説明

多色効果を示す成形物、それに付随する光デバイスおよび樹脂

【課題】多色効果を示す着色透明プラスチックから成る成形物と、成形物の製造に使用する樹脂と、成形物と少なくとも一つの人工光源とを組合せた光デバイス。
【解決手段】透明プラスチックは0.1〜1500ppmの少なくとも1種の蛍光染料と、50〜10000 ppmの光沢剤とを含む。人工光源は光沢剤の励起領域、特に300〜450nm、好ましくは350〜420nm、より好ましくは350〜400nmの範囲の光を出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多色効果(polychromatic effect)を示す透明かつ着色されたプラスチックで作られた成形物に関するものである。
本発明は特に、射出成形または押出し成形でシート状に成形されたPMMAまたはポリカーボネートの成形物と、この成形物に使用する樹脂とに関するものである。
本発明は多色効果を示す透明かつ着色したプラスチックで成形物に関するものである。
本発明はさらに、上記の成形物を光学的光沢剤の励起領域、特に300〜450nm範囲、好ましくは350〜420nmの範囲、より好ましくは350〜400nmの範囲の光を出す少なくとも一つの人工光線と組合せた光デバイスに関するものである。
本発明はさらに、上記の成形物にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)とポリカーボネート(PC)は光学特性(特に、可視光の少なくとも90%を透過させる高い透明性および光沢)に優れた2つのプラスチックであり、視覚効果が要求される多くの用途、例えば、装飾物(既製服のディスプレイ、ライト、台所パネル等)、広告板等の製造で日常的に広く使用されている。こうした魅惑的な視覚効果を示す物体は、消費者、顧客またはユーザの注意を捕らえたり、日常生活を簡単に活気付ける手段として要求が多くなっている。この分野では非蛍光染料色よりも物体をビジュアルに引き立たせる蛍光剤着色が特に要求されている。
【0003】
下記文献には互いに異なる色の少なくとも2枚の透明層を重ね合せて得られる多色視覚効果を示す構造が開示されている。
【特許文献1】欧州特許出願公開第EP 1 464517号公報
【0004】
この多色視覚効果の特徴は構造を観測する角度に応じて色の認知が変わる
多色角度効果」にある。この構造は少なくとも2枚の透明層を一緒に共押出しすることによって得られる。従って、利用可能な2台の押出ダイが必要であり、2層の間の界面に欠陥が生じないように2層を最適に結合させる必要がある。
下記文献には長時間維持される蛍光カラーを示すポリカーボネート組成物が開示されている。
【特許文献2】欧州特許第EP 0794975−Bl号公報
【0005】
この組成物は光学的光沢剤を0.01%(100ppm)以下含むことができる。この光学的光沢剤の役目はシートの黄変を中和することにある。
下記文献にはエッジから光を出すビジュアルディスプレイデバイスが開示されている。
【特許文献3】欧州特許第EP 0402458−Bl号公報
【0006】
このデバイスは蛍光染料を含むPMMAまたはポリカーボネートから作られる。
下記文献にはBaSO4が分散された蛍光染料を含むプラスチック、特にPMMAから成形物が開示されている。
【特許文献4】欧州特許第EP 0559083号公報
【0007】
下記文献には透明材料、例えば特にPCまたはPMMAで使用可能な蛍光染料の混合物が開示されている。
【特許文献5】国際特許出願第WO 99/16847号公報
【0008】
下記文献には可溶性蛍光剤化合物と、材料中に分散させた散乱用充填剤、例えばBaSO4および白色顔料、例えばTiO2、ZnOまたはZnSとから成る透明材料(例えばPMMAまたはポリカーボネート)をベースにした視覚効果を示す構造が開示されており、白色顔料は色輝度を改善する。
【特許文献6】国際特許出願第WO 2004/033543号公報
【0009】
下記文献には非蛍光色素を混ぜてもよい蛍光染料を含むポリカーボネートが開示されている。
【特許文献7】国際特許出願第WO03/086813号公報
【0010】
下記文献には新しいタイプの光学的光沢剤を含むポリカーボネートが開示されている。
【特許文献8】米国特許公開第US 2004/0063821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、多色効果を得るために0.1〜1500ppmの少なくとも一種の蛍光染料と50〜10000ppmの少なくとも一種の光学的光沢剤とを含む透明プラスチックを記載した文書は無い。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、透明なプラスチックが0.1〜1500ppmの少なくとも一種の蛍光染料と、50〜10の000 ppmの少なくとも一種の光学的光沢剤とを含むことを特徴とする、多色効果を示す着色した透明なプラスチックから成る成形物に関するものである。
【0013】
成形物は好ましくはシート形で提供される。
透明なプラスチックはPMMAまたはポリカーボネートであるのが好ましい。
本発明の他の対象は、0.1〜1500ppmの少なくとも一種の蛍光染料と50〜10000ppmの少なくとも一種の光学的光沢剤とを含む透明かつ着色したプラスチック成形物と、光学的光沢剤の励起領域、特に300〜450nmの範囲、好ましくは350〜420nmの範囲、より好ましくは350〜400nmの範囲の光を出す少なくとも一つの人工光線とを有するデバイスにある。
【0014】
本発明のさらに他の対象は、0.1〜1500ppmの少なくとも一種の蛍光染料と50〜10000ppmの少なくとも一種の光学的光沢剤とを成形物の製造で使用する樹脂にある。
【0015】
本発明は以下の詳細な説明、典型的な実施例および添付図面からよりよく理解できよう。なお、本出願はフランス出願第FR05.01622号および米国仮特許出願第60/668673号および第60/754886号出願を優先権とするものでる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
「透明なプラスチック」という用語は、DIN規格 67-507に従った可視領域の光の透過率が少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%である熱可塑性または熱硬化性の可塑性物質を意味する。
【0017】
例としては結晶ポリスチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、透明ポリオレフィン、特にクラリファイドポリオレフィン、ポリプロピレン、PMMA、透明ポリアミドまたはポリカーボネートが挙げられる。PMMAおよびポリカーボネートは加工性、市場からの入手のし易さ、高い透明性から選択される2つの透明プラスチックである。多色効果はPMMAまたはポリカーボネートで特に見られる。
