多段階重合体とその製造方法、それを含有する樹脂組成物
【課題】 噴霧乾燥により回収される、ゴムグラフト共重合体を含む多段階共重合体を含
有する樹脂組成物の耐温水白化性を改良する。
【解決手段】 アクリル系ゴム含有質重合体の存在下、カルボキシル基、グリシジル基、
ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量体(c
−1)(好ましくはメタクリル酸またはアクリル酸)を含む単量体混合物(c)を重合し
て得られる多段階重合体、およびこの多段階重合体を噴霧乾燥により回収した多段階重合
体粉体およびその製造方法。
有する樹脂組成物の耐温水白化性を改良する。
【解決手段】 アクリル系ゴム含有質重合体の存在下、カルボキシル基、グリシジル基、
ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量体(c
−1)(好ましくはメタクリル酸またはアクリル酸)を含む単量体混合物(c)を重合し
て得られる多段階重合体、およびこの多段階重合体を噴霧乾燥により回収した多段階重合
体粉体およびその製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐衝撃性および耐温水白化性に優れた多段階重合体およびそれを含有するメタ
クリル樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メタクリル樹脂は、透明性、耐候性、硬度、加工性などの優れた特性を生かし、
看板、照明器具、車両外装部品などの分野で使用されている。その一方で、メタクリル樹
脂は耐衝撃性が不足しており、従来から、改良の検討がおこなわれてきた。例えば、耐衝
撃性を改良する方法として、樹脂にゴムグラフト共重合体を配合する方法が開示されてい
る(特許文献1、特許文献2)。ゴムグラフト共重合体は一般に、懸濁重合・乳化重合に
より作製された後、塩析法、凍結凝固法、噴霧乾燥法等で回収される。しかし、作製時に
使用される分散安定剤・界面活性剤・金属などの残留物はメタクリル樹脂を温水浸漬させ
た後に白化させ、その透明性を悪化させることが知られており、先の文献では、アクリル
系重合体の凝固時に不純物を洗浄除去し、不純物濃度を低下させて耐温水白化性を改良す
ることが記載されている。
【0003】
一方、噴霧乾燥法は、凝固法に比べて設備が簡略でコストに優れているものの、金属・
界面活性剤等がすべて残存することになり、重合で用いた分散安定剤・界面活性剤・金属
がそのまま不純物となる。噴霧乾燥で得られた重合体の耐温水白化性を改良する方法とし
て、例えば反応性の界面活性剤を用いる方法が示されている(特許文献3)。これは界面
活性剤を重合体に重合させることで、不純物となりうる界面活性剤の量を減少させること
で改良を行なっている。本願発明はこの特許文献とは異なる方法により、耐温水白化性を
改良する方法を示すものである。
【特許文献1】特開平11−71437号公報
【特許文献2】特開2000−119476号公報
【特許文献3】特開2006−335793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように噴霧乾燥でゴムグラフト共重合体を回収した場合には、分散安定剤・界
面活性剤・金属などの残存物がすべて残存し、メタクリル樹脂組成物の耐温水白化性を悪
化させる。
【0005】
本発明は、このような噴霧乾燥法により回収されたゴムグラフト共重合体の問題を解決
しようとするものであり、従来よりも耐温水白化性の改良された樹脂組成物を提供するこ
とを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、アクリル系ゴム含有重合体の存在下、カルボキシル基、グリシジル基、
ヒドロキシル基、リン酸基、スルホン酸基を持つ単量体を少なくとも1つ以上含む単量体
混合物を重合させることにより、耐衝撃性を保持したまま耐温水白化性を改良することが
できることを見出し、発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、アクリル系ゴム含有重合体の存在下、カルボキシル基、グリシジ
ル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量
体(c−1)を含む単量体混合物(c)を重合して得られる多段階重合体である。
【0008】
また本発明は、前記多段階重合体を、噴霧乾燥により回収した多段階重合体粉体である
。
【0009】
また本発明は、前記単量体(c−1)がメタクリル酸またはアクリル酸である多段階重
合体である。
【0010】
また本発明は、多段階重合体が、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレー
ト40〜100質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜60質
量%、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%、および多官能単量体0〜10質量%
とからなる単量体混合物(a)を重合して得られる共重合体(I)の存在下、または不存
在下に、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜89.9質量%、芳
香族ビニル化合物10〜29.9質量%、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%、
および多官能単量体0.1〜5質量%とからなる単量体混合物(b)を重合して、アクリ
ル系ゴム質重合体(II)とし、共重合体(I)およびアクリル系ゴム質重合体(II)
を含有するアクリル系ゴム含有重合体の存在下にアルキル基の炭素数が1〜4のアルキル
メタクリレート50〜99.4質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレ
ート0〜49.4質量%、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基お
よびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量体(c−1)0.6〜20質量%、
およびその他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体混合物(c)を重合し
てなるものであり、単量体(c−1)の使用量が、多段階重合体を構成する単量体の全使
用量に対し、0.3〜7質量%である多段階重合体である。
【0011】
また本発明は、メタクリル樹脂と上記の多段階重合体とを含有するメタクリル系樹脂組
成物に関する。
【0012】
さらに本発明は、アクリル系ゴム含有重合体を含む多段階重合体の製造方法であって、
最終段階の重合において、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基お
よびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量体を含む単量体混合物(c)を重合
して得られる多段階重合体を、噴霧乾燥により回収する多段階重合体粉体の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、耐衝撃性、耐温水白化性の改良されたメタクリル樹脂組成物を提供する
ことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0015】
本発明のアクリル系ゴム含有重合体を含む多段階重合体は、共重合体(I)の存在下、
または不存在下で、アクリル系ゴム質重合体(II)を重合した後、共重合体(I)、ア
クリル系ゴム質重合体(II)を含有するアクリル系ゴム含有重合体の存在下、カルボキ
シル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なくとも
一つを有する単量体(c−1)を含む単量体混合物(c)を重合して得られる。前記単量
体(c−1)は、多段階重合における最終段で用いることが好ましい。
【0016】
アクリル系ゴム質重合体(II)は、共重合体(I)の存在下、または不存在下で、後
記の単量体を重合して得ることが好ましい。共重合体(I)は省略しても良いし、1段の
重合、または2段以上の多段階重合により得られるものでも良い。アクリル系ゴム質重合
体(II)および最終段は、それぞれ少なくとも1段の重合により得られる。最終段が2
段以上の多段階重合の場合、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基
およびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量体(c−1)は、それら2段以上
の中の少なくとも1つの段に共重合されている必要がある。
【0017】
共重合体(I)は、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート40〜10
0質量%(より好ましくは50〜63質量%)、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキル
アクリレート0〜60質量%(より好ましくは35〜48質量%)、その他の共重合可能
な単量体0〜20質量%(より好ましくは1〜10質量%)、および多官能単量体0〜1
0質量%(より好ましくは1〜5質量%)とからなる単量体混合物(a)を重合して得ら
れるものであることが好ましい。アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート
40質量%以上であると多段重合体の変形が抑制されストレス時の白化が抑えられる傾向
がある。 アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートは、共重合することが好
ましく共重合することによりアクリル系ゴム質重合体(II)が均一に共重合体(I)を
被覆する形態で重合する傾向があり、耐衝撃性が良好となる。また、アルキル基の炭素数
が1〜8のアルキルアクリレートが60質量%以下であると、多段重合体の変形を抑制し
ストレス白化を抑えられる傾向がある。アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレ
ートの好ましい範囲は35〜48質量%であり、上述した物性がより好ましくなる。その
他の共重合可能な単量体については、多段重合体、および樹脂組成物の透明性を向上させ
