説明

多重構造食品およびその製法

【課題】意匠性が高く、美味しい上に味の変化を楽しめ、多様な食味・食感を任意に提供できる内部成分が被覆成分により被覆された多重構造食品およびその製法の提供。
【解決手段】糖質を必須成分として含み、所定の比重D1を有する被覆成分2と、糖質を必須成分として含み、前記比重D1より大きく調整された比重D2を有する内部成分3とからなり、内部成分3の大部分が被覆成分2によって被覆されて構成された多重構造食品20であって、
被覆成分2によって被覆された内部成分3は、多重構造食品20の中心7を通る鉛直線8上の中心7より若干下方に位置して配設されており、中心7より上方の多重構造食品20の外表面6に残りの内部成分3によって積層・形成された内部成分層9が配設されている多重構造食品により課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多重構造食品およびその製法に関するものであり、さらに詳細には、被覆成分と内部成分から主としてなり、前記内部成分が前記被覆成分により被覆された構成を有し、意匠性が高く、多様な食味・食感を任意に提供できる新規な多重構造食品およびそのような新規な多重構造食品を容易に製造できる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、型内に成分の異なるグミ成分流動体を注入して多層構造のグミを製造する方法があり、内部成分用ノズルとそれの外側にある被覆成分用ノズルから、それぞれのグミ成分流動体を同時に型内に注入することで、内部成分を被覆成分で被覆した構成のグミの製造が行われている(例えば、特許文献1参照)。この方法で内部成分を被覆成分で被覆した構成のグミを製造する場合は、内部成分と被覆成分の比重を同じにする必要があった。
【特許文献1】特許第3312038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の第1の目的は、内部成分が被覆成分により被覆された多重構造食品であるが、従来にないような構成を有し、意匠性が高く、美味しい上に味の変化を楽しめ、多様な食味・食感を任意に提供できる新規な多重構造食品を提供することであり、
本発明の第2の目的は、そのような新規な多重構造食品を容易に製造できる製法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するための本発明の請求項1記載の発明は、糖質を必須成分として含み、所定の比重D1を有する被覆成分と、糖質を必須成分として含み、前記比重D1より大きく調整された比重D2を有する内部成分とからなり、前記内部成分の大部分が前記被覆成分によって被覆されて構成された多重構造食品であって、
前記被覆成分によって被覆された前記内部成分は、多重構造食品の中心を通る鉛直線上の前記中心より若干下方に位置して配設されており、前記中心より上方の多重構造食品の外表面に残りの内部成分によって積層・形成された内部成分層が配設されていることを特徴とする多重構造食品である。
【0005】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の多重構造食品において、前記被覆成分が構成する構成成分の配合を調整して所定の比重D1とした被覆成分であるか、あるいは前記被覆成分中に気泡を含有せしめて所定の比重D1とした被覆成分であることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項3記載の発明は、下記の工程(1)〜(5)を含む工程により製造することを特徴とする多重構造食品の製法である。
(1)常温の型内に糖質を必須成分として含み、所定の比重D1を有する被覆成分の流動体を所定量入れる工程。
(2)型内の被覆成分の流動性が維持されている間に、前記比重D1より大きく調整された比重D2を有する内部成分の流動体を、型内の被覆成分の中心部より上方の外表面側から所定量前記外表面上に載せる工程。
(3)前記外表面上に所定量載せられた大部分の内部成分の流動体は、自重により型内の被覆成分中に一体となって侵入し、形成される多重構造食品の中心を通る鉛直線上の前記中心より若干下方に位置して留まり、一方、前記中心より上方の前記多重構造食品の外表面に残りの内部成分が流動して広がって内部成分層が積層・形成される工程。
(4)その後、常温で静置して冷却・固化することにより前記被覆成分によって被覆された前記内部成分が、多重構造食品の中心を通る鉛直線上の前記中心より若干下方に位置して配設されており、前記中心より上方の多重構造食品の外表面に残りの内部成分によって積層・形成された内部成分層が配設されている多重構造食品を得る工程。
