説明

多機能混合装置、発泡装置、軽量固化材の製造方法、軽量固化体

【課題】多種多様な軽量固化体を混合可能な混合装置及び発泡装置を提供し、軽量、高強度の固化体を製造できるようにする。
【解決手段】管路およびその内部に設けられた撹拌手段を有する管路ミキサ10,20,30、アジテータ槽およびその内部に設けられた撹拌手段を有するアジテータ40、気泡を生成し供給する気泡製造装置70、圧送ポンプ60、ホッパ51,53、ならびにホッパ内の材料を定量供給するためのフィーダ52,54を含む機器が基台上に装備されるとともに、使用する機器を任意に選択して配管することによって、機器の一部または全部を使用した混合装置が構成されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量固化材の製造方法及び軽量固化体に関し、また軽量固化材の製造を含め多種多様な混合に対応できる多機能混合装置にも関し、更にこの多機能混合装置に好適な発泡装置にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軽量固化材の製造方法として、特に管路ミキサを用いたものとしては、例えば、浚渫泥土等の含水流動性原料を仕向け先に移送する過程で軽量固化材料へ変化させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、この先行技術では、多種多様な原料、製造物、工事形態に対応できない、必要な機器の設置等に手間がかかるといった問題点があった。
【0004】
また、軽量固化材の製造に際しては気泡が必要であり、従来はビーズを充填した筒内に界面活性剤等の起泡剤と空気を送り気泡を製造していた(例えば特許文献2参照)が、この従来法では細かく且つ強度の高い気泡を製造することが困難であった。
【0005】
さらに、セメント系固化材として樹脂剤を混合した高強度固化材が知られているが、樹脂剤を用いることにより粘性が高くなり、軽量化のために気泡を混合させようとしても気泡を均一に分散混合することが困難であった。
【特許文献1】特開2004−60326号公報
【特許文献2】特開平7−100813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、一つの装置で多種多様な原料、製造物、工事形態に対応できる混合装置を提供することにある。また、他の課題は、細かく且つ強度の高い気泡の製造を可能にすることにある。さらにまた他の課題は、軽量かつ高強度の固化体及びその製造技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
管路およびその内部に設けられた撹拌手段を有する管路ミキサ、アジテータ槽およびその内部に設けられた撹拌手段を有するアジテータ、気泡を生成し供給する気泡製造装置、圧送ポンプ、ホッパ、ならびにホッパ内の材料を定量供給するためのフィーダを含む機器が基台上に装備されるとともに、
使用する機器を任意に選択して配管することによって、機器の一部または全部を使用した混合装置が構成されるようになした、ことを特徴とする多機能混合装置。
【0008】
(作用効果)
本発明の多機能混合装置では、管路ミキサ等の混合に必要とされる機器がそれぞれ必要数以上(単数でも複数でも良い)基台に装備されており、これらを任意に配管接続することによって、機器の一部または全部を使用した混合装置が構成される。よって、一つの装置で多種多様な原料、製造物、工事形態に対応できるようになる。なお、使用態様に応じて配管変更する必要がない部分等の一部の部分については、機器間を固定的な配管により接続しておくことも、また、全ての機器を使用態様に応じて配管するように構成することも本発明に含まれる。
【0009】
<請求項2記載の発明>
前記アジテータのアジテータ槽内に設けられた管路ミキサを備えた、請求項1記載の多機能混合装置。
【0010】
(作用効果)
このようにアジテータに管路ミキサを一体化することによって、アジテータ単体の設置スペースと殆ど変わりないスペースでミキサをも設置でき、非常にコンパクトな混合装置となる。これにより、例えば、車両搭載可能なサイズ・重量を有する可般型装置とすることも可能である。
