説明

多色自動焦点装置および方法

改良型自動焦点システムおよび方法であって、下記の構成を備えている。
選択的に作動される実質的に単色の、少なくとも2つの出力波長を有し、対象物を照らすようにされた制御可能な光源。
上記対象物の一部分から反射される上記光源からの光を受け取り、上記受け取った光に応じて出力信号を生成するカメラ。
コントローラ。このコントローラは、上記カメラと上記制御可能な光源に接続され、上記カメラを位置付けし、上記対象物の第一部分を、選択的に作動される実質的に単色の、少なくとも2つの出力波長で順次に照らし、上記カメラを第二位置に移動し、上記対象物の第二部分を、選択的に作動される実質的に単色の少なくとも2つの出力波長で順次に照らす。
データプロセッサ。このデータプロセッサは、上記カメラに接続され、上記出力信号を受け取り、各位置について各波長と関連した上記出力信号を比較し、上記比較から焦点パラメータを求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、自動化されたシステムのための画像取得に関し、特に、シーケンシャルな多色照明器(multicolored illuminator)を用いた、上記システムのための改良型自動焦点方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像取得システムは、一般的に、有効性を高めるために自動焦点技法を採用している。過去に多数の技法が採用され、中にはある程度有効なものもあるが、自動焦点装置および方法の改良が求められている。この種の自動焦点システムおよび方法はカメラの焦点位置の決定に用いることが出来るが、表面(surface features)の高さや他の特徴の測定にも用いることが出来る。
【0003】
周知のシステムは、上部照明を用い、カメラが、対象物の平面と垂直な成分を有する軸すなわちZ軸に沿った自動焦点スイープ(auto focus sweep)の間に、表面領域のピークコントラストを求めることが出来るようにしている。この照明は有色発光ダイオードを含む発光ダイオードにより行ってもよい。有色発光ダイオードは対象物の表面の特徴を際立たせることが知られている。この特徴の中には、違う色を表面光として用いると、カメラへの映り方が異なるものがあるためである。
【0004】
ある周知のシステムでは、画像視野(FOV)全体を占める画素の小さなパッチまたはタイルを分析している。このシステムでは、各タイルについて、焦点Z高さ、すなわち、対象物が焦点にあるときの対象物と垂直をなす方向の高さを、各タイルにおいてコントラストが最大となる点として、求める。視野内の全位置における最大コントラストZ高さのマップは、表面の形状を表す。このデータを分析して、表面のあらゆる場所の断面形状を得ることが出来、あるいは焦点高さを得ることが出来る。
【0005】
別のシステムでも、コントラスト情報を用いて、タイルの最大Z高さを求め、対象物の当該領域の断面形状を求めている。このシステムでは、多数の自動焦点スイープによるいくつかの視野データセットをまとめたZ高さデータにリンクして、1つの視野よりも大きい対象物表面の形状を分析することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの周知のシステムが生成するデータの精度は、検査対象表面の特徴に依存する。タイルサイズが小さいとき、例えば4x4画素のとき、表面から密度の濃いZ高さデータを得ようとすると、表面の構造により、データの信頼性が損なわれる可能性がある。これは、一部にはカメラの内部雑音とタイルごとの表面反射率の変動に起因する。
【0007】
白色光は、そこから最大コントラスト点を求めることの出来るデータを一貫して提供するが、コントラスト曲線、すなわちコントラストとZ軸位置との関係は、最大コントラスト点において幅広になる傾向がある。LEDのような帯域幅の狭いエミッタはよりシャープなコントラスト曲線を生成する傾向があり、最大コントラスト点と最適焦点のより正確な位置決めを可能にするが、信頼性が低下する傾向があり、換言すれば、測定対象表面の全点における有用な情報を生成しない場合がある。
【0008】
この最後の問題に対処するために複数の発光ダイオードを同時に用いると、反射光を画像化するための光学部品における色収差によって、誤差が生まれる可能性がある。色収差は、異なる色の光にZ軸上の異なる位置で焦点を結ばせ、これが認識されないと、白色光を用いた場合のようにコントラスト曲線の幅が広くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、改良型自動焦点システムおよび方法は、
