説明

多能性幹細胞の同定及び分離培養方法

【課題】本発明は、哺乳動物の生体組織から、多能性分化能を有した幹細胞を効率よく同定し、分離培養及び分化誘導する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
幹細胞が特異的に合成しているp75NTRをマーカータンパク質とすることで、これに特異的親和性を有する抗体を用いて哺乳動物の生体組織から多能性幹細胞を同定、分離培養及び分化誘導する方法を提供する。さらに、p75NTRに加えて、c−Kit、CD44、CD105及びCD106から選択されるマーカータンパク質を1種以上組み合わせることで、相乗的に幹細胞の同定、分離培養及び分化誘導の効率が向上することを発見した。すなわち、本発明は、従来の方法に比べて哺乳動物の骨髄、肝臓、膵臓及び脂肪組織などの生体組織から、より効率よく多能性幹細胞を同定し、分離培養及び分化誘導する方法を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物の多能性幹細胞の分離・同定方法、ならびに当該細胞の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎動物、特に哺乳動物の組織は、傷害もしくは疾患、又は加齢などに伴い細胞・臓器の損傷が起こった場合、再生系が働き、細胞・臓器の損傷を回復しようとする。この作用に、当該組織に備わる幹細胞が大きな役割を果している。幹細胞は、あらゆる細胞・臓器に分化する多能性を有しており、この性質により細胞・組織の損傷部を補うことで回復に導くと考えられている。このような多能性を有した細胞は、多能性幹細胞(以降、幹細胞と記す)と呼ばれ、次世代の医療である再生医療への応用が期待されている。
【0003】
哺乳動物おける幹細胞研究で最も進んでいる組織は骨髄である。骨髄には生体の造血幹細胞が存在しており、全ての血液細胞(例えば、赤血球、白血球、リンパ球など)へ分化することから、血液の主要な供給源と考えられている。さらに骨髄には、造血幹細胞とは別に、その他の臓器(例えば、骨、軟骨、筋肉、脂肪など)へ分化可能な幹細胞が包含されていることが報告されている(非特許文献1)。
【0004】
【非特許文献1】Pittenger M.F.,et al.,Science,1999,284,143−147
【0005】
さらに、近年、骨髄以外にも、肝臓、膵臓、脂肪など、あらゆる臓器に幹細胞が存在することが明らかにされている(非特許文献2、3、4、5)。これら幹細胞を再生医療へ利用するためには、まずはじめに、生体組織から幹細胞を分離し、培養、さらには分化誘導を行う必要がある。
【0006】
【非特許文献2】Goodell M.F.,et al.,Nat. Med.,1997,3,1337−1345
【非特許文献3】Zulewski H.,et al.,Diabetes,2001,50,521−533
【非特許文献4】Suzuki A.,et al.,Hepatology,2000,32,1230−1239
【非特許文献5】Zuk P.A.,et al.,Tissue Engineering,2001,7,211−228
【0007】
現在までに、骨髄、肝臓、膵臓、脂肪などからの幹細胞の分離、培養及び分化誘導に関する幾つかの報告がある。従来までは、酵素処理などで各臓器から細胞分散液を調製し、遠心操作により幹細胞を分離する方法が主であった。例えば、Vanらは、骨髄から調製した細胞分散液から、パーコールグラディエント遠心法により、幹細胞を分離する方法を報告している(非特許文献6)。また、Zukらは、同様に脂肪から遠心分離法を用いて幹細胞を分離する方法を報告している(非特許文献7)。しかし、これらの方法では、血液細胞、血管内皮細胞や脂肪組織周囲の細胞などが混入し、幹細胞のみを効率よく分離する技術としては満足いくものではなかった。
【0008】
【非特許文献6】Van den Bos,C.,et al.,Human Cell,1997,10,45−50
【非特許文献7】Zuk P.A.,et al.,Molecular Biology of the Cell,2002,13,4279−4295
【0009】
