説明

多管式分離膜モジュール

【課題】一端が封止されかつ他端が開放された複数個の管状膜エレメントが搭載されたタイプの膜モジュールでも、膜二次(透過)側の透過成分の分圧を下げる効果をもたらすスイープガスを、各管状膜エレメントの内側に供給できる、多管式分離膜モジュールを提供する。
【解決手段】多管式分離膜モジュール1は、各管状膜エレメント2の内側にスイープガス供給用注入管3が膜エレメント2の開放端2b側から挿入され、スイープガス注入管3の先端3aが膜エレメント2の封止端2a寄り部分の内側で開放されており、スイープガス導入部より各スイープガス注入管3に送り込まれたスイープガスが該注入管開放先端3aから膜エレメント2の封止端2a寄り部分の内側に供給されて、各膜エレメント2を透過してくる成分が膜エレメント2内側でスイープガスによって希釈され、透過成分の分圧が下げられるとともに透過成分とスイープガスの混合成分が一緒に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合気体や溶液等の流体の分離に用いる多管式分離膜モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、混合気体または溶液中の成分を分離するための装置として、多管式分離膜モジュールが知られており、この多管式分離膜モジュールに搭載された管状膜エレメントとしては、分子程度の大きさの微細孔を有するゼオライト等からなる分離膜を製膜した多孔質の管が使用されている。
【0003】
従来の多管式分離膜モジュールとしては、例えば、下記の特許文献1に記載されているように、両端が開放された管状膜エレメントを搭載するものが知られている。
【0004】
このような従来の両端開放の管状膜エレメントを搭載した膜モジュールの場合は、透過成分を希釈させて透過側における透過成分の分圧を下げる効果をもたらすスイープガスの供給方法として、管状膜エレメントの一端から透過側流路にスイープガスを供給し、同管状膜エレメントの他端からスイープガスと透過成分の混合ガスを排出することが知られている。
【0005】
これに対し、例えば図6に示すように、従来の多管式分離膜モジュール(31)において、一端(32a)が封止されかつ他端(32b)が開放された管状膜エレメント(32)を搭載した膜モジュールにおいては、ケーシング(40)内に、管状膜エレメント取付用管板(41)が設けられ、この管板(41)に対して各管状膜エレメント(32)が略垂直状にかつその開放端(32b)を貫通した状態で取り付けられている。
【0006】
このような従来の多管式分離膜モジュール(31)においては、管状膜エレメント(32)の膜二次(透過)側は、膜一次側(非透過)より圧力(正確には駆動力となる透過成分の分圧)が低い状態になるように、真空ポンプや凝縮器などを使って低圧の環境を作ることで、膜分離操作を行うのが一般的である(例えば、下記の特許文献2参照)。
【0007】
なおここで、図6において、膜エレメント取付用管板(41)とケーシング(40)の端部(40a)との間に、管状膜エレメント(32)の透過成分を受け入れる仕切室(42)が設けられている。
【0008】
そして、流体入口(50)からケーシング(40)に流体を供給するとともに、膜透過流体出口(51)から管状膜エレメント(32)内を吸引すると、透過流体は管状膜エレメント(32)を透過し、膜透過流体出口(51)から流出する。管状膜エレメント(32)を透過しない残りの流体(非透過流体)は、管状膜エレメント(32)の間隙を通過して流体出口(52)から流出する。
【0009】
さらに、下記の特許文献3には、水素を含む原料ガスを透過膜を要する支持体内に充満させ、内圧を高めることで、原料ガスから水素を分離する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2006−511337号公報
【特許文献2】特開2008−86988号公報
【特許文献3】特開2010−95413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このため、上記特許文献2に記載の一端が封止されかつ他端が開放された管状膜エレメントを搭載した多管式分離膜モジュールでは、管状膜エレメントの膜二次(透過)側の分圧を下げる効果的なスイープガスの供給システムを具備した多管式分離膜モジュールは、現在のところ、実質存在していない。
【0012】
本発明の目的は、一端が封止されかつ他端が開放された複数個の管状膜エレメントが搭載された多管式分離膜モジュールについて、膜二次(透過)側の透過成分の分圧を下げる効果をもたらすスイープガスを、各管状膜エレメントの内側に供給することができる、多管式分離膜モジュールを提供しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ケーシング(10)内に、一端(2a)が封止されかつ他端(2b)が開放された複数個の管状膜エレメント(2)を搭載した多管式分離膜モジュール(1)であって、各管状膜エレメント(2)の内側に、スイープガス供給用注入管(3)が、管状膜エレメント(2)の開放端(2b)側から挿入されて、スイープガス供給用注入管(3)の先端(3a)が、管状膜エレメント(2)の封止端(2a)寄り部分の内側で開放されており、スイープガス導入部より各スイープガス供給用注入管(3)に送り込まれたスイープガスが、該注入管開放先端(3a)から管状膜エレメント(2)の封止端(2a)寄り部分の内側に供給されて、各管状膜エレメント(2)を透過してくる成分が、管状膜エレメント(2)内側でスイープガスによって希釈され、透過成分の分圧が下げられるとともに、透過成分とスイープガスの混合成分が一緒に排出されるようになされていることを特徴としている。