少なくとも2つの、選択的に作動される、実質的に単色の出力波長を有し、対象物を照らすようになされた制御可能な光源と、
上記対象物の一部分から反射される上記光源からの光を受け取り、上記受け取った光に反応して出力信号を生成するカメラと、
上記カメラと上記制御可能な光源に接続され、上記カメラを第一のZ軸位置に位置付けて、上記対象物の一部を少なくとも2つの選択的に作動される実質的に単色の出力波長で順次に照らし、コントラスト情報の出力信号を取得し、上記カメラを第二Z軸位置に移動させ、上記対象物の一部を少なくとも2つの選択的に作動される実質的に単色の出力波長で順次に照らし、コントラスト情報の出力信号を取得するコントローラと、
上記カメラに接続されて上記コントラスト出力信号を受け取り、各波長と関連した上記出力信号を比較し、この比較から焦点パラメータを求めるデータプロセッサとを備えている。
【0010】
各位置において複数の異なる色の光源から信号を取得する限り、光源の照射の厳密な順番および位置は、記載のものと異なっていてもよいことを理解されたい。たとえば、本発明によれば、第一の波長の第一光源を第一位置で作動させ、第二の波長の第二光源を第二位置で作動させ、という具合に、すべての光源を使用することが出来る。更に続く位置においても光源のこの順番を繰り返し、異なったZ軸位置のほぼ全てにおいて少なくとも2つの光源からの信号が取得できるまで行う。精度の向上が得られるのは、各位置において複数の波長の光源から信号を取得するためであり、照明の特定の順番または位置のためではない。
【0011】
本発明の他の態様によれば、各出力信号が、当該位置における焦点パラメータの関数である勾配信号を備えている。
【0012】
本発明の他の態様によれば、上記焦点パラメータが高さパラメータである。
【0013】
本発明の他の態様によれば、各Z軸位置おける上記出力信号が、既知の波長依存部分と、位置依存部分を備えている。
【0014】
本発明の他の態様によれば、上記データプロセッサが、上記少なくとも2つの波長についての上記波長依存部分と上記位置依存部分に基づいて、平均高さを求める。
【0015】
本発明の他の態様によれば、上記データプロセッサが、上記少なくとも2つの波長についての上記波長依存部分と上記位置依存部分に基づいて、加重平均高さを求める。
【0016】
本発明の他の態様によれば、上記データプロセッサが、上記少なくとも2つの波長についての上記波長依存部分と上記位置依存部分に基づいて、平均高さを求め、上記少なくとも2つの波長について上記波長依存部分と上記位置依存部分との差が所定の大きさを越えた場合は、出力信号を無視する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の自動焦点装置および方法を実施したマシンビジョンシステムの概要図である。
【図2】図2a−2eは、本発明のさまざまな要素の動作のシーケンスを示したタイミング図である。
【図3】本発明の工程を示したフローチャートである。
【図4】本発明による自動焦点システムによって生成されたデータを、白色(非単色)光源のデータと共に示すグラフである。
【図5】本発明による自動焦点システムによって生成されたデータを、コントラストの大きさを標準化せずに示すグラフである。
【図6】本発明に従って標準化しかつ波長補正を行った焦点ピークを示すグラフである。
【図7】同一のZ高さにおける3色のコントラスト測定値を示すグラフである。
【図8】同じく3つのコントラスト測定値を示すグラフであるが、前に収集したコントラスト曲線と共に示す。
【図9】最適焦点高さを求める最適化過程を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1について説明する。符号10で示すマシンビジョンシステムは、プラットフォーム16に搭載されたカメラ12とリングライト14を含む。このプラットフォーム16は、矢印22で示すように、スライド18、20上をZ軸に沿って移動可能である。リングライト14は、好ましくは中央開口部を有し、この開口部を通って画像が取得される。この開口部は複数の異なる色のLED(図示せず)に取り囲まれている。リングライト14は照明光源を含み、この照明光源は、選択的に作動可能な、本質的に単色の照明器(複数のLED等)を有する。この照明光源は、異なる波長の単色光源により対象物を順次照らし、Z軸22に沿って自動焦点スキャンを行い、各波長について最大コントラスト位置を求め、それらを組み合わせることによって、最適焦点位置を求める。本発明は、(Z軸に対して)固定された対象物に対して、カメラがZ軸上を移動する実施例に従って説明されているが、カメラと対象物とのZ軸上の間隔を変えるために、そのいずれが移動してもよく、または両方が移動してもよい。
