説明

多機能ロータリースイッチ

【課題】非常にコンパクトであって、高度な機能を提供する制御要素を提供すること。
【解決手段】電子デバイスを動作させる多機能ロータリースイッチであって、この多機能ロータリースイッチは、回転軸を有するローラを備えており、ローラは、軸のまわりの双方向回転動作モードを有し、さらに並進動作モードを有しており、並進は回転軸に対して実質的に平行に起こり、ローラはプッシング動作モードをさらに含んでおり、ローラは、該回転軸に対して実質的に垂直な方向に動かされる、多機能ロータリースイッチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追加的な機能を有するロータリースイッチに関する。特に、本発明は、回転動作モードに加えて、並進動作モードおよびプッシング動作モードを含む、ロータリースイッチに関する。このスイッチは、例えば、車両のダッシュボード上に搭載されたり、または車両のダッシュボードに搭載されたコンポーネント上に搭載されたりし得る。このスイッチは、高度な機能を提供しながらも、小さな量の空間しか占めない。
【背景技術】
【0002】
(関連技術)
近年、複雑な電子デバイスが、車両のダッシュボードに統合されている。これらの電子デバイスは、様々な機能を提供しており、このことは、これらの機能を実行するためにマルチモードの制御要素の必要性につながっている。現在使用されている制御要素は、スイッチ、ロッカー、ターンアンドプッシュボタン等を含む。一方で、より多くの情報を表示する必要性が存在しており、このことは、電子デバイスのディスプレイのサイズの拡大につながっている。例えば、ナビゲーションシステムは、地図の特定の領域を表示する必要がある。ディスプレイのサイズの拡大に伴い、制御要素のために利用可能な空間の量は小さくなっている。したがって、制御要素は、コンパクトである必要があり、高度な機能を提供する必要がある。
【0003】
さらに、ドライバーが電子デバイスを動作させようとする場合、特定の機能を達成するために、このドライバーがいくつかの制御機能を用いなければならないときに、ドライバーは、注意を逸らされることになる。電子デバイスの機能の大部分へのアクセスを可能にする単一の制御機能は、非常に有用であり得る。なぜならば、ドライバーは、制御要素から手を離すことなしに、デバイスを制御し得るからである。
【0004】
特許文献1は、多機能動作デバイスを開示しており、この多機能動作デバイスは、双方向回転要素、および第2の動作デバイスを含んでいる。この第2の動作デバイスは、回転要素の回転軸に沿って配置された2つの制御要素の形態であり得る。この配置は、相当な空間を占め、必要程度の機能を提供しない。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0046751号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結果として、ユーザが、制御要素によって制御されることが想定される電子デバイスの機能の大部分にアクセスすることができるようにするために、非常にコンパクトであって高度な機能を提供する制御要素を提供する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この必要性は、請求項1にしたがうロータリースイッチによって達成される。
【0007】
本発明の好適な実施形態は、独立請求項に記載されている。
【0008】
本発明の一局面にしたがう多機能ロータリースイッチは、回転軸を有するローラを含んでいる。このローラは、軸のまわりの双方向回転動作モードを有しており、並進動作モードをさらに有しており、この並進動作モードによって、回転軸に対して実質的に平行な並進が行われる。このローラは、プッシング動作モードをさらに含んでおり、このプッシング動作モードによって、ローラが回転軸に対して実質的に垂直な方向に動かされる。例えば、スイッチが車両の電子デバイスのフェースプレート上に搭載され、その回転軸が水平方向に向けられ、フェースプレートの僅か後ろに配置されるとき、ユーザは、スイッチの上で自身の指を上/下の動きで回転させ、回転動作モードを作動させたり、またはスイッチのローラを左または右へとプッシュし、並進動作モードを作動させたり、またはフェースプレートに対して(ひいては、回転軸に対して)垂直な方向にローラをプッシュし、プッシング動作モードを作動させたりし得る。
【0009】
本発明の局面にしたがうスイッチは、非常にコンパクトでありながらも、非常に高度な機能を提供する。これらの機能は、特定の動作モードと関連付けられ、スイッチによって動作されることが想定される電子デバイスに依存して選択され得る。例えば、回転動作モードは、オーディオデバイスの音量を変更させるために、ミュージックプレイヤーのプレイリスト上の曲の間をスクロールさせるために、またはメニューの機能の間をスクロールさせるために用いられ得るが、並進動作モードは、プレイリストの曲の間をスキップさせるために、または様々なメニューを出現させるために、またはナビゲーションデバイスを制御するために用いられるときに、位置の間をスキップさせるために用いられ得る。その一方で、プッシング動作モードは、曲を選択するために、ナビゲーションターゲットを選択するために、またはメニューから機能を選択するために、等に用いられ得る。例えば、オーディオデバイスおよびナビゲーションデバイスは、同じ電子デバイスに含まれ得るので、多機能ロータリースイッチの機能は、どのデバイスが現在使用されているかにしたがって、変更され得る。1つのスイッチにおいて、これらの3つの動作モードを提供することは、スイッチを小型にし、これにより、スイッチは、大きなディスプレイを有する電子デバイス上でさえも、配置され得る。スイッチはまた、ダッシュボードのその他の部分、または車両の内部のその他の表面(例えば、ステアリングホイールまたはセンターコンソール)にも配置され得る。小さなサイズのスイッチは、車両の内部の任意の所与の場所へのこのスイッチの配置を容易なものとする。スイッチはまた、車両の外部にも用いられ得、例えば、スイッチは、消費者電子デバイス(例えば、オーディオシステム、ハンドヘルドデバイス、エンターテイメントシステム、携帯型ナビゲーションデバイス(PND)、およびMP3プレイヤー)に搭載され得る。
【0010】
