説明

多重通信用ジョイントコネクタ

【課題】フェライト・プレートのインピーダンス特性を所望の数値に調整することができる多重通信用ジョイントコネクタを提供する。
【解決手段】インナーハウジング42は、プレート収容室を画成する内側面が端子27によって貫通されたフェライト・プレート23をその側面から押圧することによってフェライト・プレート23のインピーダンス特性が所望の数値に調整されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の相手方コネクタと嵌合可能な多重通信用ジョイントコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
車両などにおいては、CAN(Control Area Network)通信によって複数の電装品を制御するため、多重通信用ジョイントコネクタを用いた接続が行われている。このような信号伝達用のコネクタには、ノイズの輻射や信号伝送に及ぼす悪影響を軽減するため、信号に重畳されるノイズを除去する機能が要求される。従来、ノイズ除去機能を有するコネクタとしては、フェライト磁心とチップコンデンサによって構成されるローパスフィルタ回路をコネクタに内蔵させたローパスフィルタ内蔵コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、アウターハウジングと、金属板によって一体成形されたジョイント回路としての連鎖バスバーと、第1および第2の抵抗およびコンデンサを有する終端抵抗回路と、から構成された多重通信用ジョイントコネクタも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−78658号公報
【特許文献2】特開2003−123918号公報
【特許文献3】特開2010−33961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12に示す従来の多重通信用ジョイントコネクタ10は、複数のコネクタ嵌合部2を有する合成樹脂製のアウターハウジング1と、複数の貫通孔4が設けられて長方形板状に形成されたフェライト・プレート3と、バスバー6とピン状の端子7とが金属板によって一体成形された接続部5と、を備える。ローパスフィルタとして機能するフェライト・プレート3は、アウターハウジング1と一体にインサート成形されており、このフェライト・プレート3の貫通孔4に接続部5の端子7が挿通されてコネクタ嵌合部2に配置されている。この構成により、上下左右に隣り合う端子7の間にはフェライト・プレート3の一部が位置することになる。
【0006】
しかし、フェライト・プレート3をアウターハウジング1にインサート成形すると、成形後の合成樹脂の収縮によって板状のフェライト・プレート3に曲げ応力が作用し、図13に示すように、反りなどの変形が生じる場合がある。このように変形するほどの応力がフェライト・プレート3に作用すると、ビラリ効果(Villari effect)として一般に知られている逆磁歪現象によって、フェライト・プレート3の透磁率が低下する。このため、フェライト・プレート3は、ローパスフィルタとして十分なインピーダンス特性が得られなくなって、伝送される波形ひずみの改善が不十分となる問題があった。また、このビラリ効果を考慮して十分な特性が得られるようにフェライト・プレート3を大きくすることは、多重通信用ジョイントコネクタ10のコストアップ要因となり、好ましくない。
【0007】
そこで、フェライト・プレートを複数個に分割した状態でアウターハウジングに配置することにより、アウターハウジングの樹脂が収縮しても、各フェライト・プレートに作用する応力は小さく、フェライト・プレートの変形を大幅に抑制することも検討されている(図14に示す、フェライト・プレートが分割された多重通信用ジョイントコネクタの分解斜視図を参照。)。
【0008】
ところで、フェライト・プレートに求められるインピーダンス特性は、そのフェライト・プレートがローパスフィルタ作用の対象とする配線がいくつの多重通信用ジョイントコネクタを経由するか(以下、ある電子機器間を接続する配線が多重通信用ジョイントコネクタを経由する個数を「多重通信用ジョイントコネクタ総数」と称する。)、及び、そのフェライト・プレートを収容する多重通信用ジョイントコネクタが何本の電線が接続可能であるか(以下、ある多重通信用ジョイントコネクタに接続可能な電線の本数を「分岐数」と称する。)、によって異なる。この点を図15に示す、多重通信用ジョイントコネクタを経由して電子機器間を接続する配線の模式図を参照して説明する。図15(a)は、多重通信用ジョイントコネクタ総数が3、分岐数が8である配線の模式図であり、図15(b)は、多重通信用ジョイントコネクタ総数が2、分岐数が11である配線の模式図である。
【0009】
一般的な車両通信システムでは、該車両通信システムによって駆動されるシステム(エアコン、ABS(Antilock Brake System)、AV機器などのシステム)に用いられる電子機器50は凡そ20個程度であり、それらの電子機器50間を多重通信用ジョイントコネクタ10を介して接続する。この電子機器50の数を考慮すると、図15(a)の多重通信用ジョイントコネクタ総数が3、分岐数が8である配線や、図15(b)の多重通信用ジョイントコネクタ総数が2、分岐数が11である配線が考えられる。
【0010】
