説明

多発性硬化症の処置のためのリルゾールの使用

【課題】多発性硬化症を処置し得るか、多発性硬化症の影響を最小化し得るか、または多発性硬化症の進行を遅くし得る、多発性硬化症のためのさらなる処置を同定すること。
【解決手段】多発性硬化症の処置のために適切な薬学的組成物を調製するためのリルゾール(6−(トリフルオロメトキシ)−2−ベンゾチアゾールアミン)の使用、および多発性硬化症を処置するための方法であって、そのような処置を必要としている患者に治療有効量のリルゾールを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多発性硬化症を処置するための方法、および多発性硬化症の処置に使用される薬学的組成物の調製の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
多発性硬化症(MS)は、中枢神経(CNS)の炎症性脱髄疾患である。これは、能力障害の主要な原因である。なぜならば、ほとんどの患者において、この疾患は究極的に、進行性過程を有するからである。ほとんどの患者において、疾患の進行性過程は、再発および寛解の先行する段階の間またはその後に、進行性過程自体を顕す(二次進行性(SP)疾患)が、少ない割合(10〜15%)の患者においては、疾患過程は、発症時から進行性である(一次進行性(PP)疾患)。現在利用可能な、多発性硬化症のための処置のほとんどは、その疾患の炎症性の成分を抑制するためである。これらの主な臨床的影響は、再発に対するものであるが、永久的な能力障害に対する効果は十分には確立されていない。PPMSを有する患者は、あまり炎症活性を示さず、これは、彼らが、明確な臨床的進行性にも関わらず、処置治験から頻繁に除外される理由の1つである。最近の証拠は、軸索の欠損が、予測されるよりも前に、MSの疾患過程において、より前に生じることを示唆し;これは、不可逆的な能力障害の病理学的な相関関係であり得る。
【0003】
MSは、脳および脊髄の神経線維における脱髄のプラークまたは病巣により頻繁に特徴付けられる。脱髄は、通常、再発および悪化を伴って、多発性および変化した神経性症状および徴候を引き起こす。
【0004】
MSの臨床過程は、非常に変わりやすくかつ予測不可能であり、多くの患者が寛解の前に悪化の急性の症状発現、次いで寛解を経験している。この疾患は、種々の速度で慢性の退行性状態へ進行する。頻繁に、MSの診断は、症状の発症後、長年にわたってなされないかもしれない。なぜなら、その症状は、変わりやすく、散発性であり、かつ他の障害に関連する症状に類似し得るからである。疾患が進行するにつれて、頻繁に、患者は完全には外来しつづけることはできなくなり、そして患者の機能系は、着々と衰退する。MSの最も重篤な症例は、麻痺によるかまたは死によってさえ特徴付けられる。
【0005】
MSは、病態生理学、進行度および症状の重症度に依存して、一次進行性、再発性弛張性および二次進行性として分類されるいくつかの形態で生じ得る。
【0006】
MSの原因についてのいくつかの理論が存在するが、MSの正確な原因は、未だ知られていない。データに対する検索は、MSの病因が、因子(例えば、自己免疫、環境、ウイルスおよび遺伝的因子)の組み合わせに実際に関連付けられ得ることを示した。
【0007】
リルゾール(6−(トリフルオロメトキシ)−2−ベンゾチアゾールアミン)は、特許文献1および特許文献2に記載される。運動神経疾患におけるリルゾールの使用は、特許文献3に記載される。リルゾールは、Rhone−Poulenc Rorer(RPR)により製造され、そして筋萎縮性側索硬化症(MSとは無関係の疾患)の処置のために使用される。
【特許文献1】欧州特許第50,511号明細書
【特許文献2】米国特許第4,370,338号明細書
【特許文献3】欧州特許第558,861号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
MSのためのさらなる処置(これは、疾患を処置し得るか、この疾患の影響を最小化し得るか、またはこの疾患の進行を遅くし得る)を同定する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、リルゾールが、全ての形態の多発性硬化症を処置するための薬学的組成物の調製において有用であるという新しくかつ驚くべき発見に起因する。従って、本明細書中で議論される種々の実施形態において、今回特許請求される発明は、多発性硬化症の処置のために適切な薬学的組成物を調製するためのリルゾールの使用、および多発性硬化症を処置するための方法に関し、この方法は、そのような処置を必要としている患者に治療有効量のリルゾールを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。本明細書中に開示される処置の方法および薬学的組成物を調製するための方法は、リルゾールのみではなく、薬学的に有効なキャリアを含む薬学的組成物と組み合わせたリルゾールをも含み得る。