(5)型から多重構造食品を取り出し、必要に応じて粘着防止剤を表面に適用した後、包装する工程。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1記載の発明は、糖質を必須成分として含み、所定の比重D1を有する被覆成分と、糖質を必須成分として含み、前記比重D1より大きく調整された比重D2を有する内部成分とからなり、前記内部成分の大部分が前記被覆成分によって被覆されて構成された多重構造食品であって、
前記被覆成分によって被覆された前記内部成分は、多重構造食品の中心を通る鉛直線上の前記中心より若干下方に位置して配設されており、前記中心より上方の多重構造食品の外表面に残りの内部成分によって積層・形成された内部成分層が配設されていることを特徴とするものであり、
内部成分が被覆成分により被覆された多重構造食品であるが、従来にないような構成を有し、多様な食味・食感や見た目や外観を任意に変化させることができるので、面白さがあり、意匠性が高く、美味しい上に味の変化を楽しめるという顕著な効果を奏する。
【0008】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の多重構造食品において、前記被覆成分が構成する構成成分の配合を調整して所定の比重D1とした被覆成分であるか、あるいは前記被覆成分中に気泡を含有せしめて所定の比重D1とした被覆成分であることを特徴とするものであり、
所定の比重D1とした被覆成分を容易に提供できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0009】
本発明の請求項3記載の発明は、前記の工程(1)〜(5)を含む工程により製造することを特徴とする多重構造食品の製法であり、
本発明の多重構造食品を容易に製造できるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明の内容を図を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の多重構造食品の製法の工程の例を説明する説明図である。
先ず、図1(A)に示すように、工程(1)において、常温で、コーンスターチ製型1内に下記の被覆成分組成からなる流動体を一般的なグミの製法を用いて作成し、気泡を含有せしめ、比重D1=0.7〜0.9とした被覆成分2を約60〜70℃に保温して、型1内に所定量注入する。
【0011】
被覆成分組成:単位は質量部である。商品名、メーカー名は一例である。
砂糖(グラニュー糖、三井製糖(株)製) 58
水あめ(コーソシラップS75、日本コーンスターチ(株)製) 28
水 8
ゼラチン(ゼラチンBCN250N、新田ゼラチン(株)製) 5
酸味料 (無水クエン酸MS、扶桑化学(株)製) 1
香料 (高砂香料(株)製) 適量
合計 100
【0012】
引き続き、図1(B)に示すように、工程(2)において、コーンスターチ製型1内の被覆成分2の流動性が維持されている間に、下記の内部成分組成からなる一般的なグミの製造方法で作成した比重D2=1.0〜1.4の内部成分3を約60〜70℃に保温し、ノズル4を経て、型1内の被覆成分2の中心部5より上方の外表面6側から外表面6上に所定量載せる。
【0013】
内部成分組成:単位は質量部である。
砂糖(グラニュー糖、三井製糖(株)製) 32
水あめ(コーソシラップS75、日本コーンスターチ(株)製) 57
水 4
ゼラチン(ゼラチンBCN250N、新田ゼラチン(株)製) 6
酸味料 (無水クエン酸MS、扶桑化学(株)製) 1
香料 (長谷川香料(株)製) 適量
着色料(コクヨカラメルS−8、池田糖化工業(株)製) 適量
合計 100
【0014】
すると、図1(C)に示すように、工程(3)において、外表面6上に所定量載せられた大部分の内部成分3の流動体3Aは、自重により型1内の被覆成分2中に一体となって侵入し、最終的に形成される多重構造食品20の中心7を通る鉛直線8上の中心7より若干下方に位置して留まって内部部分3Bを形成し、一方、中心7より上方の最終的に形成される多重構造食品20の外表面6に残りの内部成分3が流動して広がって内部成分層9が積層・形成される。10は内部成分3の流動体3Aにより形成される通路である。
【0015】
そして、図1(D)に示すように、しばらくすると、通路10に存在した内部成分3の流動体3Aは自重により下方に流下して内部部分3Bに合流してしまい、通路10は消失し、その痕跡10Aが僅かに残るだけになる。
【0016】
そして、図1(D)に示すように、工程(4)において、その後、常温で約6時間から2日程度静置して冷却・固化することにより被覆成分2によって被覆された内部成分3Bが、多重構造食品20の中心7を通る鉛直線8上の中心7より若干下方に位置して配設されており、中心7より上方の多重構造食品20の外表面6に残りの内部成分2によって積層・形成された内部成分層9が配設されている多重構造食品20が形成される。
【0017】
