説明

多数の温度で生化学的又は化学的な反応を実施する方法及び装置

多数の反応温度を必要とする化学的又は生化学的な反応を実施する方法及び装置が、開示されている。その方法は、1つ以上の反応液滴又は反応体積を、マイクロフルイディクス装置上の、異なる温度を有する種々の反応ゾーンを通して移動させる工程を、含んでいる。装置は、反応液滴又は反応体積を、種々の反応ゾーンを通して移動させることができる、適当なアクチュエータ、を備えたマイクロフルイディクス装置を、備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年5月11日出願の米国仮出願第60/679、714号の利益を主張しており、それは、その全体を参照することにより、ここに組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
生化学的及び化学的な反応の速度に対する温度依存性は、縮小化によって反応効率及び反応速度を向上させるための試みに対して、明確な課題をもたらしている。時間領域法は、等温状態にのみ適しており、それにより、反応体積だけでなくハウジング全体も、望ましい温度で維持されている。温度が、急激に且つ抑制された手段で、変化する又はサイクルする必要がある場合、ハウジングの追加熱質量は、達成可能な速度及び/又は精度を、制限する。
【特許文献1】米国特許第6、565、727号
【特許文献2】米国特許第6、773、566号
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0058450号
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0055891号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
空間領域法(例えば、 Kopp, M. U., de Mello, A. J., Manz, A., Science 1998, 280, 1046-1048; Burns, M. A., Johnson, B. N., Bralimansandra, S. N., Handique,K.,Webster, J. R., Krishman,M., Sammarco, T. S.,Man,P. M., Jones, D., Heldsinger, D., Mastrangelo, C. H., Burke,D. T., Science 1998, 282, 484-487; Chiou, J., Matsudaira, P., Sonn, A., Ehrlich, D., Anal. Chem.2001, 73, 2018-2021; andNakano, H.,Matsuda, K., Yohda, M., Nagamune, T., Endo, I.,Yamane, T., Biosci. Biotechnol Biochem. 1994, 58, 349-352、参照)では、反応ハウジングの異なる部分が、異なる温度で維持されており、反応体積は、その部分の温度で維持するために、ハウジングの所望の部分との熱接触が、もたらされている。必要ならば、反応体積は、温度を変化させるために、ハウジングの異なる部分へ移動されてもよく、また、反応体積の軌跡に因って、その温度プロファイルは、要望通りに適合又はサイクルできる。今まで、空間領域の動的熱制御の実施の多くは、PCR熱サイクリングを縮小化する方向へ向けられてきた。温度ゾーンに渡る、連続した湾曲又は螺旋チャネルは、連続した流入増幅について明示されており(例えば、Fukuba T, Yamamoto T, Naganuma T, Fujii T Microfabricated flow-through device for DNA amplification - towards in situ gene analysis CHEMICAL ENGINEERING JOURNAL 101 (1-3):151-156 AUG 1 2004参照)前後に移動する反応スラグを備えた直接通路の配置は、明示されており(例えば、Chiou, J., Matsudaira, P., Sonn, A., Ehrlich, D., Anal. Chem.2001, 73, 2018-2021参照)、最後に、ループを通る個々の反応のサイクルは、明示されている(例えば、Jian Liu Markus Enzelberger Stephen Quake A nanoliter rotary device for polymerase chain reaction Electrophoresis 2002, 23, 1531-1536参照)。
【0004】
既存の装置は、各温度サイクルの間、検出部位を通る反応体積の通路を、設けておらず、リアルタイムPCRの機能を、提供している。また、既存の装置は、多数の並列チャネルを、用いていない。並列チャネルは、スループットを向上させるため、多数の反応体積を、それぞれ含んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、異なる温度を必要とする核酸増幅反応を実施する方法が、開示されている。その方法は、(a)少なくとも1つの反応液滴を、少なくとも2つの反応ゾーンを備えたエレクトロウェッティングアレイに供給する、工程;これにおいて、各反応ゾーンは、核酸増幅反応に必要とされる異なる温度を有しており、反応液滴は、標的核酸と、核酸の増幅を生じさせるのに必要とされる試薬と、を含んでいる、(b)核酸増幅反応の初回サイクルが完了するように、少なくとも1つの反応液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、少なくとも2つの反応ゾーンを通して移動させることによって、核酸増幅反応を実施する、工程;(c)核酸増幅反応の更なるサイクルを実施するために、工程(b)を任意に繰り返す、工程;を有している。
