説明

多層編地および多層編地の編成方法

【課題】5層編地や7層編地など、3層より多くの層を有する多層編地を提供する。
【解決手段】(1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(2)各第1使用編針で形成された編目のうち、奇数番目にあるものを、第1使用編針に残しつつ、偶数番目にあるものを、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(3)第1使用編針に残された編目と第2不使用編針へ目移しされた編目とを交互に接結する工程と、(4)編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(5)編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、(6)第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程とによって編成される層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層編地およびその編成方法に関し、さらに詳しくは、対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して編成される多層編地およびその編成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表裏二枚の編地を接結した3層編地は、従来から用途別に広く提供されている。
また、3層編地の編成方法についても、経編機(たて編機)を使用するものや、丸編機を使用するもの、あるいは横編機を使用するものなど、従来から種々知られている。
なお、下記の特許文献1には、表裏の地組織を結接糸でタックした3層構造編地において、結接糸が地組織から飛び出してスナッギングが起こるのを防止するため、両地組織が非弾性糸と250%以上の破断伸度を有する弾性糸とで構成されている3層編地が開示されている。
また、下記の特許文献2には、伸縮性を有するうえに優れたクッション性および圧縮回復性、保温性、通気性、形態安定性を具備し、繰り返し荷重に対する耐ヘタリが大きく、ソフト感、審美性に優れた張りのある立体構造編地を提供するため、表裏両面の編地が、伸縮性糸を含有するとともに、表裏両面の編地を接合する糸条がポリエステルエラストマー糸を含有する立体構造編地が開示されている。
【0003】
また、下記の特許文献3には、意匠性に優れ、弾力性のあるクッション性を有し、繰り返し或いは長時間使用しても弾力性が損なわれにくく、クッション性の耐久性に優れた立体横編物を提供するため、表裏二層の横編地がモノフィラメント糸により連結され、表裏の編地の少なくとも一方の編地表面が選針による柄及び/又は色糸切り替えによる柄を有している立体横編物が開示されている。
【特許文献1】特開平06−158483号公報
【特許文献2】特開2002−069805号公報
【特許文献3】特開2004−107800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、介護福祉分野などでは、体位変換や体圧分散を目的として、種々のクッション類が用いられている。具体的には、例えば、袋状カバーの中に、充填剤として、天然または合成繊維の綿、あるいはウレタンフォームやゲルなどを充填したものなどが用いられている。また、最近では、軽量化のために、充填剤として、合成樹脂の中空ビーズや発泡ビーズなどを充填したものも用いられている。
しかし、袋状カバーの中に充填剤を充填したクッションでは、使用時に充填剤が偏ってしまうことがあり、これによりクッション性が低下してしまうという問題がある。
ここで、充填剤が偏るという問題が生じることなくクッション性を有する素材として、3層編地があるが、従来の3層編地では、厚みが大きいものでも10mm程度しかなく、介護福祉分野などで必要十分なクッション性を発揮し得なかった。
【0005】
また、サポーターでも痛みの軽減のため小さな空気パッドを入れるためのポケットを部分的に縫付けてクッション性を持たせるといった工夫を施したものが見られるが、そのための縫製工程や空気パッド交換が必要であるといった手間も挙げられる。
そこで、本発明は、従来の3層編地よりも大きな厚みを有し、従来の3層編地よりも大きなクッション性を発揮する多層編地、およびこのような多層編地を、縫製や接着により複数の編地を一体化して作成するのではなく、一対の針床を備えた緯編機を使用して編成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1の発明)
第1の発明は、対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して編成される多層編地であって、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とし、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とし、nを、1以上の整数とし、1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けし、1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けし、(A1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(A2)各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(A3)上記(A2)の工程で第1使用編針に残された編目と上記(A2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、(A4)上記(A2)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(A5)上記(A2)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、(A6)上記(A2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程と、によって編成される層を含むことを特徴とする。
【0007】
ここで、「緯編機」とは、「横編機」および「丸編機」の双方を含む概念である。つまり、本発明では、「横編機」と「丸編機」とを併せて、「緯編機」としている。近年、丸編機でも、横編機と同様に、ニット、タック、ミスおよび対向配置された針床間で目移しの針動作が可能な新機種が近年開発されており、本発明は、横編機のみならず、このような丸編機にも適用可能なものである。
また、「対向配置された第1針床および第2針床」とは、例えば、横編機の場合にあっては、前針床および後針床をいい、また、丸編機の場合にあっては、筒状針床および円盤状針床をいう。また、横編機の場合にあっては、前針床を第1針床とし、後針床を第2針床としてもよく、逆に、前針床を第2針床とし、後針床を第1針床としてもよい。また、丸編機の場合にあっては、筒状針床を第1針床とし、円盤状針床を第2針床としてもよく、逆に、円盤状針床を第1針床とし、筒状針床を第2針床としてもよい。
【0008】
また、「第1使用編針」とは、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を意味するものである。
また、「第1不使用編針」とは、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を意味するものである。
また、「第2使用編針」とは、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を意味するものである。
また、「第2不使用編針」とは、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を意味するものである。
【0009】
また、「n」は、1以上の整数を意味するものである。
また、第1針床上に並設されている多数の編針は、1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けされる。
また、第2針床上に並設されている多数の編針は、1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けされる。
また、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように配置されることから、第1使用編針は、第2不使用編針と対向することとなり、また、第2使用編針は、第1不使用編針と対向することとなる。
【0010】
また、(A1)の工程は、各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。(A1)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、各第1使用編針で順次編目を形成する、ようにすることができる。
また、(A2)の工程は、各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。(A2)の工程では、例えば、各第1使用編針で形成された編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第1使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、ようにすることができる。この場合、各第1使用編針で形成された編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされるものである。
【0011】
また、(A3)の工程は、上記(A2)の工程で第1使用編針に残された編目と上記(A2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものである。(A3)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、第1使用編針に残された編目と第2不使用編針へ目移しされた編目とを交互に接結する、ようにすることができる。また、「接結」は、タックにより行ってもよく、また、ニットにより行ってもよい。以下、接結については同様である。
また、(A4)の工程は、上記(A2)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。(A4)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する、ようにすることができる。
【0012】
また、(A5)の工程は、上記(A2)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する、というものである。(A5)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する、ようにすることができる。
また、(A6)の工程は、上記(A2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す、というものである。
そして、第1の発明に係る多層編地は、上記(A1)〜(A6)の工程で編成される層を含むものである。
【0013】
つまり、第1の発明に係る多層編地は、第1針床上に形成された3層編地を含むものである。
このため、例えば、第2針床上に、1層編地を形成して、第1針床上の3層編地と第2針床上の1層編地とを接結すれば、5層編地とすることができる。
また、例えば、第2針床上に、上記(A1)〜(A6)と同様の工程で、3層編地を形成して、第1針床上の3層編地と第2針床上の3層編地とを接結すれば、7層編地とすることができる。
つまり、第1の発明によれば、5層編地や7層編地など、3層より多くの層を有する多層編地を提供することができる。
【0014】
(第2の発明)
第2の発明は、対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して編成される多層編地であって、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とし、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とし、nを、1以上の整数とし、1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けし、1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けし、(B1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(B2)各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(B3)上記(B2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程と、(B4)上記(B3)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(B3)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを接結する工程と、(B5)上記(B3)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(B6)上記(B3)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、(B7)上記(B5)の工程で第1使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(B8)上記(B2)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(B9)上記(B8)の工程で第1使用編針に形成された編目と、上記(B5)の工程で第1使用編針に形成され上記(B7)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、(B10)上記(B6)の工程で第2不使用編針に形成された編目と、上記(B5)の工程で第1使用編針に形成され上記(B7)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第1使用編針へ目移しする工程と、によって編成される層を含むことを特徴とする。
【0015】
ここで、(B1)の工程は、各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。(B1)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、各第1使用編針で順次編目を形成する、ようにすることができる。
また、(B2)の工程は、各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。(B2)の工程では、例えば、各第1使用編針で形成された編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第1使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、ようにすることができる。
【0016】
また、(B3)の工程は、上記(B2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す、というものである。(B3)の工程では、例えば、上記(B2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第2不使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す、ようにすることができる。
また、(B4)の工程は、上記(B3)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(B3)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを接結する、というものである。(B4)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(B3)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(B3)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを交互に接結する、ようにすることができる。
【0017】