別の局面にしたがうと、ローラは円筒形状を有し得、これにより、回転軸はこの円筒の対称軸となる。ローラはまた、カットオフされた先端を有するスピンドル形状を有し得、この場合、回転軸はスピンドルの対称軸となる。ローラは、ローラの周辺面上に隆起を含んでおり、これらの隆起は、スイッチが滑ることなく手動によって容易に動作され得るような形状で形成されている。これらの隆起は、例えば、回転軸に平行なリブの形状で形成され得る。これらはまた、周辺面から突出したノブの形状でも形成され得る。隆起はまた、滑りを防止するためのその他任意の方法で形成され得る。隆起または隆起の一部分は、ラバー状の材料または同様の材料から形成され得る。材料はまた、別の可撓性材料またはプラスチック材料でもあり得るが、金属でもあり得る。材料または形状は、多機能ロータリースイッチが手動によって動作されるときに、滑りが防止される種類のものであることが、非常に重要である。このことは、ユーザが回転動作モードを作動させることを意図し、回転スイッチの上で自身の指を動かすときに、指と隆起によってカバーされたローラの表面との間の高い摩擦が、ローラの作動を確実にするという利点を有している。このようにして、スイッチが搭載される電子デバイスは、濡れた指または油の付いた指によってでさえも、動作され得る。
【0011】
多機能ロータリースイッチのローラは、両端面においてカバーをさらに含み得、これらのカバーは、回転軸に対して実質的に垂直である。これらのカバーは、半球体形状を有し得、ラバー状の材料または同様の材料から形成され得る。カバーは、扁平(oblate)または扁長(prolate)の半回転楕円面(semi−spheroid)またはそれらの回転楕円面の一部分から形成され得、回転楕円面は、ローラの端面が回転楕円面の切断面と一致するように、切断され得る。カバーもまた、半回転楕円面または錐体形状であり得る。カバーはまた、任意の可撓性材料またはプラスチック材料からも形成され得る。優れたグリップが提供され、尚且つスイッチの並進動作モードが容易に動作され得るような形状で、カバーが形成され得ることは、非常に重要である。好適には、ローラとカバーとの間には、滑らかな遷移が存在する。
【0012】
本発明のさらなる局面にしたがうと、ローラは、このローラが搭載されるコンポーネントの表面に対し、ローラの回転軸が実質的に平行になるように、搭載される。コンポーネントは、電子デバイス(例えば、オーディオデバイス)であるか、または電子デバイスに対する制御要素によって場所を占められることが想定される単なる面であり得る。好適には、多機能ロータリースイッチは、車両の内部の前方表面上に搭載される。前方表面は、ナビゲーションデバイスまたはオーディオデバイスのフェースプレートであり得、前方表面はまた、別の車両コンポーネント(例えば、ダッシュボード、ステアリングホイール、ドア、またはセンターコンソール)でもあり得る。多機能ロータリースイッチは、ローラの回転軸が前方表面と同じ平面に存在するように搭載されるか、または多機能ロータリースイッチは、回転軸が前方表面の上または下に存在するように、配置され得る。回転軸の位置に依存して、ローラの周辺面の様々な割合の部分が露出され得る。回転軸の位置は、前方表面に利用可能な空間にしたがって、選択され得る。コンポーネントの表面に対して平行になるように、回転軸を向けることが有利である。なぜならば、並進動作モードは、このようにすれば容易に動作され得るからである。車両の内部の空間は非常に制限されているので、コンパクトな多機能ロータリースイッチを車両の内部に搭載することは好適である。
【0013】
本発明の一実施形態にしたがうと、回転軸は実質的に水平方向に向けられる。コンポーネントが多機能ロータリースイッチであり、カーステレオの垂直なフェースプレートに搭載されている場合、水平方向への方向付けの結果、並進動作モードは左/右の動きによって作動される一方、回転動作モードはユーザの指の上/下の動きによって作動される。有利にも、この向きでは、スイッチの動作は非常に直観的なものとなる。なぜならば、機能リスト(メニュー)または曲のプレイリストは、しばしば1つの列に複数の行で表示され、ユーザは、これらの機能リストまたは曲のプレイリストの間で、回転動作モードを用いることによって、スクロールさせ得るからである。
【0014】
本発明の別の実施形態において、回転軸は実質的に垂直方向に向けられる。これは、スイッチが、非常に大きなディスプレイをも含む電子デバイスのフェースプレート上に搭載される場合に、特に有利である。そのような電子デバイスの高さは、通常ダッシュボード上の利用可能な空間によって制限されるので、ディスプレイは通常、垂直方向の全ての空間を占め、電子デバイスのフェースプレートの1つの側で垂直方向に延びている小さなリムのみが残される。多機能ロータリースイッチは、垂直方向において、そのリムに搭載され得る。スイッチがその他のコンポーネントに搭載される場合、異なる方向(例えば、水平方向)が、好適であり得る。
【0015】
本発明の一実施形態にしたがうと、電気スイッチが、回転軸に沿ったローラの各端部の付近において、ローラの外部に配置され、この電気スイッチは、ローラが並進動作モードにおいて動作するときに、ローラの端面によって作動される。並進動作モードにおいて、オペレータは、ローラをその回転軸に沿ってプッシュする。電気スイッチは、ローラが1つの方向にプッシュされたときに、ローラの1つの端面が1つのスイッチに接触し、このスイッチを作動させるように、ローラの各端面の隣に配置される。ローラがその他の方向にプッシュされる場合、その他の端面は、その他のスイッチに接触し、このスイッチを作動させる。電気スイッチは、多機能ロータリースイッチが搭載される表面の下に配置され得る。ローラは回転軸に接続され得、その結果、並進動作モードにおいて、ローラおよび回転軸は、多機能ロータリースイッチが作動されたときに共に動き、またはローラが並進方向に作動されたときに、回転軸が固定され続けるように、回転軸上を自由に動き得る。カバーがローラの端面上に搭載される場合、カバーの外面は、同様の方法で、電気スイッチと接触する。
【0016】
別の実施形態にしたがうと、多機能ロータリースイッチは、回転軸に平行な動きを検出するための少なくとも1つの手段を含み、この手段は、実質的にローラの内部に配置される。
【0017】
電気スイッチが、スイッチングレバーの両側において、ローラの内部に配置され、このスイッチングレバーが、ローラが並進動作モードで動作するときに、ローラと共に動かされ、電気スイッチのうちの1つが、並進動作モードの方向に依存して、スイッチングレバーによって切り替えられることもまた、可能である。回転軸には、スイッチングレバーが提供され、このスイッチングレバーは、実質的にローラの中心に配置される。ローラおよび回転軸は、互いに対して接続され、互いに対して動く。ローラは中空であり、電気スイッチはローラの内部に配置されるが、これらはローラと共には動かず、電子デバイスの残りの部分に固定される。ローラが並進方向に動作されるとき、ローラは、回転軸およびスイッチングレバーと共に動き、これにより、スイッチングレバーは、固定された電気スイッチのうちの1つを作動させる。電気スイッチをローラの内部に配置することは、多機能ロータリースイッチがさらにコンパクトになるという利点を有する。
【0018】
