多機能選択弁、それを含む多機能全自動液体クロマトグラフィー装置及びそれを利用した試料分析方法
本発明は、液体クロマトグラフィー装置に使われる多機能選択弁に関するものであって、多重ポートを含み、多重ポートの一部に試料分離カラムの両端が連結される多機能選択弁であって、流入される流体が、試料分離カラムを通過せずに排出される流体通過モードと、流入される流体が、試料分離カラムを通過して排出されるカラム通過モードと、流体の内部流入を防止する流体閉鎖モードと、を含み、このような多機能選択弁を利用すれば、流体の移動経路を変更させることによって、必要に応じてオンライン消化機能、1次元分離機能、及び2次元分離機能を逆相液体クロマトグラフィー装置で具現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能選択弁に係り、より詳細には、溶媒の流れを変更させることによって、逆相液体クロマトグラフィー装置で1次元及び2次元分離機能、オンライン消化機能だけではなく、選択的にリン酸化ペプチド抽出機能の遂行が可能な多機能選択弁、それを含む多機能全自動液体クロマトグラフィー装置及びそれを利用した試料分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オンライン固相抽出及び逆相液体クロマトグラフィー(on−line solid phase extraction/capillary reverse−phaseliquid chromatography)は、その分析効率性が非常に優れて、プロテオーム研究において、非常に重要な技術として認識されている。特に、これは、微細量の生体物質を効果的に分離し、分析物−固相反応範囲が広くて高効率で微細量のタンパク質を同定することを可能にする。
【0003】
タンパク質を分析する方法として、質量分析法に基づいた方法(mass spectrometry−base methods)は、プロテオーム研究の標準分析プラットフォームになっており、代表的な例として、ショットガン方法またはボトムアップ方法などは、質量分析器を使った分析以前にタンパク質を加水分解してペプチドに分解するが、このような加水分解は、生体試料の溶解度を増加させ、質量分析器中で容易にイオン化及び検出が可能なペプチド切片を生成する。
【0004】
しかし、このような工程は、不可避に試料の複雑性を引き起こすようになり、例えば、最も単純なプロテオームのうちの一つである酵母プロテオームの場合にも、約6,000余個の多様なタンパク質から300,000個以上のペプチド切片が生成される。したがって、このような試料複雑性を解決するための方便として、オン/オフライン多次元タンパク質同定技術(on−/off−line multidimensional protein identification technology)のような多様な方法が開発されたが(Link,A.J.,Eng,J.,Schieltz,D.M.,Carmack,E.,et al.,Nat.Biotechnol.1999,17,676−682;Chen,E.I.,Hewel,J.,Felding−Habermann,B.,Yates,J.R.III,Mol.Cell.Proteomics 2006,5,53−56.)、液体クロマトグラフィーカラムの効率性及び感度を改善しなければならない必要性は依然として存在する。この際、液体クロマトグラフィー/質量分析法実験の感度は、分離カラム長を一定に保持した状態で、内径を減少させる場合に急増するという事実が知られている(Kim,M.−S.,Choie,W.−S.,Shin,Y.S.,Yu,M.H.,Lee,S.−W.,Bull.Korean Chem.Soc.2004,25,1833−1839.)。
【0005】
また、相当量の洗剤及び塩を含む生物試料の場合において、オンライン脱塩工程(on−line desalting step)は、質量分析以前に経なければならない必須的な過程であるが、これは、このような不純物が分析しようとするペプチド試料のイオン化過程を妨害して、ペプチド試料に対する検出感度を落とすためである。この際、時間節約及び試料損失などを勘案すれば、オンライン脱塩工程がオフライン脱塩工程より有利である。
【0006】
一方、従来の逆相液体クロマトグラフィー装置は、固相抽出カラムを採用して試料を脱塩させて濃縮させる1次元分離機能のみを有するか、強陽イオン交換クロマトグラフィー装置と逆相液体クロマトグラフィーをオンラインで連結して2次元分離機能を行う2次元逆相液体クロマトグラフィー装置の場合にも、相互干渉現象などによって正確な分析を行いにくいか、複数個の溶媒供給ポンプが不可避であって、これを制御するための多数個の弁によって、その構造が複雑になる問題点があった。さらに、このような2次元オンライン逆相液体クロマトグラフィー装置では、タンパク質をペプチド状態で消化させるオンライン消化(On−line digestion)機能や、リン酸化されたペプチドのみを選択的に抽出する機能を行うことができない問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述した問題点を解決するためのものであって、本発明が解決しようとする第1の課題は、脱塩過程及び試料濃縮が可能な逆相1次元分離機能、試料分離カラムを利用した1次元分離と逆相2次元分離とを連結して分離効率を高めうる2次元分離機能、溶媒に高圧を生成してタンパク質をペプチド状態で消化させるオンライン消化機能、及び二酸化チタンカラムを用いてリン酸化されたペプチドのみを選択的に抽出する機能を逆相液体クロマトグラフィー装置で具現することができる多機能選択弁を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする第2の課題は、1個の溶媒供給ポンプを使いながら、前述した機能を自動化して、多機能選択弁の単純操作のみで選択的に行うことができる多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする第3の課題は、前述した多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて試料の分析を効率的に行うことができる試料分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述した第1の課題を果たすために、多重ポートを含み、前記多重ポートの一部に試料分離カラムの両端が連結される多機能選択弁であって、流入される流体が、前記試料分離カラムを通過せずに排出される流体通過モード(mode)と、流入される流体が、前記試料分離カラムを通過して排出されるカラム通過モードと、流体の内部流入を防止する流体閉鎖モードと、を含む多機能選択弁を提供する。
【0011】
ここで、前記多機能選択弁の多重ポートは、流入ポートと、流出ポートと、前記試料分離カラムの両端にそれぞれ連結される、第1試料分離カラム連結ポート及び第2試料分離カラム連結ポートと、前記両モードを具現するように他のポートと選択的に流体連通される複数の選択ポートとを含みうる。
【0012】
また、前記流体通過モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体連通され、前記カラム通過モードで前記流入ポートと前記第1試料分離カラム連結ポートが、前記流出ポートと前記第2試料分離カラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通され、前記流体閉鎖モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体断絶されることが望ましい。
【0013】
また、前記複数の選択ポートは、第1、第2、第3選択ポートを含み、前記流体通過モードで前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、前記第2試料分離カラム連結ポートと前記第1選択ポートが、それぞれ互いに流体連通され、前記カラム通過モードで前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、互いに流体連通され、前記流体閉鎖モードで前記第1試料分離カラム連結ポートと前記第2選択ポートが、前記第2試料分離カラム連結ポートと前記第3選択ポートが、前記第1選択ポートと前記流出ポートが、それぞれ互いに流体連通されることが望ましい。
【0014】
本発明の他の側面によれば、多重ポートを含み、前記多重ポートの一部に試料分離カラムの両端が連結され、前記多重ポートの他の一部に二酸化チタンカラムの両端が連結される多機能選択弁であって、流入される流体が、前記試料分離カラム及び前記二酸化チタンカラムを通過せずに排出される流体通過モードと、流入される流体が、前記試料分離カラムを通過して排出されるカラム通過モードと、流体の内部流入を防止する流体閉鎖モードと、流入される流体が、前記二酸化チタンカラムを通過して排出される二酸化チタンカラム通過モードと、を含む多機能選択弁を提供する。
【0015】
ここで、前記多機能選択弁の多重ポートは、流入ポート、流出ポート、前記試料分離カラムの両端にそれぞれ連結される第1試料分離カラム連結ポート、及び第2試料分離カラム連結ポート、前記二酸化チタンカラムの両端にそれぞれ連結される第1二酸化チタンカラム連結ポート、及び第2二酸化チタンカラム連結ポート、前記両モードを具現するように他のポートと選択的に流体連通される複数の選択ポートを含みうる。
【0016】
また、前記流体通過モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体連通され、前記カラム通過モードで前記流入ポートと前記第1試料分離カラム連結ポートが、前記流出ポートと前記第2試料分離カラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通され、前記流体閉鎖モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体断絶され、前記二酸化チタンカラム通過モードで前記流入ポートと前記第1二酸化チタンカラム連結ポートが、前記流出ポートと前記第2二酸化チタンカラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通されることが望ましい。
【0017】
また、前記複数の選択ポートは、第1、第2、第3選択ポートを含み、前記流体通過モードで前記第1選択ポートと前記第2二酸化チタンカラム連結ポートが、前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、それぞれ互いに流体連通され、前記カラム通過モードで前記第1選択ポートと前記第2二酸化チタンカラム連結ポートが、前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、それぞれ互いに流体連通され、前記流体閉鎖モードで前記第1二酸化チタンカラム連結ポートを閉鎖させ、前記二酸化チタンカラム通過モードで前記第1選択ポートと前記第1試料分離カラム連結ポート、前記第3選択ポートと前記第2試料分離カラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通されることが望ましい。
【0018】
また、前記試料分離カラムは、強陽イオン交換カラム、弱陰イオン交換カラム、親水クロマトグラフィー(HILIC)カラムまたは強弱イオン混合カラムのうちの何れか一つであることをが望ましい。
【0019】
本発明は、前述した第2の課題を果たすために、分析対象となる試料が注入される試料流入弁と、固相抽出カラム及び逆相液体クロマトグラフィーカラムと流体連通されるトラップ弁と、前記試料流入弁から前記トラップ弁に向ける流路に位置し、請求項1または請求項5による多機能選択弁と、前記試料流入弁から流出される流体を前記多機能選択弁または前記トラップ弁に選択的に供給する連結弁と、を含む多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を提供する。
【0020】
ここで、多機能液体クロマトグラフィー装置は、前記試料流入弁または前記連結弁に溶媒を供給する溶媒供給ポンプをさらに含み、前記溶媒供給ポンプには、前記試料流入弁または前記連結弁に溶媒を選択的に供給するT字型溶媒分離管が連結されていることが望ましい。
【0021】
また、前記試料流入弁は、試料流入ポートと、試料放出ポートと、試料貯蔵ループによって互いに連結された、第1試料貯蔵ループ連結ポート及び第2試料貯蔵ループ連結ポートと、溶媒流入ポート、溶媒流出ポートとを含み、前記試料流入弁は、前記試料流入ポートと前記第1試料貯蔵ループ連結ポートが流体連通され、前記第2試料貯蔵ループ連結ポートと前記試料放出ポートが流体連通される、第1モードと、前記第1試料貯蔵ループ連結ポートと前記溶媒流出ポートが流体連通され、前記第2試料貯蔵ループ連結ポートと前記溶媒流入ポートが流体連通される、第2モードと、を含みうる。
【0022】
また、前記連結弁は、第1流入ポート、第2流入ポート、第1連結ポート、第2連結ポート、第1流出ポート、及び第2流出ポートを含み、前記連結弁は、前記第1流入ポート、前記第1連結ポート、前記第2連結ポート、前記第1流出ポートが順次に流体連通される第1モードと、前記第2流入ポート、前記第2連結ポート、前記第1連結ポート、前記第2流出ポートが順次に流体連通される第2モードと、を含みうる。
また、前記連結弁には、互いに流体連通されたポートの間にZ字型流路が形成されることが望ましい。
【0023】
また、前記多機能選択弁が流体通過モードである時、前記試料の1次元分離機能が行われ、カラム通過モードである時、前記試料の2次元分離機能が行われ、流体閉鎖モードである時、前記試料のオンライン消化機能が行われ、二酸化チタンカラム通過モードである時、リン酸化ペプチド抽出機能が行われることが望ましい。
【0024】
また、前記トラップ弁は、前記固相抽出カラムと連通される固相抽出カラム連結ポートと、前記逆相液体クロマトグラフィーカラムと連通される逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポートと、第1流入ポートと、第2流入ポートと、前記固相抽出カラム連結ポートと試料移動ループによって連結された試料移動ループ連結ポートと、放出ポートとを含みうる。
【0025】
また、前記トラップ弁は、前記固相抽出カラム連結ポートと前記第1流入ポートが流体連通され、前記試料移動ループ連結ポートと前記放出ポートが流体連通される、第1モードと、前記逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポートと前記固相抽出カラム連結ポートが流体連通され、前記第2流入ポートと前記試料移動ループ連結ポートが流体連通される、第2モードと、を含みうる。
【0026】
また、前記試料流入弁の溶媒流出ポートと前記連結弁の第1流入ポートは、流体連通され、前記連結弁の第1流出ポートと前記多機能選択弁の流入ポートは、流体連通され、前記多機能選択弁の流出ポートと前記トラップ弁の第1流入ポートは、流体連通され、前記連結弁の第2流出ポートと前記トラップ弁の第2流入ポートは、流体連通されることが望ましい。
【0027】
また、前記固相抽出カラムで、流入される試料の流れ方向と前記逆相液体クロマトグラフィーカラムに向けて溶出される試料の流れ方向は、互いに反対であることが望ましい。
また、前記溶媒供給ポンプには、第1溶媒、または第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒を供給できるように溶媒選択弁が設けられたことが望ましい。
【0028】
本発明は、前述した第3の課題を果たすために、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて試料を分析する方法において、(a)前記試料注入弁に分析対象試料を注入するステップと、(b)前記試料流入弁と前記多機能選択弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを設定し、前記多機能選択弁を流体通過モードに設定するステップと、(c)前記試料の第1溶媒を前記試料注入弁に流入させて、前記第1溶媒を前記トリップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、(d)前記試料流入弁と前記トラップ弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを変更し、前記第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒を前記試料注入弁に流入させて、前記混合溶媒を前記トラップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、を含み、前記(d)ステップで、前記固相抽出カラムを通過した前記混合溶媒が、前記逆相液体クロマトグラフィーカラムを通過して、前記試料の分析がなされることを特徴とする多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法を提供する。
ここで、前記(c)ステップ中に、前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことができる。
【0029】
また、前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップ以後に、前記多機能選択弁を二酸化チタンカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことができる。
【0030】