また、(B5)の工程は、上記(B3)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。(B5)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(B3)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する、ようにすることができる。
また、(B6)の工程は、上記(B3)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する、というものである。(B6)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(B3)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する、ようにすることができる。
【0018】
また、(B7)の工程は、上記(B5)の工程で第1使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。
また、(B8)の工程は、上記(B2)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。(B8)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(B2)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する、ようにすることができる。
また、(B9)の工程は、上記(B8)の工程で第1使用編針に形成された編目と、上記(B5)の工程で第1使用編針に形成され上記(B7)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものである。(B9)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(B8)の工程で第1使用編針に形成された編目のうち編幅のいずれか一方側から偶数番目または奇数番目にあるものと、上記(B5)の工程で第1使用編針に形成され上記(B7)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを交互に接結する、ようにすることができる。
【0019】
また、(B10)の工程は、上記(B6)の工程で第2不使用編針に形成された編目と、上記(B5)の工程で第1使用編針に形成され上記(B7)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第1使用編針へ目移しする、というものである。
そして、第2の発明に係る多層編地は、上記(B1)〜(B10)の工程で編成される層を含むものである。
つまり、第2の発明に係る多層編地は、第1針床上に形成された5層編地を含むものである。
【0020】
このため、例えば、第2針床上に、1層編地を形成して、第1針床上の5層編地と第2針床上の1層編地とを接結すれば、7層編地とすることができる。
また、例えば、第2針床上に、第1の発明の(A1)〜(A6)と同様の工程で、3層編地を形成して、第1針床上の5層編地と第2針床上の3層編地とを接結すれば、9層編地とすることができる。
また、例えば、第2針床上に、上記(B1)〜(B10)と同様の工程で、5層編地を形成して、第1針床上の5層編地と第2針床上の5層編地とを接結すれば、11層編地とすることができる。
【0021】
つまり、第2の発明によれば、7層編地や9層編地や11層編地など、5層より多くの層を有する多層編地を提供することができる。
(第3の発明)
第3の発明は、対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して編成される多層編地であって、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とし、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とし、nを、1以上の整数とし、1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けし、1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けし、(C1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(C2)各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(C3)上記(C2)の工程で第1使用編針に残された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(C4)上記(C3)の工程で第1使用編針に残された編目と、上記(C3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、(C5)上記(C3)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(C6)上記(C3)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、(C7)上記(C6)の工程で第2不使用編針に形成された編目を、対向位置にある第1使用編針へ目移しする工程と、(C8)上記(C2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程と、(C9)上記(C8)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(C8)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを接結する工程と、(C10)上記(C8)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(C11)上記(C8)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、(C12)上記(C10)の工程で第1使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(C13)上記(C6)の工程で第2不使用編針に形成され上記(C7)の工程で対向位置にある第1使用編針へ目移しされた編目と、上記(C10)の工程で第1使用編針に形成され上記(C12)の工程で対向する第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、(C14)上記(C11)の工程で第2不使用編針に形成された編目と、上記(C10)の工程で第1使用編針に形成され上記(C12)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第1使用編針へ目移しする工程と、によって編成される層を含むことを特徴とする。
【0022】
ここで、(C1)の工程は、各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。(C1)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、各第1使用編針で順次編目を形成する、ようにすることができる。
また、(C2)の工程は、各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。(C2)の工程では、例えば、各第1使用編針で形成された編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第1使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、ようにすることができる。
【0023】
また、(C3)の工程は、上記(C2)の工程で第1使用編針に残された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。(C3)の工程では、例えば、上記(C2)の工程で第1使用編針に残された編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第1使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、ようにすることができる。
また、(C4)の工程は、上記(C3)の工程で第1使用編針に残された編目と、上記(C3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものである。(C4)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(C3)の工程で第1使用編針に残された編目と、上記(C3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目とを交互に接結する、ようにすることができる。
【0024】
また、(C5)の工程は、上記(C3)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。(C5)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(C3)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する、ようにすることができる。
また、(C6)の工程は、上記(C3)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する、というものである。(C6)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(C3)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する、ようにすることができる。
【0025】
また、(C7)の工程は、上記(C6)の工程で第2不使用編針に形成された編目を、対向位置にある第1使用編針へ目移しする、というものである。
また、(C8)の工程は、上記(C2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す、というものである。(C8)の工程では、例えば、上記(C2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第2不使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す、ようにすることができる。
【0026】
また、(C9)の工程は、上記(C8)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(C8)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを接結する、というものである。(C9)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(C8)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(C8)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを交互に接結する、ようにすることができる。
また、(C10)の工程は、上記(C8)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。(C10)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(C8)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する、ようにすることができる。
【0027】
また、(C11)の工程は、上記(C8)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する、というものである。(C11)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(C8)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する、ようにすることができる。
また、(C12)の工程は、上記(C10)の工程で第1使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。
また、(C13)の工程は、上記(C6)の工程で第2不使用編針に形成され上記(C7)の工程で対向位置にある第1使用編針へ目移しされた編目と、上記(C10)の工程で第1使用編針に形成され上記(C12)の工程で対向する第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものである。(C13)の工程では、例えば、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(C6)の工程で第2不使用編針に形成され上記(C7)の工程で対向位置にある第1使用編針へ目移しされた編目と、上記(C10)の工程で第1使用編針に形成され上記(C12)の工程で対向する第2不使用編針へ目移しされた編目とを交互に接結する、ようにすることができる。
【0028】
また、(C14)の工程は、上記(C11)の工程で第2不使用編針に形成された編目と、上記(C10)の工程で第1使用編針に形成され上記(C12)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第1使用編針へ目移しする、というものである。
そして、第3の発明に係る多層編地は、上記(C1)〜(C14)の工程で編成される層を含むものである。
つまり、第3の発明に係る多層編地は、第1針床上に形成された7層編地を含むものである。
【0029】
このため、例えば、第2針床上に、1層編地を形成して、第1針床上の7層編地と第2針床上の1層編地とを接結すれば、9層編地とすることができる。
また、例えば、第2針床上に、第1の発明の(A1)〜(A6)と同様の工程で、3層編地を形成して、第1針床上の7層編地と第2針床上の3層編地とを接結すれば、11層編地とすることができる。
また、例えば、第2針床上に、第2の発明の(B1)〜(B10)と同様の工程で、5層編地を形成して、第1針床上の7層編地と第2針床上の5層編地とを接結すれば、13層編地とすることができる。
【0030】
また、例えば、第2針床上に、上記(C1)〜(C14)と同様の工程で、7層編地を形成して、第1針床上の7層編地と第2針床上の7層編地とを接結すれば、15層編地とすることができる。
つまり、第3の発明によれば、9層編地や11層編地や13層編地や15層編地など、7層より多くの層を有する多層編地を提供することができる。
(第4の発明)
第4の発明は、対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して多層編地を編成する方法であって、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とし、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とし、nを、1以上の整数とし、1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けし、1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けし、(A1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(A2)各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(A3)上記(A2)の工程で第1使用編針に残された編目と上記(A2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、(A4)上記(A2)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(A5)上記(A2)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、(A6)上記(A2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程と、を含むことを特徴とする。
【0031】
つまり、第4の発明は、上記(A1)〜(A6)の工程を含むものであり、第1の発明に係る多層編地の編成方法である。
第4の発明によれば、上記(A1)〜(A6)の工程によって、第1針床上に、3層編地を形成することができる。
このため、例えば、第2針床上に、1層編地を形成して、第1針床上の3層編地と第2針床上の1層編地とを接結すれば、5層編地を形成することができる。
