多結晶シリコンインゴット製造装置、多結晶シリコンインゴット、多結晶シリコンウエハ、多結晶シリコン太陽電池、多結晶太陽電池モジュール
【課題】ヒータが側方に配置された場合にインゴット割れおよび結晶欠陥の発生を抑制し、高品質な多結晶シリコンインゴットを低コストで製造する。
【解決手段】坩堝20と、坩堝20の側方に位置するヒータと、坩堝20の底面部と接触して位置する載置台40とを備える。載置台40においては、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きい。
【解決手段】坩堝20と、坩堝20の側方に位置するヒータと、坩堝20の底面部と接触して位置する載置台40とを備える。載置台40においては、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンインゴット製造装置、多結晶シリコンインゴット、多結晶シリコンウエハ、多結晶シリコン太陽電池、多結晶太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題から、石油など化石燃料エネルギーの代替として自然エネルギーの利用が注目されている。自然エネルギーを利用して発電する太陽電池は、大きな設備を必要とせず、また、稼働時の騒音が発生しないことなどの理由により、日本および欧州などで積極的に導入されている。
【0003】
太陽電池においては、カドミウムテルルなどの化合物半導体からなる新たな太陽電池の開発が進んでいる。しかし、物質自体の安全性、これまでの使用実績および価格の面から、結晶シリコンを基板として用いた太陽電池が現在大きなシェアを占めている。その中でも、多結晶シリコンウエハ(以下、単にウエハとも称する)から作製された多結晶シリコン太陽電池が占める割合が大きい。
【0004】
多結晶シリコン太陽電池向けの用途に広く用いられているウエハは、一般的にキャスト法と呼ばれる方法で製造されている。キャスト法によるウエハの製造方法においては、坩堝内で溶融シリコンを一方向凝固させて多結晶シリコンインゴット(以下、単にインゴットとも称する)を成長させた後、そのインゴットからブロック状に切り出して、さらにスライスすることによりウエハを作製する。
【0005】
キャスト法により製造したウエハは、インゴット内のどの高さから取り出されたかによって、太陽電池を作製した際の特性にばらつきを有する。
【0006】
図22は、ウエハが取り出されたインゴットにおける高さ方向の位置と、そのウエハから形成された太陽電池の出力との一般的な関係を示すグラフである。なお、図22においては、縦軸に太陽電池出力、横軸にウエハが取り出されたインゴットにおける位置を示している。
【0007】
図22に示すような太陽電池出力のばらつきの原因は、一般的に以下のように説明されている。溶融シリコンを一方向凝固させた際の初期の段階で凝固したインゴット下部の領域Iにおいては、坩堝からシリコン結晶内に多くの不純物が拡散している。その不純物の影響によって、領域Iから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性が低下する。
【0008】
領域Iの上部に位置する領域IIにおいては、偏析により、結晶中に取り込まれる不純物量は少量であり、かつ、結晶欠陥も少ない。そのため、領域IIから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性は、インゴット中またはブロック中において最も良好となる。
【0009】
領域IIの上部に位置する領域IIIにおいては、徐々に結晶中に取り込まれる不純物量が増加するとともに結晶欠陥が増加する。そのため、領域IIIから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性は、領域IIから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性に比較して低下する。
【0010】
領域IIIの上部に位置する領域IVにおいては、領域IIIよりも結晶中に取り込まれる不純物量が増加するとともに結晶欠陥がさらに増加する。また、インゴットが完全に凝固した後に、インゴットの最上部の表面部分に現れる不純物の高濃度部分から、不純物の逆拡散が起こることにより、結晶中に取り込まれる不純物量がさらに増加する。
【0011】
そのため、領域IVから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性は、領域IIIから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性に比較して顕著に低下する。
【0012】
上記の説明では、原料中の不純物の影響、および、坩堝から溶け出す不純物の影響を考慮したが、仮にこれらの影響がないとしても、領域III,IVにおいては、上方に向かうにしたがって少数キャリアトラップとなる結晶欠陥が徐々に増加する。そのため、インゴットの上部に行くにしたがって、取り出されるウエハから形成された太陽電池の出力特性は低下する傾向にある。
【0013】
結晶欠陥が発生する原因は、インゴット中の温度分布に起因する応力であると考えられる。応力が特に大きな場合、インゴットに割れなどが発生することがある。そのため、インゴット中の温度分布の制御が重要であり、特に結晶成長時の固液界面を平坦化することが望ましい。
【0014】
インゴット割れおよび結晶欠陥の抑制を図ったシリコン鋳造装置を開示した先行文献として、特許文献1(特開2005−152985号公報)および特許文献2(国際公開第2005/092791号)がある。
【0015】
特許文献1に記載されたシリコン鋳造装置においては、鋳型の底部の中心部から鋳型ホルダーを経る熱流束が、鋳型の側部の直下部から鋳型ホルダーを経る熱流束より大きくなるように構成されている。
【0016】
特許文献2に記載されたシリコン鋳造装置においては、放熱面と受熱面との熱交換面積を変化させるために、底面冷却部材が鋳型または台座に対して相対移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2005−152985号公報
【特許文献2】国際公開第2005/092791号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
特許文献1に記載されたシリコン鋳造装置は、鋳型加熱手段が鋳型の上部に設けられている場合にのみ適用可能であって、鋳型加熱手段が鋳型の側方に設けられている場合については考慮されていない。
【0019】
特許文献2に記載されたシリコン鋳造装置においては、可動部材が多く装置構成が複雑である。このようなシリコン鋳造装置においては、装置内が高温に曝されることによる可動部材の故障が発生しやすくなって装置の安定性が低くなる。また、複雑な装置構成のために装置コストが高くなる。
【0020】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ヒータが側方に配置された場合にインゴット割れおよび結晶欠陥の発生を抑制可能で、かつ、廉価で安定して製造可能な、多結晶シリコンインゴット製造装置、多結晶シリコンインゴット、多結晶シリコンウエハ、多結晶シリコン太陽電池、多結晶太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に基づく多結晶シリコンインゴット製造装置は、溶融したシリコンを下方から上方に向けて一方向凝固させることにより多結晶シリコンインゴットを成長させる多結晶シリコンインゴット製造装置である。多結晶シリコンインゴット製造装置は、坩堝と、坩堝の側方に位置するヒータと、坩堝の底面部と接触して位置する坩堝支持部材とを備える。坩堝支持部材においては、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きい。
【0022】
好ましくは、底面部における温度分布が面内で均一になるように中央部と周側部との熱伝導が異なる。
【0023】
本発明の一形態においては、坩堝支持部材の厚さが周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きい。
【0024】
本発明の一形態においては、坩堝支持部材の厚さが準連続的に変化している。ここで、本明細書中の「準連続的」とは、連続的、および、非連続的であるが多段的で実質的には連続的に近いものを含むものと定義する。
【0025】
本発明の一形態においては、坩堝支持部材が互いに熱伝導率の異なる複数の部材から構成されている。複数の部材の割合が周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きい。
【0026】
本発明の一形態においては、坩堝支持部材が黒鉛および炭素繊維強化炭素材料から構成されている。黒鉛と炭素繊維強化炭素材料との割合が周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きい。
【0027】
本発明の一形態においては、坩堝支持部材における上記割合が準連続的に変化している。
【0028】
本発明に基づく多結晶シリコンインゴットは、上記のいずれかに記載の多結晶シリコンインゴット製造装置により製造されている。
【0029】
本発明に基づく多結晶シリコンウエハは、上記に記載の多結晶シリコンインゴットを切断することにより形成されている。
【0030】
本発明に基づく多結晶シリコン太陽電池は、上記に記載の多結晶シリコンウエハを用いて形成されている。
【0031】
本発明に基づく多結晶太陽電池モジュールは、上記に記載の多結晶シリコン太陽電池を複数接続して構成されている。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ヒータが側方に配置された多結晶シリコンインゴット製造装置においてインゴット割れおよび結晶欠陥の発生を抑制可能となり、高品質な多結晶シリコンインゴットを低コストで製造できるだけでなく、そのインゴットから太陽電池を作製することで高出力の太陽電池を低価格で市場に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンインゴット製造装置の構成を示す一部断面図である。