【0010】
なおさらなる実施形態では、特許請求される発明は、薬学的特性を有するさらなる薬剤と組み合わせた、治療有効量または予防的に有効量のリルゾールを含む薬学的組成物に関する。このさらなる薬剤は、当業者によってMSの処置において有用であると判断されるか、またはMSの症状を寛解するかもしくは阻害する任意の薬剤であり得、以下が挙げられるがこれらに限定されない:インターフェロンI型(例えば、インターフェロンβ−1b)、copaxone、インターフェロンβ−1a、筋肉弛緩剤、抗抑制剤または免疫抑制剤。さらに、特許請求される発明は、有効量のそのような組み合わせをそれらを必要としている患者に投与することによる、MSに罹患している患者の処置の方法に関する。
【0011】
特定の実施形態では、特許請求される組成物が、一日あたり約10と約500mgとの間、より好ましくは一日あたり約50と約250mgとの間の量で投与される。同様に、好ましい方法は、これらの同じ投与量を投与する工程を包含する。
【0012】
なおさらなる実施形態では、特許請求される発明は、有効量のリルゾール、または上記で議論されるような第2の薬剤と組み合わされたリルゾールを投与することにより、MSに関連する脊髄萎縮の発症を阻害、最小化または遅延する方法に関する。今回特許請求される発明は、全ての型のMS(公知の型および未だ分類されていない型を含む)に関する。種々の実施形態では、請求の範囲は、一次進行性MS、二次進行性MSおよび/または再発性弛張性MSに罹患している患者の処置のための方法に関し、この方法は、上記患者にリルゾールを含む治療有効量の薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0013】
本発明はさらに、例えば、以下を提供する。
(項目1) 多発性硬化症の処置のために適切な薬学的組成物を調製するための、リルゾールの使用。
(項目2) 多発性硬化症の処置のための方法であって、その方法は、その処置を必要とする患者に治療有効量のリルゾールを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目3) 前記薬学的組成物が、薬学的に有効なキャリアを含む、項目2に記載の方法。
(項目4) 前記薬学的組成物が、治療有効量または予防的に有効量のさらなる薬剤をさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目5) 前記さらなる薬剤が、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1bまたはcopaxoneからなる群より選択される、項目4に記載の方法。
(項目6) 前記組成物が、一日あたり約10と約500mgとの間の量で投与される、項目2に記載の方法。
(項目7) 前記組成物が、一日あたり約50と約250mgとの間の量で投与される、項目6に記載の方法。
(項目8) 多発性硬化症に罹患している患者を処置するための方法であって、MSに関連する脊髄萎縮症の発症を阻害、最小化または遅延するに有効な量のリルゾールを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目9) 前記薬学的組成物が、インターフェロンβ−1b、インターフェロンβ−1aまたはcopaxoneからなる群より選択される、治療有効量または予防的に有効量のさらなる薬剤をさらに含む、項目8に記載の方法。
(項目10) MSに罹患している患者の処置のための方法であって、以下:
a.リルゾールを含む、治療有効量の薬学的組成物;
b.インターフェロンβ−1b、インターフェロンβ−1aまたはcopaxoneからなる群より選択される、治療有効量の薬学的組成物
をその患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目11) 一次進行性MSに罹患している患者の処置のための方法であって、その患者にリルゾールを含む治療有効量の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目12) 治療有効量のインターフェロンβ−1b、copaxone、またはインターフェロンβ−1aの投与をさらに包含する、項目11に記載の方法。
(項目13) 二次進行性MSに罹患している患者の処置のための方法であって、その患者にリルゾールを含む治療有効量の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目14) 再発性弛張性MSに罹患している患者の処置のための方法であって、その患者にリルゾールを含む治療有効量の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