図15(a)に示す配線では、ある電子機器50間を接続する配線のなかに3つの多重通信用ジョイントコネクタ10を経由するものが存在する。経由する多重通信用ジョイントコネクタが数が多くなればなるほどその配線を伝搬する信号はより減衰してしまうため、経由する多重通信用ジョイントコネクタが数が多い場合にはそれらの多重通信用ジョイントコネクタが収容するフェライト・プレートには比較的低いインピーダンス特性が求められる。一方、図15(b)に示す配線のように、ある電子機器50間を接続する配線が2つの多重通信用ジョイントコネクタ10を経由するものに限られる場合には、それらの多重通信用ジョイントコネクタが収容するフェライト・プレートには比較的高いインピーダンス特性が求められる。このように、フェライト・プレートに求められるインピーダンス特性は、そのフェライト・プレートがローパスフィルタ作用の対象とする配線の多重通信用ジョイントコネクタ総数及び多重通信用ジョイントコネクタの分岐数に応じて、所望の数値に調整する必要がある。
【0011】
しかし、上記のようにインピーダンス特性が所望の数値のものを多重通信用ジョイントコネクタに用いるためには、インピーダンス特性の数値が異なる様々なフェライト・プレートを製造し、それらのフェライト・プレートのなかから配線の条件を満たすものを多重通信用ジョイントコネクタに適用する必要がある(例えば、特許文献3)。このため、フェライト・プレートおよびそのフェライト・プレートを適用する多重通信用ジョイントコネクタを設計するために要する時間が増えるとともに、フェライト・プレート及び多重通信用ジョイントコネクタの品番数が増えるためにそれらの管理がより煩雑なものになる。この結果、多重通信用ジョイントコネクタの価格の高騰にも繋がる。
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フェライト・プレートのインピーダンス特性を所望の数値に調整することができる多重通信用ジョイントコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明に係る多重通信用ジョイントコネクタは、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) 複数の相手方コネクタとそれぞれ嵌合するための複数のコネクタ嵌合部が形成されたアウターハウジングと、
前記コネクタ嵌合部内に突出するように前記アウターハウジングに配置され、且つ前記相手方コネクタが前記コネクタ嵌合部に嵌合した際に該相手方コネクタの相手方端子に接触して電気的に接続する端子と、
前記端子によって貫通されるように前記アウターハウジング内に配置されたフェライト・プレートと、
一面が開口し、該開口を通して前記フェライト・プレートが収容されるプレート収容室を有するインナーハウジングと、
を備え、
前記アウターハウジングには、前記フェライト・プレートが前記プレート収容室に収容された前記インナーハウジングを嵌合するためのインナーハウジング嵌合部が形成され、
前記インナーハウジングは、該インナーハウジングが前記インナーハウジング嵌合部に嵌合した際に前記コネクタ嵌合部内に突出するように、且つ前記プレート収容室を挿通するように、前記端子を保持するとともに、前記プレート収容室を画成する内側面が前記端子によって貫通された前記フェライト・プレートをその側面から押圧することによって前記フェライト・プレートのインピーダンス特性が所望の数値に調整されている、
こと。
(2) 上記(1)の構成の多重通信用ジョイントコネクタであって、
前記インナーハウジングは、前記プレート収容室を画成する内側面が前記端子によって貫通された前記フェライト・プレートの一部をその側面から押圧する、
こと。
(3) 上記(2)の構成の多重通信用ジョイントコネクタであって、
前記フェライト・プレートは、前記コネクタ嵌合部に対応して複数個に分割され、
前記インナーハウジングは、前記プレート収容室を画成する内側面が前記端子によって貫通された前記フェライト・プレートそれぞれをその側面から押圧することによって前記フェライト・プレートそれぞれのインピーダンス特性が所望の数値に調整されている、
こと。
(4) 上記(3)の構成の多重通信用ジョイントコネクタであって、
前記インナーハウジングには、前記プレート収容室を画成する内側面の、前記フェライト・プレートそれぞれの側面に臨む位置にバネ部材が複数個設けられ、
前記バネ部材はそれぞれ、前記端子によって貫通された前記フェライト・プレートをその側面から押圧する、
こと。
【0014】
上記(1)〜(4)の構成の多重通信用ジョイントコネクタによれば、フェライト・プレートのインピーダンス特性を所望の数値に調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成の多重通信用ジョイントコネクタによれば、フェライト・プレートのインピーダンス特性を所望の数値に調整することができる。この結果、フェライト・プレートの品番数を削減することができる。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタの分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタのアウタ−ハウジングの横断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタのインナーハウジングの斜視図である。
【図4】図3におけるインナーハウジングに対するフェライト・プレートの装着状況を一部で縦断して示す斜視図である。