【0011】
<請求項3記載の発明>
圧縮空気及び起泡剤を供給する供給路と、気泡の排出路と、前記供給路と排出路との間に介在する、網目が20〜120メッシュの範囲内にある網型フィルタとを備え、前記供給路により供給される圧縮空気および起泡剤を、前記フィルタに通過させることによって気泡を生成し、生成した気泡を排出路から排出するようになした、ことを特徴とする発泡装置。
【0012】
(作用効果)
上記範囲内の網目を有する網型フィルタを用いて気泡を製造すると、従来のビーズ充填筒を用いる場合と比べて細かく且つ強い気泡を製造できる。
【0013】
<請求項4記載の発明>
少なくともセメント、水、樹脂剤および気泡を、管路およびその内部に設けられた撹拌軸を有する管路ミキサを用いて混合し軽量固化材を製造する、ことを特徴とする軽量固化材の製造方法。
【0014】
(作用効果)
樹脂モルタル等の樹脂混合セメント系固化材は、樹脂剤の粘性の高さ故に、気泡を均一に混合できなかった。これに対して、本発明者らは、管路ミキサを用いることにより、粘性の高い材料中にも気泡を均一に混合できることを見出したものである。管路ミキサは、管路という非常に限定的な空間内で混合材料を移送しながら撹拌するものであるため、このようなことが可能になったものと考えられる。
【0015】
<請求項5記載の発明>
少なくともセメント、水、樹脂剤および気泡を混合し固化してなる、ことを特徴とする軽量固化体。
【0016】
(作用効果)
本項記載の軽量固化体は、気泡の混合により軽量であるとともに、樹脂剤の混合により高強度である。よって、建築物の外壁材等として用いられるALC(軽量気泡コンクリート )パネル等として好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり本発明によれば、一つの装置で多種多様な原料、製造物、工事形態に対応できるようになる。また、細かく且つ強度の高い気泡の製造が可能になる。さらにまた、軽量かつ高強度の固化体及びその製造が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
図1〜図3は本発明に係る多機能混合装置例を示している。この装置では、基台1の長手方向一方側が混合部Mとされ、他方側がポンプ部P及び気泡製造部Bとされている。混合部Mには、第一、第二及び第三管路ミキサ10,20,30と、アジテータ40とが装備されており、またこれらの上に、ホッパ51,53が一対と、各ホッパ内の材料を定量供給するためのフィーダ52,54とが装備されており、一方のホッパ51は、基台1上に立設されたフレームFに対してロードセル55を解して吊り下げられている。
【0019】
より詳細には、図示例の第一管路ミキサ10は、図4にも示すように、水平配置された直線状の混合管路11と、その内空内に同軸的に配置された撹拌軸12とを有するものであり、混合管路11の長手方向一端部の上部に第一投入口13及び第二投入口14が並設され、他端部の上部に排出口15及び予備口兼点検口16が形成されているものである。このように、投入口の数を複数に形成することもでき、また図示しないが排出口の数を複数にすることもできる。また、撹拌軸12は、投入口13,14と対応する部分には螺旋方向に連続するスクリュー羽根12Wが形成されており、更にこの部分から排出口15までの範囲全体にわたり、螺旋方向に断続的に突出する撹拌羽根12Mが形成されているものである。撹拌軸12の端部は、混合管路11外部に突出されており、この端部に対してチェーン等の伝動機構を介してモータ等の回転駆動源10Mが接続されている。
【0020】
第二管路ミキサ20及び第三管路ミキサ30は、図5にも示すように、混合管路21,31内相互が29,39により隔離されているものの、直列配置の一体構造を有し、両ミキサ20,30の撹拌軸21,31は直列連結され、共通の回転駆動源20Mにより一体的に回転駆動されるように構成されたものである。複数の管路ミキサを設けるにあたり、装置の省スペース化及び簡略化を図る場合、このような構成が好適である。
