説明

多層吸着剤

原子、カチオン、アニオン、有機分子、および/または病原体のような“ゲスト化学種”の連続層を基質または多数の異なる基質に結合するための方法、製造物および装置が開示される。可能性のある基質は多孔性物質を含み、マクロ、ミクロおよびナノ多孔性物質はすべて候補である。基質の吸着容量は2機能性または多機能性配位子(L)の層が吸着した原子またはイオンまたは分子または病原体に配位し、それはついで吸着した原子またはイオンまたは分子または病原体の第2層に配位することによって拡大される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に吸着剤による水の浄化に関する;より明確には選択された化学種の吸着を高めるために基質に添加でき、吸着剤全体の容量を増加するために繰り返すことができる有機被膜に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な供給源からの環境汚染は、特に高価なレメディエーション技術の利用が限られている発展途上国において、深刻かつ継続的な問題である。砒素、鉛、およびその他の重金属は飲料水から除去することが望まれるありふれた汚染物質である。多くの研究的努力が急性金属中毒の病状を治療するためのインビボのキレート剤の開発へ向けられてきた;しかしながらこれらの吸着剤はPb(II)あるいはAs(III)のような金属がそれが好む配位幾何学的配列をとることを許さず、そのことは選択性の欠如に寄与しているかもしれない。
【0003】
ディスクリートな超分子集合体の可逆的配位結合相互作用を利用した自己組織化は精巧かつ厳密な構造の利用を提供し、それは非常に多くの関心を引き起こした。遷移金属は配位駆動のディスクリート構造の設計に最も広く使われてきた。対照的に、超分子構造の構成のための配向ユニットとして主要族元素を用いることに焦点を合わせた研究は多くない。最近の研究はAs(III)は適切に設計された架橋チオラート配位子(L)とともに、As(III)のローンペアと芳香族環(L)間の二次的超分子相互作用によって支えられたディスクリートな二核As構造へと自己組織化できることを示した。これらの二次的結合相互作用(SBIs)は、溶液中で弱い砒素−酸素相互作用が高度に対称性の複合体を支持するナフタレン−イミド配位子とAs(III)の集合体で示されるように多くの形をとることができる。これらのSBIsは同様に標的分析物に対する選択性を授けるように働く。
【0004】
以前の研究はAsIIIおよび他の立体化学的に活性なローンペアをもつ比較的重い主要族元素は固体状態でアレン環との密接な接触を形成できることを示してきた。この魅力ある相互作用を解析するためにAsCl−ベンゼン2量体について密度汎関数理論計算が行われた。これらの研究は砒素−アレン相互作用に対する結合エネルギーの下限は7.4kcalmol−1で、C−As距離が3.2−3.4Åであることを明らかにした。さらに、相互作用の好ましい幾何学的配列は砒素のローンペアをフェニル環に対し68°に向かわせるとはいえ、この構造は2つのC3−対称配列よりもたった0.5kcalmol−1安定なだけである。このことは、この相互作用はかなり強い一方、その幾何学的配列は柔軟であることを示唆する。このローンペア−π相互作用はこの発明の制約の中でより強い結合あるいは特定の標的に対する選択の可能性を導くように働く。
【0005】
レイモンドはここに参考文献として含めるU.S.5,049,280(1)で、溶液中で鉄を結合するための配位子の使用を教示している。配位子の一部は固体物質Qに結合する有機連結グループAを含む。化合物は化合物当たり1個の金属をキレート化あるいは捕捉する。これらの化合物はここでは“単機能性”と呼び、1分子の配位子が1個の標的化学種、レイモンドの場合はFe+3のような金属イオン、に吸着または捕捉する。ここに参考文献として含めるJ. Chem. Soc., Dalton Trans., 1999, 1185(2)で、コールダーとレイモンドは様々な超分子について論じている。最も簡単な多金属クラスターは1つまたはそれ以上の配位子と連結する2つの金属サイトを含む。これらの2個の金属イオンが、Mとして書かれるように、3個の同等なC対称配位子によって連結されるとき、結果として生じる2金属クラスターはもし両方の金属イオンが同じキラリティーをもつなら三重ヘリケートと呼ばれ、1つの例はジヒドロキサミン シデロフォア ロードトルリン酸であり、他の例は参考文献に見出される。カテコールアミドおよびヒドロキサメート配位子は、+3金属イオンとの8面体配位環境をもつこれらのキレートの高い安定性と不安定性のゆえに、超分子複合体における結合ユニットのための優れた選択である。ヒドロキシピリジノンおよびピラゾロン配位子もまた超分子クラスターの合成に有用である。M複合体についてもまた論ぜられそこでは4面体の頂点が4個の金属イオン種に対する相互作用または配位サイトとして働き6個の配位子が4面体のエッジとして働く。これらの配位子化合物はここでは2化学種の場合は“2機能性”、より高次の場合は“多機能性”と呼ぶ。
【0006】
