説明

多層長尺テープ体が巻かれた新旧ロール材の交換方法

【課題】新旧ロール材に巻かれた多層長尺テープ体を繋ぎ合せて新旧ロール材の交換を行うこと。
【解決手段】搬送中の旧ロール材Sから巻き出された三層長尺テープ体SOT-1、SOT-2、SOT-3を把持し、切断した終端部の搬送方向断面において、各層を順に階段状の段部1u、2u、3uとなるように、かつ新ロール材Sから巻き出された三層長尺テープ体SNT-1、SNT-2、SNT-3の終端部の搬送方向断面において、段部1u、2u、3uに対して略点対称状な階段状の段部1t、2t、3tとなるようにカットする。同種の段部1t、2t、3tと段部1u、2u、3uとを両面テープTを挟みながら重ね合わせ、新旧ロール材S、Sの各同種層を別個に面接合し、繋ぎ合せることによって、新旧ロール材S、Sの交換を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれた多層長尺テープ体を搬送・連続処理する途中で、多層長尺テープ体の巻き分量が残り少くなったロール材(以下「旧ロール材」と称する)を、多層長尺テープ体の巻き分量が十分な非処理ロール材(以下「新ロール材」と称する)に、多層長尺テープ体を接合することにより交換する新旧ロール材の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ロール状に巻かれている長尺テープ体を、搬送し、一定の連続処理を行うロールトゥロールに係る製造装置(以下「ロールトゥロール製造装置」と称する)がある。
このロールトゥロール製造装置では、稼動中に、旧ロール材に巻かれている長尺テープ体の巻き分量が残り少なくなると、さらなる連続稼動のために、搬送・連続処理中の旧ロール材を、長尺テープ体の巻き分量が十分な新ロール材に交換する必要がある。その交換のための一例が、特許文献1に示されている。
特許文献1によれば、一層の長尺テープ体が巻かれた新旧ロール材の終端部の上面又は下面に両面テープを貼り付け、新旧ロール材に巻かれている長尺テープ体を面接合することによって双方を繋ぎ合わせて、新旧ロール材を交換し、搬送・連続処理を続行している。
【0003】
しかし、ロールトゥロール製造装置で搬送・連続処理される長尺テープ体は、一層のものばかりではない。長尺テープ体が多層の場合(以下、多層長尺テープ体という)もある。この多層長尺テープ体の場合、連続処理の仕様次第では、搬送・連続処理中に不具合が発生し工程が成り立たない場合がある。
例えば、固体高分子形燃料電池(POLYMER ELECTRODE FUEL CELL:以下「PEFC」と称する)に組み込む膜-電極接合体(MEMBRANE-ELECTRODE ASSEMBLY:以下「MEA」と称する)の、電解質膜と、電解質膜を担持するキャリアシートと、キャリアシートの下に配置されるスペーサ用の合紙と、からなる三層長尺テープ体がその例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−094472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の三層長尺テープ体を、特許文献1による方法で、終端部の周辺面同士を両面テープTによって単に最下面と最上面とを重ね合わせて面接合すると、連続処理の態様によって、搬送途中、例えば三層長尺テープ体の内の一層が枝分かれし、分離される箇所があると以降の工程が成り立たない不具合が発生する。
【0006】
以下、この不具合を、図10、図11を参照しながら説明する。
図10において、旧ロール材So(不図示)から巻き出される側の三層長尺テープ体SOTは、合紙SOT−1、キャリアシートSOT−2及び電解質膜SOT−3の一組からなり、新ロール材S(不図示)から巻き出される側の三層長尺テープ体SNTは、合紙SNT−1、キャリアシートSNT−2及び電解質膜SNT−3の一組からなる。
【0007】
特許文献1の方法よる、三層長尺テープ体SOTと三層長尺テープ体SNTとを接合する(繋ぎ合わせる)ことによる新旧ロール材So、S(不図示)の交換方法によれば、図10に示すように、三層長尺テープ体SOTの最下層の合紙SOT−1と、三層長尺テープ体SNTの最上層の電解質膜SNT−3と、を両面テープTによって面接合することになる。
【0008】
ところが、このようにして接合された三層長尺テープ体を下流に向けて搬送し、連続処理を行うと、図11に示すように、搬送途中に三層長尺テープ体SOT、SNTの一層を分離するための分離用ロール(不図示)で、合紙SOT−1と接合した電解質膜SNT−3のみが分離・搬送され、新ロール材Sからの三層長尺テープ体SNTの内、キャリアシートSNT-2及び合紙SNT-1が置き去りにされ、それ以上搬送されない不具合が生じることがある。このように、三層長尺テープ体SOTとSNTを構成する三層すべてが接合されない結果、新旧ロールS、Sの交換が成立せず以降の工程が成り立たないため、連続処理ができなくなる。
【0009】
