説明

多組成物着火塊と関連する形成方法

膨張性拘束装置(例えば車両のエアバッグシステム又はプリテンショナー)のための膨張性拘束装置(例えばエアバッグシステム又は)多組成物着火材料が提供される着火剤材料が提供される。多組成物着火剤材料は、例えばガス発生剤、マイクロガスジェネレータ、又はイグナイタである。多組成物着火剤材料は、一又は複数の空隙領域を形成する第一着火剤材料を含む。第二着火剤材料は組成的に第一着火剤材料とは区別され、空隙領域の少なくとも一内に導入され、着火剤材料の第二領域を形成する。第二組成物はスラリーの形態で空隙領域に導入されうる。かかる多組成物着火材料を形成する方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受動拘束システムに関し、より詳細には、ガス発生剤着火材料と受動拘束システムで使用されるかかる材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本項の記載は本開示に関連する背景情報を単に提供するもので、先行技術を構成するものではない。
【0003】
受動膨張性拘束システムは、自動車のような様々な用途においてよく使用される。あるタイプの受動膨張性拘束システムは、着火ガス発生剤を使用して、例えばエアバッグ・クッション(ガス・イニシエータ及び/又はインフレータ)を膨張させるため又はシートベルト・テンショナー(マイクロガスジェネレータ)を作動させることにより乗員負傷を最小にする。
【0004】
ガス発生剤の性能の改善は尚も望まれている。エアバッグのような膨張性装置システムにおけるガス発生剤の性能の調整には、ガス発生剤ばかりでなくガス流を制御するハードウェアシステムの複雑な設計も必要となりうる。
【0005】
しばしば、現在のガス発生剤は、従来の自動車イニシエータ及びマイクロガスジェネレータのための独特な出力特性を達成するために二種又は三種の遊離の着火材料又は異なった形状の着火剤(ディスク状又は多孔塊(グレイン)等)の乾式混合を必要とする。更に、遊離材料は分類され又は分かれ、燃焼特性の変動につながりうる。
【0006】
従来の自動車イニシエータ及びマイクロガスジェネレータに対して独特で望ましい出力特性(調整され又は微調整可能な速度)を達成するために複数の遊離の着火材料及び/又は異なった形状の着火材料を乾式混合する必要性を排除又は低減させることが望ましいであろう。例えば、一般的なガス発生剤塊と比較して、より遅い又はより速い燃焼速度又は特性を持つ持続性のある出力を有するようにガス発生剤の燃焼特性を調整することを含む、制御された発火又は改変された燃焼時間を有し、よって変動を低減し、安全性とハンドリングを改善し、着火材料の性能能力を増大させるイニシエータ又はマイクロガスジェネレータを設計することは非常に望ましいであろう。
【発明の概要】
【0007】
様々な態様によれば、本開示は受動拘束システムにおいて使用される着火材料を提供する。該材料は、第一着火剤組成物を有する第一領域と第二着火剤組成物を有する第二領域を含む。第一領域は一又は複数の空隙領域を形成し、第二領域は、第一領域によって形成される一又は複数の空隙領域の少なくとも一内に配設され、第一着火剤組成物は第二着火剤組成物とは区別される。
【0008】
他の態様では、本開示は、受動拘束システムにおいて使用するための着火材料を提供する。該材料は、第一着火剤組成物を有する第一領域と第二着火剤組成物を有する第二領域を含む。第一領域は一又は複数の空隙領域を形成し、内部バルクを更に有する。第二領域は、内部バルク内の少なくとも一の空隙領域内に配設される。更に、第一着火剤組成物は第二着火剤組成物とは異なる。第一着火剤組成物と第二着火剤組成物はそれぞれ燃料、酸化剤、自己発火剤、バインダー、スラグ形成剤、着色剤、流動助剤、粘度調節剤、分散助剤、自己着火剤、バインダー、スラグ形成剤、クーラント、流動助剤、粘度調整剤、分散助剤、鈍感剤、賦形剤、燃焼速度修正剤、及びその混合物と組合せからなる群から独立して選択される成分を含む。
【0009】
他の態様によれば、本開示は、受動拘束システムにおいて使用される着火剤材料を提供する。該材料は、第一着火剤組成物を有する第一領域と第二着火剤組成物を有する第二領域を含む。第一領域は、一又は複数の空隙領域を形成する固形体であり、第二領域は第一領域によって形成される一又は複数の空隙領域の少なくとも一内に配設されている。更に、第二領域の表面は、第一領域の表面に実質的に付着している。更に、第一着火剤組成物は第二着火剤組成物とは区別される。第一着火剤組成物と第二着火剤組成物はそれぞれ燃料、酸化剤、自己発火剤、バインダー、及びその混合物と組合せからなる群から独立して選択される成分をそれぞれ含む。
【0010】
様々な態様によれば、本開示は、第一固形領域によって形成される一又は複数の空隙領域にスラリーを充填することを含む多組成物着火剤材料を形成する方法を提供する。第一固形領域は第一着火剤組成物を含み、スラリーは第一着火剤組成物とは区別される第二着火剤組成物を含む。一又は複数の空隙領域内に配されたスラリーは乾燥されて第二固形領域を形成し、よって多組成物着火剤材料が形成される。
【0011】
他の態様では、本開示は、第一着火剤組成物を含む固形体をつくることを含む多組成物着火剤材料を形成する方法を提供する。固形体は一又は複数の空隙領域を形成する。一又は複数の空隙領域の少なくとも一内に第二着火剤組成物が導入される。また、第一着火剤組成物は第二組成物とは区別される。
【0012】
また別の態様では、開示はそれぞれ区別される着火剤組成物を含む第一領域と第二領域を有する多組成物着火剤材料を形成する方法を提供する。該方法は、第一着火剤組成物を含む着火剤材料の第一領域を作製し、第二着火剤組成物を含む着火剤材料の第二領域を作製することを含む。第一着火剤組成物は第二組成物とは区別される。更に、第二領域は第一領域によって形成される一又は複数の空隙領域を占める。
【0013】
利用できる更なる領域はここに提供する記載から明らかになるであろう。記載と特定の実施例は単に例証の目的のためのものであって、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
ここに記載の図面は例証の目的のためだけのものであって決して本開示の範囲を限定するものではない。
【図1】図1は乗員がいる車両における例示的な受動膨張性エアバッグ装置システム及びシートベルト拘束のための例示的なプリテンショナーシステムの簡略化した部分側面図である。
【図2】図2は膨張性エアバッグ拘束装置のためのインフレータを含む助手側エアバッグモジュールの例示的部分断面図である。
【図3】図3は膨張性エアバッグ拘束装置のためのインフレータを含む運転手側エアバッグモジュールの例示的部分断面図である。
【図4】図4は安全拘束又はシートベルトシステムのためのプリテンショナーと共に使用される例示的なプリテンションシステムのマイクロガスジェネレータ(MGG)の断面図である。
【図5】図5は本開示のある態様の原理に係る多組成物着火材料の平面図である。
【図6】図5の6−6’線に沿った断面図を示す。
【図7】多組成物着火材料の燃焼の例示的な圧力対時間曲線を示す。
【図8】図8は本開示のある原理に係る例示的な他の多組成物着火材料を示す。
【図9】図9は本開示のある態様の原理に係るプレスされたモノリス多組成ガス発生剤の等角投影図である。
【図10】図10は、第二領域が本開示のある態様に従って第一の領域中の着火材料の崩壊と加速された燃焼を促進可能な例示的な多組成物着火材料を示す。
【様々な態様の記載】
【0015】
次の記載は単に例示するだけの性質のもので、本開示、応用、又は使用を限定するものではない。図面を通して、対応する参照番号は同様か又は対応する部材及び特徴を示すことが理解されなければならない。記載と特定の実施例は、本開示の様々な態様を示しながら、例示目的だけのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。更に、述べられた特徴を有する複数の実施態様の記載は、更なる特徴を有する他の実施態様、又は述べられた特徴の異なった組合せを含む他の実施態様を排除するものではない。
【0016】
膨張性拘束装置は、好ましくは、そこに含まれる着火ガス発生剤の反応からその場でガスを発生させる。本開示の様々な態様によれば、単一の塊構造中に複数の組成物を含み、着火材料の挙動を膨張性拘束装置において優れた性能特性を有するようにする着火材料が提供される。
