説明

多糖類の製造方法

【課題】
本発明の主な目的は、中〜低分子量の多糖類を簡便に且つ効率良く製造する方法を提供することにある。本発明の方法は、特に、分子量300〜3000KDaの
程度の中〜低分子量の多糖類を得るのに適した方法である。また、本発明の目的は、得られる多糖類の分子量を容易に制御することができる多糖類の製造方法を提供することにもある。
【解決手段】
培養開始時における培地中の炭素源が70〜95質量%消費された時点で、培地のpHの設定値を下げた後、さらに当該乳酸菌を培養することにより多糖類を生産する方法。
本発明によれば、中〜低分子量の多糖類、特に、分子量300〜3000KDaの
程度の多糖類を簡便に且つ効率良く製造する方法を提供することにある。また、本発明によれば、得られる多糖類の分子量を容易に制御することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多糖類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳酸菌は菌の体外に多糖類を生産することが知られており、菌の種類によって多種多様な多糖類を生産する。このような多糖類は、様々な物理化学的性質や生理機能を有していることから、食品、化粧品、医療等幅広い用途で用いられており、生産性を上げるための研究は盛んになされている。
なかでも、ヒアルロン酸は、医療用途(例えば、関節炎治療剤等)、化粧品用途(例えば、保湿剤等)、食品用途等、幅広く使用され、使用目的によって様々な平均分子量のものが求められている。
ヒアルロン酸は、一定の品質の製品が容易に得られることから、多くの場合、醗酵法によって製造されている。醗酵法によってヒアルロン酸を製造する場合には、薬剤等を用いて、使用する微生物が本来有するヒアルロン酸分解酵素(ヒアルロニダーゼ)を発現しないようにした変異株を培養することにより、平均分子量の大きいヒアルロン酸を取得している(特許文献1〜3参照)。
このような方法では、分子量が大きいヒアルロン酸しか取得できないために、分子量が低いヒアルロン酸を得るためには、発酵法により得られたヒアルロン酸を精製した後に、酸やアルカリを用いて化学的に加水分解する方法が取られている(特許文献4及び5参照)。
しかしながら、このような化学的な加水分解反応ではヒアルロン酸の加水分解の程度を制御することが困難なため、平均分子量が100KDa以下まで低下してしまい、目的に応じた分子量のヒアルロン酸を得ることは非常に困難である。しかも、培養により高分子量のヒアルロン酸を得る工程と得られたヒアルロン酸を化学的加水分解する工程の少なくとも2つの工程を要するため、非常に煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平04−6356号公報
【特許文献2】特公平04−43637号公報
【特許文献3】特許第2547965号公報
【特許文献4】特公平05−77681号公報
【特許文献5】特開2007−297460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の主な目的は、中〜低分子量の多糖類を簡便に且つ効率良く製造する方法を提供することにある。本発明の方法は、特に、分子量300〜3000KDaの程度の中〜低分子量の多糖類を得るのに適した方法である。また、本発明の目的は、得られる多糖類の分子量を容易に制御することができる多糖類の製造方法を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、乳酸菌の培養に用いる培地のpHを調整することにより上記目的を達成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、培養開始時における培地中の炭素源が70〜95質量%消費された時点で、培地のpHの設定値を下げた後、さらに当該乳酸菌を培養することにより多糖類を生産する方法に係る。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、中〜低分子量の多糖類、特に、分子量300〜3000KDaの程度の多糖類を簡便に且つ効率良く製造する方法を提供することができる。また、本発明によれば、得られる多糖類の分子量を容易に制御することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、培養開始時における培地中の炭素源が70〜95質量%消費された時点で、培地のpHの設定値を下げた後、さらに当該乳酸菌を培養することにより多糖類を生産する方法に関する。
【0008】
(1)培養