【0019】
画像のコントラストを最大化することによって焦点位置を求める技法は、一般的に言って周知であることを、当業者は理解するであろう。カメラ等の画像取得装置をその視野内の対象領域に向け、カメラ等の画像取得装置を軸(ここではZ軸と呼ぶ)に沿って移動させ、Z軸上の選択された位置において、複数の画像フレームを取得する。これらのフレームを分析して、当該フレームのコントラスト値を決定し、さまざまなフレームのコントラスト値を処理してZ軸上の最大コントラスト点を決定し、これにより焦点を決定することが出来る。生のデータからこのような決定をする方法は周知であり、本発明によってすぐに応用出来るものと考えてよい。最大コントラスト点の画像はなくてもよく、この点は他の点のコントラストから計算出来ることを理解されたい。
【0020】
本発明は、異なる色の本質的に単色の複数の光源を用いて、シーケンシャルに又はその他の方法で別々に最大コントラスト位置を求めることにより、自動焦点プロセスを強化する。本発明は、異なる色は最大コントラスト位置がわずかに異なるという事実に基づき、改良型自動焦点方法を提供する。これらの最大コントラスト位置を組み合わせて焦点位置を算出することが出来、この焦点位置は、従来の白色光または他の多色法によって得られたものより正確である。
【0021】
本発明においては、複数の単色光源と1つのセンサを用いるのが好ましいが、多色光源と複数の単色センサを用いた類似のシステムを用いてもよいことが、当業者には理解されよう。たとえば、赤、緑、青(RGB)などの3色の発光ダイオードから成る多色光源と、同じ3色に感受性を有するカメラを用いてもよい。このような光源は観察者には白色に見えるかもしれないが、実際はそうではない。なぜなら、スペクトラムがこれら3つの波長に限られ、これらの波長間では非常に僅かのパワーしか生じないからである。純粋に白色の光源を用いることも考えられるが、カメラが感受性を有する特定の波長で生じるパワーの割合が小さいので、カメラの適切な反応を得るために、白色光源の全体のパワーを望ましいものよりも大きくすることを要求するであろう。一般的に、発光ダイオードは比較的帯域幅が狭く、10〜15nm程度であり、これらと同じ波長に反応を有するカメラは入手可能である。赤、緑、青の発光ダイオードは一般に入手し易く、これらに反応するカメラも同様に入手し易いが、本発明がこれらの特定の色を要件としているのではなく、照明光源とこれに反応性を有するカメラの、いかなる組み合わせを用いてもよいことが理解されるであろう。このようなシステムにおいては、3色の照明光源に同時に電圧を加え、カメラが応答性を有する各波長において別々の出力を提供するように構成されるであろう。これにより、同期要件が簡素化されるとともに照明光源からの光の高速取得が可能となり、ひいては最大コントラスト点の高速決定が可能となるであろう。
【0022】
カメラがZ軸上の自動焦点スキャンパスを移動する際、任意の多数の画像を取得することが可能であるが、焦点の決定に用いられる最大コントラスト点は、適切な精度で、上記パス上の限られた数の不連続な点から算出出来る。最大コントラスト点を決定するために、最大コントラスト点で画像を取得する必要はない。
【0023】
さらに、本実施例においては、対象物について単一の焦点位置を求めるシステムが描かれているが、対象物表面が複数の焦点を必要とするほどの高さの変動を有している場合は、対象物の異なる位置に対応する複数の焦点を求めるために、本発明を用いてもよい。
【0024】
好ましくは、本発明によれば、表面を上部照明で照らし、自動焦点スイープの期間にカメラが表面のピークコントラストを求めることが出来るようにする。好ましくは、光源として発光ダイオードを用いる。これは、発光ダイオードがほぼ単色であり、非常に狭い波長帯の光を生成するからである。異なる色のLEDは対象物表面の特徴を際立たせる。これは、特徴の中には、色の異なる表面光を用いると、カメラへの映り方が異なるものがあるためである。照明器は各色のLEDを複数含んでいてもよい、ということが理解されるであろう。本発明はリング型照明に関連して説明されているが、ビームスプリッタを用いる同軸照明のような他の形態の照明、その他の周知の照明器を用いてもよいことが理解されよう。