また、例えば、第2針床上に、上記(A1)〜(A6)と同様の工程で、3層編地を形成して、第1針床上の3層編地と第2針床上の3層編地とを接結すれば、7層編地を形成することができる。
【0032】
つまり、第4の発明によれば、5層編地や7層編地など、3層より多くの層を有する多層編地を、緯編機で編成する方法を提供することができる。
(第5の発明)
第5の発明は、対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して多層編地を編成する方法であって、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とし、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とし、nを、1以上の整数とし、1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けし、1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けし、(B1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(B2)各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(B3)上記(B2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程と、(B4)上記(B3)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(B3)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを接結する工程と、(B5)上記(B3)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(B6)上記(B3)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、(B7)上記(B5)の工程で第1使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(B8)上記(B2)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(B9)上記(B8)の工程で第1使用編針に形成された編目と、上記(B5)の工程で第1使用編針に形成され上記(B7)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、(B10)上記(B6)の工程で第2不使用編針に形成された編目と、上記(B5)の工程で第1使用編針に形成され上記(B7)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第1使用編針へ目移しする工程と、を含むことを特徴とする。
【0033】
つまり、第5の発明は、上記(B1)〜(B10)の工程を含むものであり、第2の発明に係る多層編地の編成方法である。
第5の発明によれば、上記(B1)〜(B10)の工程によって、第1針床上に、5層編地を形成することができる。
このため、例えば、第2針床上に、1層編地を形成して、第1針床上の5層編地と第2針床上の1層編地とを接結すれば、7層編地を形成することができる。
また、例えば、第2針床上に、第4の発明の(A1)〜(A6)と同様の工程で、3層編地を形成して、第1針床上の5層編地と第2針床上の3層編地とを接結すれば、9層編地を形成することができる。
【0034】
また、例えば、第2針床上に、上記(B1)〜(B10)と同様の工程で、5層編地を形成して、第1針床上の5層編地と第2針床上の5層編地とを接結すれば、11層編地を形成することができる。
つまり、第5の発明によれば、7層編地や9層編地や11層編地など、5層より多くの層を有する多層編地を、緯編機で編成する方法を提供することができる。
(第6の発明)
第6の発明は、対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して多層編地を編成する方法であって、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とし、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とし、nを、1以上の整数とし、1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けし、1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けし、(C1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(C2)各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(C3)上記(C2)の工程で第1使用編針に残された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(C4)上記(C3)の工程で第1使用編針に残された編目と、上記(C3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、(C5)上記(C3)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(C6)上記(C3)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、(C7)上記(C6)の工程で第2不使用編針に形成された編目を、対向位置にある第1使用編針へ目移しする工程と、(C8)上記(C2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程と、(C9)上記(C8)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(C8)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを接結する工程と、(C10)上記(C8)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、(C11)上記(C8)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、(C12)上記(C10)の工程で第1使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、(C13)上記(C6)の工程で第2不使用編針に形成され上記(C7)の工程で対向位置にある第1使用編針へ目移しされた編目と、上記(C10)の工程で第1使用編針に形成され上記(C12)の工程で対向する第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、(C14)上記(C11)の工程で第2不使用編針に形成された編目と、上記(C10)の工程で第1使用編針に形成され上記(C12)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第1使用編針へ目移しする工程と、を含むことを特徴とする。
【0035】
つまり、第6の発明は、上記(C1)〜(C14)の工程を含むものであり、第3の発明に係る多層編地の編成方法である。
第6の発明によれば、上記(C1)〜(C14)の工程によって、第1針床上に、7層編地を形成することができる。
このため、例えば、第2針床上に、1層編地を形成して、第1針床上の7層編地と第2針床上の1層編地とを接結すれば、9層編地を形成することができる。
また、例えば、第2針床上に、第4の発明の(A1)〜(A6)と同様の工程で、3層編地を形成して、第1針床上の7層編地と第2針床上の3層編地とを接結すれば、11層編地を形成することができる。
【0036】
また、例えば、第2針床上に、第5の発明の(B1)〜(B10)と同様の工程で、5層編地を形成して、第1針床上の7層編地と第2針床上の5層編地とを接結すれば、13層編地を形成することができる。
また、例えば、第2針床上に、上記(C1)〜(C14)と同様の工程で、7層編地を形成して、第1針床上の7層編地と第2針床上の7層編地とを接結すれば、15層編地を形成することができる。
つまり、第6の発明によれば、9層編地や11層編地や13層編地や15層編地など、7層より多くの層を有する多層編地を、緯編機で編成する方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、同一編地では編地厚が一定であった平編みやゴム編みといった一層構造である従来編地と異なり、通常厚である一層編地の基本編地部分に加えて、3層よりも多くの層を有することにより、3層編地よりも大きな厚みを有し、3層編地よりも大きなクッション性を発揮する多層編地による地厚部分を求める位置に複数表現した編地、およびこのような多層編地を一対の針床を備えた緯編機のみを使用して編成する方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、多層編地としての7層編地、およびその製造方法を示す。
図1および図2は、第1の実施の形態に係る多層編地としての7層編地の編成方法を示す編成用針図、図3は、第1の実施の形態に係る多層編地としての7層編地の各層を示す断面図である。
第1の実施の形態に係る多層編地としての7層編地は、横編機を使用して編成されるものであり、また、使用される横編機は、前後に対向配置された第1針床および第2針床を備え、また、第1針床上には、多数の編針が並設され、また、第2針床上にも、多数の編針が並設され、更に、第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で、編目を目移し可能に形成されているものである。
【0039】
そして、第1の実施の形態に係る7層編地は、第1針床上に3層編地を形成するとともに、第2針床上にも3層編地を編成し、第1針床上に形成した3層編地と第2針床上に形成した3層編地とを接結して、7層編地としたものである。
以下、第1針床を前側の針床とし、第2針床を後側の針床として、第1の実施の形態に係る7層編地およびその製造方法について、更に詳しく説明する。
ここで、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とする。
【0040】
つまり、第1使用編針とは、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針をいう。換言すれば、第1使用編針とは、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、前側の3層編地の編成に使用する編針をいう。第1使用編針と、後述する第2不使用編針とによって、第1針床上に、前側の3層編地が形成されるのである。
また、第1不使用編針とは、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成には使用しない編針をいう。換言すれば、第1不使用編針とは、第1針床上に並設されている多数の編針のうち、前側の3層編地の編成には使用しない編針をいう。第1不使用編針と、後述する第2使用編針とによって、第2針床上に、後側の3層編地が形成されるのである。
【0041】
また、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とする。
つまり、第2使用編針とは、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針をいう。換言すれば、第2使用編針とは、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、後側の3層編地の編成に使用する編針をいう。第2使用編針と、前述した第1不使用編針とによって、第2針床上に、後側の3層編地が形成されるのである。
【0042】
また、第2不使用編針とは、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成には使用しない編針をいう。換言すれば、第2不使用編針とは、第2針床上に並設されている多数の編針のうち、後側の3層編地の編成には使用しない編針をいう。第2不使用編針と、前述した第1使用編針とによって、第1針床上に、前側の3層編地が形成されるのである。
また、横編機を使用して7層編地を編成するに際しては、nを、1以上の整数とし、1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けするとともに、1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けする。
【0043】
第1の実施の形態では、n=1とし、1本の第1使用編針と1本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けするとともに、1本の第2使用編針と1本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようにずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けしている。
より具体的には、図1に示すように、第1針床(図1中で「前」と記してある方)については、編幅の左側から奇数番目(1,3,5,7,9・・・)の編針を第1使用編針とするとともに、編幅の左側から偶数番目(2,4,6,8,10・・・)の編針を第1不使用編針とし、また、第2針床(図1中で「後」と記してある方)については、編幅の左側から偶数番目(2,4,6,8,10・・・)の編針を第2使用編針とするとともに、編幅の左側から奇数番目(1,3,5,7,9・・・)の編針を第2不使用編針としている。このようにして、1本の第1使用編針と1本の第1不使用編針とが交互に繰り返され、また、1本の第2使用編針と1本の第2不使用編針とが交互に繰り返され、さらに、第1使用編針と第2使用編針とが対向しないようにしている。なお、第1使用編針は、第2不使用編針と対向し、また、第2使用編針は、第1不使用編針と対向している。
【0044】
そして、第1の実施の形態に係る7層編地は、下記の(1)〜(13)の工程で編成される。また、図1および図2中のカッコ内の数字は、下記の(1)〜(13)の各工程に対応する。また、図1中の(1)と(3)〜(7)の工程は、第1針床(前側の針床)上に3層編地を形成する工程であり、また、図1および図2中の(2)と(8)〜(12)の工程は、第2針床(後側の針床)上に3層編地を形成する工程であり、また、図2中の(13)の工程は、第1針床上に形成された3層編地と第2針床上に形成された3層編地とを接結する工程である。以下、各工程について具体的に説明する。
(1)の工程は、各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(1)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、第1使用編針とされる第1針床上の1,3,5,7,9・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(1)の工程が終わると、次の(2)の工程へ進む。
【0045】
(2)の工程は、各第2使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(2)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、第2使用編針とされる第2針床上の2,4,6,8,10・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(2)の工程が終わると、次の(3)の工程へ進む。
(3)の工程は、各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。具体的には、(3)の工程では、各第1使用編針で形成された編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第1使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする。つまり、(3)の工程では、各第1使用編針で形成された編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされる。そして、目移ししないとされたものについては、第1使用編針に残され、目移しするとされたものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しされる。より具体的には、(3)の工程では、上記(1)の工程で第1針床上の1,3,5,7,9・・・番目の各編針で形成された編目のうち、編幅の左側から奇数番目(1,5,9,13・・・)にあるものが、第1使用編針に残されつつ、同偶数番目(3,7,11,15・・・)にあるものが、対向位置にある第2不使用編針に目移しされる。そして、(3)の工程が終わると、次の(4)の工程へ進む。