本発明では、乳酸菌の培養過程において、培養途中で培地のpHの設定値を下げることにより、中〜低分子量の多糖類、特に300〜3000KDa程度の分子量(平均分子量)の多糖類を効率よく得ることができる。また、下げるpHの設定値を調整することによって、得られる多糖類の分子量を容易に制御することもできる。
【0009】
培養途中で培地のpHの設定値を変化させるのは、まずは、一般的な条件による培養によってできるだけ多くの高分子量の多糖類を得、当該多糖類の産生及び蓄積による当該多糖類の分解酵素の産生を刺激し、当該分解酵素の至適pHに調整することにより高分子の多糖類の加水分解を促進するためである。
【0010】
より詳細には、乳酸菌の培養を開始して、培養開始時における培地中の炭素源が70〜95質量%、好ましくは80〜95質量%、より好ましくは、90〜95質量%消費された時点(すなわち、培地中の炭素源の残量が培養開始時の5〜30質量%)で、培地のpHの設定値を下げる。
【0011】
炭素源が70%以上消費された時点で培地のpHを下げるのは、十分な量の高分子量の多糖類が効率良く得られるからである。炭素源が95%消費された時点までにpHを下げるのは、多糖類を分解する酵素が十分に発現するための栄養源が必要だからである。
【0012】
便宜的に、本明細書において、培地のpHの設定値を下げる前の期間を「培養前期」、培地のpHの設定値を下げた後の時間又は期間を「培養後期」と呼ぶことにする。
【0013】
培養前期の培地のpHの設定値は7〜8、好ましくは7.1〜7.8、より好ましくは、7.2〜7.6とすればよい。培養前期の培地のpHをこの範囲に設定するのは、効率よく高分子量の多糖類を得ることができるからである。実際の培地のpHは、〔設定値〕±0.2、好ましくは〔設定値〕±0.1になるように管理すればよい。
培養後期の培地のpHの設定値は、培養前期におけるpHの設定値よりも低くする。例えば、培養前期のpHの設定値より、1〜3、好ましくは1〜2.8、より好ましくは1.2〜2.6低くすればよい。培養後期の培地のpHの設定値としては、4〜6.5、好ましくは4.2〜6.5、より好ましくは4.5〜6.2とすればよい。培養後期の培地のpHを上記の値に設定するのは、多糖類を分解する酵素が効率よく働くことができるからである。実際の培地のpHは、〔設定値〕±0.2、好ましくは〔設定値〕±0.1になるように管理すればよい。
【0014】
また、培養前期から培養後期にpHを低下させる速度については限定されず、培養の規模等に応じて適宜選択することができる。例えば、0.5〜200分、好ましくは0.5〜100分、より好ましくは0.5〜20分とすればよい。
【0015】
pHの調整、すなわち、培養前期及び培養後期において、それぞれ培地のpHを一定に保つこと、及び前期から後期に移行する際にpHを変化させることは、公知の方法で行うことができる。例えば、濾過滅菌、加熱滅菌などにより滅菌した酸性の水溶液又はアルカリ性の水溶液を用いることも出来るし、滅菌せずに使用することも出来る。
【0016】
酸性の水溶液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、りんご酸、ピルビン酸、フマル酸、乳酸等の水溶液を挙げることができる。好ましくは、汎用性のある安価な硫酸の水溶液がよい。当該酸性の水溶液の濃度も限定されないが、例えば、1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%とすればよい。
また、アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等の水溶液を挙げることができる。好ましくは、汎用性のある安価な水酸化ナトリウムがよい。当該アルカリ性の水溶液の濃度も限定されないが、例えば、1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%とすればよい。
【0017】
pHの測定方法も限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、pH電極とpHコントローラーを用いて行うことができる。
また、培地中の炭素源の濃度も、公知の方法により測定することができる。本発明においては、例えば、培養期間中に、培養液から一定量の培地を採取し、フェノール硫酸法により測定することができる。
【0018】
その他の培養条件は、上記微生物が多糖類を生産できる条件であれば限定されず、微生物の種類に応じた通常の培養条件を用いることができる。通常、温度を30℃〜37℃、好ましくは、33℃〜37℃に制御して、好気的に行うことが好ましい。
