説明

多層創傷被覆材

創傷被覆材は、第1の抗菌剤と、任意により、キレート剤、第2の抗菌剤、亜鉛含有剤、細胞シグナル伝達剤、ならびに追加の活性成分または活性薬剤のうちの少なくとも1つとを含有する1つ以上の層を含む。一実施形態において、多層創傷被覆材は、少なくとも約3,000ppmの量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する少なくとも1つの内部層と、少なくとも1つの内部層に含有されるPHMBまたはPHMB誘導体の量未満のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する第1の外層とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、創傷被覆材を対象とする。本発明は、多数の層から形成される創傷被覆材を対象としてもよい。
【背景技術】
【0002】
以下の説明において、特定の構造および/または方法に言及している。しかしながら、以下の言及は、これらの構造および/または方法が従来技術を構成するということを認めるものとして解釈されるべきではない。出願者は、このような構造および/または方法が従来技術として見なされないことを実証する権利を明示的に留保する。
【0003】
低価格な医療の利用は、米国だけでなく世界のその他の国々が直面している最重要課題のうちの1つである。医療サービスを提供するための費用を削減する一般的な一技術として、入院期間の縮小や、患者と医療関係者間の直接の相互影響の最小化が挙げられる。関連する問題として、術後およびその他の創傷の細菌感染の発生の問題がある。このような感染は、入院期間の延長による医療システムの資源に対する要求を増加させるだけでなく、抗生物質による処理を必要とする。抗生物質の誤用により、このような感染に関し、効果的な治療を見出すことは困難であることが分かる。さらに、効果の無くなったその他のこのような薬物に取って代わる新しい抗生物質を絶えず開発するには、莫大な資源が必要とされる。
【0004】
創傷治療の分野において、多種多様の創傷被覆材がこれまでに提案されている。しかしながら、このような創傷被覆材は、種々の欠陥および欠点を有する。
【0005】
例えば、種々の抗菌剤を含む多数の創傷被覆材がこれまでに提案されている。特許文献1は、被覆材に適用される、計算された量のPHMBを有するセルロース被覆材料を開示している。
【0006】
特許文献2は、実質的に親水性材料の内層と、その内層の両側にある実質的に疎水性材料の外層とを含む被覆材、ならびにその被覆材に含まれる抗菌剤を開示している。
【0007】
特許文献3は、濃度が500から5000ppmの範囲であるPHMBで処理された不織材料を含む製品を開示している。
【0008】
特許文献4は、活性薬剤の創傷への制御放出のために構成された創傷被覆材に関連する。
【0009】
中国特許公開第CN1170564 A号からの抜粋は、不織布織物の形態のアルギン酸亜鉛−カルシウムを含む創傷被覆材を含む創傷被覆材を開示している。
【0010】
特許文献5は、亜鉛および/または種々のアルギン酸塩を含む創傷被覆材を開示している。
【0011】
特許文献6は、恐らくアルギン酸カルシウム繊維の形態の混合塩アルギン酸塩と、抗菌剤とを含む創傷被覆材を開示している。
【0012】
特許文献7は、多層創傷被覆材を開示しており、ここで、その創傷接触層は、生体吸収性および親水性のポリマー材料を含む。
【0013】
特許文献8は、第1の皮膚に面する表面を有する被覆材と、第1の表面の一部と重層する軟膏状の感触を有する半固体状の組成の不連続被覆とを有する被覆剤を開示する。
【0014】
特許文献9は、相互に離間し、かつ支持ウェブに配置される複数の活性成分要素を含む、粘着医療用プラスタを開示している。
【0015】
特許文献10は、接着剤を有する外科用被覆材を開示しており、ここで、濃度が約1から20重量%のPHMBが接着剤に提供される。
【0016】
特許文献11は、抗菌成分と、陰イオン界面活性剤を含まない界面活性剤の組み合わせとを含む深くまで浸透する抗菌組成を開示している。
【0017】
特許文献12は、カテーテル等を消毒するために形成される水による抗菌システムを開示しており、このシステムは、システムに含まれる1ミリリットル毎に約10から200mgのEDTA4ナトリウムを含む。
【0018】
特許文献13は、約2700〜7900ppmの濃度のPHBMを含有する微生物由来のセルロース被覆材料を含む創傷被覆材を開示している。
【0019】
特許文献14は、PHMBおよびその他の添加物も含み得るヒドロゲル形態で提供される微生物由来のセルロース創傷被覆材を開示している。
【0020】
特許文献15は、乾燥基板に液体を供給可能であるだけでなく、創傷からの浸出液を吸収可能である微生物由来のセルロースから形成される創傷被覆材を開示している。被覆材は、PHMBも含有するように処理されてもよい。
【0021】
特許文献16は、皮膚または粘膜への薬物の連続投与に使用するための帯具を開示しており、これは、複数のマイクロカプセルを含有する分離層を含むことが可能である容器と、皮膚への薬物移送の流れを計量する薬物放出速度制御微多孔膜材料とを含む。
【0022】
特許文献17は、治療効果のある量の局所活性物質の局所性投与のための帯具を開示している。局所活性物質は、壁を通って皮膚に薬物が放出する速度を制御する役割を果たす壁膜内に閉じ込められる。
【0023】
特許文献18は、皮膚または口腔粘膜を介する吸収によって系統的活性薬物を連続投与するための帯具を開示しており、支持部材と、支持部材から遠いほうに壁を有する容器とを備え、その壁は、皮膚を介する吸収について制御された方法で、薬剤の通過を可能にするように透過性である。
【0024】
特許文献19は、抗菌剤および亜鉛含有化合物を含み得る組成を開示しており、皮膚刺激性を防止する役割を果たすとされている。
【0025】
上に特定された文献の全てに関する開示は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【特許文献1】米国特許第6,369,289号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0082925号明細書
【特許文献3】米国特許第4,655,756号明細書
【特許文献4】米国特許第5,098,417号明細書
【特許文献5】米国特許第5,931,800号明細書
【特許文献6】米国特許第5,238,685号明細書
【特許文献7】米国特許第5,759,570号明細書
【特許文献8】米国特許第6,599,525号明細書