【0006】
他の実施形態では、標的核酸を増幅させる方法が、開示されている。その方法は、(a)少なくとも1つの反応液滴をエレクトロウェッティングアレイに供給する、工程;これにおいて、反応液滴は、標的核酸と、核酸の増幅を生じさせるのに必要とされる試薬と、を含んでおり、試薬は、核酸プライマーを含んでいる、(b)標的核酸が変性されるように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第1温度を有する第1反応ゾーンを通して移動させる、工程;(c)プライマーが標的核酸にアニールされるように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第2温度を有する第2反応ゾーンを通して移動させる、工程;(d)核酸プライマーの伸長が生じ、それによって、標的核酸が増幅するように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第3温度を有する第3反応ゾーンを通して移動させる、工程;工程(b)、(c)、(d)を任意に繰り返す、工程;を有している。
【0007】
上記記載の標的核酸を増幅させる方法が、更に、提供されている。その方法は、(a)少なくとも1つの反応液滴をエレクトロウェッティングアレイに供給する、工程;これにおいて、反応液滴は、標的核酸と、核酸の増幅を生じさせるのに必要とされる試薬と、を含んでおり、試薬は、核酸プライマーを含んでいる、(b)標的核酸が変性されるように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第1温度を有する第1反応ゾーンを通して移動させる、工程;(c)プライマーが標的核酸にアニールされるように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第2温度を有する第2反応ゾーンを通して移動させる、工程;工程(b)、(c)を任意に繰り返す、工程;を有している。
【0008】
他の実施形態では、種々の温度で化学的又は生化学的な反応を実施する装置が、開示されている。その装置は、少なくとも1つの反応通路と、少なくとも1つの検出部位と、少なくとも1つの戻り通路と、を備えた、マイクロフルイディクス装置と、反応液滴又は反応体積を、反応通路、検出部位、及び戻り通路を通して、作動させる、手段と、を備えている。また、装置は、他の反応ゾーンとは異なる温度を維持できる反応ゾーンであって、少なくとも2つの反応ゾーンを、備えており、反応通路が、少なくとも2つの反応ゾーンを通っている。
【0009】
上記記載の装置の実施形態が、更に、提供される。装置は、複数の反応通路と、少なくとも1つの検出部位と、少なくとも1つの戻り通路と、を備えた、マイクロフルイディクス装置と、反応液滴又は反応体積を、反応通路、検出部位、及び戻り通路を通して、作動させる、手段と、を備えている。装置は、更に、他の反応ゾーンとは異なる温度を維持できる反応ゾーンであって、少なくとも2つの反応ゾーンを備えており、反応通路のそれぞれが、少なくとも2つの反応ゾーンを通っており、反応通路の少なくとも1つが、少なくとも1つの検出部位に、流体連結している。
【0010】
他の実施形態では、種々の温度で化学的又は生化学的な反応を実施する装置が開示されている。その装置は、少なくとも1つの反応通路と少なくとも1つの検出部位と少なくとも1つの戻り通路とを形成する、複数のエレクトロウェッティング電極を、備えたエレクトロウェッティングアレイを、備えている。
装置は、更に、他の反応ゾーンとは異なる温度を維持できる反応ゾーンであって、少なくとも2つの反応ゾーンを備えており、反応通路が、少なくとも2つの反応ゾーンを通っており、エレクトロウェッティングアレイが、反応通路、検出部位、及び戻り通路を通して、反応液滴を操作可能である。
【0011】
他の実施形態では、異なる温度を必要とする反応を実施する方法が、開示されている。その方法は、(a)少なくとも1つの反応液滴を、少なくとも2つの反応ゾーンを備えたエレクトロウェッティングアレイに供給する、工程;これにおいて、各反応ゾーンは、反応に必要とされる異なる温度を有しており、反応液滴は、反応を生じさせるのに必要とされる試薬を含んでいる、(b)反応の初回サイクルが完了するように、少なくとも1つの反応液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、少なくとも2つの反応ゾーンを通して移動させることによって、反応を実施する、工程;(c)反応の更なるサイクルを実施するために、工程(b)を任意に繰り返す、工程;を有している。
【0012】
