説明

多層構造を有する錠剤状の小腸粘膜付着性経口製剤

【課題】 消化液などにより劣化を受け,かつ消化管吸収膜透過性が低い物質を効率よく吸収させる錠剤タイプの小腸付着性製剤GI-MAPSを提供すること。
【解決手段】
水不溶性の層および(a) 粘着性物質、(b)界面活性剤などの溶解・吸収改善剤、及び(c)薬剤もしくは健康食品もしくは栄養物質を含み、好ましくは、さらに(d)安定化剤を含む層から成る錠剤を一旦調製し、腸溶性のコーティング物質を用いて表層を形成することにより吸収率の良い小腸付着性有核錠剤が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤などの溶解促進ならびに吸収促進作用を有する添加物と薬物もしくは健康食品もしくは栄養物質を含み、消化液から薬物・健康食品・栄養物質を保護するとともに薬物・健康食品・栄養物質の高い吸収性を目的とする多層構造を有する錠剤タイプの小腸粘膜付着性経口製剤に関するものである。より詳細には、本発明は、インスリン、デスモプレッシン、エリスロポエチン、インターフェロン、インシュリン、副甲状腺ホルモンなどのたんぱく薬、コラーゲン、ヒアルロン酸、アガリスク、プロポリス、フコイダン、ラクトトリペプチドなどの健康食品・栄養物質のように、胃酸や消化液などにより劣化を受けるか、消化管吸収膜透過性が低いために、経口摂取後の消化管からの吸収が困難な薬物、健康食品および栄養物質の高い吸収性を引き出すために、経口摂取後、消化管内において消化液から薬物・健康食品・栄養物質を保護するとともに吸収細胞とシステムとの間に局所的に高い薬物・健康食品・栄養物質の濃度勾配を形成することにより薬物・健康食品・栄養物質の吸収率(バイオアベイラビリティ)や薬効を高めるために用いられる、錠剤タイプの小腸粘膜付着性経口製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の投与法では吸収率(バイオアベイラビリティ)が低いために経口投与では十分な効果が期待できない薬物のバイオアベイラビリティを高めるために、高田は先に消化管粘膜に付着して難・低吸収性薬物の経口吸収性を高める消化管粘膜付着性貼付システム技術(登録商標GI-MAPS)を発明した。さらに高田は先に健康食品・栄養物質の消化管からの吸収性を改善する技術として健康食品および栄養物質の吸収改善を目的とする組成物を発明した。高田の発明したGI-MAPSは複雑な構造をもつ経口の貼付剤であり、健康食品および栄養物質の吸収改善を目的とする組成物はカプセル剤もしくは顆粒や粉末である。医薬品や健康食品分野においては一般に錠剤の形状が最も普及しており、患者や消費者に受け入れやすい形状として市場価値が高くその開発が望まれた。従来の錠剤製造技術に従えば、胃液で分解を受ける薬物の場合に腸溶性被膜を施したり、消化管からの吸収が低い場合には吸収促進剤を添加するなどの方法が一般的に用いられるが、消化液などにより劣化を受け、かつ消化管吸収膜透過性が低い物質についてはこれらの技術は有効ではない。事実、経口吸収を目的とした錠剤はデスモプレッシン錠のみ市場にあるだけであるが、その吸収率は0.05%程度といわれている。通常の経口製剤に比べるときわめて低い吸収率であり、従来の技術の限界を示している。
【0003】
【非特許文献1】岡田弘晃、日経バイオビジネス、2003年11月号、148−151頁。
【非特許文献2】Isabel Gomez-Orellana and Duncan R. Paton, Advances in the oral delivery of proteins. Exptl. Opin. Ther. Patents, 9, 247-253, 1999.
【非特許文献3】Rakhi B. Shah, Fakhrul Ahsan & Mansoor A. Khan, Oral delivery of proteins: Progress and prognostication. Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Systems, 19, 135-169, 2002.
【非特許文献4】J. Gordon Still, Development of oral insulin: Progress and current status. Diabetes Metab. Res. Rev., 18, suppl. 1, S29-S37, 2002.
【非特許文献5】Y. H. Lee, B. A. Perry, J. P. Sutyak, W. Stern and P. J. Sinko, Regional differences in intestinal spreading and pH recovery and the impact on salmon calcitonin in dogs. Pharm. Res., 17, 284-290, 2000.
【非特許文献6】P. J. Sinko, Y. H. Lee, V. Makhey, G. D. Leesman, J. P. Sutyak, H. Yu, B. Perry, C. L. Smith, P. Hu, E. J. Wagner, L.M. Falzone, L. T. McWhorter, J. P. Gilligan and W. Stern, Biopharmaceutical approaches for developing and assessing oral peptide delivery strategies and systems: in vitro permeability and in vivo oral absorption of salmon calcitonin (sCT). Pharm. Res., 16, 527-533, 1999.
