説明

多血小板血漿の再抗凝固処理のためのシステム及び方法

血液アフェレーシスシステムにおける多血小板血漿の再凝固のための方法は、一定量の抗凝固剤がPRPコンテナへと移されるような抗凝固剤を伴う血液アフェレーシスシステムの準備を含む。方法はその後にPRPコンテナ中の抗凝固剤を赤血球コンテナへと移す事、そしてPRPコンテナ中の一定量の多血小板血漿を回収する事を含んでもよい。多血小板血漿は複数のサイクルで回収されてもよい。回収サイクルの間、方法は赤血球コンテナよりPRPコンテナへと一定量の抗凝固剤を移してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2009年3月12日に出願された「多血小板血漿の再抗凝固処理のためのシステム及び方法」と題される、代理人整理番号が1611/A56であり、そしてエティエンヌ・ペイジとマイケル・ラグーサとを発明者の名称とする米国特許出願番号12/402,565の優先権を主張し、参照によりその開示をすべてここに組み入れる。
【0002】
本発明は血小板回収のためのシステム及び方法に関し、特に多血小板血漿の再抗凝固処理のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アフェレーシスは、対象物より一時的に採血される全血より個々の血液成分が分離され、そして回収される方法である。典型的に全血は、対象物の腕の静脈に挿入されたニードルを通じて採血され、遠心ボウルのような細胞分離機へと入れられる。一旦、全血がそのさまざまな成分へと分離されると、1つもしくはそれ以上の成分が遠心ボウルより採り出される。残りの成分は、採り出された成分を補うための任意選択による補償の液体と共に対象物へと返される。採血と返血のプロセスは、所望の成分の量が回収されるまで続き、その量においてプロセスは止まる。アフェレーシスシステムの主要な特徴は、処理されるが望まれない成分がドナーへと返される事である。分離された血液成分は、例えば赤血球のような高密度の成分、血小板もしくは白血球のような中間の密度の成分、そして、血漿のような低密度の成分を含み得る。
【0004】
アフェレーシスによって得られる様々な血液成分製剤の中で、血小板製剤への要求は急速に増加している。これは特に、癌治療における進歩に伴って、造血機能の衰えた患者へとより多くの血小板を投与する必要があるためである。血小板は、骨髄にある巨核球と呼ばれる大きい細胞の断片であり、凝固作用を行う事によって主に止血に寄与する。血小板はまた、組織治癒においても役割を果たす。成人における通常の血小板の数は150,000〜400,000個/mmである。20,000個/mm以下の血小板の数は自然出血のようなさまざまな問題を引き起こす。
【0005】
血小板は4〜6日の半減期を持ち、ドナーの数は限られている。それゆえ、血漿を減少させた血小板製剤を製造することにおいて、ドナーによって提供される全血より、最大限の収量をもって要求される量で血小板を得ることは重要である。さらに、血漿を減少させた血小板製剤の白血球による混入は、GVH反応のような重篤な医学的合併症を引き起こす可能性があることが知られている。それゆえ、血小板を効率よく回収するとともに、白血球による混入を可能な限り低いレベルに保つ事もまた非常に重要である。
【0006】
そのために、様々な技術が開発されてきた。例えば、「サージ」を用いる技術であって、全血が回収され、そして遠心機の中でより高密度、中間の密度およびより低い密度の成分へと同心円状に分離され、血漿が回収された(いわゆる「採り出し」ステップ)後に、血漿がサージフロー速度、すなわち経時的に増加するフロー速度における遠心によって提供される。サージを行う事によって、血小板は主に血小板と白血球の混合物を含有するバフィーコートとして存在する中間の密度の成分から好ましく追い出される。それゆえに血漿を減少させた血小板製剤を、増大した収量において産生できる。
【0007】
サージ技術を用いる代わりに、血小板層が押し出されるまで抗凝固処理された全血がボウルへと導入される層「押し出し」手段によって血小板層を遠心機より抽出できる。また、サージおよび押し出し方法の併用によっても血小板層を抽出できる。所望の成分もしくは複数の成分を得たのち、大部分が赤血球を含有する残余の血液成分がドナーへと返される(いわゆる「返血」ステップ)。
【0008】
典型的に、450ml〜500mlの全血が上述の連続するステップを含有する1回のサイクルで処理される。この量はヒトの血液の全量の15%もしくはそれより少ない量に基づき、そしてもしこの量より多くの量が生体より1度に採られる場合、ドナーは血圧低下もしくは目まいに苦しむであろう。サージ技術を用いる時、分離される血小板製剤の濃度は、0.8×10個/μlから2.6×10個/μl(典型的には1.5×10個/μl)の範囲であり、中程度の白血球の濃度を含む。押し出される血小板製剤濃度はより高くなる傾向にあるが、より多い白血球及び赤血球の残留混入が生じる。
【0009】
この生じる血小板の濃度は、生じる病原体不活化方法との適合性においてしばしば低すぎる。さらに、1つから2つの追加の血漿ユニットの同時の血漿収集は、血小板製剤によって捕らえられる血漿の比較的高い容量によって妨げられる。この血小板製剤における比較的高い血漿タンパク含量はまた、受容者の寛容の観点からより望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
血液アフェレーシスシステムのような血液処理システムは、システム中における血液および血液成分の凝集および凝固を防ぐためにACD−Aのようなクエン酸の抗凝固剤を添加する。典型的には抗凝固剤はドナーより採血される全血と混合される。システムへと導入される抗凝固剤の大部分はドナーへと返却されるため、抗凝固剤対全血の比率は特定の閾値以下に保つべきである。もし多すぎる抗凝固剤がドナーへと返却される時、ドナーはクエン酸反応のような副作用を経験する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施態様によると、血液アフェレーシスシステムにおける多血小板血漿の再凝固のための方法は、第一の回収コンテナ中に多血小板血漿の一定量を回収するステップと、多血小板血漿が回収される時に第一の回収コンテナ中に抗凝固剤を添加するステップとを含有する。多血小板血漿の一定量は複数のサイクルによって回収され、そして抗凝固剤はそれぞれのサイクルの間に第一の回収コンテナへと添加されるであろう。方法は抗凝固剤の一定量が第一の回収コンテナへと移されるような抗凝固処理を伴う血液アフェレーシスシステムの準備をもまた含む。方法は第一の回収コンテナ中の抗凝固剤を第二の回収コンテナへと移しても良い。