【図5】図3におけるインナーハウジングに対するフェライト・プレートの装着状況を別の一部で縦断して示す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタのインナーハウジングとアウターハウジングとの嵌合構造を示す横断平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタの分解斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタのインナーハウジングの斜視図である。
【図9】図8におけるインナーハウジングに対するフェライト・プレートの装着状況を一部で縦断して示す斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタの分解斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタのインナーハウジングに対するフェライト・プレートの装着状況を一部で縦断して示す斜視図である。
【図12】従来の多重通信用ジョイントコネクタの分解斜視図である。
【図13】図12に示すインサート成形されたフェライト・プレートの変形状態を示す側面図である。
【図14】フェライト・プレートが分割された多重通信用ジョイントコネクタの分解斜視図である。
【図15】多重通信用ジョイントコネクタを経由して電子機器間を接続する配線の模式図である。図15(a)は、多重通信用ジョイントコネクタ総数が3、分岐数が8である配線の模式図であり、図15(b)は、多重通信用ジョイントコネクタ総数が2、分岐数が11である配線の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る多重通信用ジョイントコネクタの各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタを図1〜図6に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタの分解斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタのアウタ−ハウジングの横断面図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタのインナーハウジングの斜視図である。図4は、図3におけるインナーハウジングに対するフェライト・プレートの装着状況を一部で縦断して示す斜視図である。図5は、図3におけるインナーハウジングに対するフェライト・プレートの装着状況を別の一部で縦断して示す斜視図である。図6は、本発明の第1実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタのインナーハウジングとアウターハウジングとの嵌合構造を示す横断平面図である。
【0020】
第1実施形態では、インナーハウジング42内において、プレート収容室42eの側壁42bに形成された、バネ部材である樹脂バネ41を用いてフェライト・プレートを押圧し、フェライト・プレートのインピーダンス特性を所望の数値に調整している(図5参照。)。なお、樹脂バネによるフェライト・プレートの支持構造の詳細は後述する。
【0021】
図1に示すように、第1実施形態の多重通信用ジョイントコネクタ200は、複数の相手方コネクタ(図示せず)とそれぞれ嵌合するための複数のコネクタ嵌合部22(図1では8個)を有する合成樹脂製のアウターハウジング21と、1対の貫通孔24が8組設けられた略矩形板状のフェライト・プレート23と、コネクタ嵌合部22内に突出し、且つ相手方コネクタがコネクタ嵌合部22に嵌合した際に該相手方コネクタの相手方端子に接触して電気的に接続する一対の接続部25と、接続部25を保持するとともにフェライト・プレート23を収容するインナーハウジング42と、を備える。
【0022】
接続部25は、ピン状に形成された複数の端子27(図1では各列につき8本)と、この複数の端子27の一端に連設されるバスバー26(図1では2本)とを有している。図1では、8本の端子27が連設されたバスバー26が2本、並設されている。左右方向に隣り合う一対の端子27は、インナーハウジング42がアウターハウジング21に嵌合した際に、コネクタ嵌合部22に相手方コネクタが嵌合する側とは逆側から前記コネクタ嵌合部22内に突出するように、一つのコネクタ嵌合部22内に配置される。各コネクタ嵌合部22内に配置される一対の端子27には、多重通信を実現する伝送方式に則った信号が伝送される。例えば、周波数分割多重化を伝送方式として採用した場合には、一対の端子27それぞれには異なる周波数帯が割り当てられる。周波数分割多重化を採用した場合、隣り合うコネクタ嵌合部22に配置された一対の端子27には、一対の端子27の一方を信号が伝播した際に生じる電磁波(ノイズ)によって、一対の端子27の他方に電圧が誘起される恐れがある。このノイズによる電圧の誘起を防止するために、フェライト・プレート23によって、上記一対の端子27の一方から上記一対の端子27の他方への電磁波の伝播を遮断する。
【0023】
多重通信用ジョイントコネクタがCANに利用される場合であって、一対の端子27に差動信号が入力される伝送路では、一方の一対の端子27に接続されるH側信号ラインと他方の一対の端子27に接続されるL側信号ラインの間のインピーダンスのバランスを保つこと(H側信号ラインのインピーダンス特性≒L側信号ラインのインピーダンス特性)が必須である。このため、H側信号ラインとL側信号ラインの間に位置するフェライト・プレート23が、H側信号ラインとL側信号ラインの間のインピーダンスのバランスを保つこともまた必須である。