そこで、さらに分離効率の高い幹細胞の分離法として、遠心分離法以外の方法の開発が進められてきた。近年の報告から、各臓器に存在する幹細胞は、特殊なタンパク質をそれぞれ合成していることが明らかにされている。この特殊なタンパク質はマーカータンパク質と呼ばれ、各臓器の幹細胞に特異的なものであり、これを利用することで、幹細胞を同定し、分離する技術の検討が行われている。
【0010】
例えば、Reyesらは、骨髄に存在する幹細胞のマーカータンパク質(AC133)を発見し、これを利用することで、幹細胞を分離し、特殊な培養液により培養する技術について報告している(非特許文献8)。また、膵臓からの幹細胞の分離法に関しても同様に、マーカータンパク質(c-Met、c-Kit、CD45及びTER119)を利用した選択的分離法に関する特許が公開されている(特許文献1)。さらに、その他の方法では、肝臓における幹細胞のマーカータンパク質(Ttm2A)をコードするmRNAを利用することで幹細胞の分離法についての発明が開示されている(特許文献2)。このように、マーカータンパク質を利用することで、幹細胞を選択的に分離することが可能になると考えられている。
【0011】
【非特許文献8】Reyes M.,et al.,J.Clin.Invest.,2002,109,337−346
【特許文献1】WO2002/088335号
【特許文献2】特開2004−187679号
【0012】
しかし、幹細胞におけるマーカータンパク質は、各臓器によって異なっており、これらを全て把握することは困難である。それ故、未だそれぞれの臓器における幹細胞のマーカータンパク質の研究は進んでおらず、効率よく幹細胞を分離できるマーカータンパク質の発見が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
かかる状況に鑑み、本発明は、上記のような従来技術における問題点を解決し、哺乳動物の生体組織から、あらゆる組織に分化可能な幹細胞を効率よく同定し、分離、培養及び分化誘導する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この様な事情により、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、現在まで皮膚などの外胚葉系組織における幹細胞のマーカータンパク質と考えられていた神経栄養因子であるニューロトロフィンの受容体であるNeurotrophic Factor Receptor p75(以降、p75NTRと記す)が、外胚葉系組織以外の骨髄、肝臓、膵臓、脂肪組織の幹細胞においても合成されていることを見出した。また、これをマーカータンパク質とすることで、幹細胞の効率的な同定及び分離方法を確立した。さらに、p75NTRに加えて、現在までにマーカータンパク質として報告されているc−Kit、CD44、CD105及びCD106から選択されるマーカータンパク質を1種以上組み合わせることで、相乗的に幹細胞の同定、分離、培養及び分化誘導の効率が向上することを発見し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、哺乳動物の骨髄、肝臓、膵臓、脂肪組織をはじめとする生体組織における幹細胞を効率よく同定し、従来の技術に比べて、より優れた高い純度で幹細胞を分離回収することが可能になった。以上より、本発明は、再生医学の分野において大きく貢献できるものと期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、次に本発明を詳細に説明するため、具体的且つ詳細な実施例を挙げるが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
骨髄、肝臓、膵臓及び脂肪組織それぞれから、p75NTR、c−Kit、CD44、CD105、CD106及びWnt10bをマーカータンパク質として分離した細胞について、その分化誘導率を下記の方法にて評価した。
【0018】
細胞培養液の調製