【0019】
また、前記培養は、通常、前培養を行った後に本培養を行う。前培養の条件としては、グルコース、フルクトース等の炭素源、ポリペプトン、酵母エキス、麦芽エキス等の窒素源、ビタミン、無機塩類を含む培地中で、pHを4〜8、温度を30〜37℃に制御して好気的に培養することが好ましい。
このようにして得られた多糖類は、公知の方法により精製等を行うことができる。例えば、培地を必要に応じて(好ましくは、多糖類濃度が0.1〜5g/Lになるように)希釈した後、例えば遠心分離、濾過、カーボン、セライト、パーライト等を用いて菌体を除去し、菌体を除去した培地を活性炭と接触させればよい。
得られた多糖類の平均分子量は、公知の方法により求めることができる。例えば、極限粘度測定法、分子量既知のプルランを用いたGPC液クロ(示差屈折計)による相対分子量測定法、GPC液クロ(示差屈折計)と光散乱検出器の組み合わせによる絶対分子量測定法等を使用することができる。
(2)培地
培地は、上記微生物が多糖類を生産できる培地であれば限定されず、微生物の種類に応じた公知の培地を用いることができる。例えば、炭素源としてグルコース、フルクトース等の単糖類、乳糖、スクロース、マルトース等の二糖類、オリゴ糖類等;窒素源としてポリペプトン、酵母エキス等の有機窒素源;アルギニン、グルタミン酸、グルタミン等の遊離アミノ酸;ビタミン;無機塩類等;タンニン等のフェノール性水酸基を有するヒアルロニダーゼ阻害剤を含む(水に溶解した)培地を使用することができる。
【0020】
当該培地は、加熱処理(加熱殺菌)を行った後に、微生物の培養に用いることができる。微生物が完全に殺菌されれば、加熱条件は限定されない。例えば、100〜130℃で5〜30分間、より好ましくは121℃〜125℃で15〜30分間という条件を挙げることができる。
(3)乳酸菌及び乳酸菌由来の多糖類
本発明における乳酸菌とは、通常の培養により菌体外に多糖類を生産することができる乳酸菌のことである。当該乳酸菌は多糖生産能を有していれば種類は限定されない。例えば、Lactobacillus属に属する微生物、Lactococcus属に属する微生物、Leuconostoc属に属する微生物、Pediococcus属に属する微生物及びStreptococcus属に属する微生物等を挙げることができる。
乳酸菌の生産する乳酸菌由来の多糖類には、単一の糖からなるホモ多糖と、複数の単糖や単糖誘導体からなるヘテロ多糖がある。ホモ多糖には、グルコースからなるデキストラン、βグルカン、ムタン、アルテルナン;フルクトースからなるレバン、イヌリン;ガラクトースからなるガラクタン等が知られている。
デキストランを生産する乳酸菌としてLactobacillus hilgardii、Lactobacillus confusus、Lactobacillus viridescens、Leuconostoc mesenteriodes等、βグルカン生産乳酸菌としてPediococcus damnosus等、ムタン生産乳酸菌としてStreptococcus mutan、Streptococcus sobrius等、アルテルナン生産菌としてLeuconostoc mesenteriodes等、レバン生産乳酸菌としてStreptococcus mutan、Streptococcus salivarius等、イヌリン生産乳酸菌としてStreptococcus mutan等、ガラクタン生産乳酸菌としてLactococcus lactis等が挙げられる。
ヘテロ多糖は、単糖のグルコース、ガラクトース、ラムノース、フコース、糖誘導体であるN−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、グルクロン酸などが少なくとも2種類以上で構成されるユニットが連なったものである。
代表的なヘテロ多糖はN−アセチルグルコサミンとグルクロン酸からなるヒアルロン酸、グルコースとガラクトースからなるケフィランが挙げられる。ヒアルロン酸生産乳酸菌としてStreptococcus equi、Streptococcus zooepidemicus、Streptococcus pyogenes、Streptococcus uberis、Streptococcus thermophilus等、ケフィラン生産乳酸菌としてLactobacillus kefiranofaciens等が挙げられる。