【非特許文献7】Kathryn Whitehead, Zancong Shen and Samir Mitragotri, Oral delivery of macromolecules using intestinal patches: Applications for insulin delivery. J. Control. Rel., vol.98, 37-45, 2004.
【特許文献1】Kanji Takada, PCT/JP99/06602, An Oral Formulation for Gastrointestinal Drug Delivery、WO00/32172.
【特許文献2】高田寛治、小腸ターゲットタイプの経口DDS製剤、 特願2004-091930。
【特許文献3】高田寛治、消化管粘膜付着性DDSを用いる赤血球増殖因子エリスロポエチン類およびインターフェロン類の経口製剤、特願2004-091930。
【特許文献4】高田寛治、健康食品および栄養物質の吸収改善を目的とする組成物、特願2004-114561。
【特許文献5】活性成分の徐放性のための生物学的接着剤・薬剤組成物、特開平7−173077。
【特許文献6】消化管粘膜付着性マトリックス、製剤およびコーティング剤、特開2001−354550。
【特許文献7】消化管粘膜付着性マトリックス、製剤およびコーティング剤、特開2001−354593。
【特許文献8】生体接着錠剤、特願平10−113330。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとしている課題は、消化液などにより劣化を受けかつ消化管吸収膜透過性が低い物質を効率よく吸収させる錠剤を作ることである。新しい試みとして、生体付着性により、吸収の改善を試みている先行技術はいくつかある。生体付着性の錠剤に関しては、特開2001-354550、特開2001-354593に消化管粘膜に付着させ消化管内滞留時間を長くすることにより作用を持続させる錠剤が開示されている。当該発明で開示された錠剤においては、主に胃に付着するため、小腸粘膜透過性の良い物質や消化液により劣化しない物質については、吸収の持続時間が長くなることで吸収が良くなるが、消化液で劣化する物質や、本質的に吸収の悪い物質は、主たる吸収部位である小腸で有効に吸収が起こらず吸収の改善は困難である。また、生体接着性の多層錠については特願平10-113330に多層形態をとる舌下、膣、肛門、鼻、直腸に接着させる生体接着性錠剤が開示されている。しかし消化管である、胃、小腸、大腸は接着部位として除外されている。その理由は当該発明において開示された多層形態のみでは、経口摂取した場合に胃、小腸、大腸には接着しないからである。したがってこれらの先行発明では吸収の悪い薬物や栄養素などを効率的に小腸から吸収させることはできない。また非特許文献7にはインシュリンについて多層構造を持つ小腸付着性製剤が開示されているが、付着面以外を水不溶性フィルムでコーティングをしており、このような,部分的にコーティングを施さない錠剤は、従来の錠剤製造技術では製造できない。ここに挙げた既知の技術では,本課題を解決する錠剤を製造できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
今回我々は、 課題を達成するために研究を重ねた結果、被膜を施した消化管付着性をもった多層構造を有する有核錠剤とすることで、錠剤の形状を持ちかつ従来からある錠剤の製造技術を応用し、少量の吸収促進剤の添加で吸収効率を改善する一般的な技術を発明することができた。すなわち水不溶性の層および粘着性物質及び、薬理活性を有する成分もしくは健康食品もしくは栄養物質を含有する層から成る錠剤を一旦調製し、腸溶性のコーティング物質を用いて表層を形成することによりの多層構造を有する消化管粘膜付着性有核錠剤を調製することを考案した。この技術によると、消化液による分解が起こらないが小腸粘膜透過性が低く通常は吸収促進を目的とした助剤が必要な薬理活性を有する成分もしくは健康食品もしくは栄養物質についても、通常の錠剤に比べると少ない量の界面活性剤により吸収率を向上できる。
【0006】
薬理活性を有する成分もしくは健康食品もしくは栄養物質をアルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロースなどの粘着性物質と混和し、打錠機を用いて直径約4mm〜8mmの錠剤とする。キチン、キトサン、ステアリン酸類などの水不溶性物質を臼に入れ、その上に健康食品・栄養物質を含む芯錠を置き、有核打錠機を用いて打錠・成形することにより外径約6〜11mmの錠剤とする。
あるいは、キチン、キトサン、ステアリン酸類などの水不溶性物質を臼に入れ、中央部に窪みをつけた後、健康食品および栄養物質とアルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロースなどの粘着性物質との混和物を窪みに入れて一気に打錠することにより有核錠剤を作る。