ターナーは、ここに参考文献として含める、“分子容器:設計アプローチと応用”;構造と結合、Vol. 108, 2004, 97(3);の中で、多くの“分子容器”、その中に1またはそれ以上のゲスト化学種を保持できる完全な囲まれた中空の化学種、およびその“ゲストを包むホスト化学種”の共有結合した集合体を形成する能力について論じ、相互作用の三次元的配列の中にそのゲストを結合するホスト化学種の最初の例は1969年の文献で論じられたクリプタンドとして知られる化合物群であり、一般にクリプタンドはアザクラウンエーテルへのジアシル塩素化合物の付加によって合成される、と論じている。ターナーは、図6Aに示すように、キャビタンドのような、ゲストがその中に存在することができる深い椀になぞらえられる他の形の分子について述べている。ターナーは、そこでゲスト化学種が籠状化合物によって囲まれるカルセランドおよびヘミカルセランドについて、この構造を把握するひとつの方法はゲスト化学種を内部に捕らえた蛤貝と同様に、2個のキャビタンドが各キャビタンドの椀の開口部が互いに向き合うように連結していることであると述べている。
【0007】
カステラノは、ここに参考文献として含める、“カリキサレンアリールとスルホニルテトラウレアの水素結合優先によるディスクリートで機能的な集合体と情報ポリマーの形成”、アメリカ化学会誌. 1998, 120, 3657(4);においてウレアの機能をもつカリキサレンおよびそれらがどのようにカプセルをつくるかについて論じている。カステラノは2個のカプセルのダンベル型配列および3個のカプセルの三角形の配列について述べている。前記の4つの参考文献はすべて様々な複雑さをもつ配位子の“ゲスト”化学種に、共有または不安定、結合する能力を示しているが、どの参考文献も2機能性ないし多機能性配位子の図3および6Bに示すような一連の“ゲスト”に結合する能力は教えていない。
【0008】
配位化合物としても知られる金属複合体は、多くの陰性に荷電したイオンまたはローンペアを有する中性分子に囲まれた中央の金属原子またはイオン、一般にはカチオン、からなる構造である。しばしばカウンターイオンが金属複合体イオンを囲み、その結果、化合物は正味の電荷をもたなくなる。金属を囲むイオンまたは分子は配位子とよばれる。配位子は一般に金属に配位共有結合によって結合し、かくしてイオンに配位しているといわれる。配位子あたり1つ以上の配位サイトで金属イオンと結合するプロセスはキレート化とよばれる。したがって複合体を形成するように強く結合する化合物はキレート化剤と呼ばれる(例えばEDTA)。配位数、あるいは金属イオンと配位子の間に形成される結合の数は2から8で変化する。結合の数は大きさ、電荷および金属イオンの電子配置による。ある金属は1より大きい配位数をもつ。配位子の様々な構造配列は配位数の結果である。配位数2は直線状の幾何学的配列に対応し、配位数4は四面体または四角平面の分子幾何学的配列に対応し、配位数6は八面体の幾何学的配列に対応する。水または塩素のような単純な配位子は中央の金属とただ1つの連結を形成しモノデンテートといわれる。モノデンテート型配位子のさらなる例は水酸化物、亜硝酸塩、チオシアン酸塩を含む。ある配位子は同じ金属イオンに対し多数の連結を形成できて、バイデンテート、トリデンテートなどと述べられる。シュウ酸塩およびエチレンジアミン(en)はバイデンテート配位子の例であり、一方、ジエチレントリアミン(dien)はトリデンテート配位子である。EDTAはヘキサデンテートであり、そのことはその多くの複合体の大きな安定性を説明する。ここで用語、配位サイト、誘引サイト、結合サイト、連結サイトおよび相互作用サイトはおおよそ同等に用いられる。
【0009】
被覆あるいは表面修飾ゼオライトについてのこれまでの研究はU.S. 6,080,319 (5)およびU.S. 2004/0108274 (6)に見られ、ともにゼオライトのような多孔性の基質への病原体を含む汚染物質の吸着法を開示している。U.S. 6,838,005 (7)は吸着を目的とした水酸化アルミニウム繊維のナノ多孔性合成基質を教示している。どの例も2機能性または多機能性配位子のような吸着力のある物資の追加の層または被覆を加えることにより基質あるいはフィルターの吸着容量を増加する方法については教示していない。
【0010】
カーボン、ゼオライトおよびダウケミカル社あるいはロームアンドハース社からの合成樹脂を含む従来の吸着剤は、汚染物質に対する容量に限度があり、典型的な荷重容量は条件により、0.01重量%から上は0.5重量%までの範囲にある。一般に汚染した吸着剤はついで有害な埋立地で費用のかかる立地条件で処分される。鉛、水銀のような重金属および砒素やウラニウムのような汚染物質は水からの除去に費用がかかり、処分に費用がかかる。飲用に適した飲料水の不足にとって問題は深刻である。水中の汚染物質に対する容量が大きく処分が容易で費用のかからない吸着剤が望まれている。本発明のその他の応用および実施例は、当該技術の知識がある者に明らかなようにここに含まれる。
【発明の概要】
【0011】
原子、カチオン、アニオン、有機分子および病原体のような1つまたはそれ以上の“ゲスト化学種”の連続層を基質または多数の異なる基質に結合するための方法、製造物および装置が開示される。可能性のある基質は多孔性物質を含み、マクロ、マイクロおよびナノ多孔性物質はすべて候補である。基質の吸着容量は2機能性または多機能性配位子(L)の層が吸着した原子、イオン、分子または病原体と配位し、それはついで吸着した原子、イオン、分子または病原体の第2層に配位することによって拡大される。〔“ゲスト化学種”〕+配位子+〔“ゲスト化学種”〕+配位子+〔“ゲスト化学種”〕の配列が複数回繰り返され、下にある基質の吸収容量を大きく増加させる。吸収容量の増加に加えて、精製コストを引き下げ除去された“ゲスト化学種”あるいは、ある実施例では、汚染物質の回収可能な供給源を生み出すこともまた本発明の目的である。ある実施例では“ゲスト化学種”は基質の自然なまたは構築された吸着サイトに直接吸着可能であり、あるいは配位子は特定の基質上の合成吸着サイトに吸着可能である。本発明に特有の特徴は、1層のゲスト化学種へ吸着すると同様に、次に続く層を可能にするため少なくとももう1つのゲスト化学種に吸着することによって、1つまたはそれ以上の予め決められた関心のある化学種の複数の吸着層を可能にする2機能性または多機能性配位子の能力である。