【0017】
様々な態様では、本開示は受動拘束システムに使用される着火剤材料を提供する。かかる着火材料の例には、イグナイタ及び/又はイニシエータ材料、マイクロガスジェネレータ、及び一般的なガス発生剤が含まれる。
【0018】
背景として、膨張性拘束装置は、自動車車両用のシートベルトプリテンショナーシステム及びエアバッグモジュールアセンブリ、例えば運転手側、パッセンジャー側、側面衝撃、カーテン及びカーペットエアバッグアセンブリ、例えば他のタイプの車両、例えば船舶、飛行機、及び列車に用いられる様々なタイプの拘束システムに対して利用性を有している。着火材料のある種の例示的な応用例をここで検討するが、かかる検討は本開示の原理の利用性を限定するものと解してはならない。
【0019】
図1は例示的な運転手側の前方エアバッグ膨張性拘束装置10を示す。かかる運転手側の膨張性拘束装置は、典型的には車両16のステアリング・コラム14内に格納されるエアバッグ・クッション又はエアバッグ12を具備する。ステアリング・コラム14中のインフレータ(図示せず)に含まれるガス発生剤は、エアバッグ12を膨張させる急速に膨張するガス18をつくり出す。エアバッグ12は車両16の減速を検知してからミリ秒内に展開し車両乗員20と車両構成材22との間にバリアをつくり、乗員の負傷を最小にする。
【0020】
膨張性拘束装置は、典型的には、ガスの生成を容易にし、エアバッグを展開させ又はピストンを作動させる一連の反応を伴う。例えば、エアバッグシステムでは、エアバッグアセンブリシステム全体の作動時に、エアバッグ・クッションが数ミリ秒内に膨張し始めなければならない。
【0021】
図2は、パッセンジャーコンパートメントのインフレータアセンブリ32とエアバッグ36を格納するためにカバーされたコンパートメント34を具備する簡略化された例示的なエアバッグモジュール30を示す。かかる装置は、急速な減速及び/又は衝突が検知されたときに電気的に着火されるスクイブ又はイニシエータ40をしばしば使用する。スクイブ40からの放電が、イニシエータ又はイグナイタ材料42を通常着火し、これが急速に発熱的に燃焼し、ついでガス発生剤材料50を着火する。ガス発生剤材料50は燃焼して、エアバッグ36に向けられて膨張をもたらすガス生成物の大部分をつくる。
【0022】
様々な態様では、ガス発生剤50は着火材料を含み、当業者によく知られている固形塊(グレイン)、ペレット、タブレット等の形態でありうる。着火材料は、着火剤燃料、酸化剤、及び着火されたときに急速に燃焼してガス反応産物(例えばCO,HO,及びN)を形成する他のマイナーな成分を含有する。ガス発生剤は当該分野でまた着火材料及び/又は推進剤としても知られている。よって、ガス発生剤材料は、着火され急速な燃焼反応を受け、熱及びガス生成物を形成する一又は複数の化合物を含有する、つまり、ガス発生剤50が燃焼して膨張性拘束装置に対して加熱された膨張ガスをつくる。
【0023】
しばしば、燃焼中にガス発生剤50の近くでスラグ又はクリンカーが形成される。スラグ/クリンカーは燃焼中にガス発生剤50によって発生させられる様々な粒子及び他の化合物を隔離するのに役立つ。場合によってはフィルタ52が、ガスに混入した粒状物を除去しエアバッグ36に入る前にガスのガス温度を低下させるためにガス発生剤50とエアバッグ36との間に設けられる。
【0024】
図3は、エアバッグ64を格納するためにカバーされたコンパートメント62を有する簡略化された例示的な運転手側エアバッグモジュール60を示している。スクイブ66が、急速に発熱的に燃焼し、ついでガス発生剤材料70を着火するイグナイタ材料68内の中央に配設されている。フィルタ72が、膨張するエアバッグ64に入る流出ガス中の粒状物を低減させるために設けられる。他の着火材料を車両乗員の安全システムに用いることもできる。
【0025】
図1に示されるように、シートベルト24には、場合によっては車両中の乗員の回りのシートベルトを引っ込め締め付けるように設計されたプリテンショナーシステム26を備えてもよい。典型的には、シートベルトはセンサが車両の衝撃の発生を検知した直後に締め付けされ、「プリテンショニング」として当該分野では知られている。プリテンショナー26は、例えば自動車の急速な減速を示すセンサ機構によって着火されるマイクロガスジェネレータを有するプリテンション発生システムをしばしば使用する。このセンサ機構は場合によってはエアバッグ展開のための減速を検知するために使用されるものと同じセンサである。マイクロガスジェネレータは、仕事をつくり、プリテンショナーシステム26内のピストン(図示せず)を典型的には作動するガス圧を発生させるために使用される小さい着火材料である。マイクロガスジェネレータが発火すると、ピストンが駆動されてシリンダ内を移動し、シートベルト24に圧力をかけ、乗員20の回りのシートベルトを引っ込め締め付ける。
【0026】
図4は、例示的なシートベルトプリテションジェネレータシステム80の概略図を示す。一又は複数の接点ピン82がヘッダー84を通過する。ピン82は、ヘッダー84を通ってシールされているが、車両の急速な減速に応答して外部源(図示せず)によってつくられる電流を金属製ブリッジワイヤ又は類似の着火部材まで運び、これが適切な信号で電気的に励起されると高温のアーク又はスパークをつくり、イニシエータ材料の爆発を開始させる。ここでは図示しないが、イニシエータ材料は、ヘッダー84の上部に付設されるカップ状ホルダー又は内部缶88内に収容される。
【0027】
ホルダー88は、基部90に締結され、典型的にはOリング又は他のシール部材92によってそれとシールされている。ヘッダー84及び基部90及び関連するピン82のアセンブリは、金属製出力缶93(しばしば導波缶と称される)に取付けられ、これがホルダー88に含まれるイニシエータ材料88の着火に必要なガス圧出力をつくるためのガス発生剤材料94を含んでいる。
【0028】
基部90の下方部は、典型的には、自動車のワイヤハーネスの一部に係合する一又は複数の凹所領域98を含み、これがセンサ回路からのトリガーワイヤをピン82まで運ぶ。プリテンションジェネレータシステム80は、図1に一般に示す26のようなシートベルトプリテンショナー中に配される。
【0029】
当業者によって理解されるように、エアバッグモジュールアセンブリ及び/又はプリテンションシステムに使用されるガス発生剤材料(50,70,94)及びイニシエータ材料(42,68,88)を含む様々な着火剤材料は同様であるが、好ましくは、例えば開始のための迅速な燃焼あるいは予め決められた時間の間、予め選択された圧力でガスを発生させるための持続性のある燃焼のような、その意図された用途に調整されたそれぞれの性能特性を有している。上述の如く、ガス発生剤及びイニシエータ材料の選択には、現在の工業的な性能仕様、ガイドライン及び標準への合致、安全なガス又は流出物の発生、材料の継続的安定性、製造における対費用効率を含む様々な因子が関係する。着火剤組成物は取り扱い、保管、及び廃棄の間、安全であることが好ましい。更に、着火剤組成物はアジドを含んでいないことが好ましい。
【0030】
本開示の様々な態様によれば、受動的拘束システムに使用される着火剤材料は、第一着火剤組成物を有する第一領域と第一着火剤組成物とは区別される第二着火剤組成物を有する第二領域を含む。第一領域は一又は複数の空隙領域を形成する。ある態様では、第一領域は第一着火剤組成物から形成された固形体又は塊(グレイン)である。第二着火剤組成物は一又は複数の空隙領域の少なくとも一つに導入されてその中に配され、一体化された単一の多成分着火剤材料の第二領域を形成する。
【0031】
ある態様では、第一領域の固形物は、内部バルクの領域を有し、空隙領域の少なくとも一つが第一領域固形物の内部バルク内に延び、場合によってはその中に実質的に配される。よって、第二領域がそのような空隙領域の一又は複数に導入される場合、これらの第二領域はまた固形物の内部バルク内に実質的に配される。
【0032】
ある態様では、第一領域の表面は第二領域の表面に接触し、好ましくはその表面に実質的に付着される。よって、第一領域の表面は、第二領域の表面と一体化されて、第二領域から第一領域を分離させないで着火剤材料の保管と使用を可能にする物理的結合を材料間の界面にもたらす。