【0046】
(4)の工程は、第1使用編針に残された編目と第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものである。具体的には、(4)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(3)の工程で第1針床上の1,5,9,13・・・番目の編針に残された編目と、上記(3)の工程で第2針床上の3,7,11,15・・・番目の編針へ目移しされた編目とが、糸で交互にタックされて接結される。そして、(4)の工程が終わると、次の(5)の工程へ進む。
(5)の工程は、上記(3)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(5)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(3)の工程で編目が残された第1針床上の1,5,9,13・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(5)の工程が終わると、次の(6)の工程へ進む。
【0047】
(6)の工程は、上記(3)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(6)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(3)の工程で編目が目移しされた第2針床上の3,7,11,15・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(6)の工程が終わると、次の(7)の工程へ進む。
(7)の工程は、上記(3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す、というものである。具体的には、(7)の工程では、上記(3)の工程で第2針床上の3,7,11,15・・・番目の編針へ目移しされた編目が、上記(6)の工程で形成された編目とともに、第1針床上の3,7,11,15・・・番目の編針へ移し戻される。そして、(7)の工程が終わると、次の(8)の工程へ進む。
【0048】
(8)の工程は、各第2使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第1不使用編針へ目移しする、というものであり、上記(3)の工程に対応するものである。具体的には、(8)の工程では、各第2使用編針に形成された編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第2使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、対向位置にある第1不使用編針へ目移しする。つまり、(3)の工程では、各第2使用編針で形成された編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされる。そして、目移ししないとされたものについては、第2使用編針に残され、目移しするとされたものについては、対向位置にある第1不使用編針へ目移しされる。より具体的には、(8)の工程では、上記(2)の工程で第2針床上の2,4,6,8,10・・・番目の各編針で形成された編目のうち、編幅の左側から奇数番目(2,6,10,14・・・)にあるものが、第2使用編針に残されつつ、同偶数番目(4,8,12,16・・・)にあるものが、対向位置にある第1不使用編針に目移しされる。そして、(8)の工程が終わると、次の(9)の工程へ進む。
【0049】
(9)の工程は、上記(8)の工程で第2使用編針に残された編目と上記(8)の工程で第1不使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものであり、上記(4)の工程に対応するものである。具体的には、(9)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(8)の工程で第2針床上の2,6,10,14・・・番目の編針に残された編目と、上記(8)の工程で第1針床上の4,8,12,16・・・番目の編針へ目移しされた編目とが、糸で交互にタックされて接結される。そして、(9)の工程が終わると、次の(10)の工程へ進む。
(10)の工程は、上記(8)の工程で編目が目移しされた各第1不使用編針で順次編目を形成する、というものであり、上記(6)の工程に対応するものである。具体的には、(10)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(8)の工程で編目が目移しされた第1針床上の4,8,12,16・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(10)の工程が終わると、次の(11)の工程へ進む。
【0050】
(11)の工程は、上記(8)の工程で編目が残された各第2使用編針で順次編目を形成する、というものであり、上記(5)の工程に対応するものである。具体的には、(11)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(8)の工程で編目が残された第2針床上の2,6,10,14・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(11)の工程が終わると、次の(12)の工程へ進む。
(12)の工程は、上記(8)の工程で第1不使用編針へ目移しされた編目を、目移しされる前の元の第2使用編針へ移し戻す、というものであり、上記(7)の工程に対応するものである。具体的には、(12)の工程では、上記(8)の工程で第1針床上の4,8,12,16・・・番目の編針へ目移しされた編目が、上記(10)の工程で形成された編目とともに、第2針床上の4,8,12,16・・・番目の編針へ移し戻される。そして、(12)の工程が終わると、次の(13)の工程へ進む。
【0051】
(13)の工程は、上記(6)の工程で形成されて上記(7)の工程で第1使用編針へ移された編目と、上記(10)の工程で形成されて上記(12)の工程で第2使用編針へ移された編目とを接結する、というものである。具体的には、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(6)の工程で第2針床上の3,7,11,15・・・番目の編針で形成されて上記(7)の工程で対向位置にある第1針床上の3,7,11,15・・・番目の編針へ移された編目と、上記(10)の工程で第1針床上の4,8,12,16・・・番目の編針で形成されて上記(12)の工程で対向位置にある第2針床上の4,8,12,16・・・番目の編針へ移された編目とが糸で交互にタックされて接結される。そして、(13)の工程が終わると、図3に示すような断面を有する7層編地が形成される。
【0052】
また、図3中の(1)の層は、最も前の層であって、上記(5)のニット工程で形成されるものであり、また、図3中の(2)の層は、前から2番目の層であって、上記(4)のタック工程で形成されるものであり、また、図3中の(3)の層は、前から3番目の層であって、上記(6)のニット工程で形成されるものであり、また、図3中の(4)の層は、前から4番目の層であって、上記(13)のタック工程で形成されるものであり、また、図3中の(5)の層は、前から5番目の層であって、上記(10)のニット工程で形成されるものであり、また、図3中の(6)の層は、前から6番目の層であって、上記(9)のタック工程で形成されるものであり、また、図3中の(7)の層は、最も後の層であって、上記(11)のニット工程で形成されるものである。
【0053】
つまり、上記(5)のニット工程は、最も前のニット層(図3中の(1)の層)を形成する工程であり、また、上記(6)のニット工程は、前から3番目のニット層(図3中の(3)の層)を形成する工程であり、また、上記(4)のタック工程は、最も前のニット層と前から3番目のニット層とを接結するタック層(図3中の(2)の層)を形成する工程である。
また、上記(10)のニット工程は、前から5番目のニット層(図3中の(5)の層)を形成する工程であり、また、上記(11)のニット工程は、最も後のニット層(図3中の(7)の層)を形成する工程であり、また、上記(9)のタック工程は、前から5番目のニット層と最も後のニット層とを接結するタック層(図3中の(6)の層)を形成する工程である。
【0054】
また、上記(13)のニット工程は、前から3番目のニット層と前から5番目のニット層とを接結するタック層(図3中の(4)の層)を形成する工程であって、前側の3層編地における最も後側の層と後側の3層編地における最も前側の層とを接結するタック層を形成する工程ということもできる。
また、上記(13)の工程において、上記(6)の工程で形成されて上記(7)の工程で第1使用編針へ移された編目(第1針床上の3,7,11,15・・・番目の編目)と、上記(10)の工程で形成されて上記(12)の工程で第2使用編針へ移された編目(第2針床上の4,8,12,16・・・番目の編目)とを糸で交互にタックして接結するからこそ、前側の3層編地における最も後側の層と後側の3層編地における最も前側の層とを接結することができ、これにより、十分な厚みを有する7層編地を形成することができるのである。
【0055】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、多層編地としての11層編地、およびその製造方法を示す。
図4および図5は、第2の実施の形態に係る多層編地としての11層編地の編成方法を示す編成用針図、図6は、第2の実施の形態に係る多層編地としての11層編地の各層を示す断面図である。
第2の実施の形態に係る多層編地としての11層編地は、横編機を使用して編成されるものであり、また、使用される横編機は、前後に対向配置された第1針床および第2針床を備え、また、第1針床上には、多数の編針が並設され、また、第2針床上にも、多数の編針が並設され、更に、第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で、編目を目移し可能に形成されているものである。
【0056】
そして、第2の実施の形態に係る11層編地は、第1針床上に5層編地を形成するとともに、第2針床上にも5層編地を編成し、第1針床上に形成した5層編地と第2針床上に形成した5層編地とを接結して、11層編地としたものである。
以下、第1針床を前側の針床とし、第2針床を後側の針床として、第2の実施の形態に係る11層編地およびその製造方法について、更に詳しく説明する。
ここで、第1使用編針、第1不使用編針、第2使用編針、第2不使用編針については、第1の実施の形態と同様である。
そして、第2の実施の形態に係る11層編地は、下記の(1)〜(21)の工程で編成される。また、図4および図5中のカッコ内の数字は、下記の(1)〜(21)の各工程に対応する。また、図4および図5中の(1)と(3)〜(11)の工程は、第1針床(前側の針床)上に5層編地を形成する工程であり、また、図4および図5中の(2)と(12)〜(20)の工程は、第2針床(後側の針床)上に5層編地を形成する工程であり、また、図5中の(21)の工程は、第1針床上に形成された5層編地と第2針床上に形成された5層編地とを接結する工程である。以下、各工程について具体的に説明する。
【0057】
(1)の工程は、各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(1)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、第1使用編針とされる第1針床上の1,3,5,7,9・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(1)の工程が終わると、次の(2)の工程へ進む。
(2)の工程は、各第2使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(2)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、第2使用編針とされる第2針床上の2,4,6,8,10・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(2)の工程が終わると、次の(3)の工程へ進む。
【0058】
(3)の工程は、各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。具体的には、(3)の工程では、各第1使用編針で形成された編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第1使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする。つまり、(3)の工程では、各第1使用編針で形成された編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされる。そして、目移ししないとされたものについては、第1使用編針に残され、目移しするとされたものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しされる。より具体的には、(3)の工程では、上記(1)の工程で第1針床上の1,3,5,7,9・・・番目の各編針で形成された編目のうち、編幅の左側から奇数番目(1,5,9,13・・・)にあるものが、第1使用編針に残されつつ、同偶数番目(3,7,11,15・・・)にあるものが、対向位置にある第2不使用編針に目移しされる。そして、(3)の工程が終わると、次の(4)の工程へ進む。
【0059】
(4)の工程は、上記(3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す、というものである。具体的には、(4)の工程では、上記(3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第2不使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す。つまり、(4)の工程では、上記(3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされる。そして、目移ししないとされたものについては、第2不使用編針に残され、目移しするとされたものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻される。より具体的には、(4)の工程では、上記(3)の工程で第2針床上の3,7,11,15・・・番目の編針へ目移しされた編目のうち、編幅の左側から奇数番目(3,11,19,27・・・)にあるものが、第2不使用編針に残されつつ、同偶数番目(7,15,23,31・・・)にあるものが、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻される。そして、(4)の工程が終わると、次の(5)の工程へ進む。
【0060】
(5)の工程は、上記(4)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(4)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを接結する、というものである。具体的には、(5)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(4)の工程で第2針床上の3,11,19,27・・・番目の編針に残された編目と、上記(4)の工程で第1針床上の7,15,23,31・・・番目の編針へ移し戻された編目とが、糸で交互にタックされて接結される。そして、(5)の工程が終わると、次の(6)の工程へ進む。
(6)の工程は、上記(4)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(6)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(4)の工程で編目が移し戻された第1針床上の7,15,23,31・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(6)の工程が終わると、次の(7)の工程へ進む。
【0061】
