多色成形品および多色成形方法
【課題】 本発明は、1次成形の第1成形樹脂と2次成形の第2成形樹脂との密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の成形品を成形することができる多色成形品および多色成形方法を提供することである。
【解決手段】 第1成形樹脂を射出成形して形成された光学素子1と、光学素子1と離間して配置され、第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して形成された着色外周部2と、光学素子1と着色外周部2との間に配置され、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を光学素子1と着色外周部2との間に射出成形して形成された中間層(第3成形部)3とを有し、前記光学素子1と中間層3との結合界面および中間層3と着色外周部2との結合界面にそれぞれ熱溶融されて混合された状態で結合された第1の熱溶融結合部5、第2の熱溶融結合部6を設けた。
【解決手段】 第1成形樹脂を射出成形して形成された光学素子1と、光学素子1と離間して配置され、第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して形成された着色外周部2と、光学素子1と着色外周部2との間に配置され、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を光学素子1と着色外周部2との間に射出成形して形成された中間層(第3成形部)3とを有し、前記光学素子1と中間層3との結合界面および中間層3と着色外周部2との結合界面にそれぞれ熱溶融されて混合された状態で結合された第1の熱溶融結合部5、第2の熱溶融結合部6を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の異なる樹脂を組合せて一体化する多色成形品および多色成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、射出成形において、二つの異なる樹脂を組合せて一体化する技術として2色成形技術がある。この技術は射出成形で1次成形部を形成したのち、さらに1次成形部の上に2次成形樹脂を射出して一体化し、成形品を得るという工程からなる。この2色成形技術で問題となるのが樹脂の結合部の密着性である。この密着性は1次成形樹脂と2次成形樹脂の相性によって大きく左右される。そして、1次成形樹脂と2次成形樹脂の組合せによっては結合しない可能性があり、このような場合は2色成形品ができない。
【0003】
このような問題に対して、特許文献1や、特許文献2において、1次成形部と2次成形部との間の2色接合部に凹凸を設けることで2色接合部の接合面積を大きくして密着性を向上させるという方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−66655号公報
【特許文献2】特開2004−1424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、2色成形を行う際に組み合わせる1次成形樹脂と2次成形樹脂の相性が悪く、2色接合部の樹脂が溶融しない場合には、特許文献1、2の方法のように接触面積を大きくしたとしても十分な効果を得ることはできない。そのため、1次成形部と2次成形部との間の2色接合部を適正な接合強度で接合することが困難となり、2色成形品ができない可能性がある。
【0006】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、1次成形の第1成形樹脂と2次成形の第2成形樹脂との密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の成形品を成形することができる多色成形品および多色成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面の態様は、第1成形樹脂を射出成形して形成された第1成形部と、前記第1成形部と離間して配置され、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して形成された第2成形部と、前記第1成形部と前記第2成形部との間に配置され、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を前記第1成形部と前記第2成形部との間に射出成形して形成された第3成形部とを有し、前記第1成形部と前記第3成形部との結合界面および前記第3成形部と前記第2成形部との結合界面にそれぞれ熱溶融されて混合された状態で結合された熱溶融結合部を設けた多色成形品である。
そして、上記構成では、第1成形樹脂を射出成形して形成された第1成形部と、前記第1成形部と離間して配置され、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して形成された第2成形部との間に配置され、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を前記第1成形部と前記第2成形部との間に射出成形して形成された第3成形部を設け、第1成形部と第3成形部との結合界面に熱溶融されて混合された状態で結合された熱溶融結合部を設け、同様に第2成形部と第3成形部との結合界面に熱溶融されて混合された状態で結合された熱溶融結合部を設けることで、1次成形の第1成形樹脂と2次成形の第2成形樹脂との密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の成形品を成形することができるようにしたものである。
【0008】
好ましくは、前記第3成形樹脂は、前記第1成形樹脂及び前記第2成形樹脂の樹脂特性に対して結合する樹脂特性を持つ。
好ましくは、前記第1成形部によって光学素子、前記第2成形部によって前記光学素子の周りの枠部、前記第3成形部によって前記光学素子と前記枠部との間に配置された中間層がそれぞれ形成されている。
【0009】
本発明の他の局面の態様は、第1成形樹脂を射出成形して第1成形部を形成する第1成形工程と、前記第1成形部と離間して配置され、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して第2成形部を形成する第2成形工程と、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を前記第1成形部と前記第2成形部との間に射出成形して前記第1成形部と前記第2成形部との間に配置された第3成形部を形成する第3成形工程と、を有し、前記第1成形工程と、前記第2成形工程と、前記第3成形工程は、前記第1成形樹脂、前記第2成形樹脂及び前記第3成形樹脂の夫々の溶融温度が低い順の順番で行う多色成形品の成形方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1次成形樹脂と2次成形樹脂の密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の成形品を成形することが多色成形品および多色成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態の多色成形品を示すもので、(A)は多色成形品を示す上面図、(B)は(A)のIB−IB線断面図。
【図2】第1の実施の形態の成形機の可動プラテンの上の成形型の配置状態を示す平面図。
【図3】図2のA−O−B線断面図。
【図4】図2のB−O−C線断面図。
【図5】第1の実施の形態の射出成形型を型開き位置に移動した状態を示す縦断面図。
【図6】第1の実施の形態の射出成形型が型閉め位置に移動した状態で2次成形型に第2成形樹脂を充填させて着色外周部を成形する状態を示す縦断面図。
【図7】第1の実施の形態の再度金型を開き、第1の成形型の可動型に光学素子部および着色外周部を残したまま2次成形ゲートを切り離すと同時に、第1の成形型では、可動型に光学素子部を残したまま1次成形ゲートを光学素子部と切り離し、可動プラテンを120°回転させた状態を示す縦断面図。
【図8】第1の実施の形態の中間成形型に中間樹脂を充填して中間部を形成すると共に、光学素子部と着色外周部を一体化し多色成形品を得るとともに、2次成形型では第2次成形樹脂の充填を行う状態を示す縦断面図。
【図9】第1の実施の形態の成形型を開き、中間成形型では多色成形品を可動型に残したまま、中間成形ゲートを切り離し、同時に、2次成形型では、多色成形品を可動型から突き出し多色成形品を取り出す状態を示す縦断面図。
【図10】第1の実施の形態の射出成形型の駆動手順を説明するためのフローチャートを示し、(A)は射出成形型全体の駆動手順を説明するためのフローチャート、(B)は1次成形型の駆動手順を説明するためのフローチャート、(C)は2次成形型の駆動手順を説明するためのフローチャート、(D)は3次成形型の駆動手順を説明するためのフローチャート。
【図11】本発明の第2の実施の形態の成形機の可動プラテンの上の射出成形型の配置状態を示す平面図。
【図12】図11のA−O−B線断面図。
【図13】第2の実施の形態の射出成形型における光学素子部を可動型に残したまま、型開きした状態を示す縦断面図。
【図14】第2の実施の形態の射出成形型が型閉じ位置に移動した状態で、可動プラテンを回転させ多色成形型をBの位置に移動させた状態で第2成形樹脂を充填させ着色外周部を得る状態を示す縦断面図。
【図15】第2の実施の形態の射出成形型を再度型を開き、光学素子部および着色外周部を可動型に残したまま、2次成形ゲートを切り離した状態を示す縦断面図。
【図16】第2の実施の形態の射出成形型の型を閉じ、可動プラテンを回転させ多色成形型をCの位置に移動させた状態で中間成形樹脂を光学素子部と着色外周部の間に充填し中間部を形成すると共に、光学素子部と着色外周部を一体化し多色成形品を得る状態を示す縦断面図。
【図17】第2の実施の形態の射出成形型における工程の最後に、多色成形品を可動型に残したまま、中間成形ゲートを切り離した後、多色成形品を取り出す状態を示す縦断面図。
【図18】本発明の第3の実施の形態を示すもので、(A)は多色成形品を示す上面図、(B)は(A)の18B−18B線断面図。
【図19】本発明の第4の実施の形態の多色成形品を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
(構成)
図1乃至図10は、本発明の第1の実施の形態を示す。図1(A)は、本実施の形態の樹脂成形品である多色成形品4の上面図である。図1(B)は図1(A)の1B−1B線断面図である。また、図2は多色成形品4を成型する多色成形型(成形型)11の全体の平面図である。
【0013】
図1(A),(B)に示すように、本実施の形態の多色成形品4は、例えば光学レンズである光学素子(第1成形部)1と、この光学素子1を保持するレンズ枠である円筒状の着色外周部(第2成形部)2と、前記光学素子1と前記着色外周部2との間に配置されたリング状の中間層(第3成形部)3とを多色成形によって一体化した一体物によって形成されている。ここで、光学素子1は、光透過性の樹脂材料である第1成形樹脂を射出成形して形成されている。着色外周部2は、光学素子1と離間して配置され、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して形成されている。中間層3は、光学素子1と着色外周部2との間に配置され、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を前記光学素子1と前記着色外周部2との間に射出成形して形成されている。
【0014】
そして、これらの光学素子1と、着色外周部2と、中間層3とは、図2〜4に示す射出成形型21によって多色成形されて多色成形品4が成形される。ここで、多色成形品4の射出成形時には、光学素子1と中間層3との結合界面には熱溶融されて混合された状態で結合された第1の熱溶融結合部5が形成され、中間層3と着色外周部2との結合界面には同様に熱溶融されて混合された状態で結合された第2の熱溶融結合部6が形成されている。本実施の形態において中間層3の厚さは0.3mmである。
【0015】