異なる温度を必要とする反応を実施する方法の実施形態が、更に、提供される。その方法は、(a)少なくとも1つの反応液滴又は体積を、少なくとも2つの反応ゾーン及び少なくとも1つの検出部位を備えたマイクロフルイディクス装置に供給する、工程;これにおいて、各反応ゾーンは、反応に必要とされる異なる温度を有しており、反応液滴は、反応を生じさせるのに必要とされる試薬を含んでいる、(b)反応の初回サイクルが完了するように、少なくとも1つの反応液滴又は体積を、エレクトロウェッティングを用いて、少なくとも2つの反応ゾーンを通して移動させることによって、反応を実施する、工程;(c)反応の更なるサイクルを実施するために、工程(b)を任意に繰り返す、工程;を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、多数の反応温度を必要とする化学的又は生化学的な反応を実施する方法及び装置に、関するものである。その方法は、1つ以上の反応液滴又は反応体積を、マイクロフルイディクス装置上の、異なる温度を有する種々の反応ゾーンを通して移動させる工程を、含んでいる。装置は、反応液滴又は反応体積を、種々の反応ゾーンを通して移動させることができる、適当なアクチュエータ、を備えたマイクロフルイディクス装置を、備えている。
【0014】
(エレクトロウェッティングを用いる方法及び装置)
一実施形態において、装置は、多数のエレクトロウェッティング電極を備えた、エレクトロウェッティングアレイを、備えており、方法は、反応を実施するために、1つ以上の反応液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、異なる温度を有するエレクトロウェッティングアレイ上の、種々の反応ゾーンを通して移動させる工程を、含んでいる。
【0015】
装置のエレクトロウェッティングアレイは、1つ以上の反応通路を備えてもよく、反応通路は、装置の少なくとも2つの反応ゾーンを通っている。各反応ゾーンは、多数の反応温度を必要とする反応を実施するために、反応液滴を、所望の温度に晒すために、別々の温度で維持されていてもよい。各反応通路は、例えば、エレクトロウェッティングアレイに多数の電極を備えていてもよく、それらの電極は、共に、反応液滴がエレクトロウェッティング作動を用いて全反応通路を通って移動されるように、個々の液滴を一電極から次の電極へ移動させることができる。エレクトロウェッティングアレイ、エレクトロウェッティング電極、及び、使用可能な同様のものを組み込んだ装置は、米国特許第6、565、727号、6、773、566号、米国特許出願公開第2004/0058450号、2004/0055891号、に開示されたものを含んでおり、それらは、参照することによって、ここに組み込まれている。
【0016】
多数の反応温度を必要とする反応を実施するために使用できる装置は、典型的には、第1平坦基板と、第1基板に対して実質的に平行な第2平坦基板と、を備えている。実質的に平面である多数の電極は、典型的には、第1基板に設けられている。多数の実質的に平面の電極、又は、1つの大きな実質的に平面の電極、のどちらも、典型的には、第2基板に設けられている。好ましくは、第1又は第2基板のどちらかの電極の少なくとも1つは、絶縁体で覆われている。第1基板の電極(又は、電極を覆っている絶縁体)と、第2基板の電極(又は、電極を覆っている絶縁体)と、の間の部分は、ギャップを形成しており、ギャップは、装置によって操作される液体と実質的には混合しないフィラー流体で、満たされている。そのようなフィラー流体は、空気、ベンゼン、又は、シリコーンオイル、を含んでいる。幾つかの実施形態では、ギャップは、約0.01mmから約1mmであるが、更に大きい又は小さいギャップも使用できる。操作される液体の、液滴の構造及び動作は、ギャップの両側の電極によって形成された、ギャップを横断する電界によって、制御される。図1は、一実施形態の、多数の反応温度を必要とする化学的又は生化学的な反応を実施する装置の、一部分の断面を、示しており、以下の参照数字を備えている。22−第1基板、24−第2基板、26−液滴、28a及び28b−疎水性絶縁コーティング、30−フィラー流体、32a及び32b−電極。
【0017】
ただ1つの基板に電極を備えている、他の装置(又は、ただ1つの基板を備えている装置)も、また、多数の反応温度を必要とする反応を実施するのに、使用できる。米国特許出願公開第2004/0058450号、2004/0055891号は、その内容を参照することによりここに組み込まれており、ただ1つの基板にエレクトロウェッティング電極アレイを備えた装置を、明示している。そのような装置は、第1基板と、そこに組み込まれた又はそれに取り付けられた制御電極のアレイと、を備えている。誘電体層は、制御電極を覆っている。基準電位における導電線の二次元グリッドは、近接した駆動電極間を走る各導電線(例えば、ワイヤ又はバー)を備えた、電極アレイに、重ねられている。
【0018】
化学的又は生化学的な反応を実施する装置の、各反応通路は、少なくとも2つの反応ゾーンを、含んでいる。反応ゾーンは、多数の反応温度を必要とする反応が実施できるように、規定温度で維持されている。1つ以上の反応液滴は、実行されている特定の反応に従った適当な時間で、各反応ゾーンを通して移動されている(又は、各反応ゾーン内に留まることができる)。反応ゾーンの温度は、例えば、抵抗加熱、誘導加熱、又は、赤外線加熱等を含む、あらゆるタイプの加熱又は冷却を使用して、実質的には、一定温度に維持されている。反応を実施する装置は、更に、反応ゾーンを実質的に一定温度に保つのに必要な、熱又は冷気を、発生且つ維持する機構を、備えている。
【0019】