本発明のさらなる局面にしたがうと、多機能ロータリースイッチは、回転軸を有するローラを含んでおり、このローラには、軸のまわりの双方向回転動作モード、軸に対して平行な並進動作モード、および軸に対して垂直なプッシング動作モードが提供される。この多機能ロータリースイッチは、回転動作モードにおいて、軸のまわりのローラの回転を所定の角度に拘束するための拘束手段をさらに含む。この多機能ロータリースイッチは、回転動作モードにおいてローラが動作され、開放された後に、ローラを中間位置に戻す手段をさらに含み得る。そのようなローラ機能を用いると、ローラを何回か回転させる必要なしに、回転動作モードにおける制御がなされ得る。
【0019】
本発明の別の実施形態にしたがうと、電子デバイスが提供され、この電子デバイスは、上述の実施形態のうちの1つにしたがう、少なくとも2つの多機能ロータリースイッチを含んでいる。電子デバイスの少なくとも一部の機能は、多機能ロータリースイッチのうちの1つによって動作され、多機能ロータリースイッチのうちのその他のものによって動作される電子デバイスの機能とは異なる。異なる機能を有する2つの多機能ロータリースイッチを提供することによって、電子デバイスは、最小量の制御要素のみを用いることによって、効率的に動作され得る。
【0020】
本発明の別の局面にしたがうと、任意の動作モードを動作させることは、電子デバイスの機能を選択および実行する。一実施形態にしたがうと、並進動作モードは双方向性であり、各動作方向に対して1つの機能を動作させる。各並進動作モードに対して1つの機能を動作させることは、多数の機能がスイッチによってアクセスされるという利点を有するが、両方の並進動作モードに対して同じ機能を動作させることは、電子デバイスの動作が単純化されるという利点を有する。単純化された動作は、例えば自動車を運転するような状況(このような状況では、オペレータは制御要素に注意を集中することができない)、または単純な機能(例えば、オーディオデバイスのミュート)が実行されるような状況において、有利であり得る。好適には、並進動作モードを動作させることは、電子デバイスの一部分であるディスプレイ上にメニューを出現させるが、このメニューのタイプは、動作方向に依存する。オーディオデバイスにおいてスイッチが用いられるとき、1つの並進方向にスイッチを動作させることは、CDメニューを出現させるが、その他の並進方向にスイッチを動作させることは、ラジオメニューを出現させる。ナビゲーションデバイスと組み合わせた場合、1つの並進方向にスイッチを動作させることは、目的地の選択のためのメニューを出現させ得るが、その他の並進方向にスイッチを動作させることは、ナビゲーションデバイスの構成メニューを出現させ得る。このことは、多数の機能が、いくつかのサブメニューを経由せずにアクセスされ得るという利点を有する。
【0021】
本発明のさらなる局面にしたがうと、プッシング動作モードを動作させることは、電子デバイスの一部分であるディスプレイ上にメニューを出現させる。このようにして、メニューは、任意のサブメニューを経由することなしに、直接的にアクセスされ得る。並進動作モードと組み合わせた場合、3つのメニューが直接的にアクセスされ得、これにより、高度な機能が提供される。メニューは概して、機能のリストを含む。メニューにおける機能は、回転動作モードを動作させることによって、事前選択または選択され得る。このことは、ローラを1つの方向またはその他の方向に回転させることによって、事前選択インジケータが、メニュー内の様々な機能の間を動くということを意味する。
【0022】
ユーザは、一旦事前選択インジケータが所望の機能を指示すると、ローラの回転を停止する。その機能は、事前選択された状態を維持し得る(すなわち、事前選択インジケータは、その機能を指示し続ける)か、または実行され得る。例えば、オーディオデバイスのプレイリストが出現された場合、ローラを回転させることは、プレイリスト内の曲の間をスクロールさせ得る。回転が停止されると直ぐに、曲が事前選択インジケータによってマークされ得るか、または自動的に再生を開始させ得る。回転動作モードを回転させることによってメニュー内の機能を選択することは、大きなリスト(例えば、オーディオデバイスのプレイリストまたはナビゲーションデバイスの目的地リスト)がアクセスされ得るという利点を有する。一旦メニュー内の機能が事前選択されると、この機能は、プッシング動作モードを動作させることによって、確認または実行され得る。例えば、メニューがCDメニューであり、再生機能が事前選択された場合、この再生機能は、ローラをプッシュすることによって実行され得る。別の例として、メニューがプレイリストであり、曲が事前選択された場合、ローラをプッシュすることは、事前選択を確認し、この曲の再生を開始させ得る。加えて、事前選択機能は、この機能が所定の長さの時間の間に継続して事前選択された後に、自動的に確認または実行され得る。このことは、ユーザが、所望の機能を選択するために、別の動作を実行する必要がないという利点を有する。用途に依存して、ローラをプッシュするか、または所定の長さの時間の後に機能を自動的に実行することによって、事前選択された機能を実行することが好適であり得る。
【0023】
例えば、機能は、プッシング動作モードを動作させることによって、確認または実行される。このことは、メニューを出現させること、または事前選択された機能を実行することとは別に、プッシング動作モードを動作させることもまた、機能を直接的に実行し得るということを意味する。そのような機能は、例えば、「プッシュトゥトーク(push to talk)」機能または「ok」機能であり得る。「ok」機能を用いると、電子デバイスからの要求が、確認され得る。
【0024】
メニューリストをスクロールさせることとは別に、回転動作モードはまた、オーディオデバイスの音量を増加または減少させるために用いられ得る。このようにして、ローラには、ユーザによって容易にアクセスされ得る直接機能が提供され得る。この機能は、多機能ロータリースイッチが搭載されるデバイスに依存して、または電子デバイスが現在動作しているモードに依存して、変更され得る。例えば、オーディオデバイスおよびナビゲーションデバイスの組み合わせにおいて、回転動作モードは、電子デバイスがオーディオモードであるときに、音量を増加および減少させ得るが、回転動作モードは、電子デバイスがナビゲーションモードに用いられているときに、地図をズームおよびズームアウトさせ得る。あるいは、2つの多機能ロータリースイッチが提供され得、1つのロータリースイッチはオーディオモード(例えば、音量)を制御するためのものであり、その他のロータリースイッチはナビゲーションモードを制御するためのものである。
【0025】