【0033】
ここで言及されるように、着火剤材料は第一及び第二領域を有するが、当業者に理解されるように、異なった組成物を有する複数の領域が考えられる。よって、ある態様では、第一領域は、様々な着火剤材料組成物を充填可能な一又は複数の空隙領域を形成する。よって、当業者に理解されるように、第一領域が複数の空隙領域を形成する場合、これら空隙領域の各々に、多組成物着火剤材料を形成する複数の区別される組成物(例えば二以上の区別される着火剤組成物)が充填されうる。
【0034】
ある態様では、多組成物着火剤(「MCP」)材料の第一領域は、一般的な方法で多孔塊をプレスするか又は押出し、調節可能な内部コア又は外形形状よって囲まれる主要な形状を有する同心又は偏心塊を形成することによって、形成することができる。典型的な着火材料は、ディスク、タブレット、ウエハー、塊(グレイン)等に形成される。第一領域は、スラリー着火剤組成物を充填する前に、更に加工し、オーブン乾燥させることができる。別の態様では、第一及び第二領域は同時に形成できる。着火剤材料の第一及び第二領域はバッチ又は連続プロセスの何れかで形成することができる。
【0035】
上述のように、第一領域は、固化して第一領域と構造的に一体化した第二領域を形成する第二着火剤組成物を充填することができる一又は複数の空隙領域を形成する。空隙領域の非限定的な例には、キャビティ、穿孔、透孔、溝、穴、ポケット、チャンネル等を含み、これは、以下に更に詳細に記載されるように、円筒、矩形、コーン状、ピラミッド状等を含む様々な形状を第一領域内にとりうる。空隙領域はまた不規則な形状を有しうる。ある態様では、第一領域の固形体は、中心又は偏心、円形、四角形、星状、十字状、又は複数ポケットを持つ様々な形状に形成されうる。よって、一又は複数の空隙領域が第一領域の形状によって形成される。従って、第二着火剤組成物を含む着火剤材料の第二領域が、着火剤材料の本体の一部を形成し、着火剤材料の表面上の単なるコーティングとは異なり、着火剤材料本体内に構造的に一体化されている。
【0036】
第二着火剤組成物を第一着火剤材料に導入して、双方の材料の加工及び同時の製作中に空隙領域を形成することができることに留意されなければならない。よって、空隙領域は第二組成物の導入前に必ずしも前もって形成される必要はない。例えば、空隙領域は第一及び第二着火剤組成物の共押出中に又は第一組成物の固化前に第一組成物中に第二組成物を導入(例えば注入による)することによって、形成されうる。何れの場合も、様々な態様の第二組成物が着火剤材料の第一領域の一又は複数の領域と一体化される。
【0037】
本開示の原理によれば、独特な多組成物又は多密度又は押出穿孔着火剤固形塊が、以下に詳細に記載されるように、空隙領域に更なる着火剤材料を充填したときに形成される。ある態様では、着火剤材料は自己接着性であり、所望の性能特性、例えば漸増的な表面積暴露、燃焼プロファイル、燃焼時間、燃焼圧等を達成し、更に難しいPTC曲線(圧対時間曲線)要件の容易な微調整を可能にする単一の多組成物着火剤塊をつくり出す。ある態様では、任意の数の適切な形状の中央孔(CP)を所望のPTCに対してつくり出すことができる。よって、数種の区別される着火剤組成物を単一の多組成物塊に導入することにより、様々な別個の材料を必要としないで着火剤の挙動を調整又は微調整する自由度が得られる。この点に関して、多成分着火剤材料は、従来の自動車イニシエータ及びマイクロガスジェネレータに対して独特の出力特性(調整された又は微調整可能な速度)を達成するために、二又は三種の遊離の着火材料又は異なった形状の着火材料(例えばディスク又は多穿孔塊)を乾式混合する必要性を排除する。
【0038】
本開示の原理は、第二着火剤組成物の含有に基づき制御された開始又は速い燃焼時間を有する着火剤材料(例えば、イニシエータ、ガス発生剤、又はマイクロガスジェネレータ)の設計を可能にする。第一着火剤組成物は第二着火剤組成物とは異なった組成を有し、単一の着火剤材料の燃焼特性を設計し、更に別個の材料の単一着火剤材料構造への一体化を可能にするという利点を両方とも奏する。このようにして、当業者には理解されるように、任意の数の異なった着火剤組成物を第一及び第二組成物に対して選択することができる。本開示において提供される例は単なる例示であり、限定するものではない。ある態様では、例えば、第一着火剤組成物は、第二着火剤組成物よりも遅い燃焼速度を有している。他の態様では、第二着火剤組成物は第一着火剤組成物よりも低い自己着火温度を有している。
【0039】
かかる多組成物着火材料を形成する方法は、材料の実質的に均質で均一な混合物をもたらす。遊離の塊状形状を混合し、又は様々な材料の組合せを提供するときにしばしば変動が生じる。これまでに記載されているように、遊離の材料は分類又は分離し、潜在的には変動する燃焼特性に至る。開示の方法はかかる変動を低減させ、より遅い又はより漸増的な燃焼速度での持続性のある出力を可能にするあるタイプの塊状物、例えば押出又はプレス塊の効果を奏する。この設計はまた、遊離の乾燥着火剤の保管及びハンドリングを低減することを含む安全面の利点を更に有しながら、遊離の着火材料の様々な組合せに対して単一の多組成物塊を充填するために労役と間接費を減少させるため、プロセスの単純化によるコスト低減を可能にする。この方法はまた検査の必要性、各組合せ及び比の完全性のための個々の重さの検査を減じ、よって改善された生産/プロセス能力を達成する。様々な態様では、多組成物着火剤塊は連続的に加工され、複雑化した乾燥と製造プロセスの現在の重複する工程の遅いライン速度をなくすることができる。
【0040】
広義には、様々な態様において、多組成物着火剤材料を製造するための方法が提供される。多成分着火剤材料は、着火剤材料の第一領域を第一着火剤組成物で作製し、着火剤材料の第二領域を第二着火剤組成物で作製することにより形成される。第一着火剤組成物は第二着火剤組成物とは区別され、第二領域は第一領域によって形成される一又は複数の空隙領域を占める。
【0041】
ある態様では、第一領域の作製と第二領域の作製が同時に起こり得、例えば第一領域と第二領域が互いに共押出された後、続いて乾燥される。他の態様では、第一領域及び第二領域を作製する方法は連続的であり、最初に第一領域が例えば固形形態に形成され、これが第二領域の作製前に起こる。ついで、第二領域を、第一領域によって形成された空隙領域に第二着火剤組成物を導入することによって作製することができる。
【0042】
従って、ある態様では、多成分着火剤材料の形成方法は、第一固形領域によって形成された一又は複数の空隙領域にスラリーを充填することを含む。第一固形領域は第一着火剤組成物を含み、スラリーは第一着火剤組成物とは区別される第二着火剤組成物を含む。一又は複数の空隙領域内に配されたスラリーは乾燥されて第二固形領域を形成し、それによって多組成物着火剤材料を形成する。
【0043】
「スラリー」はビヒクル又は担体に懸濁される微細な(相対的に小さい粒径の)実質的に不溶性の粒子固形物の流動性又はポンプ移送可能な混合物を意味する。担体に懸濁された固形材料の混合物もまた考えられる。ある態様では、スラリーは約500μm未満、場合によっては約200μm以下、ある態様では、約100μm以下の平均最大粒径を有する粒子を含む。
【0044】
よって、スラリーは、好ましくは担体中に流動性及び/又はポンプ移送可能な懸濁着火剤固形物及び他の材料を含む。適切な担体は一般的な有機溶媒並びに水性溶媒を含む。ある態様では、担体は、特定の温度と圧力で一定の化学量論割合で望ましくは蒸発する例えば水とある種のアルコールのような二以上の液体の混合物を意味する共沸混合物を含みうる。担体は、有害反応を避け、更にスラリーを形成する第二組成物の数種の着火剤成分の溶解度を最大にするために第二着火剤組成物中へ含有せしめるために選択された成分との相容性を考慮して選択されなければならない。適切な担体の非限定的な例は、水、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、又はその組合せを含む。
【0045】