Dulbecco’s Modified Eagle MediumとF−12培地の1:1混合培養液(Gibco)に、ウシ胎児血清(FBS、10%)、100unit/mLペニシリン(Sigma)と100μg/mLストレプトマイシン(ベーリンガー)を加えて調製した(以降、培地1と記す)。また、幹細胞の培養には間葉系幹細胞用培地(三光純薬株式会社)を用いた(以降、培地2と記す)。
【0019】
骨髄からの細胞の調製
ICRマウス(雄、4週齢)の大腿骨を無菌的に摘出し、周囲の結合組織を出来る限り除去した後、両骨端を骨尖刃刀にて切り落とした。その後、25G針付の注射筒を一方の骨端に突き刺し、PBS(−)を注入し骨髄を50mL容の遠沈管(Falcon)に押し出した。その後、セルストレーナー(Falcon)を通しながら別の50mL容の遠沈管に移し、遠心分離した。上清を除去し、新たに培地2を加えて細胞を分散させ洗浄した。この洗浄操作を2回繰り返した。洗浄後、培地2を用いて培養を行った。
【0020】
肝臓、膵臓及び脂肪組織からの細胞の調製
ICRマウス(雄、4週齢)の肝臓、膵臓及び腹部皮下脂肪組織をそれぞれ別々に無菌的に摘出し、PBS(−)で3回洗浄した後、直径6cmの組織培養ディッシュ(Falcon)に移した。それぞれの組織を、尖刃刀により約2mm角に細切し、0.2%コラゲナーゼ溶液(新田ゼラチン)を加え、プラスチックディッシュを上下左右に揺らして溶液中に拡散させた。これらを、37℃で30分間インキュベートすることで細胞外マトリックスを消化した後、穏やかにピペッティングし細胞を分散させた。この細胞分散液を50mL容の遠沈管(Falcon)にセルストレーナー(Falcon)を通しながら移した。さらに、培地1を適量添加し、よくピペッティングした後、5分間遠心分離した。遠心後、上清画分を除去し、新たに培地1を加えて細胞を分散させ洗浄した。この洗浄操作を2回繰り返した。洗浄後、培地2を用いて培養を行った。
【0021】
フローサイトメトリーによる細胞の単離回収及び解析
各組織から調製した細胞を、それぞれ5%FBS添加ハンクス液(Hank‘s balanced salt solution)中で、抗p75NTRポリクローナル抗体(CHEMICON)、抗c−Kitポリクローナル抗体(Santa Cruz)、抗CD44ポリクローナル抗体(Santa Cruz)、抗CD105ポリクローナル抗体(Santa Cruz)、抗CD106ポリクローナル抗体(Santa Cruz)及び抗Wnt10bポリクローナル抗体(Santa Cruz)と30分間氷中にて反応させた。反応後、5%FBS添加ハンクス液にて3回洗浄し、続いてAlexa Fruo 488、又はPEで標識した抗IgGモノクローナル抗体(インビトロジェン株式会社)と30分間氷中にて反応させた。最後に、5%FBSを含むハンクス液にて3回洗浄し、PI(Propidium iodide)5μg/mLを含む5%FBS添加ハンクス液中に細胞を懸濁した。これら蛍光標識した細胞を、FACS Vantage(ベックトン・ディッキンソン株式会社)にて解析した。ゲートの設定はネガティブコントロールを指標にした。まず、前方散乱光(forward scatter)、側方散乱光(side scatter)及びPIにより、残存する赤血球、細胞の残骸、細胞の凝集魂を除いた部分にゲート(R1)をかけた。次に、ゲート(R1)内のp75NTR、c−Kit、CD44、CD105、CD106及びWnt10b細胞を解析し、さらに、染色の組み合わせによりp75NTRのみ、あるいはp75NTRに加えてc−Kit(以下、p75NTR/c−Kitと記す)、同様にp75NTR/CD44、p75NTR/CD105、p75NTR/CD106、p75NTR/Wnt10b、c−Kit/CD44及びc−Kit/Wnt10bの組み合わせで細胞に回収ゲートを設定し、それぞれのマーカータンパク質を合成している細胞を回収した。なお、遠心分離操作のみで細胞を回収する方法を従来の方法とした。
【0022】
FACS Vantageにより、それぞれのマーカータンパク質をもとに回収した細胞を用いて、以下の方法で分化誘導培養を行い、分化誘導の確認を行った。
【0023】
脂肪細胞への分化誘導確認