表層に相当する第3層については、医薬品に用いられる腸溶性コーティング剤を用いることができる。食品については、上述の有核錠剤を小腸溶解性の水性シェラック(フロイント産業)や酵母分画から得られたコーティング剤であるイーストラップ(キリンビール)などを用いて全体もしくは表面の相当する部分をコーティングすることにより形成する。
これらの製造法は本発明の錠剤を得るための単なる一つの方法であり、この方法に限定されるものではない。
【0007】
即ち、本発明によれば、 (a) 粘着性物質、(b)界面活性剤などの溶解・吸収改善剤、及び(c)薬剤もしくは健康食品もしくは栄養物質を含む、高い吸収性を得るための多層構造を有する消化管粘膜付着性有核錠剤が提供される。
本発明の錠剤は、好ましくは、さらに(d)安定化剤を含む。
【0008】
好ましくは、界面活性剤は、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート80、モノオレイン酸、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸モノグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライド、中鎖脂肪酸モノ-,ジ-グリセライド又はレシチンである。なお、これらの界面活性剤は一例であり、本発明において使用できる界面活性剤はこれらに限定されるものではない。
【0009】
本発明の別の側面によれば、(a) 粘着性物質、(b)界面活性剤などの溶解・吸収改善剤、及び(c)薬剤もしくは健康食品もしくは栄養物質を含む、高い吸収性を得るための多層構造を有する消化管粘膜付着性有核錠剤の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の錠剤タイプの小腸粘膜付着性製剤を利用することにより、工業的な製造が簡便な製剤技術で薬物もしくは健康食品もしくは栄養物質を効率よく利用できる経口摂取用製品などとして開発することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の小腸粘膜付着性製剤は、(a) 粘着性物質、(b)界面活性剤などの溶解・吸収改善剤、及び(c)薬物もしくは健康食品もしくは栄養物質、さらに場合によっては(d)安定化剤を含むことを特徴とし、経口摂取されるものである。以下、これらの各成分について説明する。
【0012】
粘着性物質
本発明の吸収粘膜付着性を与える粘着性物質は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロースなどが代表的な粘着性物質であるが、これらの粘着性物質に限定されるものではない。
粘着性物質は、薬物もしくは健康食品もしくは栄養物質を含む層に加えても良いし、薬物もしくは健康食品もしくは栄養物質を含む層とは別に小腸付着性を与えるためだけの層に加えても良い。
【0013】
本発明で用いることができる界面活性剤は、経口摂取後の消化管での溶解性の低い物質の溶解を促進するとともに消化管からの吸収が低い薬物・健康食品および栄養物質の吸収を促進してバイオアベイラビリティや効果を高めるために使用されるものであり、所望の作用を発揮する限り、その種類は特に限定されないが、好ましくはグリセリン脂肪酸エステル、例えばデカグリセリンラウリン酸エステルL-7D、L-10D(リョートポリグリエステル)、デカグリセリンミリスチン酸エステルM-10D(リョートポリグリエステル)、デカグリセリンステアリン酸エステルSWA-10D、 SWA-15D、SWA-20D、S-24D、S-28D(リョートポリグリエステル)、デカグリセリンオレイン酸エステルO-15D、 O-50D(リョートポリグリエステル)、デカグリセリンベヘニン酸エステルB-70D、B-100D(リョートポリグリエステル)、デカグリセリンエルカ酸エステルER-30D、 ER-60D(リョートポリグリエステル)、デカグリセリン混合脂肪酸エステルLOP-120DP(リョートポリグリエステル)、ポリグリセリンステアリン酸エステルDS13W、 DS3、 HS11、 HS9、 TS4、 TS2(リョートポリグリエステル)、 ポリグリセリンラウリン酸エステルDL15(リョートポリグリエステル)、 ポリグリセリンオレイン酸エステルDO13(リョートポリグリエステル)、ステアロイル乳酸カルシウム、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルであるリョートーシュガーエステルS−1670、S−1570、S−1170、P−1570、P−1670、M−1695、Oー1570、OWAー1570、L−1695など(三菱化学フーズ)、DKエステルF−160、F−140、F−110など(第一工業製薬)、ポリソルベート80、モノオレイン酸、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸モノ-,ジ-グリセライド(Capmul MCM C10)、中鎖脂肪酸モノグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライド,炭素数6−12の飽和脂肪酸、すなわちカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸およびラウリル酸、又はレシチンなどが挙げられる。