【0021】
また、第二管路ミキサ20は、水平配置された直線状の混合管路21と、その内空内に同軸的に配置された撹拌軸22と、混合管路21の長手方向一端部の上部に並設された第一投入口23及び第二投入口24と、他端部の上部に形成された排出口25とを備えているものである。撹拌軸22は、第一管路ミキサ10と同様、投入口23,24と対応する部分にスクリュー羽根22Wが形成され、この部分から排出口25までの範囲全体にわたり撹拌羽根22Mが形成されているものである。
【0022】
第三管路ミキサ30は、水平配置された直線状の混合管路31と、その内空内に同軸的に配置された中空撹拌軸32と、混合管路31の長手方向一端部の側部に形成された投入口33と、他端部の側部に形成された排出口35と、中空撹拌軸32における投入口側端部の外周面に形成された供給口34と、を備えたものである。撹拌軸32は、その長手方向略全体にわたり螺旋方向に断続的に突出する撹拌羽根32Mが形成されている。このように本発明の管路ミキサにおける撹拌軸は、撹拌作用を有する限り、羽根の形状や数、軸における羽根配設範囲等に限定されるものではない。
【0023】
また、第一及び第二管路ミキサ10,20では、材料の投入口13、14、23,24が混合管路11,21にのみ形成されているのに対し、第三管路ミキサ30では、撹拌軸32に材料の供給口34が形成されており、管路31内の中心位置から放射方向に向けて材料を回転供給できるように構成されている点が異なっている。撹拌軸32の一端部にはスイーベル36が接続されており、回転する撹拌軸32内と固定配管との接続が可能なように構成されている。このタイプの管路ミキサ30は、相対的に水分の少ない材料に対して水分の多い材料を回転供給することにより、特に均一な混合が可能となる利点がある。
【0024】
管路ミキサ10,20,30は、それ自体省スペースな装置であるが、特に、図示例のようにアジテータ40のアジテータ槽内に一体的に設けることによって、更に省スペース化を図ることができ、これによって、例えば図8に示すようにトラック等の車両90に搭載可能なサイズ・重量を有する可般型装置80としたり、あるいは多機能ミキサー車としたりすることが可能となる。
【0025】
より詳細には、図示例のアジテータ40は、アジテータ槽41の下部に水平方向に沿う撹拌軸42が軸支され、この撹拌軸42の外面には移送機能および撹拌機能を有する撹拌翼42Mが多数設けられ、撹拌翼42Mによる材料移送方向の下流側の位置においてアジテータ槽41底部に排出口45が形成されたものである。撹拌軸42は槽外の回転駆動源40Mによって回転駆動されるように構成されている。そして、第一管路ミキサ10ならびに第二及び第三管路ミキサ20,30は、アジテータ槽41内における撹拌軸42の前側上部および後側上部に、撹拌軸42と平行にそれぞれ配され、かつアジテータ槽41の左右側壁間に跨って支承されている。このような構造を採用することによって、従来のアジテータ単体と殆ど変わり無い設置スペースで管路ミキサを複数本設置することができるようになる。
【0026】
また、図示例では第二管路ミキサ20の排出口は、開放状態ではアジテータ槽41内に対して材料供給が可能なように構成されている。このように、少なくとも一つの管路ミキサの排出口がアジテータ槽内に配置されていると、特に配管等を要さずに管路ミキサとアジテータ槽とを接続できるため好ましい。
【0027】
次に、基台1の長手方向他方側に装備される機器について説明する。基台1の他方側はポンプ部Pと気泡製造部Bとに区画されており、ポンプ部Pには、圧送ポンプ60が設けられており、気泡製造部Bには、界面活性剤等の起泡剤を希釈水により所定の希釈倍率で希釈して貯留する起泡剤希釈・貯留槽71と、この貯留槽71に接続された起泡剤ポンプ72と、エアコンプレッサ73と、エアコンプレッサ73から供給される圧縮空気及び起泡剤ポンプ72から供給される起泡剤を合流混合して気泡を形成する発泡装置74とを有する気泡製造装置70が設けられている。製造された気泡はエアコンプレッサ73による圧送力により送出される。
【0028】