当業者には理解されるように、第二着火剤組成物のスラリーの粘度は、それを第一領域によって形成された空隙領域中に導入するときに注入、ポンプ移送、押出し、ドクターブレードによる操作、又はスムーズ化できるようなものが好ましい。ある態様では、粘度は比較的高く、空隙領域中にスラリーを保持するための増粘した又はペースト状の粘稠度を有する。しかしながら、粘度は、高い必要はなく、例えば、空隙領域の意図的な封鎖又はシールかあるいは第一領域内の空隙領域の性質又は形状によって(例えば、空隙領域が固形第一領域のバルクを完全には通って延びない場合)望まれない漏洩や排出がなく空隙領域がスラリーを保持できる状況では、空隙領域に場合によっては粘度がより低くより液状のスラリーを充填し、ついで空隙領域内で乾燥させてもよい。空隙領域へのスラリーの導入例は、スラリーのポンプ移送、圧をかけてのスラリー注入、所望の空隙領域中へのスラリーの押出、ドクターブレードによる空隙領域へのスラリーの充填等々を含む。
【0046】
様々な態様では、スラリーは、典型的には、約15重量%以上の;好ましくは約20重量%以上の;ある態様では約30重量%以上の;ある態様では約40重量%以上の、含水量を有する。ある態様では、スラリーの含水量は約15重量%から約85重量%である。含水量が増加すると、スラリーの粘度が減少し、よってポンプ移送やハンドリングが容易になる一方、空隙空間中でのスラリーの保持がより困難になる。
【0047】
限定するものではないが、ある態様では、空隙領域に導入されるスラリーは、約50000から約250000センチポアズの範囲の適切な粘度を有している。かかる粘度は、適用される圧力下でスラリーの流動を可能にするが、また乾燥前に一又は複数の空隙領域にひとたび適用されるとスラリーを安定にその位置に維持させるのに適切なレオロジー特性をもたらすと考えられる。
【0048】
一又は複数の空隙領域を占めるスラリー(第二組成物)をついで乾燥させ、ここで、上述のように、スラリーが第一領域内に第二領域を形成する。第一及び/又は第二領域の乾燥は、固形着火剤材料の所望の最終水分含量に応じて、10分から数時間の範囲の時間、75℃から150℃を超えるまでの範囲の温度で通常実施される。別の態様では、第一及び第二領域は、第一及び第二領域を同時に形成するために第二組成物と共に第一着火剤組成物を共押出することにより同時に形成することができる。
【0049】
ある態様では、第一着火剤組成物を有する第一領域(固形体)は、一又は複数の空隙領域中に第二着火剤組成物を導入する前に、約70%未満の事前充填密度を有している。充填密度は、着火剤材料(ここでは第一領域を形成する第一着火剤組成物)の実際の体積を形状に対して利用できる全体積で割ったものである。別の言い方をすれば、第二領域を形成することができる着火剤材料の形状内に形成される実質的な空隙領域が存在しなければならない。この点において、事前充填密度は100%未満、好ましくは100%より有意に少なく、第二領域をそこに形成するための本体形状内に十分な空隙領域が存在することを示している。ある態様では、着火剤材料の第一領域の事前充填密度は約65%以下、場合によっては約50%以下、場合によっては約40%以下である。
【0050】
多組成物着火剤材料の最終の充填密度は、第二領域を第一領域に加え、最終着火剤材料を形成した後に(第一及び第二領域双方の体積を含む)実際に占められる着火剤材料の体積を形状に利用できる全体積で割ったものである。最終充填密度は、好ましくは、第一着火剤組成物により形成される空隙領域が第二領域を形成する第二着火剤組成物で満たされる点で比較的高い。本開示の様々な態様によれば、着火剤材料に対する充填密度は約60%以上、更により好ましくは約70%以上であるのが好ましい。ある態様では、多組成物着火剤材料は約75%以上、場合によっては約80%より大きい充填密度を有している。
【0051】
よって、ある態様では、必ずしもあらゆる空隙領域を第二組成物で満たす必要はないが、着火剤材料の第二領域は、場合によっては着火剤材料形状の全体積の約5%以上、好ましくは約10%より多くを占める。ある態様では、着火剤材料の第二領域は全体積の約15%以上、場合によっては着火剤材料の全体積の約25%より多くを占める。
【0052】
図2、3及び4に示されるガス発生剤50、70、又は94のような着火剤材料の衝撃(弾道)特性は、典型的には、着火剤材料組成、形状及び表面積、並びに材料の燃焼速度によって制御される。ある状況下では、第一領域内の材料の燃焼のための表面積を増加させるために第二領域を満たさない空隙領域を有していることが望ましい場合がある。上述のように、着火剤材料は、当業者によって認識されるように、様々な形状及び構造をとりうる。
【0053】
例示の目的で、図5及び6は例示的な多組成物着火剤材料100を示す。第一領域102は第一着火剤組成物、例えば着火剤燃料と酸化剤を含有するガス発生剤材料から形成される。第一領域102は環状ディスクに形成される。内径は中央空隙領域112を形成する。この空隙領域112は第一外側面104から、第一側面104の反対の第二外側面116まで延びる。空隙領域112は、続いて第二領域118を形成する第二着火剤組成物で満たした。この点、多組成物着火剤材料は、2つの区別される着火剤組成物を含む「骨−髄」又は同心円構造を有する。あるいは、第一及び第二領域102,118は、第一及び第二組成物の共押出により、そのような構造に同時に形成されうる。
【0054】
図7は例示的な圧力対時間曲線(PTC)を示す。マイクロガスジェネレータの利用下では、高い初期圧が必要とされる。しばしば、この高い初期圧は、特にかかるシステムにおいて利用できる質量と体積が小さいので、一般的なガス発生剤単独で達成することは困難である。図7に示されるように、所望の高い初期圧は、以下に詳細に検討するように、多組成物着火剤材料(例えば図5及び6に示されるものと同様の形状を有する)の第二領域に対して第一組成物よりも速い燃焼速度と高い初期圧を有している第二着火剤組成物、例えばTHPP又はBKNOのようなブースター燃料材料を選択することによって達成することができる。この燃焼の領域は図7に「A」と標記されている。マイクロガスジェネレータのための一般的なガス発生剤材料は、第一領域に提供され、図7に「B」に示すように、比較的遅い燃焼速度で持続性の燃焼及び圧力をもたらす。
【0055】
図8は、着火剤材料150を含む他の代替構造を示す。第一領域152は第一外表面154と第二外表面156を有する。複数の空隙領域158が第一領域152によって形成される。主要な空隙領域160は、第一外表面154から第二外表面156まで延びる中央透孔を形成する。第二着火剤組成物がそこに配され、第二領域164を形成する。第一領域152は第一領域の内部バルク領域168を通過して延びないが、第一表面154又は第二外表面156の何れかから始まり、内部バルク領域168中に部分的にだけ突出する複数の二次空隙領域162を更に含む。これらの二次空隙領域162は場合によっては更なる区別される着火剤組成物で満たされうるが、図8では第二組成物で満たされ、第一領域と構造的に一体化されて単一の着火剤材料構造150を形成する更なる第二領域164′を形成していることが示される。
【0056】
他の態様では、例示の目的で、図9は、出典明示によりその全体がここに援用される2006年6月21日出願の「モノリシックなガス発生塊」と題されたMendenhall等の米国特許出願第11/472260号に開示されたものと同様の単一のプレス成形されたモノリシックなガス発生剤塊形状210を示している。
【0057】
図9に示されるもののようにモノリシックな環状ディスク塊形状210の燃焼から生じる燃焼圧は、一般的なペレット(円筒形)又はウェハー(トロイダル環形状)のものとは区別される。図9は、環状ディスクの形態のモノリシック塊形状を形成する第一領域210を示す。第一領域210の塊形状の例示的な寸法は、約14mmの内径「a」、41mmの外径「b」、及び約22mmの高さ「c」である。複数の透孔214は第一領域210の塊形の第一外表面216から第二側面218まで延び、よって貫通して延び複数の空隙領域222を形成する第一領域塊210の本体220を貫通する開口チャネルを提供する。「a」によって定まる内径がまた空隙領域222の一部を形成する。場合によっては、これらの空隙領域222の幾らか又は全てにさえ、第二領域224を形成する第二着火剤組成物がついで充填される。図9に示されるように、空隙領域222の幾らかだけが、第二領域224を形成する第二着火剤組成物で満たされる。
【0058】