化学的又は生化学的な反応を実施する装置は、反応通路の中又は後に配置された、検出部位を、任意に、有してもよい。一実施形態では、装置は、各反応通路における最後の反応ゾーンの後に、検出部位を、備えている。検出部位は、装置のエレクトロウェッティングアレイの一部でもあり、反応の兆候の検出(例えば、反応が起こった又は起こっていないことを示すラベル)、又は、(計量等のための)反応液滴中の検体の検出が、検出部位において検出できるように、構成できる。例えば、検出部位は、反応特性の光学的兆候を、光学的に又は視覚的に検出できるように、装置内に透明な又は半透明な部分を、備えることができる。更に、検出器が、反応の兆候を、透明な又は半透明な部分を用いて又は用いないで、検出できるように、検出部位に配置できる。透明な又は半透明な検出部位は、ガラス又はプラスティックでできた基板と、インジウムスズ酸化物又は薄く透明な金属フィルムでできた電極と、を用いて、構成できる。反応の兆候は、例えば、蛍光性、放射性等を備えてもよく、また、使用されるラベルは、蛍光性ラベル及び放射性ラベルを含んでいる。更に、検出部位は、反応液滴中の検体の検出を可能にするために、結合酵素又は他の薬剤を、含むことができる。
【0020】
上記のように、装置の1つ以上の反応通路は、エレクトロウェッティング電極のアレイを、備えることができる。更に、反応通路は、流体通路を画定するのを補助するための、管又はチャネルを、更に備えることができる。そのようなチャネル又は管は、エレクトロウェッティング電極自体の一部であってもよく、電極を覆っている絶縁体の一部であってもよく、又は、電極から別れていてもよい。
【0021】
反応通路は、種々の幾何学形態を有していてもよい。例えば、反応通路は、少なくとも2つの反応ゾーンを備えている円形通路、少なくとも2つの反応ゾーンを横切る直線通路、又は、他の形状の通路、であってもよい。更に、装置が種々の反応のために再構成されるように、装置は、多数の反応可能通路及び多数の反応ゾーンを含む、エレクトロウェッティング電極のアレイを、備えてもよい。
【0022】
多数の反応サイクルが同じ試薬を使用して実施されるように、装置は、反応通路の末端から又は(装置が反応通路の末端の後に検出部位を含んでいる場合には)検出部位から、同じ反応通路(又は、新しい、同一の反応通路)の基端への、戻り通路を、更に備えてもよい。すなわち、多数の反応サイクルが、反応液滴の全通路としてループ通路又は蛇行通路を使用して実施されるように、装置は、戻り通路を含んでもよい。反応通路及び検出部位と同様に、戻り通路は、1つ以上のエレクトロウェッティング電極を備えており、装置のエレクトロウェッティングアレイの一部である。戻り通路は、流体路を画定するのを補助するための、チャネル又は管を、備えてもよい。戻り通路は、1つ以上の反応ゾーンを通ってもよく、又は、反応ゾーンを全体的に迂回してもよい。更に、戻り通路は、実質的には(反応ゾーン内で維持された温度の1つとは異なる又は同一の)一定温度を有してもよく、その温度は、適当な加熱機構又は冷却機構によって、維持される。更に、戻り通路は、反応液滴が反応通路内に留まる時間よりも速く、反応液滴が同じ又は新しい反応通路の基端へ戻るように、操作されてもよい。
【0023】
多数の反応通路が装置に含まれる場合、多数の戻り通路(例えば、各反応通路に対し1つの戻り通路)が存在してもよく、又は、反応通路より少ない戻り通路(例えば、ただ1つの戻り通路)が存在してもよい。反応通路より少ない戻り通路が存在する場合、初回の反応サイクルにおいて特定の通路を通る反応液滴が、2回目の反応サイクルのために同一の反応通路に戻され、したがって、特定の反応液滴の各進行サイクルの結果と、同じ反応液滴の前サイクルの結果と、を比較することを、可能にするように、液滴は、エレクトロウェッティングアレイにおいて操作されてもよい。
【0024】
他の実施形態では、反応液滴は、同じ反応サイクルを実行するために、戻り通路の無い、同じ反応通路の基端へ、移動される。そのような戻り通路は、反応通路及びあらゆる検出部位がループを形成する場合に、又は、反応通路及びあらゆる検出部位がループを形成せず(例えば、直線通路)、且つ、反応液滴が同じ通路に沿って反対方向に移動されて同じ反応通路の基端へそれらを戻す場合に、必要とされない。エレクトロウェッティングアレイを備えている装置は、必要に応じて、通路内の二方向だけでなく、幾つかの反応のためのアレイ内の一方向の、両方に、反応液滴を、移動させることができる。更に、そのような装置は、特定の反応を実行するのに必要なアレイ内の、あらゆる組み合わせた方向へ、反応液滴を、移動させることができ、且つ、そのような装置は、エレクトロウェッティングアレイ内において、直線的な動きに制限されない。
【0025】
装置は、装置から液体(例えば、反応液滴、廃液、充填液)を抜き取るだけでなく、装置中に液体(例えば、反応液滴、充填液、又は、他の液体)を分配するのに必要とされる、適当な構造及び機構を、備えてもよい。そのような構造は、エレクトロウェッティングアレイのギャップから液体を置き又は抜き取るために、1つ以上の孔を、装置のハウジング又は基板に、備えることができる。装置から液体を分配し又は抜き取るのに適した機構は、吸引、圧力等を使用するものを、含んでおり、また、ピペット、キャピラリー等を、含んでいる。更に、エレクトロウェッティングアレイから形成された容器も、エレクトロウェッティングアレイから形成された計量計も、例えば、米国特許第6,565,727号に開示されており、ここに記載された装置にも、使用できる。
【0026】
多数の反応温度を必要とする化学的又は生化学的な反応を実施する方法は、少なくとも1つの反応液滴を、ここに記載された装置のエレクトロウェッティングアレイに供給する工程と、その後、少なくとも1つの反応液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、少なくとも2つの反応ゾーンを通して移動させることによって、反応を実施する工程と、を備えている。少なくとも2つの反応ゾーンは、反応に必要とされる異なる温度で維持される。必要であれば、少なくとも1つの反応液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、少なくとも2つの反応ゾーンを通して再び移動させることによって、反応は、同じ反応液滴で、繰り返すことができる。そのような繰り返しは、多数の反応のサイクルが特定の反応にとって必要とされ又は好まれる場合に、望ましい。