また、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて試料を分析する方法において、(a)前記試料注入弁に分析対象試料を注入するステップと、(b)前記試料流入弁と前記多機能選択弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを設定し、前記多機能選択弁を流体閉鎖モードに設定するステップと、(c)前記試料の第1溶媒を前記試料注入弁に流入させて、前記第1溶媒の圧力を上昇させるステップと、(d)前記多機能選択弁を流体通過モードに変更し、前記第1溶媒を前記トリップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、(e)前記試料流入弁と前記トラップ弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを変更し、前記第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒を前記試料流入弁に流入させて、前記混合溶媒を前記トラップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、を含み、前記(e)ステップで、前記固相抽出カラムを通過した前記混合溶媒が、前記逆相液体クロマトグラフィーカラムを通過して、前記試料の分析がなされることを特徴とする多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法を提供する。
【0031】
ここで、前記(d)ステップ中に、前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことができる。
また、前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップ以後に、前記多機能選択弁を二酸化チタンカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施形態による多機能選択弁を利用すれば、流体の移動経路を変更させることによって、脱塩過程及び試料濃縮が可能な1次元分離機能、試料分離カラムを利用した1次元分離と逆相2次元分離とを連結して分離効率を高めうる2次元分離機能、溶媒に高圧を生成してタンパク質をペプチド状態で消化させるオンライン消化機能を逆相液体クロマトグラフィー装置で行うことができる。さらに、二酸化チタンカラムを用いてリン酸化ペプチドを選択的に抽出する機能も、逆相液体クロマトグラフィー装置で具現することができる。
【0033】
また、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置は、1個の溶媒供給ポンプを使いながら、1次元分離機能、2次元分離機能、オンライン消化機能、及びリン酸化ペプチド抽出機能を選択的に行うことができる。
【0034】
また、本発明の一実施形態による試料分析方法によれば、前述した多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて1次元分離機能、2次元分離機能、オンライン消化機能、及びリン酸化ペプチド抽出機能を必要に応じて組み合わせて試料の分析を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】本発明の一実施形態による多機能選択弁の多様なモードの構成図である。
【図1B】本発明の他の実施形態による多機能選択弁の多様なモードの構成図である。
【図2A】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置において、試料注入での各弁の構成図である。
【図2B】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置において、オンライン消化機能を行う過程での各弁の構成図である。
【図2C】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置において、1次元分離機能を行う過程での各弁の構成図である。
【図2D】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置において、2次元分離機能を行う過程での各弁の構成図である。
【図2E】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置において、リン酸化ペプチド抽出機能を行う過程での各弁の構成図である。
【図2F】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置において、試料分析段階での各弁の構成図である。
【図3A】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて、エノラーゼペプチドに対して1次元及び2次元分離実験を行った結果を示すクロマトグラムである。
【図3B】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて、エノラーゼペプチドに対して1次元及び2次元分離実験を行った結果を示すクロマトグラムである。
【図4A】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて、イーストペプチドに対して2次元及び1次元分離実験を行った結果を示すクロマトグラムである。
【図4B】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて、イーストペプチドに対して2次元及び1次元分離実験を行った結果を示すクロマトグラムである。
【図5A】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて、β−カゼインペプチドに対して1次元分離実験及びリン酸化ペプチド抽出実験を行った結果を示すクロマトグラムである。
【図5B】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて、β−カゼインペプチドに対して1次元分離実験及びリン酸化ペプチド抽出実験を行った結果を示すクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、望ましい実施形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、これら実施形態は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲が、これによって制限されないということは、当業者に自明である。
【0037】
本発明の一実施形態による多機能選択弁300は、図1Aに示したように、流入ポート301、流出ポート307、試料分離カラム310の両端がそれぞれ連結される第1試料分離カラム連結ポート302、第2試料分離カラム連結ポート303、これらポートと選択的に連結可能に構成された第1選択ポート304、第2選択ポート305、及び第3選択ポート306を含んで構成される。
【0038】
この多機能選択弁300は、液体クロマトグラフィー装置で試料が注入される試料流入弁で注入された試料の分析がなされる逆相液体クロマトグラフィーカラムが連結されるトラップ弁に向ける流路に位置することができる。
本発明による多機能選択弁300は、各フォードの連結状態を変更することによって、次のような3種のモードを含みうる。
【0039】
まず、最初のモードは、試料流入弁から排出される流体を流入してトラップ弁に排出させる流体通過モードである。この流体通過モードでは、図1A(a)に示したように、流入ポート301と流出ポート307とを互いに直接流体連通させる。この際、第2試料分離カラム連結ポート303と第1選択ポート304、第2選択ポート305と第3選択ポート306が、それぞれ互いに流体連通されうる。したがって、このようなポートの連結関係では、試料流入弁から流入される流体が試料分離カラム310を通過せずに流入ポート301及び流出ポート307を経て直ちにトラップ弁側に排出させる。
【0040】
二番目のモードは、試料流入弁から排出される流体が試料分離カラム310を通過してトラップ弁に排出させるカラム通過モードである。このカラム通過モードの各ポートの間の連結関係が、図1A(b)に示されている。すなわち、流入ポート301と第1試料分離カラム連結ポート302、第2試料分離カラム連結ポート303と流出ポート307が、それぞれ互いに流体連通されるように連結されている。この際、第2選択ポート305と第3選択ポート306は、互いに流体連通されうる。したがって、多機能選択弁300に流入される流体は、流入ポート301、第1試料分離カラム連結ポート302、試料分離カラム310、第2試料分離カラム連結ポート303、流出ポート307を順次に経てトラップ弁側に排出される。
【0041】
三番目のモードは、試料流入弁から排出される流体が、多機能選択弁300の内部への流入が防止される流体閉鎖モードである。図1A(c)に示したように、このモードでは、流入ポート301と流出ポート307が、互いに流体断絶されている。したがって、試料流入弁から排出される流体は、多機能選択弁300の入口で詰まる。流体閉鎖モードの一例として、流入ポート301に流体が流入されないようにするために、第1試料分離カラム連結ポート302と第2選択ポート305、第2試料分離カラム連結ポート303と第3選択ポート306、第1選択ポート304と流出ポート307が、それぞれ互いに流体連通されるように構成することができる。
【0042】
後述するように、多機能選択弁の流体通過モードは、液体クロマトグラフィー装置の1次元分離機能、カラム通過モードは、試料分離カラムを利用した2次元分離機能、流体閉鎖モードは、溶媒の圧力を高めてタンパク質をペプチド状態で消化させるオンライン消化機能を液体クロマトグラフィー装置で具現する。したがって、多機能選択弁に流入及び流出される流体の流路を案内または閉鎖するポートの構成であれば、前述したポートの個数及びその連結関係は、一実施形態に過ぎず、これに限定されるものではないことは、当業者に自明である。
【0043】
一方、試料分離カラム310は、逆相液体クロマトグラフィーカラムと結合して2次元分離機能を行うことができるあらゆるカラムになる。例えば、強陽イオン交換(Strong Cation eXchange、SCX)カラム、弱陰イオン交換(Weak Anion eXchange、WAX)カラム、親水クロマトグラフィー(Hydrophilic Interaction Chromatography、HILIC)カラム、強弱イオン混合(SCX−WAX MIXED)カラムなどが試料分離カラムとして利用されうる。
図1Bは、本発明の他の実施形態による多機能選択弁の多様なモードにおいて、各ポートの構成を示す図である。
【0044】
図1Bに示された多機能選択弁には、試料分離カラム310と別途に二酸化チタンカラム311が連結されうるので、前述した機能の以外に試料を二酸化チタンカラム311に通過させることによって、リン酸化されたペプチドのみを選択的に抽出することができるリン酸化ペプチド抽出機能を付加的に行うことができる。
【0045】
すなわち、図1Bに示された多機能選択弁は、図1Aに示された多機能選択弁にさらに二酸化チタンカラム311の両端が連結される第1二酸化チタンカラム連結ポート308、及び第2二酸化チタンカラム連結ポート309を含んで構成することができる。したがって、以下、図1Aに示された多機能選択弁と異なる構成についてのみ別途に説明する。
【0046】
図1B(a)は、流体通過モードを示すものであって、流入ポート301と流出ポート307が、流体連通されるが、この際、選択ポートの連結関係は、第1選択ポート304と第2二酸化チタンカラム連結ポート309、第2選択ポート305と第3選択ポート306が、それぞれ互いに流体連通されて構成することができる。
【0047】
図1B(b)は、カラム通過モードを示すものであって、流入ポート301と第1試料分離カラム連結ポート302、流出ポート307と第2試料分離カラム連結ポート303が、それぞれ互いに流体連通されるが、この際、選択ポートの連結関係は、図1A(a)と同様に構成することができる。
図1B(c)は、流体閉鎖モードを示すものであって、第1二酸化チタンカラム連結ポート308を閉鎖させて具現することができる。
【0048】
図1B(d)は、二酸化チタンカラム通過モードを示すものであって、流入ポート301と第1二酸化チタンカラム連結ポート308、流出ポート307と第2二酸化チタンカラム連結ポート309とを、それぞれ互いに流体連通させるが、この際、選択ポートの連結関係は、第1選択ポート304と第1試料分離カラム連結ポート302、第2選択ポート305と第3選択ポート306が、それぞれ互いに流体連通されて構成することができる。
前述した選択ポートの連結構成は、各モードを行うことができる場合であれば、如何なる組合わせでも可能であるということはいうまでもない。
【0049】
以下、前述した多機能選択弁300を含む本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置について説明する。図1Bに示された多機能選択弁は、図1Aに示された多機能選択弁のあらゆる機能を含んで具現可能であるので、以下、便宜上、図1Bに示された9ポートを含む多機能選択弁300を例として説明する。
【0050】
本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置は、図2Aに示したように、分析対象となる試料が注入される試料流入弁100と、固相抽出カラム410、及び逆相液体クロマトグラフィーカラム420と流体連通されるトラップ弁400と、前記試料流入弁から前記トラップ弁に向ける流路に位置し、試料分離カラム310と選択的に二酸化チタンカラム311が連結される多機能選択弁300と、試料流入弁から流出される流体を多機能選択弁300、またはトラップ弁400に選択的に供給する連結弁200と、を含む。
【0051】
図2Aは、試料注入段階で弁の構成図を示す図である。
試料流入弁100は、分析しようとする試料を流入して試料を注入する弁であって、試料流入ポート101、試料放出ポート102、試料貯蔵ループ107によって互いに連結された第1試料貯蔵ループ連結ポート103、及び第2試料貯蔵ループ連結ポート104、溶媒流入ポート105、及び溶媒流出ポート106を含みうる。
【0052】
図2Aに示された試料流入弁の状態は、試料が注入される段階を示すものであって、試料流入ポート101と第1試料貯蔵ループ連結ポート103、試料放出ポート102と第2試料貯蔵ループ連結ポート104が、それぞれ互いに流体連通されていて、試料は、試料流入ポート101を通じて試料貯蔵ループ107に流入されうる。このような試料貯蔵ループ107を通じてユーザが試料の濃度が過度に低いと判断する場合には、試料注入を複数回反復することによって、十分な試料濃度が得られる。
【0053】
試料貯蔵ループ107は、1μlないし10μlの体積を有することが望ましく、試料貯蔵ループ107の体積が1μl未満である場合には、試料の取り扱いが難しいという問題点があり、10μlを超過する場合には、試料注入時間が長くなる問題点があって望ましくない。
【0054】
また、試料流入弁100は、試料放出ポート102を含むが、試料放出ポート102は、試料が試料貯蔵ループ107で前述した体積範囲内に収容されるように余分の試料を放出する役割を果たす。
【0055】
前述したように、試料の流入が完了すれば、試料流入弁100のモード転換スイッチ(図示せず)を用いて試料流入弁の連結状態を図2Aに示された第1モードから図2Bに示された第2モードに変換させる。
【0056】
試料流入弁100の第2モードでは、第1試料貯蔵ループ連結ポート103と溶媒流出ポート106が、流体連通され、第2試料貯蔵ループ連結ポート104と溶媒流入ポート105が、流体連通されるように構成される。
【0057】
本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置は、試料流入弁100または連結弁200に溶媒を供給する溶媒供給ポンプ500をさらに含みうる。
【0058】
溶媒供給ポンプ500は、5,000psiないし20,000psiの圧力で溶媒を供給することが望ましいが、溶媒の供給圧力が5,000psi未満である場合には、使用可能なカラム長が短くなって分離分解能が低下する問題点があり、20,000psiを超過する場合には、弁で溶媒が漏れる恐れがあって望ましくない。
【0059】
溶媒供給ポンプ500から供給される溶媒は、第1溶媒または第1溶媒と第2溶媒との混合物であり得る。このために、溶媒供給ポンプ500には、第1溶媒または第1溶媒と第2溶媒とが一定比率で混ぜられた混合溶媒を供給できるように溶媒選択弁(図示せず)が設けられることもある。
また、溶媒供給ポンプ500には、試料流入弁100または連結弁200に溶媒を選択的に供給するT字型溶媒分離管510が連結されうる。
【0060】
図2Bは、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置がオンライン消化機能を行う場合の弁の構成図である。
溶媒供給ポンプを通じて溶媒流入ポートから第1溶媒が試料流入弁100に流入され、供給される第1溶媒の油圧によって試料貯蔵ループ107に泊まった試料は、溶媒流出ポート106を通じて排出され、連結弁に至る。
【0061】
連結弁200は、第1流入ポート201、第2流入ポート202、第1連結ポート203、第2連結ポート204、第1流出ポート205、及び第2流出ポート206を含みうる。
【0062】
連結弁200の第1流入ポート201は、試料流入弁100の溶媒流出ポート106と流体連通されているので、溶媒供給ポンプから流入された第1溶媒は、試料と共に連結弁200の第1流入ポート201、第1連結ポート203、第2連結ポート204、第1流出ポート205を順次に経ながら連結弁を通過する。この際、図2Bに示したように、連結弁には、互いに流体連通されたポートの間にZ字型流路が形成される。
【0063】
連結弁200を通過した第1溶媒は、連結弁200の第1流出ポート205と流体連通された多機能選択弁300の流入ポート301とを通じて多機能選択弁に至る。この際、多機能選択弁300の各ポートの構成は、前述した流体閉鎖モード状態になる。すなわち、流入ポート301と流出ポート307は、互いに流体断絶されているが、これは、第1二酸化チタンカラム連結ポート308を閉鎖させることで具現可能である。前述したように、流体閉鎖モードの具現は、多機能選択弁300の流入ポート301と流出ポート307とを流体断絶させる構成であれば、如何なるものでも可能である。