ヘテロ多糖生産菌としてはLactobacillus paracasei、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus delbrue subsp.bulgaricus、Lactobacillus sakei、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus kefiranofaciens、Lactococcus lactis subsp.cremoris、Streptococcus thermophilus、Streptococcus macedonicus、Streptococcu equi、Streptococcus zooepidemicus、Streptococcus pyogenes、Streptococcus uberis等が挙げられる。
(4)ヒアルロン酸生産能を有する微生物
本発明では、多糖類を産生する微生物のうち、ヒアルロン酸を産生する微生物を用いるのが好ましい。ヒアルロン酸生産能を有する微生物としては、Streptococcus属に属する微生物が好ましい。ヒアルロン酸生産能を有するStreptococcus属に属する微生物は、一般に牛鼻腔粘膜、牛眼球に存在していることが知られている。本発明ではそこから単離された微生物を利用することもできる。また、Streptococcus属に属しない微生物でも、通常の遺伝子工学的手法を用いてヒアルロン酸生産能を得た微生物も使用することができる。
【0021】
Streptococcus属に属する微生物としては、例えば、Streptococcus zooepidemicus、Streptococcus equi、Streptococcus pyogens等が挙げられる。その中でも、Streptococcus zooepidemicusがより好ましい。
【0022】
さらに、Streptococcus属の属する微生物等のヒアルロン酸生産能を有する微生物を、紫外線、NTG(N−メチル−N´−ニトロ−N−ニトロソグアニジン)、メチルメタンスルホン酸等で処理することにより、ヒアルロニダーゼ非生産菌や非溶血性菌に改良することがより好ましい。人体または動物に悪影響を及ぼす可能性が低くなるからである。
【0023】
前記ヒアルロニダーゼ活性及び溶血性を欠損させた菌株としては、Streptococcus zooepidemicus NH−131(FERM P−7580)、Streptococcus zooepidemicus HA−116(ATCC39920)、Streptococcus zooepidemicus MK5(FERM P−21487)、Streptococcus zooepidemicus YTT2030(FERM BP−1305)が好ましく、その中でもStreptococcus zooepidemicus MK5(FERM P−21487)、Streptococcus zooepidemicus YTT2030(FERM BP−1305)が特に好ましい。
【0024】
これらのうち、FERM株については、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターより入手可能である。また、ATCC株については、American Type Culture Collectionから入手可能である。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
工程1.ストレプトコッカス・ズーエピデミカス(FERM P−21487)の培養
グルコース6質量%、ポリペプトン−N(大日本製薬株式会社製)1.5質量%、酵母エキス(オリエンタル酵母工業製)0.5質量%、硫酸マグネシウム7水塩0.01質量%、リン酸水素2ナトリウム0.05質量%、グルタミン酸ナトリウム0.05質量%、アデカプルロニックL−61(旭電化工業製)0.01質量%の組成の培地を3Lのジャーファーメンター(株式会社高杉製作所製)に2L入れ、121℃、20分間滅菌した。尚、グルコースは121℃、20分間別滅菌して、培養開始時に一度に添加した。
前培養した該菌を1(v/v)%接種し、20質量%水酸化ナトリウムにてpHを7.4に連続的に制御しながら温度37℃、攪拌数600rpm、通気量1vvmで20時間通気攪拌培養した。このとき、残存グルコースは0.6質量%であった(培養前期)。
次いで、20質量%硫酸水溶液を2分かけて添加することによりpHを6.0に調整した後、20質量%水酸化ナトリウムにてpHを6.0に連続的に制御しながら12時間通気攪拌培養した。このとき、残存グルコースは0.02質量%であった(培養後期)。
工程2.培養液の処理
前記工程1で培養した培養液(ヒアルロン酸含有液)を、イオン交換水を用いて10倍に希釈し、その2.5L水溶液のpHを4に調整後、活性炭(武田薬品社製の白鷺RW50−T)を5g、パーライト(三井金属鉱業株式会社のロカヘルプ♯409)を30g添加して、1時間処理し、ヌッチェを用いて濾過した。