るために屈折率の調整等の目的などで他の物性を阻害しない範囲で適宜使用すればよい。
多官能単量体は0〜10質量%、好ましくは1〜5質量%であり、この範囲であれば耐衝
撃性が良好となる傾向がある。
【0018】
アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート等が挙
げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。その中でも
メチルメタクリレートを使用することが好ましい。
【0019】
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用い
ることができる。n−ブチルアクリレートを使用することが好ましい。
【0020】
その他の共重合可能な単量体としては、上記の単量体と共重合可能であれば特に制限さ
れないが、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、フェニルメタクリレ
ート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、アクリルアミドなどが
使用できる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、
共重合可能な官能基を2つ以上有する単量体は以下に示す多官能単量体に分類し、その他
の共重合可能な単量体には分類しないものとする。
【0021】
多官能単量体としては、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオール
ジアクリレート、アリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−
ブタンジオールジメタクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、マ
レイン酸ジアリル、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、フマル酸ジアリル、トリメリ
ット酸トリアリル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。多官能単量体としては、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、アリル
メタクリレートを使用することが好ましい。
【0022】
アクリル系ゴム質重合体(II)は共重合体(I)の存在下、または不存在下に、アル
キル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜89.9質量%(より好ましくは
75〜84質量%)、芳香族ビニル化合物10〜29.9質量%(より好ましくは15〜
24質量%)、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%(より好ましくは0〜10質
量%)、および多官能単量体0.1〜5質量%(より好ましくは1〜3質量%)とからな
る単量体混合物(b)を重合して得られるものであることが好ましい。アルキル基の炭素
数が1〜8のアルキルアクリレートが70質量%以上であると、耐衝撃性が良好となる傾
向があり、89.9質量%以下であると透明性が良好となる傾向がある。芳香族ビニル化
合物が10質量%以上であると、透明性が良好となる傾向があり、29.9質量%以下で
あると耐衝撃性が良好となる傾向がある。その他の共重合可能な単量体は物性を阻害しな
い範囲で適宜使用すればよい。多官能単量体が0.1〜5質量%であると、耐衝撃性が良
好となる傾向がある。
【0023】
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては上述した共重合体(I)
に用いうる単量体の例として挙げたものと同様のものが使用できる。n−ブチルアクリレ
ートを使用することが重合のし易さ、及び耐衝撃性の点より好ましい。
【0024】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等があ
げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。単量体とし
てはスチレンを使用することが好ましい。
【0025】
その他の共重合可能な単量体としては、上記の単量体と共重合可能であれば特に制限さ
れないが、例えばフェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメ
タクリレート、アクリルアミドなどが使用できる。これらは単独でまたは2種以上を組み
合わせて用いることができる。
【0026】
多官能単量体としては上述した重合体(I)に用いうる単量体の例として挙げたものと
同様のものが使用できる。多官能単量体としては、1,3−ブタンジオールジメタクリレ
ート、アリルメタクリレートを使用することが好ましい。
【0027】
最終段階の重合は共重合体(I)およびアクリル系ゴム質重合体(II)を含有するア
クリル系ゴム含有重合体の存在下、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレー
ト50〜99.4質量%(より好ましくは80〜96.4質量%)、アルキル基の炭素数
が1〜8のアルキルアクリレート0〜49.4質量%(より好ましくは3〜19.4質量
%)、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の
中の少なくとも一つを有する単量体(c−1)0.6〜20質量%、およびその他の共重
合可能な単量体0〜20質量%(より好ましくは0〜10質量%)からなる単量体混合物
(c)を重合して得られるものであることが好ましい。なお、単量体(c−1)の使用量
が、多段階重合体を構成する単量体の全使用量に対し、0.3〜7質量%であることが好
ましい。アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート、及びアルキル基の炭素
数が1〜8のアルキルアクリレートが上述した範囲であると、多段重合体の熱安定性、及
び取り扱い性が良好となる傾向がある。また、その他の共重合可能な単量体は物性を阻害
しない範囲で適宜使用すればよい。
【0028】
最終段階の重合に用いられるアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート、
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、その他の共重合可能な単量体とし
ては、上述した重合体(I)の重合に用いうる各単量体の例として挙げたものと同様のも
のが使用できる。
【0029】
カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の中の
少なくとも一つを有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレ
イン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸ビニロキシ酢酸、アリロキ
シ酢酸、2−(メタ)アクリロイルプロパン酸、3−(メタ)アクリロイルブタン酸、4
−ビニル安息香酸、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルビ
ニルスチレン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシルアクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブ
チルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、モノ(2−メタクリロイルオ
キシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホ
スフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−ア
クリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキ
シエチルフォスフェート、2−スルホエチルメタクリレート、p−スチレンスルホン酸、
アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組
み合わせて用いることができる。これらの中ではメタクリル酸、グリシジルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。より好ましくはメタクリル酸、ア
クリル酸、グリシジルメタクリレートであり、特に好ましくはメタクリル酸である。カル
ボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なく
とも一つを有する単量体単位の、多段階重合体を構成する単量体単位の総量に対する割合
の好ましい範囲は、単量体の種類によって異なる。メタクリル酸の場合、その好ましい範
囲は0.4〜2質量%である。グリシジルメタクリレートの場合、その好ましい範囲は0
.9〜4質量%である。前記のそれぞれ好ましい範囲の下限以上であると耐温水白化性が
良好となる傾向があり、また前記のそれぞれ好ましい範囲の上限以下であると表面の光沢
が保たれる傾向があり好ましい。
【0030】
樹脂組成物の白化は、温水浸漬後に樹脂組成物中に発生する空孔で光が散乱されること
により起きると考えられる。本発明において、最終段階の重合においてカルボキシル基、
グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有
する単量体を含む単量体混合物を重合し、噴霧乾燥により回収した多段階重合体を用いる
ことにより、得られるメタクリル系樹脂組成物を温水に浸漬した時の空孔の発生を防止す
る機能が発現され、メタクリル系樹脂組成物に優れた耐温水白化性および耐衝撃性を与え
ることができる。
【0031】
また、これらの単量体混合物の重合、特に最終段階の重合では、マトリックス樹脂(例
えば、メタクリル樹脂)との相溶性、流動性を良好にするためにアルキルメルカプタン等
の連鎖移動剤を用いることができる。アルキルメルカプタンとしては、n−ブチルメルカ
プタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプ
タン等が挙げられ、用いる単量体混合物(c)100質量部に対して、0.1〜2質量部
用いることが好ましい。
【0032】
また各重合段階においては上記単量体混合物の他、これらの成分により発現される機能
を阻害しない範囲において他の単量体成分を有していてもよく、またpH調整剤や酸化防
止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を共存させることができる。
【0033】
共重合体(I)の重合までに用いる単量体を100質量部としたときの、アクリル系ゴ
ム質重合体(II)の重合に用いる単量体は100〜500質量部であることが好ましく
、150〜400質量部であることがより好ましい。これらの領域であれば、優れた耐衝
撃性を得ることができる。
【0034】
共重合体(I)、およびアクリル系ゴム質重合体(II)の重合までに用いる単量体を
100質量部としたときの、最終段階の重合に用いる単量体は10〜100質量部であり
、より好ましくは、20〜80質量部である。10質量部以上、100質量部以下とする
と樹脂組成物の耐衝撃性を十分なものにすることができる。
【0035】
本発明に記載の多段階重合体を製造するには、上記単量体混合物を乳化重合し、重合体
のラテックスを得、そこから多段階重合体を回収することが好ましい。乳化重合は公知の
方法に従って行うことができる。
【0036】
乳化重合に用いる乳化剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれの乳化剤も
使用できる。アニオン系の乳化剤としてはオレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム
、ミリスチン酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、アルケニルコハク
酸ジカリウム等のカルボン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;ジオクチ
ルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェ
ニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0037】
乳化剤の量は、使用する乳化剤、単量体成分の種類や配合比、重合条件によって適宜決
めることができるが、多段階重合体を構成する単量体の全使用量100質量部に対して0
.1質量部以上とすることが好ましく、0.5質量部以上とすることがより好ましい。ま
た、重合体への残存量を抑えるため、単量体成分100質量部に対して10質量部以下と
することが好ましく、5質量部以下とすることがより好ましい。
【0038】
多段階重合体の各段階の重合反応に用いる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤で
あるベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパ
ーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化合物;過塩素酸化合物;過ホウ酸化合
物;過酸化物と還元性スルホキシ化合物との組み合わせからなるレドックス系開始剤など
を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤の添加量は、用いるラジカル重合開
始剤や単量体成分の種類や配合比によって異なるが、単量体成分100質量部に対して0
.01〜10質量部とすることが好ましい。
【0039】
多段階重合体の製造において単量体成分及び重合開始剤等は、一括添加法、分割添加法
、連続添加法、モノマー添加法、エマルション添加法等各種の方法で添加することができ
る。反応を円滑に進めるために反応系を窒素置換する、あるいは残存単量体を除去するた
めに反応終了後に必要に応じて選択した触媒を添加するなどの方法をとってもよい。また
、各段階の重合を行う際には、pH調製剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を共存
させることができる。
【0040】
このようにして得られる多段階重合体ラテックス中の固形分の量は、重合体の生産性を
高くするために、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがよ
り好ましい。また、ラテックス中の固形分の量は、ラテックスの安定性を損なわないため
に、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
【0041】
得られた多段階重合体ラテックスは、噴霧乾燥により乾燥することにより粉体化する。
噴霧乾燥は、ラテックスを微小液滴状に噴霧し、これに熱風を当てて乾燥するものであり
、用いられる装置としては、特に制限はないが、例えば、液滴を発生する方法としては、
回転円盤型式、圧力ノズル式、二流体ノズル式、加圧二流体ノズル式などのいずれのもの
でも使用することができる。また、乾燥機容量も特に制限がなく、実験室で使用するよう
な小規模なスケールから、工業的に使用するような大規模なスケールまでのいずれでも使
用することができる。
【0042】
乾燥機における乾燥用加熱ガスの供給部である入口部、また乾燥用加熱ガスおよび乾燥
粉末の排出口である出口部の位置も通常用いられている噴霧乾燥の装置と同様であってよ
く、特に限定されるものでない。装置内に導入する熱風の温度(熱風入口温度)、すなわ
ち多段階重合体に接触し得る熱風の最高温度は200℃以下が好ましく、特に好ましくは
120〜180℃である。
【0043】
また、噴霧乾燥する際に、多段階重合体ラテックスは単独でもよいが、複数のラテック
スの混合物であってもよい。さらには、噴霧乾燥時のブロッキング、嵩比重等の粉末特性
を向上させるために、シリカ、タルク、炭酸カルシウムなどの無機質充填剤や、ポリアク
リレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等を添加して噴霧乾燥を行うこと
もできる。また、噴霧するラテックスに適当な酸化防止剤や添加剤等を加えて噴霧乾燥す
ることもできる。
【0044】
本発明の樹脂組成物はメタクリル樹脂と、多段階重合体を含有するものであれば特に制
限されるものではない。このような樹脂組成物はメタクリル樹脂が持つ、優れた透明性、
硬度を損なうことなく、耐温水白化性、耐衝撃性に優れたものになる。なお、メタクリル
樹脂は、その中にメタクリル酸メチル単位を50質量%以上含むものが好ましく、80質
量%以上含むものがより好ましい。
【0045】
メタクリル樹脂と多段階重合体の混合割合は用途により適宜決めることができるが、メ
タクリル樹脂と多段階重合体との質量比が90/10〜20/80であることが好ましい
。多段階重合体の含有率を10質量%以上とすることで、耐衝撃性をより十分なものにす
ることが可能となり、80質量%以下とすることで、射出成型等の成型が容易な流動性を
確保でき、かつ、成形品の外観(透明性など)が優れたものとなる。メタクリル樹脂と多
段階重合体との質量比が80/20〜50/50であることがより好ましい。
【0046】
本発明のメタクリル系樹脂組成物に用いられるメタクリル樹脂としては、例えば、メタ
クリル酸メチル50〜100質量%、および、その他のビニルまたはビニリデン単量体0
〜50質量%を含有する単量体成分の重合体を例示することができる。その他のビニルま
たはビニリデン単量体としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルアクリ
レート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物等を挙
げることができる。上記単量体成分中のメタクリル酸メチルの含有量は、80〜99質量
%であることが好ましい。
【0047】
本発明のメタクリル系樹脂組成物には上述した、メタクリル樹脂、多段階重合体の他に
、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、顔料、染料等を含んでいてもよい。
【0048】
本発明のメタクリル系樹脂組成物を製造するには、公知の熱可塑性樹脂の混合方法を使
用することができる。例えば、上記のメタクリル樹脂、多段階重合体、及び必要に応じて
他の成分をヘンシェルミキサー等で混合し、一軸または二軸押出機、ニーダー等を用いて
溶融混練する方法などがある。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0050】
多段階重合体および樹脂組成物の諸特性は次の方法に従って実施した。
【0051】
[樹脂組成物の評価]
得られた樹脂組成物を下記の条件で射出成形した後、諸特性を測定した。
【0052】
装置:東芝機械(株)製 射出成形機 EC20PNII(商品名)
シリンダー温度:250℃
試験片サイズ:50mm×50mm×3mm厚
[ガードナー衝撃強度の測定]
ASTM−D5420に準拠して測定した。
【0053】
[温水白化試験]
70℃の温水に120分間浸漬した。
【0054】
[表面光沢の評価]
前記「樹脂組成物の評価」の項で得た試験片の表面に、床面から約2mの高さに配置さ
れた、点灯した室内灯(40W白色蛍光灯)を写し、それを目視で観察し、鮮明に見える
ものを○、不鮮明なものを×とした。
【0055】
[耐温水白化試験前後のヘイズの測定]
室温(23℃)でヘイズを測定した。JIS K7136に準拠して測定した。なお、
後記の表1にある「Δヘイズ」は、上記白化試験後のヘイズ値から白化試験前のヘイズ値
を引いた値である。
【0056】
また実施例中で用いる各成分を次の記号で示す。
【0057】
MMA :メチルメタクリレート
BA :n−ブチルアクリレート
ST :スチレン
AMA :アリルメタクリレート
MAA :メタクリル酸
GMA :グリシジルメタクリレート
HEMA :2-ヒドロキシエチルメタクリレート
AA :アクリル酸
BD :1,3ブタンジオールジメタクリレート
NOM :n−オクチルメルカプタン
t−BH :t−ブチルハイドロパーオキサイド
CHP :クメンハイドロパーオキサイド
FE :硫酸第一鉄
EDTA :エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
SFS :ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