【図2】同実施形態に係る坩堝および載置台の外観を示す斜視図である。
【図3】同実施形態に係る坩堝および載置台を図2のIII−III線矢印方向から見た断面図である。
【図4】同実施形態に係る坩堝および載置台を図2のIV−IV線矢印方向から見た断面図である。
【図5】同実施形態の第1変形例に係る坩堝および載置台を図2のV−V線矢印方向から見た断面図である。
【図6】同実施形態の第1変形例に係る坩堝および載置台を図2のVI−VI線矢印方向から見た断面図である。
【図7】同実施形態の第2変形例に係る坩堝および載置台を図2のVII−VII線矢印方向から見た断面図である。
【図8】同実施形態の第2変形例に係る坩堝および載置台を図2のVIII−VIII線矢印方向から見た断面図である。
【図9】同実施形態の第3変形例に係る坩堝および載置台を図2のIX−IX線矢印方向から見た断面図である。
【図10】同実施形態の第3変形例に係る坩堝および載置台を図2のX−X線矢印方向から見た断面図である。
【図11】同実施形態の第4変形例に係る坩堝および載置台を図2のXI−XI線矢印方向から見た断面図である。
【図12】同実施形態の第4変形例に係る坩堝および載置台を図2のXII−XII線矢印方向から見た断面図である。
【図13】同実施形態の第5変形例に係る坩堝および載置台を図2のXIII−XIII線矢印方向から見た断面図である。
【図14】同実施形態の第5変形例に係る坩堝および載置台を図2のXIV−XIV線矢印方向から見た断面図である。
【図15】同実施形態の第6変形例に係る坩堝および載置台を図2のXV−XV線矢印方向から見た断面図である。
【図16】同実施形態の第6変形例に係る坩堝および載置台を図2のXVI−XVI線矢印方向から見た断面図である。
【図17】同実施形態の第7変形例に係る坩堝および載置台を図2のXVII−XVII線矢印方向から見た断面図である。
【図18】同実施形態の第7変形例に係る坩堝および載置台を図2のXVIII−XVIII線矢印方向から見た断面図である。
【図19】同実施形態の第8変形例に係る坩堝および載置台を図2のXIX−XIX線矢印方向から見た断面図である。
【図20】同実施形態の第8変形例に係る坩堝および載置台を図2のXX−XX線矢印方向から見た断面図である。
【図21】実施例および比較例の太陽電池の出力分布を示すヒストグラムである。
【図22】ウエハが取り出されたインゴットにおける高さ方向の位置と、そのウエハから形成された太陽電池の出力との一般的な関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンインゴット製造装置について説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンインゴット製造装置の構成を示す一部断面図である。図2は、本実施形態に係る坩堝および載置台の外観を示す斜視図である。ここでは、坩堝20を載置台40上に直接載置している例を挙げるが、たとえば坩堝20を黒鉛などからなる図示しない外坩堝内に設置し、外坩堝を載置台40上に載置するようにしてもよい。
【0036】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンインゴット製造装置1は、ステンレスからなる略直方体状の筐体10を含む。筐体10の上部には、後述するガス供給管13の一端を筐体10の内部に導入するための開口11が設けられている。筐体10の下部に、筐体10内を排気するための排気口12が設けられている。
【0037】
図1,2に示すように、筐体10の内部に、坩堝20が配置されている。坩堝20は、坩堝支持部材である載置台40上に載置されている。すなわち、載置台40は、坩堝20の底面部と接触して位置している。
【0038】
坩堝20は、シリカで構成されている。ただし、坩堝20の材質はシリカに限られず黒鉛などでもよい。坩堝20の内面には、溶融シリコンとの反応を防止するために、窒化珪素粉が塗布されている。窒化珪素粉は、乾燥された後、焼結されている。
【0039】
載置台40は、支持台50上に載置されている。載置台40および支持台50は、坩堝20より高い熱伝導性および耐熱性を有する材料で形成されている。載置台40および支持台50は、たとえば、黒鉛で形成されている。
【0040】
支持台50は、下部で支持部71に接続されている。支持部71は、矢印72で示すように上下に移動可能となるように、筐体10の外に配置された駆動部70に接続されている。駆動部70は、モータを有している。
【0041】
駆動部70は、筐体10の外に配置された冷却部90と接続されている。冷却部90は、冷却媒体を駆動部70および支持部71の内部で循環させることにより、駆動部70および支持部71を冷却している。冷却部90は、ポンプおよび熱交換器を有している。冷却部90により支持部71を冷却することにより、支持台50および載置台40を介して、坩堝20の底部を冷却することができる。
【0042】
坩堝20の側方の周囲に抵抗加熱ヒータ30が配置されている。抵抗加熱ヒータ30は、坩堝20と間隔を置いて坩堝20を取り囲むように配置されている。抵抗加熱ヒータ30は、筐体10の外に配置された電源34に接続されている。
【0043】
支持台50の上方に断熱材からなる中蓋60が配置されている。中蓋60は、抵抗加熱ヒータ30の周囲を囲む側壁部と、支持台50に対向する天井部とを有している。天井部には、ガス供給管13の一端を中蓋60の内側に導入するための孔が設けられている。側壁部と天井部とに囲まれた中蓋60の内側が加熱領域61となる。
【0044】
加熱領域61には、図示しない熱電対が配置されている。熱電対は電源34に接続されている。熱電対による測定温度が電源34にフィードバックされることにより、抵抗加熱ヒータ30への印加電圧が制御される。
【0045】
ガス供給管13の一端は加熱領域61内において坩堝20の上方に位置し、他端は筐体10の外に配置された図示しないガス供給部に接続されている。ガス供給部から送られるArなどの不活性ガスは、ガス供給管13の内部を通過して加熱領域61内に供給される。ガス供給部は、各種のガスを貯蔵した複数のガスボンベおよびマスフローコントローラを含む。
【0046】
排気口12は、筐体10の外に配置された図示しない排気部に接続されている。排気部は、各種の真空ポンプを含む。加熱領域61内に供給された不活性ガスは、排気口12を通過して筐体10の外部に排出される。
【0047】
以下、本実施形態に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法について説明する。
まず、約400kgの粒状または塊状のシリコンを坩堝20内に入れる。その後、排気部の真空ポンプを稼動させて筐体10内を減圧する。ガス供給管13から加熱領域61内にArガスを10リットル/分程度供給する。この状態で、筐体10内の圧力が0.6Pa以上0.9Pa以下程度となるように排気部による排気量を調節する。
【0048】
次に、電源34をONにして抵抗加熱ヒータ30に電圧を印加する。抵抗加熱ヒータ30に電圧が印加されることにより、加熱領域61内の温度が上昇する。本実施形態においては、加熱領域61内の温度を1550℃まで上昇させて2時間保持する。融点が1410℃であるシリコンは、坩堝20内で完全に融解する。
【0049】
その後、溶融シリコン80の温度が融点付近になるように抵抗加熱ヒータ30に印加する電圧を下げる。融点より少し高い温度まで溶融シリコン80が冷却されると、駆動部70を稼動させて支持部71を下方に移動させつつ、抵抗加熱ヒータ30に印加する電圧をさらに下げる。
【0050】
支持部71が下降することにより、坩堝20の底部が加熱領域61の外側に位置するようになる。そこで、冷却部90を稼動することにより坩堝20の底部を冷却する。その結果、坩堝20は、底部から上部に向けて冷却される。
【0051】
シリコンが最上部まで完全に凝固したのを確認後、坩堝20を初期位置まで上昇させ、1200℃の温度で約2時間保持してアニール処理する。その後、50℃/時間程度で抵抗加熱ヒータ30の設定温度を下げて多結晶シリコンインゴットを冷却する。
【0052】
多結晶シリコンインゴットの温度が900℃付近まで下がると、ガス供給部から送られるガスをArからHeに変える。その後、多結晶シリコンインゴットを室温まで冷却する。
【0053】
多結晶シリコンインゴットから不純物および結晶欠陥を多く含む端部を除去し、所定の大きさに切断してブロック状にする。さらに、ブロック状の多結晶シリコンインゴットをワイヤーソーにより所定の厚さに切断することにより複数枚のウエハが得られる。
【0054】
本発明者らは鋭意研究の結果、坩堝20の側方に抵抗加熱ヒータ30を配置した従来の多結晶シリコン製造装置においては、溶融シリコン80を一方向凝固させる際の坩堝20内の温度に、坩堝20の周側部側が中央部側より高くなる傾向が現れることを確認した。
【0055】
この傾向は、坩堝20内での結晶成長中における、抵抗加熱ヒータ30に近接している坩堝20の側面部からの入熱の影響によるものである。坩堝20は、底面部および側面部から熱を放出するが、側面部は上記の入熱があるため熱の放出が阻害される。その結果、坩堝20内の温度は、坩堝20の周側部側が中央部側より高くなる。
【0056】
この状態で溶融シリコン80を一方向凝固させると、固液界面が上に凸状となる。このような温度分布の下では、溶融シリコン80の凝固後、インゴット内に残留応力が生じる。その結果として、インゴット割れおよび結晶欠陥が発生しやすくなる。
【0057】
多結晶シリコンインゴットの割れ防止および結晶欠陥抑制のためには、固液界面形状を平坦にし、坩堝20内の上下方向の温度分布を線形にすることが好ましい。坩堝20内の上下方向の温度分布については、坩堝冷却時の坩堝20の下降速度および抵抗加熱ヒータ30の温度設定などによって制御することできる。