【0064】
したがって、流入される第1溶媒は、多機能選択弁300を通過することができず、これにより、供給される第1溶媒の圧力は次第に増加する。このように、溶媒の移送過程で溶媒の流れを塞いで高圧力を発生させることによって、タンパク質をペプチド状態で消化させるオンライン消化機能が行われる。この場合、オンライン消化機能は、溶媒の圧力が増加するほどその効率が向上するので、第1溶媒の圧力を弁の最大許容圧力まで高めることが良い。
【0065】
オンライン消化機能が行われた以後、試料の脱塩及び濃縮のための1次元分離過程が行われる。図2Cは、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置が、1次元分離機能を行う場合の弁の構成図である。
【0066】
図2Cに示したように、1次元分離機能を行うために、多機能選択弁300で流入ポート301と流出ポート307とを互いに流体連通させる。したがって、流入ポートから流入された溶媒が試料分離カラム310を通過せずに流出ポートを通じてトラップ弁400側に排出されうる。
【0067】
トラップ弁400は、固相抽出カラム410と連通される固相抽出カラム連結ポート402、逆相液体クロマトグラフィーカラム420と連通される逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポート406、第1流入ポート401、第2流入ポート404、固相抽出カラム連結ポートと試料移動ループ407とによって、連結された試料移動ループ連結ポート403、及び放出ポート405を含みうる。そして、トラップ弁400の第1流入ポート401は、多機能選択弁300の流出ポート307と流体連通されている。
【0068】
多機能選択弁300を通過した第1溶媒は、トラップ弁400に至るが、この際、トラップ弁の各フォードは、第1流入ポート401と固相抽出カラム連結ポート402、試料移動ループ連結ポート403と放出ポート405が、それぞれ互いに流体連通されるように構成されている。
【0069】
したがって、多機能選択弁300から排出されて第1溶媒と共に移送された試料は、第1流入ポート401を経由して固相抽出カラム連結ポート402を通じて固相抽出カラム410に注入される。この際、注入される試料の流れ方向は、示された矢印方向のようである。
【0070】
固相抽出カラム410は、固相抽出カラム連結ポート402に直接結合されたカラムであって、本発明において、固相抽出カラム410は、50μmないし500μmの内径及び1cmないし4cmの長さを有するが、これは、従来の通常的な固相抽出カラムに比べて非常に短い長さを有するものであって、本発明では、約10,000psi程度の超高圧で駆動されるにもかかわらず、固相抽出カラム長が前述したように非常に小さいために、試料の分離分解能を極大化させうる。また、後述するように、流入される試料の流れ方向と逆相液体クロマトグラフィーカラムに向けて溶出される試料の流れ方向が、互いに反対であるので、さらに向上した試料分離分解能を果たすことができる。
【0071】
また、本発明では、固相抽出カラム410で内部インデューサ(internal inducer)のステンレススチールライナー(liner)を使い、C18などの物質を内部に充填させた後、両末端を約2μm程度の細工サイズを有するステンレススチールスクリーンで塞いで充填物の流出を遮断することによって、高圧力に耐えることができる堅固な固相抽出カラムを利用できる。
【0072】
一方、第1溶媒の油圧によって固相抽出カラム410に流入される試料は、0.5μl/分ないし10μl/分の流速で第1溶媒が放出されることによって、その流速が調節される。また、放出ポート405は、試料中に含有された塩成分を共に放出することによって、効率的な脱塩工程がなされるようにする。
次いで、第1溶媒が試料分離カラムを通過させて試料を分画した後、試料の脱塩及び濃縮効率を高めうる2次元分離機能を説明する。
図2Dは、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置が、2次元分離機能を行う場合の弁の構成図である。
【0073】
2次元分離機能を行うためには、1次元分離機能での試料流入弁100、連結弁200、及びトラップ弁400の弁構成は、そのまま保持し、多機能選択弁300のモードを流体通過モードからカラム通過モードに転換させれば良い。すなわち、図2Dに示したように、カラム通過モードでは、流入ポート301と第1試料分離カラム連結ポート302、流出ポート307と第2試料分離カラム連結ポート303が、それぞれ互いに流体連通される。したがって、多機能選択弁300に流入された第1溶媒は、試料分離カラム310を通過してトラップ弁400に移送され、これにより、試料の分画がなされた後に試料の脱塩及び試料の濃縮効率をさらに高めうる。
次いで、第1溶媒が、二酸化チタンカラムを通過させてリン酸化されたペプチドのみを選択的に抽出するリン酸化ペプチド抽出機能を説明する。
図2Eは、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置が、リン酸化ペプチド抽出機能を行う場合の弁の構成図である。
【0074】
リン酸化ペプチド抽出機能を行うためには、2次元分離機能での試料流入弁100、連結弁200、及びトラップ弁400の弁構成は、そのまま保持し、多機能選択弁300のモードをカラム通過モードから二酸化チタンカラム通過モードに転換させれば良い。すなわち、図2Eに示したように、二酸化チタンカラム通過モードでは、流入ポート301と第1二酸化チタンカラム連結ポート308、流出ポート307と第2二酸化チタンカラム連結ポート309が、それぞれ互いに流体連通される。したがって、多機能選択弁300に流入された第1溶媒は、二酸化チタンカラム311を通過してトラップ弁400に移送され、これにより、試料内にリン酸化されたペプチドのみを選択的に抽出する。
【0075】
今までは、試料が試料流入ポート101を通じて試料貯蔵ループ107に所定量満たされた後、第1溶媒を用いて試料のオンライン消化機能、1次元分離機能、2次元分離機能、及びリン酸化ペプチド抽出機能が行われる過程を説明した。
【0076】
次の過程としては、固相抽出カラム410に注入された試料を第2溶媒を使って分離することによって、試料を分析する過程が行われなければならないので、これについて説明する。
図2Fは、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置で試料分析段階での弁の構成図である。
【0077】
図2Fを参照すると、試料分析過程で試料流入弁100の連結関係は、溶媒流入ポート105、及び溶媒流出ポート106を断絶させて、溶媒分離管510を通じて注入される溶媒が試料流入弁100を経ずに直接連結弁200に供給させうる。すなわち、この際の試料流入弁100の各ポートの連結関係は、試料注入段階でのそれと同様に構成することができる。
試料分析過程での溶媒は、第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒が使われ、混合溶媒の比率を異ならせて溶媒の傾きを通じて試料の分離がなされる。
【0078】
また、連結弁200の各ポートの連結関係は、第2流入ポート202、第2連結ポート204、第1連結ポート203、第2流出ポート206が順次に流体連通されて流体連通されたポートの間にZ字型流路が形成される。
【0079】
連結弁200の第2流出ポート206は、トラップ弁400の第2流入ポート404と流体連通されて、連結弁200を通過した混合溶媒が多機能選択弁300を経ずにトラップ弁400に移送される。
【0080】
トラップ弁400では、逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポート406と固相抽出カラム連結ポート402、第2流入ポート404と試料移動ループ連結ポート403が、それぞれ互いに流体連通されるように、モードを変更する。したがって、第2流入ポート404を通じて流入された混合溶媒は、試料移動ループ407を経て固相抽出カラム410に至り、固相抽出カラム連結ポート402と逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポート406とを経て逆相液体クロマトグラフィーカラム420を通過する。この際、逆相液体クロマトグラフィーカラム420に向けて溶出される試料の流れ方向(または、混合溶媒の流れ方向)は、矢印のようであり、これは、固相抽出カラムに流入される試料の流れ方向(または、第1溶媒の流れ方向)と反対であるので、試料の分離分解能をさらに改善させることができる。
【0081】
固相抽出カラム410での試料分離は、溶媒供給ポンプ500から供給される混合溶媒中の第1溶媒及び第2溶媒の比率を経時的に変化させながら行われる。すなわち、混合溶媒中の第2溶媒の比率が増加するほど固相抽出カラム410に結合された試料の解離程度が増加して、逆相液体クロマトグラフィーカラム420に流入され、以後試料の分離を通じて分析がなされる。
【0082】
第1溶媒及び第2溶媒としては、前述したような目的を果たすために、多様な組合わせの溶媒が選択され、これに制限されるものではないが、前記第1溶媒として、0.1%のギ酸水溶液が使われ、前記第2溶媒として、90%のアセトニトリル水溶液が使われる。すなわち、これは、全体溶媒のうちアセトニトリルの含量が増加するほど固相抽出カラムに結合された試料の解離程度が増加するシステムを採択したものと言える。
【0083】
試料の分離が行われる逆相液体クロマトグラフィーカラム420は、10μmないし150μmの内径及び10cmないし150cmの長さを有することが望ましく、逆相液体クロマトグラフィーカラム420は、質量分析器(mass spectrometer)に連結されることによって、後続分析工程が行われる。
【0084】
このように、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置は、試料流入弁100、連結弁200、多機能選択弁300、及びトラップ弁400を用いて1次元分離機能、2次元分離機能、オンライン消化機能、及びリン酸化ペプチド抽出機能を必要に応じて選択的に行うことができる。本実施形態では、第1溶媒を用いてオンライン消化機能、1次元分離機能、2次元分離機能、リン酸化ペプチド抽出機能をいずれも行い、以後混合溶媒を用いて試料を分離及び分析する過程を一例として説明したが、必要に応じて多様な組合わせが可能であるということはいうまでもない。例えば、混合溶媒を使って試料の分離及び分析がなされる前に、1次元分離機能のみを行うか、1次元分離機能、及び2次元分離機能を共に行うか、先にオンライン消化機能を使って実験を行った後、1次元分離機能または2次元分離機能を選択して行うことができる。さらに、前述した各過程でリン酸化ペプチド抽出機能をさらに行うことができる。
【実施例】
【0085】
機器
第1溶媒としては、0.1%のギ酸水溶液(Merck(Darmstadt、Germany)から購入)を使い、第2溶媒としては、0.1%ギ酸が含まれた100%アセトニトリル(J.T.Baker(Phillipsburg、NJ、USAから購入)を使った。
【0086】
固相抽出カラム(75μm ID×360μm OD×3cm length)は、12,000psiの圧力で融合−シリカ毛細管にC18物質で充填させることで製作された。充填段階が完了した以後には、カラムに対して12,000psiの圧力を保持しながら5分間超音波処理し、カラム使用以前に圧力を徐々に低めたが、これは、充填されたC18物質の分散を防止するためである。また、充填させる以前に、ライナーの前部分には、フリット(frit)を作って充填物を満たし、裏部分には、ステンレススチールスクリーン(2μm細工)を付着させて使った。
【0087】
毛細管カラム(75μm ID×360μm OD×80cm length)、すなわち、逆相液体クロマトグラフィーカラムは、融合−シリカ毛細管をC18−結合粒子にスラリーパーキングさせることで製作した(Shen,Y.,Moore,R.J.,Zhao,R.,Blonder,J.,et al.,Anal.Chem.2003,75,3596−3605;Shen,Y.,Tolic N.,Masselon,C.,Pasa−Tolic L.et al.,Anal.Chem.2004,76,144−154;Shen,Y.,Smith,R.D.,Unger K.K.,Kumar,D.,Lubda,D.,Anal.Chem.2005,77,6692−6701)。
【0088】
充填段階が完了した以後には、カラムに対して12,000psiの圧力を保持しながら5分間超音波処理し、カラム使用以前に圧力を徐々に低めたが、これは、充填されたC18物質の分散を防止するためである。また、充填させる以前に、ライナーの前部には、フリットを作って充填物を満たし、裏部分には、ステンレススチールスクリーン(2μm細工)を付着させて使った。
【0089】
試料分離カラムの一例として使われた強陽イオン交換カラム(150μm ID×360μm OD×15cm length)は、10,000psiの圧力で5μmパーティースペア強陽イオン交換レジン(Whatman、Clifton、NJ)にスラリーパーキングさせることで製作された。充填段階が完了した以後には、カラムに対して10,000psiの圧力を保持しながら5分間超音波処理し、カラム使用以前に圧力を徐々に低めたが、これは、充填された物質の分散を防止するためである。また、充填させる以前に、ライナーの前部には、フリットを作った後に充填物を満たし、裏部分には、ステンレススチールスクリーン(2μm細工)を付着させた。
【0090】
二酸化チタンカラム(150μm ID×360μm OD×10cm length)は、5,000psiの圧力で粒子大きさが10μmになる二酸化チタン(GL Sciences Tokyo、Japan)をスラリーパーキングさせることで製作された。充填段階が完了した以後には、カラムに対して5,000psiの圧力を保持しながら5分間超音波処理し、カラム使用以前に圧力を徐々に低めたが、これは、充填された物質の分散を防止するためである。また、充填させる以前に、ライナーの前部には、フリットを作った後に充填物を満たし、裏部分には、ステンレススチールスクリーン(2μm細工)を付着させた。
【0091】
一方、逆相液体クロマトグラフィーカラムと連結される質量分析器(mass spectrometer)としては、ナノ電子噴霧イオン化インターフェース(nanoelectrospray ionization interface)を備えた7−テスラフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析器(7−tesla Fourier−transform ion cyclotron resonance mass spectrometer)(FTICR、LTQ−FT、ThermoFinnigan)を使った。
【0092】
<第1実施例>
試料
分析試料として、パン用イースト(bakers yeast)から分離したエノラーゼ(enolase)(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、USAから購入)を使い、試料の前処理は、配列級変形ブタトリプシン(Promega、Madison、WI、USAから購入)を用いてタンパク質消化過程を経て得られたペプチドを使い、試料の濃度は20ngである。
【0093】
分析結果の評価
濃度20ngのエノラーゼに対して本発明の一実施例による多機能液体クロマトグラフィー装置を使って、1次元分離実験を行った。すなわち、第1溶媒として、0.1%のギ酸水溶液を用いてエノラーゼ試料を固相抽出カラムに送った後、これを逆相クロマトグラフィー方法によって分離し、引き続き、質量分析器を通じて得た分離された試料のクロマトグラムを図3Aに示した。3回の実験を行った時、ほぼ類似した再現性ある結果を得て、分離分解能も優れると確認された。
【0094】
一方、同じ試料に対して2次元分離試験の結果を図3Bに示した。図3Bで、上側5個のグラフは、第1溶媒(500mM酢酸アンモニウム水溶液、アセトニトリル水溶液またはこれらの混合物)の組成を順次に変更しながら、強陽イオン交換カラムを通過させて2次元分離実験を行った結果であり、最も下側のグラフは、1次元分離実験の結果である。図3Bに示したように、1次元分離実験の結果と2次元分離実験の結果とを総合的に比較した時、互いに一致する結果が見えることを確認することができた。
【0095】
<第2実施例>
試料
さらに複雑なプロテオーム試料に対する分析を行うために、酵母前溶解液(wholelysate)のトリプシン分解ペプチドを使った。酵母プロテオームは、S.cerevisiae半数体菌株(haploid strains)であるY2805(MATpep:his3 prb1−D1.6R can1 his1−200 ura3−52)及びAF−2(HMLa or HMRa ho ade2−1 trp1−1 can1−100 leu2−3、112 his3−11、15 ura3−1 ssd1)を使った(Kim,M.−S.,Choie,W.−S.,Shin,Y.S.,Yu,M.H.,Lee,S.−W.,Bull.Korean Chem.Soc.2004,25,1833−1839.)。この場合、タンパク質を100mMアンモニウム重炭酸塩水溶液に溶解させた後、トリプシンを加えて37℃で24時間タンパク質消化を通じて加水分解をさせた。結果物は、SpeedVac system(SPD1010;ThermoSavant、Holbrook、NY、USA)を使って完全に乾燥させた後、次の実験を行うまで−20℃で保管した。使ったイーストペプチド試料の濃度は、20μgである。
【0096】
分析結果の評価