【0014】
界面活性剤と同様に吸収促進効果を有することの知られている胆汁酸類、EDTAなどのキレーター、有機酸、脂肪酸(カプリン酸など)なども利用することができる。
本発明では、上記以外の液状、半固形又は固形の界面活性剤を使用することもできる。本発明で使用できる界面活性剤の具体例を以下に列挙する。
【0015】
(a)非イオン性界面活性剤
アルキルグルコシド、アルキルマルトシド、アルキルチオグルコシド、ラウリルマクロゴルグリセリド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリド、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレン水素化植物油、多価アルコールと脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油およびステロールから群の少なくとも1種との反応混合物、ショ糖エステル、ショ糖エーテル、スクログリセリド、又はそれらの混合物。
【0016】
(b)親水性界面活性剤
PEG-10 ラウリン酸エステル、PEG-12ラウリン酸エステル、PEG-20ラウリン酸エステル、PEG-32ラウリン酸エステル、PEG-32ジラウリン酸エステル、PEG-12 オレイン酸エステル、PEG-15オレイン酸エステル、PEG-20オレイン酸エステル、PEG-20ジオレイン酸エステル、PEG-32オレイン酸エステル、PEG-200オレイン酸エステル、PEG-400オレイン酸エステル、PEG-15ステアリン酸エステル、PEG-32ジステアリン酸エステル、PEG-40ステアリン酸エステル、PEG- 100ステアリン酸エステル、PEG-20ジラウリン酸エステル、PEG-25グリセリルトリオレイン酸エステル、PEG-32ジオレイン酸エステル、PEG-20グリセリルラウリン酸エステル、PEG-30グリセリルラウリン酸エステル、PEG-20グリセリルステアリン酸エステル、PEG-20グリセリルオレイン酸エステル、PEG-30グリセリルオレイン酸エステル、PEG-30グリセリルラウリン酸エステル、PEG-40グリセリルラウリン酸エステル、PEG-40 パーム核油、PEG-50水素化ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-60コーン油、PEG-6カプレート/カプリレートグリセリド、PEG-8カプレート/カプリレートグリセリド、ポリグリセリル−10ラウリン酸エステル、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトステロール、PEG-30大豆ステロール、PEG-20 トリオレイン酸エステル、PEG-40 ソルビタンオレイン酸エステル、PEG-80ソルビタンラウリン酸エステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9 ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、トコフェリルPEG-100コハク酸エステル、PEG-24コレステロール、ポリグリセリル- 10オレイン酸エステル、Tween 40、 Tween 60、スクロースモノステアリン酸エステル、スクロースモノラウリン酸エステル、スクロースモノパルミチン酸エステル、PEG 10-100ノニルフェノール類、PEG 15-100オクチルフェノール類、ポロキサマー、及びそれらの混合物。
【0017】
(c)イオン性界面活性剤
アルキルアンモニウム塩;胆汁塩;フシジン酸;アミノ酸、オリゴペプチド及びポリペプチドの脂肪酸結合物;アミノ酸、オリゴペプチド及びポリペプチドのグリセリドエステル;アシルラクチレート;モノ及びジグリセリドのモノ及びジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド;モノ及びジグリセリドのクエン酸エステル;アルギン酸塩;プロピレングリコールアルギン酸エステル;レシチン及び水素化レシチン;リゾレシチン及び水素化リゾレシチン;リゾリン脂質;カミチン脂肪酸エステル塩;リン脂質;アルキルサルフェートの塩;脂肪酸の塩;ドキュセートナトリウム;及びそれらの塩。
イオン性界面活性剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0018】
レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEGホスファチジルエタノールアミン、PVPホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル-2-ラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コール酸エステル、タウロコール酸エステル、グリココール酸エステル、デオキシコール酸エステル、タウロデオキシコール酸エステル、ケノデオキシコール酸エステル、グリコデオキシコール酸エステル、グリコケノデオキシコール酸エステル、タウロケノデオキシコール酸エステル、ウルソデオキシコール酸エステル、リトコール酸エステル、タウロウルソデオキシコール酸エステル、グリコウルソデオキシコール酸エステル、コリサルコシン、N-メチルタウロコール酸エステル、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、オレエート、リシノレート、リノレート、リノレエート、ステアレート、ラウリルサルフェート、テトラアセチルサルフェート、ドキュセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、及びそれらの塩およびそれらの混合物。