【0058】
溶融シリコン80を一方向凝固させる際の固液界面形状を平坦にするためには、坩堝20内の水平面内における温度分布を均一化することが望まれる。そのために、載置台40の熱伝導性を面内で変化させることが有効であることを本発明者らは発見した。
【0059】
図3は、本実施形態に係る坩堝および載置台を図2のIII−III線矢印方向から見た断面図である。図4は、本実施形態に係る坩堝および載置台を図2のIV−IV線矢印方向から見た断面図である。
【0060】
図3,4に示すように、本実施形態に係る載置台40は、熱伝導率の異なる2つの部材から構成されている。具体的には、熱伝導率が相対的に高い高熱伝導部材42と、熱伝導率が高熱伝導部材42より低い直方体状の低熱伝導部材41とから載置台40が構成されている。
【0061】
高熱伝導部材42は載置台40の周側部に位置し、低熱伝導部材41は載置台40の中央部に位置している。このように、載置台40においては、2つの部材の割合が周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きくなっている。
【0062】
たとえば、高熱伝導部材42を炭素繊維強化炭素材料で構成し、低熱伝導部材41を黒鉛からなる多孔体で構成してもよい。また、高熱伝導部材42を中実の黒鉛で構成し、低熱伝導部材41を炭素繊維強化炭素材料または炭化珪素で構成してもよい。さらに、高熱伝導部材42を高密度黒鉛で構成し、低熱伝導部材41を低密度黒鉛で構成してもよい。
【0063】
また、載置台40を炭素繊維強化炭素材料で構成し、周側部に含まれる炭素繊維量が中央部に含まれる炭素繊維量より多くなるように、炭素繊維と黒鉛などの炭素材料との割合を周側部と中央部とで異ならせてもよい。なお、本実施形態においては、2つの部材から載置台40を構成したが、互いに熱伝導率の異なる3つ以上の部材から載置台40を構成してもよい。
【0064】
載置台40の熱伝導性を面内で変化させることによって、載置台40における熱流の面内分布を変化させることができる。載置台40を上記の構成にすることにより、載置台40の中央部側における熱流を周側部側における熱流より小さくすることができる。その結果、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性を向上することができる。
【0065】
本実施形態に係る載置台40を用いることにより、溶融シリコン80を凝固させる際、坩堝20内の水平面内における温度分布の均一化を図ることができる。その結果、溶融シリコン80を一方向凝固させる際の固液界面形状の平坦化を図ることができる。
【0066】
載置台40の構成は、上記に限られず、たとえば、下記の第1〜8変形例のような構成でもよい。
【0067】
図5は、本実施形態の第1変形例に係る坩堝および載置台を図2のV−V線矢印方向から見た断面図である。図6は、本実施形態の第1変形例に係る坩堝および載置台を図2のVI−VI線矢印方向から見た断面図である。
【0068】
図5,6に示すように、本実施形態の第1変形例に係る載置台40aは、2層構造を有し、互いに熱伝導率の異なる3つの部材から構成されている。具体的には、中央部に位置する低熱伝導部材41および周側部に位置する高熱伝導部材42からなる上層部と、面内で均一な熱伝導性を有する板状部材43からなる下層部とから載置台40aが構成されている。板状部材43の熱伝導率は、高熱伝導部材42の熱伝導率より高い。
【0069】
本実施形態の第1変形例に係る載置台40aを用いた場合、上層部と下層部との厚さの比率を適宜変更することにより、載置台40aにおける熱流の面内分布を高精度に変化させることができるため、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
【0070】
図7は、本実施形態の第2変形例に係る坩堝および載置台を図2のVII−VII線矢印方向から見た断面図である。図8は、本実施形態の第2変形例に係る坩堝および載置台を図2のVIII−VIII線矢印方向から見た断面図である。
【0071】
図7,8に示すように、本実施形態の第2変形例に係る載置台40bにおいては、載置台40bの厚さが周側部と中央部とで異なる。具体的には、高熱伝導部材42の厚さが中央部において周側部より薄くなって、直方体状の空気断熱層44が形成されている。このように、載置台40bにおいては、載置台40bの厚さが周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きくなっている。
【0072】
本実施形態の第2変形例に係る載置台40bを用いた場合、載置台40bの中央部側における熱流を周側部側における熱流より小さくすることができる。その結果、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性を向上することができる。
【0073】
図9は、本実施形態の第3変形例に係る坩堝および載置台を図2のIX−IX線矢印方向から見た断面図である。図10は、本実施形態の第3変形例に係る坩堝および載置台を図2のX−X線矢印方向から見た断面図である。
【0074】
図9,10に示すように、本実施形態の第3変形例に係る載置台40cは、本実施形態の第1変形例に係る載置台40aにおける上層部と下層部とを入れ替えた構成を有している。載置台40cのように、熱伝導性を面内で変化させた部分を必ずしも坩堝20の底面部に直接接触させなくてもよい。
【0075】
本実施形態の第3変形例に係る載置台40cを用いた場合、上層部と下層部との厚さの比率を適宜変更することにより、載置台40cにおける熱流の面内分布を高精度に変化させることができるため、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
【0076】
図11は、本実施形態の第4変形例に係る坩堝および載置台を図2のXI−XI線矢印方向から見た断面図である。図12は、本実施形態の第4変形例に係る坩堝および載置台を図2のXII−XII線矢印方向から見た断面図である。
【0077】
図11,12に示すように、本実施形態の第4変形例に係る載置台40dにおいては、本実施形態の第2変形例に係る載置台40bを上下反転させた構成を有している。そのため、空気断熱層44は、載置台40dの下部に位置している。載置台40dのように、熱伝導性を面内で変化させた部分を必ずしも坩堝20の底面部に直接接触させなくてもよい。
【0078】
本実施形態の第4変形例に係る載置台40dを用いた場合、載置台40dの中央部側における熱流を周側部側における熱流より小さくすることができる。その結果、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性を向上することができる。
【0079】
図13は、本実施形態の第5変形例に係る坩堝および載置台を図2のXIII−XIII線矢印方向から見た断面図である。図14は、本実施形態の第5変形例に係る坩堝および載置台を図2のXIV−XIV線矢印方向から見た断面図である。
【0080】
図13,14に示すように、本実施形態の第5変形例に係る載置台40eにおいては、高熱伝導部材42は載置台40eの周側部に多く位置し、低熱伝導部材41は載置台40eの中央部に多く位置している。
【0081】
このように、載置台40eにおいては、低熱伝導部材41と高熱伝導部材42との割合が周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きくなっている。
【0082】
載置台40eにおける低熱伝導部材41と高熱伝導部材42との割合は、準連続的に変化している。具体的には、低熱伝導部材41は、上面側に平坦面を有している。また、低熱伝導部材41は、下面側の中央部において湾曲面状の凸部を有している。
【0083】
高熱伝導部材42は、下面側に平坦面を有している。また、高熱伝導部材42は上面側に、低熱伝導部材41の凸部と嵌め合うような湾曲面状の凹部を有している。その結果、載置台40eは、坩堝20を安定して支持することができる。
【0084】
本実施形態の第5変形例に係る載置台40eを用いた場合、載置台40eにおける熱流の面内分布を滑らかに変化させることができるため、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
【0085】
図15は、本実施形態の第6変形例に係る坩堝および載置台を図2のXV−XV線矢印方向から見た断面図である。図16は、本実施形態の第6変形例に係る坩堝および載置台を図2のXVI−XVI線矢印方向から見た断面図である。
【0086】
図15,16に示すように、本実施形態の第6変形例に係る載置台40fにおいては、高熱伝導部材42は載置台40fの周側部に多く位置し、低熱伝導部材41は載置台40fの中央部に多く位置している。
【0087】
このように、載置台40fにおいては、低熱伝導部材41と高熱伝導部材42との割合が周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きくなっている。
【0088】
載置台40fにおける低熱伝導部材41と高熱伝導部材42との割合は、準連続的に変化している。具体的には、高熱伝導部材42は、上面側に平坦面を有している。また、高熱伝導部材42は、下面側の中央部において湾曲面状の凹部を有している。
【0089】
低熱伝導部材41は、下面側に平坦面を有している。また、低熱伝導部材41は上面側に、高熱伝導部材42の凹部と嵌め合うような湾曲面状の凸部を有している。その結果、載置台40fは、坩堝20を安定して支持することができる。
【0090】
本実施形態の第6変形例に係る載置台40fを用いた場合、載置台40fにおける熱流の面内分布を滑らかに変化させることができるため、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
【0091】