本発明のさらなる局面にしたがうと、回転動作モードは、増分符号器またはアナログ電位差計またはそれらの両方を動作させる。多機能ロータリースイッチが、オーディオデバイスの音量を調整するために、または正確に調整される必要があり得るその他のパラメータ、例えば、オーディオデバイスの低音域(bass)または高音域(treble)を調整するために用いられる場合、アナログ電位差計を動作させることが有利である。さらに、アナログ電位差計は非常に費用効率が良く、追加的な電子装置を要求しない。増分符号器の動作は、デジタル入力が要求される用途(例えば、機能リストの間をスクロールさせること、等)に対して好適である。同時に、増分符号器およびアナログ電位差計を動作させることは、回転動作モードの機能が、用途の要求にしたがって選択され得るという利点を有する。
【0026】
多機能ロータリースイッチを消費者電子デバイス上に搭載することもまた可能である。消費者電子デバイスは、例えば、ハンドヘルドデバイス(例えば、携帯型ナビゲーションシステム、携帯型オーディオプレイヤー、携帯型オーガナイザー/パーソナルコンピュータ、または通信デバイス)であり得るか、または例えば、固定式デバイス(例えば、オーディオシステム、またはエンターテイメントシステム)であり得る。これらのデバイスは、だんだんと小さくなり、かつ/または制御要素のためには小さな領域しか残されなくなっている。したがって、コンパクトなサイズおよび高度な機能が理由で、そのようなデバイスに多機能ロータリースイッチを搭載することが有利である。このスイッチはまた、任意の自動車電子デバイスにも搭載され得る。自動車環境においては、制御要素のためにはさらに小さな空間しか残されていないので、このスイッチは、有利である。
【0027】
本発明のさらなる利点および詳細は、図面と関連して、好適な実施形態の記載から明らかになる。
【0028】
詳細な記述および図面は、本発明を単に例示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の請求の範囲およびその等価物によって定義される。
【0029】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0030】
(項目1)
電子デバイスを動作させる多機能ロータリースイッチであって、該多機能ロータリースイッチは、
回転軸を有するローラを備えており、
該ローラは、該軸のまわりの双方向回転動作モードを有し、さらに並進動作モードを有しており、該並進は該回転軸に対して実質的に平行に起こり、該ローラはプッシング動作モードをさらに含んでおり、該ローラは、該回転軸に対して実質的に垂直な方向に動かされる、多機能ロータリースイッチ。
【0031】
(項目2)
上記ローラは円筒形状を有しており、上記回転軸は該円筒の対称軸であること
を特徴とする、項目1に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0032】
(項目3)
上記ローラは、カットオフされた先端を有するスピンドル形状を有しており、上記回転軸は該スピンドルの対称軸であること
を特徴とする、項目1に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0033】
(項目4)
上記ローラは、該ローラの周辺面上に隆起を含んでおり、該隆起は、上記スイッチが滑ることなく手動によって容易に動作されることができるような形状で形成されていること
を特徴とする、項目1〜項目3のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0034】
(項目5)
上記隆起または該隆起の一部分は、ラバー状の材料または同様の材料から形成されていること
を特徴とする、項目4に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0035】
(項目6)
上記ローラは、両端面においてカバーを含んでおり、該カバーは、上記回転軸に対して垂直であること
を特徴とする、項目1〜項目5のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0036】
(項目7)
上記カバーは、半球体形状を有しており、ラバー状の材料または同様の材料から形成されていること
を特徴とする、項目6に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0037】
(項目8)
上記ローラは、該ローラが搭載されるコンポーネントの表面に対して、該ローラの回転軸が実質的に平行になるように、搭載されること
を特徴とする、項目1〜項目7のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0038】
(項目9)
上記多機能ロータリースイッチは、車両の内部の前方表面上に搭載されること
を特徴とする、項目1〜項目8のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0039】
(項目10)
上記回転軸は水平方向に向けられていること
を特徴とする、項目1〜項目9のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0040】
(項目11)
上記回転軸は垂直方向に向けられていること
を特徴とする、項目1〜項目9のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0041】
(項目12)
電気スイッチが、上記回転軸に沿ったローラの各端部の付近において、該ローラの外部に配置され、該電気スイッチは、該ローラが上記並進動作モードにおいて動作させられるときに、該ローラの端面によって作動されること
を特徴とする、項目1〜項目11のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0042】
(項目13)
上記電気スイッチは、スイッチングレバーの両側において、上記ローラの内部に配置され、該スイッチングレバーは、該ローラが並進動作モードで動作させられるときに、該ローラと共に動かされ、該電気スイッチのうちの1つは、並進動作の方向に依存して、該スイッチングレバーによって切り替えられること
を特徴とする、項目1〜項目11のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0043】
(項目14)
上記動作モードのいずれか1つを動作させることは、上記電子デバイスの機能を選択および実行すること
を特徴とする、項目1〜項目13のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0044】
(項目15)
上記並進動作モードは、双方向性であり、各動作方向に対して1つの機能を動作させるか、または両方の動作方向に対して同じ機能を動作させること