【0014】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が、例示的かつ説明的であり、そして請求される本発明のさらなる説明を提供することを意図されることは理解されるべきである。ここで、今回の本発明の好ましい実施形態に詳細に言及し、その例が本明細書中で示される。
【0015】
(考察)
上記のように、現在利用可能なMSのための処置のほとんどは、その疾患の炎症性の成分を抑制するためである。これらの主な臨床的影響は、再発に対するものであるが、永久的な能力障害に対する効果はこれまで十分には確立されていない。特許請求される本発明は、多発性硬化症の処置におけるリルゾールの使用に関する。本明細書中で使用される場合、リルゾールとは、欧州特許第50,511号および米国特許第4,370,338号に記載されるような(6−(トリフルオロメトキシ)−2−ベンゾチアゾールアミン)、およびそれらの全てのアナログ、ホモログまたは改変体をいい、これらは、リルゾールと実質的に同じ活性および構造を有する。
【0016】
本発明の組成物は、当業者に公知の方法により作製され得る。簡単に述べると、リルゾールは、酢酸媒体中のチオシアン酸カリウムおよび4−トリフルオロメトキシ−アニリン上の臭素の作用により調製され得る。調製の好ましい方法は、所望の費用およびプロセスの単純さに依存して当業者により決定され得る。
【0017】
本明細書中で使用される場合、特許請求される薬学的組成物は、治療有効量の6−(トリフルオロメトキシ)−2−ベンゾチアゾールアミン、そのアナログ、ホモログ、改変体またはそれらの塩を含み得る。具体的には、本発明は、無機または有機の酸および塩基から誘導される薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を含む。
【0018】
特許請求される方法は、MSに罹患している患者の処置において、その疾患の進行中のいかなるときでも有用であり得、そしてこれを使用して、一次進行性MS、二次進行性MSおよび/または再発性弛張性MSに罹患している患者を処置し得る。特許請求される方法を一次進行性MSの処置のために使用することが好ましい。
【0019】
特許請求される発明は、特定の実施形態において、グルタミン酸伝達の阻害(神経性損傷の過程に関与する興奮毒)を介して作用し得る。
【0020】
種々の実施形態において、特許請求される方法は、治療有効量のリルゾール単独、または別の治療剤もしくは予防的薬剤と組み合わせたリルゾールの投与を含み得る。組み合わせの投与は、リルゾールが、第2の薬剤と実質的に同時投与され得るか、または、第2の薬剤がリルゾールと共に段階様式で投与され得ることのいずれかを意味する。従って、種々の実施形態では、医師により選択される特定の処置レジメンに依存して、第2の薬剤と同時にリルゾールを投与し得るか、または他の実施形態では、リルゾールおよび第2の薬剤は、数時間、数日、もしくはことによると数週間にさえ分けて、投与され得る。所望の処置レジメンは、処置されている患者の詳細、および所望の結果に依存して、当業者により容易に投与され得る。
【0021】
MSまたはその関連する症状のいずれかの処置において有用である任意の治療剤または予防的薬剤は、本発明に従って第2の薬剤として使用され得る。好ましい実施形態において、第2の薬剤は、インターフェロンI型、より好ましくはインターフェロンβ−1aから選択される。しかし、さらに、他の第2の薬剤は、特許請求される発明において使用され得、これらとしては、ステロイド(剤)、鎮痛剤、筋肉弛緩剤、免疫抑制剤およびcopaxoneが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明の化合物は、薬学的組成物中に処方され得、これは、経口的、非経口的(例えば、眼球後投与)噴霧吸入により、局所的に、直腸に、経鼻に、口腔内に、膣内に、または移植リザーバーを介して投与され得る。本明細書中で使用される場合、用語「非経口的」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨下、髄腔内、肝内、病変内、および頭蓋内注射または注入技術を含む。
【0023】
本発明の薬学的組成物は、任意の薬学的に受容可能なキャリアと共に、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体のいずれかを含む。本明細書中で使用される場合、用語「キャリア」は、受容可能なアジュバントおよびビヒクルを含む。本発明の薬学的組成物において使用され得る薬学的に受容可能なキャリアとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液物質(例えば、リン酸、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、塩もしくは電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの基材、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明に従って、薬学的組成物は、無菌注射用調製物の形態(例えば、無菌注射用の水性または油性懸濁液)であり得る。