説明

多機掛け船舶推進機の制御装置

【課題】船舶推進機を多機掛けしている場合に、電動舵切り装置が故障し、舵が動かせなくなっても、操船者にアクセルレバーの煩雑な操作をさせることなく、ハンドルの操作のみで船を旋回させることができる多機掛け船舶推進機の制御装置を提供する。
【解決手段】各船外機5a、5bの運転情報を相互に送受信する通信線8を備え、船体を転舵させる電動舵切り装置7a、7bが故障したとき、操舵角を検出する操舵角センサ3の検出値に応じて各船外機5a、5bの推力を制御して推力差を与えるものにおいて、推力差により前記船体の走行方向を制御する際に、操舵角が小さい領域では前記推力差を与えない操舵角閾値で制御し、前記操舵角閾値を超えた場合に推力差を与える推力差所定値で制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の船外機や船内外機等の船舶推進機を制御する多機掛け船舶推進機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電動モータによってステアリング力を発生する船外機のステアリング装置が知られている。例えば、特許第2959044号公報(特許文献1)に、ステアリングホイールの回転角度および回転方向をセンサが検出し、この検出値に基づいてコントローラが電動モータを回転制御して船外機本体を操舵するステアリング力を発生する電動ステアリング装置が開示されている。
【0003】
また、例えば、特開2007−91115号公報(特許文献2)に、複数の船外機を備えた多機掛け船外機型の船舶において、ハンドルと、該ハンドルの操舵角を検出する操舵角センサと、船尾に取り付けられた複数の船外機と、各船外機に連結された電動舵切り装置と、前記各船外機の出力を制御する制御装置とを備え、前記制御装置により、前記操舵角及び船の走行状態に応じて前記各船外機の出力、トリム角度又はプロペラの高さを調節し、船外機全体での推力及びその方向を制御する技術が開示されている。
【0004】
また、複数、例えば2機の船外機を備えた多機掛け船外機型の船舶においては、左右のエンジン回転数の微妙なズレによってうなり音が発生することがあるが、これを防ぐために、例えば特開平5−86894号公報(特許文献3)には、左右2基のエンジンを搭載した船外機において、左右のエンジンの振動を相殺することにより、船体の振動を低減するエンジンの回転位相制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2959044号公報(特許請求の範囲の欄、第3図)
【特許文献2】特開2007−91115号公報(要約の欄、図1)
【特許文献3】特開平5−86894号公報(段落0015〜0022、図2及び図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示された船外機のステアリング装置においては、電動ステアリング装置が故障した場合、舵が動かせなくなり、意図通り船を旋回させることができなくなる問題点がある。
【0007】
また、前記特許文献2に開示された多機掛け船外機型の船舶においては、船外機多機掛け時、電動舵切り装置が故障し、1機の船外機の転舵が不可能になった場合に意図通りに旋回できなくなる。即ち、1機の船外機が真っ直ぐに近い位置で転舵不可能になった場合は、転舵可能な船外機を外側に動かすことができるが、片方向にしか船を旋回させることができなくなり、また、1機の船外機が内側に向いた位置で転舵不可能になった場合は、電動舵切り装置が故障していない船外機も故障した船外機が邪魔になり転舵不可能になる可能性がある。さらに、電動舵切り装置が全て故障した場合は、船の旋回方向を変えることができなくなる問題点がある。また、操作角が小さいときには各船外機の推力差も小さいため、左右のエンジン回転数の微妙なズレによってうなり音が発生するという問題点もある。
【0008】
また、前記特許文献3に開示されたエンジンの回転位相制御装置には、左右のエンジンの振動を相殺することによりうなり音の発生を防ぐことが開示されているが、船外機の発生するうなり音そのものの発生を防ぐものと異なり、また、電動舵切り装置については開示されていない。
【0009】