(7)の工程は、上記(4)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(7)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(4)の工程で編目が残された第2針床上の3,11,19,27・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(7)の工程が終わると、次の(8)の工程へ進む。
(8)の工程は、上記(6)の工程で第1使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。具体的には、(8)の工程では、上記(6)の工程で第1針床上の7,15,23,31・・・番目の編針に編目が、対向位置にある第2針床上の7,15,23,31・・・番目の編針へ目移しされる。そして、(8)の工程が終わると、次の(9)の工程へ進む。
【0062】
(9)の工程は、上記(3)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(9)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(3)の工程で編目が残された第1針床上の1,5,9,13・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(9)の工程が終わると、次の(10)の工程へ進む。
(10)の工程は、上記(9)の工程で第1使用編針に形成された編目と、上記(6)の工程で第1使用編針に形成され上記(8)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものである。具体的には、(10)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(9)の工程で形成された、第1針床上の1,5,9,13・・・番目の編目のうち、編幅の左側から偶数番目のものである、5,13,21,29・・・番目の編目と、上記(6)の工程で第1針床上の7,15,23,31・・・番目の編針に形成され、上記(8)の工程で対向位置にある第2針床上の7,15,23,31・・・番目の編針へ目移しされた編目とが、糸で交互にタックされて接結される。なお、上記の例では、上記(9)の工程で第1使用編針に形成された編目のうち編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと、上記(6)の工程で第1使用編針に形成され上記(8)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを交互に接結するようにしたが、上記(9)の工程で第1使用編針に形成された編目のうち編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものと、上記(6)の工程で第1使用編針に形成され上記(8)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを交互に接結するようにしてもよい。そして、(10)の工程が終わると、次の(11)の工程へ進む。
【0063】
(11)の工程は、上記(7)の工程で第2不使用編針に形成された編目と、上記(6)の工程で第1使用編針に形成され上記(8)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第1使用編針へ目移しする、というものである。具体的には、(11)の工程では、上記(7)の工程で形成された、第2針床上の3,11,19,27・・・番目の編目と、上記(6)の工程で形成され上記(8)の工程で目移しされた、第2針床上の7,15,23,31・・・番目の編目とが、第1針床上の3,7,11,15,19,23,27,31・・・番目の編針へ移し戻される。そして、(11)の工程が終わると、次の(12)の工程へ進む。
【0064】
(12)の工程は、各第2使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第1不使用編針へ目移しする、というものであり、上記(3)の工程に対応するものである。具体的には、(12)の工程では、各第2使用編針で形成された編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第2使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、対向位置にある第1不使用編針へ目移しする。つまり、(12)の工程では、各第2使用編針で形成された編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされる。そして、目移ししないとされたものについては、第2使用編針に残され、目移しするとされたものについては、対向位置にある第1不使用編針へ目移しされる。より具体的には、(12)の工程では、上記(2)の工程で第2針床上の2,4,6,8・・・番目の各編針で形成された編目のうち、編幅の左側から奇数番目(2,6,10,14・・・)にあるものが、第2使用編針に残されつつ、同偶数番目(4,8,12,16・・・)にあるものが、対向位置にある第1不使用編針に目移しされる。そして、(12)の工程が終わると、次の(13)の工程へ進む。
【0065】
(13)の工程は、上記(12)の工程で第1不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第2使用編針へ移し戻す、というものであり、上記(4)の工程に対応するものである。具体的には、(13)の工程では、上記(12)の工程で第1不使用編針へ目移しされた編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第1不使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、目移しされる前の元の第2使用編針へ移し戻す。つまり、(13)の工程では、上記(12)の工程で第1不使用編針へ目移しされた編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされる。そして、目移ししないとされたものについては、第1不使用編針に残され、目移しするとされたものについては、目移しされる前の元の第2使用編針へ移し戻される。より具体的には、(13)の工程では、上記(12)の工程で第1針床上の4,8,12,16・・・番目の編針へ目移しされた編目のうち、編幅の左側から奇数番目(4,12,20,28・・・)にあるものが、第1不使用編針に残されつつ、同偶数番目(8,16,24,32・・・)にあるものが、目移しされる前の元の第2使用編針へ移し戻される。そして、(13)の工程が終わると、次の(14)の工程へ進む。
【0066】
(14)の工程は、上記(13)の工程で第1不使用編針に残された編目と、上記(13)の工程で第2使用編針へ移し戻された編目とを接結する、というものであり、上記(5)の工程に対応するものである。具体的には、(14)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(13)の工程で第1針床上の4,12,20,28・・・番目の編針に残された編目と、上記(13)の工程で第2針床上の8,16,24,32・・・番目の編針へ移し戻された編目とが、糸で交互にタックされて接結される。そして、(14)の工程が終わると、次の(15)の工程へ進む。
(15)の工程は、上記(13)の工程で編目が移し戻された各第2使用編針で順次編目を形成する、というものであり、上記(6)の工程に対応するものである。具体的には、(15)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(13)の工程で編目が移し戻された第2針床上の8,16,24,32・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(15)の工程が終わると、次の(16)の工程へ進む。
【0067】
(16)の工程は、上記(13)の工程で編目が残された各第1不使用編針で順次編目を形成する、というものであり、上記(7)の工程に対応するものである。具体的には、(16)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(13)の工程で編目が残された第1針床上の4,12,20,28・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(16)の工程が終わると、次の(17)の工程へ進む。
(17)の工程は、上記(15)の工程で第2使用編針に形成された編目を、対向位置にある第1不使用編針へ目移しする、というものであり、上記(8)の工程に対応するものである。具体的には、(17)の工程では、上記(15)の工程で形成された、第2針床上の8,16,24,32・・・番目の編目が、第1針床上の8,16,24,32・・・番目の編針へ目移しされる。そして、(17)の工程が終わると、次の(18)の工程へ進む。
【0068】
(18)の工程は、上記(12)の工程で編目が残された各第2使用編針で順次編目を形成する、というものであり、上記(9)の工程に対応するものである。具体的には、(18)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(12)の工程で編目が残された第2針床上の2,6,10,14・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(18)の工程が終わると、次の(19)の工程へ進む。
(19)の工程は、上記(18)の工程で第2使用編針に形成された編目と、上記(15)の工程で第2使用編針に形成され上記(17)の工程で対向位置にある第1不使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものであり、上記(10)の工程に対応するものである。具体的には、(19)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(18)の工程で形成された、第2針床上の2,6,10,14・・・番目の編目のうち、編幅の左側から偶数番目のものである、6,14,22,30・・・番目の編目と、上記(15)の工程で形成され上記(17)の工程で目移しされた、第1針床上の8,16,24,32・・・番目の編目とが、糸で交互にタックされて接結される。なお、上記の例では、上記(18)の工程で第2使用編針に形成された編目のうち編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと、上記(15)の工程で第2使用編針に形成され上記(17)の工程で対向位置にある第1不使用編針へ目移しされた編目とを交互に接結するようにしたが、上記(18)の工程で第2使用編針に形成された編目のうち編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものと、上記(15)の工程で第2使用編針に形成され上記(17)の工程で対向位置にある第1不使用編針へ目移しされた編目とを交互に接結するようにしてもよい。そして、(19)の工程が終わると、次の(20)の工程へ進む。
【0069】
(20)の工程は、上記(16)の工程で第1不使用編針に形成された編目と、上記(15)の工程で第2使用編針に形成され上記(17)の工程で対向位置にある第1不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第2使用編針へ目移しする、というものであり、上記(11)の工程に対応するものである。具体的には、(20)の工程では、上記(16)の工程で形成された、第1針床上の4,12,20,28・・・番目の編目と、上記(15)の工程で形成され上記(17)の工程で目移しされた、第1針床上の8,16,24,32・・・番目の編目とが、第2針床上の4,8,12,16,20,24,28,32・・・番目の編針へ移し戻される。そして、(20)の工程が終わると、次の(21)の工程へ進む。
【0070】
(21)の工程は、上記(7)の工程で第2不使用編針に形成され上記(11)の工程で対向位置にある第1使用編針へ目移しされた編目と、上記(16)の工程で第1不使用編針に形成され上記(20)の工程で対応位置にある第2使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものである。具体的には、(21)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(7)の工程で形成され上記(11)の工程で目移しされた、第1針床上の3,11,19,27・・・番目の編目と、上記(16)の工程で形成され上記(20)の工程で目移しされた、第2針床上の4,12,20,28・・・番目の編目とが、糸で交互にタックされて接結される。そして、(21)の工程が終わると、図6に示すような断面を有する11層編地が形成されるのである。
【0071】
また、図6中の(1)の層は、最も前の層であって、上記(9)のニット工程で形成されるものであり、また、図6中の(2)の層は、前から2番目の層であって、上記(10)のタック工程で形成されるものであり、また、図6中の(3)の層は、前から3番目の層であって、上記(6)のニット工程で形成されるものであり、また、図6中の(4)の層は、前から4番目の層であって、上記(5)のタック工程で形成されるものであり、また、図6中の(5)の層は、前から5番目の層であって、上記(7)のニット工程で形成されるものであり、また、図6中の(6)の層は、前から6番目の層であって、上記(21)のタック工程で形成されるものであり、また、図6中の(7)の層は、前から7番目の層であって、上記(16)のニット工程で形成されるものであり、また、図6中の(8)の層は、前から8番目の層であって、上記(14)のタック工程で形成されるものであり、また、図6中の(9)の層は、前から9番目の層であって、上記(15)のニット工程で形成されるものであり、また、図6中の(10)の層は、前から10番目の層であって、上記(19)のニット工程で形成されるものであり、また、図6中の(11)の層は、最も後の層であって、上記(18)のニット工程で形成されるものである。
【0072】
つまり、上記(6)のニット工程は、前から3番目のニット層(図6中の(3)の層)を形成する工程であり、また、上記(7)のニット工程は、前から5番目のニット層(図6中の(5)の層)を形成する工程であり、また、上記(5)のタック工程は、前から3番目のニット層と前から5番目のニット層とを接結するタック層(図6中の(4)の層)を形成する工程である。
また、上記(9)のニット工程は、最も前のニット層(図6中の(1)の層)を形成する工程であり、また、上記(10)のタック工程は、最も前のニット層と前から3番目のニット層とを接結するタック層(図6中の(2)の層)を形成する工程である。
【0073】
また、上記(16)のニット工程は、前から7番目のニット層(図6中の(7)の層)を形成する工程であり、また、上記(15)のニット工程は、前から9番目のニット層(図6中の(9)の層)を形成する工程であり、また、上記(14)のタック工程は、前から7番目のニット層と前から9番目のニット層とを接結するタック層(図6中の(8)の層)を形成する工程である。
また、上記(18)のニット工程は、最も後のニット層(図6中の(11)の層)を形成する工程であり、また、上記(19)のタック工程は、最も後のニット層と前から9番目のニット層とを接結するタック層(図6中の(10)の層)を形成する工程である。
【0074】
また、上記(21)のタック工程は、前から5番目のニット層と前から7番目のニット層とを接結するタック層(図6中の(6)の層)を形成する工程であって、前側の5層編地における最も後側の層と後側の5層編地における最も前側の層とを接結するタック層を形成する工程ということもできる。
また、上記(21)の工程において、上記(7)の工程で形成されて上記(11)の工程で第1使用編針へ移された編目(第1針床上の3,11,19,27・・・番目の編目)と、上記(16)の工程で形成されて上記(20)の工程で第2使用編針へ移された編目(第2針床上の4,12,20,28・・・番目の編目)とを糸で交互にタックして接結するからこそ、前側の5層編地における最も後側の層と後側の5層編地における最も前側の層とを接結することができ、これにより、十分な厚みを有する11層編地を形成することができるのである。
【0075】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、多層編地としての15層編地、およびその製造方法を示す。
図7ないし図9は、第3の実施の形態に係る多層編地としての15層編地の編成方法を示す編成用針図、図10は、第3の実施の形態に係る多層編地としての15層編地の各層を示す断面図である。