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の多管式分離膜モジュールであって、ケーシング(10)内に、管状膜エレメント取付用管板(11)が設けられ、この管板(11)に対して各管状膜エレメント(2)が略垂直状にかつその開放端(2b)を貫通した状態で取り付けられ、同ケーシング(10)内に、膜エレメント取付用管板(11)に対して管状膜エレメント(2)の開放端(2b)側に、所定間隔をおいて対向するようにスイープガス供給用注入管取付用管板(13)が設けられ、この管板(13)に対して各スイープガス供給用注入管(3)が略垂直状にかつその開放基端部(3b)を貫通した状態で取り付けられ、膜エレメント取付用管板(11)とスイープガス供給用注入管取付用管板(13)との間に、管状膜エレメント(2)の透過成分とスイープガスの混合成分とを受け入れる仕切室(12)が設けられるとともに、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)とケーシング(10)の同側端部(10a)との間に、スイープガス導入用仕切室(14)が設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の多管式分離膜モジュールであって、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)に設けられたスイープガス供給用注入管取付用貫通孔(15)の内面に、スイープガス導入用仕切室(14)側から透過成分・スイープガス混合成分受入れ仕切室(12)側に向かって漸次先細となるテーパー部(16)が設けられ、各スイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)の外面に、スイープガス導入用仕切室(14)側から透過成分・スイープガス混合成分受入れ仕切室(12)側に向かって先細となるテーパー部(6)が設けられており、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)の貫通孔(15)に挿通されたスイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)のテーパー部(6)が、貫通孔(15)内面のテーパー部(16)に係り止められて、各スイープガス供給用注入管(3)が、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)に対して略垂直状にかつその開放基端部(3b)を貫通した状態で取り付けられていることを特徴としている。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3に記載の多管式分離膜モジュールであって、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)のスイープガス導入用仕切室(14)側の表面に、該管板(13)の貫通孔(15)に挿通されたスイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)を覆う注入管抜け止め用メッシュシート(18)が貼り付けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明は、ケーシング(10)内に、一端(2a)が封止されかつ他端(2b)が開放された複数個の管状膜エレメント(2)を搭載した多管式分離膜モジュール(1)であって、各管状膜エレメント(2)の内側に、スイープガス供給用注入管(3)が、管状膜エレメント(2)の開放端(2b)側から挿入されて、スイープガス供給用注入管(3)の先端(3a)が、管状膜エレメント(2)の封止端(2a)寄り部分の内側で開放されており、スイープガス導入部より各スイープガス供給用注入管(3)に送り込まれたスイープガスが、該注入管開放先端(3a)から管状膜エレメント(2)の封止端(2a)寄り部分の内側に供給されて、各管状膜エレメント(2)を透過してくる成分が、管状膜エレメント(2)内側でスイープガスによって希釈され、透過成分の分圧が下げられるとともに、透過成分とスイープガスの混合成分が一緒に排出されるようになされているもので、請求項1の発明によれば、一端が封止されかつ他端が開放された複数個の管状膜エレメントが搭載された多管式分離膜モジュールについて、膜二次(透過)側の透過成分の分圧を下げる効果をもたらすスイープガスを、各管状膜エレメントの内側に供給することができる、多管式分離膜モジュールを提供することができるという効果を奏する。
【0018】
従って、例えば、溶液や混合気体等の流体の分離に用いる多管式分離膜モジュール設備を導入する上で、窒素や空気などのスイープガスが安価に提供できる状況にある場合は、膜二次(透過)側を減圧させるための真空ポンプが不要となり、あるいはまた透過成分が凝縮性ガスである場合は、凝縮器や冷却源が不要となるという効果を奏する。
【0019】