図1(B)に示すように光学素子1は、向かい合う2面を有し、これら2面がそれぞれ光学機能面1a,1bとなる。図1(B)中で上側が凸曲面状の第1の光学機能面1a、下側が凸曲面状の第2の光学機能面1bである。着色外周部2は、多色成形品4を図示しない鏡筒に取り付ける際の鏡筒内での位置決めとして機能する。本実施の形態では光学素子1の第1成形樹脂は、PC(ポリカーボネート)であり、着色外周部2の第2成形樹脂は、PS(ポリスチレン)であり、中間層3の第3成形樹脂は、PMMA(アクリル)である。
【0016】
第3成形樹脂は、前記第1成形樹脂及び前記第2成形樹脂の樹脂特性に対して結合する樹脂特性を持つ。例えば、次の表1の1〜8に示された組み合わせが好適である。なお、表1中で、カッコ内の数字は、射出成形の順番を示す。
【0017】
【表1】
図2は、図示しない射出成形機の可動プラテン12の上の多色成形型11の配置状態を示す平面図である。多色成形型11は、1次成形型11Aと、2次成形型11Bと、中間成形型11Cとを有する。これら3つの成形型11A〜11Cは、可動プラテン12の上に120°間隔で配置されている。また、その可動プラテン12の中央には回転軸13があり、この回転軸13を中心に可動プラテン12が回転する。
【0018】
図3は図2のA−O−B線断面図、図4は図2のB−O−C線断面図である。図3に示すように1次成形型11Aは、PL(パーティングライン)を挟んで1次固定型13aと可動型14が組み合わされることにより構成される。2次成形型11BはPLを挟んで2次固定型13bと可動型14が組み合わされることにより構成される。図4に示すように中間成形型11Cは中間固定型13cと可動型14が組み合わされることにより構成される。なお、可動型14に関しては1次成形型11A、2次成形型11B、中間成形型11Cにおいて全て同じ構成である。そのため、同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0019】
図3に示すように一次固定型13aは、一次固定側取付板15aと、一次固定側落下板16aと、一次固定側型板17aとを有する。一次固定側型板17aの中央部分には、一次固定入子18aが嵌挿されている。
この一次固定型13aに対向する可動型14は、可動側型板19と、可動側受板20と、スペーサブロック21と、可動側取付板22とを有する。スペーサブロック21の内側には、突出し機構を構成するエジェクタプレート23が設けられている。このエジェクタプレート23には、4本のエジェクタピン24が取付けられている。可動側型板19の中央部分には、可動入子25が嵌挿されている。即ち、可動入子25は、可動型14内に挿入されている。可動入子25は、一次固定入子18aと距離を開けて対向するように配置されている。
【0020】
また、一次成形型11Aの一次固定型13aと、可動型14との型締め時(図3、図4参照)には、一次固定型13aと、可動型14との間で、一次成形体である光学素子1の成形に必要な一次成形キャビティ部26が構成される。この一次成形キャビティ部26は、一次固定入子18aの凹曲面形状の一次固定側成形面18a1と、一次固定側型板17aの一次キャビティ形成用の凹部17a1と、可動側型板19の可動入子25の上面の凹曲面形状の可動側成形面25aと、可動側型板19との間の密閉空間によって形成されている。
【0021】
また、一次固定型13aの一次固定側取付板15aと一次固定側落下板16aには、中央位置に一次成形体である光学素子1の成形材料である溶融材料を型開き方向に供給する一次成形用一次スプルー27aがそれぞれに形成されている。さらに、一次固定側型板17aには、一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形キャビティ部26に樹脂を充填するための一次成形用ピンポイントゲート30aとが設けられている。
【0022】
そして、一次成形体である光学素子1の成形時には、光学素子1の成形材料である第1成形樹脂の溶融材料が一次固定側取付板15aと一次固定側落下板16aの一次成形用一次スプルー27aから一次固定側型板17aの一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形用ピンポイントゲート30aを経て光学素子1の一次成形キャビティ部26内に充填される。この第1成形樹脂を一次成形キャビティ部26内に充填させた後、冷却を行い光学素子1が成形される。
【0023】
また、一次固定側型板17aには一次固定側温調管31aが配設されている。この一次固定側温調管31a内には成形時に水や油などの温度調整された媒体が常時流れている状態で収容されている。
さらに、可動側型板19には可動入子25の外周部でPLに面する側に、可動側型板19の型軸中心と同心状に第2成形部である着色外周部2の二次成形用キャビティの一部を形成するための可動側空間32が形成されている。そして、この可動側空間32の底面に接するように4本のエジェクタピン24が配置される。
【0024】
二次固定型13bは、二次固定側取付板15bと、二次固定側落下板16bと、二次固定側型板17bとを有する。二次固定側型板17bには、二次固定入子18bが嵌挿されている。この二次固定型13bに対向する可動型14は、前述の通り一次固定型13aに対向する可動型14と同じ構成である。
【0025】
二次固定側型板17bの下面には、二次固定入子18bと対応する部分に第2成形部である着色外周部2の二次成形体キャビティの一部を形成するための二次固定側空間33が形成されている。この二次固定側型板17bの二次固定側空間33は、可動側型板19の可動側空間32と対向する位置に形成されている。
【0026】
そして、図3、図4に示すように可動型14と、二次成形型11Bの二次固定型13bとの型締め時には、二次固定側型板17bの下面の二次固定側空間33は、可動側型板19の可動側空間32と連通されて光学素子1の周囲に着色外周部2を第2成形するための二次成形キャビティ34が形成される。
【0027】
また、二次固定型13bの二次固定側取付板15bと二次固定側落下板16bには、中央位置に二次成形体である着色外周部2の成形材料である第2成形樹脂の溶融材料を型開き方向に供給する二次成形用一次スプルー27bがそれぞれに形成されている。さらに、二次固定側型板17bには、二次成形用ランナー28bと、二次成形用二次スプルー29bとを順次、介して二次成形用キャビティ34になる二次固定側空間33および可動側空間32に樹脂を充填するための二次成形用ピンポイントゲート30bが設けられる。
【0028】
二次成形型11Bは、予め一次成形型11Aで、一次成形体である光学素子1を一次成形した後に使用される。すなわち、一次成形型11Aで、一次成形体である光学素子1を一次成形した際に、一次成形された光学素子1は、可動型14に保持された状態で残される。そして、可動型14と、一次固定型13aとの型開き後に、前記一次成形された光学素子1が保持された可動型14と、二次成形型11Bの二次固定型13bとが型締めされる。これにより、二次成形型11Bの二次固定型13bと可動型14との型締め時には、予め二次固定型13bと可動型14との間には一次成形体である光学素子1がセットされる。
【0029】
そして、二次固定型13bと可動型14との間には、二次固定型13bの二次固定側空間33と可動型14の可動側型板19にPLを挟んで対向配置された可動側空間32とを連通して一次成形品である光学素子1の周囲に着色外周部2を二次成形するための二次成形キャビティ34が形成される。この二次成形キャビティ34に第2成形樹脂が充填されることで着色外周部2が二次成形される。
【0030】
また、二次固定側型板17bには二次固定側温調管31bが配設されている。この二次固定側温調管31b内には成形時に水や油などの温度調整された媒体が常時流れている状態で収容されている。
中間固定型13cは、図4に示すように中間固定側取付板15cと、中間固定側落下板16cと、中間固定側型板17cとを有する。中間固定側型板17cには、中間層3を成形するための中間層成形キャビティ34が形成される。この中間固定型13cに対向する可動型14は、前述の通り一次固定型13a、二次固定型13bに対向する可動型14と同じ構成である。
【0031】
また、中間固定型13cの中間固定側取付板15cと中間固定側落下板16cには、中央位置に第3成形部である中間層3の成形材料である第3成形樹脂の溶融材料を型開き方向に供給する中間成形用一次スプルー27cがそれぞれに形成されている。さらに、中間固定側型板17cには、中間層成形用ランナー28cと、中間層成形用二次スプルー29cとを順次、介して中間層成形用キャビティ34に樹脂を充填するための中間層成形用ピンポイントゲート30cが設けられる。
【0032】
中間成形型11Cは、本実施の形態では予め一次成形型11Aで、一次成形体である光学素子1を一次成形した後、2次成形型11Bで、一次成形体である着色外周部2を二次成形した後に使用される。
また、中間固定側型板17cには中間固定側温調管31cが配設されている。この中間固定側温調管31c内には成形時に水や油などの温度調整された媒体が常時流れている状態で収容されている。
【0033】
(作用)
次に、図10(A)〜(D)に示すフローチャートを参照して本実施の形態の多色成形品4の成形工程について説明する。図10(A)は、多色成形型11の全体の駆動手順を説明するためのフローチャート、図10(B)は1次成形型11Aの駆動手順を説明するためのフローチャート、図10(C)は2次成形型11Bの駆動手順を説明するためのフローチャート、図10(D)は3次成形型11Cの駆動手順を説明するためのフローチャートである。
【0034】
多色成形型11の使用時には、図10(A)のフローチャートのステップS1で示すように使用する3つの樹脂の溶融温度を比較し、順位づけを行なう。そして、溶融温度が一番低い樹脂を1次成形する第1成形工程が行なわれる(ステップS2)。次に、溶融温度が二番目に低い樹脂を2次成形する第2成形工程が行なわれる(ステップS3)。続いて、溶融温度が三番目に低い樹脂を3次成形する第3成形工程が行なわれる(ステップS4)。その後、次のステップS5で、第3成形工程まで完了した多色成形品4の製造数が予め設定された必要数を確保できたか否かが判断される。ここで、必要数を確保できたと判断されない場合にはステップS2に戻される。また、ステップS5で必要数を確保できたと判断された場合には終了する。
【0035】
ステップS2の第1成形工程時には、1次成形型11Aが使用されて図10(B)のフローチャートの通り、第1成形工程が行なわれる。ここでは、図2に示す初期状態の基準位置で、図3に示すように1次固定型13aと可動型14とが型閉め位置に移動される(ステップS11)。この状態で、1次成形型11Aの一次成形用一次スプルー27aと、一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形用ピンポイントゲート30aとを介して1次固定型13aと可動型14との間のキャビティ部26に第1成形樹脂が充填される(ステップS12)。その後、冷却を行い光学素子1(第1成形部)が1次成形される。
【0036】
光学素子1の1次成形後、1次成形型11Aを開く(ステップS13)。これと同時に可動型14に光学素子1を残したまま、一次成形用一次スプルー27aと、一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形用ピンポイントゲート30aとの一体物(残留樹脂)35を光学素子1と切り離す。
【0037】
次に、回転軸13を中心に可動プラテン12を120°回転させる(ステップS14:図5参照)。これにより、第1成形工程が終了し、次に、ステップS3の第2成形工程が開始される。なお、一次成形用一次スプルー27aと、一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形用ピンポイントゲート30aとの一体物35は、型開き時に取り除かれる。
【0038】
ステップS3の第2成形工程時には、2次成形型11Bが使用されて図10(C)のフローチャートの通り、第2成形工程が行なわれる。ここでは、図5の状態で、1次固定型13aと可動型14とを対向させて型を閉じ、同時に2次固定型13bと可動型14とを対向させて型を閉じる(ステップS21)。このとき、2次固定型13bと対向する可動型14には光学素子1を残したままの状態で保持されている。また、1次固定型13aと対向する可動型14には光学素子1がない状態で保持されている。