【0019】
(d)疎水性界面活性剤
アルコール;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;脂肪酸;胆汁酸塩;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリド;モノ/ジグリセリドの乳酸エステル;プロピレングリコールジグリセリド;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;エステル交換された植物油;ステロール;砂糖エステル;砂糖エーテル;スクログリセリド;ポリオキシエチレン植物油;ポリオキシエチレン水素化植物油;ポリオールと脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油およびステロールから成る群の少なくとも1種との反応混合物;及びそれらの混合物。
【0020】
疎水性界面活性剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ミリスチン酸;オレイン酸;ラウリン酸;ステアリン酸;パルミチン酸;PEG 1-4 ステアリン酸エステル; PEG 2-4 オレイン酸エステル; PEG-4 ジラウリン酸エステル; PEG-4 ジオレイン酸エステル; PEG-4 ジステアリン酸エステル; PEG-6ジオレイン酸エステル; PEG-6 ジステアリン酸エステル; PEG-8 ジオレイン酸エステル; PEG 3-16 ヒマシ油; PEG 5-10 水素化ヒマシ油; PEG 6-20コーン油; PEG 6-20 アーモンド油; PEG-6オリーブ油; PEG-6ピーナッツ油; PEG-6 パーム核油; PEG-6 水素化パーム核油; 植物油及びソルビトールのPEG-4 カプリック/カプリリックグリセリドモノ、ジ、トリ、テトラエステル;ペンタエリスリチルジ、テトラステアリン酸エステル、イソステアリン酸エステル;オレイン酸エステル;カプリレン酸エステル又はカプリン酸エステル;ポリグリセリル2-4 オレイン酸エステル、 ステアリン酸エステル又はイソステアリン酸エステル; ポリグリセリル4-10 ペンタオレイン酸エステル; ポリグリセリル-3 ジオレイン酸エステル; ポリグリセリル-6ジオレイン酸エステル; ポリグリセリル-10トリオレイン酸エステル; ポリグリセリル-3 ジステアリン酸エステル; C.sub.6 からC.sub.22 脂肪酸のプロピレングリコールモノ又はジエステル;C.sub.6からC.sub.22脂肪酸のモノグリセリド; C.sub.6 からC.sub.22脂肪酸のアセチル化モノグリセリド; C.sub.6からC.sub.22脂肪酸のジグリセリド;モノグリセリドの乳酸エステル;ジグリセリドの乳酸エステル;コレステロール;フィトステロール; PEG 5-20 醤油ステロール;PEG-6 ソルビタンテトラ、ヘキサステアリン酸エステル; PEG-6ソルビタンテトラオレイン酸エステル; ソルビタンモノラウリン酸エステル;ソルビタンモノパルミチン酸エステル;ソルビタンモノ、トリオレイン酸エステル;ソルビタンモノ、トリステアリン酸エステル; ソルビタンモノイソステアリン酸エステル; ソルビタンセスクオレイン酸エステル;ソルビタンセスクステアリン酸エステル; PEG 2-5オレイルエーテル; POE 2-4 ラウリルエーテル; PEG-2セチルエーテル; PEG-2ステアリルエーテル;スクロースジステアリン酸エステル;スクロースジパルミチン酸エステル;オレイン酸エチル;ミリスチン酸イソプロピル;パルミチン酸イソプロピル;リノレイン酸エチル;リノレイン酸イソプロピル;ポロキサマー; コール酸;ウルソデオキシコール酸;グリココール酸;タウロコール酸; リゾコール酸;デオキシコール酸;ケノデオキシコール酸;およびそれらの混合物。
【0021】
本発明で用いることができる吸収改善剤のさらなる具体例としては以下のものが挙げられる。
水不混和性トリグリセリド植物油(ベニバナ油、ゴマ油、コーン油、ひまし油、ココナッツ油、綿実油、大豆油、オリーブ油など;水不混和性精製及び合成及び半合成油(例えば、鉱油)、MIGLYOL.RTMとして既知のトリグリセリド(カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/リノール酸のトリグリセリド、トリオレイン等の長鎖トリグリセリド、室温で液体である他の混合鎖トリグリセリド、モノグリセリド、ジグリセリド、及びモノ、ジ、及びトリグリセリドの混合物を含む);脂肪酸およびエステル;水溶性アルコール、グリセリン及びプロピレングリコール;PEG-400などの常温で液体である水混和性ポリエチレングリコール。