【特許文献9】米国特許第4,699,792号明細書
【特許文献10】米国特許第4,643,180号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2002/0022660号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2004/0047763号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2004/0028722号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2004/0142019号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2005/0019380号明細書
【特許文献16】米国特許第3,797,494号明細書
【特許文献17】米国特許第3,731,683号明細書
【特許文献18】米国特許第3,598,122号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2005/0048139号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
上述にも関わらず、当技術分野において、創傷治療分野における医療サービスを経済的かつ効果的に供給することを促進する創傷被覆材の必要性が存在する。従って、当技術分野において、創傷治癒工程を促進することによって効果を増加し、かつ感染防止の能力を向上させる創傷被覆材に関する必要性が存在する。また、創傷治癒能力をさらに長期間保持することによって、交換頻度を減らして、患者と医療関係者間で必要な人から人への接触を最低限に抑えるような創傷被覆材についての必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の特定の側面によると、本発明は、創傷治癒工程を加速するように構成される創傷被覆材を含むがそれだけに限定されない。追加の任意の側面によると、本発明は、創傷治癒特性をさらに長期間保持することによって、従来構成された創傷被覆材ほど頻繁に交換しなくてもよいように構成される創傷被覆剤を含むがそれだけに限定されない。別の側面によると、本発明は、感染防止効果が増加した創傷被覆剤を含むがそれだけに限定されない。
【0028】
本発明は、上述の任意の目的を達成するために2つの一般的な手法を含むがそれだけに限定されない。第1の手法では、本明細書に含まれる教示に従う創傷被覆材に提供される際に、従来の抗菌剤を含有する従来構成の創傷被覆材料よりも、創傷被覆材において治癒を促進する効果を増加させるような役割を果たす添加物の組み合わせが、創傷被覆材に提供可能である。第2の手法では、比較創傷被覆材が典型的に含有するものよりも、PHMBなどのより高レベルの抗菌剤を一般的に含有する創傷被覆材が提供可能である。特定の創傷被覆材構造ならびに抗菌剤およびその他の薬剤の標的放出および/または制御放出により、創傷被覆材は、従来の創傷被覆材構造および組成よりも、その効果をより長期間にわたって増加させることが可能である。
【0029】
上記に従い、本発明の任意の一側面によると、PHMBなどの抗菌剤の濃度増加に必ずしも頼ることなく、微生物負荷の制御強化が提供される。本発明のさらなる任意の側面によると、既存の創傷治療プロトコルを変更することなく、感染のリスクを軽減し、または既存の感染を制御し易くする創傷被覆材が提供される。本発明のまたさらなる任意の側面によると、創傷被覆材に含有される抗菌剤の作用のスペクトルを効果的に増加させる創傷被覆材が提供される。本発明の別の任意の側面によると、創傷被覆材に含有される抗菌剤および/または追加の添加剤の創傷部位への標的送達および/または制御送達を提供する創傷被覆材が提供される。さらに別の任意の側面によると、本発明の被覆材は、創傷床から微生物が殺菌される被覆材への微生物の移動を促進し、および/または創傷部位に到達する前に殺菌するように、外部環境から被覆材への微生物の移動を防止する。
【0030】
一側面によると、本発明は、少なくとも約3,000ppmの量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する少なくとも1つの内部層と、前記少なくとも1つの内部層に含有されるPHMBまたはPHMB誘導体の量未満のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する第1の外層と、を含む多層創傷被覆材を提供することが可能である。
【0031】
あるいは、本発明に従う創傷被覆材は、少なくとも約30,000ppmの量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する少なくとも1つの内部層と、少なくとも10,000ppmの量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する第1の外層と、少なくとも10,000ppmの量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する第2の外層と、を含む多層創傷被覆剤を含むことが可能である。
【0032】
本発明のさらなる代替の任意の側面に従う創傷被覆剤は、少なくとも1つの内部層と、少なくとも1つの外部層とを含む多層創傷被覆材であってもよく、前記内部層および外部層のうちの少なくとも1つは、PHMBまたはPHMB誘導体を含有し、他の層は、キレート剤を含む。
【0033】
また、本発明によると、少なくとも1つの内部層と、少なくとも1つの外部層とを含む多層創傷被覆材形態の創傷被覆材が提供可能であり、前記内部層および外部層のうちの少なくとも1つは、PHMBもしくはPHMB誘導体、亜鉛もしくは亜鉛含有剤、またはその両方を含有する。
【0034】
本発明の別の代替側面に従い形成される創傷被覆材は、織布、不織布、発泡体、ゲル、膜、またはそれらの混合を含む少なくとも1つの内部層であって、PHMBまたはPHMB誘導体と亜鉛または亜鉛含有化合物とのうちの少なくとも1つを含有する少なくとも1つの内部層と、アルギン酸カルシウムと、PHMBまたはPHMB誘導体と、亜鉛含有剤とを含む少なくとも1つの外部層と、を含む多層創傷被覆材を含むことが可能である。
【0035】
また、本発明は、抗菌剤を含有する少なくとも1つの内部層と、細胞シグナル伝達剤を含有する少なくとも1つの外部層と、を含む多層創傷被覆材も考慮する。
【0036】