濃度20μgのイーストペプチドに対して本発明の一実施例による多機能液体クロマトグラフィー装置を使って、1次元及び2次元分離実験を行った。図4Aは、第1溶媒(500mM酢酸アンモニウム水溶液、アセトニトリル水溶液またはこれらの混合物)の組成を順次に増加させながら、強陽イオン交換カラムを通過させて2次元分離実験を行った結果であり、図4Bは、第1溶媒として、0.1%ギ酸が含まれた100%アセトニトリルの組成変化を利用した1次元分離実験の結果である。1次元で得られる結果より2次元分離実験の結果で、各区画別にさらに多いピークが存在することを示す結果であって、2次元分離実験を通じてさらに多いペプチドが確認され、1次元分析結果に情報力を高めると同時に、分析の効率性を増大させることが分かった。
【0097】
<第3実施例>
試料
分析試料として、β−カゼイン(β−casein)(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、USAから購入)を使い、試料の前処理は、配列級変形ブタトリプシン(Promega、Madison、WI、USAから購入)を用いてタンパク質消化過程を経て得られたペプチドを使い、この際、試料の濃度は、50ngである。
【0098】
分析結果の評価
前述した試料に対して本発明の一実施例による多機能液体クロマトグラフィー装置を使って、1次元分離実験及びリン酸化ペプチド抽出実験を行った。図5Aは、第1溶媒として、0.1%ギ酸が含まれた100%アセトニトリルの組成変化を用いて行った1次元分離実験結果を、図5Bは、第1溶媒として、0.1%トリフルオロ酢酸と乳酸とが含まれた80%アセトニトリルを用いて二酸化チタンカラムを通過させながら、リン酸化ペプチドのみをカラムに付着させた後、300mMアンモニウム重炭酸塩水溶液で溶出させてリン酸化ペプチドのみを選択的に抽出した結果を示すグラフである。図5Aに示したように、1次元分離のみでは、リン酸化ペプチドが存在するが、他のピークに遮蔽されて確認しにくいが、図5Bに示したように、β−カゼインペプチドを二酸化チタンカラムを通過させた時、リン酸化されたペプチドのみ選択的に抽出される結果を確認することができた。
本発明の単純な変形または変更は、いずれも当業者によって容易に実施され、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、多機能選択弁、それを含む多機能液体クロマトグラフィー装置及びそれを利用した試料分析方法に利用されうる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能選択弁に係り、より詳細には、溶媒の流れを変更させることによって、逆相液体クロマトグラフィー装置で1次元及び2次元分離機能、オンライン消化機能だけではなく、選択的にリン酸化ペプチド抽出機能の遂行が可能な多機能選択弁、それを含む多機能全自動液体クロマトグラフィー装置及びそれを利用した試料分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オンライン固相抽出及び逆相液体クロマトグラフィー(on−line solid phase extraction/capillary reverse−phaseliquid chromatography)は、その分析効率性が非常に優れて、プロテオーム研究において、非常に重要な技術として認識されている。特に、これは、微細量の生体物質を効果的に分離し、分析物−固相反応範囲が広くて高効率で微細量のタンパク質を同定することを可能にする。
【0003】
タンパク質を分析する方法として、質量分析法に基づいた方法(mass spectrometry−base methods)は、プロテオーム研究の標準分析プラットフォームになっており、代表的な例として、ショットガン方法またはボトムアップ方法などは、質量分析器を使った分析以前にタンパク質を加水分解してペプチドに分解するが、このような加水分解は、生体試料の溶解度を増加させ、質量分析器中で容易にイオン化及び検出が可能なペプチド切片を生成する。
【0004】
しかし、このような工程は、不可避に試料の複雑性を引き起こすようになり、例えば、最も単純なプロテオームのうちの一つである酵母プロテオームの場合にも、約6,000余個の多様なタンパク質から300,000個以上のペプチド切片が生成される。したがって、このような試料複雑性を解決するための方便として、オン/オフライン多次元タンパク質同定技術(on−/off−line multidimensional protein identification technology)のような多様な方法が開発されたが(Link,A.J.,Eng,J.,Schieltz,D.M.,Carmack,E.,et al.,Nat.Biotechnol.1999,17,676−682;Chen,E.I.,Hewel,J.,Felding−Habermann,B.,Yates,J.R.III,Mol.Cell.Proteomics 2006,5,53−56.)、液体クロマトグラフィーカラムの効率性及び感度を改善しなければならない必要性は依然として存在する。この際、液体クロマトグラフィー/質量分析法実験の感度は、分離カラム長を一定に保持した状態で、内径を減少させる場合に急増するという事実が知られている(Kim,M.−S.,Choie,W.−S.,Shin,Y.S.,Yu,M.H.,Lee,S.−W.,Bull.Korean Chem.Soc.2004,25,1833−1839.)。
【0005】
また、相当量の洗剤及び塩を含む生物試料の場合において、オンライン脱塩工程(on−line desalting step)は、質量分析以前に経なければならない必須的な過程であるが、これは、このような不純物が分析しようとするペプチド試料のイオン化過程を妨害して、ペプチド試料に対する検出感度を落とすためである。この際、時間節約及び試料損失などを勘案すれば、オンライン脱塩工程がオフライン脱塩工程より有利である。
【0006】
一方、従来の逆相液体クロマトグラフィー装置は、固相抽出カラムを採用して試料を脱塩させて濃縮させる1次元分離機能のみを有するか、強陽イオン交換クロマトグラフィー装置と逆相液体クロマトグラフィーをオンラインで連結して2次元分離機能を行う2次元逆相液体クロマトグラフィー装置の場合にも、相互干渉現象などによって正確な分析を行いにくいか、複数個の溶媒供給ポンプが不可避であって、これを制御するための多数個の弁によって、その構造が複雑になる問題点があった。さらに、このような2次元オンライン逆相液体クロマトグラフィー装置では、タンパク質をペプチド状態で消化させるオンライン消化(On−line digestion)機能や、リン酸化されたペプチドのみを選択的に抽出する機能を行うことができない問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述した問題点を解決するためのものであって、本発明が解決しようとする第1の課題は、脱塩過程及び試料濃縮が可能な逆相1次元分離機能、試料分離カラムを利用した1次元分離と逆相2次元分離とを連結して分離効率を高めうる2次元分離機能、溶媒に高圧を生成してタンパク質をペプチド状態で消化させるオンライン消化機能、及び二酸化チタンカラムを用いてリン酸化されたペプチドのみを選択的に抽出する機能を逆相液体クロマトグラフィー装置で具現することができる多機能選択弁を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする第2の課題は、1個の溶媒供給ポンプを使いながら、前述した機能を自動化して、多機能選択弁の単純操作のみで選択的に行うことができる多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする第3の課題は、前述した多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて試料の分析を効率的に行うことができる試料分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述した第1の課題を果たすために、多重ポートを含み、前記多重ポートの一部に試料分離カラムの両端が連結される多機能選択弁であって、流入される流体が、前記試料分離カラムを通過せずに排出される流体通過モード(mode)と、流入される流体が、前記試料分離カラムを通過して排出されるカラム通過モードと、流体の内部流入を防止する流体閉鎖モードと、を含む多機能選択弁を提供する。
【0011】
ここで、前記多機能選択弁の多重ポートは、流入ポートと、流出ポートと、前記試料分離カラムの両端にそれぞれ連結される、第1試料分離カラム連結ポート及び第2試料分離カラム連結ポートと、前記両モードを具現するように他のポートと選択的に流体連通される複数の選択ポートとを含みうる。
【0012】
また、前記流体通過モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体連通され、前記カラム通過モードで前記流入ポートと前記第1試料分離カラム連結ポートが、前記流出ポートと前記第2試料分離カラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通され、前記流体閉鎖モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体断絶されることが望ましい。
【0013】
また、前記複数の選択ポートは、第1、第2、第3選択ポートを含み、前記流体通過モードで前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、前記第2試料分離カラム連結ポートと前記第1選択ポートが、それぞれ互いに流体連通され、前記カラム通過モードで前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、互いに流体連通され、前記流体閉鎖モードで前記第1試料分離カラム連結ポートと前記第2選択ポートが、前記第2試料分離カラム連結ポートと前記第3選択ポートが、前記第1選択ポートと前記流出ポートが、それぞれ互いに流体連通されることが望ましい。
【0014】
本発明の他の側面によれば、多重ポートを含み、前記多重ポートの一部に試料分離カラムの両端が連結され、前記多重ポートの他の一部に二酸化チタンカラムの両端が連結される多機能選択弁であって、流入される流体が、前記試料分離カラム及び前記二酸化チタンカラムを通過せずに排出される流体通過モードと、流入される流体が、前記試料分離カラムを通過して排出されるカラム通過モードと、流体の内部流入を防止する流体閉鎖モードと、流入される流体が、前記二酸化チタンカラムを通過して排出される二酸化チタンカラム通過モードと、を含む多機能選択弁を提供する。
【0015】
ここで、前記多機能選択弁の多重ポートは、流入ポート、流出ポート、前記試料分離カラムの両端にそれぞれ連結される第1試料分離カラム連結ポート、及び第2試料分離カラム連結ポート、前記二酸化チタンカラムの両端にそれぞれ連結される第1二酸化チタンカラム連結ポート、及び第2二酸化チタンカラム連結ポート、前記両モードを具現するように他のポートと選択的に流体連通される複数の選択ポートを含みうる。
【0016】
また、前記流体通過モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体連通され、前記カラム通過モードで前記流入ポートと前記第1試料分離カラム連結ポートが、前記流出ポートと前記第2試料分離カラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通され、前記流体閉鎖モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体断絶され、前記二酸化チタンカラム通過モードで前記流入ポートと前記第1二酸化チタンカラム連結ポートが、前記流出ポートと前記第2二酸化チタンカラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通されることが望ましい。
【0017】
また、前記複数の選択ポートは、第1、第2、第3選択ポートを含み、前記流体通過モードで前記第1選択ポートと前記第2二酸化チタンカラム連結ポートが、前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、それぞれ互いに流体連通され、前記カラム通過モードで前記第1選択ポートと前記第2二酸化チタンカラム連結ポートが、前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、それぞれ互いに流体連通され、前記流体閉鎖モードで前記第1二酸化チタンカラム連結ポートを閉鎖させ、前記二酸化チタンカラム通過モードで前記第1選択ポートと前記第1試料分離カラム連結ポート、前記第3選択ポートと前記第2試料分離カラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通されることが望ましい。
【0018】
また、前記試料分離カラムは、強陽イオン交換カラム、弱陰イオン交換カラム、親水クロマトグラフィー(HILIC)カラムまたは強弱イオン混合カラムのうちの何れか一つであることをが望ましい。
【0019】
本発明は、前述した第2の課題を果たすために、分析対象となる試料が注入される試料流入弁と、固相抽出カラム及び逆相液体クロマトグラフィーカラムと流体連通されるトラップ弁と、前記試料流入弁から前記トラップ弁に向ける流路に位置し、請求項1または請求項5による多機能選択弁と、前記試料流入弁から流出される流体を前記多機能選択弁または前記トラップ弁に選択的に供給する連結弁と、を含む多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を提供する。
【0020】
ここで、多機能液体クロマトグラフィー装置は、前記試料流入弁または前記連結弁に溶媒を供給する溶媒供給ポンプをさらに含み、前記溶媒供給ポンプには、前記試料流入弁または前記連結弁に溶媒を選択的に供給するT字型溶媒分離管が連結されていることが望ましい。
【0021】
また、前記試料流入弁は、試料流入ポートと、試料放出ポートと、試料貯蔵ループによって互いに連結された、第1試料貯蔵ループ連結ポート及び第2試料貯蔵ループ連結ポートと、溶媒流入ポート、溶媒流出ポートとを含み、前記試料流入弁は、前記試料流入ポートと前記第1試料貯蔵ループ連結ポートが流体連通され、前記第2試料貯蔵ループ連結ポートと前記試料放出ポートが流体連通される、第1モードと、前記第1試料貯蔵ループ連結ポートと前記溶媒流出ポートが流体連通され、前記第2試料貯蔵ループ連結ポートと前記溶媒流入ポートが流体連通される、第2モードと、を含みうる。
【0022】
また、前記連結弁は、第1流入ポート、第2流入ポート、第1連結ポート、第2連結ポート、第1流出ポート、及び第2流出ポートを含み、前記連結弁は、前記第1流入ポート、前記第1連結ポート、前記第2連結ポート、前記第1流出ポートが順次に流体連通される第1モードと、前記第2流入ポート、前記第2連結ポート、前記第1連結ポート、前記第2流出ポートが順次に流体連通される第2モードと、を含みうる。
また、前記連結弁には、互いに流体連通されたポートの間にZ字型流路が形成されることが望ましい。
【0023】
また、前記多機能選択弁が流体通過モードである時、前記試料の1次元分離機能が行われ、カラム通過モードである時、前記試料の2次元分離機能が行われ、流体閉鎖モードである時、前記試料のオンライン消化機能が行われ、二酸化チタンカラム通過モードである時、リン酸化ペプチド抽出機能が行われることが望ましい。
【0024】
また、前記トラップ弁は、前記固相抽出カラムと連通される固相抽出カラム連結ポートと、前記逆相液体クロマトグラフィーカラムと連通される逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポートと、第1流入ポートと、第2流入ポートと、前記固相抽出カラム連結ポートと試料移動ループによって連結された試料移動ループ連結ポートと、放出ポートとを含みうる。
【0025】
また、前記トラップ弁は、前記固相抽出カラム連結ポートと前記第1流入ポートが流体連通され、前記試料移動ループ連結ポートと前記放出ポートが流体連通される、第1モードと、前記逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポートと前記固相抽出カラム連結ポートが流体連通され、前記第2流入ポートと前記試料移動ループ連結ポートが流体連通される、第2モードと、を含みうる。
【0026】
また、前記試料流入弁の溶媒流出ポートと前記連結弁の第1流入ポートは、流体連通され、前記連結弁の第1流出ポートと前記多機能選択弁の流入ポートは、流体連通され、前記多機能選択弁の流出ポートと前記トラップ弁の第1流入ポートは、流体連通され、前記連結弁の第2流出ポートと前記トラップ弁の第2流入ポートは、流体連通されることが望ましい。
【0027】
また、前記固相抽出カラムで、流入される試料の流れ方向と前記逆相液体クロマトグラフィーカラムに向けて溶出される試料の流れ方向は、互いに反対であることが望ましい。
また、前記溶媒供給ポンプには、第1溶媒、または第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒を供給できるように溶媒選択弁が設けられたことが望ましい。
【0028】
本発明は、前述した第3の課題を果たすために、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて試料を分析する方法において、(a)前記試料注入弁に分析対象試料を注入するステップと、(b)前記試料流入弁と前記多機能選択弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを設定し、前記多機能選択弁を流体通過モードに設定するステップと、(c)前記試料の第1溶媒を前記試料注入弁に流入させて、前記第1溶媒を前記トリップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、(d)前記試料流入弁と前記トラップ弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを変更し、前記第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒を前記試料注入弁に流入させて、前記混合溶媒を前記トラップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、を含み、前記(d)ステップで、前記固相抽出カラムを通過した前記混合溶媒が、前記逆相液体クロマトグラフィーカラムを通過して、前記試料の分析がなされることを特徴とする多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法を提供する。