示されるように、各透孔214は約3mmの径「d」を有している。示されている第一領域塊210は30の透孔214を有しているが、透孔214の異なった構造、寸法、及び量も考えられる。透孔214の数、サイズ、及び位置は、それらが所望の初期表面積及びガス発生剤材料の比燃焼速度に関係するので、変動しうる。同様に、当業者には理解される様に、ディスクの寸法(a,b,及びc)もまた変化しうる。例えば、複数のディスクがガス発生剤として用いられる場合、高さ「c」は低減されうる。よって、第二領域224が満たされる体積は、所望される燃焼時間及び他の性能特性に基づいて選択することができ、ここで、示されているように、ある空隙領域222のみが第二領域224によって満たされている。
【0059】
図9に示すガス発生剤モノリシック塊は、好ましくは約3.5から約9の直径に対する各透孔の長さの比(L/D)を有している。図9に示す特定の実施例では、各透孔のL/D比は約7.3である。複数の透孔のL/Dの比はガス発生剤の表面積増加及び燃焼の全挙動に関係している。透孔の数と各透孔のL/Dの比はガス発生剤材料の燃焼圧曲線の形状又はプロファイルに関係する。
【0060】
図9に示したものと同様の第一領域ガス発生剤塊210のモノリシックな形状は、インフレータの流出特性の改善及びエアバッグ・クッションの展開中の乗員の安全に重要である所望レベルに長く制御され維持される燃焼圧を提供する制御された燃焼圧をもたらす。
【0061】
ある態様では、第二着火剤組成物で満たされている空隙領域(つまり、第二領域)の形状は、燃焼中に崩壊して更なる表面積を暴露する第一領域をつくり出すことによって漸増加的燃焼プロファイルを促進しうる。これは、第一組成物から形成され複数の円錐形及び/又はピラミッド形の空隙領域304を形成する第一領域302を含む着火剤材料300を有する図10に概念的に証明されている。これらの空隙領域304には第二組成物が充填され、第二領域306を形成する。第一領域302によって形成される塊の形状は第一領域302の構造的な破壊を強制し、燃焼プロファイルの修正を可能にする燃焼プロセス中の増加した暴露表面積を可能にするように設計することができる。
【0062】
第一領域は、燃料、酸化剤、自己着火材料、バインダー、スラグ形成剤、クーラント、流動助剤、粘度調整剤、分散助剤、鈍感剤、賦形剤、燃焼速度修正剤、及びその混合物と組合せからなる群から選択される着火剤成分を含む第一着火剤組成物を有する。ここに記載される着火剤成分の分類の各々の一般的特質は異なりうるが、ある共通の特質があり得、任意の与えられた材料が着火剤活性成分のかかる分類の二以上において複数の目的を果たしうることが理解される。よって、特定の有用性を有するものとしてのこの開示における材料の分類又は検討は、便宜上なすものであって、材料が、任意の与えられた組成物で使用される場合にここでのその分類に従って必ず又は専ら機能しなければならないとの推論を行ってはならない。かかる着火剤成分は典型的には保管時の着火剤材料の機能性及び/又は安定性を改善し;ガス発生剤組成物の燃焼速度又は燃焼プロファイルを修正し;ガス発生剤材料の燃焼後に残るスラグのハンドリング又は他の材料特性を改善し;着火剤原材料を取り扱い又は加工する能力を改善するように機能する。
【0063】
上述のように、第二領域を形成する第二着火剤組成物が、望ましくは別個の性能特性を提供するように第一着火剤組成物とは区別される組成物を有するのが好ましい。「区別される」とは、第一組成物が第二組成物と少なくとも一の成分によって異なり、好ましくは着火剤特性において材料差を示すことを意味する。組成物全体はそのような区別される材料のために互いに異なるが、ここに記載されるように、第一着火剤組成物と第二着火剤組成物は当業者に知られている一般的な着火材料から個々にかつそれぞれ選択される。よって、第二領域を形成する第二着火剤組成物はまた燃料、酸化剤、自己着火材料、バインダー、スラグ形成剤、クーラント、流動助剤、粘度調整剤、分散助剤、鈍感剤、賦形剤、燃焼速度修正剤、及びその混合物と組合せからなる群から選択される着火剤成分を含む。本開示では当該分野で知られ又は開発される様々な着火剤組成物が考慮され、以下に記載される特定の実施例に限定されないことに留意されなければならない。
【0064】
一般的なガス発生剤材料は少なくとも一種の燃料を含む。燃料が完全に/自己酸化されるか又は過少酸化されているかどうかに応じて、発生剤は更に酸化剤を必要としうる。多くの異なった着火材料を本開示の実施に使用することができる。第一又は第二着火剤組成物の何れかで使用するのに適した典型的な着火剤燃料の非限定的な例は、テトラゾールとその塩(例えばアミノテトラゾール、テトラゾールの鉱物塩)、ビテトラゾール、1,2,4−トリアゾール−5−オン、硝酸グアニジン、ニトログアニジン、硝酸アミノグアニジン、金属硝酸塩等を含む。かかる燃料はその比較的低い燃焼速度のためにガス発生剤燃料として一般に分類される。かかる燃料は典型的には酸化剤の含有をまた必要とする。
【0065】
ある態様では、本開示の着火材料へ含有するための適切な燃焼速度、密度、及びガス収量を有するガス発生剤組成物は、その開示の全体を出典明示によりここに援用するMendenhall等の米国特許第6958101号に記載されたものを含む。米国特許第6958101号は、本開示の着火材料のための適した燃料を開示し、置換塩基性金属硝酸塩を有する非アジド化合物を含む。
【0066】
置換塩基性金属硝酸塩は、酸性有機化合物を塩基性金属硝酸塩と反応させることによって形成される反応産物を含みうる。反応は、硝酸塩化合物のヒドロキシル基が部分的に置換されるように酸性水素と塩基性金属硝酸塩との間で起こると考えられるが、塩基性金属硝酸塩の構造一体性は置換反応によって危うくされることはない。このガス発生剤は、場合によっては、窒素含有複素環式酸性有機化合物と塩基性金属硝酸塩の反応産物である置換塩基性金属硝酸塩を含む材料を含む。
【0067】
適切な酸性有機化合物の例には、限定されないが、テトラゾール、イミダゾール、イミダソリジノン、トリアゾール、ウラゾール、ウラシル、バルビツール酸、オロチン酸、クレアチニン、尿酸、ヒダントイン、ピラゾール、その誘導体及び混合物が含まれる。特に適切な酸性有機化合物はテトラゾール、イミダゾール、その誘導体及び混合物を含む。かかる酸性有機化合物の例は、5−アミノテトラゾール、ビテトラゾール二水和物、及びニトロイミダゾールを含む。ある態様によれば、好ましい酸性有機化合物は5−アミノテトラゾールを含む。
【0068】
一般に、適切な塩基性金属硝酸塩化合物は、塩基性金属硝酸塩、塩基性遷移金属硝酸塩ヒドロキシ複塩、塩基性遷移金属硝酸塩層状複水酸化物、及びその混合物を含む。塩基性金属硝酸塩の適切な例には、限定されないが、塩基性硝酸銅、塩基性硝酸亜鉛、塩基性硝酸コバルト、塩基性硝酸鉄、塩基性硝酸マンガン及びその混合物が含まれる。ある好適な実施態様では置換化合物の塩基性金属硝酸塩は塩基性硝酸銅を含む。
【0069】
よって、ある実施態様では、米国特許第6958101号に開示された向上した燃焼速度のガス発生剤組成物は、塩基性金属硝酸塩、例えば塩基性銅、亜鉛、コバルト、鉄及びマンガンの硝酸塩、塩基性遷移金属硝酸塩ヒドロキシ複塩、塩基性遷移金属硝酸塩層状複水酸化物の反応産物、及びテトラゾール、テトラゾール誘導体、及びその混合物のような酸性有機化合物と反応したその混合物を含む。
【0070】
形成された置換塩基性金属硝酸塩反応産物には、5−アミノテトラゾール置換塩基性硝酸銅、ビテトラゾール二水和物置換塩基性硝酸銅、ニトロイミダゾール置換塩基性硝酸銅が含まれ、これらは全て開示の着火材料に使用される適切な燃料である。
【0071】
当業者には理解されるように、かかる燃料組成物は、例えば補助燃料のようなガス発生剤中の更なる成分と組み合わせることができる。例えば、ある実施態様では、ガス発生剤組成物は上述のような置換塩基性金属硝酸塩と、窒素含有補助燃料を含有する。窒素含有補助燃料の適切な例は硝酸グアニジンである。着火剤組成物における燃料の一部としての硝酸グアニジンのような様々な補助燃料の使用の望ましさは、例えば燃焼速度、費用、安定性(例えば熱的安定性)、入手可能性及び適合性(例えば他の標準的な又は有用な着火剤組成物成分との適合性)等の因子の組合せに一般に基づく。
【0072】