さらに別の代替構成に従い形成される創傷被覆剤は、少なくとも約10,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含有するセルロースまたはセルロースベースの材料の層を含む創傷被覆剤を含むことが可能である。
【0037】
「含有している」または「含有する」は、1つ以上の層自体および/またはその層を作製する材料が、そこに適用されるその他の材料/薬剤に含浸される、および/またはその材料/薬剤の被覆/処理を有することを意味するように広義に解釈される。材料/薬剤は、被覆/処理を、層または層を形成する材料の全部または一部に適用してもよい。最後に、本用語は、材料/材料に適用する薬剤の状態(例えば、固体、液体、ガス、プラズマ等)に関わらず、含浸および/または被覆/処理に関する全ての方法または技術を包含する。添加材料/薬剤は、製造中またはその後に適用可能である(例えば、1つ以上の層を創傷部位に適用する前に、使用者/消費者によって)。また、本用語は、その他の物質または材料の存在を排除せず、この点においては、用語の「含む」と同等であるように解釈されるべきである。
【0038】
本明細書で使用する際、「PHMB」は、ポリヘキサメチレンビクアナイドを言い、また、「PHMB誘導体」は、陽イオンであり、細菌の壁および膜から2価陽イオンを移動させて、脂質2重層の破壊をもたらすポリマービグアニドを言う。PHMB誘導体は、ポリエチレンヘキサメチレンビグアニド(PEHMB)グルコン酸クロロヘキシジン、生分解性PHMB、およびその他の種類のビグアニド系抗菌剤を含むがそれだけに限定されない。
【0039】
本明細書で使用する際、「内部層」は、皮膚の表面または創傷床に直接適用されないように意図される被覆材内の位置を言う。本明細書で使用する際、「外部層」は、(i)皮膚の表面または創傷床に接触するように構成される表面と、内部層に接触する反対表面とを有する位置、あるいは(ii)皮膚の表面または創傷床からみて外方に向き、かつ外部環境に露出する表面と、内部層または被覆材の表面に接触する反対表面とを有する位置を言う。
【0040】
本明細書で使用する際、「100万分の1」または「ppm」は、被覆材に含有される薬剤または物質の量を言い、被覆材料から薬剤または物質を抽出し、被覆材料の乾燥重量に対する抽出された材料の重さを測定することによって決定される。例えば、抽出は、薬剤または物質が充填されている被覆材を0.9重量%のNaCl水(等張食塩水)あるいはIM酢酸に約56°Cの温度で一晩浸すことによって実行可能である。その結果生じた溶液における薬剤または物質は、UV分光光度計またはHPLCによって特定される。本値は、標準的な希釈曲線に対し、生じたピークをプロットすることによって定量化される。その結果生じる薬剤または物質の充填レベルは、「ppm」ベースで計算され得る。
【0041】
本明細書で使用する際、「微生物由来」は、米国特許出願公開第2004/0028722号、2004/0142019号、および2005/0019380号の教示と一致するように形成され、かつ植物由来のセルロースとは区別されるセルロースまたはセルロースベースの材料を言う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下の説明を分かり易くするために、図1〜2を参照してもよい。本発明の原理に従い形成される創傷被覆材10は、一般的に、1つ以上の分離層(例えば、20、30、40)から形成可能である。多数の層から形成される場合、被覆材10は、少なくとも1つの内部層30ならびに1つ以上の外部層20、40を含む。外部層は、装着者の皮膚の表面または創傷床に接触するように構成される少なくとも1つの表面20aと、内部層に接触する反対表面20b、あるいは皮膚の表面または創傷床から見て外方を向き、かつ周囲環境に露出される少なくとも1つの表面40aと、内部層に接触する反対表面40bによって特徴付けられる。内部層30は、皮膚表面または創傷床と接触する表面を含まないか、あるいは外部環境に露出し、かつ内部層にも接触する面を含まない。
【0043】
図示される実施形態は、1つの内部層30と、2つの外部層20、40とを含むが、本発明は、このような構造に限定されないことを理解されたい。任意の適切な数の層が存在してもよい。特定の例示的な実施形態によると、被覆材10は、単一層の形態であることが可能である。あるいは、被覆材10は、2つの層のみを有することが可能である。さらなる代替構造によると、被覆材10は、3つを上回る層を有することが可能である。例えば、被覆材は、4、5、6、7、8つ、またはそれを上回る層を有することが可能である。
【0044】
本発明によると、本明細書で特定される抗菌剤ならびに/もしくはその他の成分または薬剤は、被覆材の種々の内部層および/または外部層に、任意の適切な方法で添加可能である。例えば、薬剤は、被覆材層上に噴霧可能であり、あるいは被覆材層は、薬剤を含有する溶液に浸すまたは浸漬してから乾燥させることが可能である。任意により、薬剤は、被覆材の種々の内部層および/または外部層と混合して、そこから放出可能にすることが可能である(例えば、層から創傷床に向けて、そして創傷床中に移動するように)。例えば、被覆材は、既定量の等張食塩水(例えば、0.9%Na)またはクエン酸ナトリウムで湿らしてから、抗菌剤と混合可能であり、この抗菌剤は、塩性またはクエン酸塩培地に含有可能でるか、あるいはそこに連続的に添加可能である。
【0045】
さらに、被覆材の任意の吸収性により、微生物は、被覆材の層の中に吸収され、抗菌剤および/または被覆材に含まれるその他の薬剤によって殺菌され、被覆材を通過することを防止される。従って、有意な量の薬剤を被覆材から出ないように、薬剤を被覆材材料と組み合わせることは有利であり得る。例えば、被覆材は、特定のpHレベル(例えば、pH=7±0.4)で硬化され得る。薬剤は、被覆材のpHが約5以下に減少する場合にのみ大量に放出され、このpHは、創傷からの浸出液に関連する典型的なpHではない。
【0046】
内部層30は、実質的に親水性であってもよく、一方、1つ以上の外層20、40は、実質的に疎水性であってもよい。用語の「実質的に親水性」は、内層材料の機能を記述する。また、この用語は、「実質的に疎水性」の外層材料の機能と内層材料とを区別し、この「実質的に疎水性」の外層材料は、抗菌性障壁特性を提供し、被覆材から離れる内部層30からの抗菌剤の放出を軽減または低減する。また、内層内における抗菌剤の保持力により、微生物負荷、つまり使用中の被覆材内の細胞の成長および数が低下する。被覆材材料の種々の層は、適切な既知の方法に従い、所望の親水性または疎水性を含むことが可能である。例示的な構造および技術は、米国特許公報番号第2004/0082925号に記載されており、参照することによって本明細書にその全体の内容が組み込まれる。