この発明は前記のような問題点を解決することを課題とするもので、船舶推進機を多機掛けしている場合に、電動舵切り装置が故障し、舵が動かせなくなっても、操船者にアクセルレバーの煩雑な操作をさせることなく、操舵装置の操作のみで船を旋回させることができる多機掛け船舶推進機の制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る多機掛け船舶推進機の制御装置は、船尾に取り付けた複数の船舶推進機の運転状態を制御する多機掛け船舶推進機の制御装置であって、前記各船舶推進機の運転情報を相互に送受信する通信手段を備え、船体を転舵させる電動舵切り装置が故障したとき、操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に応じて前記各船舶推進機の推力を制御して推力差を与える多機掛け船舶推進機の制御装置において、前記推力差により前記船体の走行方向を制御する際に、前記操舵角が小さい領域では前記推力差を与えない操舵角閾値で制御し、前記操舵角閾値を超えた場合に前記推力差を与える推力差所定値で制御するものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、前記構成により、電動舵切り装置の故障時に操舵装置の操作で各船外機に推力差を与えることができるので、舵が動かせなくなった場合に旋回するために各推進機の推力をアクセルレバー操作により発生させることが不要になり、アクセルレバーの煩雑な操作をすることなく、操舵装置の操作だけで船を旋回させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係る多機掛け船舶推進機の制御装置を説明するシステム構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る多機掛け船舶推進機の制御装置による旋回制御の動作を説明するフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係る多機掛け船舶推進機の制御装置による第1の操舵判定処理方法を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る多機掛け船舶推進機の制御装置による第2の操舵判定処理方法を説明するフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係る多機掛け船舶推進機の制御装置による第2の操舵判定処理方法を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る多機掛け船舶推進機の制御装置による第1の推力差制御方法を説明するフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1に係る多機掛け船舶推進機の制御装置による第2の推力差制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して、この発明に係る多機掛け船舶推進機の制御装置について好適な実施の形態を説明する。なお、この実施の形態により発明が限定されるものではなく、諸種の設計的変更を含むものである。
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る多機掛け船舶推進機の制御装置を説明するシステム構成図である。図1において、符号1は多機掛け船外機型船舶(以下、単に船舶という。)を示している。船舶1は、その運転席に設置されるハンドル2と、ハンドル2の操舵角を検出する操舵角センサ3と、操舵角に応じて推力差を演算する操船席コントローラ4と、動力源としての船舶推進機(以下、船外機ともいう。)5a、5bと、点火や噴射などによりエンジンを制御するエンジンコントローラ6a、6bと、舵をアクチュエータで転舵させる電動舵切り装置7a、7bから構成される。ここで、操船席コントローラ4と、エンジンコントローラ6a、6bと、電動舵切り装置7a、7bは、CANなどの通信線8により接続されている。
【0015】
また、操船席コントローラ4とエンジンコントローラ6a、6bは、多機掛け船外機の制御装置を構成し、図1では分離して図示しているが、各機能が実現されれば一体的に構成してもよい。更に、電動舵切り装置7a、7bのそれぞれは、1機の船外機5a、5bに対して1機である必要はなく、2機の船外機5a、5bに対して1機の電動舵切り装置7a、7bとしてもよい。
【0016】