ある態様では、ガス発生剤組成物は、約5から約95重量%の置換塩基性金属硝酸塩化合物を含む。例えば、向上した燃焼速度のガス発生剤組成物は、約5から約95重量%の5−アミノテトラゾール置換塩基性硝酸銅を含みうる。ある実施態様では、着火剤ガス発生剤組成物は約5から約60重量%の補助燃料を含む。特定の一ガス発生剤組成物は、約5から約60重量%の硝酸グアニジン補助燃料と約5から約95重量%の置換塩基性金属硝酸塩を含む。
【0073】
一般に、様々なタイプの着火剤燃料、例えば上で検討したものの何れかは、各着火剤組成物の約5重量%から約95重量%の量で第一又は第二着火剤組成物の何れかに存在しうる。
【0074】
ある種の着火剤燃料は、より速い燃焼時間、より高い反応速度、及び/又はより低い着火温度を有しており、イニシエータ又はブースター燃料とみなされる。ある態様では、かかるイニシエータ又はブースター燃料は多組成物着火剤材料の第二着火剤組成物に含めるのに特に適している。かかるブースター材料には、エチルセルロース、ニトロセルロース、金属水素化物着火材料、例えば過塩素酸カリウム水素化ジルコニウム(ZHPP)及び過塩素酸カリウム水素化チタン(THPP)、過塩素酸カリウムジルコニウム(ZPP)、硝酸カリウムホウ素(BKNO)、シス−ビス−(5−ニトロテトラゾラト)テトラアミンコバルト(III)過塩素酸塩(BNCP)、及びその混合物が含まれる。これらのブースター燃料の幾つか、例えばエチルセルロースは、酸化剤の含有を必要としうる。かかるブースター又はイニシエータ燃料は第一又は第二何れかの着火剤組成物の約50重量%以下の量で存在しうる。
【0075】
着火剤組成物のための酸化剤は従来からよく知られており、非限定的な例には、アルカリ、アルカリ土類及びアンモニウムの硝酸塩、亜硝酸塩及び過塩素酸塩、金属酸化物、塩基性金属硝酸塩、硝酸アンモニウムの遷移金属錯体及びその組合せが含まれる。有利には、酸化剤は、燃焼時に着火材料から効果的に高い燃焼速度とガス収量を達成する推進薬組成物をもたらすか生じるように選択される。適切な酸化剤の特定の例には過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム又は過塩素酸を含まない酸化剤、例えば塩基性硝酸銅(II)のような塩基性硝酸金属が含まれる。塩基性硝酸銅(II)は高い金属対酸素比及び良好なスラグ形成能を有している。かかる酸化剤は、着火剤材料の各第一又は第二着火剤組成物の約50重量%以下の量で存在しうる。
【0076】
着火剤組成物は場合によっては自己着火材料を含有する。自己着火剤は、予め選択された温度、好ましくはガス発生剤システムにおける突発的故障、例えば通常の操作条件温度を超える極度の熱への暴露時にエアバッグインフレータの潜在的な爆発、崩壊、又は破裂に至りうるものより低い温度で自然に燃焼する材料である。現在のシステムでは、これらの温度は約135℃から約200℃を超えるまでの範囲でありうる。自己着火材料は、ブースター/イニシエータ組成物及び/又はガス発生剤を着火し、高温でのガス発生剤の安全な機能化をもたらす。よって、ガス発生剤は、イグナイタと自己着火材料を含む二つの別個の経路によって着火され得、異常な条件において安全なガス発生剤の展開を可能にする。かかる自己着火材料は正常な操作条件中においてガス発生剤の燃焼を増加させ、実際ブースター組成物として作用させるために用いることもできる。更に、自己着火材料は、ある着火材料の互いのカップリングを改善しうる。
【0077】
自己着火材料は、所望の予め選択された温度で自己着火するように処方された単一の自己着火剤又は剤混合物を含有しうる。当該分野で知られている適切な自己着火材料の幾つかの例は硝酸銀及び無煙火薬、例えば商品名IMR4895でデュポン社によって販売されているものを含む。適切な自己着火材料の他の例は、出典明示によりその全体がここに援用され、アゾジカルボンアミド(ADCA)燃料と塩基性硝酸銅(II)(BCN)酸化剤の混合物を含む自己着火材料を記載しているMendenhall等の米国特許出願公開第2006/0102259号に開示されているものを含む。
【0078】
バインダーは、ガス発生剤固形物の形状を保持するために、特にそれらが押出及び/又は成形によって形成される場合、また貯蔵及び使用中の破砕を防止するために着火剤組成物に一般に使用される。更に、本出願では、バインダー第二組成物を第一組成物に接着させるように機能し、それによって第一領域と第二領域間に構造的結合を形成しうる。例えば、様々な着火剤成分の乾式混合混合物を液体バインダー樹脂と混合し、押出した後、硬化させることができる。あるいは、固形ポリマーバインダー塊を溶媒に溶解させ又は融点まで加熱し、ついで他の着火剤成分と混合し、押出又は成形することができる。上述のように、ある態様では、第一着火剤組成物は場合によってはバインダーを含まなくともよいが、しかしある態様では、その間の接着性及び結合性を増加させるために第一及び第二双方の着火剤組成物中にバインダーを提供することが望ましい場合がある。様々な態様では、第二着火剤組成物中のバインダーが望ましい。
【0079】
適切なバインダー、例えば高分子バインダーには、有機皮膜形成剤、無機ポリマー、熱可塑性及び/又は熱硬化性ポリマーが含まれる。一般的な高分子バインダーの例には、限定されるものではないが、天然ゴム、セルロース性エステル、ポリアクリレート、ポリスチレン、シリコーン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリブタジエン、及びその混合物と組合せが含まれる。
【0080】
他の適切な着火添加剤は、スラグ形成剤、流動助剤、粘度調整剤、プレス助剤、分散助剤、又は鈍感剤を含む。スラグ形成剤、例えば耐火性化合物の非限定的な例は、酸化アルミニウム及び/又は二酸化ケイ素である。一般に、かかるスラグ形成剤は、各着火剤組成物中に0から約10重量%の量で含められうる。
【0081】
ガス温度を低下させるためのクーラント、例えば塩基性炭酸銅又は他の適切な炭酸塩を0から約20重量%で着火剤組成物に加えてもよい。同様に、圧縮加工中に使用されるプレス助剤は潤滑剤及び/又は離型剤、例えばグラファイト、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムを含み、0から約2%で着火剤組成物中に存在しうる。ある態様では、着火材料は場合によっては流出及び燃焼特性を有意に害さないで破砕強度を改善するために低レベルのある種のバインダー又は賦形剤を含んでもよい。かかる賦形剤には、例として微結晶性セルロース、スターチ、カルボキシアルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)が含まれる。存在する場合、かかる賦形剤は各着火剤組成物中に10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約3%未満で含められうる。
【0082】
また、燃焼速度の傾きの感圧性を変更することにより着火剤燃料材料の燃焼プロファイルを変更するためにある種の成分を加えることができる。一つのかかる例は銅ビス−4−ニトロイミダゾールである。かかる影響を持つ薬剤はここでは感圧性改変剤と呼び、これらは0から薬10重量%で何れかの着火剤組成物に存在しうる。かかる添加剤は、その開示の全体を出典明示によりここに援用する「銅錯化イミダゾール及び誘導体でのガス生成」と題されたMendenhall等の米国特許出願第11/385376号により詳細に記載されている。着火材料に対して従来から知られているか又は開発される他の添加剤も、それらが着火剤材料の望ましい燃焼プロファイル特性を過度に損なわない限り、同様に本開示の様々な実施態様における使用について考えることができる。
【0083】
本開示の他の効果にはエアバッグモジュール又はプリテンショナーのアセンブリにおけるハードウェアの単純化が含まれる。理解されうるように、幾つかの異なったタイプの材料を単一の着火剤組成物に組み合わせると、別個のイニシエータ及び/又は複数の(つまり2段階)ドライバインフレータに対する必要性を潜在的に排除する。二つのドライブインフレータは、所望の燃焼及び燃焼プロファイルを達成するためにインフレータ装置に段階分けされる二つの区別されるガス発生剤を有する。二段階インフレータでは、第一ガス発生剤は、第一燃焼期間の間エアバッグ・クッションを膨張させるのに十分なガス生成物を提供するが衝撃/衝突の全期間にわたる必要とされる時間の間クッション圧を維持するには不十分な燃焼速度とガス収量を有する。しかして、第二のガス発生剤(しばしば異なった組成を有する)が第二段階で着火され、衝撃中の第二の期間に対してバッグに加圧ガス生成物を提供する。かかる段階化は、衝突の深刻度に応じて、衝突中の衝撃力に比例して応答するためにまた使用することができる。しかしながら、二段階ドライバは、複雑な機械的ハードウェア及び制御システムを有し、コスト高となる。更に、デュアルガス発生剤は制御されない誘導(sympathetic)着火反応を生じうる。