他の例として、PEFCの製造工程に含まれる、電解質膜に触媒層を形成する触媒インク塗布工程がある。同工程では、触媒インクの電解質膜への塗布及びその後の乾燥に伴って、電解質膜の膨張および収縮による体積変化によって、電解質膜にシワが発生しないようする必要がある。そのため、同工程及びそれに続く乾燥工程では、電解質膜がキャリアシートに担持される。
しかるに、このキャリアシートが搬送途中で取り残されるようにして、電解質膜から触媒インク塗布前に分離されるのは好ましくないが、特許文献1の方法によれば、図11を参照して説明した上記の不具合と同様なことが起こる。
【0010】
また、別のPEFC製造工程では、すでに触媒インクが、例えばカソード側の電解質膜に塗布され触媒層が形成し終わった後のPEFCのMEA膜の端部を保護するために、矩形状の触媒層を額縁状に保護する窓枠付き保護シートを電解質膜に具備させ、さらにアノード側の電解質膜に触媒インクを塗布する場合や、さらにこの保護フィルムを担持するための保護フィルム用キャリアシートを使用する場合もある。
かかる場合も、保護シートやキャリアシートが、触媒インク塗布前の搬送途中で、電解質膜から取り残されるようにして分離されるのは好ましくないが、特許文献1の方法によれば、同様な不具合が起こる。
【0011】
そこで、本願発明者は、図12の断面図によって示唆されるように、新旧ロール材から巻き出される多層長尺テープ体SOT、SNTを構成する、同種の対応する長尺ワーク同士及び長尺シートが形成する各層同士(SNT−1とSOT−I、SNT−2とSOT−2、SNT−3とSOT−3といったように同種層同士)を接合する(繋ぎ合わせる)ことによって、新旧ロール材の交換を行う方法を模索し、鋭意検討の結果、本発明に係る新旧ロール材の交換方法を見出した。
【0012】
本発明は、搬送、処理中の多層長尺テープ体が巻かれている旧ロール材と、待機中の新ロール材とを、多層長尺テープ体の各層毎について、別個に面接合して繋ぎ合わせることによって、新旧ロール材を交換することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための、本発明に係る、多層長尺ワークが巻かれた新旧ロール材の交換方法を、以下の(発明の態様)に例示する。(4)項は、当該方法を実施するための装置の一態様である。
(発明の態様)
以下の発明の態様において、(1)、(2)及び(3)項は、請求項1、2及び3に相当する。
【0014】
(1)旧ロール材から巻き出される多層長尺テープ体の搬送・連続処理の途中で、該多層長尺テープ体を把持しながら切断して終端部を作り、該終端部を、新ロール材から巻き出される同種の多層長尺テープ体の終端部に接合することによって新旧ロール材を交換する方法であって、前記旧ロール材及び前記新ロール材は、少なくとも一枚の長尺ワークと、該長尺ワークを担持又は保護し、かつ、搬送途中で、前記長尺ワークから枝分かれし、分離される長尺シートと、が重ね合わされた同種の前記多層長尺テープ体が巻かれたものであり、前記長尺ワーク及び前記長尺シートの終端部の各層が一つの段部を成す階段形状を形成し、かつ、前記段部の各上面に接着材を配置した多層長尺テープ体を巻いた新ロール材を準備する工程と、前記旧ロール材の前記多層長尺テープ体の終端部の各層に、前記階段形状と略点対称な階段形状の段部を加工して形成する工程と、前記旧ロール材及び前記新ロール材から巻き出される多層長尺テープ体の同種の層同士の前記段部が別個に重ね合わされ、前記接着材によって貼り合わせられて面接合する工程とを含むことを特徴とする新旧ロール材交換方法。
【0015】
(1)項に係る方法は、同一種の多層長尺テープ体が巻かれている新ロール材と旧ロール材から巻き出され、かつ接合されるべき当該多層長尺テープ体の両終端部の各層の搬送方向に沿った断面形状の双方が略点対称な階段状の各段部を形成するように、該各層を加工し、前記多層長尺テープ体の同一種の前記各段部同士を各層ごと重ね合わせて面接合することによって、旧ロール材の前記多層長尺テープ体が搬送かつ連続処理されている途中で、新旧ロールの交換を可能にすることを特徴とする。
【0016】
以下、上記(1)項の内容に沿って、本発明の態様をさらに説明する。
本項によれば、長尺ワークと長尺シートからなる多層長尺テープ体が巻かれた新旧ロール材について、当該搬送途中で、長尺シートを枝分かれし、分離し、連続して一定の処理をする装置を用いた新旧ロール材の交換方法において、新旧ロール材からの二本の多層長尺テープ体の双方の終端部を、階段状かつ略点対称状になるようにそれぞれカットし、両面テープのような接着材によって新旧ロール材の多層長尺テープ体を面接合するようにする。このとき、新旧ロール材から巻き出される多層長尺テープ体の、同種層同士を、当該終端部において、オーバーラップするように両面テープのような接着材で貼り合わせる。これにより、搬送途中で枝分かれ(分岐)が生じることにより、ある層(特に長尺シート)が、多層長尺テープ体から枝分かれし、分離しても、以降の搬送経路において、残りの多層長尺テープ体は、同種層ごとそのまま共に、搬送可能となる。
【0017】