【0012】
他の実施態様によると、血液アフェレーシスシステムにおける多血小板血漿の再抗凝固処理のための方法は、ドナーより全血を採血するステップと、全血へと抗凝固剤を導入するステップと、抗凝固処理をした全血を複数の血液成分(多血小板血漿を含む)に分離するステップと、そして回収コンテナに多血小板血漿を回収するステップとを含む。方法はまた、多血小板血漿が回収される時に抗凝固剤を回収コンテナに添加しても良い。一定量の多血小板血漿が複数のサイクルにおいて回収され、抗凝固剤はそれぞれのサイクル中に回収コンテナへと添加され得る。方法は、一定量の抗凝固剤が回収コンテナへと移されるような抗凝固処理を伴う血液アフェレーシスシステムを準備するステップを含む。方法は回収コンテナバッグ内の抗凝固剤を第二のコンテナに移しても良い。
【0013】
本発明のさらなる実施態様によると、血液アフェレーシスシステムにおける多血小板血漿の再抗凝固処理のための方法は、一定量の抗凝固剤がPRP回収コンテナへと移されるような抗凝固処理を伴う血液アフェレーシスシステムを準備するステップ、およびPRP回収コンテナ中の抗凝固剤を第二のコンテナへと移すステップを含む。その後方法は、多くのサイクルにおいてPRP回収コンテナに一定量の多血小板血漿を回収する。多血小板血漿回収プロセスのサイクル間において、方法は第二のコンテナよりPRP回収コンテナへと一定の抗凝固剤を移す。PRP回収コンテナへと移される抗凝固剤の量は進行するサイクルにおける多血小板血漿の量に比例してもよい。PRP回収コンテナへと移される抗凝固剤の量は多血小板血漿の目標容量に比例してもよく、それはそれぞれのサイクルにおいて回収される容量の合計である。
【0014】
他の実施態様によると、準備プロセスは抗凝固剤ラインおよび抗凝固剤を伴うドナーラインフィルターの準備を含む。方法はドナーラインフィルター中の抗凝固剤を第二のコンテナへと移しても良い(例えば、第一の多血小板血漿回収サイクルの開始時において)か、または方法はそれを抗凝固剤源へと返却しても良い。
【0015】
多血小板血漿回収サイクルのそれぞれは、ドナーより全血を採血するステップ、ドナーよりの全血へと抗凝固剤を導入するステップ、そして抗凝固処理された全血を分離チャンバへと導入するステップを含んでもよい。分離チャンバは、抗凝固処理された全血を、多血小板血漿を含むいくつかの血液成分へと分離できる。方法は分離チャンバからPRP回収コンテナへと多血小板血漿を抽出しても良い。方法はまた、再導入された多血小板血漿を血漿と血漿を減少させた血小板製剤とに分離する分離チャンバへと、回収した多血小板血漿を再導入しても良い。採血の際に全血へと導入される抗凝固剤の量は、PRP回収コンテナ中の抗凝固剤の容量に比例して減少できる。
【0016】
本発明の他の実施態様によると、血液アフェレーシスシステムにおける多血小板血漿の再抗凝固処理のための方法は、回収された多血小板血漿を貯蔵するためのPRPコンテナ、および赤血球を貯蔵するための赤血球コンテナを含んでもよい。システムはまた、抗凝固剤の一定量がPRPコンテナへと移されるような抗凝固処理を伴うシステムの準備のための手段、およびPRPコンテナ中の抗凝固剤を赤血球コンテナへと移すための手段をもまた含んでも良い。さらに、システムはまた、PRPコンテナ中の一定量の多血小板血漿を回収鎖売るための手段、およびそれぞれのサイクル間に、赤血球コンテナよりPRPコンテナへと抗凝固剤の容量の一部もしくはすべてを移すための手段を含んでも良い。PRPコンテナへと移される抗凝固剤の容量は進行するサイクル中に回収される多血小板血漿の量に比例しても良い。PRPコンテナへと移される抗凝固剤の全量は、複数のサイクルのそれぞれにおいて回収される容量の合計である多血小板血漿の目標容量に比例しても良い。
【0017】
システムはまた、抗凝固剤ラインおよび抗凝固剤を含むドナーラインフィルターを準備してもよい。システムはドナーラインフィルター中の抗凝固剤を赤血球コンテナへと移してもよいか、またはシステムはドナーラインフィルター中の抗凝固剤を抗凝固剤源へと返却してもよい。抗凝固剤を移すための手段は複数のサイクルの1番目の開始の際に、ドナーラインフィルター中の抗凝固剤を赤血球コンテナへと移してもよい。
【0018】
なおもさらなる実施態様によると、システムはまた、ドナーより全血を採血するための手段、ドナーより採血される全血へと抗凝固剤を導入する手段、および抗凝固処理された全血を分離チャンバへと導入する手段を含んでもよい。分離チャンバは、抗凝固処理された全血を多血小板血漿を含む様々な血液成分へと分離する事ができる。システムは分離チャンバからPRPコンテナへと多血小板血漿を抽出することが出来る。システムはまた、再導入された多血小板血漿を、血漿と血漿を減少させた血小板とにさらに分離する事ができる分離チャンバへと回収された多血小板血漿を再導入する手段を有してもよい。システムはまた、分離チャンバから血小板コンテナへと血漿を減少させた血小板を抽出するための手段を有していてもよい。採血の際に全血へと導入された抗凝固剤の量はPRPコンテナ中の抗凝固剤の量に比例して減少できる。
【0019】
本発明のさらなる実施態様によると、血液アフェレーシスシステムにおける多血小板血漿の再抗凝固処理のための方法は、一定量の抗凝固剤がPRPコンテナへと移されるような抗凝固剤を伴う血液アフェレーシスシステムの準備ステップと、いくつかのサイクルにおいてPRPコンテナ中の多血小板血漿の目標容量を回収するステップとを含む。抗凝固剤の容量は多血小板血漿の目標容量に比例してもよい。目標容量は複数のサイクルのそれぞれにおいて回収される容量の合計であり得る。
【0020】
抗凝固剤を持つ血液アフェレーシスシステムの準備は、抗凝固剤ラインおよび抗凝固剤を伴うドナーラインフィルターの準備を含む。方法はドナーラインフィルターの抗凝固剤を赤血球コンテナへと移してもよい(例えば、第一のサイクルの開始時)か、またはそれを抗凝固剤源へと返却してもよい。サイクルのそれぞれは、ドナーから全血を採血するステップ、全血へと抗凝固剤を導入するステップ、そして抗凝固処理された全血を分離チャンバへと導入するステップを含んでよい。採血の際に全血へと導入される抗凝固剤の量は、PRPコンテナ中の抗凝固剤の量に比例して減少できる。
