説明

多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大させる方法

本発明は、ピラクロストロビン、オリサストロビン、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-15メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミドからなる群より選択される少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)を、栄養成長期間の後に植物に施用することを含む、多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大させる方法に関する。さらに、本発明は、多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大させるための、ピラクロストロビン、オリサストロビン、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-15メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミドからなる群より選択される少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、オリサストロビン(orysastrobin)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、エネストロブリン(enestroburin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim-methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、オリサストロビン(orysastrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-15メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミドからなる群より選択される少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)を、栄養成長期間の後に植物に施用することを含む、多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大させる方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大させるための、ピラクロストロビン、オリサストロビン、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-15メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミドからなる群より選択される少なくとも1種のストロビルリン類(化合物A)の使用に関する。
【0003】
さらに、本発明は、多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大させるための、請求項14に定義される通りの少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)ならびに
(i) フルオピラム(fluopyram)、ボスカリド(boscalid)、フェンヘキサミド(fenhexamid)、メタラキシル(metalaxyl)、ジメトモルフ(dimethomorph)、フルオピコリド(fluopicolide)(ピコベンザミド(picobenzamid))、ゾキサミド(zoxamide)、マンジプロパミド(mandipropamid)、カルプロパミド(carpropamid)、N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-[2-(4'-トリフルオロメチルチオ)-ビフェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、ビキサフェン(bixafen)、N-[2-(1,3-ジメチルブチル)-フェニル]-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、セダキサン(sedaxane)、イソピラザム(isopyrazam)およびペンチオピラド(penthiopyrad)より選択されるカルボン酸アミド系;
(ii) シプロコナゾール(cyproconazole)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、フルシラゾール(flusi-lazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フルトリアホール(flutriafol)、イプコナゾール(ipconazole)、メトコナゾール(metconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、シアゾファミド(cyazofamid)、プロクロラズ(prochloraz)、エタボキサム(ethaboxam)およびトリアゾキシド(tri-azoxide)より選択されるアゾール系;
(iii) ファモキサドン(famoxadone)、フルアジナム(fluazinam)、シプロジニル(cyprodinil)、ピリメタニル(pyrimethanil)、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、イプロジオン(iprodione)、アシベンゾラル-S-メチル(acibenzolar-S-methyl)、プロキナジド(proquinazid)、キノキシフェン(quinoxyfen)、フェンピクロニル(fenpiclonil)、キャプタン(captan)、フェンプロピジン(fenpropidin)、カプタホール(captafol)およびアニラジン(anilazin)より選択される複素環化合物;
(iv) マンコゼブ(mancozeb)、メチラム(metiram)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、マネブ(maneb)、プロピネブ(propineb)、フルベンチアバリカルブ(flubenthiavalicarb)(ベンチアバリカルブ(benthiavalicarb))およびプロパモカルブ(propamocarb)より選択されるカルバメート系およびジチオカルバメート系;
(v) チオファネートメチル(thiophanate methyl)、クロロタロニル(chlorothalonil)、トリルフルアニド(tolylfluanid)およびフルスルファミド(flusulfamid)より選択される有機塩素化合物;
(vi) ボルドー組成物(Bordeaux composition)、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅および硫黄より選択される無機活性成分;
(vii) アメトクトラジン(ametoctradin)、スピロキサミン(spiroxamine)、シモキサニル(cymoxanil)、シフルフェナミド(cyflufenamid)、バリフェナール(valiphenal)、メトラフェノン(metrafenone)、ホセチルアルミニウム(fosetly-aluminium)およびジチアノン(dithianon)より選択される種々の化合物
からなる群より選択される少なくとも1種のさらなる活性成分(化合物B)を含む農薬混合物の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
窒素は種々の方法で植物に貯蔵され得る。植物における主な貯蔵形態は、無機硝酸塩、有機遊離アミノ酸およびタンパク質である。多くの一年生植物においては硝酸塩が重要な貯蔵形態であるが、木などの多年生植物においてはタンパク質および遊離アミノ酸が優先的な窒素貯蔵形態であると思われる。
【0005】
植物における遊離アミノ酸の蓄えは、アルギニン、アスパラギンおよびグルタミンが大部分を占める。遊離アミノ酸の蓄え全体においてどの遊離アミノ酸が支配的であるかは、主に植物の種に依存する。最近の研究で、遊離アミノ酸窒素の濃度が夏と比較して晩秋に高くなることが見いだされたが、これは窒素の冬季貯蔵において遊離アミノ酸が中心的役割を有することを示している。遊離アミノ酸とは異なり、可溶性タンパク質窒素の濃度は夏と秋の間に変化しないので、可能性タンパク質は窒素の冬季貯蔵に重要ではないと思われる。結論として、遊離アミノ酸が多年生植物における窒素の主要な貯蔵形態であると考えることができる。
【0006】
興味深いことに、アルギニンは窒素の供給力とは無関係に窒素貯蔵に使われ、これは、アルギニンが貯蔵および蓄積の両方に使用され得ることを示している。多くの植物がアルギニンを1つの可能な貯蔵窒素の形態として優先する1つの理由はその低いC/N比であると考えられ、そのため、アルギニンは、特にエネルギーが限られた環境において有効な貯蔵化合物となっている(Nordin and Naesholm; 1997; Nitrogen storage forms in nine boreal understorey plant species. Oecologia 110: 487-492)。
【0007】
窒素の貯蔵は、木質および樹皮などの広範な貯蔵組織を有する多年生植物種においてしばしば見いだすことができる。また、根および根茎などの地下構造も、栄養および水の取り込みに使用されると共に、栄養の貯蔵にも使用される。貯蔵組織の存在のために、多年生植物は、その時点での外部の栄養供給(ある種の成長条件下では限られている可能性がある)とは無関係に成長することが可能である。多くの研究が、特に春の発芽中の場合のような窒素の需要が非常に高い時期の窒素の利用可能性の重要性を実証している。
【0008】
一般に、遊離アミノ酸などの貯蔵窒素の増加は、植物の発達のさまざまな期間中に窒素の蓄えが利用できるという利点を有する。一年生植物とは対照的に、多年生植物ははるかに長く(典型的には1年よりも長く、最高では3000年以上に渡って)生存する。その結果、多年生植物は、その長年に渡る生存を可能にするための、また、冬またはある種のストレスがかかる期間などの休眠期間を生き延びるための特別な構造を発達させてきた。これらの構造は、貯蔵組織または貯蔵器官と記述することができる。典型的な例は、球根、塊茎、木質、樹皮、根および根茎である。とりわけ、それらの構造は、植物により貯蔵窒素の貯蔵のために使用される。
【0009】
温度気候において、次の春における植物の発達には秋の間の貯蔵窒素が重要であることがいくつかの研究により示されている。例えば、その時点での窒素の適用が低い場合には、モモにおける貯蔵窒素のレベルと次の春の新しい芽の成長との間に高い正の相関があることが見いだされている。結果として、貯蔵窒素のレベルが高いほど、次の成長期間の初期における植物の発達が良くなる。
【0010】
本発明の方法により使用されるストロビルリン類(化合物A)は、殺菌剤として、植物健康活性を有する化合物として、およびある場合には殺虫剤として知られている(例えば、EP-A 178 826、EP-A 278 595、EP-A 253 213、EP-A 254 426、EP-A 398 692、EP-A 477 631、EP-A 628 540、EP-A 280 185、EP-A 350 691、EP-A 460 575、EP-A 463 488、EP-A 382 375、EP-A 398 692、WO 93/15046、WO 95/18789、WO 95/24396、WO 95/21153、WO 95/21154、WO 96/01256、WO 97/05103、WO 97/15552、WO 97/06133、WO 01/82701、WO 03/075663、WO 04/043150およびWO 07/104660を参照されたい)。それらの殺有害生物作用およびそれらを製造する方法は一般に公知である。
【0011】
さらなる活性成分(化合物B)ならびにそれらの殺有害生物作用およびそれらの製造方法も一般に公知である。
【0012】