【0039】
次に、図6に示すように2次固定型13bと可動型14とが型閉め位置に移動された状態で、2次成形型11Bに第2成形樹脂が充填される(ステップS22)。このとき、二次成形用一次スプルー27bと、二次成形用ランナー28bと、二次成形用二次スプルー29bと、2次成形ゲート30bを介して二次成形用キャビティ34になる二次固定側空間33および可動側空間32に第2成形樹脂が充填され、着色外周部2が成形される。
【0040】
この動作と並行して、1次成形型11Aにおいても前述のように1次固定型13aと可動型14との間のキャビティ部26に第1成形樹脂の充填を行い、光学素子1が成形される(図6)。
その後、再度、型開きが行なわれる(ステップS23)。そして、図7に示すように2次成形型11Bでは、可動型14に光学素子1および着色外周部2を残したまま、二次成形用一次スプルー27bと、二次成形用ランナー28bと、二次成形用二次スプルー29bと、2次成形ゲート30bとの一体物(残留樹脂)36を切り離す。
【0041】
また同時に、1次成形型11Aでは、可動型14に光学素子1を残したまま、一次成形用一次スプルー27aと、一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形用ピンポイントゲート30aとの一体物(残留樹脂)35を光学素子1と切り離す。
【0042】
その後、回転軸13を中心に可動プラテン12を120°回転させる(ステップS24:図7参照)。これにより、第2成形工程が終了し、次に、ステップS4の第3成形工程が開始される。ステップS4の第3成形工程時には、中間成形型11Cが使用されて図10(D)のフローチャートの通り、第3成形工程が行なわれる。ここでは、図8に示すように中間固定型13cと可動型14を対向させて型を閉じ、同時に2次固定型13bと可動型14を対向させて型を閉じる(ステップS31)。このとき、中間固定型13cと対向する可動型14には光学素子1と着色外周部2とを残したままの状態で保持されている。また、2次固定型13bと対向する可動型14には光学素子1を残したままの状態で保持されている。なお、このとき同時に可動プラテン12の上の1次成形型11Aでは、ステップS2の第1成形工程が開始される。
【0043】
次に、図8に示すように中間固定型13cと可動型14とが型閉め位置に移動された状態で、中間成形型11Cに第3成形樹脂が充填される(ステップS32)。このとき、中間成形用一次スプルー27cと、中間層成形用ランナー28cと、中間層成形用二次スプルー29cと、中間層成形用ピンポイントゲート30cとを介して中間層3の成形材料である第3成形樹脂の溶融材料が中間層成形用キャビティ34に充填される。そして、光学素子1と着色外周部2の間の中間層3が形成されると共に、光学素子1と着色外周部2とが中間層3を介して一体化されて多色成形品4が成形される。
【0044】
この動作と並行して、2次成形型11Bでは、前述のように2次固定型13bと可動型14との間の二次成形キャビティ34に第2成形樹脂の充填を行い、着色外周部2が二次成形される。このとき、一次成形型11Aでは、前述のように1次固定型13aと可動型14との間のキャビティ部26に第1成形樹脂の充填を行い、光学素子1が成形される。
【0045】
そして、最後の型開きが行なわれる(ステップS33)。このとき、中間成形型11Cでは、多色成形品4を可動型14に残したまま、中間成形用一次スプルー27cと、中間層成形用ランナー28cと、中間層成形用二次スプルー29cと、中間層成形用ピンポイントゲート30cとの一体物(残留樹脂)37を中間層3と切り離す。
【0046】
また、同時に、2次成形型11Bでは、光学素子1および着色外周部2を可動型14に残したまま、二次成形用一次スプルー27bと、二次成形用ランナー28bと、二次成形用二次スプルー29bと、2次成形ゲート30bとの一体物(残留樹脂)36を切り離す。さらに、1次成形型11Aでは、可動型14に光学素子1を残したまま、一次成形用一次スプルー27aと、一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形用ピンポイントゲート30aとの一体物(残留樹脂)35を光学素子1と切り離す。
【0047】
その後、成形機に存在する不図示のエジェクタロッドを作動させ、これに連動してエジェクタプレート23、エジェクタピン24、可動入子25を動かす。これにより、中間成形型11Cの可動型14上の多色成形品4を可動型14から突き出し、多色成形品4を取り出す成形品取り出し工程が行なわれる(ステップS34)。
【0048】
その後、回転軸13を中心に可動プラテン12を120°回転させる(ステップS35)。これにより、第3成形工程が終了し、次の多色成形品4の成形工程が開始される。以後、この動作を繰り返す。そして、図10(A)のフローチャートのステップS5で、第3成形工程まで完了した多色成形品4の製造数が予め設定された必要数を確保できたと判断された時点で終了する。
【0049】
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の多色成形型11では、1次成形において第1成形樹脂としてPCを射出し、光学素子1を形成したあと、2次成形において、第2成形樹脂としてPSを射出し、着色外周部2を形成する。ここで、第1成形樹脂による光学素子1と第2成形樹脂による着色外周部2との間は離間させており、光学素子1と着色外周部2との間には第1成形樹脂および第2成形樹脂とそれぞれ相性の良い第3成形樹脂(中間樹脂)を介在させる。
【0050】
また、本実施の形態の多色成形型11では、第3成形樹脂が入る部分は多色成形型11の成形型部材によって仕切られている。その後、成形型部材を変えて、第3成形樹脂の入る空間を形成し、そこに第3成形樹脂としてPMMAを充填させ、中間層3を形成すると同時に、光学素子1と着色外周部2とを密着させる。これにより本来、密着性の悪いPCの光学素子1と、PSの着色外周部2であっても、その間に各々の樹脂と密着相性の高いPMMAの中間層3を介在させることにより、結合できる。このように、第1成形樹脂と第2成形樹脂との間にお互いの樹脂と相性の良い第3成形樹脂(中間樹脂)を介在させることで、密着性の観点から相性の悪い樹脂の組合せであっても、十分な接合強度を有した多色成形品4が得られる。その結果、1次成形の第1成形樹脂と2次成形の第2成形樹脂との密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の成形品を成形することができる多色成形品および多色成形方法を提供することができる。
【0051】
さらに、本実施の形態の多色成形品4の成形時において使用する樹脂は、例えば、光学素子1の第1成形樹脂はPC、着色外周部2の第2成形樹脂はPS、中間層3の第3成形樹脂はPMMAである。一般的に光学素子1の樹脂であるPCと着色外周部2の樹脂であるPSは樹脂の相性の関係から、PCとPSとの多色成形では接合界面での密着性が低い。そこで、本実施の形態では、光学素子1の第1成形樹脂のPCと第2成形樹脂のPSとの間を離間させた状態で、それぞれ別個に独立して成形した後、第1成形樹脂のPCと第2成形樹脂のPSとの間に第3成形樹脂として両方の樹脂と密着性の相性の良いPMMAを充填させたものである。これにより、第1成形樹脂のPCと第3成形樹脂との接合界面にそれぞれ熱溶融されて混合された状態で結合された第1の熱溶融結合部5を設け、同様に、第2成形樹脂のPSと第3成形樹脂との接合界面にそれぞれ熱溶融されて混合された状態で結合された第2の熱溶融結合部6を設けることで、光学素子1と着色外周部2とを第3成形樹脂の中間層3を介して十分な密着強度で接合させることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、PC、PSが270℃、PMMAが290℃で溶融させ、成形型に充填させることが好ましい。このように最後に充填する中間層3の第3成形樹脂の溶融温度を1次成形で充填させる第1成形樹脂の溶融温度および2次成形で充填させる第2成形樹脂の溶融温度よりそれぞれ高い溶融温度に設定することで、中間層3の第3成形樹脂を充填した際、中間層3と光学素子1、着色外周部2のそれぞれの界面の樹脂を良く溶かし密着性が向上する。
【0053】
つまり、第1成形樹脂と第3成形樹脂との接合部で溶融樹脂同士が溶融することで第1の熱溶融結合部5が形成され、第2成形樹脂と第3成形樹脂との接合部で溶融樹脂同士が溶融することで第2の熱溶融結合部6が形成される。これにより、透明な光学素子1の第1成形樹脂と、着色外周部2の第2成形樹脂とが中間層3の第3成形樹脂を介して結合される。
【0054】
なお、本実施の形態において第1成形樹脂はPC、第2成形樹脂はPS、中間成形樹脂はPMMAであったがこれに限らない。例えば、前述した表1に示す樹脂の組合せであっても構わない。
ただし、本実施の形態のように光学素子1を含む多色成形品4の場合に限っては、光学素子1の第1成形樹脂を一番目に射出成形し、その後、中間層3の第3成形樹脂もしくは着色外周部2の第2成形樹脂を射出成形することが必要である。
【0055】
これは、仮に光学素子1の第1成形樹脂を中間層3の第3成形樹脂もしくは着色外周部2の第2成形樹脂の後に射出成形した場合、光学素子1と中間層3の第3成形樹脂との界面はお互いの樹脂が溶け合って接合することになる。その際、光学素子1の第1成形樹脂は、中間層3の第3成形樹脂もしくは着色外周部2の第2成形樹脂を溶かしながら流動・充填していくことになる。そうなると、光学素子1の第1成形樹脂の透明樹脂の中に中間層3の第3成形樹脂および着色外周部2の第2成形樹脂が混ざり込むことになる。この場合には、光学素子1の光学機能を損なう結果になる可能性がある。このような理由で、光学素子1と着色外周部2を多色成形する場合に関しては、光学素子1の第1成形樹脂を一番目に射出成形することが必須になる。
【0056】
[第2の実施の形態]
(構成)
図11乃至図17は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態(図1乃至図10参照)の多色成形型(成形型)11の構成を次の通り変更した変形例である。なお、多色成形品4は、第1の実施の形態と同じである。
【0057】
すなわち、第1の実施の形態では、可動プラテン12上に1次成形型11Aと、2次成形型11Bと、中間成形型11Cの3つの成形型を用いた例を示したが、本実施の形態では図11に示すとおり、可動プラテン12上には1つの成形型41が設けられている。これは、例えば生産が少量生産の場合、第1の実施の形態のように3つの成形型11A,11B,11Cを使用する場合は成形型の費用が大きくなり、成形型のコストが製造コストに占める割合が大きくなり、結果として製造コストが上がる。そこで、本実施の形態では1つの成形型で多色成形品4を成形できるようにすることで製造コストを低下させることを意図している。
【0058】
図11は、成形機の可動プラテン12の上に本実施の形態の多色成形型41を配置した配置状態を示す平面図、図12は、図11のA−O−B線断面図である。なお、図11乃至図17中で、図1乃至図10と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。本実施の形態の多色成形型41は、可動型14に仕切り板42が設けられている。この仕切り板42は、中間層3用のキャビティと対応する部位に配置され、可動側型板19に固定型13側に向けて突没可能に設けられている。この仕切り板42は、エジェクタプレート23に取り付けられ、エジェクタプレート23と連動して動く。
【0059】
また、多色成形型41の固定型13は、固定側取付板15と、固定側落下板16と、固定側型板17とを有する。固定側型板17の中央部分には、固定入子18が嵌挿されている。固定入子18には、光学素子1のキャビティ26の一部を構成する凹曲面形状の固定側キャビティ成形面26aと、中間層3用のキャビティ43(図16参照)の一部を構成する凹部状の中間層キャビティ成形面43aとが形成されている。さらに、固定側型板17には、固定入子18が挿入される穴の周壁部に着色外周部2用のキャビティ44の一部を構成する凹部状の着色外周部キャビティ成形面44aが形成されている。