【0021】
分離チャンバは抗凝固処理された全血を多血小板血漿を含むいくつかの血液成分へと分離できる。方法は分離チャンバよりPRPコンテナへと多血小板血漿を抽出するステップを含んで良い。サイクルが完了し、目標の容量が回収されたのち、方法は、再導入された多血小板血漿を血漿と血小板を減少させた血漿製剤とにさらに分離する分離チャンバへとPRPコンテナより多血小板血漿を再導入するステップを含んで良い。方法は分離チャンバより血小板コンテナへと血漿を減少させた血小板を抽出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
上述の本発明の特徴は、添付する図への参照とともに以下の詳細な記述を参照する事により、より容易に理解されるであろう。
【図1】図1は本発明の一実施態様による、アフェレーシスマシンと共に用いるためのシステムの概要図である。
【図2】図2は本発明の一実施態様による、図1のマシンと共に用いるための遠心ボウルの側面図である。
【図3】図3は本発明の一実施態様による、多血小板血漿および血漿を減少させた血小板製剤を回収するための方法を描写するフローチャートである。
【図4】図4は本発明の一実施態様による、回収されたた多血小板血漿の再抗凝固処理のための方法を描写するフローチャートである。
【図5】図5は本発明の一実施態様による、回収された多血小板血漿の再行子処理のための代替的な方法を描写するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照すると、アフェレーシス装置10は、参照によりここに組み入れられる米国特許第3,145,713号に記載されるような抗凝固処理された全血をその構成成分へと分離するための標準的なレーサム(Latham)型の遠心機11のような血液成分分離器を用いる。限定する事なく、例えば参照によりここに組み入れる米国特許第4,983,156号、米国特許第4,923,273号に記載されるような一体型ブロー成形された遠心ボウルのような他の型の分離チャンバおよび装置も用いてもよい。遠心機11は、回転ボウル12、ならびに、典型的にロータリーシール74によってボウル内部へと密接に結合された定常流入口および定常流出口PT1およびPT2を含む(図2を参照)。バルブV1が開口しているとき、遠心機11の流入口PT1は、特に血液フィルターF1、チューブ28およびYコネクター30を通じて静脈アクセス装置24(例えば瀉血ニードル)へと流体接続されている。静脈アクセス装置24は、全血が最初に集められ、そして提供される場合には全血バッグ(図示されていない)と交換されても良い。装置10のすべてのチューブがそうであるようにチューブ28は血液と適合する。遠心機11の流出口PT2はいくつかの回収コンテナへと選択的に接続される。例えば、遠心機11はチューブ36、バルブV2およびチューブ37によって多血小板血漿へと選択的に接続される。流出口PT2はチューブ36、バルブV3およびチューブ39を通じて血小板コンテナ20へと選択的に接続される。さらに、血漿コンテナ22はまた、チューブ36、バルブV4およびチューブ35を通じて流出口PT2へと選択的に接続されていても良い。上述のコンテナ(例えば血小板コンテナ20、血漿コンテナ22およびPRPコンテナ18)の任意のものは、それぞれのコンテナ中の液体の量を測定するのを助けるために重量計によって吊り下げられていても良い。
【0024】
抗凝固剤を貯蔵するためのバッグもしくはコンテナ(図示されていない)は、バクテリアフィルターF2、チューブ32およびYコネクタ30を通じて静脈アクセス装置/瀉血ニードル24へと流体接続されていても良い。バクテリアフィルターF2は抗凝固剤(ACD)コンテナ中のすべてのバクテリアがシステムに侵入するのを防ぐ。コンテナ18、20、22および23は、好ましくは血液適合性材料により作製されるプラスチックバッグである。プラスチックポンプP1、P2およびP3は、バルブV1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8およびV9と共に、液体の存在もしくは非存在を検出するラインセンサ14、ドナー圧モニタ(DPM)M1、システム圧モニタ(SPM)M2ならびに空気検出器D1、D2およびD3によって生じるシグナルに反応して装置10を通る流れの方向および時間を制御する。圧モニタM1およびM2は装置10内の圧レベルを監視する。ラインセンサ14は光学センサであり、流出口PT2からラインセンサ14を通過する血液成分の存在を検出する。
【0025】
以下において、図4および5を参照してより詳細に記載されるように、第一の操作において、ポンプP1およびP3は、抗凝固剤を伴う装置10のチューブ28を準備するために稼動される。抗凝固剤は、空気検出器D1へと到達する前にフィルターF2を通過する。空気検出器D1は、D1における抗凝固剤の存在を検出し、そして、抗凝固剤準備操作を終了させるか、進めるか、もしくは変化させる。準備の後、静脈アクセス装置24はドナーへと挿入され、そして採血ステップ開始する準備ができる。
【0026】
図3は、本発明の一実施態様による対象物より血液成分(例えば血小板)を回収するための方法を描写するフローチャートである。採血ステップ310において、全血は対象物より典型的には約80ml/分の速度で採血され、そしてポンプP1およびP3を用いて抗凝固剤と混合される(遡って図1を参照)(ステップ320)。ポンプP3は抗凝固剤を導入して対象物より採血された(もしくは貯蔵されたバッグからの)全血と抗凝固剤とを混合する。この時にバルブV1は開放しており、抗凝固処理された全血が流入口PT1を通じて分離装置12へとポンプにより導入される前に、チューブ28および血液フィルターF1を通過するのを可能にする。
【0027】
図3のステップ330で、抗凝固処理される全血が、フィードチューブ(図示されない)を通じて分離装置12の底部へと導入される。抗凝固剤対全血の比率は典型的には約1:10である。しかしながら以下により詳細に記載されるように、この比率は、用いられる準備手順に基づいて調整できる。アフェレーシス装置中のそれぞれのポンプおよびバルブの操作は、例えばマイクロプロセッサであってよいコントローラ(図示されない)のコントロールのもとにおける望ましいプロトコールによって実行される。
【0028】