【0047】
1つ以上の層のうちの各々は、任意の適切な材料および/または構造から形成可能である。例えば、1つ以上の層は、繊維状、膜状、ゲル状、またはそれらの組み合わせである材料から形成可能である。繊維状材料に関し、織または不織材料であることが可能である。繊維は、天然繊維、合成繊維、およびその2つの組み合わせから選択可能である。非限定的な例として、本発明の1つ以上の層の形成に利用可能である適切な材料には、セルロース、非微生物由来のセルロース、酢酸セルロース、酸化セルロース、アルギン酸塩、綿、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、レーヨン、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ヒドロゲル、親水コロイド、およびそれらの組み合わせが含まれてもよい。
【0048】
任意の一実施形態によると、少なくとも1つの外部層20、40は、溶解性または吸収性であるように構成可能である。従って、被覆材の1つ以上の層は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、コラーゲン、キチン、ケラチン、アルギン酸塩、グァーガム、ローカストビーンガム、あるいはそれらの誘導体または混合のような生体吸収性物質を含んでもよい。また、層は、例えば、酸化セルロース、キトサン、または架橋ヒアルロン酸ゲルなどの天然物質を化学的に改質することによって形成される生体吸収性ポリマーも含んでもよい。
【0049】
本発明の創傷被覆材は、1つ以上の抗菌剤を含んでもよい。多数の代替抗菌剤が可能である。適切な抗菌剤には、クロルヘキシジン、クロルヘキダイン塩、トリクロサン、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシンまたはトブラマイシンTM)、リファンピシン、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン、ペニシリン、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ムピロシン、メトロニダゾール、セクロピン、プロテグリン、バクテリオシン、デフェンシン、ニトロフラゾン、マフェナイド、アシクロビル、バンコマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、スルホンアミド、ノルフロキサシン、ペフロキサシン、ナリジクス酸、シュウ酸、エノキサシン酸、シプロフロキサシン、ビグアニド(例えば、PHMB)、それらの組み合わせ、およびその同等物が含まれるがそれだけに限定されない。特定の実施形態において、抗菌剤は、ポリヘキサメチレンビクアナイド(PHMB)および/またはその誘導体を含む。抗菌剤は、任意の適切なレベルで被覆材に存在可能であり、このレベルにより、適切な抗菌効果がもたらされる。例えば、適切な濃度レベルには、2,000ppm、2,500ppm、3,000ppm、3,500ppm、5,000ppm、10,000ppm、13,000ppm、30,000ppm、ならびにその組み合わせおよび/または勾配を含むがそれだけに限定されない。任意の一実施形態によると、被覆材は、上述のいずれかの量で存在するPHMBまたはPHMB誘導体を含む。
【0050】
本発明の創傷被覆材は、追加の成分として、あるいは上記のいずれかの全体的または部分的な代用として、キレート剤をさらに含んでもよい。任意の適切なキレート剤を利用してもよい。非限定的な例として、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)などのキレート剤、例えば、EDTA2ナトリウムまたはEDTA4ナトリウムなどのEDTAの変形、それらの組み合わせ、およびその同等物が考えられる。本発明により、クエン酸塩およびヘパリンなどのその他のキレート剤も考えられる。キレート剤は、細菌およびその他の微生物の、別の抗菌剤の殺菌効果に対する感受性を増大させることが可能であるため、感染の抑制および/または防止においてさらなる効果が創傷被覆材に提供される。一般的に、キレート剤は、有利には、(i)抗血栓性であり、(ii)酸性環境においてより活性であり、(iii)その他の抗菌剤の効果に対して微生物を再感作し、(iv)創傷清拭効果を提供し、(v)生体膜の形成/維持に必要なイオン吸引力を除去する。本発明の本側面は、有利には、特に、高濃度で皮膚に適用される場合に、PHMBなどの特定の抗菌剤の潜在的刺激性作用によりもたらされる問題を回避することができる。キレート剤は、任意の適切な濃度で存在可能である。例えば、キレート剤は、約0.05から約1.0重量%の量で存在可能である。
【0051】
追加の成分として、あるいは上述の抗菌剤および/またはキレート剤のうちの1つ以上の全体的または部分的な代用として、本発明の原理に従い形成される創傷被覆材は、1つ以上の追加の抗菌剤を含んでもよい。非限定的な例として、適切な追加の抗菌剤には、ポリエチレンヘキサメチレンビグアニド(PEHMB)、銀、銅、およびそれらの組み合わせが含まれるがそれだけに限定されない。1つ以上の追加の抗菌剤は、任意の適切な濃度レベルで存在可能である。例えば、被覆材は、追加の抗菌剤の銀を1から3重量%含有可能である。
【0052】
追加の成分として、あるいは上述の抗菌剤、キレート剤、および/または追加の抗菌剤のうちの1つ以上の全体的または部分的な代用として、被覆材は、亜鉛含有剤をさらに含んでもよい。適切な亜鉛含有剤には、亜鉛、アルギン酸塩亜鉛、亜鉛バシトラシン、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、およびそれらの組み合わせを含むがそれだけに限定されない。本発明の任意の一実施形態によると、亜鉛含有剤は、酢酸亜鉛、酪酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グリセリン酸亜鉛、グルコール酸亜鉛、ギ酸亜鉛、乳酸亜鉛、ピコリネート酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、酒石酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、およびそれらの組み合わせが含まれる。亜鉛含有剤は、創傷治癒の速度を改善することが可能であるため、創傷被覆材に含有される抗菌剤のレベルを高める必要なく、感染の抑制および/または防止においてさらなる効果が創傷被覆材に提供される。アルギン酸塩との組み合わせにより吸湿性がもたらされ、アルギン酸塩は、湿潤創傷治癒環境の促進に役立つ。本発明の本側面は、有利には、特に、高濃度で皮膚に適用される場合に、PHMBなどの特定の抗菌剤の刺激性作用によりもたらされる問題を回避する。