新旧ロール材から巻き出される多層長尺テープ体の両終端部に形成された階段状段部の位置関係を「略点対称状」としたが、「略」とあるのは、厳密な、例えばミクロン単位の点対称状の位置関係(位置決め)は本態様では不要なためである。また、「点対称状」としたのは、多層長尺テープ体の両終端部を多段ハーフカッターのような切断手段を適用するに際し、ある程度、切断条件を設定することが量産上、好ましいからである。すなわち、無作為に階段状の部分を形成するのではなく、一定形状の階段状段部を常に形成することにより、旧ロール材の一層の長尺テープ体が、新ロール材の二層、或いはそれ以上に跨って重なり合ったり、或いは、両面テープによる面接合に係る面積が変動することで、当該搬送・一定処理が不安定になることを防ぐことができる。
【0018】
「連続処理」は、例えば、PEFCのMEAの触媒層を形成するための触媒インク塗布及び触媒インクの乾燥に係る処理を指す。この場合には、長尺ワークは、PEFCのMEAの必須構成要素である電解質膜を指し、長尺シートは、該電解質膜を担持するキャリアシート及び/又は合紙(スペーサ)を指す。また、一定の処理は、例えば、該電解質膜上に触媒層を形成するための、触媒インク塗布及びその触媒インク塗布後の乾燥を含む触媒塗布に係る処理を指す。この触媒塗布処理において、連続的にキャリアシート及び/又は合紙を剥がしながら、触媒塗布を電解質膜に対して行うことができる。
【0019】
また、本願明細書における「新旧ロール材の交換」は、搬送中の旧ロール材から巻き出されている多層長尺テープ体と、待機中の新ロール材から巻き出される多層長尺テープ体とを、接合する(繋ぎ合わせる)ことによるものであり、自動車のタイヤ交換のように旧ロール材をそっくり新ロール材に入れ替えるものではない。したがって、新旧ロール材交換方法は、新ロール材から巻き出される多層長尺テープ体を、旧ロールから巻き出される多層長尺テープ体とを接合する方法、新ロール材から巻き出される多層長尺テープ体を、旧ロールから巻き出される多層長尺テープ体とを接合する方法または繋ぎ合わせる方法とも表現し得る。
【0020】
(2)前記多層長尺テープ体が、燃料電池の電解質膜、該電解質膜のキャリアシート、及び合紙の順に重ねて巻かれ、上記搬送途中で、前記合紙が枝分かれし、分離されることを特徴とする(1)に記載の新旧ロール材交換方法。
【0021】
本項は、(1)に記載の新旧ロール材交換方法を、燃料電池の触媒インク塗布工程に適用する場合にあって、前記多層長尺テープ体の一態様を例示する。
この態様において、電解質膜と電解質膜を担持するキャリアシートがロール状に巻かれるときに、これらの膜及びシートが互いに擦れ合って損傷しないようにするための合紙を、触媒インク塗布前に枝分かれし分離されることを特徴とする。従来の技術では、このように、多層長尺テープ体の一層が分離されると、他の層はそれ以上搬送されずに置き去りにされ、以降の工程が成り立たなかったが、この不具合を本態様によって解決することができる。
【0022】
(3)前記多層長尺テープ体が、燃料電池の電解質膜を担持するキャリアシート、触媒層が形成された電解質膜、該電解質膜に形成され、かつ、前記触媒層と前記電解質膜の端部を保護する保護シート、及び該保護シートを担持する保護シート用キャリアシートの順に重ねて巻かれ、上記搬送途中で、前記キャリアシート及び/又は前記保護シートが枝分かれし、分離されることを特徴とする(1)に記載の新旧ロール材交換方法。
【0023】
本項は、(1)に記載の新旧ロール材交換方法を、燃料電池の触媒インク塗布工程に適用する場合にあって、前記多層長尺テープ体の他の一態様を例示する。この態様において、電解質膜を担持するキャリアシート及び/又は前記触媒層と前記電解質膜の端部を保護する保護シートを担持する保護シート用キャリアシートが、触媒インク塗布前に枝分かれして分離されることを特徴とする。本項も、前項と同様にして、従来の技術で起こりえる不具合を本態様によって解決することができる。
【0024】
(4)新ロール材と旧ロール材に同種の多層長尺テープが巻かれている状態で、前記多層長尺テープを搬送中の前記旧ロール材を、静止状態の新ロール材に交換するための交換装置であって、前記新ロール材から巻き出される前記多層長尺テープの終端部の各層が、あらかじめ前記搬送方向に沿って第1階段形状の段部に形成され、かつ、該段部の上面に接着材が固着され、かつ、前記新ロール材の前記終端部を、前記多層長尺テープの長尺方向が前記搬送方向に沿うようにバキューム吸引固定する第1バキューム吸引手段と、前記テープ搬送を一旦停止し、前記旧ロール材から巻き出される前記多層長尺テープを、前記多層長尺テープの搬送方向に沿うように配置し、かつ、鉛直上方から押圧アームの押圧面でバキューム吸引固定する第2バキューム吸引手段と、該第2バキューム吸引手段によって前記押圧面に吸引固定された前記多層長尺テープに、前記第1階段形状と略点対称の第2階段形状が形成されるように、該第2階段形状の段部の高さと同じ高さの複数の刃先が上流方向から段々低くなるように設定された階段状カッターと、該階段状カッターの最も高い刃先が前記押圧面に接するまで前記押圧アームを鉛直下方に駆動する第1駆動手段と、該第1駆動手段の駆動後に、前記押圧アームよりも前記搬送方向下流において、前記多層長尺テープを切断する切断カッターと、前記第1バキューム吸引手段によって固定された前記終端部に形成された前記第1階段形状の前記段部を、前記階段状カッターによって形成された前記第2階段形状の前記段部に、前記多層長尺テープの同種の層が重なり合う位置まで移動する位置決め手段と、前記押圧アームを鉛直下方に駆動して、前記第1階段形状の前記段部と前記第2階段形状の前記段部とを面接触させて、前記接着材によって、前記新旧ロール材から巻き出される前記多層長尺テープを面接合する第2駆動手段とを含むことを特徴とする新旧ロール材交換装置。