【0012】
本発明のもう1つの目的は、汚染した水の低コストのレメディエーション法を与えることである。本発明のもう1つの目的は流体から関心のある化学種を分離する方法を与えることであり、流体は流体に存在するある化学種を分離または捕捉することによりその有用性が増強される水、血液あるいはその他の流体である。ある実施例では流体は空気と揮発性有機物、あるいはVOC、のような“関心のある物質”からなる空気流である。
【0013】
配位子(L)は特定の化学種または鉛のような重金属類に特有な相互作用または配位サイトをもち、別の配位子は、砒素または6価クロムのような別の無機物類、あるいは原虫、寄生虫、胞子、微生物、シスト、ウィルスまたは細菌のような病原体または類、あるいはMTBE、石油、医薬品、タンパク質、アミノ酸またはベンゼンのような芳香族またはその他の揮発性有機化合物のような有機分子種に特有である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
新しい第1世代の硫黄に基づく配位子−N−(2−メルカプトエチル)−1,8−ナフタリミド、HL−はイミド酸素と砒素の間の相補的な2次結合相互作用でチオラート基を経て砒素を結合することができて、ジョンソンおよび共同研究者によって“2つの砒素チオラート複合体に見られる2次結合相互作用”;無機化学、2005, 44, 9634−9636 (8)に報告された。ナフタリミド核はそのイミド酸素とチオールが近接していることによりまたそのよく知られた電子吸収および放射特性から将来の超分子キレート剤のモデルとして選ばれた。複合体[AsLCl]および[AsL]はHLのAsClによる処理によって形成される。チオール配位子HLは図1Aでおよそ85%の収率で合成され、HLのCHCl溶液へのアセトニトリルのゆっくりした拡散から回折分析に適した淡褐色の単結晶を形成した。配位子の単結晶X線構造は隣接層間の分子間距離が3.45Åの芳香族の向かい合ったπ−πスタッキングにより相互作用する2組の配位子層からなる(図1C)。これらの2組の層によってつくられる平面はおよそ20°の角度で捻れている。この非平行配置は芳香族のCHとイミドの酸素原子間の弱い相互作用によってd(C・・・O)=3.21Åで維持されている。さらに、結晶状態でメルカプト−エチレン部分は硫黄原子とイミドの窒素原子間の二面角が177°で予期されたアンチ配座をとる。
【0015】
3当量のHLをAsClと化学量論的量のKOHでメタノール溶液として処理すると1H NMRにより[AsLCl]、[AsLCl]と[AsL]の混合物を生じる。しかしながら、過剰のHLをAsClとKOHで処理すると56%の結晶収率で[AsL]を再現性よく与える。単結晶は単結晶X線回折により[AsL]であることが証明されていて、1H NMR分光分析は大部分の結晶試料は同じ物質であることを示す。X線分析に適した単黄色の結晶は[AsLCl]および[AsL]複合体の両方に対して得られた(図1B)。[AsLCl]・CHClの構造は、1個の配位子のメルカプト−エチレン部分が硫黄と窒素原子間の二面角がおよそ51°でゴーシュ配座をとる結果、As・・・O二次結合相互作用により複合体が安定化されることを明らかにする。このSBIは以前に観察されたAs・・・O二次相互作用の範囲内にあり、結晶状態で結晶の充填力および/またはAs・・・O二次相互作用は少なくとも1個の不都合なゴーシュ相互作用を補償するに十分なほど強いことを示唆する。もう一方の配位子は対応する二面角が170°の予期されるアンチ配座で存在する。配位子の立体的大きさは追加のAs・・・O相互作用の形成を妨げる。[AsLCl]・CHClの結晶充填はHLで見られたと同様な芳香族スタッキングによって保持され(図1C)、隣接する砒素複合体のナフチラミド部分の質量中心間の距離は3.40から3.65Åの範囲にある。
【0016】
ピラミッド型複合体[As]図1Cおよび[AsL](示されていない)の結晶構造はメルカプト−エチレン部分によってとられたゴーシュ配座を示し、[AsLCl]および[AsL]に対しそれぞれ2.91および3.21Åの二次As・・・O結合相互作用を与える。[AsL]の結晶構造は2個の配位子が予期されるアンチ配座((S−C−C−N)=180°と170°)をとり、一方3番目のチオラートはまたゴーシュ配座((S−C−C−N)=60°)をとり1個の弱いAs・・・O相互作用(d=3.21Å)を与えることを明らかにする。この距離は、おそらく[AsL]の追加の第3の配位子の立体的大きさにより、[AsLCl]に見られるよりも0.3Å大きい(図2)。特に、[AsL]のどのSBIもAs−S結合の結合伸長を生ぜず、すべてのAs−SおよびAs−Cl結合は関係する砒素(III)複合体に対するCSDで報告された範囲にある。[AsL]の結晶充填はHLおよび[AsLCl]と同様であり、芳香族スタッキング(d(質量中心−質量中心)=3.50から3.56Å)によって保持されおよそ37°の角度で捻れた2組の平面をもつ。