【0053】
追加の成分として、あるいは上述の抗菌剤、キレート剤、追加の抗菌剤、および/または亜鉛含有剤のうちの1つ以上の全体的または部分的な代用として、被覆材は、細胞シグナル伝達剤をさらに含んでもよい。細胞シグナル伝達剤は、シグナルの方向に細胞成長または運動あるいは受容作用を促進する電気的、化学的、または生物学的手段によって、細胞と通信するための機構を提供する。このシグナルは、細菌性細胞の防衛機構を非活性化し得る。本構造によると、細菌成長は、好適な方法(つまり、創傷床から離れて)で促進され、創傷被覆材の効果の増加がもたらされる。
【0054】
当然ながら、例示的な創傷被覆材は、例えば、治療剤、感覚刺激剤、成長因子、鎮痛剤、組織足場剤、止血剤、タンパク質阻害剤、コラーゲン、酵素、抗血栓症剤、麻酔剤、抗炎症剤、抗癌剤、血管拡張剤、創傷治癒剤、血管形成剤、血管静止剤(angiostatic agent)、免疫増強剤、皮膚保護剤、方向性殺菌増殖誘発剤、殺菌剤または静菌剤、微生物の代謝作用および/または生物膜形成の不安定化または破壊のための電子伝達剤、それらの組み合わせ、ならびにその同等物などの、追加の活性成分または活性薬剤を含むことが可能である。これらの薬剤は、約0.05から約1.0重量%などの任意の適切な量で被覆材に存在可能である。活性薬剤の放出は、例えば、電界または電気信号、温度、時間、圧力、湿気、および光(例えば、紫外線)、エネルギー超音波、超音波処理、それらの組み合わせ、およびその同等物などの多種多様の手段によって引き起こされてもよい。非限定的な例として、追加の剤として銀またはその化合物を含み得る。
【0055】
本発明によると、上述の成分または薬剤のいずれもが、従来の方法で、創傷被覆材の1つ以上の層を形成する材料と直接組み合わされてもよい。あるいは、上述の薬剤のうちのいずれもが送達剤に含有され、その送達剤により後に放出されてもよい。任意の適切な送達剤を利用することができる。非限定的な例として、適切な送達剤には、ヒドロゲル、リン酸塩ガラス、粉末状キャリア、または膜キャリアが含まれる。
【0056】
任意により、抗菌剤、キレート剤、追加の抗菌剤、亜鉛含有剤、細胞シグナル伝達剤、および/または上述のその他の薬剤を、創傷被覆材の1つ以上の層に印刷あるいは塗布することによって、被覆材上および/または被覆材内にこれらの薬剤の1つ以上について、所望の濃度または濃度勾配を提供することができる。例えば、抗菌効果および創傷治癒効果を最適化するために、創傷部位に対応する特定のパターンで、薬剤の1つ以上を別々にまたは組み合わせて適用することができる。
【0057】
本発明に従い形成される創傷被覆材は、多数の構成で提供可能であり、多数の異なる組み合わせの特徴を有する。以下の説明において、上述の薬剤または添加剤のうちのいずれもが、別段明記されない限り、後述の実例のための構成に含めることが可能である。
【0058】
本発明の可能な一構成によると、少なくとも1つの抗菌剤および少なくとも1つのキレート剤を含有する1つ以上の層を含む創傷被覆材が提供される。任意の一変形例によると、創傷被覆材の全層は、抗菌剤およびキレート剤の組み合わせを含有してもよい。抗菌剤は、約2500から約30,000ppmの量で存在可能である。キレート剤は、約1,000から約10,000ppmの量で存在可能である。
【0059】
上記多層構成の別の代替変形例によると、抗菌剤およびキレート剤は、創傷被覆材の異なる層に別々に含有可能である。従って、例えば、創傷被覆材は、少なくとも1つの内部層(例えば、30)と、少なくとも1つの外部層(例えば、20、40)により形成可能である。抗菌剤は、皮膚または創傷と直接接触しない内部層30において含有可能であり、また、キレート剤は、1つ以上の外部層20、40に提供可能である。一実施形態によると、内部層30は、約30,000ppmのPHMBまたはその誘導体を含有し、1つ以上の外部層20、40は、約5,000ppmのEDTAを含有する。さらなる任意の実施形態によると、内部層30は、そこからの有意な量の抗菌剤の漏出を防止するように構成可能であり、一方、外部層のうちの少なくとも1つは、皮膚の表面または創傷床にキレート材を移動可能にするように構成可能である。
【0060】
上記の任意の変形例として、キレート剤は、内部層30に提供可能であり、抗菌剤は、外部層20、40のうちの1つ以上に提供可能である。
【0061】
さらなる代替構造によると、創傷被覆材10は、複数の異なる層および性能を強化する薬剤を含有する材料から形成される。上述の種類の細胞シグナル伝達薬剤は、創傷床と、本明細書で特定される抗菌剤のうちの1つ以上で処理される別の被覆材層との間の被覆材に提供可能である。例えば、細胞シグナル伝達剤を含有する外部層20が提供可能であり、また、PHMBまたはその誘導体を含む1つ以上の抗菌剤を含有する内部層30が提供可能である。本構造によると、細菌は、シグナル伝達機構に到達するためには抗菌剤を横切る必要があり、細菌成長は、好適な方法(つまり、創傷床から離れて)で促進され、創傷被覆材の効果の増加がもたらされる。
【0062】
本発明の可能な一代替構成によると、少なくとも1つの抗菌剤および/または少なくとも1つの亜鉛含有剤を含有する1つ以上の層を含む創傷被覆材10が、提供可能である。
【0063】
任意の一変形例によると、創傷被覆材の全層は、抗菌剤および亜鉛含有剤の組み合わせを含有してもよい。
【0064】
上記構成の別の代替変形例によると、創傷被覆材は複数の層を含み、抗菌剤および亜鉛含有剤が、創傷被覆材の異なる層に別々に含有可能である。本構成の可能な一例として、層のうちの少なくとも1つは、抗菌剤および亜鉛含有剤の両方を含有するが、その他の層は、抗菌剤または亜鉛含有剤を別々に含有する。
【0065】
例えば、皮膚または創傷と直接接触しない内部層30は、PHMBまたはその誘導体を含有し、亜鉛含有剤は、外層20、40のうちの1つ以上に提供可能である。
【0066】
代替構造によると、少なくとも1つの内部層30および少なくとも1つの外部層20、40は、各々がPHMBまたはその誘導体ならびに亜鉛含有剤の組み合わせを含有する。層は、異なる濃度のPHMBまたはその誘導体ならびに/もしくは亜鉛含有剤を有してもよい。一実施形態によると、層30は、約30,000ppmのPHMBを含有し、層20、40は、各々が約0.1から約3.0重量%のアルギン酸塩亜鉛を含有する。