市販の化合物は、とりわけ、“The Pesticide Manual, 14th Edition, British Crop Protection Council (2006)”に記載されている。
【0013】
WO 04/1043150は、ストロビルリンおよびグリホセート誘導体を相乗活性を有する量で含む混合物により植物または種子を処理することを含む、グリホセート耐性マメ科植物の収穫高を増加させる方法に関する。
【0014】
WO 06/1089876には、活性成分としてネオニコチノイドならびにピラクロストロビンおよびボスカリドより選択される1または2種の殺菌剤を相乗効果を有する量で含む植物保護活性成分混合物、ならびに該混合物を施用することによる植物の健康を改善する方法が記載されている。
【0015】
WO 08/059053は、少なくともストロビルリンを施用することによる植物の乾燥バイオマスを増大させ、そのCO2固定を増大させる方法に関する。ここでは、ストロビルリン化合物が極端な温度、干ばつ、極端な湿気または日照などの非生物ストレスに対する植物の耐性の増大を誘導する可能性があり、その結果としてエネルギーを炭水化物またはタンパク質の形で貯蔵する植物の能力を改善する可能性があることが開示されている。しかしながら、多年生植物の貯蔵組織においてアルギニンなどの遊離アミノ酸レベルを増大させるためにストロビルリン類を使用することに関する示唆は与えられていない。
【0016】
US 09/0094712は、野生型の植物と比較して増大した窒素貯蔵能力を示すトランスジェニック植物の作成および使用のための方法および組成物が提供されている。該方法は、植物において単子葉植物に由来する植物性貯蔵タンパク質(VSP)の過剰発現を誘導することを含む。
【0017】
ストロビルリンの作用方式は、ミトコンドリア電子伝達鎖の複合体III(bc1複合体)における電子伝達の遮断によるミトコンドリア呼吸の阻害であり、それがこの必須の生理的過程の機能停止を引き起こす(Ammermann et al. 2000; BAS 500F - the new broad spectrum strobilurin fungicide. BCPC Conference, Pests & Diseases, 541-548)。
【0018】
ストロビルリン類は、優れた広範囲の殺菌活性を有するのみでなく、植物のバイオマスおよび収穫高を増大させることができることが既に文献により公知である(Koehle H. et al. 1997; Physiologische Einflusse des neuen Getreidefungizides Juwel auf die Ertragsbildung. Gesunde Pflanzen 49: 267-271)。収穫高の増大の理由の1つは、硝酸塩の同化の第1段階を触媒するNADH-硝酸レダクターゼ(NR)活性の短期的増大の結果であると考えられている(Glaab and Kaiser 1999; Increased nitrate reductase activity in leaf tissues after application of the fungicide Kresoxim-methyl. Planta 207: 442-448)。しかしながら、NRの活性化は一過性の硝酸塩レベルの増加をもたらすに過ぎず、したがって、植物の窒素同化における第1段階が律速段階である場合にのみ植物の成長を改善することが可能である。コムギ植物を農場で菌類の防除に通常使用される施量でピラクロストロビンにより処理した場合、葉への施用の後に亜硝酸塩およびアンモニアが蓄積された。しかしながら、この硝酸還元の増大はピラクロストロビンの1回の施用の後3晩しか持続せず、NRの活性に対するストロビルリンの効果が短期的であることが証明された。さらに、タンパク質の相対含有量およびC/N比のいずれもが、対照とピラクロストロビンにより処理された植物では異なっており、これは、付加的な取り込みおよび硝酸塩の還元が貯蔵窒素のレベルの増大ではなく成長の促進に使用されたことを示している(Koehle et al. 2001; Physiological effects of the strobilurin fungicide F500 on plants. 13th International Reinhardsbrunn Symposium, Friedrichsroda, Germany)。
【0019】
要約すると、これまでに知られている窒素代謝に対するピラクロストロビンの効果は、無機窒素の同化の非常に初期の段階(これは、実際に、集中的窒素需要の期間、例えば穀類の発芽期のボトルネックである)に限定されていた。成長の決定的な段階(特に胚珠が形成される時)におけるNRの一時的活性化は、施用の直後の成長期間中に一年生植物における収穫量を改善することができる。しかしながら、有機窒素の移動および貯蔵に対するストロビルリン類の影響、または多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルに対するその影響に関する指摘は現在まで存在しない。
【0020】
一年生作物とは異なり、多年生植物は、土壌からの窒素の取り込みおよび同化に対する環境条件がまだ好適でない早春に有機窒素(例えば遊離アミノ酸)を再可動化および移動させる。この課程はNRの活性化に関与しない。詳細は、TrompおよびOvaa (1971; Spring Mobilization of Storage Nitrogen in Isolated Shoot Sections of Apple. Physiol. Plant. 25: 16-22)による、春の発達の間の木における窒素化合物の可動化の過程ならびに芽から葉が出る間(during leafing-out of buds)の総窒素、タンパク質、可溶性窒素および可溶性アミノ酸の量の変化に関する記載を参照されたい。
【0021】
Millard (1988; The accumulation and storage of nitrogen by herbaceous plants. Plant, Cell and Environment 11: 1-8)は、窒素が1つの組織から可動化された後に別の組織の成長または維持に再使用されることが可能である場合に窒素が貯蔵されることを開示した。窒素の蓄積および貯蔵の結果が、特に一年生植物の生殖成長に関連して考察されている。それに加えて、この文献は、硝酸塩およびタンパク質が植物において最も頻繁に貯蔵される窒素の形態であると述べている。
【0022】
Liacerら(2008; Arginine and nitrogen storage. Current opinion in structural biology 18: 673-681)は、窒素が豊富である場合に、原核および真核酸素製造光合成生物体は、アルギニン生合成制御酵素N-アセチルグルタミン酸キナーゼ(NAGK)のフィードバック阻害を解除することにより窒素をアルギニンとして貯蔵することを提示している。
【0023】
しかしながら、上に挙げた刊行物は多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルに対してストロビルリン類が効果を有する可能性およびそれらの植物の成長(特に次の成長シーズンの春の間の成長)に対するプラスの影響に関しては何も述べていない。
【0024】
多くの植物は永続的なストレスのかかる条件下、例えば栄養の乏しい環境で成長している。それにもかかわらず、窒素は植物の成長に必要な中心的元素の1つなので、絶え間ない欠乏は最終的に不十分な成長および収穫物の品質の劣化を招く。
【0025】
それに加えて、一時的な非生物ストレス(例えばより長い干ばつの期間)または生物ストレス(例えば病原体による攻撃の後)などのある種の環境下で、または植物の成長期間の中の特定の発達期間(例えば発芽の時期)において、植物は根からの取り込みによっては容易にまかなうことができない窒素の需要の増大を示す。
【0026】
この窒素欠乏を克服するための1つの可能性は、いくつかの多年生植物において広く実施されている春または晩秋のいずれかに植物に肥料を施用することによるものである。秋に肥料を施用すると、根への窒素の分配を増加することができる。しかしながら、肥料の施用は、技術的な理由のみでなく、経済的および生態学的な観点からもさまざまな不利益を有する。さらに、根による窒素の取り込みの効率は、土壌中の窒素濃度が上がると減少することが知られている。施肥のさらに別の問題は、環境的に懸念される事態である帯水層への窒素の浸出が増加する可能性である。成長シーズンの後期に(例えば、冬を生き延びるのに好適なレベルまで植物中の窒素レベルを上げることが必要となる秋に)肥料を施用した場合に、これは特に問題である。早春における施肥にも同様のことが当てはまる。これは、早春には、土壌温度がまだ生化学的取り込みおよび植物による外部窒素の同化を可能にするのに十分なほど高くなく、または湿った下層土のために施肥が技術的に不可能であるためである。
【0027】
それに加えてワインに必須の最適な発酵工程には、アルギニンなどのある種のアミノ酸の豊富な存在が不可欠である。アミノ酸濃度が低すぎるために十分な窒素が不足しているブドウは、十分な速度で発酵しない傾向があり、または発酵工程が止まってしまうことさえあり得る。その結果、高品質のワイン(特に辛口のワイン)を製造することができない。
【0028】
植物の窒素供給の違いのためにしばしば観察され得る問題の1つは、春の成長期間の初期における不均一な成長の開始である。これは、その結果として生じる植物の不均一な成長パターンに基づく多様な有害な二次的影響をもたらす。典型的な影響は、例えば大きさの異なる植物がさまざまな光の遮断を示し、その直接の影響として、果実の成熟、熟成および全体的発達が不均一になることである。これが原因で、収穫時に、その時点よりも前に収穫すべきであった植物があると同時に、他のものは収穫には早すぎるために、見込まれた収穫高の損失および品質の低下が生じるため、実施者は、最適な収穫時点の適切な評価および計画などのある種の付加的な技術的問題を抱えることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】EP-A 178 826
【特許文献2】EP-A 278 595
【特許文献3】EP-A 253 213
【特許文献4】EP-A 254 426
【特許文献5】EP-A 398 692
【特許文献6】EP-A 477 631
【特許文献7】EP-A 628 540
【特許文献8】EP-A 280 185
【特許文献9】EP-A 350 691
【特許文献10】EP-A 460 575
【特許文献11】EP-A 463 488
【特許文献12】EP-A 382 375
【特許文献13】EP-A 398 692
【特許文献14】WO 93/15046
【特許文献15】WO 95/18789
【特許文献16】WO 95/24396
【特許文献17】WO 95/21153
【特許文献18】WO 95/21154
【特許文献19】WO 96/01256
【特許文献20】WO 97/05103
【特許文献21】WO 97/15552
【特許文献22】WO 97/06133
【特許文献23】WO 01/82701
【特許文献24】WO 03/075663
【特許文献25】WO 04/043150
【特許文献26】WO 07/104660
【特許文献27】WO 06/1089876
【特許文献28】WO 08/059053
【特許文献29】US 09/0094712
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】Nordin and Naesholm; 1997; Nitrogen storage forms in nine boreal understorey plant species. Oecologia 110: 487-492
【非特許文献2】The Pesticide Manual, 14th Edition, British Crop Protection Council (2006)
【非特許文献3】Ammermann et al. 2000; BAS 500F - the new broad spectrum strobilurin fungicide. BCPC Conference, Pests & Diseases, 541-548