第3の実施の形態に係る多層編地としての15層編地は、横編機を使用して編成されるものであり、また、使用される横編機は、前後に対向配置された第1針床および第2針床を備え、また、第1針床上には、多数の編針が並設され、また、第2針床上にも、多数の編針が並設され、更に、第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で、編目を目移し可能に形成されているものである。
【0076】
そして、第3の実施の形態に係る15層編地は、第1針床上に7層編地を形成するとともに、第2針床上にも7層編地を編成し、第1針床上に形成した7層編地と第2針床上に形成した7層編地とを接結して、15層編地としたものである。
以下、第1針床を前側の針床とし、第2針床を後側の針床として、第3の実施の形態に係る15層編地およびその製造方法について、更に詳しく説明する。
ここで、第1使用編針、第1不使用編針、第2使用編針、第2不使用編針については、第1の実施の形態と同様である。
そして、第3の実施の形態に係る15層編地は、下記の(1)〜(29)の工程で編成される。また、図7ないし図9中のカッコ内の数字は、下記の(1)〜(29)の各工程に対応する。また、図7および図8中の(1)と(3)〜(15)の工程は、第1針床(前側の針床)上に7層編地を形成する工程であり、また、図7ないし図9中の(2)と(16)〜(29)の工程は、第2針床(後側の針床)上に7層編地を形成する工程であり、また、図9中の(29)の工程は、第1針床上に形成された7層編地と第2針床上に形成された7層編地とを接結する工程である。以下、各工程について具体的に説明する。
【0077】
(1)の工程は、各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(1)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、第1使用編針とされる第1針床上の1,3,5,7,9・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(1)の工程が終わると、次の(2)の工程へ進む。
(2)の工程は、各第2使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(2)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、第2使用編針とされる第2針床上の2,4,6,8,10・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(2)の工程が終わると、次の(3)の工程へ進む。
【0078】
(3)の工程は、各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。具体的には、(3)の工程では、各第1使用編針で形成された編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第1使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする。つまり、(3)の工程では、各第1使用編針で形成された編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされる。そして、目移ししないとされたものについては、第1使用編針に残され、目移しするとされたものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しされる。より具体的には、(3)の工程では、上記(1)の工程で第1針床上の1,3,5,7,9・・・番目の各編針で形成された編目のうち、編幅の左側から奇数番目(1,5,9,13・・・)にあるものが、第1使用編針に残されつつ、同偶数番目(3,7,11,15・・・)にあるものが、対向位置にある第2不使用編針へ目移しされる。そして、(3)の工程が終わると、次の(4)の工程へ進む。
【0079】
(4)の工程は、上記(3)の工程で第1使用編針に残された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。具体的には、(4)の工程では、上記(3)の工程で第1使用編針に残された編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第1使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。つまり、(4)の工程では、上記(3)の工程で第1使用編針に残された編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされる。そして、目移ししないとされたものについては、第1使用編針に残され、目移しするとされたものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しされる。より具体的には、(4)の工程では、上記(3)の工程で第1針床上の1,5,9,13・・・番目の編針に残された編目のうち、編幅の左側から奇数番目(1,9,17,25・・・)にあるものが、第1使用編針に残されつつ、同偶数番目(5,13,21,29・・・)にあるものが、対向位置にある第2不使用編針へ目移しされる。そして、(4)の工程が終わると、次の(5)の工程へ進む。
【0080】
(5)の工程は、上記(4)の工程で第1使用編針に残された編目と、上記(4)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものである。具体的には、(5)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(4)の工程で第1針床上の1,9,17,25・・・番目の編針に残された編目と、上記(4)の工程で第2針床の3,7,11,15・・・番目の編針へ目移しされた編目とが、糸で交互にタックされて接結される。そして、(5)の工程が終わると、次の(6)の工程へ進む。
(6)の工程は、上記(4)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(6)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(4)の工程で編目が残された第1針床上の1,9,17,25・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(6)の工程が終わると、次の(7)の工程へ進む。
【0081】
(7)の工程は、上記(4)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(7)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(4)の工程で編目が目移しされた第2針床上の5,13,21,29・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(7)の工程が終わると、次の(8)の工程へ進む。
(8)の工程は、上記(7)の工程で第2不使用編針に形成された編目を、対向位置にある第1使用編針へ目移しする、というものである。具体的には、(8)の工程では、上記(7)の工程で形成された、第2針床上の5,13,21,29・・・番目の編目が、第1針床上の5,13,21,29・・・番目の編針へ目移しされる。そして、(8)の工程が終わると、次の(9)の工程へ進む。
【0082】
(9)の工程は、上記(3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す、というものである。具体的には、(9)の工程では、上記(3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第2不使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す。つまり、(9)の工程では、上記(3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされる。そして、目移ししないとされたものについては、第2不使用編針に残され、目移しするとされたものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻される。より具体的には、(9)の工程では、上記(3)の工程で第2針床上の3,7,11,15・・・の編針へ目移しされた編目のうち、編幅の左側から奇数番目(3,11,19,27・・・)にあるものが、第2不使用編針に残されつつ、同偶数番目(7,15,23,31・・・)にあるものが、目移しされる前の元の第1使用編針である、第1針床上の7,15,23,31・・・番目の編針へ移し戻される。そして、(9)の工程が終わると、次の(10)の工程へ進む。
【0083】
(10)の工程は、上記(9)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(9)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを接結する、というものである。具体的には、(10)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(9)の工程で第2針床上の3,11,19,27・・・番目の編針に残された編目と、上記(4)の工程で第1針床上の7,15,23,31・・・番目の編針へ移し戻された編目とが、糸で交互にタックされて接結される。そして、(10)の工程が終わると、次の(11)の工程へ進む。
(11)の工程は、上記(9)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(11)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(9)の工程で編目が移し戻された第1針床上の7,15,23,31・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(11)の工程が終わると、次の(12)の工程へ進む。
【0084】
(12)の工程は、上記(9)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する、というものである。具体的には、(12)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(9)の工程で編目が残された第2針床上の3,11,19,27・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(12)の工程が終わると、次の(13)の工程へ進む。
(13)の工程は、上記(11)の工程で第1使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする、というものである。具体的には、(13)では、上記(11)の工程で第1針床上の7,15,23,31・・・番目の編針に形成された編目が、対向位置にある第2針床上の7,15,23,31・・・番目の編針へ目移しされる。そして、(13)の工程が終わると、次の(14)の工程へ進む。
【0085】
(14)の工程は、上記(7)の工程で第2不使用編針に形成され上記(8)の工程で対向位置にある第1使用編針へ目移しされた編目と、上記(11)の工程で第1使用編針に形成され上記(13)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものである。具体的には、(14)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(7)の工程で第2不使用編針に形成され上記(8)の工程で対向位置にある第1使用編針へ目移しされた、第1針床上の5,13,21,29・・・番目の編目と、上記(11)の工程で第1使用編針に形成され上記(13)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた、第2針床上の7,15,23,31・・・番目の編目とが、糸で交互にタックされて接結される。そして、(14)の工程が終わると、次の(15)の工程へ進む。
【0086】
(15)の工程は、上記(12)の工程で第2不使用編針に形成された編目と、上記(11)の工程で第1使用編針に形成され上記(13)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第1使用編針へ目移しする、というものである。具体的には、(15)の工程では、上記(12)の工程で第2不使用編針に形成された、第2針床上の3,11,19,27・・・番目の編目と、上記(11)の工程で第1使用編針に形成され上記(13)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた、第2針床上の7,15,23,31・・・番目の編目とが、第1針床上の3,7,11,15,19,23,27,31・・・番目の編針へ目移しされる。そして、(15)の工程が終わると、次の(16)の工程へ進む。
【0087】
(16)の工程は、各第2使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第1不使用編針へ目移しする、というものであり、上記(3)の工程に対応するものである。具体的には、(16)の工程では、各第2使用編針で形成された編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第2使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、対向位置にある第1不使用編針へ目移しする。つまり、(16)の工程では、各第2使用編針で形成された編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされる。そして、目移ししないとされたものについては、第2使用編針に残され、目移しするとされたものについては、対向位置にある第1不使用編針へ目移しされる。より具体的には、(16)の工程では、上記(2)の工程で第2針床上の2,4,6,8・・・の各編針で形成された編目のうち、編幅の左側から奇数番目(2,6,10,14・・・)にあるものが、第2使用編針に残されつつ、同偶数番目(4,8,12,16・・・)にあるものが、対向位置にある第1不使用編針に目移しされる。そして、(16)の工程が終わると、次の(17)の工程へ進む。
【0088】
(17)の工程は、上記(16)の工程で第2使用編針に残された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第1不使用編針へ目移しする、というものであり、上記(4)の工程に対応するものである。具体的には、(17)の工程では、上記(16)の工程で第2使用編針に残された編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第2使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、対向位置にある第1不使用編針へ目移しする、というものである。つまり、(17)の工程では、上記(16)の工程で第2使用編針に残された編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされる。そして、目移ししないとされたものについては、第2使用編針に残され、目移しするとされたものについては、対向位置にある第1不使用編針へ目移しされる。より具体的には、(17)の工程では、上記(16)の工程で第2針床上の2,6,10,14・・・番目の編針に残された編目のうち、編幅の左側から奇数番目(2,10,18,26・・・)にあるものが、第2使用編針に残されつつ、同偶数番目(6,14,22,30・・・)にあるものが、対向位置にある第1不使用編針へ目移しされる。そして、(17)の工程が終わると、次の(18)の工程へ進む。
【0089】
(18)の工程は、上記(17)の工程で第2使用編針に残された編目と、上記(17)の工程で第1不使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものであり、上記(5)の工程に対応するものである。具体的には、(18)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(17)の工程で第2針床上の2,10,18,26・・・番目の編針に残された編目と、上記(17)の工程で第1針床の4,8,12,16・・・番目の編針へ目移しされた編目とが、糸で交互にタックされて接結される。そして、(18)の工程が終わると、次の(19)の工程へ進む。