【0027】
1つ以上の反応液滴は、所望の反応を実施するのに必要な試薬を、含んでおり、(検査されるあらゆるサンプルを含む)反応液滴は、装置の外側で調製されてもよく、又は、エレクトロウェッティングアレイを用いる装置内で1つ以上の液滴を混ぜることによって調製されてもよい。更に、反応中に、又は、反応サイクル後であって新しい反応サイクルを実施する前に、更なる試薬が、(例えば、適当な試薬を含んでいる新しい反応液滴を混ぜることによって)反応液滴に、加えられてもよい。
【0028】
ここに記載された装置は、温度サイクルを必要とする核酸増幅反応を実施するのに適しているが、これに限定されない。すなわち、装置は、核酸を増幅させるための反応を実施するのに有用であり、その反応は、例えば、核酸の変性、核酸プライマーの核酸へのアニーリング、核酸の重合(すなわち、核酸プライマーの伸長)等の、全反応中の一部の反応を実施するために、1つ以上の温度を、必要としている。
【0029】
種々の核酸増幅方法は、高温の変性温度から低温の重合温度への、反応温度サイクルを必要としており、また、他の方法は、高温の変性温度から、変性温度とアニーリング温度との間であって、重合温度より低温のアニーリング温度への、反応温度サイクルを、必要としている。そのような核酸増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応、及び、転写ベース増幅、を含んでいるが、これらに限定されない。
【0030】
特定の一実施形態では、異なる温度を必要とする反応を実施する方法が、提供されている。その方法は、(a)少なくとも1つの反応液滴を、少なくとも2つの反応ゾーンを備えたエレクトロウェッティングアレイに供給する工程と、(b)反応の初回サイクルが完了するように、少なくとも1つの反応液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、少なくとも2つの反応ゾーンを通して移動させることによって、反応を実施する工程と、を有している。各反応ゾーンは、反応に必要とされる異なる温度を、有している。反応液滴は、反応を生じさせるのに必要とされる試薬を、含んでいる。工程(b)は、反応の更なるサイクルを実施するために、任意に繰り返されてもよい。
【0031】
他の特定の実施形態では、異なる温度を必要とする核酸増幅反応を実施する方法が、提供されている。その方法は、(a)少なくとも1つの反応液滴を、少なくとも2つの反応ゾーンを備えたエレクトロウェッティングアレイに供給する、工程;(b)核酸増幅反応の初回サイクルが完了するように、少なくとも1つの反応液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、少なくとも2つの反応ゾーンを通して移動させることによって、反応を実施する、工程;を有している。各反応ゾーンは、核酸増幅反応に必要な異なる温度を、有している。反応液滴は、標的核酸と、核酸の増幅を生じさせるのに必要な試薬と、を含んでいる。そのような試薬は、適当な、核酸プライマー、ヌクレオチド、酵素(例えば、ポリメラーゼ)、及び、他の薬剤を、含んでいてもよい。工程(b)は、核酸増幅反応の更なるサイクルを実施するために、任意に繰り返されてもよい。
【0032】
更なる実施形態では、標的核酸を増幅させる他の方法が、提供されている。その方法は、(a)少なくとも1つの反応液滴をエレクトロウェッティングアレイに供給する、工程;これにおいて、反応液滴は、標的核酸と、核酸の増幅を生じさせるのに必要とされる試薬と、を含んでおり、試薬は、核酸プライマーを含んでいる、(b)標的核酸が変性されるように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第1温度を有する第1反応ゾーンを通して移動させる、工程;(c)プライマーが標的核酸にアニールされるように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第2温度を有する第2反応ゾーンを通して移動させる、工程;(d)核酸プライマーの伸長が生じ、それによって、標的核酸が増幅するように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第3温度を有する第3反応ゾーンを通して移動させる、工程;を有している。工程(b)、(c)、(d)を任意に繰り返されてもよい。
【0033】
更に他の実施形態では、標的核酸を増幅させる他の方法が、提供されており、その方法は、(a)少なくとも1つの反応液滴をエレクトロウェッティングアレイに供給する、工程;これにおいて、反応液滴は、標的核酸と、核酸の増幅を生じさせるのに必要とされる試薬と、を含んでおり、試薬は、核酸プライマーを含んでおり、(b)標的核酸が変性されるように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第1温度を有する第1反応ゾーンを通して移動させる、工程;(c)プライマーが標的核酸にアニールされるように、且つ、核酸プライマーの伸長が生じ、それにより、標的核酸が増幅するように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第2温度を有する第2反応ゾーンを通して、移動させる、工程;を有している。工程(b)、(c)は、核酸増幅反応の更なるサイクルを実施するために、任意に繰り返されてもよい。