【非特許文献4】Koehle H. et al. 1997; Physiologische Einflusse des neuen Getreidefungizides Juwel auf die Ertragsbildung. Gesunde Pflanzen 49: 267-271
【非特許文献5】Glaab and Kaiser 1999; Increased nitrate reductase activity in leaf tissues after application of the fungicide Kresoxim-methyl. Planta 207: 442-448
【非特許文献6】Koehle et al. 2001; Physiological effects of the strobilurin fungicide F500 on plants. 13th International Reinhardsbrunn Symposium, Friedrichsroda, Germany
【非特許文献7】Tromp and Ovaa, 1971; Spring Mobilization of Storage Nitrogen in Isolated Shoot Sections of Apple. Physiol. Plant. 25: 16-22
【非特許文献8】Millard, 1988; The accumulation and storage of nitrogen by herbaceous plants. Plant, Cell and Environment 11: 1-8
【非特許文献9】Liacer et al, 2008; Arginine and nitrogen storage. Current opinion in structural biology 18: 673-681
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
したがって、本発明の目的は、上に概説した問題を解決し、特に、遅い時期または非常に早い時期に施肥をおこなうことによる不利益を伴わない、多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大する方法を提供することであった。
【0032】
ここで、本発明のさらなる目的は、春における初期の発達および成長のために多年生植物における窒素の利用可能性および再可動化を改善する方法を提供することである(窒素効率の最適化)。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、最適な発酵工程を保証するために、ブドウにおけるある種のアミノ酸(例えば、アルギニン)の豊富な存在を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
驚くべきことに、発明者らは、本発明の目的が、多年生植物を少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)により処理することにより達成されることを見いだした。
【0035】
また、少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)および少なくとも1種のさらなる活性成分(化合物B)を含むある種の混合物が多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大させることができることも見いだされた。
【0036】
多年生植物の貯蔵組織中の遊離アミノ酸レベルの増大にはさまざまな利点を挙げることができる。1つは遊離アミノ酸の形態の窒素を貯蔵および再利用する能力により、植物が数年に渡る窒素の獲得および窒素の入手可能性を一体化することが可能になるという事実である。これにより、植物が、窒素の滞留時間を延長することが可能になり(これは、一般に、窒素が乏しい条件下で成長する植物にとって特に重要であり得る)、また、多くの窒素が入手可能である一時的な期間の優位を窒素欠乏の期間に生かすことも可能になる。
【0037】
貯蔵組織における豊富な量の遊離アミノ酸(例えば秋に)のさらに別の利点は、次の春の(冬の季節の後の)芽から葉が出る(出芽の)間の最初の成長を支えるためにそれらを使用して、植物に他に先んじて発達を開始させ、また、植物の活性を増大することである。窒素の要求が非常に高いが根によるその取り込みがまだ完全に確立されておらず、土壌の窒素無機化速度が低い時に貯蔵組織から窒素を可動化し、それを植物の成長部分へと運搬することは、良好な発達のために不可欠である。結果として、上記の問題、例えば、植物の窒素供給における差異、春の成長期間の初期における不均一な成長の開始、植物の不均一な成長パターン、異なる光の遮断、不均一な植物の成熟、熟成および全体的な発達、最適な収穫時点の評価および計画に関する問題などを回避することができる。
【0038】
さらに、貯蔵組織における遊離アミノ酸は、植物が予測不可能な事態(例えば食害)に応答し、再生を促進することを可能にする。
【0039】
最も明白なのは、成長期間中で窒素同化のエネルギー依存および光合成駆動過程が開始される前に特定の植物部分が収穫される植物(例えばアスパラガスの場合)において窒素貯留が満たされていることの有利さである。本発明の方法をアスパラガス農園において施用した場合、遊離アミノ酸レベルは翌年の強健な成長を支えるのに十分に高く、植物の品質を顕著に改善する。
【0040】
シーズンの終わりにおける本発明によるストロビルリン類の施用は、葉のような一年生部分からの窒素の可動化を高め、それを根のような貯蔵器官に転移させることにより、その植物内部での窒素の再利用を改善する。土壌からの窒素の取り込みおよび同化はエネルギーを消費する過程であるので、より満たされた窒素の貯留物を有する植物は、特に環境条件が最適とは言えない場合に、冬の休眠後の新しい成長に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の一実施形態において、植物に施用される活性成分は、ピラクロストロビン、オリサストロビン、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-15メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミドからなる群より選択されるストロビルリン類(化合物A)の機能クラスに属する。
【0042】
本発明の別の実施形態において、ピラクロストロビン、アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、トリフロキシストロビンおよびピコキシストロビンからなる群より選択される少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)を施用する。
【0043】
本発明の好ましい実施形態において、ピラクロストロビン、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビンおよびピコキシストロビンからなる群より選択される少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)を施用する。
【0044】
本発明のより好ましい実施形態において、植物に施用される活性成分はピラクロストロビンである。
【0045】
ストロビルリン類(化合物A)からなる群より選択される化合物の好ましい実施形態、およびさらに少なくとも1種の化合物(B)からなる群より選択される活性成分を含むそれぞれの混合物の好ましい実施形態に関する所見、それらの好ましい使用に関する所見ならびにそれらを使用する方法に関する所見は、それぞれそれら自体について、または好ましくは互いの組み合せについてのいずれかとして理解されるべきである。
【0046】
本発明はさらに、上記の通りの少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)ならびに
(i) フルオピラム、ボスカリド、フェンヘキサミド、メタラキシル、ジメトモルフ、フルオピコリド(ピコベンザミド)、ゾキサミド、マンジプロパミド、カルプロパミド、N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-[2-(4'-トリフルオロメチルチオ)-ビフェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、ビキサフェン、N-[2-(1,3-ジメチルブチル)-フェニル]-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、セダキサン、イソピラザムおよびペンチオピラドより選択されるカルボン酸アミド系;
(ii) シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、エポキシコナゾール、フルシラゾール、フルキンコナゾール、フルトリアホール、イプコナゾール、メトコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾール、シアゾファミド、プロクロラズ、エタボキサムおよびトリアゾキシドより選択されるアゾール系;
(iii) ファモキサドン、フルアジナム、シプロジニル、ピリメタニル、フェンプロピモルフ、イプロジオン、アシベンゾラル-S-メチル、プロキナジド、キノキシフェン、フェンピクロニル、キャプタン、フェンプロピジン、カプタホールおよびアニラジンより選択される複素環化合物;
(iv) マンコゼブ、メチラム、イプロバリカルブ、マネブ、プロピネブ、フルベンチアバリカルブ(ベンチアバリカルブ)およびプロパモカルブより選択されるカルバメート系およびジチオカルバメート系;
(v) チオファネートメチル、クロロタロニル、トリルフルアニドおよびフルスルファミドより選択される有機塩素化合物;
(vi) ボルドー組成物、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅および硫黄より選択される無機活性成分;
(vii) アメトクトラジン、スピロキサミン、シモキサニル、シフルフェナミド、バリフェナール、メトラフェノン、ホセチルアルミニウムおよびジチアノンより選択される種々の化合物
からなる群より選択される少なくとも1種のさらなる活性成分(化合物B)の施用を含む、多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大させるための方法に関する。
【0047】
本発明の一実施形態において、この農薬混合物は、
(1) 少なくとも1種のストロビルリン(化合物A);および
(2) 少なくとも1種の追加の活性成分(化合物B)(ここで、化合物(B)は、メチラム、ボスカリド、N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、エポキシコナゾール、ジフェノコナゾール、メトラフェノン、ジチアノンおよびメトコナゾールからなる群より選択される)
を含む。
【0048】
本発明の別の実施形態において、化合物(B)は、メチラム、ボスカリド、メトラフェノンおよびジチアノンからなる群より選択される。
【0049】
本発明の好ましい実施形態において、化合物(B)はメチラムまたはボスカリドである。
【0050】
本発明の別の好ましい実施形態において、化合物(B)はメチラムである。
【0051】
一実施形態において、少なくとも1種の化合物(A)および少なくとも1種の化合物(B)を含む混合物の一緒のもしくは別々の施用、または少なくとも1種の化合物(A)および少なくとも1種の化合物(B)の連続的施用により、遊離アミノ酸レベルが、個々の化合物を単独で施用することにより達成される貯蔵レベルを上回るレベル(濃度)に増大する(相乗混合物)。その結果、本発明の方法の一実施形態において、少なくとも1種の化合物(A)および少なくとも1種の化合物(B)を含む混合物は、多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを相乗的に増大させることができる。
【0052】
本発明の用語において、「混合物」は、少なくとも1種の化合物(A)および少なくとも1種の化合物(B)を含む物理的混合物に限定されず、化合物(A)および化合物(B)の製剤形態であって、その使用に時間的および場所的関係があるすべてのものを指す。本発明の一実施形態において、「混合物」は1種の化合物(A)および1種の化合物(B)の物理的混合物を指す。