を特徴とする、項目1〜項目14のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0045】
(項目16)
上記並進動作モードを動作させることは、上記電子デバイスの一部分であるディスプレイ上にメニューを出現させ、メニューのタイプは、動作方向に依存すること
を特徴とする、項目1〜項目15のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0046】
(項目17)
上記プッシング動作モードを動作させることは、上記電子デバイスの一部分であるディスプレイ上にメニューを出現させること
を特徴とする、項目1〜項目16のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0047】
(項目18)
上記メニューにおける機能は、回転動作モードを動作させることによって事前選択または選択されること
を特徴とする、項目16または項目17に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0048】
(項目19)
機能は、上記プッシング動作モードを動作させることによって、確認または実行されること
を特徴とする、項目18に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0049】
(項目20)
上記メニューにおいて事前選択された機能は、自動的に選択されるか、または該機能が所定の長さの時間の間に継続して事前選択された後に実行されること
を特徴とする、項目18または項目19に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0050】
(項目21)
上記回転動作モードは、オーディオデバイスの音量を増加または減少させること
を特徴とする、項目1〜項目17、項目19、および項目20のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0051】
(項目22)
上記回転動作モードは、増分符号器またはアナログ電位差計またはそれらの両方を動作させること
を特徴とする、項目1〜項目21のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0052】
(項目23)
上記多機能ロータリースイッチは、消費者電子デバイス上に搭載されること
を特徴とする、項目1〜項目22のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0053】
(項目24)
上記多機能ロータリースイッチは、自動車電子デバイス上に搭載されること
を特徴とする、項目1〜項目23のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0054】
(項目25)
電子デバイスを動作させる多機能ロータリースイッチであって、
回転軸を有するローラであって、該ローラは、該軸のまわりの双方向回転動作モード、該軸に対して平行な並進動作モード、および該軸に対して垂直なプッシング動作モードを有している、ローラと、
該軸に対して平行な動きを検出する少なくとも1つの手段であって、該手段は、実質的に該ローラの内部に配置されている、手段と
を備えている、多機能ロータリースイッチ。
【0055】
(項目26)
電子デバイスを動作させる多機能ロータリースイッチであって、
回転軸を有するローラであって、該ローラは、該軸のまわりの双方向回転動作モード、該軸に対して平行な並進動作モード、および該軸に対して垂直なプッシング動作モードを有している、ローラと、
該回転動作モードにおいて、該軸のまわりの該ローラの回転を所定の角度に拘束するための拘束手段と
を備えている、多機能ロータリースイッチ。
【0056】
(項目27)
上記回転軸に対して平行な動きを検出する少なくとも1つの手段であって、該手段は、実質的に上記ローラの内部に配置されている、手段
をさらに備えていること
を特徴とする、項目25に記載の多機能ロータリースイッチ。
【0057】
(項目28)
上記電子デバイスの少なくとも一部の機能は、上記多機能ロータリースイッチのうちの1つによって動作され、該多機能ロータリースイッチのうちのその他のものによって動作される該電子デバイスの機能とは異なる、
項目1、項目25、または項目26のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチを少なくとも2つ備える、電子デバイス。
【0058】
(摘要)
本発明は、電子デバイスを動作させるための多機能ロータリースイッチに関し、この多機能ロータリースイッチは、回転軸を有するローラであって、このローラは、回転軸のまわりの双方向回転動作モードを有しており、並進動作モードをさらに有しており、この並進動作モードによって、回転軸に対して実質的に平行な並進が行われる。このロータリースイッチは、プッシング動作モードを含むローラを特徴とし、このプッシング動作モードによって、回転軸に対して実質的に垂直な方向にローラが動かされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
図面において、同じ参照番号は、同じコンポーネントを示す。
【0060】
図1は、コンポーネントの表面2上に搭載された多機能ロータリースイッチ1を示している。ローラ4の回転軸3は、コンポーネントの表面2に対して実質的に平行である。カバー5は、回転軸3に沿って、ローラ4の端面に配置されている。示されている実施形態において、カバーは、扁平な回転楕円面(oblate spheroid)の一部分から形成されている。これらはまた、別の形状、例えば、半回転楕円面形状または錐体形状としても形成され得る。これらの機能は、スイッチの正確かつ快適な動作を提供する。本実施形態において、ローラは、円筒形状で形成されている。あるいは、ローラ4はまた、カットオフされた先端を有するスピンドルの形状、または砂時計の形状で形成され得る。隆起6は、ローラ4の周辺面から隆起している。隆起6は、リブの形状を有しており、ローラ4が回転されるときに手から滑ることを防いでいる。隆起6は、ラバー状の材料から形成され得るが、ローラと同じ材料からも形成され得る。
【0061】
さらに、図1は、3つの動作モードを示している。矢印によって示されているように、回転動作モード7において、ローラは、回転軸3のまわりを回転させられる。1つの方向または回転のみが示されているが、ローラは、双方向に動作され得る。同様に、並進動作モード8が、矢印によって示されている。ローラ4(これには、両方のカバー5が搭載されている)は、回転軸3に対して実質的に平行に動かされ、これにより、カバー5は正確な動作および安全グリップを提供する。ローラが回転軸3に沿う中心位置を有し、ローラが並進運動の方向のいずれか一方にプッシュされた後に、ローラはこの中心位置に戻り得る。スイッチ1は、表面2に対して実質的に垂直にローラ4をプッシュすることによって、プッシング動作モード9で動作させられる。ローラ4をプッシュすることによって、ローラ4ならびにカバー5および回転軸3は、表面2の下に特定の距離だけ並進させられ得、これにより、電気スイッチが作動させられる。ローラ4を開放した後、このローラは、その最初の平衡位置に戻り得る。