【0017】
生物および環境における砒素汚染の有害性は広く認識されているにもかかわらず、驚くべきことに構造的に特徴付けられた砒素チオラート複合体は殆どない。実際、砒素はタンパク質のシステインサイト(同様なβ−メルカプトアミノ構造を含む)に結合することはよく知られているにもかかわらず、関連の砒素チオラート複合体の詳細な構造研究は不足したままである。As・・・O二次相互作用を支えるチオラートによって砒素と結合するβ−メルカプトイミド配位子はジョンソンと共同研究者によって述べられていて、実験の詳細は下に見出される。
【0018】
関心のある配位子は、ここに参考文献としてそっくりそのまま組み入れた“砒素−π相互作用は自己組織化As超分子複合体を安定化する”;Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 5831, (9) に述べられたジョンソンおよび共同研究者の方法によってつくられる。As(III)の三方晶系−ピラミッド型配位の幾何学的配列は硫黄を基底とした配位子によって配位されたとき立体化学的に活性なローンペアを特徴とし、また特定の配位子設計の標的として利用することが十分予測できる。N−(2−メルカプトエチル)−1,8−ナフタリミド(HL)のAsClおよび塩基との処理は二次的As・・・O結合相互作用によって部分的に安定化されたAsLClおよびAsL複合体を与える。As(III)と適切な配位子のヘテロ原子間の二次的結合相互作用(SBI’s)はこのイオンに特有な配位子設計のための補完的な道具を提供する。二次的結合相互作用は主要族元素金属とO、N、Sあるいはハロゲンのようなヘテロ原子との間で見られ、原子間距離は対応するファンデルワールス半径の合計より短い。これらの相互作用は近年になってのみ超分子化学の文脈で系統的に研究され、主要族半金属に結合するように最適化されたキレート剤の設計へ向けた潜在的に有用な方法を提供する。β−メルカプトイミド配位子は配位子のイミド酸素と複合体中心の砒素原子間のSBIの2つの例を表している。
【0019】
グルタチオンまたはシステインのような硫黄を含む生物学的分子によるAs(III)の特徴的な配位子は、最近、砒素の毒性のよりよい理解の開発の文脈で報告されてきた。しかしながら、構造が知られている砒素チオラート複合体は比較的少なく、ケンブリッジ構造データベース(CSD)の検索は1つまたはそれ以上のチオラート有機配位子により配位されたAs(III)イオンの59例のみを明らかにするだけである。これらの例の中、たった3化合物のみが2.7から3.2Åの範囲のAs・・・O SBIを示す。二次的結合相互作用を示すことができる付加的な機能グループを有するAs(III)に特有なピラミッド型配位の幾何学的配列に対し最適化されたチオラート配位子の使用は、この毒性のある主要族元素に対する特有なキレート化剤およびセンサーの設計に適切である。本発明で用いられる配位子類の1つは、選択肢が図2に示されているベンジルジチオール類である。初期のデータは配位子が人や動物に対して毒性がないことを示している。
【0020】
実施例の1つでは、酸化チタン、TiO、ゼオライト、表面修飾ゼオライト、SMZ、およびその他のような吸着剤基質は1つまたはそれ以上のゲスト化学種層で“前負荷”あるいは前被覆され、ついで2機能性配位子の層で被覆される。2機能性配位子の1つの配位サイトは予め基質に吸着したゲスト化学種に吸着し、2機能性配位子のもう1つの活性または配位サイトはゲスト化学種吸着の追加の層に対する受容体サイトとして機能する。ゲストの吸着、ついで配位子の付加というサイクルは、特定の基質/配位子/ゲスト化学種の組合せの吸着容量の拡張のために複数回繰り返される。図3の“漫画”は、比喩的に、ある実施例では鉛、Pb、の、あるいは砒素(+3および+5)の水からの除去に対する吸着機構を示す。図3Aは被覆されていないTiO基質粒子310ではじまる。図3Bは水のような流体からの鉛315の最初の負荷を示す。図3Cは鉛を負荷した基質上に加えられた配位子のナノ被覆320を示す。図3Dは配位子のナノ被覆に捕らえられた第2層の鉛を示し、複数の鉛の層が同様にして吸着される。この実施例では、2機能性配位子は一緒に連結した2つの活性基330からなる。ゲスト化学種は流体から分離または捕捉される関心のある物質をさし、ときにはゲスト化学種はまた汚染物質とも呼ばれる。
【0021】
もう1つの実施例では、二酸化チタン、TiO、表面修飾ゼオライト、SMZ、およびその他のような吸着物質は2機能性配位子の吸着を改善するため、1つまたはそれ以上の関心ある化学種に暴露する前に選択しうる化合物で機能化される。図4Aは予定の配位子の吸着の前に二酸化チタンに吸着するために選択されるホスフォン酸を示す。ゼオライトは容易に水和され図4Bに示すような選択しうるトリメトキシシランで機能化される。この実施例では基質は機能化され、配位子層で被覆され、流体中の1つまたはそれ以上の化学種に暴露され、第2の配位子層で再被覆され、流体中の1つまたはそれ以上の化学種に再暴露され、後は同様である。配位子層の付加そして汚染物質または他の化学種の吸着というサイクルは、2機能性または多機能性配位子の層が様々な化学種に結合し流体から1つまたはそれ以上の化学種を分離する能力を十分に開発するため複数回繰り返されてもよい。