図17は、本実施形態の第7変形例に係る坩堝および載置台を図2のXVII−XVII線矢印方向から見た断面図である。図18は、本実施形態の第7変形例に係る坩堝および載置台を図2のXVIII−XVIII線矢印方向から見た断面図である。
【0092】
図17,18に示すように、本実施形態の第7変形例に係る載置台40gにおいては、載置台40gの厚さが周側部と中央部とで異なる。具体的には、高熱伝導部材42の厚さが中央部において周側部より薄くなって、空気断熱層44が形成されている。
【0093】
載置台40gの厚さは準連続的に変化している。具体的には、高熱伝導部材42は、下面側に平坦面を有している。また、高熱伝導部材42は、上面側に湾曲面状の凹部を有している。このように、載置台40gにおいては、載置台40gの厚さが周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きくなっている。
【0094】
本実施形態の第7変形例に係る載置台40gを用いた場合、載置台40gにおける熱流の面内分布を滑らかに変化させることができるため、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
【0095】
図19は、本実施形態の第8変形例に係る坩堝および載置台を図2のXIX−XIX線矢印方向から見た断面図である。図20は、本実施形態の第8変形例に係る坩堝および載置台を図2のXX−XX線矢印方向から見た断面図である。
【0096】
図19,20に示すように、本実施形態の第8変形例に係る載置台40hにおいては、本実施形態の第7変形例に係る載置台40gを上下反転させた構成を有している。そのため、空気断熱層44は、載置台40hの下部に位置している。載置台40hのように、熱伝導性を面内で変化させた部分を必ずしも坩堝20の底面部に直接接触させなくてもよい。
【0097】
載置台40hの厚さは準連続的に変化している。具体的には、高熱伝導部材42は、上面側に平坦面を有している。また、高熱伝導部材42は、下面側に湾曲面状の凹部を有している。このように、載置台40hにおいては、載置台40hの厚さが周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きくなっている。
【0098】
本実施形態の第8変形例に係る載置台40hを用いた場合、載置台40hにおける熱流の面内分布を滑らかに変化させることができるため、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
【0099】
本実施形態に係る載置台を用いることにより、複雑な可動部材が不要となるため、廉価で安定して製造できる多結晶シリコンインゴット製造装置1を構成することができる。
【0100】
以下、本実施形態の第1変形例に係る載置台40aを用いて製造された多結晶シリコンインゴットから形成された多結晶シリコン太陽電池の出力と、比較例として熱伝導性が面内で均一の載置台を用いて製造された多結晶シリコンインゴットを加工して得られたウエハから形成された多結晶シリコン太陽電池の出力とを比較した実験例について説明する。
【0101】
(実験例)
実施例および比較例の両方において、本実施形態に係る坩堝20として、内寸が830mm×830mm×420mm、底面部の厚さが20mm、および、側面部の厚さが15mmであるシリカ製の坩堝を使用した。
【0102】
実施例の載置台においては、板状部材43として、厚さが300mmである黒鉛製の板を使用した。高熱伝導部材42として、中央部に320mm角の開口を有し、厚さが8mmである炭素繊維強化炭素材料製の板を使用した。低熱伝導部材41として厚さ8mmの黒鉛製多孔体を高熱伝導部材42の開口内に配置した。
【0103】
比較例の載置台は、板状部材43と同様の厚さが300mmである黒鉛製の板で構成した。比較例の載置台においては、低熱伝導部材41および高熱伝導部材42を設けなかった。
【0104】
また、実施例および比較例の両方において、多結晶シリコンインゴットの製造方法は上記実施形態と同様にした。なお、多結晶シリコンインゴットの比抵抗が約1.5Ωcm以上2.0Ωcm以下になるように、シリコン原料にホウ素をドープした。
【0105】
実施例においては、成長させた多結晶シリコンインゴットの外観に異常は認められず、インゴット割れは発生していなかった。比較例においては、インゴットの最上部の角部の一部に、20mm×20mm×10mm程度の大きさの割れが確認された。
【0106】
次に、これらの多結晶シリコンインゴットをバンドソーにてブロック化後、ワイヤーソーにてスライス化して多結晶シリコンウエハを作製した。これらのウエハを通常の太陽電池セル製造プロセスに投入し、その出力特性を確認した。
【0107】
図21は、実施例および比較例の太陽電池の出力分布を示すヒストグラムである。図21においては、縦軸に割合、横軸に太陽電池の出力を示している。
【0108】
図21に示すように、実施例の多結晶シリコンウエハから形成された多結晶シリコン太陽電池セルは、比較例の多結晶シリコンウエハから形成された多結晶シリコン太陽電池セルに比較して、太陽電池の出力分布が高い方にシフトしている。
【0109】
出力の低い太陽電池は、インゴットの上部から取り出されたウエハから形成された太陽電池である。上述の通り、出力低下の原因は、インゴット内部の応力に起因する結晶欠陥である。
【0110】
したがって、本実験例から、本実施形態に係る載置台を用いて多結晶シリコンインゴットを成長させることにより、インゴット割れおよび結晶欠陥の発生を抑制することができることが確認された。
【0111】
また、実施例においては、比較例より多結晶シリコン太陽電池の出力を向上することができたため、その多結晶シリコン太陽電池を複数接続して構成された多結晶太陽電池モジュールの特性は、比較例の多結晶シリコン太陽電池を複数接続して構成された多結晶太陽電池モジュールより当然に向上している。
【0112】
本実験例においては、坩堝の内寸の830mm角に対して約39%にあたる320mm角の低熱伝導部材41を配置したが、坩堝の内寸面積に対して10%以上80%以下の面積を有する低熱伝導部材41を配置することにより上記の効果を得ることができる。
【0113】
低熱伝導部材41の面積が坩堝の内寸面積に対して10%より小さい場合には、坩堝20の底面部における温度分布を均一にする効果がほとんど得られない。低熱伝導部材41の面積が坩堝の内寸面積に対して80%より大きい場合には、載置台の熱伝導性が面内の略全体において低下するため、坩堝20の冷却が阻害されて底面部における温度分布を均一にする効果が得られなくなる。
【0114】
今回開示された実施形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
1 多結晶シリコンインゴット製造装置、10 筐体、11 開口、12 排気口、13 ガス供給管、20 坩堝、30 抵抗加熱ヒータ、34 電源、40,40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40h 載置台、41 低熱伝導部材、42 高熱伝導部材、43 板状部材、44 空気断熱層、50 支持台、60 中蓋、61 加熱領域、70 駆動部、71 支持部、80 溶融シリコン、90 冷却部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンインゴット製造装置、多結晶シリコンインゴット、多結晶シリコンウエハ、多結晶シリコン太陽電池、多結晶太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題から、石油など化石燃料エネルギーの代替として自然エネルギーの利用が注目されている。自然エネルギーを利用して発電する太陽電池は、大きな設備を必要とせず、また、稼働時の騒音が発生しないことなどの理由により、日本および欧州などで積極的に導入されている。
【0003】
太陽電池においては、カドミウムテルルなどの化合物半導体からなる新たな太陽電池の開発が進んでいる。しかし、物質自体の安全性、これまでの使用実績および価格の面から、結晶シリコンを基板として用いた太陽電池が現在大きなシェアを占めている。その中でも、多結晶シリコンウエハ(以下、単にウエハとも称する)から作製された多結晶シリコン太陽電池が占める割合が大きい。
【0004】
多結晶シリコン太陽電池向けの用途に広く用いられているウエハは、一般的にキャスト法と呼ばれる方法で製造されている。キャスト法によるウエハの製造方法においては、坩堝内で溶融シリコンを一方向凝固させて多結晶シリコンインゴット(以下、単にインゴットとも称する)を成長させた後、そのインゴットからブロック状に切り出して、さらにスライスすることによりウエハを作製する。
【0005】
キャスト法により製造したウエハは、インゴット内のどの高さから取り出されたかによって、太陽電池を作製した際の特性にばらつきを有する。
【0006】
図22は、ウエハが取り出されたインゴットにおける高さ方向の位置と、そのウエハから形成された太陽電池の出力との一般的な関係を示すグラフである。なお、図22においては、縦軸に太陽電池出力、横軸にウエハが取り出されたインゴットにおける位置を示している。
【0007】
図22に示すような太陽電池出力のばらつきの原因は、一般的に以下のように説明されている。溶融シリコンを一方向凝固させた際の初期の段階で凝固したインゴット下部の領域Iにおいては、坩堝からシリコン結晶内に多くの不純物が拡散している。その不純物の影響によって、領域Iから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性が低下する。
【0008】
領域Iの上部に位置する領域IIにおいては、偏析により、結晶中に取り込まれる不純物量は少量であり、かつ、結晶欠陥も少ない。そのため、領域IIから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性は、インゴット中またはブロック中において最も良好となる。