また、原料の混合流体が流れる管状膜エレメント(2)の外側になる膜一次側(非透過側)の構造が、内部構造物のない単純容器型構造ではなく、バッフル板(24)が取り付けられているバッフル型構造や、あるいは管状膜エレメント(2)と対になる外管(27)をもつ二重管型構造であれば、流体がモジュール全体に分散し、各管状膜エレメントが有効に作動する。さらに管状膜エレメント近傍での流体の流速が増加することによる乱流効果のため、管状膜エレメントを透過する流体の流束が増加し、多管式分離膜モジュールの処理能力が向上する。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1に記載の多管式分離膜モジュールであって、ケーシング(10)内に、管状膜エレメント取付用管板(11)が設けられ、この管板(11)に対して各管状膜エレメント(2)が略垂直状にかつその開放端(2b)を貫通した状態で取り付けられ、同ケーシング(10)内に、膜エレメント取付用管板(11)に対して管状膜エレメント(2)の開放端(2b)側に、所定間隔をおいて対向するようにスイープガス供給用注入管取付用管板(13)が設けられ、この管板(13)に対して各スイープガス供給用注入管(3)が略垂直状にかつその開放基端部(3b)を貫通した状態で取り付けられ、膜エレメント取付用管板(11)とスイープガス供給用注入管取付用管板(13)との間に、管状膜エレメント(2)の透過成分とスイープガスの混合成分とを受け入れる仕切室(12)が設けられるとともに、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)とケーシング(10)の同側端部(10a)との間に、スイープガス導入用仕切室(14)が設けられているもので、請求項2の発明によれば、管状膜エレメント及びスイープガス供給用注入管の膜モジュールへの取り付けが首尾よくできるという効果を奏する。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の多管式分離膜モジュールであって、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)に設けられたスイープガス供給用注入管取付用貫通孔(15)の内面に、スイープガス導入用仕切室(14)側から透過成分・スイープガス混合成分受入れ仕切室(12)側に向かって漸次先細となるテーパー部(16)が設けられ、各スイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)の外面に、スイープガス導入用仕切室(14)側から透過成分・スイープガス混合成分受入れ仕切室(12)側に向かって先細となるテーパー部(6)が設けられており、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)の貫通孔(15)に挿通されたスイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)のテーパー部(6)が、貫通孔(15)内面のテーパー部(16)に係り止められて、各スイープガス供給用注入管(3)が、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)に対して略垂直状にかつその開放基端部(3b)を貫通した状態で取り付けられているもので、請求項3の発明によれば、スイープガス供給用注入管が簡単に挿入・取り付けができるとともに、程よいシール性が確保されるという効果を奏する。
【0022】
請求項4の発明は、請求項3に記載の多管式分離膜モジュールであって、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)のスイープガス導入用仕切室(14)側の表面に、該管板(13)の貫通孔(15)に挿通されたスイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)を覆う注入管抜け止め用メッシュシート(18)が貼り付けられているもので、請求項4の発明によれば、簡単な作業によりスイープガス供給用注入管を固定できるという効果を奏する。
【0023】
なお、上記請求項2〜4に記載の発明によれば、部品等の取り付け作業が簡単で、非常に作業性が良く、一旦設置された多管式分離膜モジュールをメンテナンスする上で、非常に好都合であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の多管式分離膜モジュールの第1実施形態を示す概略断面図である。
【図2】図1の多管式分離膜モジュールのスイープガス供給用注入管の取付部分の具体例を示す拡大断面図である。
【図3】同スイープガス供給用注入管の取付部分のいま1つの具体例を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の多管式分離膜モジュールの第2実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明の多管式分離膜モジュールの第3実施形態を示す概略断面図である。
【図6】従来の多管式分離膜モジュールの一例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
図1は、本発明の多管式分離膜モジュールの第1実施形態を示す概略断面図である。図2は、スイープガス供給用注入管の取付部分の具体例を示す拡大断面図である。
【0027】
まず、図1を参照すると、本発明の多管式分離膜モジュール(1)は、縦断面長円形のケーシング(10)内に、一端(2a)が封止されかつ他端(2b)が開放された複数個の管状膜エレメント(2)を搭載した多管式分離膜モジュール(1)である。
【0028】