(19)の工程は、上記(17)の工程で編目が残された各第2使用編針で順次編目を形成する、というものであり、上記(6)の工程に対応するものである。具体的には、(19)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(17)の工程で編目が残された第2針床上の2,10,18,26・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(19)の工程が終わると、次の(20)の工程へ進む。
【0090】
(20)の工程は、上記(17)の工程で編目が目移しされた各第1不使用編針で順次編目を形成する、というものであり、上記(7)の工程に対応するものである。具体的には、(20)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(17)の工程で編目が目移しされた第1針床上の6,14,22,30・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(20)の工程が終わると、次の(21)の工程へ進む。
(21)の工程は、上記(20)の工程で第1不使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2使用編針へ目移しする、というものであり、上記(8)の工程に対応するものである。具体的には、(21)の工程では、上記(20)の工程で形成された、第1針床上の6,14,22,30・・・番目の編目が、第2針床上の6,14,22,30・・・番目の編針へ目移しされる。そして、(21)の工程が終わると、次の(22)の工程へ進む。
【0091】
(22)の工程は、上記(16)の工程で第1不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第2使用編針へ移し戻す、というものであり、上記(9)の工程に対応するものである。具体的には、(22)の工程では、上記(22)の工程で第1不使用編針へ目移しされた編目のうち、編幅のいずれか一方側から奇数番目にあるものを、第1不使用編針に残しつつ、同偶数番目にあるものを、目移しされる前の元の第2使用編針へ移し戻す。つまり、(22)の工程では、上記(16)の工程で第1不使用編針へ目移しされた編目が、編幅のいずれか一方側から偶数番目にあるものと奇数番目にあるものとに区分けされ、奇数番目にある編目が、目移ししないものとされ、偶数番目にある編目が、目移しするものとされる。そして、目移ししないとされたものについては、第1不使用編針に残され、目移しするとされたものについては、目移しされる前の元の第2使用編針へ移し戻される。より具体的には、(22)の工程では、上記(16)の工程で第1針床上の4,8,12,16・・・の編針へ目移しされた編目のうち、編幅の左側から奇数番目(4,12,20,28・・・)にあるものが、第1不使用編針に残されつつ、同偶数番目(8,16,24,32・・・)にあるものが、目移しされる前の元の第2使用編針である、第2針床上の8,16,24,32・・・番目の編針へ移し戻される。そして、(22)の工程が終わると、次の(23)の工程へ進む。
【0092】
(23)の工程は、上記(22)の工程で第1不使用編針に残された編目と、上記(22)の工程で第2使用編針へ移し戻された編目とを接結する、というものであり、上記(10)の工程に対応するものである。具体的には、(23)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(22)の工程で残された、第1針床上の4,12,20,28・・・番目の編目と、上記(13)の工程で移し戻された、第2針床上の8,16,24,32・・・番目の編目とが、糸で交互にタックされて接結される。そして、(23)の工程が終わると、次の(24)の工程へ進む。
(24)の工程は、上記(22)の工程で編目が移し戻された各第2使用編針で順次編目を形成する、というものであり、上記(11)の工程に対応するものである。具体的には、(24)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(22)の工程で編目が移し戻された、第2針床上の8,16,24,32・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(24)の工程が終わると、次の(25)の工程へ進む。
【0093】
(25)の工程は、上記(22)の工程で編目が残された各第1不使用編針で順次編目を形成する、というものであり、上記(12)の工程に対応するものである。具体的には、(25)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(22)の工程で編目が残された、第1針床上の4,12,20,28・・・番目の各編針で、糸が順次ニットされて編目が形成される。そして、(25)の工程が終わると、次の(26)の工程へ進む。
(26)の工程は、上記(24)の工程で第2使用編針に形成された編目を、対向位置にある第1不使用編針へ目移しする、というものであり、上記(13)の工程に対応するものである。具体的には、(26)の工程では、上記(24)の工程で形成された、第2針床上の8,16,24,32・・・番目の編目が、対向位置にある第1針床上の8,16,24,32・・・番目の編針へ目移しされる。そして、(26)の工程が終わると、次の(27)の工程へ進む。
【0094】
(27)の工程は、上記(20)の工程で第1不使用編針に形成され上記(21)の工程で対向位置にある第2使用編針へ目移しされた編目と、上記(24)の工程で第2使用編針に形成され上記(26)の工程で対向位置にある第1不使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものであり、上記(14)の工程に対応するものである。具体的には、(27)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(20)の工程で第1不使用編針に形成され上記(21)の工程で対向位置にある第2使用編針へ目移しされた、第2針床上の6,14,22,30・・・番目の編目と、上記(24)の工程で第2使用編針に形成され上記(26)の工程で対向位置にある第1不使用編針へ目移しされた、第1針床上の8,16,24,32・・・番目の編目とが、糸で交互にタックされて接結される。そして、(27)の工程が終わると、次の(28)の工程へ進む。
【0095】
(28)の工程は、上記(25)の工程で第1不使用編針に形成された編目と、上記(24)の工程で第2使用編針に形成され上記(26)の工程で対向位置にある第1不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第2使用編針へ目移しする、というものであり、上記(15)の工程に対応するものである。具体的には、(28)の工程では、上記(25)の工程で第1不使用編針に形成された、第1針床上の4,12,20,28・・・番目の編目と、上記(24)の工程で第2使用編針に形成され上記(26)の工程で対向位置にある第1不使用編針へ目移しされた、第1針床上の8,16,24,32・・・番目の編目とが、第2針床上の4,8,12,16,20,24,28,32・・・番目の編針へ目移しされる。そして、(28)の工程が終わると、次の(29)の工程へ進む。
【0096】
(29)の工程は、上記(12)の工程で第2不使用編針に形成され上記(15)の工程で対向位置にある第1使用編針へ目移しされた編目と、上記(25)の工程で第1不使用編針に形成され上記(28)の工程で対応位置にある第2使用編針へ目移しされた編目とを接結する、というものである。具体的には、(29)の工程では、編幅のいずれか一方側から他方側へ向けて、上記(12)の工程で形成され上記(15)の工程で目移しされた、第1針床上の3,11,19,27・・・番目の編目と、上記(25)の工程で形成され上記(28)の工程で目移しされた、第2針床上の4,12,20,28・・・番目の編目とが、糸で交互にタックされて接結される。そして、(29)の工程が終わると、図10に示すような断面を有する15層編地が形成されるのである。
【0097】
また、図10中の(1)の層は、最も前の層であって、上記(6)のニット工程で形成されるものであり、また、図10中の(2)の層は、前から2番目の層であって、上記(5)のタック工程で形成されるものであり、また、図10中の(3)の層は、前から3番目の層であって、上記(7)のニット工程で形成されるものであり、また、図10中の(4)の層は、前から4番目の層であって、上記(14)のタック工程で形成されるものであり、また、図10中の(5)の層は、前から5番目の層であって、上記(11)のニット工程で形成されるものであり、また、図10中の(6)の層は、前から6番目の層であって、上記(10)のタック工程で形成されるものであり、また、図10中の(7)の層は、前から7番目の層であって、上記(12)のニット工程で形成されるものであり、また、図10中の(8)の層は、前から8番目の層であって、上記(29)のタック工程で形成されるものであり、また、図10中の(9)の層は、前から9番目の層であって、上記(25)のニット工程で形成されるものであり、また、図10中の(10)の層は、前から10番目の層であって、上記(23)のタック工程で形成されるものであり、また、図10中の(11)の層は、前から11番目の層であって、上記(24)のニット工程で形成されるものであり、また、図10中の(12)の層は、前から12番目の層であって、上記(27)のタック工程で形成されるものであり、また、図10中の(13)の層は、前から13番目の層であって、上記(20)のニット工程で形成されるものであり、また、図10中の(14)の層は、前から14番目の層であって、上記(18)のタック工程で形成されるものであり、また、図10中の(15)の層は、最も後の層であって、上記(19)のニット工程で形成されるものである。
【0098】
つまり、上記(6)のニット工程は、最も前のニット層(図10中の(1)の層)を形成する工程であり、また、上記(7)のニット工程は、前から3番目のニット層(図10中の(3)の層)を形成する工程であり、また、上記(5)のタック工程は、最も前のニット層と前から3番目のニット層とを接結するタック層(図10中の(2)の層)を形成する工程である。
また、上記(11)のニット工程は、前から5番目のニット層(図10中の(5)の層)を形成する工程であり、また、上記(12)のニット工程は、前から7番目のニット層(図10中の(7)の層)を形成する工程であり、また、上記(10)のタック工程は、前から5番目のニット層と前から7番目のニット層とを接結するタック層(図10中の(6)の層)を形成する工程である。
【0099】
また、上記(14)のタック工程は、前から3番目のニット層(図10中の(3)の層)と前から5番目のニット層(図10中の(5)の層)とを接結するタック層(図10中の(4)の層)を形成する工程である。
また、上記(19)のニット工程は、最も後のニット層(図10中の(15)の層)を形成する工程であり、また、上記(20)のニット工程は、前から13番目のニット層(図10中の(13)の層)を形成する工程であり、また、上記(18)のタック工程は、最も後のニット層と前から13番目のニット層とを接結するタック層(図10中の(14)の層)を形成する工程である。
【0100】
また、上記(24)のニット工程は、前から11番目のニット層(図10中の(11)の層)を形成する工程であり、また、上記(25)のニット工程は、前から9番目のニット層(図10中の(9)の層)を形成する工程であり、また、上記(23)のタック工程は、前から11番目のニット層と前から9番目のニット層とを接結するタック層(図10中の(10)の層)を形成する工程である。
また、上記(27)のタック工程は、前から13番目のニット層(図10中の(13)の層)と前から11番目のニット層(図10中の(11)の層)とを接結するタック層(図10中の(12)の層)を形成する工程である。
【0101】
また、上記(29)のタック工程は、前から7番目のニット層と前から9番目のニット層とを接結するタック層(図10中の(8)の層)を形成する工程であって、前側の7層編地における最も後側の層と後側の7層編地における最も前側の層とを接結するタック層を形成する工程ということもできる。
また、上記(29)の工程において、上記(12)の工程で形成され上記(15)の工程で目移しされた、第1針床上の3,11,19,27・・・番目の編目と、上記(25)の工程で形成され上記(28)の工程で目移しされた、第2針床上の4,12,20,28・・・番目の編目とを糸で交互にタックして接結するからこそ、前側の7層編地における最も後側の層と後側の7層編地における最も前側の層とを接結することができ、これにより、十分な厚みを有する15層編地を形成することができるのである。
【0102】
(他の実施の形態)
なお、第1から第3の各実施の形態では、接結を、タックにより行ったが、接結は、タックに限られるものではなく、ニットとしてもよい。
具体的には、例えば、第1の実施の形態において、(4)の工程で、第1針床上の1,5,9,13・・・番目の編目と、第2針床上の3,7,11,15・・・番目の編目とを接結するに際し、これらを糸で交互にニットするようにしてもよい。
また、第1の実施の形態では、7層編地を、第2の実施の形態では、11層編地を、第3の実施の形態では、15層編地を示したが、多層編地は、7層、11層、15層の3つに限られるものではなく、例えば、第1針床で3層編地を形成するとともに、第2針床で1層編地を形成し、これらを接結して、5層編地としてもよく、また、第1針床で5層編地を形成するとともに、第2針床で1層編地を形成し、これらを接結して、7層編地としてもよく、また、第1針床で7層編地を形成するとともに、第2針床で1層編地を形成し、これらを接結して、9層編地としてもよく、また、第1針床で3層編地を形成するとともに、第2針床で5層編地を形成し、これらを接結して、9層編地としてもよく、また、第1針床で3層編地を形成するとともに、第2針床で7層編地を形成し、これらを接結して、11層編地としてもよく、また、第1針床で5層編地を形成するとともに、第2針床で7層編地を形成し、これらを接結して、13層編地としてもよい。
【0103】
また、編地全体を、7層、11層、15層などの多層としてもよく、また、平編みやゴム編みといった一層構造である従来編地の一部のみを、7層、11層、15層などの多層としてもよい。
【実施例】
【0104】
以下、実施例により、本発明を更に詳しく説明する。
第1の実施の形態で示した製造方法に従い、下記の横編機、弾性糸および非弾性糸を使用して、多層編地としての7層編地を編成した。
使用した横編機:編幅180cm、編針密度7ゲージ(7本/2.54cm)の自動制御横編機(株式会社島精機製作所製無縫製編機SWG−V)
使用した弾性糸:ポリウレタン(280デニール)/ウーリーポリエステル(70デニール)ダブルカバリング糸×2本
使用した非弾性糸:ポリエステルマルチフィラメント糸(760デニール/96フィラメント)×2本
また、7層編地について、編成時に使用する針の間隔を変更して接結点間距離を長くし、厚さ付与効果を調べた。
【0105】
ここで、伸縮糸の編地厚さ付与効果を見るため、表面糸および接結糸の組み合わせを、図11の(1)および(2)とした。
図12の結果から、図11の(1)の組み合わせでは、厚さに変化は見られなかった。針間隔を大きくするに従い、編目が大きくなり魚網状の編地表面となるのみであった。
それに対して、図12の(2)の組み合わせでは、針間隔を大きくすることにより、厚みを増加させる良好な結果が得られた。
さらに多層編地としての7層編地に対して、第1の実施の形態における(5)の工程および(11)の工程において、接結部一段分(1コース)に対して表面部を連続して複数段(複数コース)編み込んで片袋状に編成する引き返し編みを、繰り返し行うことによって、7層編地の編地表面片側もしくは両側に、さらに凸部分を付与することで、凹凸編地を編成した。
【0106】
ここで、接結糸と表面糸を同じ弾性糸:ポリウレタン(280デニール)/ウーリーポリエステル(70デニール)ダブルカバリング糸×2本、で編成した編地両面に、凸部を付与した編地について、引き返し編みの目数毎の厚さ変化を調べた。その結果を図13に示す。針間隔1本で編地両面に引き返し編目数28目の条件で試作した編地では、初期の1/2以上の厚さを保持できることが分かった。
本発明の多層編地は、クッション材等の厚みと圧縮回復性を必要とする製品や、部分的にクッション性が要求される関節痛等の痛みの軽減用サポーター製品等の部材として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1の実施の形態に係る多層編地としての7層編地の編成方法を示す編成用針図。
【図2】第1の実施の形態に係る多層編地としての7層編地の編成方法を示す編成用針図。