【0060】
また、可動入子25の上面には、光学素子1のキャビティ26の一部を構成する凹曲面形状の可動側キャビティ成形面26bが形成されている。さらに、可動側型板19には、可動入子25の嵌挿穴の周囲に仕切り板42の挿入穴45が形成されている。この挿入穴45は、着色外周部2の二次成形用キャビティ44の一部を形成するための可動側空間32と、可動入子25の嵌挿穴との間に形成されている。
【0061】
さらに、固定側取付板15と、固定側落下板16には、1次成形樹脂が通るスプルー46aと、2次成形樹脂が通るスプルー46bと、3次成形樹脂が通るスプルー46cとが設けられている。これら3つのスプルー46a、46b、46cは、可動プラテン12の径方向に沿って並設されている。
【0062】
さらに、固定側型板17には、光学素子1のキャビティ26に1次成形樹脂を供給する1次成形樹脂の供給通路47aと、着色外周部2用のキャビティ44に2次成形樹脂を供給する2次成形樹脂の供給通路47bと、中間層3用のキャビティ43に3次成形樹脂を供給する3次成形樹脂の供給通路47cとがそれぞれが干渉しないように構成してある。ここで、1次成形樹脂の供給通路47aには、1次成形用ランナー48aと、1次成形用二次スプルー49aと、1次成形用ピンポイントゲート50aとが設けられている。同様に、2次成形樹脂の供給通路47bには、2次成形用ランナー48bと、2次成形用二次スプルー49bと、2次成形用ピンポイントゲート50bとが設けられている(図14参照)。さらに、3次成形樹脂の供給通路47cには、3次成形用ランナー48cと、3次成形用二次スプルー49cと、3次成形用ピンポイントゲート50cとが設けられている(図16参照)。
【0063】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の多色成形品4の成形工程について説明する。まず、図11のAの初期状態の基準位置に多色成形型41に配置する。この位置で、図12に示すように成形型41を閉じた後、成形機からのエジェクタロッド(不図示)を作動させ、エジェクタプレート23、および、それに連結された仕切り板42と、エジェクタピン24とを仕切り板42が固定側型板17に突き当たるまで前進させる。
【0064】
この状態で、第1成形樹脂を1次成形スプルー46aから1次成形ランナー48aと、1次成形2次スプルー49aと、1次成形ゲート50aとを介して光学素子1のキャビティ26に充填させ、光学素子1を成形する。その後、図13に示すように型41を開く。これにより、光学素子1を可動型14に残したまま、1次成形スプルー46aと、1次成形ランナー48aと、1次成形2次スプルー49aと、1次成形ゲート50aとの一体物(残留樹脂)51を光学素子1と切り離す。
【0065】
その後、型41を閉じたのち、可動プラテン12を回転させ、多色成形型41を図11中でBの位置に移動させる。この時、エジェクタプレート23と、仕切り板42と、エジェクタピン24とは前進させたままで保持される。
この状態で、図14に示すように第2成形樹脂を2次成形スプルー46bから、2次成形ランナー48bと、2次成形2次スプルー49bと、2次成形ゲート50bとを介して着色外周部2の二次成形用キャビティ44に充填させ、着色外周部2を成形する。
【0066】
その後、図15に示すように再度、多色成形型41を開く。これにより、光学素子1および着色外周部2を可動型14に残したまま、2次成形スプルー46bと、2次成形ランナー48bと、2次成形2次スプルー49bと、2次成形ゲート50bとの一体物(残留樹脂)52を着色外周部2と切り離す。
【0067】
その後、図16に示すように多色成形型41を閉じたのち、可動プラテン12を回転させ、多色成形型41を図11中でCの位置に移動させる。ここで、成形機からのエジェクタロッドを後退させ、エジェクタプレート23およびそれに連結された仕切り板42、エジェクタピン24を後退させる。このときの仕切り板42の移動によって中間層3用のキャビティ43が形成される。
【0068】
この状態で、第3成形樹脂をスプルー46cから3次成形用ランナー48cと、3次成形用二次スプルー49cと、3次成形用ピンポイントゲート50cとを介して中間層3用のキャビティ43に充填させ、中間層3を成形する。
中間成形スプルー93、中間成形ランナー103、中間成形2次スプルー113、中間成形ゲート123を介して光学素子1と着色外周部2の間に充填し中間層3を形成すると共に、光学素子1と着色外周部2を一体化し多色成形品4を得る。
【0069】
最後に、多色成形品4を可動型14に残したまま、中間層3と中間成形スプルー93、中間成形ランナー103、中間成形2次スプルー113、中間成形ゲート123を切り離した後、再度成形機のエジェクタロッドを前進させ、エジェクタプレート23およびそれに連結された仕切り板42およびエジェクタピン24を前進させ多色成形品4を取り出す。
【0070】
(効果)
そこで、本実施の形態では、第1実施形態と同様に、光学素子1の第1成形樹脂と着色外周部2の第2成形樹脂との間にお互いの樹脂と相性の良い中間層3の第3成形樹脂(中間樹脂)を介在させることで、密着性の観点から相性の悪い樹脂の組合せであっても、十分な接合強度を有した多色成形品4が得られる。その結果、1次成形の第1成形樹脂と2次成形の第2成形樹脂との密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の成形品を成形することができる多色成形品および多色成形方法を提供することができる。
【0071】
さらに、本実施の形態では、上記第1実施形態の効果に加え、可動プラテン12上に1つの成形型41を設け、1つの成形型41で多色成形品4を成形できるようにしたので、多色成形型41のコストを下げることができる。その結果、多色成形品4の製造コストを低下させることができ、特に少量生産の場合に有効である。
【0072】
[第3の実施の形態]
(構成)
図18(A),(B)は、本発明の第3の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態(図1乃至図10参照)の多色成形品4の構成を次の通り変更した変形例である。
すなわち、本実施の形態の多色成形品61は、透明な第1成形樹脂で成形された光学素子62の周壁に第2成形樹脂で成形された着色外周部63の内周面を接合させた状態で配設した2色成形品64を設けている。そして、この2色成形品64の光学素子62の一面側に光学素子62と着色外周部63との接合部に重なる状態で第3成形樹脂の中間層65を接合させたものである。第3成形樹脂の中間層65は、光学素子62と着色外周部63との接合部に沿って周方向全体に延設させた状態でリング状に形成されている。
【0073】
(作用・効果)
そこで、上記構成のものにあっても光学素子62の第1成形樹脂と着色外周部63の第2成形樹脂との間の接合部にお互いの樹脂と相性の良い中間層65の第3成形樹脂(中間樹脂)を介在させることができる。この場合も第1成形樹脂と第2成形樹脂とが密着性の観点から相性の悪い樹脂の組合せであっても、十分な接合強度を有した多色成形品61が得られる。その結果、1次成形の第1成形樹脂と2次成形の第2成形樹脂との密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の多色成形品61を成形することができる多色成形品および多色成形方法を提供することができる。
【0074】
[第4の実施の形態]
(構成)
図19は、本発明の第4の実施の形態を示す。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図10参照)の多色成形品4の構成を次の通り変更した変形例である。
すなわち、本実施の形態の多色成形品71は、本発明を操作ボタン72に適用した例である。図19は、多色成形品71によって形成された操作ボタン72である。この操作ボタン72は、意匠部73と、足部74と、外装部75とを有している。
【0075】
意匠部73は、例えば英数字や○△の記号といった意匠の機能を持つ。足部74は、操作ボタン72を他の部材に取り付けるための位置決め等の機能を持つ。外装部75は、意匠部73以外の外観部の機能を有している。
本実施の形態においては、例えば意匠部73は、1次成形の第1成形樹脂、足部74は、2次成形の第2成形樹脂によって形成されている。また、第3成形樹脂(中間樹脂)に当たるのは、外装部75の樹脂で、この樹脂は、意匠部73と、足部74のそれぞれの樹脂と密着性の相性が良い。
【0076】
このような構成において、使用樹脂および射出の順序は次の表2のような組合せが考えられる。
【0077】
【表2】
(作用・効果)
そこで、本実施の形態では意匠部73の第1成形樹脂と足部74の第2成形樹脂との間にお互いの樹脂と相性の良い外装部75の第3成形樹脂(中間樹脂)を介在させることで、密着性の観点から相性の悪い樹脂の組合せであっても、十分な接合強度を有した多色成形品71が得られる。さらに、本実施の形態の操作ボタン72は、第1の実施の形態の光学素子とは違い樹脂の界面付近でお互いの樹脂が流れだしても部品機能上、大きな影響を与えない。そのため、第1成形樹脂および第2成形樹脂は意匠部73、外装部62のどちらにもなりえる。ただし、射出順序はそれぞれの溶融時の温度関係により決まり、溶融温度が低い樹脂から順に射出成形されている。
【0078】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 第1成形樹脂を射出成形して形成された内側成形部と、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して形成された外側成形部と、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる中間樹脂を、前記1次成形部と前記2次成形部の結合界面に射出成形して形成された中間部と、を有することを特徴とする多色成形品。
【0079】
(付記項2) 前記中間樹脂は、前記第1成形樹脂及び前記第2成形樹脂の樹脂特性に対して結合する樹脂特性を持つことを特徴とする付記項1に記載の多色成形品。
(付記項3) 前記請求項1に記載の多色成形品の成形方法であって、前記第1成形樹脂を射出成形して内側成形部を形成する内側成形工程と、前記第2成形樹脂を射出成形して外側成形部を形成する外側成形工程と、前記中間樹脂を射出成形して中間部を形成する中間成形工程と、を備え、前記1次成形樹脂、前記2次成形樹脂及び中間樹脂は、夫々の溶融温度が低い順に射出成形を行うことを特徴とする多色成形品の成形方法。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、複数の異なる樹脂を組合せて一体化する多色成形品および多色成形方法を使用する技術分野や、これを製造する技術分野に有効である。
【符号の説明】
【0081】
1…光学素子(第1成形部)、2…着色外周部(第2成形部)、3…中間層(第3成形部)、5…第1の熱溶融結合部、6…第2の熱溶融結合部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の異なる樹脂を組合せて一体化する多色成形品および多色成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、射出成形において、二つの異なる樹脂を組合せて一体化する技術として2色成形技術がある。この技術は射出成形で1次成形部を形成したのち、さらに1次成形部の上に2次成形樹脂を射出して一体化し、成形品を得るという工程からなる。この2色成形技術で問題となるのが樹脂の結合部の密着性である。この密着性は1次成形樹脂と2次成形樹脂の相性によって大きく左右される。そして、1次成形樹脂と2次成形樹脂の組合せによっては結合しない可能性があり、このような場合は2色成形品ができない。
【0003】
このような問題に対して、特許文献1や、特許文献2において、1次成形部と2次成形部との間の2色接合部に凹凸を設けることで2色接合部の接合面積を大きくして密着性を向上させるという方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−66655号公報