各管状膜エレメント(2)の内側に、スイープガス供給用注入管(3)が、管状膜エレメント(2)の開放端(2b)側から挿入されて、スイープガス供給用注入管(3)の先端(3a)が、管状膜エレメント(2)の封止端(2a)寄り部分の内側で開放されている。
【0029】
そして、スイープガス導入部より各スイープガス供給用注入管(3)に送り込まれたスイープガスが、該注入管開放先端(3a)から管状膜エレメント(2)の封止端(2a)寄り部分の内側に供給されて、各管状膜エレメント(2)を透過してくる成分が、管状膜エレメント(2)内側でスイープガスによって希釈され、透過成分の分圧が下げられるとともに、透過成分とスイープガスの混合成分が一緒に排出されるようになされている。
【0030】
ところで、一端(2a)側が封止されている管状膜エレメント(2)の膜二次(透過)側にスイープガスを供給して、透過成分の分圧を下げる効果を狙う場合、透過した成分が存在している系統(空間)なら、どこでもスイープガスを供給してもよいというわけではなく、透過した膜の直ぐ内側にスイープガスが存在するような流れ状態になっていないと、その効果が得られない。一端(2a)が封止されている管状膜エレメント(2)の場合は、透過成分は、他端(2b)の開放されているところからしか排出できない構造であるため、スイープガスを供給するには、管状膜エレメント(2)の内側に開放端(2b)側からスイープガス供給用注入管(内管)(3)を挿入して、封止端(2a)側付近でスイープガスが排出される構造が必要となる。
【0031】
以上のような事情を勘案して、本発明では、従来の膜モジュール構造に対して、各管状膜エレメント(2)から透過した成分が集約される仕切室を2つに分け、一方、すなわち管状膜エレメント(2)から遠い方の仕切室(14)は、スイープガスを一つの導入口(ノズル)(21)を通じて受け入れ、各々のスイープガス供給用注入管(3)に分配が可能となるものとし、他方の仕切室(12)は、は各々の管状膜エレメント(2)から透過成分とスイープガスの混合流体を受け入れ、一つの排出口(ノズル)(22)を通じて排出されるものとしたモジュール構造を提供する。
【0032】
すなわち、この実施形態では、ケーシング(10)内に、管状膜エレメント取付用管板(11)が設けられ、この管板(11)に対して各管状膜エレメント(2)が略垂直状にかつその開放端(2b)を貫通した状態で取り付けられ、同ケーシング(10)内に、膜エレメント取付用管板(11)に対して管状膜エレメント(2)の開放端(2b)側に、所定間隔をおいて対向するようにスイープガス供給用注入管取付用管板(13)が設けられ、この管板(13)に対して各スイープガス供給用注入管(3)が略垂直状にかつその開放基端部(3b)を貫通した状態で取り付けられ、膜エレメント取付用管板(11)とスイープガス供給用注入管取付用管板(13)との間に、管状膜エレメント(2)の透過成分とスイープガスの混合成分とを受け入れる仕切室(12)が設けられるとともに、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)とケーシング(10)の同側端部(10a)との間に、スイープガス導入用仕切室(14)が設けられている。
【0033】
ケーシング(10)には、原料となる混合流体の導入口(20)と、非透過流体の排出口(23)が設けられている。混合流体の導入口(20)は、複数個の管状膜エレメント(2)の管束の上方においてケーシング(10)の管壁上部に接続され、非透過流体の排出口(23)は、同管状膜エレメント(2)の管束の下方においてケーシング(10)の管壁下部に接続されている。
【0034】
これに対し、スイープガス導入口(21)は、仕切室(14)において、ケーシング(10)の同側端部(10a)の管壁側部に接続され、透過流体とスイープガスの混合流体の排出口(22)は、仕切室(12)において、ケーシング(10)の管壁上部に接続されている。
【0035】
膜エレメント取付用管板(11)は複数の開口部を有しており、これらの開口部に管状膜エレメント(2)部後端が螺合されることにより、管状膜エレメント(2)は管板(11)に片持ち状に支持されている。
【0036】
ここで、管状膜エレメント(2)としては、例えばセラミックス、有機高分子または金属からなる管状の多孔質支持体に、ゼオライト等の分離膜を製膜したものを使用する。
【0037】
管状膜エレメント(2)のサイズは、実用的には、長さ30〜300cm、外径10〜30mm、厚さ1〜4mm程度のものを使用する。一枚の管板(11)で支持する管状膜エレメント(2)の数は、実用的には、2〜3000本ほどである。
【0038】
また、スイープガス供給用注入管(3)のサイズは、管状膜エレメント(2)の内部に納められるものであればよく、実用的には、長さ30〜300cm、外径2〜10mm、厚さ0.5〜2mm程度のものを使用する。管板(13)によって支持されるスイープガス供給用注入管(3)の数は、管状膜エレメント(2)の数と同数である。
【0039】
本発明の多管式分離膜モジュール(1)の構造では、管状膜エレメント(2)の取り付け構造は従来と同じ構造であるが、管状膜エレメント(2)が取り付けられた状態をもって、スイープガス供給用注入管(3)スイープガス注入管を取り付けるようにしなければならない。
【0040】
そこで、本発明において、ケーシング(10)内に設けた2つの仕切室(12)(14)を隔離するための仕切板は、スイープガス注入管用の取付管板(13)とし、その取付管板(13)がスイープガス受入の仕切室(14)側フランジの相フランジを兼ねる構造としている。
【0041】