【0009】
領域IIの上部に位置する領域IIIにおいては、徐々に結晶中に取り込まれる不純物量が増加するとともに結晶欠陥が増加する。そのため、領域IIIから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性は、領域IIから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性に比較して低下する。
【0010】
領域IIIの上部に位置する領域IVにおいては、領域IIIよりも結晶中に取り込まれる不純物量が増加するとともに結晶欠陥がさらに増加する。また、インゴットが完全に凝固した後に、インゴットの最上部の表面部分に現れる不純物の高濃度部分から、不純物の逆拡散が起こることにより、結晶中に取り込まれる不純物量がさらに増加する。
【0011】
そのため、領域IVから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性は、領域IIIから取り出されたウエハから形成された太陽電池の出力特性に比較して顕著に低下する。
【0012】
上記の説明では、原料中の不純物の影響、および、坩堝から溶け出す不純物の影響を考慮したが、仮にこれらの影響がないとしても、領域III,IVにおいては、上方に向かうにしたがって少数キャリアトラップとなる結晶欠陥が徐々に増加する。そのため、インゴットの上部に行くにしたがって、取り出されるウエハから形成された太陽電池の出力特性は低下する傾向にある。
【0013】
結晶欠陥が発生する原因は、インゴット中の温度分布に起因する応力であると考えられる。応力が特に大きな場合、インゴットに割れなどが発生することがある。そのため、インゴット中の温度分布の制御が重要であり、特に結晶成長時の固液界面を平坦化することが望ましい。
【0014】
インゴット割れおよび結晶欠陥の抑制を図ったシリコン鋳造装置を開示した先行文献として、特許文献1(特開2005−152985号公報)および特許文献2(国際公開第2005/092791号)がある。
【0015】
特許文献1に記載されたシリコン鋳造装置においては、鋳型の底部の中心部から鋳型ホルダーを経る熱流束が、鋳型の側部の直下部から鋳型ホルダーを経る熱流束より大きくなるように構成されている。
【0016】
特許文献2に記載されたシリコン鋳造装置においては、放熱面と受熱面との熱交換面積を変化させるために、底面冷却部材が鋳型または台座に対して相対移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2005−152985号公報
【特許文献2】国際公開第2005/092791号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
特許文献1に記載されたシリコン鋳造装置は、鋳型加熱手段が鋳型の上部に設けられている場合にのみ適用可能であって、鋳型加熱手段が鋳型の側方に設けられている場合については考慮されていない。
【0019】
特許文献2に記載されたシリコン鋳造装置においては、可動部材が多く装置構成が複雑である。このようなシリコン鋳造装置においては、装置内が高温に曝されることによる可動部材の故障が発生しやすくなって装置の安定性が低くなる。また、複雑な装置構成のために装置コストが高くなる。
【0020】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ヒータが側方に配置された場合にインゴット割れおよび結晶欠陥の発生を抑制可能で、かつ、廉価で安定して製造可能な、多結晶シリコンインゴット製造装置、多結晶シリコンインゴット、多結晶シリコンウエハ、多結晶シリコン太陽電池、多結晶太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に基づく多結晶シリコンインゴット製造装置は、溶融したシリコンを下方から上方に向けて一方向凝固させることにより多結晶シリコンインゴットを成長させる多結晶シリコンインゴット製造装置である。多結晶シリコンインゴット製造装置は、坩堝と、坩堝の側方に位置するヒータと、坩堝の底面部と接触して位置する坩堝支持部材とを備える。坩堝支持部材においては、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きい。
【0022】
好ましくは、底面部における温度分布が面内で均一になるように中央部と周側部との熱伝導が異なる。
【0023】
本発明の一形態においては、坩堝支持部材の厚さが周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きい。
【0024】
本発明の一形態においては、坩堝支持部材の厚さが準連続的に変化している。ここで、本明細書中の「準連続的」とは、連続的、および、非連続的であるが多段的で実質的には連続的に近いものを含むものと定義する。
【0025】
本発明の一形態においては、坩堝支持部材が互いに熱伝導率の異なる複数の部材から構成されている。複数の部材の割合が周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きい。
【0026】
本発明の一形態においては、坩堝支持部材が黒鉛および炭素繊維強化炭素材料から構成されている。黒鉛と炭素繊維強化炭素材料との割合が周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きい。
【0027】
本発明の一形態においては、坩堝支持部材における上記割合が準連続的に変化している。
【0028】
本発明に基づく多結晶シリコンインゴットは、上記のいずれかに記載の多結晶シリコンインゴット製造装置により製造されている。
【0029】
本発明に基づく多結晶シリコンウエハは、上記に記載の多結晶シリコンインゴットを切断することにより形成されている。
【0030】
本発明に基づく多結晶シリコン太陽電池は、上記に記載の多結晶シリコンウエハを用いて形成されている。
【0031】
本発明に基づく多結晶太陽電池モジュールは、上記に記載の多結晶シリコン太陽電池を複数接続して構成されている。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ヒータが側方に配置された多結晶シリコンインゴット製造装置においてインゴット割れおよび結晶欠陥の発生を抑制可能となり、高品質な多結晶シリコンインゴットを低コストで製造できるだけでなく、そのインゴットから太陽電池を作製することで高出力の太陽電池を低価格で市場に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンインゴット製造装置の構成を示す一部断面図である。
【図2】同実施形態に係る坩堝および載置台の外観を示す斜視図である。
【図3】同実施形態に係る坩堝および載置台を図2のIII−III線矢印方向から見た断面図である。
【図4】同実施形態に係る坩堝および載置台を図2のIV−IV線矢印方向から見た断面図である。
【図5】同実施形態の第1変形例に係る坩堝および載置台を図2のV−V線矢印方向から見た断面図である。
【図6】同実施形態の第1変形例に係る坩堝および載置台を図2のVI−VI線矢印方向から見た断面図である。
【図7】同実施形態の第2変形例に係る坩堝および載置台を図2のVII−VII線矢印方向から見た断面図である。
【図8】同実施形態の第2変形例に係る坩堝および載置台を図2のVIII−VIII線矢印方向から見た断面図である。
【図9】同実施形態の第3変形例に係る坩堝および載置台を図2のIX−IX線矢印方向から見た断面図である。
【図10】同実施形態の第3変形例に係る坩堝および載置台を図2のX−X線矢印方向から見た断面図である。
【図11】同実施形態の第4変形例に係る坩堝および載置台を図2のXI−XI線矢印方向から見た断面図である。
【図12】同実施形態の第4変形例に係る坩堝および載置台を図2のXII−XII線矢印方向から見た断面図である。
【図13】同実施形態の第5変形例に係る坩堝および載置台を図2のXIII−XIII線矢印方向から見た断面図である。
【図14】同実施形態の第5変形例に係る坩堝および載置台を図2のXIV−XIV線矢印方向から見た断面図である。
【図15】同実施形態の第6変形例に係る坩堝および載置台を図2のXV−XV線矢印方向から見た断面図である。
【図16】同実施形態の第6変形例に係る坩堝および載置台を図2のXVI−XVI線矢印方向から見た断面図である。
【図17】同実施形態の第7変形例に係る坩堝および載置台を図2のXVII−XVII線矢印方向から見た断面図である。
【図18】同実施形態の第7変形例に係る坩堝および載置台を図2のXVIII−XVIII線矢印方向から見た断面図である。
【図19】同実施形態の第8変形例に係る坩堝および載置台を図2のXIX−XIX線矢印方向から見た断面図である。
【図20】同実施形態の第8変形例に係る坩堝および載置台を図2のXX−XX線矢印方向から見た断面図である。
【図21】実施例および比較例の太陽電池の出力分布を示すヒストグラムである。
【図22】ウエハが取り出されたインゴットにおける高さ方向の位置と、そのウエハから形成された太陽電池の出力との一般的な関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンインゴット製造装置について説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンインゴット製造装置の構成を示す一部断面図である。図2は、本実施形態に係る坩堝および載置台の外観を示す斜視図である。ここでは、坩堝20を載置台40上に直接載置している例を挙げるが、たとえば坩堝20を黒鉛などからなる図示しない外坩堝内に設置し、外坩堝を載置台40上に載置するようにしてもよい。