上述および図2に示されるように、遠心機11は固定された流入口PT1および固定された流出口PT2を持つ。ロータリーシール74は、分離された区画を回収するために、定常流入口PT1をボウル12のより低い位置の内部部分へと流体接続し、そして流出口PT2をボウルのより高い位置の内部部分へと流体接続する。コア72はボウル12の内部と同軸の空間を占め、そしてコア72と外部ボウル壁70との間の分離領域を提供する。
【0029】
ボウル12が回転する時、遠心力がボウルの底部に導入される抗凝固処理された全血を、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板(例えば多血小板血漿すなわち”PRP”)および血漿へと分離する。ボウル12の回転数は、例えば、4,000から6,000rpmの範囲で選択でき、そして典型的には4,800rpmである。血液は成分の密度によって異なる区画に分離される。より高密度の成分、すなわちRBC60は、ボウル12の外部壁70へと押し付けられるのに対し、より低密度の血漿66はコア72のより近くに位置する。バフィーコート61は血漿66とRBC60の間に形成される。バフィーコート61は血小板/PRPの内部層64、血小板の転移層68ならびにWBCおよびWBCの外部層62より形成される。血漿66は分離領域からの流出口にもっとも近い成分であり、追加の抗凝固処理された全血が流入口PT1を通じてボウル12へと入るときに流出口PT2を通じてボウル12から出てくる最初の液体成分である。
【0030】
図1に戻り、出てきた血漿はラインセンサ14、チューブ36および4ウェイコネクタ26、そしてバルブV4(開口位置)を通過し、そして血漿コンテナ22へと入る。血漿コンテナ22へと入る血漿は、血漿コンテナ22のより低いポートPT4からチューブ42、バルブV5(開口位置)、コネクタ92およびチューブ40を通じてポンプP2によって取り出され、コネクタ91およびライン41を通じて流入口PT1を通ってボウル12へと再循環される。再循環された血漿はボウル12へと入る抗凝固処理された全血を希釈し、血液成分がより容易に分離するようにする。光学センサ21は、血液成分のそれぞれの層が徐々にそして同軸上にボウル12の外部壁70からコア72へと進む時に監視するためにボウル12の肩の部分へと適用される。光学センサ21はバフィーコートが特定の半径に到達するのを検出する位置に設置されていてよく、そしてドナーから全血を採血するステップ(ステップ310)およびボウルへと全血を導入するステップ(ステップ330)は、その検出に反応して終了できる。
【0031】
ボウル12によって処理される全血の量は、参照によりここに組み入れられる、「血液製剤を製造するためのアフェレーシス装置および方法」と題されるSakotaらへ2004年6月1日に特許された米国特許第7,743,192号に記載されるように、ヘマトクリット値、血小板の数、血液の全量もしくは全血の全量のような全血と関連した少なくとも一つの性質に対応して変化し得る。上述のように、この可変制御はマイクロプロセッサの制御下において実施できる。代替的にそれらのそれぞれは手動で実施され得る。
【0032】
図3のステップ340にて、血小板(例えば、多血小板血漿、すなわち「PRP」)はボウル12からPRPコンテナ18へと抽出される。ボウルからの多血小板血漿(「PRP」)の抽出において、非限定的な例としてドゥエル(dwell)、サージ(surge)および/もしくは押し出し(push)方法のような様々な方法が使用できる。例示のために、ここでは、ドゥエルおよびサージ方法に基づいたPRP抽出が詳細に記載される。
【0033】
図3のステップ330で、抗凝固処理された全血が遠心機11へと導入された後、バルブV1が閉められ、そしてポンプP1が止められ、それにより血液がもはやドナーより採血されず、そしてドゥエルが開始される。ドゥエルの間、ポンプP2は血漿66をボウル12を通じて中庸の速度(例えば図4で約100ml/分)で約20から30秒間再循環させる。この流速においてバフィーコート61は血漿によって希釈されて広がるが、血小板/PRPはボウル12から離れない。バフィーコートの希釈はより重い白血球がバフィーコートのより外側に沈殿するようにし、より軽い血小板/PRPとより重い白血球層62との間のより良い分離をもたらす。結果として、転移層68が減少する。ドゥエルの終了はボウル12の流れのパターンが安定化するようにし、微細気泡がボウル12から離れて排除されるためにより長い時間をもたらす。
【0034】
ドゥエルの後、サージステップが開始される。サージの間、ポンプP2の速度は血漿を再循環させるために5〜10ml/分の増分で約200〜250ml/分の血小板/PRPサージ速度に到達するまで増大する。血小板/PRPサージ速度は、血小板/PRPがボウル12を離れる事が出来るが、赤血球もしくは白血球が離れることのできない速度である。ボウル12に存在する血漿は血小板/PRPで濁り、そしてラインセンサ14はこの濁りを検出する。ラインセンサ14は、ボウル12を離れる血液成分を通る光を発するLEDと成分を通過した光を受容する光検出器とからなる。光検出器によって受容された光量は、ラインを通過する液体の濃度と相関する。
【0035】
血小板/PRPが最初にボウル12を離れるとき、ラインセンサの出力は減少し始める。バルブV2が開栓され、そしてバルブV4が閉栓され、血小板/PRPがコンテナ18に回収される。一旦血小板/PRPの大部分がボウル12から取り出されると、ボウルに存在する液体はより濁りが少なくなる。ラインセンサ14がこの濁りの減少を検出すとすぐにバルブV2が閉栓される。
【0036】
血小板/PRPが回収されたのち、返血ステップ35(図3を参照)が開始される。ステップ350の間、ボウル12の回転は停止し、バルブV1が開栓されて静脈アクセス装置24を通じてポンプP1の逆回転によって、ボウル12中の残余の血液成分がドナーへと返される。バルブV4はまた、返血ステップの間に空気が遠心ボウルへと入るのを可能にするように開栓される。コンテナ22からの血漿はボウル12中に残される血液成分を希釈する。換言すると、ポンプP2は、バルブV4が開栓されて血漿とボウル12中に残る成分とを混合し、それによって残される赤血球成分を血漿によって希釈し、そして返血される時間が早くなるようにする。ボウルに残される血液成分がドナーに戻される時、返血ステップ350は終了する。
【0037】