【0018】
「PMMA」という用語はメタクリル酸メチル(MMA)のホモポリマーか、60〜100重量%のメタクリル酸エステルと0〜40重量%のメタクリル酸メチルと共重合可能な少なくとも一種のエチレン性不飽和基を有する少なくとも一種のモノマーとのコポリマーを示す。そうしたモノマーは周知であるが、特にアクリル酸、メタアクリル酸、アルキル基が2〜4の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。例としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチルまたはアクリル酸ブチルが挙げられる。好ましくはメタクリル酸メチルのホモポリマーか、80〜99.7重量%、好ましくは90〜99.5重量%のメタクリル酸メチルと0.3〜10重量%、好ましくは0.5〜10重量%のメタクリル酸メチルと共重合可能な少なくとも一つのエチレン不飽和を有する少なくとも一種のモノマーとのコポリマーにする。
【0019】
「ポリカーボネート(PC)」という用語は炭酸のポリエステル、すなわち少なくとも一つの芳香剤または脂肪族ジオールと少なくとも一種の炭酸誘導体との反応によって得られるポリマーを表す。好ましい芳香剤ジオールはビスフェノールAで、これをホスゲンと反応させるかエステル交換反応で炭酸エチルと反応させる。式HO-Z- OHのビスフェノール(ここで、Zと6〜30の炭素原子を有し、一つ以上の芳香族基を有する二価の有機ラジカルを表す)をベースにしたホモポリカーボネートかコポリカーボネートにすることができる。
【0020】
ジフェノールの例としては下記が挙げられる:ジヒドロキシビフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、インダンビスフェノール、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、 ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α、α'−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン。
【0021】
また、芳香環のアルキル化またはハロゲン化デ得られるこれら化合物の誘導体にすることもできる。式HO-Z-OHの化合物の中では特に下記の化合物を挙げることができる:ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)−パラ/メタ−イソプロピルベンゼン、1、1−ビス(4-ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、l,l-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(3,5-ジクロル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(またはビスフェノールA)、2,2- ビス(3-クロル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4- ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、2,4-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、α、α'−ビス(4-ヒドロキシフェニル)-o-ジイソプロピルベンゼン、α、α'−ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン(またはビスフェノールM)
【0022】
好ましいポリカーボネートはビスフェノールAをベースにしたホモポリカーボネートか、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンおよびビスフェノールAとl,l- ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサンとをベースにしたコポリカーボネートである。
【0023】
ポリカーボネートはホスゲンとビスフェノールとの均一反応または界面反応か、炭酸エステルとビスフェノールとのエステル交換反応で得られる。さらに詳細ナ説明は下記文献を参照されたい。
【非特許文献1】Schnell, "Chemistry and Physics of Polycarbonates", Interscience Publishers, 1964, or alternatively to "Polycarbonates" in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Volume 1 1 , 2nd edition, 1988, pages 648-718
【非特許文献2】U. Grigo, K. Kircher and P.R. Muller, "Polycarbonate"
【非特許文献3】Becker, Braun, Kunststoff-Handbuch, Volume 3/1, Polycarbonate, Polyacetale, Polyester, Cellulose-ester, Carl Hanser Verlag Munich, Vienna 1992, pages 117 to 299
【0024】
蛍光染料
成形物は少なくとも一種の蛍光染料を含む。「蛍光染料」という用語は光を吸収し、最初の励起状態Slから基底状態SOまで光を出す特徴を有する有機分子を表す(蛍光に関する更なる詳細は下記文献を参照)
【非特許文献4】Ullman's Encyclopaedia of Industrial Chemistry, 5th edition, Volume Al 1, pages 279-291
【0025】
この蛍光染料は可視光領域で光を吸収し発行する。蛍光染料は例えば下記群の中から選択できる:
(A)ペリレン、特に下記式(I)のもの:

【0026】
(ここで、R1は下記のいずれかを表す:
1) 1〜20の炭素原子を有するアルキル基、
2) 3〜20の炭素原子を有するシクロアルキル基、
3) -OH、-OR2、-C(=O)-OR2、-C(=O)-NR2R3、-NR2-C(=O)R3、フェニルまたは置換されたフェニル(R2およびR3は-Hまたは1〜20の炭素原子を有するアルキル基を表す)の一つまたは複数の基で置換された1〜20の炭素原子を有するアルキル基)
【0027】
R1は特に下記の基を表す:N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)、N,N’-ビス(n-ペンチル)、N,N’-ビス(n-ドデシル)、N,N’-ビス(2-エチルフェニル)およびN,N’-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)。