【0036】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンインゴット製造装置1は、ステンレスからなる略直方体状の筐体10を含む。筐体10の上部には、後述するガス供給管13の一端を筐体10の内部に導入するための開口11が設けられている。筐体10の下部に、筐体10内を排気するための排気口12が設けられている。
【0037】
図1,2に示すように、筐体10の内部に、坩堝20が配置されている。坩堝20は、坩堝支持部材である載置台40上に載置されている。すなわち、載置台40は、坩堝20の底面部と接触して位置している。
【0038】
坩堝20は、シリカで構成されている。ただし、坩堝20の材質はシリカに限られず黒鉛などでもよい。坩堝20の内面には、溶融シリコンとの反応を防止するために、窒化珪素粉が塗布されている。窒化珪素粉は、乾燥された後、焼結されている。
【0039】
載置台40は、支持台50上に載置されている。載置台40および支持台50は、坩堝20より高い熱伝導性および耐熱性を有する材料で形成されている。載置台40および支持台50は、たとえば、黒鉛で形成されている。
【0040】
支持台50は、下部で支持部71に接続されている。支持部71は、矢印72で示すように上下に移動可能となるように、筐体10の外に配置された駆動部70に接続されている。駆動部70は、モータを有している。
【0041】
駆動部70は、筐体10の外に配置された冷却部90と接続されている。冷却部90は、冷却媒体を駆動部70および支持部71の内部で循環させることにより、駆動部70および支持部71を冷却している。冷却部90は、ポンプおよび熱交換器を有している。冷却部90により支持部71を冷却することにより、支持台50および載置台40を介して、坩堝20の底部を冷却することができる。
【0042】
坩堝20の側方の周囲に抵抗加熱ヒータ30が配置されている。抵抗加熱ヒータ30は、坩堝20と間隔を置いて坩堝20を取り囲むように配置されている。抵抗加熱ヒータ30は、筐体10の外に配置された電源34に接続されている。
【0043】
支持台50の上方に断熱材からなる中蓋60が配置されている。中蓋60は、抵抗加熱ヒータ30の周囲を囲む側壁部と、支持台50に対向する天井部とを有している。天井部には、ガス供給管13の一端を中蓋60の内側に導入するための孔が設けられている。側壁部と天井部とに囲まれた中蓋60の内側が加熱領域61となる。
【0044】
加熱領域61には、図示しない熱電対が配置されている。熱電対は電源34に接続されている。熱電対による測定温度が電源34にフィードバックされることにより、抵抗加熱ヒータ30への印加電圧が制御される。
【0045】
ガス供給管13の一端は加熱領域61内において坩堝20の上方に位置し、他端は筐体10の外に配置された図示しないガス供給部に接続されている。ガス供給部から送られるArなどの不活性ガスは、ガス供給管13の内部を通過して加熱領域61内に供給される。ガス供給部は、各種のガスを貯蔵した複数のガスボンベおよびマスフローコントローラを含む。
【0046】
排気口12は、筐体10の外に配置された図示しない排気部に接続されている。排気部は、各種の真空ポンプを含む。加熱領域61内に供給された不活性ガスは、排気口12を通過して筐体10の外部に排出される。
【0047】
以下、本実施形態に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法について説明する。
まず、約400kgの粒状または塊状のシリコンを坩堝20内に入れる。その後、排気部の真空ポンプを稼動させて筐体10内を減圧する。ガス供給管13から加熱領域61内にArガスを10リットル/分程度供給する。この状態で、筐体10内の圧力が0.6Pa以上0.9Pa以下程度となるように排気部による排気量を調節する。
【0048】
次に、電源34をONにして抵抗加熱ヒータ30に電圧を印加する。抵抗加熱ヒータ30に電圧が印加されることにより、加熱領域61内の温度が上昇する。本実施形態においては、加熱領域61内の温度を1550℃まで上昇させて2時間保持する。融点が1410℃であるシリコンは、坩堝20内で完全に融解する。
【0049】
その後、溶融シリコン80の温度が融点付近になるように抵抗加熱ヒータ30に印加する電圧を下げる。融点より少し高い温度まで溶融シリコン80が冷却されると、駆動部70を稼動させて支持部71を下方に移動させつつ、抵抗加熱ヒータ30に印加する電圧をさらに下げる。
【0050】
支持部71が下降することにより、坩堝20の底部が加熱領域61の外側に位置するようになる。そこで、冷却部90を稼動することにより坩堝20の底部を冷却する。その結果、坩堝20は、底部から上部に向けて冷却される。
【0051】
シリコンが最上部まで完全に凝固したのを確認後、坩堝20を初期位置まで上昇させ、1200℃の温度で約2時間保持してアニール処理する。その後、50℃/時間程度で抵抗加熱ヒータ30の設定温度を下げて多結晶シリコンインゴットを冷却する。
【0052】
多結晶シリコンインゴットの温度が900℃付近まで下がると、ガス供給部から送られるガスをArからHeに変える。その後、多結晶シリコンインゴットを室温まで冷却する。
【0053】
多結晶シリコンインゴットから不純物および結晶欠陥を多く含む端部を除去し、所定の大きさに切断してブロック状にする。さらに、ブロック状の多結晶シリコンインゴットをワイヤーソーにより所定の厚さに切断することにより複数枚のウエハが得られる。
【0054】
本発明者らは鋭意研究の結果、坩堝20の側方に抵抗加熱ヒータ30を配置した従来の多結晶シリコン製造装置においては、溶融シリコン80を一方向凝固させる際の坩堝20内の温度に、坩堝20の周側部側が中央部側より高くなる傾向が現れることを確認した。
【0055】
この傾向は、坩堝20内での結晶成長中における、抵抗加熱ヒータ30に近接している坩堝20の側面部からの入熱の影響によるものである。坩堝20は、底面部および側面部から熱を放出するが、側面部は上記の入熱があるため熱の放出が阻害される。その結果、坩堝20内の温度は、坩堝20の周側部側が中央部側より高くなる。
【0056】
この状態で溶融シリコン80を一方向凝固させると、固液界面が上に凸状となる。このような温度分布の下では、溶融シリコン80の凝固後、インゴット内に残留応力が生じる。その結果として、インゴット割れおよび結晶欠陥が発生しやすくなる。
【0057】
多結晶シリコンインゴットの割れ防止および結晶欠陥抑制のためには、固液界面形状を平坦にし、坩堝20内の上下方向の温度分布を線形にすることが好ましい。坩堝20内の上下方向の温度分布については、坩堝冷却時の坩堝20の下降速度および抵抗加熱ヒータ30の温度設定などによって制御することできる。
【0058】
溶融シリコン80を一方向凝固させる際の固液界面形状を平坦にするためには、坩堝20内の水平面内における温度分布を均一化することが望まれる。そのために、載置台40の熱伝導性を面内で変化させることが有効であることを本発明者らは発見した。
【0059】
図3は、本実施形態に係る坩堝および載置台を図2のIII−III線矢印方向から見た断面図である。図4は、本実施形態に係る坩堝および載置台を図2のIV−IV線矢印方向から見た断面図である。
【0060】
図3,4に示すように、本実施形態に係る載置台40は、熱伝導率の異なる2つの部材から構成されている。具体的には、熱伝導率が相対的に高い高熱伝導部材42と、熱伝導率が高熱伝導部材42より低い直方体状の低熱伝導部材41とから載置台40が構成されている。
【0061】
高熱伝導部材42は載置台40の周側部に位置し、低熱伝導部材41は載置台40の中央部に位置している。このように、載置台40においては、2つの部材の割合が周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きくなっている。
【0062】
たとえば、高熱伝導部材42を炭素繊維強化炭素材料で構成し、低熱伝導部材41を黒鉛からなる多孔体で構成してもよい。また、高熱伝導部材42を中実の黒鉛で構成し、低熱伝導部材41を炭素繊維強化炭素材料または炭化珪素で構成してもよい。さらに、高熱伝導部材42を高密度黒鉛で構成し、低熱伝導部材41を低密度黒鉛で構成してもよい。
【0063】
また、載置台40を炭素繊維強化炭素材料で構成し、周側部に含まれる炭素繊維量が中央部に含まれる炭素繊維量より多くなるように、炭素繊維と黒鉛などの炭素材料との割合を周側部と中央部とで異ならせてもよい。なお、本実施形態においては、2つの部材から載置台40を構成したが、互いに熱伝導率の異なる3つ以上の部材から載置台40を構成してもよい。
【0064】
載置台40の熱伝導性を面内で変化させることによって、載置台40における熱流の面内分布を変化させることができる。載置台40を上記の構成にすることにより、載置台40の中央部側における熱流を周側部側における熱流より小さくすることができる。その結果、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性を向上することができる。
【0065】
本実施形態に係る載置台40を用いることにより、溶融シリコン80を凝固させる際、坩堝20内の水平面内における温度分布の均一化を図ることができる。その結果、溶融シリコン80を一方向凝固させる際の固液界面形状の平坦化を図ることができる。
【0066】
載置台40の構成は、上記に限られず、たとえば、下記の第1〜8変形例のような構成でもよい。
【0067】
図5は、本実施形態の第1変形例に係る坩堝および載置台を図2のV−V線矢印方向から見た断面図である。図6は、本実施形態の第1変形例に係る坩堝および載置台を図2のVI−VI線矢印方向から見た断面図である。
【0068】
図5,6に示すように、本実施形態の第1変形例に係る載置台40aは、2層構造を有し、互いに熱伝導率の異なる3つの部材から構成されている。具体的には、中央部に位置する低熱伝導部材41および周側部に位置する高熱伝導部材42からなる上層部と、面内で均一な熱伝導性を有する板状部材43からなる下層部とから載置台40aが構成されている。板状部材43の熱伝導率は、高熱伝導部材42の熱伝導率より高い。