ドナーから全血を採血するステップであるステップ310は、抗凝固剤を全血に導入するステップであるステップ320、全血を分離チャンバに導入するステップであるステップ330、血小板/PRPを分離チャンバからコンテナに抽出するステップであるステップ340、そして残余の成分をドナーへと返すステップであるステップ350は、血小板/PRPの目標容量がコンテナ18に分離されるステップ360になるまで繰り返される。典型的にはステップ310〜350は2回から4回繰り返され、1回のサイクルで約450〜500mlの全血が処理される。分離された血小板/PRPの濃度は、典型的には約1.5×10個/μlである。
【0038】
方法300は、図3のステップ370として、コンテナ18中の血小板/PRPをボウル12へと再導入しても良く、抗凝固処理された全血の1回だけのサイクルの処理によって得られるものよりも数倍大きい血小板/PRPの層を形成する。例えば、ある実施態様において、血小板/PRP層の容量は、1回のサイクルの平均的な容量に、血小板/PRP分離サイクルの数に1回足した数を掛けたものにおおよそ等しい。血小板/PRPはポンプP2によってチューブ43、バルブV7(開栓状態)、コネクタ93を通じてコンテナ18のポートPT5から取り出され、コネクタ91およびライン41を通じて流入口PT1によりボウル12へと注入される。血小板/PRPとボウル12との接触を最小化するために、ボウル12は、血小板の再導入に先んじてドナーより採血された抗凝固処理された全血によって部分的に満たされる。全血はボウル12の末梢において、ボウルの末梢と血小板/PRPとの間の緩衝として作用する細胞ベッドを形成し、血漿の凝集を減少させる。さらに、もしくは代替的に、血小板層をエルトリエーション(elutriation)半径へと持って行くために血小板/PRPの再導入の間に、または、血小板分離を完全にするために、および血小板抽出の条件を標準化するために血小板/PRP再導入の後に、抗凝固処理された全血が分離チャンバへと添加されてもよい。
【0039】
例えば、図3のステップ380で、サージもしくは押し出し方法を使用して、血漿を減少させた血小板製剤がいまやボウル12に存在する血小板の層より抽出される。血漿を減少させた血小板製剤はライン14、チューブ36、コネクタ26、コネクタ50およびバルブV3(開栓状態)を通じてコンテナ20に分離される。血小板製剤の濃度は典型的には2.6×10個/μlから5.2×10個/μlの範囲であり、これは抗凝固処理された全血が1回だけのサイクルにより処理された時に分離される血小板/PRPの2〜3倍である。
【0040】
PRPコンテナ18に回収されるPRPの再処理の間に分離チャンバへと再導入される血小板/PRPが凝集および/もしくは凝固する可能性があることは着目すべきである。凝固及び凝集を避けるために、分離チャンバ12中において再処理される前にさらなる抗凝固剤が血小板/PRPへと添加されても良い。しかしながら、上述されるように、過剰の抗凝固剤がドナーへと返されるとドナーが負の副作用を経験する可能性があるため、過剰の抗凝固剤が添加される事を避けるように注意しなければならない。従って本発明の実施態様は、システム10全般にわたって追加の抗凝固剤を添加するのを避けて、PRPに追加の抗凝固剤をもたらす上述の最初の準備ステップを利用する。図4および5はそのような方法の例示的な実施態様を示す。
【0041】
図4に示されるように、血液アフェレーシス方法400はステップ410である、アフェレーシスシステムの準備によって開始する。準備ステップの間、ポンプP1およびP3は、抗凝固剤がD2によって検出されるまで抗凝固剤ライン32とドナーライン28とを進める。ドナーライン28が抗凝固剤で満たされ、そして少量の抗凝固剤が、ライン28、バルブV1、ポンプP1、コネクタ93、ライン43およびバルブV7を通じてPRPコンテナ18へと移されるまで、システム10はシステムの準備を続ける。PRPコンテナ18へと移される抗凝固剤の量は、上述の方法を用いて回収されるPRPの予想される容量に比例しても良い(例えばPRPの目標容量に比例しても良い)。例えば、PRPコンテナ18中の抗凝固剤の容量は、PRPの目標容量の1/10であってよい(例えば、もしPRPの目標容量が300mlである時、30mlがPRPコンテナ18へと移される)。
【0042】
一旦システム10が抗凝固剤によって準備されると、抗凝固剤の所望の容量がPRPコンテナ18中にあり、図3を参照して上述されるように、システム10は血小板/PRPを回収し始める(ステップ420)(例えば、システム10は、図3に示される採血、分離および抽出サイクルを用いて血小板/PRPを回収しても良い)。血小板/PRPが分離チャンバ12より抽出されると、追加の抗凝固剤を含有するPRPコンテナ18へと入り抗凝固剤と混ざる。
【0043】
PRPコンテナ18中の抗凝固剤の最初の濃度は目標の最終濃度(例えば1:10)よりも高い事を理解すべきである。しかしながら、上述のようにPRPコンテナ18に添加される抗凝固剤の量はPRPの目標容量と比例してもよいため、システム10がそれぞれの後続のサイクルにおいて追加の血小板/PRPを回収するとき、抗凝固剤の濃度は最終の濃度に向けて減少して行く。プロセス400は血小板/PRPの目標容量が回収されるまで続いてよい(ステップ430)。
【0044】
図5は図4に示される準備プロセスの代替的な実施態様を示す。この実施態様において、追加の回収サイクルが完了するときに抗凝固剤がPRPコンテナ18へと測り入れられる。特に一旦システム10が抗凝固剤によって準備され、PRPコンテナ18が所望の量の抗凝固剤(例えば上述のような)を持つと(ステップ410)、システム10はPRPコンテナ18中の抗凝固剤をRBCコンテナ23へと移しても良い(ステップ510)。システム/方法500はPRPコンテナ18中の抗凝固剤をRBCコンテナ23へとポンプP1を用いて移しても良く、これは抗凝固剤をRBCコンテナ23へとバルブV7(開栓)、ライン43、コネクタ93、バルブV9(開栓)およびライン49を通じて移す。
【0045】