工程3.ヒアルロン酸ナトリウム結晶の取得
前記工程2で調整したヒアルロン酸含有液1Lに、食塩3gを溶解、pH7に調整後、2−プロパノール6Lで析出を行い、40℃で真空乾燥し、0.5gのヒアルロン酸ナトリウム結晶を得た。
ヒアルロン酸平均分子量の測定
ヒアルロン酸ナトリウム結晶約4mgを純水5mlに溶解し、分析用サンプルとしてGPCカラムを用いた液体クロマトグラフィ−(島津製作所社製)により相対平均分子量を算出した。
使用機器
島津高速液体クロマトグラフProminenceGPCシステム
システムコントローラ:CBM−20A
液送ユニット:LC−20AD
オンラインデガッサ:DGU−20A3
オートサンプラ:SIL−20AC
カラムオーブン:CTO−20A
示差屈折率検出器:RID−10A
LCワークステーション:LCsolution Ver.1.24SP1+
分析条件
カラム:Shodex Ohpak SB−806M HQ
ガードカラム:Shodex Ohpak SP−G
溶離液:50mmol/L硫酸ナトリウム水溶液
流量:1.00ml/min
カラム温度:40.0℃
検量線作成用多糖類
平均分子量5900、9600、21100、47100、107000、200000
375000、708000のプルラン(Shodex STANDARD P−82 Lot No81001)を用いて検量線を作成した。
【0026】
その結果、工程3で得られたヒアルロン酸の平均分子量は1500KDaであった。
<実施例2>
実施例1で、培養後期における培地のpHを6.0から5.5に変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施した。得られたヒアルロン酸ナトリウムは0.5gであった。さらに、ヒアルロン酸ナトリウムの平均分子量は1000KDaであった。
<実施例3>
実施例1で、培養後期における培地のpHを6.0から5.0に変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施した。得られたヒアルロン酸ナトリウムは0.5gであった。さらに、ヒアルロン酸ナトリウムの平均分子量は600KDaであった。
<比較例1>
培地のpHを変更せず、7.4に連続的に制御しながら32時間通気攪拌培養した以外は、実施例1と同様の操作を実施した。得られたヒアルロン酸ナトリウムは0.5gであった。さらに、ヒアルロン酸ナトリウムの平均分子量は3600KDaであった。
【0027】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養開始時における培地中の炭素源が70〜95質量%消費された時点で、培地のpHの設定値を下げた後、さらに当該乳酸菌を培養することにより多糖類を生産する方法。
【請求項2】
培地のpHの設定値を1〜3下げる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
培養開始時の培地のpHの設定値が7〜8である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
培地のpHの設定値を4〜6.5へ下げる、請求項1〜3のいずれか記載の方法。
【請求項5】
乳酸菌が、ヒアルロン酸生産能を有する微生物である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
乳酸菌が、Lactobacillus属に属する微生物、Lactococcus属に属する微生物、Leuconostoc属に属する微生物、Pediococcus属に属する微生物及びStreptococcus属に属する微生物からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項5記載の方法。
【請求項7】
ヒアルロン酸生産能を有する微生物が、Streptococcus zooepidemicusである請求項6記載の方法。
【請求項8】
Streptococcus zooepidemicusが、Streptococcus zooepidemicus MK5(FERM P−21487)である請求項7記載の方法。

【公開番号】特開2011−24453(P2011−24453A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171775(P2009−171775)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】