図6は特に好ましい発泡装置74の例を示している。この発泡装置74は、側面に気泡排出路79を有する円筒状の容器75と、この容器75内に同軸的に配置された円筒状の網型フィルタ76と、フィルタ76の内空部に軸心方向に沿って連通された圧縮空気供給路77と、圧縮空気供給路77に合流接続された起泡剤供給路78とを備えており、金網等からなる網型フィルタ76の網目が20〜120メッシュの範囲内とされているものである。圧縮空気供給路77は前述のエアコンプレッサ73に接続され、起泡剤供給路78は起泡剤ポンプ72に接続される。
【0029】
気泡の製造に際しては、圧縮空気供給路77からフィルタ76内に向かって供給される圧縮空気に対して、起泡剤供給路78から界面活性剤等の起泡剤が合流混合され、この合流混合された圧縮空気および起泡剤がフィルタ76に通過されて気泡が生成され、生成した気泡が排出路79から排出される。網型フィルタの網目が20〜120メッシュの範囲内であると、細かく且つ強い気泡を製造できる。
【0030】
以上のように構成された多機能混合装置は、基台1上に装備された機器10〜70を任意に配管接続することによって、機器の一部または全部を使用した混合装置を構成でき、非常に多種多様な混合プラントとして用いることができる。全ての機器を使用態様に応じて配管するように構成することもできるが、使用態様に応じて配管変更する必要がない部分等の一部の部分、例えば、図示例における起泡剤希釈・貯留槽71と起泡剤ポンプ72、起泡剤ポンプ72と発泡装置74、エアコンプレッサ73と発泡装置74、ホッパ51,53とフィーダ52,54等については、機器間を固定的に接続しておくこともできる。
【0031】
図7は、泥土を用いて気泡混合土を製造する場合の例を示している。第一のホッパ51に投入されたセメントは、フィーダ52により切り出されて第一管路ミキサ10の第一投入口13に投入される。また、第二投入口14から混練水が合流投入される。これらは、第一管路ミキサ10により撹拌混合されてセメントミルクとなった後、排出口15から第二管路ミキサ20に供給される。なお、この例では、第一管路ミキサ10の予備口兼点検口16は使用しないため図示しない蓋により密閉しておく。また、第一管路ミキサ10の排出口15と第二管路ミキサ20の第二投入口24とは、連結管Wにより接続されている。
【0032】
第二管路ミキサ20では、第一管路ミキサ10から第二投入口24を介してセメントミルクが供給されるとともに、第二のホッパ53に投入された泥土がフィーダ54により切り出されて、第一投入口23からを投入される。これらセメントミルクおよび泥土は第二管路ミキサ20で混合されてセメント混合泥土となった後、排出口25からアジテータ槽41内に溢流する。
【0033】
アジテータ槽41内に供給されたセメント混合泥土は、圧送ポンプ60による吸引によって、アジテータ排出口45から吸引され、第三管路ミキサ30の投入口33に圧送供給される。このため、図示例では、アジテータ排出口と圧送ポンプ60の入側とが配管Xにより、また圧送ポンプの出側と第三管路ミキサ30の投入口33とが配管Yによりそれぞれ接続されている。
【0034】
一方、気泡製造部Bでは、貯留槽71において起泡剤を所定の希釈倍率で希釈し一時的に貯留した後、この貯留した起泡剤を起泡剤ポンプ72によって発泡装置74へ圧送する。発泡装置74にはエアコンプレッサ73からの圧縮空気が供給されており、この圧縮空気と起泡剤とが合流された後、前述の網型フィルタや従来のビーズ充填筒等の発泡エレメントに通過され、気泡が生成される。この気泡は、エアコンプレッサ73による圧送作用により、第三管路ミキサ30の撹拌軸32に接続されたスイーベル36を介して撹拌軸32内に供給される。このため、図示例では、発泡装置74の排出路79と第三管路ミキサ30のスイーベル36とを配管Zにより接続している。撹拌軸32内に供給された気泡は、撹拌軸32外周面の供給口34から管路31内に回転噴射される。第三管路ミキサ30では、セメント混合泥土と気泡とが混合されて気泡混合土が製造され、この気泡混合土が混合処理材排出口35から排出される。この場合、第三管路ミキサ30内を通じて圧送ポンプ60の圧力が加わるため、必要十分な圧送が可能となる。なお、本形態における各材料の配合を管理するために、適所に流量計を設けたり、ロードセル55の計測結果を用いたり、フィーダ52,54の回転速度等を調整することができる。