【特許文献2】特開2004−1424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、2色成形を行う際に組み合わせる1次成形樹脂と2次成形樹脂の相性が悪く、2色接合部の樹脂が溶融しない場合には、特許文献1、2の方法のように接触面積を大きくしたとしても十分な効果を得ることはできない。そのため、1次成形部と2次成形部との間の2色接合部を適正な接合強度で接合することが困難となり、2色成形品ができない可能性がある。
【0006】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、1次成形の第1成形樹脂と2次成形の第2成形樹脂との密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の成形品を成形することができる多色成形品および多色成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面の態様は、第1成形樹脂を射出成形して形成された第1成形部と、前記第1成形部と離間して配置され、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して形成された第2成形部と、前記第1成形部と前記第2成形部との間に配置され、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を前記第1成形部と前記第2成形部との間に射出成形して形成された第3成形部とを有し、前記第1成形部と前記第3成形部との結合界面および前記第3成形部と前記第2成形部との結合界面にそれぞれ熱溶融されて混合された状態で結合された熱溶融結合部を設けた多色成形品である。
そして、上記構成では、第1成形樹脂を射出成形して形成された第1成形部と、前記第1成形部と離間して配置され、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して形成された第2成形部との間に配置され、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を前記第1成形部と前記第2成形部との間に射出成形して形成された第3成形部を設け、第1成形部と第3成形部との結合界面に熱溶融されて混合された状態で結合された熱溶融結合部を設け、同様に第2成形部と第3成形部との結合界面に熱溶融されて混合された状態で結合された熱溶融結合部を設けることで、1次成形の第1成形樹脂と2次成形の第2成形樹脂との密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の成形品を成形することができるようにしたものである。
【0008】
好ましくは、前記第3成形樹脂は、前記第1成形樹脂及び前記第2成形樹脂の樹脂特性に対して結合する樹脂特性を持つ。
好ましくは、前記第1成形部によって光学素子、前記第2成形部によって前記光学素子の周りの枠部、前記第3成形部によって前記光学素子と前記枠部との間に配置された中間層がそれぞれ形成されている。
【0009】
本発明の他の局面の態様は、第1成形樹脂を射出成形して第1成形部を形成する第1成形工程と、前記第1成形部と離間して配置され、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して第2成形部を形成する第2成形工程と、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を前記第1成形部と前記第2成形部との間に射出成形して前記第1成形部と前記第2成形部との間に配置された第3成形部を形成する第3成形工程と、を有し、前記第1成形工程と、前記第2成形工程と、前記第3成形工程は、前記第1成形樹脂、前記第2成形樹脂及び前記第3成形樹脂の夫々の溶融温度が低い順の順番で行う多色成形品の成形方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1次成形樹脂と2次成形樹脂の密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の成形品を成形することが多色成形品および多色成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態の多色成形品を示すもので、(A)は多色成形品を示す上面図、(B)は(A)のIB−IB線断面図。
【図2】第1の実施の形態の成形機の可動プラテンの上の成形型の配置状態を示す平面図。
【図3】図2のA−O−B線断面図。
【図4】図2のB−O−C線断面図。
【図5】第1の実施の形態の射出成形型を型開き位置に移動した状態を示す縦断面図。
【図6】第1の実施の形態の射出成形型が型閉め位置に移動した状態で2次成形型に第2成形樹脂を充填させて着色外周部を成形する状態を示す縦断面図。
【図7】第1の実施の形態の再度金型を開き、第1の成形型の可動型に光学素子部および着色外周部を残したまま2次成形ゲートを切り離すと同時に、第1の成形型では、可動型に光学素子部を残したまま1次成形ゲートを光学素子部と切り離し、可動プラテンを120°回転させた状態を示す縦断面図。
【図8】第1の実施の形態の中間成形型に中間樹脂を充填して中間部を形成すると共に、光学素子部と着色外周部を一体化し多色成形品を得るとともに、2次成形型では第2次成形樹脂の充填を行う状態を示す縦断面図。
【図9】第1の実施の形態の成形型を開き、中間成形型では多色成形品を可動型に残したまま、中間成形ゲートを切り離し、同時に、2次成形型では、多色成形品を可動型から突き出し多色成形品を取り出す状態を示す縦断面図。
【図10】第1の実施の形態の射出成形型の駆動手順を説明するためのフローチャートを示し、(A)は射出成形型全体の駆動手順を説明するためのフローチャート、(B)は1次成形型の駆動手順を説明するためのフローチャート、(C)は2次成形型の駆動手順を説明するためのフローチャート、(D)は3次成形型の駆動手順を説明するためのフローチャート。
【図11】本発明の第2の実施の形態の成形機の可動プラテンの上の射出成形型の配置状態を示す平面図。
【図12】図11のA−O−B線断面図。
【図13】第2の実施の形態の射出成形型における光学素子部を可動型に残したまま、型開きした状態を示す縦断面図。
【図14】第2の実施の形態の射出成形型が型閉じ位置に移動した状態で、可動プラテンを回転させ多色成形型をBの位置に移動させた状態で第2成形樹脂を充填させ着色外周部を得る状態を示す縦断面図。
【図15】第2の実施の形態の射出成形型を再度型を開き、光学素子部および着色外周部を可動型に残したまま、2次成形ゲートを切り離した状態を示す縦断面図。
【図16】第2の実施の形態の射出成形型の型を閉じ、可動プラテンを回転させ多色成形型をCの位置に移動させた状態で中間成形樹脂を光学素子部と着色外周部の間に充填し中間部を形成すると共に、光学素子部と着色外周部を一体化し多色成形品を得る状態を示す縦断面図。
【図17】第2の実施の形態の射出成形型における工程の最後に、多色成形品を可動型に残したまま、中間成形ゲートを切り離した後、多色成形品を取り出す状態を示す縦断面図。
【図18】本発明の第3の実施の形態を示すもので、(A)は多色成形品を示す上面図、(B)は(A)の18B−18B線断面図。
【図19】本発明の第4の実施の形態の多色成形品を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
(構成)
図1乃至図10は、本発明の第1の実施の形態を示す。図1(A)は、本実施の形態の樹脂成形品である多色成形品4の上面図である。図1(B)は図1(A)の1B−1B線断面図である。また、図2は多色成形品4を成型する多色成形型(成形型)11の全体の平面図である。
【0013】
図1(A),(B)に示すように、本実施の形態の多色成形品4は、例えば光学レンズである光学素子(第1成形部)1と、この光学素子1を保持するレンズ枠である円筒状の着色外周部(第2成形部)2と、前記光学素子1と前記着色外周部2との間に配置されたリング状の中間層(第3成形部)3とを多色成形によって一体化した一体物によって形成されている。ここで、光学素子1は、光透過性の樹脂材料である第1成形樹脂を射出成形して形成されている。着色外周部2は、光学素子1と離間して配置され、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して形成されている。中間層3は、光学素子1と着色外周部2との間に配置され、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を前記光学素子1と前記着色外周部2との間に射出成形して形成されている。
【0014】
そして、これらの光学素子1と、着色外周部2と、中間層3とは、図2〜4に示す射出成形型21によって多色成形されて多色成形品4が成形される。ここで、多色成形品4の射出成形時には、光学素子1と中間層3との結合界面には熱溶融されて混合された状態で結合された第1の熱溶融結合部5が形成され、中間層3と着色外周部2との結合界面には同様に熱溶融されて混合された状態で結合された第2の熱溶融結合部6が形成されている。本実施の形態において中間層3の厚さは0.3mmである。
【0015】
図1(B)に示すように光学素子1は、向かい合う2面を有し、これら2面がそれぞれ光学機能面1a,1bとなる。図1(B)中で上側が凸曲面状の第1の光学機能面1a、下側が凸曲面状の第2の光学機能面1bである。着色外周部2は、多色成形品4を図示しない鏡筒に取り付ける際の鏡筒内での位置決めとして機能する。本実施の形態では光学素子1の第1成形樹脂は、PC(ポリカーボネート)であり、着色外周部2の第2成形樹脂は、PS(ポリスチレン)であり、中間層3の第3成形樹脂は、PMMA(アクリル)である。
【0016】
第3成形樹脂は、前記第1成形樹脂及び前記第2成形樹脂の樹脂特性に対して結合する樹脂特性を持つ。例えば、次の表1の1〜8に示された組み合わせが好適である。なお、表1中で、カッコ内の数字は、射出成形の順番を示す。
【0017】
【表1】
図2は、図示しない射出成形機の可動プラテン12の上の多色成形型11の配置状態を示す平面図である。多色成形型11は、1次成形型11Aと、2次成形型11Bと、中間成形型11Cとを有する。これら3つの成形型11A〜11Cは、可動プラテン12の上に120°間隔で配置されている。また、その可動プラテン12の中央には回転軸13があり、この回転軸13を中心に可動プラテン12が回転する。
【0018】
図3は図2のA−O−B線断面図、図4は図2のB−O−C線断面図である。図3に示すように1次成形型11Aは、PL(パーティングライン)を挟んで1次固定型13aと可動型14が組み合わされることにより構成される。2次成形型11BはPLを挟んで2次固定型13bと可動型14が組み合わされることにより構成される。図4に示すように中間成形型11Cは中間固定型13cと可動型14が組み合わされることにより構成される。なお、可動型14に関しては1次成形型11A、2次成形型11B、中間成形型11Cにおいて全て同じ構成である。そのため、同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0019】
図3に示すように一次固定型13aは、一次固定側取付板15aと、一次固定側落下板16aと、一次固定側型板17aとを有する。一次固定側型板17aの中央部分には、一次固定入子18aが嵌挿されている。
この一次固定型13aに対向する可動型14は、可動側型板19と、可動側受板20と、スペーサブロック21と、可動側取付板22とを有する。スペーサブロック21の内側には、突出し機構を構成するエジェクタプレート23が設けられている。このエジェクタプレート23には、4本のエジェクタピン24が取付けられている。可動側型板19の中央部分には、可動入子25が嵌挿されている。即ち、可動入子25は、可動型14内に挿入されている。可動入子25は、一次固定入子18aと距離を開けて対向するように配置されている。
【0020】
また、一次成形型11Aの一次固定型13aと、可動型14との型締め時(図3、図4参照)には、一次固定型13aと、可動型14との間で、一次成形体である光学素子1の成形に必要な一次成形キャビティ部26が構成される。この一次成形キャビティ部26は、一次固定入子18aの凹曲面形状の一次固定側成形面18a1と、一次固定側型板17aの一次キャビティ形成用の凹部17a1と、可動側型板19の可動入子25の上面の凹曲面形状の可動側成形面25aと、可動側型板19との間の密閉空間によって形成されている。