【0022】
市販品としては、コーン油、プロピレングリコール、CREMOPHOR RH-40 (ポリオキシ-40水素化ひまし油)、LABRAFIL M 2125 (リノレオイルポリオキシ-6グリセリド)及び1944 (オレオイルポリオキシ-6 グリセリド)、エタノール、PEG 400、Polysorbate 80、グリセリン、 ペパーミント油、大豆油(長鎖トリグリセリド)、ゴマ油 (長鎖トリグリセリド)、プロピレンカーボネート、及びトコフェロイルTPGS、MIGLYOL 812 (カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、オレイン酸、オリーブ油(長鎖トリグリセリド)、CAPMUL MCM (中鎖モノグリセリド)、CAPMUL PG-8 (プロピレングリコールカプリリルモノ及びジグリセリド)、CREMOPHOR EL (ポリオキシ 35 ひまし油)、LABRASOL (カプリロカプロイルポリオキシ-8 グリセリド)、トリアセチン(アセチルトリグリセリド)、 MAISINE 35-1 (グリセリルモノリノレイン酸)、 OLICINE (グリセリルモノオレイン酸エステル/リノール酸エステル)、 PECEOL (グリセリルモノオレイン酸エステル)、 TRANSCUTOL P (ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、 PLUROL Oleique CC (ポリグリセリル-6ジオレイン酸エステル)、 LAUROGLYCOL 90 (プロピレングリコールモノラウリン酸エステル)、 CAPRYOL 90 (プロピレングリコールモノカプリル酸)、 MYVACETS (アセチル化モノグリセリド)、 ARLACELS (ソルビタン脂肪酸エステル)、 PLURONICS (プロピレン及びエチレンオキシドのコポリマー)、 BRIJ 30 (ポリオキシエチレン4ラウリルエーテル)、 GELUCIRE 44/14 (ラウロイルポリオキシル-32グリセリド)、及びGELUCIRE 33/01 (脂肪酸のグリセロールエステル)などが挙げられる。
【0023】
市販の界面活性剤の他の具体例としては、塩化ベンゼタニウム(HYAMINE.RTM. 1622、 Lonza、 Inc., Fairlawn, N.J.); DOCUSATE SODIUM (Mallinckrodt Spec. Chem., St. Louis, Mo.); ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(TWEEN.RTM., ICI Americas Inc., Wilmington, Del.); LIPOSORB.RTM. P-20 (Lipochem Inc., Patterson N.J.); CAPMUL.RTM. POE-0 (Abitec Corp., Janesville, Wis.)などがあげられる。
【0024】
本発明で用いることができる吸収促進剤のさらなる例としては脂肪酸、例えばカプリン酸およびその誘導体、例えば N-[8-(2-hydroxybenzoyl)amino]caprylic acid (SNAC) および Sodium N-[8-(2-hydroxybenzoyl)amino]decanate (SNAD)、グリチルリチン、グルチルレチン酸、アミノ酸エナミン誘導体(フェニルグリシンのアセト酢酸エチルエナミン誘導体など)、サリチル酸ナトリウム又はその誘導体、混合ミセル(モノオレインとグリココール酸ナトリウム又はタウロコール酸ナトリウムの混合ミセルなど)、N−アシルコラーゲンペプチド、N−アシルアミノ酸ナトリウム、延命皮サポニンなどが挙げられる。
【0025】
(3)栄養物質および健康食品
消化液で活性が低下する薬物もしくは栄養物質もしくは健康食品としては、蛋白質、ペプチド、アミノ酸ならびにそれらの類縁体ならびに混合物、核酸、核酸塩基およびそれらの類縁体およびその混合物、脂質類およびそれらの類縁体とその混合物、多糖類およびそれらの類縁体とその混合物があげられる。例えば,インスリン、デスモプレッシン、エリスロポエチン、インターフェロン、インシュリン、エルシトニン,副甲状腺ホルモン,クロレラ、プロポリス、コラーゲン類、ラクトトリペプチド、ヒアルロン酸、カテキン類、ポリフェノール類、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、サメ軟骨エキス、カルニチン、納豆キナーゼ、コエンザイムQ10、メシマコブエキス、アガリクスエキス、霊芝エキス、ミルクペプチド、イワシペプチド、カゼインデカペプチド、フコイダン、トコトリエノール、ゴマペプチドあるいはこれらから成る混和物などである。本発明の適用はこれらに限定されるものではない。
本発明の小腸粘膜付着製剤における有効成分である栄養物質の含有量は特に限定されないが、一般的には0.1〜70重量%程度である。