【0084】
例えば、デュアル段階ドライバーの一般的な構成は第一イグナイタシステム内に第二イグナイタシステムを入れ子にすることを含む。デュアルイグナイタは、格納装置、電気配線、イニシエータ、短絡クリップ、段階化カップ、蓋、より複雑化した基部等々を含む様々なハードウェア成分に対して重複を生じる。更に、他のガス発生剤充填ステーションが発生剤の更なる段階に対して必要とされる。操作中、着火の第二段階中の燃焼圧の制御は、第一段階が尚発火している場合があり及び/又は加圧ガスで周りの領域を既に加熱しているので、困難である。蓋とカップの間の流れ面積は一定でない場合があり、第二段階から燃焼圧を制御することは難しい場合がある。更に、第二段階の発生剤の意図しない燃焼が起こりうる第一段階から第二段階への燃焼ガスの漏れによって複雑さが潜在的に生じ得る。よって、単一のガス発生剤塊に二つのガス発生剤組成物を提供することによって、このような複雑なハードウェアの必要性が潜在的に除去される。
【0085】
同様に、ガス発生剤にブースター材料を含有させることにより大きなイグナイタシステムの必要性が低減又は除去されうる。同様にして、単一着火剤材料塊に自己着火材料を含有させることは、自己着火材料の別個の格納の必要性を排除することによってシステム装置の構造を簡素化することができる。よって、本開示の原理によってもたらされるフレキシビリティは、本開示の様々な実施態様に係る単一の統一構造における改良された着火材料の使用によって安全性及び性能の複雑化を更に潜在的に避けながら、複雑なハードウェア及び段階化システムを低減し及び/又は排除する可能性を提供する。更に、かかる材料は、改良された燃焼速度、燃焼タイミング、燃焼プロファイル、及び様々な着火剤材料の性能を調整するための流出性を含む好ましい設計を可能にする。
【0086】
本開示の実施態様はここに含まれる特定の実施例によって更に理解されうる。特定の実施例は、本開示の組成物を如何に製造し本開示の方法を如何に使用するかを例証するために提供するもので、別段の記載が明示的にない限り、本開示の与えられた実施態様が実施され又は実施されず、又は製造され又は試験されたことを表すものではない。
【実施例】
【0087】
実施例1
一実施例では、ガス発生剤用の5−アミノテトラゾール置換塩基性硝酸銅(II)燃料は、上に記載した代表的な置換反応(1)によって形成される。72.7lbの5−アミノテトラゾールを42ガロンの温水に入れて5−アミノテトラゾール溶液を形成する。272.9lbの塩基性硝酸銅(II)を5−アミノテトラゾール溶液にゆっくりと添加する。5−アミノテトラゾール及び塩基性硝酸銅(II)を、反応が実質的に完了するまで90℃で反応させる。反応混合物に139.95lbの硝酸グアニジンと14.45lbの二酸化ケイ素を加える。ついで、スラリー化した混合物を噴霧乾燥させる。
【0088】
離型剤(不活性炭素、つまりグラファイト)と20.83lbの塩基性炭酸銅(クーラント)を噴霧乾燥した組成物と乾式混合する。混合粉末を、例えば図9に示すような複数の透孔又は空隙領域を有する環状ディスク形のような所望の形状を有する予め成形された金型に配される。金型及び粉末を、50トンを越える圧を作用させることができる大きい高トン数の液圧プレスに配する。原材料をプレスしてモノリシックなガス発生剤固形物を形成する。
スラリーは、24.4gの水、75gのBKNO及び0.6gのヒドロキシプロピルメチルセルロースバインダーを8分間混合することによって調製する。スラリーはおよそ25000から35000cPの粘度を有している。該スラリーをモノリシックな固体の上部に塗布し、透孔をスラリーで満たす。ドクターブレードが材料を圧縮し、過剰の材料を除去する。スラリーが充填された透孔を有するモノリシックな塊を165℃で1時間乾燥させて中実の多組成物着火剤固形塊を形成する。
【0089】
本開示は製造が経済的な着火剤組成物をまた更に提供する。本開示はまた従来のガス発生剤の制限の一又は複数を解消する燃焼率の向上した着火剤材料を提供する。
【0090】
特定の実施例を明細書に記載し図面に示したが、特許請求の範囲に記載される本教示の範囲を逸脱しないでその部材について様々な変更をなし得、均等物に置換し得ることが当業者によって理解されるであろう。更に、様々な実施例間における特徴、部材及び/又は機能を組合せたり一致させたりすることがここでは明示的に考慮され、当業者であれば、別の記載がなされていない限り、一実施例の特徴、部材及び/又は機能を適宜他の実施例に取り込んでもよいことを本教示から理解するであろう。更に、特定の状況又は材料をその本質的な範囲から逸脱しないで本教示に適合させるように変更を加えることができる。従って、本教示は図面に示され本教示を実施するための現在考えられる最良の形態として明細書に記載された特定の実施例には限定されず、本開示の範囲は上記明細書及び添付の特許請求の範囲内の任意の実施態様を含むことが意図されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動拘束システムに使用される着火剤材料であって、第一着火剤組成物を有する第一領域と、第二着火剤組成物を有する第二領域を含み、上記第一領域が一又は複数の空隙領域を形成し、上記第二領域が上記一又は複数の空隙領域の少なくとも一内に配設され、上記第一着火剤組成物が上記第二着火剤組成物とは区別される材料。
【請求項2】
上記第一着火剤組成物及び上記第二着火剤組成物が、燃料、酸化剤、自己着火剤、バインダー、スラグ形成剤、クーラント、流動助剤、粘度調整剤、分散助剤、鈍感剤、賦形剤、燃焼速度修正剤、及びその混合物及び組合せからなる群から独立して選択される成分をそれぞれ含む請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項3】
上記第二着火剤組成物がブースター燃料を含む請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項4】
上記第二着火剤組成物が、過塩素酸カリウム水素化ジルコニウム(ZHPP)及び過塩素酸カリウム水素化チタン(THPP)、過塩素酸カリウムジルコニウム(ZPP)、硝酸カリウムホウ素(BKNO)、過塩素酸シス−ビス−(5−ニトロテトラゾラト)テトラアミンコバルト(III)(BNCP)、及びその組合せからなる群から選択される化合物を含む請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項5】
上記第一着火剤組成物がブースター燃料を含み、上記第二着火剤組成物が自己着火材料を含む請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項6】
上記第一着火剤組成物がガス発生剤燃料を含み、上記第二着火剤組成物がブースター燃料を含む請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項7】
上記第一着火剤組成物がガス発生剤燃料を含み、上記第二着火剤組成物が自己着火材料を含む請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項8】
上記第一着火剤組成物が第二着火剤組成物よりも遅い燃焼速度を有する請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項9】
上記第二着火剤組成物が上記第一着火剤組成物より低い自己着火温度を有する請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項10】
着火剤材料が約70%以上の最終充填密度を有している請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項11】