RS :ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩(東邦化
学(株)製フォスファノールRS610NA(商品名))
また、実施例中で示される質量部とは使用する単量体の合計量を100部とした時の質
量である。
【0058】
[製造例1]
多段階重合体(1)の製造
攪拌機、還流冷却機、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに
、以下の成分1を入れた。
【0059】
(成分1)
脱イオン水 :118質量部
SFS :0.246質量部
FE :2.46×10−5質量部
EDTA :7.38×10−5質量部
次に系を混合攪拌下、窒素置換しながら80℃に昇温し、下記の組成の混合物(a−1
)のうちの10質量%を投入し、80℃に保ったまま15分保持した。
【0060】
混合物(a−1)
MMA :13.72質量部
BA :9.84質量部
ST :1.05質量部
AMA :0.09質量部
BD :0.74質量部
t−BH :0.04質量部
RS :0.91質量部
次に(a−1)の残り90質量%を108分かけて投入し、80℃に保ったまま15分
間保持して、重合体(I)の重合を完結させ、ラテックス(A−1)を得た。
【0061】
引き続き下記の成分2を上記ラテックス(A−1)に加えて、15分間保持した後、下記
の組成の混合物(b−1)を180分かけて滴下し、105分保持してゴム質重合体(I
I)の重合を完結させ、ラテックス(B−1)を得た。
【0062】
(成分2)
脱イオン水 :0.84質量部
SFS :0.12質量部
混合物(b−1)
BA :30.45質量部
ST :6.46質量部
AMA :0.65質量部
BD :0.09質量部
CHP :0.10質量部
RS :0.30質量部
引き続き、下記成分3を、上記ラテックス(B−1)に加えて、15分間保持した後、
下記の組成の混合物(c−1)を120分間かけて滴下し、80℃で60分保持して重合
を完結させ、ラテックス(C−1)を得た。
【0063】
(成分3)
脱イオン水 :0.84質量部
SFS :0.12質量部
混合物(c−1)
MMA :34.60質量部
MA :1.82質量部
MAA :0.49質量部
t−BH :0.06質量部
NOM :0.11質量部
得られたラテックスを室温まで冷却した後、スプレードライヤー(大河原化工機(株)
製L−8型)を用いて、入口温度145℃、出口温度70℃、アトマイザ回転数2500
0rpmにて噴霧乾燥し、多段階重合体(1)を得た。
【0064】
[製造例2〜11]
多段階重合体(2)〜(11)の製造
混合物(c−1)の組成を表1の(c−2)〜(c−11)のように変更した以外は製
造例1に示した多段階重合体(1)を製造する方法と同様にして、ラテックス(C−1〜
11)を得、製造例1と同様に回収を行い、多段階重合体(2)〜(11)を調製した。
【0065】
[製造例12]
多段階重合体(12)の製造
混合物(b−1)および(c−1)の組成を下記の(b−2)および(c−12)のよ
うに変更した以外は製造例1に示した多段階重合体(1)を製造する方法と同様にして、
ラテックス(B−12)を調製した。
【0066】
混合物(b−2)
BA :40.60質量部
ST :8.61質量部
AMA :0.65質量部
BD :0.06質量部
CHP :0.10質量部
RS :0.30質量部
混合物(c−12)
MMA :22.91質量部
MA :1.21質量部
MAA :0.49質量部
t−BH :0.06質量部
NOM :0.11質量部
得られたラテックスを室温まで冷却した後、前記スプレードライヤーを用いて、入口温
度125℃、出口温度70℃、アトマイザ回転数25000rpmにて噴霧乾燥し、多段
階重合体(12)を得た。
【0067】
[実施例1〜10、比較例1〜2]
メタクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製、アクリペットVH(商品名))、製造例1〜
12の多段階重合体、酸化防止剤((株)ADEKA製、アデカスタブ2112(商品名
)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)、紫外線吸収剤(チバ・
ジャパン(株)製、TINUVIN P(商品名)、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル
)ベンゾトリアゾール)、の混合物を外形30mmφの2軸スクリュー型押し出し機((
株)池貝製、PCM−30型(商品名)、L/D=25)を使用し、シリンダー温度24
0℃、ダイ温度240℃で溶融混練して、樹脂組成物のペレットを作製した。配合を表2
に示す。
【0068】
続いて、このペレットを用いて前述の試験片を作製し、ガードナー衝撃強度、ヘイズを評
価し、その結果を表2に合わせて示した。
【0069】
[比較例3]
多段階重合体(13)の製造
攪拌機、還流冷却機、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに
、以下の成分1を入れた。
【0070】
(成分1)
脱イオン水 :115質量部
SFS :0.245質量部
FE :2.46×10−5質量部
EDTA :7.34×10−5質量部
次に系を混合攪拌下、窒素置換しながら80℃に昇温し、下記の組成の混合物(a−2
)のうちの10質量%を投入し、80℃に保ったまま15分保持した。
【0071】
混合物(a−2)
MMA :13.64質量部
BA :9.78質量部
ST :1.04質量部
AMA :0.09質量部
BD :0.73質量部
t−BH :0.04質量部
RS :0.90質量部
次に(a−2)の残り90質量%を108分かけて投入し、80℃に保ったまま15分
間保持して、共重合体(I)の重合を完結させ、ラテックス(A−13)を得た。
【0072】
引き続き下記の成分2を上記ラテックス(A−13)に加えて、15分間保持した後、下
記の組成の混合物(b−3)を180分かけて滴下し、105分保持してゴム質重合体(
II)の重合を完結させ、ラテックス(B−13)を得た。
【0073】
(成分2)
脱イオン水 :2.17質量部
SFS :0.12質量部
混合物(b−3)
BA :29.96質量部
ST :6.36質量部
MAA :0.98質量部
AMA :0.64質量部
BD :0.09質量部
CHP :0.10質量部
RS :0.29質量部
ゴム質重合体(II)において、MAAを含む単量体を重合したラテックスは安定性が
著しく低く、続けて最終段階の重合を行うことができなかった。
【0074】
[製造例14、15]
多段階重合体14、15の製造
混合物(c−1)の組成を表1の(c−14)、(c−15)のように変更した以外は製造例1に示した多段階重合体(1)を製造する方法と同様にして、多段階重合体(14)、(15)を製造した。
【0075】
[実施例11、12]
多段階重合体(14)、(15)を用いて、実施例1と同様にしてペレットを作製したのち試験片を作製して評価をおこなった。この結果を表2に示した。
【0076】
表2の結果から、実施例に挙げた最終段階にカルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキ
シル基、リン酸基、スルホン酸基のいずれかを持つ単量体を少なくとも1つ以上含む単量
体混合物を重合した多段階重合体は比較例に挙げた、上記の単量体を重合していないもの
や他の単量体を重合したものに比べて、温水浸漬時の耐温水白化性が優れていることがわ
かる。
【表1】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、透明性、耐候性、耐衝撃性、耐温水白化性に優れ
ており、自動車部品、照明用品、各種パネル等に広く用いることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は耐衝撃性および耐温水白化性に優れた多段階重合体およびそれを含有するメタ
クリル樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メタクリル樹脂は、透明性、耐候性、硬度、加工性などの優れた特性を生かし、
看板、照明器具、車両外装部品などの分野で使用されている。その一方で、メタクリル樹
脂は耐衝撃性が不足しており、従来から、改良の検討がおこなわれてきた。例えば、耐衝
撃性を改良する方法として、樹脂にゴムグラフト共重合体を配合する方法が開示されてい
る(特許文献1、特許文献2)。ゴムグラフト共重合体は一般に、懸濁重合・乳化重合に
より作製された後、塩析法、凍結凝固法、噴霧乾燥法等で回収される。しかし、作製時に
使用される分散安定剤・界面活性剤・金属などの残留物はメタクリル樹脂を温水浸漬させ
た後に白化させ、その透明性を悪化させることが知られており、先の文献では、アクリル
系重合体の凝固時に不純物を洗浄除去し、不純物濃度を低下させて耐温水白化性を改良す
ることが記載されている。
【0003】
一方、噴霧乾燥法は、凝固法に比べて設備が簡略でコストに優れているものの、金属・
界面活性剤等がすべて残存することになり、重合で用いた分散安定剤・界面活性剤・金属
がそのまま不純物となる。噴霧乾燥で得られた重合体の耐温水白化性を改良する方法とし
て、例えば反応性の界面活性剤を用いる方法が示されている(特許文献3)。これは界面
活性剤を重合体に重合させることで、不純物となりうる界面活性剤の量を減少させること
で改良を行なっている。本願発明はこの特許文献とは異なる方法により、耐温水白化性を
改良する方法を示すものである。
【特許文献1】特開平11−71437号公報
【特許文献2】特開2000−119476号公報
【特許文献3】特開2006−335793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように噴霧乾燥でゴムグラフト共重合体を回収した場合には、分散安定剤・界
面活性剤・金属などの残存物がすべて残存し、メタクリル樹脂組成物の耐温水白化性を悪
化させる。
【0005】
本発明は、このような噴霧乾燥法により回収されたゴムグラフト共重合体の問題を解決
しようとするものであり、従来よりも耐温水白化性の改良された樹脂組成物を提供するこ
とを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、アクリル系ゴム含有重合体の存在下、カルボキシル基、グリシジル基、
ヒドロキシル基、リン酸基、スルホン酸基を持つ単量体を少なくとも1つ以上含む単量体