【0035】
他の応用例は下記に列挙したとおりであり、もちろん本発明はこれに限定されるものではない。
(1) セメント・モルタル・コンクリートプラント
セメントミルクプラントとして使用する場合、例えば、第一管路ミキサ10の第一投入口13からセメントを供給し、第二投入口14から水を供給し、混合物たるセメントミルクを予備口兼点検口16から溢流させてアジテータ40に供給し、アジテータ40内のセメントミルクを圧送ポンプ60によりアジテータ排出口45から吸引し、外部へ送出するように構成することができる。この場合、使用する管路ミキサは一つであり、他の機器は使用しない。
【0036】
セメントモルタルプラントとして使用する場合、例えば、第一管路ミキサ10の第一投入口13からセメントを供給し、第二投入口14から水を供給し、混合物たるセメントミルクを排出口15から第二管路ミキサ20の第二投入口24に供給するとともに、第二管路ミキサ20の第一投入口23から砂を投入し、混合物たるモルタルを排出口25から溢流させてアジテータ40に供給し、アジテータ40内のモルタルを圧送ポンプ60によりアジテータ排出口45から吸引し、外部へ送出するように構成することができる。この場合、使用する管路ミキサは二つであり、他の機器は使用しない。
【0037】
樹脂系高強度モルタルプラントとして使用する場合、例えば、第一管路ミキサ10の第一投入口13からセメントを供給し、第二投入口14から水を供給し、混合物たるセメントミルクを排出口15から第二管路ミキサ20の第二投入口24に供給するとともに、第二管路ミキサ20の第一投入口23から砂を投入し、混合物たるモルタルを排出口25から溢流させてアジテータ40に供給する。アジテータ40内のモルタルは圧送ポンプ60によりアジテータ排出口45から吸引し、第三管路ミキサ30の投入口33に供給するとともに、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂等の樹脂剤をスイーベル36経由で供給口34から管路31内に供給し、混合物たる樹脂モルタルを排出口35から外部へ送出する。この場合、三つの管路ミキサを使用する。
【0038】
コンクリートプラントとして使用する場合は、例えば、上記セメントモルタルプラントの場合における砂に替えて、所望の骨材を供給すればよい。
【0039】
(2) 気泡混合プラント
気泡混合セメントミルクプラントとして使用する場合、例えば、第一管路ミキサ10の第一投入口13からセメントを供給し、第二投入口14から水を供給し、混合物たるセメントミルクを予備口兼点検口16から溢流させてアジテータ40に供給し、アジテータ40内のセメントミルクを圧送ポンプ60によりアジテータ排出口45から吸引し、第三管路ミキサ30の投入口33に供給するとともに、気泡製造装置70で製造した気泡をスイーベル36経由で供給口34から管路31内に供給し、混合物たる気泡混合セメントミルクを排出口35から外部へ送出する。この場合、第一及び第三の管路ミキサ10,30は使用するが、第二の管路ミキサは使用しない。
【0040】
気泡混合モルタルプラントとして使用する場合、例えば、第一管路ミキサ10の第一投入口13からセメントを供給し、第二投入口14から水を供給し、混合物たるセメントミルクを排出口15から第二管路ミキサ20の第二投入口24に供給するとともに、第二管路ミキサ20の第一投入口23から砂を投入し、混合物たるモルタルを排出口25から溢流させてアジテータ40に供給する。アジテータ40内のモルタルは圧送ポンプ60によりアジテータ排出口45から吸引し、第三管路ミキサ30の投入口33に供給するとともに、気泡製造装置70で製造した気泡をスイーベル36経由で供給口34から管路31内に供給し、混合物たる気泡混合モルタルを排出口35から外部へ送出する。この場合、三つの管路ミキサを使用する。
【0041】