上記第二領域が、着火剤材料体の体積の10%より多くを含む請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項12】
上記第一領域によって形成される上記一又は複数の空隙領域が、上記第一領域によって形成される形状の体積の約10%より多くを含む請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項13】
上記第一領域が内部バルクを有し、上記第二領域の少なくとも一が上記第一領域の上記内部バルク内に少なくとも部分的に配されている請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項14】
第一領域が第一外表面と該第一表面とは反対の第二外表面を有し、上記第二領域の少なくとも一が上記第一外表面から上記第二外表面まで延びる請求項1に記載の着火剤材料。
【請求項15】
受動拘束システムに使用される着火剤材料であって、第一着火剤組成物を有する第一領域と第二着火剤組成物を有する第二領域を含み、上記第一領域が上記第一領域の内部バルク内に配される一又は複数の空隙領域を形成し、上記第二領域が上記第一領域によって形成される上記一又は複数の空隙領域の少なくとも一内及び上記内部バルク領域内に配され、上記第一着火剤組成物が上記第二着火剤組成物とは区別され、上記第一着火剤組成物と上記第二着火剤組成物が、燃料、酸化剤、自己着火剤、バインダー、スラグ形成剤、クーラント、流動助剤、粘度調整剤、分散助剤、鈍感剤、賦形剤、燃焼速度修正剤、及びその混合物と組合せからなる群から独立して選択される成分をそれぞれ含む材料。
【請求項16】
上記第一着火剤組成物がガス発生剤燃料を含み、上記第二着火剤組成物が、自己着火剤、ブースター燃料及びその組合せからなる群から選択される成分を含む、請求項15に記載の着火剤材料。
【請求項17】
上記第一着火剤組成物が、イニシエータ組成物及びマイクロガスジェネレータ組成物からなる群から選択され、上記第二着火剤組成物が自己着火剤、ブースター燃料及びその組合せからなる群から選択される成分を含む請求項15に記載の着火剤材料。
【請求項18】
受動拘束システムに使用される着火剤材料であって、第一着火剤組成物を有する第一領域と第二着火剤組成物を有する第二領域を含み、上記第一領域が一又は複数の空隙領域を形成する固形体であり、上記第二領域が、上記第一領域によって形成される上記一又は複数の空隙領域の少なくとも一内に配され、上記第二領域の表面が上記第一領域の表面に実質的に付着され、上記第一着火剤組成物が上記第二着火剤組成物とは区別され、上記第一着火剤組成物と上記第二着火剤組成物がそれぞれ燃料、酸化剤、自己着火剤、バインダー、及びその混合物と組合せからなる群から独立して選択される成分を含む材料。
【請求項19】
上記第一着火剤組成物が第二着火剤組成物よりも遅い燃焼速度を有している請求項18に記載の着火材料。
【請求項20】
上記第一着火剤組成物が第二着火剤組成物よりも速い燃焼速度を有している請求項18に記載の着火材料。
【請求項21】
上記第二着火剤組成物が上記第一着火剤組成物よりも低い自己着火温度を有する請求項18に記載の着火材料。
【請求項22】
多組成物着火剤材料を形成する方法であって、
第一固形領域によって形成される一又は複数の空隙領域にスラリーを充填し、ここで、上記第一固形領域は第一着火剤組成物を含み、スラリーは第一着火剤組成物とは区別される第二着火剤組成物を含み;
一又は複数の空隙領域内に配されたスラリーを乾燥して第二固形領域を形成し、よって多組成物着火剤材料を形成する
ことを含む方法。
【請求項23】
スラリーが約15重量%以上の含水量を有する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
スラリーが水性化合物を含む請求項22に記載の方法。
【請求項25】
スラリーが、共沸混合物を形成する少なくとも二種の化合物を含む請求項22に記載の方法。
【請求項26】
スラリーが約500μm未満の平均最大粒径を有する粒子を含む請求項22に記載の方法。
【請求項27】
スラリーが約50000から約250000センチポアズの粘度を有する請求項22に記載の方法。
【請求項28】
上記第一固形領域が上記第二固形領域に接触し、実質的に付着している請求項22に記載の方法。
【請求項29】
上記第一着火剤組成物と上記第二着火剤組成物は、燃料、酸化剤、自己発火剤、バインダー、スラグ形成剤、着色剤、流動助剤、粘度調節剤、分散助剤、自己着火剤、バインダー、スラグ形成剤、クーラント、流動助剤、粘度調整剤、分散助剤、鈍感剤、賦形剤、燃焼速度修正剤、及びその混合物と組合せからなる群から独立して選択される成分をそれぞれ含む請求項22に記載の方法。
【請求項30】
上記第二着火剤組成物は、過塩素酸カリウム水素化ジルコニウム(ZHPP)及び過塩素酸カリウム水素化チタン(THPP)、過塩素酸カリウムジルコニウム(ZPP)、硝酸カリウムホウ素(BKNO)、シス−ビス−(5−ニトロテトラゾラト)テトラアミンコバルト(III)過塩素酸塩(BNCP)、その混合物及び均等物からなる群から選択される化合物を含む請求項22に記載の方法。
【請求項31】
上記第一着火剤組成物が第二着火剤組成物よりも遅い燃焼速度を有する請求項22に記載の方法。
【請求項32】
上記第一着火剤組成物が第二着火剤組成物よりも速い燃焼速度を有する請求項22に記載の方法。
【請求項33】
上記第二着火剤組成物が上記第一着火剤組成物より低い自己着火温度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項34】
着火剤材料が約70%以上の最終充填密度を有している請求項22に記載の方法。
【請求項35】
上記固形第二領域が、着火剤材料体の体積の10%より多くを含む請求項22に記載の方法。
【請求項36】
上記固形第一領域によって形成される上記一又は複数の空隙領域が、上記第一領域によって形成される形状の体積の約10%より多くを含む請求項22に記載の方法。
【請求項37】
多組成物着火剤材料を形成する方法であって、
第一着火剤組成物を含む固形体をつくり、ここで固形体が一又は複数の空隙領域を形成し;
上記一又は複数の空隙領域の少なくとも一内に第二着火剤組成物を導入することを含み、ここで第一着火剤組成物が第二組成物とは区別され、それによって多組成物着火材料が形成され、第一及び第二着火剤組成物が燃料、酸化剤、自己発火剤、バインダー、スラグ形成剤、着色剤、流動助剤、粘度調節剤、分散助剤、自己着火剤、バインダー、スラグ形成剤、クーラント、流動助剤、粘度調整剤、分散助剤、鈍感剤、賦形剤、燃焼速度修正剤、及びその混合物と組合せからなる群から選択される成分をそれぞれ含む方法。
【請求項38】
第一領域と別個の第二領域を有する多組成物着火剤材料を形成する方法であって、
第一着火剤組成物で着火剤材料の第一領域を作製し;
第二着火剤組成物で着火剤材料の第二領域を作製し;ここで、第一着火剤組成物が第二組成物とは区別され、第二領域が第一領域によって形成される一又は複数の空隙領域を占める方法。
【請求項39】
上記第一領域の作製と上記第二領域の作製が同時に起こる請求項38に記載の方法。
【請求項40】
第一領域と第二領域が互いに共押出され、続いて乾燥される請求項39に記載の方法。
【請求項41】
上記第一領域の作製が、上記第二領域の作製の前に第一着火剤組成物の固形物を形成することを含み、上記第二領域の作製が、上記固形第一領域の上記空隙領域にスラリーを導入し、ついで該スラリーを乾燥させることを含む請求項38に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−536691(P2010−536691A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520991(P2010−520991)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/009472
【国際公開番号】WO2009/023119
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(597065363)オートリブ エーエスピー,インコーポレイティド (87)
【Fターム(参考)】