混合物を重合させることにより、耐衝撃性を保持したまま耐温水白化性を改良することが
できることを見出し、発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、アクリル系ゴム含有重合体の存在下、カルボキシル基、グリシジ
ル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量
体(c−1)を含む単量体混合物(c)を重合して得られる多段階重合体である。
【0008】
また本発明は、前記多段階重合体を、噴霧乾燥により回収した多段階重合体粉体である
。
【0009】
また本発明は、前記単量体(c−1)がメタクリル酸またはアクリル酸である多段階重
合体である。
【0010】
また本発明は、多段階重合体が、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレー
ト40〜100質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜60質
量%、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%、および多官能単量体0〜10質量%
とからなる単量体混合物(a)を重合して得られる共重合体(I)の存在下、または不存
在下に、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜89.9質量%、芳
香族ビニル化合物10〜29.9質量%、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%、
および多官能単量体0.1〜5質量%とからなる単量体混合物(b)を重合して、アクリ
ル系ゴム質重合体(II)とし、共重合体(I)およびアクリル系ゴム質重合体(II)
を含有するアクリル系ゴム含有重合体の存在下にアルキル基の炭素数が1〜4のアルキル
メタクリレート50〜99.4質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレ
ート0〜49.4質量%、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基お
よびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量体(c−1)0.6〜20質量%、
およびその他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体混合物(c)を重合し
てなるものであり、単量体(c−1)の使用量が、多段階重合体を構成する単量体の全使
用量に対し、0.3〜7質量%である多段階重合体である。
【0011】
また本発明は、メタクリル樹脂と上記の多段階重合体とを含有するメタクリル系樹脂組
成物に関する。
【0012】
さらに本発明は、アクリル系ゴム含有重合体を含む多段階重合体の製造方法であって、
最終段階の重合において、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基お
よびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量体を含む単量体混合物(c)を重合
して得られる多段階重合体を、噴霧乾燥により回収する多段階重合体粉体の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、耐衝撃性、耐温水白化性の改良されたメタクリル樹脂組成物を提供する
ことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0015】
本発明のアクリル系ゴム含有重合体を含む多段階重合体は、共重合体(I)の存在下、
または不存在下で、アクリル系ゴム質重合体(II)を重合した後、共重合体(I)、ア
クリル系ゴム質重合体(II)を含有するアクリル系ゴム含有重合体の存在下、カルボキ
シル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なくとも
一つを有する単量体(c−1)を含む単量体混合物(c)を重合して得られる。前記単量
体(c−1)は、多段階重合における最終段で用いることが好ましい。
【0016】
アクリル系ゴム質重合体(II)は、共重合体(I)の存在下、または不存在下で、後
記の単量体を重合して得ることが好ましい。共重合体(I)は省略しても良いし、1段の
重合、または2段以上の多段階重合により得られるものでも良い。アクリル系ゴム質重合
体(II)および最終段は、それぞれ少なくとも1段の重合により得られる。最終段が2
段以上の多段階重合の場合、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基
およびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量体(c−1)は、それら2段以上
の中の少なくとも1つの段に共重合されている必要がある。
【0017】
共重合体(I)は、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート40〜10
0質量%(より好ましくは50〜63質量%)、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキル
アクリレート0〜60質量%(より好ましくは35〜48質量%)、その他の共重合可能
な単量体0〜20質量%(より好ましくは1〜10質量%)、および多官能単量体0〜1
0質量%(より好ましくは1〜5質量%)とからなる単量体混合物(a)を重合して得ら
れるものであることが好ましい。アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート
40質量%以上であると多段重合体の変形が抑制されストレス時の白化が抑えられる傾向
がある。 アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートは、共重合することが好
ましく共重合することによりアクリル系ゴム質重合体(II)が均一に共重合体(I)を
被覆する形態で重合する傾向があり、耐衝撃性が良好となる。また、アルキル基の炭素数
が1〜8のアルキルアクリレートが60質量%以下であると、多段重合体の変形を抑制し
ストレス白化を抑えられる傾向がある。アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレ
ートの好ましい範囲は35〜48質量%であり、上述した物性がより好ましくなる。その
他の共重合可能な単量体については、多段重合体、および樹脂組成物の透明性を向上させ
るために屈折率の調整等の目的などで他の物性を阻害しない範囲で適宜使用すればよい。
多官能単量体は0〜10質量%、好ましくは1〜5質量%であり、この範囲であれば耐衝
撃性が良好となる傾向がある。
【0018】
アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート等が挙
げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。その中でも
メチルメタクリレートを使用することが好ましい。
【0019】
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用い
ることができる。n−ブチルアクリレートを使用することが好ましい。
【0020】
その他の共重合可能な単量体としては、上記の単量体と共重合可能であれば特に制限さ
れないが、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、フェニルメタクリレ
ート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、アクリルアミドなどが
使用できる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、
共重合可能な官能基を2つ以上有する単量体は以下に示す多官能単量体に分類し、その他
の共重合可能な単量体には分類しないものとする。
【0021】
多官能単量体としては、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオール
ジアクリレート、アリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−
ブタンジオールジメタクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、マ
レイン酸ジアリル、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、フマル酸ジアリル、トリメリ
ット酸トリアリル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。多官能単量体としては、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、アリル
メタクリレートを使用することが好ましい。
【0022】
アクリル系ゴム質重合体(II)は共重合体(I)の存在下、または不存在下に、アル
キル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜89.9質量%(より好ましくは
75〜84質量%)、芳香族ビニル化合物10〜29.9質量%(より好ましくは15〜
24質量%)、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%(より好ましくは0〜10質
量%)、および多官能単量体0.1〜5質量%(より好ましくは1〜3質量%)とからな
る単量体混合物(b)を重合して得られるものであることが好ましい。アルキル基の炭素
数が1〜8のアルキルアクリレートが70質量%以上であると、耐衝撃性が良好となる傾
向があり、89.9質量%以下であると透明性が良好となる傾向がある。芳香族ビニル化
合物が10質量%以上であると、透明性が良好となる傾向があり、29.9質量%以下で
あると耐衝撃性が良好となる傾向がある。その他の共重合可能な単量体は物性を阻害しな
い範囲で適宜使用すればよい。多官能単量体が0.1〜5質量%であると、耐衝撃性が良
好となる傾向がある。
【0023】
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては上述した共重合体(I)