【0053】
本発明の別の実施形態において、「混合物」は、別々に製剤されているが、時間的な関係を持って、すなわち、同時にまたは連続して(連続的施用は化合物の複合作用を可能にする時間間隔を有する)、同じ植物に施用される少なくとも1種の化合物(A)および少なくとも1種の化合物(B)を指す。
【0054】
さらに、例えばキットの一部または二成分混合物の一部である本発明の混合物の個々の化合物は、使用者自身が噴霧タンク中で混合してもよく、また、適切な場合にはさらなる助剤を加えてもよい(タンクミックス)。これは本発明に従って三成分混合物を使用する場合にも当てはまる。
【0055】
好ましくは、上記のすべての混合物は、化合物(A)として、ピラクロストロビン、アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、トリフロキシストロビンおよびピコキシストロビンからなる群より選択される少なくとも1種のストロビルリンを含む。より好ましくは、これらの混合物は、化合物(A)として、ピラクロストロビン、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビンを含む。最も好ましくは、これらの混合物は、化合物(A)としてピラクロストロビンを含む。
【0056】
したがって、本発明の方法におけるその使用目的に関して、下記の表1に挙げる1種の化合物(A)および1種の化合物(B)を含む2成分(secondary)混合物は、本発明の好ましい実施形態である。
【0057】
表1
【表1】


【0058】
表1の混合物の中で、以下の混合物M-1、M-2、M-3、M-4、M-5、M-6、M7およびM-8が特に好ましい。
【0059】
この部分集合の中で、以下の混合物M-1、M-2、M-6およびM-7が好ましい。最も好ましいのは、混合物M1である。
【0060】
本発明の方法の好ましい実施形態において、化合物(A)としてピラクロストロビンおよび化合物(B)としてメチラムを含む農薬混合物を施用する。
【0061】
上に記載したすべての混合物もまた、本発明の実施形態である。
【0062】
本発明により処理される多年生植物は、一般に経済的に重要な植物および/または人により栽培されている植物である。多年生植物は、好ましくは、農業用植物、林業用植物および園芸用植物(それぞれその天然型または遺伝子組換え型である)からなる群より選択され、より好ましくは農業用植物より選択される。
【0063】
本発明の方法の一実施形態において、本発明により処理される多年生植物は、木、草本植物、低木および球根植物からなる群より選択される。
【0064】
本発明の方法の一実施形態において、本発明により処理される多年生植物は、バナナまたはブドウなどの果実を生産するために使用される植物である。
【0065】
本発明の方法の一実施形態において、本発明により処理される多年生植物は、アスパラガスなどの野菜である。
【0066】
本発明の方法の別の好ましい実施形態において、本発明により処理される多年生植物は、アスパラガス、ブドウ、ナシ状果、バナナ、リンゴ、セイヨウナシ、スモモ、モモ、アーモンド、サクラ、イチゴ、ラズベリー、スグリ、ブラックベリー、グースベリー、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリン、堅果樹、アブラヤシ、タバコ、コーヒー、茶、ホップおよび芝からなる群より選択される。
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、本発明により処理される多年生植物は、アスパラガス、ブドウ、バナナ、リンゴ、セイヨウナシ、オレンジ、レモン、アブラヤシ、タバコおよびコーヒーからなる群より選択される。
【0068】
本発明のより好ましい実施形態において、本発明により処理される多年生植物は、アスパラガス、ブドウおよびバナナからなる群より選択される。
【0069】
本発明のさらに好ましい実施形態において、本発明により処理される多年生植物はアスパラガスまたはブドウである。
【0070】
本発明の方法の特に好ましい実施形態において、本発明により処理される多年生植物はブドウである。
【0071】
用語「植物」は、経済的に重要な植物および/または人により栽培されている植物であると理解されるべきである。それらは好ましくは農業用植物、林業用植物および園芸用(観賞用を含む)植物より選択される。本明細書において使用される植物という用語は、発芽種子、出現した苗、草本植生ならびに定着した木本植物などの、すべての地下部分(例えば、根)および地上部分を含む、植物のすべての部分を包含する。
【0072】
用語「多年生植物」は、1年よりも長く生存する植物、または各成長シーズン後に枝枯れするか継続的に成長するかのいずれかで2回よりも多い成長シーズンに渡って存続する植物であると理解されるべきである。多年生植物には、農業用植物、林業用植物および園芸用(観賞用を含む)植物に分類することができる広い分類の植物群が含まれる。その構造および成長習性に関して、それらは、例えば冬または長い干ばつなどの不利益な成長条件下における休眠期を生き延びることを可能にする貯蔵組織のような特定の成長構造により特徴づけられる。多年生植物は、暖かく、より有利な気候において連続的に成長する傾向があるが、それらの成長は季節別気候における決められた成長シーズンに限定される。例えば、温暖な地域では、多年生植物は一年の暖かい時期に成長および開花するが、冬の間は成長は非常に限定的であるか、停止する。多年生植物は一年生植物と比較して高い競争力(competiveness)を示すので、多年生植物は多くの自然生態系を支配している。これは特に乏しい成長条件下で当てはまる。
【0073】
用語「農業用植物」は、その一部(例えば、種子、果実)または全体が商業規模で収穫または栽培される植物、または飼料、食物、繊維(例えば、綿、麻)、化学加工(油、砂糖)、燃料(例えば、木、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオマス)または他の化学化合物の重要な原料となる植物であると理解されるべきである。一般に、農業用植物は一年生または多年生植物である。それらには園芸用植物、すなわち、庭園(農場ではない)で栽培される植物、例えばある種の果実および野菜も含まれる。一般に、農業用植物は、例えば、穀類、例えば、コムギ、ライムギ、オオムギ、ライコムギ、オートムギ、ソルガムまたはイネ、テンサイ、例えばサトウダイコンまたは飼料ビート;果実、例えばナシ状果、核果または柔らかい果実、例えばリンゴ、セイヨウナシ、スモモ、モモ、アーモンド、サクラ、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリーまたはグースベリー;マメ科植物、例えばヒラマメ、エンドウマメ、アルファルファまたはダイズ;油植物、例えばアブラナ(rape, oil-seed rape)、カノーラ、アマ、カラシナ、オリーブ、ヒマワリ、ココナツ、カカオ豆、トウゴマ、アブラヤシ、落花生またはダイズ;ウリ科植物、例えばカボチャ、キュウリまたはメロン;繊維植物、例えばワタ、アマ、大麻またはジュート;柑橘類、例えばオレンジ、レモン、グレープフルーツまたはマンダリン;野菜、例えばホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、ウリ科植物またはパプリカ;クスノキ科植物、例えばアボカド、シナモンまたはショウノウ;エネルギー植物および原料植物、例えば、トウモロコシ、ダイズ、アブラナ、カノーラ(アブラナ)、サトウキビまたはアブラヤシ、トウモロコシ、タバコ、堅果、コーヒー、茶、バナナ、ブドウ(果実およびブドウジュース、ワイン)、ホップ、芝、天然のゴムノキまたは観賞用植物および森林植物、例えば、花、低木、広葉樹または常緑樹(例えば、針葉樹)、ならびに、植物繁殖材料、例えば種子、およびこれらの植物の収穫材料である。本発明の方法に関して、多年生である農業用植物のみを処理することができる。
【0074】
用語「園芸用植物」は、一般に、園芸において、または鑑賞の目的(例えば観賞用植物、野菜および/または果実の栽培)で、広く使用される植物であると理解されるべきである。一般に、園芸用植物は一年生または多年生植物である。観賞用植物の例は、非常に多くの観賞用植物のごく一部を挙げると、芝、ゼラニウム、テンジクアオイ(pelargonia)、ペチュニア、ベゴニア、およびフクシャである。野菜の例は、非常に多くの野菜のごく一部を挙げると、ジャガイモ、トマト、コショウ、ウリ科植物、キュウリ、メロン、スイカ、ニンニク、タマネギ、ニンジン、キャベツ、インゲンマメ、エンドウマメおよびレタスであり、より好ましくは、トマト、タマネギ、エンドウマメおよびレタスである。果実の例は、非常に多くの果実のごく一部を挙げると、リンゴ、セイヨウナシ、サクラ、イチゴ、柑橘類、モモ、アンズ、ブルーベリーである。本発明の方法に関して、多年生である園芸用植物のみを処理することができる。
【0075】
用語「林業用植物」は、木、より具体的には植林または工業植林に使用される木であると理解されるべきである。工業植林は、一般に林産物、例えば木、パルプ、紙、ゴムノキ、クリスマスツリー、または造園目的の若木の商業的生産のためのものである。木は典型的には多年生植物である。林業用植物の例は、針葉樹、例えばマツ、特にマツ属、モミおよびトウヒ、ユーカリ、熱帯樹木、例えば、チーク、ゴムノキ、アブラヤシ、柳(Salix)、特にヤナギ属、ポプラ(ハコヤナギ)、特にハコヤナギ(Populus)属、ブナ、特にブナ(Fagus)属、カバノキ、アブラヤシ、およびオークである。本発明の方法に関して、多年生である林業用植物のみを処理することができる。
【0076】
一般に、用語「植物」は、育種、突然変異または遺伝子工学により改変された植物をも含む。
【0077】
用語「遺伝子組換え植物」は、組換えDNA技術を用いることにより、自然の環境下での育種、突然変異誘発または天然の組換えによっては容易に得ることができないような形で遺伝物質が改変された植物であると理解されるべきである。典型的には、植物の特定の特性を改良するために、遺伝子組換え植物の遺伝物質の中に1以上の遺伝子が組み込まれている。このような遺伝子組換えとしては、限定するものではないが、グリコシル化またはポリマー付加(例えばプレニル化、アセチル化もしくはファルネシル化部分またはPEG部分)による、タンパク質、オリゴペプチドまたはポリペプチドの標的化翻訳後修飾(targeted post-translational modification)も挙げることができる。育種、突然変異誘発または遺伝子工学により改変された植物、例えば、育種または遺伝子工学の通常の方法の結果として特定のクラスの除草剤、例えば、ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害剤;アセト乳酸シンターゼ(ALS)阻害剤、例えばスルホニル尿素系(例えば、US 6,222,100、WO 01/82685、WO 00/26390、WO 97/41218、WO 98/02526、WO 98/02527、WO 04/106529、WO 05/20673、WO 03/14357、WO 03/13225、WO 03/14356、WO 04/16073を参照されたい)またはイミダゾリノン系(例えば、US 6,222,100、WO 01/82685、WO 00/026390、WO 97/41218、WO 98/002526、WO 98/02527、WO 04/106529、WO 05/20673、WO 03/014357、WO 03/13225、WO 03/14356、WO 04/16073を参照されたい);エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸シンターゼ(EPSPS)阻害剤、例えばグリホセート(例えば、WO 92/00377を参照されたい);グルタミンシンセターゼ(GS)阻害剤、例えばグルホシネート(例えば、EP-A 242 236、EP-A 242 246を参照されたい)またはオキシニル除草剤(例えば、US 5,559,024を参照されたい)の施用に対する耐性を与えられた植物。数種類の栽培植物が、通常の育種の方法(突然変異誘発)により除草剤に対する耐性を与えられている。