【0025】
本発明の1つの態様によれば、カメラ12は、表面の画像をカメラのセンサ、好ましくはCCDセンサのような画素で構成されたセンサに伝える、結像光学系13を含む。この光学系は、異なる色(すなわち異なる波長の光)を、対物レンズからの異なった距離において、焦点に集めるように設計されている。これは、色収差と呼ばれることがあり、多くの場合望ましいものではなく、補正される。本発明においては、これを有益なものとして利用している。そのため、表面を照らす各色のLEDについて、自動焦点スイープの期間に最大コントラストが見つかる高さは、異なる絶対高さである。レンズは、波長ごとに異なるZ高さで焦点を結ぶように設計することが出来るため、各色のZ高さオフセットは固定であり、各レンズ設計において既知である。これらのオフセットは正確に決定することが出来る。実際の(actual)最大コントラスト点の位置を決定するために用いられるのは、このオフセットと最大コントラスト点のZ軸位置との組み合わせである。カメラが自動焦点スイープでZ軸上を移動するとき、各色について最大コントラストが生じる位置は異なるが、オフセットが既知であるため、実際の最大コントラスト点の位置は、各色について算出することが出来る。
【0026】
図2はタイミング図であり、図3はフローチャートであり、両者で本発明に係る自動焦点システムの動作を説明している。
【0027】
このプロセスはブロック40からスタートし、ここでカメラは自動焦点スキャンパスの始点に移動する。次に、自動焦点モーション、好ましくは、Z軸に沿ったカメラの上方または下方への移動が、ブロック42で開始される。ブロック44でカメラが第一自動焦点取得位置に達すると、46でカウンタがチェックされ、すべての色が使用されたか否かを判断する。否であれば、プロセスは現在のカメラフレームのエンド信号を待ち(図2a参照)、ブロック50および図2cで光を第1の色に設定し、ブロック52および図2bで画像を取得する。そして、ブロック54で、その取得したばかりの画像からコントラスト値を算出する。その後、図2dと図2eに示すように、複数の色の各々についてこのプロセスを繰り返し、全色が使用されたら、ブロック56で比較を行い、最終取得位置に到達したか否かを判定する。否であれば、Z軸位置を移動し、ブロック46、48、50、52、54で説明したプロセスの一部を繰り返し、最終取得位置に達したら、ブロック58で各色の最大コントラスト位置を算出し、全色からの情報を合わせて、ブロック60で最終焦点高さを決定する。
【0028】
各色LEDは図2c、2d、2eで示すように、強度勾配を決定するためにカメラが図2bで示すように所要の電荷を集めるのに十分な時間、作動する。3色、たとえば赤、緑、青を用いるのが好ましいが、2色だけの照明器を用いてもよく、周知の自動焦点装置よりも改良されたものになる。
【0029】
図4に示すように、各色は、Z軸上の異なる絶対位置90、92、94にコントラストピークを有する標準化した出力曲線70、72、74を生成する。図4は赤色70、緑色72、青色74の各照明光源のピークを示し、参照として、白色照明光源76によって生成された、やや幅広のピークも共に示す。本発明に従って複数の単色光源を用いることにより、各色の最大コントラスト点を求める精度を相当高められることが理解されるであろう。
【0030】
図5は、単一の軸において標準化しない、赤色70、緑色72、青色74の3色の生の焦点曲線を示す。これらの曲線は、本発明によって生成された、位置の相違および大きさの相違を示している。
【0031】
図4および図5に示すようなデータを用いて、色収差に起因した予想されるZオフセットを算出する。これらオフセットを、参照値、たとえば白色光の焦点位置を表すZ位置96に対して計算する。他の参照値として、たとえば、全ての光(赤、緑、青)が点灯している時に得られる焦点位置、またはいずれか1つの光の焦点位置を用いてもよい。何を参照値に用いるかは重要ではない。重要なのは、色収差によって引き起こされる相対的オフセットだけであるからだ。次に、これらの一度計算したオフセットを用いて、本明細書で述べる、改良された焦点位置を算出する。