ここで、前記(c)ステップ中に、前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことができる。
【0029】
また、前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップ以後に、前記多機能選択弁を二酸化チタンカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことができる。
【0030】
また、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて試料を分析する方法において、(a)前記試料注入弁に分析対象試料を注入するステップと、(b)前記試料流入弁と前記多機能選択弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを設定し、前記多機能選択弁を流体閉鎖モードに設定するステップと、(c)前記試料の第1溶媒を前記試料注入弁に流入させて、前記第1溶媒の圧力を上昇させるステップと、(d)前記多機能選択弁を流体通過モードに変更し、前記第1溶媒を前記トリップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、(e)前記試料流入弁と前記トラップ弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを変更し、前記第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒を前記試料流入弁に流入させて、前記混合溶媒を前記トラップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、を含み、前記(e)ステップで、前記固相抽出カラムを通過した前記混合溶媒が、前記逆相液体クロマトグラフィーカラムを通過して、前記試料の分析がなされることを特徴とする多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法を提供する。
【0031】
ここで、前記(d)ステップ中に、前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことができる。
また、前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップ以後に、前記多機能選択弁を二酸化チタンカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施形態による多機能選択弁を利用すれば、流体の移動経路を変更させることによって、脱塩過程及び試料濃縮が可能な1次元分離機能、試料分離カラムを利用した1次元分離と逆相2次元分離とを連結して分離効率を高めうる2次元分離機能、溶媒に高圧を生成してタンパク質をペプチド状態で消化させるオンライン消化機能を逆相液体クロマトグラフィー装置で行うことができる。さらに、二酸化チタンカラムを用いてリン酸化ペプチドを選択的に抽出する機能も、逆相液体クロマトグラフィー装置で具現することができる。
【0033】
また、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置は、1個の溶媒供給ポンプを使いながら、1次元分離機能、2次元分離機能、オンライン消化機能、及びリン酸化ペプチド抽出機能を選択的に行うことができる。
【0034】
また、本発明の一実施形態による試料分析方法によれば、前述した多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて1次元分離機能、2次元分離機能、オンライン消化機能、及びリン酸化ペプチド抽出機能を必要に応じて組み合わせて試料の分析を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1A】本発明の一実施形態による多機能選択弁の多様なモードの構成図である。
【図1B】本発明の他の実施形態による多機能選択弁の多様なモードの構成図である。
【図2A】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置において、試料注入での各弁の構成図である。
【図2B】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置において、オンライン消化機能を行う過程での各弁の構成図である。
【図2C】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置において、1次元分離機能を行う過程での各弁の構成図である。
【図2D】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置において、2次元分離機能を行う過程での各弁の構成図である。
【図2E】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置において、リン酸化ペプチド抽出機能を行う過程での各弁の構成図である。
【図2F】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置において、試料分析段階での各弁の構成図である。
【図3A】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて、エノラーゼペプチドに対して1次元及び2次元分離実験を行った結果を示すクロマトグラムである。
【図3B】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて、エノラーゼペプチドに対して1次元及び2次元分離実験を行った結果を示すクロマトグラムである。
【図4A】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて、イーストペプチドに対して2次元及び1次元分離実験を行った結果を示すクロマトグラムである。
【図4B】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて、イーストペプチドに対して2次元及び1次元分離実験を行った結果を示すクロマトグラムである。
【図5A】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて、β−カゼインペプチドに対して1次元分離実験及びリン酸化ペプチド抽出実験を行った結果を示すクロマトグラムである。
【図5B】本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて、β−カゼインペプチドに対して1次元分離実験及びリン酸化ペプチド抽出実験を行った結果を示すクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、望ましい実施形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、これら実施形態は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲が、これによって制限されないということは、当業者に自明である。
【0037】
本発明の一実施形態による多機能選択弁300は、図1Aに示したように、流入ポート301、流出ポート307、試料分離カラム310の両端がそれぞれ連結される第1試料分離カラム連結ポート302、第2試料分離カラム連結ポート303、これらポートと選択的に連結可能に構成された第1選択ポート304、第2選択ポート305、及び第3選択ポート306を含んで構成される。
【0038】
この多機能選択弁300は、液体クロマトグラフィー装置で試料が注入される試料流入弁で注入された試料の分析がなされる逆相液体クロマトグラフィーカラムが連結されるトラップ弁に向ける流路に位置することができる。
本発明による多機能選択弁300は、各フォードの連結状態を変更することによって、次のような3種のモードを含みうる。
【0039】
まず、最初のモードは、試料流入弁から排出される流体を流入してトラップ弁に排出させる流体通過モードである。この流体通過モードでは、図1A(a)に示したように、流入ポート301と流出ポート307とを互いに直接流体連通させる。この際、第2試料分離カラム連結ポート303と第1選択ポート304、第2選択ポート305と第3選択ポート306が、それぞれ互いに流体連通されうる。したがって、このようなポートの連結関係では、試料流入弁から流入される流体が試料分離カラム310を通過せずに流入ポート301及び流出ポート307を経て直ちにトラップ弁側に排出させる。
【0040】
二番目のモードは、試料流入弁から排出される流体が試料分離カラム310を通過してトラップ弁に排出させるカラム通過モードである。このカラム通過モードの各ポートの間の連結関係が、図1A(b)に示されている。すなわち、流入ポート301と第1試料分離カラム連結ポート302、第2試料分離カラム連結ポート303と流出ポート307が、それぞれ互いに流体連通されるように連結されている。この際、第2選択ポート305と第3選択ポート306は、互いに流体連通されうる。したがって、多機能選択弁300に流入される流体は、流入ポート301、第1試料分離カラム連結ポート302、試料分離カラム310、第2試料分離カラム連結ポート303、流出ポート307を順次に経てトラップ弁側に排出される。
【0041】
三番目のモードは、試料流入弁から排出される流体が、多機能選択弁300の内部への流入が防止される流体閉鎖モードである。図1A(c)に示したように、このモードでは、流入ポート301と流出ポート307が、互いに流体断絶されている。したがって、試料流入弁から排出される流体は、多機能選択弁300の入口で詰まる。流体閉鎖モードの一例として、流入ポート301に流体が流入されないようにするために、第1試料分離カラム連結ポート302と第2選択ポート305、第2試料分離カラム連結ポート303と第3選択ポート306、第1選択ポート304と流出ポート307が、それぞれ互いに流体連通されるように構成することができる。
【0042】
後述するように、多機能選択弁の流体通過モードは、液体クロマトグラフィー装置の1次元分離機能、カラム通過モードは、試料分離カラムを利用した2次元分離機能、流体閉鎖モードは、溶媒の圧力を高めてタンパク質をペプチド状態で消化させるオンライン消化機能を液体クロマトグラフィー装置で具現する。したがって、多機能選択弁に流入及び流出される流体の流路を案内または閉鎖するポートの構成であれば、前述したポートの個数及びその連結関係は、一実施形態に過ぎず、これに限定されるものではないことは、当業者に自明である。
【0043】
一方、試料分離カラム310は、逆相液体クロマトグラフィーカラムと結合して2次元分離機能を行うことができるあらゆるカラムになる。例えば、強陽イオン交換(Strong Cation eXchange、SCX)カラム、弱陰イオン交換(Weak Anion eXchange、WAX)カラム、親水クロマトグラフィー(Hydrophilic Interaction Chromatography、HILIC)カラム、強弱イオン混合(SCX−WAX MIXED)カラムなどが試料分離カラムとして利用されうる。
図1Bは、本発明の他の実施形態による多機能選択弁の多様なモードにおいて、各ポートの構成を示す図である。
【0044】
図1Bに示された多機能選択弁には、試料分離カラム310と別途に二酸化チタンカラム311が連結されうるので、前述した機能の以外に試料を二酸化チタンカラム311に通過させることによって、リン酸化されたペプチドのみを選択的に抽出することができるリン酸化ペプチド抽出機能を付加的に行うことができる。
【0045】
すなわち、図1Bに示された多機能選択弁は、図1Aに示された多機能選択弁にさらに二酸化チタンカラム311の両端が連結される第1二酸化チタンカラム連結ポート308、及び第2二酸化チタンカラム連結ポート309を含んで構成することができる。したがって、以下、図1Aに示された多機能選択弁と異なる構成についてのみ別途に説明する。
【0046】
図1B(a)は、流体通過モードを示すものであって、流入ポート301と流出ポート307が、流体連通されるが、この際、選択ポートの連結関係は、第1選択ポート304と第2二酸化チタンカラム連結ポート309、第2選択ポート305と第3選択ポート306が、それぞれ互いに流体連通されて構成することができる。
【0047】
図1B(b)は、カラム通過モードを示すものであって、流入ポート301と第1試料分離カラム連結ポート302、流出ポート307と第2試料分離カラム連結ポート303が、それぞれ互いに流体連通されるが、この際、選択ポートの連結関係は、図1A(a)と同様に構成することができる。
図1B(c)は、流体閉鎖モードを示すものであって、第1二酸化チタンカラム連結ポート308を閉鎖させて具現することができる。
【0048】
図1B(d)は、二酸化チタンカラム通過モードを示すものであって、流入ポート301と第1二酸化チタンカラム連結ポート308、流出ポート307と第2二酸化チタンカラム連結ポート309とを、それぞれ互いに流体連通させるが、この際、選択ポートの連結関係は、第1選択ポート304と第1試料分離カラム連結ポート302、第2選択ポート305と第3選択ポート306が、それぞれ互いに流体連通されて構成することができる。
前述した選択ポートの連結構成は、各モードを行うことができる場合であれば、如何なる組合わせでも可能であるということはいうまでもない。
【0049】
以下、前述した多機能選択弁300を含む本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置について説明する。図1Bに示された多機能選択弁は、図1Aに示された多機能選択弁のあらゆる機能を含んで具現可能であるので、以下、便宜上、図1Bに示された9ポートを含む多機能選択弁300を例として説明する。
【0050】
本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置は、図2Aに示したように、分析対象となる試料が注入される試料流入弁100と、固相抽出カラム410、及び逆相液体クロマトグラフィーカラム420と流体連通されるトラップ弁400と、前記試料流入弁から前記トラップ弁に向ける流路に位置し、試料分離カラム310と選択的に二酸化チタンカラム311が連結される多機能選択弁300と、試料流入弁から流出される流体を多機能選択弁300、またはトラップ弁400に選択的に供給する連結弁200と、を含む。
【0051】
図2Aは、試料注入段階で弁の構成図を示す図である。
試料流入弁100は、分析しようとする試料を流入して試料を注入する弁であって、試料流入ポート101、試料放出ポート102、試料貯蔵ループ107によって互いに連結された第1試料貯蔵ループ連結ポート103、及び第2試料貯蔵ループ連結ポート104、溶媒流入ポート105、及び溶媒流出ポート106を含みうる。
【0052】
図2Aに示された試料流入弁の状態は、試料が注入される段階を示すものであって、試料流入ポート101と第1試料貯蔵ループ連結ポート103、試料放出ポート102と第2試料貯蔵ループ連結ポート104が、それぞれ互いに流体連通されていて、試料は、試料流入ポート101を通じて試料貯蔵ループ107に流入されうる。このような試料貯蔵ループ107を通じてユーザが試料の濃度が過度に低いと判断する場合には、試料注入を複数回反復することによって、十分な試料濃度が得られる。
【0053】
試料貯蔵ループ107は、1μlないし10μlの体積を有することが望ましく、試料貯蔵ループ107の体積が1μl未満である場合には、試料の取り扱いが難しいという問題点があり、10μlを超過する場合には、試料注入時間が長くなる問題点があって望ましくない。
【0054】
また、試料流入弁100は、試料放出ポート102を含むが、試料放出ポート102は、試料が試料貯蔵ループ107で前述した体積範囲内に収容されるように余分の試料を放出する役割を果たす。
【0055】
前述したように、試料の流入が完了すれば、試料流入弁100のモード転換スイッチ(図示せず)を用いて試料流入弁の連結状態を図2Aに示された第1モードから図2Bに示された第2モードに変換させる。
【0056】
試料流入弁100の第2モードでは、第1試料貯蔵ループ連結ポート103と溶媒流出ポート106が、流体連通され、第2試料貯蔵ループ連結ポート104と溶媒流入ポート105が、流体連通されるように構成される。
【0057】
本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置は、試料流入弁100または連結弁200に溶媒を供給する溶媒供給ポンプ500をさらに含みうる。
【0058】
溶媒供給ポンプ500は、5,000psiないし20,000psiの圧力で溶媒を供給することが望ましいが、溶媒の供給圧力が5,000psi未満である場合には、使用可能なカラム長が短くなって分離分解能が低下する問題点があり、20,000psiを超過する場合には、弁で溶媒が漏れる恐れがあって望ましくない。
【0059】
溶媒供給ポンプ500から供給される溶媒は、第1溶媒または第1溶媒と第2溶媒との混合物であり得る。このために、溶媒供給ポンプ500には、第1溶媒または第1溶媒と第2溶媒とが一定比率で混ぜられた混合溶媒を供給できるように溶媒選択弁(図示せず)が設けられることもある。