【0034】
方法が、PCRを実施するのに使用される場合、反応液滴中の試薬は、デオキシヌクレオシド三リン酸と、核酸プライマーと、例えば、TaqDNAポリメラーゼのような耐熱性ポリメラーゼ等のポリメラーゼと、を含んでもよい。
【0035】
種々の温度で化学的又は生化学的な反応を実施する方法が、開示されており、その方法は、多数の液滴を、所望の時点で検出部位を通して移動させ又は移動させないで、所望の温度に維持されたハウジングの一部を通して、移動させるものである。この目的のために提供された装置は、反応液滴を、制御温度と、任意の検出部位と、温度サイクルを所望の回数繰り返すための任意の戻り通路と、を有するゾーンを通して移動させるための通路を、備えている。
【0036】
リアルタイムPCRを実現している特定の実施形態が、図2に示されている。図2に示されるように、エレクトロウェッティング制御電極の、14本の平行ラインは、反応液滴を3つの温度ゾーンを通して移動される作動を、提供する。各通路は、初期には、最大10個のPCR反応液滴で、満ちている。各通路は、液滴が最後の温度制御ゾーンから出る時に、専用の検出部位を通過する。蛍光測定が実施され、その後、特定の液滴が、捨てられ、又は、戻り通路を用いて第1温度ゾーンへ戻される。この特定の配置では、1つの戻り通路が、14本の作動通路全てに対して、利用される。好ましくは、この配置は、戻りループ通路が、温度制御ゾーンを通って、各通路よりも高いスループットで作動できる場合に、使用される。例えば、液滴が、20Hzで、一電極から隣の電極へ移動される場合には、14本の前方通路及び1本の戻り通路のための整合スイッチング周波数は、280Hzとなる。また、好ましくは、前方通路の前又は後のどちらか、又は、その両端において、反応液滴を並べ換えるための準備がなされており、それにより、反応液滴は、正確に同じ順番で、各サイクルへ入り及び各サイクルから出る。特に、これは、(全ての反応が、かなり似通った、理想的には同一の、温度履歴に、晒されるべき場合に)定量的PCRにとって、有用である。
【0037】
(他の流体又はマイクロ流体アクチュエータを使用する方法及び装置)
装置の反応ゾーンを通して、反応液滴を作動させるために、エレクトロウェッティングアレイ及び電極を用いるのに加えて、他の作動手段が、ここに記載された装置及び方法を用いて、使用されてもよい。すなわち、反応液滴又は反応体積を作動させるための、あらゆる機構が、ここに記載された装置及び方法において、用いられてもよく、その装置及び方法は、熱アクチュエータと、バブルベースアクチュエータと、マイクロバルブベースアクチュエータと、を含んでいるが、これらに限定されない。エレクトロウェッティングが、反応を実施するために液体を操作するのに使用されているという、装置及び方法のこの記述は、他の作動手段を使用する装置及び方法に、等しく、適用可能である。
【0038】
したがって、多数の反応温度を必要とする化学的又は生化学的な反応を実施する装置は、装置上に少なくとも2つの反応ゾーンを通る少なくとも1つの反応通路を備えているマイクロフルイディクス装置を、備えてもよい。装置は、1つ以上の検出部位及び1つ以上の戻り通路を、含んでもよい。装置は、反応通路、検出部位、及び/又は、戻り通路を通して、反応液滴又は反応体積を作動させる手段を、更に備えており、また、装置の、そのような、反応通路、検出部位、及び/又は、戻り通路は、種々の方法で、流体連結されてもよい。
【0039】
一実施形態では、装置は、少なくとも2つの反応ゾーンを通る多数の反応通路を、含んでおり、各反応通路は、多数の反応液滴/体積を、含んでもよい。他の実施形態では、装置は、1つ以上の反応通路の中又は後に、少なくとも1つの検出部位を、含んでいる。そのような実施形態では、検出部位及び1つ以上の反応通路は、流体連結される。
【0040】
上記記載のように、反応通路は、種々の幾何学形態を有してもよい。例えば、反応通路は、少なくとも2つの反応ゾーン、少なくとも2つの反応ゾーンを横切る直線通路、又は、他の形状の通路、を備えた、円形通路でもよい。
【0041】
多数の反応サイクルが同じ試薬を使用して実施されるように、装置は、また、反応通路の末端から又は(装置が反応通路の末端の後に検出部位を含んでいる場合は)検出部位から、同じ反応通路(又は、新しい、同一の反応通路)の基端への、戻り通路を、備えていてもよい。すなわち、多数の反応サイクルが、反応液滴/体積の全通路として、ループ通路又は蛇行通路を用いて、実施されるように、装置は、戻り通路を含んでもよい。戻り通路は、1つ以上の反応ゾーンを通り又は反応ゾーンを全体的に迂回してもよい。更に、戻り通路は、実質的には(反応ゾーンで維持された温度の1つとは異なる又は同一の)一定温度を有してもよく、その温度は、適当な加熱機構又は冷却機構によって、維持される。更に、戻り通路は、反応液滴/体積が、反応通路内に留まる時間よりも速く、同じ又は新しい反応通路の基端へ戻るように、操作されてもよい。
【0042】
多数の反応通路が装置に含まれている場合、多数の戻り通路(例えば、各反応通路に対して1つの戻り通路)が存在してもよく、又は、反応通路より少ない戻り通路(例えば、ただ1つの戻り通路)が存在してもよい。反応通路より少ない戻り通路が存在する場合、初回の反応サイクルにおいて特定の通路を通る反応液滴/体積が、2回目の反応サイクルのために同一の反応通路に戻され、したがって、特定の反応液滴/体積の各進行サイクルの結果と、同じ反応液滴/体積の前のサイクルの結果と、を比較することを、可能にするように、液滴/体積は、装置で操作されてもよい。