FACS Vantageにより回収した細胞を、脂肪細胞誘導用培地(TOYOBO)にて、37℃、5%COの条件で14日間培養した。培地は3日間毎に新鮮な脂肪細胞誘導用培地に交換した。脂肪細胞への分化誘導確認は細胞を4%パラホルムアルデヒド溶液により固定した後、オイルレッドO染色により行った。
【0024】
骨芽細胞への分化誘導確認
FACS Vantageにより回収した細胞を、骨芽細胞誘導用培地(TOYOBO)にて、37℃、5%COの条件で14日間培養した。培地は3日間毎に新鮮な骨芽細胞誘導用培地に交換した。骨芽細胞への分化誘導確認は細胞を4%パラホルムアルデヒド溶液により固定した後、アルカリフォスファターゼ染色により行った。
【0025】
軟骨細胞への分化誘導確認
FACS Vantageにより回収した細胞を、軟骨細胞誘導用培地(TOYOBO)にて、37℃、5%COの条件で14日間培養した。培地は3日間毎に新鮮な軟骨細胞誘導用培地に交換した。軟骨細胞への分化誘導確認は細胞を4%パラホルムアルデヒド溶液により固定した後、アルシアンブルー染色により行った。
【0026】
神経細胞への分化誘導確認
FACS Vantageにより回収した細胞を、神経細胞誘導用培地(TOYOBO)にて、37℃、5%COの条件で14日間培養した。培地は3日間毎に新鮮な神経細胞誘導用培地に交換した。神経細胞への分化誘導確認は細胞を4%パラホルムアルデヒド溶液により固定した後、免疫染色(βIII−チューブリンの有無)により行った。
【0027】
平滑筋細胞への分化誘導確認
FACS Vantageにより回収した細胞を、平滑筋細胞誘導用培地(TOYOBO)にて、37℃、5%COの条件で14日間培養した。培地は3日間毎に新鮮な平滑筋細胞誘導用培地に交換した。平滑筋細胞への分化誘導確認は細胞を4%パラホルムアルデヒド溶液により固定した後、免疫染色(α―Smooth muscle actinの有無)により行った。
【0028】
線維芽細胞への分化誘導確認
FACS Vantageにより回収した細胞を、線維芽細胞誘導用培地(TOYOBO)にて、37℃、5%COの条件で14日間培養した。培地は3日間毎に新鮮な線維芽細胞誘導用培地に交換した。線維芽細胞への分化誘導確認は細胞を4%パラホルムアルデヒド溶液により固定した後、免疫染色(フィブロネクチンの有無)により行った。
【0029】
以上の分化誘導確認により、骨髄、肝臓、膵臓、脂肪組織から、それぞれ各マーカータンパク質をもとに分離した細胞の分化誘導率を指標に評価した。具体的には、顕微鏡観察にて細胞の分化有無を計測し、その結果をもとに分化誘導率(総細胞数に対する分化した細胞数の割合%)を算出した。この分化誘導率(%)をもとに、最も優れた幹細胞の分離用のマーカータンパク質及びそれらの組み合わせの比較を行った。
【0030】
各組織から分離した幹細胞の分化誘導率(%)の評価
細胞の分化誘導率(%)の評価基準は、分化誘導率が10%以下を「−」、10〜30%を「+」、30〜50%を「++」、50%以上を「+++」とした。それぞれ骨髄、肝臓、膵臓、脂肪組織からp75NTR、c−Kit、CD44、Wnt10b、又は、p75NTR/c−Kit、p75NTR/CD44、p75NTR/Wnt10b、c−Kit/CD44、c−Kit/Wnt10bをマーカータンパク質として分離した細胞について分化誘導率の評価を行い、結果を表1〜4に示した。
【0031】
その結果、骨髄、肝臓、膵臓、脂肪いずれの組織においても、p75NTRをマーカータンパク質として分離した細胞は、従来の方法で分離した細胞よりも分化誘導能が顕著に優れていた。さらに、p75NTRは、現在までに報告されているマーカータンパク質、c−Kit、CD44、Wnt10bに比べても優れていた。なお、その他のマーカータンパク質(CD105、CD106)と比べても同様に、p75NTRをマーカータンパク質とすることで分化誘導能の高い細胞を分離できた。さらに、p75NTR/c−Kit、又は、p75NTR/CD44による組み合わせにおいて、さらに高い分化誘導能を備えた細胞を分離できた。このような、顕著な相乗効果は、p75NTR/CD105及びp75NTR/CD106でも確認できた。これに対し、p75NTR/Wnt10b、c−Kit/CD44、c−Kit/Wnt10bの細胞では、この様な相乗効果はみられず、必ずしもマーカータンパク質を組み合わせることが、幹細胞の分離効率の向上にはつながらなかった。以上の結果から、マーカータンパク質には最適な組み合わせがあり、本発明の、p75NTRをマーカータンパク質とし、これに加えて、c−Kit、CD44、CD105及びCD106から選択されるマーカータンパク質を1種以上組み合わせた幹細胞の分離方法は、他のマーカータンパク質の組み合わせに比べて極めて効率的であり相乗的に働く優れた組み合わせであることを確認した。