【0067】
さらなる代替構造によると、少なくとも1つの内部層30は、PHMBまたはその誘導体ならびに亜鉛の組み合わせを含有し、また、少なくとも1つの外部層20、40は、亜鉛含有剤を含有することが可能である。
【0068】
さらに別の代替構成によると、少なくとも1つの内部層30は、PHMBまたはその誘導体ならびに亜鉛含有剤の組み合わせを含有し、少なくとも1つの外部層20、40は、アルギン酸カルシウム、PHMBまたはその誘導体、ならびに亜鉛含有剤の組み合わせを含有する。
【0069】
また、本発明は、異なる濃度の抗菌剤を含む層を有する多層被覆材の構造も対象とする。
【0070】
任意の一構成によると、被覆材は、異なる量の抗菌剤をその両方が含有する少なくとも1つの内部層および少なくとも1つの外部層が提供されるように構成可能である。具体的には、少なくとも1つの内部層は、比較的高濃度の抗菌剤を含有し、また、外部層のうちの少なくとも1つは、被覆材に含有される。
【0071】
任意の一実施形態によると、被覆材は、少なくとも3,000ppmの量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する少なくとも1つの内部層30と、3,000ppm未満の量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する少なくとも1つの外部層とを含む。本構造の種々の任意の変形例によると、少なくとも1つの内部層30は、少なくとも3,500ppm、少なくとも5,000ppm、少なくとも10,000ppm、少なくとも13,000ppm、または少なくとも30,000ppmの量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有可能であり、一方、被覆材の少なくとも1つの外部層20、40は、少なくとも1つの内部層30の含有量未満のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する。
【0072】
上述の構造の任意でかつより具体的な一実施形態によると、少なくとも約13,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含有する少なくとも1つの内部層30と、少なくとも約2,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含有する少なくとも1つの外部層20、40とを有する被覆材が提供可能である。本実施形態の一変形例によると、被覆材は、2つの外部層20、40を含み、それぞれが少なくとも約2,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含有する。
【0073】
上述の構造の任意でかつより具体的な別の実施形態によると、少なくとも約30,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含有する少なくとも1つの内部層30と、少なくとも約10,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含有する少なくとも1つの外部層20、40とを有する被覆材が提供可能である。本実施形態の一変形例によると、被覆材は、2つの外部層20、40を含み、それぞれが少なくとも約10,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含有する。
【0074】
任意の一実施形態によると、少なくとも1つの内部層30は、有意な量のPHMBまたはPHMB誘導体が、被覆材の隣接層および/または皮膚または創傷床へ溶出することを防止するように構成可能である。上記のさらなる任意の実施形態によると、少なくとも1つの外部層20、40は、PHMBまたはPHMB誘導体が皮膚または創傷床に溶出可能になるように構成可能である。
【0075】
また、本発明は、PHMBまたはPHMB誘導体を含有する、セルロースまたはセルロースベースの材料から主に形成される層を含む創傷被覆材を考慮する。セルロースまたはセルロースベースの被覆材料は、少なくとも約50%のセルロース材料を含むことが可能である。任意の一実施形態によると、被覆材料は100%のセルロース材料を含む。セルロース材料は、任意により、レーヨンを含んでもよい。任意の一実施形態によると、被覆材は、少なくとも5000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含有するセルロースまたはセルロースベースの材料の層を含むことが可能である。本構造の特定の任意の変形例によると、セルロースまたはセルロースベースの材料の層は、少なくとも約10,000ppm、少なくとも約13,000ppm、または少なくとも約30,000ppmの量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有可能である。本実施形態のさらなる任意の変形例によると、セルロースまたはセルロースベースの材料は、微生物由来ではない。本構造のさらに別の任意の変形例によると、被覆材は、そこに含有されるいかなる追加の層も含まずに、単一層から形成可能である。
【0076】
本明細書において前述される成分、構成物質、反応状態などの量を表現する全ての数字は、全ての事例において、用語の「約」によって修正されることを理解されたい。記載の数値域およびパラメータにも関わらず、本明細書に提示される広範囲におよぶ主題は近似であり、記載の数値は可能な限り正確に示されている。しかしながら、いかなる数値も、本質的に、それぞれの測定技術で認識される標準的な偏差により必然的にもたらされる一定の誤差を含んでもよい。
【0077】
本発明について、その好適な実施形態に関連して説明したが、特に説明されていない追加、削除、変形、および置換を、添付の請求項に規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく加えてもよいことを、当業者は理解するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、本発明の創傷被覆材の例示的な実施形態に関する概略図である。
【図2】図2は、図1の線2−2に沿った、本発明の創傷被覆材の代替実施形態を表すことが可能である概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約3,000ppmの量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する少なくとも1つの内部層と、