【0028】
(B)クマリン類、特に下記のCAS番号を有するもの:[27425-55-4], [12221-86-2], [38215-36-0], [34564-13-1], [62143-26-4], [28754-28-1] および[55470-53-6];
(C)キサンテン類、特に下記のCAS番号を有するもの:[518-47-8] (フルオレセイン、CI 45350、アシッドイエロー73)、[18472-87-2](フェロキシン、phloxine,B5 CI 45410)、[632-68-8](ローズベンガル(CI 45440)、[81-88-9](ローダミンB)、[2390-63-8](ローダミン3B(CI 45175)、[52372-39-1]および[52372-36-8];
(D)チオキサンテン類、特に下記のCAS番号を有するもの:[16294-75-0]、[14121-47-2]および[18014-08-9];
(E)アズラクトン類、特に下記のCAS番号を有するもの:[25774-09-6]および[51202-86-9];
(F)メチン類、特に下記のCAS番号を有するもの:[23406-34-0]および[84-33-3 ];
(G)オキサジン類およびチアジン類、特に下記のCAS番号を有するもの:[63589-47-9]
【0029】
蛍光染料としてはBASF社から市販のルモゲン(Lumogen、登録商標)も挙げられる。特に、Lumogen Fオレンジ240(オレンジ色のペリレン誘導体)、Lumogen F Yellow 083(黄色のペリレン誘導体)、Lumogen F Red 240またはLumogen F Red 300(赤色のペリレン誘導体)、Lumogen Violet F-570(すみれ色のnaphtalimide誘導体)。
【0030】
また、バイエル社のMacrolex Yellow 10GN、Macrolex Red G、Lisa 57Y、Lisa 50B、Lisa51GB、Lisa61R、Clariant社のHostasol Yellow 3GおよびLancer社のSovent Yellow 191を挙げることもできる。
上記商標の蛍光染料は一般にポリマー中へ分散させるマスターバッチの形で販売されている。
【0031】
蛍光染料は有機分子であり、プラスチック中への分散の容易さから「蛍光顔料」よりも好まれて使用されている。有機分子の形をした蛍光染料の他の利点は、シートの注型法でメタクリル酸メチル中またはメタクリル酸メチルを含むモノマーの混合物中に可溶で、顔料の場合のばらつきおよび/または沈降の問題がないことである。
【0032】
この蛍光染料は透明なプラスチック中に透明なプラスチックに対して(ppm:重量で)、0.1〜1500ppm、好ましくは0.1〜lOOOppm、さらに好ましくは0.1〜500ppm、さらに好ましくは0.5〜100ppm、より好ましくは0.5〜10ppm、最も好ましくは2〜10ppmの濃度で存在する。
【0033】
他の染料
新しい色相(hue)を得るために、上記の蛍光染料に加えて、一つまたは複数の他の非蛍光染料をプラスチックに加えることも可能である。
他の非蛍光染料色素は、顔料または溶ける有機染料である。その例としてはフタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、赤色酸化鉱、ウルトラマリン、クロムチタンイエローまたはアントラキノン・タイプの染料を挙げることができる。蛍光染料に非蛍光染料を組合せることでより広い色のスペクトルをカバーすることができる。例えば、緑色素、例えばフタロシアニングリーンを黄色の蛍光を出す蛍光染料と組合せて螢光性グリーン・ブリリアントを生じさせることができる。他の染料は任意成分としてのカーボンブラックでもよい。
透明なプラスチック中の非蛍光染料の濃度は透明なプラスチック(重量ppm)に対して、0〜3000ppm、好ましくは0〜2000ppm、より好ましくは0〜1000ppm、さらに好ましくは0〜700ppm、より好ましくは0〜500ppmにする。
【0034】
光学的光沢剤
光学的光沢剤(optical brightener)は300〜430nm範囲の紫外線領域を吸収し、吸収した光エネルギーを400〜500nm範囲の可視領域で出す無色またはわずかに着色した有機化合物である(光学的光沢剤に関する更なる詳細は下記文献を参照されたい)。
【非特許文献5】Ullman's Encyclopaedia of Industrial Chemistry, 5th edition, Volume A 18, pages 153-176
【0035】
このタイプの化合物はプラスチックの黄変問題を補償するためにプラスチックの分野では周知である。本発明ではこれは数ppbのオーダー、すなわち、低濃度で加えられる。各光学的光沢剤の活性は使用するポリマーに依存し、下記文献で使用されている。
【特許文献9】米国特許出願公開第US 2004/0063821号公報
【0036】
驚くことに、本発明者は、50ppm以上、好ましくは100ppm以上、より好ましくは150ppm以上、最も好ましくは200ppm以上の濃度の光学的光沢剤と、蛍光染料と、透明なプラスチックとを組合せると、驚くような有利な多色効果が得られるということを発見した(重量ppm)。上記濃度は透明なプラスチックに対して10000重量ppmまでにすることができる。
【0037】
光学的光沢剤は下記の群の中から選択できる:
(a)ジスチリルベンゼン類、特に下記のCAS番号を有するもの:
[13001- 39-3]、[79026-03-2]、[13001-38-2]、[36775-00-7]、[79026-02-1]および[13001-40-61]
(b)ジスチリルビフェニル類、特に下記のCAS番号を有するもの:
[27344-41-8]、[51119-63-2]、[42380-62-1]、[60477-28-3]および[40470-68-6]
(c)ジビニルスチルベン類、特に下記のCAS番号を有するもの:
[60683-03-6]、[60682-87-3]
(d)クマリン類、特に下記のCAS番号を有するもの:
[91-44-1]、[6025-18-9]、[19683-09-1]、[3333-62-8]、[63660-99-1]、[26867-94-7]および[52725-14-1]
(e)トリアジニルアミノスチルベン類、特に下記のCAS番号を有するもの:
[3426-43-5]、[35632-99-6]、[24565-13-7]、[12224-16-7]、[13863-31-5]、[4193-55-9]、[16090-02-1]、[133-66-4]、[68444-86-0]、[61968-74-9]、[12224-02-1]、[99549-42-5]、[16470-24-9]、[74228-28-7]、[83512-97-4]および[76482-78-5]
【0038】