そして、図1(E)に示すように、工程(5)において、型1から多重構造食品20を取り出し、必要に応じて植物油などの図示しない粘着防止剤を多重構造食品20の表面に適用した後、図示しない包装装置を用いて包装する。
【0018】
本発明で用いる糖質としては、具体的には、例えば、異性化糖、果糖、還元麦芽糖水飴、還元水飴、砂糖、水飴、カップリングシュガー、オリゴ糖類(例えば、乳果オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖など)などの他に、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マルトース、マルトテトラオースシラップ、マルトペンタオースシラップ、トレハロース、パラチノース、ブドウ糖、還元パラチノース、ラクチトール、マルトテトラオース、マトトリイトールなどを挙げることができる。
これらは単独で使用することもできるが、2つ以上の混合物を使用することもできる。
【0019】
これらの糖類に、水、乳製品、油脂、果汁、酸味料、気泡剤、強化剤、香料、着色料、増粘剤などを所要に応じて適宜加えて被覆成分としたり、内部成分とすることができる。
これら材料は1つ、あるいは2つ以上を任意に組み合わせて適量を用いることができる。
その結果、多様な食味・食感や見た目や外観を任意に変化させることができ、面白さがあり、意匠性が高く、美味しい上に味の変化を楽しめる本発明の多重構造食品を得ることができる。
【0020】
本発明の多重構造食品を製造する時は、被覆成分の比重D1と、内部成分の比重D2とが次式(1)で表されるようにD2がD1より大きくなるように調整されることが肝要である。
D2>D1 式(1)
【0021】
D2がD1より大きくなるように調整せずに、例えばD2=D1であったり、逆にD2<D1であったりすると、図1に示すように工程(1)において、コーンスターチ製型1内に被覆成分組成を所定量入れた後、引き続き工程(2)において、コーンスターチ製型1内の被覆成分2の流動性が維持されている間に、内部成分組成の流動体をノズル4を経て、型1内の被覆成分2の中心部5より上方の外表面6側から外表面6上に所定量載せた際に、D2=D1の場合は両者が混じってしまうか混じってしまう恐れがあり、D2<D1の場合は被覆成分の上に内部成分が重なった状態の構造の食品ができるだけであり、本発明の多重構造食品が得られない。
【0022】
D2がD1より大きくなるように調整するための1つの方法は、被覆成分および内部成分の構成成分の配合を調整する。例えば、被覆成分中の水の配合量を増やせばD1を小さくすることができ、逆に、内部成分中の水の配合量を減らしたり、水飴やゼラチンなどを増したりすればD2を大きくすることができる。
【0023】
D2がD1より大きくなるように調整するための他の方法として、被覆成分を構成成分を混合して作る際に高速攪拌してエアレーションにより独立気泡や連続気泡を含ませて発泡状態にしたり、あるいは被覆成分を構成成分を混合して作る際に加圧攪拌した後に減圧して独立気泡や連続気泡を含ませて発泡状態にしたり、あるいは被覆成分を構成成分を混合して作る際に気泡剤を同時に配合して発泡条件下に混合するなどの例を挙げることができる。被覆成分中の気泡の量を制御してD1を調整することができる。
【0024】
本発明で用いる増粘剤としては、具体的には、例えば、アラビアガム、アルギン酸(ナトリウム)、カードラン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、寒天、キサンタンガム、グアーガム、ジェランガム、ゼラチン、タマリンド種子ガム、プルラン、ペクチン、ポリデキストロースなどを挙げることができる。
これらは単独で用いることもできるが、2つ以上を組み合わせて用いることもできる。
【0025】
本発明で使用できる酸味料としては、具体的に、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、ブドウ酸、フマール酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、乳酸など、およびそれらの塩類を挙げることができる。
これらは単独で用いることもできるが、2つ以上を組み合わせて用いることもできる。
【0026】
本発明で使用できる強化剤としては、具体的に、例えば、ビタミン類、鉄、カルシウムなどのミネラル類、食物繊維、その他各種機能性素材などを挙げることができる。
これらは単独で用いることもできるが、2つ以上を組み合わせて用いることもできる。
【0027】
本発明で使用できるその他の材料としては、具体的に、例えば、甘味料、アスパルテーム(L−フェニルアラニン化合物)、アセスルファムK、スクラロース、ステビアなどを挙げることができる。
これらは単独で用いることもできるが、2つ以上を組み合わせて用いることもできる。