本項に例示した装置によれば、(1)項から(3)項のいずれか1項に係る方法を実施することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、搬送・連続処理中の同種の多層長尺テープ体が巻かれている旧ロール材を新ロール材同士の交換を、当該多層の各層毎、別個に面接合し繋ぎ合せることにより可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係る三層長尺テープ体が巻かれた新旧ロール材の交換方法が、適用可能なMEAの製造装置(以下「三層長尺テープ体用MEA製造装置」と称する)の概略斜視図である。
【図2】図1に示した装置の、三層長尺テープ体の巻出駆動部を、本実施形態に係る新旧ロール材の交換方法を実施する装置に入れ替えた、構成及びその動作を説明するための概略断面図である。
【図3】本実施形態に係る新旧ロール材から巻き出される三層長尺テープ体の接合を実施する装置及びその動作を説明するための概略断面図である。
【図4】図2及び図3に示された装置の動作を説明するためのフローである。
【図5】図2及び図3に示された装置による新旧ロール材から巻き出される三層長尺テープ体の好適な接合方法を説明するための概略断面図のフローである。
【図6】(a)は、図5に示された新旧ロール材の多層長尺テープ体の接合後の概略断面図であって、(b)は、本実施形態によって、従来の不具合が解決された状態を説明するための概略断面図である。
【図7】本実施例に係る、四層長尺テープ体が巻かれた新旧ロール材の交換方法が適用される四層長尺テープ体用MEA製造装置の概略斜視図である。
【図8】(a)、(b)及び(c)は、本実施例に係る、新旧ロール材の交換に関し、特に新旧ロール材のそれぞれからの四層長尺テープ体の接合前後について説明するための概略断面図である。
【図9】本実施例の新旧ロール材の交換方法によって接合された、図8の(c)で示した四層長尺テープ体を、図7に示した四層長尺テープ体用MEA製造装置に搬送したときに、従来の不具合が解決された状態を説明するための概略断面図である。
【図10】従来の新旧ロール材の交換方法を説明するための、新旧ロール材から巻き出された三層長尺テープ体を示す概略断面図である。
【図11】従来の新旧ロール材の交換方法によって生じる不具合を説明するための新旧ロール材から巻き出された三層長尺テープ体を示す概略断面図である。
【図12】上記不具合についての解決手段を示唆する、新旧ロール材の三層長尺テープ体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)を、添付図面を参照しながら説明する。図示した各装置、各部材は、一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物、同一部材を表す。また、装置、部材の各寸法、各比率は、実寸法、実比率を反映したものではない。
【0028】
図1は、三層長尺テープ体用MEA製造装置15の概略斜視図である。
本実施形態に係る新旧ロール材の交換方法は、図1の矢印Bで示す断面境界線(鎖線)より左部分の三層長尺テープ体の巻出駆動部M1を、図2及び図3に示す巻出駆動部1に付け替えて実施される。
【0029】
搬送・連続処理される三層長尺テープ体は、図5に示されるように、旧ロール材So、新ロール材Soからそれぞれ巻き出される、電解質膜SOT−3、SNT−3と、キャリアシートSOT−2、SNT−2と、合紙SOT−1、SNT−1と、からなるものと、電解質膜SOT−3、SNT−3と、キャリアシートSOT−2、SNT−2と、合紙SOT−1、SNT−1とからなるものを以下に説明する方法によって、接合する(繋ぎ合わせる)ことによって製造される。
【0030】
電解質膜SOT−3、SNT−3は、最終的にPEFC内のMEAに含まれるが、キャリアシートSOT−2、SNT−2と、合紙SOT−1、SNT−1は、最終的にPEFCに含まれず、搬送途中で枝分かれし、分離される。本願明細書では、前者のような最終製品に含まれる長尺体を「長尺ワーク」と称し、後者のような途中で、枝分かれし、分離される長尺体を「長尺シート」と称する。
また、長尺ワークと長尺シートとを重ね合わせたN層の長尺テープ体をロール状に巻いたものをN層長尺テープ体(Nは二以上の整数)と称する。
【0031】