【0026】
(4)安定化剤
健康食品・栄養物質が消化酵素により加水分解を受けやすい場合、安定化剤を添加することにより健康食品・栄養物質のより良好な吸収性を得ることができる。例えば、カゼイン、ラクトフェリンなどの食用蛋白質、大豆トリプシンインヒビターなどの天然物由来の蛋白分解酵素阻害剤などが代表的な安定化剤であり、消化酵素の持つ加水分解に対して阻害作用を示すが、これらの安定化剤に限定されるものではない。
【0027】
本発明を以下の実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
(試料A)アガリクスエキスの10部にサイロページ720の10部、DKエステルF−140(第一工業製薬)の10部、アルギン酸ナトリウムの23部およびステアリン酸マグネシウムの2部を混合し、回転式打錠機を用いて直径5mm平面隅角の杵で打錠成型し、45mgの芯錠とする。つぎに水不溶層調製用の顆粒を調製する。すなわち、流動層造粒機を用いて常法に従い、キトサン粉末85部をトウモロコシデンプン10部を含む5%水溶液で造粒する。その後、16メッシュの篩で整粒し、ステアリン酸マグネシウム5部を混合して水不溶層顆粒とする。有核打錠機を用い、先ず水不溶層顆粒120mgを充填する。次いで、芯錠を置いて打錠成形し、外径8mmの錠剤とする。イーストラップ液あるいは水性シェラック液を用いて有核錠の露出している面をコーティングすることにより錠剤タイプの小腸粘膜付着性製剤とする。
(試料B) アガリクスエキスの10部にサイロページ720の10部、DKエステルF−140(第一工業製薬)の10部、アルギン酸ナトリウムの43部およびステアリン酸マグネシウムの2部を混合し、回転式打錠機を用いて直径6mm平面隅角の杵で打錠成型し、75mgの錠剤とする
【実施例2】
【0029】
(試料C) アガリクスエキスの70部にサイロページ720の10部、DKエステルF−140(第一工業製薬)の50部、アルギン酸ナトリウムの100部およびステアリン酸マグネシウムの10部を混合し、回転式打錠機を用いて直径5mm平面隅角の杵で打錠成型し、50mgの芯錠とする。有核打錠機を用い、ボールミルで粉砕したキトサン110mgを充填する。次いで、芯錠を置く。その周りにハイビスワコー103の50mgを充填した後、打錠成形し、外径8mmの錠剤とする。イーストラップ液あるいは水性シェラック液を用いて有核錠の露出している面をコーティングすることにより錠剤タイプの小腸粘膜付着性製剤とする。
【0030】
実施例1および2において得られた試料A,B,Cを用いて消化管粘膜への付着性試験を行った。15時間以上絶食しておいた体重約400gのラットをエーテル麻酔下、開腹手術を施し、空腸部分を取り出す。空腸を縦に切開してアルミニウム製の固定台に手術用アロンアルファにて小腸奨膜側を貼り付ける。試料A,Cの各々の水不溶層側をディジタルフォースゲージFGN-2(日本電産シンポ製)の先端にアロンアルファにて貼り付ける。試料Bについてはいずれの面を貼り付けても構わない。フォースゲージを下げていき一旦試料A,B,Cが空腸粘膜に接触した時点で停止し、1分間接触させる。その後、フォースゲージを上げていき、試料A,B,Cが空腸粘膜から離脱する際の剥離圧を測定した。その結果、試料Aの剥離圧は3.5ニュートン、試料Bの剥離圧は2.1ニュートン,試料Cの剥離圧は5.1ニュートンであった。
【実施例3】
【0031】
アガリクスエキスの70部にサイロページ720の10部、DKエステルF−140(第一工業製薬)の50部、アルギン酸ナトリウムの100部およびステアリン酸マグネシウムの10部を混合し、回転式打錠機を用いて直径5mm平面隅角の杵で打錠成型し、50mgの芯錠とする。有核打錠機を用い、先ずキトサン110mgを充填する。次いで、芯錠を置いて打錠成形し、外径8mmの錠剤とする。イーストラップ液あるいは水性シェラック液を用いて有核錠の露出している面をコーティングすることにより錠剤タイプの小腸粘膜付着性製剤とする。
【実施例4】
【0032】
高速撹拌造粒機を用い、粉末セルロース20部、トウモロコシデンプン40部を混合し、さらに加熱溶解したミツロウ15部を混合する。16メッシュで整粒した後、粉末セルロースおよびステアリン酸マグネシウム5部を混合し、水不溶層顆粒とする。プロポリスエキスの70部にエタノールの1部を加え、良く攪拌する。リョートーシュガーエステルS−1670(三菱化学フーズ)の30部、サイロページ760の30部を加え良く混和した後、約40℃に加温しながらエタノールを除去することにより芯錠用固形物を得る。有核打錠機を用い、先ず水不溶層顆粒200mgを充填する。次いで、芯錠用固形物を置いて打錠成形し、外径10mmの錠剤とする。イーストラップ液あるいは水性シェラック液を用いて有核錠の露出している面をコーティングすることにより錠剤タイプの小腸粘膜付着性製剤とする。
【実施例5】
【0033】