に用いうる単量体の例として挙げたものと同様のものが使用できる。n−ブチルアクリレ
ートを使用することが重合のし易さ、及び耐衝撃性の点より好ましい。
【0024】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等があ
げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。単量体とし
てはスチレンを使用することが好ましい。
【0025】
その他の共重合可能な単量体としては、上記の単量体と共重合可能であれば特に制限さ
れないが、例えばフェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメ
タクリレート、アクリルアミドなどが使用できる。これらは単独でまたは2種以上を組み
合わせて用いることができる。
【0026】
多官能単量体としては上述した重合体(I)に用いうる単量体の例として挙げたものと
同様のものが使用できる。多官能単量体としては、1,3−ブタンジオールジメタクリレ
ート、アリルメタクリレートを使用することが好ましい。
【0027】
最終段階の重合は共重合体(I)およびアクリル系ゴム質重合体(II)を含有するア
クリル系ゴム含有重合体の存在下、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレー
ト50〜99.4質量%(より好ましくは80〜96.4質量%)、アルキル基の炭素数
が1〜8のアルキルアクリレート0〜49.4質量%(より好ましくは3〜19.4質量
%)、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の
中の少なくとも一つを有する単量体(c−1)0.6〜20質量%、およびその他の共重
合可能な単量体0〜20質量%(より好ましくは0〜10質量%)からなる単量体混合物
(c)を重合して得られるものであることが好ましい。なお、単量体(c−1)の使用量
が、多段階重合体を構成する単量体の全使用量に対し、0.3〜7質量%であることが好
ましい。アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート、及びアルキル基の炭素
数が1〜8のアルキルアクリレートが上述した範囲であると、多段重合体の熱安定性、及
び取り扱い性が良好となる傾向がある。また、その他の共重合可能な単量体は物性を阻害
しない範囲で適宜使用すればよい。
【0028】
最終段階の重合に用いられるアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート、
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、その他の共重合可能な単量体とし
ては、上述した重合体(I)の重合に用いうる各単量体の例として挙げたものと同様のも
のが使用できる。
【0029】
カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の中の
少なくとも一つを有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレ
イン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸ビニロキシ酢酸、アリロキ
シ酢酸、2−(メタ)アクリロイルプロパン酸、3−(メタ)アクリロイルブタン酸、4
−ビニル安息香酸、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルビ
ニルスチレン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシルアクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブ
チルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、モノ(2−メタクリロイルオ
キシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホ
スフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−ア
クリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキ
シエチルフォスフェート、2−スルホエチルメタクリレート、p−スチレンスルホン酸、
アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組
み合わせて用いることができる。これらの中ではメタクリル酸、グリシジルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。より好ましくはメタクリル酸、ア
クリル酸、グリシジルメタクリレートであり、特に好ましくはメタクリル酸である。カル
ボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なく
とも一つを有する単量体単位の、多段階重合体を構成する単量体単位の総量に対する割合
の好ましい範囲は、単量体の種類によって異なる。メタクリル酸の場合、その好ましい範
囲は0.4〜2質量%である。グリシジルメタクリレートの場合、その好ましい範囲は0
.9〜4質量%である。前記のそれぞれ好ましい範囲の下限以上であると耐温水白化性が
良好となる傾向があり、また前記のそれぞれ好ましい範囲の上限以下であると表面の光沢
が保たれる傾向があり好ましい。
【0030】
樹脂組成物の白化は、温水浸漬後に樹脂組成物中に発生する空孔で光が散乱されること
により起きると考えられる。本発明において、最終段階の重合においてカルボキシル基、
グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有
する単量体を含む単量体混合物を重合し、噴霧乾燥により回収した多段階重合体を用いる
ことにより、得られるメタクリル系樹脂組成物を温水に浸漬した時の空孔の発生を防止す
る機能が発現され、メタクリル系樹脂組成物に優れた耐温水白化性および耐衝撃性を与え
ることができる。
【0031】
また、これらの単量体混合物の重合、特に最終段階の重合では、マトリックス樹脂(例
えば、メタクリル樹脂)との相溶性、流動性を良好にするためにアルキルメルカプタン等
の連鎖移動剤を用いることができる。アルキルメルカプタンとしては、n−ブチルメルカ
プタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプ
タン等が挙げられ、用いる単量体混合物(c)100質量部に対して、0.1〜2質量部
用いることが好ましい。
【0032】
また各重合段階においては上記単量体混合物の他、これらの成分により発現される機能
を阻害しない範囲において他の単量体成分を有していてもよく、またpH調整剤や酸化防
止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を共存させることができる。
【0033】
共重合体(I)の重合までに用いる単量体を100質量部としたときの、アクリル系ゴ
ム質重合体(II)の重合に用いる単量体は100〜500質量部であることが好ましく
、150〜400質量部であることがより好ましい。これらの領域であれば、優れた耐衝
撃性を得ることができる。
【0034】
共重合体(I)、およびアクリル系ゴム質重合体(II)の重合までに用いる単量体を
100質量部としたときの、最終段階の重合に用いる単量体は10〜100質量部であり
、より好ましくは、20〜80質量部である。10質量部以上、100質量部以下とする
と樹脂組成物の耐衝撃性を十分なものにすることができる。
【0035】
本発明に記載の多段階重合体を製造するには、上記単量体混合物を乳化重合し、重合体
のラテックスを得、そこから多段階重合体を回収することが好ましい。乳化重合は公知の
方法に従って行うことができる。
【0036】
乳化重合に用いる乳化剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれの乳化剤も
使用できる。アニオン系の乳化剤としてはオレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム
、ミリスチン酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、アルケニルコハク
酸ジカリウム等のカルボン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;ジオクチ
ルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェ
ニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0037】
乳化剤の量は、使用する乳化剤、単量体成分の種類や配合比、重合条件によって適宜決
めることができるが、多段階重合体を構成する単量体の全使用量100質量部に対して0
.1質量部以上とすることが好ましく、0.5質量部以上とすることがより好ましい。ま
た、重合体への残存量を抑えるため、単量体成分100質量部に対して10質量部以下と
することが好ましく、5質量部以下とすることがより好ましい。
【0038】
多段階重合体の各段階の重合反応に用いる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤で
あるベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパ
ーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化合物;過塩素酸化合物;過ホウ酸化合
物;過酸化物と還元性スルホキシ化合物との組み合わせからなるレドックス系開始剤など
を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤の添加量は、用いるラジカル重合開
始剤や単量体成分の種類や配合比によって異なるが、単量体成分100質量部に対して0
.01〜10質量部とすることが好ましい。
【0039】
多段階重合体の製造において単量体成分及び重合開始剤等は、一括添加法、分割添加法
、連続添加法、モノマー添加法、エマルション添加法等各種の方法で添加することができ
る。反応を円滑に進めるために反応系を窒素置換する、あるいは残存単量体を除去するた