気泡混合土(水、セメント、現場発生土及び気泡の混合物)プラントとして使用する場合、前述の図7に示すとおりであり、上記気泡混合モルタルプラントにおける砂に替えて現場発生土を供給すれば良い。また、同様に、上記気泡混合モルタルプラントにおける砂に替えてベントナイトやフライアッシュを供給することもできる。
【0042】
気泡混合樹脂モルタル(水、セメント、砂、樹脂剤及び気泡の混合物)プラントとして使用する場合、例えば、上記気泡混合モルタルプラントにおいて第一管路ミキサの予備口兼点検口16から樹脂剤を供給することができる。
【0043】
(3) 泥土混合プラント
浚渫泥土等の泥土混合処理またはスラリー化安定処理プラントとして用いる場合、例えば、第一管路ミキサ10の第一投入口13からセメントを供給し、第二投入口14から泥水または泥土を供給し、混合物を予備口兼点検口16から溢流させてアジテータ40に供給し、アジテータ40内の混合物を圧送ポンプ60によりアジテータ排出口45から吸引し、外部へ送出するように構成することができる。この場合、使用する管路ミキサは一つであり、他の機器は使用しない。
【0044】
地盤改良工法の一つとして、固化材の圧入により泥土地盤を置換するとともに、地上に排出される泥土を圧入用固化材の原料として用いる工法(例えば特公平7−111052号公報参照)がある。本発明の混合装置は、このような工法用の固化材製造プラントとして用いることができる。具体的には、実施形態の装置において、例えば、第一管路ミキサ10の第一投入口13からセメントを供給し、第二投入口14から水を供給し、混合物を排出口15から第二管路ミキサ20の第二投入口24に供給するとともに、第二管路ミキサ20の第一投入口23から排泥を投入し、混合物を排出口25から溢流させてアジテータ40に供給し、アジテータ40内の混合物を圧送ポンプ60によりアジテータ排出口45から吸引し、地盤改良装置へ送出するように構成することができる。
【0045】
また例えば、第一管路ミキサ10の第一投入口13からセメントを供給し、第二投入口14から泥水または泥土を供給し、混合物を排出口15から第二管路ミキサ20の第二投入口24に供給するとともに、第二管路ミキサ20の第一投入口23からフライアッシュを投入し、混合物を排出口25から溢流させてアジテータ40に供給し、アジテータ40内の混合物を圧送ポンプ60によりアジテータ排出口45から吸引し、地盤改良装置へ送出するように構成することもできる。
【0046】
(4) その他の混合プラント
本発明の装置はベントナイト混練プラントとしても用いることができる。この場合、例えば、第一管路ミキサ10の第一投入口13からベントナイトを供給し、第二投入口14から水を供給し、混合物たるベントナイト液を予備口兼点検口16から溢流させてアジテータ40に供給し、アジテータ40内のベントナイト液を圧送ポンプ60によりアジテータ排出口45から吸引し、外部へ送出するように構成することができる。
【0047】
また、本発明の装置は裏込め材製造プラントとしても用いることができる。この場合、例えば、第一管路ミキサ10の第一投入口13からセメントを供給し、第二投入口14から水を供給し、混合物たるセメントミルクを排出口15から第二管路ミキサ20の第二投入口24に供給するとともに、第二管路ミキサ20の第一投入口23から裏込め材を投入し、混合物を排出口25から溢流させてアジテータ40に供給し、アジテータ40内の混合物を圧送ポンプ60によりアジテータ排出口45から吸引し、外部へ送出するように構成することができる。この場合、使用する管路ミキサは二つであり、他の機器は使用しない。
【0048】
また、本発明の装置は発泡ビーズ混合プラントとしても用いることができる。この場合、例えば、第一管路ミキサ10の第一投入口13からセメントを供給し、第二投入口14から水を供給し、混合物たるセメントミルクを予備口兼点検口16から溢流させてアジテータ40に供給し、アジテータ40内のセメントミルクを圧送ポンプ60によりアジテータ排出口45から吸引し、第三管路ミキサ30の投入口33に供給するとともに、発泡ビーズをスイーベル36経由で供給口34から管路31内に供給し、混合物を排出口35から外部へ送出することができる。