(f)スチルベニルベンゾオキサゾール類、特に下記のCAS番号を有するもの:
[18039-18-4]および[64893-28-3]
(g)ビス(ベンゾオキサゾール)類、特に下記のCAS番号を有するもの:
[1041-00-5]、[2866-43-5]、[7128-64-5]、[5089-22-5]、[1552-46-1]、[1533-45-5]および[5242-49-9]
(h)ベンゾイミダゾール類、特に下記のCAS番号を有するもの:
[72829-17-5]、[74878-56-1]、[74878-48-1]および[66371-25-3]
(i)ピラゾリン類(l,3-ジフェニル-2-ピラゾリン誘導体)、特に下記のCAS番号を有するもの:
[2744-49-2]、[60650-43-3]、[3656-22-2]、[27441-70-9]、[32020-25-0]、[61931-42-8]、[106359-93-7]、[85154-08-1]、[42952-22-7]、[63310-12-3]、[12270-54-1]、[36086-26-7]および[81209-71-4]
【0039】
上記光学的光沢剤の中ではクマリン類、ビス(ベンゾオキサゾール誘導体)およびピラゾリン類が好ましい。PMMAの場合にはピラゾリン類、特にl,3-ジフェニル-2-ピラゾリンタイプが特に最高の効果を与える。
【0040】
光学的光沢剤は透明なプラスチック中に透明なプラスチックに対して50〜10000 ppm、好ましくは100〜lOOOOppm、さらに好ましくは150〜5000ppm、より好ましくは150〜1000ppm、より好ましくは200〜1000ppm、最も好ましくは200〜800ppm(重量ppm)の濃度で存在する。
【0041】
他の添加剤
透明なプラスチックは蛍光染料および光学的光沢剤に加えて、その他の添加剤を含むことができる。この他の添加剤は無機または有機の粒子にすることができ、その粒径は0.1〜1000マイクロメートル、好ましくは0.1〜200マイクロメートル、より好ましくは1〜5マイクロメートルであり、透明なプラスチックに対する屈折率(ASTM D-542規格に従う)の差は±0.003〜0.2である。この粒子の濃度は透明なプラスチックに対して0.001〜0.1重量%である。
【0042】
屈折率が一致し且つ粒径が0.05〜0.4マイクロメートルの衝撃改良剤として使用されているポリマー粒子も熱可塑性または熱硬化性ポリマーの総量に対して50重量%以下で加えることができる。架橋したポリメタクリル酸メチルのホモポリマーまたはアクリルモノマーとのコポリマーの組成物を有するアクリルポリマーのビーズも熱可塑性または熱硬化性ポリマーの総量に対して50重量%以下の比率で存在することができる。架橋ビーズの屈折率は一致していてもいなくてもよく、大きさは50マイクロメートル以下である。他の添加剤の例は硫酸バリウムの粒子、ポリアミド、特にOrgasolの粒子、テトラフルオロエチレン樹脂の粒子、炭酸カルシウムの粒子、珪酸マグネシウムの粒子、ポリスチレンの粒子、酸化チタン(IV)の粒子、架橋プラスチックビーズの粒子、カオリンの粒子またはマイカの粒子である。マイカの粒子は、特にメルク社からIriodinの商標で市販のもの、特にIriodinR 153、IriodinR 163、IriodinR 103またはIriodinR 215にすることができる。
【0043】
上記の無機または有機の粒子は透明なプラスチック中に均一に分散できる。透明なプラスチックに不均一に分散させることも可能である。すなわち、例えば注型シートの場合、粒子をシートの2面の一方に集める(蓄積)ことができる。この蓄積は重合すべき液体混合物中への粒子の沈降で得ることができることは住友化学工業の下記文献に記載されている。
【特許文献10】日本特許公開第JP 10219183号公報
【特許文献11】日本特許公開第JP 10182918号公報
【特許文献12】日本特許公開第JP 11013987号公報
【0044】
しかし、透明なプラスチック中に存在する粒子は透明性に何らかの影響を及ぼす傾向がある。従って、透明性が重要な用途で使われるプラスチックの場合には無機、有機の粒子を無くすことが重要である。しかし、上記のように、屈折率が一致した粒子またはビーズは透明性を維持できる。
【0045】
樹脂
本発明はさらに、0.1〜1500ppmの少なくとも一種の蛍光染料と、50〜10000ppmの少なくとも一種の光学的光沢剤とを含む透明なプラスチック(重量ppm)に関するものである。すなわち、本発明は下記から成る樹脂に関するものである:
(a) DIN規格67-507に従って測定した可視領域の光透過率が少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80である透明なプラスチック、
(b) 上記の透明なプラスチックに対して0.1〜1500ppm、より好ましくは0.1〜1000ppm、さらに好ましくは0.1〜500ppm、より好ましくは好ましくは0.5〜100ppm、さらに好ましくは0.5〜10ppm、最も好ましくは2〜10ppmの少なくとも一種の蛍光染料(重量ppm)、
(c) 上記の透明なプラスチックに対して50〜10000 ppm、好ましくは100〜10000ppm、より好ましくは150〜5000ppm、さらに好ましくは150〜1000ppm、より好ましくは200〜1000ppm、最も好ましくは200〜800ppm(重量ppm)の少なくとも一種の光学的光沢剤。
【0046】
透明なプラスチックはポリスチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、透明なポリオレフィン、PMMA、透明なポリアミドまたはポリカーボネートにするのが好ましい。
【0047】
成形物を作る方法
成形物は上記樹脂を用いて公知に任意の方法で作ることができる。「成形物」という用語は当業者に公知のプラスチックの成形方法、例えば射出成形、押出成形または加圧成形を使用して作られた物体を意味する。これらの方法で使用される樹脂プラスチックの顆粒またはビーズはまず最初に溶かされ、所望の型用いてパイプ、ロッド、立方体、シート等の成形物にされる。
透明なプラスチックに含まれる各種添加剤(蛍光染料、任意成分の非蛍光染料色素、光学的光沢剤、任意成分の無機または有機の粒子等)は製造サイクルの透明なプラスチックの上流で(すなわち重合混合物中へ)導入するか、サイクルの下流で(すなわち溶融状態の透明なプラスチック中へ)導入される。
成形物はシートの形、好ましくは単層シート(光学的光沢剤、蛍光染料および上記の他の任意成分を含む)の形であるのが好ましく、PMMAまたはPCのシートであるのが好ましい。シートの厚さは1〜300mm、好ましくは1〜100mm、より好ましくは1〜50mm、さらに好ましくは2〜40mmにする。