【0062】
多機能ロータリースイッチ1が、回転動作モード7で動作させられるとき、スイッチ1と共に提供される電子デバイスに依存して、増分符号器またはアナログ電位差計が作動させられ得る。好適には、アナログ電位差計は、オーディオデバイスと共に用いられ、この場合、回転動作モード7は、オーディオの音量を調整する。好適には、増分符号器は、メニューから機能を選択または事前選択し得る。好適には、並進動作モード8におけるスイッチ1の作動は、回転軸3の方向にローラ4の両方の端面に隣接して配置される電気スイッチを作動させる。あるいは、並進動作モード8はまた、線形電位差計を動作させ得る。
【0063】
本発明の実施形態にしたがう多機能ロータリースイッチによって、多数の機能がどのようにアクセスおよび実行され得るかの実施例として、オーディオデバイスの動作が、詳細に説明される。オーディオデバイスの通常動作モードにおいて、回転動作モード7を動作させることは、動作方向に依存して、音量を増加または減少させる。この説明の目的のために、スイッチ1が、オーディオデバイスの垂直フェースプレート上に搭載され、スイッチの回転軸3が、水平方向に、フェースプレートの表面に対して平行に配置されることが仮定され得る。ここで、並進動作モード8におけるスイッチが右にプッシュされると、CDメニューが、オーディオデバイスのディスプレイ上に出現し得る。ここで、ローラの回転は、オーディオデバイスの音量をもはや変化させ得ないが、CDメニューの機能の間をスクロールさせ得る。ユーザがメニューから特定の機能を事前選択した後、このユーザは、ローラをプッシュすることによって、プッシング動作モード9を動作させ得、これにより、事前選択された機能が実行され得る。このようにして、ユーザは、例えば、CDにおける別の曲にスキップしたり、CDの再生を停止したりすることができる。スイッチ1を左にプッシュすることによって、ラジオメニューにおける機能リストが表示され得る。この場合もまた、ローラ4を回転させることによって、ユーザはここで、ラジオメニューの機能の間をスクロールさせ得る。一旦ユーザが所望の機能(例えば、格納されたチャネルまたはラジオ帯域の変更)を事前選択すると、ユーザは、プッシング動作モード9を動作させることによって、この機能を実行し得る。メニューの機能リストはまた、サブメニューを含み得、このサブメニューは、メニューを入力するためにスイッチ1が動作させられた方向と同じ並進方向にスイッチ1を動作させることによって、入力され得る。サブメニューから退出するために、スイッチは、反対の並進方向に動作させられ得る。あるいは、ローラは、サブメニューを退出してより高位のレベルのメニューに戻るために、またはトップレベルのメニュー(メインメニュー)に戻るために、通常よりも長い間プッシュされ得る(長押し(long push)と称される)。このようにして、大きなメニュー構造が、コンパクトな多機能ロータリースイッチによってアクセスされ得る。
【0064】
多機能ロータリースイッチの機能は、上述の機能のいずれか、またはオーディオデバイスに限定されないことが理解されるべきであり、多機能ロータリースイッチの機能は、ナビゲーションデバイス、携帯型ミュージックプレイヤー、およびその他のデバイスに統合され得、特定のデバイス要件にしたがってデバイスを動作させるために用いられ得る。
【0065】
図2は、多機能ロータリースイッチの好適な実施形態の断面図を示している。ローラ4は、円筒形状を有しており、回転軸3上に搭載されている。回転動作モード7は、この場合もまた、矢印によって示されている。ローラが並進動作モード8において動作されるとき、ローラ4の端面10は、並進的な作動の方向に依存して、電気スイッチ11または電気スイッチ12に接触する。電気スイッチ11、12は、好適には、スイッチ1が搭載されるコンポーネントの表面の下に搭載される。電気スイッチ11、12は、ローラ4上に作用する力が他に存在しない場合には、ローラが中心位置に保持および配置されるように、ばねで留められ、保持され得る。この場合、1つの方向またはその他の方向におけるローラ4の並進動作は、電気スイッチ11または12を作動させ、ばねの抗力を発生させ、この結果、ローラ4が開放された後に、ローラ4はその中心位置に再配置される。
【0066】
図3は、多機能ロータリースイッチの別の実施形態の断面図である。この実施形態において、電気スイッチ11、12は、ローラ4内に配置されている。スイッチングレバー13は、回転軸3に接続されており、ローラ4内に配置されている。ローラ4と回転軸3とは、接続されており、一緒に回転する。ローラ4、回転軸3、およびスイッチングレバー13は、回転軸に対して平行に移動可能であり、電気スイッチ11、12は固定されている。並進動作モード8におけるスイッチ1の動作は、スイッチングレバー13の接触を介して、動作方向に依存して、スイッチ11、12を作動させる。上述のように、電気スイッチ11、12は、スイッチングレバー13ひいてはローラ4が中心位置に保持されるように、ばねで留められ得る。電気スイッチ11、12をローラ4の内部に配置することは、そのようなロータリースイッチが、よりコンパクトになるという利点を有する。スイッチングレバー13はまた、図3に示されているよりも広く形成され得、実際には、このスイッチングレバー13は、ローラと同様の幅で形成され得る。この場合、電気スイッチ11、12は、ローラ4の実質的には外部に配置され得る。
【0067】
図3の実施形態において、増分符号器(図示されず)が、回転軸3のいずれか一方の端部に配置され得、この増分符号器は、ローラ4および接続された回転軸3の回転運動を登録する。第3の電気スイッチ14が、コンポーネントの表面2に関して、ローラの下に配置され得、この第3の電気スイッチ14は、多機能ロータリースイッチ1が、プッシング動作モード9において動作させられるときに、作動される。ローラ4、回転軸3、およびコンポーネントの表面2に対して垂直なスイッチングレバー13の運動を可能にするために、回転軸の端部は、ばねで留められ得る。あるいは、プッシング動作モード9におけるスイッチ1の動作もまた、回転軸3のいずれか一方または両方における電気スイッチ(図示されず)によって、検出され得る。アセンブリを動かす代わりに、ローラ4がスイッチングレバー13または回転軸3に対して動くことができるように、ローラ4は、スイッチングレバー13または回転軸3に対してばねで留められ得る。このようにして、プッシング動作モード9は、回転軸3を動かすことなしに動作され得る。