【0024】
図1に示すフェライト・プレート23の形状によれば、8組の一対の端子27の間にインピーダンス特性が均一のフェライト・プレート23が位置する。この結果、多重通信用ジョイントコネクタを介して伝送される波形ひずみを改善することができる。
【0025】
アウターハウジング21は、図2に示すように、中壁21aの両側に該中壁21aとは垂直な側壁21b、21d、および側壁21c、21eが位置してしおり、中壁21a、および側壁21b、21c、21d、21eは、中壁21aが水平方向に見立てたときにH字形状となる。図2のアウタ−ハウジングの横断面図において、中壁21aと側壁21b、21cとに囲まれた空間がインナーハウジング嵌合部21gとなっている。インナーハウジング嵌合部21gは、開口21fを有しており、この開口21fを通してインナーハウジング42を嵌合する。一方、中壁21aと側壁21d、21eとに囲まれた空間がコネクタ嵌合部22となっている。コネクタ嵌合部22は、開口21hを有しており、この開口21hを通して相手方コネクタが挿入される。
【0026】
さらに、中壁21aには、フェライト・プレート23の各貫通孔24に対向する位置に端子挿入孔37が穿設されている。端子挿入孔37は、インナーハウジング嵌合部21gにインナーハウジング42が嵌めこまれた際に、フェライト・プレート23の貫通孔24を貫通する端子27によって貫通される。これにより、端子27の一部は、インナーハウジング42がアウターハウジング21に嵌合した際に、インナーハウジング嵌合部21g側から端子挿入孔37を貫通し、コネクタ嵌合部22内に配置されることになる。
【0027】
インナーハウジング42は、図3に示すように、一面が開口し、この開口42dを通してフェライト・プレート23を収容するプレート収容室42eが形成されている。プレート収容室42eは、底壁42a、側壁42b、42cによって囲まれている。側壁のうちの一方の側壁42bには、収容されたフェライト・プレート23に臨むその内側面に、インナーハウジング42の長手方向(つまり、フェライト・プレート23がプレート収容室42eに収容された際の、該フェライト・プレート23の長手方向)に沿って延びる樹脂バネ41が形成されている。樹脂バネ41は、プレート収容室42eに収容されたフェライト・プレート23の側面を、該樹脂バネ41が形成された側壁42bとは反対側の側壁42cの方向に向けて、押圧する。この樹脂バネ41により、フェライト・プレート23は、一つの側面が図5に示すように樹脂バネ41に押圧され、もう一方の側面がプレート収容室42eの前記樹脂バネ41が設けられる側に対向する側壁42cの内側面に押し当てられるようにして押圧される。なお、バネ部材としての樹脂バネ41は、プレート収容室42eの内側面のうちの一面を切り起こすなどして形成される。
【0028】
次に、図4および図5を参照して、インナーハウジング42に対するフェライト・プレート23の装着工程を説明する。図4は、図3のインナーハウジング42に装着された8組16本の端子27にフェライト・プレート23の各貫通孔24を挿し通す直前の状態である。なお、この状態の前に、接続部25をプレート収容室42eの底壁42aに装着しておく必要がある(より詳細には、プレート収容室42eの底壁42aを穿つように該底壁42aに形成された端子保持部43に、端子27の一端が連設されたバスバー26を挿入、固定させておく。)。この結果、各端子27は、プレート収容室42eの底壁42aから開口42dに向けて真直ぐに延びるように突設されている。フェライト・プレート23は、このような端子27の尖端によって貫通孔24が挿通され、開口42dを通過し、厚み方向の一面(図上、フェライト・プレート23の下面)が底壁42aに当接する状態で、プレート収容室42eに収容される。
【0029】
フェライト・プレート23は、プレート収容室42eに収容された状態において、その幅方向の片面が側壁42bの内側に突出する各一の樹脂バネ41に前述のように押圧され、一方、幅方向の他の片面は側壁42cの内面に押し当てられるようにしてプレート収容室42eに保持される。
【0030】
フェライト・プレート23が上述のようにしてプレート収容室42eに保持されたインナーハウジング42が、図2に示すアウターハウジング21のインナーハウジング嵌合部21gに嵌合される。インナーハウジング42がアウターハウジング21のインナーハウジング嵌合部21gに嵌合した状態を図6に示す。インナーハウジング42は、プレート収容室42eの開口42dから露出するフェライト・プレート23の一面がアウターハウジング21の中壁21aの内面Qに対向するように、インナーハウジング嵌合部21gに収容される。
【0031】
このように、第1実施形態では、インナーハウジング42内においてバネ部材である樹脂バネ41を用いてフェライト・プレートを押圧することによって、フェライト・プレートのインピーダンス特性を調整することができる。例えば、汎用性の高いフェライト・プレートのインピーダンス特性が所望の数値よりも高いものであった場合、樹脂バネ41をより高く起立させて押圧力を強めることによって、その樹脂バネ41によって押圧されるフェライト・プレートのインピーダンス特性を低下させるようにする。他方、汎用性の高いフェライト・プレートのインピーダンス特性が所望の数値に近いものであった場合、樹脂バネ41を僅かに起立させて、フェライト・プレートがプレート収容室42eから抜け落ちない程度の押圧力に弱めることによって、その樹脂バネ41によって押圧されるフェライト・プレートのインピーダンス特性を低下させないようにする。この結果、求められるインピーダンス特性が異なる種々の多重通信用ジョイントコネクタに対しても、汎用性の高いフェライト・プレートを用いることができる。