【0032】
図5のような異なる波長の焦点曲線のデータは、特定の高さを参照位置96に関して照合するためのテンプレートとしても用いることが出来る。このデータを一度システムに集め、以下に述べる焦点位置の計算に用いてもよい。
【0033】
図6は図4と同じデータであるが、Z軸位置を、結像レンズの色収差について補正しており、これにより、異なる波長でのコントラストの相違に起因した、参照位置からのピークの実際の偏差のみが示されている。算出した最適焦点位置88を示す。
【0034】
本発明では、Z軸上の複数の不連続な点においてコントラスト情報を取得することを考えているが、Z軸の動きは連続的であっても、実質的に連続的であってもよく、カメラがZ軸上を移動して最大コントラスト位置を通過して越えるまで、データの新しいカメラフレームごとに照明器の色を変えてもよい。この方法は、比較的速くデータを提供する。
【0035】
あるいは、Z軸方向の動きを最大コントラスト位置の上または下を起点とする段階的動きとしてもよく、Z軸方向の動きの各段階において全色が用いられるように、照明器の色を変えてもよい。移動は、カメラが最大コントラスト位置を通過し、越えるまで続ける。この方法もまた、比較的速くデータを提供する。
【0036】
Z軸方向の動きをZ軸に沿った一連の連続スイープとし、表面上の同一の対象領域でフォーカシングするようにしてもよい。各スイープで異なる色の照明が用いられる。この方法は上述の方法よりも実施が容易である。なぜなら、照明の変更とカメラフレームの取得とのタイミングを合わせる必要がなく、各色の光は、スイープ中は単に点灯したままにしておけばよいからである。しかし、この方法では幾分時間がかかる。
【0037】
本発明の別の実施例によれば、データプロセッサは、少なくとも2つの波長についての波長依存部分(wavelength dependant portion)と位置依存部分(position dependant portion)に基づいて、合成または算出したZ軸高さまたは位置を求め、波長の1つについての出力信号の強度が所定の大きさに満たなければ、あらゆる出力信号を無視する。合成位置は、3つの波長で生成されたデータの平均、加重平均、その他の合成で得られる。
【0038】
本発明のさらに別の態様によれば、少なくとも3色の光を生成する照明光源が、十分な色収差を有する対物レンズと共に提供され、これにより、3色の光の最大コントラスト位置が、レンズシステムの色収差によって互いに偏位するようになっている。この場合、光学系の被写界深度(depth of field)を適切に選択すれば、画像取得中にカメラまたは対象物を動かすことなく、最大コントラスト位置、ひいては適切な焦点位置を得ることが出来る。本発明の更なる実施例によれば、データプロセッサが、少なくとも2つの波長についての波長依存部分と位置依存部分に基づいて平均高さを求め、コントラストが所定の大きさよりも小さい場合は、いかなる出力信号も無視する。
【0039】
最後に、既述の実施例の変形例によれば、Z軸位置は静止とし、照明の色を変えて、各色について、表面上の対象領域の異なる部位が、異なるZ高さにおいて最適焦点(best focus)となるようにしてもよい。このZ高さは、光学系の設計によって決定される。固定位置における3色のコントラストの測定値を図7に102(赤)、104(緑)、106(青)で示す。図8はこれらの同じコントラスト測定値を、図5で既に示したコントラスト曲線と共に示す。Z位置112は、上記コントラスト測定を行った1つのZ位置を表す。焦点曲線70、72、74は図5に見られる名目焦点データを表わす。図9は、コントラスト値102、104、106を名目焦点曲線70、72、74に重ねるためにベストフィットを行った後の、焦点曲線の変位を示す。オフセット距離118は、画像が取得された位置から最適焦点位置が見出された位置までのZ軸上の変位である。したがって、1つの固定位置が最大コントラスト位置に十分近い限り、実際の最大コントラスト位置を、速やかに、カメラを動かすことなく、求めることが出来る。
【0040】
相対的な高さおよび色の順番は、恣意的に示したものであることに留意されたい。異なる色の最適焦点位置の実際の変位は光学系の設計に依存し、必ずしも波長の相対的序列通りになるわけではない。
【0041】
本方法によれば、カラーカメラを用いことにより、複数の色源を同時に作動させることができ、1つのフレームから各色についての最大コントラスト位置を別々に求めることが出来る。