【0043】
他の実施形態では、反応液滴/体積は、同じ反応サイクルを実行するために、戻り通路を用いないで、同じ反応通路の基端へ、移動される。そのような戻り通路は、反応通路及びあらゆる検出部位がループを形成する場合に、又は、反応通路及びあらゆる検出部位がループを形成せず(例えば、直線通路)、且つ、反応液滴/体積が同じ通路に沿って反対方向に移動されて同じ反応通路の基端へそれらを戻す場合に、必要とされない。
【0044】
多数の反応体積/液滴は、同時に、マイクロフルイディクス装置を通して移動されてもよい。更に、多数の反応通路は、多数の反応体積/液滴を有して、使用されてもよい。
【0045】
特定の一実施形態では、装置は、多数の反応通路と、1つの反応通路の中又は後のどちらかの少なくとも1つの検出部位と、少なくとも1つの戻り通路と、を備えている。そのような実施形態では、1つの戻り通路が使用される場合、多数の反応通路と、少なくとも1つの検出部位と、戻り通路とが、ループを形成するために、流体連結される。多数の戻り通路が使用される場合、多数のループが、形成されてもよい。
【0046】
上記記載のように、多数の反応温度を必要とする化学的又は生化学的な反応を実施する方法は、少なくとも1つの反応液滴/体積を、ここに記載されたマイクロフルイディクス装置に供給する工程と、その後に、少なくとも1つの反応液滴/体積を、作動手段を用いて、少なくとも2つの反応ゾーンを通して移動させることによって反応を実施する工程と、を有している。少なくとも2つの反応ゾーンは、反応に必要な異なる温度に、維持されている。必要であれば、反応は、少なくとも1つの反応液滴を、作動手段を用いて、少なくとも2つの反応ゾーンを通して再び移動させることによって、同じ反応液滴で、繰り返してもよい。そのような繰り返しは、多数の反応のサイクルが特定の反応に必要とされ又は好まれる場合に、望ましい。
【0047】
本発明は、特定の実施形態を参照して且つ詳細に記載されているが、発明の精神及び範囲から逸脱せずに、各種の変更及び修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】一実施形態の、多数の反応温度を必要とする化学的又は生化学的な反応を実施する装置の、一部分の断面図である。
【図2】エレクトロウェッティングアレイを用いて、リアルタイムのポリメラーゼ連鎖反応を実施する装置の、一実施形態を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる温度を必要とする核酸増幅反応を実施する方法であって、
(a)少なくとも1つの反応液滴を、少なくとも2つの反応ゾーンを備えたエレクトロウェッティングアレイに供給する、工程;これにおいて、各反応ゾーンは、核酸増幅反応に必要とされる異なる温度を有しており、反応液滴は、標的核酸と、核酸の増幅を生じさせるのに必要とされる試薬と、を含んでいる、
(b)核酸増幅反応の初回サイクルが完了するように、少なくとも1つの反応液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、少なくとも2つの反応ゾーンを通して移動させることによって、核酸増幅反応を実施する、工程;
(c)核酸増幅反応の更なるサイクルを実施するために、工程(b)を任意に繰り返す、工程;
を有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
標的核酸を増幅させる方法であって、
(a)少なくとも1つの反応液滴をエレクトロウェッティングアレイに供給する、工程;これにおいて、反応液滴は、標的核酸と、核酸の増幅を生じさせるのに必要とされる試薬と、を含んでおり、試薬は、核酸プライマーを含んでいる、
(b)標的核酸が変性されるように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第1温度を有する第1反応ゾーンを通して移動させる、工程;
(c)プライマーが標的核酸にアニールされるように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第2温度を有する第2反応ゾーンを通して移動させる、工程;
(d)核酸プライマーの伸長が生じ、それによって、標的核酸が増幅するように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第3温度を有する第3反応ゾーンを通して移動させる、工程;
工程(b)、(c)、(d)を任意に繰り返す、工程;
を有することを特徴とする、方法。
【請求項3】
(e)第3反応ゾーンから検出部位へ、エレクトロウェッティングを用いて、液滴を移動させる、工程;
(f)反応液滴中の増幅された核酸の存在を検出する、工程;
を更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
反応液滴を、検出部位から、エレクトロウェッティングアレイの戻り通路に沿って、第1反応ゾーンへ、移動させ、工程(b)、(c)、(d)を繰り返す、工程;
を更に有する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
標的核酸を増幅させる方法であって、