【0022】
あるいは、基質物質と2機能性配位子は特定の化学種を標的とするため最適化できる。例えば、鉛、砒素、カドミウムあるいは水銀のようなソフト金属はそれに限るわけではないがチオール基または他の硫黄供与体を含むソフトルイス塩基配位子によって標的にされる。鉄のようなハード金属はそれに限るわけではないがカテコラートのような酸素配位子を含むよりハードなルイス塩基によって標的とされる。硝酸塩あるいは過塩素酸塩のようなアニオンはそれに限るわけではないが尿素型の基のような水素結合供与配位子に引きつけられる。
【0023】
実施例1
質量の増加は3つの初期被覆相の各々で観察される。Metsorb−Gチタニア粒子は1MのPb(NO水溶液に一晩浸漬され、濾過、乾燥された。生じた被覆粒子はついでNaLの水溶液に浸漬された。ここでHL=α,α’−ジメルカプト−p−キシレンである。この溶液への添加で、粒子の表面は輝く黄色になった。粒子は再び濾過、乾燥され、ついで1Mの硝酸鉛水溶液に再度浸漬され濾過プロセスが繰り返された。鉛溶液への2回目の浸漬は黄色い色の増強を起こした。
【0024】
上記のTiO試料の熱重量分析は図5に示すように興味深い挙動を生じる。少量の水がおよそ100℃で失われる。鉛と配位子の第1および第2層がTiOに加えられると、より少ない質量損失が見られる。トレース510は未処理のTiOであり、520は1層の鉛と1層の配位子を加えたTiO、530は追加のPb被覆を加えた520と同様な物質である。530のトレースは物質が表面に付加されていて付加された物質は熱重量分析に対し500℃まで非常に安定であることを示す。それに続く530の物質と同様な物質の分析は鉛含量がおよそ13重量%であることを示した。
【0025】
実施例2
砒素(III)は機能化されていないTiOに実施例1の鉛と同様なやり方で吸着される。10mgのNaAsOを20mLの脱イオン化水に溶解した。この溶液1mLをついで1Lに稀釈し(全体の[As(III)〜300ppb])、溶液に100mgのMetsorb−G TiO物質を加え30分静置した。砒素溶液の2回目の分割量1mLをTiOフラスコに加え(全ての金属が吸着されたと仮定して、砒素濃度300ppbが再生する)、再び30分間静置した。このプロセスを濃縮砒素溶液が完全に使われるまで繰り返した。この物質の一部を分析のために保存した。残りはNaL水溶液に一晩浸漬した。この物質はついで前に述べたと同じ条件下で2回目の砒素負荷を受けた。
【0026】
対照実験が行われ、そこでは10mgのNaAsOを1Lの脱イオン化水に溶解し、100mgのTiOを加えて浸漬した。
【0027】
ある実験では、TiOへの砒素(+3)の最初の負荷はおよそ0.35重量%であった。砒素の2回目の負荷は、濾過媒体がもう1つの配位子に基づいた被覆で再生された後に、累積で0.75重量%であった。このデータはカリフォルニア州フレモントのケムトレース社で確認された。ある実験では砒素(+5)に対する容量は砒素(+3)に対する容量の約70%であった。砒素は配位子に基づいた被覆に共有結合し、標準TCLP浸出試験に合格する。
【0028】
実施例3
TiO基質は砒素(+3)を150ppbの濃度で塗られた各ナノ被覆層に対し基質重量の0.35%まで水から除去し、砒素(+5)を塗られた各ナノ被覆層に対し基質重量の0.25%まで除去する。例えば、1000gの濾過媒体は、単層のナノ被覆で、1.75gの砒素(+3)と1.25gの砒素(+5)を除去する。砒素の併せた濃度300ppbで、1000gの基質媒体は150ppbの砒素(+3)と150ppbの砒素(+5)を含む10,000リットルの水を処理する。同じ1000gの基質媒体がナノ被覆の新たな層で再生される場合、それは300ppbの砒素を含むさらに10,000リットルの水を処理し、さらに1.75gの砒素(+3)と1.25gの砒素(+5)を負荷する。より低い濃度に対して負荷は幾分減少し、全体の水処理量はおよそ同じに留まるかまたは増加する。300ppbの砒素を含む水を50ppbまたはそれ以下に処理するためには水と基質媒体間の接触時間をおよそ10分間に保持することが求められる。
【0029】
2機能性配位子のナノ被覆は鉄よりも砒素を優先的に結合し基質上に自己組織化するように化学的に設計される。ナノ被覆基質媒体に濃度300ppbの砒素(+3)または(+5)の負荷溶液1リットルを負荷した。負荷溶液はナノ被覆した吸着剤濾過媒体とイオン化した砒素を濾過媒体上に負荷するため5分間混合した。同じ濾過媒体を新たなナノ被覆層で再生することによって、さらに0.38重量%の砒素(+3)の負荷が同じ基質媒体上に積層された。単層のナノ被覆で離された2層の砒素(+3)の併せた負荷は0.73重量%であり、As(+5)に対する結果はAs(+3)負荷のおよそ70%である。
【0030】
基質に2機能性または多機能性配位子ナノ被覆の追加の層を加えるため、基質物質を配位子塩の溶液に浸漬する必要があり、水は便利な溶剤である。基質は配位子溶液に予定の時間、例えば60分間、浸漬される。追加の配位子層の再被覆の後に、基質は除去されるべきゲスト化学種が存在する溶液に再び曝される。ある予定した暴露時間の後に、基質はゲスト化学種溶液から取り出されもう1つの配位子溶液に浸漬され、この一連の操作が複数回繰り返される。
【0031】