また、スイープガス供給用注入管(3)の取付管板(13)が自由に取り外し可能なように、スイープガス受入の仕切室(14)側フランジと透過成分受入の仕切室(12)側フランジで挟み込まれる構造としてもよい。
【0042】
このようにすれば、まず上記2つの仕切室(12)(14)を取り外した状態で、管状膜エレメント取付用管板(11)に管状膜エレメント(2)を挿入・取り付けることができ、その後に透過成分受入の仕切室(12)とスイープガス供給用注入管(3)の取付管板(13)をセットして、スイープガス供給用注入管(3)を挿入し、スイープガス受入の仕切室(14)をセットする手順で、多管式分離膜モジュール(1)の内部部品をセッティングすることができる。
【0043】
つぎに、図2に詳しく示すように、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)に設けられたスイープガス供給用注入管取付用貫通孔(15)の内面に、スイープガス導入用仕切室(14)側から透過成分・スイープガス混合成分受入れ仕切室(12)に向かって漸次先細となるテーパー部(16)が設けられ、各スイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)の外面に、スイープガス導入用仕切室(14)側から透過成分・スイープガス混合成分受入れ仕切室(12)に向かって先細となるテーパー部(6)が設けられており、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)の貫通孔(15)に挿通されたスイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)のテーパー部(6)が、貫通孔(15)内面のテーパー部(16)に係り止められて、各スイープガス供給用注入管(3)が、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)に対して略垂直状にかつその開放基端部(3b)を貫通した状態で取り付けられている。
【0044】
このようにすると、スイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)のテーパー部(6)と、管板(13)の貫通孔(15)内面のテーパー部(16)とが面接触でき、かつ注入管(3)の挿入がしやすいテーパ構造とすれば、注入管(3)はスイープガスの流体圧力で貫通孔(15)内に押し込まれるので、簡易的なシールが可能となる。
【0045】
さらに、挿入したスイープガス供給用注入管(3)が抜けないように、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)のスイープガス導入用仕切室(14)側の表面に、該管板(13)の貫通孔(15)に挿通されたスイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)を覆う注入管抜け止め用メッシュシート(18)が貼り付けられている。
【0046】
例えば、水素(H)と二酸化炭素(CO)の混合流体を分離する場合、多孔質セラミックスからなる管状支持体にFAU型ゼオライトを製膜した管状膜エレメント(2)を用いる。
【0047】
そして、混合流体の導入口(20)からケーシング(10)内に水素(H)と二酸化炭素(CO)の混合流体を供給するとともに、スイープガス導入口(21)から仕切室(14)内に、スイープガスとして例えば窒素ガス(N)を導入すると、スイープガスは、各スイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)から導入され、スイープガス供給用注入管(3)内を通過して、管状膜エレメント(2)の封止端(2a)付近で膜エレメント(2)内に排出され、その結果、スイープガスは、二酸化炭素(CO)が透過したゼオライト膜の直ぐ内側に存在するような流れの状態になり、透過成分の分圧を下げる効果が発揮されるものである。
【0048】
こうして、各管状膜エレメント(2)を透過してくる成分が、管状膜エレメント(2)内側でスイープガスによって希釈され、透過成分の分圧が下げられるとともに、透過成分とスイープガスの混合成分が排出口(ノズル)(22)より一緒に排出される。
【0049】
一方、非透過流体である水素(H)は、複数個の管状膜エレメント(2)同士の間の間隙を通過して排出口(23)から流出する。
【0050】
上記本発明の第1実施形態において、その他、例えば、水とエタノールの混合流体を分離する場合、多孔質セラミックスからなる管状支持体にA型ゼオライトを製膜した管状膜エレメント(2)を用いて、水を透過流体として取り出すものである。
【0051】
図3は、スイープガス供給用注入管(3)の取付部分のいま1つの具体例を示す拡大断面図である。同図において、スイープガス供給用注入管(3)の取付け構造としては、スイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)の外周面に雄ねじ部(7)を設け、一方、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)の貫通孔(15)の内面に雌ねじ部(17)を設けて、注入管(3)の開放基端部(3b)の雄ねじ部(7)を、管板(13)の貫通孔(15)内面の雌ねじ部(17)にねじ込むようにして、スイープガス供給用注入管(3)が管板(13)に片持ち状に支持されるようにしてもよい。
【0052】