また、溶媒供給ポンプ500には、試料流入弁100または連結弁200に溶媒を選択的に供給するT字型溶媒分離管510が連結されうる。
【0060】
図2Bは、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置がオンライン消化機能を行う場合の弁の構成図である。
溶媒供給ポンプを通じて溶媒流入ポートから第1溶媒が試料流入弁100に流入され、供給される第1溶媒の油圧によって試料貯蔵ループ107に泊まった試料は、溶媒流出ポート106を通じて排出され、連結弁に至る。
【0061】
連結弁200は、第1流入ポート201、第2流入ポート202、第1連結ポート203、第2連結ポート204、第1流出ポート205、及び第2流出ポート206を含みうる。
【0062】
連結弁200の第1流入ポート201は、試料流入弁100の溶媒流出ポート106と流体連通されているので、溶媒供給ポンプから流入された第1溶媒は、試料と共に連結弁200の第1流入ポート201、第1連結ポート203、第2連結ポート204、第1流出ポート205を順次に経ながら連結弁を通過する。この際、図2Bに示したように、連結弁には、互いに流体連通されたポートの間にZ字型流路が形成される。
【0063】
連結弁200を通過した第1溶媒は、連結弁200の第1流出ポート205と流体連通された多機能選択弁300の流入ポート301とを通じて多機能選択弁に至る。この際、多機能選択弁300の各ポートの構成は、前述した流体閉鎖モード状態になる。すなわち、流入ポート301と流出ポート307は、互いに流体断絶されているが、これは、第1二酸化チタンカラム連結ポート308を閉鎖させることで具現可能である。前述したように、流体閉鎖モードの具現は、多機能選択弁300の流入ポート301と流出ポート307とを流体断絶させる構成であれば、如何なるものでも可能である。
【0064】
したがって、流入される第1溶媒は、多機能選択弁300を通過することができず、これにより、供給される第1溶媒の圧力は次第に増加する。このように、溶媒の移送過程で溶媒の流れを塞いで高圧力を発生させることによって、タンパク質をペプチド状態で消化させるオンライン消化機能が行われる。この場合、オンライン消化機能は、溶媒の圧力が増加するほどその効率が向上するので、第1溶媒の圧力を弁の最大許容圧力まで高めることが良い。
【0065】
オンライン消化機能が行われた以後、試料の脱塩及び濃縮のための1次元分離過程が行われる。図2Cは、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置が、1次元分離機能を行う場合の弁の構成図である。
【0066】
図2Cに示したように、1次元分離機能を行うために、多機能選択弁300で流入ポート301と流出ポート307とを互いに流体連通させる。したがって、流入ポートから流入された溶媒が試料分離カラム310を通過せずに流出ポートを通じてトラップ弁400側に排出されうる。
【0067】
トラップ弁400は、固相抽出カラム410と連通される固相抽出カラム連結ポート402、逆相液体クロマトグラフィーカラム420と連通される逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポート406、第1流入ポート401、第2流入ポート404、固相抽出カラム連結ポートと試料移動ループ407とによって、連結された試料移動ループ連結ポート403、及び放出ポート405を含みうる。そして、トラップ弁400の第1流入ポート401は、多機能選択弁300の流出ポート307と流体連通されている。
【0068】
多機能選択弁300を通過した第1溶媒は、トラップ弁400に至るが、この際、トラップ弁の各フォードは、第1流入ポート401と固相抽出カラム連結ポート402、試料移動ループ連結ポート403と放出ポート405が、それぞれ互いに流体連通されるように構成されている。
【0069】
したがって、多機能選択弁300から排出されて第1溶媒と共に移送された試料は、第1流入ポート401を経由して固相抽出カラム連結ポート402を通じて固相抽出カラム410に注入される。この際、注入される試料の流れ方向は、示された矢印方向のようである。
【0070】
固相抽出カラム410は、固相抽出カラム連結ポート402に直接結合されたカラムであって、本発明において、固相抽出カラム410は、50μmないし500μmの内径及び1cmないし4cmの長さを有するが、これは、従来の通常的な固相抽出カラムに比べて非常に短い長さを有するものであって、本発明では、約10,000psi程度の超高圧で駆動されるにもかかわらず、固相抽出カラム長が前述したように非常に小さいために、試料の分離分解能を極大化させうる。また、後述するように、流入される試料の流れ方向と逆相液体クロマトグラフィーカラムに向けて溶出される試料の流れ方向が、互いに反対であるので、さらに向上した試料分離分解能を果たすことができる。
【0071】
また、本発明では、固相抽出カラム410で内部インデューサ(internal inducer)のステンレススチールライナー(liner)を使い、C18などの物質を内部に充填させた後、両末端を約2μm程度の細工サイズを有するステンレススチールスクリーンで塞いで充填物の流出を遮断することによって、高圧力に耐えることができる堅固な固相抽出カラムを利用できる。
【0072】
一方、第1溶媒の油圧によって固相抽出カラム410に流入される試料は、0.5μl/分ないし10μl/分の流速で第1溶媒が放出されることによって、その流速が調節される。また、放出ポート405は、試料中に含有された塩成分を共に放出することによって、効率的な脱塩工程がなされるようにする。
次いで、第1溶媒が試料分離カラムを通過させて試料を分画した後、試料の脱塩及び濃縮効率を高めうる2次元分離機能を説明する。
図2Dは、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置が、2次元分離機能を行う場合の弁の構成図である。
【0073】
2次元分離機能を行うためには、1次元分離機能での試料流入弁100、連結弁200、及びトラップ弁400の弁構成は、そのまま保持し、多機能選択弁300のモードを流体通過モードからカラム通過モードに転換させれば良い。すなわち、図2Dに示したように、カラム通過モードでは、流入ポート301と第1試料分離カラム連結ポート302、流出ポート307と第2試料分離カラム連結ポート303が、それぞれ互いに流体連通される。したがって、多機能選択弁300に流入された第1溶媒は、試料分離カラム310を通過してトラップ弁400に移送され、これにより、試料の分画がなされた後に試料の脱塩及び試料の濃縮効率をさらに高めうる。
次いで、第1溶媒が、二酸化チタンカラムを通過させてリン酸化されたペプチドのみを選択的に抽出するリン酸化ペプチド抽出機能を説明する。
図2Eは、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置が、リン酸化ペプチド抽出機能を行う場合の弁の構成図である。
【0074】
リン酸化ペプチド抽出機能を行うためには、2次元分離機能での試料流入弁100、連結弁200、及びトラップ弁400の弁構成は、そのまま保持し、多機能選択弁300のモードをカラム通過モードから二酸化チタンカラム通過モードに転換させれば良い。すなわち、図2Eに示したように、二酸化チタンカラム通過モードでは、流入ポート301と第1二酸化チタンカラム連結ポート308、流出ポート307と第2二酸化チタンカラム連結ポート309が、それぞれ互いに流体連通される。したがって、多機能選択弁300に流入された第1溶媒は、二酸化チタンカラム311を通過してトラップ弁400に移送され、これにより、試料内にリン酸化されたペプチドのみを選択的に抽出する。
【0075】
今までは、試料が試料流入ポート101を通じて試料貯蔵ループ107に所定量満たされた後、第1溶媒を用いて試料のオンライン消化機能、1次元分離機能、2次元分離機能、及びリン酸化ペプチド抽出機能が行われる過程を説明した。
【0076】
次の過程としては、固相抽出カラム410に注入された試料を第2溶媒を使って分離することによって、試料を分析する過程が行われなければならないので、これについて説明する。
図2Fは、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置で試料分析段階での弁の構成図である。
【0077】
図2Fを参照すると、試料分析過程で試料流入弁100の連結関係は、溶媒流入ポート105、及び溶媒流出ポート106を断絶させて、溶媒分離管510を通じて注入される溶媒が試料流入弁100を経ずに直接連結弁200に供給させうる。すなわち、この際の試料流入弁100の各ポートの連結関係は、試料注入段階でのそれと同様に構成することができる。
試料分析過程での溶媒は、第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒が使われ、混合溶媒の比率を異ならせて溶媒の傾きを通じて試料の分離がなされる。
【0078】
また、連結弁200の各ポートの連結関係は、第2流入ポート202、第2連結ポート204、第1連結ポート203、第2流出ポート206が順次に流体連通されて流体連通されたポートの間にZ字型流路が形成される。
【0079】
連結弁200の第2流出ポート206は、トラップ弁400の第2流入ポート404と流体連通されて、連結弁200を通過した混合溶媒が多機能選択弁300を経ずにトラップ弁400に移送される。
【0080】
トラップ弁400では、逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポート406と固相抽出カラム連結ポート402、第2流入ポート404と試料移動ループ連結ポート403が、それぞれ互いに流体連通されるように、モードを変更する。したがって、第2流入ポート404を通じて流入された混合溶媒は、試料移動ループ407を経て固相抽出カラム410に至り、固相抽出カラム連結ポート402と逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポート406とを経て逆相液体クロマトグラフィーカラム420を通過する。この際、逆相液体クロマトグラフィーカラム420に向けて溶出される試料の流れ方向(または、混合溶媒の流れ方向)は、矢印のようであり、これは、固相抽出カラムに流入される試料の流れ方向(または、第1溶媒の流れ方向)と反対であるので、試料の分離分解能をさらに改善させることができる。
【0081】
固相抽出カラム410での試料分離は、溶媒供給ポンプ500から供給される混合溶媒中の第1溶媒及び第2溶媒の比率を経時的に変化させながら行われる。すなわち、混合溶媒中の第2溶媒の比率が増加するほど固相抽出カラム410に結合された試料の解離程度が増加して、逆相液体クロマトグラフィーカラム420に流入され、以後試料の分離を通じて分析がなされる。
【0082】
第1溶媒及び第2溶媒としては、前述したような目的を果たすために、多様な組合わせの溶媒が選択され、これに制限されるものではないが、前記第1溶媒として、0.1%のギ酸水溶液が使われ、前記第2溶媒として、90%のアセトニトリル水溶液が使われる。すなわち、これは、全体溶媒のうちアセトニトリルの含量が増加するほど固相抽出カラムに結合された試料の解離程度が増加するシステムを採択したものと言える。
【0083】
試料の分離が行われる逆相液体クロマトグラフィーカラム420は、10μmないし150μmの内径及び10cmないし150cmの長さを有することが望ましく、逆相液体クロマトグラフィーカラム420は、質量分析器(mass spectrometer)に連結されることによって、後続分析工程が行われる。
【0084】
このように、本発明の一実施形態による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置は、試料流入弁100、連結弁200、多機能選択弁300、及びトラップ弁400を用いて1次元分離機能、2次元分離機能、オンライン消化機能、及びリン酸化ペプチド抽出機能を必要に応じて選択的に行うことができる。本実施形態では、第1溶媒を用いてオンライン消化機能、1次元分離機能、2次元分離機能、リン酸化ペプチド抽出機能をいずれも行い、以後混合溶媒を用いて試料を分離及び分析する過程を一例として説明したが、必要に応じて多様な組合わせが可能であるということはいうまでもない。例えば、混合溶媒を使って試料の分離及び分析がなされる前に、1次元分離機能のみを行うか、1次元分離機能、及び2次元分離機能を共に行うか、先にオンライン消化機能を使って実験を行った後、1次元分離機能または2次元分離機能を選択して行うことができる。さらに、前述した各過程でリン酸化ペプチド抽出機能をさらに行うことができる。
【実施例】
【0085】
機器
第1溶媒としては、0.1%のギ酸水溶液(Merck(Darmstadt、Germany)から購入)を使い、第2溶媒としては、0.1%ギ酸が含まれた100%アセトニトリル(J.T.Baker(Phillipsburg、NJ、USAから購入)を使った。
【0086】
固相抽出カラム(75μm ID×360μm OD×3cm length)は、12,000psiの圧力で融合−シリカ毛細管にC18物質で充填させることで製作された。充填段階が完了した以後には、カラムに対して12,000psiの圧力を保持しながら5分間超音波処理し、カラム使用以前に圧力を徐々に低めたが、これは、充填されたC18物質の分散を防止するためである。また、充填させる以前に、ライナーの前部分には、フリット(frit)を作って充填物を満たし、裏部分には、ステンレススチールスクリーン(2μm細工)を付着させて使った。
【0087】
毛細管カラム(75μm ID×360μm OD×80cm length)、すなわち、逆相液体クロマトグラフィーカラムは、融合−シリカ毛細管をC18−結合粒子にスラリーパーキングさせることで製作した(Shen,Y.,Moore,R.J.,Zhao,R.,Blonder,J.,et al.,Anal.Chem.2003,75,3596−3605;Shen,Y.,Tolic N.,Masselon,C.,Pasa−Tolic L.et al.,Anal.Chem.2004,76,144−154;Shen,Y.,Smith,R.D.,Unger K.K.,Kumar,D.,Lubda,D.,Anal.Chem.2005,77,6692−6701)。
【0088】
充填段階が完了した以後には、カラムに対して12,000psiの圧力を保持しながら5分間超音波処理し、カラム使用以前に圧力を徐々に低めたが、これは、充填されたC18物質の分散を防止するためである。また、充填させる以前に、ライナーの前部には、フリットを作って充填物を満たし、裏部分には、ステンレススチールスクリーン(2μm細工)を付着させて使った。
【0089】
試料分離カラムの一例として使われた強陽イオン交換カラム(150μm ID×360μm OD×15cm length)は、10,000psiの圧力で5μmパーティースペア強陽イオン交換レジン(Whatman、Clifton、NJ)にスラリーパーキングさせることで製作された。充填段階が完了した以後には、カラムに対して10,000psiの圧力を保持しながら5分間超音波処理し、カラム使用以前に圧力を徐々に低めたが、これは、充填された物質の分散を防止するためである。また、充填させる以前に、ライナーの前部には、フリットを作った後に充填物を満たし、裏部分には、ステンレススチールスクリーン(2μm細工)を付着させた。
【0090】
二酸化チタンカラム(150μm ID×360μm OD×10cm length)は、5,000psiの圧力で粒子大きさが10μmになる二酸化チタン(GL Sciences Tokyo、Japan)をスラリーパーキングさせることで製作された。充填段階が完了した以後には、カラムに対して5,000psiの圧力を保持しながら5分間超音波処理し、カラム使用以前に圧力を徐々に低めたが、これは、充填された物質の分散を防止するためである。また、充填させる以前に、ライナーの前部には、フリットを作った後に充填物を満たし、裏部分には、ステンレススチールスクリーン(2μm細工)を付着させた。
【0091】
一方、逆相液体クロマトグラフィーカラムと連結される質量分析器(mass spectrometer)としては、ナノ電子噴霧イオン化インターフェース(nanoelectrospray ionization interface)を備えた7−テスラフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析器(7−tesla Fourier−transform ion cyclotron resonance mass spectrometer)(FTICR、LTQ−FT、ThermoFinnigan)を使った。
【0092】
<第1実施例>
試料
分析試料として、パン用イースト(bakers yeast)から分離したエノラーゼ(enolase)(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、USAから購入)を使い、試料の前処理は、配列級変形ブタトリプシン(Promega、Madison、WI、USAから購入)を用いてタンパク質消化過程を経て得られたペプチドを使い、試料の濃度は20ngである。
【0093】
分析結果の評価
濃度20ngのエノラーゼに対して本発明の一実施例による多機能液体クロマトグラフィー装置を使って、1次元分離実験を行った。すなわち、第1溶媒として、0.1%のギ酸水溶液を用いてエノラーゼ試料を固相抽出カラムに送った後、これを逆相クロマトグラフィー方法によって分離し、引き続き、質量分析器を通じて得た分離された試料のクロマトグラムを図3Aに示した。3回の実験を行った時、ほぼ類似した再現性ある結果を得て、分離分解能も優れると確認された。
【0094】