【0042】
上記の実施例を参照しながら本発明を説明してきたが、同じ目的を達成するために他の実施例を用いてもよいことは明白である。したがって、本発明の範囲は上述の実施例に限定されず、焦点距離または表面の高さを求めることが必須とされる他の用途にも適用できる。
【0043】
特許請求の範囲を含む本明細書中で「備えている/備えた」という用語を用いるときは、述べられた特徴、完成体、工程または構成要素の存在を明確に述べるものであるが、その他の特徴、完成体、工程または構成要素またはその集合体の存在または付加を排除するものではないことに留意されたい。また、請求項の要素の前に「a」や「an」が付されている場合、その要素が複数存在することを排除するものではないことにも留意されたい。さらに、参照番号が特許請求の範囲を限定することは一切なく、発明はハードウエアとソフトウエアの両方によって実施してもよく、複数の「手段」が同一のハードウエアの構成要素で体現されていてもよい。ここで用いられる「色」という用語は、視覚的に感知可能な色に限定されるものではない。さらに、本発明は、新規の各特徴および新規の各特徴の組み合わせの中に存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動焦点装置であって、
少なくとも2つの、選択的に作動される、実質的に単色の出力波長を有し、対象物を照らすようになされた制御可能な光源と、
上記対象物の一部分から反射される上記光源からの光を受け取り、上記受け取った光に反応して出力信号を生成するカメラと、
上記カメラと上記制御可能な光源に接続され、上記カメラを上記対象物に対して第一位置に位置付けて、上記対象物を少なくとも2つの選択的に作動される実質的に単色の出力波長で順次に照らし、上記対象物に対する上記カメラの位置を第二位置に変えて、上記対象物を少なくとも2つの選択的に作動される実質的に単色の出力波長で順次に照らすコントローラと、
上記カメラに接続されて上記出力信号を受け取り、各位置について、各波長と関連した上記出力信号を比較し、この比較から焦点パラメータを求めるデータプロセッサとを備えたことを特徴とする装置。
【請求項2】
各出力信号が、当該位置における焦点パラメータの関数である勾配信号を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動焦点装置。
【請求項3】
上記焦点パラメータが高さパラメータであることを特徴とする請求項1に記載の自動焦点装置。
【請求項4】
各位置おける上記出力信号が、既知の波長依存部分と、位置依存部分を備えたことを特徴とする請求項2に記載の自動焦点装置。
【請求項5】
上記データプロセッサが、上記少なくとも2つの波長についての上記波長依存部分と上記位置依存部分に基づいて、平均高さを求めることを特徴とする請求項3に記載の自動焦点装置。
【請求項6】
上記データプロセッサが、上記少なくとも2つの波長についての上記波長依存部分と上記位置依存部分に基づいて、加重平均高さを求めることを特徴とする請求項3に記載の自動焦点装置。
【請求項7】
上記データプロセッサが、上記少なくとも2つの波長についての上記波長依存部分と上記位置依存部分に基づいて、平均高さを求め、上記少なくとも2つの波長について上記波長依存部分と上記位置依存部分との差が所定の大きさを越えた場合は、出力信号を無視することを特徴とする請求項4に記載の自動焦点装置。
【請求項8】
上記データプロセッサが、上記少なくとも2つの波長についての上記波長依存部分と上記位置依存部分に基づいて、平均高さを求め、コントラストが所定の大きさに達しない場合は、出力信号を無視することを特徴とする請求項1に記載の自動焦点装置。
【請求項9】
上記データプロセッサが、上記少なくとも2つの波長についての上記波長依存部分と上記位置依存部分に基づいて、平均高さを求め、上記波長のうちの1つについての出力信号の強度が所定の大きさに達しなかった場合は、出力信号を無視することを特徴とする請求項1に記載の自動焦点装置。
【請求項10】
対象物の表面の高さを求める方法であって、
上記対象物の上記表面を含む部分を、少なくとも2つの選択的に作動される実質的に単色の出力波長で順次照らす工程と、
上記対象物からの2つの異なる距離において、上記少なくとも2つの選択的に作動される実質的に単色の出力波長のそれぞれで、上記対象物から反射した光を検出する工程と、