このいま1つの具体例の場合、ケーシング(10)内において分割された仕切室(12)(14)同士では、実運転状態でも圧力差が、実質1kPaにも満たない程度であり、ほとんど生じないので、厳密なシールは不要である。
【0053】
なお、上記本発明の第1実施形態では、原料の混合流体が流れる管状膜エレメント(2)の外側になる膜一次側(非透過側)の構造は、内部構造物のない単純容器型構造としたが、下記の図4に示すように、原料の混合流体が流れる管状膜エレメント(2)の外側になる膜一次側(非透過側)の構造は、バッフル板(24)が取り付けられているバッフル型構造でも、あるいは図5に示すように、管状膜エレメント(2)と対になる外管(27)をもつ二重管型構造でも、いずれでもよい。
【0054】
図4は本発明による多管式分離膜モジュール(1)の第2実施形態を示すもので、原料の混合流体が流れる管状膜エレメント(2)の外側になる膜一次側(非透過側)の構造がバッフル型構造である場合を示している。
【0055】
同図において、多管式分離膜モジュール(1)のケーシング(10)の内部に、複数のバッフル板(24)がケーシング(10)の軸線に垂直に設けられている。バッフル板(24)の取付数は、ケーシング(10)の大きさにもよるが、通常、2〜30枚である。各バッフル板(24)には複数の開口部が設けられており、これらの開口部を管状膜エレメント(2)が貫通している。
【0056】
バッフル板(24)はケーシング(10)の内面に気密に係合している。ここで、バッフル板(24)同士の間の間隔は、実用的には5〜100cm程度である。バッフル板(24)同士の間の間隔が大きすぎると、ケーシング(10)内の流体の乱れが小さすぎるので好ましくない。またバッフル板(24)同士の間の間隔が小さすぎると、ケーシング(10)に注入する流体の圧力損失が大きすぎるので好ましくない。
【0057】
そして、この第2実施形態では、原料となる混合流体の導入口(20)は、膜エレメント取付用管板(11)に最も遠いバッフル板(24)側のケーシング(10)の他端部(10b)の上方においてケーシング(10)の管壁上部に接続され、非透過流体の排出口(23)は、膜エレメント取付用管板(11)とこれに最も近いバッフル板(24)との間の下方においてケーシング(10)の管壁下部に接続されている。もちろん、導入口(20)と排出口(23)は逆の位置関係でも問題ない。
【0058】
本発明による多管式分離膜モジュール(1)の第2実施形態において、例えば、水素(H)と二酸化炭素(CO)の混合流体を分離する場合、ケーシング他端部(10b)の混合流体導入口(20)からケーシング(10)内に、水素(H)と二酸化炭素(CO)の混合流体を供給するとともに、スイープガス導入口(21)から仕切室(14)内に、スイープガスとして例えば窒素ガス(N)を導入する。
【0059】
混合流体は、ケーシング他端部(10b)からバッフル板(24)同士の間の間隙および管状膜エレメント(2)同士の間の間隙を、正面よりみてジグザグ状に蛇行してケーシング(10)内を通過する。一方、スイープガスは、各スイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)から導入され、スイープガス供給用注入管(3)内を通過して、管状膜エレメント(2)の封止端(2a)付近で膜エレメント(2)内に排出され、その結果、スイープガスは、二酸化炭素(CO)が透過したゼオライト膜の直ぐ内側に存在するような流れの状態になり、透過成分の分圧を下げる効果が発揮される。こうして、各管状膜エレメント(2)を透過してくる成分が、管状膜エレメント(2)内側でスイープガスによって希釈され、透過成分の分圧が下げられるとともに、透過成分とスイープガスの混合成分が排出口(22)より一緒に排出される。非透過流体である水素(H)は、バッフル板(24)と管状膜エレメント(2)同士の間の間隙および管状膜エレメント(2)同士の間の間隙を通過して、最終的に排出口(23)から流出する。
【0060】
なお、本発明の第2実施形態において、その他の点は、上記本発明の第1実施形態の場合と同様であるので、図面において同一のものには、同一の符号を付した。
【0061】
図5は、本発明の多管式分離膜モジュール(1)の第3実施形態を示す概略断面図である。
【0062】
同図において、本発明の多管式分離膜モジュール(1)は、管状膜エレメント(2)と対になる外管(27)をもつ二重管型構造を有するものである。
【0063】
すなわち、ケーシング(10)内に、左右一対の外管取付用管板(25)(26)が相互に所定間隔をおいて対向状に配置され、これらの外管取付用管板(25)(26)に、管状膜エレメント(2)と同数の外管(27)が渡し止められ、各外管(27)内に管状膜エレメント(2)が挿通されている。
【0064】
左右一対の外管取付用管板(25)(26)は、ケーシング(10)の内面に気密に係合している。そして、この第3実施形態では、原料となる混合流体の導入口(20)は、左側外管取付用管板(25)側のケーシング(10)の他端部(10b)の上方においてケーシング(10)の管壁上部に接続され、非透過流体の排出口(23)は、右側外管取付用管板(26)と膜エレメント取付用管板(11)との間の下方においてケーシング(10)の管壁下部に接続されている。もちろん、導入口(20)と排出口(23)は逆の位置関係でも問題ない。
【0065】
本発明による多管式分離膜モジュール(1)の第3実施形態において、例えば、水素(H)と二酸化炭素(CO)の混合流体を分離する場合、ケーシング他端部(10b)の混合流体導入口(20)からケーシング(10)内に、水素(H)と二酸化炭素(CO)の混合流体を供給するとともに、スイープガス導入口(21)から仕切室(14)内に、スイープガスとして例えば窒素ガス(N)を導入する。