代わりの例では水フィルターに配位子に基づいた被覆をもった鉱物吸着剤、二酸化チタン、が使用される。二酸化チタンフィルターは2つの部分に分けられ、第1の部分は。例えば砒素のような汚染物質を含む調合あるいは汚染した水に曝され、飽和後、基質は取り出して乾燥され砒素特異的配位子に基づいた被覆溶液に曝され、それは吸着した砒素吸着サイトにしっかり結合する。第2の部分は、例えばウラニウムのような異なる汚染物質を含む調合あるいは汚染した水に曝され。飽和後、基質は取り出して乾燥されウラニウム特異的配位子に基づいた被覆溶液に曝され、それは吸着したウラニウムの吸着サイトにしっかり結合する。水フィルターは、1つは砒素特異的基質部分、1つはウラニウム特異的基質部分の2つの部分からなる。適切につくられた水フィルターは砒素とウラニウムの両方を含む水に曝される。砒素は優先的に砒素特異的部分に吸着され、ウラニウムは優先的にウラニウム特異的部分に吸着される。あるいは他の化学種の組合せが選ばれてもよく有機、無機および病原体の多くの組合せが選ばれる。優先的な2機能性または多機能性配位子の選択による様々な種類の物質種を分離する能力は本発明のキーとなる新規性である。2つの部分からなる水フィルターは2つの部分でもまた再生される。このようにして、両基質部分は適切な配位子に基づいた被覆の追加の層を適用することによって再生される。再生されたフィルターは1つまたはそれ以上の汚染物質種の追加の量を再び吸収できる。フィルターは1つまたはそれ以上の優先的配位子で被覆された領域からなる1つまたはそれ以上の部分であってもよい。ある実施例では多数の優先的配位子被覆が一緒に多数の部分を持つフィルターに適用されそこで優先的配位子は関連する結合化学種にのみ結合する。
【0032】
配位子に基づいた被覆に適切な基質はマクロ,ミクロあるいはナノ細孔構造をもったチタニア、ゼオライト、表面修飾ゼオライト、炭素、自然鉱物あるいは合成樹脂および当該技術分野の知識がある者に知られる他の物質からなる。化学種、例えば砒素の負荷容量はどれだけ多くの活性あるいは吸着サイトが結合に利用できるかの機能であり、各基質物質はその表面構造に基づいて異なる容量をもつ。配位子に基づいた被覆の基質への適用は汚染物質例えば砒素を負荷した溶液、調合あるいは高砒素含有水の使用のどちらでも、で基質を前処理することで始まる。あるいは、基質は先ず配位子に基づく層またはゲスト化学種の層が調合された基質の上に被覆できるように基質の表面を機能化する化合物の被覆によって調合される。あるいは、基質は屑または他の物質を除去するため洗浄する以外、特別な前処理を要せず、これらの場合2機能性または多機能性配位子は基質の活性サイトに直接吸着し、ゲスト化学種の吸着に利用できる1つまたはそれ以上の配位サイトをもつ。ある実施例では、化学種分離のための製造物は多孔性構造からなる基質と少なくとも2つの配位あるいは吸着サイトを含む少なくとも1つの配位子との組合せで少なくとも1つの相互作用または吸着サイトを含み、そこでは少なくとも1つの配位子が少なくとも2つの配位サイトの1つによって少なくとも1つの基質吸着サイトに結合する。配位子の第2の配位サイトは流体から分離すべき化学種上の配位サイトへの吸着に利用でき、その後、追加の配位子層が[基質]+[配位子]+[化学種]構造に付加され、[基質]+[配位子]+[化学種]+[配位子]および[基質]+[配位子]+[化学種]+[配位子]+[化学種]などを形成する。
【0033】
汚染化学種の配位子を基にした被覆への共有結合は十分強いので化学種は被覆された基質に結合し結合した汚染化学種を置換または放出する他の化学種によって置き換えられない。汚染物質を、配位子を基にした被覆の層で分けられたフィルター媒体上へ積み重ねることで、汚染物質、例えば砒素は、各層間に同様に結合する。多層被覆基質の高吸着容量が達成される。当初は経済的価値を有していた1つまたはそれ以上の化学種の十分な量が工業的回収として経済価値をもつほど吸着される。
【0034】
他の実施例は配位子を基にした被覆物の溶液を直接、大量の水に加える。汚染物質分子のような2つまたはそれ以上のゲスト化学種は2機能性または多機能性配位子分子によって捕捉され不活性化される。水はついで配位子と汚染物質を除くため、例えば炭素のような他のフィルターを通して濾過される。あるいは、水と配位子と捕捉された汚染物質は受動的に人または動物を通して直接飲まれる。
【0035】
あるいは、フィルターはゆるいフィルター材料であってもよく、飲用に適さないバケツ1杯の水に投げ込まれある時間、例えば10ないし15分間、かきまわされる。ある実施例では砒素を負荷されたフィルター媒体は布を用いて水から“濾過”され、回収され再使用される。
【0036】
図6Aは前述のターナーの参考文献からの図で、図4Bにも見られる。これはキャビタンド610の結晶構造およびキャビタンド610と捕捉されたゲスト化学種625の“漫画”を示している。本発明のもう1つの実施例を図6Bに示す。この場合ゲスト化学種650は化学種660に結合したキャビタンド657に連結部656を介して連結したキャビタンド655に結合し、化学種660はまた化学種670に結合したキャビタンド667に連結部分666を介して連結したキャビタンド665に結合し、化学種670はまた連結部分676を介してキャビタンド677に連結するキャビタンド675に結合し、等々。先行技術に卓越することは本発明では2機能性または多機能性配位子は2つまたはそれ以上の配位または結合サイトを含み、配位サイトは連結構造を通して互いに接続していることである。このようにして,ある実施例では、層状の構造は、第1のゲスト化学種は基質へ、第1の配位子は第1のゲスト化学種へ、第2の化学種は少なくとも第1の配位子の第2の配位サイトへ、第2の配位子の第1の配位サイトは第2の化学種へ、第3の化学種は少なくとも第2の配位子の第2の配位サイトへ、等々、配位子と化学種の繰返し層が予定の限度まで、連続的な付加によって構築される。別の実施例では流体中の目的とする標的化学種と対照的にむしろ基質に直接結合する代用の化学種を採用することが好まれる。化学種と代用物の例は水銀の代用としての鉛である。