さらに、図1を参照しながら、三層長尺テープ体用MEA製造装置15について、以下説明する。
図1に示され三層長尺テープ体用MEA製造装置15は、第1スプライサ2、第1アキュームA1(R4、R5、R6)、ターレットT0の面に対し垂直に取り付けられ、かつ回転可能な旧ロール材W用ロールR1及び新ロール材W用ロールR3を具備する巻出駆動部M1と、ダイコータ4、支持ロールR7と、乾燥炉5と、第2スプライサ6、第2アキュームA2(R8、R9、R10)、触媒層S形成済みのロール材S用ロールR11、及び合紙SOT−1´を巻き出す巻出ロールR12を具備する巻取駆動部M2と、を有する。
【0032】
第1スプライサ2は、三層長尺テープ体SOT、NTのカット及び接合時、又は、工程異常、ロット異常等の非常時に、三層長尺テープ体SOT、NTを挟持(把持)して、三層長尺テープ体SOT、NTが搬送方向に飛ばされないことを防止しながら、新旧ロール材の交換動作を補助する。
第1アキュームA1は、ロールR5を鉛直上下方向に移動することで、三層長尺テープ体SOT、NTの張力調整と搬送速度調整を行う。
ダイコータ4は、図示しないインクタンクから触媒インクを受け取り、ダイコータ4の下端のノズル部Nから触媒インクを、支持ロールR7によってバックアップ支持されたキャリアシートSOT−2、SNT−2に担持された電解質膜SOT−3、SNT−3に向けて一定間隔で吐出して、一定膜厚の矩形状の触媒層Sを、電解質膜SOT−3、SNT−3に間欠的に形成する。
【0033】
乾燥炉5は、ダイコータ4によって形成された触媒層Sの溶媒分、水分等を図示しないヒータによって蒸発させる。
第2スプライサ6と第2アキュームA2の動作は、第1スプライサ2と第1アキュームA1の上記動作と同様であるため、その説明を省略する。
巻取駆動部M2には、上部ターレットT1、下部ターレットT2とが備えられており、それぞれの面に対し垂直に、ロールR11及びR13と、R12及びR14が配置されている。
ロールR11は、ロール12から巻き出される新たな合紙SOT-1´をスペーサとして、キャリアシートSOT−2、SNT−2に担持されかつ触媒層Sが形成された電解質膜SOT−3、SNT−3と共に巻き取り、ロール材Swを作製する。
【0034】
次に、上流側のターレットT0に備え付けられた旧ロール材S又は新ロール材Sに関し説明する。
旧ロール材Sに巻かれている合紙SOT−1が略鉛直下方に向けて、旧ロール材Sから分離しながら搬送させられ、ロールR2によって巻き取られる。一方、合紙SOT−1から分離したキャリアシートSO−2と電解質膜SOT−3は、下流方向に搬送され、連続処理されてゆく。
【0035】
このようにして、旧ロール材Sは搬送・連続処理(図1の装置15では、触媒インク塗布、乾燥等の連続処理)が続行されてゆくが、一定のタイミングで、旧ロール材Sの三層長尺テープ体SOTの残量が少なくなったときに、旧ロール材Sを新ロール材Sに交換しなければならない。
そこで、本実施形態に係る、三層長尺テープ体SOTとSNTとを接合する(繋ぎ合わせる)ことによる新旧ロール材交換方法が必要となる、この方法は、図2及び図3に示された新旧ロール材交換装置1を用いて実施する。以下、この装置1の構成及び動作を中心に説明する。
【0036】
まず、図1の矢印Bの左側に示された三層長尺テープ体用MEA製造装置15の巻出駆動部Mを、図2に示された新旧ロール材交換装置1に入れ替える。
図2に示される新旧ロール材交換装置1は、ストッカー9Sに配置された新ロール材S及び階段状ハーフカッター12を備えた直方体ブロック体11を含む基台9と、鉛直下方に刃先が向くように配置された切断カッター13と、鉛直下方に押し付け面が対向するようにして配置された押し付けアーム14と、旧ロール材Soと、旧ロール材Soから巻き出されて搬送される三層長尺テープ体SOT、又はSNTを搬送方向に沿ってガイドするロールr2、r3、r4、r5、r6及びr7、並びに合紙SOT−1、NT−1を巻き取る巻取ロールr8を含む。
【0037】
新ロール材Sは、その軸心が嵌合可能なストッカー9Sの上に配置されている。このとき、図5(c)に示すように、新ロール材Sから巻き出された三層長尺テープ体SNTの終端部の上面が、階段状の段部1t、2t及び3tを形成するように予め加工されている。そして、図2に示されるように、この終端部は、直方体状ブロック材11の頂面で、バキューム吸着固定されて、三層長尺テープ体SNTの終端部と、旧ロール材Soからの三層長尺テープ体SOTの終端部とが接合されるまで、その状態で待機する。
【0038】
階段状ハーフカッター12は、図5(b)に示すように、鉛直上下方向に変位可能な三枚の連続したカッター刃が一体化されており、その切り込み方向が、三層長尺テープ体SOTの長尺方向に対して垂直になるように、かつ、切り込み幅が、三層長尺テープ体SOTの幅より広くになるように形成されている。また、同図に示すように、階段状ハーフカッター12の三枚の連続したカッターの刃先の高さは、搬送方向に向かって階段状に徐々に低くなるように、加えて、その高さの段差が三層長尺テープ体SOTの各層SOT−3、SOT−2、SOT−1の膜厚に略等しくなるように設定されている。