【0021】
また、一次固定型13aの一次固定側取付板15aと一次固定側落下板16aには、中央位置に一次成形体である光学素子1の成形材料である溶融材料を型開き方向に供給する一次成形用一次スプルー27aがそれぞれに形成されている。さらに、一次固定側型板17aには、一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形キャビティ部26に樹脂を充填するための一次成形用ピンポイントゲート30aとが設けられている。
【0022】
そして、一次成形体である光学素子1の成形時には、光学素子1の成形材料である第1成形樹脂の溶融材料が一次固定側取付板15aと一次固定側落下板16aの一次成形用一次スプルー27aから一次固定側型板17aの一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形用ピンポイントゲート30aを経て光学素子1の一次成形キャビティ部26内に充填される。この第1成形樹脂を一次成形キャビティ部26内に充填させた後、冷却を行い光学素子1が成形される。
【0023】
また、一次固定側型板17aには一次固定側温調管31aが配設されている。この一次固定側温調管31a内には成形時に水や油などの温度調整された媒体が常時流れている状態で収容されている。
さらに、可動側型板19には可動入子25の外周部でPLに面する側に、可動側型板19の型軸中心と同心状に第2成形部である着色外周部2の二次成形用キャビティの一部を形成するための可動側空間32が形成されている。そして、この可動側空間32の底面に接するように4本のエジェクタピン24が配置される。
【0024】
二次固定型13bは、二次固定側取付板15bと、二次固定側落下板16bと、二次固定側型板17bとを有する。二次固定側型板17bには、二次固定入子18bが嵌挿されている。この二次固定型13bに対向する可動型14は、前述の通り一次固定型13aに対向する可動型14と同じ構成である。
【0025】
二次固定側型板17bの下面には、二次固定入子18bと対応する部分に第2成形部である着色外周部2の二次成形体キャビティの一部を形成するための二次固定側空間33が形成されている。この二次固定側型板17bの二次固定側空間33は、可動側型板19の可動側空間32と対向する位置に形成されている。
【0026】
そして、図3、図4に示すように可動型14と、二次成形型11Bの二次固定型13bとの型締め時には、二次固定側型板17bの下面の二次固定側空間33は、可動側型板19の可動側空間32と連通されて光学素子1の周囲に着色外周部2を第2成形するための二次成形キャビティ34が形成される。
【0027】
また、二次固定型13bの二次固定側取付板15bと二次固定側落下板16bには、中央位置に二次成形体である着色外周部2の成形材料である第2成形樹脂の溶融材料を型開き方向に供給する二次成形用一次スプルー27bがそれぞれに形成されている。さらに、二次固定側型板17bには、二次成形用ランナー28bと、二次成形用二次スプルー29bとを順次、介して二次成形用キャビティ34になる二次固定側空間33および可動側空間32に樹脂を充填するための二次成形用ピンポイントゲート30bが設けられる。
【0028】
二次成形型11Bは、予め一次成形型11Aで、一次成形体である光学素子1を一次成形した後に使用される。すなわち、一次成形型11Aで、一次成形体である光学素子1を一次成形した際に、一次成形された光学素子1は、可動型14に保持された状態で残される。そして、可動型14と、一次固定型13aとの型開き後に、前記一次成形された光学素子1が保持された可動型14と、二次成形型11Bの二次固定型13bとが型締めされる。これにより、二次成形型11Bの二次固定型13bと可動型14との型締め時には、予め二次固定型13bと可動型14との間には一次成形体である光学素子1がセットされる。
【0029】
そして、二次固定型13bと可動型14との間には、二次固定型13bの二次固定側空間33と可動型14の可動側型板19にPLを挟んで対向配置された可動側空間32とを連通して一次成形品である光学素子1の周囲に着色外周部2を二次成形するための二次成形キャビティ34が形成される。この二次成形キャビティ34に第2成形樹脂が充填されることで着色外周部2が二次成形される。
【0030】
また、二次固定側型板17bには二次固定側温調管31bが配設されている。この二次固定側温調管31b内には成形時に水や油などの温度調整された媒体が常時流れている状態で収容されている。
中間固定型13cは、図4に示すように中間固定側取付板15cと、中間固定側落下板16cと、中間固定側型板17cとを有する。中間固定側型板17cには、中間層3を成形するための中間層成形キャビティ34が形成される。この中間固定型13cに対向する可動型14は、前述の通り一次固定型13a、二次固定型13bに対向する可動型14と同じ構成である。
【0031】
また、中間固定型13cの中間固定側取付板15cと中間固定側落下板16cには、中央位置に第3成形部である中間層3の成形材料である第3成形樹脂の溶融材料を型開き方向に供給する中間成形用一次スプルー27cがそれぞれに形成されている。さらに、中間固定側型板17cには、中間層成形用ランナー28cと、中間層成形用二次スプルー29cとを順次、介して中間層成形用キャビティ34に樹脂を充填するための中間層成形用ピンポイントゲート30cが設けられる。
【0032】
中間成形型11Cは、本実施の形態では予め一次成形型11Aで、一次成形体である光学素子1を一次成形した後、2次成形型11Bで、一次成形体である着色外周部2を二次成形した後に使用される。
また、中間固定側型板17cには中間固定側温調管31cが配設されている。この中間固定側温調管31c内には成形時に水や油などの温度調整された媒体が常時流れている状態で収容されている。
【0033】
(作用)
次に、図10(A)〜(D)に示すフローチャートを参照して本実施の形態の多色成形品4の成形工程について説明する。図10(A)は、多色成形型11の全体の駆動手順を説明するためのフローチャート、図10(B)は1次成形型11Aの駆動手順を説明するためのフローチャート、図10(C)は2次成形型11Bの駆動手順を説明するためのフローチャート、図10(D)は3次成形型11Cの駆動手順を説明するためのフローチャートである。
【0034】
多色成形型11の使用時には、図10(A)のフローチャートのステップS1で示すように使用する3つの樹脂の溶融温度を比較し、順位づけを行なう。そして、溶融温度が一番低い樹脂を1次成形する第1成形工程が行なわれる(ステップS2)。次に、溶融温度が二番目に低い樹脂を2次成形する第2成形工程が行なわれる(ステップS3)。続いて、溶融温度が三番目に低い樹脂を3次成形する第3成形工程が行なわれる(ステップS4)。その後、次のステップS5で、第3成形工程まで完了した多色成形品4の製造数が予め設定された必要数を確保できたか否かが判断される。ここで、必要数を確保できたと判断されない場合にはステップS2に戻される。また、ステップS5で必要数を確保できたと判断された場合には終了する。
【0035】
ステップS2の第1成形工程時には、1次成形型11Aが使用されて図10(B)のフローチャートの通り、第1成形工程が行なわれる。ここでは、図2に示す初期状態の基準位置で、図3に示すように1次固定型13aと可動型14とが型閉め位置に移動される(ステップS11)。この状態で、1次成形型11Aの一次成形用一次スプルー27aと、一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形用ピンポイントゲート30aとを介して1次固定型13aと可動型14との間のキャビティ部26に第1成形樹脂が充填される(ステップS12)。その後、冷却を行い光学素子1(第1成形部)が1次成形される。
【0036】
光学素子1の1次成形後、1次成形型11Aを開く(ステップS13)。これと同時に可動型14に光学素子1を残したまま、一次成形用一次スプルー27aと、一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形用ピンポイントゲート30aとの一体物(残留樹脂)35を光学素子1と切り離す。
【0037】
次に、回転軸13を中心に可動プラテン12を120°回転させる(ステップS14:図5参照)。これにより、第1成形工程が終了し、次に、ステップS3の第2成形工程が開始される。なお、一次成形用一次スプルー27aと、一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形用ピンポイントゲート30aとの一体物35は、型開き時に取り除かれる。
【0038】
ステップS3の第2成形工程時には、2次成形型11Bが使用されて図10(C)のフローチャートの通り、第2成形工程が行なわれる。ここでは、図5の状態で、1次固定型13aと可動型14とを対向させて型を閉じ、同時に2次固定型13bと可動型14とを対向させて型を閉じる(ステップS21)。このとき、2次固定型13bと対向する可動型14には光学素子1を残したままの状態で保持されている。また、1次固定型13aと対向する可動型14には光学素子1がない状態で保持されている。
【0039】
次に、図6に示すように2次固定型13bと可動型14とが型閉め位置に移動された状態で、2次成形型11Bに第2成形樹脂が充填される(ステップS22)。このとき、二次成形用一次スプルー27bと、二次成形用ランナー28bと、二次成形用二次スプルー29bと、2次成形ゲート30bを介して二次成形用キャビティ34になる二次固定側空間33および可動側空間32に第2成形樹脂が充填され、着色外周部2が成形される。
【0040】
この動作と並行して、1次成形型11Aにおいても前述のように1次固定型13aと可動型14との間のキャビティ部26に第1成形樹脂の充填を行い、光学素子1が成形される(図6)。
その後、再度、型開きが行なわれる(ステップS23)。そして、図7に示すように2次成形型11Bでは、可動型14に光学素子1および着色外周部2を残したまま、二次成形用一次スプルー27bと、二次成形用ランナー28bと、二次成形用二次スプルー29bと、2次成形ゲート30bとの一体物(残留樹脂)36を切り離す。
【0041】
また同時に、1次成形型11Aでは、可動型14に光学素子1を残したまま、一次成形用一次スプルー27aと、一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形用ピンポイントゲート30aとの一体物(残留樹脂)35を光学素子1と切り離す。
【0042】
その後、回転軸13を中心に可動プラテン12を120°回転させる(ステップS24:図7参照)。これにより、第2成形工程が終了し、次に、ステップS4の第3成形工程が開始される。ステップS4の第3成形工程時には、中間成形型11Cが使用されて図10(D)のフローチャートの通り、第3成形工程が行なわれる。ここでは、図8に示すように中間固定型13cと可動型14を対向させて型を閉じ、同時に2次固定型13bと可動型14を対向させて型を閉じる(ステップS31)。このとき、中間固定型13cと対向する可動型14には光学素子1と着色外周部2とを残したままの状態で保持されている。また、2次固定型13bと対向する可動型14には光学素子1を残したままの状態で保持されている。なお、このとき同時に可動プラテン12の上の1次成形型11Aでは、ステップS2の第1成形工程が開始される。
【0043】
次に、図8に示すように中間固定型13cと可動型14とが型閉め位置に移動された状態で、中間成形型11Cに第3成形樹脂が充填される(ステップS32)。このとき、中間成形用一次スプルー27cと、中間層成形用ランナー28cと、中間層成形用二次スプルー29cと、中間層成形用ピンポイントゲート30cとを介して中間層3の成形材料である第3成形樹脂の溶融材料が中間層成形用キャビティ34に充填される。そして、光学素子1と着色外周部2の間の中間層3が形成されると共に、光学素子1と着色外周部2とが中間層3を介して一体化されて多色成形品4が成形される。
【0044】