【0032】
尚、図1から図6を参照して説明した上述の多重通信用ジョイントコネクタ200では、樹脂バネ41がプレート収容室42eの内側面のうちの一面を切り起こすなどして形成されるとした。フェライト・プレート23を押圧する構造はこの樹脂バネに限られない。プレート収容室42eの内側面に絶縁部材を盛り、フェライト・プレート23がプレート収容室42eに収容された際に、その盛られた絶縁部材がフェライト・プレート23を押圧する構造であってもよい。また、プレート収容室42eの一方の側壁42bに樹脂バネ41を形成する構造について説明したが、プレート収容室42eの両方の側壁42b、42cに樹脂バネを形成し、それらの樹脂バネによってフェライト・プレート23を押圧する構造であってもよい。
【0033】
また、図1から図6を参照して説明した上述の多重通信用ジョイントコネクタ200では、樹脂バネ41をプレート収容室42eの側壁42bに設け、樹脂バネ41がフェライト・プレート23の幅方向を押圧する構造とした。樹脂バネ41を設ける箇所は、フェライト・プレート23の幅方向に位置する側面に臨む、プレート収容室42eの側壁42b、42cに限られない。フェライト・プレート23の長手方向に位置する側面に臨む、プレート収容室42eの側壁に設け、樹脂バネ41がフェライト・プレート23の長手方向を押圧する構造としてもよい。
【0034】
さらに、フェライト・プレート23に向けて突出する尖端形状(例えば円錐形状や角錐形状)の突起をプレート収容室42eの底壁42aに設け、インナーハウジング42がアウターハウジング21のインナーハウジング嵌合部21gに嵌合した際に、突起がアウターハウジング21の中壁21aの内面Qとともにフェライト・プレート23を挟持して、そのフェライト・プレート23の厚み方向を押圧する構造としてもよい。このとき、その突起は、インナーハウジング42の長手方向(つまり、フェライト・プレート23がプレート収容室42eに収容された際の、該フェライト・プレート23の長手方向)に沿って延びるように、底壁42aに形成される。
【0035】
さらに、フェライト・プレート23に向けて突出する尖端形状(例えば円錐形状や角錐形状)の突起をアウターハウジング21の中壁21aの内面Qに設け、インナーハウジング42がアウターハウジング21のインナーハウジング嵌合部21gに嵌合した際に、突起がプレート収容室42eの底壁42aとともにフェライト・プレート23を挟持して、そのフェライト・プレート23の厚み方向を押圧する構造としてもよい。このとき、その突起は、アウターハウジング21の長手方向(つまり、インナーハウジング42がアウターハウジング21のインナーハウジング嵌合部21gに嵌合した際の、フェライト・プレート23の長手方向)に沿って延びるように、中壁21aの内面Qに形成される。
【0036】
このようにプレート収容室42eの内側面あるいはアウターハウジング21の中壁21aの内面Qに隆起するように突出部を形成し、フェライト・プレートを多方向から押圧する構造とすることによって、フェライト・プレートのインピーダンス特性をより大きく低下させることができるため、フェライト・プレートのインピーダンス特性を所望の数値に調整することが容易となる。
【0037】
ところで、これまで説明した多重通信用ジョイントコネクタ200は、プレート収容室42eの内側面あるいはアウターハウジング21の中壁21aの内面Qに隆起するように形成された突出部(樹脂バネ41あるいは突起)がフェライト・プレート23を押圧する構造とした。このような突出部を形成することなしに、フェライト・プレート23を押圧することも可能である。
【0038】
すなわち、多重通信用ジョイントコネクタを製造するにあたっては、ハウジングを作成する工程においてフェライト・プレートをインサート成形することがあるが、この工程において、型に流し込む樹脂の流量を調整して、フェライト・プレートのインピーダンス特性が所望の数値となるようにフェライト・プレートに樹脂からの圧力を作用させ、その状態で樹脂を固化することによって、フェライト・プレートを押圧した状態でハウジング内に留めおくことができる。このように多重通信用ジョイントコネクタを製造すれば、プレート収容室42eの内側面あるいはアウターハウジング21の中壁21aの内面Qに隆起する突出部が形成されることがない。このように、本発明は、フェライト・プレートを内部に収容するプレート収容室の内側面がフェライト・プレートをその側面から押圧する構造で有りさえすれば、フェライト・プレートのインピーダンス特性を所望の数値に調整することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタを図7〜図9に基づいて説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタの分解斜視図である。図8は、本発明の第2実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタのインナーハウジングの斜視図である。図9は、図8におけるインナーハウジングに対するフェライト・プレートの装着状況を一部で縦断して示す斜視図である。第1実施形態で説明した符号と同一の部材は、第1実施形態で説明したとおりであるため、その説明を省略する。