【0039】
さらに、図4に示すフローチャートの各ステップの順に、図2、3及び5を参照しながら、三層長尺テープ体SOT、SNTを接合する(繋ぎ合わせる)ことによる新旧ロール材S、Sの交換に関連する当該装置1の動作を説明する。なお、以下の動作は、図示しないCPU(中央処理装置)が必要な命令を発し、適宜、該CPUからの命令に従う図示しないロボットが必要な動作を補助する。これにより、新旧ロール材S、Sの交換の自動化を図ることができる。
【0040】
<図4に示すステップS1;減速開始(アキューム加速)・停止工程>
図示しないセンサが、ロール軸に固定されている旧ロール材Soの外径面の端部位置を監視する。該センサが、旧ロール材Soの外径が所定値に達し、三層長尺テープ体WOTの巻き残量が少ないことを感知すると、図2に示すアキュームA1のうちロールr5が鉛直上方に加速移動させられ、図3に示すロールr5の位置に配置される。そのとき、三層長尺テープ体SOTの搬送速度が減じられる。このとき、一時的に、図2に示すスプライサSP1、SP2によって三層長尺テープ体SOTを挟持(把持)し搬送されないように固定する。
【0041】
<図4に示すステップS2;押し付けアームの押し付け(ハーフカット・吸着入)工程>
その後、図5の(b)に示すように、押し付けアーム14の下面14Uで三層長尺テープ体SOTをバキューム吸着させながら、押し付けアーム14を鉛直下方に変位させ、下面14Uを、三層長尺テープ体SOTを階段状ハーフカッター12の最も高い刃の先端に到達させる。
<図4に示すステップS3;旧ロール材の三層長尺テープ体の切断工程>
そして、上記の押し付けアーム14の動作にやや遅れたタイミングで、図2に示す切断カッター13を鉛直下方に変位させて、三層長尺テープ体SOTを切断する。
<図4に示すステップS4;ハーフカット剥がし工程>
次に、切断された三層長尺テープ体SOTの切断片を、図示しないバキューム手段により吸引して廃棄する。このようにして、図5の(c)に示す階段状の段部3u、2u及び1uが、旧ロール材Sから巻き出される三層長尺テープ体SOTの終端部に形成される。
<図4に示すS5;アーム押し付け戻し工程>
次に、押し付けアーム14を鉛直上方に変位させて、図2に示す元の位置に戻す。このとき、階段状の段部3u、2u及び1uが形成された三層長尺テープ体WOTは、押し付けアーム14の下面14Uに吸着したままにする。
【0042】
<図4に示すS6;新ロール材Wの三層長尺テープ体WNTの供給前進工程>
予め階段状の段部3t、2t及び1tが形成された新ロール材の三層長尺テープ体SNTが、直方体ブロック11の頂面でバキューム吸着されているが、次に、その階段状の段部3t、2t及び1tのそれぞれの面に両面テープTが貼られる。さらに、両面テープTの上面側のシールも剥離され接着面を露出し、新ロール材Sの三層長尺テープ体SNTに形成された階段状の段部3t、2t及び1tが、ハーフカット剥がし工程S4で形成された旧ロール材Sの三層長尺テープ体SOTの階段状の段部3u、2u及び1uとについて、同種の層同士が面接合し、貼り合わせられるような位置に、基台9を水平移動して位置決めする。
【0043】
<図4に示すS7;アーム押し付け(接合、吸着切)工程>
さらに、図3に示すように、押し付けアーム14を鉛直下方に移動し、その下面を直方体ブロック体11の上面に押し付けて、新旧ロール材S、Sから巻き出される三層長尺テープ体SOTとSNTの終端部を、略点対称に形成されている階段状の段部3t、2t及び1tと、階段状の段部3u、2u及び1uとが、重ね合わされるようにして接合される。このとき重ね合わされる層同士は、同種のものである。
この後、直方体ブロック11の頂面の、三層長尺テープ体SNTのバキューム吸着を停止させる。
【0044】
<図4に示すS8;アーム押し付け戻し工程>
次に、押し付けアーム14を鉛直上方に変位させて、図2に示された元の位置に戻す。
<図4に示すS9;加速開始(アキューム減速)・停止工程>
最後に、図3で示すように、鉛直下方に、ロールr4、r5、r6で構成されるアキュームA1のロールr5を押し下げて、図2に示す元の位置にまで移動し停止させ、そして、必要に応じて、スプライサSP1、SP2の三層長尺テープ体SOT、SNTとの挟持状態を解放する。その後、旧ロール材Sをロールr1から脱着し、ロールr1に新ロール材Sを配置する。また、ストック9Sには、新たな別の新ロール材Sを配置し、新ロール材Sを、次の新旧ロール交換時まで同様にして待機させる。
このようにして、三層長尺テープ体のSOTとSNTとが接合されて、新旧ロール交換がされ、新たな三層長尺テープ体Sの搬送・連続処理を続行することが可能となる。
【0045】
三層長尺テープ体Sに関し、図3及び図6(b)に示した分離ロールr7の地点で、以降の触媒インク塗布に不要なため触媒インク塗布工程前に、合紙SOT−1と合紙SNt−1の接合体が鉛直下方に枝分かれし、分離される。一方、残った、電解質膜SOT−3と電解質膜SNT−3の接合体と、この接合体を担持するキャリアシートSOT−2とキャリアシートSNT−2の接合体とからなる二層長尺テープ体Sw´は、さらに上流方向に搬送・連続処理されてゆく。