実施の形態1に係る多機掛け船外機の制御装置を搭載した船舶は前記のように構成されており、次に、多機掛け船外機の制御装置の動作について説明する。なお、実施の形態1に係る多機掛け船外機の制御装置の動作は、操舵判定処理とエンジン推力差制御の2つのステップに分けられる。操舵判定処理は、操舵角に基づいて船外機に与える推力差を決定する処理を行う。また、エンジン推力差制御は、決定した推力差から船外機のエンジンの回転数を制御する処理を行う。
【0017】
まず、電動舵切り装置7a、7bが故障した場合の旋回制御の動作について、図2のフローチャートに基づき説明する。
【0018】
図2において、ステップS201で操船者がハンドル2を動かすと、ハンドル2の操舵角を検出した操舵角センサ3の信号を操船席コントローラ4が受信し、ステップS202で操舵角に基づいて推力差を決定する。その後、ステップS203において、その推力差に基づいて、各船外機5a、5bの推力(エンジン回転数等)を制御する。即ち、操船席コントローラ4が操舵判定処理部となり、エンジン推力差制御部となる。
【0019】
なお、エンジンに推力差を与える場合、推力変化量に対して予め決められた値で操船席コントローラ4がスロットル開度(スロットル開度を調節するアクセルレバー位置など)を演算し、エンジンコントローラ6a、6bに送信する。また、操船席コントローラ4で推力差を決定し、推力変化量を各エンジンコントローラ6a、6bに送信し、エンジンコントローラ6a、6bが推力をフィードバックし、推力差を与えても良い。前者であれば、操船席コントローラ4が全て演算するため、通常の船舶装置の操船席コントローラ4に機能を追加するだけで済み、後者であれば、エンジンコントローラ6a、6bでフィードバック制御するため、正確な制御がしやすいというメリットがある。
【0020】
次に、ステップS202の操舵判定処理方法について説明する。
図2のステップS202における操舵判定処理の第1の方法について図3のグラフに基づき説明する。ここで、操舵角変化量は右方向への指令を正とし、左方向への指令を負とする。また、推力差は、船外機5a、5bが2機の場合、推力差は左舷機推力から右舷機推力を引いた値とする。すなわち、推力差が正であれば、推力は左舷機>右舷機という関係が成り立ち、推力差が負であれば、推力は左舷機<右舷機という関係が成り立つことになる。更に、ハンドル2はフリーハンドルとし、中心点がないハンドル2と仮定する。
【0021】
エンジン推力差は、操船者のハンドル操作による操舵角変化量の大きさに基づき決定する。図3において、操舵角変化量が閾値−A1からA1の間であれば、エンジン推力差を与えない。これは、細かいハンドル2の動きを無視し、安全に走行するための遊びである。また、うなり音が発生するのを防ぐためでもある。船外機5a、5bのエンジン回転数が少しズレているとうなり音が発生するため、うなり音が発生する可能性がある領域を超えるような推力差を与える。このときに、操船者に違和感を与えない程度の大きさの推力差にする。そして、操舵角変化量が閾値−A1より小さい、もしくは、閾値A1より大きければ、エンジン推力差制御を行い、操舵角変化量の大きさに応じて推力差の大きさを決定する。さらに、操舵角変化量が閾値−A2より小さい、もしくは、閾値A2より大きい場合は、推力差が急激に大きくなるのを防ぐために、所定値にクリップした推力差を与える。ここで決定した推力差はある所定期間の操舵角変化量に応じた値であるため、推力差は累積されていく。
【0022】
次に、図2のステップS202における操舵判定処理の第2の方法について図4のフローチャートと、図5のグラフに基づき説明する。
操舵判定処理の第2の方法では、推力差を大きくする方向への操舵角変化量に対する推力差に比べ、推力差を小さくする方向への操舵角変化量に対する推力差を大きくする。推力差を大きくする方向への制御には、図5の実線で示すマップaを使い、推力差を小さくする方向への制御には図5の破線で示すマップbを使う。ここで、前記第1の方法と同様に、操舵角変化量は右方向への指令を正とし、左方向への指令を負とする。また、船外機5a、5bが2機であれば、推力差は左舷機推力から右舷機推力を引いた値とする。
【0023】
図4のステップS401で推力差制御中であるかどうか判定する。推力差制御中でなければ推力差は0で、推力差を大きくする方向への制御になるため、ステップS402で図5のマップaにより推力差を決定する。マップaでの推力差決定方法は前記第1の方法と同様である。
【0024】