上述および図3に示されるように、システム10は血小板/PRPの回収を始めてもよい(ステップ420)。もし、抗凝固剤の準備がフィルターF1を抗凝固剤で満たして終了するとき、抗凝固剤をフィルターF1からRBCコンテナ23へと移すか、もしくは抗凝固剤源へと返す事によって、システム10は最初の採血サイクルを開始しても良い。以下により詳細に記載されるように、もし抗凝固剤がRBCコンテナへと移されるなら、抗凝固剤の正しい量を測定する時にはこの量が考慮されるべきである。本発明の実施態様によると、回収サイクルの間にRBCコンテナ23中の抗凝固剤の部分はPRPコンテナ18へと移されても良い(ステップ520)。例えば、最初のサイクルの血小板/PRPが回収された後、システム10は抗凝固剤の部分をPRPコンテナ18へと移してもよい。特に、RBCコンテナ23中の容量の部分がPRPバッグへとポンプP1およびポンプP2を用いて(例えば連続で)移される事によって採血サイクルは開始するであろう。もしポンプチューブセグメントが以前のサイクルからの血液を含有するとき、抗凝固剤をPRPコンテナ18へと移す前に、ポンプP1が血液を分離デバイス12へと移す。
【0046】
システム10が抗凝固剤の移動の終了に達するとき(ステップ520)、ポンプP1はドナーからの全血の採血を開始し、次の採血/回収サイクルを開始する。抗凝固剤の移動が完全でない可能性があるので、次の採血フェーズの開始は、抗凝固処理された全血がボウルへと向かう前に抗凝固剤のPRPコンテナ18への移動を終了させるであろう。
【0047】
それぞれのサイクルの後にPRPコンテナ18へと添加される抗凝固剤の量は、先行するもしくは後続のサイクルの間に回収される血小板/PRPの量に比例してもよい。たとえば、もしPRPコンテナへと移される全量が30mlであり(例えば、回収されるPRPの目標容量との1:10の比率を達成するために)、そして血小板/PRPが5回のサイクルで回収される時、6mlの抗凝固剤がそれぞれのサイクルの後にPRPコンテナ18へと添加されてもよい。これによりシステムに血小板/PRPの凝集/凝固を避けるのに充分な抗凝固剤を提供でき、そして初期の抗凝固剤の高濃度を避けられる。プロセス500は血小板/PRPの目標容量が回収されるまで続く(ステップ430)。方法/システムがサイクル間に抗凝固剤を貯蔵するためにRBCコンテナ23を用いるが、抗凝固剤が完全にPRPコンテナ18へと移されると(例えば最後の回収サイクルの後)、RBCコンテナ23を予めろ過された赤血球を保存溶液に回収するために利用しても良い。
【0048】
バルブV1は、抗凝固剤をPRPコンテナ18からRBCコンテナ23へと移す間(例えば図5のステップ510)、閉栓されているので、有意な量の抗凝固剤がフィルターF1に残る(例えば最初の準備ステップで)可能性があることは着目すべきである。この抗凝固剤の一部もしくは全部は抗凝固剤源へと返されてもよいし、それはRBCコンテナ23へと移されてもよい。もし、抗凝固剤がRBCコンテナ23へと移されるとき、抗凝固剤の量は、システムの抗凝固剤の全量が測定されるときおよびPRPを再抗凝固するのに必要な抗凝固剤の量を決定するときには、考慮されるべきである(例えば、過剰の抗凝固剤がドナーへと返されない事を確かめるために)。もし、抗凝固剤が抗凝固剤源へと返されるときには、考慮する必要はない。
【0049】
上述の実施態様はPRPコンテナ18へボーラス移動する抗凝固剤を測定する(例えばPRPの回収の最初の準備の間もしくはPRPの回収のサイクル間)が、本発明の他の実施態様は、システム10がPRPを回収する時にPRPおよび/もしくはPRPコンテナ18へと抗凝固剤を連続的に測り入れても良い。換言すると、PRPがボウル12より抽出される時、本発明の実施態様は、全血が生体より採血されるときにシステム10が抗凝固剤を全血に添加するのと同じ方法によって抗凝固剤をPRPもしくはPRPコンテナ18へと導入する。
【0050】
ボウル12より抽出される時のPRPへの直接的な抗凝固剤の添加を促進するために、システム10はさらなるバルブ、ポンプおよびコネクタを備えていてもよい。例えば、ライン36はラインセンサ14とPRPコンテナ18との間に配置される追加のコンテナを備えてもよい。このコンテナは追加のラインを用いて抗凝固剤源とライン36とを接続するのに用いる事ができる。もし必要なら、追加のラインは抗凝固剤をPRPへと移す/導入するのを助けるために追加のポンプを備えていてもよい。そして抗凝固剤はライン36を通過してPRPへと導入され得る。
【0051】
上述のように他の実施態様は、PRPコンテナ18へと直接入るPRPのために抗凝固剤を計っても良い。このことを促進するために、システム10はライン43へと接続する追加のコネクタ、バルブ、ポンプおよびラインを備えていてもよい(例えばライン36を通過するPRPへと抗凝固剤を連続的に計りいれる実施態様のために上述されるのと同様の方法において)。この構成は抗凝固剤がPRPコンテナ18へとポートPT5を通じて添加されるようにする。
【0052】
上述の再抗凝固処理方法が血小板/PRPへ直接的に追加の抗凝固剤を添加するので、本発明の実施態様はシステム10の全般にわたって追加の抗凝固剤を追加する(例えばドナーより採血されるときに全血へと追加の抗凝固剤を添加することによって)必要がないことは着目すべきである。本発明の実施態様の同じ利点を達成するために、システム全般にわたって抗凝固剤を添加するシステムは、最終的に追加の153mlの抗凝固剤をドナーへと戻す。換言すると、血漿を減少させた血小板を得るために血小板/PRPの再処理に必要とされる追加の30mlを達成するために、本発明の実施態様と比較して抗凝固剤の比率を1:9から1:6.1へと増加する必要がある。従って上述の方法を使用する事によって、過剰の抗凝固剤を患者へ返却する危険性が大幅に減少させられる。
【0053】
サージエルトリエーション方法は、血小板/PRPもしくは血漿を減少させた血小板製剤を分離チャンバから抽出するために血漿以外の様々な液体を利用してよいことは着目すべきである(例えば食塩水が利用され得る)。
【0054】
さらに、一旦血小板および血漿を減少させた血小板製剤が回収されると、血小板添加剤/保存溶液が血小板を後の使用のために保存し貯蔵するために添加され得る。保存溶液は回収の後に血小板コンテナ20中の血漿を減少させた血小板へと添加されてもよいし、または血小板回収バッグ20および血漿を減少させた血小板製剤バッグ22に予め添加剤溶液を充填していてもよい。添加剤溶液の添加を促進するために、システム10は血小板添加剤貯蔵コンテナ(図示されていない)およびコネクタ46およびライン47を通じて血小板バッグ20を流体接続する血小板添加剤ライン45を含めて良い。システム中の他のラインおよびチューブと同様に、血小板添加剤ライン45は血小板添加剤ライン45の流れを可能にしたり妨げたりするバルブV6を含んでも良い。ある実施態様は血小板貯蔵バッグ70と血漿を減少させた血小板製剤バッグ20との間を流体接続するライン48を備えてもよい。このラインはバルブV8と、例えば白血球除去フィルターのようなフィルターF3とを含んでも良い。一旦添加剤溶液が添加されると、システム10は、血漿を減少させた血小板製剤を血小板貯蔵コンテナ70に貯蔵のために移してもよい。