【0040】
本発明の第2実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタ210が、第1実施形態で説明したものと異なる点は、フェライト・プレート23を収容した該フェライト・プレート23に臨むプレート収容室42eの内側面に、複数個の樹脂バネ41bが形成されている点である。
【0041】
インナーハウジング42は、図8に示すように、一面が開口し、この開口42dを通してフェライト・プレート23を収容するプレート収容室42eが形成されている。プレート収容室42eは、底壁42a、側壁42b、42cによって囲まれている。側壁のうちの一方の側壁42bには、収容されたフェライト・プレート23に臨むその内側面に、複数個の樹脂バネ41bが形成されている。樹脂バネ41bは、プレート収容室42eに収容されたフェライト・プレート23の側面を、該樹脂バネ41bが形成された側壁42bとは反対側の側壁42cの方向に向けて、押圧する。これらの樹脂バネ41bは、同形、同サイズで、インナーハウジング42の長手方向に8個が等間隔配置されている。フェライト・プレート23は、一つの側面がこれらのそれぞれの樹脂バネ41bにより押圧され、もう一方の側面がプレート収容室42eの前記樹脂バネ41bが設けられる側に対向する側壁42cの内側面に押し当てられるようにして押圧される。なお、バネ部材としての樹脂バネ41bは、プレート収容室42eの内側面のうちの一面において、その一部を切り起こすなどして形成される。
【0042】
本発明の第1実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタ200は、フェライト・プレート23の幅方向の側面をその長手方向に沿って押圧する構造であった。これにより、フェライト・プレート23のインピーダンス特性を長手方向に均一に調整することができる。他方、ある一対の端子27近辺のフェライト・プレート23のインピーダンス特性を局所的に調整したいことがある。本発明の第2実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタ210は、フェライト・プレート23のインピーダンス特性を局所的に調整する場合に有用である。
【0043】
すなわち、それぞれの樹脂バネ41bが押圧する付近ではフェライト・プレート23のインピーダンス特性を低下させることができ、樹脂バネ41bが押圧していない付近ではフェライト・プレート23のインピーダンス特性の低下は小さい。ある一対の端子27を経由する配線が多数の多重通信用ジョイントコネクタ200を経由する場合、その一対の端子27付近のフェライト・プレート23のインピーダンス特性を局所的に低くすることが求められる。このような場合に、その一対の端子27付近のフェライト・プレート23を押圧するべく、プレート収容室42eの内側面のうちのその一対の端子27に隣り合う位置に樹脂バネ41bを形成する。図7〜図9に示す本発明の第2実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタ210では、同形、同サイズの樹脂バネ41bが、インナーハウジング42の長手方向に8個が等間隔配置されているが、求められるインピーダンス特性に応じて樹脂バネ41bの形状を変形させればよく、また、インピーダンス特性を調整したい箇所に応じて樹脂バネ41bを設ける箇所を変えてやればよい。
【0044】
尚、図7から図9を参照して説明した上述の多重通信用ジョイントコネクタ210では、樹脂バネ41bがプレート収容室42eの内側面のうちの一面を切り起こすなどして形成されるとした。フェライト・プレート23を押圧する構造はこの樹脂バネに限られない。プレート収容室42eの内側面に絶縁部材を盛り、フェライト・プレート23がプレート収容室42eに収容された際に、その盛られた絶縁部材がフェライト・プレート23を押圧する構造であってもよい。また、プレート収容室42eの一方の側壁42bに樹脂バネ41bを形成する構造について説明したが、プレート収容室42eの両方の側壁42b、42cに樹脂バネを形成し、それらの樹脂バネによってフェライト・プレート23を押圧する構造であってもよい。
【0045】
また、図7から図9を参照して説明した上述の多重通信用ジョイントコネクタ210では、樹脂バネ41bをプレート収容室42eの側壁42bに設け、樹脂バネ41bがフェライト・プレート23の幅方向を押圧する構造とした。樹脂バネ41bを設ける箇所は、フェライト・プレート23の幅方向に位置する側面に臨む、プレート収容室42eの側壁42b、42cに限られない。フェライト・プレート23の長手方向に位置する側面に臨む、プレート収容室42eの側壁に設け、樹脂バネ41bがフェライト・プレート23の長手方向を押圧する構造としてもよい。
【0046】
さらに、フェライト・プレート23に向けて突出する尖端形状(例えば円錐形状や角錐形状)の突起をプレート収容室42eの底壁42aに設け、インナーハウジング42がアウターハウジング21のインナーハウジング嵌合部21gに嵌合した際に、突起がアウターハウジング21の中壁21aの内面Qとともにフェライト・プレート23を挟持して、そのフェライト・プレート23の厚み方向を押圧する構造としてもよい。このとき、その突起は、フェライト・プレート23のインピーダンス特性を局所的に調整したい箇所に応じてプレート収容室42eの底壁42aに設けられる。
【0047】