該少なくとも1つの内部層に含有されるPHMBまたはPHMB誘導体の量未満のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する第1の外層と
を含む、多層創傷被覆材。
【請求項2】
前記少なくとも1つの内部層は、少なくとも約3,500ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含む、請求項1に記載の被覆材。
【請求項3】
前記少なくとも1つの内部層は、少なくとも約5,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含む、請求項2に記載の被覆材。
【請求項4】
前記少なくとも1つの内部層は、少なくとも約10,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含む、請求項3に記載の被覆材。
【請求項5】
前記少なくとも1つの内部層は、少なくとも約13,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含む、請求項4に記載の被覆材。
【請求項6】
前記少なくとも1つの内部層は、少なくとも約30,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含む、請求項5に記載の被覆材。
【請求項7】
前記少なくとも1つの内部層に含有されるPHMBまたはPHMB誘導体の量未満のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する第2の外層を、
さらに含む、請求項1に記載の被覆材。
【請求項8】
前記少なくとも1つの内部層は、有意な量のPHMBまたはPHMB誘導体が前記創傷被覆材の隣接層に溶出することを防止するように構成される、請求項1に記載の被覆材。
【請求項9】
前記第1および第2の外部層は、創傷面への適用時に、PHMBまたはPHMB誘導体が創傷床に溶出するように構成される、請求項8に記載の被覆材。
【請求項10】
第1および第2の外層のうちの少なくとも1つは、溶解性または吸収性である、請求項7に記載の被覆材。
【請求項11】
前記少なくとも1つの内部層は、少なくとも約13,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含み、
前記第1および第2の外層は、各々が少なくとも約2,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含有する、請求項7に記載の被覆材。
【請求項12】
前記内部層および第1および第2の外部層のうちの1つ以上は、綿、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、レーヨン、ポリウレタン、アクリル、セルロース、酢酸セルロース、アルギン酸塩、およびそれらの組み合わせ、を含む材料から形成される、請求項1に記載の被覆材。
【請求項13】
治療剤、感覚刺激剤、成長因子、鎮痛剤、組織足場剤、止血剤、タンパク質阻害剤、コラーゲン、酵素、抗血栓症剤、麻酔剤、抗炎症剤、抗癌剤、血管拡張剤、創傷治癒剤、血管形成剤、血管静止剤、免疫増強剤、皮膚保護剤、方向性殺菌増殖誘発剤、殺菌剤または静菌剤、微生物の代謝作用および/または生物膜形成の不安定化または破壊のための電子伝達剤、それらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の被覆材。
【請求項14】
前記少なくとも1つの内部層は、少なくとも約30,000ppmの量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有し、
前記第1の外層は、少なくとも10,000ppmの量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有し、
前記第2の外層は、少なくとも10,000ppmの量のPHMBまたはPHMB誘導体を含有する、
請求項1に記載の被覆材。
【請求項15】
治療剤、感覚刺激剤、成長因子、鎮痛剤、組織足場剤、止血剤、タンパク質阻害剤、コラーゲン、酵素、抗血栓症剤、麻酔剤、抗炎症剤、抗癌剤、血管拡張剤、創傷治癒剤、血管形成剤、血管静止剤、免疫増強剤、皮膚保護剤、方向性殺菌増殖誘発剤、殺菌剤または静菌剤、微生物の代謝作用および/または生物膜形成の不安定化または破壊のための電子伝達剤、それらの組み合わせをさらに含む、請求項14に記載の被覆材。
【請求項16】
前記内部層および外部層のうちの少なくとも1つは、PHMBまたはPHMB誘導体を含み、他の層は、キレート剤を含む、請求項1に記載の被覆材。
【請求項17】
前記内部層および外部層のうちの1つ以上は、綿、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、レーヨン、ポリウレタン、アクリル、セルロース、酢酸セルロース、アルギン酸塩、ヒドロゲル、親水コロイド、およびそれらの組み合わせ、を含む材料から形成される、請求項16に記載の被覆材。
【請求項18】
前記少なくとも1つの内部層は、PHMBまたはPHMB誘導体を含み、前記少なくとも1つの外部層は、キレート剤を含む、請求項16に記載の被覆材。
【請求項19】
前記少なくとも1つの内部層は、キレート剤を含み、前記少なくとも1つの外部層は、PHMBまたはPHMB誘導体を含む、請求項16に記載の被覆材。
【請求項20】
前記キレート剤は、EDTA、ヘパリン、またはクエン酸塩を含む、請求項16に記載の被覆材。
【請求項21】
前記キレート剤は、ヒドロゲル、でんぷん膜またはでんぷん粉末、あるいは溶解性ビードによって放出可能に含有される、請求項20に記載の被覆材。
【請求項22】
前記PHMBまたはPHMB誘導体は、約2,500から約30,000ppmの量で存在し、前記キレート剤は、約1,000から約10,000ppmの量で存在する、請求項16に記載の被覆材。
【請求項23】
治療剤、感覚刺激剤、成長因子、痛剤、組織足場剤、止血剤、タンパク質阻害剤、コラーゲン、酵素、抗血栓症剤、麻酔剤、抗炎症剤、抗癌剤、血管拡張剤、創傷治癒剤、血管形成剤、血管静止剤、免疫増強剤、皮膚保護剤、方向性殺菌増殖誘発剤、殺菌剤または静菌剤、微生物の代謝作用および/または生物膜形成の不安定化または破壊のための電子伝達剤、それらの組み合わせをさらに含む、請求項16に記載の被覆材。
【請求項24】
前記内部層および外部層のうちの少なくとも1つは、PHMBまたはPHMB誘導体を含み、他の層は、亜鉛含有剤を含む、請求項1に記載の被覆材。