この動作と並行して、2次成形型11Bでは、前述のように2次固定型13bと可動型14との間の二次成形キャビティ34に第2成形樹脂の充填を行い、着色外周部2が二次成形される。このとき、一次成形型11Aでは、前述のように1次固定型13aと可動型14との間のキャビティ部26に第1成形樹脂の充填を行い、光学素子1が成形される。
【0045】
そして、最後の型開きが行なわれる(ステップS33)。このとき、中間成形型11Cでは、多色成形品4を可動型14に残したまま、中間成形用一次スプルー27cと、中間層成形用ランナー28cと、中間層成形用二次スプルー29cと、中間層成形用ピンポイントゲート30cとの一体物(残留樹脂)37を中間層3と切り離す。
【0046】
また、同時に、2次成形型11Bでは、光学素子1および着色外周部2を可動型14に残したまま、二次成形用一次スプルー27bと、二次成形用ランナー28bと、二次成形用二次スプルー29bと、2次成形ゲート30bとの一体物(残留樹脂)36を切り離す。さらに、1次成形型11Aでは、可動型14に光学素子1を残したまま、一次成形用一次スプルー27aと、一次成形用ランナー28aと、一次成形用二次スプルー29aと、一次成形用ピンポイントゲート30aとの一体物(残留樹脂)35を光学素子1と切り離す。
【0047】
その後、成形機に存在する不図示のエジェクタロッドを作動させ、これに連動してエジェクタプレート23、エジェクタピン24、可動入子25を動かす。これにより、中間成形型11Cの可動型14上の多色成形品4を可動型14から突き出し、多色成形品4を取り出す成形品取り出し工程が行なわれる(ステップS34)。
【0048】
その後、回転軸13を中心に可動プラテン12を120°回転させる(ステップS35)。これにより、第3成形工程が終了し、次の多色成形品4の成形工程が開始される。以後、この動作を繰り返す。そして、図10(A)のフローチャートのステップS5で、第3成形工程まで完了した多色成形品4の製造数が予め設定された必要数を確保できたと判断された時点で終了する。
【0049】
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の多色成形型11では、1次成形において第1成形樹脂としてPCを射出し、光学素子1を形成したあと、2次成形において、第2成形樹脂としてPSを射出し、着色外周部2を形成する。ここで、第1成形樹脂による光学素子1と第2成形樹脂による着色外周部2との間は離間させており、光学素子1と着色外周部2との間には第1成形樹脂および第2成形樹脂とそれぞれ相性の良い第3成形樹脂(中間樹脂)を介在させる。
【0050】
また、本実施の形態の多色成形型11では、第3成形樹脂が入る部分は多色成形型11の成形型部材によって仕切られている。その後、成形型部材を変えて、第3成形樹脂の入る空間を形成し、そこに第3成形樹脂としてPMMAを充填させ、中間層3を形成すると同時に、光学素子1と着色外周部2とを密着させる。これにより本来、密着性の悪いPCの光学素子1と、PSの着色外周部2であっても、その間に各々の樹脂と密着相性の高いPMMAの中間層3を介在させることにより、結合できる。このように、第1成形樹脂と第2成形樹脂との間にお互いの樹脂と相性の良い第3成形樹脂(中間樹脂)を介在させることで、密着性の観点から相性の悪い樹脂の組合せであっても、十分な接合強度を有した多色成形品4が得られる。その結果、1次成形の第1成形樹脂と2次成形の第2成形樹脂との密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の成形品を成形することができる多色成形品および多色成形方法を提供することができる。
【0051】
さらに、本実施の形態の多色成形品4の成形時において使用する樹脂は、例えば、光学素子1の第1成形樹脂はPC、着色外周部2の第2成形樹脂はPS、中間層3の第3成形樹脂はPMMAである。一般的に光学素子1の樹脂であるPCと着色外周部2の樹脂であるPSは樹脂の相性の関係から、PCとPSとの多色成形では接合界面での密着性が低い。そこで、本実施の形態では、光学素子1の第1成形樹脂のPCと第2成形樹脂のPSとの間を離間させた状態で、それぞれ別個に独立して成形した後、第1成形樹脂のPCと第2成形樹脂のPSとの間に第3成形樹脂として両方の樹脂と密着性の相性の良いPMMAを充填させたものである。これにより、第1成形樹脂のPCと第3成形樹脂との接合界面にそれぞれ熱溶融されて混合された状態で結合された第1の熱溶融結合部5を設け、同様に、第2成形樹脂のPSと第3成形樹脂との接合界面にそれぞれ熱溶融されて混合された状態で結合された第2の熱溶融結合部6を設けることで、光学素子1と着色外周部2とを第3成形樹脂の中間層3を介して十分な密着強度で接合させることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、PC、PSが270℃、PMMAが290℃で溶融させ、成形型に充填させることが好ましい。このように最後に充填する中間層3の第3成形樹脂の溶融温度を1次成形で充填させる第1成形樹脂の溶融温度および2次成形で充填させる第2成形樹脂の溶融温度よりそれぞれ高い溶融温度に設定することで、中間層3の第3成形樹脂を充填した際、中間層3と光学素子1、着色外周部2のそれぞれの界面の樹脂を良く溶かし密着性が向上する。
【0053】
つまり、第1成形樹脂と第3成形樹脂との接合部で溶融樹脂同士が溶融することで第1の熱溶融結合部5が形成され、第2成形樹脂と第3成形樹脂との接合部で溶融樹脂同士が溶融することで第2の熱溶融結合部6が形成される。これにより、透明な光学素子1の第1成形樹脂と、着色外周部2の第2成形樹脂とが中間層3の第3成形樹脂を介して結合される。
【0054】
なお、本実施の形態において第1成形樹脂はPC、第2成形樹脂はPS、中間成形樹脂はPMMAであったがこれに限らない。例えば、前述した表1に示す樹脂の組合せであっても構わない。
ただし、本実施の形態のように光学素子1を含む多色成形品4の場合に限っては、光学素子1の第1成形樹脂を一番目に射出成形し、その後、中間層3の第3成形樹脂もしくは着色外周部2の第2成形樹脂を射出成形することが必要である。
【0055】
これは、仮に光学素子1の第1成形樹脂を中間層3の第3成形樹脂もしくは着色外周部2の第2成形樹脂の後に射出成形した場合、光学素子1と中間層3の第3成形樹脂との界面はお互いの樹脂が溶け合って接合することになる。その際、光学素子1の第1成形樹脂は、中間層3の第3成形樹脂もしくは着色外周部2の第2成形樹脂を溶かしながら流動・充填していくことになる。そうなると、光学素子1の第1成形樹脂の透明樹脂の中に中間層3の第3成形樹脂および着色外周部2の第2成形樹脂が混ざり込むことになる。この場合には、光学素子1の光学機能を損なう結果になる可能性がある。このような理由で、光学素子1と着色外周部2を多色成形する場合に関しては、光学素子1の第1成形樹脂を一番目に射出成形することが必須になる。
【0056】
[第2の実施の形態]
(構成)
図11乃至図17は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態(図1乃至図10参照)の多色成形型(成形型)11の構成を次の通り変更した変形例である。なお、多色成形品4は、第1の実施の形態と同じである。
【0057】
すなわち、第1の実施の形態では、可動プラテン12上に1次成形型11Aと、2次成形型11Bと、中間成形型11Cの3つの成形型を用いた例を示したが、本実施の形態では図11に示すとおり、可動プラテン12上には1つの成形型41が設けられている。これは、例えば生産が少量生産の場合、第1の実施の形態のように3つの成形型11A,11B,11Cを使用する場合は成形型の費用が大きくなり、成形型のコストが製造コストに占める割合が大きくなり、結果として製造コストが上がる。そこで、本実施の形態では1つの成形型で多色成形品4を成形できるようにすることで製造コストを低下させることを意図している。
【0058】
図11は、成形機の可動プラテン12の上に本実施の形態の多色成形型41を配置した配置状態を示す平面図、図12は、図11のA−O−B線断面図である。なお、図11乃至図17中で、図1乃至図10と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。本実施の形態の多色成形型41は、可動型14に仕切り板42が設けられている。この仕切り板42は、中間層3用のキャビティと対応する部位に配置され、可動側型板19に固定型13側に向けて突没可能に設けられている。この仕切り板42は、エジェクタプレート23に取り付けられ、エジェクタプレート23と連動して動く。
【0059】
また、多色成形型41の固定型13は、固定側取付板15と、固定側落下板16と、固定側型板17とを有する。固定側型板17の中央部分には、固定入子18が嵌挿されている。固定入子18には、光学素子1のキャビティ26の一部を構成する凹曲面形状の固定側キャビティ成形面26aと、中間層3用のキャビティ43(図16参照)の一部を構成する凹部状の中間層キャビティ成形面43aとが形成されている。さらに、固定側型板17には、固定入子18が挿入される穴の周壁部に着色外周部2用のキャビティ44の一部を構成する凹部状の着色外周部キャビティ成形面44aが形成されている。
【0060】
また、可動入子25の上面には、光学素子1のキャビティ26の一部を構成する凹曲面形状の可動側キャビティ成形面26bが形成されている。さらに、可動側型板19には、可動入子25の嵌挿穴の周囲に仕切り板42の挿入穴45が形成されている。この挿入穴45は、着色外周部2の二次成形用キャビティ44の一部を形成するための可動側空間32と、可動入子25の嵌挿穴との間に形成されている。
【0061】
さらに、固定側取付板15と、固定側落下板16には、1次成形樹脂が通るスプルー46aと、2次成形樹脂が通るスプルー46bと、3次成形樹脂が通るスプルー46cとが設けられている。これら3つのスプルー46a、46b、46cは、可動プラテン12の径方向に沿って並設されている。
【0062】
さらに、固定側型板17には、光学素子1のキャビティ26に1次成形樹脂を供給する1次成形樹脂の供給通路47aと、着色外周部2用のキャビティ44に2次成形樹脂を供給する2次成形樹脂の供給通路47bと、中間層3用のキャビティ43に3次成形樹脂を供給する3次成形樹脂の供給通路47cとがそれぞれが干渉しないように構成してある。ここで、1次成形樹脂の供給通路47aには、1次成形用ランナー48aと、1次成形用二次スプルー49aと、1次成形用ピンポイントゲート50aとが設けられている。同様に、2次成形樹脂の供給通路47bには、2次成形用ランナー48bと、2次成形用二次スプルー49bと、2次成形用ピンポイントゲート50bとが設けられている(図14参照)。さらに、3次成形樹脂の供給通路47cには、3次成形用ランナー48cと、3次成形用二次スプルー49cと、3次成形用ピンポイントゲート50cとが設けられている(図16参照)。
【0063】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の多色成形品4の成形工程について説明する。まず、図11のAの初期状態の基準位置に多色成形型41に配置する。この位置で、図12に示すように成形型41を閉じた後、成形機からのエジェクタロッド(不図示)を作動させ、エジェクタプレート23、および、それに連結された仕切り板42と、エジェクタピン24とを仕切り板42が固定側型板17に突き当たるまで前進させる。
【0064】
この状態で、第1成形樹脂を1次成形スプルー46aから1次成形ランナー48aと、1次成形2次スプルー49aと、1次成形ゲート50aとを介して光学素子1のキャビティ26に充填させ、光学素子1を成形する。その後、図13に示すように型41を開く。これにより、光学素子1を可動型14に残したまま、1次成形スプルー46aと、1次成形ランナー48aと、1次成形2次スプルー49aと、1次成形ゲート50aとの一体物(残留樹脂)51を光学素子1と切り離す。
【0065】
その後、型41を閉じたのち、可動プラテン12を回転させ、多色成形型41を図11中でBの位置に移動させる。この時、エジェクタプレート23と、仕切り板42と、エジェクタピン24とは前進させたままで保持される。