各波長について、上記対象物からの2つの異なる距離において、ピーク間のZ距離を求める工程と、
上記少なくとも2つの出力波長についてのピーク間のZ距離の差から上記表面の高さを求める工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項11】
対象物に対する焦点距離を自動的に求める方法であって、
少なくとも2つの異なる光の波長を用いて、最大コントラスト距離を別々に求める工程と、
上記別々に求められた最大コントラスト距離から自動焦点距離を求める工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項12】
上記少なくとも2つの異なる光の波長を用いて、最大コントラスト距離を別々に求める工程が、上記対象物を第一の光の波長で照らす工程と、この第一の波長における最大コントラスト距離を求める工程と、上記対象物を第二の光の波長で照らす工程と、この第二の波長における最大コントラスト距離を求める工程とを備えたことを特徴とする、請求項11に記載の対象物に対する焦点距離を自動的に求める方法。
【請求項13】
少なくとも3つの異なる光の波長を用いて、最大コントラスト距離を別々に求める工程と、1つの最大コントラスト距離と他の2つの最大コントラスト距離との偏差が所定の最大偏差を超えている場合に、当該1つの最大コントラスト距離を捨てる工程を備えたことを特徴とする、請求項11に記載の対象物の焦点距離を自動的に求める方法。
【請求項14】
上記少なくとも2つの異なる波長を、2つの異なる焦点面において焦点合わせする工程を備えたことを特徴とする、請求項12に記載の対象物に対する焦点距離を自動的に求める方法。
【請求項15】
各波長についてコントラスト情報を取得する工程と、上記2つの異なる焦点面について上記の情報を補正する工程とを備えたことを特徴とする、請求項14に記載の対象物に対する焦点距離を自動的に求める方法。
【請求項16】
上記各波長について最大コントラスト距離を求める工程が、各波長についてのデータを収集する工程と、異なる波長について補償するために上記データを標準化する工程を含むことを特徴とする、請求項14に記載の対象物に対する焦点距離を自動的に求める方法。
【請求項17】
上記少なくとも2つの異なる光の波長を用いて最大コントラスト距離を別々に求める工程が、上記少なくとも2つの異なる光の波長のそれぞれについて、上記対象物からの複数のコントラスト距離でのコントラストデータを収集する工程を含むことを特徴とする、請求項11に記載の対象物に対する焦点距離を自動的に求める方法。
【請求項18】
上記収集する工程が、第一距離に移動する工程と、この第一距離において異なる波長のすべてについてデータを収集する工程と、第二距離に移動する工程と、この第二距離において異なる波長のすべてについて上記データ収集を繰り返す工程、とを備えたことを特徴とする、請求項17に記載の対象物の焦点距離を自動的に求める方法。
【請求項19】
下記の構成を備えたことを特徴とする距離測定装置。
少なくとも2つの出力波長を有し、対象物を照らすようにされた制御可能な多色光源。
上記対象物の一部分から反射される上記光源からの光を受け取り、上記受け取った光に反応して、上記少なくとも2つの波長について別々の出力信号を生成するカメラ。
コントローラ。このコントローラは、上記カメラと、上記制御可能な光源に接続され、上記対象物を上記少なくとも2つの出力波長で照らし、上記カメラから上記少なくとも2つの波長のそれぞれについて別々の出力信号を取得する。上記出力信号は既知の色収差の影響を受ける。
上記カメラに接続され、上記出力信号を受け取り、各波長と関連した上記出力信号を比較し、上記比較から距離パラメータを求めるデータプロセッサ。
【請求項20】
上記距離パラメータを求める工程が、上記出力信号を既知の焦点距離関係に適合させる工程を備えたことを特徴とする、請求項19に記載の距離測定装置。
【請求項21】
上記出力信号がコントラスト信号であることを特徴とする、請求項19に記載の距離測定装置。
【請求項22】
上記制御可能な多色光源が少なくとも3つの出力波長を有することを特徴とする、請求項19に記載の距離測定装置。
【請求項23】
上記光源が上記少なくとも2つの波長を同時に放射し、上記カメラがカラーカメラであることを特徴とする、請求項19に記載の距離測定装置。
【請求項24】
次の特徴を備えた自動焦点装置。