【請求項25】
前記内部層および外部層のうちの1つ以上は、綿、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、レーヨン、ポリウレタン、アクリル、セルロース、酢酸セルロース、アルギン酸塩、ヒドロゲル、親水コロイド、およびそれらの組み合わせ、を含む材料から形成される、請求項24に記載の被覆材。
【請求項26】
前記少なくとも1つの内部層は、PHMBまたはPHMB誘導体を含み、前記少なくとも1つの外部層は、前記亜鉛含有剤を含む、請求項24に記載の被覆材。
【請求項27】
前記少なくとも1つの内部層および前記少なくとも1つの外部層の両方は、PHMBまたはPHMB誘導体と前記亜鉛含有剤とを含む、請求項24に記載の被覆材。
【請求項28】
前記少なくとも1つの内部層は、少なくとも2,500から約30,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体と、約1.0〜3.0重量%の前記亜鉛含有剤とを含み、
前記少なくとも1つの外部層は、少なくとも約1,500から約3,500ppmのPHMBまたはPHMB誘導体と、約0.1から1.0重量%の該亜鉛含有剤とを含む、
請求項27に記載の被覆材。
【請求項29】
前記少なくとも1つの内部層は、少なくとも約10,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体と、少なくとも約30,000ppmの前記亜鉛含有剤とを含み、
前記少なくとも1つの外部層は、少なくとも約20,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体と、少なくとも約40,000ppmの該亜鉛含有剤とを含む、
請求項27に記載の被覆材。
【請求項30】
前記少なくとも1つの内部層は、少なくとも約50,000ppmの亜鉛含有剤を含み、
前記少なくとも1つの外部層は、少なくとも約60,000ppmの亜鉛含有剤を含む、
請求項27に記載の被覆材。
【請求項31】
前記少なくとも1つの内部層は、PHMBまたはPHMB誘導体と亜鉛含有剤とを含み、
前記少なくとも1つの外部層は、亜鉛含有剤を含む、
請求項24に記載の被覆材。
【請求項32】
前記亜鉛含有剤は、亜鉛、アルギン酸塩亜鉛、亜鉛バシトラシン、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、またはアスパラギン酸亜鉛を含む、請求項24に記載の被覆材。
【請求項33】
前記PHMBまたはPHMB誘導体と前記亜鉛含有剤とのうちの少なくとも1つは、前記内部層および外部層のうちの1つ以上の層の上に印刷される、請求項24に記載の被覆材。
【請求項34】
治療剤、感覚刺激剤、成長因子、鎮痛剤、組織足場剤、止血剤、タンパク質阻害剤、コラーゲン、酵素、抗血栓症剤、麻酔剤、抗炎症剤、抗癌剤、血管拡張剤、創傷治癒剤、血管形成剤、血管静止剤、免疫増強剤、皮膚保護剤、方向性殺菌増殖誘発剤、殺菌剤または静菌剤、微生物の代謝作用および/または生物膜形成の不安定化または破壊のための電子伝達剤、それらの組み合わせをさらに含む、請求項24に記載の被覆材。
【請求項35】
前記少なくとも1つの内部層は、織布、不織布、発泡体、ゲル、膜、またはそれらの混合を含み、
該少なくとも1つの内部層は、PHMBまたはPHMB誘導体と亜鉛含有剤とのうちの少なくとも1つをさらに含有し、
前記少なくとも1つの外部層は、アルギン酸カルシウムと、PHMBまたはPHMB誘導体と、亜鉛含有剤とを含有する、
請求項1に記載の被覆材。
【請求項36】
前記少なくとも1つの外部層は、少なくとも約1,500から約3,500ppmのPHMBまたはPHMB誘導体と少なくとも約0.1から1.0重量%の亜鉛含有剤とを含む、請求項35に記載の被覆材。
【請求項37】
治療剤、感覚刺激剤、成長因子、鎮痛剤、組織足場剤、止血剤、タンパク質阻害剤、コラーゲン、酵素、抗血栓症剤、麻酔剤、抗炎症剤、抗癌剤、血管拡張剤、創傷治癒剤、血管形成剤、血管静止剤、免疫増強剤、皮膚保護剤、方向性殺菌増殖誘発剤、殺菌剤または静菌剤、微生物の代謝作用および/または生物膜形成の不安定化または破壊のための電子伝達剤、それらの組み合わせをさらに含む、請求項35に記載の被覆材。
【請求項38】
細胞シグナル伝達剤をさらに含む、請求項1に記載の被覆材。
【請求項39】
前記少なくとも1つの内部層は、少なくとも約13,000ppmの抗菌剤を含み、
前記少なくとも1つの外部層は、少なくとも約2,000ppmの細胞シグナル伝達剤を含む、
請求項38に記載の被覆材。
【請求項40】
少なくとも約10,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含有するセルロースまたはセルロースベースの材料の層を含む、創傷被覆材。
【請求項41】
前記セルロースまたはセルロースベースの材料は、少なくとも約13,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含む、請求項40に記載の被覆材。
【請求項42】
前記セルロースまたはセルロースベースの材料は、少なくとも約30,000ppmのPHMBまたはPHMB誘導体を含む、請求項41に記載の被覆材。
【請求項43】
前記セルロースまたはセルロースベースの材料は、微生物由来ではない、請求項41に記載の被覆材。
【請求項44】
前記セルロースベースの材料は、酸化セルロースを含む、請求項41に記載の被覆材。
【請求項45】
治療剤、感覚刺激剤、成長因子、鎮痛剤、組織足場剤、止血剤、タンパク質阻害剤、コラーゲン、酵素、抗血栓症剤、麻酔剤、抗炎症剤、抗癌剤、血管拡張剤、創傷治癒剤、血管形成剤、血管静止剤、免疫増強剤、皮膚保護剤、方向性殺菌増殖誘発剤、殺菌剤または静菌剤、微生物の代謝作用および/または生物膜形成の不安定化または破壊のための電子伝達剤、それらの組み合わせをさらに含む、請求項41に記載の被覆材。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−533143(P2009−533143A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505420(P2009−505420)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/008772
【国際公開番号】WO2007/120617
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】