この懸濁液は当該分野で公知の技術に従って、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して処方され得る。無菌注射用調製物はまた、無菌注射用溶液または非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液として)中の懸濁液であり得る。使用され得る、受容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液が含まれる。さらに、無菌不揮発性油は、溶媒または懸濁媒体として慣習的に使用される。
【0025】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投与形態で経口投与され得、この形態としては、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液が挙げられるが、これらに限定されない。経口使用のための錠剤の場合、通常使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)はまた、典型的に添加される。カプセル形態での経口投与について、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口使用に必要とされる場合、活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望の場合、特定の甘味料、矯味・矯臭剤または着色料もまた、添加され得る。
【0026】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸投与のために坐薬の形態で投与され得る。これらは、室温では固体であるが直腸温度では液体であり、従って直腸中では溶解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と、薬剤とを混合することにより調製され得る。このような物質としては、ココアバター、密蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0027】
本発明の薬学的組成物はまた、特に、処置の標的が、局所投与により容易にアクセス可能な領域または器官を含む場合(これらとしては、眼、皮膚または下部腸管の疾患が挙げられる)に、投与され得る。適切な局所投与処方物は、これらの領域または器官の各々のために容易に調製される。
【0028】
腸管下部についての局所投与は、直腸坐薬処方物(上記を参照のこと)または適切な浣腸処方物において行われ得る。局所経皮パッチもまた、使用され得る。
【0029】
局所投与のために、薬学的組成物は、1つ以上のキャリアに懸濁されたかまたは溶解された活性成分を含む適切な軟膏において処方され得る。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアとしては、鉱物油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋および水が挙げられるがこれらに限定されない。あるいは、薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアに懸濁されたかまたは溶解された活性成分を含む適切なローションまたはクリームにおいて処方され得る。適切なキャリアとしては、鉱物油、ソルビタンモノステアリン酸、ポリソルベート60、セチルエステル蝋、ステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
眼のための使用について、薬学的組成物は、等張性のpHアジュバント滅菌生理食塩水中で懸濁物を微粉化するように、または好ましくは、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)を伴うか伴わないかのどちらかで等張性のpHアジュバント滅菌生理食塩水中の溶液として処方され得る。あるいは、眼のための使用のために、薬学的組成物は、ワセリンのような軟膏において処方され得る。
【0031】
本発明の薬学的組成物はまた、噴霧器、乾燥粉剤吸入器あるいは計量吸入器の使用を介して、経鼻エアロゾルまたは吸入により投与され得る。このような組成物は、薬学的処方物の分野において周知の技術に従って調製され、そしてベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、バイオアベイラビリティーを増強するための取り込み促進剤、フッ化炭素および/もしくは他の従来の可溶化剤または分散剤を使用した生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0032】