PMMAまたはPCのシートまたはその他の形状の物を作る方法は当業者に公知である。押出成形法では透明なプラスチックの顆粒またはビーズを押出機に導入し、押出機の出口で溶融物をシート、その他の形状に成形する。透明なプラスチックに含まれる各種添加剤(蛍光染料、任意成分の非蛍光染料色素、光学的光沢剤、任意成分の無機または有機の粒子等)は押出機に導入するか、顆粒またはビーズ中に予め入れておくことができる。
【0048】
キャスティング法では互いに分離した2枚の平らなシート、例えば無機ガラスで型を形成し、周囲を一般にポリ塩化ビニルで作られるシール(hank)で密封する。型は側面に配置したクランプで閉じられる。被重合組成物、モノマーまたはプレポリマー(5〜10%程度の変換が終わった部分的に重合したモノマー)からなるシロップに、メタクリル酸メチルを重合させる、または、シロップの重合に十分な量の重合開始剤を加え、型に注入する。この被重合組成には各種の添加剤:蛍光染料、オプションの非蛍光染料色素、光学的光沢剤、任意成分の無機、有機の粒子、任意成分のその他の添加剤(例えば架橋剤、離型剤、最終ポリマーの平均モル質量を制御するための連鎖移動剤、抗酸化剤等)が含まれる。重合は型を水中に入れる(「浴」式)か、オーブン中で必要な温度(40〜8O℃)に置き、さらに後重合のためにオーブン中(約100〜13O℃)に置く。得られるポリマーシートの厚さはシールの厚さで決まる。
上記の成形方法の全てで、蛍光染料、任意成分の非蛍光染料色素および光学的光沢剤は透明なプラスチック全体に均一に混合される。
【0049】
多色効果
多色効果は以下のようにして観測される。シートが示す主たる色は蛍光染料と任意成分の非蛍光染料の色である。この主たる色は従来の比色計(colorimetric.device)を使用してL*、a*、b*値(特に、ASTM規格 E 308)を求めることで特徴付けることができる。3つの値L*、a*、b*からCIELABシステムとよばれるシステムで主たる色を特徴付けることができる。ここで、L*は明度(光輝)を表し、0(黒)〜100(白)まで分布する。a*は色の赤度およびグリーン度を表し、グリーンに近い色はa*の値が負になり、赤に近い色はa*の値が正になる。b*は色の青度および黄色度を表し、黄色に近い色はb*の値が正になり、青に近い色はb*の値が負になる。
【0050】
シートをそのエッジのうちの1つに沿って配置した光学的光沢剤の励起領域の少なくとも一部の光を出す光源によって照射した場合、観察者は[図1]および[図2]に示すように、エッジがシートの主たる色とは異なる色で照射されるのが分かる。照射されたエッジに沿って観測される色はシートの主たる色より低いb値を有する。この「青の強い」色相は照射されたエッジの全長さに沿って且つ数ミリメートル程度の厚さで見える。観察者の目にはシートの主たる色より青い色相を有する目立った干渉縞(フリンジ、fringe)がエッジに沿って伸びているシートが見える。この干渉縞の厚さは数ミリメートルで、一般に1〜10mm、好ましくは1〜8mm、材料リ好ましくは1〜4mmである。この干渉縞の厚さは光源の光度に依存して変化する。
【0051】
[図3]に示すようにシートをその片面から照射することもできる。この場合、観察者は照射面のエッジに沿って数ミリメートルの厚さにわたってより青い干渉縞が見える。成形物の場合、例えば[図4]に示す、ねじった物品の場合には、より青い干渉縞が照射されたエッジの1つで見える。
【0052】
すなわち、多色効果は、照射されたエッジに沿ってシートの主たる色より青い色相の色が現れるという外観によって特徴付けられ。このより青い色相は照射されたエッジに沿って延び、シートの主たる色と異なる色をしている。この多色効果はプラスチック、蛍光染料および光学的光沢剤の2つの成分の組合せで生じ、2つの成分の1つだけが存在するだけでは見られない。
【0053】
表面粗さ
少なくとも1つの表面および/または少なくとも1つのエッジに所定の表面粗さを与えることで半透明の外観(この効果を示すために霜降りという用語を用いることもある)を得ることができる。この表面粗さはいくつかの方法で与えることができる。その第1の方法は、注型シートの場合にはシートを成形するガラスの型自体の表面を粗くする。例えば、ガラスの型をフッ化水素酸で処理して表面粗さを得ることができる。第2の方法ではサンドブラストが使われる。この方法は下記文献に記載されている。
【特許文献13】国際特許第WO 03/083564号公報
【特許文献14】米国特許第US 3 497981号明細書
【0054】
樹脂ベースの製品の場合には架橋粒子を加えることによって表面の粗さを付けることができる。
表面粗さはRaで表され、ミクロンで表示され、ISO規格 4287およびISO規格 4288に従った装置(例えばRank-Taylor-Hobson社のSurtronic 3P Talysurf)を使用して測定することができる。
表面の少なくとも1つおよび/またはエッジの少なくとも1つを表面粗さを使って半透明にする場合の表面粗さRa値は数マイクロメートル程度である。この値は1〜3マイクロメートル、好ましくは0.5〜4マイクロメートルである。
本発明シートの表面およびエッジを完全に滑らかにして粗度が無い程度にすることもできる。この場合の表面粗さRaの値は400nm以下、好ましくは300nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。
【0055】
光デバイス
多色効果を得るためには成形物(特にシート)と光学的光沢剤の励起領域の光を出す少なくとも一つの人工光線とを組合わせる必要がある。この光は300〜450nmの範囲、好ましくは350〜420nmの範囲、より好ましくは350〜400nmの範囲の光である。光源は例えば白熱ランプ、蛍光灯、ネオン管、LED(発光ダイオード)またはオプティカルファイバーにすることができる。
【0056】
光源は比較的広範囲の波長の光を出すことができるが、光の一部が光学的光沢剤の励起領域にあることが重要である。人工光線は300〜450nmの範囲、好ましくは350〜420nmの範囲、より好ましくはまだ350〜400nmの範囲に正確な波長または狭い波長範囲幅、好ましくは20nm、さらに好ましくは40nmの波長範囲幅で発光するのが好ましい。
【0057】
従って、光源の発光スペクトルは非常に限られ、300〜450nmの範囲、好ましくは350〜420nmの範囲、より好ましくは350〜400nmの範囲内に完全に含まれる。光源は例えばレーザー、ダイオードレーザまたはLEDにすることができる。特に、LEDの場合の発光スペクトルは極めて限定されたガスウピークを示し、波長範囲は20nm程度である。Ledtronics社から市販のLEDの例では370、390、395、400または405nmの光を出す。LEDを使用する利点は電気エネルギー使用量が低く、日常生活でますます使われるようになった光源の一つという点にある。
【0058】