この状態で、図14に示すように第2成形樹脂を2次成形スプルー46bから、2次成形ランナー48bと、2次成形2次スプルー49bと、2次成形ゲート50bとを介して着色外周部2の二次成形用キャビティ44に充填させ、着色外周部2を成形する。
【0066】
その後、図15に示すように再度、多色成形型41を開く。これにより、光学素子1および着色外周部2を可動型14に残したまま、2次成形スプルー46bと、2次成形ランナー48bと、2次成形2次スプルー49bと、2次成形ゲート50bとの一体物(残留樹脂)52を着色外周部2と切り離す。
【0067】
その後、図16に示すように多色成形型41を閉じたのち、可動プラテン12を回転させ、多色成形型41を図11中でCの位置に移動させる。ここで、成形機からのエジェクタロッドを後退させ、エジェクタプレート23およびそれに連結された仕切り板42、エジェクタピン24を後退させる。このときの仕切り板42の移動によって中間層3用のキャビティ43が形成される。
【0068】
この状態で、第3成形樹脂をスプルー46cから3次成形用ランナー48cと、3次成形用二次スプルー49cと、3次成形用ピンポイントゲート50cとを介して中間層3用のキャビティ43に充填させ、中間層3を成形する。
中間成形スプルー93、中間成形ランナー103、中間成形2次スプルー113、中間成形ゲート123を介して光学素子1と着色外周部2の間に充填し中間層3を形成すると共に、光学素子1と着色外周部2を一体化し多色成形品4を得る。
【0069】
最後に、多色成形品4を可動型14に残したまま、中間層3と中間成形スプルー93、中間成形ランナー103、中間成形2次スプルー113、中間成形ゲート123を切り離した後、再度成形機のエジェクタロッドを前進させ、エジェクタプレート23およびそれに連結された仕切り板42およびエジェクタピン24を前進させ多色成形品4を取り出す。
【0070】
(効果)
そこで、本実施の形態では、第1実施形態と同様に、光学素子1の第1成形樹脂と着色外周部2の第2成形樹脂との間にお互いの樹脂と相性の良い中間層3の第3成形樹脂(中間樹脂)を介在させることで、密着性の観点から相性の悪い樹脂の組合せであっても、十分な接合強度を有した多色成形品4が得られる。その結果、1次成形の第1成形樹脂と2次成形の第2成形樹脂との密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の成形品を成形することができる多色成形品および多色成形方法を提供することができる。
【0071】
さらに、本実施の形態では、上記第1実施形態の効果に加え、可動プラテン12上に1つの成形型41を設け、1つの成形型41で多色成形品4を成形できるようにしたので、多色成形型41のコストを下げることができる。その結果、多色成形品4の製造コストを低下させることができ、特に少量生産の場合に有効である。
【0072】
[第3の実施の形態]
(構成)
図18(A),(B)は、本発明の第3の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態(図1乃至図10参照)の多色成形品4の構成を次の通り変更した変形例である。
すなわち、本実施の形態の多色成形品61は、透明な第1成形樹脂で成形された光学素子62の周壁に第2成形樹脂で成形された着色外周部63の内周面を接合させた状態で配設した2色成形品64を設けている。そして、この2色成形品64の光学素子62の一面側に光学素子62と着色外周部63との接合部に重なる状態で第3成形樹脂の中間層65を接合させたものである。第3成形樹脂の中間層65は、光学素子62と着色外周部63との接合部に沿って周方向全体に延設させた状態でリング状に形成されている。
【0073】
(作用・効果)
そこで、上記構成のものにあっても光学素子62の第1成形樹脂と着色外周部63の第2成形樹脂との間の接合部にお互いの樹脂と相性の良い中間層65の第3成形樹脂(中間樹脂)を介在させることができる。この場合も第1成形樹脂と第2成形樹脂とが密着性の観点から相性の悪い樹脂の組合せであっても、十分な接合強度を有した多色成形品61が得られる。その結果、1次成形の第1成形樹脂と2次成形の第2成形樹脂との密着性の相性が悪い場合でも適正な接合強度の多色成形品61を成形することができる多色成形品および多色成形方法を提供することができる。
【0074】
[第4の実施の形態]
(構成)
図19は、本発明の第4の実施の形態を示す。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図10参照)の多色成形品4の構成を次の通り変更した変形例である。
すなわち、本実施の形態の多色成形品71は、本発明を操作ボタン72に適用した例である。図19は、多色成形品71によって形成された操作ボタン72である。この操作ボタン72は、意匠部73と、足部74と、外装部75とを有している。
【0075】
意匠部73は、例えば英数字や○△の記号といった意匠の機能を持つ。足部74は、操作ボタン72を他の部材に取り付けるための位置決め等の機能を持つ。外装部75は、意匠部73以外の外観部の機能を有している。
本実施の形態においては、例えば意匠部73は、1次成形の第1成形樹脂、足部74は、2次成形の第2成形樹脂によって形成されている。また、第3成形樹脂(中間樹脂)に当たるのは、外装部75の樹脂で、この樹脂は、意匠部73と、足部74のそれぞれの樹脂と密着性の相性が良い。
【0076】
このような構成において、使用樹脂および射出の順序は次の表2のような組合せが考えられる。
【0077】
【表2】
(作用・効果)
そこで、本実施の形態では意匠部73の第1成形樹脂と足部74の第2成形樹脂との間にお互いの樹脂と相性の良い外装部75の第3成形樹脂(中間樹脂)を介在させることで、密着性の観点から相性の悪い樹脂の組合せであっても、十分な接合強度を有した多色成形品71が得られる。さらに、本実施の形態の操作ボタン72は、第1の実施の形態の光学素子とは違い樹脂の界面付近でお互いの樹脂が流れだしても部品機能上、大きな影響を与えない。そのため、第1成形樹脂および第2成形樹脂は意匠部73、外装部62のどちらにもなりえる。ただし、射出順序はそれぞれの溶融時の温度関係により決まり、溶融温度が低い樹脂から順に射出成形されている。
【0078】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 第1成形樹脂を射出成形して形成された内側成形部と、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して形成された外側成形部と、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる中間樹脂を、前記1次成形部と前記2次成形部の結合界面に射出成形して形成された中間部と、を有することを特徴とする多色成形品。
【0079】
(付記項2) 前記中間樹脂は、前記第1成形樹脂及び前記第2成形樹脂の樹脂特性に対して結合する樹脂特性を持つことを特徴とする付記項1に記載の多色成形品。
(付記項3) 前記請求項1に記載の多色成形品の成形方法であって、前記第1成形樹脂を射出成形して内側成形部を形成する内側成形工程と、前記第2成形樹脂を射出成形して外側成形部を形成する外側成形工程と、前記中間樹脂を射出成形して中間部を形成する中間成形工程と、を備え、前記1次成形樹脂、前記2次成形樹脂及び中間樹脂は、夫々の溶融温度が低い順に射出成形を行うことを特徴とする多色成形品の成形方法。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、複数の異なる樹脂を組合せて一体化する多色成形品および多色成形方法を使用する技術分野や、これを製造する技術分野に有効である。
【符号の説明】
【0081】
1…光学素子(第1成形部)、2…着色外周部(第2成形部)、3…中間層(第3成形部)、5…第1の熱溶融結合部、6…第2の熱溶融結合部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1成形樹脂を射出成形して形成された第1成形部と、
前記第1成形部と離間して配置され、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して形成された第2成形部と、
前記第1成形部と前記第2成形部との間に配置され、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を前記第1成形部と前記第2成形部との間に射出成形して形成された第3成形部と
を有し、
前記第1成形部と前記第3成形部との結合界面および前記第3成形部と前記第2成形部との結合界面にそれぞれ熱溶融されて混合された状態で結合された熱溶融結合部を設けた多色成形品。
【請求項2】
請求項1に記載の多色成形品であって、
前記第3成形樹脂は、前記第1成形樹脂及び前記第2成形樹脂の樹脂特性に対して結合する樹脂特性を持つ多色成形品。
【請求項3】
請求項2に記載の多色成形品であって、
前記第1成形部によって光学素子、前記第2成形部によって前記光学素子の周りの枠部、前記第3成形部によって前記光学素子と前記枠部との間に配置された中間層がそれぞれ形成されている多色成形品。
【請求項4】
第1成形樹脂を射出成形して第1成形部を形成する第1成形工程と、
前記第1成形部と離間して配置され、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して第2成形部を形成する第2成形工程と、
前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を前記第1成形部と前記第2成形部との間に射出成形して前記第1成形部と前記第2成形部との間に配置された第3成形部を形成する第3成形工程と、
を有し、
前記第1成形工程と、前記第2成形工程と、前記第3成形工程は、前記第1成形樹脂、前記第2成形樹脂及び前記第3成形樹脂の夫々の溶融温度が低い順の順番で行う多色成形品の成形方法。
【請求項1】
第1成形樹脂を射出成形して形成された第1成形部と、
前記第1成形部と離間して配置され、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して形成された第2成形部と、
前記第1成形部と前記第2成形部との間に配置され、前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を前記第1成形部と前記第2成形部との間に射出成形して形成された第3成形部と
を有し、
前記第1成形部と前記第3成形部との結合界面および前記第3成形部と前記第2成形部との結合界面にそれぞれ熱溶融されて混合された状態で結合された熱溶融結合部を設けた多色成形品。
【請求項2】
請求項1に記載の多色成形品であって、
前記第3成形樹脂は、前記第1成形樹脂及び前記第2成形樹脂の樹脂特性に対して結合する樹脂特性を持つ多色成形品。
【請求項3】
請求項2に記載の多色成形品であって、
前記第1成形部によって光学素子、前記第2成形部によって前記光学素子の周りの枠部、前記第3成形部によって前記光学素子と前記枠部との間に配置された中間層がそれぞれ形成されている多色成形品。
【請求項4】
第1成形樹脂を射出成形して第1成形部を形成する第1成形工程と、
前記第1成形部と離間して配置され、前記第1成形樹脂とは異なる第2成形樹脂を射出成形して第2成形部を形成する第2成形工程と、
前記第1成形樹脂と前記第2成形樹脂とは異なる第3成形樹脂を前記第1成形部と前記第2成形部との間に射出成形して前記第1成形部と前記第2成形部との間に配置された第3成形部を形成する第3成形工程と、
を有し、
前記第1成形工程と、前記第2成形工程と、前記第3成形工程は、前記第1成形樹脂、前記第2成形樹脂及び前記第3成形樹脂の夫々の溶融温度が低い順の順番で行う多色成形品の成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−131146(P2012−131146A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285927(P2010−285927)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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