このように、ロールr7の地点における動作から、三層長尺テープ体SOTとSNTと接合する(繋ぎ合わせる)ことによって実施される本実施形態に係る新旧ロール材S、Sの交換方法によって、従来技術の課題が解決されることが分かる。
【実施例】
【0046】
図7を参照して、上記実施形態で説明した新旧ロール材の交換方法を、さらに多層の長尺テープ体が巻かれた新旧ロール材の交換の際にも適用可能なことを示す実施例を以下に説明する。
図7は、本実施例で用いる四層長尺テープ体用MEA製造装置150の斜視図である。本実施例では、この四層長尺テープ体用MEA製造装置150の旧ロール材Vの四層長尺テープ体VOTが巻かれている巻出ロールR1の代わりに、図2及び図3を参照して上述した新旧ロール材交換装置1を取り付ける。新旧ロール材V、Vの交換に係る繋ぎ合わせの基本動作は、既述の本実施形態で示した内容と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0047】
本実施形態の、四層長尺テープ体用MEA製造装置150における、搬送・連続処理物は、図8の(a)及び(b)に示されるように、新旧ロール材V、Vそれぞれの、電解質膜担持用キャリアシートVOT-4、VNT-4と、同キャリアシーに担持された電解質膜VOT-3、VNT-3と、同電解質膜を保護する窓枠状に形成された保護フィルムVOT-3、VNT-3と、同保護フィルムを担持する保護フィルム用キャリアシート[合紙(スペーサシート)としても機能する]VOT-1、VNT-1と、からなる四層長尺テープ体VOT、VNTである。
ここで、長尺ワークは、電解質膜VOT-3、VNT-3及び保護フィルムVOT-3、VNT-3であり、長尺シートは、電解質膜担持用キャリアシートVOT-4、VNT-4及び保護フィルム用キャリアシートVOT-1、VNT-1である。
前述した通り、長尺ワークは、PEFCの単位セルに最終的に組み込まれるが、長尺シートは、当該装置150による搬送途中で、枝分かれし、分離される。
そして、四層長尺テープ体用MEA製造装置150は、電解質膜VOT-3、VNT-3の上に一定の間隔で形成される矩形状の触媒層Sと、この触媒層Sを窓枠状に取り囲み、かつ、窓枠状の保護フィルムVOT-3、VNT-3とからなる長尺状のMEAを製造する。
【0048】
本実施例では、図5(b)を参照しながら既述した階段状ハーフカッター12の刃数は、計四本必要となり(不図示)、新旧ロール材V、Vからの四層長尺テープ体VNT、VOTの終端部は、搬送方向に沿った断面において、それぞれ四段の階段状の段部が略点対称になるように形成される。
【0049】
その結果、本実施例に係る新旧ロール材交換によれば、図8(c)に示すように、、図8(a)に示した旧ロール材からの四層長尺テープ体VOTの階段状の段部u4、u3、u2、u1が、図8(b)に示した新ロール材からの四層長尺テープ体VNTに前記階段状の段部u4、u3、u2、u1に対して略点対称状に形成された階段状の段部t4、t3、t2、t1に貼られた両面テープTによって張り合わされて面接合され、四層長尺テープ体VOT、VNTが終端部で接合される(繋ぎ合わされる)ことによる新旧ロール材V、Vの交換が、上述した本実施形態の場合と同様にして好適に行われる。
【0050】
さらに、図9を参照しながら、本実施例による動作を説明する。
図9は、本実施例に係る新旧ロール材交換によって、経時的に(左図から右図にかけて)、四層長尺テープ体VOT、VNTから、2本の長尺シートが1本ずつ、枝分かれし、分離する態様を説明するための概略的な断面図(図7の一部に相当)である。
まず、図9の左側の断面図に示すように、VOT−4、VNT−4の接合体の長尺シートである保護フィルム用キャリアシートVOT-1、VNT-1が、鉛直下方に向けて、枝分かれして、分離される。
続く、一定時間の搬送動作後、図9の右側の断面図に示すように、ロールR16が分離用ロールとして機能し、電解質膜担持用キャリアシートVOT-4、VNT-4も枝分かれして、分離されてゆく。一方、これらの長尺シートが分離された後、電解質膜用保護フィルムVOT-2及びVNT-2、電解質膜VOT-3、VNT-3からなる二層長尺ワークを得る。
【0051】
さらに、この二層長尺ワークは、引き続き、乾燥ロール21の外周面に接しながら搬送され、触媒インクタンク16からの触媒インクを受けたダイコータ17により、アノード側の触媒インクが電解質膜VOT-3、VNT-3に塗布されて、アノード側の触媒層Sが電解質膜VOT-3、VNT-3の上に形成される。そして、さらに乾燥ゾーン22を通過することで、触媒層S中の水分、溶媒分等が蒸発させられる。そして、最後にロールR21を境に、電解質膜VOT-3、VNT-3からなる二層長尺ワークが乾燥ロール21から離れ、矢印Cの方向に搬送される(以降の動作は既述の実施形態のものと同様であるので、その説明を省略する)。
【0052】