キャリア物質と組み合わされて単一の投与形態を生成し得る活性成分の量は、処置される宿主、および投与の特定の様式に依存して変化する。しかし、任意の特定の患者のための特定の投与量および処置レジメンが種々の因子に依存することは理解されるべきであり、これらの因子としては、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康、性別、食喰、投与の時間、排泄の速度、薬物の組み合わせ、ならびに処置している医師の判断および処置されている特定の疾患の重症度が挙げられる。活性成分の量はまた、治療剤または予防的薬剤に依存し、たとえ存在するとしても、この成分は、同時投与される。
【0033】
細胞接着を予防、抑制または阻害するに有効な本発明の化合物の投与量および投与速度は、種々の因子(例えば、インヒビターの性質、患者のサイズ、治療の目的、処置される病理状態の性質、使用される特定の薬学的組成物、および処置している医師の判断)に依存する。1日あたり約10と約500mgとの間の投与量レベル、好ましくは、1日あたり約25と250mgとの間、そして最も好ましくは、1日あたり約100と150との間のリルゾールが有用である。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
本発明者らは、自然な進展の研究から、選択される前の(before inclusion)24ヶ月の間、詳細に記録された病気の進行を有する9個体の女性および7個体の男性(30歳〜66歳)を選択した。Kurtzke’s EDSSスコアは、3.0以上7.5以下の間であった。全ての有害な事象を詳細に記録した(安全な実験は、処置の開始後、血清トランスアミナーゼ(月1回を3ヶ月間かつその後3ヶ月毎)および血液学(全血球算定および差示的に6ヶ月毎)からなる)。この研究は、病院倫理委員会により認可され、すべての患者は、インフォームドコンセントを受けた。1年目の間は、特定の処置はせず;2年目の間は、全ての患者を、リルゾール(riluzole)(毎日、2×50mg)を用いて処置した。MRIスキャニングは、6ヶ月毎の頸部脊髄の反転(inversion)調製3D勾配エコーシーケンス、および毎年、脳のT1およびT2加重(weighted)スピンエコーシーケンスからなった。主な有効パラメータは、脊髄断面積における変化であり、これは、C2−C3の中心より上で、脊髄に対して垂直の、10個の連続した3mmの軸切片から得られ;本発明者らの管理におけるこの方法についての変動係数は、1.3%であった。スキャンを、無作為化、かつ盲検化された様式で分析した。
【0035】
(結果)
副作用(一方は頭痛、他方は痙性)から、2名の患者が、処置を中断した。5名の患者は、研究薬物の投与量において、断続的な減少を必要とした。3ヶ月以上の間投薬を受けた14名の患者において、医学的に重篤で有害な効果は観察されなかった。適切なMRIデータが、1名の患者において複数の時点で得られ得なかったが、他の5名の患者は、1回失われたデータポイントがあった。表1において示されるように、初年度に、脊髄領域(p=0.59)において、明らかな減少(2%)が見出され、そして期待されたように、T1およびT2病変荷重において増加が見出された。2年目において、本発明者らは、脊髄直径の安定化(−0.15%)を観察した(図1を参照のこと)。脳におけるT2病変荷重の増加は、処置下において、ほとんど変化しなかったが、ハイポインテンス(hypointense)病変の蓄積は、減少に向かう傾向を示した(p=0.66)。EDSSスコアに関する効果は見られなかった。
【0036】
種々の改変およびバリエーションが、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明においてなされ得ることは、当業者に明らかである。従って、本発明は、添付の請求の範囲およびその等価物の範囲内にあれば、その改変およびバリエーションを包含することが意図される。
【0037】
表1:脊髄領域(T1およびT2病巣負荷)についてのベースラインデータ、各々95%の信頼区間(CI)を有する、処置を伴う、および伴わない年単位のおける増加
【0038】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載されるような、リルゾールの使用。

【公開番号】特開2007−262082(P2007−262082A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146265(P2007−146265)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【分割の表示】特願2001−501213(P2001−501213)の分割
【原出願日】平成12年6月2日(2000.6.2)
【出願人】(501467050)
【Fターム(参考)】