【0068】
図4は、車両内のオーディオデバイスのフェースプレートを示している。2つの多機能ロータリースイッチ1が、フェースプレート15上に搭載されている。フェースプレート15は、比較的大きいディスプレイ16を含んでおり、このディスプレイ16は、その他任意の動作要素のために小さな空間しか残さない。スイッチ1は、それらの回転軸3と共に水平方向に配置され、回転軸3は、フェースプレート15の表面の僅か下に配置される。図4において、プッシング動作モードは描画面を向いているが、並進動作モード8は矢印によって示されるように左および右を向いている。本実施形態にしたがうと、左スイッチ1の回転作動は、オーディオデバイスの音量を増加させるが、並進作動8は、オーディオデバイスがラジオモードのときにはチューニングを変更させたり、またはオーディオデバイスがCDモードのときにはCDの曲の間をスキップさせたりし得る。左スイッチ1のプッシング動作モードは、オーディオデバイスをミュートにするために用いられたり、またはオーディオデバイスの低音域(bass)または高音域(treble)を調整するために、左スイッチ1のローラの機能を変更させる等の別の機能を有していたりし得る。プッシング動作モードまたは並進動作モード8における、右の多機能ロータリースイッチ1の作動は、ユーザによってどの動作モードが動作されたかに依存して、メニュー(例えば、ラジオメニュー、CDメニュー、または構成メニュー)を出現させる。一旦メニューがディスプレイ16上に出現させられると、右スイッチ1の回転動作モードは、メニューの様々な機能の間をスクロールさせるために用いられ得る。これらの機能はまた、サブメニューを含み得、このサブメニューは、右スイッチ1の並進動作モードを動作させることによって、入力されたり、そのままの状態にされたりし得る。一旦機能が事前選択されると、この機能は、右スイッチのプッシング動作モードを動作させることによって、実行され得る。例えば、この機能は、ラジオメニューにおける特定のラジオ帯域の選択であったり、またはCDメニューにおけるCDの特定のトラックの選択であったり、または構成メニューにおけるディスプレイの特定の明るさの選択であったりし得る。
【0069】
これは、電子デバイスにおける多機能ロータリースイッチの単なる実施例に過ぎないことが理解されるべきであり、このスイッチはまた、その他の電子デバイスにおいても用いられ得、様々な方法で(例えば、垂直に)搭載され得る。電子デバイスには、1つ以上の多機能ロータリースイッチが提供され得る。本実施形態に示されているように、多機能ロータリースイッチは、高度な機能を提供しながらも、電子デバイスのフェースプレート上の非常に小さな量の空間しか占めない。多機能ロータリースイッチは、必ずしも、この多機能ロータリースイッチが制御する電子デバイスに統合されなければならないわけではなく、多機能ロータリースイッチは、車両のその他の部分(例えば、ダッシュボード、センターコンソール、またはステアリングホイール)に統合され得る。
【0070】
本明細書において開示された本発明の実施形態は、現時点では好適であると考えられているが、本発明の趣旨および範囲から逸れることなしに、様々な変更および改変がなされ得る。特に、上述の実施形態の特徴は、組み合わされて、本発明の範囲内にある新しい実施形態を形成し得る。本発明の範囲は、添付の請求の範囲に示されており、等価物の意味および範囲に含まれる全ての変更は、本明細書に包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、多機能ロータリースイッチの好適な実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、多機能ロータリースイッチの好適な実施形態の断面図であり、電気スイッチの配置を示している。
【図3】図3は、多機能ロータリースイッチの別の実施形態の断面図であり、並進動作モードのための電気スイッチの代替的配置を示している。
【図4】図4は、2つの多機能ロータリースイッチを含むオーディオデバイスのフェースプレートの正面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 多機能ロータリースイッチ
2 コンポーネントの表面
3 ローラの回転軸
4 ローラ
5 カバー
6 隆起
7 回転動作モード
8 並進動作モード
9 プッシング動作モード
10 ローラの端面
11、12、14 電気スイッチ
13 スイッチングレバー
15 フェースプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスを動作させる多機能ロータリースイッチであって、該多機能ロータリースイッチは、
回転軸を有するローラを備えており、
該ローラは、該軸のまわりの双方向回転動作モードを有し、さらに並進動作モードを有しており、該並進は該回転軸に対して実質的に平行に起こり、該ローラはプッシング動作モードをさらに含んでおり、該ローラは、該回転軸に対して実質的に垂直な方向に動かされる、多機能ロータリースイッチ。
【請求項2】
前記ローラは円筒形状を有しており、前記回転軸は該円筒の対称軸であること
を特徴とする、請求項1に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項3】
前記ローラは、カットオフされた先端を有するスピンドル形状を有しており、前記回転軸は該スピンドルの対称軸であること
を特徴とする、請求項1に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項4】
前記ローラは、該ローラの周辺面上に隆起を含んでおり、該隆起は、前記スイッチが滑ることなく手動によって容易に動作されることができるような形状で形成されていること
を特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項5】
前記隆起または該隆起の一部分は、ラバー状の材料または同様の材料から形成されていること
を特徴とする、請求項4に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項6】
前記ローラは、両端面においてカバーを含んでおり、該カバーは、前記回転軸に対して垂直であること
を特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項7】
前記カバーは、半球体形状を有しており、ラバー状の材料または同様の材料から形成されていること
を特徴とする、請求項6に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項8】
前記ローラは、該ローラが搭載されるコンポーネントの表面に対して、該ローラの回転軸が実質的に平行になるように、搭載されること