少なくとも3つの、選択的に作動される、実質的に単色の出力波長を有し、対象物を照らすようにされた制御可能な光源。
カメラ。このカメラは、上記対象物の一部分から反射される上記光源からの光を受け取り、受け取った光に反応して出力信号を生成する。このカメラに含まれる対物系は、上記少なくとも3つの選択的に作動される実質的に単色の光源からの光が、軸上の互いに離間した3点において焦点を結ぶのに十分な色収差を有している。
コントローラ。このコントローラは、上記カメラと上記制御可能な光源に接続され、上記カメラを上記対象物に対する第一位置に位置付け、続いて上記対象物を上記少なくとも3つの選択的に作動される実質的に単色の出力波長のそれぞれで照らし、各波長にそれぞれ対応する3つの出力信号を生成する。各出力信号は、上記3つの波長についての上記3つの点からの、最大コントラスト点のZ軸上の変位を表す。
データプロセッサ。このデータプロセッサは、上記カメラに接続され、上記出力信号を受け取り、各位置について各波長と関連した上記出力信号を比較し、上記比較から焦点パラメータを求める。
【請求項25】
マシンビジョンシステムにおいて対象物に対する焦点位置を求めるための装置であって、下記の構成を備えた装置。
カメラ。このカメラは、少なくとも2つの波長において既知の色収差により特徴付けられる結像光学系を有し、上記対象物から既知の距離に配置されている。
上記2つの波長で実質的に単色の照明を生成する照明光源。
コントローラ。このコントローラは、上記2つの波長のそれぞれで、上記照明光源からの光により対象物を選択的に別々に照明する。
検出器。この検出器は、上記カメラに関連し、上記対象物から反射し上記結像光学系を通過する上記2つの波長の光への応答性を有し、上記別々の照明に応答して第一、第二コントラスト信号を生成する。
プロセッサ。このプロセッサは、上記第一、第二コントラスト信号に応答して、上記第一、第二コントラスト信号を、相対位置とコントラストとの間の所定の関係と比較し、その比較を既知の位置に適用することによって、実際の最大コントラスト位置を決定する。
【請求項26】
上記プロセッサが、上記第一、第二出力信号を調整して、上記結像光学系の上記色収差を補償することを特徴とする、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
上記照明光源が、少なくとも3つの波長で実質的に単色の照明を生成することを特徴とする、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
マシンビジョンシステムにおいて対象物の位置を求めるための装置であって、次の構成を備えたことを特徴とする装置。
カメラ。このカメラは、少なくとも2つの波長において既知の色収差により特徴付けられる結像光学系を有し、上記対象物から既知の距離に配置されている。
上記2つの波長で実質的に単色の照明を生成する照明光源と、
コントローラ。このコントローラは、上記2つの波長のそれぞれで、上記照明光源からの光により対象物を選択的に別々に照明する。
検出器。この検出器は、上記カメラに関連し、上記対象物から反射し上記結像光学系を通過する上記2つの波長の光への応答性を有し、上記別々の照明に応答して第一、第二コントラスト信号を生成する。
プロセッサ。このプロセッサは、上記第一、第二コントラスト信号に応答して、上記第一、第二コントラスト信号を、相対位置とコントラストとの間の所定の関係と比較し、その比較を既知の位置に適用することによって、上記対象物の実際の位置を求める。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2010−532018(P2010−532018A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515163(P2010−515163)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/068483
【国際公開番号】WO2009/006256
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(505377430)クオリティー ヴィジョン インターナショナル インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】Quality Vision International, Inc.
【Fターム(参考)】