(a)少なくとも1つの反応液滴をエレクトロウェッティングアレイに供給する、工程;これにおいて、反応液滴は、標的核酸と、核酸の増幅を生じさせるのに必要とされる試薬と、を含んでおり、試薬は、核酸プライマーを含んでいる、
(b)標的核酸が変性されるように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第1温度を有する第1反応ゾーンを通して移動させる、工程;
(c)プライマーが標的核酸にアニールされるように、且つ、核酸プライマーの伸長が生じ、それによって、標的核酸が増幅するように、液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、エレクトロウェッティングアレイの第2温度を有する第2反応ゾーンを通して移動させる、工程;
工程(b)、(c)を任意に繰り返す、工程;
を有することを特徴とする、方法。
【請求項6】
種々の温度で化学的又は生化学的な反応を実施する装置であって、
少なくとも1つの反応通路と、少なくとも1つの検出部位と、少なくとも1つの戻り通路と、を備えた、マイクロフルイディクス装置と、
反応液滴又は反応体積を、反応通路、検出部位、及び戻り通路を通して、作動させる、手段と、
他の反応ゾーンとは異なる温度を維持できる反応ゾーンであって、少なくとも2つの反応ゾーンと、
を備えており、
反応通路が、少なくとも2つの反応ゾーンを通っていることを特徴とする、装置。
【請求項7】
反応通路の少なくとも1つと、検出部位の少なくとも1つと、戻り通路の少なくとも1つとが、流体連結されているループを形成している、請求項6記載の装置。
【請求項8】
反応液滴又は反応体積を作動させる手段が、1つ以上のエレクトロウェッティング電極、熱アクチュエータ、バブルベースアクチュエータ、又はマイクロバルブベースアクチュエータを、備えている、請求項6記載の装置。
【請求項9】
種々の温度で化学的又は生化学的な反応を実施する装置であって、
複数の反応通路と、少なくとも1つの検出部位と、少なくとも1つの戻り通路と、を備えた、マイクロフルイディクス装置と、
反応液滴又は反応体積を、反応通路、検出部位、及び戻り通路を通して、作動させる、手段と、
他の反応ゾーンとは異なる温度を維持できる反応ゾーンであって、少なくとも2つの反応ゾーンと、
を備えており、
反応通路のそれぞれが、少なくとも2つの反応ゾーンを通っており、
反応通路の少なくとも1つが、少なくとも1つの検出部位に、流体連結していることを特徴とする、装置。
【請求項10】
種々の温度で化学的又は生化学的な反応を実施する装置であって、
少なくとも1つの反応通路と少なくとも1つの検出部位と少なくとも1つの戻り通路とを形成する、複数のエレクトロウェッティング電極を、備えたエレクトロウェッティングアレイと、
他の反応ゾーンとは異なる温度を維持できる反応ゾーンであって、少なくとも2つの反応ゾーンと、
を備えており、
反応通路が、少なくとも2つの反応ゾーンを通っており、
エレクトロウェッティングアレイが、反応通路、検出部位、及び戻り通路を通して、反応液滴を操作可能であることを特徴とする、装置。
【請求項11】
各反応通路が、少なくとも1つの検出部位に隣接している、請求項10記載の装置。
【請求項12】
異なる温度を必要とする反応を実施する方法であって、
(a)少なくとも1つの反応液滴を、少なくとも2つの反応ゾーンを備えたエレクトロウェッティングアレイに供給する、工程;これにおいて、各反応ゾーンは、反応に必要とされる異なる温度を有しており、反応液滴は、反応を生じさせるのに必要とされる試薬を含んでいる、
(b)反応の初回サイクルが完了するように、少なくとも1つの反応液滴を、エレクトロウェッティングを用いて、少なくとも2つの反応ゾーンを通して移動させることによって、反応を実施する、工程;
(c)反応の更なるサイクルを実施するために、工程(b)を任意に繰り返す、工程;
を有することを特徴とする、方法。
【請求項13】
異なる温度を必要とする反応を実施する方法であって、
(a)少なくとも1つの反応液滴又は反応体積を、少なくとも2つの反応ゾーン及び少なくとも1つの検出部位を備えたマイクロフルイディクス装置に、供給する、工程;これにおいて、各反応ゾーンは、反応に必要とされる異なる温度を有しており、反応液滴は、反応を生じさせるのに必要とされる試薬を含んでいる、
(b)反応の初回サイクルが完了するように、少なくとも1つの反応液滴又は反応体積を、作動手段を用いて、少なくとも2つの反応ゾーンを通して移動させることによって、反応を実施する、工程;
(c)反応の更なるサイクルを実施するために、工程(b)を任意に繰り返す、工程;
を有することを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−539759(P2008−539759A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511321(P2008−511321)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/018088
【国際公開番号】WO2006/124458
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(507372350)ナノリティックス・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】NANOLYTICS, INC.
【出願人】(502347087)デューク・ユニバーシティ (19)
【氏名又は名称原語表記】DUKE UNIVERSITY
【Fターム(参考)】