【0037】
別の実施例では第1の配位子の第1の配位サイトは直接基質サイトへ吸着し、第1のゲスト化学種は少なくとも第1の配位子の第2の配位サイトに吸着し、ついで層状の構造が構築される。あるいは、基質は先ず第1の化学種または第1の配位子の吸着を強めるために表面を機能化する物質で処理または被覆される。そのような機能化のための物質の例は、図4Aに例示したホスフォン酸、図4Bに例示したシラン、または選ばれた基質−配位子ペアあるいは基質−化学種ペアと同時に配位する他の有機または無機化合物であり、そのいくつかの例は金属薄膜、カーボンナノチューブおよびナノ球体、金属ナノチューブおよびナノ球体、セラミックナノチューブおよびナノ球体、タンパク質および有機テンプレートであり、その他この分野の知識のある者に知られているものである。
【0038】
もう1つの実施例では、異なる金属の十分に限定された領域からなる物質は新しくかつ興味あるデバイスへ導く新規な電子特性を示す。特異的な電子特性を達成するための特異的組成のナノフィルムはデバイスの大きさおよび組成に敏感である。配位子を基にした被覆は様々な金属の厳密な量の付加を可能にし、そこでは基のナノフィルムのある特性が予定された特性のために調整される。
【0039】
もう1つの実施例ではクロモフォア、フルオロフォアまたは他のシグナル伝達特性を含む配位子を取り入れることで関心のある化学種に同時に結合し検出できる物質が導かれる。検出は事実上定性的でも定量的でもよい。
【0040】
もう1つの実施例では、層状物質は、おそらく前述の電子または蛍光検出機構と組み合わせて、再使用可能なバイオアッセイのような医療デバイスに取り入れられる。
【0041】
本発明の前述の実施例は例証および解説として与えられる。それらは本発明を述べられた厳密な形に限ることを意図していない。特に、ここに述べられた発明の機能的な実行は同等に実行されることが期待される。代わりの構築技術とプロセスは集積回路およびMEMS技術の知識がある者には明らかである。他の変形および実施例は上記の教えのもとで可能であり、かくして発明の範囲はこの詳細な説明に限るものではなく、むしろ請求項によることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】A、BおよびCは選択しうる合成法および1つの構造の具定例の模式図である。
【図2】選択しうる2機能性配位子類の模式図である。
【図3】配位子と汚染物質の多層を示す漫画である。
【図4】AはTiOを機能化する化合物の模式図であり、Bはゼオライトを機能化する化合物を示す。
【図5】3本の熱重量分析走査である。
【図6】Aはターナーらによるキャビタンドの模式図であり、Bは2個のキャビタンドの連結する様式を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの吸着サイトを含む多孔性構造からなる基質および少なくとも2つの配位サイトを含む少なくとも1つの配位子からなり、そこでは少なくとも1つの配位子が少なくとも2つの配位サイトの1つによって少なくとも1つの吸着サイトに結合する、流体から1つまたはそれ以上の化学種を分離するための製造物。
【請求項2】
前記の基質が実質的に、二酸化チタン、ゼオライト、炭素、合成樹脂、アルミナ、水酸化アルミニウムおよび多孔性鉱物からなるグループから選ばれる物質であることを特徴とする請求項1に記載の製造物。
【請求項3】
前記の少なくとも1つの配位子が実質的に脂肪族および芳香族ジチオール、脂肪族ジウレア、脂肪族および芳香族ジカルボン酸、脂肪族および芳香族ジアミン、ジカテコラート、脂肪族および芳香族ホスフィンおよびホスフィンオキシド、カルセランド、キャビタンドおよびクリプタンドからなるクラスから選ばれる物質であることを特徴とする請求項1に記載の製造物。
【請求項4】
前記の基質がさらに、トリメトキシシラン、ホスフォン酸、金属薄膜、カーボンナノチューブおよびナノ球体、金属ナノチューブおよびナノ球体、セラミックナノチューブおよびナノ球体、タンパク質および有機テンプレートからなるグループからの少なくとも1つによって機能化される表面修飾された基質からなることを特徴とする請求項1に記載の製造物。
【請求項5】
前記の化学種が有機分子、無機元素または化合物および病原体からなるグループからの1つまたはそれ以上からなることを特徴とする請求項1に記載の製造物。
【請求項6】
前記の流体が実質的に水であることを特徴とする請求項1に記載の製造物。
【請求項7】
前記の少なくとも1つの吸着サイトがトリメトキシシラン、有機分子、無機元素、無機化合物および多孔性鉱物からなるグループから選ばれた1つまたはそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載の製造物。
【請求項8】