【0066】
混合流体は、ケーシング他端部(10b)から各外管(27)内を通過する。この間、混合流体は、外管(27)と管状膜エレメント(2)との間の狭い間隙を通過するため、混合流体の流速が大きくとれることによる乱流効果が大きく、ゼオライト膜による二酸化炭素(CO)の透過が速やかに行われる。
【0067】
一方、スイープガスは、各スイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)から導入され、スイープガス供給用注入管(3)内を通過して、管状膜エレメント(2)の封止端(2a)付近で膜エレメント(2)内に排出され、その結果、スイープガスは、二酸化炭素(CO)が透過したゼオライト膜の直ぐ内側に存在するような流れの状態になり、透過成分の分圧を下げる効果が発揮される。こうして、各管状膜エレメント(2)を透過してくる成分が、管状膜エレメント(2)内側でスイープガスによって希釈され、透過成分の分圧が下げられるとともに、透過成分とスイープガスの混合成分が排出口(22)より一緒に排出される。非透過流体である水素(H)は、各外管(27)と管状膜エレメント(2)との間の狭い間隙を通過して、最終的に排出口(23)から流出する。
【0068】
なお、本発明の第3実施形態において、その他の点は、上記本発明の第1実施形態の場合と同様であるので、図面において同一のものには、同一の符号を付した。
【実施例】
【0069】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
実施例1
この実施例においては、上記図1と図2に示す本発明による多管式分離膜モジュール(1)によって、水素(H)と二酸化炭素(CO)の混合流体から、二酸化炭素(CO)を分離する場合を実験的に行なったものである。
【0071】
まず、多孔質セラミックスからなる管状多孔質支持体(長さ100cm、外径1.6cm、厚さ2.2mm)に、FAU型ゼオライトを製膜した管状膜エレメント(2)を作製し、この管状膜エレメント(2)を30本用いるとともに、同数のスイープガス供給用注入管(3)を用いて、上記図1と図2に示す例と同様の多管式分離膜モジュール(1)(長さ140cm、外径25cm)を組み立てた。
【0072】
なお、管状膜エレメント(2)は、長さ100cm、外径16mm、厚さ2.2mmのものを使用した。また、スイープガス供給用注入管(3)はステンレス鋼製で、かつ管状膜エレメント(2)の内部に納められるものであり、長さ95cm、外径3mm、厚さ0.7mmのものを使用した。
【0073】
また、スイープガス供給用注入管(3)が抜けないように、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)のスイープガス導入用仕切室(14)側の表面に、注入管抜け止め用メッシュシート(18)(平織金網、線径0.5mm、20メッシュ)を、管板(13)の貫通孔(15)に挿通されたスイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)を覆うように貼り付けた。
【0074】
つぎに、本発明による多管式分離膜モジュール(1)の混合流体導入口(20)からケーシング(10)内に、0.5MPaの圧力を持った水素(H)と二酸化炭素(CO)が等量の混合流体を、0.05Nm/sの流量で供給するとともに、スイープガス導入口(21)から仕切室(14)内に、スイープガスとして例えば窒素ガス(N)を、0.03Nm/sの流量で、導入した。
【0075】
スイープガスである窒素ガス(N)は、各スイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)から導入され、スイープガス供給用注入管(3)内を通過して、管状膜エレメント(2)の封止端(2a)付近で膜エレメント(2)内に排出され、その結果、スイープガスは、二酸化炭素(CO)が透過したゼオライト膜の直ぐ内側に存在するような流れの状態になり、透過成分の分圧を下げる効果が発揮された。
【0076】
こうして、各管状膜エレメント(2)を透過してくる二酸化炭素(CO)成分が、管状膜エレメント(2)内側でスイープガスによって希釈され、透過成分の分圧が下げられるとともに、透過成分とスイープガスの混合成分が排出口(ノズル)(22)より一緒に排出された。
【0077】
一方、非透過流体である水素(H)は、30本の管状膜エレメント(2)同士の間の間隙を通過して排出口(23)から流出した。
【0078】
この結果、200Nmの水素(H)と二酸化炭素(CO)が等量の混合流体のうちの二酸化炭素50%を、約5時間で処理することができ、50Nmの二酸化炭素(CO)を回収することができた。
【0079】
比較例1
比較のために、上記実施例1の場合と同様に、水素(H)および二酸化炭素(CO)の混合流体から、二酸化炭素(CO)を分離する実験を行なうが、上記実施例1の場合と異なり、スイープガス供給用注入管を具備しない図6に示す従来の多管式分離膜モジュール(31)を用いて実施した。ケーシング(40)のサイズや、管状膜エレメント(32)は、上記実施例1の場合と同様のものを使用した。
【0080】