【0032】
以上の結果から、骨髄、肝臓、膵臓及び脂肪組織のいずれにおいても、p75NTRをマーカータンパク質とすることで、分化誘導能の高い幹細胞を分離回収できた。さらに、p75NTRをマーカータンパク質とし、これに加えて、c−Kit、CD44、CD105及びCD106から選択されるマーカータンパク質を1種以上組み合わせることで、さらに分化誘導能の高い幹細胞を分離できることを発見した。また、これらマーカータンパク質を指標とすることで生体組織における幹細胞の同定が可能であることを確認した。本発明で明らかにした、これらのマーカータンパク質の組み合わせは、生体組織からの幹細胞の分離に極めて優れており、今後の幹細胞研究に大きく貢献できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の活用例として、再生医療への応用が期待される。例えば、本発明により、従来に比べて骨髄、肝臓、膵臓及び脂肪組織から高純度で幹細胞を分離培養することが可能になった。これにより、難治性疾患の根本治療として、対象臓器への幹細胞移植治療や分化誘導後の臓器移植などへの応用が期待される。さらに、本発明は、様々な生体組織からの幹細胞の分離が可能であると考えられ、より汎用性の高い幹細胞の分離法といえる。また、本発明は、化粧品、食品、医薬部外品及び医薬品開発への応用も期待される。従来より純度の高い幹細胞を用いることで、より正確なスクリーニングが可能になり、目的の機能を示す化粧品、食品、医薬部外品及び医薬品における有効成分あるいは原料開発への応用が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
p75NTR、CD44、CD105及びCD106から選択されるマーカータンパク質に特異的親和性を有する抗体1種を用いて哺乳動物の生体組織から多能性幹細胞を分離する方法。
【請求項2】
p75NTRをマーカータンパク質とし、これに対する特異的親和性を有する抗体と、c−Kit、CD44、CD105及びCD106から選択されるマーカータンパク質に対する特異的親和性を有する抗体を1種以上組み合わせることで、効率よく哺乳動物の生体組織から多能性幹細胞を分離する方法。
【請求項3】
p75NTR、CD44、CD105及びCD106から選択されるマーカータンパク質に特異的親和性を有する抗体1種を用いて哺乳動物の生体組織における多能性幹細胞を同定する方法。
【請求項4】
p75NTRをマーカータンパク質とし、これに対する特異的親和性を有する抗体と、c−Kit、CD44、CD105及びCD106から選択されるマーカータンパク質に対する特異的親和性を有する抗体を1種以上組み合わせることで、哺乳動物の生体組織から多能性幹細胞を同定する方法。
【請求項5】
生体組織がヒトを含む哺乳類由来である、請求項1から4のいずれかの方法。
【請求項6】
生体組織が脂肪、肝臓、膵臓及び/又は骨髄由来である、請求項1から5のいずれかの方法。
【請求項7】
脂肪が皮下脂肪由来である、請求項1から6のいずれかの方法。
【請求項8】
脂肪が内臓脂肪由来である、請求項1から6のいずれかの方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかの方法により得られた、生体組織から分離された多能性幹細胞。

【公開番号】特開2006−230235(P2006−230235A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47043(P2005−47043)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】