高速撹拌造粒機を用い、粉末セルロース20部、トウモロコシデンプン40部を混合し、さらに加熱溶解したミツロウ15部を混合する。16メッシュで整粒した後、粉末セルロースおよびステアリン酸マグネシウム5部を混合し、水不溶層顆粒とする。プロポリスエキスの70部にエタノールの1部を加え、良く攪拌する。リョートーシュガーエステルS−1670(三菱化学フーズ)の30部、サイロページ760の30部を加え良く混和した後、約40℃に加温しながらエタノールを除去することにより芯錠用固形物を得る。有核打錠機を用い、先ずキトサン200mgを充填する。次いで、芯錠用固形物を置いて打錠成形し、外径10mmの錠剤とする。イーストラップ液あるいは水性シェラック液を用いて有核錠の露出している面をコーティングすることにより錠剤タイプの小腸粘膜付着性製剤とする。
【実施例6】
【0034】
カテキンの30部、リョートデカグリセリンラウリン酸エステルL-7D(三菱化学フーズ)の30部、アルギン酸ナトリウムの56部およびステアリン酸マグネシウムの4部混合し、回転式打錠機を用いて直径5mm平面隅角の杵で打錠成型し、45mgの芯錠とする。キトサン95部に対してステアリン酸マグネシウム5部を加え、良く混和する。有核打錠機を用い、先ずキトサン層115mgを充填する。次いで、芯錠を置いて打錠成形し、外径8mmの錠剤とする。イーストラップ液あるいは水性シェラック液を用いて有核錠の露出している面をコーティングすることにより錠剤タイプの小腸粘膜付着性製剤とする。
【実施例7】
【0035】
カルニチンの30部、リョートデカグリセリンオレイン酸エステルO-15Dの30部、アルギン酸ナトリウムの56部およびステアリン酸マグネシウムの4部を良く混和する。回転式打錠機を用いて直径7mm平面隅角の杵で打錠成型し、120mgの芯錠とする。有核打錠機を用い、先ずキチン層200mgを充填する。次いで、芯錠を置いて打錠成形し、外径10mmの錠剤とする。イーストラップ液あるいは水性シェラック液を用いて有核錠の露出している面をコーティングすることにより錠剤タイプの小腸粘膜付着性製剤とする。
【産業上の利用可能性】
【0036】
数多くの健康食品および栄養物質の製品が販売されているが、摂取後のその吸収性に関する保証のない製品が大部分である。健康食品および栄養物質の消化管からの吸収を改善するためのDDS技術として、高田が先にGI-MAPSあるいはLFNPS、LFMPSなどを発明した。より実用化を高めるために錠剤タイプの小腸粘膜付着性製剤を発明した。このDDS技術を用いることにより、吸収改善剤と薬物・健康食品および栄養物質を分離、希釈されることなく吸収細胞までデリバリーして高い濃度勾配を形成することにより薬物・健康食品・栄養物質の吸収性を高めた製品を開発することが可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消化液の作用により活性が低下する、もしくは小腸からの吸収に助剤を必要とする薬物もしくは健康食品もしくは栄養物質を含み、(a)粘着性物質および(b)小腸からの吸収を高める成分を含む生体付着面を形成する層とそれを囲む水不溶性の層からなり、さらに被膜を有する多層の構造をとる小腸粘膜付着性をもつ有核錠剤。
【請求項2】
さらに(c)安定化剤を含む、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
粘着性物質がアルギン酸およびその塩類、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリアクリル酸およびその塩類、メチルセルロースである、請求項1から2に記載の錠剤。
【請求項4】
小腸からの吸収を高める成分が界面活性剤である、請求項1から2に記載の錠剤。
【請求項5】
界面活性剤が、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート80、モノオレイン酸、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸モノグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライド、中鎖脂肪酸モノ-,ジ-グリセライド又はレシチンである、請求項1から2に記載の錠剤。
【請求項6】
被膜剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルセロース、セルロースアセテートフタレート、メタクリル酸コーポリマー、イーストラップ、シェラックである、請求項1から2に記載の錠剤。
【請求項7】
安定化剤が蛋白質または蛋白分解酵素阻害剤である、請求項1から2に記載の錠剤。
【請求項8】
蛋白質がコラーゲン、カゼイン、ラクトフェリン、アルブミン、卵白である請求項1、2及び7に記載の錠剤
【請求項9】
蛋白分解酵素阻害剤が大豆トリプシンインヒビター、アプロチニンである請求項1、2及び7に記載の錠剤

【公開番号】特開2006−111558(P2006−111558A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−299560(P2004−299560)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(502414389)株式会社バイオセレンタック (24)
【Fターム(参考)】