この比較例1の従来の多管式分離膜モジュール(31)を用いて実施した結果では、200Nmの水素(H)と二酸化炭素(CO)の混合流体を実施例1と同条件にて処理するのに、約13時間がかかってしまった。これは、管状膜エレメント(32)を透過した二酸化炭素(CO)の同膜エレメント(32)内での透過速度が小さいためであると推測された。
【0081】
このような従来の多管式分離膜モジュール(31)においては、管状膜エレメント(32)の膜二次(透過)側は、膜一次側(非透過)より圧力が低い状態になるように、真空ポンプや凝縮器などを使って低圧の環境を作ることが望ましいが、それでは、真空ポンプや凝縮器など高価な機器を設置しなければならないという問題がある。
【符号の説明】
【0082】
1:多管式分離膜モジュール
2:管状膜エレメント
2a:封止端
2b:開放端
3:スイープガス供給用注入管
3a:開放先端
3b:開放基端部
6:テーパー部
10:ケーシング
10a:端部
11:膜エレメント取付用管板
12:透過成分とスイープガスの混合成分とを受け入れる仕切室
13:スイープガス供給用注入管取付用管板
14:スイープガス導入用仕切室
15:貫通孔
16:テーパー部
18:注入管抜け止め用メッシュシート
20:流体入口
21:流体出口
22:出口
24:バッフル
25:外管取付用管板
26:外管取付用管板
27:外管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(10)内に、一端(2a)が封止されかつ他端(2b)が開放された複数個の管状膜エレメント(2)を搭載した多管式分離膜モジュール(1)であって、各管状膜エレメント(2)の内側に、スイープガス供給用注入管(3)が、管状膜エレメント(2)の開放端(2b)側から挿入されて、スイープガス供給用注入管(3)の先端(3a)が、管状膜エレメント(2)の封止端(2a)寄り部分の内側で開放されており、スイープガス導入部より各スイープガス供給用注入管(3)に送り込まれたスイープガスが、該注入管開放先端(3a)から管状膜エレメント(2)の封止端(2a)寄り部分の内側に供給されて、各管状膜エレメント(2)を透過してくる成分が、管状膜エレメント(2)内側でスイープガスによって希釈され、透過成分の分圧が下げられるとともに、透過成分とスイープガスの混合成分が一緒に排出されるようになされていることを特徴とする、多管式分離膜モジュール。
【請求項2】
ケーシング(10)内に、管状膜エレメント取付用管板(11)が設けられ、この管板(11)に対して各管状膜エレメント(2)が略垂直状にかつその開放端(2b)を貫通した状態で取り付けられ、同ケーシング(10)内に、膜エレメント取付用管板(11)に対して管状膜エレメント(2)の開放端(2b)側に、所定間隔をおいて対向するようにスイープガス供給用注入管取付用管板(13)が設けられ、この管板(13)に対して各スイープガス供給用注入管(3)が略垂直状にかつその開放基端部(3b)を貫通した状態で取り付けられ、膜エレメント取付用管板(11)とスイープガス供給用注入管取付用管板(13)との間に、管状膜エレメント(2)の透過成分とスイープガスの混合成分とを受け入れる仕切室(12)が設けられるとともに、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)とケーシング(10)の同側端部(10a)との間に、スイープガス導入用仕切室(14)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の多管式分離膜モジュール。
【請求項3】
スイープガス供給用注入管取付用管板(13)に設けられたスイープガス供給用注入管取付用貫通孔(15)の内面に、スイープガス導入用仕切室(14)側から透過成分・スイープガス混合成分受入れ仕切室(12)に向かって漸次先細となるテーパー部(16)が設けられ、各スイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)の外面に、スイープガス導入用仕切室(14)側から透過成分・スイープガス混合成分受入れ仕切室(12)に向かって先細となるテーパー部(6)が設けられており、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)の貫通孔(15)に挿通されたスイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)のテーパー部(6)が、貫通孔(15)内面のテーパー部(16)に係り止められて、各スイープガス供給用注入管(3)が、スイープガス供給用注入管取付用管板(13)に対して略垂直状にかつその開放基端部(3b)を貫通した状態で取り付けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の多管式分離膜モジュール。
【請求項4】
スイープガス供給用注入管取付用管板(13)のスイープガス導入用仕切室(14)側の表面に、該管板(13)の貫通孔(15)に挿通されたスイープガス供給用注入管(3)の開放基端部(3b)を覆う注入管抜け止め用メッシュシート(18)が貼り付けられていることを特徴とする、請求項3に記載の多管式分離膜モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−236141(P2012−236141A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106337(P2011−106337)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】