・・式(2B)
【請求項6】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1B)の関係を満たし、
前記支持基板側からk番目に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2B)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)<Dm(k) ・・・式(1B)
dm(k−1)>dm(k) ・・・式(2B)
【請求項7】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の外径は、
奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さく、
且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さいことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
【請求項8】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の内径は、
奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きく、
且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きいことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
【請求項9】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の外径は、
奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さく、
且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さく、
前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の内径は、
奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きく、
且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きいことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
【請求項10】
前記中間層が、ドライ光硬化性フィルムにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の多層光記録媒体。
【請求項1】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)>Dm(k) ・・・式(1A)
【請求項2】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
dm(k−1)<dm(k) ・・・式(2A)
【請求項3】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1A)の関係を満たし、
前記支持基板側からk番目に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2A)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)>Dm(k) ・・・式(1A)
dm(k−1)<dm(k) ・・・式(2A)
【請求項4】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1B)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)<Dm(k) ・・・式(1B)
【請求項5】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2B)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
dm(k−1)>dm(k) ・・・式(2B)
【請求項6】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、n層(但し、n≧3である。)の記録層と、n−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層は、前記支持基板側からk番目(但し、2≦k≦n−1である。)に積層されている中間層の外径Dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の外径Dm(k−1)とが、下記式(1B)の関係を満たし、
前記支持基板側からk番目に積層されている中間層の内径dm(k)と、前記支持基板側からk−1番目に積層されている中間層の内径dm(k−1)とが、下記式(2B)の関係を満たすことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
Dm(k−1)<Dm(k) ・・・式(1B)
dm(k−1)>dm(k) ・・・式(2B)
【請求項7】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の外径は、
奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さく、
且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さいことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
【請求項8】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の内径は、
奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きく、
且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きいことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
【請求項9】
信号パターンあるいはグルーブを構成する微細凹凸を具備する支持基板と、N層(但し、N≧4である。)の記録層と、N−1層の中間層と、を備え、
前記支持基板上に、前記記録層と、前記中間層とが交互に積層されてなり、
前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の外径は、
奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さく、
且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の外径よりも小さく、
前記中間層の中で前記支持基板側から偶数番目の中間層の内径は、
奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層に対して支持基板側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きく、
且つ、奇数番目の中間層の中で、当該偶数番目の中間層(但し、N−1が偶数の場合、N−1番目の中間層を除く。)に対して支持基板と反対側に最近接して積層された中間層の内径よりも大きいことを特徴とするディスク形状の多層光記録媒体。
【請求項10】
前記中間層が、ドライ光硬化性フィルムにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の多層光記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−230843(P2009−230843A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182295(P2008−182295)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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