いくつかの光源、特に複数のLEDを組合せて光学的光沢剤の励起の領域、特に300〜450nmの範囲、好ましくは350〜420nmの範囲、より好ましくは350〜400nmの範囲で発光させるのが好ましい。
また、光学的光沢剤の励起の領域、特に300〜450nmの範囲、好ましくは350〜420nmの範囲、より好ましくは350〜400nmの範囲で発光する少なくとも一つの光源と、460〜700nmの間の他の波長範囲で発光する少なくとも一つの別の光源とを組合わせることもできる。成形物、特にシートの照明は下記の組合にすることができる:
【0059】
(1)光学的光沢剤の励起領域で発光する光源、好ましくはLEDと、他の波長範囲すなわち460〜700nmで発光する着色LED。この着色LEDは610〜640nmの間の赤を出すLED、例えば、Osram LM03-B-Aの商標で市販のLED、570〜610nmの間の黄色を発光するLED、例えばOsram LM03-B-Yの商標で市販のLED、500〜540 nmの間の緑を出すLED、例えばOsram LM03-B-Tの商標で市販のLEDである。
(2)光学的光沢剤の励起領域で発光する光源、好ましくはLEDと、白色LED、
(3)光学的光沢剤の励起領域で発光する光源、好ましくはLEDと、蛍光ランプ
【0060】
光源または複数の光源を組合せたものは照射される成形物、特にシートの一部の近くに配置する(例えば[図1][図2]ではエッジ、[図3]では表面)。好ましくは照射部分から0〜100cm、好ましくは0〜50cm、さらに好ましくは0〜10cmの位置にする。0 cmとは光源がシートの照射部分に対向して配置される場合に対応する。光源または複数の光源を組合せたものはアタッチメント手段を用いてシートの照射部分の近くまたはそれに対向して固定できる。
多色効果は光学的光沢剤の励起領域の光を有するものであれば日光だけでも見られる。
【0061】
形状
[図1]はエッジを介して照明した本発明シート1を3つの主軸x、y、zから成る直角座標系で表したものである。このシート1は平行四辺形をしており、2つの平行の面2、3と、これらの面2、3に垂直な4つのエッジ4、5、6、7とによって区画されている。主軸x、y、zに平行な3つの軸[X11']、[Y11']および[Z11']が示してある。エッジ7は軸[Y11']内のエッジ7に沿って且つその近くに配置された光源8によって照射される。このシートを観察者(軸[Z11']上の目で象徴的に表してある)が観測すると、観察者には照射されたエッジに沿ってかつ厚さeにわたってシートの主たる色より青い色相を有する干渉縞9が見える。
【0062】
[図2]は上記と同じx、y、z直角座標系に楔形の本発明シート10を置いたものを表している。このシート2は角度θを成す2つの非平行面11、12と、これら2つの面11、12に直角な4つのエッジ13、14、15、16とから成る。主軸x、y、zに平行な3つの軸[X22']、[Y22']および[Z22']が示してある。軸[Y22']内のエッジ16の近くにエッジ16に沿って置かれた光源17がエッジ16を照射する。観察者が軸[Z22']に沿ってシート2を観測すると、観察者はこのエッジに沿ってシートの主たる色より青い色相を有する干渉縞18を知覚する。
【0063】
[図3]に示す本発明シート18は直角座標系の3つの主軸x、y、zに平行な3つの軸[X33']、[Y33']および[Z33']を有している。このシート18は2つの平行面19、20と、これら2つの面19゛20に直角な4つのエッジ21、22、23、24とで区画されている。2つの光源25、26が面19の上方に配置されて面19を照射している。このシート3を軸[X33']に沿って観測した観察者はシートの主たる色より青い色相を有する干渉縞27を面19に沿ってかつ厚さe''にわたって知覚する。
【0064】
x、y、z直角座標系中に配置した、ねじられた物品(ツイスト物品)28の形をした本発明成形物を表している。このツイスト物品28は回転軸線[Z44']の周りを巻かれており、2つのエッジ29、30を有する。このツイスト物品28は回転軸線[Z44']と平行に配置された光源31で照射されている。回転軸線[Z44']に沿ってこのツイスト物品28を観測した観察者は、シートの主たる色より青い色相を有する干渉縞32を知覚する。
【0065】
用途
本発明のシートおよび光デバイスは壁のサイン、広告板等のお店の飾りやインテリアの用途がある。例えば、有利な使用方法の一つはシートの4つのエッジに対向して配置した4つの光源でシートを照射するディスプレイパネルとしての使用である。このシートはシートの主たる色より青い色相を有する4つの側面エッジが蛍光カラーの色相で見える。
【実施例】
【0066】
下記の実施例1〜7で使用するPMMAシートは隗重合で製造した。含有量は全てPMMAに対する重量である。使用した添加剤は下記の通り:
蛍光染料
バイエル社のLisa(リサ)57Y(黄色)、Lisa(リサ)50B(青色)、Lisa(リサ)51GB(グリーン)、Lisa(リサ)61R(オレンジ)およびBASF社のLumogen(ルモゲン)F Red 300。
光学的光沢剤
ISL(Rhein Chemie)から市販のMoltopren(モルトプレン)FB。これはポリマー中に極めて濃厚なペースト(20℃で18000 mPas)の形で分散した1,3-ジフェニルピラゾリンタイプの光学的光沢剤である。
L*、a*およびb*値の測定はスペクトルカラーメータ(spectrocolorimeter)の Datacolor International Specter(商標)を用いて2つの波長範囲(420〜750nmと350〜750nm)で行った。
【0067】
実施例1
最初に、メタクリル酸メチルに20重量ppmの2,2-アゾビスイソブチロニトリル(ラジカル開始剤)を添加してメタクリル酸メチルのプレポリマーを調製した。得られた混合物を7%の程度の濃度が得られるまで9O℃に加熱した。
このプレポリマーを冷却した後、全てのモノマーの重合に必要な量(250ppm)の同じラジカル開始剤と、バイエル社から市販のリサ57Y(純粋な蛍光染料2ppm)で売られる)の2ppmとを加える。さらに、100ppmの離型剤と、スルホスシネート・ジオクチルナトリウム、0.3%のCiba社から市販のTinuvin(チヌバン)770と、500ppm のMoltopren(モルトプレン)FB(純粋なピラゾリン化合物500ppm)を加えた。
型は1000x1000x8mmの寸法を有する2枚のガラス板を可撓性ポリ塩化ビニール(PVC)シールで分離して作った。最終的に得られるシートの厚さ(10mm)はこのシールの直径によって決定される。シールの両末端は重合組成を導入できるようにするために離しておく。2枚のガラスシートは金属クランプで保持する。
【0068】
上記組成物を減圧下に30分間置いて空気を除去した後、PVシールの両末端の間に残した空間を介して漏斗を用いて上記組成物を型中に導入する。その後、PVシールの両末端を互いに接触させて型を閉じる。型を換気されたオーブン中に入れてメタクリル酸メチルを重合させる。少なくとも99%の最高変換率となるまで、55℃で600分間、そして120℃で2時間の温度サイクルで型を加熱する。厚さ10mmの黄色い着色シートが得られる。