例えば、Clearfield(登録商標)夏アブラナ(Canola, BASF SE, ドイツ)は、イミダゾリノン系、例えばイマザモックスに対して耐性を示す。遺伝子工学法を用いて、ダイズ、ワタ、トウモロコシ、ビートおよびアブラナなどの栽培植物がグリホセートおよびグルホシネートなどの除草剤に対する耐性を与えられている。これらのうちの一部は、RoundupReady(登録商標)(グリホセート耐性、Monsanto, 米国)およびLibertyLink(登録商標)(グルホシネート耐性、Bayer CropScience, ドイツ)の商品名で市販されている。さらに、組換えDNA技術を用いることにより、1種以上の殺虫性タンパク質、特に細菌のバチルス属、特にバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)由来として知られる殺虫性タンパク質、例えばδ-エンドトキシン、例えばCryIA(b)、CryIA(c)、CryIF、CryIF(a2)、CryIIA(b)、CryIIIA、CryIIIB(b1)またはCry9c;植物殺虫性タンパク質(VIP)、例えばVIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A;線虫共生細菌、例えばフォトラブダス(Photorhabdus)属またはゼノラブダス(Xenorhabdus)属の殺虫性タンパク質;動物により産生される毒素、例えばサソリの毒素、クモ類の毒素、スズメバチの毒素、または他の昆虫特異的神経毒;真菌類により産生される毒素、例えばストレプトミセス(Streptomycetes)毒素、植物レクチン、例えばエンドウまたはオオムギレクチン;アグルチニン;プロテイナーゼ阻害剤、例えばトリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチンまたはパパイン阻害剤;リボソーム不活性化タンパク質(RIP)、例えばリシン、トウモロコシRIP、アブリン、ルフィン、サポリンまたはブリオジン;ステロイド代謝酵素、例えば、3-ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド-IDP-グリコシルトランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、エクジソン阻害剤またはHMG-CoA-レダクターゼ、;イオンチャネル遮断剤、例えば、ナトリウムまたはカルシウムチャネル遮断剤;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体(ヘリコキニン受容体);スチルベンシンターゼ、ビベンジルシンターゼ、キチナーゼまたはグルカナーゼを合成することができる植物も包含される。本発明に関して、これらの殺虫タンパク質または毒素は、プレトキシン、ハイブリッドタンパク質、末端が切断されたタンパク質または別の修飾を受けたタンパク質としても明白に理解されるべきである。ハイブリッドタンパク質は、タンパク質ドメインの新規組合せにより特徴づけられる(例えば、WO 02/015701を参照されたい)。そのような毒素のさらなる例またはそのような毒素を合成することができる遺伝子組換え植物のさらなる例は、例えば、EP A 374 753、WO 93/007278、WO 95/34656、EP A 427 529、EP A 451 878、WO 03/18810およびWO 03/52073に開示されている。そのような遺伝子組換え植物を作る方法は、一般に当業者に公知であり、また、例えば、上記刊行物中に記載されている。遺伝子組換え植物の中に含まれるこれらの殺虫性タンパク質は、これらのタンパク質を産生する植物に、節足動物のすべての分類学的群に属する有害生物に対する耐性、特に甲虫類(Coeloptera)、双翅目昆虫(Diptera)および鱗翅目昆虫(Lepidoptera)に対する耐性、ならびに線虫類(Nematoda)に対する耐性を付与する。1種以上の殺虫性タンパク質を合成することができる遺伝子組換え植物は、例えば上記刊行物に記載されており、また、それらのうちの一部は市販されており、例えば、YieldGard(登録商標)(Cry1Ab毒素を産生するトウモロコシ品種)、YieldGard(登録商標)Plus(Cry1AbおよびCry3Bb1毒素を産生するトウモロコシ品種)、Starlink(登録商標)(Cry9c毒素を産生するトウモロコシ品種)、Herculex(登録商標)RW(Cry34Ab1、Cry35Ab1および酵素ホスフィノトリシン-N-アセチルトランスフェラーゼ[PAT]を産生するトウモロコシ品種);NuCOTN(登録商標)33B(Cry1Ac毒素を産生するワタ品種)、Bollgard(登録商標)I(Cry1Ac毒素を産生するワタ品種)、Bollgard(登録商標)II(Cry1AcおよびCry2Ab2毒素を産生するワタ品種);VIPCOT(登録商標)(VIP-毒素を産生するワタ品種);NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を産生するジャガイモ品種);Bt-Xtra(登録商標)、NatureGard(登録商標)、KnockOut(登録商標)、BiteGard(登録商標)、Protecta(登録商標)、Bt11(例えば、Agrisure(登録商標)CB)およびBt176(製造元:Syngenta Seeds SAS, フランス)(Cry1Ab毒素およびPAT酵素を産生するトウモロコシ品種)、MIR604(製造元:Syngenta Seeds SAS, フランス)(Cry3A毒素の修飾形態を産生するトウモロコシ品種;WO 03/018810参照)、MON 863(製造元:Monsanto Europe S.A., ベルギー)(Cry3Bb1毒素を産生するトウモロコシ品種)、IPC 531(製造元:Monsanto Europe S.A., ベルギー)(Cry1Ac毒素の修飾形態を産生するワタ品種)および1507(製造元:Pioneer Overseas Corporation, ベルギー)(Cry1F毒素およびPAT酵素を産生するトウモロコシ品種)である。
【0078】
さらに、組換えDNA技術を用いることにより、細菌、ウイルスまたは真菌病原体に対する植物の抵抗性または耐性を増強するための1種以上のタンパク質を合成することができる植物も包含される。そのようなタンパク質の例は、いわゆる「病原性関連タンパク質」(PRタンパク質;例えばEP A 392 225を参照されたい)、植物病害抵抗性遺伝子(例えば、メキシコ原産野生ジャガイモ(Solanum bulbocastanum)に由来する、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)に対して作用する抵抗性遺伝子を発現するジャガイモ品種)、またはT4-リゾチーム(例えば、エルウィニア・アミルボラ(Erwinia amylvora)などの細菌に対する抵抗性が増強されているこれらのタンパク質を合成することができるジャガイモ品種)である。そのような遺伝子組換え植物を作る方法は、一般に当業者に公知であり、また、例えば上記刊行物に記載されている。
【0079】
さらに、組換えDNA技術を用いることにより、生産性(例えば、バイオマスの産生、穀物の収穫高、デンプン含有量、油含有量またはタンパク質含有量、遊離アミノ酸含有量)を増大させるための1種以上のタンパク質、干ばつ、塩分もしくは成長を制限するその他の環境要因に対する耐性を増強するための1種以上のタンパク質、または、植物の有害生物および真菌、細菌もしくはウイルス病原体に対する耐性を増強するための1種以上のタンパク質を合成することができる植物も包含される。
【0080】
さらに、組換えDNA技術を用いることにより、改変された含有量の物質または新規物質、特にヒトまたは動物の栄養を改善するための物質または新規物質を含有する植物、例えば、健康を促進する長鎖ω-3脂肪酸または不飽和ω-9脂肪酸を産生する油料作物(例えば、Nexera(登録商標)アブラナ;DOW Agro Sciences, Canada)も包含される。
【0081】
さらに、組換えDNA技術を用いることにより、改変された含有量の物質または新規物質、特に、原料産生を向上させるための物質または新規物質を含有する植物、例えば増大された量のアミロペクチンを産生するジャガイモ(例えば、Amflora(登録商標)ジャガイモ;BASF SE, ドイツ)も包含される。
【0082】
本発明の用語において、「混合物」は、少なくとも2種の活性成分(例えば化合物Aおよび化合物B)の組合せを意味する。その結果、混合物は2成分(secondary)、3成分またはさらに4成分混合物であり得る。
【0083】
用語「少なくとも1種の化合物」は、1、2、3またはそれ以上の化合物(例えばストロビルリン類)であると理解されるべきである。
【0084】
用語「相乗的」は、少なくとも1種の化合物(A)および少なくとも1種の化合物(B)の同時施用(すなわち一緒のまたは別々の施用)またはそれらの連続的施用の単なる相加的効果(数学的な意味)よりも、本発明の混合物の施用による効果が上回ることを意味する。
【0085】
用語「遊離アミノ酸レベルが相乗的に増大する量」は、本発明の混合物を、少なくとも1種の化合物(A)および少なくとも1種の化合物(B)の同時施用(すなわち一緒のまたは別々の施用)または少なくとも1種の化合物(A)および少なくとも1種の化合物(B)の連続的施用の単なる相加的効果(数学的な意味)を上回るように遊離アミノ酸レベルを増大させる量で施用することを意味する。
【0086】
用語「貯蔵窒素」は、植物により特定の貯蔵組織に貯蔵され得る任意の形態の有機窒素であると理解されるべきである。多年生植物における有機窒素の主な貯蔵形態は遊離アミノ酸およびタンパク質である。
【0087】
本発明によれば、貯蔵窒素は遊離アミノ酸の形態で多年生植物の貯蔵組織に貯蔵される。
【0088】
本発明の方法の別の好ましい実施形態において、貯蔵窒素は、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、スレオニン、セリン、グルタミン酸、アラニン、プロリン、グリシン、バリン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、リシンおよびヒスチジンからなる群より選択される遊離アミノ酸として植物中に貯蔵される。
【0089】
本発明の方法のさらに別の好ましい実施形態において、貯蔵窒素は、アルギニン、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選択される遊離アミノ酸として植物中に貯蔵される。
【0090】
本発明の方法のより好ましい実施形態において、貯蔵窒素はアルギニンの形態で植物中に貯蔵される。
【0091】
本発明の用語において、「多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大する」とは、植物、植物の部分(例えば、貯蔵組織または貯蔵器官)またはその植物細胞における遊離アミノ酸の濃度を、それぞれの対照植物において観察されるものと比較して、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%またはそれ以上増大することを指す。
【0092】
本発明の一実施形態によれば、貯蔵窒素のレベルの増大は、少なくとも2〜10%、好ましくは10〜20%、より好ましくは20〜40%、または、さらには40〜80%である。
【0093】
本発明の一実施形態において、遊離アミノ酸濃度は、15〜30%増大する。
【0094】
本発明の好ましい実施形態において、貯蔵窒素は、樹皮、木質、根、塊茎、球根、偽鱗茎、挺幹、直根、球茎、貯蔵胚軸ならびに根茎からなる群より選択される植物の貯蔵組織に遊離アミノ酸として貯蔵される。
【0095】
本発明の別の好ましい実施形態において、貯蔵窒素は根または根茎に貯蔵される。
【0096】
本発明の別の好ましい実施形態において、貯蔵窒素は、枝または根などの植物の地上部分または地下部分の樹皮または木質に貯蔵される。
【0097】
用語「貯蔵組織」は、典型的には、栄養素、アミノ酸および/または水などのある種の元素または分子を貯蔵する能力を有する貯蔵器官の一部である任意の種類の植物組織であると理解されるべきである。貯蔵組織は地上および地下に存在し得る。とりわけ、樹皮(例えば枝の)、木質、根、塊茎、球根、偽鱗茎、挺幹、直根、球茎、貯蔵胚軸ならびに根茎が植物により貯蔵組織として用いられる。