さらに、フェライト・プレート23に向けて突出する尖端形状(例えば円錐形状や角錐形状)の突起をアウターハウジング21の中壁21aの内面Qに設け、インナーハウジング42がアウターハウジング21のインナーハウジング嵌合部21gに嵌合した際に、突起がプレート収容室42eの底壁42aとともにフェライト・プレート23を挟持して、そのフェライト・プレート23の厚み方向を押圧する構造としてもよい。このとき、その突起は、フェライト・プレート23のインピーダンス特性を局所的に調整したい箇所に応じて中壁21aの内面Qに形成される。
【0048】
このようにプレート収容室42eの内側面あるいはアウターハウジング21の中壁21aの内面Qに隆起する突出部を適宜の位置に形成し、フェライト・プレート23を多方向から押圧する構造とすることによって、フェライト・プレート23のインピーダンス特性を局所的により大きく低下させることができるため、フェライト・プレート23のインピーダンス特性を所望の数値に調整することが容易となる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタを図10〜図11に基づいて説明する。図10は、本発明の第3実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタの分解斜視図である。図11は、本発明の第3実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタのインナーハウジングに対するフェライト・プレートの装着状況を一部で縦断して示す斜視図である。第1実施形態または第2実施形態で説明した符号と同一の部材は、第1実施形態または第2実施形態で説明したとおりであるため、その説明を省略する。
【0050】
本発明の第3実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタ220が、第2実施形態で説明したものと異なる点は、フェライト・プレート23bが複数個に分割されている点である。フェライト・プレート23bは、一対の貫通孔24が設けられて略矩形板状に分割されている。図10及び図11では8個に分割されている。この構造では、一対の端子27のそれぞれに別々のフェライト・プレート23bが装着される。この構造の場合、一種類のフェライト・プレート23bが合計8個インナーハウジング42に装着される。
【0051】
本発明の第2実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタ210は、フェライト・プレート23の幅方向の側面を局所的に押圧する構造であった。これにより、フェライト・プレート23のインピーダンス特性を局所的に調整することができる。他方、本発明の第3実施形態に係る多重通信用ジョイントコネクタ220は、フェライト・プレート23bそれぞれの幅方向の側面を、一つの樹脂バネ41bが押圧する構造である。この構造により、ある一対の端子27に装着されたフェライト・プレート23bに、そのフェライト・プレート23bの側面に位置する一つの樹脂バネ41bのみが押圧する構造であるため、個々のフェライト・プレート23bを独立して押圧することができる。この結果、一対の端子27それぞれに求められるフェライト・プレート23bのインピーダンス特性に応じて、そのフェライト・プレート23bの側面に位置する樹脂バネ41bの形状を変形させることで、そのフェライト・プレート23bのインピーダンス特性を所望の数値に調整することができる。さらに言えば、あるフェライト・プレート23bの側面に位置する樹脂バネ41bの他に該フェライト・プレート23bを押圧する樹脂バネ41bがないため、フェライト・プレート23bに作用する外力が計算し易く、その結果、樹脂バネ41bの形状の設計が容易となる。
【0052】
尚、図10から図11を参照して説明した上述の多重通信用ジョイントコネクタ220では、樹脂バネ41bがプレート収容室42eの内側面のうちの一面を切り起こすなどして形成されるとした。フェライト・プレート23bそれぞれを押圧する構造はこの樹脂バネに限られない。プレート収容室42eの内側面に絶縁部材を盛り、フェライト・プレート23bがプレート収容室42eに収容された際に、その盛られた絶縁部材がフェライト・プレート23bそれぞれを押圧する構造であってもよい。また、プレート収容室42eの一方の側壁42bに樹脂バネ41bを形成する構造について説明したが、プレート収容室42eの両方の側壁42b、42cに樹脂バネを形成し、それらの樹脂バネによってフェライト・プレート23bを押圧する構造であってもよい。
【0053】
また、図10から図11を参照して説明した上述の多重通信用ジョイントコネクタ220では、樹脂バネ41bをプレート収容室42eの側壁42bに設け、樹脂バネ41bがフェライト・プレート23bの幅方向を押圧する構造とした。樹脂バネ41bを設ける箇所は、フェライト・プレート23bの幅方向に位置する側面に臨む、プレート収容室42eの側壁42b、42cに限られない。隣り合うフェライト・プレート23b間にこれらフェライト・プレート23bを仕切る仕切り壁を新たに設け、この仕切り壁と、フェライト・プレート23bの長手方向に位置する側面に臨む、プレート収容室42eの側壁に樹脂バネ41bを設け、これらの樹脂バネ41bがフェライト・プレート23bの長手方向を押圧する構造としてもよい。
【0054】