【0069】
実施例2〜5
他の色素([表1]を参照)を使用して実施例1の条件を繰り返す。
【0070】
実施例6、7
実施例1の条件を繰り返すが、光学的光沢剤([表1]を参照)は加えなかった。
【0071】
実施例2のシートを蛍光ランプ(11W、Osram 11W-41-827)下に置いた。シートのエッジの1つをランプと対向させた。照射したシートのエッジに、2mmの厚さにわたって、主たる色より青い色相を有する強い干渉縞が見え、この干渉縞は照射エッジの全長に沿って伸び、シートの残りの部分とは明らかに違って見えた。
【0072】
スペクトルカラーメータ(spectrocolorimeter)を用いて測定したL*、a*、b*値は[表1]にまとめて示してある。[表1]のppmは重量ppmである。
実施例1〜5の場合、b*値とは違って、L*値が2つの波長範囲で大きく変化しないということが分かる。b*値は強い減少傾向を示す。
【0073】
【表1】

【0074】
実施例8〜12
2軸スクリュー押出機を使用して一連のPMMAサンプルを作り、射出成形機を用いて標準的なアクリル加工条件で2''x 3''x 1/8''の寸法を有する各プレートサンプルを作った。使用したPMMAは添加剤を含まないMMA(95.5重量%)とアクリル酸エチル(4.5重量%)とのコポリマーである。全てのサンプルはLancer社の蛍光染料(Solvent Yellow 191)を含んでいる。この染料は、LANCER DISPERSIONS(製品暗号:86801)で分散したもので、Day-Glo Color社(4515、Saint Clair Avenue, Cleveland OH 44103)から購入したSENECA YELLOW D991である。
【0075】
サンプル8〜11も各種レベルの光学的光沢剤:Clariant社のHOSTALUX KS(CAS N度5242-49-9)を含んでいる。各サンプル中の蛍光染料および光学的光沢剤の量は[表2]に示してある。
【0076】
サンプルの板をUV光に曝すと、主たる色より青い色相を有する強い色が板のエッジに沿って知覚される。
L*、a*およびb*値は板の表面の2''x 3''の面積で白いバックグラウンドで比色計(Gretag Macbeth Color-eye 7000)を用いて測定した。板のカラーバリューは観察者が10度の角度から測定した。また、照射D65はUV(360〜750nm)を含み、光のスペクトルのUV部分(400〜750nm)は含んでいない。各サンプルの5つの板を測定し、それからL*、a*およびb*値の平均値を取った。その平均値は[表2]に示してある。[表2]のppmは重量ppmである。
【0077】
【表2】

【0078】
実施例12ではb*値がUV光の存在下でHOSTALUXを含む他の配合ほど減少しないということを示している。このサンプルは他のサンプルと同じ変色を示していない。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)〜(c)から成る樹脂:
(a) DIN規格67-507に従った可視領域の光の透過率が少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%である透明なプラスチック、
(b) 上記の透明なプラスチックに対して0.1〜1500ppm(ppm:重量)、好ましくは0.1〜1000ppm、さらに好ましくは0.1〜500ppm、さらに好ましくは0.5〜100ppm、より好ましくは0.5〜10ppm、最も好ましくは2〜10ppmの少なくとも一種の蛍光染料、
(c) 上記の透明なプラスチックに対して50〜10000 ppm(ppm:重量)、好ましくは100〜10000 ppm、さらに好ましくは150〜5000ppm、さらに好ましくは150〜1000ppm、より好ましくは200〜1000ppm、最も好ましくは200〜800ppmの少なくとも一種の光学的光沢剤。
【請求項2】
透明なプラスチックがポリスチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、透明なポリオレフィン、PMMA、透明なポリアミドまたはポリカーボネートである請求項1に記載の樹脂。
【請求項3】
透明なプラスチックがメタクリル酸メチルのホモポリマーまたは60〜100重量%のメタクリル酸メチルと、0〜40重量%のメタクリル酸メチルと共重合可能な少なくとも一つのエチレン系不飽和基を有する少なくとも一種のモノマーとのコポリマーのである請求項1または2に記載の樹脂。
【請求項4】
透明なプラスチックが炭酸のポリエステルすなわち少なくとも一種の炭酸誘導体と少なくとも一種の芳香族または脂肪族ジオールとの反応で得られるポリマーである請求項1または2に記載の樹脂。
【請求項5】
蛍光染料が下記(1)〜(8)の群の中から選択される請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂:
(1)ペリレン、特に下記式(I)のペリレン:

(ここで、R1は下記を表す:
(a)1〜20の炭素原子を有するアルキル基、
(b)3〜20の炭素原子を有するシクロアルキル基)
(c)-OH、-OR2、-C(=O)-OR2、-C(=O)-NR2R3、-NR2-C(=O)R3、フェニルまたは置換フェニルの一つ以上の基によって置換された1〜20の炭素原子を有するアルキル基(ここで、R2およびR3は-Hまたは1〜20の炭素原子を有するアルキル基を表す)、
(2)クマリン、特に下記のCAS番号を有するクマリン:
[27425-55-4]、[12221-86-2]、[38215-36-0]、[34564-13-1]、[62143-26-4]、[28754-28-1]および[55470-53-6];
(3)キサンテン、特に下記のCAS番号を有するキサンテン:
[518- 47-8](フルオレセイン、CI 45350、アシッドイエロー73)、[18472-87-2 ](phloxine B(CI 45410)、[632-68-8 ](ローズベンガル(CI 45440))[81-88-9](ローダミンB)、[2390-63-8](ローダミン3B(CI 45175)、[52372-39-1]および[52372-36-8];
(4)チオキサンテン、特に下記のCAS番号を有するチオキサンテン:
[16294-75-0]、[14121-47-2]および[18014-08-9];
(6)アズラクトン、特に下記のCAS番号を有するアズラクトン:
[25774-09-6]および[51202-86-9];
(7)メチン、特に下記のCAS番号を有するメチン:
[23406-34-0]および[84-33-3];