以上より、本実施例によれば、新旧ロール材に巻かれた多層長尺テープ体が、より多層化された、このような四層品のものであっても(本実施例では特に、長尺シートの分離タイミングが二層で異なっているような場合であっても)、好適に、新旧ロール材の交換が行われることが分かる。
【0053】
尚、本発明は、上述の実施形態・実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、さらに多層の、例えば五層以上の長尺テープ体が巻かれた新旧ロール材の交換も、本発明に係る方法によって、同様にして、層の総数と同数の刃を有する階段状ハーフカッターによって、五段の階段状の段部を形成して、新旧ロール材からの長尺ワーク及び長尺シートについて、同じ層が終端部で重なるようにして両面テープのような接着材によって接合すればよい。
【0054】
多層長尺テープ体の終端部に対して、階段状ハーフカッター12を使用したが、カミソリ刃のような薄い一枚刃で、各層を階段状の段部ができるように切り落とすようにしてもよい。この場合は各層厚に対応したリミッタ手段をカミソリ刃と協働するようにして設け、切り込みすぎを防止し、かつ、段部の奥行き長さを管理するためにカミソリ刃の動きを制御するようにする。また、各層が、可撓性かつ耐熱性を備えたセラミック、金属、これらの複合材料、その他の長尺テープ体であってもよい。かかるとき、カッターやカミソリ刃の他に、ニクロム線のような電熱線(加熱線)又は超音波カッターを切断手段として適宜使用することもできる。
【0055】
新旧ロール材からの多層長尺テープ体を層毎に接合する接着材として、両面テープを基本的に用いたが、熱可塑性又は熱硬化性の接着剤を、階段状の段部に適宜塗布して、その後ホットプレスを行い当該面接合を行うようにしてもよい。
【0056】
また、本発明に係る方法は、上記のような触媒塗布工程への適用に限定されるものではなく、広く、ロールトゥロール製造装置又は製造ラインの途中において、特に、処理されるべき残量が少なくなった旧ロール材を、新ロール材に交換し、連続処理を続ける製造・量産ラインに、本項に係る方法を適用することができる。また、旧ロール材の処理されるべき残量が少なくなった場合以外であっても、例えば、工程異常、ロット異常等の偶発的に起こりえるライン停止時に、必要に応じて旧ロール材を新ロール材に交換するときに同方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
So:旧ロール材、S:新ロール材、SOT-1、SOT-3:長尺シート、SOT-2:長尺ワーク、SOT、SNT:多層長尺テープ体、12:カッター、1t、2t、3t、1u、2u、3u:階段状の段部、T:接着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旧ロール材から巻き出される多層長尺テープ体の搬送・連続処理の途中で、該多層長尺テープ体を把持しながら切断して終端部を作り、該終端部を、新ロール材から巻き出される同種の多層長尺テープ体の終端部に接合することによって新旧ロール材を交換する方法であって、
前記旧ロール材及び前記新ロール材は、少なくとも一枚の長尺ワークと、該長尺ワークを担持又は保護し、かつ、搬送途中で、前記長尺ワークから枝分かれ、分離される長尺シートと、が重ね合わされた同種の前記多層長尺テープ体が巻かれたものであり、
前記長尺ワーク及び前記長尺シートの終端部の各層が一つの段部を成す階段形状を形成し、かつ、前記段部の各上面に接着材を配置した多層長尺テープ体を巻いた新ロール材を準備する工程と、
前記旧ロール材の前記多層長尺テープ体の終端部の各層に、前記階段形状と略点対称な階段形状の段部を加工して形成する工程と、
前記旧ロール材及び前記新ロール材から巻き出される多層長尺テープ体の同種の層同士の前記段部が別個に重ね合わされ、前記接着材によって貼り合わせられて面接合する工程と、
を含むことを特徴とする新旧ロール材交換方法。
【請求項2】
前記多層長尺テープ体が、燃料電池の電解質膜、該電解質膜のキャリアシート、及び合紙の順に重ねて巻かれ、前記搬送途中で、前記合紙が枝分かれし、分離されることを特徴とする請求項1に記載の新旧ロール材交換方法。
【請求項3】
前記多層長尺テープ体が、燃料電池の電解質膜を担持するキャリアシート、触媒層が形成された電解質膜、該電解質膜に形成され、かつ、前記触媒層と前記電解質膜の端部を保護する保護シート、及び該保護シートを担持する保護シート用キャリアシートの順に重ねて巻かれ、前記搬送途中で、前記キャリアシート及び/又は前記保護シートが枝分かれし、分離されることを特徴とする請求項1に記載の新旧ロール材交換方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−93642(P2011−93642A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247979(P2009−247979)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】