を特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項9】
前記多機能ロータリースイッチは、車両の内部の前方表面上に搭載されること
を特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項10】
前記回転軸は水平方向に向けられていること
を特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項11】
前記回転軸は垂直方向に向けられていること
を特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項12】
電気スイッチが、前記回転軸に沿ったローラの各端部の付近において、該ローラの外部に配置され、該電気スイッチは、該ローラが前記並進動作モードにおいて動作させられるときに、該ローラの端面によって作動されること
を特徴とする、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項13】
前記電気スイッチは、スイッチングレバーの両側において、前記ローラの内部に配置され、該スイッチングレバーは、該ローラが並進動作モードで動作させられるときに、該ローラと共に動かされ、該電気スイッチのうちの1つは、並進動作の方向に依存して、該スイッチングレバーによって切り替えられること
を特徴とする、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項14】
前記動作モードのいずれか1つを動作させることは、前記電子デバイスの機能を選択および実行すること
を特徴とする、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項15】
前記並進動作モードは、双方向性であり、各動作方向に対して1つの機能を動作させるか、または両方の動作方向に対して同じ機能を動作させること
を特徴とする、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項16】
前記並進動作モードを動作させることは、前記電子デバイスの一部分であるディスプレイ上にメニューを出現させ、メニューのタイプは、動作方向に依存すること
を特徴とする、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項17】
前記プッシング動作モードを動作させることは、前記電子デバイスの一部分であるディスプレイ上にメニューを出現させること
を特徴とする、請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項18】
前記メニューにおける機能は、回転動作モードを動作させることによって事前選択または選択されること
を特徴とする、請求項16または請求項17に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項19】
機能は、前記プッシング動作モードを動作させることによって、確認または実行されること
を特徴とする、請求項18に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項20】
前記メニューにおいて事前選択された機能は、自動的に選択されるか、または該機能が所定の長さの時間の間に継続して事前選択された後に実行されること
を特徴とする、請求項18または請求項19に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項21】
前記回転動作モードは、オーディオデバイスの音量を増加または減少させること
を特徴とする、請求項1〜請求項17、請求項19、および請求項20のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項22】
前記回転動作モードは、増分符号器またはアナログ電位差計またはそれらの両方を動作させること
を特徴とする、請求項1〜請求項21のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項23】
前記多機能ロータリースイッチは、消費者電子デバイス上に搭載されること
を特徴とする、請求項1〜請求項22のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項24】
前記多機能ロータリースイッチは、自動車電子デバイス上に搭載されること
を特徴とする、請求項1〜請求項23のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項25】
電子デバイスを動作させる多機能ロータリースイッチであって、
回転軸を有するローラであって、該ローラは、該軸のまわりの双方向回転動作モード、該軸に対して平行な並進動作モード、および該軸に対して垂直なプッシング動作モードを有している、ローラと、
該軸に対して平行な動きを検出する少なくとも1つの手段であって、該手段は、実質的に該ローラの内部に配置されている、手段と
を備えている、多機能ロータリースイッチ。
【請求項26】
電子デバイスを動作させる多機能ロータリースイッチであって、
回転軸を有するローラであって、該ローラは、該軸のまわりの双方向回転動作モード、該軸に対して平行な並進動作モード、および該軸に対して垂直なプッシング動作モードを有している、ローラと、
該回転動作モードにおいて、該軸のまわりの該ローラの回転を所定の角度に拘束するための拘束手段と
を備えている、多機能ロータリースイッチ。
【請求項27】
前記回転軸に対して平行な動きを検出する少なくとも1つの手段であって、該手段は、実質的に前記ローラの内部に配置されている、手段
をさらに備えていること
を特徴とする、請求項25に記載の多機能ロータリースイッチ。
【請求項28】
前記電子デバイスの少なくとも一部の機能は、前記多機能ロータリースイッチのうちの1つによって動作され、該多機能ロータリースイッチのうちのその他のものによって動作される該電子デバイスの機能とは異なる、
請求項1、請求項25、または請求項26のいずれか一項に記載の多機能ロータリースイッチを少なくとも2つ備える、電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−270219(P2008−270219A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109531(P2008−109531)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(504147933)ハーマン ベッカー オートモーティブ システムズ ゲーエムベーハー (165)
【Fターム(参考)】