【0055】
もし追加の血漿を減少させた血小板製剤が必要ならば、上述のそれぞれのステップ(例えば310−380、410−430)が、所望の量の血漿を減少させた血小板製剤が回収されるまで繰り返されても良い。さまざまな実施態様において、血漿を減少させた血小板製剤を予定される容量もしくは濃度となるように調節するために、血漿を減少させた血小板製剤へと血漿が添加されてもよい。
【0056】
アフェレーシス装置のある実施態様が、上述の部分的もしくはすべての要素に加えて専用の返血ラインおよび専用の採血ラインを持つ3ラインのシステムであり得ることは着目すべきである。そのような実施態様に置いて、返血ラインおよび採血ラインは、ライン中の流れおよび圧を調節する専用のポンプを備え得る。例えば返血ラインは専用の返血ポンプを備え得、採血ラインは専用の採血ポンプを備え得る。専用ポンプに加えて、それぞれのラインは、システムがライン中の圧を監視し、そして圧測定に基づいて流速を調節できるようにする圧センサを含んでも良い。
【0057】
記載される本発明の実施態様は単なる例示を意図しており、様々な変更および修正は当業者には明らかであろう。すべてのそのような変更および修正は本発明の範囲に入る事が意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液アフェレーシスシステムにおける多血小板血漿の再抗凝固のための方法であって、前記方法が
第一の回収コンテナ中に一定量の多血小板血漿を回収するステップ、および前記多血小板血漿が回収されるときに前記第一の回収コンテナへと抗凝固剤を添加するステップを含有する、方法。
【請求項2】
前記一定量の多血小板血漿が複数のサイクルにおいて回収され、前記抗凝固剤が前記複数のサイクルのそれぞれの間に前記第一の回収コンテナへと添加される、請求項1による方法。
【請求項3】
一定量の抗凝固剤が前記第一の回収コンテナへと移されるように前記血液アフェレーシスシステムを抗凝固剤によって準備するステップと、
前記第一の回収コンテナ中の抗凝固剤を第二の回収コンテナへと移すステップとをさらに含有し、
ここで、前記多血小板血漿が回収されるときに、抗凝固剤が前記第一の回収コンテナへと前記第二の回収コンテナより移される、請求項2による方法。
【請求項4】
血液アフェレーシスシステムにおける多血小板血漿の再抗凝固のための方法であって、前記方法が
全血を提供するステップ、
前記全血へと抗凝固剤を導入するステップ、
抗凝固処理された前記全血を複数の血液成分へと分離するステップであって、前記複数の血液成分が多血小板血漿を含んでいる、ステップ、
前記複数の血液成分より多血小板血漿を回収コンテナへと回収するステップ、および
前記多血小板血漿を回収するときに前記回収コンテナへと抗凝固剤を添加するステップを含有する、方法。
【請求項5】
前記多血小板血漿が複数のサイクルにおいて回収され、前記抗凝固剤が前記複数のサイクルのそれぞれの間に前記回収コンテナへと添加される、請求項4による方法。
【請求項6】
一定量の抗凝固剤が前記回収コンテナへと移されるように前記血液アフェレーシスシステムを抗凝固剤によって準備するステップと、
前記回収コンテナ中の抗凝固剤を第二のコンテナへと移すステップとをさらに含有する、請求項5による方法。
【請求項7】
血液アフェレーシスシステムにおける多血小板血漿の再抗凝固のための方法であって、前記方法が
一定量の抗凝固剤がPRP回収コンテナへと移されるように前記血液アフェレーシスシステムを抗凝固剤によって準備するステップ、
前記PRP回収コンテナ中の抗凝固剤を第二のコンテナへと移すステップ、
前記PRP回収コンテナ中の一定量の多血小板血漿を回収するステップであって、前記一定量の多血小板血漿が複数のサイクルによって回収される、ステップ、
前記第二のコンテナから一定量の抗凝固剤の少なくとも一部分を前記PRP回収コンテナへと前記複数のサイクルのそれぞれの間において移すステップを含有する、方法。
【請求項8】
前記PRP回収コンテナへと移される前記一定量の抗凝固剤の少なくとも一部分が、先行するサイクルにおいて回収される多血小板血漿の量に比例する、請求項7による方法。
【請求項9】
前記血液アフェレーシスシステムを抗凝固剤によって準備するステップが、抗凝固剤ラインおよび全血ラインフィルタを抗凝固剤によって準備するステップを含む、請求項7による方法。
【請求項10】
前記血液アフェレーシスシステムを準備するステップが、全血ラインフィルタ中の抗凝固剤を第二のコンテナへと移すステップを含む、請求項9による方法。
【請求項11】
前記全血ラインフィルタ中の抗凝固剤が前記複数のサイクルの最初の開始時に前記第二のコンテナへと移される、請求項10による方法。
【請求項12】
前記全血ラインフィルタ中の抗凝固剤が抗凝固剤源へと返却される、請求項9による方法。
【請求項13】
前記PRP回収コンテナへと移される抗凝固剤の全量が多血小板血漿の目標容量に比例する、請求項7による方法。
【請求項14】
前記目標容量が前記複数のサイクルのそれぞれにおいて回収される容量の合計である、請求項13による方法。
【請求項15】
前記複数のサイクルのそれぞれが、
全血を提供するステップ、
前記全血へと抗凝固剤を導入するステップ、
前記抗凝固処理された全血を分離チャンバへと導入するステップであって、ここで前記分離チャンバが前記抗凝固処理された全血を多血小板血漿を含むいくつかの血液成分へと分離する、ステップ、および
前記分離チャンバからPRP回収コンテナへと前記多血小板血漿を抽出するステップを含む、請求項7による方法。
【請求項16】
前記PRP回収コンテナより前記分離チャンバへと前記多血小板血漿を再導入するステップであって、前記分離チャンバは前記再導入された多血小板血漿を血漿と血漿を減少させた血小板製剤へと分離するステップ、
前記分離チャンバから血小板コンテナへと前記血漿を減少させた血小板を抽出するステップをさらに含有する請求項15による方法。
【請求項17】