【0098】
用語「BBCH基本的成長段階」とは、拡張されたBBCHスケールのことをいい、これは、全ての単子葉植物種および双子葉植物種について植物季節学的に類似した成長段階を同一のコードとする方式のことであって、この方式では植物の成長周期全体が明確に認識可能かつ区別可能なより長く続く成長期に小区分化されている。BBCHスケールは10進法コードシステムを使用し、これは主要成長段階と2次成長段階に区分化されている。略語BBCHは、Federal Biological Research Centre for Agriculture and Forestry (Germany), the Bundessortenamt (Germany) and the chemical industryに由来する。
【0099】
用語「栄養成長期間」は、節、節間および葉の植物成長を特徴とする植物の非生殖成長期(BBCH GS 10〜49)であると理解されるべきである。この用語は、開花、受粉および種子の成長を特徴とする「生殖成長(generative or reproductive growth)」(BBCH GS 49〜89)と区別するために使用される。
【0100】
用語「植物成長」は、細胞数および細胞サイズの増大であると理解されるべきである。未分化細胞の細胞分裂が繰り返されることによる植物成長は分裂組織と呼ばれる組織において起こり、典型的にはその後、細胞分化の過程の間に伸張および膨張することにより成長する。
【0101】
用語「栄養成長期間の後」は、栄養成長の終了および生殖成長の開始を特徴とする植物の成長段階であると理解されるべきである。生理学的観点から、この時点では植物はまだ非常に活動的であり、元素および分子(例えば窒素化合物)を葉(供給源)から受け手(sink)として機能する根などの貯蔵組織(または貯蔵器官)に輸送している。
【0102】
用語「生殖成長期間の後」は、生殖成長段階の終了を特徴とする植物の成長段階であると理解されるべきである。生理学的観点から、果実および種子の熟成および成熟が完了し、老化および休眠がゆっくりと開始する。しかしながら、輸送過程は依然として活発であり、元素および分子(例えば窒素化合物)を葉(供給源)から受け手として機能する根などの貯蔵組織(または貯蔵器官)に輸送している。
【0103】
本発明の一実施形態において、それぞれの施用を生殖成長期の間に実施する。
【0104】
本発明の別の実施形態において、それぞれの施用を生殖成長期間の後に実施する。成長シーズンのこの時点で本発明の化合物または混合物を施用することは、例えば果実を収穫した後に施用をおこなうという事実などのさまざまな利点を有する。それにより、果実の農薬化合物への曝露が低減される。結果として、本発明の好ましい実施形態において、それぞれの施用は、休眠の開始を特徴とするGS 91以後の任意のBBCH基本的成長段階(GS)において実施される。
【0105】
少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)または少なくとも1種の化合物(A)と少なくとも1種の化合物(B)とを含む上記の農薬混合物のいずれかを含む本発明の施用は、栄養成長期間の後に実施され、好ましくは植物の栄養成長期間の4週間後、より好ましくは6週間後に実施される。
【0106】
本発明の混合物をこの発明の方法において使用する場合、好ましくは、ストロビルリン(化合物A)および少なくとも1種のさらなる活性成分(化合物B)により、同時に(一緒にもしくは別々に)または連続的に植物を処理する。
【0107】
連続的施用は、施用された化合物の複合作用が可能になる時間間隔で実施する。好ましくは、少なくとも1種の化合物(A)および少なくとも1種の化合物(B)の連続的施用の時間間隔は、数秒〜3か月の範囲であり、好ましくは数秒〜1か月、より好ましくは数秒〜2週間、さらに好ましくは数秒〜3日、特に1秒〜24時間の範囲である。
【0108】
本発明の方法は、好ましくは葉への施用として実施する。
【0109】
一実施形態において、成長シーズンの間に、1回よりも多く、5回までの施用を実施する。好ましくは、施用は少なくとも2回実施する。
【0110】
本発明の方法に使用するために、施量は、植物の種に依存して、ヘクタールあたり0.01〜2.0 kgの活性成分である。
【0111】
当然のことながら、化合物(A)、および混合物を使用する場合には少なくとも1種の化合物(A)および少なくとも1種の化合物(B)は、効果を有し、かつ植物毒性のない量で使用する。これは、それらを、所望の効果を得ることができるが、処理された植物にいかなる植物毒性の兆候も引き起こさない量で使用することを意味する。
【0112】
本発明の方法において、本発明の混合物の施量は、化合物のタイプおよび所望の効果に依存して、0.3 g/ha〜2500 g/ha、好ましくは5 g/ha〜2500 g/ha、より好ましくは20〜2000 g/ha、特に20〜1500 g/haである。
【0113】
化合物(A)と化合物(B)との重量比は、好ましくは200:1〜1:200、より好ましくは100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50、特に20:1〜1:20である。最も好ましい比は1:10〜10:1である。重量比は混合物中の化合物(A)および化合物(B)の総重量に基づく。
【0114】
一実施形態において、本発明の方法により使用される少なくとも1種の化合物(A)および少なくとも1種の化合物(B)を含む混合物は、多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸を相乗的に増大させる量で使用される。
【0115】
本発明の化合物は、異なる結晶変態(その生物活性が異なる可能性がある)として存在する可能性がある。それらも同様に本発明の対象である。
【0116】
本発明の化合物、それらのN-オキシドおよび塩は、通常使用されるタイプの農薬組成物、例えば、溶液、エマルション、懸濁液、ダスト、粉末、ペーストおよび顆粒に変換することができる。組成物のタイプは個々の使用目的に依存するが、いずれの場合にも、それは本発明の化合物の微細で均一な分布を保証するものでなければならない。
【0117】
組成物のタイプの例は、懸濁液(SC、OD、FS)、乳化性濃縮物(EC)、エマルション(EW、EO、ES)、マイクロエマルション(ME)、ペースト、香錠(pastilles)、湿潤性粉末もしくはダスト(WP、SP、SS、WS、DP、DS)または顆粒(GR、FG、GG、MG)(これらは水溶性または水湿潤性である)、ならびに種子などの植物繁殖材料を処理するためのゲル製剤(GF)である。通常、組成物のタイプ(例えば、SC、OD、FS、EC、WG、SG、WP、SP、SS、WS、GF)は希釈して使用する。DP、DS、GR、FG、GGおよびMGなどの組成物のタイプは通常希釈せずに使用する。
【0118】
組成物は公知の方法により調製される(例えば、US 3,060,084、EP-A 707 445(液体濃縮物に関して)、Browning: ”Agglomeration”, Chemical Engineering, Dec. 4, 1967, 147-48, Perry’s Chemical Engineer’s Handbook, 4th Ed., McGraw-Hill, New York, 1963, S. 8-57 und ff. WO 91/13546、US 4,172,714、US 4,144,050、US 3,920,442、US 5,180,587、US 5,232,701、US 5,208,030、GB 2,095,558、US 3,299,566、Klingman: Weed Control as a Science (J. Wiley & Sons, New York, 1961), Hance et al.: Weed Control Handbook (8th Ed., Blackwell Scientific, Oxford, 1989)およびMollet, H. and Grubemann, A.: Formulation technology (Wiley VCH Verlag, Weinheim, 2001)を参照されたい)。
【0119】
農薬組成物は、農薬組成物に通常使用される助剤を含んでもよい。使用する助剤は個々の施用形態および活性物質にそれぞれ依存する。好適な助剤の例は、溶媒、固体担体、分散剤または乳化剤(例えばさらなる可溶化剤、保護コロイド、界面活性剤および粘着剤)、有機および無機増粘剤、殺細菌剤、凍結防止剤、消泡剤、適切な場合には着色剤および粘着性付与剤または結合剤(例えば、種子処理製剤のため)である。
【0120】
好適な溶媒は、水、有機溶媒、例えば中程度から高沸点の鉱油留分、例えば灯油またはジーゼル油、さらにコールタール油および植物または動物由来の油、脂肪族、環状および芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレンまたはそれらの誘導体、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびシクロヘキサノール、グリコール、ケトン、例えばシクロヘキサノンおよびガンマブチロラクトン、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸および脂肪酸エステルならびに強極性溶媒、例えばN-メチルピロリドンなどのアミンである。固体担体は、鉱物土類、例えば、シリケート、シリカゲル、タルク、カオリン、石灰石、石灰、チョーク、膠灰粘土、黄土、粘土、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕された合成物質、肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、および植物由来の製品、例えば穀粉、樹皮粉、木粉および木の実の殻の粉、セルロース粉末および他の固体担体である。
【0121】
適切な界面活性剤(アジュバント、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤または乳化剤)は、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩、例えば、リグノスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩(Borresperse(登録商標)タイプ、Borregard, ノルウェイ)、フェノールスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩、ナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩(Morwet(登録商標)タイプ、Akzo Nobel, 米国)、ジブチルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩(Nekal(登録商標)タイプ、BASF, ドイツ)、ならびに、脂肪酸、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、ラウリルエーテルスルフェートおよび脂肪アルコールスルフェート、ならびに、硫酸化ヘキサデカノレート、硫酸化ヘプタデカノレート、硫酸化オクタデカノレート、硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテル、さらに、ナフタレンまたはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、エトキシ化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコールおよび脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシ化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシ化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグニン亜硫酸廃液、ならびに、タンパク質、変性タンパク質、多糖(例えば、メチルセルロース)、疎水性に変性されたデンプン、ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標)タイプ、Clariant, スイス)、ポリカルボキシレート(Sokolan(登録商標)タイプ、BASF, ドイツ)、ポリアルコキシレート、ポリビニルアミン(Lupasol(登録商標)タイプ、BASF, ドイツ)、ポリビニルピロリドンおよびそれらのコポリマーである。