一方、同じ試料に対して2次元分離試験の結果を図3Bに示した。図3Bで、上側5個のグラフは、第1溶媒(500mM酢酸アンモニウム水溶液、アセトニトリル水溶液またはこれらの混合物)の組成を順次に変更しながら、強陽イオン交換カラムを通過させて2次元分離実験を行った結果であり、最も下側のグラフは、1次元分離実験の結果である。図3Bに示したように、1次元分離実験の結果と2次元分離実験の結果とを総合的に比較した時、互いに一致する結果が見えることを確認することができた。
【0095】
<第2実施例>
試料
さらに複雑なプロテオーム試料に対する分析を行うために、酵母前溶解液(wholelysate)のトリプシン分解ペプチドを使った。酵母プロテオームは、S.cerevisiae半数体菌株(haploid strains)であるY2805(MATpep:his3 prb1−D1.6R can1 his1−200 ura3−52)及びAF−2(HMLa or HMRa ho ade2−1 trp1−1 can1−100 leu2−3、112 his3−11、15 ura3−1 ssd1)を使った(Kim,M.−S.,Choie,W.−S.,Shin,Y.S.,Yu,M.H.,Lee,S.−W.,Bull.Korean Chem.Soc.2004,25,1833−1839.)。この場合、タンパク質を100mMアンモニウム重炭酸塩水溶液に溶解させた後、トリプシンを加えて37℃で24時間タンパク質消化を通じて加水分解をさせた。結果物は、SpeedVac system(SPD1010;ThermoSavant、Holbrook、NY、USA)を使って完全に乾燥させた後、次の実験を行うまで−20℃で保管した。使ったイーストペプチド試料の濃度は、20μgである。
【0096】
分析結果の評価
濃度20μgのイーストペプチドに対して本発明の一実施例による多機能液体クロマトグラフィー装置を使って、1次元及び2次元分離実験を行った。図4Aは、第1溶媒(500mM酢酸アンモニウム水溶液、アセトニトリル水溶液またはこれらの混合物)の組成を順次に増加させながら、強陽イオン交換カラムを通過させて2次元分離実験を行った結果であり、図4Bは、第1溶媒として、0.1%ギ酸が含まれた100%アセトニトリルの組成変化を利用した1次元分離実験の結果である。1次元で得られる結果より2次元分離実験の結果で、各区画別にさらに多いピークが存在することを示す結果であって、2次元分離実験を通じてさらに多いペプチドが確認され、1次元分析結果に情報力を高めると同時に、分析の効率性を増大させることが分かった。
【0097】
<第3実施例>
試料
分析試料として、β−カゼイン(β−casein)(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、USAから購入)を使い、試料の前処理は、配列級変形ブタトリプシン(Promega、Madison、WI、USAから購入)を用いてタンパク質消化過程を経て得られたペプチドを使い、この際、試料の濃度は、50ngである。
【0098】
分析結果の評価
前述した試料に対して本発明の一実施例による多機能液体クロマトグラフィー装置を使って、1次元分離実験及びリン酸化ペプチド抽出実験を行った。図5Aは、第1溶媒として、0.1%ギ酸が含まれた100%アセトニトリルの組成変化を用いて行った1次元分離実験結果を、図5Bは、第1溶媒として、0.1%トリフルオロ酢酸と乳酸とが含まれた80%アセトニトリルを用いて二酸化チタンカラムを通過させながら、リン酸化ペプチドのみをカラムに付着させた後、300mMアンモニウム重炭酸塩水溶液で溶出させてリン酸化ペプチドのみを選択的に抽出した結果を示すグラフである。図5Aに示したように、1次元分離のみでは、リン酸化ペプチドが存在するが、他のピークに遮蔽されて確認しにくいが、図5Bに示したように、β−カゼインペプチドを二酸化チタンカラムを通過させた時、リン酸化されたペプチドのみ選択的に抽出される結果を確認することができた。
本発明の単純な変形または変更は、いずれも当業者によって容易に実施され、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、多機能選択弁、それを含む多機能液体クロマトグラフィー装置及びそれを利用した試料分析方法に利用されうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重ポートを含み、前記多重ポートの一部に試料分離カラムの両端が連結される多機能選択弁であって、
流入される流体が、前記試料分離カラムを通過せずに排出される流体通過モードと、
流入される流体が、前記試料分離カラムを通過して排出されるカラム通過モードと、
流体の内部流入を防止する流体閉鎖モードと、
を含むことを特徴とする多機能選択弁。
【請求項2】
前記多機能選択弁の多重ポートは、
流入ポートと、流出ポートと、前記試料分離カラムの両端にそれぞれ連結される、第1試料分離カラム連結ポート及び第2試料分離カラム連結ポートと、前記両モードを具現するように他のポートと選択的に流体連通される複数の選択ポートと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の多機能選択弁。
【請求項3】
前記流体通過モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体連通され、
前記カラム通過モードで前記流入ポートと前記第1試料分離カラム連結ポートが、前記流出ポートと前記第2試料分離カラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通され、
前記流体閉鎖モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体断絶されることを特徴とする請求項2に記載の多機能選択弁。
【請求項4】
前記複数の選択ポートは、第1、第2、第3選択ポートを含み、
前記流体通過モードで前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、前記第2試料分離カラム連結ポートと前記第1選択ポートが、それぞれ互いに流体連通され、
前記カラム通過モードで前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、互いに流体連通され、
前記流体閉鎖モードで前記第1試料分離カラム連結ポートと前記第2選択ポートが、前記第2試料分離カラム連結ポートと前記第3選択ポートが、前記第1選択ポートと前記流出ポートが、それぞれ互いに流体連通されることを特徴とする請求項3に記載の多機能選択弁。
【請求項5】
多重ポートを含み、前記多重ポートの一部に試料分離カラムの両端が連結され、前記多重ポートの他の一部に二酸化チタンカラムの両端が連結される多機能選択弁であって、
流入される流体が、前記試料分離カラム及び前記二酸化チタンカラムを通過せずに排出される流体通過モードと、
流入される流体が、前記試料分離カラムを通過して排出されるカラム通過モードと、
流体の内部流入を防止する流体閉鎖モードと、
流入される流体が、前記二酸化チタンカラムを通過して排出される二酸化チタンカラム通過モードと、
を含むことを特徴とする多機能選択弁。
【請求項6】
前記多機能選択弁の多重ポートは、
流入ポートと、流出ポートと、前記試料分離カラムの両端にそれぞれ連結される、第1試料分離カラム連結ポート及び第2試料分離カラム連結ポートと、前記二酸化チタンカラムの両端にそれぞれ連結される、第1二酸化チタンカラム連結ポート及び第2二酸化チタンカラム連結ポートと、前記両モードを具現するように他のポートと選択的に流体連通される複数の選択ポートと、を含むことを特徴とする請求項5に記載の多機能選択弁。
【請求項7】
前記流体通過モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体連通され、
前記カラム通過モードで前記流入ポートと前記第1試料分離カラム連結ポートが、前記流出ポートと前記第2試料分離カラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通され、
前記流体閉鎖モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体断絶され、
前記二酸化チタンカラム通過モードで前記流入ポートと前記第1二酸化チタンカラム連結ポートが、前記流出ポートと前記第2二酸化チタンカラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通されることを特徴とする請求項6に記載の多機能選択弁。
【請求項8】
前記複数の選択ポートは、第1、第2、第3選択ポートを含み、
前記流体通過モードで前記第1選択ポートと前記第2二酸化チタンカラム連結ポートが、前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、それぞれ互いに流体連通され、
前記カラム通過モードで前記第1選択ポートと前記第2二酸化チタンカラム連結ポートが、前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、それぞれ互いに流体連通され、
前記流体閉鎖モードで前記第1二酸化チタンカラム連結ポートを閉鎖させ、
前記二酸化チタンカラム通過モードで前記第1選択ポートと前記第1試料分離カラム連結ポートが、前記第3選択ポートと前記第2試料分離カラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通されることを特徴とする請求項7に記載の多機能選択弁。
【請求項9】
前記試料分離カラムは、強陽イオン交換カラム、弱陰イオン交換カラム、親水クロマトグラフィー(HILIC)カラム、または強弱イオン混合カラムのうちの何れか一つであることをを特徴とする請求項1または5に記載の多機能選択弁。
【請求項10】
分析対象となる試料が注入される試料流入弁と、
固相抽出カラム及び逆相液体クロマトグラフィーカラムと流体連通されるトラップ弁と、
前記試料流入弁から前記トラップ弁に向ける流路に位置し、請求項1または請求項5による多機能選択弁と、
前記試料流入弁から流出される流体を前記多機能選択弁または前記トラップ弁に選択的に供給する連結弁と、
を含むことを特徴とする多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項11】
前記試料流入弁または前記連結弁に溶媒を供給する溶媒供給ポンプをさらに含み、
前記溶媒供給ポンプには、前記試料流入弁または前記連結弁に溶媒を選択的に供給するT字型溶媒分離管が連結されていることを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項12】
前記試料流入弁は、試料流入ポートと、試料放出ポートと、試料貯蔵ループによって互いに連結された、第1試料貯蔵ループ連結ポート及び第2試料貯蔵ループ連結ポートと、溶媒流入ポートと、溶媒流出ポートとを含み、
前記試料流入弁は、
前記試料流入ポートと前記第1試料貯蔵ループ連結ポートが流体連通され、前記第2試料貯蔵ループ連結ポートと前記試料放出ポートが流体連通される、第1モードと、
前記第1試料貯蔵ループ連結ポートと前記溶媒流出ポートが流体連通され、前記第2試料貯蔵ループ連結ポートと前記溶媒流入ポートが流体連通される、第2モードと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項13】
前記連結弁は、第1流入ポート、第2流入ポート、第1連結ポート、第2連結ポート、第1流出ポート、及び第2流出ポートを含み、
前記連結弁は、
前記第1流入ポート、前記第1連結ポート、前記第2連結ポート、前記第1流出ポートが順次に流体連通される、第1モードと、
前記第2流入ポート、前記第2連結ポート、前記第1連結ポート、前記第2流出ポートが順次に流体連通される、第2モードと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項14】
前記連結弁には、互いに流体連通されたポートの間にZ字型流路が形成されることを特徴とする請求項13に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項15】
前記多機能選択弁が流体通過モードである時、前記試料の1次元分離機能が行われ、カラム通過モードである時、前記試料の2次元分離機能が行われ、流体閉鎖モードである時、前記試料のオンライン消化機能が行われ、二酸化チタンカラム通過モードである時、リン酸化ペプチド抽出機能が行われることを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項16】
前記トラップ弁は、前記固相抽出カラムと連通される固相抽出カラム連結ポートと、前記逆相液体クロマトグラフィーカラムと連通される逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポートと、第1流入ポートと、第2流入ポートと、前記固相抽出カラム連結ポートと試料移動ループによって連結された試料移動ループ連結ポートと、放出ポートと、を含むことを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項17】
前記トラップ弁は、
前記固相抽出カラム連結ポートと前記第1流入ポートが流体連通され、前記試料移動ループ連結ポートと前記放出ポートが流体連通される、第1モードと、
前記逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポートと前記固相抽出カラム連結ポートが流体連通され、前記第2流入ポートと前記試料移動ループ連結ポートが流体連通される、第2モードと、
を含むことを特徴とする請求項16に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項18】
前記試料流入弁の溶媒流出ポートと前記連結弁の第1流入ポートは、流体連通され、
前記連結弁の第1流出ポートと前記多機能選択弁の流入ポートは、流体連通され、
前記多機能選択弁の流出ポートと前記トラップ弁の第1流入ポートは、流体連通され、
前記連結弁の第2流出ポートと前記トラップ弁の第2流入ポートは、流体連通されることを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項19】
前記固相抽出カラムで、流入される試料の流れ方向と前記逆相液体クロマトグラフィーカラムに向けて溶出される試料の流れ方向は、互いに反対であることを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項20】
前記溶媒供給ポンプには、第1溶媒、または第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒を供給できるように溶媒選択弁が設けられたことを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項21】
請求項10による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて試料を分析する方法において、
(a)前記試料注入弁に分析対象試料を注入するステップと、
(b)前記試料流入弁と前記多機能選択弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを設定し、前記多機能選択弁を流体通過モードに設定するステップと、
(c)前記試料の第1溶媒を前記試料注入弁に流入させて、前記第1溶媒を前記トリップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、
(d)前記試料流入弁と前記トラップ弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを変更し、前記第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒を前記試料注入弁に流入させて、前記混合溶媒を前記トラップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、を含み、
前記(d)ステップで、前記固相抽出カラムを通過した前記混合溶媒が、前記逆相液体クロマトグラフィーカラムを通過して、前記試料の分析がなされることを特徴とする多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法。
【請求項22】
前記(c)ステップ中に、
前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことを特徴とする請求項21に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法。
【請求項23】
前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップ以後に、前記多機能選択弁を二酸化チタンカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことを特徴とする請求項22に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法。
【請求項24】
請求項10による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて試料を分析する方法において、
(a)前記試料注入弁に分析対象試料を注入するステップと、
(b)前記試料流入弁と前記多機能選択弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを設定し、前記多機能選択弁を流体閉鎖モードに設定するステップと、
(c)前記試料の第1溶媒を前記試料注入弁に流入させて、前記第1溶媒の圧力を上昇させるステップと、
(d)前記多機能選択弁を流体通過モードに変更し、前記第1溶媒を前記トリップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、