流体から1つまたはそれ以上の化学種を分離するための、基質、基質に吸着した少なくとも1つの化学種または代用化学種、および1つの配位サイトが1つの化学種または代用化学種に結合している少なくとも2つの配位サイトを含む少なくとも1つの配位子からなる製造物。
【請求項9】
前記の基質が実質的に二酸化チタン、ゼオライト、炭素、合成樹脂、アルミナ、水酸化アルミニウム、および多孔性鉱物からなるグループから選ばれる物質であることを特徴とする請求項8に記載の製造物。
【請求項10】
前記の少なくとも1つの配位子が実質的に脂肪族および芳香族ジチオール、脂肪族ジウレア、脂肪族および芳香族ジカルボン酸、脂肪族および芳香族ジアミン、ジカテコラート、脂肪族および芳香族ホスフィンおよびホスフィンオキシド、カルセランド、キャビタンドおよびクリプタンドからなるクラスから選ばれる物質であることを特徴とする請求項8に記載の製造物。
【請求項11】
前記の基質がさらに、トリメトキシシラン、ホスフォン酸、金属薄膜、カーボンナノチューブおよびナノ球体、金属ナノチューブおよびナノ球体、セラミックナノチューブおよびナノ球体、タンパク質および有機テンプレートからなるグループからの少なくとも1つによって機能化される表面修飾された基質からなることを特徴とする請求項8に記載の製造物。
【請求項12】
前記の化学種および代用化学種が有機分子、無機元素、無機化合物および病原体からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項8に記載の製造物。
【請求項13】
前記の流体が実質的に水であることを特徴とする請求項8に記載の製造物。
【請求項14】
a)分離すべき1つまたはそれ以上の化学種の特定;
b)1つまたはそれ以上の化学種および流体の特定に基づいた少なくとも2つの配位サイトを含む少なくとも1つの配位子の選択;
c)1つまたはそれ以上の基質の各々に少なくとも1つの吸着サイトを含む1つまたはそれ以上の基質の選択;および
d)少なくとも1つの配位子の1つまたはそれ以上の基質の各々の少なくとも1つの吸着サイトへの吸着、そこでは少なくとも1つの配位子が少なくとも2つの配位サイトの1つによって少なくとも1つの吸着サイトに結合する。
のステップからなる流体から1つまたはそれ以上の化学種を分離するための製造物を作る方法。
【請求項15】
前記の基質が実質的に二酸化チタン、ゼオライト、炭素、合成樹脂、アルミナ、水酸化アルミニウム、および多孔性鉱物からなるグループから選ばれる物質であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記の少なくとも1つの配位子が実質的に脂肪族および芳香族ジチオール、脂肪族ジウレア、脂肪族および芳香族ジカルボン酸、脂肪族および芳香族ジアミン、ジカテコラート、脂肪族および芳香族ホスフィンおよびホスフィンオキシド、カルセランド、キャビタンドおよびクリプタンドからなるクラスから選ばれる物質であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記の基質がさらに、トリメトキシシラン、ホスフォン酸、金属薄膜、カーボンナノチューブおよびナノ球体、金属ナノチューブおよびナノ球体、セラミックナノチューブおよびナノ球体、タンパク質および有機テンプレートからなるグループからの少なくとも1つによって機能化される表面修飾された基質からなることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記の化学種が有機分子、無機元素、無機化合物および病原体からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記の流体が実質的に水であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
a)分離すべき1つまたはそれ以上の化学種の特定;
b)1つまたはそれ以上の化学種および流体の特定に基づいた少なくとも2つの配位サイトを含む少なくとも1つの配位子の選択;
c)1つまたはそれ以上の基質の各々に少なくとも1つの吸着サイトを含む1つまたはそれ以上の基質の選択;および
d)少なくとも1つの配位子の1つまたはそれ以上の基質の各々の少なくとも1つの吸着サイトへの吸着、そこでは少なくとも1つの配位子が少なくとも2つの配位サイトの1つによって少なくとも1つの吸着サイトに結合する。
e)1つまたはそれ以上の化学種が少なくとも1つの配位子の少なくとも2つの配位サイトの1つに結合する、流体から1つまたはそれ以上の化学種の分離
のステップからなる流体から1つまたはそれ以上の化学種を分離する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−525849(P2009−525849A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553553(P2008−553553)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/061809
【国際公開番号】WO2007/120968
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(508236907)クリスタル クリア テクノロジーズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】