(8)オキサジンおよびチアジン、特に下記のCAS番号を有するオキサジンおよびチアジン:
[63589-47-9]
【請求項6】
蛍光染料がバイエル社(Bayer)から市販のルモゲン(Lumogen)Fオレンジ240、ルモゲンF イエロー083、Lumogen F Red 240、ルモゲンF レッド300、マクロレックス(Macrolex)イエロー10 GNまたはマクロレックスレッドG、リサ57Y、リサ5OB、リサ51GBまたはリサ61 Rまたはクラリアン社(Clariant)から市販のホスタゾル(Hostasol)イエロー3Gである請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂。
【請求項7】
透明なプラスチックが非蛍光剤染料をさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂。
【請求項8】
透明なプラスチック中の非蛍光染料色素の濃度が、透明なプラスチックに対して0〜3000ppm、好ましくは0〜2000ppm、さらに好ましくは0〜1000ppm 、さらに好ましくは0〜700ppm、最も好ましくは0〜500ppmである請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂。
【請求項9】
上記光学的光沢剤が下記(1)〜(9)の群の中から選択される請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂:
(1)ジスチリルベンゼン、特に下記のCAS番号を有するジスチリルベンゼン:
[13001-39-3]、[79026-03-2]、[13001-38-2]、[36775-00-7]、[79026-02-1]および[13001-40-6];
(2)ジスチリルビフェニル、特に下記のCAS番号を有するジスチリルビフェニル:
[27344-41-8]、[51119-63-2]、[42380-62-1]、[60477-28-3]および[40470-68-6]
(3)ジビニールスチルベン、特に下記のCAS番号を有するジビニールスチルベン:
[60683-03-6]および[60682-87-3];
(4)クマリン、特に、下記のCAS番号を有するクマリン:
[91-44-1]、[6025-18-9]、[19683-09-1]、[3333-62-8]、[63660-99-1]、[26867-94-7]および[52725-14-1];
(5)トリアジニルアミノスチルベン、特に下記のCASを有するトリアジニルアミノスチルベン:
[3426-43-5]、[35632-99-6]、[24565-13-7]、[12224-16-7]、[13863-31-5]、[4193-55-9]、[16090-02-1]、[133-66-4]、[68444-86-0]、[61968-74-9]、[12224-02-1]、[99549-42-5]、[16470-24-9]、[74228-28-7]、[83512-97-4]および[76482-78-5];
(6)スチルベニイルベンゾオキサゾール、特に下記のCASを有するスチルベニイルベンゾオキサゾール:
[18039-18-4]および[64893-28-3];
(7)ビス(ベンゾオキサゾール)、特に下記のCAS番号を有するビス(ベンゾオキサゾール):
[1041-00-5]、[2866-43-5]、[7128-64-5]、[5089-22-5]、[1552-46-1]、[1533-45-5]および[5242-49-9];
(8)ベンゾイミダゾール、特に下記のCAS番号を有するベンゾイミダゾール:
[72829-17-5]、[74878-56-1]、[74878-48-1]および[66371-25-3];
(9)ピラゾリン(l,3-ジフェニル-2-ピラゾリン)、特に下記のCAS番号を有するピラゾリン:
[2744-49-2]、[60650-43-3]、[3656-22-2]、[27441-70-9]、[32020-25-0]、[61931-42-8]、[106359-93-7]、[85154-08-1]、[42952-22-7]、[63310-12-3]、[12270-54-1]、[36086-26-7]および[81209-71-4]
【請求項10】
透明なプラスチックが無機または有機の粒子で、この粒子の粒径が0.1〜1000マイクロメートル、好ましくは0.1〜200マイクロメートル、最も好ましくは1〜5マイクロメートルであり、透明なプラスチックとの屈折率の差が±0.003〜0.2である請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂。
【請求項11】
透明なプラスチックがポリマー粒子で、この粒子の粒径が0.05〜0.4マイクロメートルで、屈折率が透明なプラスチックと一致している請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の樹脂から成形された成形物。
【請求項13】
シートの形をしている請求項12に記載の成形物。
【請求項14】
単分子層シートの形をした請求項12または13に記載の成形物。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項に記載の成形物と、光学的光沢剤の励起領域で光を発する少なくとも一種の人工光線とから成る光デバイス。
【請求項16】
人工光線が300〜450nmの範囲、好ましくは350〜420nmの範囲、より好ましくは350〜400nmの範囲の光を出す請求項15に記載の光デバイス。
【請求項17】
人工光線が白熱ランプ、蛍光灯、ネオン管、LED(光発行ダイオード)または光繊維である請求項15または16に記載の光デバイス。
【請求項18】
人工光線が、460〜700nmの波長の光を出す少なくとも一つの他の光源と組み合わされた請求項15〜17のいずれか一項に記載の光デバイス。
【請求項19】
他の光源がカラーLEDである請求項18に記載の光デバイス。
【請求項20】
他の光源が白色LEDである請求項18に記載の光デバイス。
【請求項21】
他の光源が蛍光ランプである請求項18に記載の光デバイス。
【請求項22】
光源または組合せ光源が、被照明成形物、特に光シートの一部の近くに配置される請求項15〜21のいずれか一項に記載の光デバイス。

【公表番号】特表2008−530324(P2008−530324A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555556(P2007−555556)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002067
【国際公開番号】WO2006/087241
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(591004685)アルケマ フランス (112)
【Fターム(参考)】