(e)前記試料流入弁と前記トラップ弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを変更し、前記第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒を前記試料流入弁に流入させて、前記混合溶媒を前記トラップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、を含み、
前記(e)ステップで、前記固相抽出カラムを通過した前記混合溶媒が、前記逆相液体クロマトグラフィーカラムを通過して、前記試料の分析がなされることを特徴とする多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法。
【請求項25】
前記(d)ステップ中に、
前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことを特徴とする請求項24に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法。
【請求項26】
前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップ以後に、前記多機能選択弁を二酸化チタンカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことを特徴とする請求項25に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法。
【請求項1】
多重ポートを含み、前記多重ポートの一部に試料分離カラムの両端が連結される多機能選択弁であって、
流入される流体が、前記試料分離カラムを通過せずに排出される流体通過モードと、
流入される流体が、前記試料分離カラムを通過して排出されるカラム通過モードと、
流体の内部流入を防止する流体閉鎖モードと、
を含むことを特徴とする多機能選択弁。
【請求項2】
前記多機能選択弁の多重ポートは、
流入ポートと、流出ポートと、前記試料分離カラムの両端にそれぞれ連結される、第1試料分離カラム連結ポート及び第2試料分離カラム連結ポートと、前記両モードを具現するように他のポートと選択的に流体連通される複数の選択ポートと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の多機能選択弁。
【請求項3】
前記流体通過モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体連通され、
前記カラム通過モードで前記流入ポートと前記第1試料分離カラム連結ポートが、前記流出ポートと前記第2試料分離カラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通され、
前記流体閉鎖モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体断絶されることを特徴とする請求項2に記載の多機能選択弁。
【請求項4】
前記複数の選択ポートは、第1、第2、第3選択ポートを含み、
前記流体通過モードで前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、前記第2試料分離カラム連結ポートと前記第1選択ポートが、それぞれ互いに流体連通され、
前記カラム通過モードで前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、互いに流体連通され、
前記流体閉鎖モードで前記第1試料分離カラム連結ポートと前記第2選択ポートが、前記第2試料分離カラム連結ポートと前記第3選択ポートが、前記第1選択ポートと前記流出ポートが、それぞれ互いに流体連通されることを特徴とする請求項3に記載の多機能選択弁。
【請求項5】
多重ポートを含み、前記多重ポートの一部に試料分離カラムの両端が連結され、前記多重ポートの他の一部に二酸化チタンカラムの両端が連結される多機能選択弁であって、
流入される流体が、前記試料分離カラム及び前記二酸化チタンカラムを通過せずに排出される流体通過モードと、
流入される流体が、前記試料分離カラムを通過して排出されるカラム通過モードと、
流体の内部流入を防止する流体閉鎖モードと、
流入される流体が、前記二酸化チタンカラムを通過して排出される二酸化チタンカラム通過モードと、
を含むことを特徴とする多機能選択弁。
【請求項6】
前記多機能選択弁の多重ポートは、
流入ポートと、流出ポートと、前記試料分離カラムの両端にそれぞれ連結される、第1試料分離カラム連結ポート及び第2試料分離カラム連結ポートと、前記二酸化チタンカラムの両端にそれぞれ連結される、第1二酸化チタンカラム連結ポート及び第2二酸化チタンカラム連結ポートと、前記両モードを具現するように他のポートと選択的に流体連通される複数の選択ポートと、を含むことを特徴とする請求項5に記載の多機能選択弁。
【請求項7】
前記流体通過モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体連通され、
前記カラム通過モードで前記流入ポートと前記第1試料分離カラム連結ポートが、前記流出ポートと前記第2試料分離カラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通され、
前記流体閉鎖モードで前記流入ポートと前記流出ポートが、流体断絶され、
前記二酸化チタンカラム通過モードで前記流入ポートと前記第1二酸化チタンカラム連結ポートが、前記流出ポートと前記第2二酸化チタンカラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通されることを特徴とする請求項6に記載の多機能選択弁。
【請求項8】
前記複数の選択ポートは、第1、第2、第3選択ポートを含み、
前記流体通過モードで前記第1選択ポートと前記第2二酸化チタンカラム連結ポートが、前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、それぞれ互いに流体連通され、
前記カラム通過モードで前記第1選択ポートと前記第2二酸化チタンカラム連結ポートが、前記第2選択ポートと前記第3選択ポートが、それぞれ互いに流体連通され、
前記流体閉鎖モードで前記第1二酸化チタンカラム連結ポートを閉鎖させ、
前記二酸化チタンカラム通過モードで前記第1選択ポートと前記第1試料分離カラム連結ポートが、前記第3選択ポートと前記第2試料分離カラム連結ポートが、それぞれ互いに流体連通されることを特徴とする請求項7に記載の多機能選択弁。
【請求項9】
前記試料分離カラムは、強陽イオン交換カラム、弱陰イオン交換カラム、親水クロマトグラフィー(HILIC)カラム、または強弱イオン混合カラムのうちの何れか一つであることをを特徴とする請求項1または5に記載の多機能選択弁。
【請求項10】
分析対象となる試料が注入される試料流入弁と、
固相抽出カラム及び逆相液体クロマトグラフィーカラムと流体連通されるトラップ弁と、
前記試料流入弁から前記トラップ弁に向ける流路に位置し、請求項1または請求項5による多機能選択弁と、
前記試料流入弁から流出される流体を前記多機能選択弁または前記トラップ弁に選択的に供給する連結弁と、
を含むことを特徴とする多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項11】
前記試料流入弁または前記連結弁に溶媒を供給する溶媒供給ポンプをさらに含み、
前記溶媒供給ポンプには、前記試料流入弁または前記連結弁に溶媒を選択的に供給するT字型溶媒分離管が連結されていることを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項12】
前記試料流入弁は、試料流入ポートと、試料放出ポートと、試料貯蔵ループによって互いに連結された、第1試料貯蔵ループ連結ポート及び第2試料貯蔵ループ連結ポートと、溶媒流入ポートと、溶媒流出ポートとを含み、
前記試料流入弁は、
前記試料流入ポートと前記第1試料貯蔵ループ連結ポートが流体連通され、前記第2試料貯蔵ループ連結ポートと前記試料放出ポートが流体連通される、第1モードと、
前記第1試料貯蔵ループ連結ポートと前記溶媒流出ポートが流体連通され、前記第2試料貯蔵ループ連結ポートと前記溶媒流入ポートが流体連通される、第2モードと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項13】
前記連結弁は、第1流入ポート、第2流入ポート、第1連結ポート、第2連結ポート、第1流出ポート、及び第2流出ポートを含み、
前記連結弁は、
前記第1流入ポート、前記第1連結ポート、前記第2連結ポート、前記第1流出ポートが順次に流体連通される、第1モードと、
前記第2流入ポート、前記第2連結ポート、前記第1連結ポート、前記第2流出ポートが順次に流体連通される、第2モードと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項14】
前記連結弁には、互いに流体連通されたポートの間にZ字型流路が形成されることを特徴とする請求項13に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項15】
前記多機能選択弁が流体通過モードである時、前記試料の1次元分離機能が行われ、カラム通過モードである時、前記試料の2次元分離機能が行われ、流体閉鎖モードである時、前記試料のオンライン消化機能が行われ、二酸化チタンカラム通過モードである時、リン酸化ペプチド抽出機能が行われることを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項16】
前記トラップ弁は、前記固相抽出カラムと連通される固相抽出カラム連結ポートと、前記逆相液体クロマトグラフィーカラムと連通される逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポートと、第1流入ポートと、第2流入ポートと、前記固相抽出カラム連結ポートと試料移動ループによって連結された試料移動ループ連結ポートと、放出ポートと、を含むことを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項17】
前記トラップ弁は、
前記固相抽出カラム連結ポートと前記第1流入ポートが流体連通され、前記試料移動ループ連結ポートと前記放出ポートが流体連通される、第1モードと、
前記逆相液体クロマトグラフィーカラム連結ポートと前記固相抽出カラム連結ポートが流体連通され、前記第2流入ポートと前記試料移動ループ連結ポートが流体連通される、第2モードと、
を含むことを特徴とする請求項16に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項18】
前記試料流入弁の溶媒流出ポートと前記連結弁の第1流入ポートは、流体連通され、
前記連結弁の第1流出ポートと前記多機能選択弁の流入ポートは、流体連通され、
前記多機能選択弁の流出ポートと前記トラップ弁の第1流入ポートは、流体連通され、
前記連結弁の第2流出ポートと前記トラップ弁の第2流入ポートは、流体連通されることを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項19】
前記固相抽出カラムで、流入される試料の流れ方向と前記逆相液体クロマトグラフィーカラムに向けて溶出される試料の流れ方向は、互いに反対であることを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項20】
前記溶媒供給ポンプには、第1溶媒、または第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒を供給できるように溶媒選択弁が設けられたことを特徴とする請求項10に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置。
【請求項21】
請求項10による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて試料を分析する方法において、
(a)前記試料注入弁に分析対象試料を注入するステップと、
(b)前記試料流入弁と前記多機能選択弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを設定し、前記多機能選択弁を流体通過モードに設定するステップと、
(c)前記試料の第1溶媒を前記試料注入弁に流入させて、前記第1溶媒を前記トリップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、
(d)前記試料流入弁と前記トラップ弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを変更し、前記第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒を前記試料注入弁に流入させて、前記混合溶媒を前記トラップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、を含み、
前記(d)ステップで、前記固相抽出カラムを通過した前記混合溶媒が、前記逆相液体クロマトグラフィーカラムを通過して、前記試料の分析がなされることを特徴とする多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法。
【請求項22】
前記(c)ステップ中に、
前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことを特徴とする請求項21に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法。
【請求項23】
前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップ以後に、前記多機能選択弁を二酸化チタンカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことを特徴とする請求項22に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法。
【請求項24】
請求項10による多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を用いて試料を分析する方法において、
(a)前記試料注入弁に分析対象試料を注入するステップと、
(b)前記試料流入弁と前記多機能選択弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを設定し、前記多機能選択弁を流体閉鎖モードに設定するステップと、
(c)前記試料の第1溶媒を前記試料注入弁に流入させて、前記第1溶媒の圧力を上昇させるステップと、
(d)前記多機能選択弁を流体通過モードに変更し、前記第1溶媒を前記トリップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、
(e)前記試料流入弁と前記トラップ弁とを流体連通させるために、前記連結弁のモードを変更し、前記第1溶媒と第2溶媒との混合溶媒を前記試料流入弁に流入させて、前記混合溶媒を前記トラップ弁の前記固相抽出カラムに注入するステップと、を含み、
前記(e)ステップで、前記固相抽出カラムを通過した前記混合溶媒が、前記逆相液体クロマトグラフィーカラムを通過して、前記試料の分析がなされることを特徴とする多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法。
【請求項25】
前記(d)ステップ中に、
前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことを特徴とする請求項24に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法。
【請求項26】
前記多機能選択弁をカラム通過モードに変更するステップ以後に、前記多機能選択弁を二酸化チタンカラム通過モードに変更するステップをさらに行うことを特徴とする請求項25に記載の多機能全自動液体クロマトグラフィー装置を利用した試料分析方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【公表番号】特表2013−504756(P2013−504756A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528763(P2012−528763)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【国際出願番号】PCT/KR2011/004636
【国際公開番号】WO2011/162574
【国際公開日】平成23年12月29日(2011.12.29)
【出願人】(510273880)コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション (3)
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】Korea University,Anamdong 5−ga,Seongbuk−gu,Seoul 136−713,Republic of Korea
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【国際出願番号】PCT/KR2011/004636
【国際公開番号】WO2011/162574
【国際公開日】平成23年12月29日(2011.12.29)
【出願人】(510273880)コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション (3)
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】Korea University,Anamdong 5−ga,Seongbuk−gu,Seoul 136−713,Republic of Korea
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