【0028】
本発明で使用できる着色料としては、具体的に、例えば、アナトー色素、ウコン色素、カカオ色素、カラメル色素、クチナシ青色素、クチナシ赤色素、クチナシ黄色素、赤色2号、赤色3号、赤色4号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、タマリンド色素、スピルリナ色素、パプリカ色素、コーン色素、トマト色素、カロチン色素、アカビート色素、ベニコウジ色素、ベニバナ赤色素、ベニバナ黄色素、ムラサキコーン色素、ムラサキヤマイモ色素、ビタミンB2、アカキャベツ色素、アカダイコン色素、ベリー色素、ブドウ色素、パプリカ粉末などを挙げることができる。
【0029】
本発明で使用できる乳製品としては、具体的に、例えば、練乳、発酵乳、ヨーグルトなどを挙げることができる。
【0030】
本発明で使用できる油脂としては、具体的に、例えば、菜種、大豆、ヒマワリ種子、綿実、落花生、米糠、コーン、サフラワー、オリーブ、胡麻、カカオ、ヤシ、アブラヤシなどから採取した油脂、あるいは必要に応じて分別、エステル交換などを施した加工油などの植物性油脂並びに乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油などの動物性油脂、これらの油脂の2つ以上の混合油を挙げることができる。
【0031】
本発明で使用できる気泡剤としては、具体的に、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ゼラチン、ソルビタン脂肪酸エステル、卵白、レシチンなどを挙げることができる。
【0032】
本発明で使用できる香料としては、例えば、天然香料、食品衛生法施行規則別表第一記載の香料を挙げることができる。
【0033】
本発明で使用する型の素材は紙やプラスチックスなどの有機物でもガラス、金属、セラミックなどの無機物でも、これらの組み合わせでもよいが、好ましくは構成成分中の水を吸収するか透過させて外部に揮散できるような素材の型が望ましい。
本発明においては工程(1)において型内に被覆成分の流動体を所定量入れ、工程(2)、(3)においてその上に内部成分の流動体を所定量載せ、工程(4)において、常温で約6時間から2日程度静置して冷却・固化して本発明の多重構造食品を製造するが、例えばコーンスターチのような食品素材であって安全性に優れ、水を吸収・透過させて外部に揮散できるような素材であって、使用後に型を作り直せるような素材の型を用いると、水分を早く揮散させて冷却・固化に要する時間を短縮せることができる上、経済的である。
本発明の多重構造食品が接触する型の内面は離型し易いように離型層を形成しておくことが好ましい。
【0034】
本発明において、被覆成分の流動体や内部成分の流動体の温度は、それぞれ60〜70℃であることが好ましい。下限値未満であると流動性が失われ、内部成分が流入せず、被膜成分の上に内部成分が積層された状態になるか、混じった状態になる恐れがあり、上限値を超えるとゲル強度が低下したり、色焼けが起こったり、食味に影響を及ぼしたりする恐れがある。
【0035】
本発明において、工程(1)において型内に被覆成分の流動体を所定量入れ、工程(2)、(3)においてその上に内部成分の流動体を所定量載せて、本発明の多重構造食品を得るまでの時間、型から取り出すまで時間などは製品の種類や食味・食感などによって適宜決めることが好ましい。
【0036】
本発明において、上記の各工程における雰囲気温度、湿度などの条件は、具体的には、例えば、25℃、60%RH程度の雰囲気中で行う例を挙げることができる。各工程は手作業で行っても、バッチ式装置で行っても連続的に行っても、あるいはこれらの組み合わせで行ってもよく、特に限定されないが、雰囲気温度や湿度および各種製造条件などは、決められた管理値およびその範囲を記憶させてコンピュータからの指示により運転するコンピュータ制御によるコントロールが好ましい。
食品を扱うので衛生面に充分配慮することが肝要である。
【0037】
本発明において、被覆成分の流動体の所定量および内部成分の流動体の所定量は、製品の大きさ、デザイン、食味・食感などによって適宜決められるものである。
【0038】
工程(1)において型内に被覆成分の流動体を所定量入れ、工程(2)、(3)においてその上に内部成分の流動体を所定量載せると、載せられた大部分の内部成分の流動体が自重により被覆成分中を通って侵入し、最終的に形成される多重構造食品の中心を通る鉛直線上の中心より若干下方に位置して留まって内部部分を形成し、最終的に形成される多重構造食品の外表面に残りの内部成分が流動して広がって内部成分層が積層・形成される理由は、明らかでないが、1つには内部成分の比重D2が被覆成分の比重D1より大きいので重力により下方に流下し易いこと、2つには被覆成分が流動性が維持されているので比重の大きい内部成分が自ら被覆成分を押し分けて通路を形成して流下し、流下している内に温度が低下するなどにより、またチキソトロピィー機構によって粘度が高くなって流動性がだんだん失われ1体化して内部成分の塊が形成されると考えられ、外表面に残った内部成分はいまだ流動性がある間に外表面で流動して広がって内部成分層が積層・形成されるものと考えられる。しかし、この考え方に限定されるものではない。