次に、ステップS401で推力制御中であれば、ステップS403に進み、操舵角変化量が累積推力差を小さくする方向への操作か判定する。操舵角変化量の符号と累積推力差の符号が同じであれば累積推力差を大きくする方向への操作であるため、ステップS402へ進みマップaで推力差を決定する。例えば、指令前の累積推力差が正であれば、右舷機推力より左舷機推力が大きい状態である。このときに、ハンドル2を右方向へ回すと、操舵角変化量は正の値になる。つまり、累積推力差と操舵角変化量の符号が同じ場合は累積推力差を大きくする方向への操作になる。
【0025】
また、操舵角変化量の符号と累積推力差の符号が逆であれば累積推力差を小さくする方向への操作であるため、ステップS404へ進む。例えば、指令前の累積推力差が正であれば、右舷機推力より左舷機推力が大きい状態である。このときに、ハンドルを左方向へ回すと、操舵角変化量は負の値になる。つまり、累積推力差と操舵角変化量の符号が逆の場合は累積推力差を小さくする方向への操作になる。
【0026】
ステップS404では、図5に示すマップbで操舵角変化量から推力差を決定する。マップbは、マップaに比べ、推力差を与えない操舵角変化量の閾値が小さい(B<A)。また、マップbはマップaに比べ傾きが大きい。つまり、マップbの累積推力差をなくす制御は、マップaの累積推力差を大きくする制御より船の応答性を高くする。
【0027】
ステップS404で操舵角変化量に基づき、推力差を決定した後は、ステップS405で累積推力差の正負が前回値と異なるか判定する。異なる場合は、ステップS406で累積推力差が0になるように、推力差の値を決定する。累積推力差を小さくする制御で使用するマップbで決定した推力差が、累積推力差を大きくする方向への制御に使われてしまうことを防ぐために、累積推力差が正負逆転する場合に0にクリップする。
【0028】
次に、図2のステップS203におけるエンジン推力差制御の第1の方法について図6のフローチャートに基づき説明する。このエンジン推力差制御の方法は、推力差制御の前後で、全ての船外機5a、5bの合計推力を変えないように推力差制御する方法である。
【0029】
図6において、エンジン推力差制御では、まず、ステップS601で、図2のステップS202で演算した推力差が0でないか確認する。推力差が0であれば推力差制御は必要ないためそのまま終了する。
【0030】
推力差が0以外であれば、ステップS602で推力差が正か負か確認する。推力差が正であれば、左舷機の推力を上げて、右舷機の推力を下げる。逆に、推力差が負であれば、左舷機の推力を下げ、右舷機の推力を上げる。例えば一番外側の船外機の推力を変更する場合は、全船外機の合計推力を変えないように、左舷機は推力差の半分の値を上げ、右舷機は推力差の半分の値を下げる制御を行う。船外機が4機以上ある場合、内側の船外機の推力を変更する場合は、推力差は一番外側の船外機と同じかそれ以下にすることで効率よく旋回することができる。また、搭載船外機数が奇数の場合は、中央の船外機は船を旋回させることへの影響は少ないため、推力差は変更しなくても良い。推力の変更は、スロットル開度や燃料量を調節することで行う。
【0031】
ステップS603、ステップS604で推力を変更した後、ステップS605で推力上下限クリップ処理を行う。この処理は、推力を上げ過ぎてオーバーヒートすることや、推力を下げ過ぎてエンストすることを防ぐ。ここでクリップされた場合は、推力を変更できない分、上限クリップされれば他機の船外機の推力を下げたり、下限クリップされれば、他機の船外機の推力を上げたりすることで、ステップS202で決定した推力差を与え、スムーズに旋回することができる。
【0032】
次に、図2のステップS203におけるエンジン推力差制御の第2の方法について図7のフローチャートに基づき説明する。このエンジン推力差制御の方法は、推力差制御する場合は、推力差制御をしていない推力から推力を上げる制御のみを行う。推力差制御をしていない推力から推力を下げないため、スムーズに旋回することができる。
【0033】
図7において、ステップS701とステップS702は、前記第1の方法の図6のステップS601、ステップS602と同じ処理で、ステップS701で推力差が0でないか判定し、ステップS702では推力差の値が正か負か判定する。ステップS702で推力差の値が正であれば、ステップS703で推力差の値だけ左舷機の推力を上げる。ステップS702で推力差の値が負であれば、ステップS704で推力差の値だけ右舷機の推力を上げる。ステップS705ではエンジンがオーバーヒートしないように、推力上限クリップを行う。上限クリップされた場合は、他機の推力を下げてもよい。また、そもそも故障モードであるため、直進時の最大推力に上限を設けて、推力差を与えるための領域を確保してもよい。