さらに、フェライト・プレート23bそれぞれに向けて突出する尖端形状(例えば円錐形状や角錐形状)の突起をプレート収容室42eの底壁42aに設け、インナーハウジング42がアウターハウジング21のインナーハウジング嵌合部21gに嵌合した際に、突起がアウターハウジング21の中壁21aの内面Qとともにフェライト・プレート23bそれぞれを挟持して、そのフェライト・プレート23bの厚み方向を押圧する構造としてもよい。このとき、その突起は、インピーダンス特性を調整したいフェライト・プレート23bに向って突出するようにプレート収容室42eの底壁42aに設けられる。
【0055】
さらに、フェライト・プレート23bそれぞれに向けて突出する尖端形状(例えば円錐形状や角錐形状)の突起をアウターハウジング21の中壁21aの内面Qに設け、インナーハウジング42がアウターハウジング21のインナーハウジング嵌合部21gに嵌合した際に、突起がプレート収容室42eの底壁42aとともにフェライト・プレート23それぞれを挟持して、そのフェライト・プレート23の厚み方向を押圧する構造としてもよい。このとき、その突起は、インピーダンス特性を調整したいフェライト・プレート23に向って突出するように中壁21aの内面Qに形成される。
【0056】
このようにプレート収容室42eの内側面あるいはアウターハウジング21の中壁21aの内面Qに隆起する突出部を適宜の位置に形成し、フェライト・プレート23bを多方向から押圧する構造とすることによって、フェライト・プレート23bのインピーダンス特性をより大きく低下させることができるため、フェライト・プレート23bのインピーダンス特性を所望の数値に調整することが容易となる。
【0057】
以上、第1実施形態から第3実施形態で説明したように、本発明に係る多重通信用ジョイントコネクタによれば、フェライト・プレートを収容するプレート収容室の内側面の形状を適宜調整してその内側面が該フェライト・プレートを押圧する押圧力を代えることによって、フェライト・プレートに求められるインピーダンス特性を所望の数値に調整することができるため、フェライト・プレートの品番数を増やすことなく、該フェライト・プレートのインピーダンス特性を所望の数値に調整することができる。
【符号の説明】
【0058】
21 アウターハウジング
21a 中壁
21b、21c、21d、21e 側壁
21f 開口
21g インナーハウジング嵌合部
21h 開口
22 コネクタ嵌合部
23、23b フェライト・プレート
24 貫通孔
25 接続部
26 バスバー
27 端子
41、41b 樹脂バネ
42 インナーハウジング
42a 底壁
42b、42c 側壁
42d 開口
42e プレート収容室
Q 中壁の内面
200、210、220 多重通信用ジョイントコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の相手方コネクタとそれぞれ嵌合するための複数のコネクタ嵌合部が形成されたアウターハウジングと、
前記コネクタ嵌合部内に突出するように前記アウターハウジングに配置され、且つ前記相手方コネクタが前記コネクタ嵌合部に嵌合した際に該相手方コネクタの相手方端子に接触して電気的に接続する端子と、
前記端子によって貫通されるように前記アウターハウジング内に配置されたフェライト・プレートと、
一面が開口し、該開口を通して前記フェライト・プレートが収容されるプレート収容室を有するインナーハウジングと、
を備え、
前記アウターハウジングには、前記フェライト・プレートが前記プレート収容室に収容された前記インナーハウジングを嵌合するためのインナーハウジング嵌合部が形成され、
前記インナーハウジングは、該インナーハウジングが前記インナーハウジング嵌合部に嵌合した際に前記コネクタ嵌合部内に突出するように、且つ前記プレート収容室を挿通するように、前記端子を保持するとともに、前記プレート収容室を画成する内側面が前記端子によって貫通された前記フェライト・プレートをその側面から押圧することによって前記フェライト・プレートのインピーダンス特性が所望の数値に調整されている、
ことを特徴とする多重通信用ジョイントコネクタ。
【請求項2】
前記インナーハウジングは、前記プレート収容室を画成する内側面が前記端子によって貫通された前記フェライト・プレートの一部をその側面から押圧する、
ことを特徴とする請求項1に記載の多重通信用ジョイントコネクタ。
【請求項3】
前記フェライト・プレートは、前記コネクタ嵌合部に対応して複数個に分割され、
前記インナーハウジングは、前記プレート収容室を画成する内側面が前記端子によって貫通された前記フェライト・プレートそれぞれをその側面から押圧することによって前記フェライト・プレートそれぞれのインピーダンス特性が所望の数値に調整されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の多重通信用ジョイントコネクタ。
【請求項4】
前記インナーハウジングには、前記プレート収容室を画成する内側面の、前記フェライト・プレートそれぞれの側面に臨む位置にバネ部材が複数個設けられ、
前記バネ部材はそれぞれ、前記端子によって貫通された前記フェライト・プレートをその側面から押圧する、
ことを特徴とする請求項3に記載の多重通信用ジョイントコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−9325(P2012−9325A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144969(P2010−144969)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】