説明

多肉植物(CAM植物)の食用栽培技術および成分保持技術

【課題】 多肉植物(CAM植物)を生または加工食製品の原料として酸味などの成分、食感、食味のある食用のための栽培技術ならびに成分保持技術を得る。
【解決手段】 CAM植物が保有する酸味等の成分、食感、食味を食用として利用するよう、本発明の生食栽培方法および成分保持方法においては、CAM植物特有の光合成方法での二酸化炭素の吸収、保持し、栽培時および収穫後に二酸化炭素を施用することで酸味などの成分を保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多肉植物(CAM植物)を生食あるいは加工食製品の原材料として使用する場合、葉など植物体内の成分を保持するための手段、栽培方法および製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多肉植物(CAM植物)は、多くが観葉植物として利用されているのみであり、植物体を生で食する習慣がなく、生食として研究されていなかった。
【0003】
アロエやサボテンなど一部の多肉植物は、表皮を剥いて葉肉のみを食用とする習慣があり栽培が行われているが、植物中の成分保持に関する技術は確立されていない。
【0004】
多肉植物(CAM植物)であるベンケイソウ科の石蓮花(学名:エケベリア グラウカ:Echevaria Glauca)は、サプリメントやお茶などの加工食製品として利用しているが、生食としての品質・成分を考慮した栽培および収穫後の安定した品質・味が確立されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上述べた従来の多肉植物(CAM植物)の食用としての栽培技術および成分保持方法では、生食用としての品質や成分の保持ができていなかったため、多肉植物(CAM植物)本来の成分を保持させ、生食用および加工食製品の原材料として、成分、食感、食味を利用するための方法でありかつ製品とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、CAM植物が保有する酸味等の成分、食感、食味を食用として利用するよう、本発明の生食栽培方法および成分保持方法においては、CAM植物特有の光合成方法での二酸化炭素の吸収、維持し、栽培時および収穫後に二酸化炭素を施用することで酸味などの成分を保持することができる。
【発明の効果】
【0007】
上述したように本発明の多肉植物(CAM植物)の葉が光合成を行う前に収穫することにより、酸味等を保持した状態が維持でき、また、収穫後、光合成ができない様、光を避け、低温下で保存することによって、酸味を保持した多肉植物(CAM植物)の葉を維持することができる。
【0008】
CAM植物特有の光合成方法によって植物体内に取り込まれる二酸化炭素を多くすることにより食用としての特長である酸味を向上させるために、栽培時ならびに収穫後に二酸化炭素を施用することによって、より酸味がある多肉植物(CAM植物)の葉を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図2に基づいて説明する。
【0010】
図1において、通常の植物の光合成方法は、二酸化炭素は昼の日射がある時に植物体内の葉緑体で液胞等他の部位に関係なくデンプンを形成し夜そのデンプンは他の器官へ転流される。
【0011】
図2において、CAM植物の光合成方法は、二酸化炭素は夜(日の当たらない時間帯)に植物体内の液胞でリンゴ酸等の有機酸として蓄えられ、昼の日射がある時に蓄えられたリンゴ酸など有機酸から二酸化炭素などに再度変換され、光合成によりデンプンは形成し夜他の器官へ流転される。
【0012】
また、CAM植物の光合成方法によって植物体内に取り込まれた二酸化炭素が消費する前に収穫することでCAM植物体内のリンゴ酸などの有機酸の量を維持し、酸味などの成分、食感、食味などが保持できる。
【0013】
また、CAM植物の光合成方法によって植物体内に取り込まれる二酸化炭素をより多くするために、栽培時の夜間ならびに収穫後の暗黒貯蔵下に二酸化炭素を施用することで、CAM植物体内のリンゴ酸などの有機酸の量を維持し、酸味などの成分、食感、食味などが保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】通常の植物の光合成方法図
【図2】CAM植物の光合成方法図
【符号の説明】
【0015】
1 通常の植物の光合成方法
2 CAM植物の光合成方法
3 リンゴ酸
4 二酸化炭素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多肉植物(CAM植物)を光合成が盛んに行われるまでに収穫することによって、CAM植物の光合成方法により夜間に蓄えられたリンゴ酸等の有機酸を光合成によって二酸化炭素に変わる前に葉を収穫し、植物体内にリンゴ酸等の有機酸を保持し、酸味等の成分を保持した状態の多肉植物(CAM植物)の葉の食用栽培技術ならびにその技術によって得た製品。
【請求項2】
多肉植物(CAM植物)の葉を酸味を保持した状態で収穫した後、光合成ができない様、光を避けて保存および輸送することによって、酸味を保持した多肉植物(CAM植物)の葉の食用成分保持技術ならびにその技術によって得た製品。
【請求項3】
CAM植物の光合成方法によって植物体内に取り込まれる二酸化炭素を多くすることにより食用としての特長である酸味を向上させるために栽培時ならびに収穫後に二酸化炭素施用を行う多肉植物(CAM植物)の食用栽培技術ならびにその技術によって得た製品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−178372(P2008−178372A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38508(P2007−38508)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(303007474)アグリアシストジャパン株式会社 (4)
【Fターム(参考)】