【0034】
以上説明したように、実施の形態1に係る多機掛け船舶推進機の制御装置によれば、電動舵切り装置7a、7bの故障時に、ハンドル2の操作で各船外機5a、5bに推力差を与えることができるので、舵が動かせなくなった場合に旋回するために各推進機5a、5bの推力をアクセルレバー操作により発生させることが不要になり、アクセルレバーの煩雑な操作をすることなく、ハンドル2の操作だけで船を旋回させることができる。
【0035】
また、うなり音が発生する微小な推力差を与える運転領域を避けて、所定以上の推力差を与えることにより、うなり音を防ぐことができる。
【0036】
また、推力差ありの状態から推力差を小さくする方向への制御では、推力差なしの状態から推力差を大きくする方向への制御より、操舵角に対する推力差を大きめに与えるため、推力差がない状態へすばやく戻すことができ、操船者が操船しやすく安全に走行することができる。
【0037】
また、各船外機5a、5bに推力差がない状態の全ての船外機の合計推力と、推力差を与えた場合の全ての船外機の合計推力を同じ値に制御することで安定した走行が可能となる。
【0038】
また、推力差を与えていない状態から各船外機5a、5bに推力差を与える場合に、推力を変更する船外機は推力を上げる方向にのみ制御し、推力差を与えた後に推力差をなくしたい場合は、推力を上げた船外機の推力を、推力差を与える前の推力、または、複数船外機の内最も推力の小さい船外機の推力までにのみ下げるように制御することにより、船舶の応答性を得ることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 多機掛け船外機型船舶
2 ハンドル
3 操舵角センサ
4 操船席コントローラ
5a、5b 船外機
6a、6b エンジンコントローラ
7a、7b 電動舵切り装置
8 通信線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船尾に取り付けた複数の船舶推進機の運転状態を制御する多機掛け船舶推進機の制御装置であって、
前記各船舶推進機の運転情報を相互に送受信する通信手段を備え、船体を転舵させる電動舵切り装置が故障したとき、操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に応じて前記各船舶推進機の推力を制御して推力差を与える多機掛け船舶推進機の制御装置において、
前記推力差により前記船体の走行方向を制御する際に、前記操舵角が小さい領域では前記推力差を与えない操舵角閾値で制御し、前記操舵角閾値を超えた場合に前記推力差を与える推力差所定値で制御することを特徴とする多機掛け船舶推進機の制御装置。
【請求項2】
前記各船舶推進機の推力差を大きくする場合の操舵角に応じて決まる推力差の大きさと、推力差を小さくする場合の操舵角に応じて決まる推力差の大きさを異なる値とすることを特徴とする請求項1に記載の多機掛け船舶推進機の制御装置。
【請求項3】
推力差なしの状態の前記各船舶推進機の合計推力と、推力差を与えた後の前記各船舶推進機の合計推力を同じに保つように推力差を与えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多機掛け船舶推進機の制御装置。
【請求項4】
前記各船舶推進機に推力差を与える場合は、推力を上げることによってのみ推力差を与え、前記各船舶推進機間の推力差を無くす場合は、推力差付与前の推力、または各船舶推進機の内最も推力の小さい船舶推進機の推力に下げることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多機掛け船舶推進機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−183929(P2012−183929A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48830(P2011−48830)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)