【0069】
本実施形態の第1変形例に係る載置台40aを用いた場合、上層部と下層部との厚さの比率を適宜変更することにより、載置台40aにおける熱流の面内分布を高精度に変化させることができるため、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
【0070】
図7は、本実施形態の第2変形例に係る坩堝および載置台を図2のVII−VII線矢印方向から見た断面図である。図8は、本実施形態の第2変形例に係る坩堝および載置台を図2のVIII−VIII線矢印方向から見た断面図である。
【0071】
図7,8に示すように、本実施形態の第2変形例に係る載置台40bにおいては、載置台40bの厚さが周側部と中央部とで異なる。具体的には、高熱伝導部材42の厚さが中央部において周側部より薄くなって、直方体状の空気断熱層44が形成されている。このように、載置台40bにおいては、載置台40bの厚さが周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きくなっている。
【0072】
本実施形態の第2変形例に係る載置台40bを用いた場合、載置台40bの中央部側における熱流を周側部側における熱流より小さくすることができる。その結果、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性を向上することができる。
【0073】
図9は、本実施形態の第3変形例に係る坩堝および載置台を図2のIX−IX線矢印方向から見た断面図である。図10は、本実施形態の第3変形例に係る坩堝および載置台を図2のX−X線矢印方向から見た断面図である。
【0074】
図9,10に示すように、本実施形態の第3変形例に係る載置台40cは、本実施形態の第1変形例に係る載置台40aにおける上層部と下層部とを入れ替えた構成を有している。載置台40cのように、熱伝導性を面内で変化させた部分を必ずしも坩堝20の底面部に直接接触させなくてもよい。
【0075】
本実施形態の第3変形例に係る載置台40cを用いた場合、上層部と下層部との厚さの比率を適宜変更することにより、載置台40cにおける熱流の面内分布を高精度に変化させることができるため、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
【0076】
図11は、本実施形態の第4変形例に係る坩堝および載置台を図2のXI−XI線矢印方向から見た断面図である。図12は、本実施形態の第4変形例に係る坩堝および載置台を図2のXII−XII線矢印方向から見た断面図である。
【0077】
図11,12に示すように、本実施形態の第4変形例に係る載置台40dにおいては、本実施形態の第2変形例に係る載置台40bを上下反転させた構成を有している。そのため、空気断熱層44は、載置台40dの下部に位置している。載置台40dのように、熱伝導性を面内で変化させた部分を必ずしも坩堝20の底面部に直接接触させなくてもよい。
【0078】
本実施形態の第4変形例に係る載置台40dを用いた場合、載置台40dの中央部側における熱流を周側部側における熱流より小さくすることができる。その結果、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性を向上することができる。
【0079】
図13は、本実施形態の第5変形例に係る坩堝および載置台を図2のXIII−XIII線矢印方向から見た断面図である。図14は、本実施形態の第5変形例に係る坩堝および載置台を図2のXIV−XIV線矢印方向から見た断面図である。
【0080】
図13,14に示すように、本実施形態の第5変形例に係る載置台40eにおいては、高熱伝導部材42は載置台40eの周側部に多く位置し、低熱伝導部材41は載置台40eの中央部に多く位置している。
【0081】
このように、載置台40eにおいては、低熱伝導部材41と高熱伝導部材42との割合が周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きくなっている。
【0082】
載置台40eにおける低熱伝導部材41と高熱伝導部材42との割合は、準連続的に変化している。具体的には、低熱伝導部材41は、上面側に平坦面を有している。また、低熱伝導部材41は、下面側の中央部において湾曲面状の凸部を有している。
【0083】
高熱伝導部材42は、下面側に平坦面を有している。また、高熱伝導部材42は上面側に、低熱伝導部材41の凸部と嵌め合うような湾曲面状の凹部を有している。その結果、載置台40eは、坩堝20を安定して支持することができる。
【0084】
本実施形態の第5変形例に係る載置台40eを用いた場合、載置台40eにおける熱流の面内分布を滑らかに変化させることができるため、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
【0085】
図15は、本実施形態の第6変形例に係る坩堝および載置台を図2のXV−XV線矢印方向から見た断面図である。図16は、本実施形態の第6変形例に係る坩堝および載置台を図2のXVI−XVI線矢印方向から見た断面図である。
【0086】
図15,16に示すように、本実施形態の第6変形例に係る載置台40fにおいては、高熱伝導部材42は載置台40fの周側部に多く位置し、低熱伝導部材41は載置台40fの中央部に多く位置している。
【0087】
このように、載置台40fにおいては、低熱伝導部材41と高熱伝導部材42との割合が周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きくなっている。
【0088】
載置台40fにおける低熱伝導部材41と高熱伝導部材42との割合は、準連続的に変化している。具体的には、高熱伝導部材42は、上面側に平坦面を有している。また、高熱伝導部材42は、下面側の中央部において湾曲面状の凹部を有している。
【0089】
低熱伝導部材41は、下面側に平坦面を有している。また、低熱伝導部材41は上面側に、高熱伝導部材42の凹部と嵌め合うような湾曲面状の凸部を有している。その結果、載置台40fは、坩堝20を安定して支持することができる。
【0090】
本実施形態の第6変形例に係る載置台40fを用いた場合、載置台40fにおける熱流の面内分布を滑らかに変化させることができるため、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
【0091】
図17は、本実施形態の第7変形例に係る坩堝および載置台を図2のXVII−XVII線矢印方向から見た断面図である。図18は、本実施形態の第7変形例に係る坩堝および載置台を図2のXVIII−XVIII線矢印方向から見た断面図である。
【0092】
図17,18に示すように、本実施形態の第7変形例に係る載置台40gにおいては、載置台40gの厚さが周側部と中央部とで異なる。具体的には、高熱伝導部材42の厚さが中央部において周側部より薄くなって、空気断熱層44が形成されている。
【0093】
載置台40gの厚さは準連続的に変化している。具体的には、高熱伝導部材42は、下面側に平坦面を有している。また、高熱伝導部材42は、上面側に湾曲面状の凹部を有している。このように、載置台40gにおいては、載置台40gの厚さが周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きくなっている。
【0094】
本実施形態の第7変形例に係る載置台40gを用いた場合、載置台40gにおける熱流の面内分布を滑らかに変化させることができるため、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
【0095】
図19は、本実施形態の第8変形例に係る坩堝および載置台を図2のXIX−XIX線矢印方向から見た断面図である。図20は、本実施形態の第8変形例に係る坩堝および載置台を図2のXX−XX線矢印方向から見た断面図である。
【0096】
図19,20に示すように、本実施形態の第8変形例に係る載置台40hにおいては、本実施形態の第7変形例に係る載置台40gを上下反転させた構成を有している。そのため、空気断熱層44は、載置台40hの下部に位置している。載置台40hのように、熱伝導性を面内で変化させた部分を必ずしも坩堝20の底面部に直接接触させなくてもよい。
【0097】
載置台40hの厚さは準連続的に変化している。具体的には、高熱伝導部材42は、上面側に平坦面を有している。また、高熱伝導部材42は、下面側に湾曲面状の凹部を有している。このように、載置台40hにおいては、載置台40hの厚さが周側部と中央部とで異なることにより、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きくなっている。
【0098】
本実施形態の第8変形例に係る載置台40hを用いた場合、載置台40hにおける熱流の面内分布を滑らかに変化させることができるため、坩堝20の底面部における温度分布の面内均一性をさらに向上することができる。
【0099】
本実施形態に係る載置台を用いることにより、複雑な可動部材が不要となるため、廉価で安定して製造できる多結晶シリコンインゴット製造装置1を構成することができる。
【0100】
以下、本実施形態の第1変形例に係る載置台40aを用いて製造された多結晶シリコンインゴットから形成された多結晶シリコン太陽電池の出力と、比較例として熱伝導性が面内で均一の載置台を用いて製造された多結晶シリコンインゴットを加工して得られたウエハから形成された多結晶シリコン太陽電池の出力とを比較した実験例について説明する。
【0101】
(実験例)
実施例および比較例の両方において、本実施形態に係る坩堝20として、内寸が830mm×830mm×420mm、底面部の厚さが20mm、および、側面部の厚さが15mmであるシリカ製の坩堝を使用した。
【0102】