【0122】
増粘剤(すなわち、組成物に改変された流動性を付与する化合物、すなわち、静止状態における高い粘性および攪拌中の低い粘性を付与する化合物)の例は、多糖ならびに有機および無機(anorganic)粘土、例えば、キサンタンガム(Kelzan(登録商標)、CP Kelco, 米国)、Rhodopol(登録商標)23(Rhodia, フランス)、Veegum(登録商標)(R.T. Vanderbilt, 米国)またはAttaclay(登録商標)(Engelhard Corp., NJ, 米国)である。
【0123】
組成物の保存および安定化のために、殺細菌剤を添加してもよい。適切な殺細菌剤の例は、ジクロロフェンおよびベンジルアルコールヘミホルマールに基づく殺細菌剤(Proxel(登録商標)、ICI製、またはActicide(登録商標)RS、Thor Chemie製、およびKathon(登録商標)MK、Rohm & Haas製)ならびにイソチアゾリノン誘導体、例えば、アルキルイソチアゾリノンおよびベンズイソチアゾリノンに基づく殺細菌剤(Acticide(登録商標)MBS、Thor Chemie製)である。
【0124】
適切な凍結防止剤の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、尿素およびグリセリンである。
【0125】
消泡剤の例は、シリコーンエマルション(例えば、Silikon(登録商標)SRE, Wacker, ドイツまたはRhodorsil(登録商標)、Rhodia, フランス)、長鎖アルコール、脂肪酸、脂肪酸の塩、有機フッ素化合物およびそれらの混合物である。
【0126】
適切な着色剤は、水溶性が低い顔料と水溶性の染料である。挙げるべき例および名称は、
ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108である。
【0127】
粘着性付与剤または結合剤の例は、ポリビニルピロリドン系、ポリビニルアセテート系、ポリビニルアルコール系およびセルロースエーテル系(Tylose(登録商標), Shin-Etsu, Japan)である。粉末剤、散布用材料およびダストは、化合物Iおよび適切な場合には別の活性物質を、少なくとも1種の固体担体と混合するか、または一緒に粉砕することにより調製することができる。顆粒剤、例えば被覆粒剤、含浸粒剤および均質粒剤は、活性物質を固体担体に結合させることにより調製することができる。固体担体の例は、鉱物土類、例えば、シリカゲル、シリケート、タルク、カオリン、アタクレイ(attaclay)、石灰石、石灰、チョーク、膠灰粘土、黄土、粘土、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕された合成物質、肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、および植物由来の製品、例えば穀粉、樹皮粉、木粉および木の実の殻の粉、セルロース粉末および他の固体担体である。
【0128】
組成物タイプの例は、以下の通りである。
【0129】
1. 水で希釈するための組成物タイプ
i) 水溶性濃縮物(SL、LS)
10重量部の本発明の化合物Iを、90重量部の水または水溶性溶媒に溶解させる。別法として、湿潤剤または別の補助剤を添加する。水で希釈すると活性物質は溶解する。この方法で、10重量%の活性物質含有量を有する組成物が得られる。
【0130】
ii) 分散性濃縮物(DC)
20重量部の本発明の化合物Iを、10重量部の分散剤(例えば、ポリビニルピロリドン)を添加した70重量部のシクロヘキサノンに溶解させる。水で希釈すると分散液が得られる。活性物質含有量は20重量%である。
【0131】
iii) 乳化性濃縮物(EC)
15重量部の本発明の化合物Iを、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびエトキシ化ひまし油(いずれの場合も5重量部)を添加した75重量部のキシレンに溶解させる。水で希釈するとエマルションが得られる。該組成物は15重量%の活性物質含有量を有する。
【0132】
iv) エマルション剤(EW、EO、ES)
25重量部の本発明の化合物Iを、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムおよびエトキシ化ひまし油(いずれの場合も5重量部)を添加した35重量部のキシレンに溶解させる。この混合物を、乳化装置(Ultraturrax)を用いて30重量部の水中に導入し、均質なエマルションとする。水で希釈するとエマルションが得られる。該組成物は、25重量%の活性物質含有量を有する。
【0133】
v) 懸濁剤(SC、OD、FS)
攪拌したボールミル内で、20重量部の本発明の化合物Iに10重量部の分散剤および湿潤剤ならびに70重量部の水または有機溶媒を添加して粉砕することにより、微細な活性物質の懸濁液が得られる。水で希釈すると活性物質の安定な懸濁液が得られる。該組成物中の活性物質含有量は20重量%である。
【0134】
vi) 顆粒水和剤および水溶性粒剤(WG、SG)
50重量部の本発明の化合物Iに50重量部の分散剤および湿潤剤を添加して微細に粉砕し、工業用装置(例えば、押出機、噴霧塔、流動床)を用いて、顆粒水和剤または水溶性粒剤として調製する。水で希釈すると活性物質の安定な分散液または溶液が得られる。該組成物は50重量%の活性物質含有量を有する。
【0135】
vii) 水和剤および水溶性粉末剤(WP、SP、SS、WS)
75重量部の本発明の化合物Iに25重量部の分散剤、湿潤剤およびシリカゲルを添加してローターステーターミル内で粉砕する。水で希釈すると活性物質の安定な分散液または溶液が得られる。該組成物の活性物質含有量は75重量%である。
【0136】
viii) ゲル(GF)
攪拌下にあるボールミル内で、20重量部の本発明の化合物Iに10重量部の分散剤、1重量部のゲル化剤湿潤剤および70重量部の水または有機溶媒を添加して粉砕することにより、活性物質の微細な懸濁液が得られる。水で希釈すると活性物質の安定な懸濁液が得られ、それにより20重量%の活性物質を有する組成物が得られる。
【0137】
2. 希釈せずに施用される組成物タイプ
ix) 散布用粉剤(DP、DS)
5重量部の本発明の化合物Iを微細に粉砕し、95重量部の微細に粉砕したカオリンと緊密に混合する。これにより、5重量%の活性物質含有量を有する散布用組成物が得られる。
【0138】
x) 粒剤(GR、FG、GG、MG)
0.5重量部の本発明の化合物Iを微細に粉砕し、99.5重量部の担体と合わせる。現在の方法は、押出、噴霧乾燥または流動床である。これにより、0.5重量%の活性物質含有量を有する、希釈せずに施用される粒剤が得られる。
【0139】
xi) ULV溶液(UL)
10重量部の本発明の化合物Iを、90重量部の有機溶媒(例えば、キシレン)に溶解させる。これにより、10重量%の活性物質含有量を有する、希釈せずに施用される組成物が得られる。
【0140】
農薬組成物は、一般に、0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%、最も好ましくは0.5〜90重量%の活性物質を含む。活性物質は、90%〜100%、好ましくは95%〜100%の純度(NMRスペクトルによる)のものを使用する。
【0141】
植物繁殖材料(特に種子)を処理する目的には、通常、水溶性濃縮物(LS)、流動性濃縮物(FS)、乾燥処理用粉末剤(DS)、スラリー処理用水和剤(WS)、水溶性粉末剤(SS)、エマルション剤(ES)、乳化性濃縮物(EC)、およびゲル製剤(GF)を使用する。これらの組成物は、希釈してまたは希釈せずに植物繁殖材料(特に種子)に施用することができる。当該組成物は、2〜10倍に希釈した後に、そのまま使用できる調製物中の活性物質の濃度が、0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%となる。施用は、播種前または播種中に実施することができる。植物繁殖材料(特に種子)に農薬化合物およびその組成物をそれぞれ施用する方法または植物繁殖材料(特に種子)を農薬化合物およびその組成物でそれぞれ処理する方法は当業者に公知であり、そのような方法としては、植物繁殖材料に対する粉衣、コーティング、ペレット化、散粉、浸漬および溝内(in-furrow)施用法が挙げられる。好ましい実施形態において、化合物またはその組成物はそれぞれ、発芽が誘発されないような方法で、例えば、種子粉衣、ペレット化、コーティングおよび散粉により、植物繁殖材料に施用される。
【0142】
好ましい実施形態において、種子を処理するために、懸濁液タイプ(FS)の組成物を使用する。典型的には、FS組成物は、1〜800 g/lの活性物質、1〜200 g/lの界面活性剤、0〜200 g/lの凍結防止剤、0〜400 g/lの結合剤、0〜200 g/lの顔料および総量が1リットルになるまでの溶媒(好ましくは水)を含み得る。
【0143】
活性物質は、それら自体で、またはそれらの組成物の形態で、例えば直接噴霧可能な溶液、粉末、懸濁液、分散液、エマルション、油分散液、ペースト、散粉用製品、散布用材料または顆粒などの形態で、噴霧(spraying, atomizing)、散粉、散布、塗布、浸漬または流し込みにより使用することができる。施用形態は、使用目的に完全に依存する。それは、いずれの場合にも、本発明の活性物質の可能な限り最も微細な分布を保証することを目的としている。
【0144】
水性の施用形態は、エマルション濃縮物、ペーストまたは水和剤(散布可能な粉末、油分散液)から、水を添加することにより調製することができる。エマルション、ペーストまたは油分散液を調製するために、物質を、そのままで、または油もしくは溶媒に溶解して、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤または乳化剤を用いて、水中で均質化することができる。あるいは、活性物質、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤または乳化剤、および適切な場合には溶媒または油で構成される濃縮物を調製することも可能であり、そのような濃縮物は、水で希釈するのに適している。
【0145】
そのまま使用できる調製物中の活性物質濃度は、比較的広い範囲で変えることができる。一般に、それらは、0.0001〜10重量%、好ましくは、0.001〜1重量%の活性物質である。
【0146】
また、活性物質は、微量散布法(ULV)で使用しても良好な結果を得ることができる。その際、95重量%を越える活性物質を含む組成物を施用することが可能であり、または、活性物質を添加物なしで施用することさえ可能である。
【0147】
活性物質またはそれを含む組成物には、種々のタイプの油、湿潤剤、アジュバント、除草剤、殺細菌剤、他の殺菌剤および/または駆除剤を添加することが可能であり、適切な場合には使用直前に添加することもできる(タンクミックス)。これらの薬剤は、本発明の組成物と、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の重量比で混合することができる。使用可能なアジュバントは、特に、有機変性ポリシロキサン、例えば、Break Thru S 240(登録商標);アルコールアルコキシレート、例えば、Atplus 245(登録商標)、Atplus MBA 1303(登録商標)、Plurafac LF 300(登録商標)およびLutensol ON 30(登録商標);EO/POブロックポリマー、例えば、Pluronic RPE 2035(登録商標)およびGenapol B(登録商標);アルコールエトキシレート、例えば、Lutensol XP 80(登録商標);ならびにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、例えば、Leophen RA(登録商標)である。
【0148】