【0049】
また、本発明の装置は短繊維混合プラントとしても用いることができる。この場合、例えば、上記発泡ビーズ混合プラントの発泡ビーズに替えて短繊維を供給すれば良い。
【0050】
また、本発明の装置は基盤材混合プラントとしても用いることができる。この場合、例えば、上記裏込め材製造プラントの裏込め用材料に替えて第二管路ミキサ20の第一投入口23から基盤材を供給すれば良い。
【0051】
また、本発明の装置は汚染土壌不溶化・還元処理プラントとしても用いることができる。この場合、上記基盤材混合プラントの基盤材に替えて第二管路ミキサ20の第一投入口23から不溶化剤または還元剤を供給すれば良い。
【実施例1】
【0052】
表1に示す、各種網目の金網型フィルタエレメントを用い、気泡製造試験を行い、泡の状態(細かさ及び均一さ)と強度(泡の持続時間の長さ)とについて観察した。その結果、同表に示すとおり、網目が20〜120メッシュのフィルタエレメントを用いた場合に特に細かくかつ強い気泡が製造できることが判明した。
【0053】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、セメント系固化材料等の各種材料の混合に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】混合装置の正面図である。
【図2】図1のII-II横断面図である。
【図3】混合装置の側面図である。
【図4】図3のIV-IV断面図である。
【図5】図3のV-V断面図である。
【図6】発泡装置の縦断面図である。
【図7】混合フロー図である。
【図8】トラック積載形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0056】
1…基台、10…第一管路ミキサ、20…第二管路ミキサ、30…第三管路ミキサ、40…アジテータ、51,53…ホッパ、52,54…フィーダ、60…圧送ポンプ、70…気泡製造装置、80…多機能混合装置、90…トラック、100…試験装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路およびその内部に設けられた撹拌手段を有する管路ミキサ、アジテータ槽およびその内部に設けられた撹拌手段を有するアジテータ、気泡を生成し供給する気泡製造装置、圧送ポンプ、ホッパ、ならびにホッパ内の材料を定量供給するためのフィーダを含む機器が基台上に装備されるとともに、
使用する機器を任意に選択して配管することによって、機器の一部または全部を使用した混合装置が構成されるようになした、ことを特徴とする多機能混合装置。
【請求項2】
前記アジテータのアジテータ槽内に設けられた管路ミキサを備えた、請求項1記載の多機能混合装置。
【請求項3】
圧縮空気及び起泡剤を供給する供給路と、気泡の排出路と、前記供給路と排出路との間に介在する、網目が20〜120メッシュの範囲内にある網型フィルタとを備え、前記供給路により供給される圧縮空気および起泡剤を、前記フィルタに通過させることによって気泡を生成し、生成した気泡を排出路から排出するようになした、ことを特徴とする発泡装置。
【請求項4】
少なくともセメント、水、樹脂剤および気泡を、管路ミキサを用いて混合し軽量固化材を製造する、ことを特徴とする軽量固化材の製造方法。
【請求項5】
少なくともセメント、水、樹脂剤および気泡を混合し固化してなる、ことを特徴とする軽量固化体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−51644(P2006−51644A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233789(P2004−233789)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(501304607)株式会社チダエンジニアリング (7)
【出願人】(000201490)前田工繊株式会社 (118)
【Fターム(参考)】