実施例の載置台においては、板状部材43として、厚さが300mmである黒鉛製の板を使用した。高熱伝導部材42として、中央部に320mm角の開口を有し、厚さが8mmである炭素繊維強化炭素材料製の板を使用した。低熱伝導部材41として厚さ8mmの黒鉛製多孔体を高熱伝導部材42の開口内に配置した。
【0103】
比較例の載置台は、板状部材43と同様の厚さが300mmである黒鉛製の板で構成した。比較例の載置台においては、低熱伝導部材41および高熱伝導部材42を設けなかった。
【0104】
また、実施例および比較例の両方において、多結晶シリコンインゴットの製造方法は上記実施形態と同様にした。なお、多結晶シリコンインゴットの比抵抗が約1.5Ωcm以上2.0Ωcm以下になるように、シリコン原料にホウ素をドープした。
【0105】
実施例においては、成長させた多結晶シリコンインゴットの外観に異常は認められず、インゴット割れは発生していなかった。比較例においては、インゴットの最上部の角部の一部に、20mm×20mm×10mm程度の大きさの割れが確認された。
【0106】
次に、これらの多結晶シリコンインゴットをバンドソーにてブロック化後、ワイヤーソーにてスライス化して多結晶シリコンウエハを作製した。これらのウエハを通常の太陽電池セル製造プロセスに投入し、その出力特性を確認した。
【0107】
図21は、実施例および比較例の太陽電池の出力分布を示すヒストグラムである。図21においては、縦軸に割合、横軸に太陽電池の出力を示している。
【0108】
図21に示すように、実施例の多結晶シリコンウエハから形成された多結晶シリコン太陽電池セルは、比較例の多結晶シリコンウエハから形成された多結晶シリコン太陽電池セルに比較して、太陽電池の出力分布が高い方にシフトしている。
【0109】
出力の低い太陽電池は、インゴットの上部から取り出されたウエハから形成された太陽電池である。上述の通り、出力低下の原因は、インゴット内部の応力に起因する結晶欠陥である。
【0110】
したがって、本実験例から、本実施形態に係る載置台を用いて多結晶シリコンインゴットを成長させることにより、インゴット割れおよび結晶欠陥の発生を抑制することができることが確認された。
【0111】
また、実施例においては、比較例より多結晶シリコン太陽電池の出力を向上することができたため、その多結晶シリコン太陽電池を複数接続して構成された多結晶太陽電池モジュールの特性は、比較例の多結晶シリコン太陽電池を複数接続して構成された多結晶太陽電池モジュールより当然に向上している。
【0112】
本実験例においては、坩堝の内寸の830mm角に対して約39%にあたる320mm角の低熱伝導部材41を配置したが、坩堝の内寸面積に対して10%以上80%以下の面積を有する低熱伝導部材41を配置することにより上記の効果を得ることができる。
【0113】
低熱伝導部材41の面積が坩堝の内寸面積に対して10%より小さい場合には、坩堝20の底面部における温度分布を均一にする効果がほとんど得られない。低熱伝導部材41の面積が坩堝の内寸面積に対して80%より大きい場合には、載置台の熱伝導性が面内の略全体において低下するため、坩堝20の冷却が阻害されて底面部における温度分布を均一にする効果が得られなくなる。
【0114】
今回開示された実施形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
1 多結晶シリコンインゴット製造装置、10 筐体、11 開口、12 排気口、13 ガス供給管、20 坩堝、30 抵抗加熱ヒータ、34 電源、40,40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40h 載置台、41 低熱伝導部材、42 高熱伝導部材、43 板状部材、44 空気断熱層、50 支持台、60 中蓋、61 加熱領域、70 駆動部、71 支持部、80 溶融シリコン、90 冷却部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融したシリコンを下方から上方に向けて一方向凝固させることにより多結晶シリコンインゴットを成長させる多結晶シリコンインゴット製造装置であって、
坩堝と、
前記坩堝の側方に位置するヒータと、
前記坩堝の底面部と接触して位置する坩堝支持部材と
を備え、
前記坩堝支持部材においては、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きい、多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項2】
前記底面部における温度分布が面内で均一になるように前記中央部と前記周側部との熱伝導が異なる、請求項1に記載の多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項3】
前記坩堝支持部材の厚さが前記周側部と前記中央部とで異なることにより、前記周側部における熱伝導の方が前記中央部における熱伝導より大きい、請求項1または2に記載の多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項4】
前記坩堝支持部材の厚さが準連続的に変化している、請求項3に記載の多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項5】
前記坩堝支持部材が互いに熱伝導率の異なる複数の部材から構成され、
前記複数の部材の割合が前記周側部と前記中央部とで異なることにより、前記周側部における熱伝導の方が前記中央部における熱伝導より大きい、請求項1または2に記載の多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項6】
前記坩堝支持部材が黒鉛および炭素繊維強化炭素材料から構成され、
前記黒鉛と前記炭素繊維強化炭素材料との割合が前記周側部と前記中央部とで異なることにより、前記周側部における熱伝導の方が前記中央部における熱伝導より大きい、請求項5に記載の多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項7】
前記坩堝支持部材における前記割合が準連続的に変化している、請求項5または6に記載の多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の多結晶シリコンインゴット製造装置により製造された、多結晶シリコンインゴット。
【請求項9】
請求項8に記載の多結晶シリコンインゴットを切断することにより形成された、多結晶シリコンウエハ。
【請求項10】
請求項9に記載の多結晶シリコンウエハから形成された、多結晶シリコン太陽電池。
【請求項11】
請求項10に記載の多結晶シリコン太陽電池を複数接続して構成された、多結晶太陽電池モジュール。
【請求項1】
溶融したシリコンを下方から上方に向けて一方向凝固させることにより多結晶シリコンインゴットを成長させる多結晶シリコンインゴット製造装置であって、
坩堝と、
前記坩堝の側方に位置するヒータと、
前記坩堝の底面部と接触して位置する坩堝支持部材と
を備え、
前記坩堝支持部材においては、周側部における熱伝導の方が中央部における熱伝導より大きい、多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項2】
前記底面部における温度分布が面内で均一になるように前記中央部と前記周側部との熱伝導が異なる、請求項1に記載の多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項3】
前記坩堝支持部材の厚さが前記周側部と前記中央部とで異なることにより、前記周側部における熱伝導の方が前記中央部における熱伝導より大きい、請求項1または2に記載の多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項4】
前記坩堝支持部材の厚さが準連続的に変化している、請求項3に記載の多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項5】
前記坩堝支持部材が互いに熱伝導率の異なる複数の部材から構成され、
前記複数の部材の割合が前記周側部と前記中央部とで異なることにより、前記周側部における熱伝導の方が前記中央部における熱伝導より大きい、請求項1または2に記載の多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項6】
前記坩堝支持部材が黒鉛および炭素繊維強化炭素材料から構成され、
前記黒鉛と前記炭素繊維強化炭素材料との割合が前記周側部と前記中央部とで異なることにより、前記周側部における熱伝導の方が前記中央部における熱伝導より大きい、請求項5に記載の多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項7】
前記坩堝支持部材における前記割合が準連続的に変化している、請求項5または6に記載の多結晶シリコンインゴット製造装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の多結晶シリコンインゴット製造装置により製造された、多結晶シリコンインゴット。
【請求項9】
請求項8に記載の多結晶シリコンインゴットを切断することにより形成された、多結晶シリコンウエハ。
【請求項10】
請求項9に記載の多結晶シリコンウエハから形成された、多結晶シリコン太陽電池。
【請求項11】
請求項10に記載の多結晶シリコン太陽電池を複数接続して構成された、多結晶太陽電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−112582(P2013−112582A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261687(P2011−261687)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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