めに反応終了後に必要に応じて選択した触媒を添加するなどの方法をとってもよい。また
、各段階の重合を行う際には、pH調製剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を共存
させることができる。
【0040】
このようにして得られる多段階重合体ラテックス中の固形分の量は、重合体の生産性を
高くするために、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがよ
り好ましい。また、ラテックス中の固形分の量は、ラテックスの安定性を損なわないため
に、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
【0041】
得られた多段階重合体ラテックスは、噴霧乾燥により乾燥することにより粉体化する。
噴霧乾燥は、ラテックスを微小液滴状に噴霧し、これに熱風を当てて乾燥するものであり
、用いられる装置としては、特に制限はないが、例えば、液滴を発生する方法としては、
回転円盤型式、圧力ノズル式、二流体ノズル式、加圧二流体ノズル式などのいずれのもの
でも使用することができる。また、乾燥機容量も特に制限がなく、実験室で使用するよう
な小規模なスケールから、工業的に使用するような大規模なスケールまでのいずれでも使
用することができる。
【0042】
乾燥機における乾燥用加熱ガスの供給部である入口部、また乾燥用加熱ガスおよび乾燥
粉末の排出口である出口部の位置も通常用いられている噴霧乾燥の装置と同様であってよ
く、特に限定されるものでない。装置内に導入する熱風の温度(熱風入口温度)、すなわ
ち多段階重合体に接触し得る熱風の最高温度は200℃以下が好ましく、特に好ましくは
120〜180℃である。
【0043】
また、噴霧乾燥する際に、多段階重合体ラテックスは単独でもよいが、複数のラテック
スの混合物であってもよい。さらには、噴霧乾燥時のブロッキング、嵩比重等の粉末特性
を向上させるために、シリカ、タルク、炭酸カルシウムなどの無機質充填剤や、ポリアク
リレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等を添加して噴霧乾燥を行うこと
もできる。また、噴霧するラテックスに適当な酸化防止剤や添加剤等を加えて噴霧乾燥す
ることもできる。
【0044】
本発明の樹脂組成物はメタクリル樹脂と、多段階重合体を含有するものであれば特に制
限されるものではない。このような樹脂組成物はメタクリル樹脂が持つ、優れた透明性、
硬度を損なうことなく、耐温水白化性、耐衝撃性に優れたものになる。なお、メタクリル
樹脂は、その中にメタクリル酸メチル単位を50質量%以上含むものが好ましく、80質
量%以上含むものがより好ましい。
【0045】
メタクリル樹脂と多段階重合体の混合割合は用途により適宜決めることができるが、メ
タクリル樹脂と多段階重合体との質量比が90/10〜20/80であることが好ましい
。多段階重合体の含有率を10質量%以上とすることで、耐衝撃性をより十分なものにす
ることが可能となり、80質量%以下とすることで、射出成型等の成型が容易な流動性を
確保でき、かつ、成形品の外観(透明性など)が優れたものとなる。メタクリル樹脂と多
段階重合体との質量比が80/20〜50/50であることがより好ましい。
【0046】
本発明のメタクリル系樹脂組成物に用いられるメタクリル樹脂としては、例えば、メタ
クリル酸メチル50〜100質量%、および、その他のビニルまたはビニリデン単量体0
〜50質量%を含有する単量体成分の重合体を例示することができる。その他のビニルま
たはビニリデン単量体としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルアクリ
レート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物等を挙
げることができる。上記単量体成分中のメタクリル酸メチルの含有量は、80〜99質量
%であることが好ましい。
【0047】
本発明のメタクリル系樹脂組成物には上述した、メタクリル樹脂、多段階重合体の他に
、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、顔料、染料等を含んでいてもよい。
【0048】
本発明のメタクリル系樹脂組成物を製造するには、公知の熱可塑性樹脂の混合方法を使
用することができる。例えば、上記のメタクリル樹脂、多段階重合体、及び必要に応じて
他の成分をヘンシェルミキサー等で混合し、一軸または二軸押出機、ニーダー等を用いて
溶融混練する方法などがある。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0050】
多段階重合体および樹脂組成物の諸特性は次の方法に従って実施した。
【0051】
[樹脂組成物の評価]
得られた樹脂組成物を下記の条件で射出成形した後、諸特性を測定した。
【0052】
装置:東芝機械(株)製 射出成形機 EC20PNII(商品名)
シリンダー温度:250℃
試験片サイズ:50mm×50mm×3mm厚
[ガードナー衝撃強度の測定]
ASTM−D5420に準拠して測定した。
【0053】
[温水白化試験]
70℃の温水に120分間浸漬した。
【0054】
[表面光沢の評価]
前記「樹脂組成物の評価」の項で得た試験片の表面に、床面から約2mの高さに配置さ
れた、点灯した室内灯(40W白色蛍光灯)を写し、それを目視で観察し、鮮明に見える
ものを○、不鮮明なものを×とした。
【0055】
[耐温水白化試験前後のヘイズの測定]
室温(23℃)でヘイズを測定した。JIS K7136に準拠して測定した。なお、
後記の表1にある「Δヘイズ」は、上記白化試験後のヘイズ値から白化試験前のヘイズ値
を引いた値である。
【0056】
また実施例中で用いる各成分を次の記号で示す。
【0057】
MMA :メチルメタクリレート
BA :n−ブチルアクリレート
ST :スチレン
AMA :アリルメタクリレート
MAA :メタクリル酸
GMA :グリシジルメタクリレート
HEMA :2-ヒドロキシエチルメタクリレート
AA :アクリル酸
BD :1,3ブタンジオールジメタクリレート
NOM :n−オクチルメルカプタン
t−BH :t−ブチルハイドロパーオキサイド
CHP :クメンハイドロパーオキサイド
FE :硫酸第一鉄
EDTA :エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
SFS :ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
RS :ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩(東邦化
学(株)製フォスファノールRS610NA(商品名))
また、実施例中で示される質量部とは使用する単量体の合計量を100部とした時の質
量である。
【0058】
[製造例1]
多段階重合体(1)の製造
攪拌機、還流冷却機、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに
、以下の成分1を入れた。
【0059】
(成分1)
脱イオン水 :118質量部
SFS :0.246質量部
FE :2.46×10−5質量部
EDTA :7.38×10−5質量部
次に系を混合攪拌下、窒素置換しながら80℃に昇温し、下記の組成の混合物(a−1
)のうちの10質量%を投入し、80℃に保ったまま15分保持した。
【0060】
混合物(a−1)
MMA :13.72質量部
BA :9.84質量部
ST :1.05質量部
AMA :0.09質量部
BD :0.74質量部
t−BH :0.04質量部
RS :0.91質量部
次に(a−1)の残り90質量%を108分かけて投入し、80℃に保ったまま15分
間保持して、重合体(I)の重合を完結させ、ラテックス(A−1)を得た。
【0061】
引き続き下記の成分2を上記ラテックス(A−1)に加えて、15分間保持した後、下記
の組成の混合物(b−1)を180分かけて滴下し、105分保持してゴム質重合体(I
I)の重合を完結させ、ラテックス(B−1)を得た。
【0062】
(成分2)
脱イオン水 :0.84質量部
SFS :0.12質量部
混合物(b−1)
BA :30.45質量部
ST :6.46質量部
AMA :0.65質量部
BD :0.09質量部
CHP :0.10質量部
RS :0.30質量部
引き続き、下記成分3を、上記ラテックス(B−1)に加えて、15分間保持した後、
下記の組成の混合物(c−1)を120分間かけて滴下し、80℃で60分保持して重合
を完結させ、ラテックス(C−1)を得た。
【0063】
(成分3)
脱イオン水 :0.84質量部
SFS :0.12質量部
混合物(c−1)
MMA :34.60質量部
MA :1.82質量部
MAA :0.49質量部
t−BH :0.06質量部
NOM :0.11質量部
得られたラテックスを室温まで冷却した後、スプレードライヤー(大河原化工機(株)
製L−8型)を用いて、入口温度145℃、出口温度70℃、アトマイザ回転数2500
0rpmにて噴霧乾燥し、多段階重合体(1)を得た。
【0064】
[製造例2〜11]
多段階重合体(2)〜(11)の製造
混合物(c−1)の組成を表1の(c−2)〜(c−11)のように変更した以外は製
造例1に示した多段階重合体(1)を製造する方法と同様にして、ラテックス(C−1〜
11)を得、製造例1と同様に回収を行い、多段階重合体(2)〜(11)を調製した。
【0065】
[製造例12]
多段階重合体(12)の製造
混合物(b−1)および(c−1)の組成を下記の(b−2)および(c−12)のよ
うに変更した以外は製造例1に示した多段階重合体(1)を製造する方法と同様にして、
ラテックス(B−12)を調製した。
【0066】
混合物(b−2)
BA :40.60質量部
ST :8.61質量部
AMA :0.65質量部
BD :0.06質量部
CHP :0.10質量部
RS :0.30質量部
混合物(c−12)
MMA :22.91質量部
MA :1.21質量部
MAA :0.49質量部
t−BH :0.06質量部
NOM :0.11質量部
得られたラテックスを室温まで冷却した後、前記スプレードライヤーを用いて、入口温
度125℃、出口温度70℃、アトマイザ回転数25000rpmにて噴霧乾燥し、多段
階重合体(12)を得た。
【0067】
[実施例1〜10、比較例1〜2]
メタクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製、アクリペットVH(商品名))、製造例1〜
12の多段階重合体、酸化防止剤((株)ADEKA製、アデカスタブ2112(商品名
)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)、紫外線吸収剤(チバ・
ジャパン(株)製、TINUVIN P(商品名)、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル
)ベンゾトリアゾール)、の混合物を外形30mmφの2軸スクリュー型押し出し機((
株)池貝製、PCM−30型(商品名)、L/D=25)を使用し、シリンダー温度24
0℃、ダイ温度240℃で溶融混練して、樹脂組成物のペレットを作製した。配合を表2
に示す。
【0068】
続いて、このペレットを用いて前述の試験片を作製し、ガードナー衝撃強度、ヘイズを評
価し、その結果を表2に合わせて示した。
【0069】
[比較例3]
多段階重合体(13)の製造
攪拌機、還流冷却機、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに
、以下の成分1を入れた。
【0070】
(成分1)
脱イオン水 :115質量部
SFS :0.245質量部
FE :2.46×10−5質量部
EDTA :7.34×10−5質量部
次に系を混合攪拌下、窒素置換しながら80℃に昇温し、下記の組成の混合物(a−2
)のうちの10質量%を投入し、80℃に保ったまま15分保持した。
【0071】
混合物(a−2)
MMA :13.64質量部
BA :9.78質量部
ST :1.04質量部
AMA :0.09質量部
BD :0.73質量部
t−BH :0.04質量部
RS :0.90質量部
次に(a−2)の残り90質量%を108分かけて投入し、80℃に保ったまま15分
間保持して、共重合体(I)の重合を完結させ、ラテックス(A−13)を得た。
【0072】
引き続き下記の成分2を上記ラテックス(A−13)に加えて、15分間保持した後、下
記の組成の混合物(b−3)を180分かけて滴下し、105分保持してゴム質重合体(
II)の重合を完結させ、ラテックス(B−13)を得た。
【0073】
(成分2)
脱イオン水 :2.17質量部
SFS :0.12質量部
混合物(b−3)
BA :29.96質量部
ST :6.36質量部
MAA :0.98質量部
AMA :0.64質量部
BD :0.09質量部
CHP :0.10質量部
RS :0.29質量部
ゴム質重合体(II)において、MAAを含む単量体を重合したラテックスは安定性が
著しく低く、続けて最終段階の重合を行うことができなかった。
【0074】
[製造例14、15]
多段階重合体14、15の製造
混合物(c−1)の組成を表1の(c−14)、(c−15)のように変更した以外は製造例1に示した多段階重合体(1)を製造する方法と同様にして、多段階重合体(14)、(15)を製造した。
【0075】
[実施例11、12]
多段階重合体(14)、(15)を用いて、実施例1と同様にしてペレットを作製したのち試験片を作製して評価をおこなった。この結果を表2に示した。
【0076】
表2の結果から、実施例に挙げた最終段階にカルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキ
シル基、リン酸基、スルホン酸基のいずれかを持つ単量体を少なくとも1つ以上含む単量
体混合物を重合した多段階重合体は比較例に挙げた、上記の単量体を重合していないもの
や他の単量体を重合したものに比べて、温水浸漬時の耐温水白化性が優れていることがわ
かる。
【表1】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、透明性、耐候性、耐衝撃性、耐温水白化性に優れ
ており、自動車部品、照明用品、各種パネル等に広く用いることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系ゴム含有重合体の存在下、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基
、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量体(c−1)を含む単
量体混合物(c)を重合して得られる多段階重合体。
【請求項2】
請求項1に記載の多段階重合体を、噴霧乾燥により回収した多段階重合体粉体。
【請求項3】
単量体(c−1)がメタクリル酸またはアクリル酸である請求項1に記載の多段階重合
体。
【請求項4】
多段階重合体が、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート40〜100
質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜60質量%、その他の
共重合可能な単量体0〜20質量%、および多官能単量体0〜10質量%とからなる単量
体混合物(a)を重合して得られる共重合体(I)の存在下、または不存在下に、アルキ
ル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜89.9質量%、芳香族ビニル化合
物10〜29.9質量%、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%、および多官能単
量体0.1〜5質量%とからなる単量体混合物(b)を重合して、アクリル系ゴム質重合
体(II)とし、共重合体(I)およびアクリル系ゴム質重合体(II)を含有するアク
リル系ゴム含有重合体の存在下にアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート
50〜99.4質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜49.
4質量%、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸
基の中の少なくとも一つを有する単量体(c−1)0.6〜20質量%、およびその他の
共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体混合物(c)を重合して得られるもの
であり、単量体(c−1)の使用量が、多段階重合体を構成する単量体の全使用量に対し
、0.3〜7質量%である請求項1に記載の多段階重合体。
【請求項5】
メタクリル樹脂と請求項1に記載の多段階重合体とを含有するメタクリル系樹脂組成物
。
【請求項6】
アクリル系ゴム含有重合体の存在下、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基
、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量体(c−1)を含む単
量体混合物(c)を重合して得られる多段階重合体を、噴霧乾燥により回収する多段階重
合体粉体の製造方法。
【請求項1】
アクリル系ゴム含有重合体の存在下、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基
、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量体(c−1)を含む単
量体混合物(c)を重合して得られる多段階重合体。
【請求項2】
請求項1に記載の多段階重合体を、噴霧乾燥により回収した多段階重合体粉体。
【請求項3】
単量体(c−1)がメタクリル酸またはアクリル酸である請求項1に記載の多段階重合
体。
【請求項4】
多段階重合体が、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート40〜100
質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜60質量%、その他の
共重合可能な単量体0〜20質量%、および多官能単量体0〜10質量%とからなる単量
体混合物(a)を重合して得られる共重合体(I)の存在下、または不存在下に、アルキ
ル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜89.9質量%、芳香族ビニル化合
物10〜29.9質量%、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%、および多官能単
量体0.1〜5質量%とからなる単量体混合物(b)を重合して、アクリル系ゴム質重合
体(II)とし、共重合体(I)およびアクリル系ゴム質重合体(II)を含有するアク
リル系ゴム含有重合体の存在下にアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート
50〜99.4質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜49.
4質量%、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基、リン酸基およびスルホン酸
基の中の少なくとも一つを有する単量体(c−1)0.6〜20質量%、およびその他の
共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体混合物(c)を重合して得られるもの
であり、単量体(c−1)の使用量が、多段階重合体を構成する単量体の全使用量に対し
、0.3〜7質量%である請求項1に記載の多段階重合体。
【請求項5】
メタクリル樹脂と請求項1に記載の多段階重合体とを含有するメタクリル系樹脂組成物
。
【請求項6】
アクリル系ゴム含有重合体の存在下、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシル基
、リン酸基およびスルホン酸基の中の少なくとも一つを有する単量体(c−1)を含む単
量体混合物(c)を重合して得られる多段階重合体を、噴霧乾燥により回収する多段階重
合体粉体の製造方法。
【公開番号】特開2009−149864(P2009−149864A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300391(P2008−300391)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】
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