【図3】第1の実施の形態に係る多層編地としての7層編地の各層を示す断面図。
【図4】第2の実施の形態に係る多層編地としての11層編地の編成方法を示す編成用針図。
【図5】第2の実施の形態に係る多層編地としての11層編地の編成方法を示す編成用針図。
【図6】第2の実施の形態に係る多層編地としての11層編地の各層を示す断面図。
【図7】第3の実施の形態に係る多層編地としての15層編地の編成方法を示す編成用針図。
【図8】第3の実施の形態に係る多層編地としての15層編地の編成方法を示す編成用針図。
【図9】第3の実施の形態に係る多層編地としての15層編地の編成方法を示す編成用針図。
【図10】第3の実施の形態に係る多層編地としての15層編地の各層を示す断面図。
【図11】実施例における編成糸の組み合わせを示す図。
【図12】実施例における使用針間隔別の編地の厚さを示す図。
【図13】実施例における凹凸付与編地の目数毎の厚さ変化を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して編成される多層編地であって、
第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とし、
第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とし、
nを、1以上の整数とし、
1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けし、
1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けし、
(A1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(A2)各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、
(A3)上記(A2)の工程で第1使用編針に残された編目と上記(A2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、
(A4)上記(A2)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(A5)上記(A2)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、
(A6)上記(A2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程と、
によって編成される層を含むことを特徴とする多層編地。
【請求項2】
対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して編成される多層編地であって、
第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とし、
第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とし、
nを、1以上の整数とし、
1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けし、
1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けし、
(B1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(B2)各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、
(B3)上記(B2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程と、
(B4)上記(B3)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(B3)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを接結する工程と、
(B5)上記(B3)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(B6)上記(B3)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、
(B7)上記(B5)の工程で第1使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、
(B8)上記(B2)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(B9)上記(B8)の工程で第1使用編針に形成された編目と、上記(B5)の工程で第1使用編針に形成され上記(B7)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、
(B10)上記(B6)の工程で第2不使用編針に形成された編目と、上記(B5)の工程で第1使用編針に形成され上記(B7)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第1使用編針へ目移しする工程と、によって編成される層を含むことを特徴とする多層編地。
【請求項3】
対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して編成される多層編地であって、
第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とし、
第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とし、
nを、1以上の整数とし、
1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けし、
1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けし、
(C1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(C2)各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、
(C3)上記(C2)の工程で第1使用編針に残された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、
(C4)上記(C3)の工程で第1使用編針に残された編目と、上記(C3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、
(C5)上記(C3)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(C6)上記(C3)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、
(C7)上記(C6)の工程で第2不使用編針に形成された編目を、対向位置にある第1使用編針へ目移しする工程と、
(C8)上記(C2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程と、
(C9)上記(C8)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(C8)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを接結する工程と、
(C10)上記(C8)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(C11)上記(C8)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、
(C12)上記(C10)の工程で第1使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、
(C13)上記(C6)の工程で第2不使用編針に形成され上記(C7)の工程で対向位置にある第1使用編針へ目移しされた編目と、上記(C10)の工程で第1使用編針に形成され上記(C12)の工程で対向する第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、
(C14)上記(C11)の工程で第2不使用編針に形成された編目と、上記(C10)の工程で第1使用編針に形成され上記(C12)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第1使用編針へ目移しする工程と、によって編成される層を含むことを特徴とする多層編地。
【請求項4】
対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して多層編地を編成する方法であって、
第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とし、
第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とし、
nを、1以上の整数とし、
1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けし、
1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けし、
(A1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(A2)各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、
(A3)上記(A2)の工程で第1使用編針に残された編目と上記(A2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、
(A4)上記(A2)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(A5)上記(A2)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、
(A6)上記(A2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程と、を含むことを特徴とする多層編地の編成方法。
【請求項5】
対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して多層編地を編成する方法であって、
第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とし、
第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とし、
nを、1以上の整数とし、
1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けし、
1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けし、
(B1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(B2)各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、
(B3)上記(B2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程と、
(B4)上記(B3)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(B3)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを接結する工程と、
(B5)上記(B3)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(B6)上記(B3)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、
(B7)上記(B5)の工程で第1使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、
(B8)上記(B2)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(B9)上記(B8)の工程で第1使用編針に形成された編目と、上記(B5)の工程で第1使用編針に形成され上記(B7)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、
(B10)上記(B6)の工程で第2不使用編針に形成された編目と、上記(B5)の工程で第1使用編針に形成され上記(B7)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第1使用編針へ目移しする工程と、を含むことを特徴とする多層編地の編成方法。
【請求項6】
対向配置された第1針床および第2針床を備えるとともに第1針床上の編針と第2針床上の編針との間で編目を目移し可能に形成された緯編機を使用して多層編地を編成する方法であって、
第1針床上に並設されている多数の編針のうち、第1針床側の編地の編成に使用する編針を、第1使用編針とし、第1針床側の編地の編成には使用しない編針を、第1不使用編針とし、
第2針床上に並設されている多数の編針のうち、第2針床側の編地の編成に使用する編針を、第2使用編針とし、第2針床側の編地の編成には使用しない編針を、第2不使用編針とし、
nを、1以上の整数とし、
1本の第1使用編針とn本の第1不使用編針とが交互に繰り返されるように、第1針床上に並設されている多数の編針を、第1使用編針と第1不使用編針とに区分けし、
1本の第2使用編針とn本の第2不使用編針とが交互に繰り返されるように、かつ、第2使用編針が第1使用編針とは対向しないようずれた位置になるように、第2針床上に並設されている多数の編針を、第2使用編針と第2不使用編針とに区分けし、
(C1)各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(C2)各第1使用編針で形成された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、
(C3)上記(C2)の工程で第1使用編針に残された編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第1使用編針に残しつつ、目移しするものについては、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、
(C4)上記(C3)の工程で第1使用編針に残された編目と、上記(C3)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、
(C5)上記(C3)の工程で編目が残された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(C6)上記(C3)の工程で編目が目移しされた各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、
(C7)上記(C6)の工程で第2不使用編針に形成された編目を、対向位置にある第1使用編針へ目移しする工程と、
(C8)上記(C2)の工程で第2不使用編針へ目移しされた編目を、目移しするものと目移ししないものとに区分けし、目移ししないものについては、第2不使用編針に残しつつ、目移しするものについては、目移しされる前の元の第1使用編針へ移し戻す工程と、
(C9)上記(C8)の工程で第2不使用編針に残された編目と、上記(C8)の工程で第1使用編針へ移し戻された編目とを接結する工程と、
(C10)上記(C8)の工程で編目が移し戻された各第1使用編針で順次編目を形成する工程と、
(C11)上記(C8)の工程で編目が残された各第2不使用編針で順次編目を形成する工程と、
(C12)上記(C10)の工程で第1使用編針に形成された編目を、対向位置にある第2不使用編針へ目移しする工程と、
(C13)上記(C6)の工程で第2不使用編針に形成され上記(C7)の工程で対向位置にある第1使用編針へ目移しされた編目と、上記(C10)の工程で第1使用編針に形成され上記(C12)の工程で対向する第2不使用編針へ目移しされた編目とを接結する工程と、
(C14)上記(C11)の工程で第2不使用編針に形成された編目と、上記(C10)の工程で第1使用編針に形成され上記(C12)の工程で対向位置にある第2不使用編針へ目移しされた編目とを、対向位置にある第1使用編針へ目移しする工程と、を含むことを特徴とする多層編地の編成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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