【0039】
なお、上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の多重構造食品は、糖質を必須成分として含み、所定の比重D1を有する被覆成分と、糖質を必須成分として含み、前記比重D1より大きく調整された比重D2を有する内部成分とからなり、前記内部成分の大部分が前記被覆成分によって被覆されて構成された多重構造食品であって、
前記被覆成分によって被覆された前記内部成分は、多重構造食品の中心を通る鉛直線上の前記中心より若干下方に位置して配設されており、前記中心より上方の多重構造食品の外表面に残りの内部成分によって積層・形成された内部成分層が配設されていることを特徴とするものであり、
内部成分が被覆成分により被覆された多重構造食品であるが、従来にないような構成を有し、多様な食味・食感や見た目や外観を任意に変化させることができるので、面白さがあり、意匠性が高く、美味しい上に味の変化を楽しめるという顕著な効果を奏し、本発明の製法によって本発明の多重構造食品を容易に製造できるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値は甚だ大きい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(A)〜(D)は、本発明の多重構造食品の製法の工程の例を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 型
2 被覆成分
3 内部成分
3A 流動体
3B 内部部分
4 ノズル
5 中心部
6 外表面
7 中心
8 鉛直線
9 内部成分層
10 通路
10A 痕跡
20 多重構造食品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖質を必須成分として含み、所定の比重D1を有する被覆成分と、糖質を必須成分として含み、前記比重D1より大きく調整された比重D2を有する内部成分とからなり、前記内部成分の大部分が前記被覆成分によって被覆されて構成された多重構造食品であって、
前記被覆成分によって被覆された前記内部成分は、多重構造食品の中心を通る鉛直線上の前記中心より若干下方に位置して配設されており、前記中心より上方の多重構造食品の外表面に残りの内部成分によって積層・形成された内部成分層が配設されていることを特徴とする多重構造食品。
【請求項2】
前記被覆成分が構成する構成成分の配合を調整して所定の比重D1とした被覆成分であるか、あるいは前記被覆成分中に気泡を含有せしめて所定の比重D1とした被覆成分であることを特徴とする請求項1記載の多重構造食品。
【請求項3】
下記の工程(1)〜(5)を含む工程により製造することを特徴とする多重構造食品の製法。
(1)常温の型内に糖質を必須成分として含み、所定の比重D1を有する被覆成分の流動体を所定量入れる工程。
(2)型内の被覆成分の流動性が維持されている間に、前記比重D1より大きく調整された比重D2を有する内部成分の流動体を、型内の被覆成分の中心部より上方の外表面側から所定量前記外表面上に載せる工程。
(3)前記外表面上に所定量載せられた大部分の内部成分の流動体は、自重により型内の被覆成分中に一体となって侵入し、形成される多重構造食品の中心を通る鉛直線上の前記中心より若干下方に位置して留まり、一方、前記中心より上方の前記多重構造食品の外表面に残りの内部成分が流動して広がって内部成分層が積層・形成される工程。
(4)その後、常温で静置して冷却・固化することにより前記被覆成分によって被覆された前記内部成分が、多重構造食品の中心を通る鉛直線上の前記中心より若干下方に位置して配設されており、前記中心より上方の多重構造食品の外表面に残りの内部成分によって積層・形成された内部成分層が配設されている多重構造食品を得る工程。
(5)型から多重構造食品を取り出し、必要に応じて粘着防止剤を表面に適用した後、包装する工程。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−306948(P2008−306948A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155304(P2007−155304)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(592113809)カバヤ食品株式会社 (6)
【Fターム(参考)】