前記全血へと導入される抗凝固剤の量が前記PRP回収コンテナ中の前記一定量の抗凝固剤に比例して減少する、請求項15による方法。
【請求項18】
血液アフェレーシスシステムにおける多血小板血漿の再抗凝固のためのシステムであって、前記システムが、
回収した多血小板血漿の貯蔵のためのPRPコンテナ、
回収した赤血球の貯蔵のための赤血球コンテナ、
一定量の抗凝固剤がPRPコンテナへと移されるようにシステムを抗凝固剤によって準備する手段、
PRPコンテナ中の前記抗凝固剤を前記赤血球コンテナへと移す手段、
前記PRPコンテナ中の一定量の多血小板血漿を回収する手段であって、ここで前記一定量の多血小板血漿が複数のサイクルにおいて回収される、手段、
前記複数のサイクルのそれぞれの間に前記赤血球コンテナから前記PRPコンテナへと前記一定量の抗凝固剤の少なくとも一部分を移す手段を含有する、システム。
【請求項19】
前記一定量の抗凝固剤の一部分が、先行するサイクルにおいて回収された多血小板血漿の量に比例する、請求項18によるシステム。
【請求項20】
前記システムを抗凝固剤によって準備する手段が、抗凝固剤ラインと全血ラインフィルタを抗凝固剤で準備する、請求項18によるシステム。
【請求項21】
前記システムを準備する手段が、前記赤血球ラインフィルタ中の前記抗凝固剤を前記赤血球コンテナへと移す、請求項20によるシステム。
【請求項22】
前記一定量の抗凝固剤の一部分を移す手段が、前記複数のサイクルの最初の開始時に前記赤血球ラインフィルタ中の前記抗凝固剤を前記赤血球コンテナへと移す、請求項21によるシステム。
【請求項23】
前記一定量の抗凝固剤の一部分を移す手段が、前記赤血球ラインフィルタ中の抗凝固剤を抗凝固剤源へと返却する、請求項20によるシステム。
【請求項24】
前記PRPコンテナへと移される前記一定量の抗凝固剤が多血小板血漿の目標容量に比例する、請求項18によるシステム。
【請求項25】
前記目標容量が、前記複数のサイクルのそれぞれにおいて回収される容量の合計である、請求項24による方法。
【請求項26】
一定量の多血小板血漿を回収する前記手段が、
全血を提供する手段、
前記全血へと抗凝固剤を導入する手段、
前記抗凝固処理された全血を分離チャンバに導入する手段であって、前記分離チャンバが前記抗凝固処理された全血を多血小板血漿を含むいくつかの血液成分へと分離する、手段
前記分離チャンバより前記PRPコンテナへと前記多血小板血漿を抽出する手段を含む、請求項18によるシステム。
【請求項27】
前記多血小板血漿を前記PRPコンテナから前記分離チャンバへと再導入する手段であって、ここで前記分離チャンバが再導入された多血小板結晶を血漿と血漿を減少させた血小板製剤へと分離する、手段、および
前記血漿を減少させた血小板製剤を前記分離チャンバより血小板コンテナへと抽出する手段、をさらに含有する請求項26によるシステム。
【請求項28】
前記全血へと導入される抗凝固剤の量が、PRPコンテナ中の抗凝固剤の量に比例して減少する、請求項26によるシステム。
【請求項29】
血液アフェレーシスシステムにおける多血小板血漿の再抗凝固のための方法であって、前記方法が
一定量の抗凝固剤がPRP回収コンテナへと移されるように前記血液アフェレーシスシステムを抗凝固剤によって準備するステップであって、前記一定量の抗凝固剤が多血小板血漿の目標容量に比例する、ステップ、および
前記目標容量の多血小板血漿を前記PRP回収コンテナへと回収するステップを含有する、方法。
【請求項30】
前記血液アフェレーシスシステムを抗凝固剤によって準備するステップが、抗凝固剤ラインおよび全血ラインフィルタを抗凝固剤によって準備するステップを含む、請求項29による方法。
【請求項31】
前記血液アフェレーシスシステムを準備するステップが、全血ラインフィルタ中の抗凝固剤を赤血球コンテナへと移すステップを含む、請求項30による方法。
【請求項32】
前記全血ラインフィルタ中の抗凝固剤が前記複数のサイクルの最初の開始時に前記赤血球コンテナへと移される、請求項31による方法。
【請求項33】
前記全血ラインフィルタ中の抗凝固剤が抗凝固剤源へと返却される、請求項31による方法。
【請求項34】
前記多血小板血漿の目標容量が複数のサイクルにおいて回収される、請求項29による方法。
【請求項35】
前記目標容量が、前記複数のサイクルのそれぞれにおいて回収される容量の合計である、請求項34による方法。
【請求項36】
前記複数のサイクルのそれぞれが、
全血を提供するステップ、
前記全血へと抗凝固剤を導入するステップ、
前記抗凝固処理された全血を分離チャンバへと導入するステップであって、ここで前記分離チャンバが前記抗凝固処理された全血を多血小板血漿を含むいくつかの血液成分へと分離する、ステップ、および
前記分離チャンバからPRP回収コンテナへと前記多血小板血漿を抽出するステップを含む、請求34による方法。
【請求項37】
前記PRP回収コンテナより前記分離チャンバへと前記多血小板血漿を再導入するステップであって、前記分離チャンバは前記再導入された多血小板血漿を血漿と血漿を減少させた血小板製剤へと分離するステップ、
前記分離チャンバから血小板コンテナへと前記血漿を減少させた血小板を抽出するステップをさらに含有する請求項29による方法。
【請求項38】
前記全血へと導入される抗凝固剤の量が前記PRP回収コンテナ中の前記一定量の抗凝固剤に比例して減少する、請求項29による方法。


【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−520125(P2012−520125A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554085(P2011−554085)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/026186
【国際公開番号】WO2010/104733
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(594202615)ヘモネティクス・コーポレーション (22)
【氏名又は名称原語表記】Haemonetics Corporation
【住所又は居所原語表記】400 Wood Road,Braintree,Massachusetts 02184,United Statesof America
【Fターム(参考)】