本発明の組成物は、別の活性物質と一緒に、例えば除草剤、殺虫剤、成長調節物質、殺菌剤と一緒に、または肥料と一緒に存在させることも可能である。これらは、プレミックスとして存在させてもよく、または、適切な場合には、使用直前に一緒に存在させてもよい(タンクミックス)。
【0149】
以下の実施例は本発明を説明することを意図するものであり、いかなる限定をも課するものではない。
【実施例】
【0150】
実施例1
本発明により貯蔵組織における遊離アミノ酸が増大することを実証するための例として、ブラジルで栽培されているブドウ植物において、ピラクロストロビン(化合物A)およびメチラム(化合物B)を含む本発明の混合物を施用した後に、遊離アミノ酸アルギニンの含有量をモニターした。分析は、永続的貯蔵組織(器官)および冬の間の窒素貯蔵部位として、枝の樹皮および根の両方において実施した。3か所の異なる区域に位置する任意抽出された区画あたり6サンプルを、農場で液体窒素中に入れて直接凍結させ、抽出およびLC/MS/MSによる分析の時まで-30℃で貯蔵した。
【0151】
驚くべきことに、本発明の方法により処理されたブドウ植物は、栽培者の標準的プログラムにより栽培された植物(対照)を100%として比較すると、試料採取時点でより高い濃度のアルギニンを含有していた。枝の樹皮におけるアルギニン濃度は、対照条件のものよりも平均18%高かった。処理された植物の根において、アルギニン濃度は、対照の試料と比較して27%も高かった。
【0152】
結果は、本発明による植物の処理がアルギニンなどの遊離アミノ酸のレベルに強い影響を有することを明白に示している。処理された植物は高い収穫量を有したが、植物は明らかに「活力切れ」ではなかった。それどころか、処理されたブドウ植物は、それに加えて、永続的な木部および根の中により高い有機窒素の蓄えを作り上げる。この環境により、本発明により処理された植物は、次の春の成長シーズン中の発達において、明らかに有利なスタートを切ることができるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピラクロストロビン、オリサストロビン、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-15メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミドからなる群より選択される少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)を、栄養成長期間の後に植物に施用することを含む、多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大させる方法。
【請求項2】
ピラクロストロビン、アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、トリフロキシストロビンおよびピコキシストロビンからなる群より選択される少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)を施用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、
(i) フルオピラム、ボスカリド、フェンヘキサミド、メタラキシル、ジメトモルフ、フルオピコリド(ピコベンザミド)、ゾキサミド、マンジプロパミド、カルプロパミド、N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-[2-(4'-トリフルオロメチルチオ)-ビフェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、ビキサフェン、N-[2-(1,3-ジメチルブチル)-フェニル]-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、セダキサン、イソピラザムおよびペンチオピラドより選択されるカルボン酸アミド系;
(ii) シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、エポキシコナゾール、フルシラゾール、フルキンコナゾール、フルトリアホール、イプコナゾール、メトコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾール、シアゾファミド、プロクロラズ、エタボキサムおよびトリアゾキシドより選択されるアゾール系;
(iii) ファモキサドン、フルアジナム、シプロジニル、ピリメタニル、フェンプロピモルフ、イプロジオン、アシベンゾラル-S-メチル、プロキナジド、キノキシフェン、フェンピクロニル、キャプタン、フェンプロピジン、カプタホールおよびアニラジンより選択される複素環化合物;
(iv) マンコゼブ、メチラム、イプロバリカルブ、マネブ、プロピネブ、フルベンチアバリカルブ(ベンチアバリカルブ)およびプロパモカルブより選択されるカルバメート系およびジチオカルバメート系;
(v) チオファネートメチル、クロロタロニル、トリルフルアニドおよびフルスルファミドより選択される有機塩素化合物;
(vi) ボルドー組成物、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅および硫黄より選択される無機活性成分;
(vii) アメトクトラジン、スピロキサミン、シモキサニル、シフルフェナミド、バリフェナール、メトラフェノン、ホセチルアルミニウムおよびジチアノンより選択される種々の化合物
からなる群より選択される少なくとも1種のさらなる活性成分(化合物B)を施用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
化合物(A)としてピラクロストロビンおよび化合物(B)としてメチラムを含む農薬混合物を施用する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
植物中に貯蔵される遊離アミノ酸が、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、スレオニン、セリン、グルタミン酸、アラニン、プロリン、グリシン、バリン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、リシンおよびヒスチジンからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
植物中に貯蔵される遊離アミノ酸が、アルギニン、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
多年生植物が、それぞれ天然型または遺伝子組換え型である、農業用植物、林業用植物および園芸用植物からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
多年生植物が、木、草本植物、低木および球根植物からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
植物が、アスパラガス、ブドウ、ナシ状果、バナナ、リンゴ、セイヨウナシ、スモモ、モモ、アーモンド、サクラ、イチゴ、ラズベリー、スグリ、ブラックベリー、グースベリー、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリン、堅果樹、アブラヤシ、タバコ、コーヒー、茶、ホップおよび芝からなる群より選択される、請求項7または8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
植物がブドウである、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
貯蔵組織が、樹皮、木質、根、塊茎、球根、偽鱗茎、挺幹、直根、球茎、貯蔵胚軸ならびに根茎からなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
生殖成長期間の後に施用を実施する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
施用を少なくとも2回実施する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大させるための、ピラクロストロビン、オリサストロビン、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、2-(2-(6-(3-クロロ-2-メチル-フェノキシ)-5-フルオロ-ピリミジン-4-イルオキシ)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド、3-15メトキシ-2-(2-(N-(4-メトキシ-フェニル)-シクロプロパン-カルボキシイミドイルスルファニルメチル)-フェニル)-アクリル酸メチルエステル、メチル(2-クロロ-5-[1-(3-メチルベンジルオキシイミノ)-エチル]ベンジル)カルバメートおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミドからなる群より選択される少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)の使用。
【請求項15】
多年生植物の貯蔵組織における遊離アミノ酸レベルを増大させるための、請求項14に定義される通りの少なくとも1種のストロビルリン(化合物A)ならびに
(i) フルオピラム、ボスカリド、フェンヘキサミド、メタラキシル、ジメトモルフ、フルオピコリド(ピコベンザミド)、ゾキサミド、マンジプロパミド、カルプロパミド、N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、N-[2-(4'-トリフルオロメチルチオ)-ビフェニル]-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、ビキサフェン、N-[2-(1,3-ジメチルブチル)-フェニル]-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキシアミド、セダキサン、イソピラザムおよびペンチオピラドより選択されるカルボン酸アミド系;
(ii) シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、エポキシコナゾール、フルシラゾール、フルキンコナゾール、フルトリアホール、イプコナゾール、メトコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾール、シアゾファミド、プロクロラズ、エタボキサムおよびトリアゾキシドより選択されるアゾール系;
(iii) ファモキサドン、フルアジナム、シプロジニル、ピリメタニル、フェンプロピモルフ、イプロジオン、アシベンゾラル-S-メチル、プロキナジド、キノキシフェン、フェンピクロニル、キャプタン、フェンプロピジン、カプタホールおよびアニラジンより選択される複素環化合物;
(iv) マンコゼブ、メチラム、イプロバリカルブ、マネブ、プロピネブ、フルベンチアバリカルブ(ベンチアバリカルブ)およびプロパモカルブより選択されるカルバメート系およびジチオカルバメート系;
(v) チオファネートメチル、クロロタロニル、トリルフルアニドおよびフルスルファミドより選択される有機塩素化合物;
(vi) ボルドー組成物、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅および硫黄より選択される無機活性成分;
(vii) アメトクトラジン、スピロキサミン、シモキサニル、シフルフェナミド、バリフェナール、メトラフェノン、ホセチルアルミニウムおよびジチアノンより選択される種々の化合物
からなる群より選択される少なくとも1種のさらなる活性成分(化合物B)を含む農薬混合物の使用。

【公表番号】特表2013−500297(P2013−500297A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522091(P2012−522091)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060246
【国際公開番号】WO2011/012458
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】